説明

農作業機の電動操作部

【課題】 トラクタに座乗した作業者が、手元に設けた電動操作部を操作し、後方に装着した農作業機の目的とする電動作動箇所を作動させる場合、電動操作部の操作スイッチを容易に選択できる電動操作部を有する農作業機を提供する
【解決手段】 操作スイッチ20を設けたトラクタ側の電動操作部2は、それぞれの操作スイッチ部を色分けして設け、それぞれの操作スイッチ20に対応した作業機側の作動部に、それぞれ前記操作スイッチ部の色と同色のマークを設けたことを特徴とする電動操作部2を有する農作業機1を提供する。また、作業機側の作動部が、前記操作スイッチ部の色と同色に識別されて設けてあることを特徴とする電動操作部2を有する農作業機1を提供する。これにより、作動させようとする箇所の操作スイッチ20が一目瞭然となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタに装着される電動作動部を有した農作業機の操作部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタに装着される作業機に、電装部品を介して作動する電動作動部を設け、トラクタに乗車した作業者が運転席から前記電装部品を操作して電動作動部を操作できる電動操作部を設けた農作業機が知られている。この種の従来技術として、例えば特開2006−238898号公報(特許文献1)に記載される「農作業機」が開示されている。
【特許文献1】特開2006−238898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示される電動操作部は、電動作動部を作動させる際に押動操作される作動用ボタンと、警告音を発するブザーとを有するので、操作部から警告音を発することができるとされ、操作する作業者等の操作性や安全性の向上を目的としたものである。この様な農作業機を、トラクタに座乗した作業者がトラクタの後方に装着された農作業機の電動作動部を作動させようとすると、後方を振り返り、作動させようとする作動部を確認しながら、手元の電動操作部を操作し作動させる。しかし、従来の電動操作部の操作スイッチには、作動部の名称や「右」や「左」等の文字表示のみされていて、後方を振り返って操作する作業者は、特に左右の表示がどちらを意味するのか非常にわかりにくい問題があった。また、不慣れな作業者が操作する場合作動部の名称だけでは理解できにくい問題があった。
【0004】
このため、本発明の目的は、トラクタに座乗した作業者が、後方に装着した農作業機の目的とする電動作動箇所の操作スイッチを容易に識別できる電動操作部を有する農作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、トラクタに装着される電動作動部を有した農作業機において、前記電動作動部をトラクタ運転席から作動させる操作スイッチを設けた電動操作部は、該電動操作部のそれぞれの操作スイッチ部を色分けして設け、該色分けされた操作スイッチを操作することで作動する作業機側の作動部に、前記操作スイッチ部の色と同色のマークを走行車に乗車した作業者が目視確認できる位置に設けたことを特徴とする電動操作部を有する農作業機を提供する。
【0006】
また、トラクタに装着される電動作動部を有した農作業機において、前記電動作動部をトラクタ運転席から作動させる操作スイッチを設けた電動操作部は、該電動操作部のそれぞれの操作スイッチ部を色分けして設け、該色分けされた操作スイッチを操作することで作動する作業機の作動部が、前記操作スイッチ部の色と同色に識別されて設けてあることを特徴とする電動操作部を有する農作業機を提供する。
【発明の効果】
【0007】
以上のような構成にすることで、電動操作部のそれぞれの操作スイッチ部を色分けするとともに、農作業機の電動作動部の走行車に乗車した作業者が目視確認できる位置に同色のマークを設けたことにより、目的の電動作動部のマークと同色の電動操作部の操作スイッチを操作すればよく、操作時容易に目的の操作スイッチを識別操作できる。
【0008】
また、作動する作業機の作動部が、操作スイッチ部の色と同色に識別されて設けてあるため、作動させようとする作動部と同じ色の操作スイッチを操作すればよく、容易に操作スイッチが識別できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態の構成を図面を参照して説明する。図1は本発明を実施した砕土装置である農作業機の平面図、図2は本発明を実施した電動操作部の操作盤の説明図、図3は延長整地板を折畳んだ状態の砕土装置である農作業機の平面図、図4は左右砕土装置を折畳んだ状態の側面図を示したものである。
【0010】
本例に示す農作業機1は、図示していないトラクタに装着されて代掻き・砕土作業を行う折畳み式の代掻き装置である。図示していないトラクタの左右一対のロアリンクと中央上方のトップリンクとからなる3点リンクヒッチ機構に、農作業機1の前方に設けた左右一対のロワリンクピン11と中央上方に設けたトップマスト10により連結される。
【0011】
農作業機1前方水平方向に突設させて設けた入力軸12は、図示していないトラクタのPTO軸と図示していないユニバーサルジョイントで連結し、トラクタの回転動力を農作業機側に入力するためのものである。入力軸12に入力された回転動力は、左右中央部の入力軸12を突設して設けたギヤボックス121に入力され、ギヤボックス121より左右水平方向に延設したパイプフレーム内の伝動シャフトにより中央砕土装置14の左右方向側方側に設けたチェーン伝動ケース122に伝達され、該チェーン伝動ケース122に内装され上下方向に巻架されたチェーンにより下方の砕土ロータ13を駆動する。
【0012】
砕土ロータ13は、回転軸に放射状に左右方向に亘って砕土爪132が配置されていて、土中または泥土中で回転させ砕土するものである。砕土ロータ13後方には、砕土された泥土を受けるとともに、左右水平方向に設けた回動軸で上下に回動しながら泥土を均平にしていく整地板が設けてある。
【0013】
本例の代掻き装置は左右方向に長く構成されているため、1工程で広い作業幅を作業できる反面、狭い圃場での作業や道路を移動する際に幅が広い為に不都合が生ずる場合がある。このため、中央砕土装置14と左砕土装置15及び右砕土装置16の左右方向で3分割し、左砕土装置15及び右砕土装置16をそれぞれ中央砕土装置14側上方に回動させ折畳みできるように構成されている。
【0014】
左砕土装置15及び右砕土装置16の上方への回動は、中央砕土装置14の左右端側の前後方向向きに設けた折畳み回動軸161を回動支点として矢印A方向に回動する。回動は、左右の折畳み回動軸161の近傍に設けた左折畳み電動駆動部22と右折畳み電動駆動部23により回動され、該折畳み電動駆動部内に設けた電動シリンダーを駆動伸縮して回動される。
【0015】
砕土ロータ13の折畳み部であるそれぞれの端部には、爪クラッチ131が設けてあり、折畳み及び展開時の砕土ロータ13の接離ができるとともに、展開時の動力の伝達が可能に構成されている。
中央砕土装置14と左砕土装置15及び右砕土装置16にはそれぞれ前記整地板である中央整地板17と左整地板18及び右整地板19が設けてあり、折畳み回動時にはそれぞれの砕土装置とともに回動される。
【0016】
左整地板18及び右整地板19の外側端部には、それぞれ左延長整地板181と右延長整地板191が設けてあり、左整地板18及び右整地板19の外側端部にそれぞれ設けた延長整地板折畳み回動軸192により左右方向に回動自在に設けてある。左延長整地板181と右延長整地板191は、前方の砕土装置部左右外側からはみ出した泥土を均平するもので、非使用時には、前記延長整地板折畳み回動軸192を支点として左整地板18及び右整地板19のそれぞれの上方に回動させ折畳む。
【0017】
左延長整地板181と右延長整地板191の回動は、左砕土装置15と右砕土装置16とにそれぞれ設けた左延長整地板電動駆動部24と右延長整地板電動駆動部25を駆動することにより作動し、左右延長整地板電動駆動部内に設けてある電動モータに連動させた左電動アーム241及び右電動アーム251に、ワイヤーを介して左延長整地板181と右延長整地板191をそれぞれ連結し、各電動アームを左右方向に回動させることで、左右の延長整地板を矢印B方向に折畳み及び展開可能である。
【0018】
前記左折畳み電動駆動部22と右折畳み電動駆動部23と左延長整地板電動駆動部24及び右延長整地板電動駆動部25は、農作業機1が装着されたトラクタの運転席に乗車した作業者が、運転席から遠隔操作できるように、運転席に設けた電動操作部2を操作することにより作動するように構成されている。電動操作部2は、電線ケーブル26により農作業機1側と連結されているとともに、トラクタ側のバッテリーと連結されていて、各電動作動部が作動する。電線ケーブル26に替えて、無線通信により作動させることも可能である。
【0019】
電動操作部2の操作パネルには、図2に示すように各操作スイッチ20及びトグルスイッチ21が設けてあり、トグルスイッチ21をそれぞれ「ひらく」又は「たたむ」の方向に倒し、希望する電動作動部に対応するそれぞれの操作スイッチ20を押すと、農作業機1側の電動作動部が作動する。各操作スイッチ20部のイ、ロ、ハ、ニ、の斜線部は色分けされて表示されていて、各操作スイッチ20に対応して作動する農作業機1側の運転席より目視可能な位置にも同色のマークが設けてあり、希望する作動部のマークの色と同色のスイッチを押すことでだれでも簡単に迅速に操作が可能である。
【0020】
左砕土装置15を折畳むには、電動操作部2のトグルスイッチ21を「たたむ」の方向に倒し、左砕土装置マーク30と同色のロで示される操作スイッチ20を押すことで折畳み可能である。また、逆に展開する場合は、トグルスイッチ21を「ひらく」の方向に倒し、左砕土装置マーク30と同色のロで示される操作スイッチ20を押すことで展開可能である。右砕土装置16の折畳み展開作動も同様に、右砕土装置マーク31と同色のイで示される操作スイッチ20を押すことで作動できる。
【0021】
左延長整地板181及び右延長整地板191の回動も前記左右の砕土装置の作動と同じく、トグルスイッチ21を希望作動方向に倒し、農作業機1側に表示された左延長整地板マーク32又は右延長整地板マーク33と同色の操作スイッチ20を押すことで作動する。また、農作業機1側のマークに換えて作動部全体又は一部の塗装色を操作スイッチ20の色と同色にすることでも同一の効果が得られる。
【0022】
本発明は、実施例で示した代掻き砕土装置に限定されるものではなく、電動作動部を有する農作業機に適用可能であり、押すスイッチの色とこれにより作動する作業機の作動部の色を同じにし、複雑化する電動操作部の操作を老若男女問わず簡単に操作可能である構成とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を実施した砕土装置である農作業機の平面図
【図2】本発明を実施した電動操作部の操作盤の説明図
【図3】延長整地板を折畳んだ状態の砕土装置である農作業機の平面図
【図4】左右砕土装置を折畳んだ状態の側面図
【符号の説明】
【0024】
1 農作業機
10 トップマスト
11 ロワピン
12 入力軸
121 ギヤボックス
122 チェーン伝動ケース
13 砕土ローター
131 爪クラッチ
14 中央砕土装置
15 左砕土装置
16 右砕土装置
161 折畳み回動軸
17 中央整地板
18 左整地板
181 左延長整地板
19 右整地板
191 右延長整地板
192 延長整地板折畳み回動軸
2 電動操作部
20 操作スイッチ
21 トグルスイッチ
22 左折畳み電動駆動部
23 右折畳み電動駆動部
24 左延長整地板電動駆動部
241 左電動アーム
25 右延長整地板電動駆動部
251 右電動アーム
26 電線ケーブル
30 左砕土装置マーク
31 右砕土装置マーク
32 左延長整地板マーク
33 右延長整地板マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに装着される電動作動部を有した農作業機において、前記電動作動部をトラクタ運転席から作動させる操作スイッチを設けた電動操作部は、該電動操作部のそれぞれの操作スイッチ部を色分けして設け、該色分けされた操作スイッチを操作することで作動する作業機側の作動部に、前記操作スイッチ部の色と同色のマークを走行車に乗車した作業者が目視確認できる位置に設けたことを特徴とする電動操作部を有する農作業機。
【請求項2】
トラクタに装着される電動作動部を有した農作業機において、前記電動作動部をトラクタ運転席から作動させる操作スイッチを設けた電動操作部は、該電動操作部のそれぞれの操作スイッチ部を色分けして設け、該色分けされた操作スイッチを操作することで作動する作業機の作動部が、前記操作スイッチ部の色と同色に識別されて設けてあることを特徴とする電動操作部を有する農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−109868(P2008−109868A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293767(P2006−293767)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000171746)株式会社ササキコーポレーション (192)
【Fターム(参考)】