説明

車載計算装置

【課題】 複数のソフトウェアに複数の計算機資源を割り当てるにあたり、処理遅延の発生を防止することができる車載計算装置を提供する。
【解決手段】 ECU1における処理情報量判断部11は、ナビゲーション装置2から送信される地図情報に基づいて、情報系OS22における処理情報量を算出する。割当数調整指令部12は、処理情報量判断部11が算出した処理情報量に基づいて、制御系OS21および情報系OS22に対するECPUの割当数を求める。また、割当数調整指令部12は、情報系OS22に対するCPUの割当数を記憶している。そして、算出した割当数と、記憶している割当数とに基づいて、情報系OS22に対するCPUの割当数調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載計算装置に係り、特に、車両に搭載され、複数の計算機資源および複数のソフトウェアを備える車載計算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の計算機資源および複数のソフトウェアを備え、複数のソフトウェアを複数の計算機資源に割り当てて計算を行われる計算機システムがある(たとえば、特許文献1参照)。この計算機システムでは、複数のオペレーションシステム(ソフトウェア)の負荷の状態を監視し、オペレーションシステムの負荷に状態にしたがって計算機資源の変更要求を行うようにしている。
【特許文献1】特開2001−331333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1に開示された計算機システムでは、複数のオペレーションシステムそれぞれの負荷状態によって割り当てられる計算機資源が変更される。このため、オペレーションシステムの負荷が大きくなった後に計算機資源の割当の変更が行われることから、一定時間発生する処理遅延を避けることができないという問題があった。
【0004】
他方、車両に搭載される車載計算装置として、このような複数の計算機資源および複数のソフトウェアを備えるものも知られている。このような車載計算装置においても、同様の処理遅延の発生は問題となるものである。
【0005】
そこで、本発明の課題は、複数のソフトウェアに複数の計算機資源を割り当てるにあたり、処理遅延の発生を防止することができる車載計算装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明に係る車載計算装置は、車両に搭載される複数の計算機資源および第1ソフトウェアおよび第2ソフトウェアを含む複数のソフトウェアを備え、複数のソフトウェアのそれぞれに割り当てられる計算機資源の計算容量を調整する計算容量調整手段を備える車載計算装置において、ソフトウェアの処理負荷変動に関する情報に基づいて、計算機容量調整手段に対し各ソフトウェアへの計算機資源の割当計算容量を調整させる指令を行う計算機資源割当容量調整指令手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る車載計算装置は、ソフトウェアの処理負荷変動に関する情報に基づいて、計算機容量調整手段に対し各ソフトウェアへの計算機資源の割当計算容量を調整させるようにしている。このため、いわばフィードフォワード的に各ソフトウェアへの計算機資源の割当を行うことができるので各ソフトウェアの負荷が大きくなる前に計算機資源の割当の調整を行うことができる。その結果、計算機資源における処理遅延を避けることができる。
【0008】
なお、本発明におけるソフトウェアには、オペレーションシステムやアプリケーションなどが含まれる。また、計算機資源には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、ハードディスクなどを含み、特に、CPUは、マルチコアCPUの各コアを含むものである。
【0009】
ここで、計算機資源割当容量調整指令手段は、ソフトウェアの処理負荷変動に関する情報が第1ソフトウェアおよび第2ソフトウェアのいずれのソフトウェアに関する情報であるかを判定することにより、第1ソフトウェアおよび第2ソフトウェアのいずれの処理負荷が変動するかを判断し、処理負荷の判断結果に基づいて、計算機容量調整手段に対し各ソフトウェアへの計算機資源の割当計算容量を調整させる指令を行う態様とすることができる。
【0010】
このようにすることにより、複数のソフトウェアのいずれの処理負荷が変動するかを適切に判断することができる。その結果、計算機資源における処理遅延をさらに好適に避けることができる。
【0011】
また、第1ソフトウェアの処理負荷変動に関する情報は地図情報を参照して得られる情報である態様とすることができる。
【0012】
このように、第1ソフトウェアの処理負荷変動に関する情報が地図情報であることにより、ナビゲーション装置などを用いることによって、容易の処理負荷変動に関する情報を得ることができる。
【0013】
さらに、地図情報は、車両の進行予定経路付近に存在する情報送受信施設の位置、数量、および車両と情報送受信施設との間における情報送受信量のうちの少なくとも1つに関する情報である態様とすることができる。
【0014】
このように、地図情報としては、車両の進行予定経路付近に存在する情報送受信施設の位置、数量、および車両と情報送受信施設との間における情報送受信量等を用いることができる。
【0015】
そして、計算機資源割当容量調整指令手段による計算機資源割当容量調整指令は、各ソフトウェア毎の処理負荷変動を予測するとともに、その予測結果を比較し、処理負荷が高いと予測されるソフトウェアの計算機資源割当容量を増やす指令である態様とすることができる。
【0016】
このように、処理負荷が高いと予測されるソフトウェアの計算機資源割当数を増やすことにより、好適に計算機資源における処理遅延を避けることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る車載計算装置によれば、複数のソフトウェアに複数の計算機資源を割り当てるにあたり、処理遅延の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車載計算装置のブロック構成図である。本実施形態に係る車載計算装置は、車両に搭載されており、図1に示すように、ECU(Electronic controlunit)1およびECU1に接続されたナビゲーション装置2を備えている。ECU1は、車両に搭載されたコンピュータであり、CPU、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、および入出力インターフェイスなどを備えて構成されている。
【0020】
また、ECU1は、処理情報量判断部11、割当数調整指令部12、割当数調整部13、および情報処理部14を備えている。さらに、情報処理部14には制御系オペレーティングシステム(Operating System、以下「OS」という)21、情報系OS22およびこれらのOS21,22に割り当てられる第1CPU31〜第4CPU34を備えている。これらの第1CPU31〜第4CPU34は、いずれも同一の計算容量を備えている。
【0021】
ナビゲーション装置2は、ドライバが操作可能とされた入力手段および車両が走行可能とされた道路に関する地図情報を記憶する地図データベースを備えている。入力手段によって車両の行き先が入力されると、現在位置と到着位置との情報を地図データベースに記憶された地図情報に参照して車両の走行計画を生成する。ナビゲーション装置2は、この走行計画に沿ってドライバに対して運転時の操作を指示する。
【0022】
さらに、ナビゲーション装置2は、生成した走行計画に基づいて、車両が走行する周囲の地図情報を地図データベースから読み出す。ここでの地図情報には、道路に設けられた信号機に関する信号機情報、光ビーコンに関する光ビーコン情報、交通情報の送受信を行う基地局に関する基地局情報等が含まれる。ナビゲーション装置2は、検出した地図情報をECU1に送信する。
【0023】
ECU1では、処理情報量判断部11において、ナビゲーション装置2から送信された地図情報に基づいて、各OS21,22における処理情報量を判断する。処理情報量判断部11は、判断した各OSの処理負荷変動に関する情報である処理情報の量(以下、「処理情報量」という)を割当数調整指令部12に出力する。
【0024】
割当数調整指令部12は、処理情報量判断部11から出力された各OS21,22の処理情報量に基づいて、各OS21,22に対するCPUの割当数を求める。割当数調整指令部12は、こうして求めたOS21,22に対するCPUの割当数を記憶する割当数記憶部を備えている。
【0025】
そして、処理情報量判断部11から出力された各OS21,22の処理情報量に基づいて求めた各OS21,22に対するCPUの割当数と、割当数記憶部に記憶された各OS21,22に対するCPUの割当数とに基づいて、割当数調整情報を生成する。割当数調整指令部12は、生成した割当数調整情報を割当数調整部13に出力する。
【0026】
割当数調整部13は、割当数調整指令部12から出力された割当数調整情報に基づいて、情報処理部14における各OS21,22に対するCPUの割当数調整を行っている。このとき、割当数調整指令部12から送信された割当数調整情報に基づく各OS21,22に対するCPUの割当数が、現在の割当数と一致している場合には、その割当数を維持する。また割当数調整指令部12から送信された割当数調整情報に基づく各OS21,22に対するCPUの割当数が、現在の割当数と一致していない場合には、その割当数を変更する。
【0027】
情報処理部14には、制御系OS21、情報系OS22、および第1CPU31〜第4CPU34が設けられている。情報処理部14では、制御系OS21によって、車両の走行制御に関する走行制御計算処理を行う。この走行制御計算処理によって、車両が走行する際の諸情報、たとえば車速、制動力、操舵角度などを算出する。
【0028】
また、情報処理部14では、情報系OS22によって、周囲の他車両との間における車車間通信、車両が走行する道路に設けられた光ビーコンや基地局との間における路車間通信によって車両周囲情報を取得する。情報系OS22では、これらの車両周辺情報に基づいて、車両制御に用いる制御用周辺情報を生成する。
【0029】
さらに、情報処理部14では、制御系OS21および情報系OS22によってこれらの情報についての情報の処理を行う際に、第1CPU31〜第4CPU34を用いる。ここで、制御系OS21が利用するCPUおよび情報系OS22が利用するCPUについては、割当数調整部13によって調整される。
【0030】
次に、本実施形態に係る車載計算装置における処理手順について説明する。図2は、本実施形態に係る車載計算装置の処理手順を説明するフローチャートである。図2に示すように、本実施形態に係る車載計算装置では、まず、ナビゲーション装置2において、現在位置と到着位置との情報に基づいて走行計画を生成する(S1)。
【0031】
ナビゲーション装置2は、走行計画を生成したら、車両がこれから走行する通行予定地域の地図情報をECU1に送信する。ECU1では、ナビゲーション装置2から送信された通行予定地域の地図情報を取得する(S2)。
【0032】
続いて、ECU1では、処理情報量判断部11において、ナビゲーション装置2から送信されて取得した地図情報に基づいて、情報処理に関する処理情報量を求める。ここでの処理情報量は、地図情報に含まれる信号機情報、光ビーコン情報、基地局情報等に基づいて求められる。原則的に、地図情報が多い場合には、処理情報量は多くなる。また、処理情報量の数以外の要素として、その種類によっても処理情報量は増減して判断される。たとえば、信号機情報や光ビーコン情報の処理情報量は、基地局情報の処理情報量よりも少なくなる。
【0033】
こうして、算出された処理情報量は、処理情報量判断部11から割当数調整指令部12に出力される。割当数調整指令部12では、出力された処理情報量に基づいて、処理情報量に応じた情報系OS22に対するCPU割当数を求め、OS機能を有する情報処理部14との間での照合を行う(S3)。OS機能との照合では、処理情報量判断部11から送信された処理情報量に基づいて算出された情報系OS22に対するCPU割当数(以下「算出割当数」という)と、割当数調整指令部12における割当数記憶部に記憶された情報系OS22に対するCPUの割当数(以下「記憶割当数」という)とを比較する。
【0034】
OS機能との照合の結果、情報系OS22に対するCPUの割当数が適正化されているか否かを判断する(S4)。この判断は、算出割当数と記憶割当数とが一致しているか否かによって行われる。
【0035】
その結果、算出割当数と記憶割当数とが一致しておらず、情報系OS22に対するCPUの割当数が適正化されていないと判断した場合には、情報系OS22に対するCPUの割当数を変更する(S5)。ここでは、情報系OS22に対するCPUの割当数を算出割当数とするように割当数の変更を行う。
【0036】
一方、算出割当数と記憶割当数とが一致しており、情報系OS22に対するCPUの割当数が適正化されていると判断した場合には、情報系OS22に対するCPUの割当数を維持する(S6)。このようにして、本実施形態に係る車載計算装置による処理を終了する。
【0037】
本実施形態に係る車載計算装置では、情報系OS22における処理情報量を算出して判断し、判断した処理情報量に基づいて、情報系OS22に対するCPUの割当数を適正化するようにしている。たとえば、図3(a)に示すように、車両Mの通行予定地域に多数の地図情報Xが存在する場合には、図3(b)に示すように、車両Mの通行予定地域に少数の地図情報Xしか存在しない場合よりも、情報系OS22における処理情報量は多くなると考えられる。
【0038】
その一方で、図4(a)に示すように、制御系OS21に対して第1CPU31および第2CPU32が割り当てられており、情報系OS22に対して第3CPU33および第4CPU34が割り当てられていたとする。このときに、図3(a)に示すように、車両Mの通行予定地域に多数の地図情報Xが存在し、情報系OS22の処理情報量が多くなると考えられる場合には、情報系OS22にそのまま第3CPU33および第4CPU34を割り当てておく。
【0039】
また、図3(b)に示すように、車両Mの通行予定地域に存在する地図情報Xが少なく、情報系OS22の処理情報量が少なくなると考えられることもある。この場合には、情報系OS22に多くのCPUを割り当てたとしても、余分なCPUを割り当てることとなる。そこで、情報系OS22に割り当てるCPUの数を少なくし、第4CPU34のみを割り当て、制御系OS21に対するCPUの割当数を多くする。こうして、情報系OS22の計算処理について余分となるCPUを制御系OS21に割り当てることにより、制御系OS21の計算時間の短縮等を図ることができる。
【0040】
ここで、本実施形態に係る車載計算装置では、制御系OS21と情報系OS22との間でCPU31〜34の割当を行うにあたり、ナビゲーション装置2から送信された地図情報に基づいて情報系OS22の処理情報量を算出し、情報系OS22の処理情報量の算出結果に基づいて制御系OS21と情報系OS22との間でCPU31〜34の割当を行っている。このため、OS21,22の負荷が大きくなる前にCPUの割当の調整を行うことができ、処理遅延を避けることができる。
【0041】
また、本実施形態に係る車載計算装置では、ナビゲーション装置2から送信される地図情報に基づいて、情報系OS22の処理情報量を判断している。このため、情報系OS22の処理負荷の変動を好適に判断することができ、CPUにおける処理遅延をさらに好適に避けることができる。
【0042】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る車載計算装置は、上記第1の実施形態と同様の構成を備えており、割当数調整指令部12における処理態様が異なる。以下、この相違点を中心として、本実施形態に係る車載計算装置の処理手順について説明する。図5は、本実施形態に係る車載計算装置の処理手順を示すフローチャートである。
【0043】
図5に示すように、本実施形態に係る車載計算装置では、ナビゲーション装置2において、走行計画を生成する(S11)。次に、処理情報量判断部11において通行予定地域の地図情報を取得し(S12)、続いて、OS機能との照合を行う(S13)。ここまでは、上記第1の実施形態と同様の手順で行われる。
【0044】
次に、情報系OS22をさらに使用する可能性があるほど処理情報量が多いか否かを判断する(S14)。使用可能性が高いか否かの判断は、処理情報量判断部11から出力される処理情報量および現在の情報系OS22に対するCPUの割当数に基づいて行われる。
【0045】
その結果、情報系OS22の使用する可能性があるほど処理情報量が多いと判断した場合には、情報系OS22に対するCPUの割当数を増加する(S15)。一方、情報系OS22の使用する可能性があるほど処理情報量が多くないと判断した場合には、情報系OS22の使用する可能性がないほど処理情報量が少ないか否かを判断する(S16)。情報系OS22の使用する可能性がないほど処理情報量が少ないか否かの判断は、情報系OS22の使用する可能性があるほど処理情報量が多いか否かの判断と同様、処理情報量判断部11から出力される処理情報量および現在の情報系OS22に対するCPUの割当数に基づいて行われる。
【0046】
その結果、情報系OS22の使用する可能性がないほど処理情報量が少ないと判断した場合には、情報系OS22に対するCPUの割当数を減少する(S16)。一方、情報系OS22の使用する可能性がないほど処理情報量が少なくないと判断した場合には、情報系OS22に対するCPUの割当数を維持する(S17)。こうして、車載計算装置による処理を終了する。
【0047】
このように、本実施形態に係る車載計算装置においては、上記第1の実施形態と同様、情報系OS22における処理情報量を算出し、算出した処理情報量に基づいて、情報系OS22に対するCPUの割当数を適正化するようにしている。このため、OS21,22の負荷が大きくなる前にCPUの割当の調整を行うことができ、処理遅延を避けることができる。
【0048】
また、本実施形態に係る車載計算装置では、情報系OS22の処理情報量から求められる使用可能性に基づいてCPUの割当を調整している。このように、使用可能性に基づいてもCPUの割当を調整することができる。
【0049】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、2つのOS21,22に4つのCPU31〜34を割り当てるようにしているが、これらの数に限定されるものではなく、任意の複数のOSに任意の複数のCPUを割り当てることができる。
【0050】
たとえば、図6に示すように、制御系OS(OS[A])21および情報系OS(OS[B])22のほかに、第3OS(OS[C])23を設け、これらのOS21〜23に6個のCPU31〜36を割り当てる態様とすることもできる。図6に示す例では、図6(a)においては、制御系OS21に第1CPU31および第2CPU32が割り当てられ、情報系OS22に第3CPU33および第4CPU34が割り当てられ、第3OS23に第5CPU35および第6CPU36が割り当てられている。これに対して、たとえば図6(b)に示すように、制御系OS21に第1CPU31〜第3CPU33が割り当てられ、情報系OS22に第4CPU34が割り当てられ、第3OS23に第5CPU35および第6CPU36が割り当てられているように割当を調整することができる。
【0051】
また、上記実施形態では、複数のCPU31〜36は、いずれも同一の計算容量を備えているが、異なる計算容量のCPUを複数設ける態様とすることもできる。この場合には、処理情報量が多くなるときには、割り当てるCPUの数を多くする代わりに、計算容量の大きいCPUを割り当てるなどの対応を行い、結果として計算容量が多くなるようにすることができる。
【0052】
さらに、上記第1の実施形態では、情報系OS22の処理情報量に応じて、各OS21,22に割り当てるCPUの数を決定しているが、制御系OS21の処理情報量に応じて各OS21,22に割り当てるCPUの数を決定することもできる。さらには、制御系OS21および情報系OS22のそれぞれの処理情報量に応じて各OS21,22に割り当てるCPUの数を決定することもできる。
【0053】
また、上記実施形態では、車両の通行予定地域における地図情報の数に応じて、情報系OS22の処理情報量を算出しているが、地図情報の種類や地図情報に基づく情報送受信施設との情報送受信量に基づいて情報系OS22の処理情報量を算出する態様とすることができる。たとえば、情報送受信施設が信号機や光ビーコンである場合には、情報送受信施設が基地局である場合よりも情報系OS22の処理情報量が少なくなるとすることもできる。
【0054】
さらに、上記実施形態では、処理情報量判断部11において制御系OS21および情報系OS22の処理情報量を判断するにあたり、受信した地図情報等に基づいて各OS21,22における処理情報量をそのまま用いている。これに対して、受信した地図情報等に基づいて各OS21,22における処理情報量を予測して判断することもできるし、地図情報等に応じた各OS21,22における処理情報量を予め定めておき、受信した地図情報等を参照して各OS21,22における処理情報量を判断する態様とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1の実施形態に係る車載計算装置のブロック構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る車載計算装置の処理手順を説明するフローチャートである。
【図3】(a)は地図情報の多い地図を示す模式図、(b)は地図情報の多い地図を示す模式図である。
【図4】OSとCPUとの割当の関係を示す図であり、(a)は情報系OSへの割当が多い状態、(b)は情報系OSへの割当が少ない状態を示す。
【図5】第2の実施形態に係る車載計算装置の処理手順を説明するフローチャートである。
【図6】(a)〜(c)とも、OSとCPUとの割当の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1…ECU、2…ナビゲーション装置、11…処理情報量判断部、12…割当数調整指令部、13…割当数調整部、14…情報処理部、21…制御系OS、22…情報系OS、31…第1CPU、32…第2CPU、33…第3CPU、34…第4CPU、35…第5CPU、36…第6CPU、M…車両。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される複数の計算機資源および第1ソフトウェアおよび第2ソフトウェアを含む複数のソフトウェアを備え、前記複数のソフトウェアのそれぞれに割り当てられる計算機資源の計算容量を調整する計算容量調整手段を備える車載計算装置において、
前記ソフトウェアの処理負荷変動に関する情報に基づいて、前記計算機容量調整手段に対し各ソフトウェアへの計算機資源の割当計算容量を調整させる指令を行う計算機資源割当容量調整指令手段と、
を備えることを特徴とする車載計算装置。
【請求項2】
計算機資源割当容量調整指令手段は、前記ソフトウェアの処理負荷変動に関する情報が前記第1ソフトウェアおよび前記第2ソフトウェアのいずれのソフトウェアに関する情報であるかを判定することにより、前記第1ソフトウェアおよび前記第2ソフトウェアのいずれの処理負荷が変動するかを判断し、前記処理負荷の判断結果に基づいて、前記計算機容量調整手段に対し各ソフトウェアへの計算機資源の割当計算容量を調整させる指令を行う請求項1に記載の車載計算装置。
【請求項3】
前記第1ソフトウェアの処理負荷変動に関する情報は、前記車両の走行地域における地図情報である請求項1または請求項2に記載の車載計算装置。
【請求項4】
前記地図情報は、前記車両の進行予定経路付近に存在する情報送受信施設の位置、数量、および前記車両と前記情報送受信施設との間における情報送受信量のうちの少なくとも1つに関する情報である請求項3に記載の車載計算装置。
【請求項5】
前記計算機資源割当容量調整指令手段による計算機資源割当容量調整指令は、前記各ソフトウェア毎の処理負荷変動を予測するとともに、その予測結果を比較し、処理負荷が高いと予測されるソフトウェアの計算機資源割当容量を増やす指令である請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の車載計算装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−146184(P2010−146184A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321195(P2008−321195)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】