説明

迅速解離性ドーパミン2受容体拮抗薬としてのピペラジン−1−イル−トリフルオロメチル−置換−ピリジン

【化1】


本発明は、迅速解離性ドーパミン2受容体拮抗薬であるピペラジン−1−イル−トリフルオロメチル−置換−ピリジン、これら化合物の調製法、これら化合物を有効成分として含んでなる製薬学的組成物に関する。本化合物は運動副作用無しに抗精神病効果を発揮することにより、中枢神経系障害、例えば統合失調症を処置または防止する薬剤としての用途を見いだす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、迅速解離性(fast dissociating)ドーパミン2受容体拮抗薬であるピペラジン−1−イル−トリフルオロメチル−置換−ピリジン、これらの化合物の調製方法、およびこれら化合物を有効成分として含んでなる製薬学的組成物に関する。本化合物は運動副作用無しに抗精神病効果を発揮することにより中枢神経系障害、例えば統合失調症を処置または防止するための薬剤としての用途を有する。
【背景技術】
【0002】
発明の説明
統合失調症は、人口の約1%が罹患している重篤な慢性の精神疾患である。臨床的症状は生涯の比較的早い時期に現れ、一般に青年期または初期成人期中に現れる。統合失調症の症状は通常、陽性と記述される症状(幻覚、妄想および支離滅裂な考えを含む)と陰性と呼ばれる症状(社会的引きこもり、情動低下、会話の貧困および楽しみを経験することができないことを含む)に分類される。加えて、統合失調症の患者は認知欠陥、例えば注意力および記憶などの障害にも苦しむ。そのような疾患の原因はまだ未知であるが、異常な神経伝達物質の作用が統合失調症の症状の基礎になっていると仮定されている。ドーパミン作動仮説が最もよく考えられている仮説であり、その仮説では、ドーパミン伝達の過剰活性が統合失調症の患者に見られる陽性症状の一因になっていることが提案されている。この仮説は、アンフェタミンまたはコカインのようなドーパミン増強剤が精神病を誘発する可能性があることが観察され、しかも抗精神病薬の臨床的投与とそれがドーパミンD2受容体を遮断する効力との間に相関関係が存在することが基になっている。市販の抗精神病薬は全てドーパミンD2受容体を遮断することにより陽性症状に対して治療的効力を及ぼす。そのような臨床的効力とは別に、抗精神病薬の重大な副作用、例えば錐体外路症状(EPS)および遅発性ジスキネジーなどもまたドーパミン拮抗作用に関係していると思われる。そのような衰弱副作用は、定型もしくは第一世代の抗精神病薬(例えばハロペリドール)を用いた時に最も頻繁に見られる。非定型もしくは第二世代の抗精神病薬(例えばリスペリドン、オランザピン)を用いた時にそのような副作用が現れる度合は低く、原型的な非定型抗精神病薬であると考えられているクロザピンを用いた時には実質的に現れない。非定型抗精神病薬を用いると観察される低いEPS発症率を説明するために提案された様々な理論の中の1つは、最近の15年間で多くの注目を集めている多重受容体仮説(multireceptor hypothesis)である。この説は受容体結合実験が多くの非定型抗精神病薬がドーパミンD2受容体に加えて他のいろいろな神経伝達物質受容体、特にセロトニン5−HT2受容体と相互作用するが、ハロペリドールのような定型抗精神病薬はD2受容体とより選択的に結合することを示していることに従う。このような理論が最近の数年間の課題となっているのは、主要な非定型抗精神病薬がすべて臨床的に関連する投薬量でセロトニン5−HT2受容体を完全に占有するが、それにも拘らず運動副作用の誘発に差があるからである。多重受容体仮説の代替仮説として、非定型抗精神病薬はドーパミンD2受容体から解離する速度の点で定型抗精神病薬と区別可能であることが非特許文献1に提案された。D2受容体からの迅速な解離が、抗精神病薬の生理学的ドーパミン伝達をより適応させるので、運動副作用無しでその抗精神病効果を可能にする。そのような仮説は特にクロザピンおよびケチアピンを考慮した時に説得力がある。これら二種の薬剤はドーパミンD2受容体から最速の速度で解離し、しかもそれらはヒトにEPSを誘発する危険性をもたらす度合が最も低い。逆に高いEPS罹病率の定型抗精神病薬は、解離性が最も低いドーパミンD2受容体拮抗薬である。従って、D2受容体から解離する速度に基づき新規な薬剤を同定することは、新規な非定型抗精神病薬をもた
らす有効な方法であると思われる。
【0003】
上述したように、現在の非定型抗精神病薬は多種多様な神経伝達物質受容体と相互作用する。そのような相互作用の中の数種(例えばセロトニン5−HT6およびドーパミンD3受容体の遮断)は、認知障害および陰性症状が考えられる場合に有益となる可能性がある。実際、数多くの臨床前データにより、5−HT6受容体拮抗作用は齧歯類における認知プロセスに肯定的な効果をもたらすことが示された(非特許文献2)。また5−HT6拮抗作用は食欲および食物摂取抑制にも関連している。その上、D3受容体の拮抗作用はラットの社会的相互作用を強化し、これは統合失調症の患者が示す陰性症状に有益であり得ることを示唆している(非特許文献3)。他方、他の相互作用(例えばアドレナリン作動性α1、ヒスタミンH1およびセロトニン5−HT2C受容体との相互作用)が、低血圧、鎮静、代謝障害および体重上昇を包含する副作用を媒介していると考えられている。従って追加の目的は、迅速に解離するD2受容体の特性を、アドレナリン作動性α1、ヒスタミンH1およびセロトニン5−HT2C受容体と相互作用することなくセロトニン5−HT6およびドーパミンD3受容体の阻害と組み合わせることにある。そのようなプロファイルは、陽性症状、陰性症状および認知欠陥に対して効力を示すと同時に現在の抗精神病薬に伴う主要な副作用が低いかまたは無い新規な化合物を提供すると期待される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Kapur and Seeman,“Does fast dissociation from the dopamine D2 receptor explain the action of atypical antipsychotics ?:A new hypothesis”,Am.J.Psychiatry 2001,158:3,360−369頁
【非特許文献2】Mitchell and Neumaier(2005)5−HT6 receptors:a novel target for cognitive enhancement,Pharmacology & Therapeutics 108:320−333
【非特許文献3】Joyce and Millan(2005),Dopamine D3 receptor antagonist as therapeutic agents,Drug Discovery Today 10:917−925
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、本明細書でこれまでに説明した有利な薬理学的プロファイルを有し、特に運動性副作用が低く、しかも他の受容体との相互作用が少ないか、または無視できるので代謝障害発症の危険性が低い迅速解離性ドーパミン2受容体拮抗薬ならびにセロトニン5−HT6およびドーパミンD3受容体拮抗薬である新規な化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、式(I)
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、
−A=A−は、−N=CR−または−CR=N−であり、
は、水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1−3アルキルオキシまたはC1−3アルキルであり、
は、フェニル;ハロ、シアノ、C1−3アルキル、ヒドロキシC1−3アルキル、モノ−およびポリハロ−C1−3アルキル、C1−3アルキルオキシ、C1−3アルキルオキシC1−3アルキル、アミノカルボニル、モノ−およびジ(C1−3アルキル)アミノカルボニル、アミノ、モノ−およびジ(C1−3アルキル)アミノからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたフェニル;ピリジニル;ハロ、C1−3アルキルオキシ、アリールC1−3アルキルオキシ、モノ−およびジ(C1−3アルキル)アミノおよびアリールC1−3アルキルアミノからなる群から選択される1もしくは2個の置換基で置換されたピリジニル;ハロおよびC1−3アルキルからなる群から選択される1もしくは2個の置換基で置換されたチエニルである]
の化合物またはそれらの立体異性体またはそれらの溶媒和物またはそれらの塩に関する。
【0009】
本発明による化合物は迅速解離性D受容体拮抗薬である。加えて本化合物は、ドーパミンD3およびセロトニン5−HT6受容体に対してもドーパミンD2受容体に対する親和性とほぼ同じ親和性を有する。これまでに試験した限り、本化合物は前記3種類の受容体サブタイプに対する拮抗薬である。この特性により本発明の化合物は、特に統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、一般身体疾患による精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、特定不能精神病性障害;認知症関連精神病;大鬱病性障害、気分変調性障害、月経前気分不快障害、特定不能鬱病性障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、特定不能双極性障害、一般身体疾患による気分障害、物質誘発性気分障害、特定不能気分障害、全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害、精神遅滞、広汎性発達障害、注意欠陥障害、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害、妄想型人格障害、分裂病型人格障害、統合失調症型人格障害、チック障害、トゥレット・シンドローム、物質依存、物質乱用、薬物離脱、抜毛癖、認知に障害がある状態、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、レヴィー小体認知症、HIV病による認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病による認知症、健忘障害、軽度認知障害;加齢関連認知低下;および摂食障害、例えば拒食症および過食症など、および肥満症を処置または防止する薬剤としての使用に適する。
【0010】
当業者はこれから記載する実験部分に提供する実験データに基づき、化合物を選択することができる。化合物の如何なる選択も本発明の範囲内である。
【0011】
本発明は、
−A=A−が、−N=CR−であり、
が、水素、シアノ、またはメトキシであり、
が、フェニルまたはハロで置換されたフェニルである、
式(I)の化合物およびそれらの立体異性体およびそれらの溶媒和物およびそれらの塩に
関する。
【0012】
本発明はさらに、
−A=A−が、−CR=N−であり、
が、水素、メチル、シアノ、ヒドロキシまたはメトキシであり、
が、フェニルまたはハロで置換されたフェニルである、
式(I)の化合物およびそれらの立体異性体およびそれらの溶媒和物およびそれらの塩に関する。
【0013】
式(I)の化合物およびそれらの立体異性体の中でも、最も興味深い化合物は、例えば
5−フェニル−3−ピペラジン−1−イル−6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−オール(A17)、
1−[4−(4−フルオロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル]−ピペラジン(B1)、
4−フェニル−6−ピペラジン−1−イル−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボニトリル(B2)、
1−(6−メトキシ−4−フェニル−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン(B3)、
1−(5−フェニル−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン(B4)、
1−(2−メトキシ−5−フェニル−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン(B5)、
1−[5−(4−フルオロ−フェニル)−2−メトキシ−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル]−ピペラジン(B6)、
5−フェニル−3−ピペラジン−1−イル−6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボニトリル(B7)および1−(2−メチル−5−フェニル−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン(B8)
およびそれらの溶媒和物および塩である。
【0014】
本出願を通して、用語「C1−3アルキル」を単独で用いる場合、および組み合わせて例えば「C1−3アルキルオキシ」、「ジC1−3アルキルアミノ」などとして用いる場合、この用語は例えばメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチルを含み;用語「ハロ」はフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含み;用語「モノハロC1−3アルキル」は、例えばフルオロメチル、クロロメチルおよび1−フルオロエチルを含み;用語「ポリハロC1−3アルキル」は、例えばジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ペンタフルオロプロピルおよびノナフルオロブチルを含む。
【0015】
治療的用途に、式(I)の化合物の塩は対イオンが製薬学的に許容され得るものである。しかし製薬学的に許容できない酸および塩基の塩も、例えば製薬学的に許容され得る化合物の調製または精製に用途を見いだすことができる。製薬学的に許容できてもできなくても、すべての塩が本発明の範囲に含まれる。
【0016】
製薬学的に許容され得るは、式(I)の化合物が形成し得る治療的に活性な無毒の酸付加塩形を含んでなると定義する。該塩は式(I)の化合物の塩基形を適切な酸、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、特に塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸および燐酸を用いて;有機酸、例えば酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロピオン酸、乳酸、ピルビン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、マンデル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸およびマンデル酸などで処理す
ることで得ることができる。逆に、該塩形を適切な塩基で処理することで遊離形に転換させることができる。
【0017】
用語「溶媒和物」は、式(I)の化合物が形成し得る水和物およびアルコラートを指す。
【0018】
本明細書でこれまでに使用した用語「立体化学異性体」は、式(I)の化合物が取り得るすべての可能な異性体形と定義する。特に言及または示さない限り、化合物の化学的表示はすべての可能な立体化学異性体形混合物を表し、該混合物は、基本的分子構造を有するすべてのジアステレオマーおよび鏡像異性体を含有する。より詳細には、立体中心はR−またはS−配置を取ることができ;二価の環式(部分)飽和基上の置換基はシス−またはトランス−配置のいずれかを取ることができる。二重結合を含有する化合物は該二重結合でE−またはZ−立体化学を取ることができる。式(I)の化合物の立体化学異性体は本発明の範囲内に含まれる。
【0019】
本発明の構成において、特に式(I)の化合物に関連して述べる場合に、元素はその元素のすべての同位体および同位体混合物を、自然に存在するか、または合成で製造した状態のいずれかで、自然な量(abundance)または同位体を濃縮した状態で含んでなる。式(I)の放射性標識化合物は、H、11C、18F、122I、123I、125I、131I、75Br、76Br、77Brおよび82Brからなる群から選択される放射性同位体を含んでなることができる。好ましくは放射性同位体はH、11Cおよび18Fの群から選択される。
【0020】
以下に記載する方法で調製される式(I)の化合物は、鏡像異性体のラセミ混合物の形態で合成することができ、これは当該技術分野で公知の方法に従い互いに分割することができる。式(I)のラセミ化合物は、適切なキラル酸と反応させることにより相当するジアステレオマー塩形態に転換することができる。引き続き該ジアステレオマー塩形は、例えば選択的もしくは分別結晶化により分離し、そしてアルカリを用いて鏡像異性体をそれから遊離させる。式(I)の化合物の鏡像異性体形を分離する代替様式は、キラル固定相を用いた液体クロマトグラフィーが関与する。このような純粋な立体化学的異性体は、対応する純粋な立体化学的異性体の適切な出発材料から誘導することもできるが、但し反応が立体特異的に起こることを条件とする。好ましくは特定の立体異性体が所望される場合、該化合物は立体特異的調製方法により合成される。これらの方法では有利に鏡像異性体的に純粋な出発材料を用いる。
【0021】
調製
−A=A−が−N=CR−であり、Rが水素であり、そしてRが上で定義した通りである式(I)の化合物は、式(II)
【0022】
【化2】

【0023】
[式中、AがNであり、Rが上で定義した通りであり、そしてハロがクロロ、ブロモまたはヨードである]
の化合物とピペラジンとを、ジイソプロピルエチルアミンのような適切な塩基の存在下で、アセトニトリルのような適切な溶媒中にて、この反応を確実に達成するために一定期間、通例の加熱もしくはマイクロ波照射下のいずれかによる都合のよい温度のような適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。
【0024】
がNであり、Rが上に定義した通りであり、そしてハロがクロロ、ブロモまたはヨードである式(II)の化合物は、式(III)
【0025】
【化3】

【0026】
[式中、AがNであり、Rが上で定義した通りであり、そしてハロおよびハロが独立してクロロ、ブロモまたはヨードである]
の化合物とアリールボロン酸とを、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)のような適切な触媒の存在下で、リン酸カリウムのような適切な塩基の存在下で、1,4−ジオキサンと水との混合物のような適切な不活性溶媒中にて、この反応を確実に達成するために一定期間、通例の加熱もしくはマイクロ波照射下のいずれかによる都合のよい温度のような適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。
【0027】
がNであり、ハロがクロロであり、そしてハロがヨードである式(III)の化合物は、市販品から得ることができる。AがNであり、そしてハロおよびハロがクロロである式(III)の化合物は、Noble,S.A.;Oshiro,G;Malecha,J.W.;Zhao,C,;Robinson,C.K.M.;Duron,S.G.;Sertic,M;Lindstrom,A.;Shiau,Andrew;B.,Christopher;K.,Mehmet;L.,Boliang;G.,Steven.2006,WO2006055187 A1 20060526に記載されている手法と同様の方法により得ることができる。
【0028】
−A=A−、RおよびRが上に定義した通りである式(I)の化合物は、式(IV)
【0029】
【化4】

【0030】
[式中、Lがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表し、−A=A−、RおよびRが上に定義した通りである]
の化合物の保護基を、ジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸またはLがtert−ブチルオキシカルボニル基を表す場合には1,4−ジオキサン中の塩酸のような適切な条件下で脱保護することにより調製することもできる。
【0031】
−A=A−が−N=CR−であり、Rがシアノであり、そしてRが上で定義した通りであり、そしてLがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表す式(IV)の化合物は、式(IVa)
【0032】
【化5】

【0033】
[式中、AがNであり、Rが上で定義した通りであり、Lがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表し、そしてYがハロ、例えばクロロ、ブロモまたはヨードを表す]
の化合物とシアン化亜鉛とを、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)のような適切な触媒の存在下で、N,N−ジメチルホルムアミドのような適切な溶媒中にて、この反応を確実に達成するために一定期間、通例の加熱もしくはマイクロ波照射下のいずれかによる都合のよい温度のような適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。
【0034】
がNであり、そしてRが上に定義した通りであり、そしてYがハロ、例えばクロロ、ブロモまたはヨードを表す式(IVa)の化合物は、式(V)
【0035】
【化6】

【0036】
[式中、AがNであり、Lがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表し、そしてハロがクロロ、ブロモまたはヨードである]
の化合物とアリールボロン酸とを、トランス−Pd(OAc)(CyNH)(Tao,B.;Boykin,D.W.Tetrahedron Lett.2003,44,7993−7996に記載されている手法に従い調製)のような適切な触媒の存在下で、リン酸カリウムのような適切な塩基の存在下で、エタノールのような適切な不活性溶媒中にてこの反応を確実に達成するために一定期間、通例の加熱もしくはマイクロ波照射下のいずれかによる都合のよい温度のような適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。
【0037】
がNであり、Lがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表し、そしてハロがクロロ、ブロモまたはヨードである式(V)の化合物は、式(VI)
【0038】
【化7】

【0039】
[式中、AがNであり、Lがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表し、そしてハロがクロロ、ブロモまたはヨードである]
の化合物とヨウ素とを、ブチルリチウムおよび2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの混合物のような適切な塩基の存在下で、テトラヒドロフランのような適切な不活性溶媒中にて低温で、典型的には−78℃から0℃の範囲で反応させることにより調製することができる。
【0040】
がNであり、Lがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表し、そしてハロがクロロまたはヨードである式(VI)の化合物は、式(VII)
【0041】
【化8】

【0042】
[式中、AがNであり、そしてハロがクロロ、ブロモまたはヨードである]
の化合物と式(VIII)
【0043】
【化9】

【0044】
[式中、Lがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表す]
のピペラジンとを、ジイソプロピルエチルアミンのような適切な塩基の存在下で、アセトニトリルのような適切な溶媒中にてこの反応を確実に達成するために一定期間、通例の加熱もしくはマイクロ波照射下のいずれかによる都合のよい温度のような適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。
【0045】
がNであり、そしてハロがクロロまたはヨードである式(VII)の化合物は、市販品から得ることができる。
【0046】
Lがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表す式(VIII)の
化合物は、市販品から得ることができる。
【0047】
−A=A−が−N=CR−であり、RがC1−3アルキルであり、Rが上で定義した通りであり、そしてLがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表す式(IV)の化合物は、式(IVa)の化合物[式中、AはNであり、Rは上で定義した通りであり、Lはtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表し、そしてハロはクロロ、ブロモまたはヨードを表す]とアルキルスズ試薬とを、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩酸塩のような適切な触媒の存在下、および塩化リチウムのような適切な無機塩の存在下で、N,N−ジメチルホルムアミドのような適切な溶媒中にて、この反応を確実に達成するために一定期間、通例の加熱もしくはマイクロ波照射下のいずれかによる都合のよい温度のような適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。
【0048】
−A=A−が−N=CR−であり、RがC1−3アルキルオキシであり、Rが上で定義した通りであり、そしてLがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表す式(IV)の化合物は、式(IVa)の化合物[式中、AはNであり、Rは上で定義した通りであり、Lはtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表し、そしてハロはクロロ、ブロモまたはヨードである]とアルコールとを、対応するアルコールのナトリウムもしくはカリウム塩のような適切な塩基の存在下で、対応するアルコールのような適切な溶媒中にて、この反応を確実に達成するために一定期間、通例の加熱もしくはマイクロ波照射下のいずれかによる都合のよい温度のような適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。
【0049】
−A=A−が−CR=N−であり、Rが水素であり、そしてRが上で定義した通りであり、そしてLがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表す式(IV)の化合物は、式(IX)
【0050】
【化10】

【0051】
[式中、−A=A−が−CR=N−であり、Rが水素であり、Rが上で定義した通りであり、そしてLがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表す]
の化合物とメチルフルオロスルホニルジフルオロアセテートとを、ヨウ化銅(I)のような適切な触媒の存在下で、N,N−ジメチルホルムアミドのような適切な溶媒中にて、この反応を確実に達成するために一定期間、通例の加熱もしくはマイクロ波照射下のいずれかによる都合のよい温度のような適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。
【0052】
−A=A−が−CR=N−であり、Rが水素であり、Rが上で定義した通りであり、そしてLがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表す式(IX)の化合物は、式(X)
【0053】
【化11】

【0054】
[式中、−A=A−が−CR=N−であり、Rが水素であり、Rが上で定義した通りであり、そしてLがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表す]
の化合物とヨウ素とを、トリフルオロ酢酸銀のような適切な塩基の存在下で、メタノールのような適切な溶媒中にて、この反応を確実に達成するために一定期間、通例の加熱もしくはマイクロ波照射下のいずれかによる都合のよい温度のような適切な反応条件下、典型的には室温から100℃の間の範囲で反応させることにより調製することができる。
【0055】
−A=A−が−CR=N−であり、Rが水素であり、Rが上で定義した通りであり、そしてLがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表す式(X)の化合物は、式(XI)
【0056】
【化12】

【0057】
[式中、−A=A−が−CR=N−であり、Rが水素であり、Lが適切な保護基を表し、そしてハロがクロロ、ブロモまたはヨードである]
の化合物とアリールボロン酸とを、活性炭担持10%パラジウムのような適切な触媒の存在下で、ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルのような適切なリガンドの存在下で、炭酸カリウムのような適切な塩基の存在下で、N,N−ジメチルアセトアミドと水の混合物のような適切な不活性化溶媒中にて、この反応を確実に達成するために一定期間、通例の加熱もしくはマイクロ波照射下のいずれかによる都合のよい温度のような適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。
【0058】
−A=A−が−CR=N−であり、Rが水素であり、Lが適切な保護基を表し、そしてハロがクロロ、ブロモまたはヨードである式(XI)の化合物は、式(XII)
【0059】
【化13】

【0060】
[式中、−A=A−が−CR=N−であり、Rが水素であり、そしてハロおよびハロがクロロ、ブロモまたはヨードである]
の化合物と式(VIII)のピペラジン[式中、Lはtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表す]とを、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム付加物のような適切な触媒の存在下で、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルのような適切なリガンドの存在下で、ナトリウムtert−ブトキシドのような適切な塩基の存在下で、トルエンのような適切な溶媒中にて、そしてこの反応を確実に達成するために一定期間、通例の加熱もしくはマイクロ波照射下のいずれかによる都合のよい温度のような適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。
【0061】
−A=A−が−CR=N−であり、Rが水素であり、ハロおよびハロが独立してクロロ、ブロモまたはヨードである式(XII)の化合物は、市販品から得ることができる。
【0062】
−A=A−が−CR=N−であり、RがC1−3アルキルオキシであり、Rが上に定義した通りであり、そしてLがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表す式(IV)の化合物は、式(XIII)
【0063】
【化14】

【0064】
[式中、−A=A−が−CR=N−であり、RがC1−3アルキルオキシであり、Lがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表し、そしてハロがクロロ、ブロモまたはヨードである]
の化合物とアリールボロン酸とを、活性炭担持10%パラジウムのような適切な触媒の存在下で、ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルのような適切なリガンドの存在下で、炭酸カリウムのような適切な塩基の存在下で、N,N−ジメチルアセトアミドと水の混合物のような適切な不活性化溶媒中にて、この反応を確実に達成するために一定期間、通例の加熱もしくはマイクロ波照射下のいずれかによる都合のよい温度のような適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。
【0065】
−A=A−が−CR=N−であり、RがC1−3アルキルオキシであり、Lがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表し、そしてハロがクロロ、ブロモまたはヨードである式(IV)の化合物は、式(XIV)
【0066】
【化15】

【0067】
[式中、−A=A−が−CR=N−であり、RがC1−3アルキルオキシであり、そしてハロがクロロ、ブロモまたはヨードである]
の化合物と、式(VIII)のピペラジン[式中、Lはtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表す]とを、酢酸パラジウム(II)のような適切な触媒の存在下で、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルのような適切なリガンドの存在下で、炭酸セシウムのような適切な塩基の存在下で、トルエンのような適切な溶媒中にて、この反応を確実に達成するために一定期間、通例の加熱もしくはマイクロ波照射下のいずれかによる都合のよい温度のような適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。
【0068】
−A=A−が−CR=N−であり、RがC1−3アルキルオキシであり、そしてハロがクロロ、ブロモまたはヨードである式(XIV)の化合物は、式(XV)
【0069】
【化16】

【0070】
[式中、ハロがクロロ、ブロモまたはヨードである]
の化合物と、式R−Wの試薬[式中、RはC1−3アルキルであり、そしてWはハロ、例えばクロロ、ブロモまたはヨードであるか、あるいはスルホニルオキシ基、例えばメチルスルホニルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシまたはメチルフェニルスルホニルオキシのような脱離基を表す]とを、炭酸銀またはジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下で、ベンゼンまたはアセトニトリルのような適切な溶媒中にて、そしてこの反応を確実に達成するために一定期間、通例の加熱もしくはマイクロ波照射下のいずれかによる都合のよい温度のような適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。
【0071】
ハロがクロロ、ブロモまたはヨードである式(XV)の化合物は、式(XVI)
【0072】
【化17】

【0073】
の化合物とN−ハロ−スクシンイミドとを、N,N−ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルのような適切な溶媒中にて、この反応を確実に達成するために一定期間、通例の加熱もしくはマイクロ波照射下のいずれかにより典型的には0℃から100℃の範囲の温度のような適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。
【0074】
式(XVI)の化合物は、式(XVII)
【0075】
【化18】

【0076】
の化合物とヨウ素とを、炭酸カリウムのような適切な塩基の存在下で、水のような適切な溶媒中にて、この反応を確実に達成するために一定期間、通例の加熱もしくはマイクロ波照射下のいずれかにより典型的には0℃から100℃の範囲の温度のような適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。
【0077】
−A=A−が−CR=N−であり、Rがシアノであり、Rが上に定義した通りであり、そしてLがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表す式(IV)の化合物は、式(XVIII)
【0078】
【化19】

【0079】
[式中、Aが窒素であり、Rが上に定義した通りであり、Lがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表し、そしてXがスルホニルオキシ基、例えばメチルスルホニルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシまたはメチルフェニルスルホニルオキシを表す]
の化合物とシアン化亜鉛とを、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)のような適切な触媒の存在下で、N,N−ジメチルホルムアミドのような適切な溶媒中にて、この反応を確実に達成するために一定期間、通例の加熱もしくはマイクロ波照射下の
いずれかによる都合のよい温度のような適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。
【0080】
が窒素であり、Rが上に定義した通りであり、Lがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表し、そしてXがスルホニルオキシ基、例えばメチルスルホニルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシまたはメチルフェニルスルホニルオキシを表す式(XVIII)の化合物は、式(XIX)
【0081】
【化20】

【0082】
[式中、Aが窒素であり、Rが上に定義した通りであり、そしてLがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表す]
の化合物とトリフルオロメタンスルホン酸無水物のようなスルホン酸無水物とを、ピリジンのような適切な塩基の存在下で、ジクロロメタンのような適切な溶媒中にて、都合のよい温度、典型的には0℃から室温の間の範囲のような適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。
【0083】
が窒素であり、Rが上に定義した通りであり、そしてLがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表す式(XIX)の化合物は、式(XX)
【0084】
【化21】

【0085】
[式中、Aが窒素であり、そしてRが上に定義した通りである]
の化合物とジ−tert−ブチルジカーボネートのような保護試薬とを、N,N−ジイソプロピルエチルアミンのような適切な塩基の存在下で、ジクロロメタンのような適切な溶媒中にて、都合のよい温度、典型的には0℃から室温の間の範囲のような適切な反応条件下、反応させることにより調製することができる。
【0086】
が窒素であり、そしてRが上に定義した通りである式(XX)の化合物は、式(IV)の化合物[式中、−A=A−が−CR=N−であり、Rがメトキシであり、Rが上に定義した通りであり、そしてLがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表す]と臭化水素酸のような適切な酸とを、水のような適切な溶媒中にて、この反応を確実に達成するために一定期間、通例の加熱もしくはマイクロ波照射下のいずれかによる都合のよい温度のような適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。
【0087】
−A=A−が−CR=N−であり、RがC1−3アルキルであり、Rが上に定義した通りであり、そしてLがtert−ブチルオキシカルボニルのような適切な保護基を表す式(IV)の化合物は、式(XVIII)とアルキルスズ試薬とを、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩酸塩のような適切な触媒の存在下で、そして塩化リチウムのような適切な無機塩の存在下で、N,N−ジメチルホルムアミドのような適切な溶媒中にて、この反応を確実に達成するために一定期間、通例の加熱もしくはマイクロ波照射下のいずれかによる都合のよい温度のような適切な反応条件下で反応させることにより調製することができる。
【0088】
薬理学
陽性および陰性症状および認知障害に対して活性でありかつ安全プロファイルが向上した(EPS罹病率が低くかつ代謝障害の無い)抗精神病性化合物を見い出す目的で、我々は、ドーパミンD2受容体と選択的に相互作用し、しかもこの受容体から迅速に解離し、さらにドーパミンD3受容体ならびにセロトニン5−HT−6受容体にも親和性を示す化合物をスクリーニングした。最初に化合物は、[H]スピペロンおよびヒトD2L受容体細胞膜を用いた結合アッセイで化合物のD2親和性に関してスクリーニングした。10μM未満のIC50を示す化合物を、Josee E.LeysenおよびWalter
Gommeren、Journal of Receptor Research,1984,4(7)、817−845に公開されている方法から適合させた間接的アッセイで試験して解離速度を評価した。
【0089】
幾つかの化合物は、さらに50パネル以上の一般的G蛋白質共役受容体(CEREP)を用てさらにスクリーニングした結果、明確なプロファイルを有すること、すなわちドーパミンD3受容体およびセロトニン5−HT6受容体を除いて、試験した受容体に関して低い親和性を示すことが分かった。
【0090】
化合物の幾つかは、「ラットを対象としたアポモルヒネ誘発興奮拮抗作用試験」のようなインビボモデルを用いてさらに試験し、そして活性であり、しかも生物学的利用能を有することが分かった。
【0091】
式(I)の化合物の上記の薬理学を考慮すると、それらは薬剤としての使用、特に抗精神病薬としての使用に適することになる。より特別には、化合物は統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、一般身体疾患による精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、特定不能精神病性障害、認知症関連精神病、大鬱病性障害、気分変調性障害、月経前気分不快障害、特定不能鬱病性障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、特定不能双極性障害、一般身体疾患による気分障害、物質誘発性気分障害、特定不能気分障害、全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害、精神遅滞、広汎性発達障害、注意欠陥障害、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害、妄想型人格障害、分裂病型人格障害、統合失調症型人格障害、チック障害、トゥレット・シンドローム、物質依存、物質乱用、薬物離脱、抜毛癖を治療または予防する時の薬剤として用いるに適する。更に、本発明の化合物が5−HT6拮抗作用を有することを考慮すると、それらは認知に障害がある状態、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、レヴィー小体認知症、HIV病による認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病による認知症、健忘障害、軽度認知障害および加齢関連認知低下の処置または防止に用いるにも適する。
【0092】
前述の段落に挙げた疾患に罹患している患者の処置を最適にするために、式(I)の化合物を他の向精神性化合物と一緒に投与することも可能である。すなわち統合失調症の場合、陰性および認知症状を標的にすることができる。
【0093】
また本発明は、そのような障害に罹患している温血動物を処置する方法も提供し、この方法は、前記記載の障害を処置するために治療的に有効な量の式(I)の化合物を全身投与することを含んでなる。
【0094】
また本発明は、これまでに本明細書で定義した式(I)の化合物を薬剤、特に抗精神病薬、より特別には統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、一般身体疾患による精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、特定不能精神病性障害、認知症関連精神病、大鬱病性障害、気分変調性障害、月経前気分不快障害、特定不能鬱病性障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、特定不能双極性障害、一般身体疾患による気分障害、物質誘発性気分障害、特定不能気分障害、全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害、精神遅滞、広汎性発達障害、注意欠陥障害、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害、妄想型人格障害、分裂病型人格障害、統合失調症型人格障害、チック障害、トゥレット・シンドローム、物質依存、物質乱用、薬物離脱、抜毛癖、認知に障害がある状態、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、レヴィー小体認知症、HIV病による認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病による認知症、健忘障害、軽度認知障害および加齢関連認知低下を処置または防止する薬剤を製造するための使用に関する。
【0095】
そのような疾患の処置に関する技術を持つ者は、本明細書で以下に示す試験結果から1日当たりの有効な治療量を決定することができるであろう。1日当たりの有効な治療量は体重1kg当たり約0.01mgから約10mg、より好適には体重1kg当たり約0.02mgから約1mgとなるであろう。
【0096】
製薬学的組成物
また本発明は、製薬学的に許容され得る担体、および有効成分として治療的に有効な量の式(I)の化合物を含んでなる製薬学的組成物に関する。
【0097】
投与を容易にする目的で、主題の化合物を投与の目的に適した様々な製薬学的形態に配合することができる。本発明の化合物、特に式(I)の化合物、それらの製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、それらの立体化学異性体、それらのN−オキサイド形物およびプロドラッグ、あるいはこれらの任意のサブグループまたは組み合わせ物は、投与の目的で様々な製薬学的形態に配合することができる。適切な組成物として、全身投与用薬剤に通常使用されるあらゆる組成物を挙げることができる。本発明の製薬学的組成物を調製するために、有効成分として有効量の特定の化合物を場合により付加塩形で製薬学的に許容され得る担体との完全な混合物として合わせるが、この担体は投与に望まれる調製形態に応じて幅広い形態を取ることができる。これら製薬学的組成物は特に経口、直腸、経皮投与、非経口注入または吸入による投与に適した単位剤形であることが望ましい。例えば、経口剤形の組成物を調製するには、例えば液状の経口用製剤、例えば懸濁液、シロップ、エリキシル、乳液および溶液などの場合には水、グリコール、油、アルコールなど、または粉末、ピル、カプセルおよび錠剤の場合には固体状担体、例えば澱粉、糖、カオリン、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような任意の通常の製薬学的媒体を使用することができる。投与が容易なことから錠剤およびカプセルが最も有利な経口単位剤形を表し、この場合には明らかに固体状の製薬学的担体を用いる。非経口用組成物の場合の担体は通常、少なくとも大部分が一般に無菌水を含んで成るが、他の材料、例えば溶解性を補助する材料などを含有させることも可能である。例えば、注射可能溶液を調製することも可能であり、その場合の担体は食塩水溶液、グルコース溶液、または食塩水とグルコース溶液の混合物を含んで成る。例えば、注射可能溶液を調製することも可能であり、その場合の担体は食塩水溶液、グルコース溶液、または食塩水とグルコース溶液の混合物を含んで成る。長期間作用させる目的で式(I)の化合物を含有する注射可能溶液を油中に配
合することも可能である。この目的に適した油は、例えば落花生油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、大豆油、長鎖脂肪酸の合成グリセロールエステルおよびこれらの混合物および他の油などである。また、注射可能懸濁液を調製することも可能であり、この場合には適切な液状担体、懸濁剤などを用いてもよい。また、使用直前に液状形態の製剤に変換することを意図した固体形態の製剤も含まれる。経皮投与に適した組成物の場合、その担体に場合により浸透向上剤および/または適切な湿潤剤を含めてもよく、それらを場合によりいずれかの性質を有する適切な添加剤と低い比率で組み合わせてもよく、そのような添加剤は、皮膚に対して有害な影響を及ぼさない添加剤である。該添加剤は皮膚への投与を促進しそして/または所望組成物の調製に役立つことができる。そのような組成物は様々な様式で投与可能であり、例えば経皮パッチ、スポットオン(spot−on)、軟膏として投与可能である。式(I)の化合物の酸もしくは塩基付加塩は相当する塩基もしくは酸形態よりも水への溶解度が高いことから水性組成物の調製により適する。
【0098】
前記の製薬学的組成物は、投与の容易さ、および投薬の均一性から単位剤形に配合することが特に有利である。本明細書で使用する単位剤形とは、単位投薬物として用いるに適した物理的に分割された単位を指し、この各単位が必要な製薬学的担体と一緒に所望の治療効果を生じるように計算された予め定めた量の有効成分を含有する。そのような単位剤形の例は錠剤(切り目が入っている錠剤またはコートされた錠剤を包含)、カプセル、ピル、粉末パケット、ウエハース、座薬、注射可能溶液もしくは懸濁液など、そしてそれらを複数に分けたものである。
【0099】
本発明による化合物は効力のある経口投与可能な化合物であることから、経口投与用の該化合物を含んでなる製薬学的組成物が特に有利である。
【0100】
製薬学的組成物中の式(I)の化合物の溶解性および/または安定性を向上させる目的で、α、βもしくはγ−シクロデキストリンもしくはそれらの誘導体、特にヒドロキシアルキル置換シクロデキストリン、例えば2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを用いるのも有利となり得る。また、アルコールのような共溶媒も本発明の化合物が製薬学的組成物中で示す溶解性および/または安定性を向上させ得る。
【0101】
投与様式に依存して、製薬学的組成物は0.05〜99重量%、好ましくは0.1〜70重量%、より好ましくは0.1〜50重量%の有効成分、および1〜99.95重量%、好ましくは30〜99.9重量%、より好ましくは50〜99.9重量%の製薬学的に許容され得る担体(すべての割合は組成物の総重量に基づく)を含んでなる。
【0102】
以下の実施例は具体的説明を意図するものであり、本発明の範囲を限定しない。
【実施例】
【0103】
実験の部
今後、用語“LCMS”は液体クロマトグラフィー/マススペクトロメトリーを意味し、“GCMS”はガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリーを意味し、“HPLC”は高性能液体クロマトグラフィーを意味し、“UPLC”は超高性能液体クロマトグラフィーを意味し、“トランス−Pd(OAc)(CyNH)”はトランス−1,1’−ビス(ジシクロヘキシルアミン)パラジウムアセテート(II)を意味し、“min”は分を意味し、“h”は時間を意味し、“R”は保持時間(分で)を意味し、“[M+N]は化合物の遊離塩基状態のプロトン化質量を意味し、“[M−N]は化合物の遊離塩基状態の脱プロトン化質量を意味し、“m.p.”は融点を意味する。
【0104】
マイクロ波が援助する反応は、単一モード反応槽で行った:Emrys(商標)Optimizerマイクロ波反応槽(Personal Chemistry A.B.、現
在はBiotage)。
【0105】
薄層クロマトグラフィー(TLC)は、試薬級の溶媒を用いてシリカゲル60F254プレート(Merck)で行った。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、シリカゲル、粒子サイズ60Å、メッシュ=230−400(Merck)で、標準技法にて行った。自動化フラッシュカラムクロマトグラフィーは、Merckからの即連結可能なカートリッジを使用して、不規則なシリカゲル、粒子サイズ15〜40μm(順相の使い捨てフラッシュカラム)で、Armen InstrumentのSPOTまたはFLASHシステムで行った。
【0106】
H NMRスペクトルは、Bruker DPX−400またはBruker AV−500スペクトロメーターのいずれかで標準的なパルス配列を用い、それぞれ400MHzおよび500MHzで操作して記録した。ケミカルシフト(δ)は、内部標準として使用したテトラメチルシラン(TMS)からダウンフィールドした百万分の1(ppm)で報告する。
【0107】
A.中間体の調製
実施例A1
2−クロロ−4−(4−フルオロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−ピリジン
中間体1の調製
【0108】
【化22】

【0109】
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.030g、0.00034ミリモル)を、2−クロロ−4−ヨード−5−トリフルオロメチルピリジン(0.350g、0.0011モル)および4−フルオロフェニルボロン酸(0.175g、0.0013モル)の撹拌溶液(3mlの1,4−ジオキサンおよび3mlの炭酸カリウム飽和水溶液の混合物中)に加えた。混合物を密閉試験管中、マイクロ波照射下で140℃にて20分間加熱し、そして150℃でさらに10分間加熱した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、そして炭酸ナトリウムの飽和水溶液で洗浄した。有機層を分離し、綿上で濾過し、そして溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ジクロロメタン中のヘプタン20/80から50/50)により精製した。所望の画分を集め、そして真空下で蒸発させてA1(0.285g、85%)を得た。C12ClFN.
【0110】
実施例A2
4−(6−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間体2の調製
【0111】
【化23】

【0112】
2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル−ピリジン(0.5g,0.0023モル)およびN−Boc−ピペラジン(0.52g、0.0028モル)の撹拌溶液(10mlのアセトニトリル中)に、ジイソプロピルエチルアミン(1ml、0.0057モル)を加えた。混合物を密閉試験管中、マイクロ波照射下で140℃にて20分間加熱した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、そして塩化アンモニウムの飽和水溶液および水で洗浄した。有機層を分離し、綿上で濾過し、そして溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ジクロロメタン中のヘプタン30/70から0/100)により精製した。所望の画分を集め、そして真空下で蒸発させてA2(0.72g、85%)を得た。C1519ClF
H NMR(400MHz,CDCl)δppm:1.49(s,9H),3.48−3.59(m,4H),3.60−3.69(m,4H),6.48(d,J=8.8Hz,1H),7.69(d,J−8.8Hz,1H).
【0113】
実施例A3
4−(6−クロロ−4−ヨード−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間体3の調製
【0114】
【化24】

【0115】
ヘキサン中、2.5Mのn−ブチルリチウム(3.21ml,0.0064モル)溶液(10mlのテトラヒドロフラン中)に、0℃で2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(1.73ml,0.0096モル)を加えた。反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。混合物を−78℃に冷却し、次いで4−(6−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(A2)(1.174g、0.0032モル)の溶液(10mlのテトラヒドロフラン中)を加えた。混合物を1時間、−78℃で撹拌した後、ヨウ素(0.977g、0.0039モル)溶液(10mlのテトラヒドロフラン中)を加えた。混合物を−78℃でさらに45分間撹拌し、次いで1M塩酸水溶液とジエチルエーテルとの間に分配した。混合物を室温とし、次いで有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空下で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ヘプタン中の酢酸エチル0/100から5/95)により精製した。所望の画分を集め、そして真空下で蒸発させた。粗生成物をヘプタンから結晶化してA3(1.025g、65%)を白色個体として得た。C1518ClFIN
H NMR(500MHz,CDCl3)δppm:1.48(s,9H),3.44−3.57(m,4H),3.57−3.68(m,4H),7.13(s,1H).
【0116】
実施例A4
4−(6−クロロ−4−フェニル−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間体4の調製
【0117】
【化25】

【0118】
トランス−Pd(OAc)(CyNH)(0.015g、0.000026モル)(Tao,B.,;Boykin,D.W.Tetrahedron Lett.2003,44,7993−7996に記載されている手順に従い調製)(0.012g,0.000020モル)を、4−(6−クロロ−4−ヨード−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(A3)(0.50g,0.0010モル)、フェニルボロン酸(0.136g,0.0011モル)およびリン酸カリウム(0.647g、0.0031モル)の撹拌溶液(3mlのエタノール中)に加えた。混合物を密閉試験管中、60℃で1時間撹拌した。混合物は珪藻土のパッドを通して濾過し、そして濾液を真空下で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ヘプタン中の酢酸エチル0/100から10/90)により精製した。所望の画分を集め、そして真空下で蒸発させてA4(0.445g、99%)を透明シロップとして得た。C2123ClF
【0119】
実施例A5
4−(6−シアノ−4−フェニル−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間体5の調製
【0120】
【化26】

【0121】
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.058g、0.000050モル)を、4−(6−クロロ−4−フェニル−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(A4)(0.22g,0.00050モル)およびシアン化亜鉛(0.082g、0.00070モル)の撹拌溶液(5mlのジメチルホルムアミド中)に加えた。混合物を密閉試験管中、マイクロ波照射下で150℃で1.5時間加熱した。混合物はヘプタンとジクロロメタンとの混合物および水との間に分配した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ヘプタン中の酢酸エチル0/100から10/90)により精製した。所望の画分を集め、そ
して真空下で蒸発させてA5(0.137g、64%)を白色固体として得た。C2223
H NMR(400MHz,CDCl)δppm:1.49(s,9H),3.45−3.60(m,4H),3.69(br,s,4H),6.60(s,1H),7.19−7.32(m,2H),7.37−7.49(m,3H).
【0122】
実施例A6
4−(6−メトキシ−4−フェニル−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間体6の調製
【0123】
【化27】

【0124】
メタノール中25%のナトリウムメタノレート溶液(2.53ml,0.00060モル)を、4−(6−クロロ−4−フェニル−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(A4)(0.22g,0.00050モル)の撹拌溶液(2mlのメタノール中)に加えた。混合物を密閉試験管中、マイクロ波照射下で125℃で30分間加熱した。混合物をジクロロメタンで希釈し、そして1Nの塩酸水溶液で抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ヘプタン中の酢酸エチル0/100から5/95)により精製した。所望の画分を集め、そして真空下で蒸発させてA6(0.083g、38%)を白色固体として得た。C2226
H NMR(400MHz,CDCl)δppm:1.48(s,9H),3.49−3.56(m,4H),3.57−3.64(m,4H),3.98(s,3H),5.94(s,1H),7.21−7.30(m,2H),7.33−7.41(m,3H).
【0125】
実施例A7
4−(5−クロロ−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間体7の調製
【0126】
【化28】

【0127】
N−Boc−ピペラジン(0.52g,0.0028モル)を、3−ブロモ−5−クロロ−ピリジン(1g,0.0052モル)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム付加物(0.269g,0.00026モル)、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(0.324g,0
.00052モル)およびナトリウムtert−ブシキシド(1g、0.010モル)の撹拌溶液(20mlのトルエン中)にN流下で加えた。混合物を100℃で18時間加熱し、そして次いで珪藻土のパッドを通して濾過した。濾液を水で抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ヘプタン中の酢酸エチル25/75)により精製した。所望の画分を集め、そして真空下で蒸発させてA7(1.3g、88%)を得た。C1420ClN
【0128】
実施例A8
4−(5−フェニル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間体8の調製
【0129】
【化29】

【0130】
4−(5−クロロ−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(A7)(1.3g,0.0044モル)、フェニルボロン酸(0.798g,0.0065モル)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(0.416g,0.00087モル)活性炭担持10%パラジウム(0.116g)および炭酸カリウム(2.413g,0.017モル)の混合物(20mlのN,N−ジメチルアセトアミドおよび2mlの水中)を、N流下で85℃に18時間加熱した。混合物は珪藻土のパッドを通して濾過した。濾液を酢酸エチルで希釈し、そして水で抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ヘプタン中の酢酸エチル1/99)により精製した。所望の画分を集め、そして真空下で蒸発させてA8(1.3g、88%)を得た。C2025
【0131】
実施例A9
4−(6−ヨード−5−フェニル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間体9の調製
【0132】
【化30】

【0133】
4−(5−フェニル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(A8)(1g,0.0029モル)の撹拌溶液(10mlのメタノール中)に、トリフルオロ酢酸銀(0.784g,0.0035モル)およびヨウ素(0.897g、0.0035モル)を加えた。混合物を室温で18時間撹拌した。この期間の後、さらにトリフルオロ酢酸銀(0.784g,0.0035モル)およびヨウ素(0.897g、0.0035モル)を加え、そして混合物をさらに5時間撹拌した。混合物を濾
過し、そしてチオ硫酸ナトリウムの飽和水溶液を濾液に加えた。混合物を室温で5分間撹拌し、そしてジクロロメタンで希釈した。混合物を水およびブラインで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ジクロロメタン中の酢酸エチル10/90)により精製した。所望の画分を集め、そして真空下で蒸発させてA9(0.280g、16%)をシロップとして得た。C2024IN
H NMR(500MHz,CDCl)δppm:1.48(s,9H),3.12−3.24(m,4H),3.53−3.63(m,4H),7.04(d,J=3.2Hz,1H),7.30−7.40(m,2H),7.39−7.50(m,3H),8.05(d,J=3.2Hz,1H).
【0134】
実施例A10
4−(5−フェニル−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間体10の調製
【0135】
【化31】

【0136】
ヨウ化銅(I)(0.164g、0.00086モル)およびメチルフルオロスルホニルジフルオロアセテート(0.108ml、0.00086モル)を、4−(6−ヨード−5−フェニル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(A9)(0.2g,0.00043モル)の撹拌溶液(5mlのジメチルホルムアミド中)にN下で加えた。混合物を密閉試験管中、90℃で4時間加熱し、そして冷却後ジエチルエーテルで希釈し、そして12%アンモニア水溶液で洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ヘプタン中の酢酸エチル5/95)により精製した。所望の画分を集め、そして真空下で蒸発させてA10(0.06g、34%)をシロップとして得た。C2124
【0137】
実施例A11
3−ヨード−6−トリフルオロメチル−1H−ピリジン−2−オン
中間体11の調製
【0138】
【化32】

【0139】
6−トリフルオロメチル−1H−ピリジン−2−オン(5g,0.031モル)およびヨウ素(11.67g、0.046モル)を、炭酸カリウム(12.71g,0.092モル)の撹拌溶液(水中)に加えた。混合物を室温で24時間撹拌した。チオ硫酸ナトリウムの飽和水溶液を加え、そして混合物を室温で5分間撹拌した。混合物を1N 塩酸水溶液を加えて酸性とし、そしてジクロロメタンで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(
MgSO)、濾過し、そして溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ヘプタン中の酢酸エチル20/80)により精製した。所望の画分を集め、そして真空下で蒸発させてA11(6.1g、69%)を得た。CINO.
H NMR(400MHz,CDCl)δppm:6.59(d,J=7.4Hz,1H),8.19(d,J=7.4Hz,1H),10.55(br,s,1H).
【0140】
実施例A12
5−クロロ−3−ヨード−6−トリフルオロメチル−1H−ピリジン−2−オン
中間体12の調製
【0141】
【化33】

【0142】
N−クロロスクシンイミド(8.32g,0.062モル)を、3−ヨード−6−トリフルオロメチル−1H−ピリジン−2−オン(6g、0.021モル)の撹拌溶液(30mlのN,N−ジメチルホルムアミド中)に加えた。混合物を室温で24時間撹拌した。さらにN−クロロスクシンイミド(4.16g,0.031モル)を加え、そして混合物をさらに48時間撹拌した。溶媒を真空で蒸発させた。残渣をジクロロメタンに溶解し、そして水で抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ヘプタン中の酢酸エチル2/98)により精製した。所望の画分を集め、そして真空下で蒸発させてA12(2.95g、44%)を得た。CClFINO.
【0143】
実施例A13
3−クロロ−5−ヨード−6−メトキシ−2−トリフルオロメチル−ピリジン
中間体13の調製
【0144】
【化34】

【0145】
炭酸銀(2.58g,0.0093モル)およびヨウ化メチル(1.16ml,0.019モル)を、5−クロロ−3−ヨード−6−トリフルオロメチル−1H−ピリジン−2−オン(A12)(3g、0.0093モル)の撹拌溶液(15mlのベンゼン中)に加えた。混合物を50℃で16時間撹拌し、そして酢酸エチルで希釈し、そして濾過した。濾液を水で抽出した。有機層を分離し、乾燥(NaSO)させ、濾過し、そして溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ヘプタン中の酢酸エチル2/98)により精製した。所望の画分を集め、そして真空下で蒸発させてA13(1.2g、38%)を油として得た。CClFINO.
H NMR(500MHz,CDCl)δppm:4.01(s,3H),8.16(s,1H).
【0146】
実施例A14
4−(5−クロロ−2−メトキシ−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−ピ
ペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間体14の調製
【0147】
【化35】

【0148】
N−Boc−ピペラジン(0.828g,0.0044モル)を、3−クロロ−5−ヨード−6−メトキシシ−2−トリフルオロメチル−ピリジン(A13)(1g、0.0030モル)、酢酸パラジウム(II)(0.033g、0.00015モル)、(R)−(+)−2、2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(0.0277g、0.00044モル)および炭酸セシウム(1.93g,0.0059モル)の撹拌溶液(15mlのトルエン中)にN流下で加えた。混合物を85℃で18時間加熱し、次いで珪藻土のパッドを通して濾過し、そして真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ヘプタン中の酢酸エチル1/99)により精製した。所望の画分を集め、そして真空下で蒸発させてA14(0.98g、84%)を得た。C1621ClF
H NMR(500MHz,CDCl)δppm:1.49(s,9H),3.03−3.19(m,4H),3.54−3.66(m,4H),4.02(s,3H),7.04(s,1H).
【0149】
実施例A15
4−(2−メトキシ−5−フェニル−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間体15の調製
【0150】
【化36】

【0151】
4−(5−クロロ−2−メトキシ−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(A14)(0.98g,0.0025モル)、フェニルボロン酸(0.906g,0.0074モル)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(0.472g,0.00099モル)活性炭担持10%パラジウム(0.132g)および炭酸カリウム(1.369g,0.010モル)の混合物(12mlのN,N−ジメチルアセトアミドおよび1.2mlの水中)を、N流下で90℃にて18時間加熱した。混合物は珪藻土のパッドを通して濾過した。濾液を酢酸エチルで希釈し、そして水で抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ヘプタン中の酢酸エチル1/99)により精製した。所望の画分を集め、そして真空下で蒸発させてA15(0.95g、88%)をシロップ
として得た。C2226
【0152】
実施例A16
4−[5−(4−フルオロ−フェニル)−2−メトキシ−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間体16の調製
【0153】
【化37】

【0154】
中間体16は、中間体15の合成に関して使用したプロトコールに準じて中間体14からシロップとして調製された。C2225
H NMR(500MHz,CDCl)δppm:1.47(s,9H),3.08−3.13(m,4H),3.57−3.64(m,4H),4.07(s,3H),6.90(s,1H),7.09(t,J=8.7Hz,2H),7.24−7.29(m,2H).
【0155】
実施例A17
5−フェニル−3−ピペラジン−1−イル−6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−オール
中間体17の調製
【0156】
【化38】

【0157】
4−(2−メトキシ−5−フェニル−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(A15)(0.70g、0.0016モル)の混合物(10mlの47%の臭化水素酸水溶液)を、密閉試験管中で100℃にて4時間加熱した。溶媒を真空で蒸発させ、そして粗生成物をジエチルエーテルから沈殿させてA17(0.62g、96%)から白色固体として得た。C1616O・HBr.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm:3.24(br,s,4H),3.39(br,s,4H),7.01(br,s.,1H),7.29−7.37(m,2H),7.38−7.50(m,3H),8.76(br,s,2H),12.10(br.s.,1H).
【0158】
実施例A18
4−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間体18の調製
【0159】
【化39】

【0160】
ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.404g、0.0019モル)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.43ml、0.0025モル)を、5−フェニル−3−ピペラジン−1−イル−6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−オール(A17)(0.5g、0.0012モル)の撹拌懸濁液(25mlのジクロロメタン中)に加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:酢酸エチル)により精製した。所望の画分を集め、そして真空で蒸発させてA18(0.38g、72%)を白色固体として得た。C2124
H NMR(500MHz,クロロホルム−d)δppm:1.47(s,9H),3.22−3.29(m,4H),3.57−3.62(m,4H),6.53(s,1H),7.27−7.32(m,2H),7.34−7.46(m,3H),10.10(br,s,1H).
【0161】
実施例A19
4−(5−フェニル−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間体19の調製
【0162】
【化40】

【0163】
トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.297ml、0.0018モル)およびピリジン(0.362ml,0.0045モル)を、4−(2−ヒドロキシ−5−フェニル−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(A18)(0.38g、0.0009モル)の撹拌懸濁液(25mlのジクロロメタン中)に0℃で加えた。混合物を室温に温め、16時間撹拌し、次いでジクロロメタンで希釈し、そして塩化アンモニウムの飽和水溶液で抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ヘプタン中の酢酸エチル2/98)により精製した。所望の画分を集め、そして真空下で蒸発させてA19(0.395g、79%)を得た。C2223S.
【0164】
実施例A20
4−(2−シアノ−5−フェニル−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル
中間体20の調製
【0165】
【化41】

【0166】
シアン化亜鉛(0.085g、0.00072モル)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.063g、0.000054モル)の混合物を、4−(5−フェニル−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(A19)(0.20g、0.00036モル)の撹拌溶液(5mlのN,N−ジメチルホルムアミド中)にN流下で加えた。混合物を密閉試験管中、90℃で5時間加熱した。混合物をジクロロメタンで希釈し、そして炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液で抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ジクロロメタン中の7Mアンモニア溶液(メタノール中)0/100〜1/99)により精製した。所望の画分を集め、そして真空下で蒸発させてA20(0.145g、93%)をシロップとして得た。C2223
【0167】
実施例A21
4−(2−メチル−5−フェニル−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間体21の調製
【0168】
【化42】

【0169】
ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩酸塩(0.013g、0.000018モル)および塩化リチウム(0.076g、0.0018モル)、およびテトラメチルスズ(0.119ml、0.00072モル)の混合物を、4−(5−フェニル−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(A19)(0.20g、0.00036モル)の撹拌溶液(5mlのN,N−ジメチルホルムアミド中)にN流下で加えた。混合物を密閉試験管中、130℃で2時間加熱した。この期間の後、混合物は珪藻土のパッドを通して濾過した。濾液をジクロロメタンで希釈し、そして水で抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ジクロロメタン中の酢酸エチル0/100〜40/60)により精製した。所望の画分を集め、そして真空下で蒸発させてA21(0.115g、76%)をシロップとして得た。C2226
【0170】
B.最終化合物の調製
実施例B1
1−[4−(4−フルオロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル]−ピペラジン
化合物1の調製
【0171】
【化43】

【0172】
2−クロロ−4−(4−フルオロ−フェニル)−5−トリフルオロメチル−ピリジン(A1)(0.095g、0.00035モル)およびピペラジン(0.237g、0.0028モル)の溶液(3mlのアセトニトリル中)を、マイクロ波照射下で150℃にて20分間加熱した。反応混合物を炭酸ナトリウムの飽和水溶液と水との混合物に注ぎ、そしてジクロロメタンで抽出した。有機層を分離し、綿上で濾過し、そして溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ジクロロメタン中の7Mアンモニア溶液(メタノール中)0/100から1/99)により精製した。所望の画分を集め、そして真空下で蒸発させてB1(0.104g、93%)を白色固体として得た。
H NMR(500MHz,クロロホルム−d)δppm:2.90−3.04(m,4H),3.58−3.69(m,4H),6.43(s,1H),7.06−7.14(m,2H),7.27−7.34(m,2H),8.46(s,1H).
H NMR(500MHz,CDCl)δppm:1.71(s,1H),2.98(t,J=4.9Hz,4H),3.63(t,J=5.2Hz,4H),6.43(s,1H),7.10(t,J=8.7Hz,2H),7.29(dd,J=8.5,5.3Hz,2H),8.46(s,1H).
【0173】
実施例B2
4−フェニル−6−ピペラジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボニトリル
化合物2の調製
【0174】
【化44】

【0175】
トリフルオロ酢酸(1ml)を、4−(6−クロロ−4−フェニル−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(A5)の撹拌溶液(5mlのジクロロメタン中)に加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をジイソプロピルエーテル/酢酸エチルから結晶化してB2(0.085g、85%)を白色固体として得た。C1715・CFCOH.
H NMR(500MHz,DMSO−d)δppm:3.14−3.27(m,4H),3.89−4.02(m,4H),7.16(s,1H),7.27−7.41(m,2H),7.42−7.58(m,3H),8.92(br,s,2H).
H NMR(500MHz,DMSO−d)δppm:3.16−3.25(m,4
H),3.88−3.97(m,4H),7.17(s,1H),7.36(dd,J=6.5,2.7Hz,2H),7.45−7.54(m,3H),8.93(br,s,2H).
【0176】
実施例B3
1−(6−メトキシ−4−フェニル−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)ピペラジン
化合物3の調製
【0177】
【化45】

【0178】
トリフルオロ酢酸(0.5ml)を、4−(6−メトキシ−4−フェニル−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(A6)(0.083g,0.00019モル)の撹拌溶液(5mlのジクロロメタン中)に加えた。混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物をさらにジクロロメタンで希釈し、そして炭酸水素ナトリウムの飽和溶液で抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ:ジクロロメタン中の7Mアンモニア溶液(メタノール中)0/100〜5/95)により精製した。所望の画分を集め、そして真空下で蒸発させ、そして残渣をジイソプロピルエーテルに溶解し、そして4M塩酸溶液(ジエチルエーテル中)を添加することによりその塩酸塩に変換してB3(0.032g、45%)を白色固体として得た。C1718O・HCl.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm:3.10−3.22(m,4H),3.81−3.90(m,4H),3.94(s,3H),6.27(s,1H),7.19−7.34(m,2H),7.35−7.55(m,3H),9.14(br,s,2H).
【0179】
実施例B4
1−(5−フェニル−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)ピペラジン
化合物4の調製
【0180】
【化46】

【0181】
トリフルオロ酢酸(1.25ml)を、4−(5−フェニル−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(A10)(0.060g、0.00015モル)の撹拌溶液(5mlのジクロロメタン中)に加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空で蒸発させた。残渣をジエチルエーテルから沈殿させてB4(0.040g、64%)を白色固体として得た。C1616・CFCOH.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm:3.25−3.34(m,4
H),3.65−3.75(m,4H),7.38(d,J=2.5Hz,1H),7.40−7.45(m,2H),7.47−7.62(m,3H),8.53(d,J=2.8Hz,1H),8.90(br,s.,2H).
【0182】
実施例B5
1−(2−メトキシ−5−フェニル−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)ピペラジン
化合物5の調製
【0183】
【化47】

【0184】
トリフルオロ酢酸(1.25ml)を、4−(2−メトキシ−5−フェニル−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(A15)(0.180g、0.00041モル)の撹拌溶液(5mlのジクロロメタン中)に加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空で蒸発させた。残渣をジエチルエーテルから沈殿させてB5(0.175g、94%)を白色固体として得た。C1718O・CFCOH.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm:3.22−3.28(m,4H),3.35−3.41(m,4H),3.99(s,3H),7.17(s,1H),7.32−7.38(m,2H),7.42−7.50(m,3H),8.82(br,s.,2H).
【0185】
実施例B6
1−[5−(4−フルオロ−フェニル)−2−メトキシ−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)ピペラジン
化合物6の調製
【0186】
【化48】

【0187】
化合物6は中間体16から、化合物5の合成について使用したプロトコールに準じて調製した。C1717O・CFCOH.
H NMR(500MHz,DMSO−d)δppm:3.22−3.28(m,4H),3.35−3.42(m,4H),3.98(s,3H),7.18(s,1H),7.30(t,J=8.8Hz,2H),7.40(dd,J=8.7,5.5Hz,2H),8.78(br,s.,2H).
【0188】
実施例B7
5−フェニル−3−ピペラジン−1−イル−6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボニトリル
化合物7の調製
【0189】
【化49】

【0190】
トリフルオロ酢酸(2ml)を、4−(2−シアノ−5−フェニル−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル(A20)(0.145g、0.00034モル)の撹拌溶液(8mlのジクロロメタン中)に加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。この期間の後、溶媒を真空で蒸発させた。残渣をジエチルエーテルから沈殿させてB7(0.135g、90%)を白色固体として得た。C1715・CFCOH.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm:3.27−3.32(m,4H),3.63−3.74(m,4H),7.41(dd,J=6.5,2.8Hz,2H),7.48−7.56(m,3H),7.71(s,1H),8.90(br,s.,2H).
【0191】
実施例B8
1−(2−メチル−5−フェニル−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン
化合物8の調製
【0192】
【化50】

【0193】
4−(2−メチル−5−フェニル−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(A21)(0.115g、0.00027モル)の溶液(1,4−ジオキサン中の4M塩酸溶液)を、室温で2時間撹拌した。溶媒を真空で蒸発させた。残渣をジエチルエーテルから沈殿させてB8(0.09g、92%)を白色固体として得た。C1718・HCl.
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm:2.56(s,3H),3.25(m,8H),7.35(s,1H),7.35−7.39(m,2H),7.43−7.51(m,3H),9.20(br,s.,2H).
【0194】
C.分析の部
融点
値はピーク値であり、そしてこの分析法に一般的に付随する実験的な不確実性をもって得られている。多くの化合物に関して、融点はMettler FP62装置でのオープンキャピラリーチューブで測定された。融点は10℃/分の温度勾配を用いて測定された。最大温度は300℃であった。融点はデジタル表示で読んだ。
【0195】
核磁気共鳴(NMR)
H NMRスペクトルはBruker DPX−400またはBruker AV−500分光計のいずれかで、標準的なパルス配列用いて、それぞれ400MHzおよび50
0MHzで操作して記録した。化学シフト(δ)は、内部標準として使用されるテトラメチルシラン(TMS)からダウンフィールドした百万分の1(ppm)で報告される。
【0196】
LCMS−法:
本発明の化合物のLCMS特性決定法には、以下の方法を使用した。
【0197】
一般手法A
HPLC測定を脱気装置付きポンプ(四式または二式)、オートサンプラー、カラムオーブン、ダイオードアレイ検出器(DAD)および以下に示す個々の方法で指定するカラムを装備したAgilent TechnologiesのHP 1100を用いて実施した。カラムから出る流れを分割してMS分光計に送った。このMS検出器にはエレクトロスプレーイオン化源が装備されていた。窒素をネブライザーガスとして用いた。源の温度を140℃に維持した。データの取得をMassLynx−Openlynxソフトウエアを用いて実施した。
【0198】
一般手法B
HPLC測定を脱気装置付き二式ポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン、ダイオードアレイ検出器(DAD)、および以下に示す個々の方法で指定するラムを装備したAgilent TechnologiesのHP 1100を用いて実施した。カラムから出る流れを分割してMS分光計に送った。MS検出器にはESCI二重イオン化源(エレクトロスプレーと大気圧化学イオン化法が組み合わされている)が装備されていた。窒素をネブライザーガスとして使用した。源の温度は100℃に維持された。データの取得はChemsation−Agilent Data Browserソフトウェアを用いて行った。
【0199】
方法1
一般手法Aに加えて:逆相HPLCはAgilentのXDB−C18カートリッジ(1.8μm、2.1x30mm)を60℃で1ml/分の流速で60℃で実施した。用いた勾配条件は以下の通りである:90%A(0.5g/リットルの酢酸アンモニウム溶液)、5%B(アセトニトリル)、5%C(メタノール)から6.5分で50%Bおよび50%Cに、それから7分で100%Bに、そして初期条件に7.5分から9.0分まで平衡化。注入容量2μl。0.1秒のドゥエル時間を用いて0.5秒間に100から750まで走査することで高解像度質量スペクトル(飛行時間、TOF)を正のイオン化モードのみで取得した。毛細管針の電圧は2.5kVとし、そしてコーン電圧は20Vであった。ロックマス較正で用いた基準物質はロイシン−エンケファリンであった。
【0200】
方法2
一般手法Aに加えて:逆相HPLCはAgilentのXDB−C18カートリッジ(1.8μm、2.1x30mm)を、0.8ml/分の流速で60℃で実施した。用いた勾配条件は次の通りである:90%A(0.5g/リットルの酢酸アンモニウム溶液)、10%B(アセトニトリル/メタノールの混合物、1/1)から6分で100%Bに、6.5分まで維持し、そして初期条件に7.0分から9.0分まで平衡化した。注入容量2μl。0.08秒のインター−チャンネルディレイを用いて、0.1秒間に100から1000まで走査することにより正のイオン化モードのみで低解像度質量スペクトル(SQD検出器;四重極)を取得した。毛細管針の電圧は3kVであり、コーン電圧は20Vであった。
【0201】
方法3
一般手法Aに加えて:逆相HPLCはAgilentのXDB−C18カートリッジ(1.8μm、2.1x30mm)を、0.8ml/分の流速で60℃で行った。用いた勾
配条件は次の通りである:90%A(0.5g/リットルの酢酸アンモニウム溶液)、10%B(アセトニトリル/メタノールの混合物、1/1)から6分で100%Bに、6.5分まで維持し、そして初期条件に7.0分から9.0分まで平衡化した。注入容量2μl。0.08秒のインター−チャンネルディレイを用いて0.1秒間に100から1000まで走査することにより、低解像度質量スペクトル(SQD検出器;四重極)を正イオン化モードで取得した。毛細管針の電圧は3kVであった。コーン電圧は正のイオン化モードで20Vおよび50Vであり、そして負のイオン化モードでは30Vであった。
【0202】
方法4
一般手Bに加えて:逆相HPLCはWatersのSunfire−C18カラム(2.5μm、2.1x30mm)を、1.0ml/分の流速で60℃で行った。用いた勾配条件は次の通りである:90%A(0.5g/リットルの酢酸アンモニウム溶液)、10%B(アセトニトリル/メタノールの混合物、1/1)を0.20分維持し、3.5分で100%Bに、3.65分まで維持し、そして初期条件に3.8分から5.0分まで平衡化した。注入容量2μl。0.99秒で100から1000まで走査することにより、0.30のステップサイズおよび0.10分のピーク幅で低解像度質量スペクトル(四重極,MSD)をエレクトロスプレーモードで取得した。正および負のイオン化モードの両方について、毛細管針の電圧は1.0kVであり、そしてフラグメンター電圧は70Vであった。
【0203】
方法5
一般手法Aに加えて:逆相HPLCはAgilentのXDB−C18カートリッジ(1.8μm、2.1x30mm)を、1ml/分の流速で60℃で行った。用いた勾配条件は次の通りである:90%A(0.5g/リットルの酢酸アンモニウム溶液)、5%B(アセトニトリル)、5%C(メタノール)から5.20分で50%B、50%Cに、5.6分まで維持し、そして初期条件に5.8分から7.0分まで平衡化した。注入容量2μl。0.3秒のドゥエル時間を用いて0.5秒間に100から750まで走査することにより、高解像度質量スペクトル(飛行時間;TOF)が得られた。毛細管針の電圧は正のイオン化モードには2.5kVであり、負のイオン化モードには2.9kVであった。コーン電圧は正および負の両方のイオン化モードで20Vであった。ロックマス較正で用いた基準物質はロイシン−エンケファリンであった。
【0204】
方法6
一般手Aに加えて:逆相HPLCはWatersのSunfire−C18カラム(2.5μm、2.1x30mm)を、1.0ml/分の流速で60℃で行った。用いた勾配条件は次の通りである:95%A(0.5g/リットルの酢酸アンモニウム溶液+5%のアセトニトリル)、2.5%B(アセトニトリル)、2.5%C(メタノール)から6.5分で50%B、50%Cに、7.0分まで維持し、そして初期条件に7.3分から9.0分まで平衡化した。注入容量2μl。0.3秒のドゥエル時間を用いて0.5秒間に100から750まで走査することにより、高解像度質量スペクトル(飛行時間;TOF)が得られた。毛細管針の電圧は正のイオン化モードには2.5kVであり、負のイオン化モードには2.9kVであった。コーン電圧は正および負の両方のイオン化モードで20Vであった。ロックマス較正で用いた基準物質はロイシン−エンケファリンであった。
【0205】
方法7
一般手Aに加えて:逆相HPLCはWatersのBEH−C18カラム(1.7μm、2.1x50mm)を、MS検出器への分割なしで0.8ml/分の流速にて60℃で行った。用いた勾配条件は次の通りである:95%A(0.5g/リットルの酢酸アンモニウム溶液+5%のアセトニトリル)、5%B(アセトニトリル/メタノールの混合物、1/1)を0.2分維持、それから3.5分で20%A、80%Bに、3.8分で100
%Bに、4.15分まで維持、そして初期条件に4.3分から5.0分まで平衡化した。注入容量0.5μl。0.08秒のインター−チャンネルディレイを用いて、0.1秒間に100から1000まで走査することにより低解像度質量スペクトル(SQD検出器;四重極)を取得した。毛細管針の電圧は3kVであった。コーン電圧は正のイオン化モードには20Vであり、そして負のイオン化モードには30Vであった。
【0206】
方法8
一般手Aに加えて:逆相HPLCはAgilentのXDB−C18カートリッジ(1.8μm、2.1x30mm)を60℃で0.8ml/分の流速で実施した。用いた勾配条件は以下の通りである:90%A(0.5g/リットルの酢酸アンモニウム溶液)、10%B(アセトニトリル/メタノールの混合物、1/1)を0.2分維持、3分で100Bに、3.15分まで維持し、そして初期条件に3.3分から5.0分まで平衡化した。注入容量2μl。0.08秒のインター−チャンネルディレイを用いて、0.1秒間に100から1000まで走査することにより低解像度質量スペクトル(四重極;SQD)を取得した。毛細管針の電圧は3kVであった。コーン電圧は正のイオン化モードには20Vおよび50Vであり、そして負のイオン化モードには30Vであった。
【0207】
方法9
一般手Bに加えて:逆相HPLCはWatersのXBridge−C18カラム(2.5μm、2.1x30mm)を、1.0ml/分の流速にて60℃で行った。用いた勾配条件は次の通りである:95%A(0.5g/リットルの酢酸アンモニウム溶液+5%のアセトニトリル)、5%B(アセトニトリル/メタノールの混合物、1/1)を0.2分維持、それから3.0分で100%Bに、3.15分まで維持し、そして初期条件に3.3分から5.0分まで平衡化した。注入容量2μl。0.09秒間に100から1000まで走査することにより、0.30のステップサイズおよび0.10分のピーク幅で低解像度質量スペクトル(四重極、MSD)を取得した。正および負の両方のイオン化モードについて毛細管針の電圧は1.0kVであり、そしてフラグメンター電圧は70Vであった。
【0208】
方法10
一般手Aに加えて:逆相HPLCはWatersのBEH−C18カラム(1.7μm、2.1x50mm)を、MS検出器への分割なしで0.8ml/分の流速にて60℃で行った。用いた勾配条件は次の通りである:95%A(0.5g/リットルの酢酸アンモニウム溶液+5%のアセトニトリル)、5%B(アセトニトリル/メタノールの混合物、1/1)から4.9分で20%A、80%Bに、5.3分で100%Bに、5.8分まで維持、そして初期条件に6.0分から7.0分まで平衡化した。注入容量0.5μl。0.08秒のインター−チャンネルディレイを用いて、0.1秒間に100から1000まで走査することにより低解像度質量スペクトル(SQD検出器;四重極)を取得した。毛細管針の電圧は3kVであった。コーン電圧は正のイオン化モードには20Vであり、そして負のイオン化モードには30Vであった。
【0209】
【表1】

【0210】
薬理学
ヒトD2受容体に対するインビトロ結合親和性
ヒトドーパミンD2受容体トランスフェクトCHO細胞の凍結膜を解凍し、Ultra−Turrax T25ホモジナイザーを用いて軽く均一にし、そしてTris−HClアッセイバッファー(NaCl、CaCl、MgCl、KClをそれぞれ50、1
20、2、1および5mM含有し、HClでpH7.7に調整した)で特異的結合および非特異的結合に最適な適切な蛋白質濃度になるように希釈した。放射性リガンドである[H]スピペロン(NEN、比活性〜70Ci/ミリモル)をアッセイバッファー中で2ナノモル/リットルの濃度になるように希釈した。次いで調製した放射性リガンド(50μl)を、対照である10%のDMSO、Butaclamol(10−6モル/リットルの最終濃度)または問題の化合物のいずれか(50μl)と一緒に400μlの調製した膜溶液と一緒にインキュベーションした(30分間、37℃)。膜に結合した活性をPackard Filtermate回収装置に通してGF/B Unifilterplatesで濾過し、そして氷冷Tris−HClバッファー(50mM;pH7.7;6x0.5ml)で洗浄した。フィルターを乾燥させた後、シンチレーション流体を添加して、Topcountシンチレーションカウンターを用いて計数した。特異的結合パーセントおよび競合結合曲線の計算をS−Plusソフトウエア(Insightful)を用いて実施した。大部分の化合物が>5.0のpIC50値を示した。
【0211】
迅速解離
10μM未満のIC50を示す化合物は、Josee E.Leysen and Walter Gommeren,Journal of Receptor Research、1984、4(7),817−845に公開されている方法から適合させた間接的アッセイで試験してそれらの解離速度を評価した。最初に、化合物はそれらのIC50の4倍の濃度で2ml容量のヒトD2L受容体細胞膜と一緒に25℃で1時間インキュベーションし、次いでガラス繊維フィルターの上で40ウェルマルチビダー(multividor)を使用して吸引濾過した。その後直ちに真空を解放した。1nMの[H]スピペロンを含有する予め温めた(25℃)バッファー0.4mlを、前記フィルターの上に加えて5分間置いた。インキュベーションは、真空を開始して直ちに2x5mlの氷冷バッファーですすぐことにより停止した。フィルターに結合した放射能の測定を液体シンチレーション分光計を用いて実施した。このアッセイの原理は、ある化合物がD2受容体から解離する速度が速ければ速いほど[H]スピペロンがD2受容体と速く結合するという仮定に基づく。例えばD2受容体を1850nM(4xIC50)の濃度のクロザピンと一緒にインキュベートすると、フィルター上で5分間インキュベートした後の[H]スピペロンの結合はそれの総結合能力(薬剤の不存在で測定)の60−70%に相当する。他の抗精神病薬と一緒にインキュベートした場合、[H]スピペロン結合は20から50%の範囲で変動する。クロザピンを各濾過実験に含めたので、試験した化合物がクロザピンと同じほどか、またはそれよりも速く解離するならば、それらは迅速解離性D2拮抗薬であると見なした。試験を受けた大部分の化合物は、クロザピンの解離速度よりも速かった(即ち>50%)。
【0212】
ヒトD3受容体に対するインビトロ結合親和性
ヒトドーパミンD3受容体トランスフェクトCHO細胞の凍結膜を解凍し、Ultra−Turrax T25ホモジナイザーを用いて軽く均一にし、そして50mMのTris−HClアッセイバッファー[NaClを120mM、CaClを2mM、MgClを1mM、KClを5mMおよびBSAを0.1%含有(HClでpH7.4に調整)]で特異的結合および非特異的結合に最適な適切な蛋白質濃度になるように希釈した。放射性リガンドである[125I]ヨードスルプリド(Amersham、比活性〜2000Ci/ミリモル)をアッセイバッファー中で2nMの濃度に希釈した。次いで調製した放射性リガンド(20μl)を対照である10%のDMSO、リスペリドン(10−6Mの最終濃度)または問題の化合物のいずれか(40μl)と一緒にして70μlの調製した膜溶液および70μlのWGA被覆PVTビーズ(0.25mg/ウェルの最終濃度)と一緒にインキュベーションした。室温で24時間振とうした後、プレートをTopcount(商標)シンチレーションカウンターで計数した。特異的結合パーセントおよび競合結合曲線をS−Plusソフトウエア(Insightful)を用いて算出した。
【0213】
ヒト5HT6受容体に対するインビトロ結合親和性
ヒトセロトニン5HT6受容体トランスフェクトHEK細胞の凍結膜を解凍し、Ultra−Turrax T25ホモジナイザーを用いて軽く均一にした後、50mMのTris−HClアッセイバッファー[MgClを10mM、EDTAを1mMおよびパーギリンを10μM含有(HClでpH7.4に調整)]中で特異的結合および非特異的結合に最適な適切な蛋白質濃度になるように希釈した。放射性リガンドである[H]リセルグ酸ジエチルアミド(Perkin Elmer、比活性〜80Ci/ミリモル)をアッセイバッファー中で20nMの濃度になるように希釈した。次いで放射性リガンド(20μl)を、対照である10%のDMSO、Methiothepine(10−5Mの最終濃度)または問題の化合物のいずれか(40μl)と一緒にして70μlの調製した膜溶液および70μlのWGA被覆PVTビーズ(0.25mg/ウェルの最終濃度)と一緒にインキュベーションした。室温で24時間振とうした後、プレートをTopcount(商標)シンチレーションカウンターで計数した。特異的結合パーセントおよび競合結合曲線をS−Plusソフトウエア(Insightful)を用いて算出した。
【0214】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
−A=A−は、−N=CR−または−CR=N−であり、
は、水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1−3アルキルオキシまたはC1−3アルキルであり、
は、フェニル;ハロ、シアノ、C1−3アルキル、ヒドロキシC1−3アルキル、モノ−およびポリハロ−C1−3アルキル、C1−3アルキルオキシ、C1−3アルキルオキシC1−3アルキル、アミノカルボニル、モノ−およびジ(C1−3アルキル)アミノカルボニル、アミノ、モノ−およびジ(C1−3アルキル)アミノからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたフェニル;ピリジニル;ハロ、C1−3アルキルオキシ、アリールC1−3アルキルオキシ、モノ−およびジ(C1−3アルキル)アミノおよびアリールC1−3アルキルアミノからなる群から選択される1もしくは2個の置換基で置換されたピリジニル;ハロおよびC1−3アルキルからなる群から選択される1もしくは2個の置換基で置換されたチエニルである]
の化合物またはそれらの立体異性体、またはそれらの溶媒和物またはそれらの塩。
【請求項2】
−A=A−が、−N=CR−であり、
が、水素、シアノまたはメトキシであり、
が、フェニルまたはハロで置換されたフェニルである、
請求項1に記載の化合物、またはそれらの溶媒和物またはそれらの塩。
【請求項3】
−A=A−が、−CR=N−であり、
が、水素、メチル、シアノ、ヒドロキシまたはメトキシであり、
が、フェニルまたはハロで置換されたフェニルである、
請求項1に記載の化合物、またはそれらの溶媒和物またはそれらの塩。
【請求項4】
治療に有効な量の請求項1に記載の化合物を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項5】
薬剤として使用するための請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
抗精神病薬として使用するための請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、一般身体疾患による精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、特定不能精神病性障害、認知症関連精神病、大鬱病性障害、気分変調性障害、月経前気分不快障害、特定不能鬱病性障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、特定不能双極性障害、一般身体疾患による気分障害、物質誘発性気分障害、特定不能気分障害、全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害、精神遅滞、広汎性発達障害、注意欠陥障害、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障
害、妄想型人格障害、分裂病型人格障害、統合失調症型人格障害、チック障害、トゥレット・シンドローム、物質依存、物質乱用、薬物離脱、抜毛癖、および認知に障害がある状態、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、レヴィー小体認知症、HIV病による認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病による認知症、健忘障害、軽度認知障害、および加齢関連認知低下、および摂食障害、例えば拒食症および過食症など、および肥満症を処置または防止する薬剤として使用するための請求項1に記載の化合物。

【公表番号】特表2011−529471(P2011−529471A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520499(P2011−520499)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059788
【国際公開番号】WO2010/012758
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】