説明

転換可能な接着剤およびその接着剤を利用する物体

【解決手段】
本発明は、物体、例えば、カーペットまたはカーペットタイルのような床の敷物等の提供に関し、物体は、複数の構成要素を含んでなり、構成要素の1つは、接着剤であり、接着剤の状態は、選択的に変化させることが可能である。その変化は、物体の状態を、使用のための第一状態と物体をより容易に再利用できるようにする第二状態との間で変化させるように使用されることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それによって物体を、第一使用に適切な第一形態から第二使用に適切な第二形態に、より容易に適応可能にさせることができる手段と、接着剤、具体的には、少なくともデンプンを発泡して発泡デンプンを提供すること、発泡デンプンをエステル化してエステル型の発泡デンプンを提供すること、およびエステル型の発泡デンプンを可塑化して可塑化エステル型の発泡デンプンを提供することにより得られる可塑化エステル型の発泡デンプンとを含んでなるまたは本質的に可塑化エステル型の発泡デンプンからなる熱水溶媒の転換可能な接着剤(これに限定されない)とに関する。本発明は、具体的には、物体の適合性が達成されるためにこのような熱水溶媒の転換可能な接着剤を薬剤として使用する方法と、様々な物体での使用のために、適合性の結果としてその物体をより容易に再利用できるようにする、このような接着剤の使用および調製とに関する。具体的には、本発明は、床の敷物またはそれらの一部として使用するための第一形態と、物体の少なくとも1つの構成要素がより容易に再利用されることができる第二形態を有する床の敷物(例、カーペット、カーペットタイルまたはラグ等)とに関する。
【背景技術】
【0002】
床の敷物は、広く用いられ、これらの例は、カーペットタイル、カーペットまたはラグ(以下、「カーペットまたはカーペットタイル」(これに限定しない)と呼ぶ)である。カーペットまたはカーペットタイルは、世界中の多くの家庭や企業において選択される床の敷物であるが、残念なことに、カーペットまたはカーペットタイルは、限られた寿命を有し、最終的には交換されなければならず、結果としての使用済みのカーペット廃棄物は一般的に埋め立てゴミ処理地に送られる。
【0003】
これらの大量のカーペット廃棄物は、環境に悪影響をもたらし、カーペットに含まれるナイロンやビチューメンのような材料の再利用は、目下のところ制限されている。このように廃棄された使用済みのカーペットまたはカーペットタイルの量は、潜在的に再利用可能な材料において著しい経済的損失となる。
【0004】
従って、環境における影響を制限しカーペットまたはカーペットタイル中のいくつかの材料を再使用するために、再利用が、近年魅力的になっていることは、驚くべきことではない。しかしながら、カーペットまたはカーペットタイルを作り上げるのに使用される構成要素は、化学的および物理的に多様であるので、カーペットまたはカーペットタイルを再利用することは、困難である。
【0005】
カーペットまたはカーペットタイルは、典型的に、一次裏打ち上に繊維状面の表面のような路面(traffic−bearing)または化粧表面(以下、カーペット表面層と呼ぶ)を含んでなり、カーペット表面層は、一次裏打ち層またはシートに、および固体もしくは泡沫状基材の1層もしくは複数の層を貼合した表面を含む裏打ち層に、製織され、ニードルパンチされ、融着され、或いは固定されてきた。
【0006】
固体の基材は、典型的にポリ塩化ビニル基材またはビチューメンのような熱可塑性タイプの材料、もしくはアタクチックポリプロピレン裏打ち層を含んでなる。例えば、カーペットまたはカーペットタイルは、糸条(またはカーペット繊維)のカーペット表面層と、ビチューメン、EVA(エチレン−ビニルアセタート)、APP(アタクチックポリプロピレン)、ホットメルト、ウレタン、およびSBR(スチレン−ブタジエン)および/またはポリプロピレンのいずれかもしくは任意の組み合わせを含む裏打ち層と、カーペット表面層(糸条;カーペット表面繊維)のフィラメントを互いに貼着するおよび裏打ち層が接着される接着剤組成物とからなることが可能である。さらに、ガラス基材、一次基布のような他の構成要素も、存在してもよい(図1参照)。
【0007】
カーペット表面層内のフィラメントを一緒に貼合するのに一般に塗布される、例えば、カーペットまたはカーペットタイルのビチューメン裏打ち層を接着する接着剤は、ラテックス、具体的にはカルボキシル化されたスチレンブタジエンコポリマーラテックス(SBR−ラテックスとも呼ぶ)である。このような材料は、カーペットまたはカーペットタイルの裏打ち接着剤として長年使用されてきた。
【0008】
カーペットまたはカーペットタイルを再利用するには、カーペット表面層、接着剤および裏打ち層は、新製品に再加工されるためにもしくは化学的に再利用されるために、典型的には、分離されるのが望ましい。残念なことに、カーペットまたはカーペットタイルの構成要素の再利用は、層が大きな引っ張り応力下で機械的に分離される場合、接着剤(例えば、SBRラテックス)が残留するために妨害される。即ち、接着剤が、カーペット表面層の糸条中と裏打ち層内/裏打ち層上との両方に依然として存在しうるので、その結果、適切な再使用にはふさわしくない汚染された材料が提供される。
【0009】
機械的手段によるかもしくはカーペットまたはカーペットタイルの構成要素の積層を調節するかどちらかによって、カーペットまたはカーペットタイルの構成要素をより良好に分離するための様々な方法が提案されてきた。例えば、米国特許第5240530号明細書は、カーペットを粉砕し水浴内で洗浄して、カーペットの様々な材料が濃度によって分離される方法を開示する。しかしながら、この方法は、例えば、糸条または裏打ちに貼着する接着剤の残留の問題を解決しないだろう。
【0010】
米国特許第5230473号明細書は、カーペットの基部構成要素材料を崩壊、分離および隔離する方法を記載し、その方法は、加圧液体と化学溶液を加えることにより、ラテックス/充填材の結合材系を緩めて二次裏打ちから剥離することを備える。しかしながら、この方法は、大量の化学薬品を用いるプロセスにおいて、多量のエネルギーを費やさなければならない欠点を有する一方、さらに糸条/布帛内/上の接着剤の残留問題が満足に解決されていない。
【0011】
米国特許第5840773号明細書は、アルコール−水剤中にカーペット廃棄物を溶かすことにより、カーペット廃棄物からナイロンを抽出する方法を記載する。この方法は、大量の有機溶媒を使用する。別の例は、カプロラクタムと水との混合液に溶かしたカーペットからナイロンを溶かすことを開示する米国特許第5889142号明細書である。
【0012】
別のアプローチは、接着剤を改質して、接着剤がより容易に分離されるようにすることである。
【0013】
カーペットタイル用の様々な改質された(ラテックス系)接着剤が、記載されているが、一般的に、これらは、カーペット繊維から容易に分離も除去もされない。
【0014】
例えば、米国特許第4191799号明細書は、スチレン、ブタジエンのコポリマーと、オレフィン−グラフトした鉱油配合剤と組み合わせたカルボン酸含有モノマーとから調製した接着剤を開示する。米国特許第3546059号明細書は、スチレン、ブタジエン、塩化ビニリデン、および複合材料の繊維の貼合を改善する機能性モノマーから調製される接着剤を開示する。
【0015】
米国特許第6610769号明細書は、カーペットに使用のための、スチレン、ブタジエンのコポリマー分散液、およびエチレン系不飽和カルボン酸モノマーとラテックスの混合物を用いる接着剤を開示する。
【0016】
特開昭6343542号公報は、接着剤が水または熱水中に浸漬される場合に、分解または融解されうる水溶性接着剤の使用を記載する。水溶性接着剤とコポリマーエマルション接着剤が単独もしくは組み合わせて使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第5240530号明細書
【特許文献2】米国特許第5230473号明細書
【特許文献3】米国特許第5840773号明細書
【特許文献4】米国特許第5889142号明細書
【特許文献5】米国特許第4191799号明細書
【特許文献6】米国特許第3546059号明細書
【特許文献7】米国特許第6610769号明細書
【特許文献8】特開昭6343542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、物体(例、カーペットまたはカーペットタイル等)の効率的な再利用に関して上述した問題に対する納得できる解決法が全く提供されておらず、また、再利用することができるカーペットまたはカーペットタイルに適切に使用できる申し分のない接着剤が全く提供されていない。
【0019】
長耐久性、耐ブリスター性を有し、良好な接着性を有し、湿潤時に強度を保持するが、大量の有機化合物も剪断力も使用せずまた他の機械的処理や環境に悪影響を与える化学的処理もしないで容易に除去でき、カーペット表面繊維から裏打ち層を除去および/または分離でき、かつカーペット表面層と裏打ち層の両方の効率的な再利用に応じる、例えばカーペットまたはカーペットタイルへの使用に適切である環境により優しい接着剤を開発することは、有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
接着剤によって、前記接着剤の使用および/または特許請求の範囲に開示されるこのような接着剤を調製する方法により、さらに物体(例、カーペットまたはカーペットタイル等)を組み合わせて前記接着剤を使用することによる驚くべき利点により、上記の問題を少なくとも1つ解決できることが驚くべきことにここで判明された。
【0021】
本発明の特定の記述は、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に従って形成された床の敷物の一部の形態における物体の一部の立面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第一態様において、複数の構成要素から形成される物体であって、物体の少なくとも1つの構成要素が再利用、廃棄または別のプロセスをより容易に応じさせる第一形態および第二形態を有し、物体が接着剤組成物を含み、物体の第一形態から第二形態への状態の変化が達成されるように、その状態を選択的に変化させることが可能である物体を提供する。
【0024】
一実施形態において、物体の第一形態は、床の敷物としての或いはそれらの一部としての使用である。具体的には、物体は、カーペットもしくはカーペットタイルであることが可能である。
【0025】
一実施形態において、接着剤は、可塑化エステル型の発泡デンプンを含んでなる或いは本質的に可塑化エステル型の発泡デンプンからなる熱水溶媒の転換可能な接着剤である。
【0026】
一実施形態において、状態の変化は、物体の少なくとも1つの構成要素に関して、接着剤がその接着力を失うか或いは少なくとも低下するようにさせることにより、達成される。典型的には、接着力の低下は、物体から少なくとも1つの構成要素の分離をさらに容易に達成させるようにするのに十分である。
【0027】
さらに、本発明は、物体の適合性が達成できる薬剤として、このような熱水溶媒の転換可能な接着剤を使用する方法に関する。
【0028】
一実施形態において、前記可塑化エステル型の発泡デンプンは、少なくともデンプンを発泡させて発泡デンプンを提供し、発泡デンプンをエステル化してエステル型の発泡デンプンを提供し、エステル型の発泡デンプンを可塑化して可塑化エステル型の発泡デンプンを提供することにより、得られる。
【0029】
用語「熱水溶媒の転換可能な接着剤」は、前記接着剤を含む物体(例えば、カーペットまたはカーペットタイル)を、接着剤を溶解、砕解もしくは軟化させることができる温度で溶媒を用いて処理し、それにより、物体内のその接着機能を失うまたは低下することにより、接着剤の接着機能を失うまたは少なくとも低下するように処理されることが可能な接着剤を指す。
【0030】
本発明の実施において、例えば、カーペットまたはカーペットタイルもしくは別の物体に塗布される本発明に係る熱水溶媒の転換可能な接着剤は、例えば約100℃の温度の水性溶媒(例えば、水)中にその接着剤を浸漬させることにより、または接着剤を含む物体もしくはカーペットまたはカーペットタイルを熱蒸気で処理することにより、或いは本明細書に開示される他の手段により、除去されるもしくは状態において変化させることが可能である。接着剤の状態の変化は、少なくとも1つの構成要素が分離に応じるように接着剤の接着力を低下させて、それによって、物体、カーペットタイルまたはカーペットの個々の構成要素を、その後の再利用および各々の特定の分離される構成要素に適切な異なる再利用プロセスに応じるようにする。言い換えると、これにより、物体、カーペットまたはカーペットタイルの構成要素が分離されなかった場合よりも、物体、カーペットタイルまたはカーペットが再利用できる全パーセンテージが高くなる。本発明に係る熱水溶媒の転換可能な接着剤は、上記の可塑化エステル型の発泡デンプンを含んでなる或いは本質的に可塑化エステル型の発泡デンプンからなる。
【0031】
出発材料として使用されるデンプンは、トウモロコシ、ジャガイモおよび小麦をはじめとするデンプンの任意の標準供給源から得られても誘導されてもよい。デンプンは、標準的に、2種の主要成分、アミロースとアミロペクチンを含んでなる。非分岐のアミロースは、アルファ−1,4グリコシド結合によって、互いに結合しているグルコース分子からなり、アミロペクチンは分岐している。
【0032】
用語「可塑化される」、「可塑化」、「可塑性」および「可塑剤」は全て、例えばポリマーを軟化するためにそれらが加えられる材料の可塑性もしくは流動性を改質/増大させる可塑剤の特性を示す。
【0033】
用語「エステル化される」もしくは「エステル化」等は全て、2種の化学物質が反応生成物としてエステルを形成する化学反応を指す。
【0034】
本明細書において使用される用語「発泡デンプン」は、当技術分野においてその標準の意味であり、処理されて、このような処理の結果として、未処理のデンプンと比較して、表面積、多孔度を増大させかつ濃度を低下させるデンプンのことである。当技術分野において利用可能な方法、好ましくは実施例において例証される方法によって、表面積を測定できる。
【0035】
本発明に係る接着剤は、(接着剤の使用はこのような使用にだけに限定されていないが)、特に床の敷物、具体的にはカーペットまたはカーペットタイルもしくはラグに使用される接着剤として適切であることが判明している。
【0036】
接着剤は、以下の、物体(例えばカーペットまたはカーペットタイル)を形成する部分の良好な粘着性(下の例を参照);長耐久性;耐ブリスター性;湿潤時における強度の保持をはじめとする特性のうち少なくとも1つまたは任意の組み合わせを示すことが可能であり、完全かつ容易に「転換される」ことが可能であり、それは、物体において接着剤として使用される際に、大量の有機化合物を使用しないで、前記物体におけるその接着機能を失うまたは少なくとも低下するように、処理されることが可能であり、高い剪断力または他の機械的処理や環境に悪影響を与える化学的処理も必要としないで、前記接着剤によって、互いに(直接的にまたは間接的に)接着される物体のこれらの構成要素を(さらに)容易に分解させることを意味する;および/または転換不可能な接着剤と比較すると、カーペット表面層から裏打ち層の改善された除去および/または分離、および/または前記層の部分のさらなる分解および分離、そしてカーペット表面層と裏打ち層の両方の効率的または改善された再利用に応じる。
【0037】
接着剤が、例えばカーペットまたはカーペットタイルに塗布される場合、接着剤は、カーペット表面層の繊維を所定場所に固定する際に機能することが可能であり、裏打ち層に(中間層を介して直接か間接的のいずれかで)接着する。
【0038】
本発明の接着剤は、任意の製織または不織カーペットまたはカーペットタイル材料の裏面に塗布されて、ベース糸を例えばカーペット表面層の他の糸条に固定し、さらにカーペット表面層を裏打ち層に固定することに加えて、この接着剤は、パイルまたはタフテッドカーペットまたはカーペットタイルの製造に特に有用である。タフテッドループもしくはカットパイルカーペットまたはカーペットタイルにおいて、糸条は、一連の針によって、一次基布を通って差し込まれるまたは縫合される。一次基布は、他の材料も使用できるが、典型的には不織ポリエステルまたは製織されたポリプロピレン布帛である。その後、糸条は、接着剤プレコートで一次裏打ちに固定される。製織プロセスによってパイル表面と裏打ちが同時に形成される際に、別のプロセスが、存在する。両方のこれらのタイプのカーペットまたはカーペットタイルにおいて、糸条は、裏打ち層に接着されるだけでなく機械的に貼着される。別のタイプのカーペットまたはカーペットタイル構造において、パイル糸は、カットまたはループされて、その後接着剤で裏打ち層に固定されるパイル層を形成するように配置される。このタイプのカーペットまたはカーペットタイルは、Fusion Bondedとして公知である。
【0039】
カーペットタイルは、典型的には、複数の層から作製される裏打ち層を含む。これらのタイルの構造は、かなり複雑であり、タフティングを安定化するようにラテックスが含浸された、および例えばポリプロピレン層にビチューメンを用いてラミネートされた繊維状の例えばタフテッド、一次布地のカーペット表面層からなってもよい。
【0040】
その製造もしくはカーペットタイルまたはカーペット、殊にタフテッドカーペットに関する詳しい記載については、参考文献として、「Carpets And Other Textile Floor Coverings」、Robinson,2nd ED.,1972,Textile Book Service,Division of Bonn Industries Inc.,The Trinity Press,Londonが挙げられる。 “Wellington Sears Handbook of Industrial Textiles,”Kaswell,1963, Wellington Sears Co.,INC.,New Yorkも参照のこと。
【0041】
特に、裏打ち層が(酸化された)ビチューメン、またはポリマー改質されたビチューメンを含んでなる場合に、或いは別の方法として裏打ち層がPVCを含む場合に、本発明の接着剤は、有利であることが判明している。このような材料は、カーペットまたはカーペットタイルの製造において、基材として使用されることが多い。生産されたカーペットまたはカーペットタイルは、繊維状面の表面(以下、カーペット表面層と呼ぶが、これに限定されない)と、ビチューメン組成物もしくはPVCに一体貼合された裏面表面(以下裏打ち層と呼ぶが、これに限定されない)とを有する。典型的には、二次裏打ちシートは、ビチューメンまたはPVC裏打ち層の裏面表面に固定される。
【0042】
カーペット表面層は、糸条、カーペット面繊維および/またはタフトの形態であることが可能であり、或いは糸条、カーペット面繊維および/またはタフトを含むことが可能であり、カーペットおよびカーペットタイルに適切に使用されることが可能であり、一般的にカーペット表面層を形成できる多種多様な材料、つまり、典型的に見られかつその上を歩くような布地を意味する(図1を参照)。
【0043】
非限定の例として、天然または合成有機繊維またはそれらの組み合わせ、絹、綿、羊毛、髪毛、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン繊維等のような材料が挙げられる。これらの材料には、難燃剤、静電防止剤、静菌薬、老化防止剤、染料、顔料、螢光発光剤等が含有されうる。
【0044】
用語「裏打ち層」は、カーペット表面繊維を支持する材料を表し、その材料は、床の敷物材料に緩衝性や寸法安定性を提供する役目をする典型的には固体の出来る限り多層の高分子材料であり、典型的には、直接または間接的に例えばガラス基材(図1参照)および/またはカーペット表面繊維に連結されている。
【0045】
カーペットまたはカーペットタイル等に塗布される場合、接着剤組成物は、裏打ち層とカーペット表面層を貼着状態にしておくために、乾燥時に高い接着力を備えなければならず、例えば清掃中にカーペット表面層の繊維を裏打ち層から分離することによる、カーペットまたはカーペットタイルの初期破損を回避するために、湿潤時に十分な強度を維持しなければならない。
【0046】
しかしながら、従来型のカーペットまたはカーペットタイル用の接着剤は、典型的にこのような乾燥強度および湿潤強度を有する一方、それらは、カーペット繊維から容易に除去されず、典型的に大々的な化学的または機械的な除去処理が必要となる。対照的に、本発明に係る接着剤は、容易に「転換される」、以下に詳細に記載するように有機溶媒や高い剪断強度等を必要としないで、接着剤がその接着機能を失うまたは少なくとも低下させるように処理できることを意味する。
【0047】
好適な一実施形態において、上記の接着剤が提供され、発泡デンプンは、少なくとも50m2/グラム、さらに好ましくは少なくとも100m2/グラム、尚さらに好ましくは少なくとも150m2/グラム、最も好ましくは少なくとも175m2/グラムの表面積を有する。
【0048】
デンプン分子の表面積が、少なくとも50m2/グラム、さらに好ましくは少なくとも100m2/グラム、尚さらに好ましくは少なくとも150m2/グラム、最も好ましくは少なくとも175m2/グラムである場合、本発明範囲内の有利な特性を有する接着剤を提供できることが判明している。
【0049】
本発明に係る接着剤を提供する際に、上記の表面積を有する発泡デンプンを有利に使用することが可能であることが判明している。それより小さい表面積は、より大きい表面積のような効率的な可塑化および改質を提供できないことが判明している。エステル化は、ゆっくりで、同じ置換度(DS)を実現しないと考えられている。従って、その製品は、記載したような表面積を有するデンプンから得られる製品と同じ有利な特性を示さないだろう。
【0050】
これは一般的に、本発明に係る接着剤を提供する際に適切に使用されるために、表面積を増大させるという観点からデンプンを発泡することによって、天然デンプンを改質する必要があることを示唆すると、当業者ならば理解するだろう。当業者ならば、デンプンの表面積の測定法を知っているが、実施例に記載する方法が好ましい。
【0051】
別の好適な一実施形態において、本発明に係る接着剤が提供され、エステル型の発泡デンプンが、少なくとも1.2、さらに好ましくは少なくとも1.5、尚さらに好ましくは少なくとも2.0、最も好ましくは少なくとも2.4の置換度(DS)を有する。
【0052】
本明細書において使用される用語「置換度(DS)」は、当技術分野でのその標準の意味を表し、デンプン誘導体中のグルコース残基あたりの置換基によって置換された反応性ヒドロキシル基の平均数を指す。実施例で示す通りに、置換度を測定できる。
【0053】
エステル型の発泡デンプンは、上記の置換度(つまり、少なくとも1.2、さらに好ましくは少なくとも1.5、尚さらに好ましくは少なくとも2.0、最も好ましくは少なくとも2.4の置換度を有する)を有し、本発明に係る接着剤は、「熱水溶媒の転換可能な接着剤」として、特にカーペットまたはカーペットタイルに塗布される場合に特に適切であることが判明している。
【0054】
「置換度」が、水に対する材料の感水性を低下させるのに重要であると考えられている。実際に、置換度が上記の値を有するのが好ましいことが判明している。本発明に係る接着剤を提供するのに、上記の置換度を有するエステル型の発泡デンプンを有利に使用できることが判明している。
【0055】
別の好適な一実施形態において、本発明に係る接着剤が提供され、可塑化エステル型の発泡デンプンが、実施例に記載する修正されたBS7399:1991試験により測定される、約50N〜約80Nの範囲、好ましくは約55N〜約75Nの範囲、さらに好ましくは約65N〜70Nの範囲の層剥離強度を有する。
【0056】
即ち、別の好適な一実施形態において、本発明に係る接着剤が提供され、BS7399:1991に準拠して測定されるが、試験試料が、約5mm幅、200mm長であり、層剥離強度を継続させる力が、100+/−10mm/分の速度で、引っ張り試験機(Testometric Micro 350)を用いて測定され、範囲50%〜75%の総伸び率を超える平均積層剥離力が測定される点を修正して測定され、可塑化エステル型の発泡デンプンは、約50N〜約80Nの範囲、好ましくは約55N〜約75Nの範囲、さらに好ましくは約65N〜70Nの範囲の層剥離強度を有する。(範囲25%〜75%の伸び率を超えるピーク値のメディアンの代わりに)
【0057】
本発明の別の好適な一実施形態において、本発明に係るデンプンを得るのに使用されるエステル型の発泡デンプンは、0.10グラム/cm3〜0.40グラム/cm3、好ましくは0.12グラム/cm3〜0.25グラム/cm3の範囲の濃度を有する。
【0058】
一実施形態において、濃度は、0.20グラム/cm3〜0.30グラム/cm3の範囲である。
【0059】
当業者ならば、デンプンの濃度を測定する方法を知っている。本発明に係る接着剤を提供するのに、上記の濃度を有するエステル型の発泡デンプンを有利に使用できることが判明している。
【0060】
上記に加えて、本発明に係る接着剤は、プロダクト・バイ・プロセスにより有利に説明/定義されることが可能であり、本発明の範囲を列挙する工程の操作に限定せず、工程によって含意される構造だけに限定される。
【0061】
一実施形態において本発明に係る接着剤は、以下によって得られる;
a.デンプンを提供する;
b.デンプンを糊化するために、デンプンを熱水溶媒処理する;
c.糊化したデンプンを処理し前記糊化したデンプンにおいて老化を誘導し発泡デンプンを得る;
d.水溶性非水溶媒を加え、発泡デンプンを沈殿させ、沈殿した発泡デンプンを溶媒から実質的に分離し、さらに、工程bで添加された水性溶媒の少なくとも90容量%が除去されるまで、水溶性非水溶媒を用いて発泡デンプンを洗浄する;
e.不活性の水無含有の有機溶媒中に発泡デンプンを懸濁させ、触媒を加え、無水脂肪酸を加え、および以下のいずれか
i.エステル型の発泡デンプンを生成させるのに十分な温度および時間で、混合物を保持する、または
ii.エステル型の発泡デンプンを生成させるのに十分な100〜1000W、1〜30分間、マイクロ波加熱炉内で混合物を処理する;
f.沈殿したエステル型の発泡デンプンに水溶性非水溶媒を加え、エステル型の発泡デンプンを乾燥させ;または水を加えてエステル型の発泡デンプンの沈殿を促進する;および
g.可塑剤をエステル型の発泡デンプンに混和し、可塑化エステル型の発泡デンプンを生成させる。
一実施形態において、得られた発泡デンプンの乾燥は、工程dで実施される。
【0062】
当業者には理解されるだろうが、本発明に係る接着剤は、上のプロセスに記載される得られた可塑化エステル型の発泡デンプンからなるかもしくは本質的に得られた可塑化エステル型の発泡デンプンからなるのが好ましい。
【0063】
さらなる一態様において、本発明に係るおよび、例えば上のプロダクト・バイ・プロセスによって説明される、熱水溶媒の転換可能な接着剤を調製する方法が、提供される。
【0064】
説明されるプロダクト・バイ・プロセスと本発明に係る方法との両方の詳細が以下に説明される。
【0065】
一般的に、デンプンは、小さい表面積(<1m2/グラム)および細孔容積(<0.1cm3/グラム)を特徴とするが、デンプンの構造は、糊化によって、開口されることが可能である。
【0066】
当業者ならば、デンプンの糊化を誘導する方法を知っている。例えば、水性液中に懸濁させたデンプン粒に熱を印加する場合、デンプン粒は、水を吸収して、膨潤する。デンプン分子は、水分子と相互作用できるヒドロキシル基を多く有し、水分子を引き付けて保持する。分子量がより小さいアミロース分子は、膨潤したデンプン粒から拡散し、追加の水を取り込む3−Dネットワークを形成する。即ち、デンプン糊化は、水と温度の存在下でデンプン分子の分子間結合を壊し、水素結合部位(ヒドロキシル基の水素と酸素)に水をより多く引き込ませるプロセスである。
【0067】
本発明に係る接着剤を提供するためのプロセスにおいて、デンプンは、水のような水性溶媒中で、約50℃〜200℃、さらに好ましくは70℃〜160℃、尚さらに好ましくは90℃〜130℃の温度で、加熱処理されるのが好ましいことが判明している。このような処理の結果として、デンプン粒は、最初に膨潤した後に、崩れてゲルを形成する(これは、一般的に、粘性が増大し、崩れる瞬間に粘性が低下することを特徴とする)。
【0068】
上述したように、本発明に係る接着剤をもたらすために、接着剤を得るこの段階で、少なくとも50m2/グラム、さらに好ましくは少なくとも100m2/グラム、尚さらに好ましくは少なくとも150m2/グラム、最も好ましくは少なくとも175m2/グラムの表面積のデンプン(乾燥)が好ましいことが判明している。
【0069】
デンプンの糊化を誘導するようにデンプンを熱処理した後、デンプンを例えば低温で保管することにより、老化を誘導するようにさらに処理することは、好ましいのは明らかである(以下を参照)。欠くことのできない老化を達成するのに必要な時間は、使用する材料のタイプによって異なり、典型的に、標準のトウモロコシデンプンでは2〜3週間、高アミロース含有のトウモロコシデンプンでは1日未満である。
【0070】
例えば、110℃まで3時間加熱したトウモロコシデンプンは、5℃で3週間の老化の後、150〜160m2−1の表面積を実現した。圧力鍋内で120〜130℃まで1時間30分加熱した高アミローストウモロコシデンプンは、5℃で2日間の老化の後、180〜250m2−1の表面積を実現した。
【0071】
老化とは、溶解したデンプンが非晶質状態から不溶性の凝集状態に移ることを意味する。老化は、水和して分散したデンプン分子が、おそらく水素結合を介して分子会合する際に起こると考えられている。老化は、特にアミロース分子で起こるとみられる。
【0072】
この老化は、例えば、低温(例えば5℃)でゲルを保持することにより、実現できるのが好ましいことが、判明している。老化は、25℃未満、好ましくは10℃未満、さらに好ましくは5℃未満であるが−5℃を超える温度で、少なくとも10時間、好ましくは少なくとも24時間、さらに好ましくは少なくとも100時間、さらに好ましくは少なくとも500時間、熱水溶媒処理したデンプンを保管することによって、誘導されるのがさらに好ましい。
【0073】
次に、本発明に係る接着剤をもたらすために、上記のデンプン糊化を誘導する熱処理に使用する水性溶媒は、デンプンから除去されるのが、最も好ましいと判明している。例えばデンプン混合物中にかなりの量の水を存在させ続けると、例えば、デンプンの表面積を低減させ、または消滅さえさせることが判明されており、それにより、本発明の接着剤と認められなく、本発明の接着剤に十分に備えられない。
【0074】
即ち、本発明に係る接着剤を得るために、糊化を誘導するのに使用される水性溶媒のうちほぼ全ての水(>90%)を除去するように取り計らうのが好ましいことが判明している。本発明に係るデンプンを得る続いての工程中に、デンプン中にあまりに多量の水が存在すると、発泡デンプンの構造が砕解されて、最適の接着剤を提供しないことが、判明している。
【0075】
前記水性溶媒を除去するために、デンプンを沈殿させることが可能な化合物(例えば単純なアルコール)の添加により、デンプンを最初に沈殿させることができ、その後、水性溶媒をデンプンから分離することができる。
【0076】
水性溶媒を除去する工程を例えば少なくとも2、3、4、または5回、追加で繰り返すことが必要であろうことは、当業者には明らかであろう。
【0077】
さらに、デンプンを沈殿させる(および/または水性溶媒を除去する)のに使用される化合物は、(発泡)デンプンに対して不活性であり、その重要な本発明の特徴を変えないまたは殆ど変えない、例えば、デンプンの表面積を低減させるべきでなく或いは殆ど低減させるべきでない。
【0078】
デンプンから水のような(過剰の)水性溶媒の除去は、デンプンを沈殿させるのに使用される(または使用可能な)水溶性非水溶媒(例えば適切なアルコール)を用いる洗浄工程により、実現されるのが好ましい。
【0079】
デンプンを沈殿させる水溶性非水溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、およびブタノールからなる群から選択されるのが好ましい。
【0080】
水溶性非水溶媒(例えばエタノールのような適切なアルコール)の役割は、細孔構造を壊すことなくおよび/または発泡デンプンの表面積を殆ど変えることなく、ゲルから水を除去することである。これは、水と混和するが、より低い表面張力を有する液体を必要とするのが好ましいことが判明している。このような水溶性非水溶媒(例えば、エタノールのようなアルコール)は、水と混和する利点を有し、それによって、溶媒の単純な除去によって、混合物から水を効率的に除去させる。さらに、アルコールは、デンプンを干渉しない、或いはせいぜいデンプンを最小限に干渉する。干渉により、デンプンの特性に望ましくない改質をもたらす。さらに、低い沸点を有する水溶性非水溶媒を利用する場合、それは後にデンプンを容易に乾燥させる。
【0081】
他のアルコールは、それより効果が小さいとしても同様な効果を与えるが、特にエタノールが、この目的に効果的であることが判明している。既に上述したが、次の工程においてと、過剰の水性溶媒を除去した後に、例えば真空乾燥により、発泡デンプンを乾燥するのが好ましい。これは、例えば窒素流下でなされうる。
【0082】
別の好適な一実施形態において、工程d)で添加される水溶性非水溶媒は、工程b)で添加される水性溶媒5体積に対して水溶性非水溶媒1体積の割合から工程b)で添加される熱水溶媒1体積に対して水溶性非水溶媒5体積の割合までである。
【0083】
つまり、水溶性非水溶媒が、デンプンの糊化に使用される水性溶媒5体積に対して水溶性非水溶媒1体積の割合から熱水溶媒処理によりデンプンの糊化に使用される水性溶媒1体積に対して水溶性非水溶媒5体積の割合まで添加されるのが好ましい。
【0084】
上述の体積比を適用することにより、デンプンの効率的な沈殿が実現され、その上さらに、水性溶媒の効率的な除去が、達成される。万一さらなる洗浄工程が実行されるならば、本発明は、1種および同種の水溶性非水溶媒を使用することに限定されていないが、さほど好ましいことではないが、それらの混合物の異なる水溶性非水溶媒が、利用されうることを、当業者ならば、理解するだろう。
【0085】
さらに好適な一実施形態において、沈殿したデンプンのさらなる洗浄の後、沈殿したデンプンを工程e)の不活性の水無含有の有機溶媒で少なくとも1回洗浄し、得られた発泡デンプンの乾燥を省略する場合、本発明に係る適切な接着剤を得ることが可能であることが、さらに判明している。
【0086】
続いての発泡デンプンのエステル化にも使用される水無含有の有機溶媒を用いて、少なくとも1回洗浄することにより、得られた発泡デンプンの乾燥の必要性が限定され、それによって、本発明に係る接着剤を得るために必要な時間が制限されることが判明されたことは驚くべきことである。
【0087】
上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、乾燥工程を省略し、或いは本明細書に開示される他の実施形態において、乾燥工程が含まれ、不活性の水無含有の有機溶媒が、トルエン、ベンゼン、およびキシレン等からなる群から選択されるのが好ましい。
【0088】
具体的には、これらの不活性の水無含有の有機溶媒の使用が、特に効果的であることが判明している。水無含有とは、水を1w/w%を超えて含まない、好ましくは水を0.5w/w%以下含む、好ましくは水無含有の有機溶媒と解釈されると、当業者は理解している。
【0089】
この段階で、本発明に係る接着剤を得る或いは本発明に係る方法を実施する際に、かなり繰り返しが可能なプロセスを用いて形成される、少なくとも50m2/グラム、さらに好ましくは少なくとも100m2/グラム、尚さらに好ましくは少なくとも150m2/グラム、最も好ましくは少なくとも175m2/グラムの表面を有する発泡デンプンが提供されるのが好ましいことが判明している。
【0090】
例えば、発泡デンプンの表面積は、130m2/グラム〜270m2/グラム、好ましくは140m2/グラム〜260m2/グラム、さらに好ましくは175m2/グラム〜205m2/グラムの範囲である。
【0091】
本発明に係る接着剤をもたらすために、得られた発泡デンプンは、例えば好ましくはエステル化およびおそらく他の改質剤により、さらに改質されるのが最も好ましい。このような改質が実施されなかったならば、本発明に係る接着剤および本発明係る使用に適切な接着剤を得ることはより困難となると判明している。
【0092】
当業者は、デンプンのエステル化を実現できる方法を知っており、例えば、様々な特許文献や科学刊行物(例えば、Kirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,1997,第4編,22巻,699−719頁およびUllmann‘s Encyclopedia of Industrial Chemistry,A25巻, 1994年,1−18頁)に記載されている。
【0093】
例えば、無水酢酸と水性アルカリをpH7〜11で、室温で用いるシステムで、低いDS(約0.5)のアセチル化デンプンを調製することが可能である。しかしながら、この方法は、わずかに置換されたアセチル化デンプンを調製する場合にだけ利用可能である。20℃で5ヶ月間、無水酢酸のみで処理したデンプン粒は、結果としていかなる反応もしないだろうと考えられている。しかしながら、室温におけるピリジン処理は、デンプン粒を反応性にする。
【0094】
DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶かした酸無水物を用いてのデンプン処理は、触媒としてのトリエチルアミンと酸捕捉剤とを必要とする。この方法を用いて、無水酢酸、無水プロピオン酸、および無水ブタン酸のデンプン誘導体をDS0.08まで調製してきた。
【0095】
100℃で5〜13時間、氷酢酸のみを用いる場合、エステル化により、アセチル基を3〜6%有する生成物が得られる。濃縮したギ酸でのデンプン処理は、糊化と同時エステル化を導く。ケテンでのアセチル化は、アセチル含有量2.2〜9.4%を有するデンプンを生成する。その反応は、通常、酢酸、ジエチルエーテルまたはアセトン中で酸触媒を伴って実施される。
【0096】
また、ビニルアセタートもアセチル化に利用されている。アルカリ触媒(例、アルカリ金属炭酸塩または水酸化物、水酸化アンモニウムまたは脂肪族アミン等)および乾燥デンプンの10重量%超の水の存在下で、デンプンをカルボン酸とエチレン系不飽和アルコールとのエステル(例、ビニルアセタート等)と反応させることを含む方法を使用することが可能である。
【0097】
米国特許第2461139号明細書は、デンプンエステルを調製する別の方法を開示する。その方法は、デンプンと水を有機酸無水物と反応させること、反応のpHを7〜11のアルカリ範囲に維持することを含む。有機酸無水物として、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水フタル酸および無水酪酸が挙げられる。典型的には、25℃でデンプンを水中に懸濁させ、水酸化ナトリウムを添加して、pHを約10まで上げる。その後、十分な無水酢酸を懸濁液に添加し、pHを約7まで下げた後、濾過によってデンプンエステルを分離する。
【0098】
以上から、デンプンのエステル化を実施する多くの方法が、記載されていることは明らかである。それを実現する他に、本発明に係る接着剤を得るために、例えばエステル化によって、必要ないとしても、発泡デンプンを改質することは、非常に好ましく、さらに、エステル化に適用される方法が、重要だと思われると判明されたのは驚くべきことである。
【0099】
本発明の接着剤を得るために、エステル化に利用可能などんな方法によっても、(発泡)デンプンのエステル化を実行することは不可能であると判明している。
【0100】
例えば1.0未満のDSを有する(発泡)デンプンを提供する方法は、本発明の適切な接着剤を得るようには十分に応じていないことは明らかである。
【0101】
さらに、相対的水性状態におけるエステル化の実施は、本発明に係る接着剤を得ることを考慮に入れていない。
【0102】
この段階でのピリジンまたはNaOH(水性溶媒中で50%w/w)のような特別の触媒の使用も、本発明に係る接着剤をもたらさないと思われる。当業者ならば、ある強力でない触媒が、反応に触媒作用をして表面積をある程度に維持することを理解するだろう。
【0103】
本発明の接着剤を提供するために、触媒、溶媒および試薬(すなわち、発泡デンプンをエステル化させてエステル型の(発泡)デンプンを提供するのに使用される化合物)は、上記の通り、得られる発泡デンプンに対してほぼ不活性でなければならない(その上、デンプンのエステル化をもたらす)ことが非常に有利あることが、徹底した実験後に確立された。
【0104】
これらの化合物は、従って、発泡デンプンと相互に作用しないかまたは殆ど相互に作用しないで、それによって、例えば、発泡デンプンの表面積を実質的に改質するのが望ましい。特定の化合物が、発泡デンプンの表面積に劇的に影響を与えることもあり、それによって、本発明に係る接着剤を提供することが不可能になることが判明している。
【0105】
従って、本発明に係る接着剤を得るために、エステル化は、トルエン、ベンゼン、およびキシレン等からなる群から選択される不活性の水無含有の有機溶媒を用いて、実施されるのが好ましいことが判明されたのは驚くべきことである。特に、トルエンは、本発明を実施する際に良好な結果をもたらすので、好ましい。当業者ならば、例えば、本明細書の実施例に示されるようなエステル化を実施する方法を知っている。
【0106】
別の一実施形態において、触媒は、アミン、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、トリエチルアミン、およびピリジンからなる群から選択され、触媒が、DMAPであるのが最も好ましい。具体的には、これらの触媒は、エステル化を効率的に向上させると判明しているが、一方他の触媒、例えばH2SO4のような酸触媒は、好ましくない。
【0107】
本発明に係る接着剤を得る際に、無水脂肪酸は、試薬として(つまり、発泡デンプンと反応してエステル型のデンプンを提供するのに使用される化合物として)用いられるのが好ましい。好ましくは無水脂肪酸は、C2〜C12の無無水脂肪酸、またはそれらの組み合わせであり、好ましくはC2〜C6の無水脂肪酸であり、無水脂肪酸が、無水酢酸であるのが最も好ましい。
【0108】
炭素原子2〜7個を含有し、本発明に適切なこのような無水のモノカルボキシル脂肪酸の他の例は、酢酸、モノ−、ジ−またはトリ−クロロ酢酸、メルカプト酢酸、プロピオン酸、2−ヒドロキシ−プロピオン酸、2−クロロプロピオン酸、アクリル酸、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸、メタクリル酸、2,2−ジメチルプロピオン酸、酪酸、イソ酪酸およびクロトン酸である。
【0109】
別の好ましい一実施形態において、本発明に係る接着剤を提供するために、上記のように得ることが可能なエステル型の発泡デンプンは、適切な可塑剤と混和されて、本発明に係る可塑化エステル型の発泡デンプンを形成させる。
【0110】
本明細書に記載される工程によって得ることが可能なこのような可塑化エステル型の発泡デンプンは、熱水溶媒の転換可能な接着剤として使用できる接着剤として作用することが、初めて、判明された。
【0111】
適用される可塑剤は、フタル酸エステル、ジメチル−およびジエチルスクシネート、グリセロールトリアセテート(トリアセチン)、グリセロールモノ−およびジアセテート、グリセロールモノ−、ジ−およびトリプロピオネート、グリセロールトリブタノエート(トリブチリン)、グリセロールモノ−およびジブタノエート、グリセロールモノ−、ジ−およびトリステアレート、および他の関連するグリセロールエステル、乳酸エステル、クエン酸エステル、アジピン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル、リシノール酸エステル、他の脂肪酸エステル、グリセロール、ポリカプロラクトン、グリセリルトリオレアートからなる群から選択されるのが好ましく、可塑剤が、グリセロールまたはグリセロールトリアセテートであるのが好ましく、可塑剤が、グリセロールトリアセテートであるのが最も好ましいことが判明している。
【0112】
可塑剤は、エステル型の発泡デンプンを基準として、10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%、さらに好ましくは20〜30重量%の量で混和されるのが好ましい。これは、本発明に係る接着剤の提供に特に応じることを示している。
【0113】
本発明の別の一実施形態において、エステル化は、発泡デンプン、不活性の水無含有の有機溶媒、触媒、および無水脂肪酸を含んでなる混合物を、30℃〜130℃、さらに好ましくは50℃〜105℃、最も好ましくは70℃〜100℃の範囲で不活性の水無含有の有機溶媒の沸点より低い温度に保つことにより、実施される。
【0114】
本発明に係る接着剤またはエステル型の発泡デンプンは、具体的には本発明に係る接着剤またはエステル型の発泡デンプンがカーペットまたはカーペットタイル等において接着剤として塗布される場合に、当技術分野で一般に適用されている難燃剤、充填材、防腐剤、結合剤、抗菌剤、湿潤剤を混和させることが可能である。このような材料の例として、アルミナ三水和物、ホウ酸亜鉛、炭酸カルシウム、カオリン、バライトおよび導電性カーボンブラックが挙げられる。
【0115】
一実施形態において、特定の化合物を接着剤に混和することは有利であり、例えば、難燃剤、充填材、防腐剤、結合剤、抗菌剤は、エステル型の発泡デンプンにもしくは可塑化エステル型の発泡デンプンに、或いは、本発明に係る接着剤を形成する任意の手順工程で、接着剤としての例えばカーペットまたはカーペットタイルでのその使用および本明細書に記載するその使用に関して、接着剤を実質的に悪い方向に変えることもなく、混和されることが可能である。
【0116】
本明細書に記載される接着剤および本明細書に記載される様々な方法により得ることが可能な接着剤は、カーペットまたはカーペットタイルでの使用に適切な環境に優しい接着剤であり、長耐久性、耐ブリスター性、良好な接着性を有することが可能であり、湿潤時に強度を保持するが、大量の有機化合物の使用も剪断力も機械的処理や環境に悪影響を与える化学的処理もなく、ほぼ完全にかつ容易に除去され、カーペット布帛(または糸条)から裏打ち層を除去および/または分離させ、カーペット表面層と裏打ち層の両方を効率的に再利用させることが、このように判明している。
【0117】
本発明の別の一態様に従って、例えば熱水溶媒の除去可能な接着剤として本明細書に記載される得ることが可能な、本発明に係る接着剤の使用がこのように提供される。
【0118】
その接着剤は、具体的には床の敷物(例、カーペットまたはカーペットタイルもしくはラグ等)に有利に塗布されることが可能であることが、判明している。
【0119】
本発明に係る接着剤の使用は、今初めて、このような接着剤が塗布される物体を再利用する、およびこのような再利用可能な物体を調製する効率的で環境的な方法に応じる。
【0120】
従って、本発明に係る別の一態様において、カーペット表面層を提供する工程と、裏打ち層を提供する工程と、本発明に係る接着剤をカーペット表面層および裏打ち層と接触させて、それによって接着剤でカーペット表面層を裏打ち層に接着させる工程とを備える再利用可能なカーペットまたはカーペットタイルを調製する方法を提供する。
【0121】
本発明の尚さらなる一態様において、以下の工程を備える、物体の少なくとも1つの構成要素を調製し、続いて再利用する方法を提供する。
a.物体の第一構成要素を提供する工程
b.物体の第二構成要素を提供する工程
c.請求項17〜36のいずれかの接着剤または請求項37〜51のいずれかの方法によって得ることが可能な接着剤を2つの構成要素と接触させる工程
d.構成要素を一緒に接着させて物体を形成する工程、および
e.構成要素を一緒に接着させた後に、接着剤の状態を変えるように接着剤を処理して、少なくとも1つの構成要素を物体の他の構成要素から実質的に分離させる工程。
【0122】
一実施形態において、方法工程eは、再利用可能な物体を熱水溶液および/または蒸気で処理して、接着剤の状態を変化させる。一実施形態において、処理は、少なくとも20℃、好ましくは少なくとも30℃、好ましくは少なくとも70℃、さらに好ましくは少なくとも90℃の温度で、熱水溶媒の転換可能な接着剤を引き離す(または剥がす)のに十分な時間、或いは接着剤の接着力を低下させるのに十分な時間、実施される。
【0123】
上記のように得られた再利用可能なカーペットまたはカーペットタイルを提供する工程と、任意に再利用可能なカーペットまたはカーペットタイルのサイズを小さくする工程と、熱水溶液で、好ましくは少なくとも20℃、好ましくは少なくとも30℃、好ましくは少なくとも70℃、さらに好ましくは少なくとも90℃(つまり、室温または室温を超えて、或いは蒸気)で、熱水溶媒の除去可能な接着剤を(実質的に)引き離す(または剥がす)のに十分な時間で、再利用可能なカーペットまたはカーペットタイルを処理する工程と、カーペット表面層をカーペット裏打ち層から分離する工程とを備える、カーペットまたはカーペットタイルの構成要素を再利用する方法も提供する。蒸気を用いるのが、最も好ましい。
【0124】
当業者ならば、カーペット表面層、裏打ち層、および本発明に係る接着剤を少なくとも含んでなり、その接着剤が、直接または間接的にカーペット表面層を裏打ち層に接着させる床の敷物(例、カーペットまたはカーペットタイル等)は、有利な特性を有することを理解するだろう。直接的または間接的にとは、カーペット表面層が、接着剤により直接に(つまり、任意の追加の中間層なしで)、または間接的に(つまり、追加の中間層を用いて/介して)裏打ち層に接着されうることを示唆すると解釈される。
【0125】
本発明に係る接着剤は、具体的には良好な難燃特性を有することが、さらに驚くべきことに判明している。従って、好適な一実施形態において、本発明に係る接着剤は、難燃剤として使用される。難燃剤としての接着剤の使用は、さらに、物体の形態をより容易に再利用できるように変えさせる手段として接着剤を提供するようにできるが、物体の形態を変化する必要がない物体での本明細書に記載される接着剤の使用は、本発明に係る接着剤の使用の結果として難燃特性を与える物体を提供するのだから、本発明の別の一態様であることを理解されたい。
【0126】
床の敷物で特定の接着剤の使用を言及してきたが、接着剤を第一状態に形成するように他の物体を用いる接着剤の使用、接着剤の再利用や他の加工要件をさらに可能にするため物体の状態を変えるように接着剤の続いての処理は、本出願の範囲内に包含されており、床の敷物への言及は、分かり易く例証するために提供され、非限定で解釈されるべきである。再利用は、物体の状態を変える第一の目的であるが、他の続いての処理プロセスも実施してもよいと理解されるべきである。
【0127】
図1は、ビチューメンとみられる裏打ち層4、6を有し、それらの中間にあるガラス基材層8、10を有するポリプロピレン層2を含んでなる裏打ち層を提供する、カーペットまたはカーペットタイルの形態における床の敷物の典型的な積層の概略図を示す。糸条14と連結してカーペット表面層を形成する一次基布12が提供される。糸条と一次基布を一緒に裏打ち層と固定する本発明に係る接着剤16が提供される。カーペットまたはカーペットタイルを床の敷物として使用する際に示される形態から、構成要素の少なくとも1つおよび/または構成要素の一部が再利用の目的のためにさらに容易に分離できるようにすることが可能である第二形態に、カーペットまたはカーペットタイルを変化させるように、状態を変えることができる接着剤が、提供される。
【0128】
本発明に係る接着剤の生成の例およびその使用が、以下の実施例を参照して説明される。
【実施例】
【0129】
(実施例1)
1.1
適用の第一段階として、トウモロコシデンプン75g(アミロース27%w/w、アミロペクチン73%w/w)0.463モルを2Lの丸底フラスコに入っている1.5Lの蒸留水に加えた。3時間連続した撹拌をしながら、110℃の油浴中で、混合物を糊化した。当業者ならば、糊化条件がデンプンのタイプによって異なることを理解するだろう。例えば、高アミロース(70%アミロース)トウモロコシデンプンは、より高温(約140℃)で実施されるのが好ましいだろう。他の実験において、より多量のデンプンを用いた。
【0130】
1.2 老化
1.1において調製した糊化したトウモロコシデンプンを4×500mlの粉末ガラス壺に注いだ。熱い間に、蓋を密着してしめて、微生物活動を遮蔽した。その後、試料にラベルを付けて、5℃の冷蔵庫内に3週間置いた。当業者ならば、老化段階もデンプンのタイプによって異なることを理解するだろう。例えば、高アミロース(例えばアミロース70%)のトウモロコシデンプンは、既に上で説明したように、僅か1日もしくは2日で十分に老化するだろう。この段階中に、ゲルを連続して撹拌することも可能である。
【0131】
1.3 溶媒交換
A. 1.2から得た老化したデンプンのゲル1.5L、75gをオーバーヘッド式撹拌機(Heidolph 2050 RZR electronic)を用いて、1Lのエタノールで15分間、混ぜた。その後、混合物を静置し、分離した溶媒をデカンテーションして、1回分1Lの新たなエタノールに替えた。このプロセスを5回繰り返した。水無含有の発泡デンプンを50℃に設定した真空加熱炉に12時間入れた。
【0132】
B. 最後の溶媒の交換をエタノールの代わりにトルエンにしたことを除いて、上記と同じにし、この場合は、乾燥工程を減らす、或いは全く回避できうることが判明した。
【0133】
1.4 エステル化
A. 1.1〜1.3で得られた160m2/gを超える表面積を有する発泡デンプン5g(30.9ミリモル)を100mlの2口丸底フラスコに加えた。これに、トルエン70mlを加えた後、4.37ml、4.73g(46.3ミリモル)の無水酢酸(Aldrich)を加えた。混合物を90℃まで加熱し、5分間撹拌した。その後、0.2g(1.64ミリモル)の4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)を加えた。12時間撹拌しながら、反応を90℃に維持した。一回完了したら、混合物を20℃まで冷却し、エタノールを50ml加えた。形成した沈殿物を2分間撹拌し、濾過し、洗浄し、さらに4回濾過した。生成物を40℃、減圧下で24時間乾燥した。
【0134】
B. 12時間撹拌しながら反応を90℃に維持せずに、300ワットでマイクロ波中に1〜10分間(この場合5分)維持したこと以外、Aと同じようにした。
【0135】
1.5 沈殿
混合物に1体積のエタノールを加えて、上から得られたエステル型の発泡デンプンを沈殿させた。
【0136】
1.6 可塑化
上で得られたエステル型の発泡デンプン75グラムを大型ビーカー中で定量し、(万一に備えて、難燃剤としてATHを試験し、さらに75グラムのATH(アルミナ三水和物)をエステル型の発泡デンプンに加えることにより、25%可塑化したエステル型の発泡デンプン混合物を調製した。次に、25グラムのグリセリルトリアセテートを小型ビーカー中で定量し、エステル型の発泡デンプンに慎重に加え、その間、均等に分散するまで、スパチュラを用いて混合した。その後、混合物をアセトン(総体積約800mlまで)と1リットルの金属スズ中で混合し、Silverson HSミキサー内で撹拌し、その間、スズを動かして均一な混合を確保した。均一なペースト稠度が生じるまで混合物を撹拌した。
【0137】
(実施例2)
2.1 デンプンの表面積の測定
約0.1gの材料を用いて、77Kで、Micromeritics ASAP 2010機器でデンプンの窒素吸着/脱着測定を行った。分析の前に、全試料を65℃で最低3時間ガス抜きし、実験後の質量差を補正した。BET式を用いて、表面積を算出した。
【0138】
2.2デンプンのエステル化の測定−滴定方法
滴定は、当分野で最も認められている技法である。デンプンの繰り返し単位(α−D−グルコピラノース)は、3個のヒドロキシル基を有する。従って、デンプンの最大置換度(D.S.)は、通常3を用いる。しかしながら、末端単位が、結合される4個のエステル基(例えばアセチル基)を有することが可能なので、D.S.は、3を超えることがありうる。エステル型の(発泡)デンプンのDSを測定するのに採用した滴定方法は、Wurzburg(Wurzburg,O.,(Ed.Whistler,R.),Methods in carbohydrates chemistry,IV, Academic press, London,(1964), p288.)により採用される手順を基準としている。例えば、アセチル化デンプン(1.0g)を250mlのフラスコに入れて、蒸留水に溶かした50mlの75%エタノールを加えた。ゆるいストッパー付きフラスコを撹拌し、50℃まで30分間温めて、冷却し、0.5MのKOHを40ml加えた。時折撹拌をしながら、混合物を72時間、放置した。指示薬としてフェノールフタレインを用いて、過剰のアルカリを0.5MのHClで逆滴定した後、混合物をさらに2時間放置して、試料から浸出したさらなるアルカリを滴定した。また、元の改質されていないデンプンを空試験した。アセチル含有量(アセチル%)を以下の式を用いて、算出した。
【数1】

空試験および試料の滴定における体積は、mlで、試料重量は、グラムであった。DSは、置換基を有するグルコース単位当りの平均部位数と定義される(Singh,N.,Chawla,D.,Singh,J.,Food Chem.,86,(2004),601−608;Whistler,R.,Methods in Carbohydrate chemistry:Starch,Vol.IV,Academic Press,London,(1964);Elomaa,M.,Carbohydrate Polymers,57,(2004),261−267を参照のこと)。アセチル%を用いて、以下の式に従ってD.S.を算出した。
【数2】

【0139】
2.3デンプンのエステル化の測定−熱重量分析法
セイコーインスツル株式会社(Seiko(商標)instruments Inc.)SII Exstar 6000(商標),TG/DTA 6300(商標)で、白金試料皿で秤量した約15mgの材料を用いて、加水分解したデンプンのTG分析を実行した。空の白金皿を基準として用いた。その後、以下のプログラムを用いて、試料を加熱した。

1分当り10℃で20〜400℃;1分間保持

分解温度をdTGプロフィールからのピーク温度とした。2.2で説明した技法に従って試験した特定のアセチル化デンプンに関して得たD.S.値に対して、この値を補正した。
【0140】
2.4 ラミネート強度の測定:修正したBS7399試験
A. デンプンを予め被覆した(Precoated)上面布地を予め成型したビチューメンにラミネートするための技法
2〜3mm間隔に設定したドクターブレードを用いて、デンプンを予め被覆した上面布地を調製し、上で得た可塑化エステル型の発泡デンプンの平滑層をAiki Kamala上面布地に塗布した。塗布の直後に、剥離紙を適用し、良好な貫通を裏目に確保するために、以下で説明するように、強力ローラー(5200グラム、長さ38cm、直径45mm)を用いて、試料を回転させた。同じ間隔に設定したドクターブレードを用いて、第二層に可塑化したエステル型の発泡デンプンを塗布した。その後、試料を70℃で、熱炉内で乾燥した。
【0141】
上面布地とビチューメン裏打ちライン(Bitumen Backing Line)上のビチューメンの間にシリコーン被覆した剥離紙を導入することにより、いかなる接着された上面布地もなく、予め成型したビチューメンの試料を得ることができる。これは、ポリプロピレン繊維の裏打ちを有する2層のガラスフリースの周りの押し出された、ばらつきのない3150gm−2のビチューメンであろう。
【0142】
次に、ビチューメンが溶け始めるまで(約180℃〜200℃)、予め成型したビチューメンを赤外線下で加熱した(ビチューメンを熱源に向けてさらし、繊維裏打ちを離す)。
【0143】
ビチューメンが依然として溶解される間、デンプンを予め被覆した上面布地の試料をその上面に置き(溶解したビチューメンに対して予め被覆した側面)、スチール製ローラーを用いて、複合試料に圧力を印加して、ばらつきのないラミネートを促進させた。使用したローラーは、5200グラム、長さ38cm、直径45mmであり、試料上を4回、回転させた。その後、試料を90°回転させて、ローラーを用いて、圧力をさらに4回、印加した。
【0144】
水圧プレスおよび打抜機上でトリムする前に、試料を放置して、15分間、周囲温度まで冷却し、予め被覆した試料の少なくとも外側数センチメートルを除去する。積層圧は、ばらつきがある。
【0145】
その後、試験に先立って、条件65+/−2%RH,20+/−2℃で、24時間、ラミネートした試料を放置する。
【0146】
引張り試験用の試料のサイズは、40mm×200mmである。
【0147】
B. 剥離力 BS7399:1991
本明細書の一部として援用される、以下の修正を有する英国規格(British Standard)7399:1991に準拠して、剥離力を測定する。
【0148】
試験する試験片は、約40mm幅、200mm長であり、層剥離を継続する力を100+/−10mm/分の速度で、引っ張り試験機(Testometric Micro 350)によって、測定する。試験は、範囲25%〜75%の伸び率を上回るピーク値のメディアンの代わりに、範囲50%〜75%の総伸び率を上回る平均剥離力を測定する点で、BS7399とは異なる。
【0149】
2.5 転換性(修正BS7399;1991)
上の2.4B(剥離力BS7399:1991)に基づいた測定を二重反復試験片で繰り返すことにより、転換性を測定するが、試料を熱湯中に2分間浸漬した後、測定の前に、過剰の水を直ちに除去するために、吸い取った。2組の剥離値の違いは、転換性の程度を示す。
【0150】
2.6. 他の試験
上の測定に加えて、ループ定着(BS5229:1981に準拠);マーチンデール法(Martindale)(DD ISO/PAS 11856:2003に準拠)、キャスターチェア(Castor chair)(EN985:1994に準拠)、ヘキサポッド(Hexapod)(ISO/TR10631:2000に準拠)、寸法安定性(ISO2551/EN986:2005に準拠)、および燃焼性(ISO9329/1:1997に準拠)を測定した。
【0151】
3.実験結果
3.1 実施例1に詳細に説明したように処理したデンプンを実施例2に記載した方法で分析した。得られた結果を下の表に示す。実施例1.3に記載した溶媒交換の2つの方法のいずれか1つおよび/または実施例1.4に記載したエステル化の2つの方法のいずれか1つを適用することにより、得られた可塑化エステル型の発泡デンプンの特性に実質的に影響を及ぼさなかったことが判明した。
【表1】

【0152】
3.2
異なるタイプのデンプンを使用する修正を伴って、可塑化エステル型の発泡デンプンを上記のように調製した。その結果は、本明細書に記載されるような可塑化エステル型の発泡デンプンを得るように、異なるタイプのデンプンを処理した場合、床の敷物、具体的にはカーペットまたはカーペットタイルの調製において接着剤としての使用に適切な、本発明に係る熱水溶媒の転換可能な接着剤を提供できることを示す。
【0153】
トウモロコシデンプンおよび高アミロースのトウモロコシデンプンは、上に説明するが、全てのデンプンの供給源が、本発明に係る接着剤を得るのに使用可能である。より大きなアミロース含有量を有するこれらのデンプン、或いはより大きな直鎖率を示す脱分岐した(debranced)デンプンが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の構成要素から形成される物体であって、前記物体の少なくとも1つの構成要素が再利用、廃棄または別のプロセスをより容易に応じさせる第一形態および第二形態を有し、前記物体が、接着剤組成物を含み、前記物体の前記第一形態から前記第二形態への状態の変化が達成されるように、前記状態を選択的に変化させることが可能である物体。
【請求項2】
前記第一形態において、前記物体が、床の敷物としてのまたはそれらの一部としての使用されることを特徴とする請求項1に記載の物体。
【請求項3】
前記物体が、カーペットまたはカーペットタイルであることを特徴とする請求項2に記載の物体。
【請求項4】
前記物体が、カーペット表面層と裏打ち層を含み、かつ前記接着剤が、直接または間接的に前記カーペット表面層を前記裏打ち層に接着させることを特徴とする請求項2に記載の物体。
【請求項5】
前記接着剤が、難燃剤として作用することを特徴とする請求項1に記載の物体。
【請求項6】
複数の構成要素が、前記接着剤組成物の前記状態の変化後に、前記物体から分離可能であることを特徴とする請求項1に記載の物体。
【請求項7】
前記接着剤組成物の前記状態の変化が、前記物体またはそれらの構成要素での処理または作業を実施することにより、達成されることを特徴とする請求項1に記載の物体。
【請求項8】
前記接着剤組成物の前記状態の変化が、前記接着剤が接触している前記構成要素間の前記接着力が低下する変化であることを特徴とする請求項1に記載の物体。
【請求項9】
前記接着剤組成物が、可塑化エステル型の発泡デンプンを含んでなるもしくは本質的に可塑化エステル型の発泡デンプンからなる熱水溶媒の転換可能な接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の物体。
【請求項10】
前記可塑化エステル型の発泡デンプンが、少なくともデンプンを発泡させて発泡デンプンを提供し、発泡デンプンをエステル化してエステル型の発泡デンプンを提供し、前記エステル型の発泡デンプンを可塑化して可塑化エステル型の発泡デンプンを提供することにより、得られることを特徴とする請求項9に記載の物体。
【請求項11】
接着剤組成物を含むカーペットまたはカーペットタイルであって、前記カーペットまたはカーペットタイルの状態が、前記カーペットまたはカーペットタイルの少なくとも1つの構成要素を分離可能となるように変化させることができるカーペットまたはカーペットタイル。
【請求項12】
前記少なくとも1つの構成要素が、前記カーペットまたはカーペットタイルがもはや使われなくなる際に除去されることを特徴とする請求項11に記載のカーペットまたはカーペットタイル。
【請求項13】
複数の構成要素が、前記接着剤組成物の前記状態の変化後に、前記カーペットまたはカーペットタイルから分離可能であることを特徴とする請求項11に記載のカーペットまたはカーペットタイル。
【請求項14】
前記状態の変化が、前記カーペットまたはカーペットタイルでの処理または作業を実施することにより、達成されることを特徴とする請求項11に記載のカーペットまたはカーペットタイル。
【請求項15】
カーペットまたはカーペットタイルに含まれる前記接着剤組成物の前記状態の変化により、再利用可能にされる請求項11に記載のカーペットまたはカーペットタイル。
【請求項16】
前記接着剤組成物の状態を、前記カーペットまたはカーペットタイルの裏打ち層を前記カーペット表面層に貼着させるように変化させることを特徴とする請求項11に記載のカーペットまたはカーペットタイル。
【請求項17】
可塑化エステル型の発泡デンプンが、少なくともデンプンを発泡させて発泡デンプンを提供し、前記発泡デンプンをエステル化してエステル型の発泡デンプンを提供し、前記エステル型の発泡デンプンを可塑化して可塑化エステル型の発泡デンプンを提供することにより、得られることを特徴とする可塑化エステル型の発泡デンプンを含んでなる或いは本質的に可塑化エステル型の発泡デンプンからなる熱水溶媒の転換可能な接着剤。
【請求項18】
前記発泡デンプンが、少なくとも50m2/グラム、さらに好ましくは少なくとも100m2/グラム、尚さらに好ましくは少なくとも150m2/グラム、最も好ましくは少なくとも175m2/グラムの表面積を有することを特徴とする請求項17に記載の接着剤。
【請求項19】
前記エステル型の発泡デンプンが、少なくとも1.2、さらに好ましくは少なくとも1.5、尚さらに好ましくは少なくとも2.0、最も好ましくは少なくとも2.4の置換度を有することを特徴とする請求項17に記載の接着剤。
【請求項20】
前記可塑化エステル型の発泡デンプンが、試験した試験片が、40mm幅、200mm長であり、層剥離強度を継続させる力は、100+/−10mm/分の速度で、引っ張り試験機を用いて測定され、範囲50%〜75%の総伸び率を超える平均積層剥離力が測定される修正点を伴うBS7399:1991に準拠して測定される、約50N〜約80Nの範囲、好ましくは約55N〜約75Nの範囲、さらに好ましくは約65N〜70Nの範囲の層剥離強度を有することを特徴とする請求項17に記載の接着剤。
【請求項21】
前記エステル型の発泡デンプンが、0.10グラム/cm3〜0.40グラム/cm3の範囲の濃度を有することを特徴とする請求項17に記載の接着剤。
【請求項22】
以下によって得ることが可能な請求項17に記載の接着剤。
a.デンプンを提供する;
b.前記デンプンを糊化するために、前記デンプンを熱水溶媒処理する;
c.前記糊化したデンプンを処理し、前記糊化したデンプンにおいて老化を誘導し発泡デンプンを得る;
d.水溶性非水溶媒を加え、前記発泡デンプンを沈殿させ、前記沈殿した発泡デンプンを前記溶媒から実質的に分離する;さらに、工程bで加えられた前記水性溶媒の少なくとも90容量%が除去されるまで、前記水溶性非水溶媒で前記発泡デンプンを洗浄する;
e.不活性の水無含有の有機溶媒中に前記発泡デンプンを懸濁させ、触媒を加え、無水脂肪酸を加え、および以下のいずれか
i.前記エステル型の発泡デンプンの生成に応じるのに十分な温度および時間で、前記混合物を保持、または
ii.前記エステル型の発泡デンプンの生成に応じるのに十分な100〜1000Wで、1〜10分間、マイクロ波加熱炉内で前記混合物を処理する;
f.水溶性非水溶媒を加えて前記エステル型の発泡デンプンを沈殿させるかまたは前記エステル型の発泡デンプンの沈殿を促進させる水を添加し、かつ前記エステル型の発泡デンプンを乾燥させる;
g.可塑剤を前記エステル型の発泡デンプンに混和し、可塑化エステル型の発泡デンプンの生成に応じる
【請求項23】
前記得られた発泡デンプンの乾燥が、工程dで実施されることを特徴とする請求項22に記載の接着剤。
【請求項24】
前記デンプンが、少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、尚さらに好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも60%のアミロース含有量(w/w)、またはより高い割合の直鎖を有する脱分岐した(debranced)デンプンを有することを特徴とする請求項22に記載の接着剤。
【請求項25】
前記糊化されたデンプンが、約50℃〜200℃、さらに好ましくは70℃〜160℃、尚さらに好ましくは90℃〜130℃の範囲の温度での熱水溶媒処理により、得られることを特徴とする請求項22に記載の接着剤。
【請求項26】
老化が、25℃未満、好ましくは10℃未満、さらに好ましくは5℃未満、しかし−5℃を超える温度で、少なくとも10時間、好ましくは少なくとも24時間、さらに好ましくは少なくとも100時間、さらに好ましくは少なくとも500時間、前記熱水溶媒処理したデンプンを保管することによって、誘導されることを特徴とする請求項22に記載の接着剤。
【請求項27】
前記水溶性非水溶媒が、エタノール、メタノール、プロパノール、およびブタノールからなる群から選択されることを特徴とする請求項22に記載の接着剤。
【請求項28】
前記水溶性非水溶媒が、工程b)で添加される熱水溶媒5体積に対して水溶性非水溶媒1体積の割合から工程b)で添加される熱水溶媒1体積に対して水溶性非水溶媒5体積の割合まで、工程d)で添加されることを特徴とする請求項22に記載の接着剤。
【請求項29】
前記沈殿したデンプンの前記さらなる洗浄の後、前記沈殿したデンプンが、工程e)の前記不活性の水無含有の有機溶媒で少なくとも1回洗浄され、前記得られた発泡デンプンの前記乾燥を省略することを特徴とする請求項22に記載の接着剤。
【請求項30】
前記不活性の水無含有の有機溶媒が、トルエン、ベンゼン、およびキシレンからなる群から選択されることを特徴とする請求項22に記載の接着剤。
【請求項31】
前記触媒が、アミン、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、トリエチルアミン、およびピリジンからなる群から選択され、最も好ましくは前記触媒が、DMAPであることを特徴とする請求項22に記載の接着剤。
【請求項32】
前記無水脂肪酸が、C2〜C12の無水脂肪酸、またはそれらの組み合わせであり、好ましくはC2〜C6の無水脂肪酸であることを特徴とする請求項22に記載の接着剤。
【請求項33】
前記無水脂肪酸が、無水酢酸であることを特徴とする請求項22に記載の接着剤。
【請求項34】
前記可塑剤が、フタル酸エステル、ジメチル−およびジエチルスクシネート、グリセロールトリアセテート(トリアセチン)、グリセロールモノ−およびジアセテート、グリセロールモノ−、ジ−およびトリプロピオネート、グリセロールトリブタノエート(トリブチリン)、グリセロールモノ−およびジブタノエート、グリセロールモノ−、ジ−およびトリステアレート、および他の関連するグリセロールエステル、乳酸エステル、クエン酸エステル、アジピン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル、リシノール酸エステル、他の脂肪酸エステル、グリセロール、ポリカプロラクトン、グリセリルトリオレアートからなる群から選択され、好ましくは前記可塑剤が、グリセロールまたはグリセロールトリアセテートであり、最も好ましくは前記可塑剤が、グリセロールトリアセテートであることを特徴とする請求項17〜33のいずれかに記載の接着剤。
【請求項35】
前記可塑剤が、前記エステル型の発泡デンプンを基準として、10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%、さらに好ましくは20〜30重量%の量で混和されることを特徴とする請求項22に記載の接着剤。
【請求項36】
さらに、難燃剤、充填材、防腐剤、結合剤、湿潤剤、抗菌剤が、前記エステル型の発泡デンプンまたは前記可塑化エステル型の発泡デンプンに混和されることを特徴とする請求項22に記載の接着剤。
【請求項37】
熱水溶媒の転換可能な接着剤を調製する方法であって、以下の工程を含む方法。
a.デンプンを提供する工程;
b.デンプンを糊化するために、前記デンプンを熱水溶媒処理する工程;
c.前記糊化したデンプンを処理し前記糊化したデンプンにおいて老化を誘導し発泡デンプンを得る工程;
d.水溶性非水溶媒を加え、前記発泡デンプンを沈殿させ、前記沈殿した発泡デンプンを前記溶媒から実質的に分離する;さらに、工程bで加えられた前記水性溶媒の少なくとも90容量%が除去されるまで、水溶性非水溶媒で前記発泡デンプンを洗浄する工程;
e.不活性の水無含有の有機溶媒中に前記発泡デンプンを懸濁させ、触媒を加え、無水脂肪酸を加える工程、および以下のいずれか
i.エステル型の発泡デンプンの生成に応じるのに十分な温度および時間で、前記混合物を保持する工程、または
ii.エステル型の発泡デンプンの生成に応じるのに十分な100〜1000W、1〜10分間、マイクロ波加熱炉内で前記混合物を処理する工程;
f.水溶性非水溶媒を加えて前記エステル型の発泡デンプンを沈殿させ、前記エステル型の発泡デンプンを乾燥させ、;または前記エステル型の発泡デンプンの沈殿を促進する水を添加する工程;
g.可塑剤を前記エステル型の発泡デンプンに混和し、可塑化エステル型の発泡デンプンの生成に応じる工程
【請求項38】
前記得られた発泡デンプンの前記乾燥が、工程dで実施されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記デンプンが、少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、尚さらに好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも60%のアミロース含有量(w/w)、またはより高い割合の直鎖を有する脱分岐したデンプンを有することを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記糊化されたデンプンが、約50℃〜200℃、さらに好ましくは70℃〜160℃、尚さらに好ましくは90℃〜130℃の温度での熱水溶媒処理により得られることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項41】
老化が、25℃未満、好ましくは10℃未満、さらに好ましくは5℃未満、しかし−5℃を超える温度で、少なくとも10時間、好ましくは少なくとも24時間、さらに好ましくは少なくとも100時間、さらに好ましくは少なくとも500時間、前記熱水溶媒処理したデンプンを保管することによって、誘導されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記水溶性非水溶媒が、エタノール、メタノール、プロパノール、およびブタノールからなる群から選択されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記水溶性非水溶媒が、工程b)で添加される熱水溶媒5体積に対して水溶性非水溶媒1体積の割合から工程b)で添加される熱水溶媒1体積に対して水溶性非水溶媒5体積の割合まで、工程d)で添加されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記沈殿したデンプンの前記さらなる洗浄の後、前記沈殿したデンプンが、工程e)の前記不活性の水無含有の有機溶媒で少なくとも1回洗浄され、前記得られた発泡デンプンの前記乾燥を省略することを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項45】
前記不活性の水無含有の有機溶媒が、トルエン、ベンゼン、およびキシレンからなる群から選択されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項46】
前記触媒が、アミン、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、トリエチルアミン、およびピリジンからなる群から選択され、最も好ましくは前記触媒が、DMAPであることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項47】
前記無水脂肪酸が、C2〜C12の無水脂肪酸、またはそれらの組み合わせであり、好ましくはC2〜C6の無水脂肪酸であることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項48】
前記無水脂肪酸が、無水酢酸であることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記可塑剤が、フタル酸エステル、ジメチル−およびジエチルスクシネート、グリセロールトリアセテート(トリアセチン)、グリセロールモノ−およびジアセテート、グリセロールモノ−、ジ−およびトリプロピオネート、グリセロールトリブタノエート(トリブチリン)、グリセロールモノ−およびジブタノエート、グリセロールモノ−、ジ−およびトリステアレート、および他の関連するグリセロールエステル、乳酸エステル、クエン酸エステル、アジピン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル、リシノール酸エステル、他の脂肪酸エステル、グリセロール、ポリカプロラクトン、グリセリルトリオレアートからなる群から選択され、好ましくは前記可塑剤が、グリセロールまたはグリセロールトリアセテートであり、最も好ましくは前記可塑剤が、グリセロールトリアセテートであることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項50】
前記可塑剤が、前記エステル型の発泡デンプンを基準として、10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%、さらに好ましくは20〜30重量%の量で混和されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項51】
さらに、難燃剤、充填材、防腐剤、結合剤、抗菌剤が、前記エステル型の発泡デンプンまたは前記可塑化エステル型の発泡デンプンに混和されることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項52】
以下の工程を備える再利用可能なカーペットまたはカーペットタイルを調製する方法。
a.カーペット表面層を提供する工程
b.1層または複数層の裏打ちを提供する工程
c.請求項17〜36のいずれかの接着剤、または請求項37〜51のいずれかの方法によって得ることが可能な接着剤を前記カーペット表面層の裏面と接触させ、前記層内の前記糸フィラメントを固定する工程
d.前記裏打ち層を前記接着剤に、従って前記カーペット表面層に接着させる工程
【請求項53】
以下の工程を備えるカーペットまたはカーペットタイルの構成要素を再利用する方法。
a.請求項52に記載の方法によって得られる再利用可能なカーペットまたはカーペットタイルを提供する工程;
b.少なくとも20℃、好ましくは少なくとも30℃、好ましくは少なくとも70℃、さらに好ましくは少なくとも90℃の温度で、熱水溶液および/または蒸気で、前記熱水溶媒の転換可能な接着剤を引き離す(または剥がす)または前記接着剤の接着力を低下させるのに十分な時間で、再利用可能なカーペットまたはカーペットタイルを処理する工程;
c.前記裏打ち層から前記カーペット表面層を分離する工程
【請求項54】
前記再利用可能なカーペットまたはカーペットタイルのサイズを低減させる前記工程が、工程bに先立って実施されることを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項55】
物体の少なくとも1つの構成要素を調製して続いて再利用する、以下の工程を含む方法。
a.前記物体の第一構成要素を提供する工程
b.前記物体の第二構成要素を提供する工程
c.請求項17〜36のいずれかに記載の接着剤、または請求項37〜51のいずれかに記載の方法によって得ることが可能な接着剤を前記2つの構成要素と接触させる工程;
d.構成要素を一緒に接着させて前記物体を形成する工程、および
e.前記構成要素を一緒に接着させた後に、前記接着剤の状態を変えるように前記接着剤を処理して、前記少なくとも1つの構成要素を前記物体の他の構成要素から実質的に分離させる工程
【請求項56】
工程eが、前記再利用可能な物体を熱水溶液および/または蒸気で処理して、前記物体の前記状態を変化させることを含むことを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記処理が、少なくとも20℃、好ましくは少なくとも30℃、好ましくは少なくとも70℃、さらに好ましくは少なくとも90℃の温度で、前記熱水溶媒の転換可能な接着剤を引き離す(または剥がす)のに、或いは前記接着剤の前記接着力を低下させるのに十分な時間で、実施されることを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項58】
カーペット表面層と、裏打ち層と、熱水溶媒の転換可能な接着剤とを少なくとも含んでなる床の敷物であって、前記接着剤が、前記カーペット表面層を前記裏打ち層に直接または間接的に接着させる床の敷物。
【請求項59】
難燃剤としての熱水溶媒の転換可能な接着剤の使用。
【請求項60】
カーペット表面層と、前記カーペット表面層が接着剤によって接着される1層もしくは複数の層を含んでなる裏打ち層とを含むカーペットまたはカーペットタイルであって、前記接着剤が、また難燃剤として作用することを特徴とするカーペットまたはカーペットタイル。
【請求項61】
前記接着剤が、可塑化エステル型の発泡デンプンを含んでなるもしくは本質的に可塑化エステル型の発泡デンプンからなる熱水溶媒の転換可能な接着剤であることを特徴とする請求項58に記載のカーペットまたはカーペットタイル。

【図1】
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【公表番号】特表2013−502254(P2013−502254A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525199(P2012−525199)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001550
【国際公開番号】WO2011/020993
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(511312632)インターフェイス インターナショナル ビー.ヴィ. (2)
【Fターム(参考)】