説明

近接センサ

本発明により、場を光のスポットのアレイで照明するための照明手段、場から反射された光を受け取るように配置された検出器、及びその場から検出器までの光の光路内に置かれたマスクを備える近接センサを提供しており、そのマスクは、透過部及び非透過部を持ち、使用時に、センサからの第一の範囲の距離内のターゲットから反射された光がマスクを通して検出器まで伝播され、第二の範囲の距離からの光がマスクを通して伝播されないように、前記照明手段及び検出器とともに配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は近接センサに関するものであり、特に、ターゲットが特定の最小距離に達した時を定めるための近接センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明により、場を光のスポットのアレイで照明するための照明手段、場から反射された光を受け取るように配置された検出器、及びその場から検出器までの光の光路内に置かれたマスクを備える近接センサを提供しており、そのマスクは、透過部及び非透過部を持ち、使用時に、センサからの第一の範囲の距離内のターゲットから反射された光がマスクを通して検出器まで伝播され、第二の範囲の距離からの光がマスクを通して伝播されないように、前記照明手段及び検出器とともに配置される。
【0003】
照明手段は、場に向けてスポットのアレイを投影し、検出器は、実質上、マスクを通して場の方を見る。従って、検出器は、マスクを通して場の一部を見ることができるだけである。場内で投影スポットが現れる位置は、ターゲットが場にどのくらい近いかに依存する。それゆえ、マスク、及び、照明手段及び検出器の配列の注意深い選択で、検出器は、ターゲットが特定の第一の範囲の距離内にある場合には、スポットを認識するが、ターゲットが第二の範囲の距離内にある場合には、スポットを認識できないように配置されることができる。
【0004】
従って、ターゲットが第一の範囲の距離内にあるか、第二の範囲の距離内にあるかの表示を提供するために、検出器がスポットを認識できるか否かを利用することができる。
【0005】
ターゲットがセンサの所定の距離内にある場合には、反射光又は散乱光が検出器まで伝播され、ターゲットがその所定の距離外にある場合には、反射光が伝播されないように、マスクを配置することができる。この場合、センサは、単純な近接アラームとすることができるであろう。検出される光の急激な増加は、ターゲットが検出器のその所定の距離内に入ったことを示す、或いは、急激な減少は、ターゲットが検出器に対してさらに遠ざかったことを示すことができるであろう。従って、適切なアラームを作動させるために、輝度の急激な変化を使用することができるであろう。
【0006】
そのかわりに、マスクを、所定の距離より遠くにあるターゲットから反射された光を伝播し、所定の距離内からの光を伝播しないようにすることもできるであろう。
【0007】
照明手段が、赤外光のスポットで場を照明することが好ましい。赤外光のスポットは明白に検出されず、これは、幾つかの応用システムに役立つことができるであろう。また、照明手段は、所定の周波数で変調されることが好ましく、その所定の周波数において、フィルタが検出器出力に利用される。光源を変調し、検出された信号をフィルターにかけることは、周囲の照明状態の影響を減らす。さらに、又はそのかわりに、検出器は、場から周辺光を受け取るようにされることもでき、周辺光の影響を補償することができるであろう。
【0008】
マスクは、センサからの複数の範囲の距離を定め、各距離範囲内のターゲットからの異なる量の光を伝播するようにされることができる。例えば、マスクは、実質的に非伝播性で、複数の透過ウィンドウを持つことができるであろう。マスクは、ターゲットが特定の上限距離を超えたところに置かれたとき、そのマスクを通して全く反射光を伝播しないようにされることができるであろう。上限距離より近いが、下限距離より遠くにある対象体を投入した時、マスク内のウィンドウは、一又はそれ以上のスポットからの光を検出器に到達させるように配置されることができるであろう。対象体が下限距離以下のところに投入された場合には、多数のスポットからの光が検出器に到達することを可能にするように、マスク内のウィンドウを配置することができるであろう。従って、検出器は、場内のターゲットの位置に依存した3つの輝度レベルを経験することができるであろう。
【0009】
センサは、複数の範囲の距離を持ち、どの範囲内にターゲットが置かれているかを定めるように配置されることができるであろう。次に、センサは、適宜、制御信号又はアラームを提供することができるであろう。例えば、伝播手段を逆向きにするための近接センサのような応用システムでは、ターゲットとセンサがより近づくにつれて、可聴アラームを鳴らす速度を増大させることができるであろう。
【0010】
様々な範囲の距離の識別を高めるために、照明手段は、異なる変調周波数で複数のスポットを投影するようにされることができ、マスクは、各範囲の距離において、異なる変調周波数が検出器に伝播されるようにされることができるであろう。言い換えると、別個の各範囲境界は、特定の周波数変調がそれと関連付けられるようにされることができるであろう。次に、特定周波数でのスポットの検出は、ターゲットがどの範囲区間内にあるかを示すであろう。
【0011】
照明手段は、光導波路の入力面の一部を照明するように配置された光源を備えることが都合がよく、その光導波路は、実質的に反射性の側面を持ち、場に向けて光源の別個の映像のアレイを投影するように投影光学系とともに配置された管を備える。
【0012】
実質上、光導波路は万華鏡として動作する。光源からの光は、管の側面から反射され、管内の多数の反射経路を経ることができる。その結果は、光源の複数の映像が作成され、場に投影されることになる。従って、場は、光源の映像のアレイで照明される。光源は、単純な発光ダイオードが好ましく、それゆえ、場は、光のスポットのアレイで照明される。光源は、そこの一部を照明するだけであるように、光導波路の充分近くに配置されることができる、又は、光源は、光導波路マスクを通して光導波路の入力面を照明するように配置されることができる。光導波路マスクは、対象の輻射において実質的に不透明であり、光源からの光が光導波路の入力面の一部を照明することを可能にする少なくとも1つの透過部を提供されることができる。
【0013】
光導波路は、実質的に反射性の壁を持つ管を備える。管は一定の断面を有することが好ましく、それは正多角形が都合がよい。正則な断面を有することは、光源の映像のアレイもまた正則であることを意味し、それは近接センシングに有利である。正方形断面の管が最も好ましい。光導波路は、約数平方ミリメートルから数十平方ミリメートル、例えば2-50mm2の範囲内、又は5-25mm2の範囲内の断面を有することができる。正方形断面の管では、辺は2-5mmの範囲内とすることができる。明らかに断面に依存する、光導波路の出口口径の大きさは、スポット投影器のフィールドの深さに影響を及ぼす。小さい出口口径は、大きいフィールドの深さという結果になり、これは、より大きな範囲の距離にわたって、近接センサを使用することができることを意味する。しかしながら、他の大きさを使用することができ、それがいくつかの応用システムに適当であることを、当業者はわかるであろう。
【0014】
管は、反射内部表面、すなわちミラー内部壁を有する中空管を備えることができる。そのかわりに、管を、固体材料から製造し、管の材料と周辺材料との間のインターフェースにおける実質的な量の入射光が内部全反射されるように配置することもできる。管材料は、適当な屈折率を持つコーティングで覆われるか、又は大気中で作動するように設計されるかのいずれかとすることができ、その場合、光導波路材料の屈折率は、材料大気インターフェースにおいて内部全反射が生じるようになるはずである。
【0015】
このような管を光導波路として使用することは、光源の複数の映像が生成され、それらを場に投影することができるという結果になる。光導波路は、製造及び組み立てるのが容易であり、光源からの光の大部分を場につなぐ。従って、発光ダイオードのような低電力の光源を使用することができる。言及したように、出口口径が小さいとすることができるので、装置はまた大きいフィールドの深さを持ち、これは、その装置を、広範囲の距離にわたって分離されるスポットを投影することを必要とする測距応用システムに役立つようにする。
【0016】
投影光学系は、投影レンズを備えることができる。投影レンズは、光導波路の出力面に隣接して置くことができる。光導波路が固体である幾つかの実施形態では、レンズは光導波路に内蔵されることができる、すなわち、管は、出力面においてレンズを形成するように形作られることができる。
【0017】
ここで、以下の図面を参照してのみ、例として、本発明を説明する。
【0018】
(詳細な説明)
図1は、単純な近接センサとして使用される、本発明による本発明の実施形態を示している。スポット投影器2は、場にスポットのアレイを投影する。レンズ4は、場から反射された光を集め、検出器8上のマスク6を通してその焦点を合わせる。検出器8は、アラーム12を制御する閾値回路10に接続される。
【0019】
わかるように、スポット投影器2から投影された光は、実質上、特定の角分離を持つ光のビームのアレイである。遠くの対象体14のみが場に置かれた場合には、その対象体14から反射された光は、マスクの非透過部に入る。それゆえ、検出器8は全く光を受け取らず、それゆえ、閾値回路10は、所定の閾値より低い輝度レベルを測定する。
【0020】
しかしながら、より近い対象体16が場内に投入されたとき、この対象体から反射された光は、マスク6を通して検出器8に伝播される。それゆえ、測定される輝度が閾値レベルを超えると、閾値回路10が、対象体が特定の距離内に入ったことを示すためにアラーム12を作動させる。
【0021】
本発明は、スポット投影器、検出器、及びマスクの視差型効果、及び適切な配置に依拠する。図1からわかるように、検出器から場のスポットまでの角度は、場内の対象体までの距離によって変化する。マスクが存在しなかった場合には、検出器は、対象体の近さに依って異なる位置で、スポットを見つけるであろう。それゆえ、視野内に近い対象体がない限り、マスクは、場からの反射光が検出器に到達することを妨げる。それゆえ、この形式の近接センサは、対象体が特定の最小距離内に近づいたことを示すために、単純なアラームを与える。このような近接センサは、例えば、熱検出器の不明瞭さを検出するような応用システムで役立つことができるであろう。
【0022】
しばしば受動赤外(PIR)センサと呼ばれる単要素焦電検出器のような熱検出器は、侵入者警告、火事警告、又は自動照明のような多様な利用例で使用される。PIRセンサは、特定の視野内の一又は複数の移動体の熱特性に対する応答を与えるように、設計される。典型的には、このようなセンサの感度及び視野は、特定の用途のために設計される。例えば、侵入者警告、又は自動照明システムは、一般的には、人間の動作で起動されるように設計される。
【0023】
しかしながら、PIRセンサは、不明瞭にされやすい又はマスクされやすい。このようなマスキングは、例えば、センサを赤外線不透明材料で覆う、又はそのような材料をウィンドウに吹き付けることにより意図的にすることもでき、改造して行うこともできるであろう。センサが作動しているか否かを試す唯一の方法は、例えば部屋中を歩き回ることによって、応答を起動させようとすることである。しかしながら、これは、それを試すために積極的な行為を必要とし、センサの感度によっては不可能なこともある。例えば、センサは、火災を検出するが人の動きを無視するように設計されることができ、それゆえ、その機能を試すために、きわめて強いIR源を必要とするであろう。例えば、視野内で家具又は他の材料を動かすことにより、センサはまた、意図的でなく不明瞭にされ得る。
【0024】
何かがセンサの所定の距離内に入った場合には、アラームを生成するために、本発明の近接センサをPIRセンサについて用いることができるであろう。センサが不明瞭にされたことの表示として、これを使用することができるであろう。
【0025】
スポット投影器2により投影されたスポットのアレイの性質は、その応用例に依って変化し得る。いくつかの応用例では、スポットの一次元アレイを必要とすることがあり、又は、近接センサが狭い視野で動作するように設計されている場合、小さな二次元アレイを使用することも出来る。
【0026】
しかしながら、近接センサが、より大きな視野にわたって動作するように設計される場合、スポットのかなり大きい規則的なアレイが好ましい。このようなスポットのアレイを投影するのに特に適した一スポット投影器を、図2に示す。
【0027】
光源24は、万華鏡26の入力面に隣接して置かれる。単純な投影レンズ28が、もう一方の端に置かれる。明瞭さの目的のため、投影レンズは、万華鏡から離して示されているが、一般的には、万華鏡の出力面に隣接して置かれるであろう。
【0028】
光源24は、赤外線発光ダイオード(LED)である。投影スポットのアレイが、得られる視覚画像と干渉する必要がない限り、赤外線は有用であり、赤外線LED及び検出器は手頃な安価である。しかしながら、当業者は、本発明の技術的範囲から逸脱することなく、他の波長及び他の光源を、他の利用例に使用することも出来ることがわかるであろう。
【0029】
LED24は、そこの一部のみを照明するように、万華鏡の入力面に隣接して置かれる。しかしながら、代替の実施形態では、LEDは、マスクを通して万華鏡の入力面を照明することができ、万華鏡の入力面の一部を通り抜ける光を可能にするための一又はそれ以上の透過部を持つマスクが配置されるであろう。LEDが隣接しているが、マスクの使用が有利となり得る場合と同じ手法で、万華鏡は、入力面上の光のスポットの映像を複写するであろう。マスクは、LED又はLEDアレイよりも、万華鏡の入力面において正確に形成及び/又は設置しやすいとすることができる。さらに、大きさが限界でない限り、LED(又は一般的に光源)の選択を広げることができる。LEDは、マスクから離して置くことができ、その場合、ホモジェナイザー(示されていない)は、光源と入力マスクとの間に置かれて、均一な照明を確実にすることが好ましい。
【0030】
万華鏡は、内部反射壁を持つ中空管である。万華鏡は、適度な剛性を持つ任意の材料から作られることができ、その内部壁は、適当な誘電性コーティングで覆われることができるであろう。しかしながら、当業者は、万華鏡が固体バーを備えることができることがわかるであろう。クリアな光学ガラスのような、LEDの動作波長において透過である如何なる材料でも充分である。万華鏡と周辺大気との間のインターフェースにおいて、光が万華鏡内で内部全反射されるように、材料を配置する必要があるであろう。高投影角が要求される場合、これは、万華鏡材料が反射材料で覆われることを要求することができるであろう。理想的な万華鏡は、100%の反射率を持つ完全な直線壁を持つであろう。従って、中空万華鏡は、入力又は出力面をもつことが出来ないが、中空万華鏡への入口及び出口が、本仕様の目的のための面とみなされるべきということに注意すべきである。
【0031】
万華鏡管の効果は、万華鏡の出力端において、LEDの複数の映像を、直接又はマスクを通してみえるようにのいずれかで見ることができるということである。図3を参照して、本原理を説明する。LED24からの光は、全く反射されず、万華鏡に沿って直接伝播されるものもある-経路30。しかしながら、幾らかの光は、一度反射され、経路32をたどるであろう。万華鏡の端から眺めると、これは、見かけの光源34が見えるという結果になるであろう。二度反射された光は、経路36に沿って伝播し、もう1つの見かけの光源38が観察されるという結果になるであろう。
【0032】
装置の大きさは、意図される応用例に合わせられる。LED24は、全角90°でコーン内に光を発すると仮定する。中心の反射されないスポットの両側で観測されるスポットの数は、万華鏡の長さをその幅で割ったものに等しいであろう。スポットの分離対スポットの大きさの比率は、万華鏡の幅対LEDの大きさの比率で定められる。従って、200μm幅のLED、又は透過マスクウィンドウ、及び1mm2で長さ30mmの万華鏡は、(焦点が合っているとき)一方の側に、それらの幅の5倍で分離された61個のスポットの正方形グリッドを作成するであろう。応用例に依って、2-5mmの辺を有する万華鏡を使用して、ほぼ50°-100°の投影角、及び100mmから無限大まで及ぶのに適しているフィールドの深さを与えることができる。
【0033】
投影レンズ28は、万華鏡の端に配置された単純な一重レンズであり、LED24の映像のアレイを場に投影するように選択される。再び、応用例及び必要なフィールドの深さにより、投影形状を選択することができるが、単純な形状は、レンズの焦点面又はその近くにスポットのアレイを置くものである。
【0034】
それゆえ、言及したように、結果として生じる投影されたアレイは、スポットの正方形グリッドであろう。図4aは、ターゲットが平らな表面であるとき、検出器に見える場の一部を示している。アレイは、スポット40のx-y正方形グリッドである。もう一度図1を参照すると、検出された場におけるどの投影スポットの見かけ位置も、ターゲットまでの範囲と共に変化することがわかる。検出器及びスポット投影器がx-z平面に置かれる場合には、y方向において分離は全くなく、それゆえ、範囲が変化するにつれての、場におけるスポットの見かけの動きは、矢印42で示すようにx方向と平行な方向であろう。
【0035】
それゆえ、適したマスクを図4bに示す。このマスクは、対象の波長において不透明である材料のシート44である。そのシートは、一連の口径46を提供される。口径は、正方形グリッドで配置され、検出器の前の有効距離において、所定の範囲にあるスポットを各口径を通して見ることが出来るような大きさにされ、かつそのように間隔をあけて配置される。マスクは、検出器の前の有効距離のところに置かれ、ターゲットが特定の範囲以内にあるとき、スポット48で示すように、口径を通してスポットが見えるように配置される。しかしながら、ターゲットが口径から遠くに離れるにつれて、各スポットは、それがもはや口径を通して見ることが出来ず、不透明材料で遮られる位置52になるまで、矢印50で示す方向に場において移動するように見える。
【0036】
それゆえ、スポットが視野内に入った時の光の輝度の増大で示されるような、対象体がセンサの特定の距離内に近づいた時か、又は、スポットが視野外に移動し、輝度が低下する時に示されるような、対象体が特定の距離より遠くに離れた時か、のいずれかを検出するセンサで、このマスクを使用することができる。
【0037】
マスクの殆どを不透明にすることは、検出器に映る周辺光の量を減らし、これは識別を助け、検出器で要求される感度を減らす。しかしながら、必要な場合には、マスクは、不透明な部分を持ち、大部分は透過であるとすることもできるであろう。また、不透明マスク内の口径は、透過材料で覆われて、検出器を保護するのに役立つこともできるであろう。
【0038】
検出器8は、その領域全体にわたって受け取られた輝度を統合する単純な輝度検出器とすることができる、又は、検出器要素のアレイを備えることもできるであろう。
【0039】
投影されたアレイ内の投影スポットの大部分が、アラームが起動される前に、検出器に認識されなければならないように、輝度の閾値レベルはかなり大きいとすることができるであろう。侵入物体が実質的に視野全体を埋めることが予想されるとき、これは役立つであろう。しかしながら、物体が場の一部のみを埋めることが予想される場合には、投影スポットの幾つかのみが検出器に認識されるであろう。従って、当業者には理解されるように、閾値レベルは、個々の応用例によってセットされる。
【0040】
範囲のいくつかの群の間の識別を可能にするマスクを、図5に示す。再び、マスクは、そこに口径のアレイを有する、不透明材料のシート44である。明確さのために4つの口径56a-dが示されているが、実際には、これらの口径群を繰り返してマスクを作り上げることができる。再び口径は、各口径が、所定の範囲にあるターゲットから反射されたスポットを示すことができるような大きさにされ、かつそのように形作られる。しかしながら、それらの口径は、異なる大きさにされ、変化する範囲にともなう場におけるスポットの見かけの動きの方向に、異なる量だけ拡張される。図5aから5eは、徐々により近い範囲にあるターゲットから反射された投影アレイにおける4つのスポット58a-dの位置を示している。
【0041】
図5aでは、ターゲットは遠く離れており、スポット58a-dのどれも、口径を通して見えない。しかしながら、ターゲットがより近くに移動する場合には、スポット58aが、口径56aを通して見えるようになる。しかしながら、その他のスポット58b-dのどれも、他の口径を通して見えない。図5cでは、ターゲットがさらにより近くに移動し、ここでは、スポット58a及び58bが、それぞれの口径56a及び56bを通して見えるが、他の2つのスポットはまだ見えない。図5d及び図5eは、ターゲットがさらにより近くに移動するにつれて、スポット58cが見えるようになり、続いてスポット58dが見えるようになることを示している。
【0042】
それゆえ、ターゲットがより近くに移動するにつれて、全くスポットが見えない、又は一、二、三、又は四のスポットが見えるのに対応した5つの別個の輝度レベルを、検出器が認識するということがわかる。それゆえ、ターゲットが特定の範囲境界内にあることの表示を与えるために、異なる輝度レベルを使用することができるであろう。範囲を定めるために識別閾値を使用するこの実施形態は、一般的には、ターゲットが標準の反射率であることが知られていて、すべての範囲において視野全体を埋める場合に適当であるだけ、ということに注意せよ。ターゲットが様々な大きさである場合には、小さいターゲットは、より大きいターゲットとは異なる輝度を生成することができ、より反射率の高いターゲットは、より低い反射率のターゲットより大きい輝度を生成するであろう。
【0043】
ターゲットの一貫性がわからない場合、各々が、異なる範囲にあるスポットから反射又は散乱された光を伝播するようにマスクを配置されたいくつかの検出器を使用することができるであろう、すなわち、各検出器は、物体が特定の範囲内にあるかどうか定める単純比較を有するが、各検出器における範囲は異なるとすることができるであろう。
【0044】
そのかわりに、図5を参照して説明する実施形態を、どのスポットが検出器での全体的な輝度に寄与しているかを定める手段で使用することができるであろう。これは、場に存在するスポットを変調することにより実現することができるであろう。例えば、図5a-eの4つのスポットの各々が異なる変調周波数で伝播されると仮定する。そのとき、検出器8からの1つのものは、最高4つまでの異なる周波数成分を持つであろう。次に、検出された信号は、対応する口径群を通るいくらかの信号が存在するかどうかを各周波数成分が定めるように、順に処理されることができるであろう。言い換えると、スポット58aが周波数f1で変調された場合には、検出された信号のf1での信号成分の識別は、スポットが口径56aに現れるほど充分ターゲットが近いことを示すであろう。スポット58bに対応する周波数成分f2の欠如は、図5bに示す状態が該当することを意味するであろう。従って、それは、範囲を示す該当する周波数成分の検出であるので、対象体が大きいか小さいか、或いは反射するかしないかに関わらず検出することができるであろう。
【0045】
図2に示すようなスポット投影器を使って、このような変調出力を作成することは、単純に、単一LED24を各々が異なる周波数で変調される4つのLEDの段で置き換えることを意味するであろう。従って、このように周波数を変調することは、範囲の識別を徐々に高めることを可能にするが、各スポットはあり得る範囲のうちの1つについて使用されることができるだけであるので、場に対する被写域の濃度を減らす。そのかわりに、入力マスクを万華鏡への入力のために使用する場合、マスクは、各ウィンドウが異なる周波数で動作する変調器を備える複数のウィンドウを備えることができる。
【0046】
伝播手段が反転を促進するためのこのような配置は、近接センサとして使用されると仮定する。伝播手段が反転し始める時、そばにターゲットは全くなく、そのため状態は、図5に示すように全くスポットは見えないということになる。反転が続くにつれて、伝播手段は、他の伝播手段又は壁のような物体に近づき始めることができるであろう。特定の範囲内で、スポット58aが、口径56aを通して視野に入る。これは、輝度レベルのいくらかの増大をもたらし、それは、例えば特定の頻度で繰り返すビープ音のような可聴アラームを促す。伝播手段が反転しつづけるとき、もう1つのスポットであるスポット58bが検出器に認識さえるようになり、そのため、もう1つの輝度のジャンプがある。つぎに、この機構は、可聴ビープ音を繰り返す頻度を増大させることができる。スポット58cが見えるようになることによる輝度の更なる増大は、頻度の更なる増大を促し、最後に、スポット58dもまた見えるようになった場合には、可聴アラームは不断となることができるであろう。第一のスポット58aが数十cmの範囲で見えるようになるのに対して、最後のスポット58dはたった数cmの範囲で見えるようになるように、その機構を配置することができるであろう。
【0047】
言及したように、各スポットは、それを反射するターゲットまでの範囲が変化するにつれて、検出される場において移動するように見えるであろう。それゆえ、各スポットは、変化する範囲に伴う、場での見かけの動きの軌跡を持つと言えるであろう。2つのスポットの見かけの動きの軌跡が重なるものである場合には、第一の距離にある口径を通して投影スポットが見えるというだけでなく、ターゲットまでの範囲が望まれるように増大するにつれて、その投影スポットは視界から消えるが、範囲が増大するにつれて、その口径を通して他のスポットが見え始める、ということが可能である。これは、明らかに、フォールスポジティブが記録されることにつながることができるであろう。場におけるスポットの見かけの動きの度合いは、スポット投影器及び検出器の基準線又は分離に依存し、それゆえ、小さい基準線は、場におけるスポットの見かけの低い動きをもたらす。しかしながら、その機構を適切に機能させるために、ある程度の見かけの動きが要求される。
【0048】
投影されたアレイにおけるスポットの間隔は、重なりの可能性を減らすように制御されることのできるもう1つの要素である。また、隣接するスポットの位置が全く重ることができないことを確実にするように、投影されたアレイを、検出器及びスポット投影器に対して配置することができる。アレイ内のスポットの見かけの動きの方向は、検出器と投影器との分離軸に平行であろう。分離軸に対してアレイを傾けた場合には、重なりの可能性が減り、実質的に、投影されたアレイがx-yグリッドである場合には、検出器と投影器とは、x方向及びy方向の両方において分離される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態を示している。
【図2】本発明における使用に適したスポット投影器を示している。
【図3】図2に示すスポット投影器の動作原理を図示している。
【図4】スポット投影器によって投影されたスポットのアレイ、及び、本発明での使用に適したマスクを示している。
【図5】本発明のもう1つの実施形態に役立つマスクを示しており、かつ、対象体が別個の範囲帯域内にあることの表示を与えるために、どのように本発明を使用することができるかを図示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光のスポットのアレイで場を照明するための照明手段、
前記場から反射された光を受け取るように配置された検出器、及び、
前記場から前記検出器までの光の光路内に置かれたマスク
を備える近接センサであって、
前記マスクが、透過部及び非透過部を有し、使用されるとき、前記センサからの第一の範囲の距離内のターゲットから反射された光は、前記マスクを通して前記検出器に伝播され、第二の範囲の距離からの光は、前記マスクを通して伝播されないように、前記照明手段及び検出器とともに配置される、ことを特徴とする近接センサ。
【請求項2】
前記ターゲットが前記センサの所定の距離内にある場合には、反射光が前記検出器に伝播され、前記ターゲットが前記所定の距離外にある場合には、反射光が伝播されないように、前記マスクを配置する
ことを特徴とする請求項1に記載の近接センサ。
【請求項3】
前記マスクが、ターゲットから反射された光を前記センサから所定の距離より遠くへ伝播し、前記所定の距離内からの光を伝播しないようにされた
ことを特徴とする請求項1に記載の近接センサ。
【請求項4】
前記照明手段が、前記場を赤外光のスポットで照明する
ことを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の近接センサ。
【請求項5】
前記照明手段が、所定の周波数で変調され、該所定の周波数においてフィルタが前記検出器に適用される
ことを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の近接センサ。
【請求項6】
前記検出器が、前記場からの周辺光を受け取り、該周辺光の影響を補償するようにされた
ことを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の近接センサ。
【請求項7】
前記マスクは、前記センサからの複数の範囲の距離を定め、各距離範囲内のターゲットからの異なる量の反射光を伝播するようにされた
ことを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の近接センサ。
【請求項8】
前記照明手段は、複数のスポットを異なる変調周波数で投影するようにされ、前記マスクは、各範囲の距離において異なる変調周波数を前記検出器に伝播するようにされた
ことを特徴とする請求項7に記載の近接センサ。
【請求項9】
前記マスクは、複数の透過ウィンドウを持つ実質的に非伝播性の材料を備える
ことを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の近接センサ。
【請求項10】
前記照明手段は、光導波路の入力面の一部を照明するように配置された光源を備え、前記光導波路は、実質的に反射性の側面を持つ管を備え、前記場に向けて前記光源の別個の映像のアレイを投影するように、投影光学系とともに配置される
ことを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の近接センサ。
【請求項11】
前記光導波路が、正方形断面を持つ管を備える
ことを特徴とする請求項10に記載の近接センサ。
【請求項12】
前記管が、反射内部表面を持つ中空管を備える
ことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の近接センサ。
【請求項13】
前記管が、固体材料を備え、該管の材料と周辺材料との間のインターフェースにおける実質的な量の入射光が内部全反射されるように配置された
ことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の近接センサ。
【請求項14】
前記光源がLEDを備える
ことを特徴とする請求項10から請求項13までのいずれかに記載の近接センサ。
【請求項15】
前記光源がLEDのアレイを備える
ことを特徴とする請求項10から請求項13までのいずれかに記載の近接センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−505783(P2006−505783A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550804(P2004−550804)
【出願日】平成15年11月11日(2003.11.11)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004861
【国際公開番号】WO2004/044619
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(501297550)キネティック リミテッド (57)
【Fターム(参考)】