説明

転がり軸受及びその製造方法

【課題】強度、剛性、耐熱性、寸法精度に優れたものでありながら、軸受としての性能を低下させることなく、転動体を安定して保持可能で、且つ製造コストの削減を図ることができる転がり軸受及びその製造方法を提供する。
【解決手段】円筒形状部材の周壁の周方向に当該転動体を収容して保持するポケットを所定の間隔で複数有する保持器を用いた転がり軸受であって、当該保持器は、金属粉末射出成形により一体的に形成され、当該保持器は、転動体の収容領域を備え、その保持器の外周面から径方向中心に向けて転動体領域の外縁部に圧縮加工を施して、転動体脱落防止構造を形成した転がり軸受を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、転がり軸受及びその製造方法に関し、具体的には当該転がり軸受を構成する保持器が金属射出成形、更に詳しくは金属粉末射出成形により一体的に形成され、且つ転動体脱落防止構造を備える転がり軸受及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
転がり軸受は、回転をともなう機械には必要不可欠の部品で、摩擦をできるだけ少なくして動力を滑らかに伝える役割を果たすものである。そのため、転がり軸受は、従来より各種機械の回転部分に好適に用いられてきた。また、現在においても、転がり軸受は、例えば、自動車や家電製品、OA機器等の様々な部分に使われている。
【0003】
なお、自動車においては、エンジンを構成する部品においても燃費の向上や市場からのコストダウンの要求による加工工程削減により、使用する材料を現行の主流材である鉄からアルミニウムへ移行する傾向がある。しかし、エンジン構成部品の材質に剪断強度で劣るアルミニウムを用いた場合には、鉄と同等の強度を保つ必要性から、一部分を肉厚にすることを避けられない。そのため、転がり軸受には、エンジン構成部品をアルミニウム製にすることによる当該部品の大型化を相殺するために小型化が求められている。また、転がり軸受は、エンジン構成部品として用いられるにあたって、長寿命化と低コスト化とを図ることができるものが求められており、転がり軸受の構成部品である転動体を保持するための保持器についても接触抵抗を極力少なくするための高い寸法精度が要求される。
【0004】
保持器を高い寸法精度且つ低コストで形成するために、例えば特許文献1(特開2001−82498号)には、保持器が金属射出成形(MIM:Metal Injection Molding)による燒結金属で形成された等速自在継手について開示されている。具体的には、特許文献1には、内径面に複数の案内溝を形成した外側継手部材と、外径面に複数の案内溝を形成した内側継手部材と、外側継手部材の案内溝とこれに対向する内側継手部材の案内溝とで形成される複数のボールトラックにそれぞれ配されたトルク伝達ボールと、トルク伝達ボールをそれぞれ収容保持する複数の窓形のポケットが形成された保持器とを備えた等速自在継手において、前記保持器がポケットを含めて型成形(金属射出成形)によって形成される等速自在継手が提案されている。
【0005】
特許文献1に開示の等速自在継手が備える保持器は、金属部品を最終部品形状に近い形状で直接製造する金属射出成形による燒結金属で形成されるものであるため、高い寸法精度でその形状を形成することが可能である。しかし、金属射出成形において、同時に所謂アンダーカット形状を備えた製品を得るためには、型が複雑化し、また、型のメンテナンスを頻繁に行わなくてはならない等により製造コストが大幅に増大してしまい現実的ではない。ちなみに、アンダーカット形状とは、成形品の側面に凹の形状があり、そのままの状態では金型から成形品が離型できない形状のことをいう。
【0006】
なお、射出成形技術を採用し、型を複雑化せずにアンダーカット形状を形成可能としたものとして、例えば特許文献2(特許第3651813号)には、ころ軸受用の合成樹脂製保持器が開示されている。具体的には、特許文献2には、ころを収容する複数のポケットを、周方向に沿って所定間隔毎に形成し、各ポケット間の柱部の内周縁又は外周縁に、ポケット側に張り出すころ止め部を形成しているころ軸受用の合成樹脂製保持器において、上記ころ止め部の基部の全周に、当該ころ止め部を周方向へ弾性変形させるための凹溝を形成したころ軸受用の合成樹脂製保持器について開示されている。
【0007】
引用文献2の合成樹脂製保持器は、弾性と共に粘性を兼ね合わせ持つ一般的な樹脂の性質を利用して、ころ止め部の基部の凹溝によってころ止め部を周方向に容易に弾性変形させることができる構造を備えたものである。そして、引用文献2の保持器は、射出成形において、ポケットを成形する成形型を、保持器の外周方向に離型する際に、当該ころ止め部の基部が折損するのを防止可能としたものである。すなわち、引用文献2の合成樹脂製保持器においては、射出成形において、同時にアンダーカット形状の形成を実現している。
【0008】
しかし、引用文献2の合成樹脂製保持器が、射出成形において同時にアンダーカット形状の形成を可能としているのは、樹脂の材質特性によるものであって、剛性の高い金属製保持器に適用することができない。樹脂と金属との材質特性の違いを考慮すると、合成樹脂製保持器は、金属製保持器と比較して強度や剛性、耐熱性に劣る他、熱膨張率が大きく、成形直後の収縮や経時的な寸法変化が大きい等の短所があり、これら特性が要求される使用部位として例えば内燃機関等に用いることができない。
【0009】
以上のことから、強度や剛性、耐熱性等の特性が要求される部位に適用可能で、且つ転動体脱落防止構造を備える転がり軸受においては、従来より、帯状板材にプレス成形を施して保持器の基本断面を形成した後に転動体を収容するポケット孔を打ち抜き、当該帯状板材を所定長さに切断し、これを環状に曲げて両端部を溶接することによって形成されたものが多く用いられてきた。このように、溶接を利用することによって形成される保持器は、プレス加工や削り加工のみで形成される保持器と比較しても、生産の高効率化及び低コスト化が図れるといったメリットを有する。ところが、このような従来の溶接を利用することによって形成された転がり軸受の場合には、当該転動体を収容するポケット孔は、帯状部材を環状に曲げた際に内径側が狭くなったテーパー形状となり、安定して転動体を保持することが困難となる場合があった。
【0010】
そこで、例えば、特許文献3(特開2000−274439号)には、十分な潤滑油量を確保でき、且つ、保持器が径方向に振れても、ころのスキュー(傾き)の抑制ができる溶接保持器が開示されている。すなわち、特許文献3には、転がり軸受の種類の中でも所謂針状ころ軸受に関する開示がされている。具体的には、特許文献3には、ころ(転動体)を収容するための複数のポケット孔を有するリング状の帯状基材の両端部を溶接した溶接保持器において、ポケット孔が周方向案内面と周方向ころ止め面とを有し、周方向案内面及び周方向ころ止め面がポケット孔の周方向中央部における法線面と略平行となっていることを特徴とする溶接保持器が提案されている。
【0011】
また、特許文献4(特開2002−106575号)には、ころ直径/PCD(ピッチ円直径)が0.12を越えるラジアルころ軸受に適用しても、ころの径方向外方への脱落を防止することができ、また、ころをポケット内に組み込む際に破損する恐れの小さいラジアルころ軸受用保持器が開示されている。すなわち、特許文献4には、転がり軸受の種類の中でも所謂針状ころ軸受に関する開示がされている。具体的には、特許文献4の保持器は、安定してころを保持するために、当該保持器の柱の両端部の径方向外方側に設けられる凸状保持部が、塑性変形により当該ころの曲面に沿うような方向に形成されたものであり、当該塑性変形させる部分の合計を当該柱の幅の30%以上としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2001−82498号公報
【特許文献2】特許第3651813号
【特許文献3】特開2000−274439号公報
【特許文献4】特開2002−106575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上述の特許文献3の溶接保持器では、帯状基材にポケット孔の周方向案内面及びころ止め面を形成するに際し、周方向案内面及び周方向ころ止め面が溶接後にポケット孔の周方向中央部における法線面と略平行となるように、帯状基材の法線面に対して所定の角度を付け、帯状基材の長さ方向の一端側と他端側とを少なくとも2回に分けて打ち抜くための工程が更に必要となる。
【0014】
また、特許文献3の溶接保持器は、従来同様に、帯状鋼材の端部同士を溶接により接合して形成されるものであるが、溶接を利用した形成方法の場合、溶接によるビードの盛り上がり量に必然的ばらつきがあり、高い精度での形状の形成を困難とする他、溶接作業のための設備や工程を設けなければならない。従って、特許文献3の溶接保持器では、市場からのコストダウンの要求に十分に応えることができなかった。
【0015】
そして、特許文献4の保持器の場合、平板状の部材を打ち抜いて柱を形成する工程、当該平板状の部材を湾曲させて環状とする工程、当該平板状の部材の両端部を溶接等により接着する工程、ころを保持するために凸状保持部を塑性変形させる工程等、製品化するまでに多くの工程を経る必要があった。従って、特許文献4の保持器では、保持器の形状のばらつきが大きくなり製品品質の低下を招くと共に、市場からのコストダウンの要求に十分に応えることができなかった。
【0016】
本件発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、強度、剛性、耐熱性、寸法精度に優れたものでありながら、軸受としての性能を低下させることなく、転動体を安定して保持可能で、且つ製造コストの削減を図ることができる転がり軸受及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そこで、本件発明者等は、鋭意研究を行った結果、金属射出成形、特に金属粉末射出成形により一体的に形成した保持器を備えた転がり軸受を採用し、最小限の加工を施すことで、上述した課題を解決するに到った。以下、本件発明に関して説明する。
【0018】
本件発明に係る転がり軸受: 本件発明に係る転がり軸受は、円筒形状部材の周壁の周方向に転動体を収容するポケットを所定の間隔で複数有する保持器を用いた転がり軸受であって、当該保持器は、金属粉末射出成形により一体的に形成され、当該ポケットに備わる当該転動体の収容領域に、転動体脱落防止構造を備えたことを特徴とするものである。
【0019】
本件発明に係る転がり軸受において、前記転動体脱落防止構造は、前記保持器の外周面から径方向中心に向けて前記収容領域の外縁部に圧縮塑性加工を施して形成されたものであることが好ましい。
【0020】
本件発明に係る転がり軸受において、前記転動体脱落防止構造は、前記保持器の外周面から径方向外方に向けて突出した突起部分に塑性曲げ加工を施して形成されたものであることが好ましい。
【0021】
本件発明に係る転がり軸受において、前記転動体脱落防止構造は、前記保持器に突設される転動体係止部により前記転動体を係止するものであり、当該転動体係止部は、当該保持器が有するポケットにおいて前記周壁の内周面側と外周面側とのそれぞれに当該保持器から連接配置されたものであり、且つ、当該転動体の回転軸と当該保持器の軸心を含む面に対して略面対称となる位置に対をなして配置され、更に、当該転動体係止部が、当該転動体の軸を挟んで互いに対をなす相手側方向に向かって突出して形成されたものであることが好ましい。
【0022】
また、本件発明に係る転がり軸受において、前記転動体係止部は、転動体を前記保持器のポケットに収容させた後に、当該保持器に塑性加工を施して形成されたものであることも好ましい。
【0023】
また、本件発明に係る転がり軸受において、前記転動体係止部は、転動体を前記保持器のポケットに収容させる前に、当該保持器に塑性加工を施して形成されたものであることも好ましい。
【0024】
本件発明に係る転がり軸受において、前記転動体が針状ころであることが好ましい。
【0025】
本件発明に係る転がり軸受の製造方法: 本件発明に係る前記転がり軸受の製造方法は、前記保持器に備わる転動体脱落防止構造が、その形成にスライド型が用いられることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本件発明に係る転がり軸受は、当該転がり軸受を構成する保持器が、金属射出成形、特に金属粉末射出成形により一体的に形成され、且つ転動体脱落防止構造を備えたものである。この結果、本件発明に係る転がり軸受によれば、軸受としての性能の向上が図られ、且つ、転がり軸受の製造に要する工程数を減少させることで製造コストの削減も図ることが可能となるため、高品質でコストパフォーマンスに優れた転がり軸受を提供することが可能となる。
【0027】
また、本件発明に係る転がり軸受の製造方法は、当該転がり軸受の転動体脱落防止構造の形成に、スライド型を用いるものである。従って、本件発明の製造方法によれば、従来のプレス打ち抜き加工による製造方法を採用した場合における、打ち抜き面の返りとだれを発生させることがないため、高い精度での形状の形成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本件発明に係る転がり軸受の一実施形態における斜視図である。
【図2】図1に示す転がり軸受における、本件発明の転動体脱落防止構造の形状と形成過程を説明するための要部断面図である。
【図3】本件発明に係る転がり軸受の別の実施形態における斜視図である。
【図4】図3に示す転がり軸受における、本件発明の転動体脱落防止構造の形状と形成過程を説明するための要部断面図である。
【図5】本件発明に係る転がり軸受の別の実施形態において、図3と異なる形態を示す斜視図である。
【図6】図5に示す転がり軸受における、本件発明の転動体脱落防止構造の形状と形成過程を説明するための要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本件発明に係る転がり軸受及び転がり軸受の製造方法のそれぞれの好ましい実施の形態について以下に説明する。
【0030】
本件発明に係る転がり軸受の形態: 本件発明に係る転がり軸受は、円筒形状部材の周壁の周方向に、転動体である転動体を収容するポケットを、所定の間隔で複数有する保持器を用いたものである。そして、当該保持器は、金属粉末射出成形により一体的に形成され、当該ポケットに備わる当該転動体の収容領域に、転動体脱落防止構造を備えたことを特徴としたものである。
【0031】
図1は、本件発明に係る転がり軸受の一実施形態における斜視図である。なお、図1は、転がり軸受の種類の内、所謂針状ころ軸受について例示したものである。また、図1に例示する保持器2は、転動体脱落防止構造を備える前の形態を示したものである。この図に示すように、転がり軸受(針状ころ軸受)1は、針状ころ軸受用保持器2と転動体(針状ころ)6とからなり、当該保持器2の円筒形状部材の周壁3の周方向に、転動体である転動体(針状ころ)6を収容するポケット4を備えている。すなわち、本件発明に係る転がり軸受の形態として図1に例示する針状ころ軸受1は、針状ころ軸受(Needle roller bearings)の種類の中でも、所謂保持器付針状ころ(Needle roller and cage assemblies)に相当するものである。当該針状ころ軸受1は、特に自動車における、オートマチックトランスミッション(AT)や、エンジンの重要な部品として需要が拡大している。
【0032】
上述したように、本件発明に係る転がり軸受を構成する保持器は、金属射出成形、特に金属粉末射出成形により一体的に形成されるものである。当該保持器は、その形成に際し、金属粉末射出成形技術を採用することで、従来のプレス加工品のものと比して、より精密な形状の転がり軸受用保持器を提供することができる。その理由を以下に述べていく。
【0033】
まず、最初に金属射出成形に関して簡単に説明する。金属射出成形(MIM:Metal Injection Molding)とは、金属部品を最終部品形状に近い形状で直接製造する技術であり、「金属塊を原料とする方法」と「金属粉末を原料とする方法」とに分けられる。前者は、金属塊を溶融又は半溶融状態で金型に流入させて形成する技術である。しかし、本件発明に係る転がり軸受を製造するにあたっては、今回は、後者の金属粉末射出成形技術といわれる、金属粉末と樹脂及びワックス等(バインダ:結合剤)を混合・混練させたものを金型内に吹き込んで形成する技術を採用した。
【0034】
本件発明における金属粉末射出成形は、金属粉末と有機バインダ等とを混合・混練したものを金型内に射出する。射出方式としては、一般的にインラインスクリュ式(以下、スクリュ方式と称する。)を採用することが好ましい。このスクリュ方式とは、金属粉末と有機バインダ等とを混合・混練したものを樹脂溶融温度近傍で加熱して、溶融化(可塑化)させながら溶融樹脂と金属粉末との混合物とし、連続回転するスクリュの後退によって当該混合物を射出成形機のシリンダ内に充填し、その後、スクリュの前進挙動によって高圧状態とし、高速で金型内に当該混合物を射出する方式のものである。このスクリュ方式により、金型内に射出させた溶融樹脂と金属粉末との混合物を冷却して固化させた成形品を、更に脱脂(バインダの除去)し、焼結して製品とする。
【0035】
なお、金属粉末射出成形技術の特徴として、(1)形状の自由度が大きい、(2)材料の自由度が大きい、(3)寸法精度が高い、(4)機械的強度が高い、(5)多様な後処理が可能、(6)大量生産に適している、(7)優れたコストメリット等が挙げられる。これらの特徴に関して以下に述べていく。
【0036】
上述した(1)の特徴は、金属粉末射出成形技術における、要求される製品形状に極めて近い形状のものを、安定して一体的に形成することが可能という特性から得られるメリットである。よって、金属粉末射出成形技術によれば、部品点数の削減が図られ、後加工を省略することが可能となる。また、金属粉末射出成形技術は、射出成形時に発生する製品以外のランナーやスプルーを粉砕して再利用ができることから材料歩留りも100%近くとなり、省資源型の製法である。従って、金属粉末射出成形技術によれば、従来の製法に比べて材料費を抑えることができる。
【0037】
上述した(2)の特徴は、金属粉末射出成形技術における、原則として微細化された金属粉であれば部品化が可能という特性から得られるメリットである。よって、金属粉末射出成形技術によれば、特に、難加工性材料の部品化や高融点金属の製品化に威力を発揮することができる。
【0038】
上述した(3)の特徴は、金属粉末射出成形技術における、製品の寸法形状について通常のプレス成形による粉末冶金法と同等以上の高精度を得ることが可能という特性から得られるメリットである。なお、金属粉末射出成形技術は、工程の改善により、さらに高精度の寸法形状の製品を得ることが可能である。
【0039】
上述した(4)の特徴は、金属粉末射出成形技術における、焼結性の良い微細な粉末を使用し、射出成形する製法により、充填密度や成形時の圧力分布が均一となり、脱バインダと焼結とを比較的低い温度で行えると同時に、均一な高密度焼結が可能という特性から得られるメリットである。よって、金属粉末射出成形技術によれば、通常のプレス成形による粉末冶金法を用いた場合と比べ、高密度(相対密度95%以上)且つ高強度の製品を得ることが可能となる。
【0040】
上述した(5)の特徴は、金属粉末射出成形技術における、一般的な熱処理を始め、めっき等による表面処理も、溶製材の場合と同様に施すことが可能という特性から得られるメリットである。よって、金属粉末射出成形技術によれば、要求特性に合わせた表面改質を比較的自由に行うことが可能となる。
【0041】
上述した(6)の特徴は、金属粉末射出成形技術における、金型を用いての射出成形により連続製造が可能であるという特性から得られるメリットである。よって、金属粉末射出成形技術によれば、生産性が高く、大量生産が可能となる。
【0042】
上述した(7)の特徴は、金属粉末射出成形技術における、最終製品の形状に極めて近い形状を金型で形成することで直接得ることが可能であるという特性から得られるメリットである。よって、金属粉末射出成形技術によれば、製造コストの大幅な削減が可能となる。この結果、製造コストの削減ができた分のコストで接合による部品の複合化を図る等の別途工程を設けたとしても、製品コストパフォーマンスは良好になる。
【0043】
次に、本件発明の保持器が備える転動体脱落防止構造に関して説明していく。本件発明の保持器に備わる転動体脱落防止構造は、転動体の脱落を確実に防止するために、当該保持器が有するポケットが所謂アンダーカット形状を備えるものである。すなわち、本件発明に係る転がり軸受は、保持器が金属射出成形技術を採用することにより一体的に形成されるものであって、当該保持器が有するポケットがアンダーカット形状を備えるものである。
【0044】
本件発明に係る転がり軸受は、転動体脱落防止構造が保持器の外周面から径方向中心に向けて転動体収容領域の外縁部に圧縮塑性加工を施して形成されることが好ましい。ここで言う、圧縮塑性加工とは、当該保持器の外周面に対して略垂直方向に圧縮力を加えることで、当該保持器を塑性変形させる加工である。
【0045】
図2は、図1に示す転がり軸受における、本件発明の転動体脱落防止構造の形状と形成過程を説明するための要部断面図である。ここで、図2の上側には、本件発明の保持器に備わる転動体脱落防止構造がアンダーカット形状を有する前の要部断面図が示され、図2の下側には、本件発明の保持器に備わる転動体脱落防止構造がアンダーカット形状を有した後の要部断面図が示されている。このように、図2には、本件発明の保持器2の外周面から径方向中心に向けて当該収容領域の外縁部に圧縮塑性加工を施して、ポケット4にアンダーカット形状を有する転動体脱落防止構造を備える過程が例示されている。図2に例示するように、本件発明の保持器2に備わる転動体脱落防止構造は、当該保持器2が有するポケット4近傍の外周面から、径方向中心に向けて鋭角な略三角形の断面を呈した形状の先端部分を食い込ませるような圧縮塑性加工を施すことで形成することができる。
【0046】
また、本件発明に係る転がり軸受は、転動体脱落防止構造が保持器の外周面から径方向外方に向けて突出した突起部分に塑性曲げ加工を施して形成されることも好ましい。ここで言う、塑性曲げ加工とは、当該突起部分に曲げ変形を付与して所定の角度に塑性変形させる加工である。
【0047】
図3は、本件発明に係る転がり軸受の別の実施形態における斜視図である。なお、図3は、図1と同様に、転がり軸受の種類の内、所謂針状ころ軸受について例示したものである。また、図3に例示する保持器12は、転動体脱落防止構造を備える前の形態を示したものである。図3に示すように、転がり軸受(針状ころ軸受)11は、針状ころ軸受用保持器12と転動体(針状ころ)16とからなり、当該保持器12の円筒形状部材の周壁13の周方向に、転動体である転動体(針状ころ)16を収容するポケット14を備えている。
【0048】
図4は、図3に示す転がり軸受における、本件発明の転動体脱落防止構造の形状と形成過程を説明するための要部断面図である。図4には、本件発明の保持器12の外周面から径方向外方に向けて突出した突起部分15cに塑性曲げ加工を施して、ポケット14にアンダーカット形状を有する転動体脱落防止構造を備える過程が例示されている。図4に例示するように、本件発明の保持器12が備える転動体脱落防止構造は、当該保持器12が有するポケット14近傍の外周面から、径方向外方に向けて突出した突起部分15cに塑性曲げ加工を施すことで形成することができる。
【0049】
なお、図3及び図4には、図1及び図2に示した転がり軸受1と異なる形態を別の実施形態として示したが、本件発明に係る転がり軸受の別の実施形態は、図3及び図4に示した形態に限定されるものではない。例えば、保持器12の外周面から径方向外方に向けて突出した突起部分15cは、図3及び図4に示す形状と異なる形状にすることができる。
【0050】
図5は、本件発明に係る転がり軸受の別の実施形態において、図3と異なる形態を示す斜視図である。また、図6は、図5に示す転がり軸受における、本件発明の転動体脱落防止構造の形状と形成過程を説明するための要部断面図である。ここで、図3及び図4に示す転がり軸受と、図5及び図6に示す転がり軸受とは、特に保持器12の外周面から径方向外方に向けて突出した突起部分15cの形状(厚み)が相違するものである。このように、本件発明に係る転がり軸受は、当該突起部分15cの形状を、保持器12の材質や用途に合わせて適当な形状にすることができる。なお、図5及び図6に示す、転がり軸受11は、突起部分15cの形状を除き、図3及び図4に示す転がり軸受と基本的な形態が共通するため、その説明を省略する。
【0051】
本件発明に係る転がり軸受は、転動体脱落防止構造が保持器に突設される転動体係止部により前記転動体を係止するものである。当該転動体係止部は、保持器が有するポケットにおいて周壁の内周面側と外周面側とのそれぞれに当該保持器から連接配置されたものであり、且つ、当該転動体の回転軸と当該保持器の軸心を含む面に対して略面対称となる位置に対をなして配置され、更に、当該転動体係止部が、当該転動体の軸を挟んで互いに対をなす相手側方向に向かって突出して形成されることが好ましい。
【0052】
ここで言う、転動体係止部とは、本件発明の保持器が金属射出成形により成形後、当該保持器が有するポケットがアンダーカット形状となるよう形成されるものである。図2に示すように、本件発明に係る転がり軸受の一実施形態においては、保持器2のポケット4近傍の外周面から径方向中心に向けて圧縮塑性加工を施すことで転動体係止部15bが形成される。また、図4及び図6に示すように、本件発明に係る転がり軸受の別の実施形態においては、保持器12のポケット4近傍の外周面から径方向外方に向けて突出した突起部分15cに塑性曲げ加工を施すことで転動体係止部15bが形成される。
【0053】
なお、図1〜図6に示されるように、本件発明の保持器2、12は、周壁3、13の外周面側に形成される転動体係止部5b、15bの他、周壁3、13の内周面側にも転動体係止部5a、15aを連接配置することで、転動体6、16の脱落防止を図るものである。そして、図1〜図6に示すように、転動体係止部5a、5b、15a、15bは、当該転動体6、16の回転軸と当該保持器2、12の軸心を含む面に対して略面対称となる位置に対をなして配置されるものである。更に、本件発明の保持器2、12は、当該保持器に突設される転動体係止部5a、5b、15a、15bが、当該保持器2、12に収容された転動体6、16の軸を挟んで互いに対をなす相手側方向に向かって突出することで、所謂アンダーカット形状を形成することができる。
【0054】
このように、本件発明の保持器2、12に備わる転動体脱落防止構造は、転動体係止部5a、5b、15a、15bが共に、転動体6、16の軸を挟んで互いに対をなす相手側方向に向かって突出して設けられることで、転動体6、16の脱落を確実に防止するものである。また、本件発明の保持器2、12は、転動体係止部5a、5b、15a、15bが当該保持器に一体的に形成されるため、例えば当該転動体係止部に相当する部材を接続加工により後付けされた保持器と比較して、保持器2、12の耐久性(強度)を向上させることができる。
【0055】
以上、図1〜図6を示して本件発明の保持器2、12に備わる転動体脱落防止構造について説明してきたが、当該転動体脱落防止構造を形成する転動体係止部5a、5b、15a、15bは、これら図に示される数や配置位置に限定されるものではない。すなわち、本件発明の保持器2、12に形成される転動体係止部5a、5b、15a、15bの数や配置位置は、転がり軸受1、11の用途等に応じて任意に設定することができる。
【0056】
上述したように、本件発明の保持器2、12は、転動体係止部5b、15bの形成において、転動体6、16の軸を挟んで互いに対をなす相手側方向に向かって突出させることで、当該保持器が有するポケット4、14が所謂アンダーカット形状となり、転動体脱落防止構造を備えることとなる。すなわち、本件発明に係る転がり軸受1、11は、保持器2、12を金属射出成形により成形後、最小限の二次工程により転動体を収容するポケット4、14の内面形状に、所謂アンダーカット形状を有した転動体脱落防止構造を備えるものである。ちなみに、図3〜図6に示す転動体係止部15bについては、上述したスライド型にてポケット14を形成する際に、合わせ型により形成することが、生産の高効率化及び低コスト化を図る上で好ましい。
【0057】
そして、本件発明の保持器2、12は、金属粉末射出成形による成形品を焼結後、又は熱処理後に、必要に応じてポケット4、14の内面に研磨等の加工を施しても良い。このように、保持器2、12は、ポケット4、14の内面に研磨等の加工を施すことで、ポケット4、14内面の平滑度を更に向上させることができ、当該保持器に収容される転動体6、16との間の摩擦抵抗をより小さくすることができる。
【0058】
本件発明に係る転がり軸受1、11は、当該転がり軸受を構成する保持器2、12に形成される転動体係止部5b、15bが、転動体6、16を当該保持器のポケット4、14に収容させた後に、当該保持器2、12に塑性加工を施して形成されたものであることも好ましい。
【0059】
ここで、本件発明に係る転がり軸受1、11は、転動体6、16を当該転がり軸受を構成する保持器2、12のポケット4、14に収容させた後に、当該保持器2、12を加工により塑性変形させて転動体係止部5b、15bを形成することで、生産の高効率化を図ることができる。従って、本件発明に係る転がり軸受1、11は、転動体6、16が脱落するのを防止する構造を備えた転がり軸受を、低コストで実現したものである。
【0060】
また、本件発明に係る転がり軸受1、11は、当該転がり軸受を構成する保持器2、12に形成される転動体係止部5b、15bが、転動体6、16を当該保持器のポケット4、14に収容させる前に、当該保持器2、12に塑性加工を施して形成されたものであることも好ましい。
【0061】
本件発明に係る転がり軸受1、11の転動体脱落防止構造は、転動体6、16を当該転がり軸受を構成する保持器2、12のポケット4、14に収容させた後に、転動体係止部5b、15bを形成するものに限定されない。ちなみに、転動体6、16を当該保持器2、12のポケット4、14に収容させた後に、当該保持器2、12を塑性変形させて転動体係止部5b、15bを形成する場合、使用する設備や設定する製造条件によっては稀れに当該転動体6、16にキズ等が発生することがある。このような場合において、本件発明の保持器2、12は、転動体6、16を収容する前に、当該保持器2、12に塑性加工を施して転動体係止部5b、15bを形成することで、上述の不具合が発生するのを防止して製品の品質を安定させることができる。
【0062】
上述したように、本件発明に係る転がり軸受1、11は、その製造に際し金属粉末射出成形技術を採用することを前提としている。そして、本件発明に係る転がり軸受1、11の転動体脱落防止構造は、保持器2、12に最小限の塑性加工を施して転動体係止部5b、15bを、当該保持器2、12に収容される転動体6、16を挟んで互いに対をなす相手側方向に向かって突出させて形成することによって、所謂アンダーカット形状を備えるものである。更に、本件発明に係る転がり軸受1、11を構成する保持器2、12は、金属粉末射出成形技術により成形されることで、従来の帯状部材を加工して製造するような保持器と比較して、複雑な形状をより高精度且つ少ない加工工程数で形成することができる。従って、本件発明の保持器2、12によれば、その製造に際し、従来の保持器に比べて保持器のフォーム成形時において同時に加工できるため、加工工程数の削減が図られ、製品の形状も高い精度のものが安定して得られて歩留まりの向上も図ることができる。この結果、金属粉末射出成形技術を採用した場合の設備の導入に伴うコストは、製品の量産化移行によって短期間で回収することが可能である。
【0063】
なお、転がり軸受の設計要求としては、(a)長寿命であること、(b)低トルクであること、(c)高速回転性に優れること等が挙げられる。転がり軸受は、長寿命であることで交換作業の頻度を減らし、低トルクであることで発生熱量や回転に使うエネルギーを少なくし、また、高速回転性に優れることで機械の性能向上に寄与することができる。この点、本件発明に係る転がり軸受1、11は、高精度の寸法形状で当該保持器を形成可能であることから、起動抵抗が小さく、動力損失が少なく、摩耗が少ない等のメリットを有するため、上述した設計要求に応えることができる。また、本件発明に係る転がり軸受1、11は、当該ポケット4、14を高精度に一定間隔の距離をおいてバランス良く配置可能であるため、転がり軸受の相手接触部材に対する接圧力を均一にし、摩擦抵抗を極力低減させることができる。
【0064】
また、本件発明に係る転がり軸受1、11は、転動体6、16が針状ころであることが好ましい。転動体6、16が針状ころの所謂針状ころ軸受は、内輪と外輪の直径差が小さいため負荷容量が高く、同じサイズの滑り軸受(例えば転動体が玉の所謂玉軸受等)と比較してより過酷な環境での使用が可能となる。すなわち、所謂針状ころ軸受は、機械全体をダウンサイジングすることができ、高負荷にも耐えうる機械要素部品であるため、内燃機関等に好適に用いることができる。
【0065】
本件発明に係る転がり軸受の製造形態: 本件発明に係る転がり軸受1、11の製造方法は、当該転がり軸受を構成する保持器2、12に備わる転動体脱落防止構造が、その形成にスライド型が用いられるものである。
【0066】
本件発明の保持器2、12に形成されるポケット4、14は、金属射出成形技術の中での射出成形用金型におけるブレードと称する型(スライド型)を製品取りだし前に抜き取ることにより形成されることとなる。なお、金属射出成形時において、金型の開閉動作と連動してスライドコアをスライドさせて処理をすることで、アンダーカット形状の成形品を得ることは可能である。しかし、金属射出成形による成形加工と同時にアンダーカット形状を形成するためには、型が複雑となることで製造コストの増大を招いてしまう。従って、本件発明の保持器2、12が備える転動体脱落防止構造は、最終的に、焼結後の精度確保のためのサイジング工程で同時にアンダーカット形状を形成することとしている。すなわち、図1〜図6に示す、保持器2、12は、その外周面側の転動体係止部5b、15bに最小限の二次工程を施すことで、ポケット4、14にアンダーカット形状を備えるものである。
【0067】
なお、本件発明に係る転がり軸受の製造方法は、スライド型を採用することで、プレス打ち抜き加工に比べて加工工程の数を少なくすることができ、また、プレス打ち抜き加工に伴い発生する打ち抜き面の返りとだれをなくすことができるため、高い精度での形状の形成が可能となる。この結果、本件発明に係る転がり軸受の製造方法によれば、従来のプレス打ち抜き加工による製造方法を採用した場合と比較して、製品歩留まりの向上及び製造コストの削減を図ることができる。また、本件発明の転動体6、16が針状ころの場合、金属粉末射出成形技術と所謂針状ころ軸受との双方が有する特徴を活かして、幅広い分野の機械部品に好適に用いることができる。
【0068】
以上より、本件発明に係る転がり軸受によれば、当該転がり軸受を構成する保持器が金属射出成形、特に金属粉末射出成形により一体的に形成され、且つ転動体脱落防止構造を備えることで、軸受としての性能の向上を図ることができる。また、本件発明に係る転がり軸受の製造方法によれば、転がり軸受の製造に要する工程数を減少させて製造コストの削減を図ることができると共に、高品質の転がり軸受を提供することができる。なお、実施形態において、転がり軸受をラジアル軸受で示したが、本件発明に係る転がり軸受は、これに限定されるものではなく、例えばスラストタイプの転がり軸受であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本件発明に係る転がり軸受は、選択できる材質の自由度が大きく、低コストで高品質であるため、あらゆる環境下において使用が可能であり、自動車や家電製品、OA機器等の様々な部分に好適に用いることが可能となる。
【符号の説明】
【0070】
1、11 転がり軸受
2、12 保持器
3、13 周壁
4、14 ポケット
5a、15a 転動体係止部(周壁内周面側)
5b、15b 転動体係止部(周壁外周面側)
6、16 転動体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状部材の周壁の周方向に転動体を収容して保持するポケットを所定の間隔で複数有する保持器を用いた転がり軸受であって、
当該保持器は、金属粉末射出成形により一体的に形成され、
当該保持器は、当該転動体の収容領域を備え、当該収容領域に転動体脱落防止構造を備えたことを特徴とする転がり軸受。
【請求項2】
前記転動体脱落防止構造は、前記保持器の外周面から径方向中心に向けて前記収容領域の外縁部に圧縮塑性加工を施して形成したものである請求項1に記載の転がり軸受。
【請求項3】
前記転動体脱落防止構造は、前記保持器の外周面から径方向外方に向けて突出した突起部分に塑性曲げ加工を施して形成したものである請求項1に記載の転がり軸受。
【請求項4】
前記転動体脱落防止構造は、前記保持器に突設される転動体係止部により前記転動体を係止するものであり、
当該転動体係止部は、当該保持器が有するポケットにおいて前記周壁の内周面側と外周面側とのそれぞれに当該保持器から連接配置されたものであり、且つ、当該転動体の回転軸と当該保持器の軸心を含む面に対して略面対称となる位置に対をなして配置され、
更に、当該転動体係止部が、当該転動体の軸を挟んで互いに対をなす相手側方向に向かって突出して形成されたものである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の転がり軸受。
【請求項5】
前記転動体係止部は、転動体を前記保持器のポケットに収容させた後に、当該保持器に塑性加工を施して形成されたものである請求項1〜請求項4のいずれかに記載の転がり軸受。
【請求項6】
前記転動体係止部は、転動体を前記保持器のポケットに収容させる前に、当該保持器に塑性加工を施して形成されたものである請求項1〜請求項4のいずれかに記載の転がり軸受。
【請求項7】
前記転動体が針状ころである請求項1〜請求項6のいずれかに記載の転がり軸受。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の転がり軸受の製造方法であって、
前記保持器の転動体脱落防止構造は、その形成にスライド型が用いられることを特徴とする転がり軸受の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−247286(P2011−247286A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117746(P2010−117746)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(390022806)日本ピストンリング株式会社 (137)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】