説明

車載用ワイヤレス画像受信装置とワイヤレス画像伝送装置、ワイヤレス画像通信システム

【課題】車外に設置したカメラから得られる画像を、必要に応じて自動的にモニタに表示可能なワイヤレス画像伝送装置等を提供することを目的とする。
【解決手段】車両と別個に設置される撮像手段が、車両の識別情報を受信して無線送信する撮像画像データを受信する受信手段と、車両の識別情報を発信する識別情報発信手段と、受信手段が撮像画像データを受信すると、撮像画像データの画像の表示を開始する表示手段とを備える車載用ワイヤレス画像受信装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ワイヤレス画像受信装置とワイヤレス画像伝送装置、ワイヤレス画像通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載用ナビゲーションシステムの応用展開として、目的地誘導のみならず車両の運転者や同乗者に対して、車両の運転に資する有用な情報等を提示する車載運転支援情報表示システムが知られている。
【0003】
このような車載用ナビゲーションシステムは、GPS受信機やジャイロセンサ等の現在位置検出確認手段から車両の現在位置情報を入手して認識する。そして、ハードディスクドライブ等の記憶媒体に予め記憶される地図情報を読み出して、画像一時記憶手段に一時的に記憶し、認識した車両の現在位置情報と共に、現在位置付近の地図情報を液晶ディスプレイなどの表示装置に表示するものである。
【0004】
また、自車の出発地から目的地までの推奨経路を経路探索手段によって探索し、車両の現在位置情報と推奨経路とから、運転者が進行すべき方向を、交差点にさしかかった時に、音声や画面表示等の案内手段により案内して提示することもできる。
【0005】
さらに、公共施設やファーストフードレストラン、鉄道の駅のような施設情報も表示することができる。また、現在位置付近の地図表示として、画面に2次元的に表示するだけでなく、運転者から見た景観を3次元的にバードビュー表示とすることで、表示した地図と、現実に走行中の道路との対応を一目で理解し易い鳥瞰表示とすることもできる。
【0006】
また、車載用ナビゲーションシステムを典型例とする車載運転支援情報表示装置は、従来、自車についての現在位置情報を検出可能であるが、自車と他車との関係や自車周辺の障害物等の情報については得る事が困難とされていた。
【0007】
このような自車と他車との関係や自車周辺の障害物等の情報は、通常はバックミラーやサイドミラーから得ており、近年では、車両に搭載したバックモニタカメラにより自車の後方を撮像し、ディスプレイに表示する車両用後方安全確認装置も知られるようになっている。しかし、あくまでバックミラーやサイドミラーの代替システム等として用いられているにすぎず、車両の運転者を十分に支援するものとは言い難いものであった。
【0008】
このような車載運転支援システムの一例が、下記特許文献1等に開示されている。
【特許文献1】特開2001−114048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の車両用後方安全確認装置においては、車載されるモニタカメラからの画像しか得られないのでカメラ視点や視野が限定され、車両周辺に死角が生じる懸念があった。
【0010】
また、車載カメラの画像をモニタ表示させる際には、車両の運転者がなんらかの操作をする必要があった。また、この操作は、運転操作の狭間で行わなければならず、操作自体が煩雑・煩瑣となる場合も懸念された。
【0011】
本発明は、上述のような問題点に鑑み為されたものであり、車外に設置したカメラから得られる画像を、必要に応じて自動的にモニタに表示可能なワイヤレス画像伝送装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明にかかる車載用ワイヤレス画像受信装置は、車両と別個に設置される撮像手段が、車両の識別情報を受信して無線送信する撮像画像データを受信する受信手段と、受信手段が撮像画像データを受信すると、撮像画像データの画像の表示を開始する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる車載用ワイヤレス画像受信装置は、好ましくは車両の識別情報を発信する識別情報発信手段を備えることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる車載用ワイヤレス画像受信装置は、さらに好ましくは受信手段が受信する撮像画像データが、車両の後部左右隅部分を含む被写体を撮像して取得した撮像画像データであることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる車載用ワイヤレス画像受信装置は、さらに好ましくは表示手段が、車両が備える車載撮像手段が撮像して取得した車両周囲の画像データの画像と、受信手段が受信した撮像画像データの画像と、を同時に表示する表示手段であることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる車載用ワイヤレス画像受信装置は、さらに好ましくは受信手段が受信する撮像画像データが、車両が後退ギアに設定されると発信される車両の識別情報を受信した撮像手段が、無線送信した撮像画像データであり、表示手段は、車両が後退ギアに設定されると、車両が備える車両の後方を撮像する車載撮像手段が撮像して取得した車両後方の画像データの画像と、受信手段が受信した撮像画像データの画像とを、同時に表示する表示手段であることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかるワイヤレス画像伝送装置は、車両の識別情報を受信する識別情報受信部と、識別情報受信部が受信する車両の識別情報が、所定の車両を示す識別情報であるか否かを判断する車両識別情報照合部と、車両識別情報照合部が、車両の識別情報は所定の車両を示す識別情報であると判断した場合に、車両と別個に設置される撮像手段が車両の後部左右隅部分を含む被写体を撮像して取得した撮像画像データを無線送信する無線送信部とを備えることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかるワイヤレス画像通信システムは、車両から送信される車両の識別情報を受信し、所定の車両が接近したことを検出すると、車両と別個に設けられる撮像手段が撮像して取得した撮像画像データを送信する送信装置と、送信装置が送信した撮像画像データを受信する車載用受信装置と、車両が備える車載撮像手段が撮像して取得した車両周囲の画像データの画像と、車載用受信装置で受信した撮像画像データによる画像とを、同時に表示する車載用表示装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明により、車外に設置したカメラから得られる画像を、必要に応じて自動的にモニタに表示可能なワイヤレス画像伝送装置等とできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この実施形態で例示する車載用ワイヤレス画像通信システムは、車庫の上方に設置された車外カメラから取得する画像データを、車庫入れ時に自動的に車内の液晶表示装置に表示させるシステムである。
【0021】
このシステムにより、車両の運転者は、運転席から死角となるような車両の左右側面後方部分のクリアランス等を、車外のカメラ視点からの画像により確認可能となる。すなわち、液晶表示装置に表示される画像は、車庫側から撮影した画像であるので視点や視野の自由度が広がり、運転席や車両側からでは確認困難な部分やアングルであっても、運転者は容易に視認可能となる。
【0022】
また、車庫に設置される車載用ワイヤレス画像通信システムの車外カメラは、太陽電池等を電源とする。また、車外カメラは、車庫入れにかかる車両が、自己車両であるかどうかを分別する車両識別情報(車両ID)を確認した上で、画像データを送信する。
【0023】
従って、車載用ワイヤレス画像通信システムは、常時画像データを送信することはなく、自己車両が車庫近隣に存在しない時など不要時には電力を消費しない。このため、車載用ワイヤレス画像通信システムは、自己車両の車庫入れ時などの必要時にのみ、必要な車両に対して画像データを送信するので、省電力なシステムとできる。
【0024】
そこで、以下図面に基づいて、車載用ワイヤレス画像通信システムについて詳細に説明する。
【0025】
(第一の実施形態)
図1は、第一の実施形態で示す車載用ワイヤレス画像通信システム100の構成を概念的に示すブロック図である。
【0026】
図1において車載用ワイヤレス画像通信システム100は、車外に設置されるカメラユニット101と車両に設置される表示側ユニット102とから構成する。カメラユニット101は送信インターフェース11を備え、表示側ユニット102は受信インターフェース12を備える。そして、カメラユニット101と表示側ユニット102との間は、無線通信により画像データ等の送受信を行う。
【0027】
また、車載用ワイヤレス画像通信システム100は、CCDやCMOSイメージセンサにより構成される撮像部1を有する。撮像部1は、車庫入れ等に際し、死角となる車両の周囲を撮影可能な車外の定位置に設置する。典型的には、車庫上方等であって車両左右側面後方部分を撮影可能な後方天井部分等に、撮像部1を設置する。
【0028】
また、車載用ワイヤレス画像通信システム100は、撮像部1による撮影がより容易に行えるように、被写体を照明する照明部2を備える。また、撮像部1から出力されるアナログの被写体画像データは、AD変換部3でディジタル変換される。AD変換部3でディジタル変換された画像データは、画像処理部4で、例えばホワイトバランスや輝度補正等の所望の画像処理が行われる。
【0029】
一方、カメラユニット101は、車両に搭載される表示側ユニット102から発信される車両識別情報(いわゆる車両ID番号)を受信する識別情報受信部10を備える。識別情報受信部10で受信した車両識別情報は、カメラユニットCPU5が有する車両識別情報照合部6において、記憶部8に予め記憶される自己の車両識別情報(自己の車両ID)と比較される。
【0030】
また、車両識別情報照合部6は、車両識別情報を発信する車両が、自己の車両かどうかを照合して認識する。また、車両に搭載される表示側ユニット102側から発信される車両識別情報は、おおよそ10メートル範囲内程度に届く程度の電波強度とする。従って、約10メートル程度の範囲内に自己の車両が接近すると、カメラユニット101が自己の車両の接近を検知することとなる。
【0031】
カメラユニット101が自己の車両の接近を検出すると、電源部9から送信インターフェース11に電力を供給する。送信インターフェース11は、撮像部1から取得し適宜画像処理された画像データを、所定の送信フォーマットで無線送信する。
【0032】
なお、カメラユニット101は、カメラユニットCPU5の駆動プログラムを格納するフラッシュメモリ7を備える。また、カメラユニット101は、フラッシュメモリ7へのアクセスを可能とする不図示の外部インターフェスを備え、プログラムメモリを書き換えたりバージョンアップしたりできる構成としてもよい。これにより、カメラユニットCPU5は、適宜変更され更新されカスタマイズされた動作処理を行うことも可能となるので好ましい。
【0033】
表示側ユニット102では、識別情報発信部13が車両の識別情報を発信した後、カメラユニット101側から自己車両の確認後に送信される画像データを、受信インターフェース12を介して受信する。
【0034】
ここで、識別情報発信部13は、必ずしも表示側ユニット102に含めなくてもよい。例えば、自己の車両がいわゆるキーレスエントリー等他の車両識別情報発信機能を既に有している場合など、当該他の車両識別情報を援用することも可能である。
【0035】
表示側ユニット102は、受信インターフェース12で受信する画像データを、液晶表示装置や有機EL等で構成される表示部18に表示する。表示側ユニット102は、表示側CPU14や描画処理部17で、受信インターフェース12で受信する画像データを表示に適した画像データ形式へと所望の処理を行う。
【0036】
また、表示側CPU14には、車両の運転者等が操作や設定を行う操作部15から操作信号が入力される。また、表示側CPU14には、車両の後退ギア16から後退ギア設定情報が入力される構成とする。表示側CPU14は、後退ギア16から車両が後退状況であることを示すトリガーが入力されると、識別情報発信部13から車両識別情報を発信する。
【0037】
なお、識別情報発信部13が発信する電波は微弱であり、せいぜい10メートル程度の受信範囲程度とする。このため、識別情報発信部13で消費される電力は僅かである。従って、後退ギア16からのトリガー有無に拘わらず常に車両識別情報を発信することとしてもよい。
【0038】
これにより、車両が後退して車庫入れする時を典型例とし、車両が車庫に接近している必要時に対応して、撮像画像を表示部18へ表示できることとなる。また、表示側ユニット102は、音声出力部19を備え、表示部18への表示画像の状況や内容・カテゴリー等を運転者に告知する構成とする。
【0039】
なお、操作部15は、車両の運転者等から各種設定入力が行える構成とする。操作部15により、運転者は例えば手動操作により、表示側ユニット102に車両識別情報の発信を指示する事が可能となる。また、表示部18をタッチパネル等として構成する場合には、操作部15を表示部18と併合することとできる。
【0040】
また、表示部18又は表示側ユニット102は、車両から容易に取り外し可能に構成し、自由に持ち運べる構成としてもよい。これにより、車両を車庫入れした後に、表示部18等を自宅内に持ち運んで自宅内から車両の状況等を監視することができる。すなわち、車両監視装置又は車庫監視装置として用いることも可能となるので、車両セキュリティの観点からも好ましい。
【0041】
次に、車載用ワイヤレス画像通信システム100の動作について、図2を用いて説明する。図2は、車載用ワイヤレス画像通信システム100の第一の動作フロー概要を示すものである。
【0042】
(ステップS21)
車載用ワイヤレス画像通信システム100のカメラユニットCPU5は、識別情報受信部10が車両の識別情報を受信したかどうかを判断する。識別情報受信部10が車両の識別情報を受信した場合には、ステップS22へと進む。また、識別情報受信部10が車両の識別情報を受信しない場合はステップS21で待機する。
【0043】
なお、この動作例では、車両の識別情報は、表示側ユニット102の識別情報発信部13から、後退ギア16のギア設定情報に拘わらず常時発信する構成とする。
【0044】
(ステップS22)
カメラユニットCPU5の車両識別情報照合部6は、受信した車両の識別情報と記憶部8に予め設定され記憶した所定の車両の識別情報とを読み出して比較する。そして、所定の車両(例えば、自己車両)であるかどうかの照合と認識を行う。
【0045】
この処理により、カメラユニット101は、車両識別情報を発信する車両が所定の車両であると判断する。すなわち、カメラユニット101は、所定の車両がカメラユニット101の所定の範囲内(例えば10メートル程度以内)に接近していることを認識する。
【0046】
カメラユニットCPU5の車両識別情報照合部6が、所定の車両の識別情報であると判断すれば、ステップS23に進む。また、カメラユニットCPU5の車両識別情報照合部6が、所定の車両の識別情報であると判断しなければ、ステップS21へと戻る。
【0047】
(ステップS23)
カメラユニットCPU5は、車庫の上方に設置されるカメラ等である撮像部1に、撮影した被写体画像の出力を指示する。撮像部1は、車両後方左右側面のクリアランス等、運転席や車両側視点からでは確認困難な車両周囲の状況を、車外の見易い位置から撮像するように設置されるものとする。
【0048】
(ステップS24)
カメラユニットCPU5は、電源部9から電力を送信インターフェース11に供給して、送信インターフェース11にカメラ画像データを無線送信させる。上述するように、カメラユニットCPU5は、所定の車両が所定の範囲内に接近した場合のみを識別して認識し、送信インターフェース11に画像データの無線送信を指示する。
【0049】
このため、カメラユニット101は、不要な画像データ送信処理等による電力消費を低減できる。従って、全体として消費電力を低減した車載用ワイヤレス画像通信システム100とできる。
【0050】
なお、撮像部1による被写体の撮像は、車両の接近有無に拘わらず、常時行うこととしてもよい。これにより、カメラを含む撮像部1の電源立ち上げ等に要する立ち上げ相当時間の間、待機する必要がなくなる。従って、カメラユニット101が車両の接近に対応して、迅速にカメラ画像データを送信開始する事が可能となるので好ましい。
【0051】
(ステップS25)
表示側ユニット102は、受信インターフェース12を介してステップS24で、カメラユニット101から送信された画像データを受信する。表示側ユニット102の受信インターフェース12が画像データを受信すれば、ステップS26へと進む。また、表示側ユニット102の受信インターフェース12が画像データを受信しなければ、ステップS25で待機する。
【0052】
(ステップS26)
表示側ユニット102は、受信した画像データを描画処理部17等で表示に適する画像データへと処理した後、表示部18へ表示する。また、表示側CPU14は、画像データを受信した際に、表示部18の電源がオフとなっている場合には、操作部15からの操作有無に拘わらずに表示部18の電源をオンにして画像を強制的に表示させる。
【0053】
これにより、車両の運転者が車載用ワイヤレス画像通信システム100の操作に煩わせられることがなくなり、車載用ワイヤレス画像通信システム100が自動的に画像を表示させるシステムとできる。特に、車庫入れ時等においては、車両の運転者は、車両の後退・切り返しや幅寄せ等、複雑かつ経験や技量を必要とする高度な運転操作を要求される。この為、車両運転者への運転支援の観点からも、またユーザフレンドリの観点からも、必要時に自動的に表示するシステム構成とする事が好ましい。
【0054】
(ステップS27)
車載用ワイヤレス画像通信システム100は、車両が一定期間以上停止して車庫入れが完了したと判断する場合には、動作を終了する。また、車載用ワイヤレス画像通信システム100は、車両が一定期間以上停止しておらず車庫入れが完了したと判断できない場合には、動作を終了せずステップS21へと戻る。
【0055】
図2に示す第一の動作フローでは、車載用ワイヤレス画像通信システム100は、車両の後退前進に拘わらず、常に識別情報を間欠発信等する。従って、車載用ワイヤレス画像通信システム100は、車外に設置したカメラに所定の範囲まで所定の車両が近づけば、自動的にカメラ画像を送受信してモニタ表示できる。
【0056】
このため、車両の運転者はカメラ画像を表示させる為の操作に煩わされることがなく、また車両の進行方向に関わりなく、車両から離間して別個に設置されるカメラの画像で安全確認が行えるので好ましい。
【0057】
特に、車両が、自宅車庫から見通しの悪い道路へ出庫する場合などに備え、道路の左右安全確認が行える場所に、予め車載用ワイヤレス画像通信システム100の車外カメラを設置しておくことが好ましい。これにより、出庫時に、車両からの視点では見通しが悪くて安全確認が困難な道路左右方向に対し、車両からとは別異な視点のカメラ画像を自動的に車内モニタに表示する車載用ワイヤレス画像通信システム100とできるので、安全上の効果がさらに期待できる。
【0058】
次に、車両の後退ギアに連動して、カメラ画像データを送受信して表示する車載用ワイヤレス画像通信システム100の動作例について、図3を用いて説明する。図3は、車載用ワイヤレス画像通信システム100が、車両の後退ギア設定を検出し、引き続き車両の識別情報を発信する動作例概要を説明する第二の動作フロー図である。なお、図2に示す第一の動作フローと重複する動作処理については、説明を省略し、又は説明を簡略に行うものとする。
【0059】
(ステップS31)
表示側ユニット102の表示側CPU14は、後退ギア16から入力される後退ギア設定情報に基づき、車両が後退ギア設定状態にあるか否かを判断する。表示側CPU14が、車両が後退ギアに設定されていると判断すれば、ステップS32に進む。また、表示側CPU14が、車両が後退ギアに設定されていないと判断すれば、ステップS31で待機する。
【0060】
(ステップS32)
表示側ユニット102は、表示側CPU14により車両のギアが後退ギアに設定されていると判断されれば、識別情報発信部13から車両の識別情報を発信する。識別情報発信部13から発信する車両の識別情報は、不図示のメモリに予め格納しておくこととできる。また、車両の識別情報は、車両の運転者が操作部15からの入力操作により、任意に選択したり設定したりできる構成としてもよい。
【0061】
(ステップS33)
カメラユニット101のカメラユニットCPU5は、ステップS32で発信された車両の識別情報を、識別情報受信部10を介して受信したかどうかを判断する。識別情報受信部10が車両の識別情報を受信しなければ、カメラユニットCPU5は、カメラユニット101に接近する車両はないものと判断する。また、識別情報受信部10が車両の識別情報を受信しなければ、カメラユニットCPU5は、カメラユニット101に接近する車両があっても、後退ギア16に設定されていないものと判断する。
【0062】
識別情報受信部10が、車両の識別情報を受信すればステップS34へと進む。また、識別情報受信部10が、車両の識別情報を受信していなければ、ステップS33で待機する。
【0063】
(ステップS34)乃至(ステップS38)
ステップS34乃至ステップS38の各ステップの動作処理については、第一の動作フローで示すステップS22乃至ステップS26と重複することとなるので、ここでは説明を省略する。
【0064】
(ステップS39)
表示側CPU14は、表示部18の画像表示モードや画像表示状況を運転者に告知するため、音声出力部19に所定の案内をアナウンスさせる。音声出力部19が、例えば「車外設置カメラの画像を表示しています」等のアナウンスを行う事により、運転者に注意を促すと共に表示状況について運転者に了知させる。
【0065】
これにより、車両の運転者は、現在車外カメラの画像が表示されているのかされていないのか等を、表示部18に視線を落とすことなく音声により知覚できる。車載用ワイヤレス画像通信システム100は、車両の識別情報の発信や照合処理、カメラ画像データの通信開始やモニタ表示等を、プログラムやアルゴリズムに基づき随時自動的に処理する。このため、車両の運転者は、車載用ワイヤレス画像通信システム100の各種動作処理状況や処理進捗状況を、随時リアルタイムに認識し、把握することは困難である。
【0066】
従って、車載用ワイヤレス画像通信システム100は、現在カメラ画像の表示を行っているのか、あるいは現在カメラ画像の表示を行っていないのかを、音声により運転者に告知する。これにより、運転者は、車両の後退時等にカメラ画像が表示されていないにも拘わらず、表示部18を視認して表示有無確認を行うような不要な動作を行わなくて済む。これにより、さらに安全に配慮した運転者支援を行う車載用ワイヤレス画像通信システム100とできる。
【0067】
(ステップS3a)
車載用ワイヤレス画像通信システム100は、車両が一定期間以上停止して車庫入れが完了したと判断する場合には、動作を終了する。また、車載用ワイヤレス画像通信システム100は、車両が一定期間以上停止しておらず車庫入れが完了したと判断しない場合には、動作を終了せずステップS32へと戻る。
【0068】
車載用ワイヤレス画像通信システム100の第二の動作フローでは、一旦、車両のミッションが後退ギア16に設定されてカメラ画像の表示を開始すると、車両が一定期間以上停止するまでは、後退ギア16設定から解除されてもカメラ画像の表示を継続する。
【0069】
従って、例えば車両の切り返し等を行う必要がある場合でも、車載用ワイヤレス画像通信システム100は、頻繁に表示部18の表示切り替えを行わず、車両が一定期間停止するまで表示継続することとなる。従って、運転者はより容易かつ迅速に表示部18のカメラ画像視認が行えることとなり、またカメラ画像を確認可能な時間や機会が増大することとなるので、安全確認上より好ましいこととなる。
【0070】
次に、図4を用いて車載用ワイヤレス画像通信システム100を設置する典型例について説明する。図4は、車載用ワイヤレス画像通信システム100のカメラを自宅車庫等に設置する例を示すものである。
【0071】
図4に示すように、車載用ワイヤレス画像通信システム100は、自宅車庫に入庫する車両40に、表示装置43と画像受信装置41と受信アンテナ42とを備える。また、車載用ワイヤレス画像通信システム100は、自宅車庫の屋根に設置した太陽電池パネル48に接続された電源装置47を備える。
【0072】
また、車載用ワイヤレス画像通信システム100は、電源装置47から電力を供給されて駆動する車外設置カメラ44と、車外設置カメラの画像データを送信する送信装置46と、送信アンテナ45とを備える。
【0073】
車外設置カメラ44は、車両40の入庫に対応して撮像を開始する。又は、車載用ワイヤレス画像通信システム100は、車両40の入庫に対応して車外設置カメラ44が撮像した画像データの送信を開始する。
【0074】
また、太陽電池パネル48は、日中に太陽光発電を行い電源装置47を充電する。従って、車載用ワイヤレス画像通信システム100は、必要最小限の低消費電力となるだけでなく、頻繁に充電を行うこととできるので、別途電源供給ケーブルを配線等して接続する必要がない。
【0075】
これにより、車外設置カメラ44等の設置箇所の自由度が増大する。また、車両40が自己の登録車両等であるかどうか確実に判断し、その判断に基づき画像データを送信する車載用ワイヤレス画像通信システム100とできる。
【0076】
車両40の運転者は、車両40の運転席から視認困難な死角等について、車両40からの視点ではなく、車両40から離間した別異な視点からの画像を取得して表示装置43で視認による確認が行える。このため、車載用ワイヤレス画像通信システム100は、安全性がさらに高い車両運転者支援を行える。
【0077】
次に、車載用ワイヤレス画像通信システム100が、車両の後方確認を行ういわゆる車載バックモニタの画像を併せて表示するシステム構成例について、第二の実施形態で説明する。
【0078】
(第二の実施形態)
図5は、車両に搭載された車両後方確認装置502によるバックモニタ画像と、カメラユニット501による車外カメラ画像と、をピクチャーインピクチャー(PinP)処理により、単一の表示部518に表示可能な車載用ワイヤレス画像通信システム500の構成概要を示す構成ブロック図である。
【0079】
なお、以下の説明において車載用ワイヤレス画像通信システム500の構成のうち、第一の実施形態で示す車載用ワイヤレス画像通信システム100の構成と重複する部分については説明を省略するか簡略化した説明とする。
【0080】
車載用ワイヤレス画像通信システム500は、車両後方確認装置502を備える。車両後方確認装置502は、車両の後方に車両後部周辺を撮像可能なバックモニタカメラ5bを備える。
【0081】
また、車両後方確認装置502は、車両後方を照射する照明部5cを備える。照明部5cで照射される車両後方を撮像したバックモニタカメラ5bの撮像画像は、AD変換部5dでディジタル信号へと変換された後、ASIC等で構成される画像処理部5eでガンマ補正等の所望の処理をされる。
【0082】
また、車両後方確認装置502での各動作処理は、バックモニタカメラCPU5fからの指示によるものとする。また、バックモニタカメラCPU5fは、フラッシュメモリ5gに格納される処理プログラムに基づき動作処理するものとする。
【0083】
また、車両後方確認装置502は、画像処理部5eでの画像処理に関する設定値などを記憶する記憶部5hを備える。そして、必要に応じてバックモニタカメラCPU5fが、画像処理に必要なパラメータ等を記憶部5hから読み出し処理することで、画像処理部5eはパラメータを用いた適切な処理を行う。
【0084】
車両後方確認装置502は、バックモニタカメラ5bから取り込んだ画像データを、適宜画像処理した後、無線インターフェース5iを介して順次送信する。送信されたバックモニタカメラ5bの画像データは、表示側ユニット503で受信されて表示部518に表示される。
【0085】
カメラユニット501の構成と動作は、第一の実施形態で上述する説明と重複するのでここでは説明を省略する。
【0086】
また、表示側ユニット503は、表示側CPU514にPinP処理部5aを有する。PinP処理部5aは、受信インターフェース512で受信するカメラユニット501と車両後方確認装置502との両方の画像を、表示部518へ同時に表示する二画面処理等を行う。
【0087】
PinP処理部5aでの処理画像について、図9を用いて説明する。図9は、表示部518へ表示されるPinP処理等がされた表示画像の典型例を示すものである。
【0088】
図9(a)に示すように、PinP処理部5aが処理して表示部518へ表示される画像は、バックモニタカメラ5bによる撮像画像を親画面91として表示される画像である。また、車外カメラである撮像部51による撮像画像を子画面92として表示する。
【0089】
従って、車両の運転者は、バックモニタカメラ5bによる車両後方をカメラ視点とする車両後方画像と、車庫上方に設置される撮像部51による鳥瞰的視点からの車両左右側面後方画像と、を同一の表示画面中で親子画面として同時に確認できる。
【0090】
また、図9(b)は、PinP処理部5aでの処理に代えて表示側CPU514が、三画面表示をさせる例を説明するものである。図9(b)に示すように、車外カメラである撮像部51は、車両後方の左右各々のクリアランスを撮像可能な二カ所に各々設置される二台のカメラとする。
【0091】
そして、車両後方左側クリアランスの画像は左後方画像94として、表示部518の左上方に表示する。また、車両後方右側クリアランスの画像は右後方画像95として、表示部518の右上方に表示する。また、バックモニタカメラ5bによる画像は、表示部518の下側に後方画像93として表示する。
【0092】
また、図9(c)は、図9(b)と同様にPinP処理部5aでの処理に代えて表示側CPU514が、三画面表示をさせる他の例を説明する画像である。図9(c)に示すように、車外カメラである撮像部51は、車両後方の左右各々のクリアランスを個別に撮像可能な二カ所に、各々設置される。
【0093】
そして、車両後方左側クリアランスの画像は左後方画像97として、表示部518の左側に表示する。また、車両後方右側クリアランスの画像は右後方画像98として、表示部518の右側に表示する。また、バックモニタカメラ5bによる画像は、表示部518の中央に後方画像96として表示する。
【0094】
図9に示す表示例では、いずれにおいても車両の運転者は、単一の表示画面中に車両周囲の状況を示す、別異なカメラ視点からの複数の画像を視認できる。このため、運転者はより的確にかつ多面的に、車両周囲の状況を把握できる。
【0095】
なお、表示側ユニット503のその他の構成や動作処理は、第一の実施形態で説明する表示側ユニット102の説明と重複する説明となるので、ここでは説明を省略する。
【0096】
次に、車載用ワイヤレス画像通信システム500の動作処理について図6及び図7を用いて説明する。図6は、車載用ワイヤレス画像通信システム500の第一の動作フローを説明するものである。
【0097】
(ステップS61)
車載用ワイヤレス画像通信システム500のカメラユニットCPU55は、識別情報受信部510が車両の識別情報を受信したか否かを判断する。識別情報受信部510が車両の識別情報を受信した場合には、ステップS62へと進む。また、識別情報受信部510が車両の識別情報を受信しない場合はステップS61で待機する。
【0098】
なお、車載用ワイヤレス画像通信システム500は、後退ギア516のギア設定情報の入力信号に拘わらず、表示側ユニット503の識別情報発信部513から、車両の識別情報を常時発信する構成とする。
【0099】
(ステップS62)
カメラユニットCPU55の車両識別情報照合部56は、受信した車両の識別情報と、記憶部58に予め設定され記憶されている所定の車両の識別情報と、を読み出して比較する。そして、所定の車両であるか否かの照合と認識を行う。
【0100】
この処理により、カメラユニット501は、車両識別情報を発信する車両が所定の車両であるか否かを判断する。すなわち、この処理により、カメラユニット501は、所定の車両がカメラユニット501の所定の範囲内に接近していることを認識できる。
【0101】
カメラユニットCPU55の車両識別情報照合部56が、受信した車両の識別情報は所定の車両の識別情報であると判断すれば、ステップS63に進む。また、カメラユニットCPU55の車両識別情報照合部56が、受信した車両の識別情報は所定の車両の識別情報であると判断しなければ、ステップS61へと戻る。
【0102】
(ステップS63)
カメラユニットCPU55は、車庫の上方に設置されるカメラ等である撮像部51に、撮影した被写体画像の出力を指示する。撮像部51は、車両後方左右側面のクリアランス等、運転席や車両側視点からでは確認困難な車両周囲の状況を、車外の見易い位置から撮像するように設置するものとする。
【0103】
また、撮像部51は、複数のカメラで構成して一カ所ではなく複数の箇所に設置しても良い。複数の箇所に撮像部51を複数の車外カメラとして設置すれば、カメラ視点が増大することとなるので安全確認上、さらに多面的に多角的に安全視認が行えるのでさらに好ましい。また、車両の運転者が、操作部515からの操作入力により、複数の撮像部51の車外カメラから任意のカメラ画像を選択可能なようにシステム構成してもよい。
【0104】
(ステップS64)
カメラユニットCPU55は、電源部59から送信インターフェース511に電力を供給して、送信インターフェース511にカメラ画像データを送信させる。上述するように、カメラユニットCPU55は、所定の車両が所定の範囲に接近した場合のみを識別して認識し、送信インターフェース511に画像データの送信を指示する。
【0105】
このため、カメラユニット501は、不要な画像データ送信処理による無駄な電力消費を低減できる。従って、全体として消費電力を低減した車載用ワイヤレス画像通信システム500とできる。
【0106】
なお、撮像部51による被写体の撮像は、車両の接近有無に拘わらず常時行うこととしてもよい。これにより、カメラを含む撮像部1の電源立ち上げに要する立ち上げ相当時間の間、待機する必要がなくなる。従って、カメラユニット501は、車両の接近に対応して、迅速にカメラ画像データを送信開始する事が可能となるので好ましい。
【0107】
(ステップS65)
表示側ユニット503は、受信インターフェース512を介してステップS64で送信された画像データを受信したか否かを判断する。表示側ユニット503の受信インターフェース512が画像データを受信すれば、ステップS66へと進む。また、表示側ユニット503の受信インターフェース512が画像データを受信しなければ、ステップS65で待機する。
【0108】
(ステップS66)
表示側ユニット503は、受信インターフェース512を介して、車両後方確認装置502から伝送されるバックモニタカメラ5bの画像データを受信したか否かを判断する。表示側ユニット503の受信インターフェース512が画像データを受信すれば、ステップS67へと進む。また、表示側ユニット503の受信インターフェース512が画像データを受信しなければ、ステップS69へと進む。
【0109】
なお、車両後方確認装置502と表示側ユニット503との間は、無線伝送による画像データ伝送に限られず、有線伝送による画像データの伝送とするようにシステム構成してもよい。車両後方確認装置502と表示側ユニット503とは、双方とも車両に搭載されることとなるので、伝送距離や伝送範囲、伝送位置も固定化され限定される。
【0110】
従って、車両後方確認装置502と表示側ユニット503との間を有線接続により画像データ伝送を行う構成とすれば、より迅速に確実な画像伝送を行うシステム構成とできるので好ましい。
【0111】
(ステップS67)
表示側CPU514のPinP処理部5aは、車両後方確認装置502による後方画像とカメラユニット501による車外カメラの画像とを合成処理する。PinP処理部5aは、例えば図9に例示するように、複数カメラ画像を実質的に一画面として表示できるように、二画面合成処理を行う。PinP処理部5aは、例えばPinP処理専用LSIを用いて画像処理を行うこととできる。
【0112】
(ステップS68)
表示側CPU514は、ステップS67でPinP処理部5aが二画面合成処理した複数カメラの画像を、表示部518に表示させる。表示側CPU514は、表示部518への表示に際し、描画処理部517で描画に適した画像データへと種々の処理を行わせる。
【0113】
また、表示側ユニット503は、表示部518へ表示している画像の種類等を案内する音声ガイダンスを音声出力部519から行う。音声出力部519が行う音声ガイダンスは、例えば「車外カメラ画像とバックモニタ画像との3画像を、1画面表示しています」等とできる。
【0114】
(ステップS69)
車載用ワイヤレス画像通信システム500は、車両が後退ギアに設定されていなければ車両後方確認装置502から車両後方の画像を取り込むことはできない。この場合は、カメラユニット501から伝送される車外カメラの受信画像のみを、表示部518へと表示する。
【0115】
表示部518が、例えばナビゲーションシステム等と併用されており地図案内表示等となっていれば、表示側CPU514は、地図案内表示等から車外カメラの受信画像へと切り替え表示させる。また、表示部518の電源がオフとなっている場合には、表示側CPU514は、表示部518の電源を強制的にオンにして自動的に車外カメラの受信画像を表示部518に表示させる。
【0116】
(ステップS6a)
車載用ワイヤレス画像通信システム500は、車両が一定期間以上停止して駐車完了したと判断する場合には、その動作処理を終了する。また、車載用ワイヤレス画像通信システム500は、カメラユニット501において車両の識別情報が受信できなくなった場合に、車載用ワイヤレス画像通信システム500が動作処理を終了してもよい。
【0117】
換言すれば、車載用ワイヤレス画像通信システム500は、カメラユニット501の所定の距離範囲内に所定の車両が存在しなくなるか、又は存在していても一定期間以上継続して駐停止又はエンジン停止状態等である場合に動作を終了する。
【0118】
一定期間以上継続して駐停止又はエンジン停止状態等である場合には、識別情報発信部513が車両の識別情報の発信を停止し、或いはカメラユニット501の識別情報受信部510が車両の識別情報を受信しなくなる。そして、カメラユニット501は、撮像部51の車外カメラ画像のデータ送信を中止する。
【0119】
次に、図7を用いて、後退ギアに連動してPinP処理又は複数画面表示処理した画像を表示する、車載用ワイヤレス画像通信システム500の動作例について説明する。図7は、車載用ワイヤレス画像通信システム500の第二の動作フローを概念的に説明するものである。
【0120】
図7に示すように、ステップS71で車両のギア設定が後退ギアとなったことを検出すると、車載用ワイヤレス画像通信システム500は、車外カメラ側(カメラユニット501)とバックモニタ側(車両後方確認装置502)とで同時に、各々画像の取得を開始する。
【0121】
ステップS72乃至ステップS77におけるカメラユニット501での各処理は、上述で説明する処理内容と重複するので、ここでは説明を省略する。
【0122】
(ステップS78)
バックモニタカメラCPU5fは、車両後方に搭載されるバックモニタカメラ5bに撮像を開始させる。また、バックモニタカメラCPU5fは、バックモニタカメラ5bに、バックモニタカメラ5bが撮像している画像データの出力を開始させる。
【0123】
(ステップS79)
車両後方確認装置502は、バックモニタカメラ5bによる撮像画像データを表示側ユニット503へと伝送する。図5に示す車載用ワイヤレス画像通信システム500においては、無線伝送により車両後方確認装置502から表示側ユニット503へと画像伝送する例を示したが、これに限られることはない。有線接続により、バックモニタカメラ5bによる撮像画像データを表示側ユニット503へと伝送する構成としてもよい。
【0124】
(ステップS7a)
表示側ユニット503は、車両後方確認装置502から伝送されるバックモニタカメラ5bの画像を受信する。
【0125】
(ステップS7b)
PinP処理部5aは、複数画面合成処理を行う。なお、この処理の説明は、ステップS67で既に説明する処理内容と重複するので、ここでは説明を省略する。
【0126】
(ステップS7c)
ステップS7aによる処理画像を、表示部518に表示する。なお、この処理の説明は、ステップS68で既に説明する処理内容と重複するので、ここでは説明を省略する。
【0127】
(ステップS7d)
音声出力部519は、表示部518への表示について、音声案内をアナウンスする。
【0128】
(ステップS7e)
車両が一定期間以上停止し又は駐車等すれば、車載用ワイヤレス画像通信システム500は、動作を完了する。車両が一定期間以上停止せず又は駐車等しなければ、車載用ワイヤレス画像通信システム500は動作を完了せず、ステップS72及びステップS78へと戻る。
【0129】
このような車載用ワイヤレス画像通信システム500を、自宅車庫等に設置する設置例を図8に示す。図8は、第二の実施形態の車載用ワイヤレス画像通信システムを自宅車庫等に設置する例を概念的に示す図である。図8において、図4で既に説明する構成部分については、説明が重複するのでここでは説明を省略する。
【0130】
図8において車両80は、トランク後部に固定されるバックモニタカメラ89を備える。バックモニタカメラ89で撮像した画像は、車両の後退ギア設定に対応して送信部8aとアンテナ8bとを介して表示装置83側に伝送される。
【0131】
表示装置83は、受信アンテナ82を介して受信装置81で受信する複数のカメラ画像データを子画面表示又はPinP処理等により表示する。
【0132】
車載用ワイヤレス画像通信システム100及び車載用ワイヤレス画像通信システム500は、車庫等に車両を入庫する際に直接目視による確認やバックモニタカメラの画像による確認では安全確認が困難な死角となる部分を、車外に設置したカメラで撮影する。また、車外に設置したカメラで撮影した画像データを、ワイヤレス通信で車両に伝送する。そして、ワイヤレス通信で車両に伝送した画像データを車内で受信して、車両に搭載するモニタに受信した画像データの画像を表示する。これにより、運転者は車内で運転席に着座しながら、死角部分を、モニタに表示される画像により確認できるようになる。よって、運転者は車庫入れ時の安全確認を、さらに容易にかつ安全に行えるようになるので好ましい。
【0133】
また、車載用ワイヤレス画像通信システム100及び車載用ワイヤレス画像通信システム500は、その表示部を含めた表示側ユニットの一部を車両から容易に着脱可能に構成することが好ましい。これにより、車両外においても、画像データ送信電波が到達する限り、車外カメラの画像を視認することが可能となる。
【0134】
また、車両の識別情報発信部13,513等は、車載用ワイヤレス画像通信システム100及び車載用ワイヤレス画像通信システム500とは別構成とすることもできる。車両の識別情報発信部13,513等を、キーレスエントリーシステムのID電波発信装置等と併用とする構成でもよい。この場合には、間欠的に一定の周期で常に車両の識別情報を車両から発信する構成とできる。
【0135】
また、車両の識別情報発信部13,513と車両の識別情報受信部10,510との間で送受信するID等は、当該所定の車両であることを認識するIDである。また、カメラユニットと表示側ユニットとで送受信するカメラ画像データは、当該所定の車両とのみ一対一で送受信可能な無線伝送方式で構成することが好ましい。これにより、車両周囲に他の車両が存在する場合においても、他の車両に画像データが受信されたり表示されたりする混乱を抑止できる。
【0136】
また、車載用ワイヤレス画像通信システム100及び車載用ワイヤレス画像通信システム500は、この実施形態での説明に限定されることはなく、自明な範囲で構成を適宜変更し、また動作処理を適宜変更して用いることができる。また、実施形態で開示する技術思想は、無線接続による伝送に限られることはなく、有線接続による画像データの伝送に適用して用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】第一の実施形態の車載用ワイヤレス画像通信システムの構成ブロック図である。
【図2】第一の実施形態の車載用ワイヤレス画像通信システムの第一動作フロー図である。
【図3】第一の実施形態の車載用ワイヤレス画像通信システムの第二動作フロー図である。
【図4】第一の実施形態の車載用ワイヤレス画像通信システムを自宅車庫等に設置する例を示す図である。
【図5】第二の実施形態の車載用ワイヤレス画像通信システムの構成ブロック図である。
【図6】第二の実施形態の車載用ワイヤレス画像通信システムの第一動作フロー図である。
【図7】第二の実施形態の車載用ワイヤレス画像通信システムの第二動作フロー図である。
【図8】第二の実施形態の車載用ワイヤレス画像通信システムを自宅車庫等に設置する例を示す図である。
【図9】表示部へ表示されるPinP処理等がされた表示画像の典型例を示す図である。
【符号の説明】
【0138】
1・・撮像部、2・・照明部、3・・AD変換部、4・・画像処理部、5・・カメラユニットCPU、5a・・PinP処理部、5b・・バックモニタカメラ、5c・・照明部、5d・・AD変換部、5e・・画像処理部、5f・・バックモニタカメラCPU、5g・・フラッシュメモリ、5h・・記憶部、5i・・無線インターフェース、6・・車両識別情報照合部、7・・フラッシュメモリ、8・・記憶部、8a・・送信部、8b・・アンテナ、9・・電源部、10・・識別情報受信部、11・・送信インターフェース、12・・受信インターフェース、13・・識別情報発信部、14・・表示側CPU、15・・操作部、16・・後退ギア、17・・描画処理部、18・・表示部、19・・音声出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と別個に設置される撮像手段が、前記車両の識別情報を受信して無線送信する撮像画像データを受信する受信手段と、
前記受信手段が前記撮像画像データを受信すると、前記撮像画像データの画像の表示を開始する表示手段と、を備える
ことを特徴とする車載用ワイヤレス画像受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載用ワイヤレス画像受信装置において、
前記車両の識別情報を発信する識別情報発信手段を備える
ことを特徴とする車載用ワイヤレス画像受信装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車載用ワイヤレス画像受信装置において、
前記受信手段が受信する前記撮像画像データは、前記車両の後部左右隅部分を含む被写体を撮像して取得した撮像画像データである
ことを特徴とする車載用ワイヤレス画像受信装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車載用ワイヤレス画像受信装置において、
前記表示手段は、
前記車両が備える車載撮像手段が撮像して取得した車両周囲の画像データの画像と、前記受信手段が受信した前記撮像画像データの画像と、を同時に表示する表示手段である、
ことを特徴とする車載用ワイヤレス画像受信装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車載用ワイヤレス画像受信装置において、
前記受信手段が受信する前記撮像画像データは、前記車両が後退ギアに設定されると発信される前記車両の識別情報を受信した前記撮像手段が、無線送信した撮像画像データであり、
前記表示手段は、前記車両が後退ギアに設定されると、前記車両が備える前記車両の後方を撮像する車載撮像手段が撮像して取得した車両後方の画像データの画像と、前記受信手段が受信した前記撮像画像データの画像とを、同時に表示する表示手段である、
ことを特徴とする車載用ワイヤレス画像受信装置。
【請求項6】
車両の識別情報を受信する識別情報受信部と、
前記識別情報受信部が受信する前記車両の識別情報が、所定の車両を示す識別情報であるか否かを判断する車両識別情報照合部と、
前記車両識別情報照合部が、前記車両の識別情報は前記所定の車両を示す識別情報であると判断した場合に、
前記車両と別個に設置される撮像手段が前記車両の後部左右隅部分を含む被写体を撮像して取得した撮像画像データを無線送信する無線送信部と、
を備えることを特徴とするワイヤレス画像伝送装置。
【請求項7】
車両から送信される前記車両の識別情報を受信し、所定の車両が接近したことを検出すると、前記車両と別個に設けられる撮像手段が撮像して取得した撮像画像データを送信する送信装置と、
前記送信装置が送信した前記撮像画像データを受信する車載用受信装置と、
前記車両が備える車載撮像手段が撮像して取得した車両周囲の画像データの画像と、前記車載用受信装置で受信した前記撮像画像データによる画像とを、同時に表示する車載用表示装置と、を備える
ことを特徴とするワイヤレス画像通信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−182858(P2009−182858A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21644(P2008−21644)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】