説明

車体下部構造

【課題】乗員の居住性を害することなく、側面衝突時におけるリアサイドドアの車室内への侵入を防止すること。
【解決手段】リアサイドドアCにより開閉される車室内へのリア乗降口を形成する開口部Bと、2列目シートEの配置空間の床面を形成する中間フロア部11と、中間フロア部11の後方の後部車室空間の床面を形成する後方フロア部12と、を有するフロア部10と、中間フロア部11から後方フロア部12に渡って配設され、2列目シートEの前後方向移動を案内する直線状のスライドレール20と、を備えた車体下部構造100であって、車幅方向に延設され、その端部31aが車両側面視でリアサイドドアCと重なる位置に位置し、リアサイドドアCの車室内への変位を規制する規制部材30を備え、規制部材30は、中間フロア部11と段差部11bとスライドレール20とにより形成される空間内を通過して車幅方向に延設されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の車体構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の安全性向上の一つとして、側面衝突時にサイドドアが変形して車室内に侵入することを防止することが挙げられる。特に、ワゴン車等の場合、乗員の乗降性を向上すべく、リア乗降口が大型化する傾向にあり、側面衝突時にリアサイドドアが車室内に侵入することを防止する必要が高い。
【0003】
ワゴン車等のリアサイドドアとしては、スライド式のドアが普及しているが、スライド式のドアの場合、回動式のドアと比較すると、ドア開閉用のヒンジがなく、また、薄型化が要請されることから、強度が劣る。このため、一層側面衝突時の安全性向上が要求される。但し、乗員の居住性を確保しながら安全性を向上できることが望ましい。側面衝突時の安全性を向上するための車体構造として、特許文献1では、運転席及び助手席の下部において、端部がピラーに臨むバーを設けたものが開示されている。
【特許文献1】特開2006−248388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で開示されている技術では、バーによる補強部位がピラーとトンネル部との間であるため、リアサイドドアの車室内への侵入を効果的に抑制できないおそれがある。また、バーが運転席及び助手席下を通過するため、後部座席の乗員が運転席又は助手席下のスペースに足先を入れることができず、居住性が悪化する。
【0005】
従って、本発明の目的は、乗員の居住性を害することなく、側面衝突時におけるリアサイドドアの車室内への侵入を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、リアサイドドアにより開閉される車室内へのリア乗降口を形成する開口部と、前記開口部に沿って配設され、2列目シートの配置空間の床面を形成する中間フロア部と、前記中間フロア部に段差部を介して連続して形成され、前記中間フロア部よりも床面の高さが高い、前記中間フロア部の後方の後部車室空間の床面を形成する後方フロア部と、を有するフロア部と、前記段差部を跨って前記中間フロア部から前記前記後方フロア部に渡って配設され、前記2列目シートの前後方向移動を案内する直線状のスライドレールと、を備えた車体下部構造であって、車幅方向に延設され、その端部が車両側面視で前記リアサイドドアと重なる位置に位置し、前記リアサイドドアの車室内への変位を規制する規制部材を備え、前記規制部材は、前記中間フロア部と前記段差部と前記スライドレールとにより形成される空間内を通過して車幅方向に延設されたことを特徴とする車体下部構造が提供される。
【0007】
本発明の車体下部構造では、車両の側面衝突時に前記リアサイドドアが車室内へ侵入しようとすると、前記規制部材の端部が前記リアサイドドアに当接してその車室内への変位が規制され、当該リアサイドドアの車室内への侵入が防止される。また、前記規制部材は、前記中間フロア部と前記段差部と前記スライドレールとにより形成される空間内を通過して車幅方向に延設されており、本来居住空間として予定されていないデッドスペースに設けられているので、乗員の居住性を害することもない。
【0008】
本発明においては、前記リアサイドドアが、インナパネルと、アウタパネルと、前記インナパネルと前記アウタパネルとの間に配設された棒状の補強部材と、を備え、前記補強部材は、その両端部に前記インナパネルとの取付部を有し、車両後方側が下がるよう車両前後方向に斜めに延在し、前記規制部材は、その前記端部が前記リアサイドドアの閉鎖時に車両側面視で前記補強部材と重なる位置に配設された構成でもよい。
【0009】
この構成によれば、車両の側面衝突時には、その荷重を最初に負担する前記補強部材に前記規制部材の端部が当接することになり、前記リアサイドドアの車室内への侵入をより効果的に防止できる。
【0010】
また、本発明においては、前記規制部材は前記スライドレールに固定されている構成でもよい。この構成によれば、前記規制部材が負担する荷重を前記スライドレールに分散でき、前記リアサイドドアの車室内への侵入をより効果的に防止できる。
【0011】
また、本発明においては、前記スライドレールを前記フロア部に固定する固定部を更に備え、前記固定部は前記スライドレールと共に前記規制部材を前記フロア部に固定する構成としてもよい。この構成によれば、前記規制部材が負担する荷重を前記スライドレール及び前記フロア部に分散でき、前記リアサイドドアの車室内への侵入をより効果的に防止できる。
【0012】
また、本発明においては、車両前後方向に延在し、前記フロア部を支持するサイドフレームを更に備え、前記規制部材は、車両平面視で前記サイドフレームと重なる位置において前記フロア部に固定されている構成としてもよい。この構成によれば、前記規制部材が負担する荷重を前記フロア部及び前記サイドフレームに分散でき、前記リアサイドドアの車室内への侵入をより効果的に防止できる。
【0013】
また、本発明においては、前記規制部材は、前記中間フロア部の車幅方向全域に渡って直線状に延在している構成としてもよい。この構成によれば、前記規制部材が負担する荷重を広範囲に渡って分散でき、前記リアサイドドアの車室内への侵入をより効果的に防止できる。
【0014】
また、本発明においては、前記リアサイドドアの閉鎖時に、前記規制部材の端部を収容する収容部を前記リアサイドドアに設けた構成としてもよい。この構成によれば、車両の側面衝突時に前記規制部材の端部を前記リアサイドドアにより確実に当接させ、前記リアサイドドアの車室内への侵入をより効果的に防止できる。
【発明の効果】
【0015】
以上述べた通り、本発明によれば、乗員の居住性を害することなく、側面衝突時におけるリアサイドドアの車室内への侵入を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<第1実施形態>
図1は、本発明の一実施形態に係る車両Aの外観斜視図である。車両Aは、車体側面に設けられ、車室内へのリア乗降口を形成する開口部Bと、開口部Bに設けられるリアサイドドアCと、を備える。リアサイドドアCは、車体側面に設けられたスライドレールDに沿って、車両Aの前後方向にスライドし、開口部Bを開閉する。このようなスライドドアは、大人数を収容するワゴン車のような車種で一般的に用いられている。開口部Bに近接する位置には、2列目シートEが配され、2列目シートEの後部車室空間には、不図示の3列目シートが配される。
【0017】
なお、リアサイドドアCは、本実施形態では、スライドドアとして説明するが、本発明は、リアサイドドアCがヒンジで支持されたドアを有する車両にも適用可能である。また、本実施形態では、後部車室空間に3列目シートを配したが、本発明は、後部車室空間に荷室を配した車両にも適用可能である。
【0018】
車体下部構造100は、2列目シートE及び3列目シートの下部の車体構造であり、車室の床面を形成するフロア部10と、2列目シートEの車両前後方向移動を案内するスライドレール部20と、リアサイドドアCの車室内への変位を規制する規制部30と、を備える。
【0019】
図2は、一実施形態に係る車体下部構造100の斜視図、図3は、車体下部構造100の平面図、図4は、図3のA−A線に沿った断面図である。
【0020】
フロア部10は、2列目シートEの配置空間の床面を形成する中間フロア部11と、中間フロア部11の後方の3列目シートFの配置空間の床面を形成する後方フロア部12と、を備える。中間フロア部11は、開口部Bに沿って配設され、車両Aの後方ほど高くなるように傾斜した斜面部11bを有する。中間フロア部11の下部には、車両Aの前後方向に延びる補強部品であるリアサイドフレーム40が配され、その間には燃料タンク60が配される。後方フロア部12は、中間フロア部11に斜面部11bを介して連続して形成され、中間フロア部11よりも床面の高さが高い。
【0021】
従って、中間フロア部11が斜面部11bを有するため、フロア部10に段差が生じることになる。また、中間フロア部11及び後方フロア部12は、車幅方向の両端部にフランジ部11a、12aをそれぞれ有し、フランジ部11a、12aは、サイドシル50のインナパネル51と接合される。
【0022】
なお、斜面部11bは、本実施形態では、中間フロア部11が有する形状としたが、後方フロア部12が有する形状としてもよいし、例えば、高さ方向の中央で分割して、中間フロア部11及び後方フロア部12のそれぞれが有する形状としてもよい。また、斜面部11bは、中間フロア部11及び後方フロア部12とは別部品として、中間フロア部11及び後方フロア部12に接合してもよい。
【0023】
スライドレール部20は、斜面部11bが形成する段差(段差部)を跨って中間フロア部11から後方フロア部12に渡って直線上に配設される。また、スライドレール部20は、スライドレール21と、スライドレール21をフロア部10に固定する固定部22と、を有する。スライドレール21は、固定部22に溶接によって接合され、固定部22は、ボルト締結によってフロア部10に固定される。また、スライドレール21は、車幅方向の中央に2つ並んで配されたスライドレール21’と、スライドレール21’よりも長く、スライドレール21’よりも外側に1つずつ配されたスライドレール21”と、から構成される。また、本実施形態では、2列目シートEが互いに独立した2つのシートであり、3列目シートFは、複数人が着座できる1つのベンチシートであるものとする。これにより、2列目シートEは、スライダE1がスライドレール21’の長さの分だけスライドすることができる。また、3列目シートFは、2列目シートEとスライドレール21”を共用し、スライダFがスライドレール21”上をスライドすることができる。
【0024】
規制部30は、車幅方向に延在する規制部材31と、規制部材31を中間フロア部11に固定する固定部32と、を有する。規制部材31は、中間フロア部11の車幅方向全域に渡って直線状に延在し、その端部31aが車両側面視でリアサイドドアCと重なる位置に位置する。
【0025】
また、規制部材31は、図4で示すように、中間フロア部11と斜面部(段差部)11bとスライドレール部20とにより形成される空間内を通過して車幅方向に延設される。規制部材31は、鉄製パイプ等の管状部材であり、固定部32に溶接によって接合され、固定部32は、ボルト締結によって中間フロア部11に固定される。
【0026】
なお、規制部材31は、本実施形態では、鉄製部材を用いたが、必要な強度を確保できる場合には、アルミニウムやFRP(強化プラスチック)等を用いてもよい。また、規制部材31は、本実施形態では、管状部材としたが、中実部材であっても構わない。
【0027】
なお、本実施形態では、規制部材31は、固定部32に溶接され、固定部32は、中間フロア部11にボルト締結されるものとしたが、他の手段によって固定されるものであっても構わない。
【0028】
本発明の車体下部構造100では、車両Aの側面衝突時にリアサイドドアCが車室内へ侵入しようとすると、規制部材31の端部31aがリアサイドドアCに当接してその車室内への変位が規制され、リアサイドドアCの車室内への侵入が防止される。また、規制部材31は、中間フロア部11と斜面部(段差部)11bとスライドレール部20とにより形成される空間内を通過して車幅方向に延設されており、本来居住空間として予定されていないデッドスペースに設けられているので、乗員の居住性を害することもない。
【0029】
以下の実施形態又は変形例では、上述の第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0030】
[第1実施形態の変形例1]
上述の第1実施形態では、規制部材31は、固定部32によって中間フロア部11に固定されたが、本変形例では、規制部材31は、固定部32によってスライドレール21に固定される点で異なる。
【0031】
図5は、第1実施形態の変形例1に係る車体下部構造100の車両前後方向の断面図である。規制部材31は、固定部32に溶接によって接合され、固定部32は、スライドレール21”にボルト締結によって固定される。なお、固定部32は、本変形例では、スライドレール21”に固定されたが、スライドレール21’に固定されてもよく、また、両者に固定されてもよい。
【0032】
本変形例によれば、規制部30が負担する荷重をスライドレール部20に分散でき、リアサイドドアCが、開口部Bから車室内へ侵入することをより効果的に防止できる。
【0033】
[第1実施形態の変形例2]
上述の第1実施形態及びその変形例1では、規制部材31は、規制部材31のみを固定する固定部32によって、中間フロア部11又はスライドレール21”に固定されたが、本変形例では、規制部材31は、スライドレール21を固定する固定部22によって、スライドレール21と共に中間フロア部11に固定される点で異なる。
【0034】
図6は、第1実施形態の変形例2に係る車体下部構造100の車両前後方向の断面図である。規制部30は、スライドレール21を有するが、固定部22は有さない。スライドレール部20は、スライドレール21及び固定部22を有する。規制部材31は、スライドレール部20の固定部22によって、スライドレール21と共に中間フロア部11に固定される。
【0035】
本変形例によれば、規制部30が負担する荷重をスライドレール部20及びフロア部10に分散でき、リアサイドドアCが、開口部Bから車室内へ侵入することをより効果的に防止できる。
【0036】
[第1実施形態の変形例3]
上述の第1実施形態の変形例1及び2では、規制部材31の取付位置を変更するものであったが、本変形例では、規制部30は、車両平面視でサイドフレーム40と重なる位置において、フロア部10に固定される点で異なる。
【0037】
図7は、第1実施形態の変形例3に係る車体下部構造100の平面図である。フロア部10は、車両Aの前後方向に延在し、その下方からフロア部10を支持するサイドフレーム40を有する。規制部材31は、車両平面視でサイドフレーム40と重なる位置において固定部32によりフロア部10に固定される。
【0038】
本変形例によれば、規制部材31が負担する荷重をフロア部10及びサイドフレーム40に分散でき、リアサイドドアCの車室内への侵入をより効果的に防止できる。
【0039】
[第1実施形態の変形例4]
上述の第1実施形態の変形例3では、規制部材31は、車両平面視でサイドフレーム40と重なる位置に配設されたが、本変形例では、規制部材31は、リアサイドドアCの閉鎖時に車両側面視で棒状の補強部材(以下、インパクトバーと言う。)と重なる位置に配設される点で異なる。
【0040】
図8は、第1実施形態の変形例4に係る車体下部構造100の車両前後方向の断面図である。リアサイドドアCは、不図示のインナパネルとアウタパネルを有する。インナパネルには、側面衝突時の荷重を支持するインパクトバーC1が固定される。インパクトバーC1は、バーC1aと、その両端部にインナパネルとの取付部C1bと、を有し、車両後方側が下がるよう車両前後方向に斜めに延在する。規制部材31は、その端部31aがリアサイドドアCの閉鎖時に車両側面視でインパクトバーC1と重なる位置に配設される。
【0041】
本変形例によれば、車両Aの側面衝突時には、その荷重を最初に負担するインパクトバーC1に規制部材31の端部31aが当接することになり、リアサイドドアCが開口部Bから車室内へ侵入することをより効果的に防止できる。
【0042】
なお、補強部材は、本実施形態では、インパクトバーであることとしたが、側面衝突時に規制部材31の端部31aがインナパネルに組み付けられた補強部材に当接することによって、リアサイドドアCの車室内への侵入を防止できるものであれば、インパクトバー以外の補強部品であっても本発明を適用することができる。
【0043】
<第2実施形態>
上述の第1実施形態では、規制部材31は、リアサイドドアCの閉鎖時に、その端部31aが車両平面視でリアサイドドアCと重なる構造ではなかったが、本変形例では、規制部材31は、車両平面視でリアサイドドアCと重なる構造である点で異なる。
【0044】
図9は、第2実施形態に係る車体下部構造100の車幅方向の部分断面図であり、図10の(a)及び(b)は、収容部C4周辺の構成を説明するための部分拡大図である。サイドシル50は、アウタパネル51とインナパネル52とから構成される。アウタパネル51は、凹部51aを有し、その内部にリアサイドドアCの支持部C5を車両Aの前後方向にスライドさせるスライドレール51bを有する。中間フロア部11は、フランジ部11aがサイドシル部10のインナパネル52に接続される。規制部30の固定部32は、中間フロア部11に固定され、固定部32には、規制部材31が固定される。また、中間フロア部11及びサイドシルインナ11の上部には、底上げ部材Gが配され、底上げ部材Gの上部には、不図示のフロアカーペットが配される。
【0045】
リアサイドドアCは、アウタパネルC2とインナパネルC3とから構成され、インナパネルC3は、規制部材31の端部31aを収容する収容部C4を有し、収容部C4は、インパクトバーC1の取付部C1bに溶接等により固定される。収容部C4は、リアサイドドアCがスライドする際に規制部材31と干渉しないように、切欠部C4aを有する。インナパネルC3は、車両Aの前後方向に沿って帯状に孔部C3aを形成する。しかし、リアサイドドアCは開動作を開始すると、即座に車両Aの外側に引き出されるため、孔部C3aは、長い距離において設ける必要はなく、リアサイドドアCの強度に影響を与えることはない。すなわち、規制部材31は、リアサイドドアCを開閉する際には、インナパネルの孔部C3aを通過するため、干渉することがなく、リアサイドドアCを閉めた状態で収容部C4に収容させる。また、収容部C4は、側面衝突時以外には規制部材31に接触せず、かつ、側面衝突時には、効果を最大限に発揮できるように、規制部材31の端部31aの径よりも僅かに大きくなるように設定される。
【0046】
本実施形態によれば、収容部C4に規制部材31の端部31aが収容されることによって、車両Aの側面衝突時に規制部材31の端部31aをリアサイドドアCにより確実に当接させ、リアサイドドアCの車室内への侵入をより効果的に防止できる。
【0047】
<第3実施形態>
上述の第1実施形態及び第2実施形態では、規制部材31が中間フロア部11の車幅方向の全域に及ぶ例を説明したが、本変形例では、規制部材31は、中間フロア部11の車幅方向の全域に及ばない例を説明する。なお、第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0048】
図11は、第3実施形態に係る車体下部構造100の車幅方向の部分断面図である。リアサイドドアCのインナパネルC3は、車両平面視で中間フロア部11と重なる部分を有する。すなわち、インナパネルC3は、車内側に突出する突出部C6を有し、この突出部C6で規制部材31からの荷重を受ける。また、本実施形態では、インパクトバーC1の取付部C1bに鉄製パイプC7が固定されており、先端部C7aが突出部C6に隣接する位置に配される。これにより、側面衝突時の荷重を即座に規制部材31に伝達することができる。
【0049】
従って、本実施形態のように、中間フロア部11が、比較的車外側でサイドシル50と接合されるような場合には、規制部材31は、中間フロア部11の車幅方向全域に及んでいないが、同様の効果を得ることができるため、本発明を適用することができる。
【0050】
[第3実施形態の変形例1]
上述の第3実施形態では、リアサイドドアCのインナパネルC3が、車内側への突出部C6を有しており、規制部材31が中間フロア部11の全域に及ばないことがあることを例示したが、本変形例では、その他の例を例示する。
【0051】
図12は、第3実施形態の変形例1に係る車体下部構造100の斜視図である。中間フロア部11は、車幅方向の中央にトンネル形状の膨出部11cを有する。規制部30は、膨出部11cを挟んで、車幅方向に同一直線上に2つ配される。規制部材31は、車内側の端部31bが膨出部11cの縦壁に近接する位置に位置するように、固定部32により固定される。
【0052】
本変形例によれば、中間フロア部11が中央に膨出部11cを有する場合には、車両Aの側面衝突時には、規制部材31の端部31aが中間フロア部11の膨出部11cに当接することになり、リアサイドドアCの車室内への侵入をより効果的に防止できる。
【0053】
なお、規制部材31は、本変形例では、その端部31aが膨出部11cに近接する位置に位置するように配されたが、端部31aを膨出部31aと溶接等により接続しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両Aの外観斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る車体下部構造100の斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る車体下部構造100の平面図である。
【図4】図3のA−A線に沿った断面図である。
【図5】第1実施形態の変形例1に係る車体下部構造100の車両前後方向の断面図である。
【図6】第1実施形態の変形例2に係る車体下部構造100の車両前後方向の断面図である。
【図7】第1実施形態の変形例3に係る車体下部構造100の平面図である。
【図8】第2実施形態に係る車体下部構造100の車両前後方向の断面図である。
【図9】第2実施形態の変形例1に係る車体下部構造100の車幅方向の部分断面図である。
【図10】(a)及び(b)は、収容部C4周辺の構成を説明するための部分拡大図である。
【図11】第3実施形態に係る車体下部構造100の車幅方向の部分断面図である。
【図12】第3実施形態の変形例1に係る車体下部構造100の斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
B 開口部
C リアサイドドア
E 2列目シート
10 フロア部
11 中間フロア部
11b 斜面部(段差部)
12 後方フロア部
20 スライドレール
30 規制部材
31a 端部
100 車体下部構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアサイドドアにより開閉される車室内へのリア乗降口を形成する開口部と、
前記開口部に沿って配設され、2列目シートの配置空間の床面を形成する中間フロア部と、前記中間フロア部に段差部を介して連続して形成され、前記中間フロア部よりも床面の高さが高い、前記中間フロア部の後方の後部車室空間の床面を形成する後方フロア部と、を有するフロア部と、
前記段差部を跨って前記中間フロア部から前記後方フロア部に渡って配設され、前記2列目シートの前後方向移動を案内する直線状のスライドレールと、
を備えた車体下部構造であって、
車幅方向に延設され、その端部が車両側面視で前記リアサイドドアと重なる位置に位置し、前記リアサイドドアの車室内への変位を規制する規制部材を備え、
前記規制部材は、前記中間フロア部と前記段差部と前記スライドレールとにより形成される空間内を通過して車幅方向に延設されたことを特徴とする車体下部構造。
【請求項2】
前記リアサイドドアが、インナパネルと、アウタパネルと、前記インナパネルと前記アウタパネルとの間に配設された棒状の補強部材と、を備え、
前記補強部材は、その両端部に前記インナパネルとの取付部を有し、車両後方側が下がるよう車両前後方向に斜めに延在し、
前記規制部材は、その前記端部が前記リアサイドドアの閉鎖時に車両側面視で前記補強部材と重なる位置に配設されたことを特徴とする請求項1に記載の車体下部構造。
【請求項3】
前記規制部材は前記スライドレールに固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車体下部構造。
【請求項4】
前記スライドレールを前記フロア部に固定する固定部を更に備え、
前記固定部は前記スライドレールと共に前記規制部材を前記フロア部に固定することを特徴とする請求項1又は2に記載の車体下部構造。
【請求項5】
車両前後方向に延在し、前記フロア部を支持するサイドフレームを更に備え、
前記規制部材は、車両平面視で前記サイドフレームと重なる位置において前記フロア部に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車体下部構造。
【請求項6】
前記規制部材は、前記中間フロア部の車幅方向全域に渡って直線状に延在していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車体下部構造。
【請求項7】
前記リアサイドドアの閉鎖時に、前記規制部材の端部を収容する収容部を前記リアサイドドアに設けたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車体下部構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2008−290505(P2008−290505A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−135901(P2007−135901)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】