説明

転写材分離装置、転写装置および画像形成装置

【課題】気体による転写材の分離を効率よくかつより確実に行う。
【解決手段】転写材移動部材(中間転写ベルト4)とともに移動してくる転写材8の先端に気体を吹き付けて転写材8の先端部を転写材移動部材から分離する転写材分離エア装置20と、転写材8の転写材移動状況に基づいて転写材分離エア装置20の作動を制御する制御部とを備え、転写材分離エア装置20が第1の気流ダクト23aと、第2の気流ダクト23bと、第3の気流ダクト23cとを有する。第1の気流ダクト23aは転写材8の搬送方向と前記転写材の平面内で直交する方向の中央部に配設される。第2および第3の気流ダクト23b,23cは、転写材8の搬送方向と転写材8の平面内で直交する方向に
第1の気流ダクト23aと隣接するとともに互いに反対側に配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体現像剤(液体トナー)像を用いた、例えば複写機、ファクシミリ、プリンター等の電子写真方式の画像形成装置において、液体現像剤像が転写された転写材を転写材移動部材から分離する転写材分離装置、液体現像剤像を転写材に転写する転写装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体現像剤(液体トナー)を用いた画像形成装置においては、転写装置で転写材が転写装置の転写媒体に圧接されかつ転写媒体とともに移動することで、転写材に液体現像剤像が転写される。また、定着装置で液体現像剤像が転写された転写材が定着装置の定着部材に圧接されかつ定着媒体とともに移動することで、転写材に液体現像剤像が定着される。
【0003】
これらの場合、転写材の液体現像剤像側の転写面が、転写媒体あるいは定着部材等の転写材移動部材に圧接される。このように転写材の転写面が転写材移動部材に圧接されると、液体現像剤の特有の性質のため、転写材は転写材移動部材に張り付き易い。このため、液体現像剤像が転写された転写材を転写材移動部材から分離させることは難しい。そこで、従来、転写材移動部材とともに移動してくる転写材の先端にエアを吹き付けることで、転写材の先端部を転写材移動部材から強制的に分離するようにした転写材分離装置を備える画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の転写材分離装置では、吹き付けられるエアが転写材の先端と転写材移動部材との間に進入することで、転写材の先端部を分離するようにしている。
【特許文献1】特許第3128067号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の特許文献1に記載の転写材分離装置では、画像形成動作時および画像形成動作中には転写材の先端にエアを単に吹き付けているだけである。このため、転写材の分離を確実にかつ効率よく行うことは難しい。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、気体による転写材の分離を効率よくかつより確実に行うことができる転写材分離装置、転写装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するために、本発明に係る転写材分離装置、転写装置および画像形成装置では、転写材分離気流部により気体の気流を発生させている。そして、この気体を転写媒体あるいは潜像担持体等の現像剤像担持体である転写材移動部材とともに移動してくる転写材の先端に吹き付けている。この吹付け気体により、転写材を転写材移動部材から分離させることができる。これにより、転写材が転写材移動部材とともに移動するのを防止でき、転写材を次の搬送位置の方へ確実に移動させることができる。
【0007】
特に、転写材分離気流部の気流ダクトの気体吹付け口の近傍に気流制御弁を配設する。この気流制御弁により、気体の吹き付け開始時に所望の流量の気体を安定して転写材の先端に吹き付けることが可能となる。これにより、エア吹付けによる転写材先端の剥離をより確実にかつ効率よく行うことが可能となる。
【0008】
また、転写材分離気流部による気体の吹付け時の気体の流量、気体の吹付け時間、および気体の吹付け開始タイミング等の転写材分離気流部の作動条件を、転写材の種類による分離の難易性、転写材先端部の余白(先端非画像部)量、および転写材の移動速度等の、転写材が転写材移動部材とともに移動してくる転写材移動状況に基づいて設定しているので、転写材分離気流部の作動を最適に行うことができ、転写材を更に効率よくかつ適切に分離することができる。特に、分離し難い転写材であっても転写材移動部材から、より確実に分離することができる。
【0009】
更に、第1の気流ダクトが転写材の搬送方向と直交もしくは略直交する方向の前記転写材の中央部に配設される。また、第2の気流ダクトが転写材の搬送方向と直交もしくは略直交する方向で第1の気流ダクトと隣り合うように配設される。更に、第3の気流ダクトが転写材の搬送方向と直交もしくは略直交する方向で第2の気流ダクトと反対側に第1の気流ダクトと隣り合うように配設される。そして、第1の気流ダクトから吹き付けられる気体の第1の流速が、第2および第3の気流ダクトから吹き付けられる気体の第2および第3の流速より高速にされる。これにより、例えば、転写材の種類、転写材の先端部余白量、および転写材の移動速度等の転写材の移動状況に対応して転写材を転写材移動部材から効率よく分離することができる。
【0010】
また、転写材分離気流部の作動を最適に行うことができることから、転写材分離気流部を経済的に作動することができ、省エネルギ化を図ることができる。しかも、転写部に転写材が搬送されないときには、転写材分離気流部の駆動を行わないようにすることができる。これにより、転写材分離気流部を更に経済的に作動することができ、一層の省エネルギ化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明にかかる転写材分離装置を備えた画像形成装置の実施の形態の第1例を模式的にかつ部分的に示す図である。
図1に示すように、この第1例の画像形成装置1は、タンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色の液体現像剤を用いた作像ユニット2Y,2M,2C,2Kを備えている。ここで、各作像ユニット2Y,2M,2
C,2Kにおいて、2Yはイエローの作像ユニット、2Mはマゼンタの作像ユニット、2
Cはシアンの作像ユニット、2Kはブラックの作像ユニットを表す。また、他の部材についても同じように、部材の符号にそれぞれ各色のY,M,C,Kを添えて各色の部材を表す

【0012】
各作像ユニット2Y,2M,2C,2Kは、それぞれ、潜像担持体である感光体3Y,3M,3C,3Kを備えている。各感光体3Y,3M,3C,3Kは、図1に示す第1例ではいず
れも、感光体ドラムから構成されている。なお、各感光体3Y,3M,3C,3Kは、無端
ベルト状に構成することもできる。
【0013】
これらの感光体3Y,3M,3C,3Kは、いずれも作動時に図1に矢印αで示すように
時計回りに回転するようにされている。また、図示しないが各作像ユニット2Y,2M,2C,2Kは、それぞれ、液体現像材を用いた従来周知の画像形成装置と同様に、各感光体
3Y,3M,3C,3Kの周囲に配置された帯電部材、露光装置、液体現像装置、感光体ス
クイーズ装置、除電装置、および感光体クリーニング装置を備えている。これらの帯電部材、露光装置、液体現像装置、感光体スクイーズ装置、除電装置、および感光体クリーニング装置は、各感光体3Y,3M,3C,3Kの回転方向に向かってこれらの順に配設され
ている。各感光体3Y,3M,3C,3Kには、それぞれ対応する色の静電潜像が形成され
るとともに、各静電潜像が各色の液体現像剤で現像されてトナー像が形成される。
【0014】
また図1に示すように、画像形成装置1は、転写媒体である無端状の中間転写ベルト4を備えている。なお、転写媒体は転写ローラで構成することもできる。以下の説明では、転写媒体が中間転写ベルト4であるとして説明する。
この中間転写ベルト4は図示しないモータの駆動力が伝達されるベルト駆動ローラ5および一対の従動ローラ6,7に張架されている。その場合、ベルト駆動ローラ5と一方の
従動ローラ6とは互いに、後述する二次転写装置14へ搬送されてくる紙等の転写材8の矢印で示す転写材移動方向βに沿って所定間隔を置いて隣接して配設されている。また、ベルト駆動ローラ5と他方の従動ローラ7とは互いに各感光体3Y,3M,3C,3Kのタ
ンデム配置方向に沿って離間して配設されている。更に、中間転写ベルト4はテンションローラ9によって所定のテンションが付与されている。そして、中間転写ベルト4はベルト駆動ローラ5によって図1に矢印γで示す反時計回りに回転可能に設けられている。
【0015】
なお、この第1例の画像形成装置1では、各作像ユニット2Y,2M,2C,2Kは中間
転写ベルト4の回転方向γ上流側(図1において、左側)から色Y、M、C、Kの順に配設されているが、これらの各色Y、M、C、Kの配置順は任意に設定することができる。
【0016】
各感光体3Y,3M,3C,3Kの周囲には、それぞれ一次転写装置10Y,10M,10
C,10Kが配設されている。これらの一次転写装置10Y,10M,10C,10Kは、それぞれ図示しない感光体スクイーズ装置と除電装置との間に配置される。各一次転写装置10Y,10M,10C,10Kは、それぞれ一次転写用の各バックアップローラ11Y,11M,11C,11Kを備えている。これらのバックアップローラ11Y,11M,11C,
11Kによって中間転写ベルト4が各感光体3Y,3M,3C,3Kに圧接される。
【0017】
そして、各バックアップローラ11Y,11M,11C,11Kは、トナー粒子の帯電極
性と逆極性の電荷が印加されることにより、各感光体3Y,3M,3C,3K上の各トナー
像がそれぞれ中間転写ベルト4に転写される。その場合、中間転写ベルト4に最初イエロー(Y)のトナー像が転写され、マゼンタ(M)のトナー像がイエロー(Y)のトナー像に色重ねされて転写される。以後、中間転写ベルト4上にシアン(C)のトナー像およびブラック(K)のトナー像がこれらの順に先に転写されたトナー像に色重ねされて転写され、中間転写ベルト4上にフルカラーのトナー像が形成される。
【0018】
各一次転写装置10Y,10M,10C,10Kより中間転写ベルト4の回転方向γ下流
側の各一次転写装置10Y,10M,10C,10Kの近傍には、それぞれ、中間転写ベル
トスクイーズ装置12Y,12M,12C,12Kが配設されている。各中間転写ベルトス
クイーズ装置12Y,12M,12C,12Kは、それぞれ、中間転写ベルトスクイーズロ
ーラ13Y,13M,13C,13Kを備えている。各中間転写ベルトスクイーズローラ1
3Y,13M,13C,13Kは、それぞれ中間転写ベルト4上の対応する色のキャリア液
を回収するものである。
【0019】
更に、中間転写ベルト4のベルト駆動ローラ5側には二次転写装置14が設けられている。二次転写装置14は、互いに転写材移動方向βに沿って所定間隔離間して配置された一対のローラ15,16と、ローラ16に関して転写材移動方向βとほぼ直交する方向に
配置されたローラ17と、これらの3つのローラ15,16,17に掛け渡された転写ベルト18とを備えている。転写材移動方向βの上流側のローラ15は、ベルト駆動ローラ5に対向して配置されて転写ベルト18をベルト駆動ローラ5に巻きかけられた中間転写ベルト4に圧接している。また、転写材移動方向βの下流側のローラ16は、従動ローラ6に対向して配置されて転写ベルト18を従動ローラ6に巻きかけられた中間転写ベルト4に圧接している。そして、転写材8が2つのローラ15,16間の転写ベルト18とベル
ト駆動ローラ5および従動ローラ6間の中間転写ベルト4との間の転写ニップ部に挟圧さ
れかつ転写材移動方向βに沿って移動しながら、中間転写ベルト4のトナー像(液体現像剤像)が転写材8に転写される。したがって、中間転写ベルト4は本発明の転写材移動部材および液体現像剤像担持体も構成している。
【0020】
なお、図示しないが、この第1例の画像形成装置1は、二次転写を行う従来の一般的な画像形成装置と同様に、二次転写装置14より転写材搬送方向上流側に例えば紙等の転写材8を収納する転写材収納装置と、この転写材収納装置からの転写材8を二次転写装置14へ搬送供給するレジストローラ対とを備えている。この画像形成装置1は、同様に二次転写装置14より転写材搬送方向下流側に定着装置および排転写材トレイを備えている。図1には、転写材8を二次転写装置14から定着装置へ搬送するための転写材ベルト搬送装置27が部分的に示されている。
【0021】
図1に示すように、二次転写装置14は、その転写ニップ部の終端に隣接して設けられた転写材分離装置19を備えている。図2に示すように、この転写材分離装置19は、転写材8が中間転写ベルト4から分離する分離位置4aにエアを吹き付ける転写材分離エア装置20(本発明の転写材分離気流部に相当)からなっている。なお、転写材分離エア装置20は、エア以外の気体を吹き付ける気体吹付け装置を用いることもできる。以下の説明では、エアを吹き付ける転写材分離エア装置20を用いるものとして説明する。
【0022】
図2に詳細に示すように、転写材分離エア装置20は、装置本体内のエアを吸い込んで気流を発生する気流発生部であるエアファン22と、エアファン22によって発生した気流が流れる気流ダクトであるエアダクト23と、このエアダクト23の先端に設けられた気体吹付け口であるエア吹付け口24とを備えている。エア吹付け口24は、転写材8と中間転写ベルト4との分離位置4aに向かって開口している。したがって、エア吹付け口24から、気流によるエアがこの分離位置4aに向かって吹き付けられようになっている(なお、転写材分離エア装置20によるエアの吹付け方向は、従動ローラ6に巻き掛けられた中間転写ベルト4の円弧状部の分離位置4aにおける接線方向またはほぼ接線方向となっている)。転写材分離装置19のエアファン22は、画像形成装置1の制御装置によって作動制御される。
【0023】
更に図2に示すように、二次転写装置14の転写材移動方向βの上流側近傍には、一対のローラ25a,25bからなるゲートローラ25が設けられている。更に、このゲート
ローラ25の転写材移動方向βの上流側に隣接して、転写材先端検知センサ26(転写前転写材先端検知センサ)が配設されている。転写材先端検知センサ26は、従来公知の光学的センサで構成することもできるし、また機械的センサで構成することもできる。
【0024】
転写材先端検知センサ26が転写材先端を検知する先端検知位置とゲートローラ25の一対のローラ25a,25b間のニップ部の中心位置25cとが距離Aに設定されている
。また、一対のローラ25a,25b間のニップ部の中心位置25cと二次転写装置14
の転写ニップ部の終端および分離位置4a間の所定位置4bとが距離Bに設定されている。この距離Bは、中間転写ベルト4と転写ベルト18との転写ニップ部の長さによっても影響される。そして、転写材分離エア装置20はエア吹付け口24からエアを分離位置4aに吹き付けるようにされている。
【0025】
図3は、転写材分離気流装置によるエアの吹付けタイミングのシーケンスを示す図である。
図3に示すように、画像形成動作時に、転写材8が二次転写装置14の方へ、画像形成装置1に対して予め設定されている転写材移動速度で移動してくると、転写材先端検知センサ26が転写材8の先端を検知してオンとなる。転写材先端検知センサ26のオン後設定時間tA(sec;距離A/転写材移動速度)が経過すると、転写材8の先端がローラ
25a,25b間のニップ部の中心位置25cに到達するとともに、制御装置からゲート
ローラ駆動信号が出力される。これにより、ゲートローラ25がオンして回転する。すると、このゲートローラ25のオンが二次転写を行う際の転写材8の先端の搬送開始のトリガとなり、中間転写ベルト4上に一次転写されたフルカラーのトナー像の二次転写装置14の転写位置へのタイミングに合わせて転写材8がその先端から搬送開始される。
【0026】
ゲートローラ25による転写材先端の搬送開始のトリガから設定時間tB(sec;距
離B/転写材移動速度)が経過すると、転写材8の先端が二次転写装置14の転写ニップ部の終端を通過して前述の所定位置4bに到達する。すると、エアファン22が駆動され、転写材分離エア装置20はエア吹付け口24からエアを分離位置4aに吹付け開始する。これにより、転写材8の先端部と中間転写ベルト4との間に空気が進入して、転写材8の先端部と中間転写ベルト4とが分離開始する。そして、分離位置4aへのエアの吹付けが所定時間tC(sec)行われると、エアファン22が停止され、転写材分離エア装置
20によるエアの吹付けが終了する。そして、分離された転写材8の先端部は、転写材8を定着装置へ搬送するための転写材ベルト搬送装置27の方へ移動される。
【0027】
ところで、この第1例の画像形成装置1では、転写材分離エア装置20による吹き付け時のエアの流量、エアの吹付け時間tC(sec)、およびエアの吹付け開始タイミング
等の転写材分離エア装置20の作動条件が、転写材8の種類による分離の難易性、転写材先端部の余白(先端非画像部)量による分離の難易性、および転写材8の移動速度による分離の難易性等の、転写ニップ部から転写材8が排出される転写材排出状況(本発明の移動状況に相当)に基づいて設定されるようになっている。その場合、分離し難い転写材8の種類、分離し易い転写材8の種類、転写材先端部の余白量の大小の基準値、転写材8の移動速度の基準値、画像形成装置1の制御装置のメモリに予め格納されている。
【0028】
すなわち、画像形成装置1の制御装置により、画像形成装置1のユーザによって選択された転写材8の種類が中間転写ベルト4から分離し難い転写材8であると判断されると、エアファン22の回転数が高くされる。これにより、強風が分離位置4aつまり転写材8の先端に吹き付けられる。更に、転写材8の先端部が中間転写ベルト4から分離した後は、エアファン22の回転数が転写材8の先端部の分離開始前より低くされて弱風が所定時間転写材8の先端に吹き付けられる。このようにして、中間転写ベルト4から分離し難い転写材8の場合には、エアの流量は転写材分離前の強風から転写材分離後の弱風に変更されるとともに、転写材先端部の分離後も弱風が所定時間吹き付け続けられ、エアの吹付け時間tC(sec)が比較的長く設定される。
【0029】
また、制御装置により、転写材8の種類が中間転写ベルト4から分離し易い転写材8であると判断されると、前述と同様の強風が転写材8の先端に吹き付けられる。その場合、強風の転写材先端への吹付け時間が前述の分離し難い転写材8の場合より短く設定されるとともに、転写材先端部の分離後は、エアファン22が停止されてエアの吹付けが終了する。したがって、分離し易い転写材8の場合には、エアの吹付け時間tC(sec)は、
分離し難い転写材8の場合に比べて短く設定される。
【0030】
更に、制御装置により、転写材8の移動速度が基準値より上で高速であると判断されると、転写材先端の搬送開始のトリガから中間転写ベルト4との分離位置4aに到達するまでの時間tB(sec)が短くなる。したがって、この場合には、エアの吹付け開始タイ
ミングが移動速度に応じて早められて、速く分離位置4aに到達する転写材8の先端部の分離がより確実に行われるようにされる。
【0031】
更に、制御装置により、転写材先端部の余白量が基準値より上で多いと判断されると、転写材8の先端部はトナーが少ないので中間転写ベルト4から分離し易い。したがって、
この場合には、エアファン22の回転数を余白量が基準値以下の場合より低くして、転写材8の先端部の分離がより効率よく行われるようにされる。
そして、転写材分離エア装置20のエアの流量、エアの吹付け時間tC(sec)、お
よびエアの吹付け開始タイミングが前述の諸転写材排出状況のうち、1つの状況あるいは複数の状況の組合せに基づいて設定されるようになっている。
【0032】
なお、図3において、転写材8の後端が転写材先端検知センサ26を通過すると、転写材先端検知センサ26がオフとなる。また、転写材先端検知センサ26のオフ後設定時間tA(sec)が経過すると、転写材8の後端が2つのローラ25a,25b間のニップ部の中心位置25cを通過するとともに、制御装置からのゲートローラ駆動信号の出力が停止される。これにより、ゲートローラ25がオフとなりその回転が停止する。
【0033】
このように構成された転写材分離装置19を備えたこの第1例の画像形成装置1によれば、転写材分離エア装置20により気流を発生させてエア吹付け口24からエアを分離位置4aに向かって吹き付けるようにしているので、この吹付けエアにより、転写材8を分離させることができる。これにより、転写材8が中間転写ベルト4とともに移動するのを防止でき、転写材8を次の搬送位置である転写材ベルト搬送装置27の方へ確実に移動させることができる。
【0034】
その場合、転写材分離エア装置20によるエアの吹付け時のエアの流量、エアの吹付け時間tC(sec)、およびエアの吹付け開始タイミング等の転写材分離エア装置20の
作動条件を、転写材8の種類による分離の難易性、転写材先端部の余白(先端非画像部)量、および転写材8の移動速度等の、転写材8が転写ニップ部から排出される転写材排出状況に基づいて設定しているので、転写材分離エア装置20の作動を最適に行うことができ、転写材8を更に効率よくかつ適切に分離することができる。特に、分離し難い転写材8であっても中間転写ベルト4から、より確実に分離することができる。
【0035】
また、転写材分離エア装置20の作動を最適に行うことができることから、ファンを経済的に作動することができ、省エネルギ化を図ることができる。しかも、二次転写装置14に転写材8が搬送されずゲートローラ25がオンしないときには、ファン22の駆動を行わないようにすることができる。これにより、ファン22を更に経済的に作動することができ、一層の省エネルギ化を図ることができる。
【0036】
図4(a)は、本発明の実施の形態の第2例の転写材分離装置を示し、図4(b)は、本発明の実施の形態の第3例の転写材分離装置を示す斜視図である。
図4(a)に示すように、第2例の画像形成装置1では、第1転写材分離装置19の左右両側にも、第2および第3転写材分離装置41,42がそれぞれ設けられている。これ
らの第2および第3転写材分離装置41,42は、第1転写材分離装置19の第1転写材
分離エア装置20とエアの吹出し流速以外はまったく同じ構成の第2および第3転写材分離エア装置43,44(本発明の第2および第3転写材分離気流装置に相当)を備えてい
る。したがって、これらの第2および第3転写材分離エア装置43,44も、同様にそれ
ぞれエアファン22と、エアダクト23と、エア吹付け口24とを備えている。第2および第3転写材分離エア装置43,44のエアファン22も、同様に画像形成装置1の制御
装置によって作動制御される。そして、各ファン22によって発生された気流のエアがエア吹付け口24から転写材8の分離位置4aに向かって吹き付けられようになっている。
【0037】
第2および第3転写材分離エア装置43,44のエアの吹出し流速は互いに同じに設定
されているが、中央の第1転写材分離エア装置20のエアの吹出し流速よりは小さく設定されている。すなわち、3つの第1ないし第3転写材分離エア装置20,43,44からそれぞれ吹き出されるエアの流速は、転写材移動方向と直交もしくは略直交する方向の転写
材8の先端の中央部で大きく、転写材8の先端の両側部で小さくなるように、転写材移動方向と直交もしくは略直交する方向で異なるように設定されている。したがって、転写材8の先端の中央部に強風が吹き付けられ、また転写材8の先端の両側部に弱風が吹き付けられる。
【0038】
このように流速を異ならせる方法としては、第1転写材分離エア装置20のエアファン22の回転数を他の2つの第2および第3転写材分離エア装置43,44のエアファン2
2の回転数より大きくする方法がある。また、流速を異ならせる他の方法としては、第1転写材分離エア装置20のエアファン22の容量を他の2つの第1および第2転写材分離エア装置43,44のエアファン22の容量より大きくする方法がある。更に、流速を異
ならせる他の方法としては、第1転写材分離エア装置20のエアダクト23の流路面積を他の2つの第1および第3転写材分離エア装置43,44のエアダクト23の流路面積よ
り小さくする方法がある。
【0039】
このように構成された第1転写材分離装置19を備えたこの第2例の画像形成装置1によれば、3つの第1ないし第3転写材分離エア装置20,43,44により気流を発生させてそれらのエア吹付け口24からエアを分離位置4aに向かって吹き付けるようにしているので、この吹付けエアにより、転写材8を分離させることができる。
【0040】
その場合、転写材8の先端に吹き付けるエアの流速を、転写材移動方向と直交もしくは略直交する方向で異ならせている。したがって、例えば、転写材8の種類による分離の難易性、転写材8の先端部における余白(先端非画像部)量による分離の難易性、および転写材8の移動速度による分離の難易性等の転写材8の移動状況に対応して吹き付ける気体の流速を異ならせることで、転写材8を中間転写ベルト4から効率よく分離することができる。
【0041】
また、この第2例では、転写材8の先端に吹き付けるエアの流速を、転写材移動方向と直交もしくは略直交する方向の転写材8の中央部で大きく、転写材8の両側部で小さくなるように、転写材移動方向と直交もしくは略直交する方向で異なるように設定している。したがって、転写材8の前述の中央部で転写材8の先端部を確実に分離させて、この中央部の分離した転写材8の先端部と中間転写ベルト4との間の隙間にエアを強く浸入させることができる。そして、中央部の隙間に浸入したエアはほとんど漏出しないので、転写材8の先端部をその中央部から両側部に向かって中間転写ベルト4から効果的に分離させることができる。特に、分離し難い転写材8であってもより確実に分離することができるようになる。これにより、転写材8が中間転写ベルト4とともに移動するのを防止でき、転写材8を次の搬送位置である転写材ベルト搬送装置27の方へ確実に移動させることができる。
【0042】
更に、転写材8の先端にエアを吹き付けるエア吹付け装置として、前述の直交もしくは略直交する方向で転写材8の中央部と転写材8の両側部とにおいてそれぞれ個別の第1ないし第3転写材分離エア装置20,43,44を設けることで、転写材8の中央部と転写材8の両側部とにそれぞれ吹き付けるエアの流速を独立して制御することができる。これにより、転写材8を転写材8の前述の移動状況に対応して中間転写ベルト4からより適切に分離することができる。
第2例の画像形成装置1の他の構成および他の作用効果は、第1例と同じである。
【0043】
前述の図4(a)に示す第2例では、3つの第1ないし第3転写材分離装置19,41,42を独立して設けているが、図4(b)に示すようにこの第3例の画像形成装置1では、第1転写材分離装置19のみを設けている。そして、第1転写材分離装置19に、転写材搬送路の前述の中央部に位置する第1エアダクト23a、この第1エアダクト23aの
両側部に位置する第2および第3エアダクト23b,23cとが設けられている。これら
の第1ないし第3エアダクト23a,23b,23cは、いずれも前述のダクト23と同じ構成を有しているが、中央部の第1エアダクト23aの流路面積が、両側部の第2および第3エアダクト23b,23cの流路面積より小さく設定されている。また、両側部の第
2および第3エアダクト23b,23cの流路面積は互いに等しく設定されている。
【0044】
そして、第1ないし第3エアダクト23a,23b,23cは1台の共通のエアファン22に接続されている。したがって、中央部の第1エアダクト23aにおける気流のエアの流速が大きく、両側部の第2および第3エアダクト23b,23cにおける気流のエアの
流速が小さくなる。すなわち、中央部の第1エアダクト23aの第1エア吹付け口24aからエアが比較的高速で噴出され、また、両側部の第2および第3エアダクト23b,2
3cの各第2および第3エア吹付け口24b,24cからエアが比較的低速で噴出される

【0045】
この第3例では、前述の直交もしくは略直交する方向で転写材8の中央部と転写材8の両側部とに対応してそれぞれ第1ないし第3エアダクト23a,23b,23cを設けるとともに、1台のエアファン22でこれらの第1ないし第3エアダクト23a,23b,23cに気流を発生している。これにより、転写材分離装置19の構成を簡単にかつコンパクトにできる。
なお、この第3例では、1台の共通のエアファン22を用いているので、エアファン22の容量を前述の第2例の3台のファンの容量より大きくする必要がある。
第3例の画像形成装置1の他の構成および他の作用効果は、第1例と同じである。
【0046】
図5は、本発明の実施の形態の第4例の転写材分離装置を拡大して示す、図2と同様の部分拡大図である。
図5に示すように、第4例の画像形成装置1では、転写材厚検知センサ45が転写材移動方向βで転写材先端検知センサ26より手前近傍位置に配設されている。この転写材厚検知センサ45は、搬送されてくる転写材8の厚みを検出する。また、転写材ベルト搬送装置27には、転写後転写材先端検知センサ46が配設されている。その場合、転写後転写材先端検知センサ46は、搬送されてくる転写後の転写材8の先端が転写材ベルト搬送装置27によって確実に搬送される位置に設けられるのが好ましい。この転写後転写材先端検知センサ46は、画像が転写された転写材8の先端を検知するものである。
この第4例の画像形成装置1の他の構成は、第1例と同じである。
【0047】
図6は、第4例の転写材分離気流装置によるエアの吹付けタイミングのシーケンスを示す図である。
図6に示すように、画像形成動作時に、転写前の転写材8が二次転写装置14の方へ、画像形成装置1に対して予め設定されている転写材移動速度で移動してくる。転写材8が転写材厚検知センサ45を通過することで、この転写材8の厚みが検知される。
【0048】
次に、転写材8の先端が転写材先端検知センサ26の位置δにくると、転写材先端検知センサ26が転写材8の先端を検知してオンとなる。更に転写材8の先端がローラ25a,25b間のニップ部の中心位置25cである位置εに到達すると、前述と同様にしてゲ
ートローラ25がオンする。ゲートローラ25のオン後、設定時間tD(sec)が経過
すると、エアファン22がオンされる。この設定時間tD(sec)は、転写材8の先端
が中間転写ベルト4から剥離する剥離部ζに到達しない時間に適宜設定される。エアファン22のオン開始直後ではエアファン22の風量が安定しないため、転写材8の先端が剥離部ζに到達する前に予めエアの吹き付けが開始される。これにより、転写材8の先端が剥離部ζに到達した時点では、エアファン22の風量が安定し所望の大きさになっているため、エアの吹き付けによる転写材8の先端の剥離が効果的に行われる。
【0049】
転写材8は剥離部ζを通過して中間転写ベルト4から剥離した後、転写材ベルト搬送装置27へ移動される。そして、転写材8が転写材ベルト搬送装置27に吸着されて搬送開始されると、転写材8の先端が転写後転写材先端検知センサ46の検知位置ηにくる。すると、転写後転写材先端検知センサ46がオンする。この転写後転写材先端検知センサ46のオン後、設定時間tE(sec)が経過すると、エアファン22がオフされる。この
設定時間tE(sec)は、転写材ベルト搬送装置27による転写材8の吸着が完了され
て転写材8が確実に搬送される状態になる時間に適宜設定される。これにより、エアファン22によるエアの吹付けがオフされる。
【0050】
転写材先端検知センサ26は転写材8の後端が通過するとオフになるとともに、ゲートローラ25も転写材8の後端が通過するとオフになる。更に、転写後転写材先端検知センサ46も転写材8の後端が通過するとオフになる。
【0051】
この第4例の画像形成装置1では、転写材8の位置によってエアファン22が確実に制御されるので、エア吹付けによる転写材8の先端剥離をより効果的に行うことが可能となる。また、転写材厚検知センサ45によって搬送されてくる転写材8の厚みが検知される。そして、比較的厚みの厚い腰の強い転写材8の場合には、転写材8は剥離部ζで中間転写ベルト4から剥離しやすいので、制御装置はエアファン22の回転数を低くして、エアの吹き出し量を少なくする。一方、比較的厚みの薄い腰の弱い転写材8の場合には、転写材8は剥離部ζで中間転写ベルト4から剥離し難いので、制御装置はエアファン22の回転数を高くして、エアの吹き出し量を多くする。これにより、エアの吹き出し量を転写材8の厚みに応じて効率よく制御することが可能となる。
第4例の画像形成装置1の他の作用効果は、第1例と同じである。
【0052】
図7は、本発明の実施の形態の第5例の転写材分離装置を拡大して示す、図5と同様の部分拡大図である。
図7に示すように、第5例の画像形成装置1では、エアダクト23内に気流制御弁であるエア制御弁47がエア吹付け口24の近傍に位置して配設されている。このエア制御弁47はエア吹付け口24の開閉を制御して、エアの吹出しを制御する。図8に示すように、エア制御弁47はエアダクト23に、実線で示すエア吹付け口24の閉位置と、二点鎖線で示すエア吹付け口24の開位置との間で回動可能に設けられている。
【0053】
このエア制御弁47には、作動レバー48が一体回動可能に連結されているとともに、この作動レバー48はソレノイド49のロッド49aに相対回転可能に連結されている。ソレノイド49は制御装置によってその励磁が制御される。また、このエア制御弁47はリターンスプリング50によって、常時、エア吹付け口24の閉位置の方へ付勢されている。
【0054】
転写材8が転写材収容カセット(不図示)から搬送されない通常状態では、エア制御弁47が閉位置に設定されてエア吹付け口24が閉じている。また、エアファン22の駆動により、エア制御弁47に関しエア吹付け口24と反対側のエアダクト23内には、常時所定のエア圧が貯留されている。その場合、この所定のエア圧は、所望の風量のエアが、エア制御弁47が開いた直後からエア吹付け口24より安定して吹き出すことが可能な圧力に設定される。
【0055】
そして、転写材8の先端が剥離部ζの直前に到達したとき、ソレノイド49がオンされてエア制御弁47が開位置に設定されてエア吹付け口24が開く。したがって、エアダクト23内の所定圧のエアがエア吹付け口24から吹き出される。このとき、すでにエア圧が所定圧となっているため、所望の風量のエアが、エア制御弁47が開いた直後から安定
して吹き出される。これにより、エア吹付けによる転写材先端の剥離をより確実にかつ効率よく行うことが可能となる。
この第5例の画像形成装置1の他の構成は、第4例と同じである。
【0056】
図9は、第5例の転写材分離気流装置によるエアの吹付けタイミングのシーケンスを示す図である。
図9に示すように、第5例のエアの吹付けタイミングは、エアファン22のオン・オフおよびエア制御弁47のオン・オフが図6に示す第4例と異なり、他のオン・オフは第4例と同じである。
【0057】
第5例のエアファン22は、エアダクト23内に前述の所定のエア圧が貯留していない間はオンにされるが、エアダクト23内に所定のエア圧が貯留されるとオフにされる。このエアファン22のオン・オフは、図示しない圧力センサで検知されたエアダクト23内の圧力に基づいて制御装置が制御する。なお、図示例では、エアファン22はオン状態が保持されている。
【0058】
また、エア制御弁47は、剥離部ζの直前でオンにされて開位置に設定される。これは、予め貯留された所定圧のエアが弁方式により吹き出されるため、吹付けタイミングは転写材8の先端が剥離部ζの直前に来たときに吹付けで開始しても、所望の風量のエアが安定して吹き出すことが可能なためである。これにより、図9に二点鎖線で示す第4例のエアファン22によるエア吹付けの開始より遅くすることが可能となる。その結果、エア吹付けの開始制御をより効率よく行うことが可能となる。
【0059】
また、転写後転写材先端検知センサ46のオン後、設定時間tF(sec)が経過する
と、エア制御弁47がオフされる。このエア制御弁47の設定時間tF(sec)は、第
4例のエアファン22の設定時間tE(sec)と同じかもしくはこの設定時間tE(sec)より短く設定される。エア制御弁47の設定時間tF(sec)は、可能な限り短く
設定するのが、ダクト23内のエア圧の損失を極力抑制する上で望ましい。
この第5例の画像形成装置1の他の作用効果は、第4例と同じである。
【0060】
なお、転写材分離装置19は、搬送されてくる転写材8の左右方向(搬送方向と直交する方向)中心に位置するように配置することもできるし、所定数を転写材8の左右方向に所定の間隔をおいて配置することもできる。所定数の転写材分離装置19を設ける場合には、転写材分離装置19を転写材8の左右方向中心に関して左右対称に配置することが転写材8の分離を効果的に行ううえで好ましい。
【0061】
また、転写材分離装置19は、搬送されてくる転写材8の左右方向(搬送方向と直交する方向)中心に位置するように配置することもできるし、所定数を転写材8の左右方向に所定の間隔をおいて配置することもできる。所定数の転写材分離装置19を設ける場合には、転写材分離装置19を転写材8の左右方向中心に関して左右対称に配置することが転写材8の分離を効果的に行ううえで好ましい。
【0062】
更に、本発明は、例えば中間転写ベルト4を備えず、各感光体3Y,3M,3C,3Kつ
まり潜像担持体のトナー像が直接転写材8に転写される、液体現像剤を用いた画像形成装置にも適用することができる。その場合には、転写材分離装置は転写材を潜像担持体から分離するようになる。したがって、この場合の潜像担持体は本発明の転写材移動部材および液体現像剤像担持体を構成する。また、潜像担持体に転写材を圧接させるバックアップローラ(前述の例のバックアップローラ11Y,11M,11C,11Kに相当)が本発明
の転写部材を構成する。
また、本発明は、4サイクルの画像形成装置にも適用することができる。更に、本発明
は単色の液体現像剤を用いた画像形成装置にも適用することができる。
【0063】
更に、本発明の転写材分離装置は転写ニップ部から排出される転写材の分離に限定されることなく、定着装置の定着ニップ部から排出される転写材の定着部材(定着ローラ等)からの分離にも適用することができる。この場合には、転写材分離装置は定着ニップ部の終端より、転写材搬送方向下流側の近傍に設けられる。
要は、転写材搬送装置から転写材を分離する装置であれば、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内でどのような転写材分離装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明にかかる転写材分離装置を備えた画像形成装置の実施の形態の第1例を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図2】図1に示すII部分における転写材分離気流装置の作動条件のためのパラメータを説明する部分拡大図である。
【図3】図1に示す第1例の転写材分離気流装置におけるエア吹付けタイミングのシーケンスを示す図である。
【図4】(a)は、本発明の実施の形態の第2例の転写材分離装置を示し、(b)は、本発明の実施の形態の第3例の転写材分離装置を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態の第4例の転写材分離装置を拡大して示す、図2と同様の部分拡大図である。
【図6】第4例の転写材分離気流装置によるエアの吹付けタイミングのシーケンスを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態の第5例の転写材分離装置を拡大して示す、図5と同様の部分拡大図である。
【図8】図7に示すエア制御弁の配設部分の部分拡大図である。
【図9】第5例の転写材分離気流装置によるエアの吹付けタイミングのシーケンスを示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1…画像形成装置、2Y,2M,2C,2K…作像ユニット、3Y,3M,3C,3K…感光体、4…中間転写ベルト、4a…分離位置、8…転写材、10Y,10M,10C,10K…
一次転写装置、14…二次転写装置、18…転写ベルト、19…転写材分離装置、20…第1転写材分離エア装置、22…エアファン、23…エアダクト、23a…第1エアダクト、23b…第2エアダクト、23c…第3エアダクト、24…エア吹付け口、24a…第1エア吹付け口、24b…第2エア吹付け口、24c…第3エア吹付け口、25…ゲートローラ、26…転写材先端検知センサ、27…転写材ベルト搬送装置、43…第2転写材分離エア装置、44…第3転写材分離エア装置、45…転写材厚検知センサ、46…転写後転写材先端検知センサ、47…エア制御弁、49…ソレノイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写材移動部材とともに移動される転写材に気体を吹き付けて前記転写材を前記転写材移動部材から分離する転写材分離気流部と、
前記転写材分離気流部により前記転写材に吹き付ける気体の流れを制御する制御部と
を備え、
前記転写材分離気流部は、
気流を発生させる気流発生部と、
前記転写材の搬送方向と直交もしくは略直交する方向の前記転写材の中央部に配設されるとともに、前記気流発生部に接続される第1の気体吹付け口を有する第1の気流ダクトと、
前記転写材の搬送方向と直交もしくは略直交する方向で前記第1の気流ダクトと隣り合うように配設されるとともに、前記気流発生部に接続される第2の気体吹付け口を有する第2の気流ダクトと、
前記転写材の搬送方向と直交もしくは略直交する方向で前記第2の気流ダクトと反対側に前記第1の気流ダクトと隣り合うように配設されるとともに、前記気流発生部に接続される第3の気体吹付け口を有する第3の気流ダクトと、
を有することを特徴とする転写材分離装置。
【請求項2】
前記気流発生部は、
前記第1の気流ダクトに気流を発生させる第1の気流発生部材と、
前記第2の気流ダクトに気流を発生させる第2の気流発生部材と、
前記第3の気流ダクトに気流を発生させる第3の気流発生部材と、
を有する請求項1に記載の転写材分離装置。
【請求項3】
前記第1の気流ダクトに配設された第1の気流制御弁と、
前記第2の気流ダクトに配設された第2の気流制御弁と、
前記第3の気流ダクトに配設された第3の気流制御弁と
を有する請求項1または2に記載の転写材分離装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記転写材の種類、前記転写材の先端部余白量,もしくは前記転写材の移動速度により前記転写材分離気流部で吹き付ける気体を制御する請求項1ないし3のいずれか1に記載の転写材分離装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記転写材分離気流部による吹き付け時の気体の流量、気体の吹付け時間、および気体の吹付け開始タイミングの少なくとも1つを制御する請求項4に記載の転写材分離装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の気流ダクトから吹き付ける気体の第1の流速が、前記第2の気流ダクトから吹き付ける気体の第2の流速および前記第3の気流ダクトから吹き付ける気体の第3の流速より高速に制御するとともに、前記第2の流速と前記第3の流速とが同じか略同じに制御する請求項4に記載の転写材分離装置。
【請求項7】
現像剤像担持体とともに移動する転写材に前記現像剤像担持体に担持された像を転写する転写部と、
気流を発生させる気流発生部と、前記転写材に気体を吹き付ける転写材分離気流部とを有し、前記像が転写された前記転写材を前記現像剤像担持体から分離する転写材分離部と、を有し、
前記転写材分離気流部は、
前記転写材の搬送方向と直交もしくは略直交する方向の前記転写材の中央部に配設され
るとともに、前記気流発生部に接続される第1の気体吹付け口を有する第1の気流ダクトと、
前記転写材の搬送方向と直交もしくは略直交する方向で前記第1の気流ダクトと隣り合うように配設されるとともに、前記気流発生部に接続される第2の気体吹付け口を有する第2の気流ダクトと、
前記転写材の搬送方向と直交もしくは略直交する方向で前記第2の気流ダクトと反対側に前記第1の気流ダクトと隣り合うように配設されるとともに、前記気流発生部に接続される第3の気体吹付け口を有する第3の気流ダクトと、
を備えることを特徴とする転写装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1の気流ダクトから吹き付ける気体の第1の流速が、前記第2の気流ダクトから吹き付ける気体の第2の流速および前記第3の気流ダクトから吹き付ける気体の第3の流速より高速に制御するとともに、前記第2の流速と前記第3の流速とが同じか略同じに制御する請求項7に記載の転写材分離装置。
【請求項9】
静電潜像を担持する潜像担持体と、
前記静電潜像をトナーと液体キャリアとを含む液体現像剤で現像して前記潜像担持体に像を形成する現像部と、
前記現像部により前記潜像担持体に現像された像が転写される転写部材と、
前記転写部材に転写された前記像を転写材に転写する転写部と、
前記像が転写された前記転写材を前記転写部材から分離する転写材分離部と、
前記転写材分離部を制御する制御部と、
を有し、
前記転写材分離部は、
気流を発生させる気流発生部と、
前記転写材に気体を吹き付ける転写材分離気流部と、
を有し、
前記転写材分離気流部は、
前記転写材の搬送方向と直交もしくは略直交する方向の前記転写材の中央部に配設されて前記気流発生部に接続される第1の気体吹付け口を有する第1の気流ダクト、前記転写材の搬送方向と直交もしくは略直交する方向で前記第1の気流ダクトと隣り合うように配設されて前記気流発生部に接続される第2の気体吹付け口を有する第2の気流ダクト、及び前記転写材の搬送方向と直交もしくは略直交する方向で前記第2の気流ダクトと反対側に前記第1の気流ダクトと隣り合うように配設されて前記気流発生部に接続される第3の気体吹付け口を有する第3の気流ダクトを備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記転写材の有無を検知する転写材検知部と、
前記転写材検知部で検知された前記転写材を転写部へ搬送するゲートローラと、
を備え、
前記制御部は、前記転写材検知部からの転写材検知信号に基づいて前記転写材分離気流部の作動を制御する請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部により駆動制御されて前記転写材検知部で検知された前記転写材を転写部へ搬送するゲートローラを備え、
前記制御部は、前記ゲートローラを駆動するゲートローラ駆動信号に基づいて前記転写材分離気流部の作動を制御する請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記転写部で前記転写部材の前記像が転写された前記転写材を検知する転写後転写材検知部を備え、
前記制御部は、前記転写後転写材検知部からの検知信号に基づいて前記転写材分離気流部の作動を制御する請求項10または11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記第1の気流ダクトから吹き付ける気体の第1の流速が、前記第2の気流ダクトから吹き付ける気体の第2の流速および前記第3の気流ダクトから吹き付ける気体の第3の流速より高速に制御するとともに、前記第2の流速と前記第3の流速とが同じか略同じに制御する請求項9に記載の転写材分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−205129(P2009−205129A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259488(P2008−259488)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】