説明

車内表示装置及びこれを用いた車内表示システム

【課題】LED車内表示器を用いた車内表示システムが既に鉄道車両やバス等の車両に搭載されている場合においてその車内表示システムの代わりに車両に搭載するに際して、既設の表示制御信号用接続ケーブルの交換を不要とし、コスト低減を図る。
【解決手段】車両に搭載される車内表示装置12は、画像表示制御部21と、LCD車内表示器22とを備える。画像表示制御部21は、LED表示内容を示すLED車内表示器用表示制御信号に基づいて、前記LED表示内容に予め関連づけられた画像表示内容を示す画像車内表示器用表示制御信号を生成する。LCD車内表示器22は、画像表示制御部21からの前記画像車内表示器用表示制御信号に従って、前記画像車内表示器用表示制御信号が示す画像表示内容を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両やバス等の車両に搭載される車内表示装置及びこれを用いた車内表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は、鉄道車両に搭載される従来の車内表示システム101の概略構成を示すブロック図である。
【0003】
この従来の車内表示システム101は、LED車内表示器用表示制御部111と、複数のLED車内表示器112とから構成されている。各LED車内表示器112は、主に文字情報を表示するLED表示器からなる車内表示器であり、鉄道車両の車内の各所に設けられている。LED車内表示器用表示制御部111は、各種列車情報(例えば、停車駅情報等の列車運行情報、自車の位置を示す列車位置情報、列車種別情報など)に基づいて、LED表示内容(例えば、次の駅名を示す「次は 横浜」という文字情報)を示すLED車内表示器用表示制御信号(例えば、表示すべき文字の文字コード情報を示す信号、又は、表示すべき文字に相当するLED点灯パターン情報を示す信号)を、生成する。各LED車内表示器112は、LED車内表示器用表示制御部111からのLED車内表示器用表示制御信号によって表示制御され、LED車内表示器用表示制御信号が示すLED表示内容(例えば、次の駅名を示す「次は 横浜」という文字情報)を表示する。
【0004】
この従来の車内表示システム101は、LED表示器が安価であることから、広く普及している。
【0005】
しかしながら、近年、LCD表示器等の低価格化に伴い、高視認性や表示情報量の増大化などの要請に応え、LED車内表示器に代えて、画像を表示し得るLCD車内表示器(LCD表示器からなる車内表示器)を用いた車内表示システムが、鉄道車両に搭載されるようになってきている。
【0006】
図6は、このような従来の車内表示システム201の概略構成を示すブロック図である。この従来の車内表示システム201は、LCD車内表示器用表示制御部211と、複数のLCD車内表示器212とから構成されている。各LCD車内表示器212は、画像を表示するLCD表示器からなる車内表示器であり、鉄道車両の車内の各所に設けられている。LCD車内表示器用表示制御部211は、各種列車情報(例えば、停車駅情報等の列車運行情報、自車の位置を示す列車位置情報、列車種別情報など)に基づいて、LCD表示内容(例えば、次の駅名を示す「次は 横浜」という文字と当該駅の構内案内のイラストとからなる画像)を示すLCD車内表示器用表示制御信号(例えば、画像信号)を、生成する。各LCD車内表示器212は、LCD車内表示器用表示制御部211からのLCD車内表示器用表示制御信号によって表示制御され、LCD車内表示器用表示制御信号が示すLCD表示内容の画像を表示する。
【0007】
このような従来の車内表示システム201の一例が、例えば、下記特許文献に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3859954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
LCD車内表示器を用いた車内表示システムを新しく製造する鉄道車両に搭載する場合には、図6に示す車内表示システム201がそのまま搭載されるので、特に問題は生じない。
【0010】
しかしながら、LED車内表示器を用いた車内表示システムが既に鉄道車両に搭載されている場合において、その車内表示システムの代わりに、LCD車内表示器を用いた車内表示システムをその鉄道車両に搭載する場合には、図5中の各要素111,112をそれらの間の表示制御信号用接続ケーブルも含めて全て取り除き、図6中の各要素201,212をそれらの間の表示制御信号用接続ケーブルも含めて全く新しく設置していた。このとき、図5中の要素111,112間の表示制御信号用接続ケーブルと、図6中の各要素201,212間の表示制御信号用接続ケーブルとでは、取り扱う表示制御信号の形式や数等が異なるため、前者の表示制御信号用接続ケーブルを後者の表示制御信号用接続ケーブルに交換して敷設し直す必要があった。
【0011】
したがって、鉄道車両においては空間的な制約が著しく大きいことから、前述した表示制御信号用接続ケーブルの交換作業に多大な労力とコストを要していた。
【0012】
以上説明した事情は、鉄道車両のみならずバス等の車両についても同様であった。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、LED車内表示器を用いた車内表示システムが既に鉄道車両やバス等の車両に搭載されている場合においてその車内表示システムの代わりに車両に搭載するに際して、既設の表示制御信号用接続ケーブルの交換を要せず、コスト低減を図ることができる車内表示システム、及び、これに用いられる車内表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するための手段として、以下の各態様を提示する。第1の態様による車内表示装置は、車両に搭載される車内表示装置であって、LED表示内容を示すLED車内表示器用表示制御信号に基づいて、前記LED表示内容に予め関連づけられた画像表示内容を示す画像車内表示器用表示制御信号を生成する画像表示制御部と、前記画像表示制御部からの前記画像車内表示器用表示制御信号に従って、前記画像車内表示器用表示制御信号が示す画像表示内容を表示する画像車内表示器と、を備えたものである。前記画像車内表示器としては、例えばLCD車内表示器を挙げることができるが、有機EL表示器やプラズマ表示器などの他の画像表示器を用いてもよい。
【0015】
この第1の態様によれば、画像表示制御部がLED車内表示器用表示制御信号に基づいて画像車内表示器用表示制御信号を生成するので、LED車内表示器を用いた車内表示システムが既に鉄道車両やバス等の車両に搭載されている場合においてその車内表示システムの代わりに車両に搭載するに際して、LED車内表示器用表示制御信号を伝送する既設の表示制御信号用接続ケーブルを交換することなく、そのまま用いることができる。したがって、この第1の態様によれば、既設の表示制御信号用接続ケーブルの交換を要せず、コスト低減を図ることができる。なお、画像表示制御部自体は、LCD車内表示器の筐体内に設置したりLCD車内表示器と近接して設置することができることから、それらの間を接続する接続線は長い距離に渡って敷設せずに済むので、その敷設にコストはほとんど要しない。
【0016】
第2の態様による車内表示装置は、前記第1の態様において、前記LED車内表示器用制御信号は、前記LED表示内容に応じた文字コード情報又はLED点灯パターン情報を含み、前記画像表示内容は前記文字コード情報又は前記LED点灯パターン情報に予め関連づけられたものである。
【0017】
この第2の態様はLED車内表示器用制御信号の例を挙げたものである。なお、LED点灯パターン情報の場合、文字情報を示すLED点灯パターン情報に限定されるものではなく、例えば、いわゆるマップ式のLED車内表示器における位置を示すLED点灯パターン情報であってもよい。
【0018】
第3の態様による車内表示装置は、前記第1又は第2の態様において、前記LED表示内容は前記車両が現在停車している駅又は前記車両が次に到着すべき駅の駅名を示す情報を含み、これに関連づけられた前記画像表示内容は、当該駅名の文字画像及び当該駅名の駅の構内案内を示す画像を含むものである。
【0019】
この第3の態様は、前記画像表示内容の例を挙げたものである。構内案内の情報自体はLED車内表示器用制御信号に含まれるものではないが、画像表示制御部においてLED車内表示器用制御信号に予め関連づけておくことで、LED車内表示器用制御信号に基づいて構内案内も表示することができる。
【0020】
第4の態様による車内表示装置は、前記第1又は第2の態様において、前記LED表示内容は前記車両が現在停車している駅又は前記車両が次に到着すべき駅の駅名を示す情報を含み、これに関連づけられた前記画像表示内容は、当該駅名の文字画像及び当該駅名の駅での乗換案内を示す画像を含むものである。
【0021】
この第4の態様は、前記画像表示内容の他の例を挙げたものである。乗換案内の情報自体はLED車内表示器用制御信号に含まれるものではないが、画像表示制御部においてLED車内表示器用制御信号に予め関連づけておくことで、LED車内表示器用制御信号に基づいて乗換案内も表示することができる。
【0022】
第5の態様による車内表示装置は、前記第1又は第2の態様において、前記LED表示内容は前記車両が現在停車している駅又は前記車両が次に到着すべき駅の駅名を示す情報を含み、これに関連づけられた前記画像表示内容は、PR(広告・宣伝・広報)を示す画像を含むものである。この第5の態様では、前記画像表示内容は、前記PRを示す画像の他に、当該駅名の文字画像を含んでもよい。前記PRは、当該駅名の駅の地点に関連性を有するPR(例えば、当該駅を最寄り駅とする商店の広告など)であってもよいし、当該駅名の駅の地点には特に関連性を有しないPR(例えば、新発売の商品の広告や政府公報など)であってもよい。
【0023】
この第5の態様は、前記画像表示内容の更に他の例を挙げたものである。PRの情報自体はLED車内表示器用制御信号に含まれるものではないが、画像表示制御部においてLED車内表示器用制御信号に予め関連づけておくことで、LED車内表示器用制御信号に基づいてPRを表示することができる。
【0024】
第6の態様による車内表示装置は、前記第1乃至第5のいずれかに態様において、前記画像表示内容は、各々が同じ意味を持ちかつ複数の言語による複数の文字列画像を含み、これに関連づけられた前記LED表示内容は、前記複数の文字列画像のうちの少なくとも1つの文字列画像と同じ言語による文字列情報に相当する内容を含まないものである。
【0025】
この第6の態様は、前記画像表示内容の更に他の例を挙げたものである。LED車内表示器用制御信号が含んでいない言語の情報であっても、画像表示制御部においてLED車内表示器用制御信号に予め関連づけておくことで、LED車内表示器用制御信号に基づいてその言語の情報も表示することができる。
【0026】
なお、前記第1又は第2の態様では、前記画像表示内容は前記第3乃至第6の態様の例に限定されるものではない。また、前記第3乃至第5の態様においても、全ての駅について前記画像表示内容を同じ種類の内容にする必要はない。

例えば、前記第1乃至第6の態様において、前記LED表示内容が次の駅名を示す情報を含む場合、その駅によっては前記画像表示内容はその駅の扉開閉方向を案内する画像であってもよい。例えば、前記第1乃至第6の態様において、前記LED表示内容が現在又は次の駅名を示す情報を含む場合、その駅によっては前記画像表示内容はPRの動画であってもよいし、前記LED表示内容が次の駅名を示す情報を含む場合、その駅によっては前記画像表示内容はその駅の扉開閉方向を案内する画像であってもよい。前記第1乃至第6の態様において、各駅に関連づけられる画像表示内容は、各駅について同じ種類の画像表示内容であってもよいし、駅毎に異なる種類の画像表示内容であってもよく、駅毎に任意に設定することができる。なお、前記第1乃至第6の態様において、前記画像表示内容は静止画及び動画のいずれでもよい。
【0027】
第7の態様による車内表示システムは、前記第1乃至第6のいずれかの態様による車内表示装置と、前記LED車内表示器用表示制御信号を生成するLED表示制御部と、を備えたものである。
【0028】
この第7の態様による車内表示システムによれば、前記第1乃至第6のいずれかの態様による車内表示装置を有しているので、前記第1乃至第6のいずれかの態様による車内表示装置の利点を持つ車内表示システムを実現することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、LED車内表示器を用いた車内表示システムが既に鉄道車両やバス等の車両に搭載されている場合においてその車内表示システムの代わりに車両に搭載するに際して、既設の表示制御信号用接続ケーブルの交換を要せず、コスト低減を図ることができる車内表示システム、及び、これに用いられる車内表示装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施の形態による車内表示システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1中のLCD車内表示器の表示画像の一例を示す図である。
【図3】図2中のLCD車内表示器の表示画像の他の例を示す図である。
【図4】図2中のLCD車内表示器の表示画像の更に他の例を示す図である。
【図5】従来の車内表示システムの概略構成を示すブロック図である。
【図6】他の従来の車内表示システムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明による車内表示装置及びこれを用いた車内表示システムについて、図面を参照して説明する。
【0032】
図1は、本発明の一実施の形態による車内表示システム1の概略構成を示すブロック図である。図面には示していないが、この車内表示システム1は鉄道車両に搭載されている。
【0033】
本実施の形態による車内表示システム1は、LED車内表示器用表示制御部11と、複数の車内表示装置12とから構成されている。
【0034】
LED車内表示器用表示制御部11は、図5中のLED車内表示器用表示制御部111と同一であり、各種列車情報(例えば、停車駅情報等の列車運行情報、自車の位置を示す列車位置情報、列車種別情報など)に基づいて、LED表示内容(例えば、次の駅名を示す「次は 横浜」という文字情報)を示すLED車内表示器用表示制御信号(例えば、表示すべき文字の文字コード情報を示す信号や、表示すべき文字に相当するLED点灯パターン情報を示す信号)を、生成する。
【0035】
各車内表示装置12は、画像表示制御部21と、画像を表示する画像車内表示器としてのLCD車内表示器(LCD表示器からなる車内表示器)22とから構成されている。
【0036】
各車内表示装置12の画像表示制御部21は、LED車内表示器用表示制御部11からのLED表示内容を示すLED車内表示器用表示制御信号に基づいて、前記LED表示内容に予め関連づけられた画像表示内容を示すLCD車内表示器用表示制御信号を生成する。本実施の形態では、画像表示制御部21は、LED車内表示器用表示制御部11からのLED車内表示器用表示制御信号を受け取るインターフェース31と、生成したLCD車内表示器用表示制御信号を出力するインターフェース32と、CPU33と、処理内容を記述したプログラム等を記憶するROMと、RAM35と、LCD車内表示器22に表示すべき画像やその画像を合成するために用いられる部分画像等が記憶された画像メモリ36と、これらの間を接続するバス37とから構成されている。もっとも、画像表示制御部21の具体的な構成は、このような構成に限定されるものではない。
【0037】
図面には示していないが、各車内表示装置12のLCD車内表示器22は、鉄道車両の車内の各所に設けられている。各画像表示装置12のLCD車内表示器22は、画像表示制御部21からの画像表示制御部信号が示す画像表示内容を表示する。
【0038】
画像表示制御部21は、前述したようにCPU33等で構成されており、小型化し得る。図面には示していないが、本実施の形態では、画像表示制御部21はLCD車内表示器22の筐体内に設置されている。したがって、画像表示制御部21とLCD車内表示器22との間の接続線は長い距離に渡って敷設せずに済むので、その敷設にコストはほとんど要しない。なお、画像表示制御部21はLCD車内表示器22と近接して設置してもよい。
【0039】
なお、LED車内表示器用表示制御信号を伝送する表示制御信号用接続ケーブル(LED車内表示器用表示制御部11と車内表示装置12との間の接続ケーブル)は、比較的長い距離に渡って敷設されている。
【0040】
ここで、本実施の形態による車内表示システム1の具体的な動作例について、説明する。
【0041】
まず、自車(本列車)が始発駅を発車しようとするときに、LED車内表示器用表示制御部11は、自車の列車種別及び行き先を示す「特急 品川行き」の文字コード情報(又はLED点灯パターン情報)を示すLED車内表示器用表示制御信号を出力する。画像表示制御部21は、このLED車内表示器用表示制御信号をインターフェース31を介して受け取って、「特急」及び「品川行き」を識別し、自車の列車種別が「特急」である旨及び行き先が「品川行き」である旨の情報を、RAM35に記憶する。画像メモリ36には、列車種別「特急」に関連づけられた文字画像「特急」、及び、行き先「品川行き」に関連づけられた文字画像「品川行き」が、予め記憶されている。
【0042】
その後、自車が横浜駅の1つ手前の駅を横浜駅へ向けて発車すると、以下の動作によって、図2に示す画像がLCD車内表示器22に表示される。図2に示す画像は、列車種別を示す文字画像「特急」G1と、行き先を示す文字画像「品川行き」G2と、次の駅が横浜駅である旨の文字画像「次は 横浜」G3−1と、横浜駅での乗換案内を示す画像G3−2とを、合成した画像となっている。なお、図2中の画像G3は、画像G3−1,G3−2の全体の画像を示している。画像G3−2は、乗換先の路線名を示す日本語文字「○○線」の文字列画像、英語文字「□□Line」の文字列画像、韓国語の文字列画像及び中国語の文字列画像を含んでいる。
【0043】
すなわち、自車が横浜駅の1つ手前の駅を横浜駅へ向けて発車すると、LED車内表示器用表示制御部11は、「次は 横浜」の文字コード情報(又はLED点灯パターン情報)を示すLED車内表示器用表示制御信号を出力する。画像表示制御部21は、このLED車内表示器用表示制御信号をインターフェース31を介して受け取って「次は 横浜」を識別する。なお、「次は 横浜」を示すLED車内表示器用表示制御信号には、乗換先の路線名を示す各国文字列情報は含まれていない。「次は 横浜」である旨に関連づけられた画像として、画像G3に相当する画像が、画像メモリ36に予め記憶されている。画像表示制御部21は、「次は 横浜」を示すLED車内表示器用表示制御信号を識別すると、予め定められた表示フォーマットに従って、先に記憶された「特急」である旨に関連づけられた文字画像「特急」(画像G1に相当する画像)と、先に記憶された「品川行き」である旨に関連づけられた文字画像「品川行き」(画像G2に相当する画像)と、画像G3に相当する画像とを、合成し、図2に示す画像を表示するためのLCD車内表示器用表示制御信号を生成してインターフェース32を介してLCD車内表示器22に供給する。これにより、自車が横浜駅の1つ手前の駅を横浜駅へ向けて発車すると、図2に示す画像が画像表示内容としてLCD車内表示器22に表示される。
【0044】
その後、横浜駅に停車すると、以下の動作によって、図3に示す画像がLCD車内表示器22に表示される。図3に示す画像は、列車種別を示す文字画像「特急」G1と、行き先を示す文字画像「品川行き」G2と、横浜駅に停車中である旨の文字画像「横浜」G4−1と、横浜駅の構内案内を示す画像G4−2とを、合成した画像となっている。なお、図3中の画像G4は、画像G4−1,G4−2の全体の画像を示している。
【0045】
すなわち、自車が横浜駅に停車すると、LED車内表示器用表示制御部11は、「次は 」に引き続いていない「横浜」の文字コード情報(又はLED点灯パターン情報)を示すLED車内表示器用表示制御信号を出力する。画像表示制御部21は、このLED車内表示器用表示制御信号をインターフェース31を介して受け取ってその「横浜」を識別する。「次は 」に引き続いていない「横浜」である旨に関連づけられた画像として、画像G4に相当する画像が、画像メモリ36に予め記憶されている。画像表示制御部21は、「次は 」に引き続いていない「横浜」を示すLED車内表示器用表示制御信号を識別すると、予め定められた表示フォーマットに従って、先に記憶された「特急」である旨に関連づけられた文字画像「特急」(画像G1に相当する画像)と、先に記憶された「品川行き」である旨に関連づけられた文字画像「品川行き」(画像G2に相当する画像)と、画像G4に相当する画像とを、合成し、図3に示す画像を表示するためのLCD車内表示器用表示制御信号を生成してインターフェース32を介してLCD車内表示器22に供給する。これにより、自車が横浜駅に停車中は、図3に示す画像が画像表示内容としてLCD車内表示器22に表示される。
【0046】
なお、本発明は前述した動作例に限定されるものではない。例えば、自車が横浜駅の1つ手前の駅を横浜駅へ向けて発車したときにLCD車内表示器22に表示される画像は、図2中の画像G3のみとしてもよい。また、自車が横浜駅に停車中にLCD車内表示器22に表示される画像は、図3中の画像G4のみとしてもよい。
【0047】
また、例えば、自車が金沢八景駅の1つ手前の駅を金沢八景駅へ向けて発車した場合、以下の動作によって、図4に示す画像がLCD車内表示器22に表示されるようにしてもよい。図4に示す画像は、列車種別を示す文字画像「特急」G1と、行き先を示す文字画像「品川行き」G2と、次の駅が金沢八景駅である旨の文字画像「次は 金沢八景」G5−1と、PR(本例では、次の金沢八景駅に関連するPRとして、金沢八景駅を最寄り駅とする動物園のPRとされているが、次の駅に関連していないPRでもよい。)を示す画像G5−2とを、合成した画像となっている。なお、図4中の画像G5は、画像G5−1,G5−2の全体の画像を示している。
【0048】
すなわち、自車が金沢八景駅の1つ手前の駅を金沢八景駅へ向けて発車すると、LED車内表示器用表示制御部11は、「次は 金沢八景」の文字コード情報(又はLED点灯パターン情報)を示すLED車内表示器用表示制御信号を出力する。画像表示制御部21は、このLED車内表示器用表示制御信号をインターフェース31を介して受け取って「次は 金沢八景」を識別する。なお、「次は 金沢八景」を示すLED車内表示器用表示制御信号には、PR案内を示す各国文字列情報は含まれていない。「次は 金沢八景」である旨に関連づけられた画像として、画像G5に相当する画像が、画像メモリ36に予め記憶されている。画像表示制御部21は、「次は 金沢八景」を示すLED車内表示器用表示制御信号を識別すると、予め定められた表示フォーマットに従って、先に記憶された「特急」である旨に関連づけられた文字画像「特急」(画像G1に相当する画像)と、先に記憶された「品川行き」である旨に関連づけられた文字画像「品川行き」(画像G2に相当する画像)と、画像G5に相当する画像とを、合成し、図4に示す画像を表示するためのLCD車内表示器用表示制御信号を生成してインターフェース32を介してLCD車内表示器22に供給する。これにより、自車が金沢八景駅の1つ手前の駅を金沢八景駅へ向けて発車すると、図4に示す画像が画像表示内容としてLCD車内表示器22に表示される。
【0049】
本実施の形態によれば、画像表示制御部21がLED車内表示器用表示制御部11(図5中のLED車内表示器用表示制御部111と同一)からのLED車内表示器用表示制御信号に基づいてLCD車内表示器用表示制御信号を生成する。したがって、図5に示すようなLED車内表示器112を用いた車内表示システム101が既に鉄道車両に搭載されている場合においてその車内表示システム101の代わりに、本実施の形態による車内表示システム1を鉄道車両に搭載するには、既設のLED車内表示器112を車内表示装置12に置き換えるだけで済み、既設のLED車内表示器用表示制御部111をそのままLED車内表示器用表示制御部11として用いるとともに、LED車内表示器用表示制御信号を伝送する既設の表示制御信号用接続ケーブルを交換することなくそのまま用いることができる。本実施の形態によれば、このように既設の表示制御信号用接続ケーブルの交換を要しないので、コスト低減を図ることができる。なお、画像表示制御部21は、その分にコストを要するものの、構成が簡単で安価に作製することができるため、全体としてはケーブル交換を要しないことによるコスト低減効果の方が大きい。
【0050】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。例えば、本発明では、LED車内表示器22に代えて、有機EL表示器やプラズマ表示器などの他の画像表示器を用いてもよい。 また、前記各実施の形態は鉄道車両に搭載される車内表示装置及び車内表示システムの例であったが、本発明は、鉄道車両のみならずバス等の他の車両に搭載される車内表示装置及び車内表示システムについても適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 車内表示システム
11 LED車内表示器用表示制御部
12 車内表示装置
21 画像表示制御部
22 LCD車内表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車内表示装置であって、
LED表示内容を示すLED車内表示器用表示制御信号に基づいて、前記LED表示内容に予め関連づけられた画像表示内容を示す画像車内表示器用表示制御信号を生成する画像表示制御部と、
前記画像表示制御部からの前記画像車内表示器用表示制御信号に従って、前記画像車内表示器用表示制御信号が示す画像表示内容を表示する画像車内表示器と、
を備えたことを特徴とする車内表示装置。
【請求項2】
前記LED車内表示器用制御信号は、前記LED表示内容に応じた文字コード情報又はLED点灯パターン情報を含み、前記画像表示内容は前記文字コード情報又は前記LED点灯パターン情報に予め関連づけられたことを特徴とする請求項1記載の車内表示装置。
【請求項3】
前記LED表示内容は前記車両が現在停車している駅又は前記車両が次に到着すべき駅の駅名を示す情報を含み、これに関連づけられた前記画像表示内容は、当該駅名の文字画像及び当該駅名の駅の構内案内を示す画像を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の車内表示装置。
【請求項4】
前記LED表示内容は前記車両が現在停車している駅又は前記車両が次に到着すべき駅の駅名を示す情報を含み、これに関連づけられた前記画像表示内容は、当該駅名の文字画像及び当該駅名の駅での乗換案内を示す画像を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の車内表示装置。
【請求項5】
前記LED表示内容は前記車両が現在停車している駅又は前記車両が次に到着すべき駅の駅名を示す情報を含み、これに関連づけられた前記画像表示内容は、PRを示す画像を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の車内表示装置。
【請求項6】
前記画像表示内容は、各々が同じ意味を持ちかつ複数の言語による複数の文字列画像を含み、これに関連づけられた前記LED表示内容は、前記複数の文字列画像のうちの少なくとも1つの文字列画像と同じ言語による文字列情報に相当する内容を含まないことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車内表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の車内表示装置と、前記LED車内表示器用表示制御信号を生成するLED表示制御部と、を備えたことを特徴とする車内表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−245891(P2011−245891A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117991(P2010−117991)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(390010054)小糸工業株式会社 (136)
【Fターム(参考)】