説明

転動装置の異常検知方法及び転動装置用異常検知装置

【課題】回転する部品に導線を接続するための複雑な構造を用いることなく、かつ転動装置を機械装置から取り外すことなく転動装置に異常が発生したか否かを検知することのできる転動装置の異常検知方法及び転動装置用異常検知装置を提供する。
【解決手段】転動装置の転動装置部品に生じた金属組織の変化或いは潤滑状態の変化に起因した磁場の変化を検出するセンサとして、交流磁場形成用コイルと検出用コイルとを具備してなる電磁誘導センサ14を用い、この電磁誘導センサ14の検出用コイルに発生した誘導起電力から転動装置に異常が発生したか否かを検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受、ボールねじ、直動案内軸受装置などの転動装置に潤滑不良やフレーキングなどの異常が発生したか否かを検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、玉軸受やころ軸受などの転がり軸受を工作機械の主軸用軸受として用いる場合には、潤滑剤による回転抵抗を出来るだけ小さくすることが望ましい。そのため、転がり軸受に封入されるグリースの封入量を少なくしたり、あるいはグリースの代わりに潤滑油を使用したりするなどの方策が採られているが、転がり軸受に封入されたグリースが枯渇したり、転がり軸受に潤滑油を霧状あるいはミスト状に供給する給油装置が故障したりすると、転がり軸受に潤滑不良が発生し、焼付きなどの重大な損傷に結び付き易い。そこで、外側軌道輪と内側側軌道輪との間に組み込まれた複数の転動体が絶縁性セラミックスからなる転がり軸受の潤滑状態の良否を判定する方法として、転動体の少なくとも1個を導電性セラミックスで形成し、この転動体と外側軌道輪及び内側軌道輪との間の潤滑状態の良否を外側軌道輪と内側軌道輪との電位差に基づいて判定する方法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、転がり軸受の負荷状態を診断する方法としては、コイルに励磁電流を流して軌道輪や転動体の表層部に渦電流を誘導し、その渦電流によってコイルに発生するインピーダンスの変化を検出する渦電流センサ(具体的には、図7に示すように、交流磁場形成用コイル1と、この交流磁場形成用コイル1に交流電流を供給する交流電源2と、この交流電源2から交流磁場形成用コイル1に供給された交流電流のインピーダンス変化を検出するインピーダンス変化検出回路3と、このインピーダンス変化検出回路3で検出されたインピーダンス変化を予め設定された閾値と比較する比較器4と、この比較器4の比較結果を記録すると共に表示する記録及び表示器5とを具備してなる渦電流センサ)を用いて、転がり軸受の疲労による鋼中残留オーステナイトの減少量を測定し、その測定結果から転がり軸受の負荷状態を診断する方法が知られている(特許文献2及び特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2003−156038号公報
【特許文献2】特開2004−198246号公報
【特許文献3】特開平5−2082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された方法は、外側軌道輪と内側軌道輪との電位差を電位差計で測定する必要があり、外側軌道輪と内側軌道輪との電位差を電位差計で測定するためには、外側軌道輪及び内側軌道輪のうち回転している方の軌道輪に接続される導線が軌道輪の回転によって絡まることを防止しなければならないため、導線の接続部分の構造が複雑になるという問題があった。
【0005】
一方、特許文献2及び3に記載の方法で軌道輪の軌道面にフレーキング(早期剥離)が発生したか否かを検出するためには、工作機械などの機械に取り付けられた転がり軸受を機械から取り外して分解した後、軌道輪の軌道面に渦電流センサを近づける必要がある。このため、特許文献2に記載の方法では、転がり軸受が取り付けられた機械の運転を停止したり、転がり軸受を機械装置から取り外したりしなければならないため、多くの手間を要するという問題があった。
【0006】
本発明は上述した問題点に着目してなされたものであり、その目的は、回転する部品に導線を接続するための複雑な構造を用いることなく、かつ転がり軸受を機械装置から取り外すことなく転動装置に異常が発生したか否かを検知することのできる転動装置の異常検知方法及び転動装置用異常検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明に係る転動装置の異常検知方法は、転動装置の転動装置部品に生じた金属組織の変化または潤滑状態の変化に起因した磁場の変化を検出するセンサとして、交流磁場形成用コイルと検出用コイルとを具備してなる電磁誘導センサを用い、この電磁誘導センサの検出用コイルに発生した誘導起電力から前記転動装置に異常が発生したか否かを検知することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明に係る転動装置の異常検知方法は、請求項1記載の転動装置の異常検知方法において、前記異常が潤滑剤の劣化であることを特徴とする。
請求項3記載の発明に係る転動装置の異常検知方法は、請求項1記載の転動装置の異常検知方法において、前記異常が前記転動装置部品に発生した表面損傷であることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明に係る転動装置の異常検知方法は、請求項1記載の転動装置の異常検知方法において、前記異常が前記転動装置部品に発生した表面疲労または内部疲労であることを特徴とする。
請求項5記載の発明に係る転動装置用異常検知装置は、転動装置に異常が発生したか否かを検知する転動装置用異常検知装置であって、交流磁場形成用コイルと検出用コイルとを有してなる電磁誘導センサと、この電磁誘導センサから出力された信号を増幅する増幅器と、この増幅器で増幅された前記電磁誘導センサの出力信号を処理して前記転動装置に異常が発生したか否かを判定する判定手段とを具備してなることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明に係る転動装置用異常検知装置は、請求項5記載の転動装置用異常検知装置において、前記判定手段がマイクロコンピュータであることを特徴とする。
請求項7記載の発明に係る転動装置用異常検知装置は、請求項5または6記載の転動装置用異常検知装置において、前記電磁誘導センサ、前記増幅器及び前記判定手段の少なくとも一つが前記転動装置または前記転動装置を具備した機械に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項8記載の発明に係る転動装置用異常検知装置は、請求項5〜7のいずれか一項記載の転動装置用異常検知装置において、前記交流磁場形成用コイルと前記検出用コイルが一つの筐体内に収容されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電磁誘導センサの測定対象が空気を透過する磁場となっていることから、回転する部品に導線を接続するための複雑な構造を用いることなく転動装置に異常が発生したか否かを検知することができる。また、渦電流センサを用いた場合のように、工作機械などの機械に取り付けられた転動装置を機械から取り外して分解する必要がないので、多くの手間を要することなく早期剥離などの異常の有無を転動装置の運転時や停止時でも検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に、本発明の第1の実施形態に係る転動装置用異常検知装置の概略構成を示す。同図において符号10は軸受ハウジング、11は軸受ハウジング10内に収容された転がり軸受としての玉軸受、12は玉軸受11により支持される回転軸、13は転がり軸受などの転動装置に潤滑不良などの異常が発生したか否を検知する転動装置用異常検知装置であって、この転動装置用異常検知装置13は、転動装置部品に発生した金属組織の変化(たとえば鋼中残留オーステナイトの減少量)或いは潤滑状態の変化に起因した磁場の変化を検出する電磁誘導センサ14と、電磁誘導センサ14から出力された信号を増幅する増幅器15と、増幅器15で増幅された電磁誘導センサ14の出力信号を処理して転動装置(玉軸受11)に異常が発生したか否かを判定する判定手段としてのマイクロコンピュータ16とを備えている。
【0014】
電磁誘導センサ14は、図2に示すように、転動装置部品(例えば玉軸受11の外側軌道輪11b)の検査部位を含む空間部に交流磁場を形成する交流磁場形成用コイル14aと、この交流磁場形成用コイル14aにより形成された交流磁場の変化を電磁誘導現象により検出する検出用コイル14bとからなり、交流磁場形成用コイル14aには、励磁電流として交流電流が交流電源19(図1参照)から供給されるようになっている。なお、検出用コイル14bは交流磁場形成用コイル14aに一部を接触させて交流磁場形成用コイル14aと同軸に巻回されている。また、交流磁場形成用コイル14a及び検出用コイル14bは一つの筐体内に収容されている。
【0015】
電磁誘導センサ14の検出用コイル14bは増幅器15(図1参照)に接続しており、検出用コイル14bに発生した誘導起電力は、増幅器15で増幅された後、玉軸受などの転動装置に異常が発生したか否かを判定する判定手段としてのマイクロコンピュータ16に供給されるようになっている。
マイクロコンピュータ16は、増幅器15で増幅された電磁誘導センサ14の出力信号(検出用コイル14bの誘導起電力)を信号処理する信号処理部16aと、この信号処理部16aの出力を予め設定された閾値と比較し、信号処理部16aの出力が閾値より大きい場合に潤滑不良などの異常が転動装置に発生したと判定する比較判定部16bとを備えて構成されており、比較判定部16bの判定結果は、CRT等の表示器17に出力されるとともに、プリンタ等の記録装置18に出力されるようになっている。
【0016】
なお、電磁誘導センサ14は玉軸受11の外側軌道輪11bまたは軸受ハウジング10と一体に固定されていてもよいし、取り外し可能に固定されていてもよい。また、電磁誘導センサ14、交流電源19、増幅器15及びマイクロコンピュータ16の一部または全部が転動装置または転動装置が取り付けられた機械と一体になっていてもよい。
このように構成される転動装置用異常検知装置13を用いて玉軸受11などの転動装置の潤滑状態の良否を判定する場合は、図1に示すように、電磁誘導センサ14の軸方向が玉軸受11の転動体11aと外側軌道輪11bとの接触面に対して垂直になるように電磁誘導センサ14を外側軌道輪11bの外周面に近づけ、この状態で交流電源19から電磁誘導センサ14の交流磁場形成用コイル14aに交流電流を供給する。そうすると、交流電源19から供給された交流電流によって電磁誘導センサ14の交流磁場形成用コイル14aが励磁され、図3に示すような交流磁界20が交流磁場形成用コイル14aの励磁によって発生する。なお、交流電源19では、供給する交流電流の周波数を調整することができるものを用いることが望ましい。
【0017】
このようにして電磁誘導センサ14の交流磁場形成用コイル14aから交流磁界20が発生すると、電磁誘導センサ14の検出用コイル14bに誘導起電力が発生する。このとき、検出用コイル14bに発生した誘導起電力は潤滑剤の劣化による潤滑状態の変化や疲労による外側軌道輪11bの鋼中残留オーステナイトの変化に起因して転動装置内に生じる磁場の変化によって変化するため、検出用コイル14bに発生した誘導起電力を予め設定された閾値と比較することによって、玉軸受11における潤滑状態の良否を判定することできる。
【0018】
したがって、上述した本発明の第1の実施形態では、転がり軸受の潤滑状態の良否を判定する際に回転側軌道輪と電気的に導通している部材と電位差計とを導線で接続する必要がないので、回転する部品に導線を接続するための複雑な構造を用いることなく転がり軸受の潤滑状態の良否を高精度に判定することができる。
また、早期剥離などの異常が発生したか否かを検査する際に、工作機械などの機械に取り付けられた転動装置を機械から取り外して分解する必要がないので、多くの手間を要することなく早期剥離などの異常の有無を転動装置の運転時や停止時でも検査することができる。
【0019】
さらに、マイクロコンピュータ16で得られた検査結果を、回転軸12の回転の制御に利用することができる。
なお、上述した第1の実施形態では検査対象物として玉軸受を例示したが、これに限られるものではなく、例えばころ軸受、ボールねじ、直動案内軸受装置についても本発明を適用することができる。また、軸受はスラスト軸受でもよいし、ラジアル軸受でもよく、内輪及び外輪のどちらか一方または両方が回転する場合において適用することができる。さらに、電磁誘導センサ14から増幅器15及び増幅器15からマイクロコンピュータ16への信号の伝達は有線でも無線でもよい。
【0020】
次に、本発明の第2の実施形態に係る転動装置用異常検知装置の概略構成を図4に示す。同図に示される転動装置用異常検知装置は円筒ころ軸受のもみ抜き保持器21aに欠陥や損傷などの異常が発生したか否か機械の運転を停止して、転がり軸受を機械から取り外した状態で検査する場合に用いられるものであって、半組立て状態のころ軸受を載置するためのターンテーブル22と、このターンテーブル22の上方に配置された電磁誘導センサ14と、この電磁誘導センサ14をX軸回り(図中矢印θx方向)に揺動駆動するセンサ揺動機構23と、このセンサ揺動機構23を介して電磁誘導センサ14を図中Z軸方向に昇降駆動するセンサ昇降機構24と、電磁誘導センサ14を図中X軸方向及びY軸方向に動かしてセンサを位置決めするセンサ位置決め機構25と、ターンテーブル22を図中X軸方向に動かしてもみ抜き保持器21aなどの転動装置部品を位置決めする転動装置部品位置決め機構26とを備えて構成されている。
【0021】
電磁誘導センサ14は、図2に示したように、交流磁場形成用コイル14aと検出用コイル14bとからなり、交流磁場形成用コイル14aには、交流電流が交流電源から供給されるようになっている。なお、検出用コイル14bは交流磁場形成用コイル14aに一部を接触させて交流磁場形成用コイル14aと同軸に巻回されている。また、交流磁場形成用コイル14a及び検出用コイル14bは一つの筐体内に収容されている。なお、図4中21bは円筒ころ軸受の円筒ころ、21cは円筒ころ軸受の外側軌道輪を示している。
【0022】
このような転動装置用異常検知装置を使用して欠陥や損傷などの異常がもみ抜き保持器21aに発生したか否かを検知する手順としては、先ず、図4に示すように、内輪(図示せず)が取り除かれたもみ抜き保持器付き円筒ころ軸受をターンテーブル22上に載置する。次に、ターンテーブル22、センサ揺動機構23、センサ昇降機構24、センサ位置決め機構25及び転動装置部品位置決め機構26を駆動して電磁誘導センサ14をもみ抜き保持器21aの端面に近づけた後、電磁誘導センサ14の交流磁場形成用コイル14aに交流電圧を印加すると、交流磁場形成用コイル14aから交流磁界が発生する。
【0023】
このようにして電磁誘導センサ14の交流磁場形成用コイル14aから交流磁界が発生すると、電磁誘導センサ14の検出用コイル14bに誘導起電力が発生する。このとき、検出用コイル14bに発生した誘導起電力はもみ抜き保持器21aに発生した欠陥や損傷などに比例して変化するため、検出用コイル14bに発生した誘導起電力を予め設定された閾値と比較することによって、欠陥や損傷などの異常がもみ抜き保持器21aに発生したか否かを検知することできる。
【0024】
次に、本発明の第3の実施形態に係る転動装置用異常検知装置の概略構成を図5に示す。同図に示される転動装置用異常検知装置は、転がり軸受部品を部品単体又は転がり軸受として組立てた状態あるいは半組立て状態として載置するターンテーブル22と、このターンテーブル22の上方に配置された電磁誘導センサ14と、この電磁誘導センサ14を図中Z軸回り(図中矢印θz方向)に揺動駆動するセンサ揺動機構27と、このセンサ揺動機構27を介して電磁誘導センサ14を図中Z軸方向に昇降駆動するセンサ昇降機構24と、電磁誘導センサ14を図中X軸方向及びY軸方向に動かしてセンサを位置決めするセンサ位置決め機構25と、ターンテーブル22を図中X軸方向に動かして転動装置部品を位置決めする転動装置部品位置決め機構26とを備えて構成されている。
【0025】
電磁誘導センサ14は、図2に示すように、交流磁場形成用コイル14aと検出用コイル14bとからなり、交流磁場形成用コイル14aには、交流電流が交流電源から供給されるようになっている。なお、検出用コイル14bは交流磁場形成用コイル14aに一部を接触させて交流磁場形成用コイル14aと同軸に巻回されている。また、交流磁場形成用コイル14a及び検出用コイル14bは一つの筐体内に収容されている。
【0026】
このような転動装置用異常検知装置を使用して欠陥や損傷などの異常がもみ抜き保持器21aの柱部に発生したか否かを検知する手順としては、先ず、機械の運転を停止して、転がり軸受を機械から取り外した状態で、図5に示すように、内輪(図示せず)が取り除かれたもみ抜き保持器付き円筒ころ軸受をターンテーブル22上に載置する。次に、ターンテーブル22、センサ揺動機構27、センサ昇降機構24、センサ位置決め機構25及び転動装置部品位置決め機構26を駆動して電磁誘導センサ14をもみ抜き保持器21aの柱部に近づけた後、電磁誘導センサ14の交流磁場形成用コイル14aに交流電圧を印加すると、交流磁場形成用コイル14aから交流磁界が発生する。
【0027】
このようにして電磁誘導センサ14の交流磁場形成用コイル14aから交流磁界が発生すると、電磁誘導センサ14の検出用コイル14bに誘導起電力が発生する。このとき、検出用コイル14bに発生した誘導起電力はもみ抜き保持器21aの柱部に発生した欠陥や損傷などに比例して変化するため、検出用コイル14bに発生した誘導起電力を予め設定された閾値と比較することによって、欠陥や損傷などの異常がもみ抜き保持器21aの柱部に発生したか否かを検知することできる。
【0028】
上述した第2及び第3の実施形態では、転動装置部品としてもみ抜き保持器を例示したが、これに限られるものではない。たとえば、図6に示すように、転動装置部品として転がり軸受の内側軌道輪21dをターンテーブル22上に載置して欠陥や損傷などの異常が内側軌道輪21dに発生したか否かを検知するようにしてもよい。
なお、組立てた状態で内輪と外輪が分離可能なころ軸受としては、実施例の円筒ころ軸受に限らず、円錐ころ軸受や自動調心ころ軸受でも手で分解・組立てが可能であり、分解・組立ての繰り返しにより性能に影響する傷等が発生しなければ適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る転動装置用異常検知装置の概略構成を示す図である。
【図2】転動装置の転動装置部品に生じた金属組織の変化或いは潤滑状態の変化に起因して磁場の変化を検出する電磁誘導センサの概略構成を示す斜視図である。
【図3】電磁誘導センサの交流磁場形成用コイルから発生する交流磁界を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る転動装置用異常検知装置の概略構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る転動装置用異常検知装置の概略構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る転動装置用異常検知装置の概略構成を示す斜視図である。
【図7】渦電流センサの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
10 軸受ハウジング
11 玉軸受
11a 転動体
11b 外側軌道輪
11c 内側軌道輪
12 回転軸
13 転動装置用異常検知装置
14 電磁誘導センサ
14a 交流磁場形成用コイル
14b 検出用コイル
15 増幅器
16 マイクロコンピュータ
16a 信号処理部
16b 比較判定部
17 表示器
18 記録装置
19 交流電源
20 交流磁界
21a 円筒ころ軸受のもみ抜き保持器
21b 円筒ころ軸受の円筒ころ
21c 円筒ころ軸受の外側軌道輪
21d 円筒ころ軸受の内側軌道輪
22 ターンテーブル
23,27 センサ揺動機構
24 センサ昇降機構
25 センサ位置決め機構
26 転動装置部品位置決め機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転動装置の転動装置部品に生じた金属組織の変化または潤滑状態の変化に起因した磁場の変化を検出するセンサとして、前記転動装置部品の検査部位を含む空間部に交流磁場を形成する交流磁場形成用コイルと、この交流磁場形成用コイルにより形成された交流磁場の変化を電磁誘導現象により検出する検出用コイルとを具備してなる電磁誘導センサを用い、この電磁誘導センサの交流磁場内に配置される検出用コイルに発生した誘導起電力から前記転動装置に異常が発生したか否かを検知することを特徴とする転動装置の異常検知方法。
【請求項2】
請求項1記載の転動装置の異常検知方法において、前記異常が潤滑剤の劣化であることを特徴とする転動装置の異常検知方法。
【請求項3】
請求項1記載の転動装置の異常検知方法において、前記異常が前記転動装置部品に発生した表面損傷であることを特徴とする転動装置の異常検知方法。
【請求項4】
請求項1記載の転動装置の異常検知方法において、前記異常が前記転動装置部品に発生した表面疲労または内部疲労であることを特徴とする転動装置の異常検知方法。
【請求項5】
転動装置に異常が発生したか否かを検知する転動装置用異常検知装置であって、交流磁場形成用コイルと検出用コイルとを有してなる電磁誘導センサと、この電磁誘導センサから出力された信号を増幅する増幅器と、この増幅器で増幅された前記電磁誘導センサの出力信号を処理して前記転動装置に異常が発生したか否かを判定する判定手段とを具備してなることを特徴とする転動装置用異常検知装置。
【請求項6】
前記判定手段がマイクロコンピュータであることを特徴とする請求項5記載の転動装置用異常検知装置。
【請求項7】
請求項5または6記載の転動装置用異常検知装置において、前記電磁誘導センサ、前記増幅器及び前記判定手段の少なくとも一つが前記転動装置または前記転動装置を具備した機械に取り付けられていることを特徴とする転動装置用異常検知装置。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項記載の転動装置用異常検知装置において、前記交流磁場形成用コイルと前記検出用コイルが一つの筐体内に収容されていることを特徴とする転動装置用異常検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−32672(P2008−32672A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255418(P2006−255418)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】