説明

軸受研削用治具

【課題】被研削材である軸受の取り付けが容易な軸受研削用治具の提供。
【解決手段】中空回転軸12に軸承された回転テーブル7上に備えた円筒状治具ハウジング材3の頭頂部に設けた2段環状筒構造のベアリングケース4と、被研削材である軸受wが前記ベアリングケース4内に案内された後にこのベアリングケースに固定される軸受の外輪抑え5と、前記ベアリングケース4に案内された軸受wの内輪w底部を加圧固定する軸受の内輪加圧部材15を取り付けたクランプフランジ14と、前記クランプフランジを上下に移動させるクランプフランジ昇降手段21と、前記クランプフランジを軸承する回転軸12を回転させる回転駆動手段25を備える軸受研削用治具1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外輪と内輪間に複数の転動体を介挿したアンギュラ玉軸受、転がり軸受、四点接触玉軸受等の軸受(bearing)を軸受クランプフランジに固定し、この軸受の内輪の円環状平面を回転する砥石車で研削加工して平坦化する際用いる軸受研削用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
軸受の加工方法は、数多く提案されている。例えば、外輪素材を熱処理して表面硬化を行った後に、外輪の環状両面を幅研削し、ついで、外輪の転走面をセンターレス研削し、外輪の内側シール溝を焼入鋼切削で加工する。この後、転走面を超仕上げ研磨して外輪を形成する。また、内輪素材を熱処理して表面硬化を行った後に、内輪の環状両面を幅研削し、ついで、内輪の転走面をセンターレス研削し、内輪の外側シール溝を焼入鋼切削で加工する。この後、転走面を超仕上げ研磨して内輪を形成する。内輪と外輪の転走面空間に転動体が挿入され、ついで、内輪のシール溝に環状シールを嵌めこみ外輪と内輪の隙間を塞ぐ(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、外径を軸受外輪外径と取代分とを加えた寸法とし、内径を軸受内輪内径から取代分を差し引いた寸法とし、幅を軸受幅と取代分とを加えた寸法とした環状素材を製作する環状素材製作工程と、前記環状素材をレーザ加工によって、複数の軌道輪素材に切断する切断工程と、切断された前記軌道輪素材のうち、一つを外輪軌道輪とし、他の一つを内輪軌道輪とし、この外輪軌道輪及び内輪軌道輪の軸方向端面に同時に両頭平面研削を施す軌道輪研削工程と、前記外輪軌道輪及び前記内輪軌道輪の軸方向端面をマグネットチャックによって着磁し、外径面、内径面および溝をワンチャックでハードターニング加工を施す旋削工程を備えていることを特徴とする軸受軌道輪の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、複数個の軌道輪が組み合わされた組合せ軸受の軌道輪を製造する方法であって、前記複数個の軌道輪を軸方向に組み合わせた際の軸方向長さより所定寸法長いリング状部材に対して各軌道輪に必要な所定の加工を施した後、加工精度の保証検査を行い、次いで、前記リング状部材を複数個のリング単体に分割すべく該リング状部材を回転させながらワイヤーカット切断加工した後、該リング単体の切断面を研削加工して内径側及び/又は外径側に周方向溝を設けて完成軌道輪を得ることを特徴とする組合せ軸受の軌道輪の製造方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
さらに又、外輪と内輪と複数の転動体とを備え、上記外輪または上記内輪は、ブレーキディスクを直接的または間接的に取り付けるブレーキディスク取付用フランジを備えている車輪用転がり軸受装置を加工する車輪用転がり軸受装置の加工方法であって、上記外輪と上記内輪と上記複数の転動体とを組み付けた後、上記ブレーキディスク取付用フランジを備えている上記外輪または上記内輪を所定位置に周方向に回転不可に取り付ける一方、上記ブレーキディスク取付用フランジを備えていない上記内輪または上記外輪に、上記ブレーキディスク取付用フランジの方に荷重をかけると共に、上記ブレーキディスク取付用フランジを備えていない上記内輪または上記外輪を回転させた状態で、上記ブレーキディスク取付用フランジのブレーキディスクが直接的または間接的に取り付けられるブレーキディスク取付面と、回転している研削装置の砥石とを接触させて、上記ブレーキディスク取付面を研削する車輪用転がり軸受装置の加工方法も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
軸受は、単独で使用されることもあるが、2個の軸受を組み合わせて(DF組み合わせまたは、DB組み合わせ)使用されることが多い(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平6−246546号公報
【特許文献2】特開2004−92726号公報
【特許文献3】特開2005−48881号公報
【特許文献4】特開2006−175551号公報の図3
【特許文献5】特開2008−20002号公報の図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献5に開示される構造のDF組合せ軸受200は、精密工作機械の主軸軸受として利用される場合、機械加工寸法精度を上げるために図3に示すように、上段の玉軸受201の内輪環状底平面201bが下段の玉軸受202の内輪環状上平面202aに予備荷重を懸けて上段軸受底面と下段軸受上面間の剥離力を約200kg(プラスマイナス40kg)としたDF組合せ軸受200としてから工作機械の主軸用軸受に使用される。
【0009】
よって、前記特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載の平砥石を用いて外輪の環状平面または内輪の環状平面を両面平面研削して得られたDFアレンジ(Face to Face arrange)の軸受を組合せ軸受とした場合、前記外輪または内輪の環状平面の平滑度が1〜2μmと粗く、前記剥離力(約160kg)に満たない。
【0010】
本発明者等は、砥石車(成型砥石車も含む)を用いることにより軸受の輪の環状平面の平滑度を0.2〜0.5μmと向上できると推測し、軸受の環状平面研削加工時に軸受の背面に十分な背圧をかけることができる軸受研削用治具を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、研削装置のベース上に設けられる軸受研削用治具であって、この軸受研削用治具は、円筒状治具ハウジング材の頭頂部に設けた、上段ガイド環状筒の内径が被研削材である軸受の外輪径より僅かに大きく、下段外輪支持環状筒の内径が被研削材である軸受の外輪径より僅かに小さい2段環状筒構造のベアリングケースと、被研削材である軸受が上記ベアリングケース内に案内された後にこのベアリングケースの上段ガイド環状筒の環状上平面に固定される軸受の外輪抑えと、前記ベアリングケースの下段外輪支持環状輪上に案内された軸受の内輪底部を加圧固定する軸受の内輪加圧部材取り付けたクランプフランジと、前記クランプフランジを上下に移動させるクランプフランジ昇降手段と、前記クランプフランジを軸承する回転軸を回転させる回転駆動手段と、を備える軸受研削用治具を提供するものである。
【0012】
請求項2の発明は、研削装置のベース上に設けられる軸受研削用治具であって、この軸受研削用治具は、円筒状治具ハウジング材の頭頂部に設けた、上段ガイド環状筒の内径が被研削材である軸受の外輪径より僅かに大きく、下段外輪支持環状筒の内径が被研削材である軸受の外輪径より僅かに小さい2段環状筒構造のベアリングケースと、被研削材である軸受が上記ベアリングケース内に案内された後にこのベアリングケースの上段ガイド環状筒の環状上平面に固定される軸受の外輪抑えと、前記ベアリングケースの下段外輪支持環状筒の下側であって、被研削材である軸受の回転中心軸と軸心を同じくする断面鍔付帽子状クランプフランジの頭部に取り付けた軸受の内輪加圧部材であって、この軸受の内輪加圧部材は前記ベアリングケースの下段外輪支持環状輪上に案内された軸受の内輪底部を加圧固定する内輪加圧部材と、前記断面鍔付帽子状クランプフランジの下方に設けられたシリンダー内にクランプフランジの回転軸心と同じ軸心を持つスプライン軸を設け、このスプライン軸の頭部にリンクボールを供え、このリンクボールを前記断面鍔付帽子状クランプフランジの底部凹部に間挿して当接させるとともに、前記スプライン軸の下部外周に上方開放型凹状部材内の凹状空間内にコイルスプリングを内挿したピストンを前記シリンダー内に設け、このピストン底部と前記シリンダーの底部間に形成された加圧室に加圧空気を供給する圧空噴出し口を前記シリンダーの底部に設けた圧空供給管を前記スプライン軸を軸承する中空回転軸内に設け、前記加圧室に圧空を導入することにより前記クランプフランジを上方に移動させてこのクランプフランジ上面を覆う前記内輪加圧部材を被研削材の軸受の内輪底部に当接させるクランプフランジ昇降手段と、前記スプライン軸と軸心を同一とする前記中空回転軸を回転させる回転駆動手段と、を備える軸受研削用治具を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の軸受研削用治具は、外輪と内輪間に複数の転動体を介挿した軸受の外輪と内輪間の隙間に異物侵入防止の環状ゴム輪を嵌め込み、これを
軸受研削用治具のベアリングケース内に内挿し、その後、軸受の外輪抑えをベアリングケースの上段ガイド環状筒の環状上平面に固定して被研削材である軸受の上方飛び出しを防ぐ。ついで、シリンダーの内側底部に臨んだ圧空供給管より圧空をシリンダー内に吹き込むことによりスプライン軸に外周に固定されたピストンを上昇させてクランプフランジに固定した内輪加圧部材を被研削材である軸受の内輪底部に当接させて被研削材である軸受の内輪底部と外輪上部をこの内輪加圧部材と前記軸受の外輪抑えで挟持して固定したのち、回転軸を回転させることにより被研削材である軸受を水平方向に回転させつつ、外輪の円環状平面と内輪の円環状平面に回転する砥石車の周面を切り込ませる研削加工を行って軸受の外輪と内輪を平坦化することができる。従来の平砥石による研削加工より、本発明の治具を用い、砥石車により研削加工する方法は、より平滑度の優れた研削平面を与える。
【0014】
また、本発明の軸受研削用治具は、内輪加圧部材を搭載するクランプフランジがリンクボールを介してスプライン軸に載置されているので、クランプフランジはリンクボールの頭頂部で前後左右に微動可能であり、内輪加圧部材の上表面が被研削材である軸受の内輪底部に平行に当接するのを容易にしている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図を用いて本発明をさらに詳細に説明する。図1は軸受研削用治具の断面図、図2は図1においてA矢方向から見た軸受の外輪抑えと内輪加圧部材の平面図、および、図3は組合せ軸受(DF)の断面図である。
【0016】
図1に示す軸受研削用治具1において、この軸受研削用治具1は、研削装置のベース上に設けられる。2は防水カバーで空気軸受9に研削液が付着するのを防ぐ。中空回転軸12は回転テーブル7を軸承し、回転テーブル7はカバーフランジ7a,7bで囲綾されている。この回転テーブル7上に設けられた治具ベース3aを含む円筒状治具ハウジング材3の頭頂部に被研削材である軸受wを内側に案内する2段環状筒構造のベアリングケース4が設けられている。軸受wの外径が124mm、内径が70mm、外輪wの高さが23.95mm、内輪wの高さが24.00mmのであるとき、このベアリングケース4の環状上段4aの寸法は、例えば、内径が125mm、外径が188mm、高さ20mm、環状下段4bの寸法は、例えば、内径が110mm、外径が138mm、高さ8mmである。環状下段4bの底部は軸受の外輪w底部の略半分を受ける。
【0017】
このベアリングケース4の上段ガイド環状筒4aの環状上平面に、研削加工前に軸受の外輪抑え5が12本のボルト6により固定される。軸受の外輪抑え5は、外径188mmで、内径は、上側135mm、中央部および下側110mmであり、内側に向かう傾斜部を有する。
【0018】
このベアリングケース4と治具ベース3aを含む円筒状治具ハウジング材3と中空回転軸12に軸承される回転テーブル7とで囲まれる空間10内に、前記中空回転軸12と軸心を同じくするスプライン軸13を内蔵するシリンダー11,11aと断面鍔付帽子状クランプフランジ14を設ける。このクランプフランジ14は前記シリンダー11aの上方であって、前記ベアリングケース4の下段外輪支持環状筒4bの下方に位置し、帽子状頭部に軸受の内輪加圧部材15がボルト16締めされている。この軸受の内輪加圧部材15は、前記ベアリングケース4下段外輪支持環状輪上に案内された軸受の内輪w底部に当接して前述の軸受の外輪抑え5と共同して軸受wを固定する。
【0019】
前記断面鍔付帽子状クランプフランジ14の下方に設けられたシリンダー11内にクランプフランジ14の軸心と同じ軸心を持つスプライン軸13を設け、このスプライン軸の頭部にリンクボール17を供え、このリンクボール17を前記断面鍔付帽子状クランプフランジ14の底部凹部に間挿して当接させるとともに、その下部を調整フランジ14aを介して前記スプライン軸13の頭頂部に固定している。14bは調整ボルト、14cはナットである。
【0020】
前記スプライン軸13の下部外周に上方開放型凹状部材内の凹状空間内にコイルスプリング18を内挿したピストン19をリテイナプレート22で受けて前記シリンダー11内に上下移動可能に設け、このピストン19底部に設けられたリテイナプレート22底部と前記シリンダー11の底部間に形成された加圧室20に加圧空気を供給する圧空噴出し口21aを前記シリンダー11の底部に設けたポリアミド樹脂製圧空供給管21を前記中空回転軸12内に設け、前記加圧室20に圧空を導入することにより前記クランプフランジ14を上方に移動させてこのクランプフランジ上面を覆う前記内輪加圧部材15を被研削材の軸受の内輪w底部に当接させるクランプフランジ昇降手段を設ける。
【0021】
前記リンクボール17は、クランプフランジ14に生じた僅かな傾動を補正し、内輪加圧部材15の上表面が被研削材である軸受の内輪底部に平行に当接するのを容易にしている。可撓性材料よりなるダイヤフラム28は、ピストン19横壁とシリンダー11内壁に緩みを持って結合されており、加圧室20に供給された加圧空気をピストン19上へ逃がさない役目をなす。また、加圧室20に導入された加圧空気により圧縮されたコイルスプリング18の付勢力は、リンクボール17を介して前記クランプフランジ14底部を付勢する。加圧空気を加圧室20より逸散させればコイルスプリング18の付勢力は消滅し、弾性回復力によりクランプフランジ14は僅かに下がり、軸受の内輪底部への内輪加圧部材15の接触が開放される。
【0022】
クランプフランジ14の横壁からシリンダー11aの肩部に向けて保護カバー23が垂下され、微細な粉塵がクランプフランジ14とシリンダー11aとで形成される空間24に侵入するのを防いでいる。シャフト27は、保護カバー23の位置を確認するのに利用される。
【0023】
前記ポリアミド樹脂製中空加圧空気供給管21は、ロータリージョイント26を経由して中空回転軸12aの中空部内に挿入されている。加圧空気の圧力は、0.2〜0.5PKaで十分である。
【0024】
前記スプライン軸13と軸心を同一とする前記中空回転軸12を回転させる回転駆動手段25(図示されていない駆動モータと歯付駆動ベルト、および、プーリー25a)を備える。
【0025】
次に図1に示す軸受研削用治具1を用いて軸受wを平面研削加工する工程を説明する。なお、図1において、砥石車100は、仮想線で示されており、砥石軸101廻りに回転される。
【0026】
(1)外輪wと内輪w間で形成される軌道内に複数の転動体を介挿した軸受wの外輪wと内輪w間の環状隙間に環状ゴムシール材を外輪wと内輪wの表面より0.3〜1.0mm深さまで挿入し、研削屑が軸受の軌道内に侵入できないようにする。
【0027】
(2)このシール構造の軸受wの研削加工面を上方に向けて軸受研削用治具1のベアリングケース4内に軸受を内挿する。
【0028】
(3)軸受研削用治具1の上記ベアリングケース4上面に外輪抑え5をボルト6で固定し、中空回転軸が回転している際の軸受wのベアリングケース4内からの飛び出しを防止する。
【0029】
(4)加圧空気供給管12に導かれた0.3PKaの圧空を加圧室20内に導き、ピストン19を浮上させることによりコイルスプリング18が圧縮され調整フランジ14aを付勢してリンクボール17を上昇させてクランプフランジ14を突き上げ、クランプフランジ14に固定されている内輪加圧部材15を軸受の内輪w底部に当接させて軸受wの上下を内輪加圧部材15と外輪抑え5とで挟持し、軸受wをベアリングケース4内に固定する。
【0030】
(5)中空回転軸12を回転駆動手段25により8〜100min−1回転数で回転させることによりベアリングケース4内に収納される軸受wは中空回転軸12軸心およびスプライン軸13軸心周りに回転される。
【0031】
(6)平面研削装置の砥石軸101を2,000〜3,000min−1回転数で回転させながら下降させて回転している砥石車100の円周外面を軸受内輪wの研削加工面に当接させ、200kgの線圧で切り込みをかけ、軸受の内輪w環状平面を仕上げ研削加工する。研削取り代は、例えば、0.01〜0.50mm行う。
【0032】
(7)軸受の内輪w環状平面仕上げ研削加工を終了した後、砥石軸101を上昇させて軸受wより砥石車100を遠ざけ、ついで、砥石車の回転を停止させたのち、砥石車100を待機位置まで移動する。
【0033】
(8)中空回転軸10aの回転を停止し、ついで、加圧空気供給管12よりの加圧空気供給を停止する。リテイナプレート22、ピストン19が下降し、コイルスプリング18は弾性回復し、内輪加圧部材15の内輪w底部付勢力が消滅する。
【0034】
(9)ボルト6を外して外輪抑え5をベアリングケース4から取り去る。
【0035】
(10)平面研削加工された軸受wを軸受研削用治具1のベアリングケース4内より取り出す。
【0036】
なお、研削加工時の砥石車100の被研削材である軸受内輪wに懸かる線圧は、研削加工された一対の軸受w,wが積層され、圧力200kgを懸けて組合せ軸受けとされる圧力を選択するのが好ましい。
【0037】
また、図1では、砥石車100の外周面が内輪wの直径方向の左右の一方の内輪に摺擦して仕上げ研削加工している状態を示しているが、別の軸受の研削加工態様として内輪wと外輪wの1/2平面に砥石車100の外周面を摺擦して仕上げ研削加工することもある。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の軸受研削用治具は、軸受の固定作業が容易であり、また、平滑度の優れた研削面を与える。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】軸受研削用治具の断面図である。
【図2】図1においてA矢視方向から見た軸受の外輪抑えと内輪加圧部材の平面図である。
【図3】組合せ軸受の断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 軸受研削用治具 3 円筒状治具ハウジング材 4 ベアリングケース 5 外輪抑え 6 加圧室 8 クランプフランジ10 スプライン軸11 シリンダー12 中空回転軸13 スプライン軸14 クランプフランジ15 内輪加圧部材17 リンクボール18 コイルスプリング19 ピストン20 加圧室21 圧空供給管25a プーリー 100 砥石車w 軸受(被研削材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削装置のベース上に設けられる軸受研削用治具であって、この軸受研削用治具は、円筒状治具ハウジング材の頭頂部に設けた、上段ガイド環状筒の内径が被研削材である軸受の外輪径より僅かに大きく、下段外輪支持環状筒の内径が被研削材である軸受の外輪径より僅かに小さい2段環状筒構造のベアリングケースと、被研削材である軸受が上記ベアリングケース内に案内された後にこのベアリングケースの上段ガイド環状筒の環状上平面に固定される軸受の外輪抑えと、前記ベアリングケースの下段外輪支持環状輪上に案内された軸受の内輪底部を加圧固定する軸受の内輪加圧部材取り付けたクランプフランジと、前記クランプフランジを上下に移動させるクランプフランジ昇降手段と、前記クランプフランジを軸承する回転軸を回転させる回転駆動手段と、を備える軸受研削用治具。
【請求項2】
研削装置のベース上に設けられる軸受研削用治具であって、この軸受研削用治具は、円筒状治具ハウジング材の頭頂部に設けた、上段ガイド環状筒の内径が被研削材である軸受の外輪径より僅かに大きく、下段外輪支持環状筒の内径が被研削材である軸受の外輪径より僅かに小さい2段環状筒構造のベアリングケースと、被研削材である軸受が上記ベアリングケース内に案内された後にこのベアリングケースの上段ガイド環状筒の環状上平面に固定される軸受の外輪抑えと、前記ベアリングケースの下段外輪支持環状筒の下側であって、被研削材である軸受の回転中心軸と軸心を同じくする断面鍔付帽子状クランプフランジの頭部に取り付けた軸受の内輪加圧部材であって、この軸受の内輪加圧部材は前記ベアリングケースの下段外輪支持環状輪上に案内された軸受の内輪底部を加圧固定する内輪加圧部材と、前記断面鍔付帽子状クランプフランジの下方に設けられたシリンダー内にクランプフランジの回転軸心と同じ軸心を持つスプライン軸を設け、このスプライン軸の頭部にリンクボールを供え、このリンクボールを前記断面鍔付帽子状クランプフランジの底部凹部に間挿して当接させるとともに、前記スプライン軸の下部外周に上方開放型凹状部材内の凹状空間内にコイルスプリングを内挿したピストンを前記シリンダー内に設け、このピストン底部と前記シリンダーの底部間に形成された加圧室に加圧空気を供給する圧空噴出し口を前記シリンダーの底部に設けた圧空供給管を前記スプライン軸を軸承する中空回転軸内に設け、前記加圧室に圧空を導入することにより前記クランプフランジを上方に移動させてこのクランプフランジ上面を覆う前記内輪加圧部材を被研削材の軸受の内輪底部に当接させるクランプフランジ昇降手段と、前記スプライン軸と軸心を同一とする前記中空回転軸を回転させる回転駆動手段と、を備える軸受研削用治具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−52087(P2010−52087A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218950(P2008−218950)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(391011102)株式会社岡本工作機械製作所 (161)
【Fターム(参考)】