車外映像提供システム
【課題】車外映像を利用した車室内における高品質なAR表示を実現することができる「車外映像提供システム」を提供すること。
【解決手段】車載機3は、携帯端末2から、カメラ5の向きに関する情報を含む端末情報を取得する端末情報取得手段11と、端末情報に対応した車載カメラ4および撮影領域中の部位を特定する車載カメラ/撮影領域部位特定手段12と、これによって特定されたカメラ4の撮影映像から、特定された撮影領域中の部位に該当する映像部位を切り出す映像部位切り出し手段14と、切り出された映像部位に対して、提供すべき車外映像の生成に必要な画像処理を行う画像処理手段15と、車両上の撮影障害物を含まないAR表示映像を生成する提供映像生成手段16とを備えたこと。
【解決手段】車載機3は、携帯端末2から、カメラ5の向きに関する情報を含む端末情報を取得する端末情報取得手段11と、端末情報に対応した車載カメラ4および撮影領域中の部位を特定する車載カメラ/撮影領域部位特定手段12と、これによって特定されたカメラ4の撮影映像から、特定された撮影領域中の部位に該当する映像部位を切り出す映像部位切り出し手段14と、切り出された映像部位に対して、提供すべき車外映像の生成に必要な画像処理を行う画像処理手段15と、車両上の撮影障害物を含まないAR表示映像を生成する提供映像生成手段16とを備えたこと。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車外映像提供システムに係り、特に、カメラおよび拡張現実機能が搭載された携帯端末と、複数台の車載カメラと、車載機との連携によって、所望の車外映像をユーザに提供するのに好適な車外映像提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話機、スマートフォンおよび電子書籍等の携帯端末においては、カメラを搭載することが一般的とされており、このカメラを用いてスチル写真や動画を撮影することが可能とされていた。
【0003】
また、最近では、所定の機種の携帯端末上で動作するAR(Augmented Reality :拡張現実)と称される機能を実現するアプリケーションソフトが開発されて提供されるようになった。AR機能においては、携帯端末に搭載されたカメラによって撮影された撮影映像(画像)上に、エアタグと称される撮影映像中の地物(建物、土地等)の名称や説明が記載された吹き出し等の付加情報をインポーズ表示して、街のガイド等に利用することが可能とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−98720号公報
【特許文献2】特開2003−283976号公報
【特許文献3】特開2005−184142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述したカメラが搭載された携帯端末の利用態様の1つに、携帯端末を車両(自動車)の車室内に持ち込んで、車室内から車外風景等を撮影する場合があった。
【0006】
しかし、このような場合に、従来は、車両のピラー、ダッシュボードまたはシート等の車両部品や同乗者等が障害物として映り込むことや、窓ガラスでの光の反射等によって、車外の被写体を適切に撮影することができないことがあった。
【0007】
特に、車両の走行中にそのような状況になった場合には、再度撮影を試みようとも被写体が過ぎ去っているため、撮影機会を逸してしまうことが少なくなかった。
【0008】
そして、前述したAR機能の普及により、今後は、例えば、旅行先で走行中に車室内から周辺をガイドさせるといった機会が増加すると考えられるが、このような場合には、車外の被写体を適切に撮影することができない問題は、一層深刻化すると予想される。例えば、図12は、車室内の後部座席から車外風景を撮影するとともに、この撮影映像上にAR表示を行った表示映像(模式図)である。図12に示すように、表示映像は、車両上の撮影障害物(車両部品や日光反射)により、肝心な車外風景が一部しか映り込んでおらず、エアタグが重畳表示されているものの、エアタグが指示すべき車外の地物が撮影障害物によって隠れてしまっているため、内容把握が困難な映像となっている。
【0009】
なお、特許文献1においては、競技場等において、ユーザが見たいと思う被写体を、ユーザが携帯端末を向けた方向に基づいて検知し、検知された被写体を、競技場に設置された投影機によって撮影して携帯端末に提供する技術が提案されている。
【0010】
また、特許文献2においては、ユーザが所望する被写体を、ユーザの周辺の第三者に依頼して撮影してもらう技術が提案されている。
【0011】
しかるに、これら特許文献1および特許文献2に記載の技術は、ユーザ所有のカメラ以外のカメラおよびサーバ等のインフラや人員が整備されていることを前提とした技術であるため、移動する車室内から車外風景を撮影する場合のように、被写体の存在位置が不特定多数(広域)にわたる場合における現実的な対応が困難である。
【0012】
さらに、特許文献3においては、車両周囲状況を、車内に配置されたディスプレイの画像表示面の向きに応じた車載カメラの撮像画像から切り出す技術が提案されている。
【0013】
この特許文献3に記載の技術は、ユーザ所有のディスプレイおよび車載装備のみによって撮影動作を自己完結できるものであり、不特定多数にわたる位置に存在する車外の被写体の撮影映像の取得に対応し得ると思われるが、カメラ付き携帯端末を利用しているわけではないので、AR機能に対応することはできない。
【0014】
そこで、本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、車外映像を利用した車室内における高品質なAR表示を実現することができ、ひいては、車室内における車外の地物のガイド機能を適正に発揮することができる車外映像提供システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述した目的を達成するため、本発明に係る車外映像提供システムは、カメラが搭載され、当該カメラの撮影映像を表示部に表示可能とされているとともに、当該撮影映像上にこの映像中の地物に関連する付加情報を重畳表示する拡張現実機能を実行可能とされた携帯端末と、車両の互いに異なる所定の取り付け位置に、互いに異なる所定の向きに取り付けられ、前記車両の周辺を前記各取り付け位置における各向きに応じた所定の撮影領域ごとに撮影する複数台の車載カメラと、前記携帯端末が接続可能とされるとともに前記複数台の車載カメラが接続された車載機とを備え、前記携帯端末、前記車載カメラおよび前記車載機の連携によって所望の車外映像をユーザに提供するための車外映像提供システムであって、前記車載機は、接続された前記携帯端末から、前記携帯端末のカメラの向きに関する情報を含む提供すべき車外映像の生成に必要な端末情報を取得する端末情報取得手段と、この端末情報取得手段によって取得された前記端末情報に対応した前記車載カメラおよびこれの前記撮影領域中の部位を特定する車載カメラ/撮影領域部位特定手段と、この車載カメラ/撮影領域部位特定手段によって特定された前記車載カメラの撮影映像から、当該車載カメラ/撮影領域部位特定手段によって特定された前記撮影領域中の部位に該当する映像部位を切り出す映像部位切り出し手段と、この映像部位切り出し手段によって切り出された前記映像部位に対して、前記提供すべき車外映像の生成に必要な所定の画像処理を行う画像処理手段とを備え、前記提供すべき車外映像として、前記車両の車室内において前記携帯端末のカメラによって前記端末情報に反映された当該カメラの向きに対応した車外の被写体を前記車両上の撮影障害物が除去されたと仮定した撮影環境下で撮影した場合に得られるべき第1の車外映像に、前記拡張現実機能に基づく前記付加情報の重畳がなされた第2の車外映像を提供可能とされ、前記第2の車外映像を提供するために、前記車載カメラ/撮影領域部位特定手段は、前記端末情報に反映された前記携帯端末のカメラの向きに最も近い向きの前記車載カメラを特定し、前記画像処理手段は、前記所定の画像処理によって前記第1の車外映像を生成し、前記車載機および前記携帯端末の少なくとも一方は、前記画像処理手段によって生成された前記第1の車外映像に前記付加情報を重畳することにより、前記第2の車外映像を生成する提供映像生成手段を備えたことを特徴としている。
【0016】
そして、このような構成によれば、車両上の撮影障害物が映り込んでいない第1の車外映像に基づく高品質な第2の車外映像(AR表示映像)を提供することができるので、第2の車外映像上の地物を付加情報に基づいて正確に把握することができる。
【0017】
また、前記提供すべき車外映像として、前記携帯端末のカメラと正反対を向いた前記携帯端末の表示部がミラーであると仮定した場合に、前記車室内において前記端末情報に反映された当該カメラの向きと正反対向きの当該ミラーに前記車両上の障害物が除去されたと仮定した環境下で映されるべき車外の鏡像に相当する第3の車外映像を提供可能とされ、前記第3の車外映像を提供するために、前記車載カメラ/撮影領域部位特定手段は、前記端末情報に反映された前記携帯端末のカメラの向きと正反対に最も近い向きの前記車載カメラを特定し、前記画像処理手段は、前記所定の画像処理として、前記映像部位の左右を反転させる反転処理を含む処理を行うことにより、前記第3の車外映像を生成してもよい。
【0018】
そして、このような構成によれば、電子ミラー用の専用のカメラを要することなく、電子ミラー映像を模した第3の車外映像(車外鏡像映像)として、車両上の障害物が映り込んでいない高品質な映像を提供することもできるので、利便性を更に向上させることができる。
【0019】
さらに、前記提供すべき車外映像として、前記第1の車外映像に、前記携帯端末のカメラによって前記車室内の現実の撮影環境下において実際に撮影された前記車外の被写体の撮影映像が半透明化された上で重畳された第4の車外映像を提供可能とされ、前記第4の車外映像を提供するために、前記車載カメラ/撮影領域部位特定手段は、前記端末情報に反映された前記携帯端末のカメラの向きに最も近い向きの前記車載カメラを特定し、前記画像処理手段は、前記所定の画像処理によって前記第1の車外映像を生成し、前記車載機および前記携帯端末の少なくとも一方は、前記画像処理手段によって生成された前記第1の車外映像に前記実際に撮影された車外の被写体の撮影映像を半透明化した上で重畳することにより、前記第4の車外映像を生成する第2の提供映像生成手段を備えてもよい。
【0020】
そして、このような構成によれば、車両上の撮影障害物が半透明化された高品質な第4の車外映像を提供することもできるので、利便性を更に向上させることができる。
【0021】
さらにまた、前記車載カメラは、広角レンズを有する広視野角範囲を撮影可能とされたカメラであり、前記所定の画像処理は、前記広角レンズに起因した前記映像部位の歪みを補正する歪み補正処理を含んでもよい。
【0022】
そして、このような構成によれば、歪みが低減されたより高品質な車外映像を提供することができる。
【0023】
また、前記端末情報は、前記携帯端末のカメラの焦点距離に関する情報を含んでもよい。
【0024】
そして、このような構成によれば、車載機側において、携帯端末のカメラが狙う車外の被写体を正確に検知することができるので、ユーザの意思をより忠実に反映した車外映像を提供することができる。
【0025】
さらに、生成された前記提供すべき車外映像を、前記車載機の表示部に表示することによって提供可能とされていてもよい。
【0026】
そして、このような構成によれば、車外映像を車載機の大画面上に提供することができるので、視認性が良好なガイド機能を実現することができる。
【0027】
さらにまた、生成された前記提供すべき車外映像を、前記携帯端末の表示部に表示することによって提供可能とされていてもよい。
【0028】
そして、このような構成によれば、携帯端末のみでは実現できなかった高品質なAR表示を携帯端末上において実現することができる。
【0029】
また、前記車載機および前記携帯端末の少なくとも一方は、生成された前記第2の車外映像を保存する保存手段を備えてもよい。
【0030】
そして、このような構成によれば、第2の車外映像を保存することによって、エアタグによる説明付きの旅の記録を高品質な映像作品に仕上げることができる。
【0031】
さらに、前記複数台の車載カメラは、前記車両の周辺を監視するための監視映像を前記車載機の表示部に表示するためのものであってもよい。
【0032】
そして、このような構成によれば、既存の車載装備を活用することができるので、部品点数の増加を抑制することができ、車室内における車外の地物のガイド機能を経済的に実現することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、車外映像を利用した車室内における高品質なAR表示を実現することができ、ひいては、車室内における車外の地物のガイド機能を適正に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る車外映像提供システムの第1実施形態を示す概略構成図
【図2】第1実施形態において、車載カメラの配置例を説明するための説明図
【図3】第1実施形態において、第1の車外映像の一例を示す図
【図4】第1実施形態において、第2の車外映像の一例を示す図
【図5】第1実施形態を示すフローチャート
【図6】第1実施形態の変形例を示す概略構成図
【図7】本発明に係る車外映像提供システムの第2実施形態を示す概略構成図
【図8】第2実施形態において、車載カメラおよび撮影領域中の部位の特定を説明するための説明図
【図9】第2実施形態において、反転処理による第3の車外映像の生成を説明するための説明図
【図10】第2実施形態において、第4の車外映像の一例を模式的に示す図
【図11】第2実施形態を示すフローチャート
【図12】従来のAR表示の問題点を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る車外映像提供システムの第1実施形態について、図1乃至図6を参照して説明する。
【0036】
図1に示すように、本実施形態における車外映像提供システム1は、大別して、
携帯電話機、スマートフォンまたは電子書籍等からなる携帯端末2と、車載機3と、複数台(図1において5台)の車載カメラ4とによって構成されている。携帯端末2は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の無線通信手段やUSB等の有線通信手段によって車載機3への通信接続が可能とされている。また、各車載カメラ4は、接続ケーブルによって車載機3に電気的に接続されている。
【0037】
より具体的には、図1に示すように、携帯端末2には、これの所定の表面側に外光を捕捉可能な状態で配置されたレンズを備えたデジタル方式のカメラ5が搭載されている。このカメラ5は、起動状態において、レンズを介して外部から取込まれた物体の像(物体光)を、CCDやCMOS等の固体撮像素子の撮像面に撮影映像として結像させるようになっている。そして、撮像面に結像された撮影映像は、シャッターが切られる前においても、カメラ5のレンズに対して背面側に設けられた表示部6にリアルタイムに表示(ライブビュー表示)されて確認することが可能となっている。また、図1に示すように、携帯端末2には、地磁気センサ(デジタルコンパス)、3軸加速度センサ(ジャイロスコープ)およびズームレベル/フォーカスレベル制御部等の各種のセンシングデバイス7が搭載されており、このセンシングデバイス7によって、携帯端末2(カメラ5)の方角(東西南北)、角度(ロール、ピッチ、ヨー)および焦点距離を検出可能とされている。さらに、図1に示すように、携帯端末2には、GPSレシーバ等からなる位置検出デバイス8が搭載されており、この位置検出デバイス8によって、携帯端末2の位置(現在地)を絶対座標として検出するようになっている。さらにまた、携帯端末2には、AR機能がアプリケーションソフト19として搭載されており、このAR機能をユーザ操作によって起動させることにより、表示部6に表示された撮影映像上に、この撮影映像中の地物に該当するエアタグ(付加情報)を重畳表示させることが可能とされている。ここで、エアタグは、インターネットを通じてユーザ間で共有された情報であり、位置検出デバイス8およびセンシングデバイス7によって検出される位置情報、方角情報および角度情報等を利用してユーザの居場所およびカメラ5の向きと対応付けられているため、AR機能の起動中における携帯端末2の位置およびカメラ5の向きに対応するエアタグをインターネットを介して取得して表示することが可能となっている。また、図1に示すように、携帯端末2は、CPU等からなる制御部20を有しており、この制御部20は、携帯端末2の各種の処理を行うようになっている。
【0038】
一方、図2に示すように、各車載カメラ4は、車両9の互いに異なる取り付け位置に、互いに異なる所定の向きに取り付けられており、車両9の周辺を各取り付け位置における各向きに応じた所定の撮影領域ごとに撮影可能とされている。さらに、各車載カメラ4は、魚眼レンズ等の広角レンズが搭載された広視野角範囲を撮影可能とされたカメラとされている。さらにまた、各車載カメラ4は、それぞれの撮影領域を所定のフレームレートで撮影し、撮影映像をCCDやCMOS等の固体撮像素子の撮像面に結像するデジタルカメラとされている。図2の例では、各車載カメラ4のうちの1台4aは、車両9の左前部(例えば、左前照灯)に、車両9の左前方の路面を斜め上から見下ろすような向き(姿勢)で取り付けられた左フロントカメラ4aとされており、この左フロントカメラ4aは、車両9の左前方の路面上を中心とした撮影領域を撮影可能とされている。また、この他の車載カメラ4のうちの1台4bは、車両9の右前部(例えば、右前照灯)に、車両9の右前方の路面を斜め上から見下ろすような向きで取り付けられた右フロントカメラ4bとされており、この右フロントカメラ4bは、車両9の右前方の路面上を中心とした撮影領域を撮影可能とされている。さらに、これらの他の車載カメラ4のうちの1台4cは、車両9の左側部(例えば、左ドアミラー)に、車両9の左側方の路面を斜め上から見下ろすような向きで取り付けられた左サイドカメラ4cとされており、この左サイドカメラ4cは、車両9の左側方の路面上を中心とした撮影領域を撮影可能とされている。さらにまた、これらの他の車載カメラ4のうちの1台4dは、車両9の右側部(例えば、右ドアミラー)に、車両9の右側方の路面を斜め上から見下ろすような向きで取り付けられた右サイドカメラ4dとされており、この右サイドカメラ4dは、車両9の右側方の路面上を中心とした撮影領域を撮影可能とされている。また、残りの1台の車載カメラ4eは、車両9の後部(例えば、リアライセンスガーニッシュ部)に、車両9の後方の路面を斜め上から見下ろすような向きで取り付けられたバックカメラ4eとされており、このバックカメラ4eは、車両9の後方の路面上を中心とした撮影領域を撮影可能とされている。
【0039】
そして、本実施形態における車外映像提供システム1は、携帯端末2、各車載カメラ4および車載機3の連携(連動)によって、所望の車外映像としての第2の車外映像をユーザに提供することが可能とされている。ただし、第2の車外映像とは、車両9の車室内において携帯端末2のカメラ5によってこれの向きに対応した車外の被写体を車両9上の撮影障害物が除去されたと仮定した撮影環境下で撮影した場合に得られるべき第1の車外映像に、AR機能に基づくエアタグ(付加情報)の重畳がなされた映像のことである。
【0040】
具体的には、図1に示すように、車載機3は、その主制御部としてのECU (Electrical Control Unit)10を有しており、このECU10は、不図示の記憶部(ROM等)に記憶されたプログラムを実行することにより、提供すべき映像を生成するための各種の処理を行うようになっている。
【0041】
すなわち、図1に示すように、ECU10は、端末情報取得手段としての端末情報取得部11を有している。この端末情報取得部11は、車載機3との接続状態が確立された(通信可能となった)携帯端末2から、携帯端末2のカメラ5の向きに関する情報を含む第2の車外映像(提供すべき車外映像)の生成に必要な端末情報を、通信によって取得するようになっている。この端末情報には、前述したセンシングデバイス7の検出結果が含まれている。また、この他にも、端末情報には、位置検出デバイス8の検出結果、カメラ5の画角の情報および第2の車外映像の要求信号等が含まれていてもよい。
【0042】
また、図1に示すように、ECU10は、車載カメラ/撮影領域部位特定手段としての車載カメラ/撮影領域部位特定部12を有している。この車載カメラ/撮影領域部位特定部12は、端末情報取得部11によって取得された端末情報に対応した車載カメラ4と、これの撮影領域中の部位とを特定するようになっている。具体的には、本実施形態において、車載カメラ/撮影領域部位特定部12は、端末情報に反映された携帯端末2のカメラ5の向き(方角・角度)に最も近い向きの車載カメラ4を特定するとともに、この特定した車載カメラ4の撮影領域から、例えば、端末情報に基づいて検出された携帯端末2のカメラ5の撮影領域に該当する部位を、被写体に相当する部位として特定するようになっている。このとき、車載カメラ4の向きに関する情報としては、車載カメラ4の既知の外部パラメータを不図示の記憶部に記憶させたものを用いるようにしてもよい。また、このとき、携帯端末2のカメラ5の向きを示す端末情報のうちの角度情報については、車両9に搭載されたナビゲーション装置用の加速度センサの検出値を差し引くことによって、車両9の加速度の影響を除去した純粋な重力加速度(端末2の傾き)の情報に補正した上で扱うようにすることが望ましい。さらに、このとき、前述のように、車載カメラ4の撮影領域から、携帯端末2のカメラ5の撮影領域に該当する部位を特定する場合には、端末情報や車載カメラ4の既知の情報等に基づいて、両カメラ4,5の向き、位置および画角等の差分を算出した上で、算出された差分を用いて該当する部位を特定するようにしてもよい。この場合に、車載カメラ4の位置については、車両9の所定の基準位置に対する相対位置として記憶部に記憶させたものを用いるようにしてもよい。一方、携帯端末2のカメラ5の位置については、車両9の基準位置に対するカメラ5の相対位置を検出するための手段(例えば、カメラ5の操作者が車両9のいずれの座席に座っているのかを端末情報として車載機3に通知し、車載機3側において、通知された座席に対応付けられた所定の固定位置を相対位置と決定する手段であってもよい)を設けることによって検出してもよい。あるいは、そのような手段を設けない場合には、車両9の基準位置に対して予め固定された車室内の所定位置(例えば、車体中央の所定高さの位置)を、携帯端末2のカメラ5の位置とみなしてもよい。もしくは、被写体の検出精度をある程度犠牲にする場合もあるが、両カメラ4、5の位置は同一である(位置の差分は0)とみなしてもよい。
【0043】
さらに、図1に示すように、ECU10は、映像部位切り出し手段としての映像部位切り出し部14を有している。この映像部位切り出し部14は、車載カメラ/撮影領域部位特定部12によって特定された車載カメラ4の撮影映像から、車載カメラ/撮影領域部位特定部12によって特定された当該車載カメラ4の撮影領域中の部位に該当する映像部位を切り出すようになっている。このとき、車載カメラ4の撮影映像としては、図1に示すように、ECU10内の映像キャプチャ部13に取得されて保持されているものを用いるようになっている。ここで、図2の破線枠Fは、車載カメラ/撮影領域部位特定部12によって特定された左フロントカメラ4aの撮影映像Iから、車載カメラ/撮影領域部位特定部12によって特定された左フロントカメラ4aの撮影領域中の部位に該当する映像部位として切り出される範囲を例示したものである。
【0044】
図1に戻って、ECU10は、画像処理手段としての画像処理部15を有している。この画像処理部15は、映像部位切り出し部14によって切り出された映像部位に対して、第2の車外映像の生成に必要な所定の画像処理を行うようになっている。本実施形態において、この所定の画像処理は、車載カメラ4の取り付け角等に起因する映像の傾きや広角レンズのディストーションに起因する映像の歪みを補正する視点変換処理および歪み補正処理によって構成されている。そして、画像処理部15は、このような所定の画像処理を行うことによって、第1の車外映像を生成するようになっている。
【0045】
ここで、図3は、このようにして生成された第1の車外映像として、図12と同様の車外風景に該当する撮影映像を示したものである。この第1の車外映像は、車室内の撮影障害物が一切映り込んでいない高品質な映像となっている。
【0046】
図1に戻って、車外映像提供システム1は、提供映像生成手段としての提供映像生成部16を有している。この提供映像生成部16は、画像処理部15によって生成された第1の車外映像に、携帯端末2に搭載されたAR機能に基づくエアタグを重畳することにより、第2の車外映像を生成するようになっている。このような提供映像生成部16は、車載機3(ECU10)に備えられていてもよく、または、携帯端末2(制御部20)に備えられていてもよく、あるいは、車載機3および携帯端末2の双方に備えられていてもよい。ここで、提供映像生成部16を車載機3に備える場合には、端末情報に、携帯端末2のカメラ5の撮影領域に応じたエアタグ情報(エアタグに対応付けられた位置情報も含む)を含ませるように構成し、提供映像生成部16は、この情報を取得して第1の車外映像における該当位置に貼り付けることによって第2の車外映像を生成すればよい。一方、提供映像生成部16を携帯端末2に備える場合には、提供映像生成部16は、画像処理部15によって生成された第1の車外映像を、通信によって車載機3から取得し、取得された第1の車外映像に、携帯端末2によって取得されたエアタグを貼り付けることによって第2の車外映像を生成すればよい。そして、提供映像生成部16は、このようにして生成された第2の車外映像を、車載機3の表示部17および携帯端末2の表示部6の少なくとも一方に表示することによって、ユーザに提示するようになっている。
【0047】
ここで、図4は、このようにして表示された第2の車外映像として、図3に対応するAR表示映像を示したものである。このAR表示映像を図12と比較すれば分かるように、本実施形態によれば、車室内の撮影障害物が一切映り込んでいない高品質な第2の車外映像を表示することができ、この映像を見たユーザは、エアタグに基づいて映像中の地物を容易かつ正確に把握することができる。
【0048】
次に、本実施形態の作用について、図5を参照して説明する。
【0049】
なお、便宜上、図5の初期状態においては、携帯端末2と車載機3との接続状態が、図示しない両者の通信モジュールを介して確立されているものとする。また、このとき、携帯端末2は、ユーザ操作を契機として、制御部20によってカメラ5が起動されているとともに、このカメラ5による車外風景の撮像映像(車室内の撮影障害物が映り込んだ現実の撮影環境下での撮影映像)が、ファインダ機能によって表示部に6にリアルタイム表示されているものとする。さらに、このとき、携帯端末2は、自らの記憶部に記憶されたAR機能のアプリケーションソフト19がユーザ操作を契機として制御部20によって起動されており、カメラ5の撮影映像中の地物に該当するエアタグが、インターネットを通じて取得された上で、当該撮影映像上の該当位置に重畳表示されているものとする。さらにまた、このとき、携帯端末2のアプリケーションソフトによって、携帯端末2の表示部6には、車載カメラ4の撮影映像を利用したAR表示の実行を指示する操作が可能とされた操作ボタンが表示されているものとする。この操作ボタンの表示は、例えば、「車載カメラの映像が利用できます」といったメッセージの表示をともなってもよい。また、このとき、各車載カメラ4は、それぞれの撮影領域の撮影を開始しているものとする。この車載カメラ4による撮影の開始は、携帯端末2と車載機3との接続の確立を契機として行うようにしてもよいし、あるいは、Acc電源の投入を契機として行うようにしてもよい。
【0050】
そして、このような初期状態から、まず、図5のステップ1(ST1)において、携帯端末2の制御部20により、携帯端末2に対するユーザ操作として、車載カメラ4の撮影映像を利用したAR表示の実行を指示する操作が行われたか否かを判定する。そして、ステップ1(ST1)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ2(ST2)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ1(ST1)を繰り返す。
【0051】
次いで、ステップ2(ST2)において、携帯端末2の通信機能により、車載機3への端末情報の送信を行う。
【0052】
次いで、ステップ3(ST3)において、端末情報取得部11により、ステップ2(ST2)において送信された端末情報を受信して取得する。
【0053】
次いで、ステップ4(ST4)において、車載カメラ/撮影領域部位特定部12により、ステップ3(ST3)において取得された端末情報に基づいて、対応する車載カメラ4およびこれの撮影領域中の部位を特定する。
【0054】
次いで、ステップ5(ST5)において、映像部位切り出し部14により、ステップ4(ST4)において特定された車載カメラ4の撮影映像から、ステップ4(ST4)において特定された当該車載カメラ4の撮影領域中の部位に該当する映像部位を切り出す。
【0055】
次いで、ステップ6(ST6)において、画像処理部15により、ステップ5(ST5)において切り出された映像部位に対する視点変換処理を行う。
【0056】
次いで、ステップ7(ST7)において、画像処理部15により、ステップ6(ST6)において視点変換処理が行われた映像部位に対する歪み補正処理を行うことによって、第1の車外映像を生成する。
【0057】
次いで、ステップ8(ST8)において、提供映像生成部16により、ステップ7(ST7)において生成された第1の車外映像にエアタグを重畳させることによって、第2の車外映像を生成する。
【0058】
次いで、ステップ9(ST9)により、提供映像生成部16により、ステップ8(ST8)において生成された第2の車外映像を表示部6、17に表示して処理を終了する。
(変形例)
次に、図6は、本実施形態の変形例を示したものである。
【0059】
本変形例における車外映像提供システム1は、図1に示した基本構成に加えて、更に、保存手段としての提供映像保存処理部18を有している。この提供映像保存処理部18は、提供映像生成部16によって生成された第2の車外映像を、ユーザ操作を契機として、自らの記憶領域に記録することによって保存するようになっている。この提供映像保存処理部18は、車載機3および携帯端末2のうち、提供映像生成部16が備えられたいずれか一方もしくは双方に備えられている。また、提供映像保存処理部18によって保存された第2の車外映像は、この提供映像保存処理部18を備えたデバイス3、2の再生表示機能によって読み出して再生表示することが可能とされている。
【0060】
このような構成によれば、第2の車外映像を保存することによって、エアタグによる説明付きの旅の記録を高品質な映像作品に仕上げることができる。
【0061】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る車外映像提供システムの第2実施形態について、第1実施形態との差異を中心として、図7乃至図11を参照して説明する。
【0062】
なお、便宜上、第1実施形態と基本的構成が同一もしくはこれに類する箇所については、同一の符号を用いて説明する。
【0063】
図7に示す本実施形態における車外映像提供システム21は、提供すべき車外映像として、第2の車外映像を提供可能とされている点で第1実施形態と同様である。
【0064】
ただし、本実施形態における車外映像提供システム21は、第1実施形態とは異なり、第2の車外映像以外にも、第3の車外映像および第4の車外映像を選択的に提供することが可能とされている。ここで、第3の車外映像とは、携帯端末2のカメラ5と正反対を向いた携帯端末2の表示部6がミラーであると仮定した場合に、車室内において端末情報に反映された当該カメラ5の向きと正反対向きの当該ミラーに車両上の障害物が除去されたと仮定した環境下で映されるべき車外の鏡像に相当する映像のことである。また、第4の車外映像とは、第1の車外映像に、携帯端末2のカメラ5によって車室内の現実の撮影環境下において実際に撮影された車外の被写体の撮影映像が半透明化された上で重畳された映像のことである。
【0065】
第2の車外映像、第3の車外映像および第4の車外映像のいずれを提供すべきかについては、これらの1つを選択するためのメニュー画面を携帯端末2の表示部6に表示した上で、このメニュー画面に対するユーザ操作の結果に応じて選択してもよい。
【0066】
ここで、第2の車外映像を提供するための構成については第1実施形態で既に述べた通りであるので、本実施形態においては、第3の車外映像および第4の車外映像を提供するための特有の構成に重点を置いて説明する。
【0067】
(第3の車外映像を提供するための構成)
まず、第3の車外映像を提供する場合には、車載カメラ/撮影領域部位特定部12は、端末情報に反映された携帯端末2のカメラ5の向きと正反対に最も近い向きの車載カメラ4を特定するようになっている。このとき、車載カメラ/撮影領域部位特定部12は、車載カメラ4の撮影領域中の部位の特定については、カメラ5を現在の向きから正反対向きにしたと仮定した場合におけるカメラ5の撮影領域を、端末情報における方角情報および角度情報を180°逆転させること等によって求めた上で、求められた撮影領域に該当する部位を、車載カメラ4の撮影領域中から特定することによって行うようにしてもよい。
【0068】
例えば、ユーザがカメラ5を前方に向けている場合には、図8に示すように、車載カメラ/撮影領域部位特定部12によってバックカメラ4eの撮影領域中の該当する部位(同図破線枠F参照)が特定されることになる。
【0069】
また、第3の車外映像を提供する場合には、画像処理部15は、所定の画像処理として、前述した視点変換処理および歪み補正処理の後に、映像部位の左右を反転させる反転処理を行うようになっている。
【0070】
図9は、このような反転処理の一例を、反転前の映像(a)および反転後の映像(b)を用いて示したものである。この反転処理は、提供すべき映像が鏡像映像であることによるものである。
【0071】
そして、このような反転処理によって、図9(b)のような第3の車外映像が生成されるようになっている。
【0072】
さらに、画像処理部15は、このようにして生成された第3の車外映像を、車載機3の表示部17への表示および/または通信を介した携帯端末2の表示部6への表示によってユーザに提供するようになっている。
【0073】
(第4の車外映像を提供するための構成)
次に、第4の車外映像を提供する場合には、車外映像提供システム21は、第1実施形態と同様の手法によって、第1の車外映像を生成するようになっている。
【0074】
そして、図7に示すように、第4の車外映像を提供するための構成として、車外映像提供システム21は、第2の提供映像生成手段としての第2の提供映像生成部22を有している。この第2の提供映像生成部22は、画像処理部15によって生成された第1の車外映像に、携帯端末2のカメラ5によって車室内の現実の撮影環境下において実際に撮影された車外の被写体の撮影映像を半透明化した上で重畳することにより、第4の車外映像を生成するようになっている。なお、車外の被写体の撮影映像は、第1の車外映像と同一サイズの映像であり、両映像は、両カメラ4、5によって互いに同時期に撮影された映像に基づくものである。両映像は、車両上の撮影障害物以外の部分が互いに一致していることが望ましい。
【0075】
ここで、図10は、このような第4の車外映像の一例を模式的に示したものである。
【0076】
このような第2の提供映像生成部22は、車載機3(ECU10)に備えられていてもよく、または、携帯端末2(制御部20)に備えられていてもよく、あるいは、車載機3および携帯端末2の双方に備えられていてもよい。ここで、第2の提供映像生成部22を車載機3に備える場合には、端末情報に、携帯端末2のカメラ5の撮影映像を含ませるように構成し、提供映像生成部22は、この映像を取得して半透明化した上で第1の車外映像に重畳することによって第4の車外映像を生成すればよい。一方、第2の提供映像生成部22を携帯端末2に備える場合には、第2の提供映像生成部22は、画像処理部15によって生成された第1の車外映像を、通信によって車載機3から取得し、取得された第1の車外映像に、携帯端末2のカメラ5の撮影映像を半透明化した上で重畳することによって第4の車外映像を生成すればよい。そして、第2の提供映像生成部22は、このようにして生成された第4の車外映像を、車載機3の表示部17および携帯端末2の表示部6の少なくとも一方に表示することによって、ユーザに提示するようになっている。
【0077】
次に、本実施形態の作用について、図11を参照して説明する。
【0078】
なお、便宜上、図11の初期状態においては、携帯端末2と車載機3との接続状態が確立されているものとする。また、このとき、携帯端末2は、ユーザ操作を契機として、制御部20によってカメラ5が起動されているとともに、このカメラ5による車外風景の撮像映像が、ファインダ機能によって表示部に6にリアルタイム表示されているものとする。さらに、このとき、携帯端末2の表示部6には、ユーザ操作を契機として、第2〜第4の車外映像のいずれかの表示を選択可能な操作ボタンが表示されているものとする。
【0079】
そして、このような初期状態から、まず、図11のステップ11(ST11)において、携帯端末2の制御部20により、携帯端末2に対するユーザ操作として、第2〜第4の車外映像のいずれかの表示を選択する操作が行われたか否かを判定する。そして、ステップ11(ST11)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ12(ST12)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ11(ST11)を繰り返す。
【0080】
次いで、ステップ12(ST12)において、制御部20により、ステップ11(ST11)において選択されたのは、第2の車外映像であるか否かを判定する。そして、ステップ12(ST12)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ13(ST13)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ14(ST14)に進む。
【0081】
ここで、ステップ13(ST13)に進んだ場合には、制御部20により、携帯端末2のAR機能を起動してカメラ5の撮影映像に該当するエアタグを取得する。そして、ステップ13(ST13)の後は、第1実施形態の図5のステップ2(ST2)以降の各工程を順次実行することによって、第2の車外映像を表示部6、17に表示する。
【0082】
一方、ステップ14(ST14)に進んだ場合には、制御部20により、ステップ11(ST11)において選択されたのは、第3の車外映像であるか否かを判定する。
【0083】
ここで、ステップ14(ST14)において肯定的な判定結果が得られた場合における後続の一連の工程について先に説明する。
【0084】
すなわち、ステップ14(ST14)において肯定的な判定結果が得られた場合には、第1実施形態の図5のステップ2(ST2)〜ステップ7(ST7)の一連の工程を順次実行した後に、ステップ15(ST15)に進む。ただし、本実施形態においては、ステップ4における車載カメラ4の特定の際に、カメラ5の向きとは正反対の向きに最も近い車載カメラ4を特定する。
【0085】
次いで、ステップ15(ST15)において、画像処理部15により、ステップ7(ST7)における歪み補正処理後の映像部位に対して、反転処理を行うことにより、第3の車外映像を生成する。
【0086】
次いで、ステップ16(ST16)において、画像処理部15により、ステップ15(ST15)において生成された第3の車外映像を表示部6、17に表示して処理を終了する。
【0087】
次に、ステップ14(ST14)において否定的な判定結果が得られた場合における後続の一連の工程について説明する。
【0088】
すなわち、ステップ14(ST14)において否定的な判定結果が得られた場合には、第1実施形態の図5のステップ2(ST2)〜ステップ7(ST7)の一連の工程を順次実行した後に、ステップ17(ST17)に進む。
【0089】
次いで、ステップ17(ST17)において、第2の提供映像生成部22により、ステップ7(ST7)において生成された第1の車外映像に、携帯端末2のカメラ2の撮影映像を半透明化した上で重畳することによって、第4の車外映像を生成する。
【0090】
次いで、ステップ18(ST18)において、第2の提供映像生成部22により、ステップ17(ST17)において生成された第4の車外映像を表示部6、17に表示して処理を終了する。
【0091】
以上述べたように、本発明によれば、車両上の撮影障害物が映り込んでいない第1の車外映像に基づく高品質な第2の車外映像を提供することによって、第2の車外映像上の地物をエアタグに基づいて正確に把握することができるので、車室内における車外の地物のガイド機能を適正に発揮することができる。
【0092】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【0093】
例えば、車載機3および車載カメラ4は、複数の携帯端末2と同時に連携して、各端末2ごとの所望の車外映像を各端末2に向けて個別に提供するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 車外映像提供システム
2 携帯端末
3 車載機
4 車載カメラ
5 カメラ
11 端末情報取得部
12 車載カメラ/撮影領域部位特定部
14 映像部位切り出し部
15 画像処理部
16 提供映像生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車外映像提供システムに係り、特に、カメラおよび拡張現実機能が搭載された携帯端末と、複数台の車載カメラと、車載機との連携によって、所望の車外映像をユーザに提供するのに好適な車外映像提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話機、スマートフォンおよび電子書籍等の携帯端末においては、カメラを搭載することが一般的とされており、このカメラを用いてスチル写真や動画を撮影することが可能とされていた。
【0003】
また、最近では、所定の機種の携帯端末上で動作するAR(Augmented Reality :拡張現実)と称される機能を実現するアプリケーションソフトが開発されて提供されるようになった。AR機能においては、携帯端末に搭載されたカメラによって撮影された撮影映像(画像)上に、エアタグと称される撮影映像中の地物(建物、土地等)の名称や説明が記載された吹き出し等の付加情報をインポーズ表示して、街のガイド等に利用することが可能とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−98720号公報
【特許文献2】特開2003−283976号公報
【特許文献3】特開2005−184142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述したカメラが搭載された携帯端末の利用態様の1つに、携帯端末を車両(自動車)の車室内に持ち込んで、車室内から車外風景等を撮影する場合があった。
【0006】
しかし、このような場合に、従来は、車両のピラー、ダッシュボードまたはシート等の車両部品や同乗者等が障害物として映り込むことや、窓ガラスでの光の反射等によって、車外の被写体を適切に撮影することができないことがあった。
【0007】
特に、車両の走行中にそのような状況になった場合には、再度撮影を試みようとも被写体が過ぎ去っているため、撮影機会を逸してしまうことが少なくなかった。
【0008】
そして、前述したAR機能の普及により、今後は、例えば、旅行先で走行中に車室内から周辺をガイドさせるといった機会が増加すると考えられるが、このような場合には、車外の被写体を適切に撮影することができない問題は、一層深刻化すると予想される。例えば、図12は、車室内の後部座席から車外風景を撮影するとともに、この撮影映像上にAR表示を行った表示映像(模式図)である。図12に示すように、表示映像は、車両上の撮影障害物(車両部品や日光反射)により、肝心な車外風景が一部しか映り込んでおらず、エアタグが重畳表示されているものの、エアタグが指示すべき車外の地物が撮影障害物によって隠れてしまっているため、内容把握が困難な映像となっている。
【0009】
なお、特許文献1においては、競技場等において、ユーザが見たいと思う被写体を、ユーザが携帯端末を向けた方向に基づいて検知し、検知された被写体を、競技場に設置された投影機によって撮影して携帯端末に提供する技術が提案されている。
【0010】
また、特許文献2においては、ユーザが所望する被写体を、ユーザの周辺の第三者に依頼して撮影してもらう技術が提案されている。
【0011】
しかるに、これら特許文献1および特許文献2に記載の技術は、ユーザ所有のカメラ以外のカメラおよびサーバ等のインフラや人員が整備されていることを前提とした技術であるため、移動する車室内から車外風景を撮影する場合のように、被写体の存在位置が不特定多数(広域)にわたる場合における現実的な対応が困難である。
【0012】
さらに、特許文献3においては、車両周囲状況を、車内に配置されたディスプレイの画像表示面の向きに応じた車載カメラの撮像画像から切り出す技術が提案されている。
【0013】
この特許文献3に記載の技術は、ユーザ所有のディスプレイおよび車載装備のみによって撮影動作を自己完結できるものであり、不特定多数にわたる位置に存在する車外の被写体の撮影映像の取得に対応し得ると思われるが、カメラ付き携帯端末を利用しているわけではないので、AR機能に対応することはできない。
【0014】
そこで、本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、車外映像を利用した車室内における高品質なAR表示を実現することができ、ひいては、車室内における車外の地物のガイド機能を適正に発揮することができる車外映像提供システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述した目的を達成するため、本発明に係る車外映像提供システムは、カメラが搭載され、当該カメラの撮影映像を表示部に表示可能とされているとともに、当該撮影映像上にこの映像中の地物に関連する付加情報を重畳表示する拡張現実機能を実行可能とされた携帯端末と、車両の互いに異なる所定の取り付け位置に、互いに異なる所定の向きに取り付けられ、前記車両の周辺を前記各取り付け位置における各向きに応じた所定の撮影領域ごとに撮影する複数台の車載カメラと、前記携帯端末が接続可能とされるとともに前記複数台の車載カメラが接続された車載機とを備え、前記携帯端末、前記車載カメラおよび前記車載機の連携によって所望の車外映像をユーザに提供するための車外映像提供システムであって、前記車載機は、接続された前記携帯端末から、前記携帯端末のカメラの向きに関する情報を含む提供すべき車外映像の生成に必要な端末情報を取得する端末情報取得手段と、この端末情報取得手段によって取得された前記端末情報に対応した前記車載カメラおよびこれの前記撮影領域中の部位を特定する車載カメラ/撮影領域部位特定手段と、この車載カメラ/撮影領域部位特定手段によって特定された前記車載カメラの撮影映像から、当該車載カメラ/撮影領域部位特定手段によって特定された前記撮影領域中の部位に該当する映像部位を切り出す映像部位切り出し手段と、この映像部位切り出し手段によって切り出された前記映像部位に対して、前記提供すべき車外映像の生成に必要な所定の画像処理を行う画像処理手段とを備え、前記提供すべき車外映像として、前記車両の車室内において前記携帯端末のカメラによって前記端末情報に反映された当該カメラの向きに対応した車外の被写体を前記車両上の撮影障害物が除去されたと仮定した撮影環境下で撮影した場合に得られるべき第1の車外映像に、前記拡張現実機能に基づく前記付加情報の重畳がなされた第2の車外映像を提供可能とされ、前記第2の車外映像を提供するために、前記車載カメラ/撮影領域部位特定手段は、前記端末情報に反映された前記携帯端末のカメラの向きに最も近い向きの前記車載カメラを特定し、前記画像処理手段は、前記所定の画像処理によって前記第1の車外映像を生成し、前記車載機および前記携帯端末の少なくとも一方は、前記画像処理手段によって生成された前記第1の車外映像に前記付加情報を重畳することにより、前記第2の車外映像を生成する提供映像生成手段を備えたことを特徴としている。
【0016】
そして、このような構成によれば、車両上の撮影障害物が映り込んでいない第1の車外映像に基づく高品質な第2の車外映像(AR表示映像)を提供することができるので、第2の車外映像上の地物を付加情報に基づいて正確に把握することができる。
【0017】
また、前記提供すべき車外映像として、前記携帯端末のカメラと正反対を向いた前記携帯端末の表示部がミラーであると仮定した場合に、前記車室内において前記端末情報に反映された当該カメラの向きと正反対向きの当該ミラーに前記車両上の障害物が除去されたと仮定した環境下で映されるべき車外の鏡像に相当する第3の車外映像を提供可能とされ、前記第3の車外映像を提供するために、前記車載カメラ/撮影領域部位特定手段は、前記端末情報に反映された前記携帯端末のカメラの向きと正反対に最も近い向きの前記車載カメラを特定し、前記画像処理手段は、前記所定の画像処理として、前記映像部位の左右を反転させる反転処理を含む処理を行うことにより、前記第3の車外映像を生成してもよい。
【0018】
そして、このような構成によれば、電子ミラー用の専用のカメラを要することなく、電子ミラー映像を模した第3の車外映像(車外鏡像映像)として、車両上の障害物が映り込んでいない高品質な映像を提供することもできるので、利便性を更に向上させることができる。
【0019】
さらに、前記提供すべき車外映像として、前記第1の車外映像に、前記携帯端末のカメラによって前記車室内の現実の撮影環境下において実際に撮影された前記車外の被写体の撮影映像が半透明化された上で重畳された第4の車外映像を提供可能とされ、前記第4の車外映像を提供するために、前記車載カメラ/撮影領域部位特定手段は、前記端末情報に反映された前記携帯端末のカメラの向きに最も近い向きの前記車載カメラを特定し、前記画像処理手段は、前記所定の画像処理によって前記第1の車外映像を生成し、前記車載機および前記携帯端末の少なくとも一方は、前記画像処理手段によって生成された前記第1の車外映像に前記実際に撮影された車外の被写体の撮影映像を半透明化した上で重畳することにより、前記第4の車外映像を生成する第2の提供映像生成手段を備えてもよい。
【0020】
そして、このような構成によれば、車両上の撮影障害物が半透明化された高品質な第4の車外映像を提供することもできるので、利便性を更に向上させることができる。
【0021】
さらにまた、前記車載カメラは、広角レンズを有する広視野角範囲を撮影可能とされたカメラであり、前記所定の画像処理は、前記広角レンズに起因した前記映像部位の歪みを補正する歪み補正処理を含んでもよい。
【0022】
そして、このような構成によれば、歪みが低減されたより高品質な車外映像を提供することができる。
【0023】
また、前記端末情報は、前記携帯端末のカメラの焦点距離に関する情報を含んでもよい。
【0024】
そして、このような構成によれば、車載機側において、携帯端末のカメラが狙う車外の被写体を正確に検知することができるので、ユーザの意思をより忠実に反映した車外映像を提供することができる。
【0025】
さらに、生成された前記提供すべき車外映像を、前記車載機の表示部に表示することによって提供可能とされていてもよい。
【0026】
そして、このような構成によれば、車外映像を車載機の大画面上に提供することができるので、視認性が良好なガイド機能を実現することができる。
【0027】
さらにまた、生成された前記提供すべき車外映像を、前記携帯端末の表示部に表示することによって提供可能とされていてもよい。
【0028】
そして、このような構成によれば、携帯端末のみでは実現できなかった高品質なAR表示を携帯端末上において実現することができる。
【0029】
また、前記車載機および前記携帯端末の少なくとも一方は、生成された前記第2の車外映像を保存する保存手段を備えてもよい。
【0030】
そして、このような構成によれば、第2の車外映像を保存することによって、エアタグによる説明付きの旅の記録を高品質な映像作品に仕上げることができる。
【0031】
さらに、前記複数台の車載カメラは、前記車両の周辺を監視するための監視映像を前記車載機の表示部に表示するためのものであってもよい。
【0032】
そして、このような構成によれば、既存の車載装備を活用することができるので、部品点数の増加を抑制することができ、車室内における車外の地物のガイド機能を経済的に実現することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、車外映像を利用した車室内における高品質なAR表示を実現することができ、ひいては、車室内における車外の地物のガイド機能を適正に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る車外映像提供システムの第1実施形態を示す概略構成図
【図2】第1実施形態において、車載カメラの配置例を説明するための説明図
【図3】第1実施形態において、第1の車外映像の一例を示す図
【図4】第1実施形態において、第2の車外映像の一例を示す図
【図5】第1実施形態を示すフローチャート
【図6】第1実施形態の変形例を示す概略構成図
【図7】本発明に係る車外映像提供システムの第2実施形態を示す概略構成図
【図8】第2実施形態において、車載カメラおよび撮影領域中の部位の特定を説明するための説明図
【図9】第2実施形態において、反転処理による第3の車外映像の生成を説明するための説明図
【図10】第2実施形態において、第4の車外映像の一例を模式的に示す図
【図11】第2実施形態を示すフローチャート
【図12】従来のAR表示の問題点を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る車外映像提供システムの第1実施形態について、図1乃至図6を参照して説明する。
【0036】
図1に示すように、本実施形態における車外映像提供システム1は、大別して、
携帯電話機、スマートフォンまたは電子書籍等からなる携帯端末2と、車載機3と、複数台(図1において5台)の車載カメラ4とによって構成されている。携帯端末2は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の無線通信手段やUSB等の有線通信手段によって車載機3への通信接続が可能とされている。また、各車載カメラ4は、接続ケーブルによって車載機3に電気的に接続されている。
【0037】
より具体的には、図1に示すように、携帯端末2には、これの所定の表面側に外光を捕捉可能な状態で配置されたレンズを備えたデジタル方式のカメラ5が搭載されている。このカメラ5は、起動状態において、レンズを介して外部から取込まれた物体の像(物体光)を、CCDやCMOS等の固体撮像素子の撮像面に撮影映像として結像させるようになっている。そして、撮像面に結像された撮影映像は、シャッターが切られる前においても、カメラ5のレンズに対して背面側に設けられた表示部6にリアルタイムに表示(ライブビュー表示)されて確認することが可能となっている。また、図1に示すように、携帯端末2には、地磁気センサ(デジタルコンパス)、3軸加速度センサ(ジャイロスコープ)およびズームレベル/フォーカスレベル制御部等の各種のセンシングデバイス7が搭載されており、このセンシングデバイス7によって、携帯端末2(カメラ5)の方角(東西南北)、角度(ロール、ピッチ、ヨー)および焦点距離を検出可能とされている。さらに、図1に示すように、携帯端末2には、GPSレシーバ等からなる位置検出デバイス8が搭載されており、この位置検出デバイス8によって、携帯端末2の位置(現在地)を絶対座標として検出するようになっている。さらにまた、携帯端末2には、AR機能がアプリケーションソフト19として搭載されており、このAR機能をユーザ操作によって起動させることにより、表示部6に表示された撮影映像上に、この撮影映像中の地物に該当するエアタグ(付加情報)を重畳表示させることが可能とされている。ここで、エアタグは、インターネットを通じてユーザ間で共有された情報であり、位置検出デバイス8およびセンシングデバイス7によって検出される位置情報、方角情報および角度情報等を利用してユーザの居場所およびカメラ5の向きと対応付けられているため、AR機能の起動中における携帯端末2の位置およびカメラ5の向きに対応するエアタグをインターネットを介して取得して表示することが可能となっている。また、図1に示すように、携帯端末2は、CPU等からなる制御部20を有しており、この制御部20は、携帯端末2の各種の処理を行うようになっている。
【0038】
一方、図2に示すように、各車載カメラ4は、車両9の互いに異なる取り付け位置に、互いに異なる所定の向きに取り付けられており、車両9の周辺を各取り付け位置における各向きに応じた所定の撮影領域ごとに撮影可能とされている。さらに、各車載カメラ4は、魚眼レンズ等の広角レンズが搭載された広視野角範囲を撮影可能とされたカメラとされている。さらにまた、各車載カメラ4は、それぞれの撮影領域を所定のフレームレートで撮影し、撮影映像をCCDやCMOS等の固体撮像素子の撮像面に結像するデジタルカメラとされている。図2の例では、各車載カメラ4のうちの1台4aは、車両9の左前部(例えば、左前照灯)に、車両9の左前方の路面を斜め上から見下ろすような向き(姿勢)で取り付けられた左フロントカメラ4aとされており、この左フロントカメラ4aは、車両9の左前方の路面上を中心とした撮影領域を撮影可能とされている。また、この他の車載カメラ4のうちの1台4bは、車両9の右前部(例えば、右前照灯)に、車両9の右前方の路面を斜め上から見下ろすような向きで取り付けられた右フロントカメラ4bとされており、この右フロントカメラ4bは、車両9の右前方の路面上を中心とした撮影領域を撮影可能とされている。さらに、これらの他の車載カメラ4のうちの1台4cは、車両9の左側部(例えば、左ドアミラー)に、車両9の左側方の路面を斜め上から見下ろすような向きで取り付けられた左サイドカメラ4cとされており、この左サイドカメラ4cは、車両9の左側方の路面上を中心とした撮影領域を撮影可能とされている。さらにまた、これらの他の車載カメラ4のうちの1台4dは、車両9の右側部(例えば、右ドアミラー)に、車両9の右側方の路面を斜め上から見下ろすような向きで取り付けられた右サイドカメラ4dとされており、この右サイドカメラ4dは、車両9の右側方の路面上を中心とした撮影領域を撮影可能とされている。また、残りの1台の車載カメラ4eは、車両9の後部(例えば、リアライセンスガーニッシュ部)に、車両9の後方の路面を斜め上から見下ろすような向きで取り付けられたバックカメラ4eとされており、このバックカメラ4eは、車両9の後方の路面上を中心とした撮影領域を撮影可能とされている。
【0039】
そして、本実施形態における車外映像提供システム1は、携帯端末2、各車載カメラ4および車載機3の連携(連動)によって、所望の車外映像としての第2の車外映像をユーザに提供することが可能とされている。ただし、第2の車外映像とは、車両9の車室内において携帯端末2のカメラ5によってこれの向きに対応した車外の被写体を車両9上の撮影障害物が除去されたと仮定した撮影環境下で撮影した場合に得られるべき第1の車外映像に、AR機能に基づくエアタグ(付加情報)の重畳がなされた映像のことである。
【0040】
具体的には、図1に示すように、車載機3は、その主制御部としてのECU (Electrical Control Unit)10を有しており、このECU10は、不図示の記憶部(ROM等)に記憶されたプログラムを実行することにより、提供すべき映像を生成するための各種の処理を行うようになっている。
【0041】
すなわち、図1に示すように、ECU10は、端末情報取得手段としての端末情報取得部11を有している。この端末情報取得部11は、車載機3との接続状態が確立された(通信可能となった)携帯端末2から、携帯端末2のカメラ5の向きに関する情報を含む第2の車外映像(提供すべき車外映像)の生成に必要な端末情報を、通信によって取得するようになっている。この端末情報には、前述したセンシングデバイス7の検出結果が含まれている。また、この他にも、端末情報には、位置検出デバイス8の検出結果、カメラ5の画角の情報および第2の車外映像の要求信号等が含まれていてもよい。
【0042】
また、図1に示すように、ECU10は、車載カメラ/撮影領域部位特定手段としての車載カメラ/撮影領域部位特定部12を有している。この車載カメラ/撮影領域部位特定部12は、端末情報取得部11によって取得された端末情報に対応した車載カメラ4と、これの撮影領域中の部位とを特定するようになっている。具体的には、本実施形態において、車載カメラ/撮影領域部位特定部12は、端末情報に反映された携帯端末2のカメラ5の向き(方角・角度)に最も近い向きの車載カメラ4を特定するとともに、この特定した車載カメラ4の撮影領域から、例えば、端末情報に基づいて検出された携帯端末2のカメラ5の撮影領域に該当する部位を、被写体に相当する部位として特定するようになっている。このとき、車載カメラ4の向きに関する情報としては、車載カメラ4の既知の外部パラメータを不図示の記憶部に記憶させたものを用いるようにしてもよい。また、このとき、携帯端末2のカメラ5の向きを示す端末情報のうちの角度情報については、車両9に搭載されたナビゲーション装置用の加速度センサの検出値を差し引くことによって、車両9の加速度の影響を除去した純粋な重力加速度(端末2の傾き)の情報に補正した上で扱うようにすることが望ましい。さらに、このとき、前述のように、車載カメラ4の撮影領域から、携帯端末2のカメラ5の撮影領域に該当する部位を特定する場合には、端末情報や車載カメラ4の既知の情報等に基づいて、両カメラ4,5の向き、位置および画角等の差分を算出した上で、算出された差分を用いて該当する部位を特定するようにしてもよい。この場合に、車載カメラ4の位置については、車両9の所定の基準位置に対する相対位置として記憶部に記憶させたものを用いるようにしてもよい。一方、携帯端末2のカメラ5の位置については、車両9の基準位置に対するカメラ5の相対位置を検出するための手段(例えば、カメラ5の操作者が車両9のいずれの座席に座っているのかを端末情報として車載機3に通知し、車載機3側において、通知された座席に対応付けられた所定の固定位置を相対位置と決定する手段であってもよい)を設けることによって検出してもよい。あるいは、そのような手段を設けない場合には、車両9の基準位置に対して予め固定された車室内の所定位置(例えば、車体中央の所定高さの位置)を、携帯端末2のカメラ5の位置とみなしてもよい。もしくは、被写体の検出精度をある程度犠牲にする場合もあるが、両カメラ4、5の位置は同一である(位置の差分は0)とみなしてもよい。
【0043】
さらに、図1に示すように、ECU10は、映像部位切り出し手段としての映像部位切り出し部14を有している。この映像部位切り出し部14は、車載カメラ/撮影領域部位特定部12によって特定された車載カメラ4の撮影映像から、車載カメラ/撮影領域部位特定部12によって特定された当該車載カメラ4の撮影領域中の部位に該当する映像部位を切り出すようになっている。このとき、車載カメラ4の撮影映像としては、図1に示すように、ECU10内の映像キャプチャ部13に取得されて保持されているものを用いるようになっている。ここで、図2の破線枠Fは、車載カメラ/撮影領域部位特定部12によって特定された左フロントカメラ4aの撮影映像Iから、車載カメラ/撮影領域部位特定部12によって特定された左フロントカメラ4aの撮影領域中の部位に該当する映像部位として切り出される範囲を例示したものである。
【0044】
図1に戻って、ECU10は、画像処理手段としての画像処理部15を有している。この画像処理部15は、映像部位切り出し部14によって切り出された映像部位に対して、第2の車外映像の生成に必要な所定の画像処理を行うようになっている。本実施形態において、この所定の画像処理は、車載カメラ4の取り付け角等に起因する映像の傾きや広角レンズのディストーションに起因する映像の歪みを補正する視点変換処理および歪み補正処理によって構成されている。そして、画像処理部15は、このような所定の画像処理を行うことによって、第1の車外映像を生成するようになっている。
【0045】
ここで、図3は、このようにして生成された第1の車外映像として、図12と同様の車外風景に該当する撮影映像を示したものである。この第1の車外映像は、車室内の撮影障害物が一切映り込んでいない高品質な映像となっている。
【0046】
図1に戻って、車外映像提供システム1は、提供映像生成手段としての提供映像生成部16を有している。この提供映像生成部16は、画像処理部15によって生成された第1の車外映像に、携帯端末2に搭載されたAR機能に基づくエアタグを重畳することにより、第2の車外映像を生成するようになっている。このような提供映像生成部16は、車載機3(ECU10)に備えられていてもよく、または、携帯端末2(制御部20)に備えられていてもよく、あるいは、車載機3および携帯端末2の双方に備えられていてもよい。ここで、提供映像生成部16を車載機3に備える場合には、端末情報に、携帯端末2のカメラ5の撮影領域に応じたエアタグ情報(エアタグに対応付けられた位置情報も含む)を含ませるように構成し、提供映像生成部16は、この情報を取得して第1の車外映像における該当位置に貼り付けることによって第2の車外映像を生成すればよい。一方、提供映像生成部16を携帯端末2に備える場合には、提供映像生成部16は、画像処理部15によって生成された第1の車外映像を、通信によって車載機3から取得し、取得された第1の車外映像に、携帯端末2によって取得されたエアタグを貼り付けることによって第2の車外映像を生成すればよい。そして、提供映像生成部16は、このようにして生成された第2の車外映像を、車載機3の表示部17および携帯端末2の表示部6の少なくとも一方に表示することによって、ユーザに提示するようになっている。
【0047】
ここで、図4は、このようにして表示された第2の車外映像として、図3に対応するAR表示映像を示したものである。このAR表示映像を図12と比較すれば分かるように、本実施形態によれば、車室内の撮影障害物が一切映り込んでいない高品質な第2の車外映像を表示することができ、この映像を見たユーザは、エアタグに基づいて映像中の地物を容易かつ正確に把握することができる。
【0048】
次に、本実施形態の作用について、図5を参照して説明する。
【0049】
なお、便宜上、図5の初期状態においては、携帯端末2と車載機3との接続状態が、図示しない両者の通信モジュールを介して確立されているものとする。また、このとき、携帯端末2は、ユーザ操作を契機として、制御部20によってカメラ5が起動されているとともに、このカメラ5による車外風景の撮像映像(車室内の撮影障害物が映り込んだ現実の撮影環境下での撮影映像)が、ファインダ機能によって表示部に6にリアルタイム表示されているものとする。さらに、このとき、携帯端末2は、自らの記憶部に記憶されたAR機能のアプリケーションソフト19がユーザ操作を契機として制御部20によって起動されており、カメラ5の撮影映像中の地物に該当するエアタグが、インターネットを通じて取得された上で、当該撮影映像上の該当位置に重畳表示されているものとする。さらにまた、このとき、携帯端末2のアプリケーションソフトによって、携帯端末2の表示部6には、車載カメラ4の撮影映像を利用したAR表示の実行を指示する操作が可能とされた操作ボタンが表示されているものとする。この操作ボタンの表示は、例えば、「車載カメラの映像が利用できます」といったメッセージの表示をともなってもよい。また、このとき、各車載カメラ4は、それぞれの撮影領域の撮影を開始しているものとする。この車載カメラ4による撮影の開始は、携帯端末2と車載機3との接続の確立を契機として行うようにしてもよいし、あるいは、Acc電源の投入を契機として行うようにしてもよい。
【0050】
そして、このような初期状態から、まず、図5のステップ1(ST1)において、携帯端末2の制御部20により、携帯端末2に対するユーザ操作として、車載カメラ4の撮影映像を利用したAR表示の実行を指示する操作が行われたか否かを判定する。そして、ステップ1(ST1)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ2(ST2)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ1(ST1)を繰り返す。
【0051】
次いで、ステップ2(ST2)において、携帯端末2の通信機能により、車載機3への端末情報の送信を行う。
【0052】
次いで、ステップ3(ST3)において、端末情報取得部11により、ステップ2(ST2)において送信された端末情報を受信して取得する。
【0053】
次いで、ステップ4(ST4)において、車載カメラ/撮影領域部位特定部12により、ステップ3(ST3)において取得された端末情報に基づいて、対応する車載カメラ4およびこれの撮影領域中の部位を特定する。
【0054】
次いで、ステップ5(ST5)において、映像部位切り出し部14により、ステップ4(ST4)において特定された車載カメラ4の撮影映像から、ステップ4(ST4)において特定された当該車載カメラ4の撮影領域中の部位に該当する映像部位を切り出す。
【0055】
次いで、ステップ6(ST6)において、画像処理部15により、ステップ5(ST5)において切り出された映像部位に対する視点変換処理を行う。
【0056】
次いで、ステップ7(ST7)において、画像処理部15により、ステップ6(ST6)において視点変換処理が行われた映像部位に対する歪み補正処理を行うことによって、第1の車外映像を生成する。
【0057】
次いで、ステップ8(ST8)において、提供映像生成部16により、ステップ7(ST7)において生成された第1の車外映像にエアタグを重畳させることによって、第2の車外映像を生成する。
【0058】
次いで、ステップ9(ST9)により、提供映像生成部16により、ステップ8(ST8)において生成された第2の車外映像を表示部6、17に表示して処理を終了する。
(変形例)
次に、図6は、本実施形態の変形例を示したものである。
【0059】
本変形例における車外映像提供システム1は、図1に示した基本構成に加えて、更に、保存手段としての提供映像保存処理部18を有している。この提供映像保存処理部18は、提供映像生成部16によって生成された第2の車外映像を、ユーザ操作を契機として、自らの記憶領域に記録することによって保存するようになっている。この提供映像保存処理部18は、車載機3および携帯端末2のうち、提供映像生成部16が備えられたいずれか一方もしくは双方に備えられている。また、提供映像保存処理部18によって保存された第2の車外映像は、この提供映像保存処理部18を備えたデバイス3、2の再生表示機能によって読み出して再生表示することが可能とされている。
【0060】
このような構成によれば、第2の車外映像を保存することによって、エアタグによる説明付きの旅の記録を高品質な映像作品に仕上げることができる。
【0061】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る車外映像提供システムの第2実施形態について、第1実施形態との差異を中心として、図7乃至図11を参照して説明する。
【0062】
なお、便宜上、第1実施形態と基本的構成が同一もしくはこれに類する箇所については、同一の符号を用いて説明する。
【0063】
図7に示す本実施形態における車外映像提供システム21は、提供すべき車外映像として、第2の車外映像を提供可能とされている点で第1実施形態と同様である。
【0064】
ただし、本実施形態における車外映像提供システム21は、第1実施形態とは異なり、第2の車外映像以外にも、第3の車外映像および第4の車外映像を選択的に提供することが可能とされている。ここで、第3の車外映像とは、携帯端末2のカメラ5と正反対を向いた携帯端末2の表示部6がミラーであると仮定した場合に、車室内において端末情報に反映された当該カメラ5の向きと正反対向きの当該ミラーに車両上の障害物が除去されたと仮定した環境下で映されるべき車外の鏡像に相当する映像のことである。また、第4の車外映像とは、第1の車外映像に、携帯端末2のカメラ5によって車室内の現実の撮影環境下において実際に撮影された車外の被写体の撮影映像が半透明化された上で重畳された映像のことである。
【0065】
第2の車外映像、第3の車外映像および第4の車外映像のいずれを提供すべきかについては、これらの1つを選択するためのメニュー画面を携帯端末2の表示部6に表示した上で、このメニュー画面に対するユーザ操作の結果に応じて選択してもよい。
【0066】
ここで、第2の車外映像を提供するための構成については第1実施形態で既に述べた通りであるので、本実施形態においては、第3の車外映像および第4の車外映像を提供するための特有の構成に重点を置いて説明する。
【0067】
(第3の車外映像を提供するための構成)
まず、第3の車外映像を提供する場合には、車載カメラ/撮影領域部位特定部12は、端末情報に反映された携帯端末2のカメラ5の向きと正反対に最も近い向きの車載カメラ4を特定するようになっている。このとき、車載カメラ/撮影領域部位特定部12は、車載カメラ4の撮影領域中の部位の特定については、カメラ5を現在の向きから正反対向きにしたと仮定した場合におけるカメラ5の撮影領域を、端末情報における方角情報および角度情報を180°逆転させること等によって求めた上で、求められた撮影領域に該当する部位を、車載カメラ4の撮影領域中から特定することによって行うようにしてもよい。
【0068】
例えば、ユーザがカメラ5を前方に向けている場合には、図8に示すように、車載カメラ/撮影領域部位特定部12によってバックカメラ4eの撮影領域中の該当する部位(同図破線枠F参照)が特定されることになる。
【0069】
また、第3の車外映像を提供する場合には、画像処理部15は、所定の画像処理として、前述した視点変換処理および歪み補正処理の後に、映像部位の左右を反転させる反転処理を行うようになっている。
【0070】
図9は、このような反転処理の一例を、反転前の映像(a)および反転後の映像(b)を用いて示したものである。この反転処理は、提供すべき映像が鏡像映像であることによるものである。
【0071】
そして、このような反転処理によって、図9(b)のような第3の車外映像が生成されるようになっている。
【0072】
さらに、画像処理部15は、このようにして生成された第3の車外映像を、車載機3の表示部17への表示および/または通信を介した携帯端末2の表示部6への表示によってユーザに提供するようになっている。
【0073】
(第4の車外映像を提供するための構成)
次に、第4の車外映像を提供する場合には、車外映像提供システム21は、第1実施形態と同様の手法によって、第1の車外映像を生成するようになっている。
【0074】
そして、図7に示すように、第4の車外映像を提供するための構成として、車外映像提供システム21は、第2の提供映像生成手段としての第2の提供映像生成部22を有している。この第2の提供映像生成部22は、画像処理部15によって生成された第1の車外映像に、携帯端末2のカメラ5によって車室内の現実の撮影環境下において実際に撮影された車外の被写体の撮影映像を半透明化した上で重畳することにより、第4の車外映像を生成するようになっている。なお、車外の被写体の撮影映像は、第1の車外映像と同一サイズの映像であり、両映像は、両カメラ4、5によって互いに同時期に撮影された映像に基づくものである。両映像は、車両上の撮影障害物以外の部分が互いに一致していることが望ましい。
【0075】
ここで、図10は、このような第4の車外映像の一例を模式的に示したものである。
【0076】
このような第2の提供映像生成部22は、車載機3(ECU10)に備えられていてもよく、または、携帯端末2(制御部20)に備えられていてもよく、あるいは、車載機3および携帯端末2の双方に備えられていてもよい。ここで、第2の提供映像生成部22を車載機3に備える場合には、端末情報に、携帯端末2のカメラ5の撮影映像を含ませるように構成し、提供映像生成部22は、この映像を取得して半透明化した上で第1の車外映像に重畳することによって第4の車外映像を生成すればよい。一方、第2の提供映像生成部22を携帯端末2に備える場合には、第2の提供映像生成部22は、画像処理部15によって生成された第1の車外映像を、通信によって車載機3から取得し、取得された第1の車外映像に、携帯端末2のカメラ5の撮影映像を半透明化した上で重畳することによって第4の車外映像を生成すればよい。そして、第2の提供映像生成部22は、このようにして生成された第4の車外映像を、車載機3の表示部17および携帯端末2の表示部6の少なくとも一方に表示することによって、ユーザに提示するようになっている。
【0077】
次に、本実施形態の作用について、図11を参照して説明する。
【0078】
なお、便宜上、図11の初期状態においては、携帯端末2と車載機3との接続状態が確立されているものとする。また、このとき、携帯端末2は、ユーザ操作を契機として、制御部20によってカメラ5が起動されているとともに、このカメラ5による車外風景の撮像映像が、ファインダ機能によって表示部に6にリアルタイム表示されているものとする。さらに、このとき、携帯端末2の表示部6には、ユーザ操作を契機として、第2〜第4の車外映像のいずれかの表示を選択可能な操作ボタンが表示されているものとする。
【0079】
そして、このような初期状態から、まず、図11のステップ11(ST11)において、携帯端末2の制御部20により、携帯端末2に対するユーザ操作として、第2〜第4の車外映像のいずれかの表示を選択する操作が行われたか否かを判定する。そして、ステップ11(ST11)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ12(ST12)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ11(ST11)を繰り返す。
【0080】
次いで、ステップ12(ST12)において、制御部20により、ステップ11(ST11)において選択されたのは、第2の車外映像であるか否かを判定する。そして、ステップ12(ST12)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ13(ST13)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ14(ST14)に進む。
【0081】
ここで、ステップ13(ST13)に進んだ場合には、制御部20により、携帯端末2のAR機能を起動してカメラ5の撮影映像に該当するエアタグを取得する。そして、ステップ13(ST13)の後は、第1実施形態の図5のステップ2(ST2)以降の各工程を順次実行することによって、第2の車外映像を表示部6、17に表示する。
【0082】
一方、ステップ14(ST14)に進んだ場合には、制御部20により、ステップ11(ST11)において選択されたのは、第3の車外映像であるか否かを判定する。
【0083】
ここで、ステップ14(ST14)において肯定的な判定結果が得られた場合における後続の一連の工程について先に説明する。
【0084】
すなわち、ステップ14(ST14)において肯定的な判定結果が得られた場合には、第1実施形態の図5のステップ2(ST2)〜ステップ7(ST7)の一連の工程を順次実行した後に、ステップ15(ST15)に進む。ただし、本実施形態においては、ステップ4における車載カメラ4の特定の際に、カメラ5の向きとは正反対の向きに最も近い車載カメラ4を特定する。
【0085】
次いで、ステップ15(ST15)において、画像処理部15により、ステップ7(ST7)における歪み補正処理後の映像部位に対して、反転処理を行うことにより、第3の車外映像を生成する。
【0086】
次いで、ステップ16(ST16)において、画像処理部15により、ステップ15(ST15)において生成された第3の車外映像を表示部6、17に表示して処理を終了する。
【0087】
次に、ステップ14(ST14)において否定的な判定結果が得られた場合における後続の一連の工程について説明する。
【0088】
すなわち、ステップ14(ST14)において否定的な判定結果が得られた場合には、第1実施形態の図5のステップ2(ST2)〜ステップ7(ST7)の一連の工程を順次実行した後に、ステップ17(ST17)に進む。
【0089】
次いで、ステップ17(ST17)において、第2の提供映像生成部22により、ステップ7(ST7)において生成された第1の車外映像に、携帯端末2のカメラ2の撮影映像を半透明化した上で重畳することによって、第4の車外映像を生成する。
【0090】
次いで、ステップ18(ST18)において、第2の提供映像生成部22により、ステップ17(ST17)において生成された第4の車外映像を表示部6、17に表示して処理を終了する。
【0091】
以上述べたように、本発明によれば、車両上の撮影障害物が映り込んでいない第1の車外映像に基づく高品質な第2の車外映像を提供することによって、第2の車外映像上の地物をエアタグに基づいて正確に把握することができるので、車室内における車外の地物のガイド機能を適正に発揮することができる。
【0092】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【0093】
例えば、車載機3および車載カメラ4は、複数の携帯端末2と同時に連携して、各端末2ごとの所望の車外映像を各端末2に向けて個別に提供するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 車外映像提供システム
2 携帯端末
3 車載機
4 車載カメラ
5 カメラ
11 端末情報取得部
12 車載カメラ/撮影領域部位特定部
14 映像部位切り出し部
15 画像処理部
16 提供映像生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラが搭載され、当該カメラの撮影映像を表示部に表示可能とされているとともに、当該撮影映像上にこの映像中の地物に関連する付加情報を重畳表示する拡張現実機能を実行可能とされた携帯端末と、
車両の互いに異なる所定の取り付け位置に、互いに異なる所定の向きに取り付けられ、前記車両の周辺を前記各取り付け位置における各向きに応じた所定の撮影領域ごとに撮影する複数台の車載カメラと、
前記携帯端末が接続可能とされるとともに前記複数台の車載カメラが接続された車載機と
を備え、
前記携帯端末、前記車載カメラおよび前記車載機の連携によって所望の車外映像をユーザに提供するための車外映像提供システムであって、
前記車載機は、
接続された前記携帯端末から、前記携帯端末のカメラの向きに関する情報を含む提供すべき車外映像の生成に必要な端末情報を取得する端末情報取得手段と、
この端末情報取得手段によって取得された前記端末情報に対応した前記車載カメラおよびこれの前記撮影領域中の部位を特定する車載カメラ/撮影領域部位特定手段と、
この車載カメラ/撮影領域部位特定手段によって特定された前記車載カメラの撮影映像から、当該車載カメラ/撮影領域部位特定手段によって特定された前記撮影領域中の部位に該当する映像部位を切り出す映像部位切り出し手段と、
この映像部位切り出し手段によって切り出された前記映像部位に対して、前記提供すべき車外映像の生成に必要な所定の画像処理を行う画像処理手段と
を備え、
前記提供すべき車外映像として、前記車両の車室内において前記携帯端末のカメラによって前記端末情報に反映された当該カメラの向きに対応した車外の被写体を前記車両上の撮影障害物が除去されたと仮定した撮影環境下で撮影した場合に得られるべき第1の車外映像に、前記拡張現実機能に基づく前記付加情報の重畳がなされた第2の車外映像を提供可能とされ、
前記第2の車外映像を提供するために、
前記車載カメラ/撮影領域部位特定手段は、前記端末情報に反映された前記携帯端末のカメラの向きに最も近い向きの前記車載カメラを特定し、
前記画像処理手段は、前記所定の画像処理によって前記第1の車外映像を生成し、
前記車載機および前記携帯端末の少なくとも一方は、前記画像処理手段によって生成された前記第1の車外映像に前記付加情報を重畳することにより、前記第2の車外映像を生成する提供映像生成手段を備えたこと
を特徴とする車外映像提供システム。
【請求項2】
前記提供すべき車外映像として、前記携帯端末のカメラと正反対を向いた前記携帯端末の表示部がミラーであると仮定した場合に、前記車室内において前記端末情報に反映された当該カメラの向きと正反対向きの当該ミラーに前記車両上の障害物が除去されたと仮定した環境下で映されるべき車外の鏡像に相当する第3の車外映像を提供可能とされ、
前記第3の車外映像を提供するために、
前記車載カメラ/撮影領域部位特定手段は、前記端末情報に反映された前記携帯端末のカメラの向きと正反対に最も近い向きの前記車載カメラを特定し、
前記画像処理手段は、前記所定の画像処理として、前記映像部位の左右を反転させる反転処理を含む処理を行うことにより、前記第3の車外映像を生成すること
を特徴とする請求項1に記載の車外映像提供システム。
【請求項3】
前記提供すべき車外映像として、前記第1の車外映像に、前記携帯端末のカメラによって前記車室内の現実の撮影環境下において実際に撮影された前記車外の被写体の撮影映像が半透明化された上で重畳された第4の車外映像を提供可能とされ、
前記第4の車外映像を提供するために、
前記車載カメラ/撮影領域部位特定手段は、前記端末情報に反映された前記携帯端末のカメラの向きに最も近い向きの前記車載カメラを特定し、
前記画像処理手段は、前記所定の画像処理によって前記第1の車外映像を生成し、
前記車載機および前記携帯端末の少なくとも一方は、前記画像処理手段によって生成された前記第1の車外映像に前記実際に撮影された車外の被写体の撮影映像を半透明化した上で重畳することにより、前記第4の車外映像を生成する第2の提供映像生成手段を備えたこと
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の車外映像提供システム。
【請求項4】
前記車載カメラは、広角レンズを有する広視野角範囲を撮影可能とされたカメラであり、
前記所定の画像処理は、前記広角レンズに起因した前記映像部位の歪みを補正する歪み補正処理を含むこと
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車外映像提供システム。
【請求項5】
前記端末情報は、前記携帯端末のカメラの焦点距離に関する情報を含むこと
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車外映像提供システム。
【請求項6】
生成された前記提供すべき車外映像を、前記車載機の表示部に表示することによって提供可能とされていること
を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の車外映像提供システム。
【請求項7】
生成された前記提供すべき車外映像を、前記携帯端末の表示部に表示することによって提供可能とされていること
を特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の車外映像提供システム。
【請求項8】
前記車載機および前記携帯端末の少なくとも一方は、生成された前記第2の車外映像を保存する保存手段を備えたこと
を特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の車外映像提供システム。
【請求項9】
前記複数台の車載カメラは、前記車両の周辺を監視するための監視映像を前記車載機の表示部に表示するためのものであること
を特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の車外映像提供システム。
【請求項1】
カメラが搭載され、当該カメラの撮影映像を表示部に表示可能とされているとともに、当該撮影映像上にこの映像中の地物に関連する付加情報を重畳表示する拡張現実機能を実行可能とされた携帯端末と、
車両の互いに異なる所定の取り付け位置に、互いに異なる所定の向きに取り付けられ、前記車両の周辺を前記各取り付け位置における各向きに応じた所定の撮影領域ごとに撮影する複数台の車載カメラと、
前記携帯端末が接続可能とされるとともに前記複数台の車載カメラが接続された車載機と
を備え、
前記携帯端末、前記車載カメラおよび前記車載機の連携によって所望の車外映像をユーザに提供するための車外映像提供システムであって、
前記車載機は、
接続された前記携帯端末から、前記携帯端末のカメラの向きに関する情報を含む提供すべき車外映像の生成に必要な端末情報を取得する端末情報取得手段と、
この端末情報取得手段によって取得された前記端末情報に対応した前記車載カメラおよびこれの前記撮影領域中の部位を特定する車載カメラ/撮影領域部位特定手段と、
この車載カメラ/撮影領域部位特定手段によって特定された前記車載カメラの撮影映像から、当該車載カメラ/撮影領域部位特定手段によって特定された前記撮影領域中の部位に該当する映像部位を切り出す映像部位切り出し手段と、
この映像部位切り出し手段によって切り出された前記映像部位に対して、前記提供すべき車外映像の生成に必要な所定の画像処理を行う画像処理手段と
を備え、
前記提供すべき車外映像として、前記車両の車室内において前記携帯端末のカメラによって前記端末情報に反映された当該カメラの向きに対応した車外の被写体を前記車両上の撮影障害物が除去されたと仮定した撮影環境下で撮影した場合に得られるべき第1の車外映像に、前記拡張現実機能に基づく前記付加情報の重畳がなされた第2の車外映像を提供可能とされ、
前記第2の車外映像を提供するために、
前記車載カメラ/撮影領域部位特定手段は、前記端末情報に反映された前記携帯端末のカメラの向きに最も近い向きの前記車載カメラを特定し、
前記画像処理手段は、前記所定の画像処理によって前記第1の車外映像を生成し、
前記車載機および前記携帯端末の少なくとも一方は、前記画像処理手段によって生成された前記第1の車外映像に前記付加情報を重畳することにより、前記第2の車外映像を生成する提供映像生成手段を備えたこと
を特徴とする車外映像提供システム。
【請求項2】
前記提供すべき車外映像として、前記携帯端末のカメラと正反対を向いた前記携帯端末の表示部がミラーであると仮定した場合に、前記車室内において前記端末情報に反映された当該カメラの向きと正反対向きの当該ミラーに前記車両上の障害物が除去されたと仮定した環境下で映されるべき車外の鏡像に相当する第3の車外映像を提供可能とされ、
前記第3の車外映像を提供するために、
前記車載カメラ/撮影領域部位特定手段は、前記端末情報に反映された前記携帯端末のカメラの向きと正反対に最も近い向きの前記車載カメラを特定し、
前記画像処理手段は、前記所定の画像処理として、前記映像部位の左右を反転させる反転処理を含む処理を行うことにより、前記第3の車外映像を生成すること
を特徴とする請求項1に記載の車外映像提供システム。
【請求項3】
前記提供すべき車外映像として、前記第1の車外映像に、前記携帯端末のカメラによって前記車室内の現実の撮影環境下において実際に撮影された前記車外の被写体の撮影映像が半透明化された上で重畳された第4の車外映像を提供可能とされ、
前記第4の車外映像を提供するために、
前記車載カメラ/撮影領域部位特定手段は、前記端末情報に反映された前記携帯端末のカメラの向きに最も近い向きの前記車載カメラを特定し、
前記画像処理手段は、前記所定の画像処理によって前記第1の車外映像を生成し、
前記車載機および前記携帯端末の少なくとも一方は、前記画像処理手段によって生成された前記第1の車外映像に前記実際に撮影された車外の被写体の撮影映像を半透明化した上で重畳することにより、前記第4の車外映像を生成する第2の提供映像生成手段を備えたこと
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の車外映像提供システム。
【請求項4】
前記車載カメラは、広角レンズを有する広視野角範囲を撮影可能とされたカメラであり、
前記所定の画像処理は、前記広角レンズに起因した前記映像部位の歪みを補正する歪み補正処理を含むこと
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車外映像提供システム。
【請求項5】
前記端末情報は、前記携帯端末のカメラの焦点距離に関する情報を含むこと
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車外映像提供システム。
【請求項6】
生成された前記提供すべき車外映像を、前記車載機の表示部に表示することによって提供可能とされていること
を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の車外映像提供システム。
【請求項7】
生成された前記提供すべき車外映像を、前記携帯端末の表示部に表示することによって提供可能とされていること
を特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の車外映像提供システム。
【請求項8】
前記車載機および前記携帯端末の少なくとも一方は、生成された前記第2の車外映像を保存する保存手段を備えたこと
を特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の車外映像提供システム。
【請求項9】
前記複数台の車載カメラは、前記車両の周辺を監視するための監視映像を前記車載機の表示部に表示するためのものであること
を特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の車外映像提供システム。
【図5】
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図11】
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【図10】
【図12】
【公開番号】特開2013−55416(P2013−55416A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190818(P2011−190818)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】
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