車載用風力発電装置
【課題】車両走行風を利用して発電する車載用風力発電装置において、弱風での起動性に優れると共に発電効率が高い車載用風力発電装置を提供する。
【解決手段】ダクト3の空気通路3a内に配置されるとサボニウス型の風車10と、風車10の回転によって発電する発電機20と、風車10の風上側に配置された防風部材30と、風車10の風下側に配置された風向変更部材40とを備え、風向変更部材40は、最風上点P1から回転軌道To上を1/4回転軌道分前進した下境界点P3と、回転軌道To上で最も風下に位置する最風下点P4との間の少なくとも下境界点P3から1/8回転軌道分を覆うように回転軌道Toに沿って且つ回転軌道Toと所定の間隔を隔てて配置された部分円筒風向変更曲面40を有している。この部分円筒風向変更曲面40によって、下境界点P3を越えた羽根11の風受け凹曲面11aに対して風Wを送り込むことができる。
【解決手段】ダクト3の空気通路3a内に配置されるとサボニウス型の風車10と、風車10の回転によって発電する発電機20と、風車10の風上側に配置された防風部材30と、風車10の風下側に配置された風向変更部材40とを備え、風向変更部材40は、最風上点P1から回転軌道To上を1/4回転軌道分前進した下境界点P3と、回転軌道To上で最も風下に位置する最風下点P4との間の少なくとも下境界点P3から1/8回転軌道分を覆うように回転軌道Toに沿って且つ回転軌道Toと所定の間隔を隔てて配置された部分円筒風向変更曲面40を有している。この部分円筒風向変更曲面40によって、下境界点P3を越えた羽根11の風受け凹曲面11aに対して風Wを送り込むことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行風を利用して発電する車載用風力発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載用風力発電装置に用いられる風車は、風向に対する回転軸の方向によって水平軸型と垂直軸型とに大別される。水平軸型風車は、車両走行風の風向に水平な回転軸をもつ風車であり、例えば、特許文献1には、回転軸に直角な複数の羽根を有するプロペラ型風車を搭載した車載用風力発電装置が開示されている。プロペラ型風車は高回転・高発電効率であることから、車両が高速走行しているときの発電装置としての期待が大きい。ところが、プロペラ型風車は、回転トルクが小さいことにより弱風での起動性が悪く、風車の回転には車速40km/h以上(風速約11m/s以上)が必要となる。
【0003】
一方、垂直軸型風車は、車両走行風の風向に垂直な回転軸をもつ風車であり、例えば、特許文献2には、回転軸に沿って延びる複数の羽根を有するサボニウス型風車を搭載した車載用風力発電装置が開示されている(図12参照)。サボニウス型風車は、プロペラ型風車よりも高風速時の発電効率が低いものの、構造が単純で壊れにくく、また、回転トルクが大きいことにより、弱風での起動性がよく、車速40km/h未満でも発電することが可能である。さらに、車両の停車時においても外気微風力(自然風)により発電することが可能である。
【0004】
図12に示すように、サボニウス型風車92は、回転軸を車幅方向に向けて、車両90のボンネット内の空気通路91内に配置されている。また、サボニウス型風車95は、回転軸を車幅方向に向けて、車両90の屋根に設けられた空気通路94内に配置されている。サボニウス型風車92及び95は、羽根の回転外側端の回転軌道上で最も風上に位置する最風上点よりも下方の受風面Aに風を受けてr方向に回転する。受風面Aは風向に直交する面であり大きさは羽根の回転外側端の回転半径に相当する。最風上点よりも上方で風を受けると回転方向rとは逆回転の回転トルクが発生するため、防風部材93及び96によって最風上点よりも上方に風が当たるのを防止している。
【0005】
なお、サボニウス型風車とは、厳密には、中空円筒を縦半分に切って、これら半分割された円筒をその分割面に沿って左右互い違いにずらしかつ分割面と垂直な方向から視て一部同士が重なり合うように組み合わせた形で相対させ、半分割された円筒(羽根)の間を風が通り抜けるようにしたものである。しかし、本発明では、特許文献2のように回転軸に沿って延びる複数の羽根を有しかつ羽根の回転内側端が回転軸に取り付けられてなる風車もサボニウス型風車という。
【0006】
車両は、常に高速で走行できるわけではなく、特に都市部では信号停止や渋滞の影響により、平均的な車速は40km/h未満である。また、例え車両が高速で走行していたとしても、車速に等しい高風速の風を車両内に取り込めるわけではない。このような状況を勘案すると、強風領域でのみ発電が可能なプロペラ型風車よりも、弱風からの発電が可能なサボニウス型風車の方が、通常の車両の使用状況では、車両走行中のトータル発電量が大きくなると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−150986号公報
【特許文献2】特開2002−359903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したサボニウス型風車92及び95は、空気通路内を流れる一方向からの風を、羽根の回転外側端の回転半径に相当する受風面Aのみで受けて回転する。したがって、受風面Aが狭いため、十分な回転トルクが得られているとは言い難い。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、車両走行風を利用して発電する車載用風力発電装置において、弱風での起動性に優れると共に発電効率が高い車載用風力発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき、必要に応じて作用効果等を付記しつつ説明する。
【0011】
(1)本発明の車載用風力発電装置は、車両前方から取り込んだ車両走行風を車両後方に排出するダクトの空気通路内を流れる風を利用して発電する車載用風力発電装置であって、前記空気通路内に配置されると共に半円筒形の風受け凹曲面が形成された複数枚の羽根を有するサボニウス型の風車と、前記風車の回転によって発電する発電機と、前記風車の風上側に前記ダクトと一体的に配置された防風部材と、前記風車の風下側に前記ダクトと一体的に配置された風向変更部材と、を備え、
前記防風部材は、前記羽根の回転外側端の回転軌道上で最も風上に位置する最風上点と、該最風上点から該回転軌道上を1/4回転軌道分後退した上境界点と、の間の略全部を覆うように該回転軌道に沿って且つ該回転軌道と所定の間隔を隔てて配置された略1/4円筒防風曲面を有すると共に、前記風向変更部材は、前記最風上点から前記回転軌道上を1/4回転軌道分前進した下境界点と、該回転軌道上で最も風下に位置する最風下点と、の間の少なくとも該下境界点から1/8回転軌道分を覆うように該回転軌道に沿って且つ該回転軌道と所定の間隔を隔てて配置された部分円筒風向変更曲面を有することを特徴とする。
【0012】
このような構成によると、風向変更部材は、最風上点から回転軌道上を1/4回転軌道分前進した下境界点と、回転軌道上で最も風下に位置する最風下点と、の間の少なくとも下境界点から1/8回転軌道分を覆うように回転軌道に沿って且つ回転軌道と所定の間隔を隔てて配置された部分円筒風向変更曲面を有している。これにより、ダクトの空気通路内に進入した風は、下境界点を越えたときに部分円筒風向変更曲面に沿って風向が曲げられるため、下境界点を越えた羽根の風受け凹曲面に対して風を送り込むことができる。すなわち、本発明の車載用風力発電装置に備わるサボニウス型の風車は、実質的に多方向から風を受けている。
【0013】
したがって、本発明の車載用風力発電装置に備わるサボニウス型の風車は、図12に示した従来のサボニウス型風車92及び95に比べて、より長い間、羽根の風受け凹曲面に風を受けることができる。これにより、風車の回転トルクが向上するため、弱風での起動性が向上すると共に発電効率が向上する。
【0014】
このように、本発明の車載用風力発電装置は、弱風での起動性に優れているため、車両の停車時においても外気微風力により良好に発電を行うことが可能である。また、本発明の車載用風力発電装置に備わるサボニウス型の風車は、風が車両前方からダクトに取り込まれても、車両後方からダクトに取り込まれても、同一方向に回転する。したがって、車両の停車中に車両前方及び車両後方のいずれの方向から受ける外気微風力に対しても発電を行うことが可能である。
【0015】
(2)前記(1)で述べた本発明の車載用風力発電装置において、好ましくは、前記部分円筒風向変更曲面と前記回転軌道との間隔が、一定間隔とされていることを特徴とする。
【0016】
このような構成によると、風向変更部材の部分円筒風向変更曲面と、羽根の回転外側端の回転軌道とは回転軸を中心とする同心円となる。これにより、ダクトの空気通路内に進入した風は、部分円筒風向変更曲面に沿って滑らかに風向が曲げられため、風向の変更に伴う風速の低下を抑えつつ、羽根の風受け凹曲面に対してスムーズに風を送り込むことができる。
【0017】
ここで、部分円筒風向変更曲面と回転軌道との間隔を、風車の直径に対して0.5〜5%程度の一定間隔とすることが好ましい。車両に搭載可能な直径100〜150mm程度の風車を想定すると、この間隔を0.5〜5mmの一定間隔とすることが好ましい。この間隔が0.5mmよりも小さい場合には、風車の回転中に部分円筒風向変更曲面と羽根の回転外側端とが接触する虞があり、この間隔が5mmよりも大きい場合には、この隙間からの風の漏洩が大きくなるため、風車内への風の取り込み量が減少する。
【0018】
(3)前記(1)で述べた本発明の車載用風力発電装置において、好ましくは、前記部分円筒風向変更曲面と前記回転軌道との間隔が、風上側端で広く風下側端で狭い徐変間隔とされていることを特徴とする。
【0019】
このような構成によると、風向変更部材の部分円筒風向変更曲面と、羽根の回転外側端の回転軌道との間隔が、風上側端で広く風下側端で狭い徐変間隔とされている。したがって、ダクトの空気通路の開口が風車の風上側で大きくなっていることにより、より多くの風を風車に取り込むことができる。また、羽根の回転外側端が下境界点に近づいた場合であっても、羽根の回転外側端と部分円筒風向変更曲面との隙間から回転方向前方の羽根に向けて風を取り込むことができる。
【0020】
また、前記(2)で述べた車載用風力発電装置よりも、部分円筒風向変更曲面に沿って風向を曲げる際の風向の変化量を大きくすることができるため、実質的に風車により多方向から風を送り込むことが可能となり、風車の回転トルクの更なる向上が望める。
【0021】
ここで、部分円筒風向変更曲面と回転軌道との間隔を、風上側端で風車の直径に対して5〜20%程度、風下側端で風車の直径に対して0.5〜5%程度とすることが好ましい。車両に搭載可能な直径100〜150mm程度の風車を想定すると、この間隔を風上側端で5〜20mm、風下側端で0.5〜5mmとすることが好ましい。風上側端の間隔が5mmよりも小さい場合には、上述した風上側端の間隔を広くした効果が得られにくく、風上側端の間隔が20mmよりも大きい場合には、風向の変化量が大きくなるため風速の低下や風の流れが乱れる虞がある。風下側端の間隔を0.5〜5mmにする理由については前記(2)で述べたとおりである。
【0022】
(4)前記(3)で述べた本発明の車載用風力発電装置において、好ましくは、前記略1/4円筒防風曲面と前記回転軌道との間隔が、風上側端で狭く風下側端で広い徐変間隔とされていることを特徴とする。
【0023】
このような構成によると、防風部材の略1/4円筒防風曲面と、羽根の回転外側端の回転軌道との間隔が、風上側端で狭く風下側端で広い徐変間隔とされている。したがって、この間隔が風上側端で狭くなっていることにより風車の最風上点よりも上方への風の進入を防止することができる。これにより、風車の回転方向とは逆回転の回転トルクの発生を抑えることができる。また、ダクトの空気通路の開口が風車の風下側で大きくなっていることにより、風車からの風の排出を阻害することがない。
【0024】
ここで、略1/4円筒防風曲面と回転軌道との間隔を、風上側端で風車の直径に対して0.5〜5%程度、風下側端で風車の直径に対して5〜20%程度とすることが好ましい。車両に搭載可能な直径100〜150mm程度の風車を想定すると、この間隔を風上側端で0.5〜5mm、風下側端で5〜20mmとすることが好ましい。風上側端の間隔が0.5mmよりも小さい場合には、風車の回転中に略1/4円筒防風曲面と羽根の回転外側端とが接触する虞があり、風上側端の間隔が5mmよりも大きい場合には、上述した風の進入を防止する効果が得られにくい。また、風下側端の間隔が5mmよりも小さい場合には、上述した風の排出が阻害されるのを防止する効果が得られにくく、風下側端の間隔が20mmよりも大きい場合には、略1/4円筒防風曲面の曲がりが急となることによって、曲がり損失による風速の低下や風の流れが乱れる虞がある。
【0025】
ダクトの空気通路内の圧力損失を小さくするためには、風車の風上側と風下側との空気通路の開口面積を等しくすることが好ましい。よって、略1/4円筒防風曲面と回転軌道との風下側端における間隔を、部分円筒風向変更曲面と回転軌道との風上側端における間隔と等しくするのが好ましい。
【0026】
(5)前記(1)〜(4)で述べた本発明の車載用風力発電装置において、好ましくは、前記風車は、該風車の回転軸方向に分割された複数個の分割風車の集合体よりなり、前記分割風車と該分割風車に隣接する分割風車とが、各該分割風車の各前記羽根の回転方向の位相を互いにずらして配置されていることを特徴とする。
【0027】
このような構成によると、分割風車とこの分割風車に隣接する分割風車とが、各分割風車の各羽根の回転方向の位相を互いにずらして配置されている。互いに隣り合う分割風車の羽根の位相が等しい場合には、各分割風車の各羽根の風受け凹曲面で同時に風を受けるため大きな正回転の回転トルクが発生するものの、各羽根の風受け凹曲面の裏面にも同時に風を受けるため各分割風車で同時に風車の回転方向とは逆回転の回転トルクが発生する。したがって、風車の回転トルクが不安定となる。
【0028】
一方、互いに隣り合う分割風車の羽根の位相をずらした場合には、各分割風車の各羽根の風受け凹曲面が時間差をおいて風を受けるため、常にいずれか一方の分割風車の風受け凹曲面は風を受けている状態となり、風車の回転トルクが安定する。
【0029】
(6)前記(3)〜(5)で述べた本発明の車載用風力発電装置において、好ましくは、前記羽根は、該羽根の前記回転外側端と該羽根の回転内側端とを繋ぐと共に該羽根の回転方向に向かって前記風受け凹曲面よりも大きく湾曲した風除け凸曲面を備え、前記羽根の断面形状は、前記風受け凹曲面と前記風除け凸曲面とにより囲まれた略三日月形を呈していることを特徴とする。
【0030】
このような構成によると、風車の羽根の断面形状は、風受け凹曲面と風除け凸曲面とにより囲まれた略三日月形を呈している。このような立体的な羽根形状は、風受け凹曲面に沿って流れる風よりも風除け凸曲面に沿って流れる風の方が早く流れている場合に、羽根に揚力が作用することが知られている。そして、この揚力により風車の回転トルクの向上が期待できる。ところが、風除け凸曲面が風車の回転方向前方に張り出しているため、羽根の回転外側端が下境界点に近づいた場合には、この風除け凸曲面が障壁となることによって、回転方向前方の風受け凹曲面が風を受けにくくなる。これにより、風受け凹曲面が風を受けることによって発生する回転トルクが低下する虞がある。
【0031】
ここで、前記(3)及び(4)で述べた本発明の車載用風力発電装置において略三日月形の羽根を適用する場合には、羽根の回転外側端が下境界点に近づいた場合であっても、羽根の回転外側端と部分円筒風向変更曲面との隙間から風車内に風を取り込むことができる。このため、風除け凸曲面に沿って流れる風が途切れることがなく、また、回転方向前方の羽根の風受け凹曲面に風を取り込みやすい。したがって、風受け凹曲面が風を受けることによって発生する回転トルクを低下させることなく、羽根に作用する揚力により風車の回転トルクを向上させることができる。
【0032】
また、前記(5)で述べた本発明の車載用風力発電装置において略三日月形の羽根を適用する場合には、常にいずれか一方の分割風車の風受け凹曲面は風を受けている状態となる。これと同様に、常にいずれか一方の分割風車には揚力が作用している状態となる。これにより、風車の回転トルクの安定と回転トルクの向上が望める。
【0033】
(7)本発明の車載用風力発電装置において、好ましくは、前記風車が、電気自動車又はハイブリッド電気自動車の二次電池を冷却するための風を送る前記ダクトの前記空気通路内に配置されていることを特徴とする。
【0034】
このような構成によると、風車が、電気自動車又はハイブリッド電気自動車の二次電池を冷却するための風を送るダクトの空気通路内に配置されている。したがって、風力発電を行うための専用のダクトを設ける必要がなく経済的である。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、車両走行風を利用して発電する車載用風力発電装置において、弱風での起動性に優れると共に発電効率が高い車載用風力発電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態の車載用風力発電装置を備える車両を模式的に説明する側面図である。
【図2】本実施形態の車載用風力発電装置を模式的に説明する説明図であって、(a)は上面図、(b)は側面図を示している。
【図3】本実施形態の車載用風力発電装置の風車内の風の流れを説明する斜視図であって、羽根の回転外側端が下境界点にある状態を示している。
【図4】本実施形態の車載用風力発電装置の風車内の風の流れを説明する斜視図であって、羽根の回転外側端が下境界点を越えて前進した状態を示している。
【図5】比較形態の車載用風力発電装置の風車内の風の流れを説明する断面図であって、(a)は羽根の回転外側端が下境界点にある状態、(b)は羽根の回転外側端が下境界点を越えて前進した状態、(c)は羽根の回転外側端が(b)の状態からさらに前進した状態を示している。
【図6】本実施形態の車載用風力発電装置の風車内の風の流れを説明する断面図であって、(a)は羽根の回転外側端が下境界点にある状態、(b)は羽根の回転外側端が下境界点を越えて前進した状態、(c)は羽根の回転外側端が(b)の状態からさらに前進した状態を示している。
【図7】実施例1〜4及び比較例1及び2の構造を説明する一覧図である。
【図8】実施例1の構造を説明する側面図である。
【図9】実施例3の構造を説明する側面図である。
【図10】実施例1〜4及び比較例1及び2の風車の回転加速時における風速と回転数との関係を示すグラフである。
【図11】実施例1〜4及び比較例1及び2の風車の回転減速時における風速と回転数との関係を示すグラフである。
【図12】従来の車載用風力発電装置を備える車両を模式的に説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の車載用風力発電装置の実施形態について図面を参照しつつ詳しく説明する。
【0038】
図1に本実施形態の車載用風力発電装置を備える車両を模式的に説明する側面図を示す。また、図2に本実施形態の車載用風力発電装置を模式的に説明する説明図を示す。ここで、図2(a)は車載用風力発電装置の上面図、図2(b)は車載用風力発電装置の側面図を示している。
【0039】
図1に示すように、本実施形態の車載用風力発電装置1は、車両2のフロント部分に配置されている。車両2は電気自動車であり、車両2のフロア下部には走行用のバッテリ4(二次電池)が装備されている。車両2には、前方から取り込んだ風Wを、バッテリ4を冷却するための風と、車内を換気するための風とに分岐するダクト3が設けられている。この風は、バッテリ4を冷却した後、又は車内を換気した後、車両2の後方に排出される。
【0040】
車載用風力発電装置1は、ダクト3の空気通路3a内に配置された風車10と、風車10の回転によって発電するDCモータ20(発電機)と、風車10の風上側にダクト3と一体的に配置された防風部材30と、風車10の風下側にダクト3と一体的に配置された風向変更部材40とを備えている。
【0041】
図2に示すように、風車10はサボニウス型風車であり、風車10の回転軸12方向に分割された第一分割風車10aと第二分割風車10bとの結合体よりなる。第一分割風車10a及び第二分割風車10bは、回転軸12方向に延びる3枚の羽根11を有する同一構造よりなり、第一分割風車10a及び第二分割風車10bの各羽根11の位相を等しくした状態で、第一分割風車10aの各羽根11と第二分割風車10bの各羽根11とが中間円板13cを介して接合されている。
【0042】
また、第一分割風車10aの各羽根11の中間円板13cと異なる側には、端部円板13aが接合されており、第二分割風車10bの各羽根11の中間円板13cと異なる側には、端部円板13bが接合されている。このように端部円板13a及び13bと中間円板13cとにより、羽根11のスパン長を短くすることによって、羽根11がたわみにくくなっている。
【0043】
各羽根11は半円弧状に湾曲した板部材であり、羽根11の凹面側が風を受ける風受け凹曲面11a、羽根11の凸面側が風を除ける風除け凸曲面11bとなっている。また、羽根11の両端のうち回転軸12から遠い側を回転外側端11c、回転軸12に近い側を回転内側端11dと呼ぶ。回転軸12は、回転外側端11cと回転内側端11dとを結ぶ線上にあり、3枚の各羽根11の各回転外側端11cは、回転外側端11cの回転軌道Toの全周を3等分した120°刻みに配置されている。
【0044】
2本の回転軸12が端部円板13a及び13bのそれぞれの中心に接合されており、ダクト3の壁面に設けられた図略のベアリングによって、各回転軸12が回転可能に支持されている。
【0045】
ダクト3の外側には、風車10の回転をDCモータ20に伝達するためのタイミングプーリ14が配置されており、タイミングプーリ14は、一方の回転軸12に電磁クラッチ16を介して接合されている。電磁クラッチ16をON/OFFすることによって、風車10の回転をDCモータ20に伝達するか否かを制御することが可能となっている。
【0046】
発電機20は、風車10よりも前方のダクト3の上部に横付けでボルト固定されている。発電機20の回転軸21にはタイミングプーリ22が取り付けられており、風車10の回転軸12に取り付けられたタイミングプーリ14と、発電機20の回転軸21に取り付けられたタイミングプーリ22とがタイミングベルト15により連結されている。
【0047】
発電機20で発電された電気は、キャパシタ23を経由して、電圧12Vの補助バッテリ24に蓄電される。補助バッテリ24に蓄電された電気は、インパネのメーター類のランプや各種センサー類に供給される電力として利用される。また、この電気は、昇圧回路25(DC/DCコンバータ)により電圧50Vに変換された後、走行用のバッテリ4に充電される。
【0048】
防風部材30は、ダクト3と一体的に形成されている。防風部材30は、羽根11の回転外側端11cの回転軌道To上で最も風上に位置する最風上点P1と、最風上点P1から回転軌道To上を1/4回転軌道分後退した上境界点P2との間の全部を覆うように回転軌道Toに沿って配置されている。したがって、防風部材30は1/4円筒状を呈しており、風車10に対向する面を1/4円筒防風曲面31(略1/4円筒防風曲面)と呼ぶ。
【0049】
1/4円筒防風曲面31と回転軌道Toとの間隔を1mmの一定間隔としている。この防風部材30によって、風車10の最風上点P1よりも上方への風Wの進入を防止することができる。なお、風Wの進入防止及び部材の成形精度の観点から、1/4円筒防風曲面31と回転軌道Toとの間隔を0.5〜5mmの一定間隔とするのが好ましい。
【0050】
風向変更部材40は、ダクト3と一体的に形成されている。風向変更部材40は、最風上点P1から回転軌道To上を1/4回転軌道分前進した下境界点P3と、回転軌道To上で最も風下に位置する最風下点P4との間の全部を覆うように回転軌道Toに沿って配置されている。したがって、風向変更部材40は1/4円筒状を呈しており、風車10に対向する面を1/4円筒風向変更曲面41(部分円筒風向変更曲面)と呼ぶ。
【0051】
1/4円筒風向変更曲面41と回転軌道Toとの間隔を1mmの一定間隔としている。この風向変更部材40によって、風Wの方向が変化するため、後述するように、下境界点P3を越えた羽根11の風受け凹曲面11aに対して風Wを送り込むことができる。なお、風Wの漏洩防止及び部材の成形精度の観点から、1/4円筒風向変更曲面41と回転軌道Toとの間隔を0.5〜5mmの一定間隔とするのが好ましい。また、風向変更部材40による風向変更の効果を得るためには、少なくとも下境界点P3から1/8回転軌道分を覆うように風向変更部材40を配置するのが好ましい。
【0052】
図3及び図4に風車10内の風Wの流れを説明する斜視図を示す。図3に示すように、羽根11の回転外側端11cが下境界点P3にある状態において、風上側からダクト3の空気通路3aに侵入した風Wは、最下方にある羽根11の風受け凹曲面11aに当たって、風受け凹曲面11aに沿って風向が曲げられる。そして、この風Wは風車10の回転中心付近を通過した後、他の羽根11の風受け凹曲面11aに当たって、この風受け凹曲面11aに沿って風向がさらに曲げられて風車10の風下側に排出される。したがって、図3に示すように、風Wは風車10内をS字を描いて通過する。図3に示す風Wの流れは、従来のサボニウス型風車と何等変わりはない。
【0053】
本実施形態の車載用風力発電装置1の最大の特徴は、図4に示すように、羽根11の回転外側端11cが下境界点P3を越えて前進した状態であっても、この羽根11の風受け凹曲面11aに風Wを取り込める点にある。風上側からダクト3の空気通路3aに侵入した風Wは、下境界点P3と回転外側端11cとの間の風向変更部材40の1/4円筒風向変更曲面41に当たって、1/4円筒風向変更曲面41に沿って風向が曲げられる。これにより、下境界点P3を越えて前進した羽根11の風受け凹曲面11aに風Wを取り込むことが可能となっている。すなわち、1/4円筒風向変更曲面41によって、羽根11の回転外側端11cがさらに延長されて羽根11の風受け凹曲面11aが拡張されたのと同等の作用が生まれている。
【0054】
このような、1/4円筒風向変更曲面41の作用について、図5及び6に基づいてさらに詳しく説明する。図5は、本実施形態の比較形態として、風向変更部材40を備えていない車載用風力発電装置の風車10内の風Wの流れを説明する断面図を示している。
【0055】
図5に示す比較形態の車載用風力発電装置において、風車10の構造は本実施形態と同一の構造であり、ダクト300の構造が本実施形態のダクト3の構造と異なっている。ダクト300には、本実施形態と同一構造の防風部材30が形成されているものの、風向変更部材40は形成されていない。したがって、風下側の空気通路開口H2は、風上側の空気通路開口H1の2倍の大きさとなっている。
【0056】
図5(a)に示すように、羽根11の回転外側端11cが下境界点P3にある状態において、風車10は受風面Aで風Wを受ける。そして、風Wは、風上側に向いた羽根11の風除け凸曲面11bに当たって、有効受風面B1まで通風面積が絞られることにより風速が強まった後、取込風W1として羽根11の風受け凹曲面11aに取り込まれる。そして、取込風W1が風車10内を通過することにより、風車10に正回転の回転トルクが作用する。このとき、風上側に向いた羽根11の風除け凸曲面11bに当たった風Wが逆戻風W3となることによって、風車10に回転方向rとは逆回転の回転トルクが作用する。風車10に作用する正回転の回転トルクは、逆回転の回転トルクよりも大きいために、風車10は止まることなく回転する。
【0057】
図5(b)に示すように、羽根11の回転外側端11cが下境界点P3を越えて前進した状態においては、回転外側端11cと下境界点P3との間に風上側から風下側に貫通した隙間ができるため、風Wの一部がこの隙間から抜ける漏洩風W2となる。このとき、有効受風面B2は、上述した有効受風面B1よりも小さいため、風受け凹曲面11aに取り込まれた取込風W1によって発生する回転トルクは、図5(a)の状態における回転トルクよりも小さくなる。
【0058】
図5(c)に示すように、羽根11の回転外側端11cが図5(b)の状態からさらに前進した状態においては、回転外側端11cと下境界点P3との間の隙間がさらに大きくなる。図5(c)に示すように、下境界点P3を通過した羽根11の回転外側端11cから風Wの風向に平行に引いた線(図中の一点鎖線)が、下境界点P3を通過する前の羽根11の風除け凸曲面11bの接線となるとき、漏洩風W2が最も多くなる。そして、この状態においては、下境界点P3を通過した羽根11の回転外側端11cに風Wが取り込まれない。
【0059】
一方、図5(c)に示すように、風車10の風上側に、風車10内へ風Wが進入する有効受風面B3が形成され、有効受風面B3から取り込まれた風Wが逆戻風W3となって、風車10内の羽根11の風除け凸曲面11bに当たるため風車10に逆回転の回転トルクが作用する。したがって、図5(c)に示す状態は、風車10に逆回転の回転トルクが卓越した状態となるため、風車10の回転にブレーキがかかることとなる。
【0060】
以上に述べたように、図5に示す比較形態の車載用風力発電装置においては、風Wを風車10の回転に変換する効率に優れているとは言えない。一方、図6に示す本実施形態の車載用風力発電装置1においては、以下に述べるとおり、風Wを風車10の回転に変換する効率に優れている。
【0061】
図6(a)、(b)及び(c)における羽根10の回転状態は、図5(a)、(b)及び(c)における羽根10の回転状態と同じである。図6(a)における有効受風面C1は、図5(a)における有効受風面B1に等しい大きさである。したがって、図5(a)及び図6(a)において、風車10に作用する回転トルクに差はない。
【0062】
図6(b)に示す状態においては、図5(b)で示した回転外側端11cと下境界点P3との間の隙間が、風向変更部材40の1/4円筒風向変更曲面41によって塞がれているため、図6(b)における有効受風面C2は、図5(b)における有効受風面B2よりも大きい。よって、図6(b)に示す状態においては、漏洩風W2が発生することがほとんどなく、ダクト3に進入した風Wのほぼ全てが取込風W1として風車10内に取り込まれる。したがって、図6(b)に示す本実施形態の車載用風力発電装置1の風車10には、図5(b)に示す比較形態の車載用風力発電装置の風車10よりも大きな回転トルクが作用している。
【0063】
図6(c)に示す状態においては、上述した比較形態の有効受風面B3と同様に有効受風面C3が形成され、有効受風面C3から取り込まれた風Wが逆戻風W3となって、風車10に逆回転の回転トルクが作用する。ところが、上述した図6(b)に示す状態と同様に、回転外側端11cと下境界点P3との間の隙間が、風向変更部材40の1/4円筒風向変更曲面41によって塞がれているため、比較形態の車載用風力発電装置においては形成されなかった有効受風面C4が形成される。この有効受風面C4から風受け凹曲面11aに取り込まれた取込風W1によって発生する正回転の回転トルクは、上述した逆戻風W3による逆回転の回転トルクよりも大きいため、風車10は止まることなく回転する。
【0064】
このような本実施形態の構成によると、風向変更部材40は、下境界点P3と最風下点P4との間の全部を覆うように回転軌道Toに沿って且つ回転軌道Toと一定間隔を隔てて配置された1/4円筒風向変更曲面41を有している。これにより、ダクト3の空気通路3a内に進入した風Wは、下境界点P3を越えたときに1/4円筒風向変更曲面41に沿って風向が曲げられるため、下境界点P3を越えた羽根11の風受け凹曲面11aに対して風Wを送り込むことができる。すなわち、本実施形態の車載用風力発電装置1に備わるサボニウス型の風車10は、実質的に多方向から風を受けている。
【0065】
したがって、本実施形態の車載用風力発電装置1に備わるサボニウス型の風車10は、図12に示した従来のサボニウス型風車92及び95に比べて、より長い間、羽根11の風受け凹曲面11aに風を受けることができる。これにより、風車10の回転トルクが向上するため、弱風での起動性が向上すると共に発電効率が向上する。
【0066】
このように、本実施形態の車載用風力発電装置1は、弱風での起動性に優れているため、車両2の停車時においても外気微風力により良好に発電を行うことが可能である。また、サボニウス型の風車10は、風が車両2の前方からダクト3に取り込まれても、車両2の後方からダクト3に取り込まれても、同一の回転方向rに回転する。さらに、本実施形態においては、図2(b)で示したように、防風部材30及び風向変更部材40が同一形状で回転軸12に関して互いに対称な位置に配置されているため、風車10は、車両2の前方及び後方のいずれの方向から風を受けても等しく回転する。したがって、車両2の停車中に車両2の前方及び後方のいずれの方向から受ける外気微風力に対しても良好に発電を行うことが可能である。
【0067】
また、本実施形態においては、車載用風力発電装置1の風車10が、電気自動車の走行用のバッテリ4を冷却するための風を送るダクト3の空気通路内3aに配置されている。したがって、風力発電を行うための専用のダクトを設ける必要がなく経済的である。
【実施例】
【0068】
本実施例は、本発明の車載用風力発電装置の各実施形態について、弱風での起動性及び発電効率を実験により検証したものである。図7に実施例1〜4及び比較例1及び2の構造を説明する一覧図を示す。
【0069】
実施例1は、本発明の請求項1又は2、及び上述した本実施形態の車載用風力発電装置1を具現化した実施例である。図8に実施例1の構造を説明する側面図を示す。風車10は、羽根11の回転外側端11cの回転軌道Toの直径φ1=135mm、回転内側端11dの回転軌道Tiの直径φ2=45mmとされている。また、羽根11の風受け凹曲面11aの半径R1=45mmとされている。
【0070】
防風部材30の1/4円筒防風曲面31と回転軌道Toとの間隔は1mmの一定間隔であり、最風上点P1における間隔S1及び上境界点P2における間隔S2は、いずれも1mmとされている。また、風向変更部材40の1/4円筒風向変更曲面41と回転軌道Toとの間隔は1mmの一定間隔であり、下境界点P3における間隔S3及び最風下点P4における間隔S4は、いずれも1mmとされている。
【0071】
ダクト3の風上側の空気通路開口H1と風下側の空気通路開口H2とは等しい大きさとされており、H1=H2=68.5mmとされている。実験方法は、この空気通路開口H1から風車10に向かって所定風速の風を送り、風速を変化させつつ、風車10の回転加速時及び回転減速時における風速(m/s)と回転数(rpm)との関係を検証するものである。
【0072】
実施例2は、本発明の請求項1、3又は4を具現化した実施例である。実施例2は、実施例1における防風部材30及び風向変更部材40を、防風部材60及び風向変更部材70に変更した実施例である。実施例2における風車10の構造は、実施例1と同一であるため説明を省略する。実施例2における防風部材60及び風向変更部材70の形状は、図9に示す実施例3の構造を説明する側面図に示されているとおりである。
【0073】
防風部材60の1/4円筒防風曲面61と回転軌道Toとの間隔は、風上側端で狭く風下側端で広い徐変間隔とされている。最風上点P1における間隔S1=1mm、上境界点P2における間隔S2=10mmとされている。また、風向変更部材70の1/4円筒風向変更曲面71と回転軌道Toとの間隔は、風上側端で広く風下側端で狭い徐変間隔とされている。下境界点P3における間隔S3=10mm、風下点P4における間隔S4=1mmとされている。ダクト3の風上側の空気通路開口H1と風下側の空気通路開口H2とは等しい大きさとされており、H1=H2=77.5mmとされている。実験方法は、実施例1と同様である。
【0074】
実施例3は、本発明の請求項1、3、4又は6を具現化した実施例である。実施例3は、実施例2における風車10を、風車50に変更した実施例である。実施例3における防風部材60及び風向変更部材70の構造は、実施例2と同一であるため説明を省略する。図9に実施例3の構造を説明する側面図を示す。風車50は、羽根51の回転外側端51cの回転軌道Toの直径φ1=135mm、回転内側端51dの回転軌道Tiの直径φ2=45mmとされている。また、羽根51の風受け凹曲面51aの半径R1=45mmとされている。
【0075】
実施例3における羽根51は、羽根51の回転外側端51cと羽根51の回転内側端51dとを繋ぐと共に羽根51の回転方向rに向かって風受け凹曲面51aよりも大きく湾曲した風除け凸曲面51bを備えている。したがって、羽根51の断面形状は、風受け凹曲面51aと風除け凸曲面51bとにより囲まれた略三日月形を呈している。
【0076】
風除け凸曲面51bは、回転外側端51cと回転内側端51dとから対称的に延びる半径R2=R3=67.5mmの2つの曲面と、この2つの曲面の交点を半径R4=18mmで面取りした構造よりなる。回転外側端51cから延びる曲面は、回転外側端51cの回転軌道To上に配置されている。半径R4=18mmで面取りが施されていることによって、風除け凸曲面51bは滑らかな曲面により連続しているため、風除け凸曲面51bに沿って流れる風が乱れにくい。実験方法は、実施例1と同様である。
【0077】
実施例4は、本発明の請求項1、3、4又は5を具現化した実施例である。実施例4は、実施例3における風車50の第一分割風車50aと第二分割風車50bとを風車50の回転方向に位相をずらした実施例である。その他の構造については、実施例3と同様であるため説明を省略する。実施例4において、第一分割風車50aの羽根51と、第二分割風車50bの羽根51とは、位相が60°ずれている。すなわち、第一分割風車50a及び第二分割風車50bの合計6枚の羽根51は、風車50の回転方向rに均等に配置されている。実験方法は、実施例1と同様である。
【0078】
比較例1は、図5で示した比較形態の車載用風力発電装置を具現化した比較例である。比較例1のダクト300には、実施例1と同一構造の防風部材30が形成されているものの、風向変更部材40は形成されていない。したがって、風下側の空気通路開口H2は、風上側の空気通路開口H1の2倍の大きさとなっおり、H1=68.5mm、H2=137mmとされている。比較例1における風車10の構造は、実施例1と同一であるため説明を省略する。ダクト300と回転軌道Toとの間隔は、下境界点P3において間隔S0=1mmとされている。実験方法は、実施例1と同様である。
【0079】
比較例2は、比較例1の風車10を、実施例3で述べた風車50に変更した比較例である。風車50の構造及びダクト300の構造については、上述しているため説明を省略する。実験方法は、実施例1と同様である。
【0080】
図10に実施例1〜4及び比較例1及び2の風車の回転加速時における風速と回転数との関係を示すグラフを示す。また図11に実施例1〜4及び比較例1及び2の風車の回転減速時における風速と回転数との関係を示すグラフを示す。これらのグラフは、横軸を風速(m/s)、縦軸を風車の回転数(rpm)としている。車両走行風がダクト内に減衰することなく進入すると仮定した場合には、風速1〜9m/sは、車速3.6〜32.4km/hに相当する。図10及び11のグラフにおいて、風速が弱い段階で風車が回転するほど弱風での起動性がよいと判断し、また、同じ風速で回転数が大きいほど発電効率が高いと判断することができる。
【0081】
図10に示すように、風車の回転加速時においては、実施例1〜4の全てが、比較例1及び2よりも弱風での起動性及び発電効率に優れている。
【0082】
比較例2においては、比較例1の板状の羽根11を略三日月形の羽根51に変更したことによって、比較例1よりも発電効率が低下している。この理由は、風車50の回転中に羽根51の風除け凸曲面51bが障壁となることによって、回転方向前方の風受け凹曲面51aが風を受けにくくなることと、風が風車50内に進入しにくいことによって、風除け凸曲面51bに沿って流れる風が途切れて、羽根51に揚力が作用しにくくなるためであると推測できる。
【0083】
実施例1においては、1/4円筒風向変更曲面41の作用によって、下境界点P3を越えた羽根11の風受け凹曲面11aに対して風を送り込むことができる。このため、風速1.4m/s程度(車速5km/h程度)の弱風から風車10が回転を初め、比較例1よりも弱風での起動性及び発電効率に優れている。
【0084】
実施例2においては、実施例1よりも風速が上がったときの発電効率が向上している。この理由は、実施例2においては、風向変更部材70の1/4円筒風向変更曲面71と回転軌道Toとの間隔が、風上側端で広く風下側端で狭い徐変間隔とされていることによって、実施例1よりも、多くの風を風車10に取り込むことができると共に、実施例1よりも、1/4円筒風向変更曲面71に沿って風向を曲げる際の風向の変化量を大きくすることができるためと推測できる。
【0085】
実施例3においては、実施例2よりも発電効率が向上している。この理由は、実施例2の板状の羽根11を略三日月形の羽根51に変更したことによって、羽根51に作用する揚力により風車50の回転トルクを向上させることができたためと推測できる。比較例1と比較例2との対比においては、板状の羽根11を略三日月形の羽根51に変更するだけでは、風車50の回転トルクを向上させる効果が生まれなかったが、実施例3のように、風車50に風が取り込まれやすい形状とすることによって、風車50の回転トルクを向上させることができる。
【0086】
実施例4においては、実施例3よりも弱風から風速4m/s程度(車速14km/h程度)の風速までの範囲で発電効率が向上している。この理由は、第一分割風車50aの羽根51と、第二分割風車50bの羽根51とは、位相が60°ずれているため、風車50の回転トルクが安定したためと推測できる。なお、実施例4において、風速を4m/s以上とすると、風車50に振動が発生するため、風車50の回転がこれ以上に上昇しない。風車50に振動が発生する理由として、分割風車を2個としているため風車全体としてのバランスが偏っていることが考えられる。この場合、分割風車を3個として、風車全体のバランスを改善することもできる。
【0087】
図11に示すように、風車の回転減速時における風速と回転数との関係は、図10で示した風車の回転加速時における関係と類似している。図11に示すように、風車の回転減速時においても、実施例1〜4の全てが、比較例1及び2よりも弱風まで風車の回転が止まることがなく、弱風での回転持続性及び発電効率に優れている。
【0088】
以上で述べたように、風車の回転加速時においては、実施例1〜4の全てが、比較例1及び2よりも弱風での起動性、回転持続性及び発電効率に優れている。よって、本発明の車載用風力発電装置は、信号停止や渋滞の影響により、平均的な車速が40km/h未満となる都市部において、強風領域でのみ発電が可能なプロペラ型風車よりも、車両走行中のトータル発電量が大きくなるものと考えられる。
【0089】
なお、本発明の車載用風力発電装置は、上述した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができることは言うまでもない。
【0090】
例えば、本実施形態及び実施例1〜4においては、風向変更部材40及び70の部分円筒風向変更曲面を、回転軌道Toの1/4回転軌道分を覆う1/4円筒風向変更曲面41又は71としている。しかし、部分円筒風向変更曲面は、1/4回転軌道分を覆うことに限定されず、1/8〜1/4回転軌道分の範囲で自由に設定することができる。なお、部分円筒風向変更曲面を1/8回転軌道分よりも小さくすると、風向を大きく変化させることができなくなるため、上述した風向変更部材の効果が十分に得られなくなる。
【0091】
また、本実施形態及び実施例1〜4においては、風車の羽根を3枚羽根としているが、羽根は2枚又は4枚以上としてもよい。
【0092】
また、本実施形態及び実施例1〜4においては、車両走行風により発電を行うことを想定しているが、本発明の車載用風力発電装置は、車両走行風による発電に限らず、車両停車中の外気風力をダクト内に取り込んで発電することも可能である。また、車両の後方からダクト内に進入する外気風力により発電を行うことも可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 … 車載用風力発電装置 2 … 電気自動車(車両)
3 … ダクト 3a … 空気通路
4 … バッテリ(二次電池)
10 … 風車 10a … 第一分割風車
10b … 第二分割風車 11 … 羽根
11a … 風受け凹曲面 11b … 風除け凸曲面
11c … 回転外側端 11d … 回転内側端
12 … 回転軸 20 … DCモータ(発電機)
30 … 防風部材
31 … 1/4円筒防風曲面(略1/4円筒防風曲面)
40 … 風向変更部材
41 … 1/4円筒風向変更曲面(部分円筒風向変更曲面)
50 … 風車 50a … 第一分割風車
50b … 第二分割風車 51 … 羽根
51a … 風受け凹曲面 51b … 風除け凸曲面
51c … 回転外側端 51d … 回転内側端
60 … 防風部材
61 … 1/4円筒防風曲面(略1/4円筒防風曲面)
70 … 風向変更部材
71 … 1/4円筒風向変更曲面(部分円筒風向変更曲面)
P1 … 最風上点 P2 … 上境界点
P3 … 下境界点 P4 … 最風下点
S1、S2、S3、S4… 間隔 To、Ti… 回転軌道
W … 風 r … 回転方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行風を利用して発電する車載用風力発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載用風力発電装置に用いられる風車は、風向に対する回転軸の方向によって水平軸型と垂直軸型とに大別される。水平軸型風車は、車両走行風の風向に水平な回転軸をもつ風車であり、例えば、特許文献1には、回転軸に直角な複数の羽根を有するプロペラ型風車を搭載した車載用風力発電装置が開示されている。プロペラ型風車は高回転・高発電効率であることから、車両が高速走行しているときの発電装置としての期待が大きい。ところが、プロペラ型風車は、回転トルクが小さいことにより弱風での起動性が悪く、風車の回転には車速40km/h以上(風速約11m/s以上)が必要となる。
【0003】
一方、垂直軸型風車は、車両走行風の風向に垂直な回転軸をもつ風車であり、例えば、特許文献2には、回転軸に沿って延びる複数の羽根を有するサボニウス型風車を搭載した車載用風力発電装置が開示されている(図12参照)。サボニウス型風車は、プロペラ型風車よりも高風速時の発電効率が低いものの、構造が単純で壊れにくく、また、回転トルクが大きいことにより、弱風での起動性がよく、車速40km/h未満でも発電することが可能である。さらに、車両の停車時においても外気微風力(自然風)により発電することが可能である。
【0004】
図12に示すように、サボニウス型風車92は、回転軸を車幅方向に向けて、車両90のボンネット内の空気通路91内に配置されている。また、サボニウス型風車95は、回転軸を車幅方向に向けて、車両90の屋根に設けられた空気通路94内に配置されている。サボニウス型風車92及び95は、羽根の回転外側端の回転軌道上で最も風上に位置する最風上点よりも下方の受風面Aに風を受けてr方向に回転する。受風面Aは風向に直交する面であり大きさは羽根の回転外側端の回転半径に相当する。最風上点よりも上方で風を受けると回転方向rとは逆回転の回転トルクが発生するため、防風部材93及び96によって最風上点よりも上方に風が当たるのを防止している。
【0005】
なお、サボニウス型風車とは、厳密には、中空円筒を縦半分に切って、これら半分割された円筒をその分割面に沿って左右互い違いにずらしかつ分割面と垂直な方向から視て一部同士が重なり合うように組み合わせた形で相対させ、半分割された円筒(羽根)の間を風が通り抜けるようにしたものである。しかし、本発明では、特許文献2のように回転軸に沿って延びる複数の羽根を有しかつ羽根の回転内側端が回転軸に取り付けられてなる風車もサボニウス型風車という。
【0006】
車両は、常に高速で走行できるわけではなく、特に都市部では信号停止や渋滞の影響により、平均的な車速は40km/h未満である。また、例え車両が高速で走行していたとしても、車速に等しい高風速の風を車両内に取り込めるわけではない。このような状況を勘案すると、強風領域でのみ発電が可能なプロペラ型風車よりも、弱風からの発電が可能なサボニウス型風車の方が、通常の車両の使用状況では、車両走行中のトータル発電量が大きくなると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−150986号公報
【特許文献2】特開2002−359903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したサボニウス型風車92及び95は、空気通路内を流れる一方向からの風を、羽根の回転外側端の回転半径に相当する受風面Aのみで受けて回転する。したがって、受風面Aが狭いため、十分な回転トルクが得られているとは言い難い。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、車両走行風を利用して発電する車載用風力発電装置において、弱風での起動性に優れると共に発電効率が高い車載用風力発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき、必要に応じて作用効果等を付記しつつ説明する。
【0011】
(1)本発明の車載用風力発電装置は、車両前方から取り込んだ車両走行風を車両後方に排出するダクトの空気通路内を流れる風を利用して発電する車載用風力発電装置であって、前記空気通路内に配置されると共に半円筒形の風受け凹曲面が形成された複数枚の羽根を有するサボニウス型の風車と、前記風車の回転によって発電する発電機と、前記風車の風上側に前記ダクトと一体的に配置された防風部材と、前記風車の風下側に前記ダクトと一体的に配置された風向変更部材と、を備え、
前記防風部材は、前記羽根の回転外側端の回転軌道上で最も風上に位置する最風上点と、該最風上点から該回転軌道上を1/4回転軌道分後退した上境界点と、の間の略全部を覆うように該回転軌道に沿って且つ該回転軌道と所定の間隔を隔てて配置された略1/4円筒防風曲面を有すると共に、前記風向変更部材は、前記最風上点から前記回転軌道上を1/4回転軌道分前進した下境界点と、該回転軌道上で最も風下に位置する最風下点と、の間の少なくとも該下境界点から1/8回転軌道分を覆うように該回転軌道に沿って且つ該回転軌道と所定の間隔を隔てて配置された部分円筒風向変更曲面を有することを特徴とする。
【0012】
このような構成によると、風向変更部材は、最風上点から回転軌道上を1/4回転軌道分前進した下境界点と、回転軌道上で最も風下に位置する最風下点と、の間の少なくとも下境界点から1/8回転軌道分を覆うように回転軌道に沿って且つ回転軌道と所定の間隔を隔てて配置された部分円筒風向変更曲面を有している。これにより、ダクトの空気通路内に進入した風は、下境界点を越えたときに部分円筒風向変更曲面に沿って風向が曲げられるため、下境界点を越えた羽根の風受け凹曲面に対して風を送り込むことができる。すなわち、本発明の車載用風力発電装置に備わるサボニウス型の風車は、実質的に多方向から風を受けている。
【0013】
したがって、本発明の車載用風力発電装置に備わるサボニウス型の風車は、図12に示した従来のサボニウス型風車92及び95に比べて、より長い間、羽根の風受け凹曲面に風を受けることができる。これにより、風車の回転トルクが向上するため、弱風での起動性が向上すると共に発電効率が向上する。
【0014】
このように、本発明の車載用風力発電装置は、弱風での起動性に優れているため、車両の停車時においても外気微風力により良好に発電を行うことが可能である。また、本発明の車載用風力発電装置に備わるサボニウス型の風車は、風が車両前方からダクトに取り込まれても、車両後方からダクトに取り込まれても、同一方向に回転する。したがって、車両の停車中に車両前方及び車両後方のいずれの方向から受ける外気微風力に対しても発電を行うことが可能である。
【0015】
(2)前記(1)で述べた本発明の車載用風力発電装置において、好ましくは、前記部分円筒風向変更曲面と前記回転軌道との間隔が、一定間隔とされていることを特徴とする。
【0016】
このような構成によると、風向変更部材の部分円筒風向変更曲面と、羽根の回転外側端の回転軌道とは回転軸を中心とする同心円となる。これにより、ダクトの空気通路内に進入した風は、部分円筒風向変更曲面に沿って滑らかに風向が曲げられため、風向の変更に伴う風速の低下を抑えつつ、羽根の風受け凹曲面に対してスムーズに風を送り込むことができる。
【0017】
ここで、部分円筒風向変更曲面と回転軌道との間隔を、風車の直径に対して0.5〜5%程度の一定間隔とすることが好ましい。車両に搭載可能な直径100〜150mm程度の風車を想定すると、この間隔を0.5〜5mmの一定間隔とすることが好ましい。この間隔が0.5mmよりも小さい場合には、風車の回転中に部分円筒風向変更曲面と羽根の回転外側端とが接触する虞があり、この間隔が5mmよりも大きい場合には、この隙間からの風の漏洩が大きくなるため、風車内への風の取り込み量が減少する。
【0018】
(3)前記(1)で述べた本発明の車載用風力発電装置において、好ましくは、前記部分円筒風向変更曲面と前記回転軌道との間隔が、風上側端で広く風下側端で狭い徐変間隔とされていることを特徴とする。
【0019】
このような構成によると、風向変更部材の部分円筒風向変更曲面と、羽根の回転外側端の回転軌道との間隔が、風上側端で広く風下側端で狭い徐変間隔とされている。したがって、ダクトの空気通路の開口が風車の風上側で大きくなっていることにより、より多くの風を風車に取り込むことができる。また、羽根の回転外側端が下境界点に近づいた場合であっても、羽根の回転外側端と部分円筒風向変更曲面との隙間から回転方向前方の羽根に向けて風を取り込むことができる。
【0020】
また、前記(2)で述べた車載用風力発電装置よりも、部分円筒風向変更曲面に沿って風向を曲げる際の風向の変化量を大きくすることができるため、実質的に風車により多方向から風を送り込むことが可能となり、風車の回転トルクの更なる向上が望める。
【0021】
ここで、部分円筒風向変更曲面と回転軌道との間隔を、風上側端で風車の直径に対して5〜20%程度、風下側端で風車の直径に対して0.5〜5%程度とすることが好ましい。車両に搭載可能な直径100〜150mm程度の風車を想定すると、この間隔を風上側端で5〜20mm、風下側端で0.5〜5mmとすることが好ましい。風上側端の間隔が5mmよりも小さい場合には、上述した風上側端の間隔を広くした効果が得られにくく、風上側端の間隔が20mmよりも大きい場合には、風向の変化量が大きくなるため風速の低下や風の流れが乱れる虞がある。風下側端の間隔を0.5〜5mmにする理由については前記(2)で述べたとおりである。
【0022】
(4)前記(3)で述べた本発明の車載用風力発電装置において、好ましくは、前記略1/4円筒防風曲面と前記回転軌道との間隔が、風上側端で狭く風下側端で広い徐変間隔とされていることを特徴とする。
【0023】
このような構成によると、防風部材の略1/4円筒防風曲面と、羽根の回転外側端の回転軌道との間隔が、風上側端で狭く風下側端で広い徐変間隔とされている。したがって、この間隔が風上側端で狭くなっていることにより風車の最風上点よりも上方への風の進入を防止することができる。これにより、風車の回転方向とは逆回転の回転トルクの発生を抑えることができる。また、ダクトの空気通路の開口が風車の風下側で大きくなっていることにより、風車からの風の排出を阻害することがない。
【0024】
ここで、略1/4円筒防風曲面と回転軌道との間隔を、風上側端で風車の直径に対して0.5〜5%程度、風下側端で風車の直径に対して5〜20%程度とすることが好ましい。車両に搭載可能な直径100〜150mm程度の風車を想定すると、この間隔を風上側端で0.5〜5mm、風下側端で5〜20mmとすることが好ましい。風上側端の間隔が0.5mmよりも小さい場合には、風車の回転中に略1/4円筒防風曲面と羽根の回転外側端とが接触する虞があり、風上側端の間隔が5mmよりも大きい場合には、上述した風の進入を防止する効果が得られにくい。また、風下側端の間隔が5mmよりも小さい場合には、上述した風の排出が阻害されるのを防止する効果が得られにくく、風下側端の間隔が20mmよりも大きい場合には、略1/4円筒防風曲面の曲がりが急となることによって、曲がり損失による風速の低下や風の流れが乱れる虞がある。
【0025】
ダクトの空気通路内の圧力損失を小さくするためには、風車の風上側と風下側との空気通路の開口面積を等しくすることが好ましい。よって、略1/4円筒防風曲面と回転軌道との風下側端における間隔を、部分円筒風向変更曲面と回転軌道との風上側端における間隔と等しくするのが好ましい。
【0026】
(5)前記(1)〜(4)で述べた本発明の車載用風力発電装置において、好ましくは、前記風車は、該風車の回転軸方向に分割された複数個の分割風車の集合体よりなり、前記分割風車と該分割風車に隣接する分割風車とが、各該分割風車の各前記羽根の回転方向の位相を互いにずらして配置されていることを特徴とする。
【0027】
このような構成によると、分割風車とこの分割風車に隣接する分割風車とが、各分割風車の各羽根の回転方向の位相を互いにずらして配置されている。互いに隣り合う分割風車の羽根の位相が等しい場合には、各分割風車の各羽根の風受け凹曲面で同時に風を受けるため大きな正回転の回転トルクが発生するものの、各羽根の風受け凹曲面の裏面にも同時に風を受けるため各分割風車で同時に風車の回転方向とは逆回転の回転トルクが発生する。したがって、風車の回転トルクが不安定となる。
【0028】
一方、互いに隣り合う分割風車の羽根の位相をずらした場合には、各分割風車の各羽根の風受け凹曲面が時間差をおいて風を受けるため、常にいずれか一方の分割風車の風受け凹曲面は風を受けている状態となり、風車の回転トルクが安定する。
【0029】
(6)前記(3)〜(5)で述べた本発明の車載用風力発電装置において、好ましくは、前記羽根は、該羽根の前記回転外側端と該羽根の回転内側端とを繋ぐと共に該羽根の回転方向に向かって前記風受け凹曲面よりも大きく湾曲した風除け凸曲面を備え、前記羽根の断面形状は、前記風受け凹曲面と前記風除け凸曲面とにより囲まれた略三日月形を呈していることを特徴とする。
【0030】
このような構成によると、風車の羽根の断面形状は、風受け凹曲面と風除け凸曲面とにより囲まれた略三日月形を呈している。このような立体的な羽根形状は、風受け凹曲面に沿って流れる風よりも風除け凸曲面に沿って流れる風の方が早く流れている場合に、羽根に揚力が作用することが知られている。そして、この揚力により風車の回転トルクの向上が期待できる。ところが、風除け凸曲面が風車の回転方向前方に張り出しているため、羽根の回転外側端が下境界点に近づいた場合には、この風除け凸曲面が障壁となることによって、回転方向前方の風受け凹曲面が風を受けにくくなる。これにより、風受け凹曲面が風を受けることによって発生する回転トルクが低下する虞がある。
【0031】
ここで、前記(3)及び(4)で述べた本発明の車載用風力発電装置において略三日月形の羽根を適用する場合には、羽根の回転外側端が下境界点に近づいた場合であっても、羽根の回転外側端と部分円筒風向変更曲面との隙間から風車内に風を取り込むことができる。このため、風除け凸曲面に沿って流れる風が途切れることがなく、また、回転方向前方の羽根の風受け凹曲面に風を取り込みやすい。したがって、風受け凹曲面が風を受けることによって発生する回転トルクを低下させることなく、羽根に作用する揚力により風車の回転トルクを向上させることができる。
【0032】
また、前記(5)で述べた本発明の車載用風力発電装置において略三日月形の羽根を適用する場合には、常にいずれか一方の分割風車の風受け凹曲面は風を受けている状態となる。これと同様に、常にいずれか一方の分割風車には揚力が作用している状態となる。これにより、風車の回転トルクの安定と回転トルクの向上が望める。
【0033】
(7)本発明の車載用風力発電装置において、好ましくは、前記風車が、電気自動車又はハイブリッド電気自動車の二次電池を冷却するための風を送る前記ダクトの前記空気通路内に配置されていることを特徴とする。
【0034】
このような構成によると、風車が、電気自動車又はハイブリッド電気自動車の二次電池を冷却するための風を送るダクトの空気通路内に配置されている。したがって、風力発電を行うための専用のダクトを設ける必要がなく経済的である。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、車両走行風を利用して発電する車載用風力発電装置において、弱風での起動性に優れると共に発電効率が高い車載用風力発電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態の車載用風力発電装置を備える車両を模式的に説明する側面図である。
【図2】本実施形態の車載用風力発電装置を模式的に説明する説明図であって、(a)は上面図、(b)は側面図を示している。
【図3】本実施形態の車載用風力発電装置の風車内の風の流れを説明する斜視図であって、羽根の回転外側端が下境界点にある状態を示している。
【図4】本実施形態の車載用風力発電装置の風車内の風の流れを説明する斜視図であって、羽根の回転外側端が下境界点を越えて前進した状態を示している。
【図5】比較形態の車載用風力発電装置の風車内の風の流れを説明する断面図であって、(a)は羽根の回転外側端が下境界点にある状態、(b)は羽根の回転外側端が下境界点を越えて前進した状態、(c)は羽根の回転外側端が(b)の状態からさらに前進した状態を示している。
【図6】本実施形態の車載用風力発電装置の風車内の風の流れを説明する断面図であって、(a)は羽根の回転外側端が下境界点にある状態、(b)は羽根の回転外側端が下境界点を越えて前進した状態、(c)は羽根の回転外側端が(b)の状態からさらに前進した状態を示している。
【図7】実施例1〜4及び比較例1及び2の構造を説明する一覧図である。
【図8】実施例1の構造を説明する側面図である。
【図9】実施例3の構造を説明する側面図である。
【図10】実施例1〜4及び比較例1及び2の風車の回転加速時における風速と回転数との関係を示すグラフである。
【図11】実施例1〜4及び比較例1及び2の風車の回転減速時における風速と回転数との関係を示すグラフである。
【図12】従来の車載用風力発電装置を備える車両を模式的に説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の車載用風力発電装置の実施形態について図面を参照しつつ詳しく説明する。
【0038】
図1に本実施形態の車載用風力発電装置を備える車両を模式的に説明する側面図を示す。また、図2に本実施形態の車載用風力発電装置を模式的に説明する説明図を示す。ここで、図2(a)は車載用風力発電装置の上面図、図2(b)は車載用風力発電装置の側面図を示している。
【0039】
図1に示すように、本実施形態の車載用風力発電装置1は、車両2のフロント部分に配置されている。車両2は電気自動車であり、車両2のフロア下部には走行用のバッテリ4(二次電池)が装備されている。車両2には、前方から取り込んだ風Wを、バッテリ4を冷却するための風と、車内を換気するための風とに分岐するダクト3が設けられている。この風は、バッテリ4を冷却した後、又は車内を換気した後、車両2の後方に排出される。
【0040】
車載用風力発電装置1は、ダクト3の空気通路3a内に配置された風車10と、風車10の回転によって発電するDCモータ20(発電機)と、風車10の風上側にダクト3と一体的に配置された防風部材30と、風車10の風下側にダクト3と一体的に配置された風向変更部材40とを備えている。
【0041】
図2に示すように、風車10はサボニウス型風車であり、風車10の回転軸12方向に分割された第一分割風車10aと第二分割風車10bとの結合体よりなる。第一分割風車10a及び第二分割風車10bは、回転軸12方向に延びる3枚の羽根11を有する同一構造よりなり、第一分割風車10a及び第二分割風車10bの各羽根11の位相を等しくした状態で、第一分割風車10aの各羽根11と第二分割風車10bの各羽根11とが中間円板13cを介して接合されている。
【0042】
また、第一分割風車10aの各羽根11の中間円板13cと異なる側には、端部円板13aが接合されており、第二分割風車10bの各羽根11の中間円板13cと異なる側には、端部円板13bが接合されている。このように端部円板13a及び13bと中間円板13cとにより、羽根11のスパン長を短くすることによって、羽根11がたわみにくくなっている。
【0043】
各羽根11は半円弧状に湾曲した板部材であり、羽根11の凹面側が風を受ける風受け凹曲面11a、羽根11の凸面側が風を除ける風除け凸曲面11bとなっている。また、羽根11の両端のうち回転軸12から遠い側を回転外側端11c、回転軸12に近い側を回転内側端11dと呼ぶ。回転軸12は、回転外側端11cと回転内側端11dとを結ぶ線上にあり、3枚の各羽根11の各回転外側端11cは、回転外側端11cの回転軌道Toの全周を3等分した120°刻みに配置されている。
【0044】
2本の回転軸12が端部円板13a及び13bのそれぞれの中心に接合されており、ダクト3の壁面に設けられた図略のベアリングによって、各回転軸12が回転可能に支持されている。
【0045】
ダクト3の外側には、風車10の回転をDCモータ20に伝達するためのタイミングプーリ14が配置されており、タイミングプーリ14は、一方の回転軸12に電磁クラッチ16を介して接合されている。電磁クラッチ16をON/OFFすることによって、風車10の回転をDCモータ20に伝達するか否かを制御することが可能となっている。
【0046】
発電機20は、風車10よりも前方のダクト3の上部に横付けでボルト固定されている。発電機20の回転軸21にはタイミングプーリ22が取り付けられており、風車10の回転軸12に取り付けられたタイミングプーリ14と、発電機20の回転軸21に取り付けられたタイミングプーリ22とがタイミングベルト15により連結されている。
【0047】
発電機20で発電された電気は、キャパシタ23を経由して、電圧12Vの補助バッテリ24に蓄電される。補助バッテリ24に蓄電された電気は、インパネのメーター類のランプや各種センサー類に供給される電力として利用される。また、この電気は、昇圧回路25(DC/DCコンバータ)により電圧50Vに変換された後、走行用のバッテリ4に充電される。
【0048】
防風部材30は、ダクト3と一体的に形成されている。防風部材30は、羽根11の回転外側端11cの回転軌道To上で最も風上に位置する最風上点P1と、最風上点P1から回転軌道To上を1/4回転軌道分後退した上境界点P2との間の全部を覆うように回転軌道Toに沿って配置されている。したがって、防風部材30は1/4円筒状を呈しており、風車10に対向する面を1/4円筒防風曲面31(略1/4円筒防風曲面)と呼ぶ。
【0049】
1/4円筒防風曲面31と回転軌道Toとの間隔を1mmの一定間隔としている。この防風部材30によって、風車10の最風上点P1よりも上方への風Wの進入を防止することができる。なお、風Wの進入防止及び部材の成形精度の観点から、1/4円筒防風曲面31と回転軌道Toとの間隔を0.5〜5mmの一定間隔とするのが好ましい。
【0050】
風向変更部材40は、ダクト3と一体的に形成されている。風向変更部材40は、最風上点P1から回転軌道To上を1/4回転軌道分前進した下境界点P3と、回転軌道To上で最も風下に位置する最風下点P4との間の全部を覆うように回転軌道Toに沿って配置されている。したがって、風向変更部材40は1/4円筒状を呈しており、風車10に対向する面を1/4円筒風向変更曲面41(部分円筒風向変更曲面)と呼ぶ。
【0051】
1/4円筒風向変更曲面41と回転軌道Toとの間隔を1mmの一定間隔としている。この風向変更部材40によって、風Wの方向が変化するため、後述するように、下境界点P3を越えた羽根11の風受け凹曲面11aに対して風Wを送り込むことができる。なお、風Wの漏洩防止及び部材の成形精度の観点から、1/4円筒風向変更曲面41と回転軌道Toとの間隔を0.5〜5mmの一定間隔とするのが好ましい。また、風向変更部材40による風向変更の効果を得るためには、少なくとも下境界点P3から1/8回転軌道分を覆うように風向変更部材40を配置するのが好ましい。
【0052】
図3及び図4に風車10内の風Wの流れを説明する斜視図を示す。図3に示すように、羽根11の回転外側端11cが下境界点P3にある状態において、風上側からダクト3の空気通路3aに侵入した風Wは、最下方にある羽根11の風受け凹曲面11aに当たって、風受け凹曲面11aに沿って風向が曲げられる。そして、この風Wは風車10の回転中心付近を通過した後、他の羽根11の風受け凹曲面11aに当たって、この風受け凹曲面11aに沿って風向がさらに曲げられて風車10の風下側に排出される。したがって、図3に示すように、風Wは風車10内をS字を描いて通過する。図3に示す風Wの流れは、従来のサボニウス型風車と何等変わりはない。
【0053】
本実施形態の車載用風力発電装置1の最大の特徴は、図4に示すように、羽根11の回転外側端11cが下境界点P3を越えて前進した状態であっても、この羽根11の風受け凹曲面11aに風Wを取り込める点にある。風上側からダクト3の空気通路3aに侵入した風Wは、下境界点P3と回転外側端11cとの間の風向変更部材40の1/4円筒風向変更曲面41に当たって、1/4円筒風向変更曲面41に沿って風向が曲げられる。これにより、下境界点P3を越えて前進した羽根11の風受け凹曲面11aに風Wを取り込むことが可能となっている。すなわち、1/4円筒風向変更曲面41によって、羽根11の回転外側端11cがさらに延長されて羽根11の風受け凹曲面11aが拡張されたのと同等の作用が生まれている。
【0054】
このような、1/4円筒風向変更曲面41の作用について、図5及び6に基づいてさらに詳しく説明する。図5は、本実施形態の比較形態として、風向変更部材40を備えていない車載用風力発電装置の風車10内の風Wの流れを説明する断面図を示している。
【0055】
図5に示す比較形態の車載用風力発電装置において、風車10の構造は本実施形態と同一の構造であり、ダクト300の構造が本実施形態のダクト3の構造と異なっている。ダクト300には、本実施形態と同一構造の防風部材30が形成されているものの、風向変更部材40は形成されていない。したがって、風下側の空気通路開口H2は、風上側の空気通路開口H1の2倍の大きさとなっている。
【0056】
図5(a)に示すように、羽根11の回転外側端11cが下境界点P3にある状態において、風車10は受風面Aで風Wを受ける。そして、風Wは、風上側に向いた羽根11の風除け凸曲面11bに当たって、有効受風面B1まで通風面積が絞られることにより風速が強まった後、取込風W1として羽根11の風受け凹曲面11aに取り込まれる。そして、取込風W1が風車10内を通過することにより、風車10に正回転の回転トルクが作用する。このとき、風上側に向いた羽根11の風除け凸曲面11bに当たった風Wが逆戻風W3となることによって、風車10に回転方向rとは逆回転の回転トルクが作用する。風車10に作用する正回転の回転トルクは、逆回転の回転トルクよりも大きいために、風車10は止まることなく回転する。
【0057】
図5(b)に示すように、羽根11の回転外側端11cが下境界点P3を越えて前進した状態においては、回転外側端11cと下境界点P3との間に風上側から風下側に貫通した隙間ができるため、風Wの一部がこの隙間から抜ける漏洩風W2となる。このとき、有効受風面B2は、上述した有効受風面B1よりも小さいため、風受け凹曲面11aに取り込まれた取込風W1によって発生する回転トルクは、図5(a)の状態における回転トルクよりも小さくなる。
【0058】
図5(c)に示すように、羽根11の回転外側端11cが図5(b)の状態からさらに前進した状態においては、回転外側端11cと下境界点P3との間の隙間がさらに大きくなる。図5(c)に示すように、下境界点P3を通過した羽根11の回転外側端11cから風Wの風向に平行に引いた線(図中の一点鎖線)が、下境界点P3を通過する前の羽根11の風除け凸曲面11bの接線となるとき、漏洩風W2が最も多くなる。そして、この状態においては、下境界点P3を通過した羽根11の回転外側端11cに風Wが取り込まれない。
【0059】
一方、図5(c)に示すように、風車10の風上側に、風車10内へ風Wが進入する有効受風面B3が形成され、有効受風面B3から取り込まれた風Wが逆戻風W3となって、風車10内の羽根11の風除け凸曲面11bに当たるため風車10に逆回転の回転トルクが作用する。したがって、図5(c)に示す状態は、風車10に逆回転の回転トルクが卓越した状態となるため、風車10の回転にブレーキがかかることとなる。
【0060】
以上に述べたように、図5に示す比較形態の車載用風力発電装置においては、風Wを風車10の回転に変換する効率に優れているとは言えない。一方、図6に示す本実施形態の車載用風力発電装置1においては、以下に述べるとおり、風Wを風車10の回転に変換する効率に優れている。
【0061】
図6(a)、(b)及び(c)における羽根10の回転状態は、図5(a)、(b)及び(c)における羽根10の回転状態と同じである。図6(a)における有効受風面C1は、図5(a)における有効受風面B1に等しい大きさである。したがって、図5(a)及び図6(a)において、風車10に作用する回転トルクに差はない。
【0062】
図6(b)に示す状態においては、図5(b)で示した回転外側端11cと下境界点P3との間の隙間が、風向変更部材40の1/4円筒風向変更曲面41によって塞がれているため、図6(b)における有効受風面C2は、図5(b)における有効受風面B2よりも大きい。よって、図6(b)に示す状態においては、漏洩風W2が発生することがほとんどなく、ダクト3に進入した風Wのほぼ全てが取込風W1として風車10内に取り込まれる。したがって、図6(b)に示す本実施形態の車載用風力発電装置1の風車10には、図5(b)に示す比較形態の車載用風力発電装置の風車10よりも大きな回転トルクが作用している。
【0063】
図6(c)に示す状態においては、上述した比較形態の有効受風面B3と同様に有効受風面C3が形成され、有効受風面C3から取り込まれた風Wが逆戻風W3となって、風車10に逆回転の回転トルクが作用する。ところが、上述した図6(b)に示す状態と同様に、回転外側端11cと下境界点P3との間の隙間が、風向変更部材40の1/4円筒風向変更曲面41によって塞がれているため、比較形態の車載用風力発電装置においては形成されなかった有効受風面C4が形成される。この有効受風面C4から風受け凹曲面11aに取り込まれた取込風W1によって発生する正回転の回転トルクは、上述した逆戻風W3による逆回転の回転トルクよりも大きいため、風車10は止まることなく回転する。
【0064】
このような本実施形態の構成によると、風向変更部材40は、下境界点P3と最風下点P4との間の全部を覆うように回転軌道Toに沿って且つ回転軌道Toと一定間隔を隔てて配置された1/4円筒風向変更曲面41を有している。これにより、ダクト3の空気通路3a内に進入した風Wは、下境界点P3を越えたときに1/4円筒風向変更曲面41に沿って風向が曲げられるため、下境界点P3を越えた羽根11の風受け凹曲面11aに対して風Wを送り込むことができる。すなわち、本実施形態の車載用風力発電装置1に備わるサボニウス型の風車10は、実質的に多方向から風を受けている。
【0065】
したがって、本実施形態の車載用風力発電装置1に備わるサボニウス型の風車10は、図12に示した従来のサボニウス型風車92及び95に比べて、より長い間、羽根11の風受け凹曲面11aに風を受けることができる。これにより、風車10の回転トルクが向上するため、弱風での起動性が向上すると共に発電効率が向上する。
【0066】
このように、本実施形態の車載用風力発電装置1は、弱風での起動性に優れているため、車両2の停車時においても外気微風力により良好に発電を行うことが可能である。また、サボニウス型の風車10は、風が車両2の前方からダクト3に取り込まれても、車両2の後方からダクト3に取り込まれても、同一の回転方向rに回転する。さらに、本実施形態においては、図2(b)で示したように、防風部材30及び風向変更部材40が同一形状で回転軸12に関して互いに対称な位置に配置されているため、風車10は、車両2の前方及び後方のいずれの方向から風を受けても等しく回転する。したがって、車両2の停車中に車両2の前方及び後方のいずれの方向から受ける外気微風力に対しても良好に発電を行うことが可能である。
【0067】
また、本実施形態においては、車載用風力発電装置1の風車10が、電気自動車の走行用のバッテリ4を冷却するための風を送るダクト3の空気通路内3aに配置されている。したがって、風力発電を行うための専用のダクトを設ける必要がなく経済的である。
【実施例】
【0068】
本実施例は、本発明の車載用風力発電装置の各実施形態について、弱風での起動性及び発電効率を実験により検証したものである。図7に実施例1〜4及び比較例1及び2の構造を説明する一覧図を示す。
【0069】
実施例1は、本発明の請求項1又は2、及び上述した本実施形態の車載用風力発電装置1を具現化した実施例である。図8に実施例1の構造を説明する側面図を示す。風車10は、羽根11の回転外側端11cの回転軌道Toの直径φ1=135mm、回転内側端11dの回転軌道Tiの直径φ2=45mmとされている。また、羽根11の風受け凹曲面11aの半径R1=45mmとされている。
【0070】
防風部材30の1/4円筒防風曲面31と回転軌道Toとの間隔は1mmの一定間隔であり、最風上点P1における間隔S1及び上境界点P2における間隔S2は、いずれも1mmとされている。また、風向変更部材40の1/4円筒風向変更曲面41と回転軌道Toとの間隔は1mmの一定間隔であり、下境界点P3における間隔S3及び最風下点P4における間隔S4は、いずれも1mmとされている。
【0071】
ダクト3の風上側の空気通路開口H1と風下側の空気通路開口H2とは等しい大きさとされており、H1=H2=68.5mmとされている。実験方法は、この空気通路開口H1から風車10に向かって所定風速の風を送り、風速を変化させつつ、風車10の回転加速時及び回転減速時における風速(m/s)と回転数(rpm)との関係を検証するものである。
【0072】
実施例2は、本発明の請求項1、3又は4を具現化した実施例である。実施例2は、実施例1における防風部材30及び風向変更部材40を、防風部材60及び風向変更部材70に変更した実施例である。実施例2における風車10の構造は、実施例1と同一であるため説明を省略する。実施例2における防風部材60及び風向変更部材70の形状は、図9に示す実施例3の構造を説明する側面図に示されているとおりである。
【0073】
防風部材60の1/4円筒防風曲面61と回転軌道Toとの間隔は、風上側端で狭く風下側端で広い徐変間隔とされている。最風上点P1における間隔S1=1mm、上境界点P2における間隔S2=10mmとされている。また、風向変更部材70の1/4円筒風向変更曲面71と回転軌道Toとの間隔は、風上側端で広く風下側端で狭い徐変間隔とされている。下境界点P3における間隔S3=10mm、風下点P4における間隔S4=1mmとされている。ダクト3の風上側の空気通路開口H1と風下側の空気通路開口H2とは等しい大きさとされており、H1=H2=77.5mmとされている。実験方法は、実施例1と同様である。
【0074】
実施例3は、本発明の請求項1、3、4又は6を具現化した実施例である。実施例3は、実施例2における風車10を、風車50に変更した実施例である。実施例3における防風部材60及び風向変更部材70の構造は、実施例2と同一であるため説明を省略する。図9に実施例3の構造を説明する側面図を示す。風車50は、羽根51の回転外側端51cの回転軌道Toの直径φ1=135mm、回転内側端51dの回転軌道Tiの直径φ2=45mmとされている。また、羽根51の風受け凹曲面51aの半径R1=45mmとされている。
【0075】
実施例3における羽根51は、羽根51の回転外側端51cと羽根51の回転内側端51dとを繋ぐと共に羽根51の回転方向rに向かって風受け凹曲面51aよりも大きく湾曲した風除け凸曲面51bを備えている。したがって、羽根51の断面形状は、風受け凹曲面51aと風除け凸曲面51bとにより囲まれた略三日月形を呈している。
【0076】
風除け凸曲面51bは、回転外側端51cと回転内側端51dとから対称的に延びる半径R2=R3=67.5mmの2つの曲面と、この2つの曲面の交点を半径R4=18mmで面取りした構造よりなる。回転外側端51cから延びる曲面は、回転外側端51cの回転軌道To上に配置されている。半径R4=18mmで面取りが施されていることによって、風除け凸曲面51bは滑らかな曲面により連続しているため、風除け凸曲面51bに沿って流れる風が乱れにくい。実験方法は、実施例1と同様である。
【0077】
実施例4は、本発明の請求項1、3、4又は5を具現化した実施例である。実施例4は、実施例3における風車50の第一分割風車50aと第二分割風車50bとを風車50の回転方向に位相をずらした実施例である。その他の構造については、実施例3と同様であるため説明を省略する。実施例4において、第一分割風車50aの羽根51と、第二分割風車50bの羽根51とは、位相が60°ずれている。すなわち、第一分割風車50a及び第二分割風車50bの合計6枚の羽根51は、風車50の回転方向rに均等に配置されている。実験方法は、実施例1と同様である。
【0078】
比較例1は、図5で示した比較形態の車載用風力発電装置を具現化した比較例である。比較例1のダクト300には、実施例1と同一構造の防風部材30が形成されているものの、風向変更部材40は形成されていない。したがって、風下側の空気通路開口H2は、風上側の空気通路開口H1の2倍の大きさとなっおり、H1=68.5mm、H2=137mmとされている。比較例1における風車10の構造は、実施例1と同一であるため説明を省略する。ダクト300と回転軌道Toとの間隔は、下境界点P3において間隔S0=1mmとされている。実験方法は、実施例1と同様である。
【0079】
比較例2は、比較例1の風車10を、実施例3で述べた風車50に変更した比較例である。風車50の構造及びダクト300の構造については、上述しているため説明を省略する。実験方法は、実施例1と同様である。
【0080】
図10に実施例1〜4及び比較例1及び2の風車の回転加速時における風速と回転数との関係を示すグラフを示す。また図11に実施例1〜4及び比較例1及び2の風車の回転減速時における風速と回転数との関係を示すグラフを示す。これらのグラフは、横軸を風速(m/s)、縦軸を風車の回転数(rpm)としている。車両走行風がダクト内に減衰することなく進入すると仮定した場合には、風速1〜9m/sは、車速3.6〜32.4km/hに相当する。図10及び11のグラフにおいて、風速が弱い段階で風車が回転するほど弱風での起動性がよいと判断し、また、同じ風速で回転数が大きいほど発電効率が高いと判断することができる。
【0081】
図10に示すように、風車の回転加速時においては、実施例1〜4の全てが、比較例1及び2よりも弱風での起動性及び発電効率に優れている。
【0082】
比較例2においては、比較例1の板状の羽根11を略三日月形の羽根51に変更したことによって、比較例1よりも発電効率が低下している。この理由は、風車50の回転中に羽根51の風除け凸曲面51bが障壁となることによって、回転方向前方の風受け凹曲面51aが風を受けにくくなることと、風が風車50内に進入しにくいことによって、風除け凸曲面51bに沿って流れる風が途切れて、羽根51に揚力が作用しにくくなるためであると推測できる。
【0083】
実施例1においては、1/4円筒風向変更曲面41の作用によって、下境界点P3を越えた羽根11の風受け凹曲面11aに対して風を送り込むことができる。このため、風速1.4m/s程度(車速5km/h程度)の弱風から風車10が回転を初め、比較例1よりも弱風での起動性及び発電効率に優れている。
【0084】
実施例2においては、実施例1よりも風速が上がったときの発電効率が向上している。この理由は、実施例2においては、風向変更部材70の1/4円筒風向変更曲面71と回転軌道Toとの間隔が、風上側端で広く風下側端で狭い徐変間隔とされていることによって、実施例1よりも、多くの風を風車10に取り込むことができると共に、実施例1よりも、1/4円筒風向変更曲面71に沿って風向を曲げる際の風向の変化量を大きくすることができるためと推測できる。
【0085】
実施例3においては、実施例2よりも発電効率が向上している。この理由は、実施例2の板状の羽根11を略三日月形の羽根51に変更したことによって、羽根51に作用する揚力により風車50の回転トルクを向上させることができたためと推測できる。比較例1と比較例2との対比においては、板状の羽根11を略三日月形の羽根51に変更するだけでは、風車50の回転トルクを向上させる効果が生まれなかったが、実施例3のように、風車50に風が取り込まれやすい形状とすることによって、風車50の回転トルクを向上させることができる。
【0086】
実施例4においては、実施例3よりも弱風から風速4m/s程度(車速14km/h程度)の風速までの範囲で発電効率が向上している。この理由は、第一分割風車50aの羽根51と、第二分割風車50bの羽根51とは、位相が60°ずれているため、風車50の回転トルクが安定したためと推測できる。なお、実施例4において、風速を4m/s以上とすると、風車50に振動が発生するため、風車50の回転がこれ以上に上昇しない。風車50に振動が発生する理由として、分割風車を2個としているため風車全体としてのバランスが偏っていることが考えられる。この場合、分割風車を3個として、風車全体のバランスを改善することもできる。
【0087】
図11に示すように、風車の回転減速時における風速と回転数との関係は、図10で示した風車の回転加速時における関係と類似している。図11に示すように、風車の回転減速時においても、実施例1〜4の全てが、比較例1及び2よりも弱風まで風車の回転が止まることがなく、弱風での回転持続性及び発電効率に優れている。
【0088】
以上で述べたように、風車の回転加速時においては、実施例1〜4の全てが、比較例1及び2よりも弱風での起動性、回転持続性及び発電効率に優れている。よって、本発明の車載用風力発電装置は、信号停止や渋滞の影響により、平均的な車速が40km/h未満となる都市部において、強風領域でのみ発電が可能なプロペラ型風車よりも、車両走行中のトータル発電量が大きくなるものと考えられる。
【0089】
なお、本発明の車載用風力発電装置は、上述した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができることは言うまでもない。
【0090】
例えば、本実施形態及び実施例1〜4においては、風向変更部材40及び70の部分円筒風向変更曲面を、回転軌道Toの1/4回転軌道分を覆う1/4円筒風向変更曲面41又は71としている。しかし、部分円筒風向変更曲面は、1/4回転軌道分を覆うことに限定されず、1/8〜1/4回転軌道分の範囲で自由に設定することができる。なお、部分円筒風向変更曲面を1/8回転軌道分よりも小さくすると、風向を大きく変化させることができなくなるため、上述した風向変更部材の効果が十分に得られなくなる。
【0091】
また、本実施形態及び実施例1〜4においては、風車の羽根を3枚羽根としているが、羽根は2枚又は4枚以上としてもよい。
【0092】
また、本実施形態及び実施例1〜4においては、車両走行風により発電を行うことを想定しているが、本発明の車載用風力発電装置は、車両走行風による発電に限らず、車両停車中の外気風力をダクト内に取り込んで発電することも可能である。また、車両の後方からダクト内に進入する外気風力により発電を行うことも可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 … 車載用風力発電装置 2 … 電気自動車(車両)
3 … ダクト 3a … 空気通路
4 … バッテリ(二次電池)
10 … 風車 10a … 第一分割風車
10b … 第二分割風車 11 … 羽根
11a … 風受け凹曲面 11b … 風除け凸曲面
11c … 回転外側端 11d … 回転内側端
12 … 回転軸 20 … DCモータ(発電機)
30 … 防風部材
31 … 1/4円筒防風曲面(略1/4円筒防風曲面)
40 … 風向変更部材
41 … 1/4円筒風向変更曲面(部分円筒風向変更曲面)
50 … 風車 50a … 第一分割風車
50b … 第二分割風車 51 … 羽根
51a … 風受け凹曲面 51b … 風除け凸曲面
51c … 回転外側端 51d … 回転内側端
60 … 防風部材
61 … 1/4円筒防風曲面(略1/4円筒防風曲面)
70 … 風向変更部材
71 … 1/4円筒風向変更曲面(部分円筒風向変更曲面)
P1 … 最風上点 P2 … 上境界点
P3 … 下境界点 P4 … 最風下点
S1、S2、S3、S4… 間隔 To、Ti… 回転軌道
W … 風 r … 回転方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前方から取り込んだ車両走行風を車両後方に排出するダクトの空気通路内を流れる風を利用して発電する車載用風力発電装置であって、
前記空気通路内に配置されると共に半円筒形の風受け凹曲面が形成された複数枚の羽根を有するサボニウス型の風車と、
前記風車の回転によって発電する発電機と、
前記風車の風上側に前記ダクトと一体的に配置された防風部材と、
前記風車の風下側に前記ダクトと一体的に配置された風向変更部材と、を備え、
前記防風部材は、前記羽根の回転外側端の回転軌道上で最も風上に位置する最風上点と、該最風上点から該回転軌道上を1/4回転軌道分後退した上境界点と、の間の略全部を覆うように該回転軌道に沿って且つ該回転軌道と所定の間隔を隔てて配置された略1/4円筒防風曲面を有すると共に、
前記風向変更部材は、前記最風上点から前記回転軌道上を1/4回転軌道分前進した下境界点と、該回転軌道上で最も風下に位置する最風下点と、の間の少なくとも該下境界点から1/8回転軌道分を覆うように該回転軌道に沿って且つ該回転軌道と所定の間隔を隔てて配置された部分円筒風向変更曲面を有することを特徴とする車載用風力発電装置。
【請求項2】
前記部分円筒風向変更曲面と前記回転軌道との間隔が、一定間隔とされていることを特徴とする請求項1に記載の車載用風力発電装置。
【請求項3】
前記部分円筒風向変更曲面と前記回転軌道との間隔が、風上側端で広く風下側端で狭い徐変間隔とされていることを特徴とする請求項1に記載の車載用風力発電装置。
【請求項4】
前記略1/4円筒防風曲面と前記回転軌道との間隔が、風上側端で狭く風下側端で広い徐変間隔とされていることを特徴とする請求項3に記載の車載用風力発電装置。
【請求項5】
前記風車は、該風車の回転軸方向に分割された複数個の分割風車の集合体よりなり、
前記分割風車と該分割風車に隣接する分割風車とが、各該分割風車の各前記羽根の回転方向の位相を互いにずらして配置されていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一つに記載の車載用風力発電装置。
【請求項6】
前記羽根は、該羽根の前記回転外側端と該羽根の回転内側端とを繋ぐと共に該羽根の回転方向に向かって前記風受け凹曲面よりも大きく湾曲した風除け凸曲面を備え、
前記羽根の断面形状は、前記風受け凹曲面と前記風除け凸曲面とにより囲まれた略三日月形を呈していることを特徴とする請求項3〜5のうちのいずれか一つに記載の車載用風力発電装置。
【請求項7】
前記風車が、電気自動車又はハイブリッド電気自動車の二次電池を冷却するための風を送る前記ダクトの前記空気通路内に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一つに記載の車載用風力発電装置。
【請求項1】
車両前方から取り込んだ車両走行風を車両後方に排出するダクトの空気通路内を流れる風を利用して発電する車載用風力発電装置であって、
前記空気通路内に配置されると共に半円筒形の風受け凹曲面が形成された複数枚の羽根を有するサボニウス型の風車と、
前記風車の回転によって発電する発電機と、
前記風車の風上側に前記ダクトと一体的に配置された防風部材と、
前記風車の風下側に前記ダクトと一体的に配置された風向変更部材と、を備え、
前記防風部材は、前記羽根の回転外側端の回転軌道上で最も風上に位置する最風上点と、該最風上点から該回転軌道上を1/4回転軌道分後退した上境界点と、の間の略全部を覆うように該回転軌道に沿って且つ該回転軌道と所定の間隔を隔てて配置された略1/4円筒防風曲面を有すると共に、
前記風向変更部材は、前記最風上点から前記回転軌道上を1/4回転軌道分前進した下境界点と、該回転軌道上で最も風下に位置する最風下点と、の間の少なくとも該下境界点から1/8回転軌道分を覆うように該回転軌道に沿って且つ該回転軌道と所定の間隔を隔てて配置された部分円筒風向変更曲面を有することを特徴とする車載用風力発電装置。
【請求項2】
前記部分円筒風向変更曲面と前記回転軌道との間隔が、一定間隔とされていることを特徴とする請求項1に記載の車載用風力発電装置。
【請求項3】
前記部分円筒風向変更曲面と前記回転軌道との間隔が、風上側端で広く風下側端で狭い徐変間隔とされていることを特徴とする請求項1に記載の車載用風力発電装置。
【請求項4】
前記略1/4円筒防風曲面と前記回転軌道との間隔が、風上側端で狭く風下側端で広い徐変間隔とされていることを特徴とする請求項3に記載の車載用風力発電装置。
【請求項5】
前記風車は、該風車の回転軸方向に分割された複数個の分割風車の集合体よりなり、
前記分割風車と該分割風車に隣接する分割風車とが、各該分割風車の各前記羽根の回転方向の位相を互いにずらして配置されていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一つに記載の車載用風力発電装置。
【請求項6】
前記羽根は、該羽根の前記回転外側端と該羽根の回転内側端とを繋ぐと共に該羽根の回転方向に向かって前記風受け凹曲面よりも大きく湾曲した風除け凸曲面を備え、
前記羽根の断面形状は、前記風受け凹曲面と前記風除け凸曲面とにより囲まれた略三日月形を呈していることを特徴とする請求項3〜5のうちのいずれか一つに記載の車載用風力発電装置。
【請求項7】
前記風車が、電気自動車又はハイブリッド電気自動車の二次電池を冷却するための風を送る前記ダクトの前記空気通路内に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一つに記載の車載用風力発電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−177354(P2012−177354A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41789(P2011−41789)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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