車両間通信方法
【課題】 通信エリアが車両から3m以下となるため、直前の車両、もしくは直後の車両としか通信が行えず、そのため、車両の位置を特定する必要がなく、且つキーレスで利用している装備が利用でき、また、LF波を発信することで受信側のコイルの誘起電力を発生させPUSH通信が可能となる車両間通信方法を提供すること。
【解決手段】 LF波を用いて携帯機のサーチを行うキーレス装置を備える車両において、縦列状にならんだ直前の車両から直後の車両に向かって、キーレス装置の近距離LF波通信によりLF送受信前方アンテナ3、LF送受信後方アンテナ4の送受信で情報を送ることを順に繰り返すことで、最前方部の車両で得られる情報を後方の車両でも用いるようにした。
【解決手段】 LF波を用いて携帯機のサーチを行うキーレス装置を備える車両において、縦列状にならんだ直前の車両から直後の車両に向かって、キーレス装置の近距離LF波通信によりLF送受信前方アンテナ3、LF送受信後方アンテナ4の送受信で情報を送ることを順に繰り返すことで、最前方部の車両で得られる情報を後方の車両でも用いるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道の踏み切りなどで、列をなした車両間での通信を行う車両間通信方法の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来では、踏切制御回路ボックス内から遮断竿下降終了信号が送られ、制御回路は、タイマーを起動しN秒後にストップ信号を発生し、光ビーコン送信器より送出し、列車通過信号が入力し、遮断竿上昇信号が送られると、エンジンをスタートさせるためのスタート信号を発生させている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、信号待ち回数を予測する機能を有するナビゲーション装置の制御部は、信号機の時間情報を取得する第1の手段、信号機待ち先頭車両から自車までの間で物理ネットワークを介して車間通信を行っている各車両の情報を取得する第2の手段、第1の手段より取得した信号機の時間情報及び第2の手段により取得した各車両の情報に基づいて、自車が何回目の青信号で信号機を通過できるかを算出する第3の機能手段として機能しているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2001−26270号公報(第2−6頁、全図)
【特許文献2】特開2004−205389号公報(第2−16頁、全図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の車両間通信方法にあっては、アンテナの増設など多大な費用、手間がかかるものであり、また、無線LANやBluetooth、携帯電話は通信可能な範囲が広く、通信データに車両特定のためのIDや位置情報を付与する必要があり、データ量も多くなり通信負荷が増すことや、個人データの流出につながり好ましくないものであった。
【0005】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、通信エリアが車両から3m以下となるため、直前の車両、もしくは直後の車両としか通信が行えず、そのため、車両の位置を特定する必要がなく、且つキーレスで利用している装備が利用でき、また、LF波を発信することで受信側のコイルの誘起電力を発生させPUSH通信が可能となる車両間通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では、LF波を用いて携帯機のサーチを行うキーレス装置を備える車両において、縦列状にならんだ直前の車両から直後の車両に向かって、キーレス装置の近距離LF波通信により情報を送ることを順に繰り返すことで、最前方部の車両で得られる情報を後方の車両でも用いるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
よって、本発明にあっては、通信エリアが車両から3m以下となるため、直前の車両、もしくは直後の車両としか通信が行えず、そのため、車両の位置を特定する必要がなく、且つキーレスで利用している装備が利用でき、また、LF波を発信することで受信側のコイルの誘起電力を発生させPUSH通信が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の車両間通信方法を実現する実施の形態を、請求項1,2,3に係る発明に対応する実施例1と、請求項1,2,3,4に係る発明に対応する実施例2と、請求項1,2,3,5に係る発明に対応する実施例3と、請求項1,2,3,6に係る発明に対応する実施例4とに基づいて説明する。
【実施例1】
【0009】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の車両間通信方法を実施する通信装置のブロック図である。
通信装置は、制御部1、路側機受信アンテナ2、LF送受信前方アンテナ3、LF送受信後方アンテナ4、表示器5を主要な構成としている。
【0010】
制御部1は、データ取得部11、送信判断部12、データ処理部13、表示処理部14、インターフェース部15〜17を主な構成にしている。
データ取得部11は、踏切21の近傍に設置された路側機20、もしくは前方の車両からデータを取得する。
送信判断部12は、後方の車両にデータを送信するかどうかの判断を行う。
データ処理部13は、取得したデータの処理を行う。例えば、次に踏切を渡れるようになるまでにどれくらいかかるかなどである。
表示処理部14はデータ処理部13の処理結果に基づいて、表示内容の処理を行う。
【0011】
路側機受信アンテナ2は、踏切21の近傍に設置された路側機20からの送信電波を受信するアンテナである。
LF送受信前方アンテナ3は、直前の車両とLF波を送受信するアンテナで、図示しないキーレス装置と共用である。
LF送受信後方アンテナ4は、直後の車両とLF波を送受信するアンテナで、図示しないキーレス装置と共用である。
表示器5は、通信処理した結果内容を表示する。
【0012】
次に路側機受信アンテナ2、LF送受信前方アンテナ3、LF送受信後方アンテナ4の車両設置位置について説明する。
図2は実施例1の車両間通信方法を実施する通信装置の説明平面図である。
実施例1では、車両の前端部にLF送受信前方アンテナ3を設け、車両の後端部にLF送受信後方アンテナ4を設ける。
そして、車室内のインストパネルの上面部に、路側機20からの送信電波を受信する路側機受信アンテナ2を設ける。
【0013】
作用を説明する。
[車両間及び路側機との通信処理]
図3に示すのは、実施例1の通信装置の制御部1で実行される車両間及び路側機との通信処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
【0014】
ステップS1では、路側機からデータ受信したかどうかを判断し、受信したならばステップS2へ進み、受信しないならばステップS6へ進む。
【0015】
ステップS2では、待ち受けタイマーtmをスタートする。
【0016】
ステップS3では、tmがタイムアップしたかどうかを判断し、タイムアップしたならばステップS4へ進み、タイムアップしないならばステップS6へ進む。
【0017】
ステップS4では、台数カウンタに1を代入する。
【0018】
ステップS5では、取得データからtm時間を差し引き、ステップS8へ進む。
【0019】
ステップS6では、前車からデータ受信をしたかどうかを判断し、受信したならばステップS7へ進み、受信しないならばステップS3へ戻る。
【0020】
ステップS7では、台数カウンタをインクリメントする。
【0021】
ステップS8では、データセットを行う。
【0022】
ステップS9では、後続車に送信を行い、処理を終了する。
【0023】
[車両間及び路側機との通信作用]
図4は実施例1の車両間通信方法が実施されている状態の説明図である。
実施例1では、車両の前方バンパー付近、後方バンパー付近にLF送受信前方アンテナ3、LF送受信後方アンテナ4を設けており、キーレス装置における発信、受信機を有している。また、車両には路側機20からの信号を受信できる路側機受信アンテナ2を有しており、その路側機20から受信した公共性の高い情報、例えば信号待ち時間情報、アイドルストップ信号/同解除信号等については、その情報を車両後方のLF送受信後方アンテナ4を使用して後方の車両に向け発信をする。
【0024】
後方の車両は、前方の車両から発信されたLF信号にて受信状態に入り、信号を受信後、同じく後方の車両に対し信号を送信する。このようにして数珠繋ぎに後方の車両へ情報を伝達していく。後続車への通信は、先頭の車両がデータを受信する毎に後続車へ通信する。
【0025】
後方の車両へデータを伝達していく過程で送信毎に台数カウンタをインクリメントしていき、先頭から何台目かがわかるようにし、その情報をもとに各受信車が待ち時間を考慮することもできる(ステップS7→S8→S9)。
【0026】
また車両の位置により路側機20からのデータを受信し、さらに直前の車両からの受信が2重で取得する可能性があるため、路側機20からの受信の場合、その車両が先頭であるかの判断を行う時間、つまり前車から受信するかどうかの時間を設ける(ステップS2,S3,S6)。前車から受信があった場合は路側機20からのデータは破棄し直前の車両から受信したデータに対し台数カウンタをインクリメントし後続車へ送信する(ステップS6→S7)。前車からの受信がなかった場合は、判断に要した時間を送信する時間データより差し引いて後続車へ送信する(ステップS3→S4→S5)。この時、送信するデータが一般的なアイドルストップに効果のある5秒以内の場合は無効なデータとし後続車への送信は行わない。
【0027】
このように実施例1の車両間通信方法では、前方から後方へ順にデータを渡して行き、その際に、台数を数える、処理時間を加算するなどして、図4に例として示した踏切等の待ちの状態を、次に走行開始できるのがどのくらい後かを知ることができ、アイドルストップを行う判断やトリガにでき、非常に有効に活用することができる。
また、装置は、キーレス装置と共用部分がほとんどであり、コストが非常に抑制できる。
【0028】
次に、効果を説明する。
実施例1の車両間通信方法にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1)LF波を用いて携帯機のサーチを行うキーレス装置を備える車両において、縦列状にならんだ直前の車両から直後の車両に向かって、キーレス装置の近距離LF波通信によりLF送受信前方アンテナ3、LF送受信後方アンテナ4の送受信で情報を送ることを順に繰り返すことで、最前方部の車両で得られる情報を後方の車両でも用いるようにしたため、通信エリアが車両から3m以下となるため、直前の車両、もしくは直後の車両としか通信が行えず、そのため、車両の位置を特定する必要がなく、且つキーレスで利用している装備が利用でき、また、LF波を発信することで受信側のコイルの誘起電力を発生させPUSH通信が可能となる。
キーレス装置の方式としてLF帯を利用しているシステムが多く見られ、実現に向けて小規模の追加にて可能となる。LF波の通信範囲の特性を生かし、近接する車両とのみしか通信ができないことから、車両やその車両の位置特定の情報が必要なく通信負荷も軽い。また、2重通信を防ぐため判断待ちを行うが送信までの時間を差し引いて、情報が有効であるかを判断し伝達されるため、無効な情報が伝達されることはない。
【0029】
(2)前後の情報に受け渡しとともに、台数をカウントして、最前方部の車両で情報が得られてからの時間の経過又は最前方車両からの台数を知得するようにしたため、例えば、次に走行開始できるまでの時間や、渋滞している車両の台数などの情報を得ることで、アイドルストップや他の処理を行う時間の有無がわかるなど、情報が利用でき、特に時間情報の際には、経過時間を考慮することでより正確な時間を得ることができ、また、台数に処理時間を掛けることでもより正確な時間を得ることができる。
【0030】
(3)路側機20からの情報を取得する路側機受信アンテナ2を備え、最前方部の車両で得られる路側機からの情報を後方の車両でも用いるようにしたため、踏切まで、どれくらいの時間がかかるのか、どれくらい台数がいるのか、動きだしたのかなどの情報を得ることができる。
【実施例2】
【0031】
実施例2の車両間通信方法は、直前の車両からの情報と、路側機からの情報との双方の情報が得られる際に、路側機からの情報を優先する処理を行うようにした例である。
構成を説明する。
図5は、実施例2の車両間通信方法を実施する通信装置のブロック図である。
実施例2では、車速信号6を制御部1のデータ処理部13へ入力する構成にする。
その他構成は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0032】
作用を説明する。
[路側機からの情報を優先する処理]
図6は実施例2の通信装置の制御部1で実行される自車先頭判断及びフラグ設定処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
【0033】
ステップS11では、車速を検知したかどうかを判断し、検知したならばステップS12へ進み、検知しないならば処理を終了する。
【0034】
ステップS12では、車速ゼロフラグをリセットする。
【0035】
ステップS13では、車速がゼロかどうかを判断し、ゼロならばステップS14へ進み、ゼロでないならば処理を終了する。
【0036】
ステップS14では、路側機からのデータが有るかどうかを判断し、有るならばステップS15へ進み、無いならば処理を終了する。
【0037】
ステップS15では、前車からのデータがあるかどうかを判断し、データがあるならばステップS16へ進み、データがないならばステップS18へ進む。
【0038】
ステップS16では、台数カウンタを記憶する。
【0039】
ステップS17では、車速ゼロフラグを1にセットし、処理を終了する。
【0040】
図7は実施例2の通信装置の制御部1で実行される状態別受信処理及び送信処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
【0041】
ステップS21では、車速ゼロフラグが2にセットされているかどうかを判断し、2にセットされているならばステップS22へ進み、2にセットされていないならばステップS26へ進む。
【0042】
ステップS22では、路側機からデータを受信したかどうかを判断し、受信したならばステップS23へ進み、受信していないならば処理を終了する。
【0043】
ステップS23では、送信データをセットする。
【0044】
ステップS24では、台数カウンタを新規にする。つまり1を割り当てる。
【0045】
ステップS25では、後続車に送信し、処理を終了する。
【0046】
ステップS26では、車速ゼロフラグに1がセットされているかどうかを判断し、1がセットされているならばステップS27へ進み、1がセットされていないならばステップS32へ進む。
【0047】
ステップS27では、路側機からデータを受信したかどうかを判断し、受信したならばステップS28へ進み、受信していないならば処理を終了する。
【0048】
ステップS28では、送信データをセットする。
【0049】
ステップS29では、台数カウンタ記憶を呼び出す。
【0050】
ステップS30では、台数カウンタをインクリメントする。
【0051】
ステップS31では、後続車に送信し、処理を終了する。
【0052】
ステップS32では、前車からデータを受信したかどうかを判断し、データを受信したならばステップS33へ進み、データを受信しないならば処理を終了する。
【0053】
ステップS33では、送信データをセットする。
【0054】
ステップS34では、台数カウンタをインクリメントする。
【0055】
ステップS35では、後続車に送信し、処理を終了する。
【0056】
[車両間及び路側機との通信作用]
実施例2では、車両の位置により路側機20及び前方車両、双方からデータを受信してしまうが、その場合は、前方車両からのデータは台数カウンタのみ継続し、データ情報については路側機20からの情報を最新としデータを上書きし後続車へ送信する(ステップS14→S17、S26→S31)。この場合、路側機20、前方車両の双方からの受信は車両の位置関係が変わらない限り続くため、その状態からある一定値以上の車速信号、例えば渋滞中にじわじわと車間を詰める程度の速度を検知するまで、路側機20からのデータを正として後続車へ送信する。
【0057】
次に、効果を説明する。
実施例2の車両間通信方法にあっては、実施例1の(1),(2),(3)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(4)車速情報を得る手段を備え、路側機20からの情報と、直前の車両からの情報との双方が得られる場合に、走行開始と判断できる車速を検知するまで、自車で得た路側機20からの情報に加えて、時間または台数のカウントのみを直前の車両から継続して、直後の車両に送信するようにしたため、前後のカウントによる利便性の高い情報の運用を継続しつつ、より正確なデータを後続車へ送ることができる。
キーレス装置の方式としてLF帯を利用しているシステムが多く見られ、実現に向けて小規模の追加にて可能となる。LF波の通信範囲の特性を生かし、近接する車両とのみしか通信ができないことから、車両やその車両の位置特定の情報が必要なく通信負荷も軽い。また、前方の車両、路側機と2重に情報を受信した場合、路側機からの情報を優先し後続車に送信するため情報の正確性が保たれる。さらに同一停車状態が継続している間に前車からの情報を受け取った場合は、自車が先頭でないとの認識し前車からの情報をマスクし路側機からの情報のみを後続車へ送信することで後続車へのデータ矛盾が生じにくくできる。
その他作用効果は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【実施例3】
【0058】
実施例3の車両間通信方法は、縦列に停車状態となった後の自車が動き出せる時間を予測するようにした例である。
構成を説明する。
実施例3では、図9に示すように、表示器5に、自車が動き出すことが可能となるまでの予測時間と、受信した予測時間を表示する。
その他構成は、実施例1、実施例2と同様であるので説明を省略する。
【0059】
作用を説明する。
[動き出し時間を予測する処理]
図8は実施例3の通信装置の制御部1で実行される総待ち時間算出処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
【0060】
ステップS41では、受信したかどうかを判断し、受信したならばステップS42へ進み、受信していないならば処理を終了する。
【0061】
ステップS42では、先頭からの待ち時間を計算する。つまり、Tw=台数カウンタ×定数の演算を行う。
【0062】
ステップS43では、トータル待ち時間の算出を行う。つまりTw+受信データ時間の演算を行う。
【0063】
ステップS44では、データを出力する。
【0064】
[動き出し時間を予測する作用]
図9は実施例3の車両間通信方法が実施されている状態の説明図である。
実施例3では、後続車に送信する毎にインクリメントする台数カウンタを用いて自車両の動き出すまでの時間の目安として、一台当たりの発信準備時間を設定し、例えば車両一台当たりの動作準備時間を3secとすると、車両台数情報を掛け合わせた時間分を動き出すまでの予測時間として提供する(ステップS41〜S44)。
【0065】
図9では、先頭から5台目にあたる自車が、受信した通信データを25secと表示器5に表示し、さらに、台数カウンタから前方4台に3secを掛け合わせた12secを加算して、予測待ち時間として37secを表示器5に表示する。
そのため、より実際に近い待ち時間の表示を行うことができ、ドライバの待ち停車状態での不満解消等になり、非常に便利である。また、アイドルストップ等にも役立てることができる。
【0066】
次に、効果を説明する。
【0067】
この実施例3の車両間通信方法にあっては、実施例1の(1),(2),(3)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0068】
(5)自車に送られた時間または台数のカウントのデータから、自車が動き出す時間を予測して、表示器5に表示するようにしたため、踏切、信号、渋滞で並ぶ際に、あとどれくらいで動き出せるかがドライバがわかり、非常に便利であり、より快適な走行環境にすることができる。
【0069】
キーレス装置の方式としてLF帯を利用しているシステムが多く見られ、実現に向けて小規模の追加にて可能となる。LF波の通信範囲の特性を生かし、近接する車両とのみしか通信ができないことから、車両やその車両の位置特定の情報が必要なく通信負荷も軽い。また、路側機から得られた情報は、先頭車両が動き始めるまでの時間であるが、自車の前方にいる車両台数により発生する待ち時間を予測することで実際に自車両が動き出すまでの目安時間を提供できる。これにより動き出すまでの順番待ちによる無駄な燃料消費も抑えることができる。
【実施例4】
【0070】
実施例4の車両間通信方法は、直後の車両に送信を行うと、その直後の車両からAckを返すようにし、Ackが帰らない場合には、周期変更する例である。
構成を説明する。
構成は、実施例1、実施例2と同様であるので説明を省略する。
【0071】
作用を説明する。
[前後車両における通信処理]
【0072】
図10は実施例4の通信装置の制御部1で実行される周期送信処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
【0073】
ステップS51では、送信データがあるかどうかを判断し、データがあるならばステップS52へ進み、データがないならば処理を終了する。
【0074】
ステップS52では、データ送信を行う。
【0075】
ステップS53では、応答データであるAck(アック)を受信したかどうかを判断し、Ackを受信したならば処理を終了し、Ackを受信しないならばステップS54へ進む。
【0076】
ステップS54では、タイマーをスタートする。
【0077】
ステップS55では、タイムアップしたかどうかを判断し、タイムアップしたならばステップS56へ進み、タイムアップしないならばステップS55へ戻る。
【0078】
ステップS56では、新着送信データがないかどうかを判断し、ないならばステップS57へ進み、あるならば処理を終了する。
【0079】
ステップS57では、時間データ(タイマー時間)を調整する。
【0080】
ステップS58では、有効データ(5secを超える)かどうかを判断し、有効データならばステップS52へ戻り、有効データでないならば処理を終了する。
【0081】
図11は実施例4の通信装置の制御部1で実行される受信側Ack送信処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
【0082】
ステップS61は、データ受信があるかないかを判断し、あるならばステップS62へ進み、ないならば処理を終了する。
【0083】
ステップS62は、応答データであるAck(アック)を送信する。
【0084】
[より確実に前後車両で通信する作用]
図12は実施例4の車両間通信方法が実施されている状態の説明図である。
実施例4では、前車からの情報データを後続車へ送信する場合、最後尾に新しくついた車両は、路側機の送信する周期と車両間による通信のタイミングによりタイムリーにデータをもらえない可能性がある。よって受信をした車両は前方の車両にAck信号を返すようにし(ステップS61,S62)、そのAck信号を受信しない送信元車両については、路側機が送信する周期よりも短い間隔で周期的に後方へデータを通信する(ステップS54〜S58)。その際、再送信を繰り返す毎に経過した時間を送信時間データより差し引いて後続車へ送信する。この時、送信するデータが一般的なアイドルストップに効果のある5sec以下の場合は無効なデータとし後続車への送信は行わない。
【0085】
次に、効果を説明する。
実施例4の車両間通信方法にあっては、上記(1),(2),(3)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0086】
(6)直前の車両から情報を受信したら、Ack信号を送信するようにし、Ack信号が返ってこない場合は送信周期を変更するため、より確実な送受信を行うことができる。
【0087】
以上、本発明の車両間通信方法を実施例1〜実施例4に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】実施例1の車両間通信方法を実施する通信装置のブロック図である。
【図2】実施例1の車両間通信方法を実施する通信装置の説明平面図である。
【図3】実施例1の通信装置の制御部1で実行される車両間及び路側機との通信処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施例1の車両間通信方法が実施されている状態の説明図である。
【図5】実施例2の車両間通信方法を実施する通信装置のブロック図である。
【図6】実施例2の通信装置の制御部1で実行される自車先頭判断及びフラグ設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施例2の通信装置の制御部1で実行される状態別受信処理及び送信処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施例3の通信装置の制御部1で実行される総待ち時間算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施例3の車両間通信方法が実施されている状態の説明図である。
【図10】実施例4の通信装置の制御部1で実行される周期送信処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】実施例4の通信装置の制御部1で実行される受信側Ack送信処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】実施例4の車両間通信方法が実施されている状態の説明図である。
【符号の説明】
【0089】
1 制御部
11 データ取得部
12 送信判断部
13 データ処理部
14 表示処理部
15〜17 インターフェース部
2 路側機受信アンテナ
3 送受信前方アンテナ
4 送受信後方アンテナ
5 表示器
6 車速信号
20 路側機
21 踏切
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道の踏み切りなどで、列をなした車両間での通信を行う車両間通信方法の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来では、踏切制御回路ボックス内から遮断竿下降終了信号が送られ、制御回路は、タイマーを起動しN秒後にストップ信号を発生し、光ビーコン送信器より送出し、列車通過信号が入力し、遮断竿上昇信号が送られると、エンジンをスタートさせるためのスタート信号を発生させている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、信号待ち回数を予測する機能を有するナビゲーション装置の制御部は、信号機の時間情報を取得する第1の手段、信号機待ち先頭車両から自車までの間で物理ネットワークを介して車間通信を行っている各車両の情報を取得する第2の手段、第1の手段より取得した信号機の時間情報及び第2の手段により取得した各車両の情報に基づいて、自車が何回目の青信号で信号機を通過できるかを算出する第3の機能手段として機能しているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2001−26270号公報(第2−6頁、全図)
【特許文献2】特開2004−205389号公報(第2−16頁、全図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の車両間通信方法にあっては、アンテナの増設など多大な費用、手間がかかるものであり、また、無線LANやBluetooth、携帯電話は通信可能な範囲が広く、通信データに車両特定のためのIDや位置情報を付与する必要があり、データ量も多くなり通信負荷が増すことや、個人データの流出につながり好ましくないものであった。
【0005】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、通信エリアが車両から3m以下となるため、直前の車両、もしくは直後の車両としか通信が行えず、そのため、車両の位置を特定する必要がなく、且つキーレスで利用している装備が利用でき、また、LF波を発信することで受信側のコイルの誘起電力を発生させPUSH通信が可能となる車両間通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では、LF波を用いて携帯機のサーチを行うキーレス装置を備える車両において、縦列状にならんだ直前の車両から直後の車両に向かって、キーレス装置の近距離LF波通信により情報を送ることを順に繰り返すことで、最前方部の車両で得られる情報を後方の車両でも用いるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
よって、本発明にあっては、通信エリアが車両から3m以下となるため、直前の車両、もしくは直後の車両としか通信が行えず、そのため、車両の位置を特定する必要がなく、且つキーレスで利用している装備が利用でき、また、LF波を発信することで受信側のコイルの誘起電力を発生させPUSH通信が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の車両間通信方法を実現する実施の形態を、請求項1,2,3に係る発明に対応する実施例1と、請求項1,2,3,4に係る発明に対応する実施例2と、請求項1,2,3,5に係る発明に対応する実施例3と、請求項1,2,3,6に係る発明に対応する実施例4とに基づいて説明する。
【実施例1】
【0009】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の車両間通信方法を実施する通信装置のブロック図である。
通信装置は、制御部1、路側機受信アンテナ2、LF送受信前方アンテナ3、LF送受信後方アンテナ4、表示器5を主要な構成としている。
【0010】
制御部1は、データ取得部11、送信判断部12、データ処理部13、表示処理部14、インターフェース部15〜17を主な構成にしている。
データ取得部11は、踏切21の近傍に設置された路側機20、もしくは前方の車両からデータを取得する。
送信判断部12は、後方の車両にデータを送信するかどうかの判断を行う。
データ処理部13は、取得したデータの処理を行う。例えば、次に踏切を渡れるようになるまでにどれくらいかかるかなどである。
表示処理部14はデータ処理部13の処理結果に基づいて、表示内容の処理を行う。
【0011】
路側機受信アンテナ2は、踏切21の近傍に設置された路側機20からの送信電波を受信するアンテナである。
LF送受信前方アンテナ3は、直前の車両とLF波を送受信するアンテナで、図示しないキーレス装置と共用である。
LF送受信後方アンテナ4は、直後の車両とLF波を送受信するアンテナで、図示しないキーレス装置と共用である。
表示器5は、通信処理した結果内容を表示する。
【0012】
次に路側機受信アンテナ2、LF送受信前方アンテナ3、LF送受信後方アンテナ4の車両設置位置について説明する。
図2は実施例1の車両間通信方法を実施する通信装置の説明平面図である。
実施例1では、車両の前端部にLF送受信前方アンテナ3を設け、車両の後端部にLF送受信後方アンテナ4を設ける。
そして、車室内のインストパネルの上面部に、路側機20からの送信電波を受信する路側機受信アンテナ2を設ける。
【0013】
作用を説明する。
[車両間及び路側機との通信処理]
図3に示すのは、実施例1の通信装置の制御部1で実行される車両間及び路側機との通信処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
【0014】
ステップS1では、路側機からデータ受信したかどうかを判断し、受信したならばステップS2へ進み、受信しないならばステップS6へ進む。
【0015】
ステップS2では、待ち受けタイマーtmをスタートする。
【0016】
ステップS3では、tmがタイムアップしたかどうかを判断し、タイムアップしたならばステップS4へ進み、タイムアップしないならばステップS6へ進む。
【0017】
ステップS4では、台数カウンタに1を代入する。
【0018】
ステップS5では、取得データからtm時間を差し引き、ステップS8へ進む。
【0019】
ステップS6では、前車からデータ受信をしたかどうかを判断し、受信したならばステップS7へ進み、受信しないならばステップS3へ戻る。
【0020】
ステップS7では、台数カウンタをインクリメントする。
【0021】
ステップS8では、データセットを行う。
【0022】
ステップS9では、後続車に送信を行い、処理を終了する。
【0023】
[車両間及び路側機との通信作用]
図4は実施例1の車両間通信方法が実施されている状態の説明図である。
実施例1では、車両の前方バンパー付近、後方バンパー付近にLF送受信前方アンテナ3、LF送受信後方アンテナ4を設けており、キーレス装置における発信、受信機を有している。また、車両には路側機20からの信号を受信できる路側機受信アンテナ2を有しており、その路側機20から受信した公共性の高い情報、例えば信号待ち時間情報、アイドルストップ信号/同解除信号等については、その情報を車両後方のLF送受信後方アンテナ4を使用して後方の車両に向け発信をする。
【0024】
後方の車両は、前方の車両から発信されたLF信号にて受信状態に入り、信号を受信後、同じく後方の車両に対し信号を送信する。このようにして数珠繋ぎに後方の車両へ情報を伝達していく。後続車への通信は、先頭の車両がデータを受信する毎に後続車へ通信する。
【0025】
後方の車両へデータを伝達していく過程で送信毎に台数カウンタをインクリメントしていき、先頭から何台目かがわかるようにし、その情報をもとに各受信車が待ち時間を考慮することもできる(ステップS7→S8→S9)。
【0026】
また車両の位置により路側機20からのデータを受信し、さらに直前の車両からの受信が2重で取得する可能性があるため、路側機20からの受信の場合、その車両が先頭であるかの判断を行う時間、つまり前車から受信するかどうかの時間を設ける(ステップS2,S3,S6)。前車から受信があった場合は路側機20からのデータは破棄し直前の車両から受信したデータに対し台数カウンタをインクリメントし後続車へ送信する(ステップS6→S7)。前車からの受信がなかった場合は、判断に要した時間を送信する時間データより差し引いて後続車へ送信する(ステップS3→S4→S5)。この時、送信するデータが一般的なアイドルストップに効果のある5秒以内の場合は無効なデータとし後続車への送信は行わない。
【0027】
このように実施例1の車両間通信方法では、前方から後方へ順にデータを渡して行き、その際に、台数を数える、処理時間を加算するなどして、図4に例として示した踏切等の待ちの状態を、次に走行開始できるのがどのくらい後かを知ることができ、アイドルストップを行う判断やトリガにでき、非常に有効に活用することができる。
また、装置は、キーレス装置と共用部分がほとんどであり、コストが非常に抑制できる。
【0028】
次に、効果を説明する。
実施例1の車両間通信方法にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1)LF波を用いて携帯機のサーチを行うキーレス装置を備える車両において、縦列状にならんだ直前の車両から直後の車両に向かって、キーレス装置の近距離LF波通信によりLF送受信前方アンテナ3、LF送受信後方アンテナ4の送受信で情報を送ることを順に繰り返すことで、最前方部の車両で得られる情報を後方の車両でも用いるようにしたため、通信エリアが車両から3m以下となるため、直前の車両、もしくは直後の車両としか通信が行えず、そのため、車両の位置を特定する必要がなく、且つキーレスで利用している装備が利用でき、また、LF波を発信することで受信側のコイルの誘起電力を発生させPUSH通信が可能となる。
キーレス装置の方式としてLF帯を利用しているシステムが多く見られ、実現に向けて小規模の追加にて可能となる。LF波の通信範囲の特性を生かし、近接する車両とのみしか通信ができないことから、車両やその車両の位置特定の情報が必要なく通信負荷も軽い。また、2重通信を防ぐため判断待ちを行うが送信までの時間を差し引いて、情報が有効であるかを判断し伝達されるため、無効な情報が伝達されることはない。
【0029】
(2)前後の情報に受け渡しとともに、台数をカウントして、最前方部の車両で情報が得られてからの時間の経過又は最前方車両からの台数を知得するようにしたため、例えば、次に走行開始できるまでの時間や、渋滞している車両の台数などの情報を得ることで、アイドルストップや他の処理を行う時間の有無がわかるなど、情報が利用でき、特に時間情報の際には、経過時間を考慮することでより正確な時間を得ることができ、また、台数に処理時間を掛けることでもより正確な時間を得ることができる。
【0030】
(3)路側機20からの情報を取得する路側機受信アンテナ2を備え、最前方部の車両で得られる路側機からの情報を後方の車両でも用いるようにしたため、踏切まで、どれくらいの時間がかかるのか、どれくらい台数がいるのか、動きだしたのかなどの情報を得ることができる。
【実施例2】
【0031】
実施例2の車両間通信方法は、直前の車両からの情報と、路側機からの情報との双方の情報が得られる際に、路側機からの情報を優先する処理を行うようにした例である。
構成を説明する。
図5は、実施例2の車両間通信方法を実施する通信装置のブロック図である。
実施例2では、車速信号6を制御部1のデータ処理部13へ入力する構成にする。
その他構成は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0032】
作用を説明する。
[路側機からの情報を優先する処理]
図6は実施例2の通信装置の制御部1で実行される自車先頭判断及びフラグ設定処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
【0033】
ステップS11では、車速を検知したかどうかを判断し、検知したならばステップS12へ進み、検知しないならば処理を終了する。
【0034】
ステップS12では、車速ゼロフラグをリセットする。
【0035】
ステップS13では、車速がゼロかどうかを判断し、ゼロならばステップS14へ進み、ゼロでないならば処理を終了する。
【0036】
ステップS14では、路側機からのデータが有るかどうかを判断し、有るならばステップS15へ進み、無いならば処理を終了する。
【0037】
ステップS15では、前車からのデータがあるかどうかを判断し、データがあるならばステップS16へ進み、データがないならばステップS18へ進む。
【0038】
ステップS16では、台数カウンタを記憶する。
【0039】
ステップS17では、車速ゼロフラグを1にセットし、処理を終了する。
【0040】
図7は実施例2の通信装置の制御部1で実行される状態別受信処理及び送信処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
【0041】
ステップS21では、車速ゼロフラグが2にセットされているかどうかを判断し、2にセットされているならばステップS22へ進み、2にセットされていないならばステップS26へ進む。
【0042】
ステップS22では、路側機からデータを受信したかどうかを判断し、受信したならばステップS23へ進み、受信していないならば処理を終了する。
【0043】
ステップS23では、送信データをセットする。
【0044】
ステップS24では、台数カウンタを新規にする。つまり1を割り当てる。
【0045】
ステップS25では、後続車に送信し、処理を終了する。
【0046】
ステップS26では、車速ゼロフラグに1がセットされているかどうかを判断し、1がセットされているならばステップS27へ進み、1がセットされていないならばステップS32へ進む。
【0047】
ステップS27では、路側機からデータを受信したかどうかを判断し、受信したならばステップS28へ進み、受信していないならば処理を終了する。
【0048】
ステップS28では、送信データをセットする。
【0049】
ステップS29では、台数カウンタ記憶を呼び出す。
【0050】
ステップS30では、台数カウンタをインクリメントする。
【0051】
ステップS31では、後続車に送信し、処理を終了する。
【0052】
ステップS32では、前車からデータを受信したかどうかを判断し、データを受信したならばステップS33へ進み、データを受信しないならば処理を終了する。
【0053】
ステップS33では、送信データをセットする。
【0054】
ステップS34では、台数カウンタをインクリメントする。
【0055】
ステップS35では、後続車に送信し、処理を終了する。
【0056】
[車両間及び路側機との通信作用]
実施例2では、車両の位置により路側機20及び前方車両、双方からデータを受信してしまうが、その場合は、前方車両からのデータは台数カウンタのみ継続し、データ情報については路側機20からの情報を最新としデータを上書きし後続車へ送信する(ステップS14→S17、S26→S31)。この場合、路側機20、前方車両の双方からの受信は車両の位置関係が変わらない限り続くため、その状態からある一定値以上の車速信号、例えば渋滞中にじわじわと車間を詰める程度の速度を検知するまで、路側機20からのデータを正として後続車へ送信する。
【0057】
次に、効果を説明する。
実施例2の車両間通信方法にあっては、実施例1の(1),(2),(3)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(4)車速情報を得る手段を備え、路側機20からの情報と、直前の車両からの情報との双方が得られる場合に、走行開始と判断できる車速を検知するまで、自車で得た路側機20からの情報に加えて、時間または台数のカウントのみを直前の車両から継続して、直後の車両に送信するようにしたため、前後のカウントによる利便性の高い情報の運用を継続しつつ、より正確なデータを後続車へ送ることができる。
キーレス装置の方式としてLF帯を利用しているシステムが多く見られ、実現に向けて小規模の追加にて可能となる。LF波の通信範囲の特性を生かし、近接する車両とのみしか通信ができないことから、車両やその車両の位置特定の情報が必要なく通信負荷も軽い。また、前方の車両、路側機と2重に情報を受信した場合、路側機からの情報を優先し後続車に送信するため情報の正確性が保たれる。さらに同一停車状態が継続している間に前車からの情報を受け取った場合は、自車が先頭でないとの認識し前車からの情報をマスクし路側機からの情報のみを後続車へ送信することで後続車へのデータ矛盾が生じにくくできる。
その他作用効果は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【実施例3】
【0058】
実施例3の車両間通信方法は、縦列に停車状態となった後の自車が動き出せる時間を予測するようにした例である。
構成を説明する。
実施例3では、図9に示すように、表示器5に、自車が動き出すことが可能となるまでの予測時間と、受信した予測時間を表示する。
その他構成は、実施例1、実施例2と同様であるので説明を省略する。
【0059】
作用を説明する。
[動き出し時間を予測する処理]
図8は実施例3の通信装置の制御部1で実行される総待ち時間算出処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
【0060】
ステップS41では、受信したかどうかを判断し、受信したならばステップS42へ進み、受信していないならば処理を終了する。
【0061】
ステップS42では、先頭からの待ち時間を計算する。つまり、Tw=台数カウンタ×定数の演算を行う。
【0062】
ステップS43では、トータル待ち時間の算出を行う。つまりTw+受信データ時間の演算を行う。
【0063】
ステップS44では、データを出力する。
【0064】
[動き出し時間を予測する作用]
図9は実施例3の車両間通信方法が実施されている状態の説明図である。
実施例3では、後続車に送信する毎にインクリメントする台数カウンタを用いて自車両の動き出すまでの時間の目安として、一台当たりの発信準備時間を設定し、例えば車両一台当たりの動作準備時間を3secとすると、車両台数情報を掛け合わせた時間分を動き出すまでの予測時間として提供する(ステップS41〜S44)。
【0065】
図9では、先頭から5台目にあたる自車が、受信した通信データを25secと表示器5に表示し、さらに、台数カウンタから前方4台に3secを掛け合わせた12secを加算して、予測待ち時間として37secを表示器5に表示する。
そのため、より実際に近い待ち時間の表示を行うことができ、ドライバの待ち停車状態での不満解消等になり、非常に便利である。また、アイドルストップ等にも役立てることができる。
【0066】
次に、効果を説明する。
【0067】
この実施例3の車両間通信方法にあっては、実施例1の(1),(2),(3)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0068】
(5)自車に送られた時間または台数のカウントのデータから、自車が動き出す時間を予測して、表示器5に表示するようにしたため、踏切、信号、渋滞で並ぶ際に、あとどれくらいで動き出せるかがドライバがわかり、非常に便利であり、より快適な走行環境にすることができる。
【0069】
キーレス装置の方式としてLF帯を利用しているシステムが多く見られ、実現に向けて小規模の追加にて可能となる。LF波の通信範囲の特性を生かし、近接する車両とのみしか通信ができないことから、車両やその車両の位置特定の情報が必要なく通信負荷も軽い。また、路側機から得られた情報は、先頭車両が動き始めるまでの時間であるが、自車の前方にいる車両台数により発生する待ち時間を予測することで実際に自車両が動き出すまでの目安時間を提供できる。これにより動き出すまでの順番待ちによる無駄な燃料消費も抑えることができる。
【実施例4】
【0070】
実施例4の車両間通信方法は、直後の車両に送信を行うと、その直後の車両からAckを返すようにし、Ackが帰らない場合には、周期変更する例である。
構成を説明する。
構成は、実施例1、実施例2と同様であるので説明を省略する。
【0071】
作用を説明する。
[前後車両における通信処理]
【0072】
図10は実施例4の通信装置の制御部1で実行される周期送信処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
【0073】
ステップS51では、送信データがあるかどうかを判断し、データがあるならばステップS52へ進み、データがないならば処理を終了する。
【0074】
ステップS52では、データ送信を行う。
【0075】
ステップS53では、応答データであるAck(アック)を受信したかどうかを判断し、Ackを受信したならば処理を終了し、Ackを受信しないならばステップS54へ進む。
【0076】
ステップS54では、タイマーをスタートする。
【0077】
ステップS55では、タイムアップしたかどうかを判断し、タイムアップしたならばステップS56へ進み、タイムアップしないならばステップS55へ戻る。
【0078】
ステップS56では、新着送信データがないかどうかを判断し、ないならばステップS57へ進み、あるならば処理を終了する。
【0079】
ステップS57では、時間データ(タイマー時間)を調整する。
【0080】
ステップS58では、有効データ(5secを超える)かどうかを判断し、有効データならばステップS52へ戻り、有効データでないならば処理を終了する。
【0081】
図11は実施例4の通信装置の制御部1で実行される受信側Ack送信処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
【0082】
ステップS61は、データ受信があるかないかを判断し、あるならばステップS62へ進み、ないならば処理を終了する。
【0083】
ステップS62は、応答データであるAck(アック)を送信する。
【0084】
[より確実に前後車両で通信する作用]
図12は実施例4の車両間通信方法が実施されている状態の説明図である。
実施例4では、前車からの情報データを後続車へ送信する場合、最後尾に新しくついた車両は、路側機の送信する周期と車両間による通信のタイミングによりタイムリーにデータをもらえない可能性がある。よって受信をした車両は前方の車両にAck信号を返すようにし(ステップS61,S62)、そのAck信号を受信しない送信元車両については、路側機が送信する周期よりも短い間隔で周期的に後方へデータを通信する(ステップS54〜S58)。その際、再送信を繰り返す毎に経過した時間を送信時間データより差し引いて後続車へ送信する。この時、送信するデータが一般的なアイドルストップに効果のある5sec以下の場合は無効なデータとし後続車への送信は行わない。
【0085】
次に、効果を説明する。
実施例4の車両間通信方法にあっては、上記(1),(2),(3)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0086】
(6)直前の車両から情報を受信したら、Ack信号を送信するようにし、Ack信号が返ってこない場合は送信周期を変更するため、より確実な送受信を行うことができる。
【0087】
以上、本発明の車両間通信方法を実施例1〜実施例4に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】実施例1の車両間通信方法を実施する通信装置のブロック図である。
【図2】実施例1の車両間通信方法を実施する通信装置の説明平面図である。
【図3】実施例1の通信装置の制御部1で実行される車両間及び路側機との通信処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施例1の車両間通信方法が実施されている状態の説明図である。
【図5】実施例2の車両間通信方法を実施する通信装置のブロック図である。
【図6】実施例2の通信装置の制御部1で実行される自車先頭判断及びフラグ設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施例2の通信装置の制御部1で実行される状態別受信処理及び送信処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施例3の通信装置の制御部1で実行される総待ち時間算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施例3の車両間通信方法が実施されている状態の説明図である。
【図10】実施例4の通信装置の制御部1で実行される周期送信処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】実施例4の通信装置の制御部1で実行される受信側Ack送信処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】実施例4の車両間通信方法が実施されている状態の説明図である。
【符号の説明】
【0089】
1 制御部
11 データ取得部
12 送信判断部
13 データ処理部
14 表示処理部
15〜17 インターフェース部
2 路側機受信アンテナ
3 送受信前方アンテナ
4 送受信後方アンテナ
5 表示器
6 車速信号
20 路側機
21 踏切
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LF波を用いて携帯機のサーチを行うキーレス装置を備える車両において、
縦列状にならんだ直前の車両から直後の車両に向かって、キーレス装置の近距離LF波通信により情報を送ることを順に繰り返すことで、最前方部の車両で得られる情報を後方の車両でも用いるようにした、
ことを特徴とする車両間通信方法。
【請求項2】
請求項1に記載の車両間通信方法において、
前後の情報に受け渡しとともに、時間または台数をカウントして、最前方部の車両で情報が得られてからの時間の経過又は最前方車両からの台数を知得するようにした、
ことを特徴とする車両間通信方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両間通信方法において、
路側機からの情報を取得する手段を備え、
最前方部の車両で得られる路側機からの情報を後方の車両でも用いるようにした、
ことを特徴とする車両間通信方法。
【請求項4】
請求項3に記載の車両間通信方法において、
車速情報を得る手段を備え、
前記路側機からの情報と、直前の車両からの情報との双方が得られる場合に、走行開始と判断できる車速を検知するまで、自車で得た路側機からの情報に加えて、時間または台数のカウントのみを直前の車両から継続して、直後の車両に送信するようにした、
ことを特徴とする車両間通信方法。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の車両間通信方法において、
自車に送られた時間または台数のカウントのデータから、自車が動き出す時間を予測して、ドライバへ伝達するようにした、
ことを特徴とする車両間通信方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の車両間通信方法において、
直前の車両から情報を受信したら、Ack信号を送信するようにし、Ack信号が返ってこない場合は送信周期を変更する、
ことを特徴とする車両間通信方法。
【請求項1】
LF波を用いて携帯機のサーチを行うキーレス装置を備える車両において、
縦列状にならんだ直前の車両から直後の車両に向かって、キーレス装置の近距離LF波通信により情報を送ることを順に繰り返すことで、最前方部の車両で得られる情報を後方の車両でも用いるようにした、
ことを特徴とする車両間通信方法。
【請求項2】
請求項1に記載の車両間通信方法において、
前後の情報に受け渡しとともに、時間または台数をカウントして、最前方部の車両で情報が得られてからの時間の経過又は最前方車両からの台数を知得するようにした、
ことを特徴とする車両間通信方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両間通信方法において、
路側機からの情報を取得する手段を備え、
最前方部の車両で得られる路側機からの情報を後方の車両でも用いるようにした、
ことを特徴とする車両間通信方法。
【請求項4】
請求項3に記載の車両間通信方法において、
車速情報を得る手段を備え、
前記路側機からの情報と、直前の車両からの情報との双方が得られる場合に、走行開始と判断できる車速を検知するまで、自車で得た路側機からの情報に加えて、時間または台数のカウントのみを直前の車両から継続して、直後の車両に送信するようにした、
ことを特徴とする車両間通信方法。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の車両間通信方法において、
自車に送られた時間または台数のカウントのデータから、自車が動き出す時間を予測して、ドライバへ伝達するようにした、
ことを特徴とする車両間通信方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の車両間通信方法において、
直前の車両から情報を受信したら、Ack信号を送信するようにし、Ack信号が返ってこない場合は送信周期を変更する、
ことを特徴とする車両間通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−172534(P2008−172534A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−3810(P2007−3810)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
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