説明

近距離通信装置

【課題】BT通信リンクの接続要求を拒否することなく、そのBT通信リンクを接続要求した車載側装置が実現したい機能を満たせるようにする。
【解決手段】携帯電話機2は、プロファイルの優先順位が上位の第1車載側装置3からの接続要求が発生した時点でプロファイルの優先順位が下位の第2車載側装置4との間でBT通信リンクを接続中であれば、第2車載側装置4との間で接続しているBT通信リンクを強制的に切断し、第1車載側装置3との間でBT通信リンクを接続し、一方、第2車載側装置4からの接続要求が発生した時点で第1車載側装置3との間でBT通信リンクを接続中であれば、第1車載側装置3との間で接続しているBT通信リンクをプロファイルの機能の終了により切断した後に、第2車載側装置4との間でBT通信リンクを接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台の車載側装置の各々との間で近距離通信リンクを接続可能な近距離通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、1台の車載側装置と複数台の携帯機器の各々との間で近距離通信リンク(例えばBluetooth(登録商標)通信リンク)を接続(マルチ接続)し、車載側装置と一の携帯機器である携帯電話機との間でハンズフリー機能を実現すると同時に、車載側装置と他の携帯機器であるオーディオプレーヤーとの間で音楽ストリーミング機能を実現する構成が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−68406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように複数台の携帯機器の各々が1台の車載側装置に対して近距離通信リンクを接続要求することは想定されているが、複数台の車載側装置の各々が1台の携帯機器に対して近距離通信リンクを接続要求することは想定されていない。そのため、例えば一の車載側装置が携帯機器である携帯電話機に対してシリアル・ポート・プロファイル(SPP)を接続要求した時点で他の車載側装置と携帯電話機との間でハンズフリー・プロファイル(HFP)を接続中であれば、そのシリアル・ポート・プロファイルの接続要求を携帯電話機が拒否し、シリアル・ポート・プロファイルを接続要求した車載側装置が実現したい機能を満たすことができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数台の車載側装置のうち一の車載側装置が近距離通信リンクを接続要求した時点で他の車載側装置との間で近距離通信リンクを接続中であっても、その近距離通信リンクの接続要求を拒否することなく、その近距離通信リンクを接続要求した車載側装置が実現したい機能を満たすことができる近距離通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明によれば、制御手段は、車載側装置からの近距離通信リンクの接続要求が発生した時点で近距離通信手段が最大接続可能数の車載側装置の各々との間で近距離通信リンクを接続中であると、記憶手段に記憶されているプロファイルの優先順位を参照し、その接続要求した車載側装置との間で接続するプロファイルの優先順位と、近距離通信手段が最大接続可能数の車載側装置の各々との間で接続しているプロファイルの優先順位とを比較する。
【0007】
ここで、制御手段は、その接続要求した車載側装置との間で接続するプロファイルの優先順位が、近距離通信手段が最大接続可能数の車載側装置の各々との間で接続しているプロファイルの優先順位よりも上位であれば、最大接続可能数の車載側装置の各々と近距離通信手段との間で接続している近距離通信リンクのうち何れかをプロファイルの機能の終了を待たずに強制的に切断した後に、その接続要求した車載側装置と近距離通信手段との間で近距離通信リンクを接続してプロファイルを接続する。一方、制御手段は、その接続要求した車載側装置との間で接続するプロファイルの優先順位が、近距離通信手段が最大接続可能数の車載側装置の各々との間で接続しているプロファイルの優先順位よりも下位であれば、最大接続可能数の車載側装置の各々と近距離通信手段との間で接続している近距離通信リンクのうち何れかをプロファイルの機能の終了により切断した後に、その接続要求した車載側装置と近距離通信手段との間で近距離通信リンクを接続してプロファイルを接続する。
【0008】
これにより、車載側装置が近距離通信リンクを接続要求した時点で最大接続可能数の車載側装置の各々との間で近距離通信リンクを接続中であっても、その接続要求した車載側装置との間で接続するプロファイルの優先順位が最大接続可能数の車載側装置の各々との間で接続しているプロファイルの優先順位よりも上位であれば、何れかの近距離通信リンクを強制的に切断し、その接続要求した車載側装置との間で近距離通信リンクを優先して接続してプロファイルを優先して接続し、一方、その接続要求した車載側装置との間で接続するプロファイルの優先順位が最大接続可能数の車載側装置の各々との間で接続しているプロファイルの優先順位よりも下位であれば、何れかの近距離通信リンクをプロファイルの機能の終了により切断し、その接続要求した車載側装置との間で近距離通信リンクを接続してプロファイルを接続することで、近距離通信リンクの接続要求を拒否することなく、その近距離通信リンクを接続要求した車載側装置が実現したい機能を満たすことができる。
【0009】
請求項2に記載した発明によれば、制御手段は、その接続要求した車載側装置との間で接続するプロファイルの優先順位が、近距離通信手段が最大接続可能数の車載側装置の各々との間で接続しているプロファイルの優先順位よりも上位であれば、最大接続可能数の車載側装置の各々と近距離通信手段との間で接続している近距離通信リンクのうち何れかをプロファイルの機能の終了を待たずに強制的に切断した後に、その接続要求した車載側装置と近距離通信手段との間で近距離通信リンクを接続してプロファイルを接続し、その接続要求した車載側装置と近距離通信手段との間で接続している近距離通信リンクをプロファイルの機能の終了により切断した後に、その近距離通信リンクを切断した車載側装置と近距離通信手段との間で近距離通信リンクを再接続してプロファイルを再接続する。
【0010】
これにより、その接続要求した車載側装置との間で接続するプロファイルの優先順位が最大接続可能数の車載側装置の各々との間で接続しているプロファイルの優先順位よりも上位であれば、何れかの近距離通信リンクを強制的に切断し、その接続要求した車載側装置との間で近距離通信リンクを優先して接続してプロファイルを優先して接続し、その後、その接続要求した車載側装置と近距離通信手段との間で接続している近距離通信リンクをプロファイルの機能の終了により切断した後に、その近距離通信リンクを切断した車載側装置と近距離通信手段との間で近距離通信リンクを再接続してプロファイルを再接続することで、接続要求が発生する前の状態へ戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図
【図2】フローチャート
【図3】図2相当図
【図4】図2相当図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。尚、本実施形態では複数台の車載側装置が2台の車載側装置である場合を説明する。図1は、車載近距離無線通信システムの全体構成を機能ブロック図により示している。車載近距離無線通信システム1は、近距離通信機能としてのBluetooth(以下、BTと称する)通信機能を有する携帯電話機2(近距離通信装置に相当)がユーザにより車室内に持込まれ、その携帯電話機2と、車両に搭載されているBT通信機能を有する第1車載側装置3と、車両に搭載されているBT通信機能を有する第2車載側装置4とがBT通信可能となることで構成される。
【0013】
携帯電話機2は、マイクロコンピュータを主体とする制御部5(制御手段に相当)、携帯電話網を介して基地局との間で広域通信を行う広域通信部6、第1車載側装置3及び第2車載側装置4の各々との間でBT通信を行うBT通信部7(近距離通信手段に相当)、待受画面や着信通知画面や電話帳データ一覧画面等の各種画面を表示する表示部8、電話帳データや発信履歴データや着信履歴データ等の各種データを記憶する記憶部9(記憶手段に相当)、マイクロホン10が入力した音声を送話音声として送話処理すると共にスピーカ11から出力する音声を受話音声として受話処理する音声処理部12等を備えている。
【0014】
BT通信部7は、第1車載側装置3及び第2車載側装置4の各々との間でBT通信リンク(近距離通信リンクに相当)を接続可能である。BT通信部7は、BT通信リンクの最大接続可能数が「1」に設定されており、第1車載側装置3との間でBT通信リンクを接続中であれば、第2車載側装置4との間でBT通信リンクを接続することができず、一方、第2車載側装置4との間でBT通信リンクを接続中であれば、第1車載側装置3との間でBT通信リンクを接続することができず、即ち、第1車載側装置3及び第2車載側装置4のうち何れかとの間でBT通信リンクを選択的に接続する。
【0015】
記憶部9は、上記した電話帳データや発信履歴データや着信履歴データを記憶するデータ記憶領域の他に、BT通信規格で規定されているプロファイルの優先順位を記憶するプロファイル優先順位記憶領域9aを有している。具体的には、記憶部9は、ハンズフリー通話を実現するハンズフリー・プロファイル(HFP)の優先順位を「1」(上位)と記憶し、データ通信を実現するシリアル・ポート・プロファイル(SPP)の優先順位を「2」(下位)と記憶している。
【0016】
第1車載側装置3は、マイクロコンピュータを主体とする制御部13、携帯電話機2との間でBT通信を行うBT通信部14、各種データを記憶する記憶部15等を備えている。第1車載側装置3は、例えばハンズフリー機能を有するナビゲーション装置であり、上記した機能ブロックの他に、車両の現在位置を特定する車両位置特定部、目的地を設定する目的地設定部、車両の現在位置から目的地までの経路を探索する経路探索部、探索した経路を案内する経路案内部、車両の現在位置や地図を表示装置に描画する描画部等の機能ブロックを備え、周知のナビゲーション機能を有すると共に、携帯電話機2との間で後述するハンズフリー・プロファイルを接続中であるときにハンズフリー通話(車室内に配置されているマイクロホンやスピーカを使用する通話)を可能とする周知のハンズフリー機能を有する。
【0017】
第1車載側装置3において、制御部13は、第1車載側装置3の起動を開始すると、予めBT通信の対象として登録されている携帯電話機2がBT通信圏内に存在するか否かをBT通信部14により探索させる。ここで、BT通信の対象として登録されている携帯電話機2が車室内に持込まれており、携帯電話機2がBT通信圏内に存在すると、制御部13は、携帯電話機2と第2車載側装置4との間でBT通信リンクが接続されていないことを条件として、BT通信部14と携帯電話機2のBT通信部7との間でBT通信リンクを接続してハンズフリー・プロファイルを接続する。即ち、第1車載側装置3が起動すると、その時点で携帯電話機2がBT通信圏内に存在し且つ携帯電話機2と第2車載側装置4との間でBT通信リンクが接続されていなければ、第1車載側装置3と携帯電話機2との間で音声の送受信が可能となり、ハンズフリー通話が可能(ハンズフリー通話での発信や着信を待受可能)となる。
【0018】
第2車載側装置4は、マイクロコンピュータを主体とする制御部16、携帯電話機2との間でBT通信を行うBT通信部17、各種データを記憶する記憶部18、車両に搭載されている車両LAN20との通信機能を有する車両LANインタフェース(IF)部19等を備えている。第2車載側装置4は、車両LAN20を介して各種ECU21(例えばエンジンECUやボデーECU等)や各種センサ22(例えば加速度センサや距離センサ等)や各種スイッチ23(例えばイグニッションスイッチ等)等と接続されており、各種ECU21や各種センサ22や各種スイッチ23から出力される各種車両データ(エンジンの回転数の推移、加速度の推移、イグニッションスイッチのオンオフ状態等)を携帯電話機2から広域通信網を介してサーバ23へ送信させる機能を有する。又、記憶部18は、携帯電話機2の記憶部9と同様に、BT通信規格で規定されているプロファイルの優先順位を記憶するプロファイル優先順位記憶領域18aを有している。具体的には、記憶部18は、ハンズフリー通話を実現するハンズフリー・プロファイルの優先順位を「1」と記憶し、データ通信を実現するシリアル・ポート・プロファイルの優先順位を「2」と記憶している。
【0019】
第2車載側装置4において、制御部16は、第1車載側装置3の制御部13と同様に、第2車載側装置4の起動を開始すると、予めBT通信の対象として登録されている携帯電話機2がBT通信圏内に存在するか否かをBT通信部17により探索させる。ここで、BT通信の対象として登録されている携帯電話機2が車室内に持込まれており、携帯電話機2がBT通信圏内に存在すると、制御部16は、携帯電話機2と第1車載側装置3との間でBT通信リンクが接続されていないことを条件として、BT通信部17と携帯電話機2のBT通信部7との間でBT通信リンクを接続してシリアル・ポート・プロファイルを接続する。即ち、第2車載側装置4が起動すると、その時点で携帯電話機2がBT通信圏内に存在し且つ携帯電話機2と第1車載側装置3との間でBT通信リンクが接続されていなければ、第2車載側装置4と携帯電話機2との間でデータ通信が可能となる。
【0020】
次に、上記した構成の作用について、図2乃至図4を参照して説明する。図2乃至図4は、携帯電話機2が行う処理をフローチャートにより示している。携帯電話機2において、制御部5は、第1車載側装置3のBT通信部14及び第2車載側装置4のBT通信部17のうち何れかから接続要求通知をBT通信部7により受信したか否かを判定し、第1車載側装置3及び第2車載側装置4のうち何れかからBT通信リンクの接続要求が発生したか否かを判定(監視)している(ステップS1)。
【0021】
ここで、制御部5は、第1車載側装置3のBT通信部14及び第2車載側装置4のBT通信部17のうち何れかから接続要求通知をBT通信部7により受信したと判定し、第1車載側装置3及び第2車載側装置4のうち何れかからBT通信リンクの接続要求が発生したと判定すると(ステップS1にて「YES」)、その受信した接続要求通知からデバイス情報を抽出して解析し、第1車載側装置3及び第2車載側装置4のうち何れからの接続要求であるかを判定する(ステップS2)。制御部5は、第1車載側装置3からの接続要求、即ち、プロファイルの優先順位が上位からの接続要求であると判定すると、第1接続処理へ移行し(ステップS3)、一方、第2車載側装置4からの接続要求、即ち、プロファイルの優先順位が下位からの接続要求であると判定すると、第2接続処理へ移行する(ステップS4)。以下、第1接続処理及び第2接続処理について順次説明する。
【0022】
制御部5は、第1接続処理へ移行すると、その時点でBT通信部7と第2車載側装置4のBT通信部17との間でBT通信リンクを接続中であるか否かを判定する(ステップS11)。制御部5は、その時点でBT通信部7と第2車載側装置4のBT通信部17との間でBT通信リンクを接続中でないと判定すると(ステップS11にて「NO」)、BT通信部7と接続要求した第1車載側装置3のBT通信部14との間でBT通信リンクを接続し、ハンズフリー・プロファイルを接続する(ステップS12)。
【0023】
一方、制御部5は、その時点でBT通信部7と第2車載側装置4のBT通信部17との間でBT通信リンクを接続中であると判定すると(ステップS11にて「YES」)、接続待機通知をBT通信部7から第2車載側装置4へ送信させる(ステップS13)。これを受けて、第2車載側装置4は、携帯電話機2のBT通信部7から送信された接続待機通知をBT通信部17により受信すると、BT通信リンクの接続待機中へ移行する。
【0024】
次いで、制御部5は、BT通信部7と第2車載側装置4のBT通信部17との間で接続しているBT通信リンクをデータ通信中であるか否かに関係なく(プロファイルの機能の終了を待たずに)強制的に切断し(ステップS14)、第2車載側装置4が接続待機中へ移行したことを記憶し(接続待機中移行フラグを設定し)(ステップS15)、BT通信部7と接続要求した第1車載側装置3のBT通信部14との間でBT通信リンクを接続し、ハンズフリー・プロファイルを接続する(ステップS12)。
【0025】
次いで、制御部5は、このようにしてBT通信部7と第1車載側装置3のBT通信部14との間でBT通信リンクを接続した後に、BT通信部7と第1車載側装置3のBT通信部14との間で接続しているBT通信リンクをハンズフリー・プロファイルの機能の終了により切断したか否かを判定(監視)し(ステップS16)、BT通信部7と第1車載側装置3のBT通信部14との間で接続しているBT通信リンクをハンズフリー・プロファイルの機能の終了により切断したと判定すると(ステップS16)、第2車載側装置4が接続待機中であるか否か(接続待機中移行フラグを設定しているか否か)を判定する(ステップS17)。
【0026】
ここで、制御部5は、第2車載側装置4が接続待機中でないと判定すると(ステップS17にて「NO」)、第1接続処理を終了してリターンする。一方、制御部5は、第2車載側装置4が接続待機中であると判定すると(ステップS17にて「YES」)、接続要求通知をBT通信部7から第2車載側装置4へ送信させ、第2車載側装置に対して接続要求し(ステップS18)、BT通信部7と第2車載側装置4のBT通信部17との間でBT通信リンクを接続し、シリアル・ポート・プロファイルを接続し(ステップS19)、第2車載側装置4が接続待機中であることを消去し(接続待機中移行フラグを解除し)(ステップS20)、第1接続処理を終了してリターンする。
【0027】
即ち、制御部5は、プロファイルの優先順位が上位である第1車載側装置3からの接続要求が発生すると、プロファイルの優先順位が下位である第2車載側装置4との間でBT通信リンクを接続中であれば、第1車載側装置3からの接続要求に応じて、第2車載側装置4との間で接続しているBT通信リンクをデータ通信中であるか否かに関係なく強制的に切断し、第1車載側装置3との間でBT通信リンクを接続してハンズフリー・プロファイルを接続し、シリアル・ポート・プロファイルの機能よりもハンズフリー・プロファイルの機能を優先させる。そして、制御部5は、第1車載側装置3との間で接続しているBT通信リンクをハンズフリー・プロファイルの機能の終了により切断すると、第2車載側装置4との間で強制的に切断したBT通信リンクを再接続してシリアル・ポート・プロファイルを再接続する。
【0028】
一方、制御部5は、第2接続処理へ移行すると、その時点でBT通信部7と第1車載側装置3のBT通信部14との間でBT通信リンクを接続中であるか否かを判定する(ステップS21)。制御部5は、その時点でBT通信部7と第1車載側装置3のBT通信部14との間でBT通信リンクを接続中でないと判定すると(ステップS21にて「NO」)、接続要求したBT通信部7と第2車載側装置4のBT通信部17との間でBT通信リンクを接続し、シリアル・ポート・プロファイルを接続し(ステップS22)、第2接続処理を終了してリターンする。
【0029】
一方、制御部5は、その時点でBT通信部7と第1車載側装置3のBT通信部14との間でBT通信リンクを接続中であると判定すると(ステップS21にて「YES」)、接続待機通知をBT通信部7から第2車載側装置4へ送信させる(ステップS23)。これを受けて、第2車載側装置4は、携帯電話機2のBT通信部7から送信された接続待機通知をBT通信部17により受信すると、BT通信リンクの接続待機中へ移行する。
【0030】
次いで、制御部5は、BT通信部7と第1車載側装置3のBT通信部14との間で接続しているBT通信リンクをハンズフリー・プロファイルの機能の終了により切断したか否かを判定(監視)し(ステップS24)、BT通信部7と第1車載側装置3のBT通信部14との間で接続しているBT通信リンクをハンズフリー・プロファイルの機能の終了により切断したと判定すると(ステップS24にて「YES」)、接続要求通知をBT通信部7から第2車載側装置4へ送信させ、第2車載側装置に対して接続要求し(ステップS25)、BT通信部7と第2車載側装置4のBT通信部17との間でBT通信リンクを接続し、シリアル・ポート・プロファイルを接続し(ステップS26)、第2車載側装置4が接続待機中であることを消去し(接続待機中移行フラグを解除し)(ステップS27)、第2接続処理を終了してリターンする。
【0031】
即ち、制御部5は、第2接続処理では、プロファイルの優先順位が下位である第2車載側装置4からの接続要求が発生すると、プロファイルの優先順位が上位である第1車載側装置3との間でBT通信リンクを接続中であれば、第1車載側装置3との間で接続しているBT通信リンクを切断することなく、そのBT通信リンクの接続を維持し、シリアル・ポート・プロファイルの機能よりもハンズフリー・プロファイルの機能を優先させる。そして、制御部5は、第1車載側装置3との間で接続しているBT通信リンクをハンズフリー・プロファイルの機能の終了により切断すると、第2車載側装置4からの接続要求に応じて、第2車載側装置4との間でBT通信リンクを接続してシリアル・ポート・プロファイルを接続する。
【0032】
ところで、以上は、最大接続可能数が「1」の場合を説明したが、最大接続可能数が「2」以上の場合も同様である。即ち、例えば最大接続可能数が「3」であり、携帯電話機2が第1車載側装置3、第2車載側装置4、第3の車載側装置(図示せず)の各々との間でBT通信リンクを同時に接続中であるときに第4の車載側装置(図示せず)からの接続要求が発生すると、接続要求が発生したプロファイルの優先順位が、第1車載側装置3、第2車載側装置4、第3の車載側装置の各々との間で接続している全てのプロファイルの優先順位よりも上位であれば、その接続しているプロファイルのうち優先順位が最下位であるBT通信リンクを強制的に切断し、第4の車載側装置との間でBT通信リンクを接続してプロファイルを接続し、第4の車載側装置との間で接続するプロファイルの機能を優先させるようにしても良い。
【0033】
以上に説明したように本実施形態によれば、携帯電話機2において、プロファイルの優先順位が上位である第1車載側装置3からの接続要求が発生した時点でプロファイルの優先順位が下位である第2車載側装置4との間でBT通信リンクを接続中であれば、第2車載側装置4との間で接続しているBT通信リンクをデータ通信中であるか否かに関係なく強制的に切断し、第1車載側装置3との間でBT通信リンクを接続してハンズフリー・プロファイルを接続し、一方、プロファイルの優先順位が下位である第2車載側装置4からの接続要求が発生した時点でプロファイルの優先順位が上位である第1車載側装置3との間でBT通信リンクを接続中であれば、第1車載側装置3との間で接続しているBT通信リンクをハンズフリー・プロファイルの機能の終了により切断した後に、第2車載側装置4との間でBT通信リンクを接続してシリアル・ポート・プロファイルを接続するようにしたので、BT通信リンクの接続要求を拒否することなく、そのBT通信リンクを接続要求した車載側装置が実現したい機能を満たすことができる。
【0034】
又、第2車載側装置4との間で接続しているBT通信リンクをデータ通信中であるか否かに関係なく強制的に切断し、第1車載側装置3との間でBT通信リンクを接続してハンズフリー・プロファイルを接続した後に、第1車載側装置3との間で接続しているBT通信リンクをハンズフリー・プロファイルの機能の終了により切断すると、第2車載側装置4との間で強制的に切断したBT通信リンクを再接続してシリアル・ポート・プロファイルを再接続するようにしたので、BT通信リンクの接続要求が発生する前の状態へ戻すことができる。
【0035】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
近距離通信装置としては、複数台の車載側装置の各々との間でBT通信リンクを接続可能であれば、携帯情報端末(広域通信機能を有しない機器)等であっても良い。
携帯電話機2と第1車載側装置3及び第2車載側装置4の各々とが、BT通信以外の無線LAN等で無線接続されても良いし、有線接続されても良い。
車載側装置は、工場出荷時に車両に対して組込まれている装置であっても良いし、工場出荷後に車両に対して取付可能な装置であっても良い。
【0036】
プロファイルは他のプロファイルであっても良く、プロファイルの優先順位はどのような方法で決定しても良い。例えばハンズフリー・プロファイルとフォン・ブック・アクセス・プロファイル(PBAP)とを接続する場合であれば、ハンズフリー・プロファイルの優先順位を上位とし、フォン・ブック・アクセス・プロファイルの優先順位を下位とすることで、フォン・ブック・アクセス・プロファイルの機能よりもハンズフリー・プロファイルの機能を優先させても良い。
【符号の説明】
【0037】
図面中、2は携帯電話機(近距離通信装置)、5は制御部(制御手段)、7はBT通信部(近距離通信手段)、9は記憶部(記憶手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の車載側装置の各々との間で近距離通信リンクを接続可能な近距離通信手段と、
前記近距離通信手段と複数台の車載側装置の各々との間での近距離通信リンクの接続及び切断を制御する制御手段と、
車載側装置との間で接続するプロファイルの優先順位を記憶する記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、車載側装置からの近距離通信リンクの接続要求が発生した時点で前記近距離通信手段が最大接続可能数の車載側装置の各々との間で近距離通信リンクを接続中である場合には、前記記憶手段に記憶されているプロファイルの優先順位を参照し、その接続要求した車載側装置との間で接続するプロファイルの優先順位と、前記近距離通信手段が最大接続可能数の車載側装置の各々との間で接続しているプロファイルの優先順位とを比較し、その接続要求した車載側装置との間で接続するプロファイルの優先順位が、前記近距離通信手段が最大接続可能数の車載側装置の各々との間で接続しているプロファイルの優先順位よりも上位である場合には、最大接続可能数の車載側装置の各々と前記近距離通信手段との間で接続している近距離通信リンクのうち何れかをプロファイルの機能の終了を待たずに強制的に切断した後に、その接続要求した車載側装置と前記近距離通信手段との間で近距離通信リンクを接続してプロファイルを接続し、その接続要求した車載側装置との間で接続するプロファイルの優先順位が、前記近距離通信手段が最大接続可能数の車載側装置の各々との間で接続しているプロファイルの優先順位よりも下位である場合には、最大接続可能数の車載側装置の各々と前記近距離通信手段との間で接続している近距離通信リンクのうち何れかをプロファイルの機能の終了により切断した後に、その接続要求した車載側装置と前記近距離通信手段との間で近距離通信リンクを接続してプロファイルを接続することを特徴とする近距離通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載した近距離通信装置において、
前記制御手段は、その接続要求した車載側装置との間で接続するプロファイルの優先順位が、前記近距離通信手段が最大接続可能数の車載側装置の各々との間で接続しているプロファイルの優先順位よりも上位である場合には、最大接続可能数の車載側装置の各々と前記近距離通信手段との間で接続している近距離通信リンクのうち何れかをプロファイルの機能の終了を待たずに強制的に切断した後に、その接続要求した車載側装置と前記近距離通信手段との間で近距離通信リンクを接続してプロファイルを接続し、その接続要求した車載側装置と前記近距離通信手段との間で接続している近距離通信リンクをプロファイルの機能の終了により切断した後に、そのプロファイルの機能の終了を待たずに近距離通信リンクを強制的に切断した車載側装置と前記近距離通信手段との間で近距離通信リンクを再接続してプロファイルを再接続することを特徴とする近距離通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−165241(P2012−165241A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24879(P2011−24879)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】