車載用遠隔操作装置
【課題】表示器及び通信手段を利用することなく、遠隔操作装置単独で故障診断を行い得る車載用遠隔操作装置を提供する。
【解決手段】車載用遠隔操作装置1は、予め定められた操作範囲において位置指示操作を行うための操作入力部10と、操作入力部10を構成するスイッチ14,15を照明するスイッチ照明用LED14a,15a(発光ダイオード、照明部)と、スイッチ照明用LED14a,15aの輝度を制御する制御部20とを備える。操作入力部10の故障を自己診断する自己診断モードが設定可能とされており、制御部20は、自己診断モードが設定されたときは、操作入力部10の操作による指示位置と対応付けて設定された照明パターンに基づいてスイッチ照明用LED14a,15aの輝度を制御する。
【解決手段】車載用遠隔操作装置1は、予め定められた操作範囲において位置指示操作を行うための操作入力部10と、操作入力部10を構成するスイッチ14,15を照明するスイッチ照明用LED14a,15a(発光ダイオード、照明部)と、スイッチ照明用LED14a,15aの輝度を制御する制御部20とを備える。操作入力部10の故障を自己診断する自己診断モードが設定可能とされており、制御部20は、自己診断モードが設定されたときは、操作入力部10の操作による指示位置と対応付けて設定された照明パターンに基づいてスイッチ照明用LED14a,15aの輝度を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用遠隔操作装置に関し、特に操作入力部の故障を自己診断する自己診断機能を備えた車載用遠隔操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種情報を表示する表示器(例えばナビゲーション装置のモニタ)に表示される制御内容(例えばコマンドスイッチ)をタッチ操作で指示入力する操作方式を採用した車両が増えつつある(例えば特許文献1参照)。このような車両において、特に運転者の視線の移動を少なくするために、運転者の視界に近い車室内の前部(運転席の前側遠方位置)に、表示器を設けるようにしたものがある(例えば特許文献2参照)。このように表示器を設けた車両では、運転者の手が表示器に届き難くなり、安定したタッチ操作ができなくなるので、表示器に表示される制御内容をポインタで指示入力する遠隔操作方式を採用するのが一般的である。この遠隔操作方式では、操作入力部がセンターコンソールに搭載され、操作入力部の操作に応じてポインタが表示器の画面上を移動するように構成されている。
【0003】
上記遠隔操作方式を採用する操作入力部において、なんらかの理由によりポインタ操作ができなくなることが想定される。このため、操作入力部の検出状態を確認するための故障診断機能を搭載することが必要である。このような故障診断機能に関しては、表示器を一体的に有する電子機器(例えばエアコンパネル)において、電子機器の故障状態を表示器に表示させ、電子機器の故障診断を行うようにしたものが知られている(例えば特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−309511号公報
【特許文献2】特開2005−100151号公報
【特許文献3】特開2003−252027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、操作入力部の故障診断を行う場合、上記特許文献2に記載された遠隔操作装置では、表示器が一体的に設けられていないため、操作入力部の検出状態を表すデータを通信手段を介して表示器に送り、その表示器に故障状態を表示させる必要がある。したがって、通信手段が故障した場合には、表示器に故障状態を表示させることができないという問題がある。また、通信手段を介しての通信に障害が生じた場合には、操作入力部の故障と判断されてしまうおそれもある。
【0006】
本発明は、上記問題に対処するためになされたものであり、その目的は、表示器及び通信手段を利用することなく、遠隔操作装置単独で故障診断を行い得る車載用遠隔操作装置を提供することにある。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の車載用遠隔操作装置は、予め定められた操作範囲において位置指示操作を行うための操作入力部と、操作入力部を照明する照明部と、照明部の輝度を制御する制御部とを備え、操作入力部の故障を自己診断する自己診断モードが設定可能とされており、制御部は、自己診断モードが設定されたときは、操作入力部の操作による指示位置と対応付けて設定された照明パターンに基づいて照明部の輝度を制御することを特徴とする。この場合、制御部は、例えば照明パターンとして、照明部の照明輝度を変化させる、もしくは照明の点滅周期を変化させるとよい。
【0008】
また、自己診断モードは、例えば照明部への電源がオンされ、かつ操作入力部に設けられた押し下げ式の所定の1つのスイッチが押されるか、又は所定の複数のスイッチが同時に押されたときに設定される構成にすると、通常モード(表示器上のポインタを移動させることができる通常処理の実行モード)から自己診断モードへ遷移させる操作が簡易になる。あるいは、照明部への電源がオンされ、かつ操作入力部に設けられた押し下げ式の所定の複数のスイッチが所定の順序で押されたときに設定される構成としてもよい。また、例えば照明部への電源がオフされるか、操作入力部に設けられた押し下げ式の所定の1つのスイッチが押されたとき、あるいは操作入力部に対する操作が所定時間以上行われないときに自己診断モードから抜け出せる構成にすると、自己診断モードから容易に抜け出すことができる。
【0009】
本発明の車載用遠隔操作装置においては、自己診断モードが設定されたとき、操作入力部の操作による指示位置と対応付けて設定された照明パターンに基づいて操作入力部を照明する照明部の輝度が制御される。
【0010】
このため、例えば通信手段が故障した場合や、あるいは通信手段を介しての通信に障害が生じた場合であっても、それら通信系とは無関係に照明部の輝度の変化によって操作入力部の故障を診断することができる。
【0011】
本発明の実施に際して、操作入力部は、操作範囲内で動作する操作ノブと、その操作ノブの位置を検出する位置検出機構とを備え、照明パターンは、位置検出機構により検出される操作ノブの位置と一義的な対応関係にあるとよい。この場合、操作ノブとしては、一次元、二次元又は三次元の操作範囲内で動作するものに広く適用することが可能である。
【0012】
これによれば、自己診断モードが設定された状態で操作ノブを操作したとき、操作ノブの位置に応じて照明部の輝度が変化すれば、位置検出機構が正常であると診断することができ、操作ノブの位置に応じて照明部の輝度が変化しなければ、位置検出機構が異常であると診断することができる。このため、位置検出機構の故障状態を確認することができる。
【0013】
また、照明部は、発光ダイオードを含んで構成されており、制御部は、自己診断モードにおいて、位置検出機構により検出される操作ノブの位置と一義的な対応関係にある照明パターンとしての発光ダイオードの出力デューティー比を求め、その出力デューティー比に基づいて発光ダイオードを点灯制御するものであると好適である。
【0014】
これによれば、自己診断モードが設定された状態で、位置検出機構により検出される操作ノブの位置に対応して発光ダイオードの出力デューティー比が求められ、その出力デューティー比に基づいて発光ダイオードが点灯される。このため、位置検出機構により検出される操作ノブの位置に対応する照明パターンを簡易に形成することができる。
【0015】
さらに、操作入力部は、所定機能を実行するために押し下げ操作によりオンとなるスイッチを備え、制御部は、自己診断モードにおいて、スイッチの押し下げを検出したとき、求めた出力デューティー比に優先して予め定められた一定の出力デューティー比に基づいて発光ダイオードを点灯制御するものであると好適である。
【0016】
これによれば、自己診断モードが設定された状態で、スイッチの押し下げを検出したとき、スイッチの押し下げに応じて発光ダイオードの輝度が変化すれば、スイッチの操作系が正常であると診断することができ、スイッチの押し下げに応じて発光ダイオードの輝度が変化しなければ、スイッチの操作系が異常であると診断することができる。このため、スイッチ入力に対応する照明パターンを簡易に形成することができ、またスイッチの操作系の故障状態を確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施形態に係る車載用遠隔操作装置1を概略的に示す全体図である。この車載用遠隔操作装置1は、車内に設置されているナビゲーション装置、エアコン装置、オーディオ装置などの1以上の車載電子機器を操作対象としており、各装置に対して操作入力するための操作入力部10及び制御部20を備えている。
【0018】
操作入力部10は、ポインティングデバイスとして構成され、操作範囲が予め定められた二次元操作面上において位置指示操作を行うものである。この操作入力部10は、図1及び図2に示すように、運転者Dが容易に操作できるよう自然に置かれた左手(左ハンドル車の場合は右手)の掌近傍にてセンターコンソールCCに組み付けられていて、入力部本体11と、入力部本体11の上方を覆うケース体12と、ケース体12の開口部12bにてユーザが直接触れて操作することができるように露出する形態で配置された操作ノブ13とを備えている。
【0019】
入力部本体11には、図3にて模式的に示すように、操作ノブ13の操作に対して操作反力を付与するアクチュエータとしての電動モータ31,32が設置されている。電動モータ31,32は、直交するX軸、Y軸に対応してそれぞれ設けられ、操作ノブ13の支柱13aにギア機構31a,32aを介して接続されており、各電動モータ31,32の回転運動を軸線方向(X軸方向、Y軸方向)に沿った直線運動に変換して操作ノブ13の支柱13aに伝える。すなわち、電動モータ31,32は、制御部20からの駆動信号に基づいて、操作ノブ13に対して操作方向に抗する操作反力を付与するように動作する。
【0020】
操作ノブ13は、二次元操作自由度を有するものであり、操作ノブ13による二次元操作入力変位を検出する位置検出機構としてのコード板33,34及びフォトインタラプタ35,36が設けられている。コード板33,34は、放射状のスリット列を有する円板状のものであり、電動モータ31,32の回転軸にそれぞれ固定されている。フォトインタラプタ35,36(エンコーダモジュール、位置センサ)は、コード板33,34を挟んで対向配置される信号用ダイオードと、フォトダイオード、プリアンプ、コンパレータ及び出力バッファを含んでなるフォトICとで構成されている。フォトインタラプタ35,36によって検出された位置検出情報、すなわち操作ノブ13の位置に対応して変化するコード板33,34の回転量、回転方向などは、制御部20にフィードバックされる。
【0021】
ここで、操作ノブ13による二次元操作入力変位は、図4に示すように、X軸方向、Y軸方向でそれぞれ0〜255の座標値をとるように設定されている。したがって、操作ノブ13を例えば左下端位置へ移動させれば、操作ノブ13の座標値(X,Y)が(X,Y)=(0,0)となり、操作ノブ13を例えば右上端位置へ移動させれば、操作ノブ13の座標値(X,Y)が(X,Y)=(255,255)となるような位置情報が制御部20に送られることとなる。
【0022】
図2に戻って、ケース体12の操作ノブ13よりも前側部位には、表示器40(図1、図3参照)で表示される各種外部機器50(図3参照)における制御内容(例えばコマンドスイッチ)を表すメニュー項目を変更等するための押し下げ式のスイッチ14,15と、シーソー式のスイッチ16とが設けられている。また、ケース体12の両側部位には、各種外部機器50における制御内容を確定するための押し下げ式のスイッチ17が設けられている。これらのうちスイッチ14,15には、夜間時等においてスイッチ名称が判別できるようスイッチ照明用LED14a,15a(発光ダイオード、照明部)が組み込まれている。
【0023】
図3に戻って、制御部20は、CPU21と、図示を省略するROM及びRAM等の記憶部と、例えば不揮発性メモリからなるメモリ22とを備えており、IGスイッチ(図示省略)又はACCスイッチのオンにより電源PSから電流が供給される。
【0024】
CPU21は、操作入力部10から信号入力を受ける入出力部(I/O)23,24と、電動モータ31,32に対し駆動信号を出力するX及びY駆動回路25,26と、スイッチ照明用LED14a,15aに対し駆動信号を出力する駆動回路27と接続されている。CPU21は、駆動回路27及びスイッチ照明用LED14a,15aに対してPWM制御可能とされており、出力デューティー比(DUTY)を変化させてスイッチ照明用LED14a,15aの輝度を調整するようになっている。また、CPU21は、ROM等に記憶されている図6〜図13の各プログラムをRAMを作業領域として実行する。
【0025】
制御部20は、車内LANを構築する通信バスBUSと通信回路28を介して接続されており、表示器40(例えばナビゲーション装置のモニタと兼用)及び各種外部機器50との間で相互に通信可能とされている。そして、制御部20は、操作入力部10における操作ノブ13の位置情報や、各スイッチ14〜17のスイッチ情報を表示器40へ送信する。
【0026】
表示器40は、これを受けて操作ノブ13の操作に連動するよう画面上のポインタを移動させ、また各スイッチ14〜17の操作に連動するよう画面を切り替える。このとき、制御部20は、表示器40に表示されるコマンド情報(画面情報)、出力指示情報などに応じて操作ノブ13に付与すべき反力情報を表示器40から受信する。
【0027】
具体的には、例えば図5(a)に示すように、表示器40の画面41に制御内容としてのメニューボタンA〜Eが表示されている場合、操作ノブ13の操作位置に対応して画面41上のポインタPOが移動する。図5(a)では操作ノブ13がメニューボタンBに対応した位置にあることを示している。この状態で、例えば操作ノブ13を左右方向に揺動すると、メニューボタンBを基準としてポインタPOがメニューボタンA側又はメニューボタンC側に移動する。
【0028】
この場合、例えば図5(b)に示すように、ポインタPOが各メニューボタンA〜E内に入ると、ポインタPOを各メニューボタンA〜Eの中心位置に引き込むような反力RFが操作ノブ13に与えられるようにメニュー内容に応じて反力データが設定されている(反力データは例えばROMに記憶されている)。つまり、操作ノブ13に与えられる反力RFは、ポインタPOが各メニューボタンA〜Eの端にあるときが最も大きく、各メニューボタンA〜Eの中心に近づくに従って次第に小さくなる。
【0029】
これにより、ポインタPOが各メニューボタンA〜Eの中心に近づく方向に操作ノブ13を操作し易くなる。すなわち、表示器40の表示内容に対応した反力情報が表示器40から制御部20に送信され、制御部20がその反力情報に応じて電動モータ31,32のトルクを制御することで、ユーザが反力を知覚するようになる。
【0030】
次に、図6〜図13のフローチャートに従って、車載用遠隔操作装置1で実行される具体的処理について説明する。なお、図6〜図13のフローチャートで示される各プログラムは、制御部20のROMに格納されており、制御部20のCPU21がその起動時に繰り返し実行するように構成されている。
【0031】
図6は、メイン処理を示すフローチャートである。制御部20のCPU21は、起動時に初期化処理を行い(S11)、ACCスイッチのオンを条件として(S12:Yes)、自己診断モード(ダイアグモード)遷移条件に合致したか否かを判定する(S13)。
【0032】
ここで、自己診断モードの遷移条件の具体的な態様を例示する。
(1)ACCスイッチのオン時にスイッチ14〜16のうちの所定の1つが押されるか、又はスイッチ14〜16のうちの所定の2つが同時に押されたとき自己診断モードに遷移する(S13:Yes)。この場合、スイッチ14〜16の選定に際しては、同時押しするスイッチの組み合わせが他の用途に使われていないことが必要である。
【0033】
(2)ACCスイッチのオン時にスイッチ14〜16のうちの所定の2つが所定の順序で押されたとき自己診断モードに遷移する(S13:Yes)。この場合においても、スイッチ14〜16の選定に際しては、連続押しするスイッチの組み合わせが他の用途に使われていないことが必要である。
【0034】
自己診断モード遷移条件に合致していない場合は(S13:No)、ステップS14〜S18で規定される通常処理を実行する。図7は、メイン処理のステップS14にて起動される操作ノブ入力処理を示すフローチャートである。この操作ノブ入力処理では、操作ノブ13による二次元操作面上での指示位置を検出し、その指示位置をメモリ22に記憶する(S31)。その指示位置と、前回の指示位置との差分を算出し、指示位置の変位量を算出する(S32)。算出した変位量を基に、現在位置座標を算出(0〜255に変換)する(S33)。
【0035】
図6のメイン処理に戻って、ステップS14の処理後、スイッチ入力処理を実行する(S15)。図8は、メイン処理のステップS15にて起動されるスイッチ入力処理を示すフローチャートである。このスイッチ入力処理で、制御部20のCPU21は、操作入力部10におけるスイッチ14〜17のうちのいずれかが押し下げられたか否かを判定する(S41)。スイッチ14〜17のうちのいずれかが押し下げられた場合には(S41:Yes)、スイッチの押下状態をRAMに保存する(S42)。
【0036】
図6のメイン処理に戻って、ステップS15の処理後、通常処理用スイッチ照明LED出力処理を実行する(S16)。図9は、メイン処理のステップS16にて起動される通常処理用スイッチ照明LED出力処理を示すフローチャートである。この通常処理用スイッチ照明LED出力処理では、ILLスイッチがオンしているか確認し(S51)、オンしている場合のみ(S51:Yes)、スイッチ照明用LED14a,15aを点灯させる(S52)。具体的には、制御部20のCPU21は、出力デューティー比(DUTY)が100%となるように駆動回路27を制御し、両スイッチ照明用LED14a,15aを点灯させる。これにより、通常処理時にはスイッチ14,15が最大の輝度で照明されるようになる。
【0037】
図6のメイン処理に戻って、ステップS16の処理後、通信制御処理を実行する(S17)。図10は、メイン処理のステップS17にて起動される通信制御処理を示すフローチャートである。この通信制御処理では、まず表示器40から送信されてくる反力情報を受信する(S61)。次に、制御部20のCPU21は、ステップS14の操作ノブ入力処理、又はステップS15のスイッチ入力処理において操作状態が変化したかを判定する(S62)。操作状態が変化していた場合には(S62:Yes)、変化した操作ノブ入力情報、スイッチ入力情報を表示器40へ送信する(S63)。
【0038】
図6のメイン処理に戻って、ステップS17の処理後、反力出力処理を実行する(S18)。ここでは、ステップS17で受信した反力情報と、ステップS14の操作ノブ入力処理で検出した指示位置の変位量に基づいて、X及びY駆動回路25,26に流す電流値を決定し出力する。これにより、操作ノブ13を操作すると、表示器40に表示される画面情報に連動した操作フィーリング(反力)を得ることができる。
【0039】
上記ステップS14〜S18の通常処理を繰り返し実行することで、操作ノブ13に操作反力が付与されつつ、操作ノブ13の操作位置に対応して表示器40の画面41上をポインタPOが移動するようになる。
【0040】
一方、自己診断モード遷移条件に合致している場合は(S13:Yes)、ステップS19〜S21で規定される自己診断処理(ダイアグ処理)を実行する。図11は、メイン処理のステップS19にて起動される操作ノブ入力検査処理を示すフローチャートである。この操作ノブ入力検査処理で、制御部20のCPU21は、操作ノブ13による二次元操作入力変位を検出する(S71)。次に、ステップS71で検出した操作入力変位に基づく操作ノブ13の座標値(X,Y)を次式(1)に代入し、スイッチ照明用LED14a,15aの照明輝度に対応する出力デューティー比(DUTY)を算出する。
出力DUTY(%)=(X+Y)×100/(2×255)…(1)
このように、出力デューティー比(DUTY)に基づいてスイッチ照明用LED14a,15aの照明輝度を変化させることで、操作ノブ13の位置に対応する照明パターンを簡易に形成することができる。
【0041】
図6のメイン処理に戻って、ステップS19の処理後、スイッチ入力検査処理を実行する(S20)。図12は、メイン処理のステップS20にて起動されるスイッチ入力検査処理を示すフローチャートである。このスイッチ入力検査処理で、制御部20のCPU21は、操作入力部10におけるスイッチ14,15の押し下げ(スイッチ入力)を検出する(S81)。このとき、スイッチ14,15のうちいずれか一方のみが押し下げられた場合は、押し下げられた側のスイッチ入力のみを検出し、スイッチ14,15の両方が押し下げられた場合は、両スイッチ14,15のスイッチ入力を検出することとなる。
【0042】
次に、入力を検出したスイッチ14(15)に組み込まれたスイッチ照明用LED14a(15a)の出力デューティー比(DUTY)(%)を100に設定する(S82)。このように、スイッチ14,15を押下した時、出力デューティー比(DUTY)(%)=100に設定し、照明輝度を変化させることで、スイッチ14,15のスイッチ入力に対応する照明パターンを簡易に形成することができる。
【0043】
メイン処理に戻って、ステップS20の処理後、ダイアグ処理用スイッチ照明LED出力処理を実行する(S21)。図13は、メイン処理のステップS21にて起動されるダイアグ処理用スイッチ照明LED出力処理を示すフローチャートである。このダイアグ処理用スイッチ照明LED出力処理で、制御部20のCPU21は、ステップS19の操作ノブ入力検査処理で出力デューティー比(DUTY)が算出されていれば、その算出した出力デューティー比(DUTY)を取得し(S91)、ステップS20のスイッチ入力検査処理で出力デューティー比(DUTY)(%)が100に設定されていれば、その設定された出力デューティー比(DUTY)(%)=100を取得する(S92)。
【0044】
次に、ステップS20のスイッチ入力検査処理で出力デューティー比(DUTY)(%)が100に設定されているか否かを判定し(S93)、出力デューティー比(DUTY)(%)が100に設定されていなければ(S93:No)、ステップS19で算出された出力デューティー比(DUTY)に基づいて両スイッチ照明用LED14a,15aを点灯する(S94)。
【0045】
例えば、操作ノブ13の座標値(X,Y)が(0,0)であった場合は、出力デューティー比(DUTY)(%)が0となり、両スイッチ照明用LED14a,15aは消灯する。また、操作ノブ13の座標値(X,Y)が(255,255)であった場合は、出力デューティー比(DUTY)(%)が100となり、両スイッチ照明用LED14a,15aは100%の輝度で点灯する。
【0046】
これにより、操作ノブ13の位置に応じて両スイッチ照明用LED14a,15aの輝度が変化すれば、操作ノブ13の位置検出機構としてのコード板33,34及びフォトインタラプタ35,36が正常であると診断することができる。これに対して、操作ノブ13の位置に応じて両スイッチ照明用LED14a,15aの輝度が変化しなければ(例えば、両スイッチ照明用LED14a,15aの輝度が常に0%である場合)、操作ノブ13の位置検出機構としてのコード板33,34及びフォトインタラプタ35,36が異常であると診断することができる。その結果、表示器40を用いることなく、操作ノブ13の位置検出機構としてのコード板33,34及びフォトインタラプタ35,36の故障を確認することができる。
【0047】
一方、出力デューティー比(DUTY)(%)が100に設定されていれば(S93:Yes)、ステップS20で設定された出力デューティー比(DUTY)(%)=100に基づいてスイッチ入力されたスイッチ照明用LED14a(15a)を点灯する(S95)。
【0048】
これにより、スイッチ14(15)の押し下げ操作に応じてスイッチ照明用LED14a(15a)の輝度が100%になれば、そのスイッチ14(15)の操作系が正常であると診断することができる。これに対して、スイッチ14(15)の押し下げ操作に応じてスイッチ照明用LED14a(15a)の輝度が100%にならなければ、そのスイッチ14(15)の操作系が異常であると診断することができる。
【0049】
つまり、自己診断処理(ステップS19〜S21)において、操作ノブ13の操作中にスイッチ14,15を押した場合や、スイッチ14,15を押しながら操作ノブ13を操作した場合には、ステップS20のスイッチ入力検査処理で設定される出力デューティー比(DUTY)(%)=100が、ステップS19の操作ノブ入力検査処理で算出される出力デューティー比(DUTY)(%)に優先するようになっている。その結果、スイッチ14,15の操作系の故障状態を確認することができる。なお、スイッチ14(15)の押し下げの解放時には、操作ノブ13の位置に応じた輝度で両スイッチ照明用LED14a,15aが点灯するようになる。
【0050】
図6のメイン処理に戻って、自己診断処理(ステップS19〜S21)が実行されている状態で、ACCスイッチをオフすると、自己診断モードから抜け出すことができる(S12:No)。この場合は、終了前処理を行った後(S22)、プログラムの実行を終了する。
【0051】
なお、自己診断モードから抜け出す方法は、ACCスイッチをオフする場合に限らず、ACCスイッチのオフに加えて又は変えて、例えば制御部20をリセットしたときや、操作ノブ13及びスイッチ14,15に対する操作が所定時間以上行われないとき(タイマカウントにより判定)としてもよい。
【0052】
以上の説明からも明らかなように、この実施形態によれば、自己診断モードが設定されたとき(図6のS12:Yes、S13:Yes)、操作入力部10の操作による指示位置と対応付けて設定された出力デューティー比(DUTY)(%)(照明パターン)に基づいて操作入力部10を照明するスイッチ照明用LED14a,15a(照明部)の輝度が制御される(ステップS19〜S21)。
【0053】
これにより、例えば通信回路28が故障した場合や、あるいは通信回路28を介しての通信に障害が生じた場合であっても、それら通信系とは無関係にスイッチ照明用LED14a,15aの輝度の変化によって操作入力部10の故障を診断することができる。
【0054】
なお、上記実施形態では、操作ノブ13の二次元操作入力変位の分解能を、X軸方向、Y軸方向でそれぞれ0〜255としたが、この分解能は適宜変更可能である。ただし、分解能を変更した場合は、上記式(1)の「255」の値を変更する必要がある。
【0055】
また、出力デューティー比(DUTY)(%)を求める式は上記式(1)に限らず、例えば次式(2)としてもよい。
出力DUTY(%)=−10×(X+Y)/51+100…(2)
上記式(2)では、操作ノブ13の座標値(X,Y)が(0,0)である場合、出力デューティー比(DUTY)(%)が100となり、操作ノブ13の座標値(X,Y)が(255,255)である場合、出力デューティー比(DUTY)(%)が0となる。つまり、上記式(1)とは逆の調光特性となる。
【0056】
また、出力デューティー比(DUTY)を上記式(1)又は(2)のように計算式を用いるのではなく、例えば操作ノブ13の位置と出力デューティー比(DUTY)とが予め対応付けられている照明パターンテーブルをROM等に格納しておき、この照明パターンテーブルを参照して操作ノブ13の位置から出力デューティー比(DUTY)を求めるようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、照明部としてのスイッチ照明用LED14a,15aをスイッチ14,15に組み込んだが、スイッチ14,15に組み込むことに加えて又は代えて、スイッチ照明用LEDをスイッチ16,17に組み込み、スイッチ16,17の操作系の故障を診断するようにしてもよい。また、照明部はスイッチ14〜17を照明するものに限らず、例えば操作ノブ13を照明するようにケース体12の開口部12b又はその周辺近傍にノブ照明用LEDを組み込み、このノブ照明用LEDを照明部として機能させてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、操作ノブ13が二次元操作面上で動作する態様の操作入力部10に本発明を適用したが、例えば図14、図15又は図16にて模式的に示すように、操作ノブ13が一次元操作方向(前後、左右、軸線回り)で動作する態様の操作入力部10に本発明を適用してもよい。また、例えば図17にて模式的に示すように、操作ノブ13が三次元操作方向(X方向、Y方向、Z方向)で動作する態様の操作入力部10に本発明を適用することも可能である。図17の例では、操作ノブ13の支柱13aが上下方向(Z方向)に移動可能とされており、支柱13aの上下方向の変位が位置センサにより検出されるようになっている。これら図14〜17に示す変形例においても、上記実施形態と同様にして、操作ノブ13の位置に対応して照明部の輝度を変化させることで、操作入力部10の故障を診断することができる。
【0059】
また、上記実施形態では、照明輝度を変化させることで位置検出機構の故障状態を判定しているが、例えば操作ノブ13の座標値により両スイッチ照明用LED14a,15aの点滅周期を変えてもよい。点滅周期の算出方法は、例えば次式(3)を用いて算出する。
点滅周期(Hz)=(X+Y)×20/(2×255)+1 ・・・ (3)
上記の場合、座標値(X,Y)が(0,0)だった場合、点滅周期は1Hzとなり、座標値(X,Y)が(255,255)だった場合、点滅周期は21Hzとなる。操作ノブ13の位置に応じて両スイッチ照明用LED14a,15aの点滅周期が変化すれば、位置検出機能の動作が正常であると診断することができる。操作ノブ13の位置に応じて両スイッチ照明用LED14a,15aの点滅周期が変化しなければ、位置検出機構の動作が異常であると診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載用遠隔操作装置を概略的に示す全体図。
【図2】図1の車載用遠隔操作装置を構成する操作入力部を示す斜視図。
【図3】図1の車載用遠隔操作装置の制御ブロック図。
【図4】図2の操作ノブによる二次元操作入力変位に対応する座標を示す説明図。
【図5】(a)は表示器の画面に表示される制御内容の一例としてのメニューボタンを示す説明図。(b)は(a)のメニューボタン内で作用する操作反力を示す説明図。
【図6】図3の制御部によって実行されるメイン処理を示すフローチャート。
【図7】図3の制御部によって実行される操作ノブ入力処理を示すフローチャート。
【図8】図3の制御部によって実行されるスイッチ入力処理を示すフローチャート。
【図9】図3の制御部によって実行される通常処理用スイッチ照明LED出力処理を示すフローチャート。
【図10】図3の制御部によって実行される通信制御処理を示すフローチャート。
【図11】図3の制御部によって実行される操作ノブ入力検査処理を示すフローチャート。
【図12】図3の制御部によって実行されるスイッチ入力検査処理を示すフローチャート。
【図13】図3の制御部によって実行されるダイアグ処理用スイッチ照明LED出力処理を示すフローチャート。
【図14】本発明の変形例に係り、操作ノブが一次元操作方向(前後)で動作する態様の操作入力部を示す斜視図。
【図15】本発明の変形例に係り、操作ノブが一次元操作方向(左右)で動作する態様の操作入力部を示す斜視図。
【図16】本発明の変形例に係り、操作ノブが一次元操作方向(軸線回り)で動作する態様の操作入力部を示す斜視図。
【図17】本発明の変形例に係り、操作ノブが三次元操作方向(X方向、Y方向、Z方向)で動作する態様の操作入力部を示す斜視図。
【符号の説明】
【0061】
10 操作入力部
13 操作ノブ
14〜17 スイッチ
14a,15a スイッチ照明用LED(発光ダイオード、照明部)
20 制御部
27 駆動回路
33,34 コード板(位置検出機構)
35,36 フォトインタラプタ(位置検出機構)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用遠隔操作装置に関し、特に操作入力部の故障を自己診断する自己診断機能を備えた車載用遠隔操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種情報を表示する表示器(例えばナビゲーション装置のモニタ)に表示される制御内容(例えばコマンドスイッチ)をタッチ操作で指示入力する操作方式を採用した車両が増えつつある(例えば特許文献1参照)。このような車両において、特に運転者の視線の移動を少なくするために、運転者の視界に近い車室内の前部(運転席の前側遠方位置)に、表示器を設けるようにしたものがある(例えば特許文献2参照)。このように表示器を設けた車両では、運転者の手が表示器に届き難くなり、安定したタッチ操作ができなくなるので、表示器に表示される制御内容をポインタで指示入力する遠隔操作方式を採用するのが一般的である。この遠隔操作方式では、操作入力部がセンターコンソールに搭載され、操作入力部の操作に応じてポインタが表示器の画面上を移動するように構成されている。
【0003】
上記遠隔操作方式を採用する操作入力部において、なんらかの理由によりポインタ操作ができなくなることが想定される。このため、操作入力部の検出状態を確認するための故障診断機能を搭載することが必要である。このような故障診断機能に関しては、表示器を一体的に有する電子機器(例えばエアコンパネル)において、電子機器の故障状態を表示器に表示させ、電子機器の故障診断を行うようにしたものが知られている(例えば特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−309511号公報
【特許文献2】特開2005−100151号公報
【特許文献3】特開2003−252027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、操作入力部の故障診断を行う場合、上記特許文献2に記載された遠隔操作装置では、表示器が一体的に設けられていないため、操作入力部の検出状態を表すデータを通信手段を介して表示器に送り、その表示器に故障状態を表示させる必要がある。したがって、通信手段が故障した場合には、表示器に故障状態を表示させることができないという問題がある。また、通信手段を介しての通信に障害が生じた場合には、操作入力部の故障と判断されてしまうおそれもある。
【0006】
本発明は、上記問題に対処するためになされたものであり、その目的は、表示器及び通信手段を利用することなく、遠隔操作装置単独で故障診断を行い得る車載用遠隔操作装置を提供することにある。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の車載用遠隔操作装置は、予め定められた操作範囲において位置指示操作を行うための操作入力部と、操作入力部を照明する照明部と、照明部の輝度を制御する制御部とを備え、操作入力部の故障を自己診断する自己診断モードが設定可能とされており、制御部は、自己診断モードが設定されたときは、操作入力部の操作による指示位置と対応付けて設定された照明パターンに基づいて照明部の輝度を制御することを特徴とする。この場合、制御部は、例えば照明パターンとして、照明部の照明輝度を変化させる、もしくは照明の点滅周期を変化させるとよい。
【0008】
また、自己診断モードは、例えば照明部への電源がオンされ、かつ操作入力部に設けられた押し下げ式の所定の1つのスイッチが押されるか、又は所定の複数のスイッチが同時に押されたときに設定される構成にすると、通常モード(表示器上のポインタを移動させることができる通常処理の実行モード)から自己診断モードへ遷移させる操作が簡易になる。あるいは、照明部への電源がオンされ、かつ操作入力部に設けられた押し下げ式の所定の複数のスイッチが所定の順序で押されたときに設定される構成としてもよい。また、例えば照明部への電源がオフされるか、操作入力部に設けられた押し下げ式の所定の1つのスイッチが押されたとき、あるいは操作入力部に対する操作が所定時間以上行われないときに自己診断モードから抜け出せる構成にすると、自己診断モードから容易に抜け出すことができる。
【0009】
本発明の車載用遠隔操作装置においては、自己診断モードが設定されたとき、操作入力部の操作による指示位置と対応付けて設定された照明パターンに基づいて操作入力部を照明する照明部の輝度が制御される。
【0010】
このため、例えば通信手段が故障した場合や、あるいは通信手段を介しての通信に障害が生じた場合であっても、それら通信系とは無関係に照明部の輝度の変化によって操作入力部の故障を診断することができる。
【0011】
本発明の実施に際して、操作入力部は、操作範囲内で動作する操作ノブと、その操作ノブの位置を検出する位置検出機構とを備え、照明パターンは、位置検出機構により検出される操作ノブの位置と一義的な対応関係にあるとよい。この場合、操作ノブとしては、一次元、二次元又は三次元の操作範囲内で動作するものに広く適用することが可能である。
【0012】
これによれば、自己診断モードが設定された状態で操作ノブを操作したとき、操作ノブの位置に応じて照明部の輝度が変化すれば、位置検出機構が正常であると診断することができ、操作ノブの位置に応じて照明部の輝度が変化しなければ、位置検出機構が異常であると診断することができる。このため、位置検出機構の故障状態を確認することができる。
【0013】
また、照明部は、発光ダイオードを含んで構成されており、制御部は、自己診断モードにおいて、位置検出機構により検出される操作ノブの位置と一義的な対応関係にある照明パターンとしての発光ダイオードの出力デューティー比を求め、その出力デューティー比に基づいて発光ダイオードを点灯制御するものであると好適である。
【0014】
これによれば、自己診断モードが設定された状態で、位置検出機構により検出される操作ノブの位置に対応して発光ダイオードの出力デューティー比が求められ、その出力デューティー比に基づいて発光ダイオードが点灯される。このため、位置検出機構により検出される操作ノブの位置に対応する照明パターンを簡易に形成することができる。
【0015】
さらに、操作入力部は、所定機能を実行するために押し下げ操作によりオンとなるスイッチを備え、制御部は、自己診断モードにおいて、スイッチの押し下げを検出したとき、求めた出力デューティー比に優先して予め定められた一定の出力デューティー比に基づいて発光ダイオードを点灯制御するものであると好適である。
【0016】
これによれば、自己診断モードが設定された状態で、スイッチの押し下げを検出したとき、スイッチの押し下げに応じて発光ダイオードの輝度が変化すれば、スイッチの操作系が正常であると診断することができ、スイッチの押し下げに応じて発光ダイオードの輝度が変化しなければ、スイッチの操作系が異常であると診断することができる。このため、スイッチ入力に対応する照明パターンを簡易に形成することができ、またスイッチの操作系の故障状態を確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施形態に係る車載用遠隔操作装置1を概略的に示す全体図である。この車載用遠隔操作装置1は、車内に設置されているナビゲーション装置、エアコン装置、オーディオ装置などの1以上の車載電子機器を操作対象としており、各装置に対して操作入力するための操作入力部10及び制御部20を備えている。
【0018】
操作入力部10は、ポインティングデバイスとして構成され、操作範囲が予め定められた二次元操作面上において位置指示操作を行うものである。この操作入力部10は、図1及び図2に示すように、運転者Dが容易に操作できるよう自然に置かれた左手(左ハンドル車の場合は右手)の掌近傍にてセンターコンソールCCに組み付けられていて、入力部本体11と、入力部本体11の上方を覆うケース体12と、ケース体12の開口部12bにてユーザが直接触れて操作することができるように露出する形態で配置された操作ノブ13とを備えている。
【0019】
入力部本体11には、図3にて模式的に示すように、操作ノブ13の操作に対して操作反力を付与するアクチュエータとしての電動モータ31,32が設置されている。電動モータ31,32は、直交するX軸、Y軸に対応してそれぞれ設けられ、操作ノブ13の支柱13aにギア機構31a,32aを介して接続されており、各電動モータ31,32の回転運動を軸線方向(X軸方向、Y軸方向)に沿った直線運動に変換して操作ノブ13の支柱13aに伝える。すなわち、電動モータ31,32は、制御部20からの駆動信号に基づいて、操作ノブ13に対して操作方向に抗する操作反力を付与するように動作する。
【0020】
操作ノブ13は、二次元操作自由度を有するものであり、操作ノブ13による二次元操作入力変位を検出する位置検出機構としてのコード板33,34及びフォトインタラプタ35,36が設けられている。コード板33,34は、放射状のスリット列を有する円板状のものであり、電動モータ31,32の回転軸にそれぞれ固定されている。フォトインタラプタ35,36(エンコーダモジュール、位置センサ)は、コード板33,34を挟んで対向配置される信号用ダイオードと、フォトダイオード、プリアンプ、コンパレータ及び出力バッファを含んでなるフォトICとで構成されている。フォトインタラプタ35,36によって検出された位置検出情報、すなわち操作ノブ13の位置に対応して変化するコード板33,34の回転量、回転方向などは、制御部20にフィードバックされる。
【0021】
ここで、操作ノブ13による二次元操作入力変位は、図4に示すように、X軸方向、Y軸方向でそれぞれ0〜255の座標値をとるように設定されている。したがって、操作ノブ13を例えば左下端位置へ移動させれば、操作ノブ13の座標値(X,Y)が(X,Y)=(0,0)となり、操作ノブ13を例えば右上端位置へ移動させれば、操作ノブ13の座標値(X,Y)が(X,Y)=(255,255)となるような位置情報が制御部20に送られることとなる。
【0022】
図2に戻って、ケース体12の操作ノブ13よりも前側部位には、表示器40(図1、図3参照)で表示される各種外部機器50(図3参照)における制御内容(例えばコマンドスイッチ)を表すメニュー項目を変更等するための押し下げ式のスイッチ14,15と、シーソー式のスイッチ16とが設けられている。また、ケース体12の両側部位には、各種外部機器50における制御内容を確定するための押し下げ式のスイッチ17が設けられている。これらのうちスイッチ14,15には、夜間時等においてスイッチ名称が判別できるようスイッチ照明用LED14a,15a(発光ダイオード、照明部)が組み込まれている。
【0023】
図3に戻って、制御部20は、CPU21と、図示を省略するROM及びRAM等の記憶部と、例えば不揮発性メモリからなるメモリ22とを備えており、IGスイッチ(図示省略)又はACCスイッチのオンにより電源PSから電流が供給される。
【0024】
CPU21は、操作入力部10から信号入力を受ける入出力部(I/O)23,24と、電動モータ31,32に対し駆動信号を出力するX及びY駆動回路25,26と、スイッチ照明用LED14a,15aに対し駆動信号を出力する駆動回路27と接続されている。CPU21は、駆動回路27及びスイッチ照明用LED14a,15aに対してPWM制御可能とされており、出力デューティー比(DUTY)を変化させてスイッチ照明用LED14a,15aの輝度を調整するようになっている。また、CPU21は、ROM等に記憶されている図6〜図13の各プログラムをRAMを作業領域として実行する。
【0025】
制御部20は、車内LANを構築する通信バスBUSと通信回路28を介して接続されており、表示器40(例えばナビゲーション装置のモニタと兼用)及び各種外部機器50との間で相互に通信可能とされている。そして、制御部20は、操作入力部10における操作ノブ13の位置情報や、各スイッチ14〜17のスイッチ情報を表示器40へ送信する。
【0026】
表示器40は、これを受けて操作ノブ13の操作に連動するよう画面上のポインタを移動させ、また各スイッチ14〜17の操作に連動するよう画面を切り替える。このとき、制御部20は、表示器40に表示されるコマンド情報(画面情報)、出力指示情報などに応じて操作ノブ13に付与すべき反力情報を表示器40から受信する。
【0027】
具体的には、例えば図5(a)に示すように、表示器40の画面41に制御内容としてのメニューボタンA〜Eが表示されている場合、操作ノブ13の操作位置に対応して画面41上のポインタPOが移動する。図5(a)では操作ノブ13がメニューボタンBに対応した位置にあることを示している。この状態で、例えば操作ノブ13を左右方向に揺動すると、メニューボタンBを基準としてポインタPOがメニューボタンA側又はメニューボタンC側に移動する。
【0028】
この場合、例えば図5(b)に示すように、ポインタPOが各メニューボタンA〜E内に入ると、ポインタPOを各メニューボタンA〜Eの中心位置に引き込むような反力RFが操作ノブ13に与えられるようにメニュー内容に応じて反力データが設定されている(反力データは例えばROMに記憶されている)。つまり、操作ノブ13に与えられる反力RFは、ポインタPOが各メニューボタンA〜Eの端にあるときが最も大きく、各メニューボタンA〜Eの中心に近づくに従って次第に小さくなる。
【0029】
これにより、ポインタPOが各メニューボタンA〜Eの中心に近づく方向に操作ノブ13を操作し易くなる。すなわち、表示器40の表示内容に対応した反力情報が表示器40から制御部20に送信され、制御部20がその反力情報に応じて電動モータ31,32のトルクを制御することで、ユーザが反力を知覚するようになる。
【0030】
次に、図6〜図13のフローチャートに従って、車載用遠隔操作装置1で実行される具体的処理について説明する。なお、図6〜図13のフローチャートで示される各プログラムは、制御部20のROMに格納されており、制御部20のCPU21がその起動時に繰り返し実行するように構成されている。
【0031】
図6は、メイン処理を示すフローチャートである。制御部20のCPU21は、起動時に初期化処理を行い(S11)、ACCスイッチのオンを条件として(S12:Yes)、自己診断モード(ダイアグモード)遷移条件に合致したか否かを判定する(S13)。
【0032】
ここで、自己診断モードの遷移条件の具体的な態様を例示する。
(1)ACCスイッチのオン時にスイッチ14〜16のうちの所定の1つが押されるか、又はスイッチ14〜16のうちの所定の2つが同時に押されたとき自己診断モードに遷移する(S13:Yes)。この場合、スイッチ14〜16の選定に際しては、同時押しするスイッチの組み合わせが他の用途に使われていないことが必要である。
【0033】
(2)ACCスイッチのオン時にスイッチ14〜16のうちの所定の2つが所定の順序で押されたとき自己診断モードに遷移する(S13:Yes)。この場合においても、スイッチ14〜16の選定に際しては、連続押しするスイッチの組み合わせが他の用途に使われていないことが必要である。
【0034】
自己診断モード遷移条件に合致していない場合は(S13:No)、ステップS14〜S18で規定される通常処理を実行する。図7は、メイン処理のステップS14にて起動される操作ノブ入力処理を示すフローチャートである。この操作ノブ入力処理では、操作ノブ13による二次元操作面上での指示位置を検出し、その指示位置をメモリ22に記憶する(S31)。その指示位置と、前回の指示位置との差分を算出し、指示位置の変位量を算出する(S32)。算出した変位量を基に、現在位置座標を算出(0〜255に変換)する(S33)。
【0035】
図6のメイン処理に戻って、ステップS14の処理後、スイッチ入力処理を実行する(S15)。図8は、メイン処理のステップS15にて起動されるスイッチ入力処理を示すフローチャートである。このスイッチ入力処理で、制御部20のCPU21は、操作入力部10におけるスイッチ14〜17のうちのいずれかが押し下げられたか否かを判定する(S41)。スイッチ14〜17のうちのいずれかが押し下げられた場合には(S41:Yes)、スイッチの押下状態をRAMに保存する(S42)。
【0036】
図6のメイン処理に戻って、ステップS15の処理後、通常処理用スイッチ照明LED出力処理を実行する(S16)。図9は、メイン処理のステップS16にて起動される通常処理用スイッチ照明LED出力処理を示すフローチャートである。この通常処理用スイッチ照明LED出力処理では、ILLスイッチがオンしているか確認し(S51)、オンしている場合のみ(S51:Yes)、スイッチ照明用LED14a,15aを点灯させる(S52)。具体的には、制御部20のCPU21は、出力デューティー比(DUTY)が100%となるように駆動回路27を制御し、両スイッチ照明用LED14a,15aを点灯させる。これにより、通常処理時にはスイッチ14,15が最大の輝度で照明されるようになる。
【0037】
図6のメイン処理に戻って、ステップS16の処理後、通信制御処理を実行する(S17)。図10は、メイン処理のステップS17にて起動される通信制御処理を示すフローチャートである。この通信制御処理では、まず表示器40から送信されてくる反力情報を受信する(S61)。次に、制御部20のCPU21は、ステップS14の操作ノブ入力処理、又はステップS15のスイッチ入力処理において操作状態が変化したかを判定する(S62)。操作状態が変化していた場合には(S62:Yes)、変化した操作ノブ入力情報、スイッチ入力情報を表示器40へ送信する(S63)。
【0038】
図6のメイン処理に戻って、ステップS17の処理後、反力出力処理を実行する(S18)。ここでは、ステップS17で受信した反力情報と、ステップS14の操作ノブ入力処理で検出した指示位置の変位量に基づいて、X及びY駆動回路25,26に流す電流値を決定し出力する。これにより、操作ノブ13を操作すると、表示器40に表示される画面情報に連動した操作フィーリング(反力)を得ることができる。
【0039】
上記ステップS14〜S18の通常処理を繰り返し実行することで、操作ノブ13に操作反力が付与されつつ、操作ノブ13の操作位置に対応して表示器40の画面41上をポインタPOが移動するようになる。
【0040】
一方、自己診断モード遷移条件に合致している場合は(S13:Yes)、ステップS19〜S21で規定される自己診断処理(ダイアグ処理)を実行する。図11は、メイン処理のステップS19にて起動される操作ノブ入力検査処理を示すフローチャートである。この操作ノブ入力検査処理で、制御部20のCPU21は、操作ノブ13による二次元操作入力変位を検出する(S71)。次に、ステップS71で検出した操作入力変位に基づく操作ノブ13の座標値(X,Y)を次式(1)に代入し、スイッチ照明用LED14a,15aの照明輝度に対応する出力デューティー比(DUTY)を算出する。
出力DUTY(%)=(X+Y)×100/(2×255)…(1)
このように、出力デューティー比(DUTY)に基づいてスイッチ照明用LED14a,15aの照明輝度を変化させることで、操作ノブ13の位置に対応する照明パターンを簡易に形成することができる。
【0041】
図6のメイン処理に戻って、ステップS19の処理後、スイッチ入力検査処理を実行する(S20)。図12は、メイン処理のステップS20にて起動されるスイッチ入力検査処理を示すフローチャートである。このスイッチ入力検査処理で、制御部20のCPU21は、操作入力部10におけるスイッチ14,15の押し下げ(スイッチ入力)を検出する(S81)。このとき、スイッチ14,15のうちいずれか一方のみが押し下げられた場合は、押し下げられた側のスイッチ入力のみを検出し、スイッチ14,15の両方が押し下げられた場合は、両スイッチ14,15のスイッチ入力を検出することとなる。
【0042】
次に、入力を検出したスイッチ14(15)に組み込まれたスイッチ照明用LED14a(15a)の出力デューティー比(DUTY)(%)を100に設定する(S82)。このように、スイッチ14,15を押下した時、出力デューティー比(DUTY)(%)=100に設定し、照明輝度を変化させることで、スイッチ14,15のスイッチ入力に対応する照明パターンを簡易に形成することができる。
【0043】
メイン処理に戻って、ステップS20の処理後、ダイアグ処理用スイッチ照明LED出力処理を実行する(S21)。図13は、メイン処理のステップS21にて起動されるダイアグ処理用スイッチ照明LED出力処理を示すフローチャートである。このダイアグ処理用スイッチ照明LED出力処理で、制御部20のCPU21は、ステップS19の操作ノブ入力検査処理で出力デューティー比(DUTY)が算出されていれば、その算出した出力デューティー比(DUTY)を取得し(S91)、ステップS20のスイッチ入力検査処理で出力デューティー比(DUTY)(%)が100に設定されていれば、その設定された出力デューティー比(DUTY)(%)=100を取得する(S92)。
【0044】
次に、ステップS20のスイッチ入力検査処理で出力デューティー比(DUTY)(%)が100に設定されているか否かを判定し(S93)、出力デューティー比(DUTY)(%)が100に設定されていなければ(S93:No)、ステップS19で算出された出力デューティー比(DUTY)に基づいて両スイッチ照明用LED14a,15aを点灯する(S94)。
【0045】
例えば、操作ノブ13の座標値(X,Y)が(0,0)であった場合は、出力デューティー比(DUTY)(%)が0となり、両スイッチ照明用LED14a,15aは消灯する。また、操作ノブ13の座標値(X,Y)が(255,255)であった場合は、出力デューティー比(DUTY)(%)が100となり、両スイッチ照明用LED14a,15aは100%の輝度で点灯する。
【0046】
これにより、操作ノブ13の位置に応じて両スイッチ照明用LED14a,15aの輝度が変化すれば、操作ノブ13の位置検出機構としてのコード板33,34及びフォトインタラプタ35,36が正常であると診断することができる。これに対して、操作ノブ13の位置に応じて両スイッチ照明用LED14a,15aの輝度が変化しなければ(例えば、両スイッチ照明用LED14a,15aの輝度が常に0%である場合)、操作ノブ13の位置検出機構としてのコード板33,34及びフォトインタラプタ35,36が異常であると診断することができる。その結果、表示器40を用いることなく、操作ノブ13の位置検出機構としてのコード板33,34及びフォトインタラプタ35,36の故障を確認することができる。
【0047】
一方、出力デューティー比(DUTY)(%)が100に設定されていれば(S93:Yes)、ステップS20で設定された出力デューティー比(DUTY)(%)=100に基づいてスイッチ入力されたスイッチ照明用LED14a(15a)を点灯する(S95)。
【0048】
これにより、スイッチ14(15)の押し下げ操作に応じてスイッチ照明用LED14a(15a)の輝度が100%になれば、そのスイッチ14(15)の操作系が正常であると診断することができる。これに対して、スイッチ14(15)の押し下げ操作に応じてスイッチ照明用LED14a(15a)の輝度が100%にならなければ、そのスイッチ14(15)の操作系が異常であると診断することができる。
【0049】
つまり、自己診断処理(ステップS19〜S21)において、操作ノブ13の操作中にスイッチ14,15を押した場合や、スイッチ14,15を押しながら操作ノブ13を操作した場合には、ステップS20のスイッチ入力検査処理で設定される出力デューティー比(DUTY)(%)=100が、ステップS19の操作ノブ入力検査処理で算出される出力デューティー比(DUTY)(%)に優先するようになっている。その結果、スイッチ14,15の操作系の故障状態を確認することができる。なお、スイッチ14(15)の押し下げの解放時には、操作ノブ13の位置に応じた輝度で両スイッチ照明用LED14a,15aが点灯するようになる。
【0050】
図6のメイン処理に戻って、自己診断処理(ステップS19〜S21)が実行されている状態で、ACCスイッチをオフすると、自己診断モードから抜け出すことができる(S12:No)。この場合は、終了前処理を行った後(S22)、プログラムの実行を終了する。
【0051】
なお、自己診断モードから抜け出す方法は、ACCスイッチをオフする場合に限らず、ACCスイッチのオフに加えて又は変えて、例えば制御部20をリセットしたときや、操作ノブ13及びスイッチ14,15に対する操作が所定時間以上行われないとき(タイマカウントにより判定)としてもよい。
【0052】
以上の説明からも明らかなように、この実施形態によれば、自己診断モードが設定されたとき(図6のS12:Yes、S13:Yes)、操作入力部10の操作による指示位置と対応付けて設定された出力デューティー比(DUTY)(%)(照明パターン)に基づいて操作入力部10を照明するスイッチ照明用LED14a,15a(照明部)の輝度が制御される(ステップS19〜S21)。
【0053】
これにより、例えば通信回路28が故障した場合や、あるいは通信回路28を介しての通信に障害が生じた場合であっても、それら通信系とは無関係にスイッチ照明用LED14a,15aの輝度の変化によって操作入力部10の故障を診断することができる。
【0054】
なお、上記実施形態では、操作ノブ13の二次元操作入力変位の分解能を、X軸方向、Y軸方向でそれぞれ0〜255としたが、この分解能は適宜変更可能である。ただし、分解能を変更した場合は、上記式(1)の「255」の値を変更する必要がある。
【0055】
また、出力デューティー比(DUTY)(%)を求める式は上記式(1)に限らず、例えば次式(2)としてもよい。
出力DUTY(%)=−10×(X+Y)/51+100…(2)
上記式(2)では、操作ノブ13の座標値(X,Y)が(0,0)である場合、出力デューティー比(DUTY)(%)が100となり、操作ノブ13の座標値(X,Y)が(255,255)である場合、出力デューティー比(DUTY)(%)が0となる。つまり、上記式(1)とは逆の調光特性となる。
【0056】
また、出力デューティー比(DUTY)を上記式(1)又は(2)のように計算式を用いるのではなく、例えば操作ノブ13の位置と出力デューティー比(DUTY)とが予め対応付けられている照明パターンテーブルをROM等に格納しておき、この照明パターンテーブルを参照して操作ノブ13の位置から出力デューティー比(DUTY)を求めるようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、照明部としてのスイッチ照明用LED14a,15aをスイッチ14,15に組み込んだが、スイッチ14,15に組み込むことに加えて又は代えて、スイッチ照明用LEDをスイッチ16,17に組み込み、スイッチ16,17の操作系の故障を診断するようにしてもよい。また、照明部はスイッチ14〜17を照明するものに限らず、例えば操作ノブ13を照明するようにケース体12の開口部12b又はその周辺近傍にノブ照明用LEDを組み込み、このノブ照明用LEDを照明部として機能させてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、操作ノブ13が二次元操作面上で動作する態様の操作入力部10に本発明を適用したが、例えば図14、図15又は図16にて模式的に示すように、操作ノブ13が一次元操作方向(前後、左右、軸線回り)で動作する態様の操作入力部10に本発明を適用してもよい。また、例えば図17にて模式的に示すように、操作ノブ13が三次元操作方向(X方向、Y方向、Z方向)で動作する態様の操作入力部10に本発明を適用することも可能である。図17の例では、操作ノブ13の支柱13aが上下方向(Z方向)に移動可能とされており、支柱13aの上下方向の変位が位置センサにより検出されるようになっている。これら図14〜17に示す変形例においても、上記実施形態と同様にして、操作ノブ13の位置に対応して照明部の輝度を変化させることで、操作入力部10の故障を診断することができる。
【0059】
また、上記実施形態では、照明輝度を変化させることで位置検出機構の故障状態を判定しているが、例えば操作ノブ13の座標値により両スイッチ照明用LED14a,15aの点滅周期を変えてもよい。点滅周期の算出方法は、例えば次式(3)を用いて算出する。
点滅周期(Hz)=(X+Y)×20/(2×255)+1 ・・・ (3)
上記の場合、座標値(X,Y)が(0,0)だった場合、点滅周期は1Hzとなり、座標値(X,Y)が(255,255)だった場合、点滅周期は21Hzとなる。操作ノブ13の位置に応じて両スイッチ照明用LED14a,15aの点滅周期が変化すれば、位置検出機能の動作が正常であると診断することができる。操作ノブ13の位置に応じて両スイッチ照明用LED14a,15aの点滅周期が変化しなければ、位置検出機構の動作が異常であると診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載用遠隔操作装置を概略的に示す全体図。
【図2】図1の車載用遠隔操作装置を構成する操作入力部を示す斜視図。
【図3】図1の車載用遠隔操作装置の制御ブロック図。
【図4】図2の操作ノブによる二次元操作入力変位に対応する座標を示す説明図。
【図5】(a)は表示器の画面に表示される制御内容の一例としてのメニューボタンを示す説明図。(b)は(a)のメニューボタン内で作用する操作反力を示す説明図。
【図6】図3の制御部によって実行されるメイン処理を示すフローチャート。
【図7】図3の制御部によって実行される操作ノブ入力処理を示すフローチャート。
【図8】図3の制御部によって実行されるスイッチ入力処理を示すフローチャート。
【図9】図3の制御部によって実行される通常処理用スイッチ照明LED出力処理を示すフローチャート。
【図10】図3の制御部によって実行される通信制御処理を示すフローチャート。
【図11】図3の制御部によって実行される操作ノブ入力検査処理を示すフローチャート。
【図12】図3の制御部によって実行されるスイッチ入力検査処理を示すフローチャート。
【図13】図3の制御部によって実行されるダイアグ処理用スイッチ照明LED出力処理を示すフローチャート。
【図14】本発明の変形例に係り、操作ノブが一次元操作方向(前後)で動作する態様の操作入力部を示す斜視図。
【図15】本発明の変形例に係り、操作ノブが一次元操作方向(左右)で動作する態様の操作入力部を示す斜視図。
【図16】本発明の変形例に係り、操作ノブが一次元操作方向(軸線回り)で動作する態様の操作入力部を示す斜視図。
【図17】本発明の変形例に係り、操作ノブが三次元操作方向(X方向、Y方向、Z方向)で動作する態様の操作入力部を示す斜視図。
【符号の説明】
【0061】
10 操作入力部
13 操作ノブ
14〜17 スイッチ
14a,15a スイッチ照明用LED(発光ダイオード、照明部)
20 制御部
27 駆動回路
33,34 コード板(位置検出機構)
35,36 フォトインタラプタ(位置検出機構)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた操作範囲において位置指示操作を行うための操作入力部と、
前記操作入力部を照明する照明部と、
前記照明部の輝度を制御する制御部とを備え、
前記操作入力部の故障を自己診断する自己診断モードが設定可能とされており、前記制御部は、前記自己診断モードが設定されたときは、前記操作入力部の操作による指示位置と対応付けて設定された照明パターンに基づいて前記照明部の輝度を制御することを特徴とする車載用遠隔操作装置。
【請求項2】
前記操作入力部は、前記操作範囲内で動作する操作ノブと、その操作ノブの位置を検出する位置検出機構とを備え、前記照明パターンは、前記位置検出機構により検出される前記操作ノブの位置と一義的な対応関係にある請求項1に記載の車載用遠隔操作装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記照明パターンとして、前記照明部の照明輝度を変化させる、もしくは照明の点滅周期を変化させる請求項1又は2に記載の車載用遠隔操作装置。
【請求項4】
前記操作ノブは、一次元、二次元又は三次元の操作範囲内で動作するものである請求項2又は3に記載の車載用遠隔操作装置。
【請求項5】
前記照明部は、発光ダイオードを含んで構成されており、前記制御部は、前記自己診断モードにおいて、前記位置検出機構により検出される前記操作ノブの位置と一義的な対応関係にある前記照明パターンとしての前記発光ダイオードの出力デューティー比を求め、その出力デューティー比に基づいて前記発光ダイオードを点灯制御する請求項2ないし4のいずれか1項に記載の車載用遠隔操作装置。
【請求項6】
前記操作入力部は、所定機能を実行するために押し下げ操作によりオンとなるスイッチを備え、前記制御部は、前記自己診断モードにおいて、前記スイッチの押し下げを検出したとき、前記求めた出力デューティー比に優先して予め定められた一定の出力デューティー比に基づいて前記発光ダイオードを点灯制御する請求項5に記載の車載用遠隔操作装置。
【請求項1】
予め定められた操作範囲において位置指示操作を行うための操作入力部と、
前記操作入力部を照明する照明部と、
前記照明部の輝度を制御する制御部とを備え、
前記操作入力部の故障を自己診断する自己診断モードが設定可能とされており、前記制御部は、前記自己診断モードが設定されたときは、前記操作入力部の操作による指示位置と対応付けて設定された照明パターンに基づいて前記照明部の輝度を制御することを特徴とする車載用遠隔操作装置。
【請求項2】
前記操作入力部は、前記操作範囲内で動作する操作ノブと、その操作ノブの位置を検出する位置検出機構とを備え、前記照明パターンは、前記位置検出機構により検出される前記操作ノブの位置と一義的な対応関係にある請求項1に記載の車載用遠隔操作装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記照明パターンとして、前記照明部の照明輝度を変化させる、もしくは照明の点滅周期を変化させる請求項1又は2に記載の車載用遠隔操作装置。
【請求項4】
前記操作ノブは、一次元、二次元又は三次元の操作範囲内で動作するものである請求項2又は3に記載の車載用遠隔操作装置。
【請求項5】
前記照明部は、発光ダイオードを含んで構成されており、前記制御部は、前記自己診断モードにおいて、前記位置検出機構により検出される前記操作ノブの位置と一義的な対応関係にある前記照明パターンとしての前記発光ダイオードの出力デューティー比を求め、その出力デューティー比に基づいて前記発光ダイオードを点灯制御する請求項2ないし4のいずれか1項に記載の車載用遠隔操作装置。
【請求項6】
前記操作入力部は、所定機能を実行するために押し下げ操作によりオンとなるスイッチを備え、前記制御部は、前記自己診断モードにおいて、前記スイッチの押し下げを検出したとき、前記求めた出力デューティー比に優先して予め定められた一定の出力デューティー比に基づいて前記発光ダイオードを点灯制御する請求項5に記載の車載用遠隔操作装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−111304(P2010−111304A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286375(P2008−286375)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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