説明

車載装置及び通信システム

【課題】車室内に持ち込まれた複数の携帯端末装置の外部無線通信機能を有効に活用して、サーバ装置から大容量データを効率よくかつ精度よく受信する。
【解決手段】車載装置100は、GW200に対して、ホームサーバ400に記憶される画像や音声等のデータの取得を依頼する。GW200は、携帯電話端末装置300a及び/又は携帯電話端末装置300bを介してホームサーバ400からデータを取得する。ホームサーバ400は、データ要求を中継した携帯電話端末装置300毎にデータを分割して送信する。各携帯電話端末装置300は、ホームサーバ400からの受信データをGW200へと送信する。GW200は、携帯電話端末装置300毎に分割されて受信された全てのデータが正常受信されたことを確認して分割データの結合を行ってデータを復元する。車載装置100は、復元されたデータに基づく画像や音声を画像表示装置やスピーカ等から出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車室内に持ち込まれた携帯端末装置を介した無線通信にて外部サーバ装置からデータを取得する車載装置及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーションシステムが普及してきており、自動車には、音楽や映像の視聴、ナビゲーション情報の表示などを行うことができる車載装置が搭載されることが一般的となってきている。このような車載装置は、例えば、搭乗者が携帯する携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末装置と通信して車載装置及び携帯端末装置間でのデータ送受信を行うことが可能となってきている。
【0003】
通信可能な装置間で近距離無線通信を行うための通信方式として、例えば、Bluetooth(登録商標、以下同様)と呼ばれる無線通信規格が周知である。Bluetoothは、2.4GHzの周波数帯を用いる無線通信規格であり、半径数十メートル範囲内の無線通信が可能である。
【0004】
ところで、携帯端末装置の普及に伴い、車両の車室内に複数の携帯端末装置が持ち込まれることが多くなってきている。上記した様に、車室内において、車載装置及び携帯端末装置間でのデータ送受信を行うことによって様々なサービスを享受することが可能となってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−296045号公報
【特許文献2】特開平9−274697号公報
【特許文献3】特開2003−256896号公報
【特許文献4】特開2003−298773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、要求に応じてコンテンツ等の大容量データを配信処理するデータ配信技術が普及してきている。この様な技術は、データ配信事業者がサーバ装置に蓄積されているデータを配信したり、個人が専用のサーバ装置を有し、必要に応じて自身のサーバ装置から携帯端末装置にデータを配信したりすることに適用される。
【0007】
この様な状況の下では、上記に代表される従来技術では、携帯端末装置のパケット通信機能のデータ伝送速度が低いため、サーバ装置から携帯端末装置によるパケット通信機能を介して大容量データ(例えば、動画データ等)を受信して車載装置に集約することは、携帯端末装置によるパケット通信機能の通信速度の点から極めて困難であった。例えば、1台の携帯端末装置のパケット通信機能を利用して大容量データを受信しようとすると、コマ落ちやデータ欠落などが発生したり、データ受信に膨大な時間を要したりしていた。
【0008】
開示の車載装置及び通信システムは、上記問題点(課題)を解消するためになされたものであって、車両の車室内に持ち込まれた複数の携帯端末装置の外部無線通信機能を有効に活用して、サーバ装置から大容量データを効率よくかつ精度よく受信して車載装置に集約する処理速度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した問題を解決し、目的を達成するため、開示の車載装置及び通信システムは、車載装置が、車両の車室内において複数の携帯端末装置と無線通信を行い、無線通信を介して、複数の携帯端末装置に対し、外部サーバ装置へデータの送信要求を依頼し、要求に基づいて外部サーバ装置から複数の携帯端末装置毎に分割されて送信されたデータを、車両に備えられた電波受信装置を介して取得し、取得された分割データを結合し、結合されたデータを表示部に表示制御し、外部サーバ装置が、複数の携帯端末装置による無線通信を介した車載装置からのデータ送信要求に応じてデータ格納部からデータを読み出し、複数の携帯端末装置毎にデータを分割して送信することを要件とする。
【発明の効果】
【0010】
開示の車載装置及び通信システムによれば、車両の車室内に持ち込まれた複数の携帯端末装置の外部無線通信機能を有効に活用して、サーバ装置から大容量データを効率かつ迅速に受信して車載装置に接続される出力装置に出力させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施形態の一例に係る通信システムの概要を説明するための図である。
【図2】図2は、車両の内部に備えられる各装置の配置位置について説明するための図である。
【図3】図3は、実施形態の一例に係る通信システムに含まれる各装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図4は、接続状態管理テーブルの一例を示す図である。
【図5】図5は、要求管理情報テーブルの一例を示す図である。
【図6】図6は、実施形態の一例に係る通信システムで実行されるデータ通信処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照し、開示の車載装置及び通信システムに係る実施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下の実施形態の一例で示すゲートウェイ装置(以下、GWと略記する)は、車載装置と別装置として説明する。しかし、これに限定されず、車載装置に含まれてもよい。なお、GWも車載される装置であることから、車載装置の一種である。
【0013】
また、以下の実施形態の一例で示す外部サーバ装置は、ホームサーバを例として説明を行う。ホームサーバとは、家庭内通信ネットワークに接続された各情報装置にデータやサービスを提供し、特に、画像データ及び/又は音声データ等を記憶し、家庭内通信ネットワークに接続された各情報装置を制御する機能を持ったサーバ装置である。しかし、これに限定されず、コンテンツ配信事業者がコンテンツを記憶し、有償又は無償でコンテンツを配信するコンテンツサーバ装置であってもよい。
【0014】
また、以下の実施形態の一例では、携帯端末装置として携帯電話端末装置300を用いた場合について説明するが、PDA(Personal Digital Assistant)や可搬型コンピュータ等、携帯可能な端末装置を用いることとしてもよい。なお、実施形態の一例では、携帯端末装置と近距離無線通信を行う通信装置が、車両に搭載された車載装置である場合について説明するが、屋内等に設置された通信装置可能な電子機器であってもよい。
【0015】
また、以下の実施形態の一例では、無線通信方式は、Bluetooth通信を例として説明するが、赤外線通信、Wi−Fi(登録商標)、Wi−MAX(登録商標)等、他の無線通信方式であってもよい。なお、添付図面中では、「Bluetooth」が登録商標である旨の記載を省略している。
【0016】
先ず、図1を参照して、実施形態の一例に係る通信システムの概要を説明する。同図に示す様に、実施形態の一例に係る通信システムSは、車両1に搭載される車載装置100及びGW200と、車両1の車室内に持ち込まれた携帯電話端末装置300a及び携帯電話端末装置300b(以下、携帯電話端末装置300と総称する)と、各携帯電話端末装置300のキャリア事業者の通信網であるキャリアA及びキャリアBと、ホームサーバ400とを含む。
【0017】
車載装置100は、GW200に対して、ホームサーバ400に記憶される画像や音声等のデータの取得を依頼する。GW200は、Bluetooth通信にて、携帯所有者によって使用されていない状態、若しくは、パケット通信可能状態である携帯電話端末装置300a及び/又は携帯電話端末装置300bに対してホームサーバ400からのデータ取得を依頼する。そして、GW200は、携帯電話端末装置300aのキャリアA及び/又は携帯電話端末装置300bのキャリアBを介して、ホームサーバ400にアクセスし、要求されたデータを取得する。
【0018】
ホームサーバ400は、データ要求を中継した携帯電話端末装置300毎にデータを分割して送信する。携帯電話端末装置300毎に分割されて受信されたデータは、Bluetooth通信にて各携帯電話端末装置300からGW200へと送信される。GW200は、携帯電話端末装置300毎に分割されて受信された全てのデータが正常受信されたことを確認して分割データの結合を行ってデータを復元する。車載装置100は、復元されたデータに基づく画像や音声を画像表示装置やスピーカ等から出力する。
【0019】
以上の様にすると、複数の携帯端末装置の外部通信機能を利用してホームサーバ400からのデータの取得を行うことができるので、1台の携帯端末装置の外部通信機能を利用してデータの取得を行うよりも、高速にデータの取得が行える。特に、データが大容量データである場合、効果は顕著である。
【0020】
次に、図2を参照して、車両1の内部に備えられる各装置の配置位置について説明する。同図に示す様に、車両1の車室の前方外側に車載装置100及びGW200が通信可能に接続されている。そして、車室の四隅には、BT(Bluetoothの省略形、以下同様)アンテナFL(Front-Left、前方左、以下同様)、FR(Front-Right、前方右、以下同様)、BL(Back-Left、後方左、以下同様)又はBR(Back-Right、後方右、以下同様)が図示の如く配置され、GW200に接続されている。
【0021】
BTアンテナFL、FR、BL及びBRは、車室に持ち込まれた携帯電話端末装置300a及び携帯電話端末装置300bとBluetooth通信にて通信を行う。GW200は、車室に持ち込まれた携帯電話端末装置300が複数である場合、最大出力(若しくは、所定閾値以上の出力)の電波で通信を行うことができるBTアンテナFL、FR、BL又はBRを選択して携帯電話端末装置300と通信を行う。
【0022】
また、携帯電話端末装置300a及び携帯電話端末装置300bは、外部通信機能(例えば、DUN(Dial-up Networking Profile、ダイヤルアップサービス)やパケット通信機能等)を有し、近傍に設置されている携帯電話基地局(図示せず)を介してホームサーバ400とデータの送受信を行う。
【0023】
なお、GW200によって、最大出力(若しくは、所定閾値以上の出力)の電波で通信を行うことができるBTアンテナFL、FR、BL及びBRを選択することによって、例えば、図2に示す様なBTアンテナの配置であれば、携帯電話端末装置300の位置を特定することが可能である。
【0024】
図2において、ステアリングホイールhが備えられている座席は、運転者席である。よって、BTアンテナFRと通信を行う携帯電話端末装置300は、位置が特定されることによって、運転者が所持する携帯電話端末装置300であることが分かる。運転助手席、左右の後部座席についても同様である。
【0025】
車載装置100、GW200、ステアリングホイールh、BTアンテナFL、FR、BL及びBRの配置位置は、図2の図示に限定されるものではなく、車両1の構造の制約に応じて設計変更可能である、特に、BTアンテナの配置位置及び配置数は、車室内に持ち込まれた携帯電話端末装置300と最適な電波状況で通信可能となるように変更可能である。また、携帯電話端末装置300の数は、携帯電話端末装置300a及び携帯電話端末装置300bの2台に限られるものではない。
【0026】
次に、図3を参照して、実施形態の一例に係る通信システムSに含まれる各装置の構成について説明する。同図に示す様に、通信システムSは、車載装置100と、GW200と、携帯電話端末装置300a及び携帯電話端末装置300bと、ホームサーバ400とを含む。
【0027】
車載装置100は、入力部101aから入力されたデータの取得要求に応じて、GW200と、携帯電話端末装置300a及び/又は携帯電話端末装置300bを介してホームサーバ400から該当するデータを取得し、データに基づく画像又は音声を出力部101bに表示制御する装置である。車載装置100は、マイクロ・コンピュータ等の制御装置である制御部101と、ホームサーバ400から取得したデータを一時記憶する記憶部102とを有する。
【0028】
制御部101は、入力部101aから入力されたデータの取得要求に応じて、GW200に対して、携帯電話端末装置300a及び/又は携帯電話端末装置300bを介してホームサーバ400から該当するデータの取得を依頼する。そして、制御部101は、ホームサーバ400から取得されたデータを記憶部102に一時記憶する。入力部101aからデータの再生要求が入力されたならば、記憶部102から該当するデータを読み出し、読み出したデータに基づく画像又は音声を出力部101bに表示制御する。
【0029】
GW200は、制御部201と、接続状態管理部202と、Bluetooth通信制御部203とを有する。制御部201は、マイクロ・コンピュータ等の制御装置であり、実施形態の一例に関連する構成要素として、BT端末検出部201aと、BT接続調停部201bと、受信データ結合部201cとを有する。
【0030】
BT端末検出部201aは、車載装置100の起動中において、Bluetoothによる通信が可能な携帯電話端末装置300を継続して検出し、携帯電話端末装置300の識別情報及び携帯電話端末装置300を検出した車内位置(座席位置)を特定する。そして、検出した携帯電話端末装置300から、同携帯電話端末装置300において利用可能なサービス(保有サービス)及び利用中のサービス(使用サービス)に関する情報を取得する。
【0031】
BT端末検出部201aは、検出した携帯電話端末装置300の識別情報、車内位置、保有サービスに関する情報及び使用サービスに関する情報を、図4に例示する接続状態管理テーブルに格納する。接続状態管理テーブルは、接続状態管理部202によって管理されるテーブルである。なお、図4の接続状態管理テーブルによれば、識別情報“a”で識別される携帯電話端末装置300の車内位置はFLである。また、保有サービスは、A2DP(Advanced Audio Distribution Profile、進化した進化した音楽配信サービス)、HFP(Hands-Free Profile、ハンズフリーサービス)、DUNであり、使用サービスはDUNである。
【0032】
BT接続調停部201bは、接続状態管理部202によって管理される接続状態管理テーブルに格納される情報に基づいて、BT端末検出部201aによって検出された携帯電話端末装置300のうち、いずれの携帯電話端末装置300がGW200との通信可能なサービス(例えば、DUN等)を保有し、かつ、GW200との通信可能なサービスが使用されておらずホームサーバ400との通信に利用可能であるか否かを判定する。
【0033】
そして、BT接続調停部201bは、判定結果に基づき携帯電話端末装置300を選択し、選択した携帯電話端末装置300にホームサーバ400と通信してデータを取得させる。なお、BT接続調停部201bは、携帯電話端末装置300と、BTアンテナとの対応が1対1となる様に調停し、Bluetooth通信における電波の干渉を回避する。
【0034】
受信データ結合部201cは、ホームサーバ400から複数の携帯電話端末装置300を介して分割した受信された分割データを結合して、分割前のデータを復元する処理を行う。そして、結合により復元したデータを車載装置100へと受け渡す。
【0035】
Bluetooth通信制御部203は、BTアンテナFR、FL、BR、BLを介して、車両1の車室内に持ち込まれた携帯電話端末装置300と行うBluetooth通信を制御する。
【0036】
携帯電話端末装置300(携帯電話端末装置300a及び携帯電話端末装置300b)は、予めインストールされている同一の専用アプリケーションの実行によってGW200との通信を制御するBluetooth通信制御部300a1又はBluetooth通信制御部300a2を有する。図3の例示では、携帯電話端末装置300aはBluetooth通信制御部300a1を、携帯電話端末装置300bはBluetooth通信制御部300b1を有する。
【0037】
ホームサーバ400は、携帯電話端末装置データ連携部401と、ファイルデータ管理部402aと、要求管理部402bと、データ送信状態監視制御部403と、通信インターフェース部404とを有する。
【0038】
携帯電話端末装置データ連携部401は、携帯電話端末装置300を介したGW200からのデータ送信要求を受信する。そして、データ送信要求に応じて該当するデータをファイルデータ管理部402aから読み出して、データ送信要求を中継した携帯電話端末装置300を介してGW200へデータを送信する。
【0039】
この際、携帯電話端末装置データ連携部401は、要求管理部402bによって管理される要求管理テーブルを参照して、要求元IDが同一である、又は、要求元IDに含まれるGW200の識別情報が同一で時刻情報が所定時間内の違いのみであるデータ送信要求は、同一のデータ送信要求であると見なし、対応する各携帯電話端末装置300へ分割した送信データを送信する。
【0040】
なお、要求元IDにGW200の識別情報及びデータ送信要求時刻を含ませることによって、データ送信要求がホームサーバ400に到達する時刻が異なっても、ホームサーバ400は、同一のデータ送信要求であるか否かを判定することが出来る。よって、ホームサーバ400から同一のデータが同一のGW200に対して重複送信されることを防止することが出来る。また、各携帯電話端末装置300の通信機能を効率的に利用して、要求されたデータをホームサーバ400からGW200へ迅速に送達させることが出来る。
【0041】
携帯電話端末装置データ連携部401は、複数の携帯電話端末装置300を介してGW200へデータを送信する際に、携帯電話端末装置300毎にデータを分割して送信する。この際、同一の分割データを複数の携帯電話端末装置300に送信しない様に、要求管理部402bによって管理される要求管理情報に基づいて送信制御を行う。
【0042】
また、携帯電話端末装置データ連携部401は、携帯電話端末装置300毎に分割された一連の分割データのうち次に送信すべき次データを、GW200からのデータ送信要求の受信毎に、該当する各携帯端末装置送信300へ送信し、分割データ毎のデータ送信要求の受信がない場合、データ送信要求の受信を一定時間にわたって待つ。データ送信要求の受信を一定時間にわたって待っても分割データ毎のデータ送信要求の受信がない場合、GW200へのデータ送信は中止される。
【0043】
なお、携帯電話端末装置データ連携部401は、分割データ毎のデータ送信要求の受信がない場合、データ送信要求の受信を一定時間にわたって待つのではなく、携帯電話端末装置300毎に分割された一連の分割データのうち次に送信すべき次データを、GW200からの分割データ毎のデータ送信要求の受信の有無にかかわらず該当する各携帯端末装置送信300へ送信することとしてもよい。
【0044】
この様にすることによって、携帯電話端末装置300の通信状態が一時的に遅延又は不安定となっても短時間で回復する場合があるので、該当する携帯電話端末装置300との通信を維持し、データ通信精度及びデータ通信速度の維持を図ることができる。
【0045】
ファイルデータ管理部402aは、画像や音声等の大容量データを蓄積記憶している。要求管理部402bは、例えば、図5に例示する様に、データ送信要求を中継してきた携帯電話端末装置300のIPアドレス及びキャリア識別情報(キャリア)と、データ送信要求元のGW200の識別情報(要求元ID)とを格納する要求管理情報テーブルを管理する。
【0046】
例えば、要求元IDが「ABC123」である場合、「ABC」は、GW200の識別情報であり、「123」は、GW200がデータ送信の要求を送信した時刻(または、ホームサーバ400が要求を受信した時刻)である。携帯電話端末装置データ連携部401は、要求元IDが同一である場合、同一のGW200からのデータ送信要求であると見なし、要求されるデータを携帯電話端末装置300毎に分割して各携帯電話端末装置300を介してGW200へ送信する。
【0047】
データ送信状態監視制御部403は、携帯電話端末装置データ連携部401による各携帯電話端末装置300へのデータの送信状況を監視し、送信状況を最適化制御する。具体的には、データ送受信の状態が不安定な携帯電話端末装置300へのデータ送信を中止し、データ送受信の状態が安定している他の携帯電話端末装置300へ送信する。また、車両1に持ち込まれた携帯電話端末装置300のうち、データ送信に使用できない状態であった携帯電話端末装置300がデータ送信に使用できる状態に移行したことを検知して、検知された携帯電話端末装置300をデータ送信に使用する。
【0048】
この様にすることによって、携帯電話端末装置300による通信の安定化及びデータ送信に使用できる状態の携帯電話端末装置300を有効利用したデータ通信速度の向上を図ることができる。
【0049】
次に、図6を参照して、実施形態の一例に係る通信システムSで実行されるデータ通信処理について説明する。同図に示す様に、先ず、車載装置100は、GW200に対してホームサーバ400からのデータ受信に使用可能な携帯電話端末装置300の検出を要求する(ステップS101)。
【0050】
続いて、GW200は、車載装置100が行った、ホームサーバ400からのデータ受信に使用可能な携帯電話端末装置300の検出の要求に応答して、接続状態管理テーブルを参照して、該当する携帯電話端末装置300を通知する(ステップS102)。
【0051】
続いて、車載装置100は、GW200に対して、ホームサーバ400からのデータ受信に使用可能な携帯電話端末装置300(携帯電話端末装置300a及び携帯電話端末装置300b)に対して、ホームサーバ400と、例えば、DUNを使用した通信を確立する様に指示を出す様に指示を送信する(ステップS103)。
【0052】
ステップS103の指示を受信したGW200は、ホームサーバ400からのデータ受信に使用可能な携帯電話端末装置300(携帯電話端末装置300a及び携帯電話端末装置300b)に対して、ホームサーバ400と、例えば、DUNを使用した通信を確立する様に指示を出す(ステップS104及びステップS105)。
【0053】
なお、ステップS106では、車載装置100及びGW200は、ユーザによるホームサーバ400からのファイルダウンロード要求を受け付ける毎に、ステップS103の処理を行う。
【0054】
続いて、携帯電話端末装置300a及び携帯電話端末装置300bは、送信パラメータにGW200の固有ID(GW200の識別情報)を付与して、ホームサーバ400との通信を確立する(ステップS107及びステップS108)。
【0055】
続いて、ホームサーバ400は、携帯電話端末装置300a及び携帯電話端末装置300bと通信が確立され、各携帯電話端末装置300からデータ送信要求を受信すると、該当データをファイルデータ管理部402aから読み出し、該当データを順序付けて分割して順序づけられた分割データを生成し、分割データを携帯電話端末装置300毎に送信する(ステップS109、ステップS110及びステップS111)。
【0056】
なお、各携帯電話端末装置300からホームサーバ400へデータ要求を行う際、各携帯電話端末装置300から送信する情報を一つの携帯電話端末装置300に集約して送信してもよい。
【0057】
分割データを受信した携帯電話端末装置300a及び携帯電話端末装置300bは、Bluetooth通信によって、該当分割データをGW200へ送信する(ステップS112及びステップS113)。
【0058】
分割データを受信したGW200は、該当分割データの全てが揃ったことを確認し、分割データを正しいデータ順序に従って結合させ、分割前のデータを復元する(ステップS114)。続いて、GW200は、復元したデータを、車載装置100へ送信する(ステップS115)。続いて、車載装置100は、GW200から受信したデータに基づく画像又は音声を出力部101bから出力する(ステップS116)。
【0059】
上記実施形態の一例によれば、ホームサーバ400から画像や音声の大容量データを車載装置100にダウンロードして視聴する場合、車両1に持ち込まれた複数の携帯電話端末装置300の外部通信機能(例えば、DUNやパケット通信機能等)を利用してホームサーバ400からのデータ受信速度を向上させる。
【0060】
また、BTアンテナと携帯電話端末装置300との接続が1対1となる様に調停制御を行うので、GW200と携帯電話端末装置300との通信をスムースに行うことができる。
【0061】
また、携帯電話端末装置300とホームサーバ400との通信状態を監視し、最適制御によってデータを送信する携帯電話端末装置300を動的に選択するので、大容量データ送受信の精度を向上させ、画像や音声のコマ落ちやデータ欠落を防止することが出来る。
【0062】
以上、本発明の実施形態の一例を説明したが、本発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で、更に種々の異なる実施形態で実施されてもよいものである。また、実施形態の一例に記載した効果は、これに限定されるものではない。
【0063】
また、上記実施形態の一例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記実施形態の一例で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0064】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0065】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)(またはMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)などのマイクロ・コンピュータ)および当該CPU(またはMPU、MCUなどのマイクロ・コンピュータ)にて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されてもよい。
【0066】
上記実施形態の一例によれば、以下の技術が開示される。
【0067】
無線通信による通信が可能な状態である携帯端末装置を検出する検出部を有し、
データ取得部は、検出部によって検出された携帯端末装置を介して外部無線通信によって外部サーバ装置から複数の携帯端末装置毎に分割されたデータを取得する
ことを特徴とする車載装置。
【0068】
外部サーバ装置は、
データ送信部による複数の携帯端末装置へのデータの送信状況を監視し、送信状況を最適化制御する送信状況監視制御部を有する
ことを特徴とする通信システム。
【0069】
車両の車室内において複数の携帯端末装置と無線通信を行う無線通信ステップと、
前記無線通信ステップによる前記無線通信を介して、前記複数の携帯端末装置に対し、外部サーバ装置へデータの送信要求を依頼するデータ送信要求依頼ステップと、
前記データ送信要求依頼ステップによる要求に基づいて前記外部サーバ装置から前記複数の携帯端末装置毎に分割されて送信されたデータを、前記車両に備えられた複数の電波受信装置を介して取得するデータ取得ステップと、
前記データ取得ステップによって取得された前記分割データを結合するデータ結合ステップと、
前記データ結合ステップによって結合されたデータを表示部に表示制御する表示制御ステップと
を車載装置が実行し、
前記複数の携帯端末装置による前記無線通信を介した前記車載装置からのデータ送信要求に応じてデータ格納部からデータを読み出し、前記複数の携帯端末装置毎に前記データを分割して送信するデータ送信ステップ
を前記外部サーバが実行する
ことを特徴とする通信制御方法。
【符号の説明】
【0070】
1 車両
100 車載装置
101 制御部
101a 入力部
101b 出力部
102 記憶部
200 GW
201 制御部
201a BT端末検出部
201b BT接続調停部
201c BT受信データ結合部
202 接続状態管理部
203 Bluetooth通信制御部
300、300a、300b 携帯電話端末装置
300a1、300b1 Bluetooth通信制御部
400 ホームサーバ
401 携帯電話端末装置データ連携部
402a ファイルデータ管理部
402b 要求管理部
403 データ送信状態監視制御部
404 通信インターフェース部
FL、FR、BL、BR BTアンテナ
h ステアリングホイール
S 通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室内において複数の携帯端末装置と無線通信を行う無線通信部と、
前記無線通信部による前記無線通信を介して、前記複数の携帯端末装置に対し、外部サーバ装置へデータの送信要求を依頼するデータ送信要求依頼部と、
前記データ送信要求依頼部による要求に基づいて前記外部サーバ装置から前記複数の携帯端末装置毎に分割されて送信されたデータを、前記車両に備えられた電波受信装置を介して取得するデータ取得部と、
前記データ取得部によって取得された前記分割データを結合するデータ結合部と、
前記データ結合部によって結合されたデータを表示部に表示制御する表示制御部と
を有することを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記車室内に配置される複数のアンテナが前記車両の車室内に持ち込まれた複数の携帯端末装置から受信された電波の電界強度に基づいて各前記携帯端末装置の該当位置を特定する特定部を有し、
前記データ取得部は、前記検出部によって検出され、かつ、前記特定部によって特定された携帯端末装置の該当位置に応じて、前記外部無線通信を介して前記外部サーバ装置から前記複数の携帯端末装置毎に分割されたデータを取得する携帯端末装置を選択する
ことを特徴とする請求項1記載の車載装置。
【請求項3】
車両の車室内において複数の携帯端末装置と無線通信を行う無線通信部と、
前記無線通信部による前記無線通信を介して、前記複数の携帯端末装置に対し、外部サーバ装置へデータの送信要求を依頼するデータ送信要求依頼部と、
前記データ送信要求依頼部による要求に基づいて前記外部サーバ装置から前記複数の携帯端末装置毎に分割されて送信されたデータを、前記車両に備えられた電波受信装置を介して取得するデータ取得部と、
前記データ取得部によって取得された前記分割データを結合するデータ結合部と、
前記データ結合部によって結合されたデータを表示部に表示制御する表示制御部と
を有する車載装置と、
データを格納するデータ格納部と、
前記複数の携帯端末装置による前記無線通信を介した前記車載装置からのデータ送信要求に応じて前記データ格納部からデータを読み出し、前記複数の携帯端末装置毎に前記データを分割して送信するデータ送信部と
を有する外部サーバ装置と
を含むことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
前記データ送信部は、前記携帯端末装置毎に分割された一連の分割データの次データを、前記車載装置からの前記分割データ毎のデータ送信要求の受信毎に、該当する各前記携帯端末装置へ送信し、前記分割データ毎のデータ送信要求の受信がない場合、該受信を一定時間にわたって待つ
ことを特徴とする請求項3記載の通信システム。
【請求項5】
前記データ送信部は、前記携帯端末装置毎に分割された一連の分割データの次データを、前記車載装置からの前記分割データ毎のデータ送信要求の受信の有無にかかわらず該当する各前記携帯端末装置へ送信する
ことを特徴とする請求項3記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−199717(P2010−199717A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39492(P2009−39492)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】