説明

迅速に解離するドーパミン2受容体アンタゴニストとしてのピペリジニルアミノ−ピリダジンおよびそれらの使用

【化1】


本発明は、迅速に解離するドーパミン2受容体アンタゴニストである式(I)の6−(ピペリジン−4−イルアミノ)ピリダジン−3−カルボニトリル、これらの化合物を製造する方法、有効成分としてこれらの化合物を含んでなる製薬学的組成物に関する。これらの化合物は、運動副作用なしに抗精神病効果を発揮することにより、中枢神経系障害、例えば統合失調症を処置するかもしくは予防するための薬剤として有用性を見出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、迅速に解離する(fast dissociating)ドーパミン2受容体アンタゴニストである6−(ピペリジン−4−イルアミノ)ピリダジン−3−カルボニトリル、これらの化合物を製造する方法および有効成分としてこれらの化合物を含んでなる製薬学的組成物に関する。これらの化合物は、運動副作用なしに抗精神病効果を発揮することにより、中枢神経系障害、例えば統合失調症を処置するかもしくは予防するための薬剤として有用性を見出す。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤として6−フェニル−N−[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−3−ピリダジンアミンおよびアナログ化合物を開示する。
【0003】
非特許文献2は、ドーパミン作動性活性を有する置換されたN−[4−ピペリジニル]−2−アミノピリミジンを開示し、すなわち、開示された化合物の大部分はドーパミンD2受容体でのアゴニストである。試験された化合物はいずれもアポモルヒネのその後の投与により誘発される常同行動を遮断しなかったので、それらはまたドーパミン受容体遮断特性を欠いていると考えられることもできる。本発明の化合物は、ピリミジン部分の代わりのピリダジンの存在およびそれらがドーパミンD2受容体で拮抗作用を発揮するという予期せぬ結果において異なる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J.Med.Chem.(1992),42(4),730−741
【非特許文献2】Farmaco,Vol.35,no.11,1980,951−964頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[発明の記述]
統合失調症は、人口の約1%が罹患する重篤なそして慢性の精神疾患である。臨床症状は比較的若年期に明らかであり、一般に青年期もしくは早期成人期中に現れる。統合失調症の症状は、通常、幻覚、妄想および支離滅裂な思考を包含する陽性と言われるものならびに社会的引きこもり、減退した感情、会話の貧困および快感喪失が包含される陰性と呼ばれるものに分けられる。さらに、統合失調症患者は注意および記憶障害のような認知障害を患っている。疾患の原因論はまだ分かっていないが、異常な神経伝達物質作用が統合失調症の症状の根底にあると仮定されている。ドーパミン作動性仮説は最もよく考えられるものであり;それは、ドーパミン伝達の過剰活動が統合失調症患者において認められる陽性症状に関与することを提示する。この仮説は、アンフェタミンもしくはコカインのようなドーパミン増強剤が精神病を誘発し得るという結果に、そして抗精神病薬の臨床用量とドーパミンD2受容体を遮断することにおけるそれらの効能との間に存在する相関関係に基づく。全ての販売される抗精神病薬は、ドーパミンD2受容体を遮断することにより陽性症状に対するそれらの治療効能を媒介する。臨床効能は別として、錐体外路症状(EPS)および遅発性ジスキネジーのような抗精神病薬の主要副作用もまたドーパミン拮抗作用に関連しているようである。これらの消耗性副作用は、定型すなわち第一世代抗精神
病薬(例えばハロペリドール)で最も頻繁に現れる。それらは非定型すなわち第二世代抗精神病薬(例えばリスペリドン、オランザピン)ではあまり顕著ではなく、そしてさらに原型的非定型抗精神病薬と考えられるクロザピンでは実質的にない。非定型抗精神病薬で認められるEPSのより低い発生率を説明するために提示される異なる理論の中で、過去15年の間に多くの注意を引いているものは多重受容体(multireceptor)仮説である。それは、多数の非定型抗精神病がドーパミンD2受容体に加えて様々な他の神経伝達物質受容体と、特にセロトニン5−HT2受容体と相互作用し、一方、ハロペリドールのような定型抗精神病薬はD2受容体により選択的に結合することを示す受容体結合研究から得られる。全ての主要な非定型抗精神病薬は臨床的に関連する投薬量でセロトニン5−HT2受容体を完全に占有するが運動副作用を誘発することにおいて依然として異なるので、この理論は近年は異論が唱えられている。多重受容体仮説の代替案として、KapurおよびSeeman(“Does fast dissociation from the dopamine D2 receptor explain the
action of atypical antipsychotics?:A new hypothesis”,Am.J.Psychiatry 2001,158:3
p.360−369)は、非定型抗精神病薬をそれらがドーパミンD2受容体から解離する速度により定型抗精神病薬から区別できることを提示している。D2受容体からの迅速な解離は、抗精神病薬を生理的ドーパミン伝達により適応性にし、運動副作用なしに抗精神病効果を可能にする。この仮説は、クロザピンおよびケチアピンを考える場合に特に説得力がある。これらの2つの薬剤はドーパミンD2受容体からの最も迅速な解離速度を有し、そしてそれらはヒトにおいてEPSを誘発する最も低い危険性を有する。逆に、EPSの高率発生と関連する定型抗精神病薬は最も遅く解離するドーパミンD2受容体アンタゴニストである。従って、D2受容体からのそれらの解離速度に基づいて新薬を同定することは、新規非定型抗精神病薬を提供するために有効な戦略のように見える。さらなる目的は、ドーパミンD2受容体に対する選択性と迅速に解離する特性を組み合わせることである。現在の非定型抗精神病薬の多重受容体プロフィールは、体重増加および糖尿病のような他の副作用の原因であると考えられる。選択的D2アンタゴニストを探すことはしばらくの間方法として無視されているが、より選択的な化合物を臨床において使用することは、現在の非定型抗精神病薬と関連する代謝性障害の発生を減少し得るというのが我々の考えである。
【0006】
先に説明したような都合のよい薬理学的プロフィール、特に減少した運動副作用、および代謝性障害を発症する減少した危険性をもたらす他の受容体との適度なもしくはごくわずかな相互作用を有する迅速に解離するドーパミン2受容体アンタゴニストである新規化合物を提供することは、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、式(I):
【0008】
【化1】

【0009】
[式中:
Rは水素もしくはC1〜6アルキルであり;
はフェニル;水素、ハロ、シアノ、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルオキシ、ペルフルオロC1〜4アルキルおよびトリフルオロメトキシよりなる群から各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたフェニル;チエニル;ハロおよびC1〜4アルキルよりなる群から選択される1もしくは2個の置換基で置換されたチエニル;C1〜4アルキル;ヒドロキシル、C3〜8シクロアルキルもしくはC5〜7シクロアルケニルで置換されたC1〜4アルキル;C3〜8シクロアルキル;またはC5〜7シクロアルケニルであり;
は水素もしくはC1〜6アルキルであり;
およびRは各々独立して水素、C1〜4アルキルもしくはハロであるか、あるいはRおよびRは一緒になって5、6もしくは7員の炭素環式環または少なくとも1個の酸素、窒素もしくは硫黄原子を含んでなる5、6もしくは7員の複素環式環を形成する]
の本発明の新規化合物、その製薬学的に許容しうる塩および溶媒和物、ならびにその立体異性体により達成される。
【0010】
本発明の化合物は、J.Med.Chem.(1999),42(4),730−741の6−フェニル−N−[4−ピペリジニル]−3−ピリダジンアミン誘導体のいずれにも、またFarmaco,Vol.35,no.11,1980,951−964頁の置換されたN−[4−ピペリジニル]−2−アミノピリミジンのいずれにも起因しない活性、迅速に解離するD受容体アンタゴニストである。この特性は、本発明の化合物を統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、一般身体疾患による精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、特定不能の精神病性障害;認知症と関連した精神病;大鬱病性障害、気分変調性障害、月経前不快気分障害、特定不能の抑鬱障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、特定不能の双極性障害、一般身体疾患による気分障害、物質誘発性気分障害、特定不能の気分障害;全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、急性ストレス障害、外傷後ストレス障害;精神遅滞;広汎性発達障害;注意欠陥障害、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害;妄想型人格障害、統合失調質人格障害、統合失調型人格障害;チック障害、トゥーレット症候群;薬物依存;薬物乱用;薬物離脱;抜毛癖の処置もしくは予防における薬剤としての使用に特に適当にする。
【0011】
当業者は、以下の実験部分に提供される実験データに基づいて化合物を選択することができる。化合物の任意の選択は、本発明内に包含される。
【0012】
化合物の第一の群は、R、RおよびRが水素である式(I)の化合物に関する。
【0013】
式(I)の化合物の第二の群は、Rが水素もしくはメチルであるものである。
【0014】
化合物の第三の群は、Rが3,5−ジフルオロフェニル、3,4,5−トリフルオロフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、3−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニルもしくは3−フルオロ−4−メチルフェニルである式(I)の化合物である。
【0015】
式(I)の化合物は、例えば
6−[1−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E1)、
6−[1−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E2)、
6−[1−(4−クロロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E3)、
6−[1−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E4)、
6−[1−(3−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E5)、
6−[1−(4−メチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E6)、
6−[1−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E7)、
6−[1−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E8)、
6−[1−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E9)、
6−[1−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E10)、
6−[1−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E11)、
6−[1−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E12)、
6−[1−(3−クロロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E13)、
6−[1−(3−クロロ−4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E14)、
6−[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E15)、
6−[1−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E16)、
6−[1−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E17)、
6−[1−(3,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E18)、
6−[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−4,5−ジメチル−ピリダジン−3−カルボニトリル(E19)、
6−[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−4−メチル−ピリダジン−3−カルボニトリル(E20)および
6−(1−ベンジル−ピペリジン−4−イル)−ピリダジン−3−カルボニトリル(D2)
である。
【0016】
本願の全体にわたって、「C1〜4アルキル」という用語には、単独で使用する場合そして「C1〜4アルキルオキシ」、「ペルフルオロC1〜4アルキル」、「ジC1〜4アルキルアミノ」のような組み合わせで使用する場合、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、1−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチルが包含され;「C1〜6アルキル」という用語にはメチル、エチル、プロピル、ブチル、1−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチルおよびヘキシルが包含され;「ペルフルオロC1〜4アルキル」には例えばトリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピルおよびノナフルオロブチルが包含され;C3〜8シクロアルキルにはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが包含され;C5〜7シクロアルケニルにはシクロペンテニル、シクロヘキセニルおよびシクロ
ヘプテニルが包含される。ハロという用語にはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードが包含される。
【0017】
製薬学的に許容しうる塩は、式(I)の化合物が形成することのできる治療的に有効な無毒の酸付加塩形態を含んでなると定義される。該塩は、式(I)の化合物の塩基形態を適切な酸、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、特に塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸;有機酸、例えば酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、マンデル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモン酸およびマンデル酸で処理することにより得ることができる。逆に、該塩形態は適切な塩基での処理により遊離形態に転化することができる。
【0018】
溶媒和物という用語は、式(I)の化合物が形成することのできる水和物およびアルコラートをさす。
【0019】
「立体化学的異性体」という用語は、上記に用いる場合、式(I)の化合物が有し得る全ての可能な異性体を定義する。他に記載されないかもしくは示されない限り、化合物の化学表示は全ての可能な立体化学的異性体の混合物を意味し、該混合物は基本分子構造の全てのジアステレオマーおよび鏡像異性体を含有する。さらに特に、ステレオジェン中心はRもしくはS立体配置を有することができ;2価の環式(部分的)飽和基上の置換基はシスもしくはトランス立体配置のいずれかを有することができる。二重結合を含む化合物は、該二重結合でEもしくはZ立体化学を有することができる。式(I)の化合物の立体化学的異性体は、本発明の範囲内に包含される。
【0020】
下記の方法において製造されるような式(I)の化合物は、鏡像異性体のラセミ混合物の形態で合成することができ、それらは当該技術分野で既知の分割方法に従って相互から分離することができるる。式(I)のラセミ化合物は、適当なキラル酸との反応により対応するジアステレオマー塩形態に転化することができる。次に、該ジアステレオマー塩形態を例えば選択もしくは分別結晶化により分離し、そして鏡像異性体をアルカリによりそれから遊離させる。式(I)の化合物の鏡像異性体を分離する代わりの方法には、キラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーが含まれる。該純粋な立体化学的異性体はまた、反応が立体特異的に起こるならば、適切な出発物質の対応する純粋な立体化学的異性体から得ることもできる。好ましくは、特定の立体異性体が所望される場合、該化合物は立体特異的製造方法により合成される。これらの方法は、鏡像異性的に純粋な出発物質を都合よく用いる。
【0021】
薬理学
陽性症状に対して有効でありそして改善された安全性プロフィール(低いEPS発生率および代謝性障害がない)を有する抗精神病化合物を見出すために、ドーパミンD2受容体と選択的に相互作用しそしてこの受容体から迅速に解離する化合物についてスクリーニングした。化合物を最初に[H]スピペロンおよびヒトD2L受容体細胞膜を用いる結合アッセイにおいてそれらのD2親和性についてスクリーニングした。10μM未満のIC50を示す化合物をJosee E.Leysen and Walter Gommeren,Journal of Receptor Research,1984,4(7),817−845により公開された方法から適用した間接アッセイにおいて試験して、それらの解離速度を評価した。
【0022】
選択した化合物E15、E16、E17およびE18を一団の50より多くの一般的なGタンパク質共役受容体(CEREP)においてさらにスクリーニングし、そして明確な
(clean)プロフィールを有する、すなわち、試験した受容体に対する低い親和性を有することが見出された。
【0023】
化合物の大部分を皮下でそして経口で「ラットにおけるアポモルヒネ誘発性激越の抑制試験」のようなインビボモデルにおいてさらに試験し、そしていくつかは経口で生物学的に利用可能でありそして有効であることが見出された。
【0024】
式(I)の化合物の上記の薬理学を考慮して、それらは薬剤としての使用に、特に抗精神病薬としての使用に適当であるといえる。さらに特に、これらの化合物は統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、一般身体疾患による精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、特定不能の精神病性障害;認知症と関連した精神病;大鬱病性障害、気分変調性障害、月経前不快気分障害、特定不能の抑鬱障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、特定不能の双極性障害、一般身体疾患による気分障害、物質誘発性気分障害、特定不能の気分障害;全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、急性ストレス障害、外傷後ストレス障害;精神遅滞;広汎性発達障害;注意欠陥障害、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害;妄想型人格障害、統合失調質人格障害、統合失調型人格障害;チック障害、トゥーレット症候群;薬物依存;薬物乱用;薬物離脱;抜毛癖の処置もしくは予防における薬剤としての使用に適当である。
【0025】
前述の段落において挙げたような障害を患っている患者の処置を最適化するために、式(I)の化合物を他の向精神薬化合物と一緒に投与することができる。従って、統合失調症の場合、陰性および認知的症状を標的とすることができる。
【0026】
本発明はまたそのような障害を患っている温血動物を処置する方法も提供し、該方法は、上記の障害を処置することにおいて有効な式(I)の化合物の治療量の全身投与を含んでなる。
【0027】
本発明はさらにそのような障害を患う傾向がある温血動物において上記の障害のいずれかが起こるのを防ぐ方法を提供し、該方法は、上記の障害を予防することにおいて有効な式(I)の化合物の治療量の全身投与を含んでなる。
【0028】
本発明はまた薬剤、特に抗精神病薬、さらに特に統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、一般身体疾患による精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、特定不能の精神病性障害;認知症と関連した精神病;大鬱病性障害、気分変調性障害、月経前不快気分障害、特定不能の抑鬱障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、特定不能の双極性障害、一般身体疾患による気分障害、物質誘発性気分障害、特定不能の気分障害;全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、急性ストレス障害、外傷後ストレス障害;精神遅滞;広汎性発達障害;注意欠陥障害、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害;妄想型人格障害、統合失調質人格障害、統合失調型人格障害;チック障害、トゥーレット症候群;薬物依存;薬物乱用;薬物離脱;抜毛癖の処置もしくは予防における薬剤の製造のための上記に定義したとおりの式(I)の化合物の使用にも関する。
【0029】
そのような疾患の処置および予防における当業者は、以下に提示する試験結果から有効治療毎日量を決定することができる。有効治療毎日量は、約0.01mg/kg〜約10mg/kg体重、より好ましくは約0.05mg/kg〜約1mg/kg体重である。
【0030】
本発明はまた、製薬学的に許容しうる担体および有効成分として式(I)の化合物の治療的に有効な量を含んでなる製薬学的組成物にも関する。
【0031】
投与の経路により、製薬学的組成物は0.05重量%〜99重量%の有効成分および1重量%〜99.95重量%の製薬学的に許容しうる担体を含んでなる。
【0032】
投与を簡単にするために、主題化合物を投与目的のために様々な製薬学的形態に調合することができる。本発明の化合物、特に式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形態およびそのプロドラッグ、またはその任意の亜群もしくは組み合わせは、投与目的のために様々な製薬学的形態に調合することができる。適切な組成物として、薬剤を全身的に投与するために通常用いられる全ての組成物を挙げることができる。本発明の製薬学的組成物を製造するために、有効成分として、場合により付加塩形態の、特定の化合物の有効量を製薬学的に許容しうる担体と密接に混合して合わせ、この担体は投与に所望される製剤の形態により多種多様な形態をとることができる。これらの製薬学的組成物は、特に経口的、直腸的、経皮的、非経口注射によるかもしくは吸入による投与に適当な単位投与形態物が望ましい。例えば、経口投与形態物の組成物を製造することにおいて、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および液剤のような経口用液状製剤の場合には例えば、水、グリコール、油、アルコールなどのような通常の製薬学的媒質のいずれかを;または散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には澱粉、糖、カオリン、希釈剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などのような固形担体を用いることができる。錠剤およびカプセル剤は、それらの投与の容易さのために、最も都合のよい経口投与単位形態物であり、この場合、固形の製薬学的担体が明らかに用いられる。非経口組成物では、例えば、溶解性を促進するために他の成分を含むことができるが、通常、少なくとも大部分において滅菌水を含んでなる。例えば、注入可能な液剤を製造することができ、ここで、担体は食塩水溶液、グルコース溶液もしくは食塩水とグルコース溶液との混合物を含んでなる。式(I)の化合物を含有する注入可能な液剤は、持続性作用のために油において調合することができる。この目的のために適切な油は、例えば、ピーナッツ油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、ダイズ油、長鎖脂肪酸の合成グリセロールエステルならびにこれらのおよび他の油の混合物である。注入可能な懸濁剤もまた製造することができ、この場合、適切な液状担体、沈殿防止剤などを用いることができる。また包含されるのは、使用直前に液状製剤に転化することが意図される固形製剤である。経皮投与に適当な組成物において、担体は、場合によりわずかな割合の任意の性質の適当な添加剤と組み合わせて、場合により浸透促進剤および/もしくは適当な湿潤剤を含んでなってもよく、これらの添加剤は皮膚に重大な悪影響をもたらさない。該添加剤は、皮膚への投与を容易にすることができそして/もしくは所望の組成物を製造するために役立つことができる。これらの組成物は様々な方法で、例えば経皮パッチとして、スポットオンとして、軟膏として投与することができる。式(I)の化合物の酸もしくは塩基付加塩は、対応する塩基もしくは酸形態に対してそれらの増加した水溶性のために、水性組成物の製造においてより適当である。
【0033】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために単位投与形態物において上記の製薬学的組成物を調合することは特に好都合である。単位投与形態物は、本明細書において用いる場合、単位投薬量として適当な物理的に分離した単位をさし、各単位は、必要な製薬学的担体と会合して所望の治療効果をもたらすように計算された有効成分の所定の量を含有する。そのような単位投与形態物の例は、錠剤(分割錠もしくはコート錠を包含する)、カプセル剤、丸剤、散剤パケット、カシェ剤、座薬、注入可能な液剤もしくは懸濁剤など、およびその分離した倍量である。
【0034】
本発明の化合物は強力な経口投与可能な化合物であるので、経口投与のための該化合物を含んでなる製薬学的組成物は特に有益である。
【0035】
製薬学的組成物における式(I)の化合物の溶解性および/もしくは安定性を高めるた
めに、α−、β−もしくはγ−シクロデキストリンもしくはそれらの誘導体、特にヒドロキシアルキル置換されたシクロデキストリン、例えば2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを用いることは好都合であることができる。また、アルコールのような共溶媒は、製薬学的組成物における本発明の化合物の溶解性および/もしくは安定性を向上することができる。
【0036】
製造
式(I)
【0037】
【化2】

【0038】
[式中、R、R、R、RおよびRは先に定義したとおりである]
の化合物は、1,2−ジクロロエタンのような適当な反応不活性溶媒中で、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムのような適当な還元剤、酢酸のような適当な酸触媒の存在下に、式(II)
【0039】
【化3】

【0040】
[式中、R、RおよびRは先に定義したとおりである]
の化合物を式R−C(=O)−R(III−a)[式中、RおよびRは先に定義したとおりである]の化合物と反応させることにより製造した。
【0041】
式(I)[式中、R、R、R、RおよびRは先に定義したとおりである]の化合物は、また、都合のよい温度で、典型的にはマイクロ波照射下に120℃で、加熱し、アセトニトリルのような適当な不活性反応溶媒中で、ジイソプロピルエチルアミンのような適当な塩基の存在下に、式(II)[式中、R、RおよびRは先に定義したとおりである]の化合物を式R−CHX−R(III−b)[式中、RおよびRは先に定義したとおりであり、そしてXはハロゲンもしくは適当な脱離基を表す]の化合物と反応させることにより製造することもできる。
【0042】
式(II)[式中、R、RおよびRは先に定義したとおりである]の化合物は、適当な反応条件下で、典型的にはマイクロ波照射下で160℃で加熱し、N,N−ジメチルホルムアミドのような適当な不活性溶媒中で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのようなパラジウム触媒の存在下に、式(IV)
【0043】
【化4】

【0044】
[式中、R、RおよびRは先に定義したとおりであり、そしてPはベンジルのような適当な保護基を表す]のクロロピリダジン誘導体をシアン化亜鉛のようなシアン化物塩と反応させ、続いてベンジル基について、ジクロロメタンのような適当な不活性反応溶媒中で、ジイソプロピルエチルアミンのような適当な塩基の存在下に、クロロギ酸1−クロロエチルとの反応のような適当な条件下で、保護基Pを脱保護することにより製造した。
【0045】
式(IV)[式中、R、RおよびRは先に定義したとおりであり、そしてPは適当な保護基を表す]の化合物は、溶融物(melt)におけるような適当な反応条件下で、ヨウ化カリウムのような適当な触媒の存在下に、式(V)
【0046】
【化5】

【0047】
[式中、Rは先に定義したとおりであり、そしてPはベンジルのような適当な保護基を表す]
の化合物を式(VI)
【0048】
【化6】

【0049】
[式中、RおよびRは先に定義したとおりである]
の化合物と反応させることにより製造した。
【0050】
式(VI)の化合物は市販されているか、もしくはWO99/36407に記載のもの
と同様の方法により製造される。
【0051】
式(I)[式中、R、R、R、RおよびRは先に定義したとおりである]の化合物は、また、高められた温度において、アセトニトリルのような適当な溶媒中で、ジイソプロピルエチルアミンのような適当な塩基の存在下に、式(VII)
【0052】
【化7】

【0053】
[式中、RおよびRは先に定義したとおりである]
の3−クロロピリダジンを式(VIII)
【0054】
【化8】

【0055】
[式中、R、RおよびRは先に定義したとおりである]
のピペリジン誘導体と反応させて製造することもできる。
【0056】
式(VIII)[式中、RおよびRは先に定義したとおりであり、そしてR=H]の化合物は、ジイソプピルエチルアミンのような適当な塩基の存在下にそしてジクロロメタンのような適当な不活性反応溶媒中で、ピペリジン−4−イルカルバミン酸tert−ブチルエステル(IX)
【0057】
【化9】

【0058】
を式R−CHX−R(III−b)[式中、RおよびRは先に定義したとおりであり、そしてXはハロゲンもしくは適当な脱離基を表す]の化合物と反応させ、続いて式(VIII)[式中、R=H]の化合物を生成せしめるために、トリフルオロ酢酸のような
酸での処理により、式(X)の中間体におけるtert−ブチルオキシカルボニル基を脱保護することにより製造した。
【0059】
式(VIII)[式中、RおよびRは先に定義したとおりであり、そしてR=H]の化合物は、また、1,2−ジクロロエタンのような適当な不活性反応溶媒中で、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムのような適当な還元剤、酢酸のような適当な酸触媒の存在下に、ピペリジン−4−イルカルバミン酸tert−ブチルエステル(IX)を式R−C(=O)−R(III−a)[式中、RおよびRは先に定義したとおりである]の化合物と反応させ、続いて式(VIII)[式中、R=H]の化合物を生成せしめるために、トリフルオロ酢酸のような酸での処理により、式(X)の中間体におけるtert−ブチルオキシカルボニル基を脱保護することにより製造することもできる。
【0060】
【化10】

【0061】
式(VIII)[式中、R≠H]の化合物は、水素のような適当な還元剤、炭素上パラジウムのような適当な触媒の存在下にそしてエタノールのような適当な不活性反応溶媒中で、式(XI)
【0062】
【化11】

【0063】
[式中、RおよびRは先に定義したとおりである]
の化合物を式R−NH(XII)のアミンと反応させることにより製造することができる。
【0064】
式(XI)[式中、RおよびRは先に定義したとおりである]の化合物は、1,2−ジクロロエタンのような適当な不活性反応溶媒中で、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムのような適当な還元剤、酢酸のような適当な酸触媒の存在下に、4,4−エチレンジオキシピペリジン(XIII)
【0065】
【化12】

【0066】
を式R−C(=O)−R(III−a)[式中、RおよびRは先に定義したとおりである]の化合物と反応させ、続いて塩酸のような酸での処理により、式(XIV)
【0067】
【化13】

【0068】
[式中、RおよびRは先に定義したとおりである]
の中間体を脱保護することにより製造した。
【0069】
式(VII)[式中、RおよびRは先に定義したとおりである]の化合物は、適当な反応条件下で、典型的にはマイクロ波照射下で160℃で加熱し、N,N−ジメチルホルムアミドもしくはアセトニトリルのような不活性溶媒中で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのようなパラジウム触媒の存在下に、式(XV)
【0070】
【化14】

【0071】
の3−クロロ−6−ヨード−ピリダジンをシアン化亜鉛もしくは銅のようなシアン化物塩と反応させることにより製造した。
【実施例】
【0072】
実験の部
化学
実施例(E1〜E20)の最終精製は、記載の溶離剤を用いたシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによるかもしくはHyperprep RP 18 BDS(Shandon)(8μm、200mm、250g)カラム上での逆相分取HPLCによるいずれかで実施した。3つの移動相(移動相A:90%の0.5%酢酸アンモニウム+10%
アセトニトリル;移動相B:メタノール;移動相C:アセトニトリル)を用いて40ml/分の流速で75%Aおよび25%Bから開始して、(同じ条件で0.5分間保ち、続いて0.01分中に80ml/分まで流速を上げる)41分中に50%Bおよび50%Cまで、20分中に100%Cまでの勾配方法を行い、そしてこれらの条件を4分間保った。
【0073】
Hスペクトルは、Bruker DPX 360、DPX 400もしくはBruker AV−500分光計上で記録された。化学シフトは、テトラメチルシランに対してppm単位で表される。
【0074】
記述1
(1−ベンジル−ピペリジン−4−イル)−(6−クロロ−ピリダジン−3−イル)−アミン(D1)
【0075】
【化15】

【0076】
4−アミノ−1−ベンジルピペリジン(4g、21mmol)および3,6−ジクロロ−ピリダジン(1.56g、10.5mmol)の混合物を120℃で1h攪拌し、その後でn−ブタノール(10ml)を加え、そして反応混合物を120℃でさらに1h攪拌した。水およびジクロロメタンの添加後に、有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させた。残留物をアセトニトリルから結晶化させ、そして得られる固体を濾過して分離し、そして乾燥させてD1(1.3g、41%)を固体として生成せしめた。C1619ClNは302を要する;実測値303(MH);mp:208〜209.3℃。
【0077】
H NMR(360MHz,DMSO−d)δ1.36−1.54(m,2H),1.94(d,J=10.98Hz,2H),2.08(t,J=10.79Hz,2H),2.78(d,J=11.71Hz,2H),3.47(s,2H),3.69−3.84(m,1H),6.88(d,J=9.15Hz,1H),7.03(d,J=7.32Hz,1H),7.22−7.28(m,1H),7.28−7.34(m,4H),7.34(d,J=9.51Hz,1H)。
【0078】
記述D2
6−(1−ベンジル−ピペリジン−4−イルアミノ)−ピリダジン−3−カルボニトリル(D2)
【0079】
【化16】

【0080】
N,N−ジメチルホルムアミド(30ml)中の(1−ベンジル−ピペリジン−4−イル)−(6−クロロ−ピリダジン−3−イル)−アミン(D1)(3g、9.9mmol)、シアン化亜鉛(2.09g、17.8mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2.74g、2.3mmol)の混合物をマイクロ波照射(Milestone MW−オーブン)下で160℃で30分間加熱した。次に、溶媒を真空中で蒸発させ、そして炭酸カリウム(10%)の水溶液および酢酸エチルを加えた。有機相を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;メタノール(7M)中0〜1.5%のアンモニア/ジクロロメタン)により、そして次にHPLCにより精製してD2(1.06g、36%)を固体として生成せしめた。C1719は293を要する;実測値294(MH)。
【0081】
H NMR(500MHz,DMSO−d)δ1.42−1.57(m,2H),1.92(d,J=10.40Hz,2H),2.09(t,J=10.84Hz,2H),2.79(d,J=11.27Hz,2H),3.48(s,2H),3.92(br.s.,1H),6.87(d,J=8.96Hz,1H),7.21−7.27(m,2H),7.27−7.37(m,3H),7.68(d,J=9.54Hz,1H),7.77(br.s.,1H)。
【0082】
記述3
6−(ピペリジン−4−イルアミノ)−ピリダジン−3−カルボニトリル(D3)
【0083】
【化17】

【0084】
0℃でジクロロメタン(50ml)中の6−(1−ベンジル−ピペリジン−4−イル)−ピリダジン−3−カルボニトリル(D2)(1.5g、5.1mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(2.6g、20mmol)の攪拌混合物にクロロギ酸1−クロロエチル(2.9g、20mmol)を滴下して加えた。反応混合物を室温で2h攪拌し、そして次に溶媒を真空中で蒸発させた。メタノール(50ml)を残留物に加え、そして混合物を2h還流させた。溶媒を真空中で蒸発させ、そして残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;メタノール(7M)中5〜12%のアンモニア/ジクロロメタン)により精製した。所望の画分を集め、そして溶媒を真空中で蒸発させてD3(0.9g、
90%)を固体として生成せしめた。C1013は203を要する;実測値204(MH)。
【0085】
H NMR(360MHz,DMSO−d)δ1.67−1.86(m,2H),2.10(dd,J=13.72,3.48Hz,2H),3.03(td,J=12.81,2.93Hz,2H),3.32(tt,J=13.17,3.66Hz,2H),4.24(br.s.,1H),7.00(d,J=9.51Hz,1H),7.75(d,J=9.15Hz,1H),8.33(br.s.,1H),8.23(d,J=6.95Hz,1H)。
【0086】
記述4
6−クロロ−ピリダジン−3−カルボニトリル(D4)
【0087】
【化18】

【0088】
アセトニトリル(30ml)中の3−クロロ−6−ヨード−ピリダジン(CAS135034−10−5、5.5g、22.9mmol;Goodman,A.J.;Stanforth,S.P.;Tarbit,B.Tetrahedron(1999),55(52),15067−15070)およびシアン化銅(4g、44.7mmol)の混合物をマイクロ波照射(Milestone MW−オーブン)下で160℃で30分間攪拌した。次に、混合物をジクロロメタン(200ml)に注ぎ込み、セライト上で濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させた。次に、残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ジクロロメタン/ヘプタン 1:1〜7:3)により精製してD4(2.84g、89%)を固体として生成せしめた。
【0089】
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.65(d,J=8.8Hz,1H),7.75(d,J=8.8Hz,1H)。
【0090】
記述5
1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミン(D5)
【0091】
【化19】

【0092】
ジクロロメタン(50ml)中のピペリジン−4−イルカルバミン酸tert−ブチルエステル(5g、24.9mmol)、3,5−ジフルオロベンジルブロミド(2.9ml,22.7mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(5.9ml、34.03mmol)の混合物を室温で2h攪拌した。この期間の後に、トリフルオロ酢酸(32ml)を加え、そして反応混合物をさらに2h攪拌した。溶媒を真空中で蒸発させ、そして炭酸ナトリウムの飽和溶液を加えた。混合物をジクロロメタンで抽出し、そして分離した有
機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させてD5(4.5g、90%)を固体として生成せしめた。C1216は226を要する;実測値227(MH)。
【0093】
記述6
1−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミン(D6)
【0094】
【化20】

【0095】
ジクロロメタン(25ml)中のピペリジン−4−イルカルバミン酸tert−ブチルエステル(2.5g、12.4mmol)、3−(トリフルオロメチル)ベンジルブロミド(1.7ml,11.3mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(2.9ml、16.9mmol)の混合物を室温で2h攪拌した。この期間の後に、トリフルオロ酢酸(32ml)を加え、そして反応混合物をさらに2h攪拌した。溶媒を真空中で蒸発させ、そして炭酸ナトリウムの飽和溶液を加えた。混合物をジクロロメタンで抽出し、そして分離した有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;メタノール(7M)中5〜10%のアンモニア/ジクロロメタン)により精製してD6(1.9g、60%)を固体として生成せしめた。C1317は258を要する;実測値259(MH)。
【0096】
記述7
1−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミン(D7)
【0097】
【化21】

【0098】
ジクロロメタン(25ml)中のピペリジン−4−イルカルバミン酸tert−ブチルエステル(4g、20mmol)、3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ベンジルブロミド(4.6g,18.1mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(4.7ml、27.1mmol)の混合物を室温で2h攪拌した。この期間の後に、トリフルオロ酢酸(32ml)を加え、そして反応混合物をさらに2h攪拌した。溶媒を真空中で蒸発させ、そして炭酸ナトリウムの飽和溶液を加えた。混合物をジクロロメタンで抽出し、そして分離した有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させてD7(4g、80%)を固体として生成せしめた。C1316は276を要する;実測値277(MH)。
【0099】
記述8
1−(3,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミン(D8)
【0100】
【化22】

【0101】
ジクロロメタン(25ml)中のピペリジン−4−イルカルバミン酸tert−ブチルエステル(2.5g、12.4mmol)、3,4,5−トリフルオロベンジルブロミド(2.5g,11.3mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(2.9ml、16.9mmol)の混合物を室温で2h攪拌した。この期間の後に、トリフルオロ酢酸(15.6ml)を加え、そして反応物をさらに2h攪拌した。溶媒を真空中で蒸発させ、そして炭酸ナトリウムの飽和溶液を加えた。混合物をジクロロメタンで抽出し、そして分離した有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させてD8(2.9g、96%)を固体として生成せしめた。C1215は244を要する;実測値245(MH)。
【0102】
記述9
3,6−ジクロロ−4,5−ジメチル−ピリダジン(D9)
【0103】
【化23】

【0104】
6−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−2H−ピリダジン−3−オン(2.56g、18mmol)(WO99/36407に記載のものと同様の方法により製造する)、オキシ塩化リン(8ml)およびジイソプロピルエチルアミン(4ml)の混合物をマイクロ波照射(Biotage MW−オーブン)下で160℃で20分間攪拌した。次に、溶媒を真空中で部分的に蒸発させ、そして残留物質を冷水、飽和炭酸水素ナトリウムおよびジクロロメタンの混合物に注ぎ込んだ。次に、COの発生がなくなるまで混合物を少しずつの(portions of)炭酸水素ナトリウムで塩基性化した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘプタン 1/1〜10/0)により精製してD9(1.7g、53%)を固体として生成せしめた。CClは176を要する;実測値177(MH)。
【0105】
記述10
3−クロロ−6−ヨード−4,5−ジメチル−ピリダジン(D10)
【0106】
【化24】

【0107】
D9(0.2g、1.13mmol)、ヨウ化ナトリウム(0.420g、2.8mmol)およびヨウ化水素酸(水中57wt%、2ml)の混合物をマイクロ波照射下で120℃で10分間攪拌した。次に、混合物を炭酸ナトリウム、Na、水およびジクロロメタンの水性飽和溶液に注ぎ込んだ。有機相を分離し、コットン上で濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘプタン 1:1〜8:2)により精製してD10(0.235g、77%)を固体として生成せしめた。CClINは268を要する;実測値269(MH)。
【0108】
記述11
6−クロロ−4,5−ジメチル−ピリダジン−3−カルボニトリル(D11)
【0109】
【化25】

【0110】
アセトニトリル(2ml)中のD10(0.225g、0.84mmol)、シアン化銅(0.15g、1.67mmol)の混合物をマイクロ波照射下で160℃で20分間攪拌した。次に、ジクロロメタンを加え、そして混合物をセライト上で濾過した。溶媒を真空中で蒸発させ、そして残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ジクロロメタン/ヘプタン 1:1〜7:3)により精製してD11(0.120g、85%)を固体として生成せしめた。CClNは167を要する;実測値166(MH)。
【0111】
実施例7
6−[1−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E7)
【0112】
【化26】

【0113】
ジクロロメタン(2ml)中の6−(ピペリジン−4−イルアミノ)−ピリダジン−3−カルボニトリル(D3)(0.15g、0.7mmol)およびα,α,α−トリフルオロ−p−トルアルデヒド(0.15ml、1.1mmol)の混合物にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.232g、1.1mmol)および酢酸(0.041ml)を加えた。次に、反応混合物を室温で18h攪拌した。次に、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液を加え、そして有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させた。残留物をHPLCにより精製した。所望の画分を集め、そして溶媒を真空中で蒸発させてE7(0.101g、38%)を固体として生成せしめた。C1818は361を要する;実測値362(MH);mp:243.1℃。
【0114】
H NMR(500MHz,CDCl)δ1.56−1.65(m,2H),2.09(d,J=11.85Hz,2H),2.22(t,J=10.55Hz,2H),2.85(d,J=11.85Hz,2H),3.58(s,2H),3.93(br.s.,1H),5.14(br.s.,1H),6.60(d,J=9.25Hz,1H),7.40(d,J=9.25Hz,1H),7.45(d,J=7.80Hz,2H),7.58(d,J=8.09Hz,2H)。
【0115】
実施例13
6−[1−(3−クロロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E13)
【0116】
【化27】

【0117】
アセトニトリル(2ml)中の6−(ピペリジン−4−イルアミノ)−ピリダジン−3−カルボニトリル(D3)(0.150g、0.74mmol)、3−クロロベンジルブロミド(0.102ml、0.78mol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.196ml、1.11mol)の混合物をマイクロ波照射(Biotage MW−オーブン)下で120℃で5分間攪拌した。次に、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、そして炭酸ナトリウムの飽和溶液で抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させた。次に、残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;メタノール(7M)中0〜2.5%のアンモニア/ジクロロメタン)により精製した。所望の画分を集め、そして真空中で蒸発させ、そして残留物をジイソプロピルエーテルで研和してE13(0.095g、39%)を白色の固体として生成せしめた。C1718ClNは327を要する;実測値328(MH);mp:151℃。
【0118】
H NMR(400MHz,CDCl)δ1.52−1.70(m,2H),2.08(d,J=12.02Hz,2H),2.19(t,J=11.30Hz,2H),2.85(d,J=11.82Hz,2H),3.50(s,2H),3.91(br.s.,1H),5.23(br.s.,1H),6.62(d,J=9.33Hz,1H),7.17−7.21(m,1H),7.21−7.28(m,2H),7.34(br.s.,1H),7.41(d,J=9.33Hz,1H)。
【0119】
実施例15
6−[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E15)
【0120】
【化28】

【0121】
アセトニトリル(30ml)中の6−クロロ−ピリダジン−3−カルボニトリル(D4)(1.74g、12.46mmol)、1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミン(D5)(2.35g、10.386mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(2.71ml、15.58mmol)の混合物をマイクロ波照射(Milestone MW−オーブン)下で120℃で40分間攪拌した。次に、ジクロロメタン、水および炭酸ナトリウムの飽和溶液を加えた。有機層をコットン上で濾過し、真空中で蒸発させ、そして残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;メタノール(7M)中0〜1.5%のアンモニア/ジクロロメタン)により精製した。所望の画分を集め、そして真空中で蒸発させた。残留物をヘプタンにおいて沈殿させてE15(2.065g、60%)を固体として生成せしめた。C1717は329を要する;実測値330(MH);mp:187.9℃。
【0122】
H NMR(500MHz,CDCl)δ1.55−1.69(m,2H),2.10(d,J=11.85Hz,2H),2.21(t,J=11.42Hz,2H),2.85(d,J=11.85Hz,2H),3.50(s,2H),3.94(br.s.,1H),5.22(br.s.,1H),6.62(d,J=9.54Hz,1H),6.69(tt,J=8.92,2.20Hz,1H),6.83−6.93(m,2H),7.41(d,J=9.25Hz,1H)。
【0123】
実施例16
6−[1−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E16)
【0124】
【化29】

【0125】
アセトニトリル(3ml)中の6−クロロ−ピリダジン−3−カルボニトリル(D4)(0.130g、0.931mmol)、1−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミン(D6)(0.241g、0.931mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.243ml、1.4mmol)の混合物をマイクロ波照射(Biotage MW−オーブン)下で120℃で30分間攪拌した。ジクロロメタンおよび水を加え、そして次に混合物を炭酸ナトリウムの飽和溶液で洗浄した。有機相をコットン上で濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィ
ー(シリカゲル;メタノール(7M)中0〜2%のアンモニア/ジクロロメタン)により精製してE16(0.215g、64%)を固体として生成せしめた。C1818は361を要する;実測値362(MH);mp:170.3℃。
【0126】
H NMR(400MHz,CDCl)δ1.61(qd,J=11.20,3.52Hz,2H),2.09(d,J=12.44Hz,2H),2.22(td,J=11.20,2.07Hz,2H),2.86(d,J=12.02Hz,2H),3.58(s,2H),3.93(br.s.,1H),5.18(br.s.,1H),6.61(d,J=9.33Hz,1H),7.41(d,J=9.33Hz,1H),7.45(d,J=7.67Hz,1H),7.49−7.55(m,2H),7.60(br.s.,1H)。
【0127】
実施例17
6−[1−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E17)
【0128】
【化30】

【0129】
アセトニトリル(2ml)中の6−クロロ−ピリダジン−3−カルボニトリル(D4)(1.39g、9.95mmol)、1−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミン(D7)(2.5g、9.04mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(2.63ml、14.92mmol)の混合物をマイクロ波照射(Biotage MW−オーブン)下で120℃で30分間攪拌した。次に、混合物をジクロロメタン(50ml)で希釈し、そして炭酸ナトリウムの飽和溶液で抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で蒸発させ、そして残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;メタノール(7M)中0〜2.5%のアンモニア/ジクロロメタン)により精製した。所望の画分を集め、そして真空中で蒸発させた。残留物をジイソプロピルエーテルから沈殿させてE17(2.76g、73%)を固体として生成せしめた。C1817は379を要する;実測値380(MH);mp:151.4℃。
【0130】
H NMR(500MHz,CDCl)δ1.56−1.70(m,2H),2.11(d,J=11.85Hz,2H),2.24(t,J=11.27Hz,2H),2.85(d,J=11.56Hz,2H),3.56(s,2H),3.96(br.s.,1H),5.24(br.s.,1H),6.63(d,J=9.25Hz,1H),7.22(d,J=8.38Hz,1H),7.28(d,J=9.25Hz,1H),7.39(s,1H),7.42(d,J=9.25Hz,1H)。
【0131】
実施例18
6−[1−(3,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E18)
【0132】
【化31】

【0133】
アセトニトリル(12ml)中の6−クロロ−ピリダジン−3−カルボニトリル(D4)(1.32g、9.46mmol)、1−(3,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミン(D8)(2.10g、8.6mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(2.25ml、12.9mmol)の混合物をマイクロ波照射(Milestone MW−オーブン)下で120℃で20分間攪拌した。次に、ジクロロメタン、水および炭酸ナトリウムの飽和溶液を加えた。有機層をコットン上で濾過し、真空中で蒸発させ、そして残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;メタノール(7M)中0〜2%のアンモニア/ジクロロメタン)により精製した。所望の画分を集め、そして真空中で蒸発させた。残留物をジイソプロピルエーテルから沈殿させてE18(2.210g、74%)を固体として生成せしめた。C1716は347を要する;実測値348(MH);mp:185℃。
【0134】
H NMR(500MHz,CDCl)δ1.52−1.69(m,2H),2.10(d,J=12.14Hz,2H),2.21(t,J=10.69Hz,2H),2.83(d,J=11.85Hz,2H),3.44(s,2H),3.95(br.s.,1H),5.17(br.s.,1H),6.62(d,J=9.25Hz,1H),6.89−7.07(m,2H),7.41(d,J=9.25Hz,1H)。
【0135】
実施例19
6−[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−4,5−ジメチル−ピリダジン−3−カルボニトリル(E19)
【0136】
【化32】

【0137】
アセトニトリル中の6−クロロ−4,5−ジメチル−ピリダジン−3−カルボニトリル(D11)(0.120g、0.72mmol)、1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミン(D5)(0.194g、0.86mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.188ml、1.08mmol)の混合物をマイクロ波照射(Biotage MW−オーブン)下で180℃で20分間、そして次に再び180℃でさらに30分間攪拌した。次に、ジクロロメタン、水および炭酸ナトリウムの飽和溶液を加えた。有機相を分離し、コットン上で濾過し、そして真空中で蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;メタノール(7M)中0〜1%のアンモニ
ア/ジクロロメタン)により精製した。所望の画分を集め、そして溶媒を真空中で蒸発させてE19(0.108g、42%)を固体として生成せしめた。C1921は357を要する;実測値358(MH)。
【0138】
H NMR(400MHz,CDCl)δ1.57(dq,J=11.58,3.63Hz,2H),2.07(s,3H),2.15(d,J=12.65Hz,2H),2.18−2.27(m,2H),2.41(s,3H),2.85(d,J=11.82Hz,2H),3.49(s,2H),4.23−4.39(m,1H),4.46(d,J=7.46Hz,1H),6.69(tt,J=8.91,2.28Hz,1H),6.82−6.95(m,2H)。
【0139】
多数の化合物について、融点をMettler FP62装置上でオープンキャピラリーチューブにおいて決定した。融点は、3もしくは10℃/分の温度勾配で測定した。最大温度は300℃であった。融点はデジタル表示から読み取り、そしてこの分析方法と一般に関連する実験不確実性で得られた。
【0140】
以下のさらなる実施例(E1〜E6、E8〜E12およびE14)は、実施例E7およびE13について記載のものと同様の方法により、D3および対応するアルデヒドもしくはアルキル化剤から製造された。
【0141】
【表1】

【0142】
【表2】

【0143】
【表3】

【0144】
以下の実施例(E20)は、実施例E19について記載のものと同様の方法により製造された。
【0145】
【表4】

【0146】
いくつかの化合物の質量は、LCMS(液体クロマトグラフィー質量分析)で記録した。使用した方法を以下に記述する:
HPLC測定は、脱気装置を有するポンプ(クォータナリもしくはバイナリ)、オートサンプラー、カラムオーブン、ダイオードアレイ検出器(DAD)および以下のそれぞれの方法において特定されるようなカラムを含んでなるAgilent TechnologiesからのHP1100を用いて行った。カラムからのフローは、MS分光計に分けられた。MS検出器は、エレクトロスプレーイオン化源を用いて設定された。窒素をネブライザーガスとして用いた。供給源温度を140℃で保った。データ収集は、MassLynx−Openlynxソフトウェアで行った。逆相HPLCは、40℃で1.5ml/分の流速でAdvanced Chromatography TechnologiesからのACE−C18カラム(3.0μm、4.6x30mm)上で実施した。使用した勾配条件は:6.5分中に80%A(0.5g/lの酢酸アンモニウム溶液)、10%B(アセトニトリル)、10%C(メタノール)から50%Bおよび50%Cまで、7分で100%Bまでであり、そして7.5分で9.0分まで初期条件に平衡化した。注入容量5μl。高分解能質量スペクトル(飛行時間、TOF)は、0.1秒の滞留時間を用いて0.5秒に100〜750をスキャンすることによりポジティブイオン化モードにおいてのみ得られた。キャピラリーニードル電圧はポジティブイオン化モードでは2.5kVであり、そしてコーン電圧は20Vであった。ロイシン−エンケファリンは、ロックマス較正に使用した標準物質であった。
【0147】
【表5】

【0148】
以下の化学名は実施例番号をさす:
6−[1−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E1)、
6−[1−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E2)、
6−[1−(4−クロロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E3)、
6−[1−(3−フルオロ−4−メチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E4)、
6−[1−(3−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E5)、
6−[1−(4−メチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E6)、
6−[1−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E7)、
6−[1−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E8)、
6−[1−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E9)、
6−[1−(4−メチル−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E10)、
6−[1−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E11)、
6−[1−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E12)、
6−[1−(3−クロロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E13)、
6−[1−(3−クロロ−4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E14)、
6−[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E15)、
6−[1−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E16)、
6−[1−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E17)、
6−[1−(3,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル(E18)、
6−[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−4,5−ジメチル−ピリダジン−3−カルボニトリル(E19)および
6−[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−4−メ
チル−ピリダジン−3−カルボニトリル(E20)
【0149】
薬理学
ヒトD2受容体に対するインビトロ結合親和性
ヒトドーパミンD2受容体でトランスフェクションされたCHO細胞の凍結膜を融解し、Ultra−Turrax T25ホモジナイザーを用いて短時間均質化し、そして特異的および非特異的結合に最適化された適切なタンパク質濃度にNaCl、CaCl、MgCl、KClを含有するTris−HClアッセイバッファー(それぞれ、120、2、1、5および50mM、HClでpH7.7に調整する)において希釈した。放射性リガンド[H]スピペロン(NEN、比活性〜70Ci/mmol)を2nmol/Lの濃度でアッセイバッファーにおいて希釈した。次に、50μlの10%DMSOコントロール、ブタクラモール(10−6mol/lの最終濃度)もしくは興味のある化合物のいずれかと一緒に、調製した放射性リガンド(50μl)を400μlの調製した膜溶液とインキュベーションした(30分、37℃)。膜に結合した活性をGF/Bユニフィルタープレート(Unifilterplate)上にPackard Filtermateハーベスターを通して濾過し、そしてよく冷えたTris−HClバッファー(50mM;pH7.7;6x0.5ml)で洗浄した。フィルターを乾燥させ、その後でシンチレーション液を加え、そしてTopcountシンチレーションカウンターにおいて計数した。特異的結合パーセンテージおよび競合結合曲線をS−Plusソフトウェア(Insightful)を用いて計算した。
【0150】
【表6】

【0151】
迅速な解離
10μM未満のIC50を示す化合物をそれらの解離速度を評価するためにJosee
E.Leysen and Walter Gommeren,Journal of
Receptor Research,1984,4(7),817−845により公開された方法から適用した間接アッセイにおいて試験した。それらのIC50の4倍の濃度の化合物を最初に25℃で2mlの容量においてヒトD2L受容体細胞膜と1時間インキュベーションし、次に40ウェルmultividorを用いて吸引下でガラス繊維フィルター上で濾過した。直後に、真空を解放した。1nMの[H]スピペロンを含有する0.4mlのあらかじめ温めたバッファー(25℃)をフィルター上に5分間加えた。真空を開始しそして2x5mlのよく冷えたバッファーですぐにすすぐことによりインキュベーションを止めた。フィルターに結合した放射活性を液体シンチレーション分光計において測定した。アッセイの原理は、化合物がD2受容体から迅速に解離するほど、[H]スピペロンはD2受容体に速く結合するという仮定に基づく。例えば、D2受容体を1850nM(4xIC50)の濃度でクロザピンとインキュベーションする場合、[H]スピペロン結合は、フィルター上で5分のインキュベーション後にその全結合容量(薬剤の不在下で測定される)の60〜70%に相当する。他の抗精神病薬とインキュベーションする場合、[H]スピペロン結合は20〜50%の間で異なる。クロザピンは各濾過実行に含まれたので、試験した化合物は、クロザピンと同じくらいもしくはより迅速に解離している場合に迅速に解離するD2アンタゴニストと見なされた。これまで試験した全ての化合物はクロザピンのもの、すなわち>50%より迅速な解離速度を有した。
【0152】
【表7】

【0153】
ラットにおけるアポモルヒネ誘発性激越の抑制試験
オスWiga Wistarラット(180〜280g)に試験化合物(sc:皮下に;po:経口的に;用量当たりn=3;用量=0.16、0.63および2.5mg/kg)もしくは溶媒を投与し、そして次に30分でアポモルヒネ(1.0mg/kg、i.v.)で誘発した。行動変化への試験化合物の効果は、溶媒で前処理したラットにおいて得られる大きい一連のコントロールデータにおける結果の分布に基づいて全か無かの基準に従って評価した。
【0154】
アポモルヒネ(1.0mg/kg、i.v.)により誘発される激越、常同症(強制嗅ぎ行動、舐め行動、咀嚼行動)をアポモルヒネの注射後最初の1時間にわたって5分ごとに評点した。スコアシステムは:(3)著明、(2)中等度、(1)軽度および(0)なしであった。激越の薬剤誘発性抑制の基準:3の6未満のスコア(fewer than
6 scores of 3)(0.16%の偽陽性;n=2966)、2の6未満のスコア(fewer than 6 scores of 2)(0.0%の偽陽性)もしくは1の7未満のスコア(fewer than 7 scores of 1)(0.0%の偽陽性)。以下の表は、試験した3匹のラットのうち3匹が激越の薬剤誘発性抑制の基準の1つを満たした最低有効用量を示す。
【0155】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
Rは水素もしくはC1〜6アルキルであり;
はフェニル;水素、ハロ、シアノ、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルオキシ、ペルフルオロC1〜4アルキルおよびトリフルオロメトキシよりなる群から各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたフェニル;チエニル;ハロおよびC1〜4アルキルよりなる群から選択される1もしくは2個の置換基で置換されたチエニル;C1〜4アルキル;ヒドロキシル、C3〜8シクロアルキルもしくはC5〜7シクロアルケニルで置換されたC1〜4アルキル;C3〜8シクロアルキル;またはC5〜7シクロアルケニルであり;
は水素もしくはC1〜6アルキルであり;
およびRは各々独立して水素、C1〜4アルキルもしくはハロであるか、あるいはRおよびRは一緒になって5、6もしくは7員の炭素環式環または少なくとも1個の酸素、窒素もしくは硫黄原子を含んでなる5、6もしくは7員の複素環式環を形成する]
の化合物、またはその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物、またはその立体異性体。
【請求項2】
R、RおよびRが水素である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が水素もしくはメチルである請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が3,5−ジフルオロフェニル、3,4,5−トリフルオロフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、3−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニルもしくは3−フルオロ−4−メチルフェニルである請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
化合物が
6−[1−(3,5−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル、
6−[1−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル、
6−[1−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル、
6−[1−(3,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル、および
6−[1−(3−フルオロ,4−メチル−ベンジル)−ピペリジン−4−イルアミノ]−ピリダジン−3−カルボニトリル
よりなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物の治療的に有効な量を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項7】
薬剤としての使用のための請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
抗精神病薬としての使用のための請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、一般身体疾患による精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、特定不能の精神病性障害;認知症と関連した精神病;大鬱病性障害、気分変調性障害、月経前不快気分障害、特定不能の抑鬱障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、特定不能の双極性障害、一般身体疾患による気分障害、物質誘発性気分障害、特定不能の気分障害;全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、急性ストレス障害、外傷後ストレス障害;精神遅滞;広汎性発達障害;注意欠陥障害、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害;妄想型人格障害、統合失調質人格障害、統合失調型人格障害;チック障害、トゥーレット症候群;薬物依存;薬物乱用;薬物離脱;抜毛癖の処置もしくは予防における薬剤としての使用のための請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
(a)反応不活性溶媒中で、還元剤および酸触媒の存在下に、式(II)
【化2】

[式中、R〜Rは請求項1に定義したとおりである]
の中間体を式R−C(=O)−R[式中、RおよびRは請求項1に定義したとおりである]の中間体と反応させる段階;もしくは
(b)反応不活性溶媒中で塩基の存在下に、式(VII)
【化3】

[式中、RおよびRは請求項1に定義したとおりである]
の中間体を式(VIII)
【化4】

[式中、R、RおよびRは請求項1に定義したとおりである]
の中間体と反応させる段階
を含んでなる式(I)
【化5】

[式中、R、R〜Rは請求項1に定義したとおりである]
の化合物の製造方法。

【公表番号】特表2010−511673(P2010−511673A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539743(P2009−539743)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/063338
【国際公開番号】WO2008/068277
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】