説明

車載装置

【課題】携帯電話22の着信時に、着信応答時に使用される単語の認識率を向上させることができる車載装置10を提供する。
【解決手段】本発明の車載装置10は、携帯電話22の着信時に音声認識を行う場合には、着信応答時に使用される単語のみを用いるか、あるいは、着信応答時に使用される単語の尤度を上げることにより、着信応答時に使用される単語が認識されやすくなるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、音声により入力されるコマンドを実行する車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、音声によりコマンドを入力することができる音声認識装置を備えたカーナビゲーションシステムが開示されている。特許文献1の音声認識装置は、雑音が混在した入力音声から雑音を除去することにより、音声認識率を向上させている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−15494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、たとえ雑音の少ない環境であったとしても、入力された音声から、当該音声が意味する単語を正しく認識することができない場合がある。音声が意味する単語が正しく認識される割合である認識率の更なる向上が求められている。
【0005】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、携帯電話の着信時に、着信応答時に使用される単語の認識率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車載装置は、携帯電話の着信時に音声認識を行う場合には、着信応答時に使用される単語が認識されやすくなるようにする。
【0007】
例えば、本発明の第一の態様は、携帯電話が接続され、車両に搭載される車載装置であって、接続されている携帯電話が着信中か否かを判定する着信判定手段と、複数の単語のそれぞれを、対応する特徴量を示す情報、および、携帯電話の着信応答時に使用される単語に対してはオン、携帯電話の着信応答時に使用されない単語に対してはオフとなるフラグと共に格納する辞書格納手段と、着信判定手段によって携帯電話が着信中であると判定されている場合に、マイクを介して受信した音声の特徴量を算出し、算出した特徴量に基づいて、辞書格納手段に格納されている単語の中で、フラグがオンとなっている単語について、類似している割合が高いほど高い値を示す尤度を算出し、着信判定手段によって携帯電話が着信中であると判定されていない場合に、マイクを介して受信した音声の特徴量を算出し、算出した特徴量に基づいて、辞書格納手段に格納されている単語の中で、フラグがオフとなっている単語について尤度を算出する尤度算出手段と、尤度算出手段によって算出された尤度に基づいて、マイクを介して受信した音声に対応する単語を特定する単語特定手段とを備えることを特徴とする車載装置を提供する。
【0008】
また、本発明の第二の態様は、携帯電話が接続され、車両に搭載される車載装置であって、接続されている携帯電話が着信中か否かを判定する着信判定手段と、複数の単語のそれぞれを、対応する特徴量を示す情報、および、携帯電話の着信応答時に使用される単語に対してはオン、携帯電話の着信応答時に使用されない単語に対してはオフとなるフラグと共に格納する辞書格納手段と、マイクを介して受信した音声の特徴量を算出し、算出した特徴量に基づいて、辞書格納手段に格納されているそれぞれの単語について、類似している割合が高いほど高い値を示す尤度を算出する尤度算出手段と、着信判定手段によって携帯電話が着信中であると判定されている場合に、尤度算出手段によって算出されたそれぞれの単語の尤度の中で、辞書格納手段内のフラグがオンとなっている単語の尤度を予め定められた値増加させる尤度調整手段と、着信判定手段によって携帯電話が着信中であると判定されている場合に、尤度調整手段によって尤度が調整された後に、それぞれの単語の尤度に基づいて、マイクを介して受信した音声に対応する単語を特定する単語特定手段とを備えることを特徴とする車載装置を提供する。
【0009】
また、本発明の第三の態様は、車両に搭載される車載装置であって、接続されている携帯電話が着信中か否かを判定する着信判定手段と、複数の単語のそれぞれを、対応する単語の特徴量を示す情報と共に格納する第一の辞書格納手段と、携帯電話の着信応答時に使用される単語であって、第一の辞書格納手段には格納されていない単語から構成され、それぞれの単語を、対応する単語の特徴量を示す情報と共に格納する第二の辞書格納手段と、着信判定手段によって携帯電話が着信中であると判定されていない場合に、マイクを介して受信した音声の特徴量を算出し、算出した特徴量に基づいて、第一の辞書格納手段に格納されているそれぞれの単語について、類似している割合が高いほど高い値を示す尤度を算出し、着信判定手段によって携帯電話が着信中であると判定されている場合に、マイクを介して受信した音声の特徴量を算出し、算出した特徴量に基づいて、第二の辞書格納手段に格納されているそれぞれの単語について尤度を算出する尤度算出手段と、尤度算出手段によって算出された尤度に基づいて、マイクを介して受信した音声に対応する単語を特定する単語特定手段とを備えることを特徴とする車載装置を提供する。
【0010】
また、本発明の第四の態様は、携帯電話が接続され、車両に搭載される車載装置であって、接続されている携帯電話が着信中か否かを判定する着信判定手段と、複数の単語のそれぞれを、対応する単語の特徴量を示す情報と共に格納する第一の辞書格納手段と、携帯電話の着信応答時に使用される単語であって、第一の辞書格納手段には格納されていない単語から構成され、それぞれの単語を、対応する単語の特徴量を示す情報と共に格納する第二の辞書格納手段と、着信判定手段によって携帯電話が着信中であると判定されていない場合に、マイクを介して受信した音声の特徴量を算出し、算出した特徴量に基づいて、第一の辞書格納手段に格納されているそれぞれの単語について、類似している割合が高いほど高い値を示す尤度を算出し、着信判定手段によって携帯電話が着信中であると判定されている場合に、マイクを介して受信した音声の特徴量を算出し、算出した特徴量に基づいて、第一の辞書格納手段および第二の辞書格納手段に格納されているそれぞれの単語について尤度を算出する尤度算出手段と、それぞれの単語について算出された尤度に基づいて、マイクを介して受信した音声に対応する単語を特定する単語特定手段とを備えることを特徴とする車載装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車載装置によれば、携帯電話の着信時に、着信応答時に使用される単語の認識率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
まず、本発明の第1の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、第1実施例における車載装置10の構成の一例を示すブロック図である。車載装置10は、車両に搭載され、辞書データ格納部11、尤度算出部12、単語特定部13、コマンド処理部14、および着信判定部15を備える。
【0014】
辞書データ格納部11には、例えば図2に示すように、それぞれの単語110毎に、当該単語を発声した場合の音声の特徴量111、および、携帯電話22の着信時に使用される単語に対してはオン、携帯電話22の着信時に使用されない単語に対してはオフとなるフラグ112が格納されている。携帯電話22の着信時に使用される単語としては、例えば、「出る」、「切る」、「留守」、および「保留」等である。
【0015】
携帯電話22は、着信があった場合に、着信中を示す着信状態情報を着信判定部15に通知する。また、着信がない状態では、携帯電話22は、着信中でない旨を示す着信状態情報を着信判定部15に通知する。着信判定部15は、携帯電話22から着信状態情報を受け付け、受け付けた着信状態情報を尤度算出部12へ送信する。
【0016】
尤度算出部12は、入力装置21を介してユーザから音声認識処理の開始を指示された場合に、マイク20を介して音声信号を取り込み、取り込んだ音声信号から音節毎の特徴量を抽出する。そして、尤度算出部12は、着信判定部15から受信した着信状態情報に、着信中を示す情報が含まれているか否かを判定する。
【0017】
着信判定部15から受信した着信状態情報に着信中を示す情報が含まれている場合、尤度算出部12は、辞書データ格納部11内において、オンを示すフラグが対応付けられている単語について、マイク20から取り込んだ音声信号の特徴量と、それぞれの単語の特徴量とを比較して、類似している割合が高いほど高い値を示す尤度を算出し、算出した尤度を、対応する単語を示す情報と共に単語特定部13へ出力する。
【0018】
ここで、携帯電話22が着信中である場合であっても、辞書データ格納部11内に格納されている全ての単語について尤度を算出するとすれば、着信中に使用されない単語であっても、マイク20から取り込んだ音声信号の特徴量に対する類似度が高いというだけで、高い尤度が対応付けられ、実際に発声した単語とは異なる単語として認識される場合がある。
【0019】
しかし、実施例では、携帯電話22が着信中である場合に、尤度算出部12は、辞書データ格納部11内においてオンを示すフラグが対応付けられている単語についてのみ尤度を算出するため、着信中に使用される単語の中で尤度を算出することができ、実際に発声した単語をより精度よく認識することができる。
【0020】
なお、尤度算出部12は、尤度の高い順に、所定個数(例えば10個以内)の単語を、対応する尤度と共に単語特定部13へ出力するようにしてもよい。
【0021】
一方、着信判定部15から受信した着信状態情報に着信中を示す情報が含まれていない場合、尤度算出部12は、辞書データ格納部11内において、オフを示すフラグが対応付けられている単語について、マイク20から取り込んだ音声信号の特徴量と、それぞれの単語の特徴量とを比較して尤度を算出し、算出した尤度を、対応する単語を示す情報と共に単語特定部13へ出力する。
【0022】
このように、携帯電話22が着信中の場合にはオフを示すフラグが対応付けられている単語については尤度を算出せず、携帯電話22が着信中でない場合にはオンを示すフラグが対応付けられている単語については尤度を算出しないようにすることにより、尤度算出部12は、尤度算出にかかる処理時間の短縮および処理負荷の軽減を実現することができる。
【0023】
単語特定部13は、尤度算出部12から出力された尤度に基づいて、音声信号に対応する単語を特定し、特定した単語をコマンド処理部14へ出力する。コマンド処理部14は、単語特定部13から出力された単語により特定されるコマンドを実行する。
【0024】
単語特定部13は、例えば、尤度算出部12から出力された尤度が最も高い単語を音声信号に対応する単語として特定する。また、他の例として、単語特定部13は、直前に尤度算出部12から出力された尤度の高い単語や、その後に尤度算出部12から出力された尤度の高い単語との前後関係も加味して音声信号に対応する単語を特定するようにしてもよい。
【0025】
図3は、第1実施例における車載装置10の動作の一例を示すフローチャートである。搭載されている車両のエンジンが始動する等の所定のタイミングで、車載装置10は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0026】
まず、尤度算出部12は、入力装置21を介して、ユーザから音声認識処理の開始を指示されたか否かを判定する(S100)。音声認識処理の開始を指示されていない場合(S100:No)、尤度算出部12は、再びステップS100に示した処理を実行する。
【0027】
音声認識処理の開始を指示された場合(S100:Yes)、尤度算出部12は、着信判定部15から受信した着信状態情報に、着信中を示す情報が含まれているか否かを判定する(S101)。
【0028】
着信判定部15から受信した着信状態情報に着信中を示す情報が含まれていない場合(S101:No)、尤度算出部12は、辞書データ格納部11内において、オフを示すフラグが対応付けられている単語について、マイク20から取り込んだ音声信号の特徴量と、それぞれの単語の特徴量とを比較して尤度を算出する(S103)。そして、尤度算出部12は、算出した尤度を、対応する単語を示す情報と共に単語特定部13へ出力し、単語特定部13は、ステップS104に示す処理をする。
【0029】
一方、着信判定部15から受信した着信状態情報に着信中を示す情報が含まれている場合(S101:Yes)、尤度算出部12は、辞書データ格納部11内において、オンを示すフラグが対応付けられている単語について、マイク20から取り込んだ音声信号の特徴量と、それぞれの単語の特徴量とを比較することにより尤度を算出し(S102)、算出した尤度を、対応する単語を示す情報と共に単語特定部13へ出力する。
【0030】
次に、単語特定部13は、尤度算出部12から出力された尤度に基づいて、音声信号に対応する単語を特定し、特定した単語をコマンド処理部14へ出力する(S104)。コマンド処理部14は、単語特定部13から出力された単語により特定されるコマンドを実行する(S105)。
【0031】
次に、尤度算出部12は、入力装置21を介して、ユーザから音声認識処理の終了を指示されたか否かを判定する(S106)。音声認識処理の終了を指示されていない場合(S106:No)、尤度算出部12は、再びステップS101に示した処理を実行する。一方、音声認識処理の終了を指示された場合(S106:Yes)、尤度算出部12は、再びステップS100に示した処理を実行する。
【0032】
以上、本発明の第1の実施例について説明した。
【0033】
上記説明から明らかなように、本実施例の車載装置10によれば、携帯電話22の着信時に、着信応答時に使用される単語の認識率を向上させることができる。
【0034】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
【0035】
図4は、第2実施例における車載装置10の構成の一例を示すブロック図である。車載装置10は、車両に搭載され、辞書データ格納部11、尤度算出部12、単語特定部13、コマンド処理部14、着信判定部15、および尤度調整部16を備える。なお、以下に説明する点を除き、図4おいて、図1と同じ符号を付した構成は、図1における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0036】
尤度算出部12は、着信判定部15から受信した着信状態情報に着信中を示す情報が含まれている場合に、辞書データ格納部11内の全ての単語について、マイク20から取り込んだ音声信号の特徴量と、それぞれの単語の特徴量とを比較して尤度を算出し、算出した尤度を、対応する単語を示す情報と共に単語特定部13へ出力する。
【0037】
一方、着信判定部15から受信した着信状態情報に着信中を示す情報が含まれていない場合、尤度算出部12は、辞書データ格納部11内において、オフを示すフラグが対応付けられている単語について、マイク20から取り込んだ音声信号の特徴量と、それぞれの単語の特徴量とを比較して尤度を算出し、算出した尤度を、対応する単語を示す情報と共に単語特定部13へ出力する。
【0038】
このように、携帯電話22が着信中でない場合にはオンを示すフラグが対応付けられている単語については尤度を算出しないようにすることにより、尤度算出部12は、携帯電話22が着信中でない場合における尤度算出にかかる処理時間の短縮および処理負荷の軽減を実現することができる。
【0039】
尤度調整部16は、尤度算出部12から複数の単語を尤度と共に受け取った場合に、着信判定部15から受信した着信状態情報に着信中を示す情報が含まれているならば、辞書データ格納部11を参照して、尤度算出部12から受け取った単語の中で、オンを示すフラグが対応付けられている単語の尤度を予め定められた値増加させる。
【0040】
一方、着信判定部15から受信した着信状態情報に着信中を示す情報が含まれていないならば、尤度調整部16は、尤度の調整を行わず、尤度算出部12から受け取った単語および尤度を、そのまま単語特定部13へ転送する。
【0041】
このように、オンを示すフラグが対応付けられている単語、すなわち、着信時に使用される単語の尤度を増加させることにより、尤度調整部16は、携帯電話22に着信がない場合に使われることが少ない単語の認識率を、着信時に向上させることができる。例えば、使用頻度が高い単語を優先する学習機能が尤度算出部12に設けられている場合に、普段使われることが少ない、着信時に使用される単語は、学習効果が出にくいが、尤度調整部16による尤度の調整を行うことにより、このような単語の認識率を向上させることができる。
【0042】
図5は、第2実施例における車載装置10の動作の一例を示すフローチャートである。搭載されている車両のエンジンが始動する等の所定のタイミングで、車載装置10は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0043】
まず、尤度算出部12は、入力装置21を介して、ユーザから音声認識処理の開始を指示されたか否かを判定する(S200)。音声認識処理の開始を指示されていない場合(S200:No)、尤度算出部12は、再びステップS200に示した処理を実行する。
【0044】
音声認識処理の開始を指示された場合(S200:Yes)、尤度算出部12は、着信判定部15から受信した着信状態情報に、着信中を示す情報が含まれているか否かを判定する(S201)。
【0045】
着信判定部15から受信した着信状態情報に着信中を示す情報が含まれていない場合(S201:No)、尤度算出部12は、辞書データ格納部11内において、オフを示すフラグが対応付けられている単語について、マイク20から取り込んだ音声信号の特徴量と、それぞれの単語の特徴量とを比較して尤度を算出する(S204)。
【0046】
そして、尤度算出部12は、算出した尤度を、対応する単語を示す情報と共に尤度調整部16へ出力する。尤度調整部16は、尤度調整部16は、尤度の調整を行わずに、尤度算出部12から受け取った単語および尤度を、そのまま単語特定部13へ転送し、単語特定部13は、ステップS205に示す処理をする。
【0047】
一方、着信判定部15から受信した着信状態情報に着信中を示す情報が含まれている場合(S201:Yes)、尤度算出部12は、辞書データ格納部11内の全ての単語について、マイク20から取り込んだ音声信号の特徴量と、それぞれの単語の特徴量とを比較することにより尤度を算出し(S202)、算出した尤度を、対応する単語を示す情報と共に単語特定部13へ出力する。
【0048】
次に、尤度調整部16は、辞書データ格納部11を参照して、尤度算出部12から受け取った単語の中で、オンを示すフラグが対応付けられている単語の尤度を予め定められた値増加させる(S203)。そして、尤度調整部16は、尤度算出部12から受け取ったそれぞれの単語を、尤度と共に単語特定部13へ出力する。
【0049】
次に、単語特定部13は、尤度調整部16から出力された尤度に基づいて、音声信号に対応する単語を特定し、特定した単語をコマンド処理部14へ出力する(S205)。コマンド処理部14は、単語特定部13から出力された単語により特定されるコマンドを実行する(S206)。
【0050】
次に、尤度算出部12は、入力装置21を介して、ユーザから音声認識処理の終了を指示されたか否かを判定する(S207)。音声認識処理の終了を指示されていない場合(S207:No)、尤度算出部12は、再びステップS201に示した処理を実行する。一方、音声認識処理の終了を指示された場合(S207:Yes)、尤度算出部12は、再びステップS200に示した処理を実行する。
【0051】
以上、本発明の第2の実施例について説明した。
【0052】
上記説明から明らかなように、本実施例においても、携帯電話22の着信時に、着信応答時に使用される単語の認識率を向上させることができる。
【0053】
なお、上記した第1の実施例または第2の実施例における車載装置10は、例えば図6に示すような構成のコンピュータ30によって実現される。
【0054】
図6は、車載装置10の機能を実現するコンピュータ30のハードウェア構成の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ30は、CPU(Central Processing Unit)31、RAM(Random Access Memory)32、ROM(Read Only Memory)33、HDD(Hard Disk Drive)34、入力インターフェイス(I/F)35、出力インターフェイス(I/F)36、およびメディアインターフェイス(I/F)37を備える。
【0055】
CPU31は、ROM33またはHDD34に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM33は、コンピュータ30の起動時にCPU31が実行するブートプログラムや、コンピュータ30のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。HDD34は、CPU31によって実行されるプログラムを格納する。
【0056】
入力インターフェイス35は、マイク20および入力装置21等の入力装置からの信号を受信してCPU31へ送る。CPU31は、入力インターフェイス35を介して、マイク20および入力装置21等の入力装置を制御し、入力インターフェイス35を介して、マイク20および入力装置21等の入力装置から信号を取得する。
【0057】
出力インターフェイス36は、CPU31から取得したデータを、ディスプレイ等の出力装置へ出力する。CPU31は、出力インターフェイス36を介して、ディスプレイ等の出力装置を制御し、生成したデータを、出力インターフェイス36を介してディスプレイ等の出力装置へ出力する。
【0058】
メディアインターフェイス37は、記録媒体38に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM32に提供する。RAM32を介してCPU31に提供されるプログラムは、記録媒体38に格納されている。当該プログラムは、記録媒体38から読み出されて、RAM32を介してコンピュータ30にインストールされ、CPU31によって実行される。記録媒体38は、例えばDVD(Digital Versatile Disk)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0059】
コンピュータ30が第1実施例の車載装置10として機能する場合、コンピュータ30にインストールされて実行されるプログラムは、コンピュータ30を、辞書データ格納部11、尤度算出部12、単語特定部13、コマンド処理部14、および着信判定部15として機能させる。
【0060】
また、コンピュータ30が第2実施例の車載装置10として機能する場合、コンピュータ30にインストールされて実行されるプログラムは、コンピュータ30を、辞書データ格納部11、尤度算出部12、単語特定部13、コマンド処理部14、着信判定部15、および尤度調整部16として機能させる。
【0061】
コンピュータ30は、これらのプログラムを、記録媒体38から読み取って実行するが、他の例として、コンピュータ30に通信機能を設け、通信回線を介してこれらのプログラムを取得するようにしてもよい。
【0062】
また、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0063】
例えば、上記した第1の実施例では全ての単語を辞書データ格納部11内に格納し、それぞれの単語に対応付けたフラグによって、携帯電話22の着信時に使用される単語と、携帯電話22の着信時に使用されない単語とを区別したが、本発明はこれに限られない。
【0064】
例えば、図7に示すように、辞書データ格納部11に代えて、携帯電話22の着信時に使用されない単語を格納する第一の辞書データ格納部17と、携帯電話22の着信時に使用される単語のみを格納する第二の辞書データ格納部18を車載装置10内に設け、尤度算出部12は、携帯電話22の着信時に音声認識を行う場合には、第二の辞書データ格納部18内に格納されている単語について尤度を算出し、携帯電話22に着信がない状態で音声認識を行う場合には、第一の辞書データ格納部17内に格納されている単語について尤度を算出するようにしてもよい。
【0065】
また、上記した第2の実施例においても同様に、図8に示すように、辞書データ格納部11に代えて、第一の辞書データ格納部17および第二の辞書データ格納部18を車載装置10内に設け、尤度算出部12は、携帯電話22の着信時に音声認識を行う場合には、第一の辞書データ格納部17および第二の辞書データ格納部18内の全ての単語について尤度を算出し、携帯電話22に着信がない状態で音声認識を行う場合には、第一の辞書データ格納部17内に格納されている単語について尤度を算出するようにしてもよい。
【0066】
この場合、尤度調整部16は、携帯電話22の着信時に着信時に音声認識を行うときには、尤度算出部12から出力された単語の中で、第二の辞書データ格納部18に格納されている単語については、対応する尤度を予め定められた値増加させ、携帯電話22に着信がない状態で着信時に音声認識を行うときには、尤度算出部12から出力された尤度をそのまま単語特定部13へ転送する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1実施例における車載装置10の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】辞書データ格納部11に格納されるデータの構造の一例を示す図である。
【図3】第1実施例における車載装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】第2実施例における車載装置10の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】第2実施例における車載装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】車載装置10の機能を実現するコンピュータ30の一例を示すハードウェア構成図である。
【図7】第1実施例における車載装置10の構成の他の例を示すブロック図である。
【図8】第2実施例における車載装置10の構成の他の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0068】
10・・・車載装置、11・・・辞書データ格納部、110・・・単語、111・・・特徴量、112・・・フラグ、12・・・尤度算出部、13・・・単語特定部、14・・・コマンド処理部、15・・・着信判定部、16・・・尤度調整部、17・・・第一の辞書データ格納部、18・・・第二の辞書データ格納部、20・・・マイク、21・・・入力装置、22・・・携帯電話、30・・・コンピュータ、31・・・CPU、32・・・RAM、33・・・ROM、34・・・HDD、35・・・入力インターフェイス、36・・・出力インターフェイス、37・・・メディアインターフェイス、38・・・記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話が接続され、車両に搭載される車載装置であって、
接続されている携帯電話が着信中か否かを判定する着信判定手段と、
複数の単語のそれぞれを、対応する特徴量を示す情報、および、携帯電話の着信応答時に使用される単語に対してはオン、携帯電話の着信応答時に使用されない単語に対してはオフとなるフラグと共に格納する辞書格納手段と、
前記着信判定手段によって携帯電話が着信中であると判定されている場合に、マイクを介して受信した音声の特徴量を算出し、算出した特徴量に基づいて、前記辞書格納手段に格納されている単語の中で、前記フラグがオンとなっている単語について、類似している割合が高いほど高い値を示す尤度を算出し、
前記着信判定手段によって携帯電話が着信中であると判定されていない場合に、マイクを介して受信した音声の特徴量を算出し、算出した特徴量に基づいて、前記辞書格納手段に格納されている単語の中で、前記フラグがオフとなっている単語について尤度を算出する尤度算出手段と、
前記尤度算出手段によって算出された尤度に基づいて、マイクを介して受信した音声に対応する単語を特定する単語特定手段と
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
携帯電話が接続され、車両に搭載される車載装置であって、
接続されている携帯電話が着信中か否かを判定する着信判定手段と、
複数の単語のそれぞれを、対応する特徴量を示す情報、および、携帯電話の着信応答時に使用される単語に対してはオン、携帯電話の着信応答時に使用されない単語に対してはオフとなるフラグと共に格納する辞書格納手段と、
マイクを介して受信した音声の特徴量を算出し、算出した特徴量に基づいて、前記辞書格納手段に格納されているそれぞれの単語について、類似している割合が高いほど高い値を示す尤度を算出する尤度算出手段と、
前記着信判定手段によって携帯電話が着信中であると判定されている場合に、前記尤度算出手段によって算出されたそれぞれの単語の尤度の中で、前記辞書格納手段内の前記フラグがオンとなっている単語の尤度を予め定められた値増加させる尤度調整手段と、
前記着信判定手段によって携帯電話が着信中であると判定されている場合に、前記尤度調整手段によって尤度が調整された後に、それぞれの単語の尤度に基づいて、マイクを介して受信した音声に対応する単語を特定する単語特定手段と
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載装置であって、
前記尤度算出手段は、
前記着信判定手段によって携帯電話が着信中であると判定されていない場合に、前記辞書格納手段に格納されている単語の中で、前記フラグがオンとなっている単語については、マイクを介して受信した音声の特徴量に基づいて尤度を算出しないことを特徴とする車載装置。
【請求項4】
車両に搭載される車載装置であって、
接続されている携帯電話が着信中か否かを判定する着信判定手段と、
複数の単語のそれぞれを、対応する単語の特徴量を示す情報と共に格納する第一の辞書格納手段と、
携帯電話の着信応答時に使用される単語であって、前記第一の辞書格納手段には格納されていない単語から構成され、それぞれの単語を、対応する単語の特徴量を示す情報と共に格納する第二の辞書格納手段と、
前記着信判定手段によって携帯電話が着信中であると判定されていない場合に、マイクを介して受信した音声の特徴量を算出し、算出した特徴量に基づいて、前記第一の辞書格納手段に格納されているそれぞれの単語について、類似している割合が高いほど高い値を示す尤度を算出し、
前記着信判定手段によって携帯電話が着信中であると判定されている場合に、マイクを介して受信した音声の特徴量を算出し、算出した特徴量に基づいて、前記第二の辞書格納手段に格納されているそれぞれの単語について尤度を算出する尤度算出手段と、
前記尤度算出手段によって算出された尤度に基づいて、マイクを介して受信した音声に対応する単語を特定する単語特定手段と
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項5】
携帯電話が接続され、車両に搭載される車載装置であって、
接続されている携帯電話が着信中か否かを判定する着信判定手段と、
複数の単語のそれぞれを、対応する単語の特徴量を示す情報と共に格納する第一の辞書格納手段と、
携帯電話の着信応答時に使用される単語であって、前記第一の辞書格納手段には格納されていない単語から構成され、それぞれの単語を、対応する単語の特徴量を示す情報と共に格納する第二の辞書格納手段と、
前記着信判定手段によって携帯電話が着信中であると判定されていない場合に、マイクを介して受信した音声の特徴量を算出し、算出した特徴量に基づいて、前記第一の辞書格納手段に格納されているそれぞれの単語について、類似している割合が高いほど高い値を示す尤度を算出し、
前記着信判定手段によって携帯電話が着信中であると判定されている場合に、マイクを介して受信した音声の特徴量を算出し、算出した特徴量に基づいて、前記第一の辞書格納手段および前記第二の辞書格納手段に格納されているそれぞれの単語について尤度を算出する尤度算出手段と、
それぞれの単語について算出された尤度に基づいて、マイクを介して受信した音声に対応する単語を特定する単語特定手段と
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車載装置であって、
前記着信判定手段によって携帯電話が着信中であると判定されている場合に、前記尤度算出手段によって算出されたそれぞれの単語の尤度の中で、前記第二の辞書格納手段内に格納されている単語の尤度を予め定められた値増加させる尤度調整手段をさらに備え、
前記単語特定手段は、
前記着信判定手段によって携帯電話が着信中であると判定されている場合に、前記尤度調整手段によって尤度が調整された後に、それぞれの単語の尤度に基づいて、マイクを介して受信した音声に対応する単語を特定することを特徴とする車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−92978(P2009−92978A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264134(P2007−264134)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】