説明

車載装置及びその制御方法

【課題】 カード型装置が挿入後短時間で抜かれても、車載装置本体とカード型装置との電気的接続が強制的に遮断される場合を回避することができる車載装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】 カード挿入口を有し、カード挿入口に挿入されたカード型装置と電気的に接続する車載装置本体と、この車載装置本体に設けられたカード挿入口を露出自在に開閉する表示装置とを備える車載装置において、カード型装置のカード挿入口への挿入時には、車載装置本体とカード型装置とを電気的に非接続状態にし、表示装置が閉動作を開始した後に、車載装置本体とカード型装置とを電気的に接続状態にするようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード型装置を挿入するカード挿入口を有する車載装置及びその制御方法に関し、特に、車載装置本体とカード型装置との電気的接続を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置やカーオーディオ装置等の車載装置においては、カード型の通信装置等を挿入するカード挿入口や、カード型記録媒体を挿入するカード挿入口を備えたものがある。この種の車載装置には、開閉自在に連結された表示パネル(表示装置)を備え、カード型装置を挿入する際には、この表示パネルを開けてカード挿入口を露出させるように構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−317457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の構成では、カード型装置が挿入されると、すぐにカード型装置に電力を供給して車載装置本体とカード型装置とをバス接続するため、ユーザにより、挿入したカード型装置がすぐに抜かれると、カード型装置に記録されたデータの読み取り中にカード型装置への電力供給が強制的に遮断されてしまう。
また、カード型装置がHDD装置を有する場合にも、従来の構成では、カード型装置が挿入されると、すぐにカード型装置に電力を供給してHDD装置を駆動させるため、ユーザにより、挿入したカード型装置が直ぐに抜かれると、HDD装置の駆動中に電力が強制的に遮断されてしまう。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、カード型装置が挿入後短時間で抜かれても、車載装置本体とカード型装置との電気的接続が強制的に遮断される場合を回避することができる車載装置及びその制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述課題を解決するため、本発明は、カード挿入口を有し、カード挿入口に挿入されたカード型装置と電気的に接続する車載装置本体と、この車載装置本体に設けられたカード挿入口を露出自在に開閉する表示装置とを備える車載装置において、カード型装置のカード挿入口への挿入時には、車載装置本体とカード型装置とを電気的に非接続状態にし、前記表示装置が閉動作を開始した後に、車載装置本体とカード型装置とを電気的に接続状態にする接続制御手段を備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、カード挿入口を有し、カード挿入口に挿入されたカード型装置と電気的に接続する車載装置本体と、この車載装置本体に設けられたカード挿入口を露出自在に開閉する表示装置とを備える車載装置において、カード型装置のカード挿入口への挿入時には、車載装置本体とカード型装置とを電気的に接続状態にして前記カード型装置の認識/識別処理を開始し、この認識/識別処理の終了後、車載装置本体とカード型装置とを電気的に非接続状態にし、前記表示装置が閉動作を開始した後に、車載装置本体とカード型装置とを再び電気的に接続状態にする接続制御手段を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記構成において、前記接続制御手段は、前記表示装置が閉動作を開始した後に、車載装置本体とカード型装置とを電気的に接続状態にして、前記カード型装置の認識/識別処理を開始することを特徴とする。
また、本発明は、前記接続制御手段は、前記カード型装置の認識/識別処理で認識/識別に失敗した場合、前記表示装置の閉動作を禁止させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、カード挿入口を有し、カード挿入口に挿入されたカード型装置と電気的に接続する車載装置本体と、この車載装置本体に設けられたカード挿入口を露出自在に開閉する表示装置とを備える車載装置の制御方法において、
カード型装置のカード挿入口への挿入時には、車載装置本体とカード型装置とを電気的に非接続状態にし、前記表示装置が閉動作を開始した後に、車載装置本体とカード型装置とを電気的に接続状態にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カード型装置のカード挿入口への挿入時には、車載装置本体とカード型装置とを電気的に非接続状態にし、表示装置が閉動作を開始した後に、車載装置本体とカード型装置とを電気的に接続状態にするため、カード型装置が挿入後、短時間で抜かれても、車載装置本体とカード型装置との電気的接続が強制的に遮断されることがない。また、表示装置が閉動作を開始するまででは、車載装置本体とカード型装置とが電気的に非接続状態であるため、カード型装置が挿入されるとすぐに電力を供給する従来の車載装置に比して、省電力化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施形態に係る車載装置1の外観構成を示す斜視図である。この車載装置1は、車両に搭載され、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)及びカード型装置に記録された音声や映像のデータを再生する機能やナビゲーション機能を備え、図1に示すように、車両のインストルメントパネルに設けられた収納スペースに収容される装置本体(車載装置本体)10と、この装置本体10の正面に設けられた表示装置11とを備えている。
【0011】
この表示装置11は、タッチパネルが配置された液晶表示パネル12と、この液晶表示パネル12が嵌め込まれた筐体13と、この筐体13に設けられた操作スイッチ14A、14Bとを備えて構成されている。
この表示装置11の側面上部には、図2に示すように、突起15が設けられ、この突起15は、装置本体10の側壁16に形成されたガイド溝17に嵌って上下方向に移動自在に係合すると共に、表示装置11の側面下部には、ピン18を介して押出機構19が連結され、この押出機構19は、モータ38(図4)の駆動力を利用してピン18を介して表示装置11の下部を水平方向に押し出し、これらによって、図3に示すように、表示装置11は装置本体10に対して開閉する。この場合、ガイド溝17と押出機構19とで表示装置11の開閉機構が構成されている。
【0012】
この表示装置11の開閉指示は、表示装置11の筐体13に設けられた操作スイッチ14A,14Bの操作によって行われる。具体的には、例えば、図3の状態で、一方の操作スイッチ(クローズキー)14Aが押下操作されると、押出機構19が表示装置11の下部を装置本体10側(図中右方向)に移動させ、これに伴って表示装置11の上部が突起15を介してガイド溝17の上方向に案内され、図1に示すように、表示装置11が装置本体10の前面を塞ぐ位置(閉位置)に移動する。
【0013】
他方の操作スイッチ(オープンキー)14Bが押下操作されると、押出機構19が表示装置11の下部を、操作スイッチ14Aの操作時と逆側(図中左方向)に移動し、この移動に伴って表示装置11の上部が突起を介してガイド溝17の下方向に案内され、図3に示すように、表示装置11が装置本体10の前面を露出させる位置(開位置)に移動する。
さらに、この表示装置11の開閉指示は、操作スイッチ14A,14Bの操作だけでなく、表示装置11のタッチパネルのタッチ操作によっても可能であり、具体的には、表示装置11に開閉指示用のアイコンが表示されている場合に、そのアイコンの表示領域がタッチパネルを介して押下操作された場合に表示装置11が開閉する。
【0014】
装置本体10の前面10Aには、図3に示すように、PC(PCMCIA)カード、CF(CompactFlash)、マイクロドライブ、モバイルディスク等のカード型装置5が挿入されるカード挿入口21、このカード挿入口21からカード型装置5を排出するための排出ボタン22、CD或いはDVD等のディスク状記録媒体が挿入されるディスク挿入口23、及び、ディスク挿入口23からディスク型記録媒体を排出するための排出ボタン24などが設けられている。これらの挿入口21、23は、図1に示すように、表示装置11が閉状態の場合は表示装置11の裏に隠れており、図3に示すように、表示装置11を開くと外部に露出し、挿入口21、23にアクセス可能となる。
【0015】
図4は、車載装置1の主要構成を示すブロック図である。
車載装置1は、MPU(接続制御手段)30を備え、このMPU30は、車載装置1の各部を中枢的に制御するものであり、このMPU30には、カードインターフェース(カードI/F)31を介してカードスロット32が接続されている。このカードスロット32は、カード挿入口21を有し、このカード挿入口21を介してPCMCIA規格に準拠したTYPEI又はIIに準ずるカード型装置5が装填される。
カードスロット32に装填されたカード型装置5は、カードI/F31を介してMPU30によりアクセスされ、MPU30は、カード型装置5に記録された各種データ(音楽データ等)の読み取りや、カード型装置5へのデータの書き込みを行う。なお、カード型装置5に書き込むデータは、例えば、CDから読み出した音楽データに所定の圧縮処理を施した圧縮音声データ等である。
【0016】
また、MPU30には、カード型装置5から読み出したデータや書き込むデータ等を一時的に格納するRAM33が接続されると共に、サブMPU34が接続される。サブMPU34は、制御用プログラム等の各種データを記憶するROM、データを一時的に格納するRAM、ROMに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種制御を行うCPUを有し、MPU30の制御の下、表示装置11の表示制御等を行う。
【0017】
また、このサブMPU34には、カードスロット32にカード型装置5が挿入されたことを検出する挿入検出スイッチ(挿入検知手段)35と、ユーザインターフェースとして機能する操作部36とが接続され、サブMPU34は、これら挿入検出スイッチ35の状態及び操作部36の操作を示す情報をMPU30に通知する。操作部36は、表示装置11の開閉を指示する操作スイッチ(クローズキー、オープンキー)14A、14Bや表示装置11のタッチパネルを含み、サブMPU34は、これら操作スイッチやタッチパネルの所定領域(開閉指示用アイコンの表示領域)が操作されると、当該サブMPU34に接続されたモータドライバ37の制御を行う。
このモータドライバ37は、サブMPU34の制御の下、表示装置11の駆動手段として機能するモータ38の駆動信号を生成してモータ38に出力し、モータ38は、この駆動信号に基づき正転駆動或いは逆転駆動し、表示装置11を開閉する。
【0018】
この車載装置1においては、カード挿入口21にカード型装置5を挿入する場合、ユーザにより操作スイッチ14B等を介してサブMPU34に開指示が入力され、サブMPU34が、この開指示に基づいてモータドライバ37によりモータ38を駆動させ、表示装置11を、カード挿入口21が露出する位置(図3)まで開かせ、これによって、カード挿入口21にカード型装置5を挿入可能となる。
【0019】
ところで、カード型装置5が挿入され、すぐにカード型装置5に電力を供給して装置本体10とカード型装置5とを電気的に接続すると、カード型装置5が挿入後すぐに抜かれた場合、カード型装置5への電力供給が強制的に遮断され、好ましくない。そこで、本実施形態では、カード型装置5がカード挿入口21に挿入された場合に、装置本体10とカード型装置5との電気的接続を所定期間禁止する接続制御処理を実行する。
【0020】
図5は、この接続制御処理を示すフローチャートである。なお、前提として、表示装置11がカード挿入口21が露出する位置まで開いているものとする。
まず、MPU30は、サブMPU34を介して挿入検出スイッチ35の状態を取得し、カード型装置5が挿入されているか否かを判定し、カード型装置5が挿入されていない場合は(ステップS1:NO)処理を終了する。なお、この処理を終了しても、MPU30は、表示装置11が開いた状態が継続する限り、この接続制御処理を繰り返し実行し、実質的にカード型装置5が挿入されたか否かを継続的に判定するようになっている。
【0021】
一方、カード型装置5が挿入された場合(ステップS1:YES)、MPU30は、挿入検出スイッチ35の状態に基づいてカード型装置5が抜かれたか否かを判定し(ステップS2)、カード型装置5が抜かれた場合(ステップS2:YES)、この処理を終了する。このようにカード型装置5が挿入後すぐに抜かれても、カード型装置5は電気的に非接続の状態にあるため、装置本体10とカード型装置5との電気的接続が強制的に遮断されることがない。
【0022】
カード型装置5が抜かれていない場合(ステップS2:NO)、MPU30は、表示装置11の閉指示を入力したか否か(クローズキーに相当する操作スイッチ14Aが操作されたか否か等)を判定し(ステップS3)、閉指示を入力していない場合(ステップS3:NO)、ステップS2の処理に移行する。従って、MPU30は、カード型装置5が抜かれるか(ステップS2:YES)、表示装置11の閉指示が入力されるか(ステップS3:YES)のいずれかの条件が満足するまで待機し、カード型装置5と電気的に非接続の状態に維持する。このため、カード型装置5が抜かれても、装置本体10とカード型装置5との電気的接続が強制的に遮断されることがない。
【0023】
一方、表示装置11の閉指示を入力した場合(ステップS3:YES)、MPU30は、サブMPU34を介してモータドライバ37によりモータ38を駆動させて表示装置11の閉制御を開始する(ステップS4)。表示装置11の閉制御を開始した後、MPU30は、カードI/F31を介してカードスロット32に装填されているカード型装置5に電力を供給し、カード型装置5と電気的に接続する(ステップS5)。より具体的には、MPU30は、カード型装置5に電力を供給して電気的に接続した状態にして、カード型装置5の認識/識別処理を行い、カード型装置5の認識/識別ができたことを条件に、装置本体10とカード型装置5とをバス接続した状態に維持する。
このように装置本体10とカード型装置5とをバス接続することにより、MPU30は、カード型装置5に記録された圧縮音楽データの再生が指示された場合にカード型装置5に記録されたデータを読み出して再生処理を行い、また、カード型装置5へのデータ記録が指示された場合に記録対象のデータをカード型装置5へ書き込む処理を行う。
【0024】
但し、ステップS5の処理において、カード型装置5の認識/識別が失敗した場合、MPU30は、カード型装置5の取り出しをユーザに促すべく、その旨を表示装置11に表示させる表示処理、その旨を示す報知音を放音させる放音処理、表示装置11を開駆動させて開いた状態、つまり、カード型装置5を取り出し易くするための開駆動処理等の各種報知処理を適宜実行する。従って、カード型装置5が車載装置1に対応したものでない場合、或いは、故障している場合には、装置本体10とカード型装置5とは電気的に非接続の状態に維持される。
【0025】
以上説明したように、本実施形態の車載装置1によれば、カード型装置5がカード挿入口21に挿入されても表示装置11が閉動作を開始するまでは、装置本体10とカード型装置5とを電気的に非接続の状態に維持するため、カード型装置5が挿入後、短時間で抜かれても、装置本体10とカード型装置5との電気的接続が強制的に遮断されることがない。
この場合、表示装置11の閉動作は、ユーザが表示装置11の閉指示を行うことを条件に開始されるため、ユーザが、挿入したカード型装置5を誤ってないか否かを確認し、誤っていないことを認識して表示装置11の閉指示を行った後に、装置本体10とカード型装置5とを電気的に接続させることができる。このため、ユーザがカード型装置5を抜く可能性が低くなった時点から、迅速に装置本体10とカード型装置5とを電気的に接続した状態にすることができる。
【0026】
また、本実施形態では、表示装置11が閉動作を開始した後に、カード型装置5の認識/識別処理を開始するため、表示装置11がほぼ完全に閉まるまでにカード型装置5の認識/識別処理を終了させることができる。実際の使用上、この車載装置1は、表示装置11をほぼ閉じた状態で、カード型装置5に記録された圧縮音楽データの再生指示等が行われるため、実際の使用形態では各指示に応じてすぐにカード型装置5にアクセスすることができる。
さらに、本実施形態では、表示装置11が閉動作を開始するまでは、カード型装置5への電力供給を行わないため、カード型装置5が挿入されるとすぐに電力を供給する従来の車載装置に比して、省電力化を図ることができる。
【0027】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態に係る車載装置は、カード型装置5が挿入されると短時間だけカード型装置5と電気的に接続する点が、第1実施形態に係る車載装置1と相違する。それ以外の構成については、第1実施形態に係る車載装置1とほぼ同様であるため、同様の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
【0028】
図6は、接続制御処理を示すフローチャートである。
まず、MPU30は、サブMPU34を介して挿入検出スイッチ(挿入検出手段)35の状態を取得し、カード型装置5が挿入されているか否かを判定し、カード型装置5が挿入されていない場合は(ステップS1A:NO)、処理を終了する。
【0029】
一方、カード型装置5が挿入された場合(ステップS1A:YES)、MPU30は、カードI/F31を介してカード型装置5にアクセスし、カード型装置5から得た情報(カード情報)に基づいてカード型装置5の認識/識別処理を開始し(ステップS2A)、カード型装置5の認識/識別の結果に応じて以下の処理を実行する。
すなわち、カード型装置5の認識/識別に失敗した場合(ステップS3:NO)、MPU30は、カード型装置5への電力供給を遮断してカード型装置5とのバス接続を解除すると共に、表示装置11の閉指示の受け付けを禁止する(ステップS4A)。従って、カード型装置5が車載装置1に対応したものでない場合、或いは、故障している場合には、装置本体10とカード型装置5とは電気的に非接続の状態に維持されると共に、表示装置11の閉駆動が禁止される。なお、この場合、カード型装置5の取り出しをユーザに促すべく、その旨を表示装置11に表示させる表示処理、その旨を示す報知音を放音させる放音処理等の各種報知処理を適宜実行するようにしてもよい。
【0030】
これに対し、カード型装置5の認識/識別に成功した場合(ステップS3:YES)、MPU30は、カード型装置5から得たカード情報をRAM33に保持した後(ステップS5A)、カード型装置5への電力供給を遮断し、装置本体10とカード型装置5とのバス接続を解除する(ステップS6A)。
【0031】
次いで、MPU30は、挿入検出スイッチ35の状態に基づいてカード型装置5が抜かれたか否かを判定し(ステップS7A)、カード型装置5が抜かれた場合(ステップS7A:YES)、RAM33に保持したカード情報を破棄した後(ステップS8A)、この処理を終了する。この場合、カード型装置5の認識/識別処理後は、カード型装置1が電気的に非接続の状態にあるため、カード型装置5が抜かれても、装置本体10とカード型装置5との電気的接続が強制的に遮断されることがない。
【0032】
一方、カード型装置5が抜かれていない場合(ステップS7A:NO)、MPU30は、表示装置11の閉指示を入力したか否か(クローズキーに相当する操作スイッチ14Aが操作されたか否か等)を判定し(ステップS9A)、閉指示を入力していない場合(ステップS9A:NO)、ステップS7Aの処理に移行する。従って、MPU30は、カード型装置5が抜かれるか(ステップS7A:YES)、表示装置11の閉指示が入力されるか(ステップS9A:YES)のいずれかの条件が満足するまで待機し、装置本体10とカード型装置5とを電気的に非接続の状態に維持する。このため、この間にカード型装置5が抜かれても、装置本体10とカード型装置5との電気的接続が強制的に遮断されることがない。
【0033】
表示装置11の閉指示を入力した場合(ステップS9A:YES)、MPU30は、サブMPU34を介してモータドライバ37によりモータ38を駆動させて表示装置11の閉制御を開始する(ステップS10A)。表示装置11の閉制御を開始した後、MPU30は、カードI/F31を介してカードスロット32に装填されているカード型装置5へ電力を供給し、装置本体10とカード型装置5とのバス接続を復帰させる(ステップS11A)。この場合、MPU30は、RAM30にカード情報を保持しているので、カード型装置5からカード情報の読み出しを新たに行う必要がなく、迅速にバス接続を復帰させ、直ぐにカード型装置5にアクセスすることができる。
【0034】
本実施形態によれば、カード型装置5が装填されると、カード型装置5の認識/識別処理だけを行い、すぐに装置本体10とカード型装置5との電気的接続を解除するため、カード型装置5の認識/識別処理の終了後にカード型装置5が抜かれても、装置本体10とカード型装置5との電気的接続が強制的に遮断されることがない。この場合、カード型装置5の認識/識別処理は短時間で終了するため、ユーザがカード型装置5を挿入後すぐにカード型装置5を抜こうとしても、カード型装置5を抜く前にカード型装置5の認識/識別処理が終了しており、カード型装置5を抜く前に、装置本体10とカード型装置5との電気的接続が解除される。従って、カード型装置5を抜いた際に、装置本体10とカード型装置5との電気的接続が遮断される場合を十分に回避することができる。
【0035】
また、本実施形態では、カード型装置5の認識/識別処理時に取得したカード情報を保持しておき、表示装置11が閉動作を開始した後に、装置本体10とカード型装置5とを再び電気的に接続するため、再び電気的に接続するときにカード情報を新たに読み出す必要がなく、その分、カード型装置5に記録されたデータの読み出し等を早く開始することができる。
また、本実施形態では、カード型装置5の認識/識別に失敗すると、表示装置11の閉動作を禁止するため、認識/識別に失敗したカード型装置5をユーザがすぐに取り出して交換等することができる。
さらに、本実施形態では、表示装置11が閉動作を開始するまでは、カード型装置5への電力供給を行わないため、カード型装置5が挿入されるとすぐに電力を供給する従来の車載装置に比して、省電力化を図ることができる。
【0036】
以上、本発明による車載装置の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上述の各実施形態では、カード型装置5が挿入された後、表示装置11が開動作を開始するとほぼ同時に、装置本体10とカード型装置5とを電気的に接続する場合について例示したが、要は、表示装置1が開動作を開始した後に装置本体10とカード型装置5とを電気的に接続すればよく、表示装置11が閉まった後に、装置本体10とカード型装置5とを電気的に接続するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態に係る車載装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】表示装置の開閉機構の説明に供する図である。
【図3】表示装置が開位置のときの車載装置の外観構成を示す斜視図である。
【図4】車載装置の主要構成を示すブロック図である。
【図5】接続制御処理を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態に係る車載装置の接続制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
1 車載装置
5 カード型装置
10 装置本体(車載装置本体)
11 表示装置
14A,14B 操作スイッチ
21 カード挿入口
23 ディスク挿入口
30 MPU(接続制御手段)
31 カードI/F
32 カードスロット
33 RAM
34 サブMPU
35 挿入検出スイッチ
36 操作部
37 モータドライバ
38 モータ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード挿入口を有し、カード挿入口に挿入されたカード型装置と電気的に接続する車載装置本体と、この車載装置本体に設けられたカード挿入口を露出自在に開閉する表示装置とを備える車載装置において、
カード型装置のカード挿入口への挿入時には、車載装置本体とカード型装置とを電気的に非接続状態にし、前記表示装置が閉動作を開始した後に、車載装置本体とカード型装置とを電気的に接続状態にする接続制御手段を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
カード挿入口を有し、カード挿入口に挿入されたカード型装置と電気的に接続する車載装置本体と、この車載装置本体に設けられたカード挿入口を露出自在に開閉する表示装置とを備える車載装置において、
カード型装置のカード挿入口への挿入時には、車載装置本体とカード型装置とを電気的に接続状態にして前記カード型装置の認識/識別処理を開始し、この認識/識別処理の終了後、車載装置本体とカード型装置とを電気的に非接続状態にし、前記表示装置が閉動作を開始した後に、車載装置本体とカード型装置とを再び電気的に接続状態にする接続制御手段を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項3】
前記接続制御手段は、前記表示装置が閉動作を開始した後に、車載装置本体とカード型装置とを電気的に接続状態にして、前記カード型装置の認識/識別処理を開始することを特徴とする請求項1記載の車載装置。
【請求項4】
前記接続制御手段は、前記カード型装置の認識/識別処理で認識/識別に失敗した場合、前記表示装置の閉動作を禁止させることを特徴とする請求項2記載の車載装置。
【請求項5】
カード挿入口を有し、カード挿入口に挿入されたカード型装置と電気的に接続する車載装置本体と、この車載装置本体に設けられたカード挿入口を露出自在に開閉する表示装置とを備える車載装置の制御方法において、
カード型装置のカード挿入口への挿入時には、車載装置本体とカード型装置とを電気的に非接続状態にし、前記表示装置が閉動作を開始した後に、車載装置本体とカード型装置とを電気的に接続状態にすることを特徴とする車載装置の制御方法。
【請求項6】
カード挿入口を有し、カード挿入口に挿入されたカード型装置と電気的に接続する車載装置本体と、この車載装置本体に設けられたカード挿入口を露出自在に開閉する表示装置とを備える車載装置の制御方法において、
カード型装置のカード挿入口への挿入時には、車載装置本体とカード型装置とを電気的に接続状態にして前記カード型装置の認識/識別処理を開始し、この認識/識別処理の終了後、車載装置本体とカード型装置とを電気的に非接続状態にし、前記表示装置が閉動作を開始した後に、車載装置本体とカード型装置とを再び電気的に接続状態にすることを特徴とする車載装置の制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−88738(P2006−88738A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−273256(P2004−273256)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.COMPACTFLASH
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】