説明

転写ローラ、転写装置および画像形成装置

【課題】 表面層のクラックを防止し、記録体の裏汚れのない良好な画像形成を実現できる電子写真用の転写ローラと、これを備えた転写装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】 中間転写ベルト10の表面に当接するように配置され表面移動する二次転写ローラ23を有し、中間転写ベルト10と二次転写ローラ23との間に転写紙を挟持した状態で中間転写ベルト10上のトナー像を転写紙上に転写する転写装置で、二次転写ローラ23の表面層23cのビッカース硬度を0.5以上、2.0以下、弾性比を、0.15以上、0.6以下、層厚を10[μm]以上、50[μm]以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置、並びにその画像形成装置に用いる転写ローラ及び転写装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の転写ローラとして、像担持体である中間転写ベルトとの間に紙やOHPシートなどの記録体を挾持した状態で、中間転写ベルトの表面上に形成されたトナー像を記録体に転写する二次転写ローラがある。そして、二次転写ローラとしては、ローラ形状を維持するための芯金を備え、この芯金の外周に機能が異なる下部層と最上層とを備えている。二次転写ローラの最上層は、ローラ表面を形成し、ローラ表面のクリーニング性の向上、当接する中間転写ベルトとの線速差が中間転写ベルトの駆動に影響することを防止、等のためにローラ表面の摩擦係数の低減を図ることができる材料からなる表面層となっている。一方、下部層は、中間転写ベルトとの当接部で二次転写ニップを形成するために弾性体からなる弾性層となっている。表面層の主な材料としては、ローラを形成したときに低摩擦係数となる、ある程度の硬度を持った樹脂が使用され、弾性層の主な材料としてはゴムが使用されることが一般的である。このような芯金の外周に弾性層と表面層とを備えた二次転写ローラとしては特許文献1に記載のものがある。
【0003】
【特許文献1】特許第3139342号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述したような弾性層と表面層とを備えた構成の既存の転写ローラを使用した場合、使用初期では良好な画像形成を行うことができても、使用し続けると画像を形成した記録体の裏面にトナーが付着する、裏汚れが発生する場合があった。この裏汚れは二次転写ローラの表面に付着したトナーを除去する二次転写ローラクリーニングブレードを備える構成であっても発生した。
このような使用し続けることで発生する裏汚れについて本発明者らが鋭意研究を行ったところ、次のようなことが分かってきた。即ち、二次転写ローラの表面にクラック(ひび割れ)が発生し、このクラックが経時で次第に大きくなり、トナーの粒径よりも大きなものになると、割れた隙間にトナーが入り込むことでクリーニングブレードをすり抜け記録体の裏汚れが発生する。よって、裏汚れを発生させるほどの大きさのクラックが発生すると二次転写ローラを交換する必要がある。
【0005】
このクラックが発生する原因としては以下のことが考えられる。
即ち、二次転写ローラは中間転写ベルトから記録体への転写効率を高めるために中間転写ベルトとの対向部で二次転写ニップを形成する必要があり、二次転写ローラと中間転写ベルトを挟んで対抗する転写対向ローラとの間に大きな圧力をかけ、二次転写ローラを変形させて使用する。二次転写ニップでの変形量が弾性層は弾性変形の範囲内であるが、表面層はある程度硬度を持ち弾性層に比して硬い樹脂材料を用いているため弾性層よりも弾性変形の範囲が狭く、二次転写ニップでの変形量が弾性変形の範囲を越えて塑性変形する場合がある。二次転写ニップを通過後の表面層は、塑性変形した分の変形もその変形量が弾性変形の範囲内であった弾性層の復元力によって押し上げられてほぼ元の形状となる。このとき、二次転写ローラが回転することで表面層は塑性変形するほどの荷重を繰り返し加えられることになり、この繰り返し荷重による疲労破断としてクラックが発生する。
塑性変形する繰り返し荷重による疲労破断は短期間で発生しやすい。そして、裏汚れを発生させるほどの大きさのクラックが発生する度に二次転写ローラを交換する必要があるため、短期間で交換しなければならず、ランニングコストが高いものになってしまう。
【0006】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、表面層のクラックを防止し、記録体の裏汚れのない良好な画像形成を実現できる電子写真用の転写ローラと、これを備えた転写装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、像担持体の表面に当接するように配置された表面移動する転写部材を有し、該像担持体と該転写部材との間に記録体を挟持した状態で該像担持体上のトナー像を該記録体へ転写する転写装置に用いられ、ローラ体と該ローラ体の回転軸とを備える該転写部材としての転写ローラにおいて、該ローラ体は、芯金と、該芯金の外周に設けた弾性層と、該弾性層の外周で該ローラ体の表面を形成する表面層とを有し、該表面層は、ビッカース硬度が0.5以上、2.0以下、弾性比が、0.15以上、0.6以下、層厚が10[μm]以上、50[μm]以下であることを特徴とするものである。
但し、弾性比は、物体に外力を加えて物体を変形させたときの外力が行った仕事量を全仕事量、物体を変形させた後に外力をなくして物体がその弾性力によって変形量が減少したときの物体の弾性力が行った仕事量を弾性仕事量としたとき、弾性仕事量の全仕事量に対する比である。
また、請求項2の発明は、像担持体の表面に当接するように配置された表面移動する転写部材を有し、該像担持体と該転写部材との間に記録体を挟持した状態で該像担持体上のトナー像を該記録体へ転写する転写装置に用いられ、ローラ体と該ローラ体の回転軸とを備える該転写部材としての転写ローラにおいて、該ローラ体は、芯金と、該芯金の外周に設けた弾性層と、該弾性層の外周で該ローラ体の表面を形成する表面層とを有し、該表面層は、ビッカース硬度が0.5以上、2.0以下、弾性比が、0.1以上、0.6以下、層厚が15[μm]以上、50[μm]以下であることを特徴とするものである。
但し、弾性比は、物体に外力を加えて物体を変形させたときの外力の仕事量を全仕事量、物体を変形させた後に外力をなくし物体がその弾性力によって変形量が減少したときの物体の弾性力の仕事量を弾性仕事量としたときの弾性仕事量の全仕事量に対する比である。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の転写ローラにおいて、上記表面層は、フッ素樹脂からなることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の転写ローラにおいて、上記表面層の表面の摩擦係数は、0.4以下であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の転写ローラにおいて、上記弾性層のJIS−A硬度が40[°]以上、70[°]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、像担持体上に形成されたトナー像を、該像担持体と転写部材との間に記録体を挟持した状態で該像担持体上のトナー像を該記録体へ転写する転写装置において、該転写部材として、請求項1、2、3、4または5の転写ローラを用いることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の転写装置において、上記像担持体は複数の張架部材によって張架されて無端移動する像担持ベルトであり、上記転写ローラが該像担持ベルトの表面に当接する位置で該転写ローラに対して該像担持ベルトを挟んで対抗する転写対向ローラを備え、該転写対向ローラの硬度が該転写ローラの硬度よりも低い硬度であることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項6または7の転写装置において、上記像担持体は複数の張架部材によって張架されて無端移動する像担持ベルトであり、上記転写ローラが該像担持ベルトの表面に当接する位置で該転写ローラに対して該像担持ベルトを挟んで対抗する転写対向ローラを備え、該転写対向ローラは両端部の径に比べて中央部の径の方が大きい太鼓形状であることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項7または8の転写装置において、上記転写対向ローラは、発泡ゴムからなることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項6、7、8または9の転写装置において、上記像担持体は、静電潜像が形成される潜像担持体と対向し、該潜像担持体上に形成されたトナー像を一次転写される中間転写体であり、上記転写ローラは、該中間転写体の表面に当接するように配置された表面移動する二次転写ローラであることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項6、7、8、9またはまたは10の転写装置において、上記転写ローラの表面をクリーニングする転写ローラクリーニング手段を備えることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項6、7、8、9、10または11の転写装置において、上記転写ローラの表面上に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項12の転写装置において、上記潤滑剤塗布手段は上記潤滑剤を固形化した固形潤滑剤を備え、上記転写ローラに該固形潤滑剤を直接接触させることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項12の転写装置において、上記潤滑剤塗布手段は上記潤滑剤を収容する潤滑剤収容部と弾性体からなる潤滑剤塗布部材とを備え、該潤滑剤収容部から潤滑剤塗布部材を介して上記転写ローラの表面に潤滑剤を塗布することを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項12、13または14の転写装置において、上記潤滑剤はステアリン酸亜鉛であることを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、静電潜像が形成される潜像担持体と、該潜像担持体上の該静電潜像を現像してトナー像とする現像手段と、該潜像担持体上に形成されたトナー像を記録体に転写する転写手段と、トナー像が転写された記録体上にトナー像を定着させる定着手段とを有する画像形成装置において、該転写手段として、請求項6、7、8、9、10、11、12、13、14または15の転写装置を備えることを特徴とするものである。
【0008】
本発明者らの鋭意研究により、転写ローラの表面層としては、ビッカース硬度が高ければ高いほど、その層厚が薄ければ薄いほど、弾性比が低ければ低いほどクラックが発生し易いことが分かった。
上記請求項1に記載の構成を備えた転写ローラにおいては、表面層の層厚が10[μm]以上で、弾性比を0.15以上、ビッカース硬度を2.0以下とすることにより、表1を用いて後述する本発明者らの実験の結果、所定の枚数の画像形成を行う間、クラックの発生を抑制し、裏汚れの発生を抑制することができることが分かった。
また、上記請求項2に記載の構成を備えた転写ローラにおいては、表面層の層厚が15[μm]以上で、弾性比を0.10以上、ビッカース硬度を2.0以下とすることにより、表1を用いて後述する本発明者らの実験の結果、クラックの発生を抑制し、裏汚れの発生を抑制することができることが分かった。
なお、ビッカース硬度が低い材料や弾性比が高い材料は、その表面の摩擦係数が高くなる傾向がある。転写ローラの摩擦係数が大きくなると、トナーが付着しやすくなるだけでなく、クリーニングブレードとの摩擦係数が大きくなりクリーニング性の悪化、ブレード巻きこみ等の不具合が発生する。この点を鑑みると、ビッカース硬度は0.5以上、弾性比は0.6以下とすることが実用的な範囲である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1乃至16の発明によれば、転写ローラの表面層のクラックに起因する裏汚れの発生を抑制することができるため、記録体の裏汚れのない良好な画像形成を実現できるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明をタンデム型のカラー画像形成装置に適用した実施形態について説明する。
図1は、実施形態にかかる画像形成装置としての複写機の概略構成図である。この複写機は、複写装置本体(以下、プリンタ部100という)、給紙テーブル(以下、給紙部200という)、プリンタ部100上に取り付けるスキャナ(以下、スキャナ部300という)、スキャナ部300上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)(以下、原稿搬送部400という)からなっている。
【0011】
プリンタ部100は、その中央に像担持体である中間転写体としての無端ベルト状の中間転写ベルト10を備えている。中間転写ベルト10は、第一支持ローラ14、第二支持ローラ15及びバックアップローラ16に掛け回され、図中時計回りに表面移動可能となっている。そして、中間転写ベルト10に対向するように、表面にブラック・イエロー・マゼンタ・シアンのうちの1色のトナー像をそれぞれ担持する潜像担持体としての4つの感光体ドラム40K、40Y、40M、40Cを備えている。4つの感光体ドラム40K、40Y、40M、40Cの表面にトナー像を形成するための現像ユニット61K、61Y、61M、61Cを備えている。更に、一次転写後の感光体ドラム40K、40Y、40M、40C表面に残留しているトナーを除去する感光体クリーニング装置63K、63Y、63M、63Cも備えている。4つの感光体ドラム40K、40Y、40M、40C、現像ユニット61K、61Y、61M、61C、そして、感光体クリーニング装置63K、63Y、63M、63Cからなる4つの画像形成ユニット18K、18Y、18M、18Cを横に並べて配置してタンデム画像形成ユニット20が構成する。また、第二支持ローラ15と中間転写ベルト10を挟んで対向するように、トナー像を記録体としての転写紙上に転写した後の中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去するベルトクリーニング装置17を備えている。また、プリンタ部100は、タンデム画像形成ユニット20の上方に露光装置21を備えている。
【0012】
また、中間転写ベルト10の内側で各感光体ドラム40K、40Y、40M、40Cと中間転写ベルト10を挟んで対向する位置には、一次転写ローラ62K、62Y、62M、62Cを備えている。一次転写ローラ62K、62Y、62M、62Cは中間転写ベルト10を挟んで感光体ドラム40K、40Y、40M、40Cに押し当てて設けられ、一次転写部を形成している。
【0013】
一方、中間転写ベルト10を挟んでタンデム画像形成ユニット20と反対の側には、転写ローラとしての二次転写ローラ23が設けられている。この二次転写ローラ23は、二次転写ローラクリーニング手段であるクリーニングブレード22が配置されている。そして、二次転写ローラ23は、中間転写ベルト10を介してバックアップローラ16に押し当てられ、二次転写ローラ23と中間転写ベルト10との間で二次転写部としての二次転写ニップ部を形成するように配置されている。二次転写ローラ23は、不図示の駆動モータによって中間転写ベルト10と同線速で駆動され、中間転写ベルト10上の画像をシートに転写する。
このように、潜像担持体である感光体ドラム40上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ62、中間転写ベルト10、及び二次転写ローラ23等から構成される転写装置によって転写紙上に転写される。
【0014】
また、二次転写ローラ23の図中左側には用紙搬送ベルト29が配置され、その図中さらに左に配置された定着装置25までシート状の転写紙を搬送する。転写紙上の転写画像を定着する定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。
【0015】
二次転写ローラ23、用紙搬送ベルト29および定着装置25の下には、上述したタンデム画像形成ユニット20と平行に、転写紙の両面に画像を記録すべく転写紙を反転させる転写紙反転装置28を備えている。これによって、転写紙の片面に画像定着後に、切換爪で転写紙の進路を転写紙反転装置側に切り換え、そこで反転させて再び二次転写ニップ部に転写紙を搬送し、トナー像を転写させた後、排紙トレイ上に排紙させることができる。
【0016】
スキャナ部300は、コンタクトガラス32上に載置された原稿の画像情報を読取センサ36で読み取り、読み取った画像情報をこの制御部に送る。
【0017】
不図示の制御部は、スキャナ部300から受け取った上記画像情報に基づき、プリンタ部100の露光装置21内に配設された図示しないレーザやLED等を制御して感光体ドラム40に向けてレーザ書き込み光Lを照射させる。この照射により、感光体ドラム40の表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。
【0018】
給紙部200は、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44、給紙カセットから転写紙を繰り出す給紙ローラ42、繰り出した転写紙を分離して給紙路46に送り出す分離ローラ45、プリンタ部の給紙路48に転写紙を搬送する搬送ローラ47等を備えている。
【0019】
本実施形態の複写機では、給紙部200以外に、手差し給紙も可能となっており、手差しのための手差しトレイ51、手差しトレイ51上の転写紙を手差し給紙路53に向けて一枚ずつ分離する分離ローラ52も装置側面に備えている。
【0020】
レジストローラ49は、それぞれ給紙カセット44又は手差しトレイ51に載置されている転写紙を1枚だけ排出させ、中間転写体としての中間転写ベルト10と二次転写装置との間に位置する二次転写ニップ部に送る。
【0021】
次に、上記構成のカラー電子写真装置による画像形成について説明する。
本実施形態の複写機において、カラー画像のコピーをとるとき、原稿搬送部400の原稿台30上に原稿をセットするか、又は原稿搬送部400を開いてスキャナ部300のコンタクトガラス32上に原稿をセットして原稿搬送部400を閉じることで原稿を押さえる。
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿搬送部400に原稿をセットしたときは原稿をコンタクトガラス32上へと搬送して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは直ちに、スキャナ部300を駆動し、第一走行体33及び第二走行体34を走行する。そして、第一走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第二走行体34に向ける。この反射光は、さらに第二走行体34のミラーで反射され、結像レンズ35を通して読取センサ36に入射される。これにより、原稿内容が読み取られる。
【0022】
そして、スキャナ部から画像情報を受け取ると、上述のようなレーザ書き込みや、後述する現像プロセスを実施させて感光体ドラム上にトナー像を形成させるとともに、該画像情報に応じたサイズの転写紙を給紙させるべく、4つの給紙ローラのうちの1つを作動させる。
また、これに伴なって、不図示の駆動モータで第一支持ローラ14、第二支持ローラ15またはバックアップローラ16のうちの1つを回転駆動して他の二つの支持ローラを従動回転し、中間転写ベルト10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成ユニット18で感光体ドラム40が回転され、各感光体ドラム40上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成される。そして、中間転写ベルト10の搬送とともに、それらの単色画像が中間転写ベルト10の表面上に順次転写され、中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
【0023】
一方、給紙部200では給紙ローラ42の1つが選択的に回転され、ペーパーバンク43に多段に設けられた給紙カセット44の1つから転写紙が繰り出される。繰り出された転写紙は、分離ローラ45で1枚ずつ分離されて給紙路46に導入され、搬送ローラ47で搬送されるとともに、複写機本体であるプリンタ部100内の給紙路48に導かれ、レジストローラ49に突き当てられて止められる。また、手差しトレイ51を用いる場合には、給紙ローラ50が回転され、手差しトレイ51上の転写紙が繰り出されるとともに、繰り出された転写紙は分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、手差しトレイ51上の転写紙を用いる場合は、給紙ローラ50が回転され、手差しトレイ51上の転写紙が繰り出されるとともに、繰り出された転写紙は、分離ローラ52で1枚ずつ分離された後、手差し給紙路53に導入され、同様にしてレジストローラ49に突き当てられて止められる。
そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49が回転され、中間転写ベルト10と二次転写ローラ23との当接部である二次転写ニップ部に転写紙が送り込まれる。そして、ニップに形成されている転写用電界や当接圧力などの影響によってカラー画像が二次転写され、転写紙上にカラー画像が記録される。
【0024】
二次転写ニップ部でカラー画像の転写を受けた後の転写紙は、用紙搬送ベルト29によって搬送され定着装置25へと送り込まれ、定着装置25で加圧ローラ27と定着ベルト26とによる加圧力と熱の付与によりカラー画像を定着される。その後、排出ローラ56で排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。また、両面に画像形成される転写紙は、カラー画像を定着された後、切換爪55で切り換えて転写紙反転装置28に搬送され、そこで反転されて再び二次転写ニップ部へと導かれ、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出される。
一方、二次転写ニップ部で転写紙にカラー画像を転写した後の中間転写ベルト10の表面は、残留する残留トナーがベルトクリーニング装置17によって除去され、タンデム画像形成ユニット20による再度の画像形成に備える。
【0025】
また、二次転写ローラ23には中間転写ベルト10に接しているため、転写紙等の記録体が載らない部分や紙間では、中間転写ベルト10上の地肌汚れのトナー、およびプロセスパターンが転写し、二次転写ローラ23を汚してしまう。二次転写ローラ23の表面上に汚れがあると、転写紙に二次転写を行う際にその汚れが転写紙の裏側に付着する裏汚れの原因となるため、二次転写ローラ23にはその表面上の汚れを除去する二次転写ローラクリーニング手段としてのクリーニングブレード22が当接している。クリーニングブレード22によって、二次転写ローラ23上のトナーなどの汚れを常時除去することで転写紙の裏面が汚れることを防止している。また紙の添加剤である炭酸カルシウム等が付着してフィルミングを引き起こすのを防止するために、二次転写ローラ23の表面には、ステアリン酸亜鉛を固形化させた固形潤滑剤24を直接二次転写ローラ23表面に接触させて塗布させる構成にしている。
【0026】
次に、二次転写ニップ部の具体的な構成について説明する。
図2は、図1で示した複写機の二次転写ニップ部周辺の拡大説明図である。
図2に示すように、一次転写されたトナー像が担持される中間転写ベルト10を介して、二次転写ローラ23と対向するように転写対向ローラとしてのバックアップローラ16が配置されている。このバックアップローラ16は中間転写ベルト10を裏面から支持する。そして、二次転写ローラ23が中間転写ベルト10に圧接しバックアップローラ16に押圧するようにして二次転写ニップが形成される。バックアップローラ16には電流が一定になるように転写電圧を印加する二次転写電源13が接続されている。二次転写ニップの間を転写紙等の記録体が通過する際に、二次転写電源13よりトナーと同極性のバイアスを印加(本実施形態では、トナーがマイナス帯電であるためマイナスのバイアスを印加)させることで中間転写ベルト10上のトナー画像が記録体に転写される。
【0027】
図2に示すバックアップローラ16は、金属よりなる円筒状の転写対向芯金16aと、この転写対向芯金16aの外周面に形成された転写対向弾性層16bとから構成されている。A5サイズ等の小さいサイズの記録体に転写する際に、非通紙部に直接電流が流れやすくなり、必要とする実効転写電界が得られず転写不良画像が発生することがある。このような転写不良画像の発生を防止するために、抵抗値としてはLogΩ6.5以上になるようにイオン導電剤を添加させたローラになっている。このように、ローラに転写紙よりも大きな抵抗を持たせることで、小サイズ紙の端部に電流が流れることを防止することができる。
図5に、バックアップローラ16は、軸方向の中央部の外径を両端部の外径よりも0.3[mm]大きくした太鼓形状としている。太鼓形状とすることで、バックアップローラ16の中央部が二次転写ローラ23から離れる方向に撓む変形によって、二次転写ニップ部の中央部での圧抜けによる転写不良を防止することができる。さらに、二次転写ニップ部での転写圧の分布が均一になるため、軸方向両端部に圧力が集中することに起因する二次転写ローラ23の表面層のヒビ割れの発生を抑制することができる。
【0028】
図2に示す二次転写ローラ23は、金属よりなる円筒状の芯金23aと、この芯金23aの外周面に形成された弾性層23bと、この弾性層23bの外周面に形成された樹脂材料からなる表面層23cとから構成されている。
芯金23aを構成する金属としては、特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス、アルミニウムなどの金属材料が用いられる。芯金の上に形成される弾性層には一般的にゴム材料が使用されゴム層となっている。これは、二次転写ローラ23を変形させて二次転写ニップ部を確保のために二次転写ローラ23には弾性機能が要求されることに起因するものであり、JIS−A硬度で70[°]以下が望ましい。
また、二次転写ローラ23のクリーニング手段としてクリーニングブレード22を使用しているため、弾性層23bが柔らかすぎると、クリーニングブレード22の当接状態が不安定となり適正なクリーニング角度が得られなくなる。よって、弾性層23bの硬度としてはJIS−A40[°]以上が望ましい。また、二次転写ローラ23が絶縁体ではトナー画像を記録体に転写するという機能が果たしえないため、導電機能を付与されたゴム材料である必要がある。よって、本実施形態の二次転写ローラ23はJIS−A硬度50[°]のエピクロルヒドリンゴムで弾性層23bを形成している。
導電機能を付与されたゴム材料としては、カーボンが分散されたEPDMやSiゴム、またイオン導電機能を有するNBR、ウレタンゴム等を使用してもよい。
【0029】
弾性層23bに用いられるゴム材料の多くがトナーに対し化学的親和性が高く、摩擦係数が大きいため、クリーニングブレード22が接触している表面層23cに必要な機能としては、低摩擦係数、トナー離型性が要求される。よって、本実施形態の二次転写ローラ23の表面層23cは、フッ素樹脂系樹脂に抵抗制御材を加えて抵抗調整し用いられる。
さらに、二次転写ローラ23は、中間転写ベルト10と接触して回転していることから、中間転写ベルト10と二次転写ローラ23との間に微小な線速差が発生すると中間転写ベルト10の駆動に影響を与えてしまう。よって、中間転写ベルト10とのすべり性(中間転写ベルト10との摩擦を少なくする)が二次転写ローラ23の表面層23cには要求されるため、表面層23cの最表面の摩擦係数0.4以下になるように設定することが望ましい。中間転写ベルト10は、各色の画像を色ズレなく重ねて転写する機能が必要とされることから一定の速度で表面移動するような精密駆動が求められるため、いかに中間転写ベルト10の表面移動速度を乱さないようにする必要があることから摩擦係数は重要である。
【0030】
さらに、本実施形態のように二次転写ローラ23表面にクリーニングブレード22を設けてトナーを取り除く構成にした場合、二次転写ローラ23の摩擦係数が高い場合には、二次転写ローラ23の駆動トルクが大きくなり、クリーニングブレード22の巻き込み等の不具合も発生することから、低摩擦係数にする必要がある。
しかし、低摩擦係数を実現するために、表面層23cを硬度が高く弾性が低いものを使用した場合、経時で表面層23cにクラック(ひび割れ)が発生することがわかった。これは、転写ニップ圧等により弾性層23bとともに変形したときに、弾性層23bは弾性変形の範囲で変形しても、表面層23cは塑性変形することがあり、この塑性変形が繰り返されるために疲労破断としてクラックが発生することが考えられる。
【0031】
表面層23cにヒビ割れが発生しないように、表面層23cの材料に軟らかく弾性が高いものを使用した場合、海外紙のように炭酸カルシウムを多量に含んでいる転写紙(転写材)を使用した場合には、その炭酸カルシウムが二次転写ローラ23の表面に付着しやすくなり、フィルミングを起こしやすくなる。二次転写ローラ23の表面上にフィルミングが発生するとクリーニングブレード22によるクリーニング性が著しく低下してしまう。なお、表面層23cがある程度の硬度を備えたものであっても、弾性が高いものに比べると発生しにくいものの、フィルミングが発生することがあり、発生すると弾性が高い場合と同様にクリーニングブレード22によるクリーニング性が著しく低下してしまう。
【0032】
本実施形態では二次転写ローラ23表面に潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛を固形化した固形潤滑剤24を二次転写ローラ23の表面に塗布する。これにより、ステアリン酸亜鉛によるコーティング層を二次転写ローラ23の表面上に簡単に形成することができるため、この表面上に炭酸カルシウム等の付着物が付着しにくくなり、また、表面上に付着したとしても容易に取り除くことが可能となる。
ステアリン酸亜鉛からなる固形潤滑剤24は図2に示すように潤滑剤ケース12の中にスライド可能配置され、潤滑剤押圧スプリング11により加圧された状態で常時二次転写ローラ23表面に接触するように構成されている。
【0033】
潤滑剤の塗布の有無によるクリーニング性の比較を行う実験を行った。
二次転写ローラ23の表面に潤滑剤(ステアリン酸亜鉛)を塗布しない場合、500枚程度の通紙枚数で、二次転写ローラ23の表面に炭酸カルシウム等の付着物がフィルミングを起こして真っ白になった。さらに、クリーニング不良が発生し裏汚れ画像となった。一方、潤滑剤(ステアリン酸亜鉛)を塗布させることにより、二次転写ローラ23の表面は白濁することなく、クリーニング不良も発生しなくなった。
本実施形態では図2に示すように、二次転写ローラ23に直接潤滑剤(ステアリン酸亜鉛)を塗布しているが、潤滑剤と二次転写ローラ23との間に二次転写ローラ23表面を傷つけにくい弾性体からなる潤滑剤塗布部材を設けて間接的に塗布するようにしてもよい。潤滑剤塗布部材としては、スポンジローラや毛ブラシローラを使用することができる。
【0034】
電子写真方式のカラー画像形成装置において現在、図1の複写機のように、複数の画像担持体(例えば感光ドラム)の画像を中間転写体に転写し、中間転写体上の画像を一括して記録体に転写する方式がある。記録体に一括転写するための二次転写ローラを使用する方式としては低速機等において採用されており、主としてスポンジ転写ローラ等を使用し転写ローラに対する直接的なクリーニング機構を持たない、すなわち転写ローラへの入力トナーは感光体または中間転写体に逆転写する転写ローラクリーニング方式がある。また、これとは別に主としてソリッドローラーを使用し直接クリーニングブレード等により転写ローラへの入力トナーを除去する方式の2方式に区分される。
本実施形態の特徴部は主としてクリーニングブレードを有する後者のシステムに適用するものである。このタイプの転写ローラは、芯金上に下部層と最上層を形成し、各層について、最上層はトナークリーニング性の機能、下部層はニップ確保のための弾性機能、のように、各機能に機能分離された2層構成のローラが一般的である。尚、ここでは説明を簡略化するため、転写ローラの芯金/下部層、下部層/最上層間の接着力を確保するために一般的に使用されている接着層に関しては割愛している。また、最上層の主材料としてはゴム、下部層主材料としては、クリーニング性から低摩擦係、トナー離型性が必要であるため、ある程度の硬度を持った樹脂が使用されるのが一般的である。
【0035】
このような表面層のクラックの発生を押さえるために、表面層の材料として所望の二次転写ニップを形成する変形が弾性変形の範囲内となるような柔らかい材料を用い、軟質化することも考えられるが、この場合クラックの発生は防止できるものの、柔軟になりすぎるとブレードとの摩擦係数が大きくなりクリーニング性の悪化、ブレード巻きこみ等の不具合が発生する。
【0036】
次に本実施形態の特徴部について説明する。
本発明者らが、二次転写ローラ23の表面層23cのクラックの発生について鋭意研究した結果、表面層23cのビッカース硬度Hvが低く、弾性比ηが高い材料にすることにより、ひび割れの発生しない高耐久のローラとすることが分かった。
【0037】
ここで、ビッカース硬度とは、ISO6507で規定される物体の硬さの規格である。そして、ビッカース硬度の試験機を用いて、表層膜表面から正四角錐(対面角度136[°])のダイヤモンド圧子を用い、ある一定荷重で試験面を押しつけた時にできる圧痕の対角線長さの平均値から表面積相当の応力を求めたものである。
本実施形態で用いる材料のビッカース硬度は、以下の条件で測定した。
・使用機器:フィッシャースコープH100V(微小硬さ測定装置)(株)フィッシャー・インストルメンツ社製
・試験サンプル:表面層と同じ材料をアルミ板上にフッ素樹脂なる材料をスプレーコーティングにより40[μm]の厚さになるように塗装し、140[℃]で乾燥させて成膜
求める値は、測定荷重20[mN]で四角錘のダイヤモンド圧子を試験サンプルの表面に押し付け、押し付けた時にできる圧痕の対角線長さの平均値から表面積相当の圧力を求めた値である。
なお、成膜した膜そのものの硬さを測定するには、圧子の押し込み深さが膜厚の1/5以下であれば良いという指針がある。これは、圧子の押し込み深さを膜厚の1/5以下に留めることができないと、硬さ測定値が膜厚や素地(アルミ板)の硬さの影響を受けて変化するためである。このため、ビッカース硬度を測定する際には試験サンプルの膜厚に応じた測定荷重で測定する必要があるため、測定荷重は上記荷重に限らず、適正な荷重で測定しなければならない。本試験サンプルでは、測定荷重20[mN]で押し付けると、押し込み深さが4[μm]となったためこの荷重を決定した。
【0038】
次に弾性比について説明する。
弾性比は、物体に外力を加えて物体を変形させたときの外力が行った仕事量を全仕事量、物体を変形させた後に外力をなくして物体がその弾性力によって変形量が減少したときの物体の弾性力が行った仕事量を弾性仕事量としたとき、弾性仕事量の全仕事量に対する比であり、以下の式で求められる。
弾性比η=弾性仕事量(We)/全仕事量(Wt)
ここで、弾性仕事量(We)及び全仕事量(Wt)の測定方法について説明する。
以下、弾性仕事量(We)及び全仕事量(Wt)の測定条件を記す。
・使用機器:フィッシャースコープH100V(微小硬さ測定装置)(株)フィッシャー・インストルメンツ社製
・使用圧子:ダイヤモンドビッカース圧子
・負荷条件:20[mN/10sec]の速度で表面からビッカース圧子を押し込む
・負荷時間:10[sec]
・除荷条件:負荷と同じ速度で負荷を除く
・試験サンプル:表面層と同じ材料をアルミ板上にフッ素樹脂なる材料をスプレーコーティングにより40[μm]の厚さになるように塗装し、140[℃]で乾燥させて成膜
上記の条件で作成した試験サンプルを上記のH100V機に固定し、試料に対して垂直にビッカース圧子を押し込み測定する。測定は圧子負荷(10[sec])、除荷の手順で行う。
【0039】
上記条件で測定した仕事関数の測定データの一例の概略のグラフを図3に示す。
図3のグラフでは横軸の負荷の増大と共に縦軸の変形量が増大する。所定の時間(10[sec])をかけて所定の荷重(20[mN])となるまで負荷を増大させてA点で負荷の増大を止め、所定の荷重まで増大した負荷を徐々に取り除くと、矢印の如く変形量が徐々に減少する。
図中の斜線部(Weの領域)が弾性仕事量Weであり、斜線部と横線部(Wrの領域)の合計が全仕事量Wtである。
そして、弾性比は上記のように以下の式で表される。
弾性比(η)=弾性仕事量(We)/全仕事量(Wt)
弾性比(η)とは、変形に要した全仕事量のうち、弾性変形に使われた比率を示し、この数値が高いほどゴム弾性が高いことを意味する。そして、完全弾性体では、弾性比(η)=1となる。つまり全仕事量の100[%]が弾性仕事量となる。
弾性比の測定においても、ビッカース硬度の測定と同様に試験サンプルの膜厚に応じた測定荷重で測定する必要があるため、測定荷重は上記荷重に限らず、適正な荷重で測定しなければならない。具体的には、膜厚の1/5以下の押し込み深さになるような荷重である。本試験サンプルでは、測定荷重(B)20[mN]で押し付けると、押し込み深さ(変形量C)が4[μm]となったためこの荷重を決定した。
【0040】
[実験1]
次に、実験1として、表面層23cのビッカース硬度及び弾性比ηを変えて作成した二次転写ローラ23を図1の複写機に投入し、60万枚の耐久試験を行った。
以下、実験1の実験条件を示す。
二次転写ローラ
・芯金 材料:ステンレス、外径:φ16[mm]
・弾性層 材料:エピクロルヒドリンゴム(JIS−A50[°])、外径:φ24[mm]
・表面層 主材料:四フッ化エチレン樹脂、架橋材の種類や量等を調節して、硬度、弾性を変更して作成した材料を弾性層の外周面にスプレーコーティングして140[℃]で乾燥させて作成
バックアップローラ
・芯金 材料:炭素鋼管、外径:φ16[mm]
・弾性層 材料:EPDM(JIS−A55[°])、外径:φ24[mm]
中間転写ベルト
材料:ポリイミド樹脂、厚さ:80[mm]
ニップ圧:50[N]
ニップ幅:2[mm]
二次転写ニップ部での二次転写ローラの変形量:0.8[mm]
【0041】
実験1の結果を表1に示す。
【表1】

【0042】
表1の実施例1〜3に示すように、表面層の厚みが10[μm]になるように弾性層の外周面にスプレーコーティングして塗装した二次転写ローラを用いて画像形成を行ったところ、表面層のビッカース硬度Hvが2以下、弾性比ηが0.15以上であれば、60万枚後の通紙耐久を行った後も、ヒビ割れが発生せずクリーニング不良による裏汚れの発生がなかった。
また、表1の実施例4、5に示すように、弾性比ηが0.15以下の場合であっても、表面層のビッカース硬度Hvが2以下、弾性比ηが0.10以上、表面層の厚みが15[μm]以上、50[μm]以下であれば、60万枚後の通紙耐久を行った後も、ヒビ割れが発生せずクリーニング不良による裏汚れの発生がなかった。
【0043】
比較例1に示すように、弾性比ηが0.10の場合、表面層の厚みが10[μm]であると、表面層のビッカース硬度Hvが2以下であっても、裏汚れ画像は発生しないものの、350000枚で表面層にクラックが発生している。実験では裏汚れは生じなかったものの、クラックが発生することは二次転写ローラの機能としては正常ではなく、発生したクラックから裏汚れが生じ得るため、実用上十分な構成ではない。
また比較例2に示すように、弾性比ηが0.10の場合、表面層の厚みが5[μm]であると、表面層のビッカース硬度Hvが2以下であっても、100000枚で表面層にクラックが発生し、裏汚れも発生した。このように、硬度、弾性比が比較例1と同じ塗料を層厚が5[μm]になるように塗装した二次転写ローラでは、クラックが発生する時間が極端に短くなりクリーニング不良による裏汚れが発生した。よって、表層の厚さは10[μm]以上にすることでより耐久が向上する。
また、比較例3に示すように、表面層の厚みが10[μm]、弾性比ηが0.15以上であってもビッカース硬度Hvが3.8と2よりも大きい値であると、50000枚で表面層にクラックが発生し、裏汚れも発生した。
また、比較例4に示すように、表面層の厚みが10[μm]の場合、弾性比ηが0.13と0.15よりも少し小さく、ビッカース硬度Hvが2.6と2よりも少し大きい値であると、900000枚で表面層にクラックが発生し、裏汚れも発生した。
また、比較例5及び6に示すように、弾性比ηが高くより弾性的な材料を転写ローラの表層とした場合には、二次転写ニップでの変形が弾性変形の範囲内で収まるため、ヒビ割れは発生しなかった。しかし、摩擦係数が高くなってしまい、中間転写ベルト10の駆動に影響を与え位置ズレ画像を引き起こしてしまった。図1に示す複写機には、二次転写ローラ23表面に潤滑剤を塗布し、摩擦係数を下げる構成にしているが、潤滑剤が二次転写ローラ23表面に塗りこまれるまでには、中間転写ベルト10の駆動に影響を与えてしまうため、二次転写ローラ23表面の摩擦係数は0.4以下にすることが望ましい。よって、摩擦係数を0.4以下にするためには、弾性比ηは0.6以下にすることが望ましい。
【0044】
なお、ビッカース硬度が低い材料は、その表面の摩擦係数が高くなる傾向がある。転写ローラの摩擦係数が大きくなると、トナーが付着しやすくなるだけでなく、クリーニングブレードとの摩擦係数が大きくなりクリーニング性の悪化、ブレード巻きこみ等の不具合が発生する。この点を鑑みると、ビッカース硬度は0.5以上とすることが実用的な範囲である。
【0045】
また、比較例7に示すように、表面層の膜厚が大きすぎると、表面層をスプレーコーティングして作る際に、塗装段階で液ダレが発生し、ローラ表面の一部に凸部が発生してしまい、その凸部ではクリーニングブレードの接触状態が悪くなり、クリーニング不良が発生し裏汚れが発生した。この液ダレを防止のためには、表面層塗装時に一度に厚い膜厚を形成するのではなく、薄い膜厚を形成して乾燥させ、また塗装し乾燥させるという2段階の工程を繰り返す必要がある。このような工程になると転写ローラ作成に時間がかかり必要な生産量を達成できなくなってしまい実用的ではない。さらに、塗装工程を繰り返すことで、ホコリ等の異物混入の可能性も多くなり、歩留まりが悪化しコストUPとなることからも、一度に塗装しても液ダレが起きない膜厚である50[μm以]下に設定する必要がある。
また、表面層の層厚が大きすぎると、二次転写ニップ部で所望量の変化をさせるために大きな圧力を必要とし、大きな圧力を印加し、維持する機構を設けることは装置の大型化につながるため、実用的ではない。よって、表面層の層厚は50[μm]以下とする。さらに、好ましくは30[μm]以下である。
【0046】
〔実験2〕
次に実験2として、図1の複写機のバックアップローラの硬度を変えて、実験1と同様の60万枚耐の久試験を行なった。
以下、実験2の実験条件を示す。
二次転写ローラ
・芯金 材料:ステンレス、外径:φ16[mm]
・弾性層 材料:エピクロルヒドリンゴム(JIS−A50[°])、外径:φ24[mm]
・表面層 主材料:四フッ化エチレン樹脂、架橋材の種類や量等を調節して、硬度、弾性を変更して作成した材料を弾性層の外周面にスプレーコーティングして140[℃]で乾燥させて作成
バックアップローラ
・芯金 材料:炭素鋼管、外径:φ16[mm]
・弾性層 材料:発泡ウレタンゴム(JIS-A20[°])、外径:φ24[mm]
中間転写ベルト
材料:ポリイミド樹脂、厚さ:80[mm]
ニップ圧:50N
ニップ幅:3[mm]
二次転写ニップ部での二次転写ローラの変形量:0.2[mm]
【0047】
実験2の結果を表2に示す。
【表2】

【0048】
表2に示すように、実験1と比較し、バックアップローラ16の硬度を二次転写ローラ23の硬度よりも軟らかいものにすることによって、表面層23cのヒビ割れが発生する時間が格段に長くなっていることが分かる。
【0049】
図4に二次転写ニップ部の拡大模式図を示す。図4(a)は、実験1の条件における二次転写ニップ部の模式図であり、図4(b)は、実験2の条件における二次転写ニップ部の模式図である。
転写ニップ部では、二次転写ローラ23およびバックアップローラ16が変形してニップを形成している。バックアップローラ16が二次転写ローラ23よりも硬度が硬い場合は、図4(a)のように、二次転写ローラ23の方が大きく変形する。この変形により、転写ローラの表面層23cも変形し、その変形の繰り返しにより、疲労破断としてクラックが発生していた。
一方、実験2のように、バックアップローラ16の弾性層を発泡ウレタンゴム(JIS−A20[°])として、二次転写ローラ硬度より軟らかい材質にすることで、実験1と同じニップ圧の場合、二次転写ニップ部では、バックアップローラ16が主に大きく変形してニップを形成する。このため、二次転写ローラ23変形量は少なくなり、表面層23cのクラックを引き起こすのを防止することが可能となる。
【0050】
このように、転写対向ローラであるバックアップローラ16の硬度を低くすることで、二次転写ニップ部では、二次転写ローラ23よりもバックアップローラ16のほうが変形しやすい。このため、二次転写ローラ23よりもバックアップローラ16を低硬度とすることにより、二次転写ニップ部での二次転写ローラ23の変形を少なくすることが出来、二次転写ローラ23の表面層23cにヒビが入ることを防止することができる。
【0051】
二次転写ローラ23よりもバックアップローラ16を低硬度とするために、ゴム部材の低硬度化の方法として、一般にゴム部材に可塑剤等の低分子成分を配合する方法がある。しかし、低分子成分の可塑剤を配合したゴム部材をバックアップローラ16に用いると、バックアップローラ16の表面から低分子成分の可塑剤が染み出して中間転写ベルト10を汚染し、画質に影響を与える。よって、低分子成分の可塑剤を配合しなくても低硬度化が可能なゴム部材として、ゴム部材を発泡体とした発泡ゴム部材であるEPDM系発泡ゴム、または発泡ウレタンゴム等を用いる。これにより、バックアップローラ16表面から低分子成分の可塑剤等の汚染物質が染み出すことが無く、中間転写ベルト10を汚染しないので画質に悪影響を与えることなく低硬度にすることが可能である。
【0052】
表2に示すように、実験1と比較し、転写ローラ表面層のヒビ割れが発生する時間も格段に長くなっていることから、バックアップローラ硬度を転写ローラよりも軟らかいものにすることで、画像形成の耐久枚数の余裕度の上昇を図ることができる。
しかし、バックアップローラを軟らかくした場合、二次転写ローラ23と接触し押圧した状態で長時間放置されると、バックアップローラ16の弾性層が永久歪みにより一部分が凹になり、バンディング画像等の異常画像が発生する。そのため、このような異常画像を防止するために、作像時以外は二次転写ローラ23と中間転写ベルト10との接離を行い、二次転写ローラ23と中間転写ベルト23が離間した状態で待機されるような接離機構を設ける必要がある。
【0053】
以上、本実施形態によれば、転写ローラである二次転写ローラ23の表面層23cのビッカース硬度を0.5以上、2.0以下、弾性比を、0.15以上、0.6以下、層厚を10[μm]以上、50[μm]以下とすることにより、60万枚の画像形成を行う間、クラックの発生を抑制し、裏汚れの発生を抑制することができることが分かった。これにより、二次転写ローラ23の表面層23cにクラックが発生することに起因する裏汚れの発生を抑制することができるため、記録体の裏汚れのない良好な画像形成を実現できる。
また、転写ローラである二次転写ローラ23の表面層23cのビッカース硬度を0.5以上、2.0以下、弾性比を、0.10以上、0.6以下、層厚を15[μm]以上、50[μm]以下とすることにより、60万枚の画像形成を行う間、クラックの発生を抑制し、裏汚れの発生を抑制することができることが分かった。これにより、二次転写ローラ23の表面層23cにクラックが発生することに起因する裏汚れの発生を抑制することができるため、記録体の裏汚れのない良好な画像形成を実現できる。
また、表面層23cの材料として、フッ素樹脂である四フッ化エチレン樹脂を用いることにより、クラックの発生を抑制しつつ、トナーの離型性も著しく改善することができ、クリーニング性の高い二次転写ローラ23を提供することができる。
また、表面層23cの摩擦係数を0.4以下にすることにより、中間転写ベルト10の駆動に影響を与えることなく、二次転写ローラ23のクリーニング手段として、クリーニングブレード22を用いてもブレードが巻き込むことなく、高いクリーニング性を得られる。
また、弾性層23bのJIS−A硬度が40[°]以下であるとクリーニングブレード22の当接により、ローラ表面にブレードが喰込みやすく適正なクリーニング角度が得ることが出来なくなりクリーニング不良となりやすいが、JIS−A硬度が40[°]以上とすることにより、ローラ表面にブレードが喰込むことを防止することができ、良好なクリーニングを行うことができる。さらに、JIS−A70[°]以上になると、二次転写ニップ部で二次転写ローラ23が変形しにくくなり、再生紙(または、表面の平滑性の悪い紙)等を転写するのに十分な転写ニップを得ることができなくなるが、JIS−A70[°]以下とすることにより、二次転写ニップ部で二次転写ローラ23が変形しやすくなり、所望の転写ニップを確保することができる。
また、転写装置の転写ローラとして上述の二次転写ローラ23を用いることにより、記録体の裏汚れのない良好な画像形成を実現できる。
また、像担持体は複数の張架部材である第一支持ローラ14、第二支持ローラ15及びバックアップローラ16によって張架されて無端移動する像担持ベルトとしての中間転写ベルト10であり、転写ローラである二次転写ローラ23が中間転写ベルト10の表面に当接する位置で二次転写ローラ23に対して中間転写ベルト10を挟んで対抗する転写対向ローラとしてのバックアップローラ16を備え、バックアップローラ16の硬度を、二次転写ローラ23の硬度よりも低い硬度とすることにより、二次転写ニップ部での二次転写ローラ23の変形を少なくすることが出来、二次転写ローラ23の表面層23cにヒビが入ることを防止することができる。
また、転写対向ローラとしてのバックアップローラ16が両端部の径に比べて中央部の径の方が大きい太鼓形状であることにより、二次転写ニップ部での転写圧の分布が均一になるため、軸方向両端部に圧力が集中することに起因する二次転写ローラ23の表面層のヒビ割れの発生を抑制することができる。
また、転写対向ローラは、発泡ゴムからなることにより、低硬度のゴム部材からなるバックアップローラ16表面から低分子成分の可塑剤等の汚染物質が染み出すことが無く、中間転写ベルト10を汚染しないので画質に悪影響を与えることなく、バックアップローラ16を低硬度にすることが可能となる。
また、二次転写ローラ23の表面をクリーニングする転写ローラクリーニング手段としてクリーニングブレード22を備えることにより、二次転写ローラ23に付着したトナーなどを除去することができ、裏汚れの発生を防止することができる。
また、二次転写ローラ23の表面上に潤滑剤を塗布することにより、表面に潤滑層ができフィルミングを防止できる。
また、潤滑剤を固形化した固形潤滑剤24を直接二次転写ローラ23表面に接触させて塗布することにより、部品点数を少なく、簡単な構成にすることができる。
また、弾性体からなる潤滑剤塗布部材を介して二次転写ローラ23表面に塗布するようにすることにより、二次転写ローラ23の表面には潤滑剤が塗布された弾性体からなる部材が接触するようになるので、二次転写ローラ23の表面の傷つきを防止することができる。
また、ステアリン酸亜鉛を潤滑剤として塗布することにより、二次転写ローラ23の表面にそのステアリン酸亜鉛によるコーティング層を簡単に形成することができるため、そこに炭酸カルシウム等の付着物が付着しにくくなり、表面に付着したとしても容易に取り除くことが可能となる。
また、画像形成装置である複写機のプリンタ部100における転写手段として、二次転写ローラ23を備えた転写装置を用いることにより、記録体の裏汚れのない良好な画像形成を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施形態にかかる複写機の概略構成図。
【図2】二次転写ニップ部周辺の拡大説明図。
【図3】弾性比を求める仕事関数の測定データの一例の概略のグラフ。
【図4】二次転写ニップ部の拡大模式図、(a)は、実験1の条件における二次転写ニップ部の模式図、(b)は、実験2の条件における二次転写ニップ部の模式図。
【符号の説明】
【0055】
10 中間転写ベルト
11 潤滑剤押圧スプリング
12 潤滑剤ケース
13 二次転写電源
14 第一支持ローラ
15 第二支持ローラ
16 バックアップローラ
16a 転写対向芯金
16b 転写対向弾性層
17 ベルトクリーニング装置
18 画像形成ユニット
20 タンデム画像形成ユニット
21 露光装置
22 クリーニングブレード
23 二次転写ローラ
23a 芯金
23b 弾性層
23c 表面層
24 固形潤滑剤
25 定着装置
40 感光体ドラム
61 現像ユニット
62 一次転写ローラ
63 感光体クリーニング装置
100 プリンタ部
200 給紙部
300 スキャナ部
400 原稿搬送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の表面に当接するように配置された表面移動する転写部材を有し、該像担持体と該転写部材との間に記録体を挟持した状態で該像担持体上のトナー像を該記録体へ転写する転写装置に用いられ、
ローラ体と該ローラ体の回転軸とを備える該転写部材としての転写ローラにおいて、
該ローラ体は、芯金と、該芯金の外周に設けた弾性層と、該弾性層の外周で該ローラ体の表面を形成する表面層とを有し、
該表面層は、
ビッカース硬度が0.5以上、2.0以下、
弾性比が、0.15以上、0.6以下、
層厚が10[μm]以上、50[μm]以下であることを特徴とする転写ローラ。
但し、弾性比は、物体に外力を加えて物体を変形させたときの外力が行った仕事量を全仕事量、物体を変形させた後に外力をなくして物体がその弾性力によって変形量が減少したときの物体の弾性力が行った仕事量を弾性仕事量としたとき、弾性仕事量の全仕事量に対する比である。
【請求項2】
像担持体の表面に当接するように配置された表面移動する転写部材を有し、該像担持体と該転写部材との間に記録体を挟持した状態で該像担持体上のトナー像を該記録体へ転写する転写装置に用いられ、
ローラ体と該ローラ体の回転軸とを備える該転写部材としての転写ローラにおいて、
該ローラ体は、芯金と、該芯金の外周に設けた弾性層と、該弾性層の外周で該ローラ体の表面を形成する表面層とを有し、
該表面層は、
ビッカース硬度が0.5以上、2.0以下、
弾性比が、0.1以上、0.6以下、
層厚が15[μm]以上、50[μm]以下であることを特徴とする転写ローラ。
但し、弾性比は、物体に外力を加えて物体を変形させたときの外力の仕事量を全仕事量、物体を変形させた後に外力をなくし物体がその弾性力によって変形量が減少したときの物体の弾性力の仕事量を弾性仕事量としたときの弾性仕事量の全仕事量に対する比である。
【請求項3】
請求項1または2の転写ローラにおいて、
上記表面層は、フッ素樹脂からなることを特徴とする転写ローラ。
【請求項4】
請求項1、2または3の転写ローラにおいて、
上記表面層の表面の摩擦係数は、0.4以下であることを特徴とする転写ローラ。
【請求項5】
請求項1、2、3または4の転写ローラにおいて、
上記弾性層のJIS−A硬度が40[°]以上、70[°]以下であることを特徴とする転写ローラ。
【請求項6】
像担持体上に形成されたトナー像を、
該像担持体と転写部材との間に記録体を挟持した状態で該像担持体上のトナー像を該記録体へ転写する転写装置において、
該転写部材として、請求項1、2、3、4または5の転写ローラを用いることを特徴とする転写装置。
【請求項7】
請求項6の転写装置において、
上記像担持体は複数の張架部材によって張架されて無端移動する像担持ベルトであり、
上記転写ローラが該像担持ベルトの表面に当接する位置で該転写ローラに対して該像担持ベルトを挟んで対抗する転写対向ローラを備え、
該転写対向ローラの硬度が該転写ローラの硬度よりも低い硬度であることを特徴とする転写装置。
【請求項8】
請求項6または7の転写装置において、
上記像担持体は複数の張架部材によって張架されて無端移動する像担持ベルトであり、
上記転写ローラが該像担持ベルトの表面に当接する位置で該転写ローラに対して該像担持ベルトを挟んで対抗する転写対向ローラを備え、
該転写対向ローラは両端部の径に比べて中央部の径の方が大きい太鼓形状であることを特徴とする転写装置。
【請求項9】
請求項7または8の転写装置において、
上記転写対向ローラは、発泡ゴムからなることを特徴とする転写装置。
【請求項10】
請求項6、7、8または9の転写装置において、
上記像担持体は、静電潜像が形成される潜像担持体と対向し、該潜像担持体上に形成されたトナー像を一次転写される中間転写体であり、
上記転写ローラは、該中間転写体の表面に当接するように配置された表面移動する二次転写ローラであることを特徴とする転写装置。
【請求項11】
請求項6、7、8、9またはまたは10の転写装置において、
上記転写ローラの表面をクリーニングする転写ローラクリーニング手段を備えることを特徴とする転写装置。
【請求項12】
請求項6、7、8、9、10または11の転写装置において、
上記転写ローラの表面上に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を有することを特徴とする転写装置。
【請求項13】
請求項12の転写装置において、
上記潤滑剤塗布手段は上記潤滑剤を固形化した固形潤滑剤を備え、
上記転写ローラに該固形潤滑剤を直接接触させることを特徴とする転写装置。
【請求項14】
請求項12の転写装置において、
上記潤滑剤塗布手段は上記潤滑剤を収容する潤滑剤収容部と弾性体からなる潤滑剤塗布部材とを備え、
該潤滑剤収容部から潤滑剤塗布部材を介して上記転写ローラの表面に潤滑剤を塗布することを特徴とする転写装置。
【請求項15】
請求項12、13または14の転写装置において、
上記潤滑剤はステアリン酸亜鉛であることを特徴とする転写装置。
【請求項16】
静電潜像が形成される潜像担持体と、
該潜像担持体上の該静電潜像を現像してトナー像とする現像手段と、
該潜像担持体上に形成されたトナー像を記録体に転写する転写手段と、
トナー像が転写された記録体上にトナー像を定着させる定着手段とを有する画像形成装置において、
該転写手段として、請求項6、7、8、9、10、11、12、13、14または15の転写装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−9410(P2008−9410A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141854(P2007−141854)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】