説明

車載用レーダ装置

【課題】
高精度な車載用レーダ装置を提供する。
【解決手段】
車載用レーダ装置は、周期毎に二つの電圧を切り替えながら徐々に減少するように変化する制御電圧波形を生成する2周波Ramp変調処理部(401)と、2周波変調処理部で生成した制御電圧波形を補正する変調補正処理部(403)と、変調補正処理部からの出力電圧値に依存した周波数信号を生成する電圧制御型発振器(404)と、周波数信号を送信電波として空間中に放射するための送信アンテナ(405)と、送信アンテナから放射された送信電波がターゲットから反射された電波を受信するための受信アンテナ(406)と、周波数信号と受信アンテナにて受信された受信信号とを混合してビート信号を生成するミキサ(407)と、ビート信号に基づいて、電圧制御型発信器の非線形特性を補正するための情報を算出し、この情報を変調補正処理部に出力する信号処理部(410)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車載用レーダ装置に係り、特に、車間距離警報システムやアダプティブクルーズコントロールシステム,プリクラッシュシステム等の予防安全システムに用いられる車載用レーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の安全技術への関心が非常に高まっている。これを受け、自動車関連企業等を中心に様々なシステムが実用化され始めている。これらの中でも、車間距離警報システムやアダプティブクルーズコントロールシステム,プリクラッシュシステム等の衝突を回避するシステムや衝突時の衝撃を軽減するシステムが特に良く知られている。
【0003】
これらのシステムを構築する際に、ターゲットとの距離や相対速度等を計測する装置の一つとして、車載用レーダ装置がある。この車載用レーダ装置としては、電波を放射して車両や障害物等のターゲットからの反射波を受信し、電波の伝播時間や反射波の信号強度,周波数のドップラシフト、等を検出し、これらの情報に基づいてターゲットまでの距離や相対速度を計測する方法が知られている。
【0004】
このような車載用レーダ装置に用いられる変調方式には様々な種類のものがあることが知られているが、特に、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式や2周波CW(Continuous Wave)方式が有名である。
【0005】
ここで最初に、FMCW方式の車載用レーダ装置の動作原理について、図1を用いて簡単に説明する。
【0006】
図1Aは、送受信波の周波数パターンの一例を示している。周波数が時間軸上で直線的に増加と減少を繰り返すように、三角波変調をかけた電波が送信される。この送信信号がターゲットに反射した反射波を受信し、送信信号と同じ周波数を有するローカル信号とミキシングすることにより、図1Bに示されるようなビート信号を得る。このビート信号を特定の区間(例えば、図1B中の区間Td)においてFFT処理すると、図1Cのようなターゲットピーク周波数fbDが得られる。このターゲットピーク周波数から、以下に説明する原理に基づいて、ターゲットまでの距離Rや相対速度Vを求める。なお、図1Aでは、送信波(Tx)を実線で描き、また、受信波(Rx)を破線で描いている。
【0007】
ターゲットで反射して戻ってきた受信信号は、送信信号に対して、電波がターゲットとの間を一往復するのに要する時間の分、つまりターゲットとの距離Rに比例した遅延時間τ(=2R/c)が発生する。ここで、cは光速である。
【0008】
さらに、ターゲットと間の相対速度Vに比例した周波数fd(=−2Vf/c)だけドップラシフトしている。ここで、fは送信波の周波数である。またここで、相対速度Vの符号は、レーダ装置から遠ざかる方向を正(>0)と定義している。
【0009】
このとき、送信波の周波数が、時間軸上で増加しつつある区間で得られるビート信号の周波数をfbU、送信波の周波数が時間軸上で減少しつつある区間で得られるビート信号の周波数をfbDとする。また、遅延時間τに基づいて発生する周波数差をfrとすると、以下の数式(1.1)(1.2)が成り立つ。
【0010】
【数1】

【0011】
ここで、frは距離Rに比例し、fdは相対速度Vに比例する。このため、数式1をfr,fdについて解くことにより、距離Rと相対速度Vを求めることができる。
【0012】
次に、FMCW方式と同様に、時間軸上で直線的に周波数が変化する部分を持つ変調をかける方式(2周波Ramp方式)について説明する。2周波Ramp方式は、周波数変動(ΔF)分だけわずかにずれている少なくとも二種類の並列かつ不連続な周波数変調ランプを交互に送出し、周波数は特定期間(Tf)の終了時に一方のランプから他方のランプに切り替わり、検出された標的からの距離を、第一のランプに対する受信信号(S1(t))と第二のランプに対応する受信信号(S2(t))との間の位相差(Δφ)の関数として推測し、推測された距離および標的に関連した曖昧直線から標的の速度を得る方法である。この車載用レーダ装置の動作原理について、図2を用いて簡単に説明する(特許文献1)。
【0013】
車載用レーダ装置の変調方式として有名な2周波CW方式の弱点は、ターゲットとの相対速度が零の場合である。これに対し、2周波Ramp方式は、FMCW方式と同じく、ターゲットとの相対速度が零の場合にもターゲットとの距離に応じてビート周波数が検出できるように改良された変調方式である。
【0014】
図2は、送信波の周波数パターンの一例を示しており、ΔFだけわずかにずれた2つ周波数をTf毎に交互に切り替えながら、さらに時間軸上で直線的に周波数が増加するように周波数変調を加えた送信波を送信する。この送信信号がターゲットに反射した反射波を受信し、送信信号と同じ周波数を有するローカル信号とミキシングすることでビート信号を得る。このビート信号をFFT処理することで得られるターゲットピーク周波数から、以下に説明する原理に基づき、ターゲットまでの距離Rや相対速度Vを求める。
【0015】
ターゲットで反射して戻ってきた受信信号は、ターゲットとの間の相対速度Vに比例した周波数fd(=−2Vf/c)だけドップラシフトしている。ここで、fは送信波の周波数である。また、相対速度Vの符号は、レーダ装置から遠ざかる方向を正(>0)と定義している。
【0016】
さらに、受信信号は、送信信号に対して、電波がターゲットとの間を一往復するのに要した遅延時間τ(=2R/c)に応じた周波数差frの分だけシフトしている。
【0017】
このとき得られるビート信号の周波数をfbRampとすると、以下の数式(2)が成り立つ。
【0018】
【数2】

【0019】
また、このとき、2つの受信波の間には、ΔFに起因する位相差φが生じており、ターゲットとの距離Rには以下の数式(3)が成り立つ。
【0020】
【数3】

【0021】
ここで、frは距離Rに比例し、fdは相対速度Vに比例するため、数式2、および数式3について、fr及びfdについて解くことにより、距離Rと相対速度Vを求めることができる。
【0022】
ところで、上述したような車載用レーダ装置では、送信信号生成のために電圧制御型発振器(以下、「VCO」という。)が用いられることが多い。したがって、上述したような原理に基づいてターゲットとの距離や相対速度を精度良く検出するには、VCOへ入力する制御電圧と発振周波数の関係(以下、「V−F特性」という。)は、安定的かつ線形な特性であることが望まれる。
【0023】
しかしながら、実際のV−F特性は、必ずしも線形な関係にないため、V−F特性に合わせて制御電圧を細かく調整する必要がある。また、V−F特性は、VCOの固体毎にバラツキが大きい。また、V−F特性は一般的に温度により大きく変化するため、温度毎に制御電圧を調整する必要がある。さらに、経年劣化等の影響も考慮する必要もある。
【0024】
以上のような理由から、特に、FMCW方式や2周波Ramp方式に代表される、周波数が時間軸上で増加または減少する部分を持つFM変調方式において、送信波の線形性を確保することは非常に困難となっている。
【0025】
次に、送信波の線形性が確保されないことにより発生するターゲット検知性能への悪影響について説明する。
【0026】
図3は、FMCW方式を用いた車載用レーダにおいて、送信波の線形性が確保されていない状態(非線形な状態)の送受信周波数,ビート信号周波数、及び、FFT信号の一例を示した図である。なお、同図では説明を簡略化するためにターゲットの相対速度が零の場合を示している。
【0027】
図3Aに示すように、非線形な状態で送信された波形の受信波は、非線形な状態の受信波として受信される。このため、本来は一定となるべきビート信号周波数が、図3Bに示すように、一定とはならない。これにより、図3Cに示すように、FFT信号内におけるターゲットのピーク信号のレベルが低下し、所定の幅を持って信号成分が分布するようになってしまう。さらに、頂点の位置が本来のターゲットのピーク周波数からずれる場合もある。
【0028】
このように、送信信号の線形性が確保されない場合には、下記(1)から(3)のような状態となる。
【0029】
(1)ターゲットピークレベル減少により、本来の信号ノイズ比(Signal to Noise Ratio)の確保が困難となる。
(2)ターゲットピークが広い領域に分布することで、他のターゲットピークを隠してしまい分離することが困難となる。
【0030】
(3)ターゲットピーク周波数が正確に検出できないために、ターゲットの距離・相対速度の正確な検出が困難となる。
【0031】
なお、以上の説明ではFMCW方式を例にしてきたが、上記の問題は2周波Ramp方式やその他のFM変調方式を用いた場合も同様である。
【0032】
【特許文献1】特開平10−253753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
上記のような場合、ターゲットが自車両周辺に存在するにも関わらず、ターゲットの存在を検出することが困難となり、また、本来のターゲットとの距離や相対速度とは異なる、誤った計測をしてしまうことになる。
【0034】
車間距離警報システムやアダプティブクルーズコントロールシステム,プリクラッシュシステムでは、車載用レーダ装置が検出した自車両の周囲に存在するターゲットとの距離や相対速度を基に、それぞれのシステムに応じた適切な制御を行うため、これらの問題を解決しなくてはシステムの信頼性を十分に確保することは難しい。
【0035】
したがって、本発明の目的は、上述の問題を解決するために、電圧制御型発振器の特性に起因して発生する送信波の非線形性を自動的に線形に補正することでターゲット検出精度が高い状態を保つ車載用レーダ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0036】
前述の課題を解決するため、本発明の車載用レーダ装置のうち代表的な一つは、周期毎に二つの電圧を切り替えながら徐々に減少するように変化する制御電圧波形を生成する2周波Ramp変調処理部と、前記2周波変調処理部で生成した前記制御電圧波形を補正する変調補正処理部と、前記変調補正処理部からの出力電圧値に依存した周波数信号を生成する電圧制御型発信器と、前記周波数信号を送信電波として空間中に放射するための送信アンテナと、前記送信アンテナから放射された前記送信電波がターゲットから反射された電波を受信するための受信アンテナと、前記周波数信号と前記受信アンテナにて受信された受信信号とを混合してビート信号を生成するミキサと、前記ビート信号に基づいて、前記電圧制御型発信器の非線形特性を補正するための情報を算出し、該情報を前記変調補正処理部に出力する信号処理部と、を有する。
【0037】
また、本発明の車載用レーダ装置のうち代表的な他の一つは、周波数変調をかけた送信波を生成する電圧制御型発信手段と、前記電圧制御型発信手段から周波数が時間軸上で増加または減少する部分を持つようにFM変調するための制御電圧を生成する手段と、前記送信波を送信する送信手段と、前記送信波がターゲットに反射した反射波を受信する受信手段と、前記送信波と同じ周波数を有するローカル信号と前記受信波からビート信号を生成する手段と、前記ビート信号を周波数スペクトラム変換処理する手段と、前記周波数スペクトラム変換処理データに基づいてターゲットとの距離と相対速度を算出する手段と、前記方法とは別の第二の方法でターゲットとの距離と相対速度を計測する手段と、前記第二の方法で計測したターゲットの距離と相対速度から前記FM変調の特性を算出する手段と、を有する。
【0038】
特に、前記第二の方法としては、FSK(Frequency Shift Keying)方式やパルス変調方式が好んで用いられる。
【0039】
なお、本発明の他の特徴は、後述する実施例の中で詳細に説明する。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、高精度な車載用レーダ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明の実施例に係る車載用レーダ装置について、図4から図14を参照しながら以下説明する。なお、実施例の説明及び図面において、同一のものについては同一の参照番号、または同一の参照記号を用いている。
【実施例1】
【0042】
本発明の実施例1に係る車載用レーダ装置について、図4から図8を参照しながら詳細に説明する。
【0043】
図4は、本発明の実施例1に係る車載用レーダ装置のブロック構成を示す図である。車載用レーダ装置は、変調切替処理部400,2周波Ramp変調処理部401,2周波CW変調処理部402,変調補正処理部403,電圧制御型発振器404,送信アンテナ405,受信アンテナ406,ミキサ407,復調処理部408,A/D変換部409,信号処理部410、及び、報知装置411、を備えてなる。
【0044】
2周波Ramp変調処理部401は、図5A中の2周波Ramp区間(T1)に示されるように、周期(ΔT)毎に二つの電圧を切り替えつつ、徐々に減少していくように変化する制御電圧波形(v1_1,v1_2)を生成し、電圧制御型発振器404へ印加する。また、2周波CW変調処理部402は、図5A中の2周波CW区間(T2)に示されるように、周期(ΔT)毎に二つの電圧を切り替える制御電圧波形(v2_1,v2_2)を生成し、電圧制御型発振器404へ印加する。また、2周波Ramp変調処理部401や2周波CW変調処理部402で生成する制御電圧波形は、後述するように、製品出荷時等に予め測定された電圧制御型発振器404の周波数−電圧特性を基に生成されることが多い。
【0045】
変調切替処理部400では、図5Aに示すように、送信波形が時間的に交互に切り替わるように、2周波Ramp変調処理部401と2周波CW変調処理部402の起動タイミングの制御を実施している。
【0046】
変調補正処理部403では、2周波Ramp変調処理部401で生成した制御電圧波形(v1_1,v1_2)を、後述する信号処理部410で生成された2周波Ramp変調非線形性補正情報に応じて補正を加えることで、送信波形の線形性が保たれるような制御電圧波形へ補正する。
【0047】
電圧制御型発振器404は、2周波Ramp区間(T1)で入力された制御電圧波形(v1_1,v1_2)に対応して、周波数変調された高周波信号(f1_1,f1_2)を生成する。また、2周波CW区間(T2)で入力された制御電圧波形(v2_1,v2_2)に対応しては、周波数変調された高周波信号(f2_1,f2_2)を生成する。図5Bは、一例として、入力されたそれぞれの制御電圧に対応して、高周波信号が時間的に交互に生成された様子を示している。
【0048】
また、図6は電圧制御型発振器404の周波数−電圧特性の一例を示す図である。すでに説明したとおり、電圧制御型発振器404には線形な周波数−電圧特性が望まれる。しかし、現実的には、完全に線形な特性を持たせることは困難である。このため、事前に初期特性(p1)を測定し、できるだけ線形な特性を示す領域を使用するか、または、非線形な特性に合わせて制御電圧波形を調整することが多い。
【0049】
一般的に、このような周波数−電圧特性は、製品出荷時等に予めスペクトルアナライザ等の計測機器を用いて測定することが多い。しかしながら、前述のように、周波数−電圧特性は温度や経年劣化の影響により、図6中の変化後特性(p2)として示されるように、特性が変化することがある。このような場合、送信波形の線形性を保つことができなくなり、結果として、ターゲット検知性能へ悪影響を及ぼすことになる。
【0050】
続いて、この高周波信号が、送信アンテナ405に入力され、送信電波として空間中に放射される。送信電波は、図示しない車両や障害物等のターゲットに反射して、受信電波として受信アンテナ406にて受信される。受信アンテナ406に入力された受信信号は、ミキサ407に入力され、ミキサ407において送信信号と受信信号とが混合されビート信号が生成される。この後、ビート信号は復調処理部408により復調処理をされ、A/D変換部409にてデジタル信号へ変換される。なお、A/D変換部409としては、例えばA/Dコンバータ等がある。
【0051】
このデジタル信号は、信号処理部410に入力される。信号処理部410では、後述する方法でターゲットの距離や相対速度、2周波Ramp変調非線形性補正情報,報知装置起動情報等が算出される。なお、信号処理部410には、例えばマイクロコンピュータやDigital Signal Processor等のプロセッサが用いられることが多い。
【0052】
報知装置411では、後述する信号処理部410で生成された報知装置起動情報に従い、車載用レーダ装置のターゲット検出精度が予め規定した数値より悪化した場合に運転者へ報知する機能を持つ。なお、報知の方法としては、LED等によるディスプレイ表示や警報音等による方法がある。
【0053】
次に、本発明の実施例1に係る車載用レーダ装置に備わる信号処理部410の具体的な処理について、図7を用いて説明する。同図は、信号処理部410が実行するルーチンのフローチャートであり、所定時間間隔で繰り返される。
【0054】
ルーチンが起動されると、まず、ステップ700のFFT処理が実行され、周波数スペクトラム情報を含んだFFT信号が生成される。なお、FFT処理については、ソフトウェアにより処理するか、または、ASIC等の専用回路によって処理するか、選択することが可能である。
【0055】
次に、ステップ701の変調方式判断処理が実行され、今回のFFT信号が2周波CW変調によるものか、または、2周波Ramp変調によるものかが判断される。2周波CW変調と判断された場合には、ステップ702の2周波CW物理値変換処理が実行される。一方、2周波Ramp変調と判断された場合には、ステップ703の2周波Ramp物理値変換処理が実行される。なお、この判断方法としては、変調切替処理部400で変調方式を切り替えるタイミングの信号を用いることで容易に実装が可能である。
【0056】
次に、ステップ702の2周波CW物理値変換処理が実行された場合について説明する。2周波CW物理値変換処理が実行されると、FFT信号に基づいて、ターゲットの距離が数式(4)により算出される。
【0057】
【数4】

【0058】
ここで、Rfskは2周波CW変調によるターゲットの距離、Cは光速度、φ2は受信電波におけるf2_1とf2_2の位相差、Δf2はf2_1とf2_2の周波数差である。
【0059】
また、ターゲットの相対速度は数式5で算出される。
【0060】
【数5】

【0061】
ここで、Vfskは2周波CW変調によるターゲットの相対速度、Cは光速度、fdはドップラ周波数、fは送信周波数である。
【0062】
次に、ステップ703の2周波Ramp物理値変換処理が実行された場合について説明する。2周波CW物理値変換処理が実行されると、FFT信号に基づいてターゲットの距離が数式6で算出される。
【0063】
【数6】

【0064】
ここで、RRampは2周波Ramp変調によるターゲットの距離、Cは光速度、φ1は受信電波におけるf1_1とf1_2の位相差、Δf1はf1_1とf1_2の周波数差である。
【0065】
次に、2周波Ramp方式におけるターゲットの相対速度の算出方法を説明する。すでに説明したとおり、2周波Ramp方式で得られるビート信号(fbRamp)には、送信電波がターゲットに反射して再びレーダで受信されるまでの遅延時間τ(=2RRamp/c)に応じた周波数シフト(fr)が発生している(数式(7))。また、この遅延時間τは、ターゲットまでの距離にも比例している。よって、ターゲットの相対速度は、この距離に応じた周波数シフト(fr)分を減算するように処理する数式(8)により算出される。
【0066】
【数7】

【0067】
ここで、frは距離に応じた周波数シフト、ΔRampは2周波Ramp区間における周波数変化量、τは遅延時間、T1は2周波Ramp区間の時間である。
【0068】
【数8】

【0069】
ここで、VRampは2周波Ramp変調によるターゲットの相対速度、Cは光速度、fは送信周波数、fbRampはビート周波数、frは距離に応じた周波数シフトである。
【0070】
次に、ステップ704の小区間FFT処理が実行される。本ステップでは、通常は一つのFFT区間として処理される2周波Ramp区間のビート信号を、複数の小区間に時間分割し、それぞれFFT処理を実行する。なお、小区間FFT処理は、ソフトウェアにより処理するか、または、ASIC等の専用回路によって処理するか、選択することが可能である。
【0071】
ここで、本実施例における方法の理解を容易にするために、図8を用いて、2周波Ramp区間の送信波形が線形な場合と非線形な場合に得られたビート信号について、それぞれ小区間FFT処理を実行した場合の一例について説明する。なお、同図では、通常FFT区間を4つに分割した場合の例を示している。
【0072】
図8Aは、送信波形が線形時のビート信号(a)と非線形時のビート信号(b)を重ねて示した図の一例である。これらのビート信号を、同図に示すような4つの小区間AからDに時間分割し、それぞれFFT処理を実行し、重ねて示したものが図8B,図8Cである。図8Bでは、送信波形が線形なため、得られるビート信号も一定となり、時間分割してFFT処理した場合でも小区間毎のピーク周波数は一致する。
【0073】
しかし、図8Cでは、送信波形が非線形なために、得られるビート信号も一定とはならず、小区間毎にピーク周波数はばらつく。このピーク周波数のばらつきは、それぞれの小区間における周波数変化量の違いによるものと考えることができる。よって、後述する方法を用いて小区間毎の周波数変化量を予め設計された値へ補正するため、小区間毎に制御電圧の補正を行う。これにより、各小区間での周波数変化量が一定となり、送信波形を線形な状態へと補正することが可能となる。
【0074】
なお、通常処理区間をいくつに時間分割するかについては、システムに応じて適宜決定することが可能である。例えば、通常処理区間が十分に小さい場合には、本ステップを廃止し、即座に次のステップを実行することも可能である。
【0075】
次に、ステップ705の2周波Ramp周波数変化量推定処理が実行される。本ステップでは、数式(9)を用いて、前回実行された2周波CW物理値変換処理の出力結果であるターゲットの距離Rfskと相対速度Vfsk、及び、分割FFT処理された小区間におけるターゲットピーク周波数から、今回の分割FFT処理された小区間における2周波Ramp周波数変化量を推定する(以下、「推定周波数変化量」という。)。
【0076】
【数9】

【0077】
ここで、ΔRampestは小区間における推定周波数変化量、Cは光速度、Tiは小区間iの時間、Rfskは2周波CW変調によるターゲットの距離、fRampは小区間におけるターゲットピーク周波数、fは送信周波数、Vfskは2周波CW変調によるターゲットの相対速度である。
【0078】
次に、ステップ706の電圧補正量算出処理が実行される。本ステップでは、最初に、選択された小区間iにおける周波数変化量の理想値が式(10)により算出される。
【0079】
【数10】

【0080】
ここで、ΔRampiは小区間iにおける周波数変化量の理想値、ΔRampは2周波Ramp区間における周波数変化量、Tiは小区間iの時間、T1は2周波Ramp区間の時間である。
【0081】
一般的に、2周波Ramp区間における周波数変化量(ΔRamp)は、使用するシステムの要求に応じて、事前に設計された値となるように入力する制御電圧などが調整されている。このため、実用上は、数式(7)等で用いられるΔRampは一定として信号処理されることが多い。このため、ΔRampに誤差が生じることは、ターゲット検知結果に誤差を生じる要因となる。
【0082】
次に、ステップ705の2周波Ramp周波数変化量推定処理で算出された推定周波数変化量と、数式(10)により算出された小区間iにおける2周波Ramp傾きの理想値、及び、小区間iにおける制御電圧から、小区間iにおける補正された制御電圧が数式(11)により算出される。
【0083】
【数11】

【0084】
ここで、ΔVi_corrは小区間iにおける補正された制御電圧、ΔRampestは小区間における推定周波数変化量、ΔRampiは小区間iにおける周波数変化量の理想値、ΔViは小区間iにおける制御電圧である。
【0085】
つまり、本ステップの処理内容は、ある分割されたFFT区間内における実際のFM変調変化量と、予め設計されたFM変調変化量の比に応じて、入力する制御電圧量を変更する処理を実施している。
【0086】
次に、ステップ707において、分割した小区間の全てについて電圧補正値が算出済みかどうかを確認し、終了している場合は、ステップ708へ移行し、終了していない場合には、ステップ706を再度実行する。
【0087】
次に、ステップ708の報知処理の内容について説明する。上述の通り、本ステップに至るまでには、すでに小区間毎の推定周波数変化量が算出されている。そこで、これらの推定周波数変化量が予め設定した基準値を超えた場合には、車載用レーダ装置のターゲット検知信頼性が著しく低下していると判断する。その場合、信号を報知装置411へ送信することで運転車へ報知する。
【実施例2】
【0088】
本発明の実施例2に係る車載用レーダ装置について、図9から図11を参照しながら詳細に説明する。
【0089】
本実施例では、上記実施例1の車載用レーダ装置の構成と比較して、ターゲットの距離と相対速度を計測する第二の方法として、パルス変調方式を用いる点が異なる。なお、ここでは実施例1との差異を中心として説明し、実施例1と同一な部分の説明は省略する。
【0090】
図9は、本発明の実施例2に係る車載用レーダ装置のブロック構成を示す図である。本図に示されるように、本実施例の車載用レーダ装置は、パルス変調処理部901,パルスカウント処理部902、及び、第2信号処理部903を有する。
【0091】
パルス変調処理部901は、図10中においてTxとして示される送信パルス信号を生成するための制御電圧波形を生成し、電圧制御型発振器404へ印加する。生成された送信信号は、送信アンテナ405を通して空間中へ放射され、図示しない車両や障害物等のターゲットに反射して、受信アンテナ406にて受信される。このときの受信波は、図10中にRxとして示される受信信号となっている。つまり、ターゲットとの距離に応じた遅れ時間τを経過した後に受信される。さらにこのとき、ターゲットとの相対速度Vに比例した周波数fdだけドップラシフトしている。
【0092】
パルスカウント処理部902は、パルス変調処理部901で送信波を生成した時刻から、受信アンテナ406からある一定値以上の信号強度の信号が受信される時刻まで、の時間を計測し、第2信号処理部903へ入力する。
【0093】
第2信号処理部903では、後述する方法でターゲットの距離や相対速度,2周波Ramp変調非線形性補正情報,報知装置起動情報等が算出される。
【0094】
なお、その他のブロックに関しては、実施例1の内容と同様である。
【0095】
次に、本発明の実施例2に係る車載用レーダ装置に備わる第2信号処理部903の具体的な処理について、図11を用いて説明する。同図における特徴は、ステップ1100の変調方式判断処理(2)、ステップ1101のパルス変調物理値変換処理、及び、ステップ1102の2周波Ramp周波数変化量推定処理(2)にある。このため、これらの処理についてのみ説明し、他の説明は省略する。
【0096】
ステップ1100の変調方式判断処理(2)では、今回のFFT信号がパルス変調によるものか、または、2周波Ramp変調によるものかが判断される。ここで、パルス変調と判断された場合には、ステップ1101のパルス変調物理値変換処理が実行される。一方、2周波Ramp変調と判断された場合には、ステップ703の2周波Ramp物理値変換処理が実行される。
【0097】
ステップ1101のパルス変調物理値変換処理では、まず、FFT信号に基づいてターゲットの相対速度が数式(12)により算出される。
【0098】
【数12】

【0099】
ここで、Vpulseはパルス変調によるターゲットの相対速度、Cは光速度、fdはドップラ周波数、fは送信周波数である。
【0100】
また、ターゲットの距離はパルスカウント処理部より入力された遅れ時間τに基づいて、数式(13)で算出される。
【0101】
【数13】

【0102】
ここで、Rpulseはパルス変調によるターゲットの距離、Cは光速度、τはレーダとターゲットとの間の電波の伝播時間である。
【0103】
ステップ1102の2周波Ramp周波数変化量推定処理(2)では、前述の数式(10)における2周波CW変調によるターゲットの距離(Rfsk)、及び、2周波CW変調によるターゲットの相対速度(Vfsk)を、それぞれパルス変調によるターゲットの距離(Rpulse)、及び、パルス変調によるターゲットの相対速度(Vpulse)へ置き換えることで実行可能である。
【0104】
なお、その他のステップに関しては、実施例1の内容と同様である。
【実施例3】
【0105】
本発明の実施例3に係る車載用レーダ装置について、図12から図14を参照しながら詳細に説明する。
【0106】
本実施例は、実施例1の車載用レーダ装置の構成と比較すると、ターゲットとの距離と相対速度を計測する第二の方法としてレーザレーダ1202を用いる点で異なる。なお、ここでは、実施例1との差異を中心として説明し、実施例1と同様の部分の説明は省略する。
【0107】
図12は、本発明の実施例3に係る車載用レーダ装置のブロック構成を示す図である。本実施例の車載用レーダ装置は、データ受信部1200,第3信号処理部1201、及び、レーザレーダ1202を備える点で、上記実施例とは異なる。なお、レーザレーダとは、送信波として光を用いて、ターゲットとの距離や相対速度を計測する装置である。
【0108】
レーザレーダ1202は、所定の周期でターゲットとの距離や相対速度を計測し、その計測結果をデータ受信部1200へ入力する。データ受信部1200は、所定周期で入力されるデータを受信し、このデータを第3信号処理部1201へ入力する。なお、レーザレーダ1202とデータ受信部1200のデータ伝達手段としては、CAN(Control Area Network)やシリアル通信等を用いることができる。
【0109】
第3信号処理部1201では、後述する方法でターゲットの距離や相対速度,2周波Ramp変調非線形性補正情報,報知装置起動情報等が算出される。
【0110】
その他のブロックに関しては、実施例1の内容と同様であるが、実施例1と比較すると、変調切替処理部400、及び、2周波CW変調処理部402が無い。このため、送信波形は、図13に示すように、周期T1で2周波Ramp変調を繰り返すような変調となる。
【0111】
次に、本発明の実施例3に係る車載用レーダ装置に備わる第3信号処理部1201の具体的な処理について、図14を用いて説明する。本図における特徴は、ステップ1400の2周波Ramp周波数変化量推定処理(3)にある。このため、本処理についてのみ説明し、他の部分に関する説明は省略する。
【0112】
ステップ1400の2周波Ramp周波数変化量推定処理(3)は、前述の数式(9)における2周波CW変調によるターゲットの距離(Rfsk)、及び、2周波CW変調によるターゲットの相対速度(Vfsk)を、それぞれレーザレーダによるターゲットの距離,相対速度へ置き換えることで実行することが可能となる。
【0113】
なお、その他のステップに関しては、実施例1の内容と同様である。
【実施例4】
【0114】
本発明の実施例4に係る車載用レーダ装置は、実施例3において用いられているレーザレーダ1202に代えて、UWB(Ultra Wide Band)レーダを用いることにある。この構成においても、実施例3と同様の効果を得ることが可能である。
【0115】
なお、上記実施例1乃至4においては、2周波Ramp方式を例に説明したが、FMCW方式やその他のFM変調方式に関しても同様の効果を期待できる。また、上記実施例1乃至4では、特に、76GHz帯を用いる技術について説明したが、他の周波数でも同様の効果が得られるものである。
【0116】
以上、本発明の上記実施例によれば、電圧制御型発振器の特性に起因して発生する送信波の非線形性を自動的に線形に補正することでターゲット検出精度が高い状態を保つ車載用レーダ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】送信波が線形な状態にあるときの波形図である。
【図2】2周波Ramp方式における変調方法を説明する図である。
【図3】送信波が非線形な状態にあるときの波形図である。
【図4】実施例1の車載用レーダ装置のブロック構成を示す図である。
【図5】実施例1の車載用レーダ装置の変調方法を示す図である。
【図6】実施例1の車載用レーダ装置の電圧制御型発信器の特性図である。
【図7】実施例1の車載用レーダ装置に備わる信号処理部が実行するルーチンのフローチャートである。
【図8】実施例1の車載用レーダ装置に備わる信号処理部内の小区間FFT処理を説明する図である。
【図9】実施例2の車載用レーダ装置のブロック構成を示す図である。
【図10】実施例2の車載用レーダ装置の第二の変調方法を示す図である。
【図11】実施例2の車載用レーダ装置に備わる第2信号処理部が実行するルーチンのフローチャートである。
【図12】実施例3の車載用レーダ装置のブロック構成を示す図である。
【図13】実施例3の車載用レーダ装置の変調方法を示す図である。
【図14】実施例3の車載用レーダ装置に備わる第3信号処理部が実行するルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
【0118】
400 変調切替処理部
401 2周波Ramp変調処理部
402 2周波CW変調処理部
403 変調補正処理部
404 電圧制御型発振器
405 送信アンテナ
406 受信アンテナ
407 ミキサ
408 復調処理部
409 A/D変換部
410 信号処理部
411 報知装置
900 パルス変調処理部
902 パルスカウント処理部
903 第2信号処理部
1200 データ受信部
1201 第3信号処理部
1202 レーザレーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数変調をかけた送信波を生成する電圧制御型発信手段と、
前記電圧制御型発信手段から周波数が時間軸上で増加または減少する部分を持つようにFM変調するための制御電圧を生成する手段と、
前記送信波を送信する送信手段と、
前記送信波がターゲットに反射することにより生成された反射波を受信波として受信する受信手段と、
前記送信波と同じ周波数を有するローカル信号及び前記受信波に基づいてビート信号を生成する手段と、
前記ビート信号を周波数スペクトラム変換処理する手段と、
前記周波数スペクトラム変換処理する手段により処理されたデータに基づいて前記ターゲットとの距離及び相対速度を算出する手段と、
前記FM変調とは別の第二の方法で前記ターゲットとの距離及び相対速度を計測する手段と、
前記第二の方法で計測した前記ターゲットの距離及び相対速度に基づいて前記FM変調の特性を算出する手段と、を有することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項2】
請求項1記載の車載用レーダ装置において、
前記周波数スペクトラム変換処理する手段は、前記FM変調の方式で得られる前記ビート信号を時間分割して複数の小区間毎に周波数スペクトラム変換処理を行い、
前記FM変調の特性を算出する手段は、前記複数の分割された小区間毎に前記特性を算出する、ことを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項3】
請求項1記載の車載用レーダ装置において、
前記第二の方法はFSK(Frequency Shift Keying)方式であること、を特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項4】
請求項1記載の車載用レーダ装置において、
前記第二の方法はパルス変調方式であることを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項5】
請求項1記載の車載用レーダ装置において、
さらに、前記FM変調による方法と前記第二の方法とを時間的に切り替える手段を有することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項6】
請求項1記載の車載用レーダ装置において、
前記第二の方法はレーザレーダによる計測結果であること、を特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項7】
請求項6記載の車載用レーダ装置において、
前記レーザレーダは前記車載用レーダ装置の本体とは別体の構造を有し、
前記レーザレーダから出力される距離及び相対速度の情報を通信により受信するように構成されていることを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項8】
請求項1記載の車載用レーダ装置において、
前記第二の方法はUWB(Ultra Wide Band )レーダによる計測結果であることを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項9】
請求項8記載の車載用レーダ装置において、
前記UWBレーダは、前記車載用レーダ装置の本体とは別体の構造を有し、
前記UWBレーダから出力される距離と相対速度の情報を通信により受信するように構成されていることを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項10】
請求項1記載の車載用レーダ装置において、
さらに、前記FM変調の特性に応じて該FM変調における制御電圧の補正処理を行う補正手段を有することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項11】
請求項10記載の車載用レーダ装置において、
前記FM変調の特性に予め設定された値以上の変化がある場合、前記補正手段は前記補正処理を実行することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項12】
請求項1記載の車載用レーダ装置において、
さらに、前記FM変調の特性に予め設定された値以上の変化がある場合、運転者に報知する手段を有することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項13】
請求項11記載の車載用レーダ装置において、
前記FM変調の特性は、選択した区間におけるFM変調波の周波数変化量であることを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項14】
周期毎に二つの電圧を切り替えながら徐々に減少するように変化する制御電圧波形を生成する2周波Ramp変調処理部と、
前記2周波変調処理部で生成した前記制御電圧波形を補正する変調補正処理部と、
前記変調補正処理部からの出力電圧値に依存した周波数信号を生成する電圧制御型発信器と、
前記周波数信号を送信電波として空間中に放射するための送信アンテナと、
前記送信アンテナから放射された前記送信電波がターゲットから反射された電波を受信するための受信アンテナと、
前記周波数信号と前記受信アンテナにて受信された受信信号とを混合してビート信号を生成するミキサと、
前記ビート信号に基づいて、前記電圧制御型発信器の非線形特性を補正するための情報を算出し、該情報を前記変調補正処理部に出力する信号処理部と、を有することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項15】
請求項14記載の車載用レーダ装置において、
前記信号処理部は、2周波Ramp周波数変化量を推定することにより、前記電圧制御型発信器の非線形特性を補正するための情報を算出することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項16】
請求項15記載の車載用レーダ装置において、
前記車載用レーダ装置は、前記信号処理部により推定された前記2周波Ramp周波数変化量が予め設定された値より悪化した場合に、そのことを運転者へ報知するための報知装置を有することを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項17】
請求項15記載の車載用レーダ装置において、
さらに、周期毎に二つの電圧を切り替える制御電圧波形を生成し、該制御電圧波形を前記電圧制御型発信器へ印加する2周波CW変調処理部と、
前記2周波Ramp変調処理部と前記2周波CW変調処理部の起動タイミングを制御する変調処理切替部と、を有することを特徴とする車載用レーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−36514(P2009−36514A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198276(P2007−198276)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】