説明

車体後部構造

【課題】リヤフレームと車体取付け部品との間が狭い空間であっても部品押し下げ部材を配置でき、押し下げ量が大きい車体後部構造を提供する。
【解決手段】車体後部構造は、車室22の床(アンダボデー)15から後方へ延びるリヤフレーム(右のリヤフレーム32)のリヤフレーム後部41の下面部(第1残部側部65)に沿って下方の車体取付け部品(サイレンサー)14と対向する部品押し下げ部材16を配置した。部品押し下げ部材16が、リヤフレームの後端33に入力される荷重でリヤフレーム後部41が変形を起こしたときに、車体取付け部品14を押し下げる。リヤフレーム後部41は断面L字形でL字の角のへこみ部45に部品押し下げ部材16を収容している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室の後方へ延びるリヤフレームに近接させた車体取付け部品を後突時に押し下げる車体後部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車体後部構造では、後突時に後バンパの裏に配置したサイレンサーを押し下げるようにしたものがある。
例えば、車室の後方へ延びる左右のリヤフレームの間にサイレンサーを配置し、サイレンサーの上に近接させてサイレンサーを押し下げる押圧ブラケットを設けている。その結果、後突時に前の燃料タンクにサイレンサーが干渉しない(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、従来技術(特許文献1)は、左右のリヤフレームの間に配置したサイレンサー(車体取付け部品)の上側に押圧ブラケット(部品押し下げ部材)を設けるための専用のスペースが必要になる。
また、サイレンサーを下方へ押し下げる押し下げ量は小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3920193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、リヤフレームと車体取付け部品との間が狭い空間であっても部品押し下げ部材を配置でき、押し下げ量が大きい車体後部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車室の床から後方へ延びるリヤフレームのリヤフレーム後部の下面部に沿って下方の車体取付け部品と対向する部品押し下げ部材を配置し、部品押し下げ部材が、リヤフレームの後端に入力される荷重でリヤフレーム後部が変形を起こしたときに、車体取付け部品を押し下げることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、リヤフレーム後部は、断面L字形で、L字の角のへこみ部に部品押し下げ部材を収容していることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、部品押し下げ部材は、長尺で、リヤフレーム後部の下面部に固定される前端と、後端と、これらの前端、後端に連なり、前・後端の間隔が縮まることによって下方の車体取付け部品へ向かって変形する中央部と、からなることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、部品押し下げ部材は、中央部の上面に脆弱部を有していることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、部品押し下げ部材は、リヤフレーム後部の外側または内側へ向けた傾斜面部を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、リヤフレーム後部の下面部に沿って下方の車体取付け部品と対向する部品押し下げ部材を配置し、部品押し下げ部材が、リヤフレームの後端に入力される荷重でリヤフレーム後部が変形を起こしたときに、車体取付け部品を押し下げるので、リヤフレーム後部の下面部と車体取付け部品との間が狭い空間であっても部品押し下げ部材を配置できるという利点がある。
【0012】
また、車両の後部(リヤフレームの後端)に入力された圧縮荷重(衝撃)でリヤフレームが圧縮変形すると、部品押し下げ部材の両端が接近して中央が車体取付け部品へ向かって押し出される。狭い空間に設ける部品押し下げ部材であっても押し下げ量が大きくなるという利点がある。
【0013】
車体取付け部品を押し下げることによって、車体取付け部品が前方の車体や部品などの物と干渉し難くなり、衝撃吸収性能は向上するという利点がある。
【0014】
さらに、車体取付け部品が、例えば、排気管のサイレンサーの場合、部品押し下げ部材は、サイレンサーからの熱を遮る遮熱板を兼ねるという利点がある。
【0015】
請求項2に係る発明では、リヤフレーム後部は、断面L字形で、L字の角のへこみ部に部品押し下げ部材を収容しているので、車体取付け部品をリヤフレーム後部の下面部に近接させて配置することができる。
【0016】
請求項3に係る発明では、部品押し下げ部材は、長尺で、リヤフレーム後部の下面部に固定される前端と、後端と、これらの前端、後端に連なり、前・後端の間隔が縮まることによって下方の車体取付け部品へ向かって変形する中央部と、からなるので、車体取付け部品を下方へ押し下げる押し下げ量を大きくすることができる。
【0017】
請求項4に係る発明では、部品押し下げ部材は、中央部の上面に脆弱部を有しているので、リヤフレーム後部が変形を起こしたときに、脆弱部のみで部品押し下げ部材の折り曲げ箇所を特定でき、構造が簡単になるという利点がある。
【0018】
請求項5に係る発明では、部品押し下げ部材は、リヤフレーム後部の外側または内側へ向けた傾斜面部を有しているので、内側へ向けた場合、車体取付け部品をリヤフレーム後部の内側へ向けて移動させ、前方の物との干渉を抑制するという利点がある。
【0019】
逆に、外側へ向けた場合、車体取付け部品をリヤフレーム後部の外側へ向けて移動させ、前方の燃料タンクとの干渉を抑制するという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1に係る車体後部構造の側面図である。
【図2】図1の2矢視図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】実施例1に係る車体後部構造の部品押し下げ部材の平面、正面、側面を示す図である。
【図5】実施例1に係る車体後部構造の車体取付け部品を押し下げる機構を説明する図である。
【図6】実施例2に係る部品押し下げ部材の平面、正面、側面を示す図である。
【図7】実施例3に係る部品押し下げ部材の平面、正面、側面を示す図である。
【図8】実施例4に係る部品押し下げ部材の平面、正面、側面を示す図である。
【図9】実施例5に係る部品押し下げ部材の平面、正面、側面を示す図である。
【図10】実施例6に係る部品押し下げ部材の平面、正面、側面を示す図である。
【図11】実施例7に係る部品押し下げ部材の平面、正面、側面を示す図である。
【図12】実施例8に係る車体後部構造の側面図である。
【図13】実施例9に係る車体後部構造の側面図である。
【図14】実施例10に係る車体後部構造の側面図である。
【図15】図14の15−15線断面図である。
【図16】実施例10に係る部品押し下げ部材の平面、正面、側面を示す図である。
【図17】実施例11に係る部品押し下げ部材の平面、正面、側面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、実施例1〜実施例11で詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
実施例1に係る車体後部構造は、図1、図2に示すように、車両12の後部13の床下に取付けた車体取付け部品(サイレンサー)14を押し下げるために、車体取付け部品14と床(アンダボデー)15との間に部品押し下げ部材16を設けている。
【0023】
車両12は、車体21を有し、車体21は車室22の床(アンダボデー)15を車両12の後部13まで延ばしている。
アンダボデー15は、車室22のアンダボデー前部24と、アンダボデー前部24に連続するアンダボデー後部25と、からなる。
【0024】
アンダボデー後部25は、例えば荷室27の床であり、アンダボデー前部24から後方へ延びる左のリヤフレーム31と、右のリヤフレーム32と、これらの左のリヤフレーム31及び右のリヤフレーム32の後端33に取り付けたバンパビーム34と、を備える。
【0025】
右のリヤフレーム32は、アンダボデー前部24に連続して後方へ延びるリヤフレーム前部37の後端部38にリヤフレーム後部41を直線状に延設したものである。
【0026】
右のリヤフレーム32の下方に排気管43のサイレンサー(車体取付け部品14)を配置している。
サイレンサー14は、既存のもので、円筒形である。アンダボデー後部25に図に示していないブラケットで支持されている。なお、図面では内部の構造を省略している。
【0027】
リヤフレーム後部41は、図3に示す通り、断面がL字形の閉断面形状で、六角形である。そして、車両12の内側(矢印a1の方向)に向け切り取りへこみ部45を形成している。
リヤフレーム後部41は、第2角部52〜第7角部57と、順に連なる第3側部63、第4側部64、第1残部側部65、第1中央支持側部66、第2中央支持側部67、第2残部側部68からなる。
【0028】
次に、車体後部構造の主要構成を図1〜図4で説明する。
車体後部構造は、車室22の床(アンダボデー)15から後方へ延びるリヤフレーム(左のリヤフレーム31及び右のリヤフレーム32)のリヤフレーム後部41の下面部(第1残部側部65、第2中央支持側部67)に沿って下方の車体取付け部品(サイレンサー)14と対向する部品押し下げ部材16を配置した。
【0029】
部品押し下げ部材16が、リヤフレーム(左のリヤフレーム31及び右のリヤフレーム32)の後端33に入力される荷重でリヤフレーム後部41が変形(圧縮変形)を起こしたときに、車体取付け部品(サイレンサー)14を押し下げる。
【0030】
リヤフレーム後部41は、断面L字形で、L字の角のへこみ部(切り取りへこみ部)45に部品押し下げ部材16を収容している。
【0031】
部品押し下げ部材16は、長尺で、リヤフレーム後部41の下面部(第2中央支持側部67)に固定される前端71と、後端72と、これらの前端71、後端72に連なり、前・後端71、72の間隔X1が縮まることによって下方の車体取付け部品(サイレンサー)14へ向かって変形する中央部73と、からなる。
【0032】
次に、部品押し下げ部材16を図4で詳しく説明していく。
図4(a)は平面図、図4(b)は(a)のb矢視図(正面図)、図4(c)は(a)のc矢視図(側面図)である。
なお、部品押し下げ部材16の正面図は、部品押し下げ部材16の部品図(図4)での視点であり、車両12の正面図の視点とは異なる。
【0033】
部品押し下げ部材16は、断面が溝形で、溝形に成形した本体の一端を前端71とし、他端を後端72とする。これらの前端71と後端72の間に、前端71と後端72に連ねて中央部(起点押し部)73をV字状((b)参照)に形成している。
前端71、後端72にはボルト75を通す孔76を開けている。
なお、前端71、後端72をボルト75で締結したが、溶接(溶接部)で固定してもよい。
【0034】
次に、実施例1に係る車体後部構造の作用を図5で説明する。
実施例1の車体後部構造では、右のリヤフレーム32に圧縮荷重が入力され、リヤフレーム32が圧縮変形すると、部品押し下げ部材16は折り曲げられるので、車体取付け部品(サイレンサー14)を矢印a2のように押し下げる。
【0035】
具体的には、右のリヤフレーム32に圧縮荷重が入力されると、右のリヤフレーム32は圧縮変形し始め、部品押し下げ部材16の後端72は前方へ移動し始めるとともに、中央部(起点押し部)73は中央の角部78に荷重が集中(応力集中)するので、中央の角部78から折れ始める。そして、車体取付け部品(サイレンサー)14を押し下げる。
【0036】
このように、実施例1に係る車体後部構造は、リヤフレーム後部41の下面部(第1残部側部65)と車体取付け部品(サイレンサー)14との間が狭い空間であっても部品押し下げ部材16を配置できるという利点がある。
【0037】
また、車体取付け部品(サイレンサー)14をリヤフレーム後部41の下面部(第1残部側部65)に近接させて配置することができる。
【実施例2】
【0038】
次に、実施例2に係る車体後部構造を図6で説明する。
図6(a)は平面図、図6(b)は(a)のb矢視図(正面図)、図6(c)は(a)のc矢視図(側面図)である。
上記図1〜図5に示す実施例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0039】
実施例2に係る車体後部構造は、部品押し下げ部材16Bを備えていることを特徴とする。
部品押し下げ部材16Bは、中央部73Bの上面81に脆弱部82を有している。
【0040】
詳しくは、部品押し下げ部材16Bは、断面が溝形で、溝形に成形した本体の一端を前端71とし、他端を後端72とする。これらの前端71と後端72に一体に中央部73B(起点押し部)を一直線に形成している。
中央部73Bの中央には脆弱部82を形成した。
【0041】
脆弱部82は、上面81に溝を円弧状に彫り込んだ部位である。なお、円弧状に限定しない、V字形でもよい。
前端71、後端72にはボルト75を通す孔76を開けている。
なお、前端71、後端72をボルト75で締結したが、溶接(溶接部)で固定してもよい。
【0042】
実施例2に係る車体後部構造は、実施例1に係る車体後部構造と同様の作用、効果を発揮する。
【0043】
また、実施例2に係る車体後部構造は、中央の上面81に脆弱部82を形成するだけでよく、構造が簡単になるという利点がある。
【実施例3】
【0044】
実施例3に係る車体後部構造を図7で説明する。
図7(a)は平面図、図7(b)は(a)のb矢視図(正面図)、図7(c)は(a)のc矢視図(側面図)である。
上記図1〜図6に示す実施例1、2と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0045】
実施例3に係る車体後部構造は、部品押し下げ部材16Cを備えていることを特徴とする。
部品押し下げ部材16Cは、前端71と後端72に一体に中央部(起点押し部)73CをV字状に形成した。
中央部(起点押し部)73Cの中央に脆弱部82を形成している。
【0046】
詳しくは、部品押し下げ部材16Cは、断面が溝形で、溝形に成形した本体の一端を前端71とし、他端を後端72とする。これらの前端71と後端72に一体に中央部73Cを形成し、中央部73Cの中央に脆弱部82を形成している。
【0047】
脆弱部82は、上面81に溝を円弧状に彫り込んだ部位である。なお、円弧状に限定しない、V字形でもよい。
【0048】
実施例3に係る車体後部構造は、実施例1に係る車体後部構造と同様の作用、効果を発揮する。
【0049】
実施例3に係る車体後部構造は、脆弱部82によって部品押し下げ部材16Cの中央をより確実に折り曲げることができる。
【実施例4】
【0050】
次に、実施例4に係る車体後部構造を図8で説明する。
図8(a)は平面図、図8(b)は(a)のb矢視図(正面図)、図8(c)は(a)のc矢視図(側面図)である。
上記図1〜図7に示す実施例1、2、3と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0051】
実施例4に係る車体後部構造は、部品押し下げ部材16Dを備えていることを特徴とする。
部品押し下げ部材16Dは、断面が四角形で閉断面形状である。この中空の本体の一端を前端71Dとし、他端を後端72Dとする。これらの前端71Dと後端72Dの間に、前端71Dと後端72Dに連ねて中央部(起点押し部)73DをV字状に形成している。
【0052】
前端71D、後端72Dにはボルト75を通す孔76を開け、ボルト76の頭を通す第2の孔91を開けている。
なお、前端71D、後端72Dをボルトで締結したが、溶接(溶接部)で固定してもよい。
【0053】
実施例4に係る車体後部構造は、実施例1に係る車体後部構造と同様の作用、効果を発揮する。
【実施例5】
【0054】
次に、実施例5に係る車体後部構造を図9で説明する。
図9(a)は平面図、図9(b)は(a)のb矢視図(正面図)、図9(c)は(a)のc矢視図(側面図)である。
上記図1〜図8に示す実施例1〜4と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0055】
実施例5に係る車体後部構造は、部品押し下げ部材16Eを備えていることを特徴とする。
部品押し下げ部材16Eは、前端71Dと後端72Dに連ねて中央部(起点押し部)73EをV字状に形成している。そして、中央部73Eの中央に図7の実施例3に係る中央部73Cに形成した脆弱部82を形成している。
【0056】
実施例5に係る車体後部構造は、実施例1、3に係る車体後部構造と同様の作用、効果を発揮する。
【0057】
なお、実施例5に係る車体後部構造では、中央部(起点押し部)73EをV字状に形成したが、中央部(起点押し部)73Eを一直線に形成してもよい。そして、一直線の中央部(起点押し部)に脆弱部82を形成する。
その結果、実施例1、2に係る車体後部構造と同様の作用、効果を発揮する。
実施例2と同様に上面に脆弱部82を形成するだけでよく、構造が簡単になるという利点がある。
【実施例6】
【0058】
次に、実施例6に係る車体後部構造を図10で説明する。
図10(a)は平面図、図10(b)は(a)のb矢視図(正面図)、図10(c)は(a)のc矢視図(側面図)である。
上記図1〜図5に示す実施例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0059】
実施例6に係る車体後部構造は、部品押し下げ部材16Fを備えていることを特徴とする。
部品押し下げ部材16Fは、断面が溝形で、溝形に成形した本体の一端を前端71とし、他端を後端72とする。これらの前端71と後端72の間に、前端71と後端72に連ねて中央部(起点押し部)73FをW字状に形成している。
【0060】
中央部73Fは、車両12側面視(図10(b)の視点)、W字状で、前端71と中央部101の間に、前端71及び中央部101に連続したV字状の第1起点押し部102を形成している。さらに、後端72と中央部101の間に、後端72及び中央部101に連続したV字状の第2起点押し部103を形成している。
【0061】
実施例6に係る車体後部構造は、実施例1に係る車体後部構造と同様の作用、効果を発揮する。
【0062】
実施例6に係る車体後部構造では、部品押し下げ部材16Fは、第1起点押し部102及び第2起点押し部103で折れ始め、合計2箇所で折れて、車体取付け部品(サイレンサー)14を押し下げる。その結果、車体取付け部品(サイレンサー)14をほぼ水平に押し下げることができ、前方の物との干渉をより確実に抑制する。従って、衝撃吸収性能はより向上するという利点がある。
【実施例7】
【0063】
次に、実施例7に係る車体後部構造を図11で説明する。
図11(a)は平面図、図11(b)は(a)のb矢視図(正面図)、図11(c)は(a)のc矢視図(側面図)である。
上記図1〜図5に示す実施例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0064】
実施例7に係る車体後部構造は、部品押し下げ部材16Gを備えていることを特徴とする。
部品押し下げ部材16Gは、断面が溝形で、溝形に成形した本体の前端71と後端72に一体に形成した中央部(起点押し部)73Gを有する。
中央部73Gは、車両12側面視(図11(b)の視点)で、湾曲(半径rk)している。また、車体取付け部品(サイレンサー14)側へ向け押し出すように湾曲している。
【0065】
実施例7に係る車体後部構造は、実施例1に係る車体後部構造と同様の作用、効果を発揮する。
【実施例8】
【0066】
次に、実施例8に係る車体後部構造を図12で説明する。
図12は、図1に対応する図である。
上記図1〜図5に示す実施例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0067】
実施例8に係る車体後部構造は、実施例1に係る部品押し下げ部材16の中央に対向させて、車体取付け部品(サイレンサー)14に取付けた凸部111を有することを特徴とする。
凸部111は、所望の高さを備えるもので、形状は任意である。
【0068】
実施例8に係る車体後部構造は、実施例1に係る車体後部構造と同様の作用、効果を発揮する。
【0069】
また、実施例8に係る車体後部構造は、凸部111を設けないものに比べ、押し下げ量を大きくすることができる。
【実施例9】
【0070】
次に、実施例9に係る車体後部構造を図13で説明する。
図13は、図1に対応する図である。
上記図1〜図5に示す実施例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0071】
実施例9に係る車体後部構造は、実施例1に係る部品押し下げ部材16の中央に対向させて、車体取付け部品(サイレンサー)14に設けた凹部116を有することを特徴とする。
凹部116は、変形した部品押し下げ部材16の中央部73が嵌合する大きさの凹みである。
【0072】
実施例9に係る車体後部構造は、実施例1に係る車体後部構造と同様の作用、効果を発揮する。
【0073】
また、実施例9に係る車体後部構造は、凹部116に部品押し下げ部材16の中央部73が嵌合するので、押し位置を特定することができる。
【実施例10】
【0074】
次に、実施例10に係る車体後部構造を図14〜図16で説明する。図14は図1に対応し、図15は図3に対応する図である。
図16(a)は平面図、図16(b)は(a)のb矢視図(正面図)、図16(c)は(a)のc矢視図(側面図)である。
上記図1〜図5に示す実施例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0075】
実施例10に係る車体後部構造は、リヤフレーム後部41Kと、部品押し下げ部材16Kを備えていることを特徴とする。
リヤフレーム後部41Kは、断面が四角形であり、ほぼ正方形である。
【0076】
部品押し下げ部材16Kは、長尺で、リヤフレーム後部41Kの下面部65Kに固定される前端71Kと、後端72Kと、これらの前端71K、後端72Kに連なり、前・後端71K、72Kの間隔が縮まることによって下方の車体取付け部品(サイレンサー)14へ向かって変形する中央部73Kと、からなる。
【0077】
部品押し下げ部材16Kは、図15に示す通り、リヤフレーム後部41Kの外側(矢印k1の方向)または内側(矢印k2の方向)へ向けた傾斜面部121を有している。ここでは、傾斜面部121をリヤフレーム後部41Kの内側(矢印k2の方向)へ向けた。具体的には、内側(矢印k2の方向)の斜め下方へ向けた。つまり、車体取付け部品(サイレンサー)14へ向けた。
【0078】
詳しくは、部品押し下げ部材16Kは、軸線C(長手方向)に直交する断面形状がV字形で、リヤフレーム後部41に対向している帯状の上面部122と、この上面部122のうち車体取付け部品(サイレンサー)14に近接している縁123に連続して上面部122に対し所望の角度αで帯状の傾斜面部121を形成した。
【0079】
また、上面部122及び傾斜面部121に前端71K、後端72Kを形成し、これらの前端71Kと後端72Kの間に、前端71Kと後端72Kに連ねて中央部(起点押し部)73KをV字状に形成している。
【0080】
中央部73K(V字状の起点押し部K)は、車両12側面視(図14、図16(b)の視点)で、V字状である。
傾斜面部121は、車体取付け部品(サイレンサー)14の上外側部125へ向いている。
【0081】
なお、実施例10に係る車体後部構造では、リヤフレーム後部41Kに対し、車体取付け部品(サイレンサー14)を車両12の内側(矢印k2の方向)、言い換えると車室22側に配置したが、逆に車両12の外側(矢印k1の方向)、言い換えると車室22外側に配置してもよい。
【0082】
その場合、当然、傾斜面部121を車両12の外側、言い換えると車室22外側へ向ける。
中央部73Kの中央に実施例3に係る部品押し下げ部材16Cのように脆弱部82を形成してもよい。
中央部73KをV字状に形成したが、実施例2に係る部品押し下げ部材16Bに設けた中央部73Bのように一直線に形成してもよい。
【0083】
実施例10に係る車体後部構造は、実施例1に係る車体後部構造とほぼ同様の作用、効果を発揮する。
【0084】
詳しくは、実施例10に係る車体後部構造では、右のリヤフレーム32に圧縮荷重が入力され、リヤフレーム32が圧縮変形すると、部品押し下げ部材16Kの後端72Kは前方へ移動し始めるとともに、中央部(起点押し部)73Kは中央の角部126から折れ始める。そして、傾斜面部121が車体取付け部品(サイレンサー)14の上外側部125を押すので、車体取付け部品(サイレンサー)14は車両12の内側下方へ向かって二点鎖線で示すように押し下げられる。
【0085】
このように、実施例10に係る車体後部構造では、車体取付け部品(サイレンサー)14を車両12の内側下方へ向かって押し下げるので、前方に設けられたものとの干渉をより確実に抑制することができる。
【実施例11】
【0086】
次に、実施例11に係る車体後部構造を図17で説明する。
図17(a)は平面図、図17(b)は(a)のb矢視図(正面図)、図17(c)は(a)のc矢視図(側面図)である。
上記図1〜図5に示す実施例1、図14〜図16に示す実施例10と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0087】
実施例11に係る車体後部構造は、部品押し下げ部材16Lを備えていることを特徴とする。
部品押し下げ部材16Lは、中央部73L、リヤフレーム後部41の外側または内側へ向けた傾斜面部121Lを有している。
中央部73Lは、車両12側面視(図17(b)の視点)で、湾曲(半径rk)している。また、車体取付け部品(サイレンサー)14側へ向け押し出すように湾曲している。
【0088】
実施例11に係る車体後部構造は、実施例10に係る車体後部構造と同様の作用、効果を発揮する。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の車体後部構造は、車体後部の床下にサイレンサーなどの部品を配置した車両に好適である。
【符号の説明】
【0090】
15…車室の床(アンダボデー)、14…車体取付け部品(サイレンサー)、16…部品押し下げ部材、22…車室、31…リヤフレーム(左のリヤフレーム)、32…リヤフレーム(右のリヤフレーム)、33…リヤフレームの後端、41…リヤフレーム後部、45…へこみ部(切り取りへこみ部)、65…リヤフレーム後部の下面部(第1残部側部)、65K…下面部、67…下面部(第2中央支持側部)、71…前端、72…後端、73…中央部、73B…中央部、81…中央部の上面、82…脆弱部、121…傾斜面部、X1…前・後端の間隔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の床から後方へ延びるリヤフレームのリヤフレーム後部の下面部に沿って下方の車体取付け部品と対向する部品押し下げ部材を配置し、
前記部品押し下げ部材が、前記リヤフレームの後端に入力される荷重で前記リヤフレーム後部が変形を起こしたときに、前記車体取付け部品を押し下げることを特徴とする車体後部構造。
【請求項2】
前記リヤフレーム後部は、断面L字形で、L字の角のへこみ部に前記部品押し下げ部材を収容していることを特徴とする請求項1記載の車体後部構造。
【請求項3】
前記部品押し下げ部材は、長尺で、前記リヤフレーム後部の下面部に固定される前端と、後端と、これらの前端、後端に連なり、前記前・後端の間隔が縮まることによって下方の前記車体取付け部品へ向かって変形する中央部と、からなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車体後部構造。
【請求項4】
前記部品押し下げ部材は、前記中央部の上面に脆弱部を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車体後部構造。
【請求項5】
前記部品押し下げ部材は、前記リヤフレーム後部の外側または内側へ向けた傾斜面部を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車体後部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−230533(P2011−230533A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99752(P2010−99752)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】