説明

迅速な経皮投与系および方法

本発明は、局所適用された生理活性薬物の経皮輸送の方法に関連し、基材から拡張された微小突起配列(3)を含む微小突起用具を提供し、該微小突起用具を皮膚領域に適用して微小孔配列を形成し、およびその皮膚領域に生理活性薬物と少なくとも一つの透過促進剤を含む経皮組成物を接触させることを含み、ここで微小孔の形成と透過促進剤が生理活性薬物の経皮輸送を容易にする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経皮若しくは局所薬物輸送の後に迅速な治療効果が必要である、ヒトを含む動物を治療するための方法および系に関し、その方法により本発明が薬物の全身循環への取り込みを促進する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
生理的に活性な薬物を安全かつ効果的に投与する方法が常に求められている。多くの薬物にとって、患者の高いコンプライアンスを得るためにはできる限り単純で非侵襲的な投与レジメが重要である。経口投与はそれに従うのが比較的単純なレジメであるため、一般的に用いられる一つの投与レジメである。しかしながらまた、経口投与経路は複雑である;それは、胃腸刺激および肝臓における薬物代謝に関連する合併症のため、そしてその結果として、経皮若しくはその他の直接的な全身輸送において必要とされるより大量の経口用量のためである。
【0003】
多くの病気または症状の兆候に対して、早急な薬物効果が望まれる。注射による薬物輸送は伝統的に全身循環への最も素早い投与経路であるが、しばしば活性の持続が短く投与方法も侵襲的で苦痛を伴う。生理的な活性薬物の皮膚を通じた投与(「経皮薬物輸送」)は、比較的単純な用量レジメを提供するばかりでなく、もともと全身循環への生理活性薬物の放出が比較的緩やかで制御された経路を提供するものであるため、これに対する注目が増加している。しかしながら、経皮薬物輸送は、皮膚が天然のバリヤーとして挙動し皮膚を通した薬物輸送メカニズムが複雑であるという事実により困難となっている。
経皮または局所薬物輸送に続く迅速な効果の発現は伝統的な注射に比して固有の臨床上および患者の利点をいくつか提供する;それは非侵襲的で、苦痛を伴わず患者のコンプライアンスを向上させ、制御された持続的な薬物輸送を維持し、自ら投与することができる。
【0004】
構造的には皮膚は二つの主要な部分、比較的薄い最外層(「表皮」)と厚い内側の領域(「真皮」)より構成される。表皮の最外層(「角質層」)はケラチンで満たされた平らな死亡した細胞より構成される。角質層の平らな死亡した細胞の間の領域はラメラ構造を形成する脂質で満たされ、これが皮膚の天然バリヤーの役割を果たしている。表皮の厚さは60から800μmの間であって身体構造の部位、細胞の大きさや細胞層の数に依存して変化し、角質層は0.5μmから20μmの間である〔マッケンジー(Mackenzie J), 1969, Nature 222: 881-882;バリー(Barry BW), 1983, 「経皮吸収」, New York, マーセルとデッカー(Marcel and Dekker): 第1章〕。
皮膚表面に適用された(「局所適用」)治療薬の有効な経皮輸送のためには、薬物は最初に基剤中から角質層へ分配されなければならず、通常は、その後に角質層内に拡散して角質層から生きている表皮、真皮、そして血流中へと分配されなければならない。
【0005】
皮膚層を横断する輸送(「経皮吸収」)に関連する経皮輸送のいくつかの問題を解決するため、生理活性薬物は一般に一つまたはそれ以上の薬物透過促進剤と組み合わせて製剤化される;促進剤はしばしば親油性の化学物質で角質層に分配されて薬物の皮膚バリヤーを横断する輸送を改良しその効果を発揮する。例えば、リード等(Reed et al.)の米国特許6,299,900号には、生理活性薬物の経皮輸送を促進する、サリチル酸オクチル(オクチサレート)のような安全なサンスクリーンエステルの経皮投与促進剤が記載されている。
或いは、角質層に裂け目を作って薬物が生きている表皮に透過することを可能にする方法が用いられる。先行技術で開示される微小針具はしばしば経皮投与される薬物を供給する容器を含んでいる。この容器は多くの場合、微小針を提供するパッチ内に存在して、薬物はその針の内腔によりまたはパッチの下側から供給される。例えば、プラウスニッツ等(Prausnitz et al)の米国特許6,503,231号は中空の若しくは多孔性の微小針を含み、角質層に裂け目を作って薬物が生きている表皮に透過することを可能にする微小針具を開示する。
【0006】
効果的とするためにはその微小針は律速バリヤーである角質層を透過しなければならないが、他方では生きている最下層表皮が裂けないような最小の深さとすることで痛みと出血を避けることができる。引用した先行技術文献の多くの目的の一つは透過の深さが一貫していることと予測できることである。WO98/28037号は、皮膚への貫通および固定化のために一般的に微小刃配列を使用して薬物の経皮流入を増加させている。WO03/053258号はさらに、肩のような深部透過を制御する微小突起の貫通を記載している。しかしながら、深部透過への圧負荷の効果や擦り込んだ表面上の透過に及ぼす製剤組成物の影響には殆ど注意がなされていないので一貫しないそして予測できない薬物輸送はありそうなことである。
【0007】
早急な発現が望まれる局面において、経皮若しくは局所組成物の皮膚および/または全身循環への簡単で効果的な適用が必要である。
本明細書で引用したいずれの文献も、特許および特許文献も含めて、先行技術を構成するものとは認められない。特に、他に言及しない限り、次のように理解すべきである;ここでいずれかの文献を参照したとしても、それはこれらの文献がオーストラリアおよび他のいずれの国においても当業者の通常の一般知識の一部であることを認めるものでない。文献の議論はその著者の主張であって、出願人はここで引用するいずれの文献においてもその妥当性と正確性について挑戦する権利を保有する。
【発明の開示】
【0008】
要約
本発明は、生理活性薬物の経皮吸収を促進する透過促進剤を含む経皮および局所製剤についての発明者の研究に由来する。発明者の研究によれば、生理活性薬物の放出程度はさらに促進されて迅速な経皮薬物輸送を提供することを示した。
本発明は生理活性薬物の経皮吸収を促進する方法を提供し、これにより動物の血流中に提供される薬物の血清濃度の迅速な上昇が可能となる。
【0009】
従って、第一の側面において本発明は、迅速な薬物の全身輸送が達成される治療方法を提供し、その方法は動物の皮膚領域に微小針具を適用することを含む。
第二の側面では本発明は、動物皮膚へ薬物輸送系を適用することにより、迅速な薬物の全身輸送のための経皮輸送系を調製し、その調製における微小針具の使用を提供する。
本発明の方法は好ましくは、所定のそして再現可能な圧負荷の下で経皮適用部位へ微小針具を適用する工程を含む。
第三の側面では、本発明は動物において局所投与された生理活性薬物の経皮輸送方法を提供し、該方法は
基材から拡張された微小突起配列を含む微小突起用具を提供し;
微小突起配列を動物の皮膚領域に適用して微視的な孔の配列を形成し;
該皮膚領域を生理活性薬物と少なくとも一つの透過促進剤を含む経皮組成物と接触させることを含み、ここで微視的な孔の形成と透過促進剤が生理活性薬物の経皮輸送を促進する。
【0010】
第四の側面では、本発明は微小突起用具を含む経皮薬物輸送系のための方法を提供し、該器具は
・身体部位を巻くカフ;
・内部的にカフから拡張された微小突起配列;
・あらかじめ定められたカフを締め付ける力の適用手段であって、身体部位におかれた場合にはそれでもって微小突起配列を角質層にまで貫通させるもの;および
・生理活性薬物;および
・少なくとも一つの経皮透過促進剤;
を含む経皮組成物;を含み、ここで微小突起配列は経皮組成物の経皮透過を促進する。
【0011】
第五の側面では、本発明は微小突起用具を含む薬物経皮投与系を提供し、該器具は
・身体部位を巻くカフ;
・内部的にカフから拡張された微小突起配列;
・あらかじめ定められたカフを締め付ける力の適用手段であって、身体部位におかれた場合にはそれでもって微小突起配列を角質層にまで貫通させるもの;そして
・生理活性薬物;および
・少なくとも一つの経皮透過促進剤を含む経皮組成物;
を含み、ここで微小突起配列は経皮組成物の経皮透過を促進する。
微小突起用具は皮膚領域に適用することができ、これを通じて経皮組成物を適用する前後、若しくは適用中に経皮透過が生じる。
【0012】
詳細な説明
透過促進剤を含む経皮組成物と微小針器具を使用すると、透過促進剤を含まない組成物と比して、薬物がさらに急速に吸収されることが見出された。これは、即時の生理効果が望まれる、例えば痛みの除去等の治療に特に有用である。
薬物の経皮吸収速度は皮膚表面を剥離しても一般に遅いと考えられる。特定の促進剤による速度の有意な増加は即時の結果を達成する、迅速なかつ非侵襲的な薬物輸送方法を提供する。以前の証拠では、微小突起のみでも角質層を破壊するので十分急速に薬物吸収すると示唆されていた。しかしながら、微小突起のみの場合最初は急速に吸収するが水平状態がこれに続き、一次拡散形態を呈することを、発明者らは見出した。これは微小突起により形成された孔が急速に閉じることによるのかもしれない。透過促進剤を組み入れることにより更なる吸収増加と一次拡散形態の維持とが可能となる。
【0013】
経皮吸収効率の向上に加えて本発明の薬物輸送系および方法はまた、皮膚に対して非侵襲的であるため、静注等その他のより侵襲的な輸送系よりも刺激性が低く感染の危険度が低い。
その他の側面において、本発明は微小突起用具を使用する器具及び方法を提供し、該器具は身体部位を巻くカフ;内部的にカフから拡張された微小突起配列;およびあらかじめ定められた深さにまで微小突起を貫通させるための制限力の適用手段を含む。
この態様に従って使用される経皮組成物は生理活性薬物に加えて透過促進剤を含むことができ、そして好ましくはそれを含む。しかしながら、必要な治療および用量に促進剤が必要でない状況があるかもしれない。透過促進剤はこの側面において特に好ましく、有意な利点がある。
【0014】
本発明の好ましい形態では、カフはあらかじめ決められた圧にまで膨らむ内部空胞を含み、身体部位の周りの円周環に外圧を与える。それにより、微小突起はカフから内部的に拡張して表皮内に挿入されるが、生きている表皮の基底層または皮膚層の血管系に局在する疼痛知覚の自由な神経末端にまで達することはない。以前の研究は微小針が除かれた後にin-vitroの皮膚に残された孔は約1μmの大きさであった〔ヘンリーら(Henry S. et al.), 1998, J. Pharm. Sci., 87(8); 922-925〕。可逆性は報告されていないが、微小針で作られたin vivoの孔は再度閉じられるようであり、但しその動力学は現在のところ分かっていない。
【0015】
本発明の好ましい形態では、微小突起は表皮層内に約2μmから約800μm貫通し、より好ましくは表皮層内に約20μmから約500μm貫通する。
本発明の別の好ましい形態では、カフは微小突起の上に約5g/cmから500g/cmの間の負荷力を与えるまで膨らむことができる。この仕方で負荷圧を一定速度で増加させて、衝突圧負荷を避け、微小突起の貫通の深さの制御を維持する。より好ましくは、負荷力は約20g/cmから200g/cmの間である。
微小突起用具と経皮組成物を同時に投与するのが好ましいが、望むならば、経皮組成物を微小突起用具の適用前または適用後に適用してもよい。
【0016】
さらなる態様では、微小突起用具はさらに加熱部品、電磁ポンプ、イオントフォレーゼ、ソノフォレーゼ、電気泳動、無線周波数、および前述のいずれかの機械部品の組み合わせを含むことができる。
本発明の経皮組成物の特別の利点は一つまたはそれ以上の経皮透過促進剤の組み入れであり、この促進剤が皮膚層内部に生理的活性薬物が輸送されるのを支援し、リンパ系または血管系を通じた全身循環への取り込みをさらに促進する。
皮膚透過促進剤は、親油性の非揮発性液体でその蒸気圧が大気下で10mm Hgより低く通常の皮膚温度が32℃より低い促進剤のクラスから選択され得る。好ましくは、皮膚透過促進剤は分子量が200から400ダルトンの間のものがよい。
【0017】
皮膚透過促進剤の例としては、ラウロカプラム〔Azone(登録商標)〕およびラウロカプラムの誘導体、例えば、米国特許5,196,410号で特定される1-アルキルアザシクロヘプタン-2-オン、オレイン酸およびそのエステル誘導体、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ビニル、およびグリセリルモノオレエート、およびソルビタンエステル、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、および他の脂肪酸エステル、例えば、イソプロピルラウレート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ジイソプロピルアジペート、プロピレングリコールモノラウレートおよびプロピレングリコールモノオレエート、2-ピロリドンの長鎖アルキルエステル、特に2-ピロリデンの1-ラウリル、1-ヘキシル、および1-(2-エチルヘキシル)エステル、および米国特許6,299, 900号で与えられる皮膚透過促進剤、特にサリチル酸オクチル、オクチルジメチル パラアミノベンゾエートおよびオクチル パラメトキシシンナメート(パジメートO)、米国特許5,082,866号の特に、ドデシル(N,N-ジメチルアミノ)アセテート、およびドデシル(N,N-ジメチルアミノ)プロピオネート、および米国特許4,861,764号の特に2-ノニル-1-3-ジオキソランが含まれる。
【0018】
既に知られた皮膚透過促進剤で好ましいものは、ラウロカプラムおよびラウロカプラムの誘導体、例えば米国特許5,196,410号で特定される1-アルキルアザシクロヘプタン-2-オン、オレイン酸およびそのエステル誘導体、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ビニル、およびグリセリルモノオレエート、および米国特許5,082,866号で与えられるもの、特にドデシル(N,N-ジメチルアミノ)アセテート、およびドデシル(N,N-ジメチルアミノ)プロピオネート、および米国特許4,861,764号中の、特に2-ノニル-1-3-ジオキソランである。最も好ましい既知の皮膚透過促進剤は、オレイン酸およびそのエステル誘導体、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ビニル、およびグリセリルモノオレエート、および米国特許6,299,900号で与えられる、特にサリチル酸オクチル、オクチルジメチル パラアミノベンゾエートおよびオクチル パラメトキシシンナメート(パジメートO)、米国特許5,082,866号の、特にドデシル(N,N-ジメチルアミノ)アセテート、およびドデシル(N,N-ジメチルアミノ)プロピオネート、および米国特許4,861,764号の、特に2-ノニル-1-3-ジオキソランである。
【0019】
本発明はまた動物に少なくとも一つの全身的若しくは局所的に活性な生理活性薬物若しくはそのプロドラッグを投与する方法を提供し、それはその生理活性薬物の有効量を本発明に従って薬物輸送形態で適用することを含む。これら生理活性薬物には、限定はされないが、大分子およびホルモン、例えばインシュリン、ACTH(コルチコトロピン)、副甲状腺ホルモン、成長ホルモン(GH)およびその類縁体、GH拮抗剤、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、卵胞刺激ホルモン、G-CSF、ヘパリン、モノクローナル抗体、DNAポリマーと遺伝子、オリゴヌクレオチド、α-1抗トリプシン、抗血管新生薬、アンチセンス薬、ブトルファノール、カルシトニン及びその類縁体、セレダーゼ、COX-II阻害剤、皮膚科用薬、ジヒドロエルゴタミン、ドーパミン作用薬および拮抗剤、オピオイドペプチド、フェンタニルのような麻薬性鎮痛剤を含む鎮痛剤、オリゴサッカリド、プロスタグランディン、シルデナフィル、血栓溶解剤、組織プラスミノーゲンアクチベータ、RNF、ワクチン、抗結核薬、抗依存症薬、抗アレルギー薬、グラニセトロンやオンダンセトロンのような抗嘔吐・制吐薬、抗肥満薬、抗骨粗鬆薬、抗感染薬、麻酔薬、食欲制御薬、抗関節炎薬、テルブタリンのような抗喘息薬、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗ヒスタミン薬、非ステロイド性抗炎症薬を含む抗炎症薬、抗片頭痛薬、抗新生物薬、抗パーキンソン病薬、コルチコステロイドを含む抗掻痒薬、抗精神病薬、解熱剤、抗コリン薬、ベンゾジアゼピン拮抗薬、血管弛緩薬、抗ウイルス薬が含まれる。
【0020】
皮膚に適用された生理的活性薬は微小突起も皮膚透過促進薬もないとゼロ次の薬物放出結果となり、ここでは生理活性薬が皮膚を透過する最初の突破が律速である。皮膚に適用された生理的活性薬は微小突起の支援を受けても皮膚透過促進剤がなければ一次の急速な薬物放出結果となって比較的すぐに平坦となり治療効果が低下する。これに対して、微小突起と生理活性薬物および本発明の皮膚透過促進剤を組み合わせると、急速な一次の薬物放出プロフィールが達成されこれが持続する。
組成物から全身循環への生理活性薬物の放出速度プロフィールはおそらくは6時間以内に流量の最大速度に達し、より好ましくはおそらく1時間以内である。
【0021】
投与される生理活性薬物の量は多くの因子に依存し、対象から対象によっても変化する。また、特に投与される生理活性薬物、症候の重篤度、対象の年齢、体重および一般的条件、さらに処方する医師の判断にも依存する。生理活性薬物の最小量は、適用期間中望まれる放出速度を維持するため組成物中に存在しなければならない薬物の十分量の必要性から決定される。安全目的の最大量は存在する薬物量が毒性レベルに達する放出速度を超えることのできない必要条件から決定される。一般に最大濃度は、刺激のような組織学的副作用を生じることなく受け入れられる薬物量から決定される。当然、当業者は具体的な薬物の目的の用量がその他の因子と同様その薬物の性質に依存することを承知であり、各生理活性薬物の最小有効用量が当然好ましい。
【0022】
本発明はまた、経皮薬物輸送系を提供し、それは
・身体部位を巻くカフ;
・内部的にカフから拡張された微小突起配列;
・あらかじめ定められたカフを締め付ける力の適用手段であって、身体部位におかれた場合にはそれでもって微小突起配列を角質層にまで貫通させるもの;および
・生理活性薬物;
・少なくとも一つの経皮透過促進剤;および
・揮発性液体基剤;を含む経皮組成物;
を含み、ここで角質層の貫通は、経皮組成物の経皮透過を促進する。
【0023】
器具は経皮組成物適用の前、適用の最中または適用後に使用してもよい。
本発明はまた、皮膚領域に微小孔を開ける微小突起用具と経皮組成物を含む経皮薬物輸送系を提供し、該組成物は少なくとも一つの生理活性薬物若しくはそのプロドラッグと、好ましくは少なくとも一つの皮膚透過促進剤および少なくとも一つの揮発性液体を含む;そして該皮膚透過促進剤は安全で皮膚が耐えられるエステルサンスクリーンであることで特徴付けられる。
【0024】
経皮組成物は好ましくは、
(i) 少なくとも一つの生理活性薬物若しくはそのプロドラッグの有効量;
(ii) 少なくとも一つの非揮発性皮膚透過促進剤;および
(iii)少なくとも一つの揮発性液体;を含む。
皮膚透過促進剤は、ヒトを含む動物の皮膚表面若しくは粘膜を横切り生理活性薬物を輸送すべく適合させられ、そして揮発性液体が蒸発すると、皮膚透過促進剤と生理活性薬物若しくはそのプロドラッグを含む混合物の薬剤貯蔵所若しくは貯蔵容器を皮膚表面若しくは粘膜上に形成する。皮膚透過促進剤は、毒性が低く、動物の皮膚表面または粘膜が耐えることができる。
【0025】
本発明はまた、少なくとも一つの全身的生理活性薬物若しくはそのプロドラッグを動物に投与する方法を提供し、それは生理活性薬物の有効量を皮膚領域に微小孔を開けて局所適用することを含む。
好ましくは揮発性液体基剤は大気圧下で35mmHgを超える蒸気圧を有し、通常の皮膚温度が32℃である。本発系の特に好ましい形態では、液体はエタノール、酢酸エチル、イソプロパノールまたはその混合物で約40から99%の範囲である。例えばジメチルエーテルのようなエアロゾル推進剤は本発明の目的の揮発性液体を構成するかもしれない。
本発明に従う薬物輸送系において、薬学的配合剤、共溶媒、界面活性剤、乳化剤、抗酸化剤、保存剤、安定化剤、希釈剤またはその二つ以上の成分混合物は固有の投与量形態に適切なようにこれらの系に組み込むことができる。
【0026】
使用される成分のタイプと量は、有効成分と同様、本発明の皮膚透過促進剤とも相性のよいものである必要がある。共溶媒および他の標準的な補助剤、例えば界面活性剤が、薬物を望ましい濃度で懸濁液若しくは溶液として維持するために必要かもしれない。
動物は好ましくはヒトであるが本発明はヒト以外の動物の治療にも拡張される。
経皮組成物は好ましくは、生理活性薬物若しくはそのプロドラッグに関して過飽和ではない。非密閉的な薬物輸送系の揮発性液体が蒸発すると、その結果である非揮発性組成物が皮膚表面若しくは粘膜内へ急速に駆られる。揮発性液体が蒸発すると非揮発性の皮膚透過促進剤が有効成分に関して過飽和となることはあり得る。しかしながら、結果的な非揮発性組成物が表皮の表面を横切って輸送される以前にはいずれの過飽和も生じないことが好ましい。
【0027】
非密閉的な経皮薬物輸送系の適用後に輸送系の揮発性成分が蒸発し、薬物輸送系が適用された皮膚領域が手で触れるほど乾燥することが最も好ましい。好ましくは、そのような皮膚領域は10分以内で乾燥し、より好ましくは3分以内、最も好ましくは1分以内で乾燥する。
本発明で好ましい揮発性液体としては、エタノールまたはイソプロパノールのような皮膚で耐えられる安全な溶媒が含まれる。ジメチルエーテルのようなエアロゾルの推進剤またはR134aのようなHFCも本発明の目的の揮発性液体を構成することができる。
経皮組成物は、薬学的配合剤、共溶媒、界面活性剤、乳化剤、抗酸化剤、保存剤、安定化剤、希釈剤またはその二つ以上の成分混合物のような添加剤を、固有の投与量形態および投与経路に適切なように含むことができる。使用される成分のタイプと量は、有効成分と同様、本発明の皮膚透過促進剤とも相性のよいものである必要がある。共溶媒および他の標準的な補助剤、例えば界面活性剤が、薬物を望ましい濃度で懸濁液若しくは溶液として維持するために必要かもしれない。
【0028】
薬学的な配合剤はパラフィン油、イソプロピルミリステートのようなエステル、エタノール、シリコン油、および野菜油を含むことができる。これらは好ましくは1から50%の範囲で使用される。エトキシ化された脂肪アルコールのような界面活性剤、グリセロールモノステアレート、リン酸エステル、およびその他通常使用される乳化剤及び界面活性剤は好ましくは0.1から10%の範囲で使用され、ヒドロキシ安息香酸エステルのような保存剤は化合物の保存のため好ましくは0.01%から0.5%の量で使用される。典型的な共溶媒および補助剤はエチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、ジメチルエーテル、およびジエチレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテルである。これらは1から50%の量で使用される。
【0029】
本発明の第二の側面に従う薬物輸送系においては、薬学的配合剤、共溶媒、界面活性剤、乳化剤、抗酸化剤、保存剤、安定化剤、希釈剤またはその二つ以上の成分混合物を組み込むことができるが、これらは輸送系の能力と相性よく適用後に乾燥するよう選択されることが特に好ましい。
本発明の方法の効力の故に、生理活性薬物の用量はしばしば慣用的に使用される量よりも少ない。特有の薬物の有効範囲の最小量に近い用量を最初使用し、必要ならば観察から指摘されるように増加することを提案する。
この薬物輸送系で使用される生理活性薬物の濃度はその性質に依存し、特有の薬物が慣用的な製剤で通常使用される濃度に等しくすることができる。生理活性薬物の量および皮膚透過促進剤の量はいずれも望ましい効果のタイプにより影響される。例えば、表面上の感染症を抗菌剤で治療する場合で、より局所的な効果が必要なときは少量の生理活性薬物および低濃度の皮膚透過促進剤が適当かもしれない。例えば局所麻酔のように深くへ透過することが必要な場合は高濃度の促進剤が適当かもしれない。
【0030】
薬物の全身的濃度が望ましい場合は本発明の薬物輸送系において本発明の促進剤の比例した高い濃度が必要かもしれないし、組成物中に含まれる活性物質も望まれる血中濃度を提供するのに十分な量でなければならない。
吸収/透過促進剤の濃度は有効成分の重量に基づいて10-10,000重量%の吸収/透過促進剤の範囲とできる。有効成分に対する透過促進剤の比は大幅に変化し、何よりも達成すべき薬学的結果に支配される。原理的にはできる限り少量の吸収促進剤を用いることが望まれる。他方、ある有効成分に対し上限10,000重量%が求められることもあり得るだろう。透過促進剤と有効成分がおよそ等量比であることが好ましい。
【0031】
必要とされる患者に対し本発明の方法によって、驚くべきことに全身的薬物の広い範囲が急速に輸送されることが見出された。
本発明の薬物輸送系は、エアロゾル、スプレイ、ポンプパック、ブラシ、綿棒またはその他の器具で皮膚に適用される。好ましくは、例えば定量エアロゾル、自動定量ポンプ若しくは手動定量ポンプのような可変若しくは固定式定量適用器が提供される。
この薬物輸送系はポンプパックまたはより好ましくは炭化水素、フッ化炭化水素、窒素、酸化窒素、二酸化炭素、エーテル、好ましくはジメチルエーテルのような噴霧剤を用いて噴霧することもできる。非密閉的な薬物輸送系は、製造が複雑でなく用量の均一性が容易なため好ましくは単一相系である。所望の結果を得るためには未処理の皮膚に多くの投与用量を適用することがまた必要かもしれない。
【0032】
本発明の記述においては下記の術語を以下に示す定義に従って使用する。
「角質層」の語は、最も広義に、皮膚の外層であって、末端が分化したケラチノサイトの層(約15層)から構成され、主としてタンパク質性物質ケラチンがレンガとモルタルのようになってできたものをいうためにここで用いられる。このモルタルは主にコレステロール、セラミドおよび長鎖脂肪酸でつくられた脂質マトリックスよりなる。この角質層は、活性薬物が皮膚を通過し拡散する際の速度制限的障害を構成する。
「皮膚透過促進剤」の語は、最も広義に、活性薬物が皮膚若しくは粘膜を通過して経皮輸送される速度を改良する薬剤をいうため、そして局所投与または全身投与にかかわらず、動物のような有機体に活性薬物を輸送し使用するためにここで使用される。
「生理活性薬物」の語は、有用な化学品および治療薬の広いクラスをいうためにここで使用される。
【0033】
ここで考えられる薬物を記述するための「生理活性」の語は、宿主に対して直接の薬学的効果を有する薬物のみならず、医療技術の分野で有用な間接的に若しくは観察可能な効果を有する薬物を包含して広義に用いられる。
全身循環への生理活性薬物の最初の取り込み速度は微小突起用具を適用することで急速に促進されると信じられる。角質層に空けられた孔は短時間の間に閉じられてしまうので、組成物中に一つ以上の皮膚透過促進剤を組み込むことで取り込みをさらに促進することができる。
本発明は以下の実施例を参照して記載される。実施例は本発明を説明するために提供されるので決して本発明の範囲を制限するものではないことを理解すべきである。
【実施例】
【0034】
実施例では微小突起の効果的な使用を調べるために以下の経皮組成物を検討した。
試験治療
【表1】

【表2】

【0035】
実施例1
Figure 1に示すとおり、微小突起における負荷圧の増加は皮膚を横断するフェンタニルの経皮輸送を増加させた。
ヒトの表皮をモデル膜として使用し分散実験を行なった。表皮は強度追加のため、ろ紙上に貼り付けた。実験はステンレススチール製のフロースルー分散セルを使用し、一部変更して分散面積を1.0cmに増加した以外は以前の記載〔クーパー(Cooper, E. R.), J.Pharm.Sci. 1984,73,1153-1156〕に従って24時間を越えて実施した。微小突起への三つの異なる負荷圧、5g、50gおよび500gを1分間分散セルに適用した。製剤Aにつき、有限の用量5μg/cmを分散セルに適用して実験の分散に対しカバーをせずに放置した。
【0036】
ステンレススチール製の金網の一部を分散セルの受容側チャンバー内の皮膚の下に直接置いて、皮膚の下の受容液の乱流を維持した。ミクロカセットの蠕動ポンプ(Watson Marlow 505S, UK)を使用し、分散セルをおよそ流速1.0mL/cm/hで維持した。加温バーを用いてセルを32±0.5℃に維持し、自動フラクションコレクター(Isco RetrieverII, Lincoln, NE)で特定の間隔毎に試料を適切な大きさのプラスチック製バイアルに集めた。受容体溶液(20%エタノール、0.002% アジ化ナトリウム)は皮膚下のシンク状態を維持した。
試料は直接RP-HPLCで分析した。その条件は次のとおり;カラム、Waters Symmetry C18, (3.9 x 150 mm) 5μmサポートサイズ;移動相 80%AcN、0.009%PCA水溶液、9mM 1-HAS、20%AcN;流速 1.0 mL/min;検出 210 nm吸光度;注入量 50μL。
【0037】
実施例2
Figure 2に示すとおり、皮膚透過促進剤サリチル酸オクチルの添加は50gの負荷圧の適用後、皮膚を横断するフェンタニルの経皮輸送をさらに増加させた(p<0.01)。
分散実験は、微小突起で50gの負荷圧をセルに適用すること、および製剤A若しくはBのいずれかの有限用量5μg/cmを分散セルに適用すること以外は実施例1と同様にして行なった。
【0038】
実施例3
微小突起で50gの負荷圧をセルに適用すること、製剤Aの有限用量5μg/cmを分散セルに適用すること、およびセルの温度を32℃、38℃または45℃のいずれかとすること以外は実施例1と同様にして分散実験を行なった。
Figure 3に示すとおり、温度の上昇は微小突起で50gの負荷圧を用いて製剤Aの適用後、皮膚を横断するフェンタニルの経皮輸送をさらに増加させた(p<0.01)。
これら結果は微小突起が長期効果の軽減された急速な一次吸収プロフィールを与えることを示す。これは痛みの軽減および急速な応答が望まれる場合の他の治療に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】Figure 1は局所溶液組成物Aについて、時間軸(時間)に対しヒト表皮を横切って透過したフェンタニルの累積量(μg/cm)を表す。誤差バーは標準誤差(SEM)を表す。
【0040】
【図2】Figure 2は局所溶液組成物AおよびBについて、微小針貫通および皮膚透過促進剤のサリチル酸オクチルがある場合若しくはない場合の時間軸(時間)に対しヒト表皮を横切って透過したフェンタニルの累積量(μg/cm)を表す。誤差バーは標準誤差(SEM)を表す。
【0041】
【図3】Figure 3は局所溶液組成物Aについて、微小針貫通および皮膚透過促進剤のサリチル酸オクチルがある場合に温度上昇をさせ、時間軸(時間)に対しヒト表皮を横切って透過したフェンタニルの累積量(μg/cm)を表す。誤差バーは標準誤差(SEM)を表す。
【0042】
【図4】Figure 4は本発明の好ましい態様に従って、微小突起用具の下側の図案を示す。
【0043】
【図5】Figure 5はFigure 4の微小突起用具のV-Vの横断面を示す。
【0044】
【図6】Figure 6はヒトの上腕に適用されたFigure 4の微小突起用具を部分的に図示する正面図を示す。
【符号の説明】
【0045】
Figures 4 からFigures 6において、カフ(1)はヒトの上腕を巻くように提供される。カフ(1)は微小突起(3)(好ましくは長さ50ミクロンから2mmの間)配列とともに提供され、該配列はカフ(1)を上腕(2)に巻いて用いられるとその内側に突出するようカフ上に支持されている。カフには例えばボタンとボタン穴のような協同的ファスナー(7a, 7b)またはフックのような相補的なファスナー等が備えられ上腕の位置に固定できるようになっている。カフには相対する層(5,6)により形成される貯蔵部が含まれ、それらの間にある気体若しくは液体である流動体を受け入れるよう適合している。この流動体はカフ(1)を膨らませてカフ(1)の内部層(5)を締め付け微小突起を上腕に押し付ける。該器具は、カフ(1)を膨らませてあらかじめ決められた力で締め付けるように、好ましくは手動若しくは自動の空気ポンプのような膨張手段とともに提供される。該膨張手段はカフ(1)の内部の貯蔵部(4)と流動体で連絡され、流動体および/または圧を導入させることができる。
実施する場合は、上腕(2)の皮膚で微小突起(3)で接触される領域に経皮組成物を適用することができる。或いは、経皮組成物は微小突起配列(3)に適用し、またはカフの使用後に上腕(2)の皮膚領域に形成された微小孔に適用してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所適用された生理活性薬物の経皮輸送の方法であって、基材から拡張された微小突起配列を含む微小突起用具を提供し、該微小突起用具を皮膚領域に適用して微小孔配列を形成し、およびその皮膚領域に生理活性薬物と少なくとも一つの透過促進剤を含む経皮組成物を接触させることを含み、ここで微小孔の形成と透過促進剤が生理活性薬物の経皮輸送を容易にする方法。
【請求項2】
身体部位の皮膚領域に局所適用された生理活性薬物の経皮輸送の方法であって、
・身体部位を巻くカフ;
・皮膚領域に微小孔を開けるための、少なくともカフの一部から内部的にカフから拡張された微小突起配列;および
・身体部位におかれた場合にカフを締め付ける力の適用手段;
を含む微小突起用具を提供すること;および
・生理活性薬物;と
・少なくとも一つの皮膚透過促進剤;
を含む経皮組成物を提供すること;
該経皮組成物を身体部位の皮膚領域に局所投与すること;
カフを身体部位に適用し、そして締め付ける力の適用手段を活性化してそれにより微小突起配列を皮膚領域の角質層に貫通させること;を包含し、ここで微小突起用具と透過促進剤が経皮組成物の経皮透過を容易にする方法。
【請求項3】
カフがあらかじめ決められた圧にまで膨らむ内部空胞を含み、それにより身体部位に対して微小突起配列を駆り立てる、請求項2の経皮輸送方法。
【請求項4】
微小突起が表皮層内に約2μmから約800μmの深さの貫通を生じさせる、請求項1または2のいずれかの経皮輸送のための経皮輸送の方法。
【請求項5】
突起が約20μmから約500μmの深さの貫通を生じさせる、請求項5の経皮輸送方法。
【請求項6】
カフが膨張可能であって、身体部位において微小突起配列上に約5g/cmから500g/cmの間の負荷圧を及ぼすように膨らむ、請求項3の経皮輸送方法。
【請求項7】
負荷圧が20g/cmから200g/cmの間である、請求項6の経皮輸送方法。
【請求項8】
経皮組成物が微小突起配列の適用前に皮膚領域に適用される、請求項1の経皮輸送方法。
【請求項9】
経皮組成物がさらに揮発性有機溶媒を含む、請求項1から3の経皮輸送方法。
【請求項10】
経皮組成物の適用後3分間以内に皮膚領域が手で触れるくらい乾燥している、請求項10の経皮輸送方法。
【請求項11】
カフが加熱部品、電磁ポンプ、イオントフォレーゼ、ソノフォレーゼ、電気泳動、無線周波数、およびこれらの二つ以上の組み合わせを含む、請求項3の経皮輸送方法。
【請求項12】
経皮組成物の存在下で皮膚領域に熱が適用される、請求項1または2の経皮輸送方法。
【請求項13】
経皮組成物が、ラウロカプラムおよびラウロカプラム誘導体、脂肪酸エステル、サンスクリーンエステル、長鎖アルキル (N,N-二置換アミノ)カルボン酸エステル、1,3-ジオキサシクロペンタン、および1,3-ジオキサシクロヘキサンよりなる群から選択される少なくとも一つの皮膚透過促進剤を含む、請求項1または2の経皮輸送方法。
【請求項14】
少なくとも一つの皮膚透過促進剤が、1-アルキルアザシクロヘプタン-2-オンおよびそのオレイン酸および、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、およびビニル ビニルエステル誘導体から選択されるそのエステル誘導体よりなる群から選択されるラウロカプラムおよびラウロカプラム誘導体;グリセリルモノオレエート;ドデシル(N,N-ジメチルアミノ)アセテートおよびドデシル(N,N-ジメチルアミノ)プロピオネートよりなる群から選択される長鎖アルキル(N,N-ジアルキルアミノ)カルボン酸エステル;サリチル酸オクチル、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、オクチルパラメトキシシンナメート(パジメートO)よりなる群から選択されるサンスクリーンエステル;2-n-ノニル-1,3-ジオキソランよりなる群から選択される、請求項13の経皮輸送方法。
【請求項15】
透過促進剤がサンスクリーンエステルを含む、請求項14の経皮輸送方法。
【請求項16】
生理活性薬物が、GH拮抗剤、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、卵胞刺激ホルモン、G-CSF、ヘパリン、モノクローナル抗体、DNAポリマーと遺伝子、オリゴヌクレオチド、α-1抗トリプシン、抗血管新生薬、アンチセンス薬、ブトルファノール、カルシトニン及びその類縁体、セレダーゼ、COX-II阻害剤、皮膚科用薬、ジヒドロエルゴタミン、ドーパミン作用薬および拮抗剤、オピオイドペプチド、フェンタニルのような麻薬性鎮痛剤を含む鎮痛剤、オリゴサッカリド、プロスタグランディン、シルデナフィル、血栓溶解剤、組織プラスミノーゲンアクチベータ、RNF、ワクチン、抗結核薬、抗依存症薬、抗アレルギー薬、抗嘔吐・制吐薬、抗肥満薬、抗骨粗鬆薬、抗感染薬、麻酔薬、食欲制御薬、抗関節炎薬、抗喘息薬、抗けいれん薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗ヒスタミン薬、非ステロイド性抗炎症薬を含む抗炎症薬、抗片頭痛薬、抗新生物薬、抗パーキンソン病薬、コルチコステロイドを含む抗掻痒薬、抗精神病薬、解熱剤、抗コリン薬、ベンゾジアゼピン拮抗薬、血管弛緩薬、および抗ウイルス薬よりなる群から選択される少なくともひとつの薬物を含む、請求項1または2の経皮輸送方法。
【請求項17】
経皮組成物がスプレイとして皮膚領域に適用される、請求項1または2の経皮輸送方法。
【請求項18】
局所適用された生理活性薬物の経皮輸送系であって、
次のものを含む微小突起用具
・身体部位を巻くカフ;
・内部的にカフから拡張された微小突起配列;および
・身体部位におかれた場合にあらかじめ定められた締め付ける力をカフに適用し、それにより微小突起配列を角質層に貫通させる手段;および
次のものを含む経皮組成物
・生理活性薬物とを含む経皮組成物;と
・少なくとも一つの皮膚透過促進剤;を含み、
ここで微小突起用具が経皮組成物の経皮透過を容易にしている輸送系。
【請求項19】
カフがあらかじめ決められた圧にまで膨らむ内部空胞を含み、身体部位の周りの円周環に外部圧を適用する、請求項17の経皮輸送系。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−512052(P2007−512052A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540099(P2006−540099)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001666
【国際公開番号】WO2005/051476
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(503196558)アクルックス・ディ・ディ・エス・プロプライエタリー・リミテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】ACRUX DDS PTY LTD
【Fターム(参考)】