説明

軟骨に影響を及ぼす状態に使用するための組成物および方法

軟骨の柔軟性の増大を必要とする動物において軟骨の柔軟性を増大するための方法であって、前記動物に、軟骨の柔軟性を高める有効な量の硫黄含有アミノ酸とマンガンを投与することを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
事実上すべての関節は軟骨を有する。軟骨は、柔軟性、圧迫下での圧縮性、クッション、張力、可動域、および関節内部における動きの平滑さを提供するために、動物の体において重要である。軟骨を有する関節の例としては、手足の指、頚部、膝、股関節部、肩などが挙げられる。動物は、軟骨に悪影響を及ぼし、それにより関節の柔軟性、圧縮性の低下を引き起こして、しばしば関節および/または関節周囲組織の全身性炎症(generalized inflammation)をもたらす、多くの状態に苦しむ可能性がある。その後、そのような動物は関節機能の著しい損失を有し、痛みを感じる。そのような状態を処置し、予防し、または改善するための新規組成物および方法が必要とされている。
【発明の開示】
【0002】
したがって、本発明は、関節の健康を改善するための組成物および方法を包含する。したがって、さまざまな態様において、本発明は、動物において軟骨異常を減少させるための方法であって、該動物に有効な量の少なくとも1種の硫黄含有アミノ酸とマンガンを投与することを含む方法を提供する。
[課題を解決するための手段]
【0003】
他の態様は、動物において軟骨組織の退化を予防するための方法であって、該動物に有効な量の少なくとも1種の硫黄含有アミノ酸とマンガンを投与することを含む方法を提供する。
【0004】
本発明の他の観点は、動物への全身投与に適した組成物であって、有効な量の少なくとも1種の硫黄含有アミノ酸とマンガンを担体と併せて含む組成物を提供する。
【0005】
本発明の適用性のさらなる範囲は、以下に提供する発明を実施するための最良の形態から明らかになるであろう。発明を実施するための最良の形態および具体的実施例は、本発明の例示的態様を示してはいるが、本発明の範囲を限定するものではないことを、理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
さまざまな態様および添付の実施例の以下の記載は、事実上代表的なものに過ぎず、決して本発明、その適用、またはその使用を限定するものではない。
【0007】
本発明は、動物、詳細にはコンパニオン動物、例えばイヌおよびネコにおいて、関節の健康を改善するための組成物および方法を提供する。以下の非限定的ガイドラインにおける定義は、本明細書中に記載した本発明の説明の検討において考慮されなければならない。
【0008】
本明細書中の参考文献の引用は、これらの参考文献が従来技術であるか、または本明細書中で開示する本発明の特許性に対し何らかの関連性を有するという、承認を成すものではない。技術分野で引用した参考文献の内容のあらゆる検討は、参考文献の執筆者により行われた主張の一般的要約を提供しているに過ぎない;それは、そのような参考文献の内容の正確さに関して承認を成すものではない。本明細書の説明項で引用しているすべての参考文献を、その全体として本明細書中で参考として援用する。
【0009】
具体的実施例の記載は、本発明の態様を示してはいるが、例示を目的としているに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。さらに、記載済みの特徴を複数の態様で再び引用することは、追加的な特徴を有する他の態様、または記載済みの特徴の異なる組合わせを組み込んでいる他の態様を、排除することを意図するものではない。
【0010】
軟骨は、継続的に壊されて置き換えられる生体組織で構成される。しかしながら、傷害、関節へのストレス、および老化過程は、しばしばあらゆる明白な信号を示すことなく、多くの損傷が生じるまで軟骨組織を傷つける可能性がある。軟骨は、65%〜80%の水で構成される物質である。残りの部分は、3種の重要な化合物、すなわちコラーゲン、軟骨細胞およびプロテオグリカンで構成される。コラーゲンがその衝撃吸収および弾性を軟骨に与えるのに対し、プロテオグリカンはより大きな分子であり、運動に応答して伸長した後回復するその能力を軟骨に与える。しかしながら、万物と同様に、コラーゲンおよびプロテオグリカンは老化する。軟骨細胞は、老化したプロテオグリカンとコラーゲンを一掃し、新しいものを産生する。これら4種の要素が一緒に働いて、軟骨が健康で平滑であり、関節において無痛運動であることを確実にする。これらの要素のいずれか1種が減少すると、軟骨は悪化し、骨関節症が発現し始める。
【0011】
骨関節症は主に、関節内の骨を覆う平滑で輝く表面である関節軟骨に影響を及ぼす。軟骨の機能は、衝撃吸収性を提供し、関節が滑るときに摩擦を軽減することである。骨関節症は軟骨に菲薄化および損傷をもたらし、これにより軟骨は壊れて、粗造になり腐食し始める。軟骨および骨は、骨が擦れ合うとさらに損傷を受け、関節の一方が他方より大きく崩壊すると変形をきたす。軟骨の損失が大きいと、使用時または静止していても、関連する関節に重度の痛みが生じる可能性がある。
【0012】
骨関節症は、1歳を超えた犬の個体数の約20%に影響を与えている、緩慢に進行する滑膜性関節(synobial joints)の障害である。(Johnston S.A.Orthoarthritis.Veterinary Clinics of North America;Small Animal Practice 1997 27:699−720。)この関節障害は、関節軟骨構成要素の合成と分解のバランスの損失と、続いてもたらされる関節軟骨のびらん、下にある骨のリモデリング、骨増殖体形成および変動しうる程度の骨膜炎を特徴とする。コンパニオン動物で見られる二次性骨関節症のもっとも一般的な原因のいくつかは、前十字靱帯断列、離断性骨軟骨炎(osteochrondritis dessecans)、破砕した(fragmented)鉤状突起、および股関節形成異常である。(Martinez S.A.,Coronados M.G.Acquired conditions that lead to osteoarthritis in a dog.Veterinary Clinics of North America;Small Animal Practice 1997;27:759−775。)軟骨に影響を及ぼす状態の他の例としては、骨軟骨症、滑膜炎、細菌化膿性関節炎、骨関節障害、乾癬(psoriatica)、肋軟骨下(subchondrial)嚢胞性病変、骨端症(physitis)、姿勢異常症(angular limb deformities)および立方骨奇形が挙げられるが、これらに限定されない。大型犬のほとんどは、老化すると関節炎を発症する。大型犬品種は、それらの増加した質量および/または遺伝的素因に起因して、より関節炎に罹りやすい。大型犬は、関節炎および他の軟骨状態のリスクにある唯一の動物ではない。関節炎および他の退行性関節疾患はイヌにおいて一般に認められており、そのような状態はネコにおいてよく見られることが示されている。(Hardie E.M.et al.JAVMA 220(5) 2002,628−632。)リスクのある他の動物としては、すべてのイヌ、ネコ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウシおよびヒト、ならびにシチメンチョウおよびニワトリを含む鳥類などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
さまざまな物質が、上記のような状態を改善するための試みで用いられてきた。そのような物質は、関節炎の処置においてグルコサミン、コンドロイチンおよびコンドロイチン硫酸サプリメントを用いることを包含していた。グルコサミンはプロテオグリカンの成分で、軟骨において流体を保持する。コンドロイチンは、プロテオグリカンの他の成分である。モエギイガイ(Perna canaliculuss)は、グリコサミノグリカン(GAGs)の高濃度供給源である。残念ながら、これらGAGsは、経口摂取すると十分に吸収されない。イガイ(Perna)は関節炎の処置に有利である可能性があるが、観察されている利点は、グリコサミノグリカンの直接吸収より、その天然の消炎作用に由来するものでありうる。クレアチンは、グルコースから筋エネルギーへの変換において重要な役割を果たし、筋力を改善して、より高齢のペットにより精力的に感じさせるのに意義を有することができる。メチルスルホニルメタン(MSM)は、関節炎の進行を遅らせ痛みを和らげる消炎作用を有する。言うまでもなく、ヒトにより典型的に用いられていて、ペットにも用いることができる他の物質として、アスピリン、イブプロフェンのような抗炎症薬、COX−2阻害剤ならびに他の医薬的および薬剤学的組成物が挙げられる。
【0014】
本発明のさまざまな態様において、上記状態を改善し、処置し、予防し、および/または場合によっては緩和するための組成物および方法は、硫黄含有アミノ酸とマンガンの投与を包含する。そのような状態の例示的例としては、骨関節症、リウマチ様関節炎、骨軟骨症、退行性関節疾患、滑膜炎、細菌化膿性関節炎、骨関節障害、乾癬などが挙げられる。
【0015】
本発明のさまざまな態様において、硫黄含有アミノ酸およびマンガンは、動物、好ましくは硫黄含有アミノ酸およびマンガンの投与が必要な動物に、多くの方法、例えば経口、非経口などのいずれか一方法で投与することができるが、経口が好ましい。いくつかの態様では、アミノ酸とマンガンを、湿潤または乾燥飼料の状態で、その中に組み込むか、または任意の飼料成分の表面上で、例えばその上に噴霧するか析出させることにより、投与することができる。特定の態様において、アミノ酸およびマンガンは、栄養的飼料それ自体の中に、またはスナック、サプリメント、トリート(treat)の中に、または水もしくは他の流体など飼料の液体部分の中に、存在することができる。アミノ酸およびマンガンは、粉末、固体として、またはゲルを含む液体として、投与してもよい。所望の場合、アミノ酸およびマンガンは、薬剤学的剤形、例えば、カプセル、錠剤、カプレット、シリンジなどで経口投与してもよく、そのような剤形では、アミノ酸およびマンガンは粉末またはゲルのような液体として存在することができる。通常の薬剤学的担体のいずれか、例えば水、ブドウ糖、ショ糖などを、アミノ酸およびマンガンと一緒に利用することができる。一緒に例示したが、アミノ酸およびマンガンは、別個に、すなわち、例えば、一方を飼料中、一方を液体または単位投与量の形(unit dose form)で、投与することができる。一般に、アミノ酸およびマンガンは、少なくとも随伴して、好ましくは同一担体中で投与すべきである。食物中で投与する場合、硫黄含有アミノ酸およびマンガンは、標準的食品成分内の一化合物として、または2種の組合わせとして、投与することができる。
【0016】
さまざまな硫黄含有アミノ酸およびその誘導体が、本発明において適用可能である。これらは、D−メチオニン、L−メチオニン、DL−メチオニン、D−システイン、L−システイン、DL−システイン、D−シスチン、L−シスチン、DL−シスチン、S−アデノシルメチオニン、ベタイン、メチオニンのラセミ混合物のβ−ヒドロキシ類似体、および記載したようなアミノ酸の上記混合物などを包含する。硫黄含有アミノ酸は、それ自体を動物に与えることができ、または、魚肉、トウモロコシグルテンミール、家禽ミール、カゼイン、マンガンメチオニン(キレート)などのような飼料材料中に天然に存在することができる。
【0017】
特定の態様で上記したように、硫黄含有アミノ酸およびマンガンは、動物に与えられる任意の食物内にあることができる。そのような食物の例は、動物の栄養分のすべてを提供する定期的飼料、およびトリート、サプリメントなどである。いくつかの態様において、アミノ酸およびマンガンは、液体状もしくはカプセル、錠剤、丸剤、液体などの薬剤学的剤形の状態で与えることができ、またはシリンジによる非経口投与であってもよい。もっとも重要な観点は、動物が、異常を軽減するのに有効な量の活性物(actives)を与えられることである。好ましい投与経路は、食物と組み合わせての経口投与である。
【0018】
本明細書中で用いる“飼料”という用語は、動物が定期的に消費する食物または飲料を意味する。コンパニオン動物用飼料は、該動物に適した栄養も提供する任意の適切なペットフード配合物であることができる。例えば、本発明で用いるための典型的なイヌ用飼料は、約10〜30%の脂肪、約22〜44重量%のタンパク質、および合計約10%の食物繊維を含有することができる。他の例では、典型的なネコ用飼料は、約10〜30重量%の脂肪および約30〜45重量%のタンパク質を含有することができる。しかしながら、これらまたは他の栄養分の具体的割合またはパーセンテージは必須ではない。栄養分は、生命の維持を補助するあらゆる食品成分である。以下は、コンパニオン動物の健康において重要な役割を有する栄養分の例である:
【表1】

【0019】
マンガンは、硫酸第一マンガン、酸化第一マンガン、二酸化第一マンガン、炭酸第一マンガン、塩化第一マンガン、マンガンタンパク化合物、マンガンキレート、一酸化マンガン、マンガンメチオニンなどを含むさまざまな形で、動物に供給することができる。
【0020】
本発明の効果(1以上)をもたらすために用いるべきアミノ酸およびマンガンの分量は、実質的に変動することができる。すべての重量%は、動物の栄養必要性を満たすのに足る1日の飼料の乾燥物質基準で算出している。アミノ酸の最小量は約1.2重量%を超え、好ましくは約1.5重量%を超え、より好ましくは約1.8重量%を超える。マンガンの最小量は約50ppmを超え、好ましくは約75ppmを超え、より好ましくは約100ppmを超える。例えば、特定量を1日基準で通常の栄養食物割当量(nutrient food ration)に採用することができ、または、同じ1日分量を、1日基準でトリートもしくはサプリメントの状態で動物に与えることができる。これに加えて、有効な分量の硫黄含有アミノ酸およびマンガンが与えられる限り、これらの方法または他の任意の投与手段の組合わせを用いることができる。最大分量は、ほとんど(許容レベル)またはまったく毒性を伴わずに軟骨異常の分量を減じるのに有効な任意の量である。アミノ酸に関するそのような分量の例としては、最小量の場合と同様の基準で約2.6重量%以下、2.3重量%以下および2.0重量%以下が挙げられる。マンガンのそのような分量の例としては、最小量と同様の基準で約200ppm以下、好ましくは約175ppm以下、より好ましくは約150ppm以下が挙げられる。
【0021】
本発明のさまざまな態様は、コンパニオン動物において軟骨を改善するための方法を包含する。そのような態様において、該方法は、該動物に、1日あたり乾燥物質基準で少なくとも50ppmの量のマンガンと少なくとも1.2重量%の量の硫黄含有アミノ酸を含む飼料を給餌することを含む。他の態様において、該方法は、該動物に、1日あたり乾燥物質基準で少なくとも100ppmの量のマンガンと少なくとも1.8重量%の量の硫黄含有アミノ酸を含む飼料を給餌することを含む。さらに他の態様において、該方法は、該動物に、1日あたり乾燥物質基準で約50ppm〜約200ppmの量のマンガンと約1.2重量%〜約2.6重量%の量の硫黄含有アミノ酸を含む飼料を給餌することを含む。
【0022】
本発明のさまざまな態様において、コンパニオン動物用飼料は、増加したマンガンと硫黄含有アミノ酸を含み、コンパニオン動物の関節の健康を改善する。本発明のいくつかの態様では、マンガンと硫黄含有アミノ酸を、コンパニオン動物の食物に加える。そのような態様では、マンガンと硫黄含有アミノ酸を、コンパニオン動物用食物の加工中に加えた後、これを包装し、消費者が入手できるようにすることができる。そのような工程は、押出、缶詰、ベーキングなど、または他の任意の当分野で公知のペットフード生産方法もしくは工程を包含することができる。そのような工程において、マンガンと硫黄含有アミノ酸は、動物性もしくは植物性成分のような天然源により与えられうるか、マンガンと硫黄含有アミノ酸は、合成的に誘導された供給源により与えられうるか、または、マンガンと硫黄含有アミノ酸は、天然および合成供給源の混合物により与えられうる。本発明の他の態様において、マンガンと硫黄含有アミノ酸は、コンパニオン動物に給餌するためのカプセルの形態にあることができる。本発明のさらに他の態様において、マンガンと硫黄含有アミノ酸は、動物の食物に加えるか動物に直接給餌することができる、粉末または結晶質の状態にあることができる。本発明のさまざまな態様において、コンパニオン動物用飼料は、マンガンおよび硫黄含有アミノ酸と、他の必要とされる栄養成分を含む。本発明のさまざまな態様において、コンパニオン動物はイヌである。他の態様において、コンパニオン動物はネコである。特定の態様において、コンパニオン動物はウマである。
【0023】
軟骨の健康の尺度の一つは、軟骨上で視覚的に観察される異常の分量である。軟骨異常を観察する他の方法としては、MRI、コンピュータ断層撮影法およびX線撮影法が挙げられる。異常が高度であるほど全体的な関節はより弱くなり、関節は状態の影響をより受けやすくなるか、既存の状態を悪化させる。これらの状態としては、とりわけ、関節炎(骨関節症およびリウマチ様関節炎の両方)、骨軟骨症、退行性関節疾患、滑膜炎、細菌化膿性関節炎、骨関節障害および乾癬が挙げられる。視覚化された軟骨異常としては、病変全般、びらん、および成長異常が挙げられる。
【実施例】
【0024】
実施例1
成長期のブタ(80実験単位)を試験モデルとして用いて、軟骨異常に対するメチオニンとマンガンの効果を決定する。ブタは、初期に約35kgである。各ブタを5.2ftの檻に個別に収容し、食物および水を適宜利用できるようにした。ブタに、約130kgのおおよその最終重量まで、60日の期間にわたり試験食物を給餌する。
【0025】
肉加工の時点で、右大腿骨の遠位側を回収し、肉眼的および組織病理学的に評価する。右大腿骨の遠位側をホルムアルデヒド中で保存し、肉眼的観察のために室温で貯蔵する。関節を、関節表面上に存在する病変の総数について評価する(臨床的病変、軟骨びらんおよび異常成長パターンを含む)。肉眼的病変を、組織病理学特性付けにより確認する。組織切片を、内側大腿顆の腹側の体重支持面から取る。計測を2×および10×の顕微鏡写真で評価して、細胞計数を決定し、軟骨下骨組織中への軟骨の病理学的損傷を確認する。
【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【0026】
データが示しているように、増加した硫黄含有アミノ酸とマンガンの組合わせは、視覚的に観察される軟骨の異常(例えば、病変およびびらん)を、試料3が示すように統計的に減少させる。試料1および2はともに、異常における統計的に有意な減少を示していない。試料1は、マンガンは多いが、硫黄含有アミノ酸は対照とほぼ同じである。試料2は、硫黄含有アミノ酸は多いが、マンガンは対照とほぼ同じである。
【0027】
成長期のブタ(80実験単位)を試験モデルとして用いて、軟骨異常に対するメチオニンとマンガンの効果を決定する。ブタは、初期に約35kgである。各ブタを5.2ftの檻に個別に収容し、食物および水を適宜利用できるようにした。ブタに、約130kgのおおよその最終重量まで、90日の期間にわたり試験食物を給餌する。
実施例2
【表6】

【0028】
血清試料を90日の期間終了時に採取して、マトリックスメタロプロテアーゼ活性(MMP−13)およびII型コラーゲン合成活性を決定する。上記データが示しているように、増加した硫黄含有アミノ酸とマンガンの組合わせは、試料5が示すように、酵素MMP−13およびII型コラーゲン合成活性における改善により示されるように軟骨を改善する。
【0029】
本明細書中に記載した実施例および他の態様は代表的なものであり、本発明の装置、系、組成物、材料、および方法の全範囲の記載において制限するものではない。特定の態様、装置、系、組成物、材料および方法における同等の変更、修正、変動を、実質的に同様の結果であれば、本発明の範囲内で加えることができる。そのような変更、修正、または変動は、本発明の精神および範囲から逸脱するものと考えるべきではない。本明細書中で引用したすべての特許、ならびに本明細書中で検討したすべての出版物、論文、カタログおよび製品情報を、その全体で本明細書中で参考として援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物において軟骨異常を改善するための方法であって、該方法が、前記動物に有効な量の硫黄含有アミノ酸と安全で有効な量のマンガンを投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記動物が非ヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動物がコンパニオン動物である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記動物がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アミノ酸が、D−メチオニン、L−メチオニン、DL−メチオニン、D−システイン、L−システイン、DL−システイン、D−シスチン、L−シスチン、DL−シスチン、S−アデノシルメチオニン、ベタイン、メチオニンのβ−ヒドロキシ類似体、マンガンメチオニン、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記硫黄含有アミノ酸の有効な量が少なくとも1.2重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記マンガンの有効な量が乾燥重量基準で少なくとも50ppmである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アミノ酸と前記マンガンを含む食物組成物を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記投与が経口である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
軟骨に影響を及ぼす状態の予防または処置のための請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記軟骨に影響を及ぼす状態が、骨関節症、リウマチ様関節炎、骨軟骨症、退行性関節疾患、滑膜炎、細菌化膿性関節炎、骨関節障害、および乾癬からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
さらに、前記動物に、グルコサミン、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、MSM、クレアチン、抗酸化薬、モエギイガイ、オメガ脂肪酸およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の有効な量の物質を投与することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
動物において軟骨の退化を予防するための方法であって、該方法が、前記動物に、硫黄含有アミノ酸とマンガンを含む組成物を給餌することを含む、前記方法。
【請求項14】
前記動物がコンパニオン動物である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アミノ酸が、D−メチオニン、L−メチオニン、DL−メチオニン、D−システイン、L−システイン、DL−システイン、D−シスチン、L−シスチン、DL−シスチン、S−アデノシルメチオニン、ベタイン、メチオニンのβ−ヒドロキシ類似体、マンガンメチオニン、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記アミノ酸の有効な量が少なくとも1.2重量%である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記マンガンの有効な量が乾燥重量基準で少なくとも50ppmである、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
さらに、グルコサミン、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、MSM、クレアチン、抗酸化薬、モエギイガイ、オメガ脂肪酸およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の有効な量の物質を給餌することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物がさらにタンパク質、脂肪および炭水化物を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
動物において軟骨異常を改善するための組成物であって、該組成物が、有効な量の少なくとも1種の硫黄含有アミノ酸と有効な量のマンガンを含む、前記組成物。
【請求項21】
前記アミノ酸が、D−メチオニン、L−メチオニン、DL−メチオニン、D−システイン、L−システイン、DL−システイン、D−シスチン、L−シスチン、DL−シスチン、S−アデノシルメチオニン、ベタイン、メチオニンのβ−ヒドロキシ類似体、マンガンメチオニン、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記アミノ酸の有効な量が少なくとも1.2重量%である、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
前記マンガンの有効な量が乾燥重量基準で少なくとも50ppmである、請求項20に記載の組成物。
【請求項24】
さらに、グルコサミン、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、MSM、クレアチン、抗酸化薬、モエギイガイ、オメガ脂肪酸およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の物質を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項25】
さらに、タンパク質、脂肪および炭水化物を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物がドッグフードの成分である、請求項20に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物がキャットフードの成分である、請求項20に記載の組成物。
【請求項28】
さらに、生命を維持する量の栄養分を含む、請求項20に記載の組成物。

【公表番号】特表2007−524684(P2007−524684A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553240(P2006−553240)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/004274
【国際公開番号】WO2005/077386
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】