説明

軸流圧縮機

【課題】二次損失やクロスフローの低減及び信頼性の確保を達成できる高性能な圧縮機翼形状を提供する。
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明では、環状流路を構成するケーシング内面に取り付けられた複数の静翼列と、前記環状流路を構成する回転するロータに取り付けられた複数の動翼列とを有する軸流圧縮機において、前記静翼列または動翼列の周方向に隣接する翼の圧力面と負圧面とで区画される流路を、流路幅が最小となるスロート部を軸方向コード長50%より上流側に設け、かつ、該流路を区画する翼の翼前縁から翼後縁に沿った軸方向流路幅分布が、前記スロート部より下流側に変曲点を有するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン用あるいは産業用の軸流圧縮機に係り、特に高性能な軸流圧縮機翼を有する軸流圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、軸流圧縮機の下流に位置する亜音速翼には、非特許文献1(NACA,SP−36)に記述されているように、翼列風洞による系統的で広範囲な実験的研究により開発されたNACA65翼が適用されている。近年、軸流圧縮機では高圧力比化と段数削減による低コスト化を両立する高負荷化が要求されている。高負荷機の下流段における亜音速翼では側壁境界層の発達により二次流れが増加するため、翼面でコーナーストールが発生し、従来翼では損失が増大する可能性がある。従って、コーナーストールを抑制できる高性能な翼形を適用することが高負荷圧縮機の性能向上には重要な技術である。
【0003】
特許文献1には、軸流圧縮機の二次流れを抑制する方法が開示されている。この方法は、二次流れが発生しやすい翼端部の翼形を腹側と背側の静圧勾配が小さくなるように、翼前縁位置を固定したまま、翼中心線の前縁よりと後縁よりの曲率半径を調整したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−135597号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“Aerodynamic Design of Axial-Flow Compressors”,NATIONAL AERONAUTICS AND SPACE ADMINISTRATION, 1965.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているような、側壁近傍で発生する二次流れ損失を低減するための従来技術では、側壁付近の翼取り付け角度や翼形状を改良することで側壁部の翼負荷を低減し、その結果として、二次流れ損失やコーナーストールを抑制するような方法が主流である。しかし、翼負荷が増加する側壁部以外では損失が増加するというような懸念がある。また、流れの乱れや剥離によるバフェッティングなどの非定常な流体振動によって、圧縮機の信頼性が低下する恐れがある。
【0007】
そこで本発明の目的は、損失の低減と信頼性の確保を達成した高性能な圧縮機翼形状を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、環状流路を構成するケーシング内面に取り付けられた複数の静翼列と、前記環状流路を構成する回転するロータに取り付けられた複数の動翼列とを有する軸流圧縮機において、前記静翼列または動翼列の周方向に隣接する翼の圧力面と負圧面とで区画される流路を、流路幅が最小となるスロート部を軸方向コード長50%より上流側に設け、かつ、該流路を区画する翼の翼前縁から翼後縁に沿った軸方向流路幅分布が、前記スロート部より下流側に変曲点を有するように構成する。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、損失の低減と信頼性の確保を達成した高性能な圧縮機翼形状を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態の翼間の軸方向流路幅分布図。
【図2】本発明の実施形態の軸流圧縮機の子午面断面図。
【図3】本発明の実施形態の一つである軸流圧縮機翼の二次元断面図。
【図4】本発明の実施形態の一つである軸流圧縮機翼面の曲率分布図。
【図5】本発明の実施形態の一つである軸流圧縮機翼の二次元断面図。
【図6】本発明の実施形態の一つである軸流圧縮機翼面の曲率分布図。
【図7】本発明の実施形態の作用を説明する翼間および翼面静圧分布図。
【図8】本発明の実施形態における全圧損失分布の比較。
【図9】本発明の実施形態における翼負圧面近傍の流線分布の比較。
【図10】本発明の実施形態における翼面静圧分布の比較。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図2は、本発明の翼形が適用される多段軸流圧縮機の部分的な横断面図を示したものである。
【0012】
軸流圧縮機1は複数の動翼列4が取り付けられた回転するロータ2と、複数の静翼列5を取り付けたケーシング3から構成され、ロータ2とケーシング3により環状流路が形成される。動翼列4と静翼列5は軸方向に交互に配列されており、1つの動翼列と静翼列とで段を構成している。ロータ2は同一の回転軸6に設置されたモータやタービンなどの駆動源(図示しない)により駆動される。流入気流10は複数の静翼列と複数の動翼列を通過して減速されながら高温,高圧の流出気流11となる。
【0013】
軸流圧縮機では、動翼列で流入気流に運動エネルギーを与え、静翼列で流れを転向させ減速させることで運動エネルギーを圧力エネルギーに変換して昇圧させる。このような流れ場における環状流路の側壁では境界層が発達するため、軸流圧縮機の下流側に位置する亜音速翼列では二次流れ損失が増加する。また、軸流圧縮機の高圧力比化と段数削減による低コスト化を目的とした高負荷圧縮機では、この二次流れ損失の主要因となる翼面でのコーナーストールが拡大する。そのため、コーナーストールを抑制できる翼形状の生成が技術課題である。
【0014】
しかしながら、以下に説明する本発明の実施形態によれば、隣接する2つの翼列間の流路において、翼圧力面から翼負圧面の静圧勾配が流れに垂直方向に対して均一化でき、翼列間の圧力面から負圧面へのクロスフローを抑制できる。このクロスフローの抑制により、翼負圧面側で発生するコーナーストールを低減できる。二次流れ損失の主要因であるコーナーストールを抑制できるため、翼列の損失を低減でき、軸流圧縮機全体の効率が向上できる。
【0015】
また、翼列のコーナーストールを抑制することで、流出角を改善でき、そのため、本発明を適用した翼列の下流側に位置する静翼列もしくは動翼列の流入角が改善される。そして、動翼と静翼からなる段落での損失低減と高性能化を達成することができる。さらに、翼面での剥離によるバフェッティングなど非定常な流体振動を回避することが可能であり、軸流圧縮機の信頼性を確保することができる。
【0016】
以下、静翼列5のA−A断面について、複数の実施例を示して説明を行う。但し、本発明は静翼列に限られるものではなく、動翼列についても同様に適用可能である。
【0017】
本発明の第1の実施例に係る軸流圧縮機の翼形を図3に示す。図3は図2の静翼列5のA−A断面について、周方向に隣接する2つの翼形についての円筒断面を図示している。翼形は翼負圧面21と翼圧力面22と前縁部23と後縁部24とから構成される。そして、隣接する2つの翼の負圧面21と圧力面22とによって区画され、前縁部23から後縁部24に沿った軸方向流路幅31を備えた流路が形成され、この翼間の流路を流入気流が流れる。
【0018】
図1に、軸方向コード長に対する流路幅の分布を示す。図1では従来翼の流路幅分布41を点線で、本発明翼の流路幅分布42を実線で表わし比較している。従来翼では軸方向コード長30%付近で流路幅が最小となり、その下流側では後縁に向けて単調に増加する。しかし、本発明の実施例における流路幅分布42では、軸方向流路幅が最小となる位置(以下、スロート部)より下流側で変曲点42aを有するように構成されている。また、図1に示すように、軸方向流路幅分布は、スロート部より下流側で極大値も極小値も有することなく、後縁で最大となるように構成されている。即ち、スロート部より下流側の軸方向流路幅分布は、傾きが正の値を持った曲線となる。
【0019】
次に、図3の翼形状を図4の翼面曲率分布を用いて説明する。図4は、点線を従来翼の翼面曲率分布51、実線を本発明の第1の実施例の翼の翼面曲率分布52として比較したものであり、翼の負圧面の翼面曲率分布を図4(a)、圧力面の翼面曲率分布を図4(b)に示している。なお、図4(a)において曲率が最小となる位置が、最も流れが加速されるスロート部に相当している。本実施例の翼は、図4(b)に示す通り、圧力面では軸方向コード長のスロート部より下流側で、一旦極大値52aをもち、その後極小値52bをもつような曲率分布を有するように構成されている。この極大値52aは50%から70%コード長範囲内にあることが好ましい。また、本実施例では負圧面の曲率は従来翼と同一で、翼面曲率分布は単調増加している。
【0020】
本発明の第2の実施例に係る軸流圧縮機の翼形を図5に示す。図5は、図3と同様、図2の静翼列のA−A断面について、周方向に隣接する2つの翼形についての円筒断面を図示したものであり、翼形は翼負圧面21と翼圧力面22と前縁部23と後縁部24とから構成されている。図5に示す本実施例の翼と、図3に示した第1の実施例との違いは、図1に示す軸方向コード長のスロート部より下流側における流路幅分布を従来翼より増加する方法として、圧力面22の曲率ではなく、負圧面21においてスロート部より下流側での曲率を大きくした点である。
【0021】
但し、本実施例に示した翼形においても、隣接した翼によって形成される流路の流路幅分布は第1の実施例で示した翼形と同様、図1に示す流路幅分布となる。
【0022】
図6に本実施例の翼(図5)の翼面曲率分布を示し、点線を従来翼の翼面曲率分布51、実線を本実施例の翼の翼面曲率分布52として比較している。なお、負圧面側の翼面曲率分布を示したものが図6(a)、圧力面側の翼面曲率分布を示したものが図6(b)である。本実施例の翼では、圧力面側の曲率は従来翼と同一としている。一方、本発明翼52の負圧面側の曲率は、軸方向コード長のスロート部より下流側で一旦極大値52aをもつような曲率分布を有するように構成され、極大値52aから後縁に向けて曲率が緩やかに減少するようにしている。この極大値52aは50%から70%コード長範囲内にあることが好ましい。
【0023】
なお、一般的な翼構造では圧力面側と負圧面側を滑らかに接続する。そのため、正確には、曲率分布は翼面位置の前縁部23および後縁部24の近傍で急激な変化を示す。但し、図中においては特にこのような接続部分については言及しないこととする。
【0024】
第1の実施例及び第2の実施例では、それぞれ圧力面か負圧面のどちらか一方の曲率分布を変化させることで、図1に示す本発明翼の軸方向の流路幅分布42を満足させる場合について説明してきた。これらは組み合わせることも可能であり、第1の実施例で説明した圧力面の曲率分布と第2の実施例で説明した負圧面の曲率分布を同時に採用することでも、図1に示すような流路幅分布を満足させることが可能である。但し、その場合、軸方向コード長のスロート部より下流側の翼厚み分布を、翼の後縁厚みよりも大きくすることが、翼の強度,信頼性の観点から必要となる。
【0025】
次に、実施例として説明した翼構造、即ち、流路幅が最小となるスロート部を軸方向コード長50%より上流側に設け、かつ、該流路を区画する翼の翼前縁から翼後縁に沿った軸方向流路幅分布が前記スロート部より下流側に変曲点を有するように構成した翼(以下、簡単のため発明翼と呼称する)を採用することによる流れ場への作用について説明する。
【0026】
図7(a)に隣接する2つの翼間の静圧分布を示し、図7(b)に翼面の静圧分布の概念図を示す。図7(a)中の実線は翼間の等静圧線61を表し、一点鎖線は等静圧線の圧力面に沿った流れに垂直方向断面の圧力勾配62を示している。また、この等静圧線61と負圧面との交点64および圧力面との交点63から決まる軸方向距離65を図示している。この軸方向距離65は、図7(b)では等静圧線と同静圧値の負圧面と圧力面との軸方向位置の差で表わされる。
【0027】
上記したような発明翼を採用して、軸方向コード長のスロート部より下流側で流路幅分布が変曲点を有するように流路を拡大することで、図7(b)で示した軸方向距離を短縮させることができる。
【0028】
このように等静圧線の軸方向距離65を短縮することで、図7(a)に示される等静圧線61と翼間の静圧の圧力勾配62とを平行に近づけることができ、翼間の流れに対して垂直な方向の圧力勾配を小さくすることができる。これにより翼間で発生するクロスフローを抑制でき、二次流れ損失の低減およびコーナーストールの軽減が可能となる。
【0029】
更に、本発明翼は、軸方向コード長のスロート部より下流側の翼間流路幅分布が変曲点を有するように構成されている。このスロート部は、翼間の流路幅が最小となり、流れが最大に加速される。そして、その下流側で流れが減速されて静圧が回復(上昇)する。従って、流れが減速され静圧が上昇する領域では翼面の乱流境界層が発達して流れが剥離しやすくなるため、その領域の翼間の静圧の圧力勾配62を均一化させることが二次流れ損失の低減およびコーナーストールを軽減するには有効となる。
【0030】
上記したような発明翼を翼高さ方向に複数断面配置し、それらを翼の重心位置を合せて積み重ねることで三次元の翼を設計することができる。例えば、図2に示す静翼列5に対して、ケーシング側の0%断面71,平均径の50%断面,ロータ側の100%断面72の形状を設計し、その他の断面を内挿により求めて、その各翼形の重心位置を積み重ねて三次元の翼を設計することも可能である。また、側壁部である0%断面71と100%断面72にだけ各実施例に示す翼を適用し、その他の断面には従来翼を適用することで、二次流れ損失だけ低減する三次元の翼を設計することも可能である。
【0031】
以上のように設計した本発明翼の三次元的な流れ場への効果について説明する。図8は
発明翼の流入角に対する全圧損失係数82を実線で表わし、点線で表わす従来翼の流入角に対する全圧損失係数81と対比している。図中に、一点鎖線で設計流入角83を示す。発明翼では設計流入角において、コーナーストールを抑制しているため、従来翼に比べて全圧損失を低減することが確認できる。また、流入角が大きい失速側でも、発明翼の全圧損失係数は従来翼と比較して、損失の増加が抑制されているため、広い作動範囲を有し、高性能化が図れることが分かる。
【0032】
図9に発明翼85と従来翼84の負圧面近傍の流線の比較を示す。図9(a)の従来翼の流れ場では後縁の両側壁近傍で流れが剥離したコーナーストール86が発生していることが確認できる。一方、発明翼では、そのコーナーストールが抑制されている。特に、外周側である0%断面71で剥離領域が縮小していることが顕著に確認できる。
【0033】
図9の一点鎖線に示す断面87における翼面静圧分布を図10に示す。この断面は、図9で示されるように、従来翼の側壁近傍におけるコーナーストール影響が小さく、かつケーシング側の断面を代表として選定している。図10には前縁から後縁までの軸方向コード長に対する翼面の静圧分布を示す。点線が従来翼の静圧分布91で実線が発明翼の静圧分布92を表わす。発明翼では負圧面の静圧を50%コード長より下流側で静圧が極端に大きくなっている。これは、負圧面の曲率を大きくすること等に相当する。さらに、負圧面の70%コード長より下流側で静圧の変化を緩やかにしており、これは負圧面の曲率を小さくすること等により達成できる。本発明翼の30%コード長付近に位置する翼間流路のスロート部より下流側では、従来翼に比べて等静圧線と圧力面及び負圧面との交点間の軸方向距離65が短縮されていることが確認できる。このような翼面静圧分布を達成することで、翼間の静圧勾配を流れに対して垂直方向断面で均一化させ、クロスフローを抑制できる。
【0034】
以上より、本発明翼のような構造にすることで、二次流れ損失を低減でき、軸流圧縮機の高効率化を達成することができる。また、本発明翼ではコーナーストールを抑制できるので、従来翼と比べて流出角をより設計値に近づけることが可能となり、下流側に位置する動静翼に対して、翼列マッチングを改善できる。従って、多段翼でも高性能化させることができる。さらに、翼面でのコーナーストールなどの流れの乱れによるバフェッティングなどの非定常な流体振動を回避することができ、翼の信頼性も向上することができる。
【0035】
なお、従来翼の高性能化で、二次流れ損失を低減するための一般的な方法として、例えば、静翼列の側壁部の翼取り付け角度を大きくすることで、側壁部の翼負荷を低減し、コーナーストールを抑制する手段がある。静翼列をケーシングに配設するためには、静翼の側壁にはシュラウド部があり、静翼の側壁はフィレットを設けてシュラウド部に完全に乗るようにする必要がある。上記したように、側壁部の翼取り付け角度を大きくした場合、シュラウド部から翼形状がはみ出す可能性や、フィレット部が部分的に除外される可能性がある。しかし、本発明翼では側壁部の翼取り付け角度は従来翼とほぼ同一のため、シュラウド部を共用することが可能となり、翼の信頼性を確保することができる。
【0036】
次に、本発明翼の翼形状生成方法について説明する。二次元翼断面形状を生成する場合に、一般的には、翼負圧面の最大マッハ数や負圧面の形状係数を評価して、最大マッハ数や形状係数が最小化できるように翼形状を生成する。なお、形状係数とは、翼面境界層における排除厚さと運動量厚さの比率で表わされ、境界層の剥離の目安となる指標である。一般的に乱流境界層では形状係数1.8〜2.4以上で流れが剥離すると知られている。
【0037】
本発明翼では二次元翼断面形状を生成するときに、三次元的な流れ場を考慮した指標である等静圧線の軸方向距離を付け加えている(図7)。本発明翼を生成するための目的関数Fを式(1)で示す。ここで、F1は形状係数、F2は最大マッハ数、F3は等静圧線の軸方向距離を表し、それぞれの基準値との比率で無次元化した指標である。また、α,β,γは重み付け係数である。式(1)で示す目的関数Fを最小化することで、二次元翼断面形状生成で、翼形状損失と二次流れ損失を同時に考慮した高性能な翼形状を生成することができる。
【0038】
【数1】

【0039】
本発明の実施例では、軸流圧縮機の下流側に位置する亜音速段の静翼を対象に、その作用効果について説明しているが、式(1)で重み付け係数を変更することで、圧縮機の上流側に位置する遷音速翼もしくは、中間段に位置する高亜音速翼の設計にも適用することが可能である。また、静翼だけに限らず、動翼に本発明を適用しても同様の作用効果を示すことは明らかである。
【0040】
また、式(1)で示すような指標を設計システムに取り入れることで、圧縮機の上流側から下流側まで任意の翼形状の設計が可能となり、設計時間の短縮にも効果がある。また、翼形状の高性能化において設計者に依存しないで一意的に翼形状を設計することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
ガスタービン用軸流圧縮機以外に、産業用の軸流圧縮機においても適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 軸流圧縮機
2 ロータ
3 ケーシング
4 動翼列
5 静翼列
21 負圧面
22 圧力面
23 前縁部
24 後縁部
31 軸方向流路幅
41 従来翼の流路幅分布
42 本発明翼の流路幅分布
42a 変曲点
52a 極大値
52b 極小値
61 等静圧線
62 圧力勾配
63 等静圧線と圧力面との交点
64 等静圧線と負圧面との交点
65 等静圧線の軸方向距離
81,82 流入角に対する全圧損失係数
83 設計流入角
86 コーナーストール
71 0%断面
72 100%断面
91,92 翼面静圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状流路を構成するケーシング内面に取り付けられた複数の静翼列と、前記環状流路を構成する回転するロータに取り付けられた複数の動翼列とを有する軸流圧縮機において、
前記静翼列または動翼列の周方向に隣接する翼の圧力面と負圧面とで区画される流路は、
該流路を区画する翼の翼前縁から翼後縁に沿った軸方向流路幅分布が流路幅が最小となるスロート部より下流側に変曲点を有するように構成したことを特徴とする軸流圧縮機。
【請求項2】
請求項1に記載の軸流圧縮機において、
流路幅が最小となるスロート部を軸方向コード長50%より上流側に有するように構成したことを特徴とする軸流圧縮機。
【請求項3】
請求項1に記載の軸流圧縮機において、
前記静翼列または前記動翼列の負圧面の曲率が前記スロート部から下流側で単調増加であり、圧力面の曲率が前記スロート部より下流側で極大値と極小値を有するように構成したことを特徴とする軸流圧縮機。
【請求項4】
請求項1に記載の軸流圧縮機において、
前記静翼列または前記動翼列の圧力面の曲率が単調増加であり、負圧面の曲率が前記スロート部より下流側で極大値を有するように構成したことを特徴とする軸流圧縮機。
【請求項5】
請求項1に記載の軸流圧縮機において、
前記静翼列または動翼列の負圧面の曲率が前記スロート部より下流側で極大値を有するように構成し、かつ、圧力面の曲率が前記スロート部より下流側で極大値と極小値を有するように構成したことを特徴とする軸流圧縮機。
【請求項6】
環状流路を構成するケーシング内面に取り付けられた複数の静翼列と、前記環状流路を構成する回転するロータに取り付けられた複数の動翼列とを有し、前記静翼列または動翼列の周方向に隣接する翼の圧力面と負圧面とで翼間流路を形成する翼の設計方法であって、
前記翼間流路の流路幅が最小となるスロート部より下流側において、等静圧線が圧力面と負圧面と交差する2点間の軸方向距離を設計の指標に含み、前記軸方向距離が短くなるように設計することを特徴とする翼の設計方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−82779(P2012−82779A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231085(P2010−231085)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】