説明

車載用電子機器

【課題】 利用者が車載用電子機器を利用する際に操作を要することなく、盗難時に当該車載用電子機器が自動的に施錠状態になるように構成した車載用電子機器を提供する。
【解決手段】 車載用電子機器10は、GPS受信手段12と、所定時間を記憶する設定時間記憶手段10と、少なくとも当該車載用電子機器がオフされた際にGPS時刻を測定して記憶するオフ時刻記憶手段122と、車載用電子機器10がオンされた際に測定したGPS時刻と前記オフ時刻記憶手段122に記憶したGPS時刻とを比較し経過時間を算出する経過時間算出手段20と、該経過時間算出手段20で算出した時間が前記設定時間記憶手段10に記憶された所定時間を越えた場合、当該車載用電子機器10の機能を施錠する機器ロック手段17と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盗難防止策を施した車載用ナビゲーション装置や車載用オーディオ装置などの車載用電子機器に関するものであり、特に、所定の時間経過後に当該車載用電子機器を施錠状態にするように構成した車載用電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では自動車内にナビゲーション装置やオーディオ・ビデオ装置など各種の電子機器が搭載されるようになり、また、これらの車載用電子機器は機能が高性能化し価格も高価な機器が増加している。一方で車両の窃盗や車上あらしなどの犯罪が増加する傾向にあり、車載用電子機器の盗難防止対策が課題になってきている。
【0003】
このような車載用電子機器の盗難防止には、暗証番号の入力により機能のロックを設定したり解除したりする方法、あるいは、機器の機能の作動、不作動を制御するために、特定の半導体チップやカードを機器に装着する方法などにより機器の正当な使用者を識別する方法などが一般的に用いられている。
【0004】
車載用電子機器の盗難防止対策を施した技術は、例えば、下記の特許文献1(特開平9−35361号公報)に「移動体搭載用音響機器の盗難防止装置」として開示されている。この盗難防止装置は、使用者が移動体から離れる際にパネルを機器の表裏何れの面からも装着可能として裏面装着時に機器の盗難防止機能の設置を強調し、盗難防止効果を高めることを目的としたものである。
【0005】
図4は、この特許文献1に開示された盗難防止装置の概略構成を示す図である。盗難防止装置は、図4に示すように車載用の電子機器であるナビゲーション装置や音響機器の本体2と、本体3に着脱可能なセキュリティー用のパネル1とから構成されている。パネル1は暗証番号等を入力するためのコード入力キー2を備えており、本体3の凹所4に表裏何れの面からも装着することができるように構成されている。
【0006】
パネル1が本体2に裏面装着された場合には、コネクタ6を介して本体3と電気的に接続され、この状態は裏面装着検出スイッチ6により検出される。パネル1を裏面装着し、コード入力キー2から4桁のコードを入力すると、予め設定したコードと比較される。コードが一致するとパネル1のロックが解除されるとともに本体3に設定されていた「盗難防止モード」が解除される。パネル1が表面から本体3に装着された場合は、バネル1のロックが解除され本体3からパネル1の着脱が可能とされる。パネル1が本体3に裏面装着された場合は盗難「SECURITY」の文字が見え、盗難防止対策が施されていることが強調され盗難防止効果を高めることができる。また、パネル1が本体3に裏面装着された状態においては入力したコードが設定コードと一致しない限り本体3とのロックが解除されず、パネル1自体の盗難防止が可能になる。
【0007】
すなわち、この特許文献1に開示された盗難防止装置は、パネル1の着脱とパネルから入力されたコードと設定コードを比較することにより本体3の機能の盗難防止モードの作動、不作動を制御するものである。
【特許文献1】特開平9−35361号公報(図1、図8、段落[0022]〜[0024])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1のように機器の機能の作動、不作動を制御するために、特定の半導体チップやカード、パネル類を機器に装着する方法などの一般的な盗難防止方法においては、利用者が車両に乗車し機器を使用する度に、何らかの操作を必要とするものであり煩わしいという問題点があった。
【0009】
本願の発明者は上記の問題点を解決すべく種々検討を重ねた結果、GPS受信機を搭載した車載用電子機器においては、GPS衛星信号を受信して時刻を計測することが可能であり、かつこの時刻は機器の内部時計などのように人為的に操作、改竄が不可能な点に着目し、GPS受信機によって得られる時刻を利用して車載用電子機器が機能オフ(電源オフ)されてからの経過時間を計測し、この計測時間が所定の経過時間を超過した場合には当該車載用電子機器を施錠状態にするように構成すれば、上記の問題点を解消し得ることを想到し本発明を完成するに至ったものである。
【0010】
すなわち、本願は上記の問題点を解消すことを課題とし、利用者が車載用電子機器を利用する都度何らかの操作をすることなく、盗難時に当該車載用電子機器が自動的に施錠状態になるように構成した車載用電子機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
時刻を計時する計時手段を有する車載用電子機器において、
所定時間を記憶する設定時間記憶手段と、少なくとも当該車載用電子機器がオフされたときの前記計時手段により計時された時刻を記憶するオフ時刻記憶手段と、当該車載用電子機器がオンされたときの前記計時手段により計時された時刻と前記オフ時刻記憶手段に記憶した時刻とに基づいて当該車載用電子機器がオフされてからオンされるまでの経過時間を算出する経過時間算出手段と、該経過時間算出手段で算出した時間が前記設定時間記憶手段に記憶された所定時間を越えた場合、当該車載用電子機器の機能を施錠する機器ロック手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項2にかかる発明は、
GPS受信手段を有する車載用電子機器において、
所定時間を記憶する設定時間記憶手段と、少なくとも当該車載用電子機器がオフされた際にGPS受信手段によりGPS衛星信号を受信してGPS時刻を測定して記憶するオフ時刻記憶手段と、当該車載用電子機器がオンされた際にGPS受信手段によりGPS衛星信号を受信して測定したGPS時刻と前記オフ時刻記憶手段に記憶したGPS時刻とに基づいて当該車載用電子機器がオフされてからオンされるまでの経過時間を算出する経過時間算出手段と、該経過時間算出手段で算出した時間が前記設定時間記憶手段に記憶された所定時間を越えた場合、当該車載用電子機器の機能を施錠する機器ロック手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項3にかかる発明は請求項1または2にかかる車載用電子機器において、
前記車載用電子機器は更に認証手段を備え、前記経過時間算出手段で算出した経過時間が前記設定時間記憶手段に設定された時間を超えた場合、認証手段による認証が正しく行えなかった時に前記機器ロック手段が当該車載用電子機器の機能を施錠することを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項4にかかる発明は請求項3にかかる車載用電子機器において、
前記認証手段は、所定のリトライ回数を設定し所定のリトライ回数内で認証できなかった場合に前記機器ロック手段が当該車載用電子機器の機能を施錠することを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項5にかかる発明は請求項3にかかる車載用電子機器において、
前記設定時間記憶手段は、書き換え不可能な記憶媒体であることを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項6にかかる発明は請求項1または2にかかる車載用電子機器において、
前記設定時間記憶手段は、書き換え可能な記憶媒体であり、前記認証手段による認証が正しく行えた場合に時間を書き換えるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1にかかる発明においては、車載用電子機器がオフされた際の時刻を記憶する。車載用電子機器がオンされた際の時刻と前記オフ時に記憶した手段に記憶した時刻と比較し経過時間を算出する。経過時間が前記設定時間記憶手段に設定された時間を超えた場合、前記機器ロック手段が当該車載用電子機器の機能を施錠する。
【0018】
従って、利用者は利用の都度特別の盗難対策の操作をする必要がなく、車載用電子機器が盗難にあった場合、設定時間内では機器を継続使用できるが、所定時間経過後はナビゲーション機能が施錠され正当な利用者以外では使用できなくなる。
【0019】
また、請求項2にかかる発明においてはGPSによる測位時刻を用いることで時刻の改竄できないため、経過時間を修正することができず盗難抑止の効果を高めることができる。
【0020】
請求項3にかかる発明においては、請求項1または2にかかる車載用電子機器において、車載用電子機器は更に認証手段を備え、経過時間時間算出手段で算出した経過時間が前記設定時間記憶手段に設定された時間を超えた場合、認証手段による認証が正しく行えなかった時に前記機器ロック手段が当該車載用電子機器の機能を施錠する。
【0021】
従って、経過時間が設定時間を超えない限り正当な利用者は何ら操作することなくナビ車載用電子機器を通常のように利用することができる。何らかの理由で正当な利用者が使用する間隔が伸びて設定時間を経過した場合にも、暗証番号の入力によるユーザ認証で車載用電子機器を使用することができるようになる。
【0022】
請求項4にかかる発明においては、請求項3にかかる車載用電子機器において、認証手段は、所定のリトライ回数を設定し所定のリトライ回数内で認証できなかった場合に前記機器ロック手段が当該車載用電子機器の機能を施錠する。
【0023】
従って、車載用電子機器の正当な利用者は暗証番号を所定のリトライ回数の間に正しく入力すれば認証を得られるようになる。
【0024】
請求項5にかかる発明においては、請求項1または2にかかる車載用電子機器において、前記設定時間記憶手段は、書き換え不可能な記憶媒体であることを特徴とする。
【0025】
従って、第3者により設定時間が書き換えられることがなく、車載用電子機器が盗難にあっても設定時間を延ばす操作ができず、盗難防止の効果を高めることができる。
【0026】
請求項6にかかる発明においては、請求項1または2にかかる車載用電子機器において、前記設定時間記憶手段は、書き換え可能な記憶媒体であり、前記認証手段による認証が正しく行えた場合に時間を書き換えることができる。
【0027】
従って、利用者は車載用電子機器の利用状況に応じて設定時間を任意に書き換えることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の実施例にかかる車載用のナビゲーション装置の構成を示す図、図2は経路探索のための道路データの構成を説明するための説明図である。図3は図1のナビゲーション装置の動作手順を示すフローチャートである。なお、本実施例においては、ナビゲーション装置を具体的な例として説明するが、本発明はナビゲーション装置に限ることなく、GPS受信機を備えた車載用電子機器一般に適用することができる。また、ナビゲーション装置はスタンドアロン型のものでも、経路探索サーバ、地図配信サーバなどの情報配信サーバと通信手段によって通信する通信型のものであってもよい。
【実施例】
【0029】
本発明の実施例にかかるナビゲーション装置10は、図1に示すように、制御手段11、GPS受信手段12、自律航法手段13、経路探索手段14、経路探索のための道路ネットワークデータ15、地図データ16、機器ロック手段17、通信手段18、設定時間を記憶する設定時間記憶手段19、GPS時間算出手段20、表示手段21、操作・入力手段22、認証手段23などを備えて構成されている。
【0030】
制御手段11は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。操作・表示手段22は、数字やアルファベットキーやその他の機能キー、選択キーからなり、ナビゲーション装置10に対する入力を行うものである。また表示手段21に表示されるメニュー画面から所望のメニューを選択し、あるいは、数字やアルファベットキーを操作して経路探索の条件を入力することもでき、表示手段21は操作・入力手段22の機能の一部としても動作する。通信手段18は図示しないインターネットなどのネットワークを介して地図サーバなどの情報配信サーバと通信するためのインターフェースである。
【0031】
GPS受信手段12は、測位手段121、オフ時刻記憶手段122、オン時刻記憶手段123を備えており、測位手段121は定期的にGPS衛星からの信号を受信し、現在時刻および現在位置(緯度・経度)を測位する。GPSによって測定した時刻は人為的に改竄したり、調整したりすることはできない。オフ時刻記憶手段122は、ナビゲーション装置10の電源オフなどによる機能オフ時のGPS測位時刻を記憶し、オン時刻記憶手段123はナビゲーション装置10の電源オフなどによる機能オン時のGPS測位時刻を記憶する。
【0032】
認証手段23は、利用者によって登録された暗証番号と、操作・入力手段22から入力された暗証番号とを比較し、本人認証を行う。自律航法手段13は加速度センサ、操角センサ、車速センサなどから構成され、推測航法により現在位置を測位するものである。トンネル内、山間部、地下などGPS衛星信号を受信できない場所、建築物によるマルチパスの影響でGPSによる測位誤差が一定の範囲を超える場所などではこの自律航法手段13による測位結果が利用される。
【0033】
利用者がナビゲーション装置10の電源をオンして機器の機能をオンすると、その時点でGPS受信手段が測定した現在時刻をオン時刻としてオン時刻記憶手段123に記憶される。同様に、利用者がナビゲーション装置10の電源をオフして機器の機能をオフすると、その時点でGPS受信手段が測定した現在時刻をオフ時刻としてオフ時刻記憶手段122に記憶される。
【0034】
従って、ナビゲーション装置10をオンした時に、オン時刻記憶手段123に記憶されたGPS時刻とオフ時刻記憶手段122に記憶されたGPS時刻とから、前回オフしてから今回オンするまでの経過時間をGPS時刻に基づいて算出することができる。この経過時間は、GPS時間算出手段20がオン時刻記憶手段123に記憶されたGPS時刻とオフ時刻記憶手段122に記憶されたGPS時刻を参照して行う。
【0035】
設定時間記憶手段19はROMなどの書き換え不可能なメモリに設定した時間であり、常識的に通常の利用者がナビゲーション装置10を利用する最大の時間間隔より長く設定、例えば、100時間など、利用者が通常のナビゲーション装置10を利用する間隔を設定して書き込んでおく。GPS時間算出手段20が算出した経過時間(機器をオフしてから次に機器をオンするまでの経過時間)が設定時間記憶手段19に設定された所定時間を超えていた場合には、機器ロック手段17がナビゲーション装置10の機能を施錠する。
【0036】
ナビゲーション装置10の真性な所有者がナビゲーション装置10を利用する場合はGPS時間算出手段20が算出した経過時間が前記設定時間を超えることはなく、ナビゲーション装置10の機能をオンさせることができ、問題なくナビゲーション装置10を利用することができる。
【0037】
しかしながら、ナビゲーション装置10が盗難にあい、転売されたような場合には、ナビゲーション装置10がオンされるまでの経過時間はかなり大きくなる。そして経過時間が前記設定時間を超えていると、転売を受けた使用者がナビゲーション装置10をオンしても機器ロック手段17が機能をロックするため、ナビゲーション10を利用することができなくなる。仮に、転売された直後には経過時間が設定時間内でありナビゲーション装置10を使用することができたとしても、機器オン時にPW入力を条件付けるなどの手段と組み合わせることによって機器を施錠することができる。
【0038】
経路探索手段14は道路データを用いて利用者が指定する出発地(例えば、現在地)から所望の目的地までの経路を探索し、経路距離(または所要時間)の短い順に複数の案内経路を候補として表示手段21に表示して利用者に経路を選択させたり、あるいは最も経路距離(または所要時間)の短い経路を案内経路として地図データ16から該当する部分の地図とともに案内経路を表示手段21に表示したりする。この時、一般には現在位置を示す現在位置マークを地図、案内経路に重ね合わせて表示し利用者を案内経路にそってガイドする。交差点などの手前では右左折のガイドを表示または音声案内によって行う。
【0039】
経路探索のための道路データ15は図2に示すように構成されている。すなわち、図2のように道路の交差点や屈曲点、あるいはホテルなど所要の建物の存在する位置にノードN1〜N6を置き、各ノードの間を結ぶ道路をリンクL1〜L4として道路を表現し、各リンクL1〜L4の距離または所要時間をリンクコストとし、ノード、リンク、リンクコストを道路ネットワークのデータとして蓄積したいものである。
【0040】
経路探索は、図2に示す出発地Sから目的地Gまで、出発地Sを起点に移動し得るリンク、ノードをたどり各リンクのリンクコストを累積し、リンクコストの最も小さい経路が求める最短の案内経路となる。この経路探索方法はダイクストラ法といわれ、一般的なナビゲーションシステムで利用される手法である。地図データ16は、所定の緯度・経度でエリアを分けメッシュ状に区分されており、現在地を中心に表示手段21に随時必要なメッシュ状の地図データを表示する。
【0041】
出発地、目的地、出発日時、到着日時などの経路探索条件の設定は表示手段21に表示されるメニュー画面に表示される入力ボックスや選択ボタンにより行う。例えば、出発地として現在位置を選択すると、測位手段121または自律航法手段13が測位した現在位置が出発地として設定される。また、目的地は緯度・経度を直接入力したり、建物名称や番地、電話番号などを入力しデータベースから該当場所の緯度・経度に変換するなどの方法によって制定する。
【0042】
次に、本発明の実施例にかかるナビゲーション装置10の動作手順について図3のフローチャートを参照して説明する。ステップS10において、利用者がナビゲーション装置10の電源をオンして機器の機能をオンすると、ステップS11の処理においてその時点でGPS受信手段が測定した現在時刻をオン時刻としてオン時刻記憶手段123に記憶する。
【0043】
ナビゲーション装置10の電源をオフして機器の機能をオフすると、その時点でGPS受信手段が測定した現在時刻がオフ時刻としてオフ時刻記憶手段122に記憶されているから、ステップS12の処理において、GPS時間算出手段20がオン時刻記憶手段123に記憶されたGPS時刻とオフ時刻記憶手段122に記憶されたGPS時刻を参照して前回オフ時刻から今回のオンまでの経過時間をGPS時刻に基づいて算出する。
【0044】
ステップS13の処理において、制御手段11はGPS時間算出手段20が算出した経過時間(前回オフから今回オンまでの)と設定時間記憶手段19に設定した時間とを比較する。所定の時間を経過して(設定時間を超えて)いなければ、ステップS16の処理においてナビゲーション装置10の機能が動作できるようになる。GPS時間算出手段20が算出した経過時間が所定の時間を経過して(設定時間を超えて)いると、ステップS14の処理に進み利用者に対して暗証番号の入力が要求される。暗証番号が入力されるとステップS15の処理において認証手段23は、暗証番号がナビゲーション装置10に登録されている暗証番号と一致しするか判定する。認証手段23が正しい暗証番号であると判断するとステップS16の処理に進む。
【0045】
ステップS15の処理において入力した暗証番号が正しくないと判断されるとステップS19の処理で所定のリトライ回数(例えば、3回)を超過しているか否かが判断される。リトライ回数を超過していなければステップS14の暗証番号入力の処理に戻り、リトライ回数を超過するとステップS20の処理において、機器ロック手段17がナビゲーション装置10の機能をロックする(施錠状態とする)。
【0046】
この処理により、前回オフ時刻から今回オン時刻までの経過時間が設定時間を超過し、利用者が入力した暗証番号が正しくない場合にはナビゲーション装置10の機能がロックされるので仮に盗難にあった場合には、正当な利用者でなければナビゲーション装置10を利用することができなくなる。
【0047】
一方、ステップS16の処理においてナビゲーション装置10が通常通りに機能開始した場合は通常の経路探索、案内処理を行い、ナビゲーション処理が完了し、ステップS17の処理においてナビゲーション装置10の電源がオフされると、ステップS18の処理において、その時点でGPS受信手段が測定した現在時刻がオフ時刻としてオフ時刻記憶手段122に記憶され、処理を終了する。
【0048】
このような盗難探索を施せば、経過時間が設定時間を超えない限り正当な利用者は何ら操作することなくナビゲーション装置10を通常のように利用することができる。何らかの理由で正当な利用者が使用する間隔が伸びて設定時間を経過した場合にも、暗証番号の入力によるユーザ認証でナビゲーション装置10を使用することができる。
【0049】
ナビゲーション装置10が、盗難にあった場合には、設定時間内ではナビゲーション装置10を継続使用できるが、所定時間経過後はナビゲーション機能が施錠され正当な利用者以外では使用できなくなる。また、GPSによる測位時刻を改竄できないため、経過時間を修正することができず盗難抑止の効果を高めることができる。
【0050】
なお、上記の実施例において、設定時間は書き換えのできないROMに記憶する例を説明したが、暗証番号による認証をパスした場合に書き換えできるように構成し、利用者の使用状況によって適切な時間を任意に設定するように構成することもできる。
【0051】
また、ナビゲーション装置がオンされた時のGPS時刻(GPS衛星信号から測定した時刻)と、オフされた時のGPS時刻とをそれぞれ記憶する実施例を説明したが、前回オフされたGPS時刻と今回オンされたGPS時刻からナビゲーション装置がオフされてからの経過時間を算出できればよいので、前回のオフ時刻のみを記憶しておき、今回オンされた時のGPS時刻と記憶してあった前回オフ時のGPSから経過時間を算出するように構成することもできる。
【0052】
また、時計を備え、GPS衛星からの信号が受信できないときにナビゲーション装置がオンまたはオフされたときは、時計によって計時された時刻を記憶するように構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の実施例においては、ナビゲーション装置を例に説明したが、GPS受信手段を有する車載用の電子機器であればどのような機器にも適用でき、また、車載用電子機器は、スタンドアロンで動作する機器であってもよく、各種サーバとネットワークを介して通信する通信型の機器であっても適用可能である。通信型の機器にあっては本人認証機能をサーバに持たせ、ログインID、暗証番号などによる認証機能を利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施例にかかる車載用のナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図2】経路探索のための道路データの構成を説明するための説明図である。
【図3】図1のナビゲーション装置の動作手順を示すフローチャートである。
【図4】従来の盗難防止対策を施した車載用音響機器の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
10・・・・ナビゲーション装置
11・・・・制御手段11
12・・・・GPS受信手段
121・・・測位手段
122・・・オフ時刻記憶手段
123・・・オン時刻記憶手段
13・・・・自律航法手段
14・・・・経路探索手段
15・・・・道路データ
16・・・・地図データ
17・・・・機器ロック手段
18・・・・通信手段
19・・・・設定時間記憶手段
20・・・・GPS時間算出手段
21・・・・表示手段
22・・・・操作・入力手段22


【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻を計時する計時手段を有する車載用電子機器において、
所定時間を記憶する設定時間記憶手段と、少なくとも当該車載用電子機器がオフされたときの前記計時手段により計時された時刻を記憶するオフ時刻記憶手段と、当該車載用電子機器がオンされたときの前記計時手段により計時された時刻と前記オフ時刻記憶手段に記憶した時刻とに基づいて当該車載用電子機器がオフされてからオンされるまでの経過時間を算出する経過時間算出手段と、該経過時間算出手段で算出した時間が前記設定時間記憶手段に記憶された所定時間を越えた場合、当該車載用電子機器の機能を施錠する機器ロック手段と、を備えたことを特徴とする車載用電子機器。
【請求項2】
GPS受信手段を有する車載用電子機器において、
所定時間を記憶する設定時間記憶手段と、少なくとも当該車載用電子機器がオフされた際にGPS受信手段によりGPS衛星信号を受信してGPS時刻を測定して記憶するオフ時刻記憶手段と、当該車載用電子機器がオンされた際にGPS受信手段によりGPS衛星信号を受信して測定したGPS時刻と前記オフ時刻記憶手段に記憶したGPS時刻とに基づいて当該車載用電子機器がオフされてからオンされるまでの経過時間を算出する経過時間算出手段と、該経過時間算出手段で算出した時間が前記設定時間記憶手段に記憶された所定時間を越えた場合、当該車載用電子機器の機能を施錠する機器ロック手段と、を備えたことを特徴とする車載用電子機器。
【請求項3】
前記車載用電子機器は更に認証手段を備え、前記経過時間算出手段で算出した経過時間が所定時間を超えた場合、認証手段による認証が正しく行えなかったときに前記機器ロック手段が当該車載用電子機器の機能を施錠することを特徴とする請求項1または2に記載の車載用電子機器。
【請求項4】
前記認証手段は、所定のリトライ回数を設定し所定のリトライ回数内で認証できなかった場合に前記機器ロック手段が当該車載用電子機器の機能を施錠することを特徴とする請求項3に記載の車載用電子機器。
【請求項5】
前記設定時間記憶手段は、書き換え不可能な記憶媒体であることを特徴とする請求項1または2に記載の車載用電子機器。
【請求項6】
前記設定時間記憶手段は、書き換え可能な記憶媒体であり、前記認証手段による認証が正しく行えた場合に時間を書き換えるように構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の車載用電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−42036(P2007−42036A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228263(P2005−228263)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】