説明

追尾装置及び追尾処理方法

【課題】中央の追尾フィルタとローカルセンサの制限された伝送容量を持つ環境においてもセンサシステム全体の高い追尾性能を得る。
【解決手段】目標群11を観測して目標の運動諸元を推定するセンサ群12と、センサ群からの情報を用いてセンサの優先度を算出する航跡情報評価器13と、センサの優先度に基づいて各センサから伝送する情報の出力内容並びに伝送容量を制御する通信伝送量評価器14と、センサ群12からの出力内容並びに伝送容量が制御された情報を入力し、各目標毎並びに各センサ毎に整理する観測情報・航跡情報統合器15と、各目標毎並びに各センサ毎に整理された情報を用いて各目標毎に追尾計算を行い目標の航跡情報を更新する中央の追尾フィルタ16と、各目標の更新後の航跡情報および各目標毎並びに各センサ毎に整理された観測情報を用いてセンサと目標に係る評価値を算出してセンサ群の動作を制御する追尾性能評価器17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の目標を観測する複数のセンサを用いて、各センサ毎の通信状況を考慮しながら目標の追尾性能を向上させる追尾装置及び追尾処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、複数のセンサを用いて複数の目標を追尾する技術については、すでに多くの論文や特許等の公知文献で取り挙げられており、様々な提案がなされていることは周知のところである。このような装置の一例として、複数のセンサで複数の目標を追尾する際、各センサの各目標への割り当てを管理する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−75023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然るに、このような追尾処理において、基本的に正確な追尾結果が得られる場合、なるべく大量の観測情報および航跡情報を伝送する必要がある状況と、逆に、大量の観測情報および航跡情報を伝送する必要がない状況とがある。
【0005】
大量の観測情報および航跡情報を伝送する必要がある状況、つまり詳細な観測情報および航跡情報を必要とする状況は、例えば、高クラッタ領域中の旋回目標や、密集している多目標など、追尾が比較的難しいケースである。
【0006】
一方、大量な観測情報および航跡情報を伝送する必要がない状況、つまり詳細な観測情報および航跡情報を必要としない状況は、低クラッタ領域中の直進目標など追尾が比較的簡単なケースである。
【0007】
前記のように、高クラッタ領域中の旋回目標や、密集している多目標を正確に追尾しようとした場合、大量の観測情報および航跡情報を必要とする。しかしながら、各センサから得られる観測情報および各センサが持つ追尾フィルタから得られる航跡情報を用いて中央の追尾フィルタで追尾計算を行う際、中央の追尾フィルタと各ローカルセンサとの間のデータ伝送を考えると、伝送容量に制限がある場合、従来の追尾装置の構成では、データ伝送容量を考慮して、航跡精度向上という意味で適切な伝送容量配分がなされてない。そのため、航跡精度向上に必要な観測情報および航跡情報を伝送できないケースも想定される。このようなケースでは正確な追尾結果が得られない。
【0008】
また、前記のように低クラッタ領域中の直進目標などを追尾しようとした場合では、少量の観測情報および航跡情報で良い航跡精度が得られる場合がある。さらに、低クラッタ領域中の直進目標などを追尾しようとした場合で、大量の観測情報および航跡情報が各ローカルセンサから中央の追尾フィルタに入力された場合、大量の観測情報および航跡情報の中には、航跡精度向上に寄与しない情報もあるため、中央の追尾フィルタで計算した航跡精度は逆に悪くなることが想定される。
【0009】
したがって、低クラッタ領域中の直進目標などの追尾においては、高クラッタ領域中の旋回目標や、密集している多目標などの追尾に比べ、少量の観測情報や航跡情報で十分な航跡精度が得られることが想定され、データ伝送容量も少なく済むはずである。しかし、システム全体として、余ったデータ伝送容量を、高クラッタ領域中の旋回目標や密集している多目標の追尾を行うためのデータ伝送容量へと配分するといった適切な伝送容量配分がなされていない。
【0010】
この発明は、前述した課題を解決するためになされたもので、中央の追尾フィルタとローカルセンサとの制限された伝送容量の中で、適切な伝送容量の配分を行うことにより、中央の追尾フィルタとローカルセンサの制限された伝送容量を持つ環境においても、センサシステム全体の高い追尾性能を得ることが可能な追尾装置および追尾処理方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る追尾装置は、目標群を観測する複数のセンサと、各センサに対応して備えられ目標の運動諸元を推定する複数の追尾フィルタとを有するセンサ群と、前記センサ群から出力される情報を用いて前記センサ群のどのセンサのどの目標におけるどの情報を優先して出力するかのセンサの優先度を算出する航跡情報評価器と、前記航跡情報評価器からのセンサの優先度に基づいて前記センサ群の各センサから伝送する情報の出力内容並びに伝送容量を、各センサの各目標に対する配分ルールを決めて制御する通信伝送量評価器と、前記センサ群からの出力内容並びに伝送容量が制御された航跡情報及び観測情報を入力し、各目標毎並びに各センサ毎に整理する観測情報・航跡情報統合器と、前記観測情報・航跡情報統合器からの各目標毎並びに各センサ毎に整理された航跡情報および観測情報を用いて各目標毎に追尾計算を行い目標の航跡情報を更新する中央の追尾フィルタと、前記中央の追尾フィルタから出力される各目標の更新後の航跡情報および各目標毎並びに各センサ毎に整理された観測情報を用いてセンサに係る評価値と目標に係る評価値を算出しこれら評価値を用いて前記センサ群の動作を制御する追尾性能評価器とを備えたものである。
【0012】
また、この発明に係る追尾処理方法は、目標群を観測する複数のセンサと各センサに対して備えられ目標の運動諸元を推定する複数の追尾フィルタとを有するセンサ群による観測情報、脅威情報および航跡情報を取得するステップと、前記センサ群から得られる、一部の航跡情報、観測情報、脅威情報を元に、センサの優先度を決めるステップと、センサの優先度を元に、どの観測情報または航跡情報を中央の追尾フィルタに伝送するかを決めるステップと、センサの優先度を元に、前記中央の追尾フィルタへ伝送する際の伝送容量を決めるステップと、決められた伝送容量まで航跡情報および観測情報を前記中央の追尾フィルタに伝送するステップと、前記センサ群から伝送された航跡情報および観測情報を各目標毎に整理するステップと、前記中央の追尾フィルタにおいて追尾処理を行い、各目標の航跡情報を算出して航跡情報を更新するステップと、センサの動作状態に係る評価値、センサの観測効果の評価値、センサ割当の評価値、目標の追尾性能評価値を算出するステップと、センサの動作状態に係る評価値、センサの観測効果の評価値、センサ割当の評価値と、目標の追尾性能評価値を元に、センサ群の動作制御を行うステップと、観測情報、脅威情報および航跡情報を取得するステップからセンサ群の動作制御を行うステップまでの処理を所定の終了条件に達するまで繰り返し制御するステップとを備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、中央の追尾フィルタとローカルセンサとの制限された伝送容量の中で、適切な伝送容量の配分を行うことにより、中央の追尾フィルタとローカルセンサの制限された伝送容量を持つ環境においても、センサシステム全体の高い追尾性能を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
図1に示す実施の形態1に係る追尾装置は、例えば、航空機がn個の目標(1)〜目標(n)から構成された目標群11に対し、これら目標(1)〜目標(n)を観測するm個のセンサと、各センサがそれぞれ保有し、目標の運動諸元を推定するm個の追尾フィルタとを有するセンサ群12と、センサ群12からの出力情報を用いてどのセンサのどの目標におけるどの情報を優先して出力するかのセンサの優先度を算出する航跡情報評価器13と、この航跡情報評価器13から出力されるセンサの優先度に基づいて各センサと後述する中央の追尾フィルタ16との間の通信回線におけるデータの伝送容量を、各センサの各目標に対し、どのように配分したらよいかのルールを決め、そのルールに基づいてセンサ群12中の各センサから中央の追尾フィルタ16へ伝送する情報の出力内容および伝送容量を制御するための制御信号をセンサ群12へ出力する通信伝送量評価器14と、前記センサ群12からの出力内容や伝送容量が制御された航跡情報や観測情報を入力し、各目標毎並びに各センサ毎に整理された航跡情報および観測情報を出力する観測情報・航跡情報統合器15と、この観測情報・航跡情報統合器15からの各目標毎並びに各センサ毎に整理された航跡情報および観測情報を用いて各目標毎に追尾計算を行い目標の航跡情報を更新する中央の追尾フィルタ16と、この中央の追尾フィルタ16から出力される各目標の更新後の航跡情報および各目標毎並びに各センサ毎に整理された観測情報を用いてセンサに係る評価値と目標に係る評価値を算出し、算出された評価値に基づいてセンサ群12の動作を制御する制御信号をセンサ群12に出力する追尾性能評価器17とを備えている。
【0015】
前述した構成において、センサ群12には、追尾性能評価器17からセンサの動作を制御する制御信号が入力される。また、センサ群12には、通信伝送量評価器14からセンサ群12中の各センサから中央の追尾フィルタ16へ伝送する航跡情報や観測情報の出力内容および伝送容量を制御するための制御信号が入力される。
【0016】
センサ群12における各センサは、例えばアクティブなセンサまたはパッシブなセンサなどを想定する。これらアクティブなセンサまたはパッシブなセンサにより目標を観測する。そして、各センサで得る観測情報は、複数の目標の観測情報および不要信号を含む。
【0017】
センサ群12における各センサは、追尾フィルタをそれぞれ保有する。そして、センサ群12では、センサ毎に保有する追尾フィルタを使用して追尾処理を行い、その追尾処理結果としてセンサ毎の航跡情報を得る。また、センサ群12における各センサは、センサ毎の観測情報を得る。そして、センサ群12は、通信伝送量評価器14から入力される、センサ群中の各センサから中央の追尾フィルタ16へ伝送する航跡情報や観測情報の出力内容および伝送容量を制御するための制御信号により、出力内容や伝送容量が制御された航跡情報や観測情報を、観測情報・航跡情報統合器15に出力する。
【0018】
ここで、航跡情報とは、カルマンフィルタの理論に基づき、追尾フィルタの計算結果である平滑ベクトル、平滑誤差共分散行列、予測ベクトル、予測誤差共分散行列、さらに、これら平滑ベクトル、平滑誤差共分散行列、予測ベクトルおよび予測誤差共分散行列から算出される航跡の信頼度、時刻である。
【0019】
また、観測情報とは、アクティブなセンサの場合、距離、仰角、方位角の観測位置、観測精度であり、パッシブなセンサの場合、仰角、方位角の観測位置、観測精度であり、さらに、レーダ信号処理の理論における雑音対信号比であるS/Nや、探知確率、誤警報確率、時刻なども含む。
【0020】
センサ群12では、各センサの航跡情報の一部、各センサの観測情報の一部、各センサの脅威情報を航跡情報評価器13に入力する。
【0021】
航跡情報評価器13では、センサ群12から得られる、各センサの航跡情報の一部、各センサの観測情報の一部、各センサの脅威情報を用いて、センサ群12における各センサおよび各目標の航跡情報、観測情報、脅威情報の内、どのセンサの、どの目標におけるどの情報を優先して出力するかのセンサの優先度を算出する。そして、センサの優先度を、後述の通信伝送量評価器14に入力する。
【0022】
通信伝送量評価器14では、航跡情報評価器13から入力されるセンサの優先度を元に、各センサと中央の追尾フィルタ16との間の通信回線におけるデータの伝送容量を、各センサの各目標に対し、どのように配分したらよいかのルール、つまり各センサの各目標に対する配分ルールを決める。例えばルールとは、高クラッタ中の旋回目標や密集目標には観測情報が多く必要なため、データの伝送容量を多く配分するといったルール、低クラッタ領域中の直進目標には、観測情報が少なくて良いため、データの伝送容量を少なく配分するといったルールなどである。そして、前記ルールに基づいて、センサ群12中の各センサから中央の追尾フィルタ16へ伝送する航跡情報や観測情報の出力内容および伝送容量を制御するための制御信号を、各センサ群12へ出力する。
【0023】
観測情報・航跡情報統合器15では、出力内容や伝送容量が制御された航跡情報や観測情報がセンサ群12より入力される。そして、各目標毎に、航跡情報および観測情報を整理し、その各目標毎に整理された航跡情報および観測情報を、後述の中央の追尾フィルタ16に入力する。
【0024】
中央の追尾フィルタ16には、観測情報・航跡情報統合器15から各目標毎に整理された航跡情報および観測情報が入力される。そして、中央の追尾フィルタ16では、各目標毎に整理された航跡情報および観測情報を用いて、各目標毎に追尾計算を行い、目標の航跡情報の更新を行う。さらに、更新後の航跡情報を追尾性能評価器17に入力する。また、各目標毎に整理された観測情報も追尾性能評価器17に入力する。
【0025】
さらに、追尾性能評価器17では、中央の追尾フィルタ16から入力された各目標の更新後の航跡情報および各目標毎に整理された観測情報を用いて、センサの動作状態に係る評価値、センサの観測効果の評価値、センサ割当の評価値、目標の航跡情報または追尾維持率などを用いた追尾性能評価値を算出し、これらの評価値を元に、センサ群12の動作を制御する制御信号をセンサ群12に入力する。例えば、追尾性能評価器17において、算出された各目標の追尾性能の評価指標により、目標の追尾性能が悪いと判定された場合、センサがその追尾性能が悪い目標を集中的に観測するように、センサの動作を制御する制御信号を出力する。
【0026】
図2は、実施の形態1に係る追尾動作の一例を示したフローチャートである。
まず、追尾処理が開始されると、センサ群12中の各センサは、観測情報および脅威情報を取得すると共に、各センサ毎に追尾処理を行い、航跡情報を取得する(ステップST1)。
【0027】
航跡情報評価器13は、センサ群12から得られる、一部の航跡情報、観測情報、脅威情報を元に、センサの優先度を決める(ステップST2)。
【0028】
次に、通信伝送量評価器14は、センサの優先度を元に、どの観測情報または航跡情報を中央の追尾フィルタ16に伝送するかを決める(ステップST3)。そして、センサの優先度を元に、中央の追尾フィルタ16へ伝送する際の伝送容量を決める(ステップST4)。
【0029】
センサ群12は、これに基づき決められた伝送容量まで、中央の追尾フィルタ16に、航跡情報および観測情報を伝送する(ステップST5)。
【0030】
観測情報・航跡情報統合器15は、センサ群12から伝送された航跡情報および観測情報を各目標毎に整理する(ステップST6)。
【0031】
そして、中央の追尾フィルタ16において、追尾処理を行い、各目標の航跡情報を算出し、その航跡情報を更新する(ステップST7)。
【0032】
次に、追尾性能評価器17は、センサの動作状態に係る評価値、センサの観測効果の評価値、センサ割当の評価値、目標の追尾性能評価値を算出する(ステップST8)。そして、センサの動作状態に係る評価値、センサの観測効果の評価値、センサ割当の評価値、つまりセンサに係る評価値と、目標の追尾性能評価値、つまり目標に係る評価値を元に、センサ群の動作制御を行う(ステップST9)。
【0033】
そして、上述した処理が終了か否かを判定して、終了と判定された場合は終了とし、終了でないと判定された場合は、時刻のカウンタを1つ足して、次の時刻の処理を行う(ステップST10、ステップST11)。なお、ステップST10において、kはサンプリング間隔のカウンタ、kendはサンプリング間隔のカウンタの終了条件を示す。
【0034】
以上のように、この実施の形態1によれば、大量の観測情報および航跡情報を必要とする場合、例えば、高クラッタ領域中の旋回目標や、密集している多目標など、追尾が比較的難しいケースでは、センサ群12から中央の追尾フィルタ16へのデータ伝送量を多くし、一方、大量の観測情報および航跡情報を必要としない場合、例えば、低クラッタ領域中の直進目標など追尾が比較的簡単なケースでは、センサ群12から中央の追尾フィルタ16へのデータ伝送量を少なくするなどして、中央の追尾フィルタ16とローカルセンサとの限定された伝送容量の中で、適切な伝送容量の配分を行い、限定されたセンサ群12から中央の追尾フィルタ16へのデータ伝送容量の中で、センサシステム全体の高い追尾性能を得ることが可能となる。
【0035】
つまり、この実施の形態1によれば、伝送容量が制限された環境下において、追尾が比較的難しいケースでは、大量の観測情報および航跡情報が必要なため、伝送容量の割り当てを多くし、追尾が比較的簡単なケースでは、逆に少量の観測情報および航跡情報で良いため、伝送容量の割り当てを少なくし、余った伝送容量を再度、追尾が比較的難しい目標に割り当てたりするといった、めりはりをつけた伝送容量の配分を行うことが可能となり、その結果、センサシステム全体の高い追尾性能を得ることが可能となる。また、限られた演算速度で演算可能なデータ量が得られる様に、伝送容量を制御することも可能となる。
【0036】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2に係る追尾装置について図面を参照しながら説明する。
図3は、この発明の実施の形態2に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
図3において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付して示し、その説明は省略する。新たな構成として、図3に示す実施の形態2では、航跡情報評価器13からのセンサの優先度を用いて通信伝送速度非対称型通信における上りと下りの伝送速度および伝送容量の情報を決め通信伝送量評価器14に出力する通信伝送量調整器18をさらに備えており、通信伝送量評価器14は、通信伝送量調整器18から入力される通信伝送速度非対称型通信における上りと下りの伝送速度および伝送容量の情報と、航跡情報評価器13から入力されるセンサの優先度を元に、センサ群12の各センサと中央の追尾フィルタ16との間の通信回線におけるデータの伝送容量を、各センサの各目標に対し、どのように配分したらよいかのルールを決めるようになされている。
【0037】
図3に示す構成において、通信伝送量調整器18では、航跡情報評価器13から入力される、センサ群12における各センサおよび各目標の航跡情報、観測情報、脅威情報の内、どのセンサの、どの目標におけるどの情報を出力するかを決定するセンサの優先度を用いて、センサ群12の各センサと中央の追尾フィルタ16との間の通信が、伝送速度が上りと下りで異なるような、通信伝送速度非対称型通信における上りと下りの伝送速度および伝送容量の情報を、通信伝送量評価器14に出力する。
【0038】
通信伝送量評価器14では、通信伝送量調整器18から入力される、通信伝送速度非対称型通信における上りと下りの伝送速度および伝送容量の情報と、航跡情報評価器13から入力されるセンサの優先度を元に、各センサと中央の追尾フィルタ16との間の通信回線におけるデータの伝送容量を、各センサの各目標に対し、どのように配分したらよいかのルールを決める。そして、そのルールに基づいて、センサ群12中の各センサから中央の追尾フィルタ16へ伝送する航跡情報や観測情報の出力内容および伝送容量を制御するための制御信号を、各センサ群12へ出力する。
【0039】
したがって、この実施の形態2によれば、通信伝送速度非対称型通信における通信の伝送特性を生かして、中央の追尾フィルタ16とローカルセンサとの限定された伝送容量の中で、適切な伝送容量の配分を行うことにより、限定されたセンサ群12から中央の追尾フィルタ16へのデータ伝送容量の中で、センサシステム全体の高い追尾性能を得ることが可能となる。
【0040】
つまり、この実施の形態2によれば、通信伝送速度非対称型通信を使用し、かつ、センサ群12の各センサから中央の追尾フィルタ16への限定されたデータ伝送容量の中で、適切な伝送容量の配分を行うことで、センサシステム全体の高い追尾性能を得ることが可能となるため、その効果は大きい。また、通信伝送速度非対称型通信は一般的に広く用いられているため、この発明の汎用性は高く、安価でセンサシステムを構築できるといった効果がある。
【0041】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3に係る追尾装置について図面を参照しながら説明する。
図4は、この発明の実施の形態3に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
図4において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付して示し、その説明は省略する。新たな構成として、図4に示す実施の形態3では、追尾性能評価器17で算出されたセンサに係る評価値と目標に係る評価値を用いて、センサ群12の各センサにおける航跡情報が中央の追尾フィルタ16から得られる最新の航跡情報に比べて精度が悪い場合に最新の航跡情報で上書きすることを決定し、決定したセンサに対し最新の航跡情報で上書きするようセンサ群12に制御信号を出力する航跡情報制御器19をさらに備えている。
【0042】
図4に示す構成において、航跡情報制御器19では、追尾性能評価器17から、センサの動作状態に係る評価値、センサの観測効果の評価値、センサ割当の評価値、目標の追尾性能評価値、センサ群12の動作を制御する制御信号と、航跡情報が入力される。そして、センサの動作状態に係る評価値、センサの観測効果の評価値、センサ割当の評価値、目標の追尾性能評価値を用いて、センサ群12における各センサの航跡情報を中央の追尾フィルタ16から得られる最新の航跡情報で上書きするか否かの決定を行う。そして、最新の航跡情報で上書きすると決定されたセンサについて、最新の航跡情報で上書きするような制御信号をセンサ群12に出力する。ここで、最新の航跡情報で上書きされると決定された、センサ群12の各センサにおける航跡情報は、最新の航跡情報に比べて、航跡の精度が悪いものが選択される。そして、航跡情報制御器19では、センサ群12の動作を制御する制御信号をセンサ群12に出力する。
【0043】
したがって、この実施の形態3によれば、観測精度が悪いセンサから得られた航跡精度が悪い航跡を、中央の追尾フィルタ16で算出された航跡精度の良い航跡で上書きすることにより、航跡が上書きされたセンサの追尾性能が向上し、その結果、センサシステム全体の高い追尾性能を得ることが可能となる。
【0044】
つまり、この実施の形態3によれば、航跡精度が悪い航跡を航跡精度が良い航跡で上書きするといった簡易な処理により、センサシステム全体の高い追尾性能が得られるため、その効果は大きい。
【0045】
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4に係る追尾装置について図面を参照しながら説明する。
図5は、この発明の実施の形態4に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
図5において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付して示し、その説明は省略する。新たな構成として、図5に示す実施の形態3では、航跡情報評価器13からのセンサの優先度を用いて、センサ群12の各センサから中央の追尾フィルタ16へ伝送する際のサンプリング間隔を変える制御信号を通信伝送量評価器14へ出力するサンプリング制御器20をさらに備えており、通信伝送量評価器14は、サンプリング制御器20から入力される制御信号と、航跡情報評価器13から入力されるセンサの優先度を元に、センサ群12の各センサと中央の追尾フィルタ16との間の通信回線におけるデータの伝送容量を、各センサの各目標に対し、どのように配分したらよいかのルール、つまり各センサの各目標に対する配分ルールを決め、そのルールに基づいて、センサ群12中の各センサから中央の追尾フィルタ16へ伝送する航跡情報や観測情報の出力内容、伝送容量および伝送タイミングを制御するための制御信号をセンサ群12へ出力するようになされている。
【0046】
図5に示す構成において、サンプリング制御器20では、航跡情報評価器13から入力されるセンサの優先度を用いて、各センサから中央の追尾フィルタ16へ伝送する際のサンプリング間隔を変える制御信号を、通信伝送量評価器14へ出力する。
通信伝送量評価器14では、サンプリング制御器20から入力される、各センサから中央の追尾フィルタ16へ伝送する際のサンプリング間隔を変える制御信号と、航跡情報評価器13から入力されるセンサの優先度を元に、各センサと中央の追尾フィルタ16との間の通信回線におけるデータの伝送容量を、各センサの各目標に対し、どのように配分したらよいかのルールを決める。そして、そのルールに基づいて、センサ群12中の各センサから中央の追尾フィルタ16へ伝送する航跡情報や観測情報の出力内容および伝送容量を制御するための制御信号を、センサ群12の各センサへ出力する。
【0047】
したがって、この実施の形態4によれば、十分な航跡精度が得られており、かつサンプリング間隔が細かい航跡情報に対し、伝送する航跡情報を間引くことにより、伝送量が少なくなり、中央の追尾フィルタ16での追尾計算の演算時間が削減される。また、この実施の形態4によれば、十分な航跡精度が得られており、かつサンプリング間隔が細かい航跡情報に対し、伝送する航跡情報を間引くことにより、間引いた分余裕のできる伝送容量を、他の航跡精度が悪い航跡情報に割り当てることにより、センサシステム全体の高い追尾性能を得ることが可能となる。
【0048】
つまり、この実施の形態4によれば、十分な航跡精度が得られている状況で伝送する航跡情報を間引き、間引いた分余裕が出た伝送容量を他の航跡精度が悪い航跡に割り当て、その割り当てた航跡の航跡精度を向上させることが可能となるため、その効果は大きい。
【0049】
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態5に係る追尾装置について図面を参照しながら説明する。
図6は、この発明の実施の形態5に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
図6において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付して示し、その説明は省略する。新たな構成として、図6に示す実施の形態5では、航跡情報評価器13からのセンサの優先度を用いて、追尾状況や観測状況に応じて、航跡情報と観測情報からなる情報の内、どの情報をより多く送るかの配分を決め、その配分を決める制御信号を、通信伝送量評価器14に出力すると共に、追尾状況や観測状況に応じて、中央の追尾フィルタ16での航跡統合を航跡統合方式により行うか探知データ統合方式により行うかの制御信号を、中央の追尾フィルタ16へ出力する第1の観測情報・航跡情報制御器21をさらに備えており、通信伝送量評価器14は、第1の観測情報・航跡情報制御器21から入力される制御信号と、航跡情報評価器13から入力されるセンサの優先度を元に、航跡情報と観測情報からなる情報の内、どの情報を多く伝送するかの配分を決め、その配分にしたがってセンサ群12から出力される航跡情報と観測情報との配分を制御するための制御信号を前記センサ群12へ出力し、中央の追尾フィルタ16は、第1の観測情報・航跡情報制御器21から入力される制御信号に基づいて追尾計算の際の統合方式を決める。
【0050】
図6に示す構成において、第1の観測情報・航跡情報制御器21では、航跡情報評価器13から入力されるセンサの優先度を用いて、追尾状況や観測状況に応じて、航跡情報と観測情報からなる情報の内、どの情報をより多く送るかの配分を決め、その配分を決める制御信号を、通信伝送量評価器14に出力する。さらに、第1の観測情報・航跡情報制御器21では、追尾状況や観測状況に応じて、中央の追尾フィルタ16での統合方式を、航跡統合方式により行うか探知データ統合方式により行うかの制御信号を、中央の追尾フィルタ16へ出力する。なお、航跡統合方式および探知データ統合方式については、後に詳述する。
【0051】
ここで、追尾状況や観測状況とは、図7に示すような高クラッタ領域中の旋回目標や、密集している多目標や、低クラッタ領域中の直進目標などである。高クラッタ領域中の旋回目標や、密集している多目標については、詳細な観測情報や航跡情報を伝送する必要ある場合であり、低クラッタ領域中の直進目標については、詳細な観測情報や航跡情報を伝送する必要がない場合である。
【0052】
また、航跡情報は、平滑ベクトル、平滑誤差共分散行列、予測ベクトル、予測誤差共分散行列、さらに、平滑ベクトルおよび平滑誤差共分散行列および予測ベクトルおよび予測誤差共分散行列から算出される航跡の信頼度である。
【0053】
また、観測情報とは、アクティブなセンサの場合、距離、仰角、方位角の観測位置、観測精度であり、パッシブなセンサの場合、仰角、方位角の観測位置、観測精度であり、さらに、レーダ信号処理の理論における雑音対信号比であるS/Nや、探知確率、誤警報確率なども、観測情報に含む。
【0054】
ここで、カルマンフィルタの理論における状態ベクトルを位置、速度からなる6次元のベクトルとした時、平滑ベクトルは6行1列のベクトル、平滑誤差共分散行列は6行6列の行列、予測ベクトルは6行1列のベクトル、予測誤差共分散行列は6行6列の行列となる。ただし、平滑誤差共分散行列と予測誤差共分散行列は、線形代数学における実対称行列であるとする。実対称行列では、行列Aの成分のi行j列の成分をA(i、j)とした時、A(i、j)=A(j、i)が成立する。
【0055】
例えば、あるセンサから1目標分の航跡情報として、平滑ベクトル、平滑誤差共分散行列、予測ベクトル、予測誤差共分散行列、航跡の信頼度を中央の追尾フィルタ16に伝送する場合、平滑ベクトルの成分については6成分、予測ベクトルについては6成分、平滑誤差共分散行列については21成分、予測誤差共分散行列については21成分、航跡の信頼度については1成分、時刻については1成分、合計、58成分からなる数値データを伝送する場合がある。
【0056】
また、あるアクティブなセンサから1つの観測情報として、距離、仰角、方位角の観測位置および観測精度の成分については6成分、S/N、探知確率、誤警報確率、時刻の成分については4成分、合計10成分からなる数値データを伝送する場合がある。
【0057】
よって、航跡情報の伝送量に比べ観測情報の数が多い場合や、航跡情報の伝送量に比べ観測情報の数が少ない場合などが考えられる。
ここで、例えば、図7における低クラッタ領域を直進する目標を、センサ群12中のある1センサにおいて観測を行い、そして、高サンプリングレートで観測値を得て、追尾計算を行った場合は、低サンプリングレートで観測値を得て、追尾計算を行った場合に比べて、航跡情報の精度が良いことが予想される。
【0058】
また同様に、図7における低クラッタ領域を直進する目標を、センサ群12中のある近距離のレーダで観測を行い、観測値を得て、追尾計算を行う場合は、遠距離のレーダで観測を行い、観測値を得て、追尾計算を行った場合に比べて、航跡情報の精度が良いことが想定される。そのため、近距離のレーダから高サンプリングレートで観測値を得て、追尾計算を行う場合の航跡情報は、十分良い精度で得られるため、中央の追尾フィルタ16に伝送する情報は、平滑ベクトルの成分についての6成分と、時刻の1成分の合計7成分だけでよいと考えられる。
【0059】
すなわち、航跡情報の精度が十分良い場合、伝送するデータが少なくて良いことが想定され、中央の追尾フィルタ16で再度、複数のセンサから得られる航跡情報を全て用いて、再計算を行う必要はない。
【0060】
逆に、図7における高クラッタ環境や密集目標に対処する場合、各センサから得られる航跡情報を中央の追尾フィルタ16に集め、中央の追尾フィルタ16において、航跡統合方式により統合すると、逆に悪くなるケースがある。その場合、各センサから得られる観測情報を中央の追尾フィルタ16に集め、中央の追尾フィルタ16において、探知データ方式により統合した方が、航跡情報の精度が向上することが想定される。
【0061】
図8に航跡統合方式の概念図、図9に探知データ統合方式の概念図をそれぞれ示す。なお、図8及び図9において、探知データは観測情報を表す。
図8において、時刻t1からt4まで等速直線運動を行う1目標を、センサ群12のセンサ(1)とセンサ(2)から観測した場合に、センサ(1)での観測結果だけで航跡を作成した、センサ(1)の航跡と、センサ(2)での観測結果だけで航跡を作成した、センサ(2)の航跡が得られるとする。
【0062】
このセンサ(1)の航跡とセンサ(2)の航跡は同一目標を表すものとする。この時、センサ(1)の航跡とセンサ(2)の航跡は、目標以外のフォールスつまり不要信号を用いて、航跡が作られている様子をあらわす。このように、目標以外のフォールスに誤追尾して作成されたセンサ(1)の航跡と、同様に、目標以外のフォールスに誤追尾して作成されたセンサ(2)の航跡を統合した場合、その統合した航跡は大きくがたつく。つまり、統合航跡の航跡情報の精度が悪くなる。
【0063】
このように、航跡統合方式では、図10に示すように、各センサにおいて、センサ間で観測情報を共有しないで、それぞれ独立に追尾計算を行い、それぞれ独立に航跡を算出して、それら航跡を中央の追尾フィルタ16で統合して、航跡を算出する方式である。
【0064】
次に、図9において、時刻t1からt4まで等速直線運動を行う1目標を、センサ群12のセンサ(1)とセンサ(2)から観測した場合を、図8と同様に想定する。この場合、各センサの探知データを、図11に示すように、中央の追尾フィルタ16に集め、それら探知データから、各センサ間の観測情報を共有して、中央の追尾フィルタ16で航跡を算出する方式である。
【0065】
このように、実施の形態5では、第1の観測情報・航跡情報制御器21により、追尾状況や観測状況に応じて、航跡情報と観測情報からなる情報の内、どの情報をより多く送るかの配分を決め、さらに、追尾状況や観測状況に応じて、中央の追尾フィルタ16で航跡統合方式を行うか探知データ統合方式を行うかの制御を行うことにより、センサシステム全体の高い追尾性能を得ることが可能となる。
【0066】
つまり、この実施の形態5によれば、追尾状況や観測状況に応じて、探知データ統合方式および航跡統合方式の内のどの方式を行うかの制御を行うことでセンサシステム全体の高い追尾性能を得ることができるため、その効果は大きい。
【0067】
実施の形態6.
次に、この発明の実施の形態6に係る追尾装置について図面を参照しながら説明する。
図12は、この発明の実施の形態6に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
図12において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付して示し、その説明は省略する。新たな構成として、図12に示す実施の形態6では、航跡情報評価器13から入力されるセンサの優先度を用いて、追尾状況や観測状況に応じて、航跡情報と観測情報からなる情報の内、密集目標であると判断された場合、密集目標であることを考慮して、航跡情報と観測情報からなる情報の内、どの情報をより多く送るかの配分を決め、その配分を決める制御信号を、通信伝送量評価器14に出力すると共に、密集目標であると判断した場合、中央の追尾フィルタ16でグループトラックを行うための制御信号を、中央の追尾フィルタ16へ出力する第2の観測情報・航跡情報制御器22をさらに備えており、通信伝送量評価器14は、第2の観測情報・航跡情報制御器22から入力される制御信号と、航跡情報評価器13から入力されるセンサの優先度を元に、航跡情報および観測情報からなる情報の内、どの情報を多く送るかの配分を決め、当該配分にしたがってセンサ群12から出力される航跡情報と観測情報との配分を制御するための制御信号をセンサ群12へ出力し、中央の追尾フィルタ16は、第2の観測情報・航跡情報制御器22から入力される制御信号に基づいてグループトラックを行うようになされている。
【0068】
ここで、グループトラックの概念図を図13に示す。グループトラックとは、密集した複数の目標の重心を求め、その密集目標群の重心を追尾することにより、密集目標群全体を追尾する方法である。密集目標は、目標間の距離が近いため、1つ1つの目標を追尾した場合、かえって、航跡精度が悪くなる場合があり、その影響で追尾を維持できない場合が想定される。そのため、グループトラックを行えば、密集目標群の重心を追尾することによって、追尾の維持を確保することが可能である。また、グループトラックを行うことにより、複数の目標を1つにまとめて追尾することができるため、中央の追尾フィルタ16における演算負荷が軽減される。
【0069】
したがって、実施の形態6によれば、密集目標群の重心を追尾するグループトラックを用いることで、密集目標群の追尾の維持が可能である。また、中央の追尾フィルタ16における演算負荷が軽減される。
【0070】
つまり、この実施の形態6によれば、グループトラックにより、密集目標をまとめて追尾することが可能となり、演算負荷が軽減されるため、その効果は大きい。
【0071】
実施の形態7.
次に、この発明の実施の形態7に係る追尾装置について図面を参照しながら説明する。
図14は、この発明の実施の形態7に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
図14において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付して示し、その説明は省略する。新たな構成として、図14に示す実施の形態7では、追尾性能と観測情報数の関係から決定される、センサ群12中の各センサから中央の追尾フィルタ16への伝送量の配分を決める重みの情報を予め格納した第1のデータベース23と、第1のデータベース23から追尾性能と観測情報数の情報に応じた、各センサから中央の追尾フィルタへの伝送量の配分を決める重みの情報を得て、当該伝送量の配分を決める重みの情報と航跡情報評価器13から入力されるセンサの優先度を用いて、追尾状況や観測状況に応じて、航跡情報と観測情報からなる情報の内、どの情報をより多く送るかの配分を決める制御信号を通信伝送量評価器14へ出力する第3の観測情報・航跡情報制御器24をさらに備えており、通信伝送量評価器14は、第3の観測情報・航跡情報制御器24から入力される制御信号と、航跡情報評価器13から入力されるセンサの優先度を元に、航跡情報および観測情報からなる情報の内、どの情報を多く送るかの配分を決め、当該配分にしたがってセンサ群から出力される航跡情報と観測情報との配分を制御するための制御信号をセンサ群12へ出力するようになされている。
【0072】
図14に示す構成において、第1のデータベース23では、追尾性能と観測情報数の関係から決定される、センサ群12中の各センサから中央の追尾フィルタ16への伝送量の配分を決める重みの情報をデータベースとして蓄えておく。
第3の観測情報・航跡情報制御器24では、第1のデータベース23へ、追尾性能と観測情報数の情報を入力する。そして、その結果、第1のデータベース23から、センサ群12中の各センサから中央の追尾フィルタ16への伝送量の配分を決める重みの情報を得る。さらに、第3の観測情報・航跡情報制御器24では、このセンサ群12中の各センサから中央の追尾フィルタ16への伝送量の配分を決める重みの情報と、航跡情報評価器13から入力されるセンサの優先度を用いて、追尾状況や観測状況に応じて、航跡情報と観測情報からなる情報の内、どの情報をより多く送るかの配分を決める制御信号を、通信伝送量評価器14に入力する。
【0073】
したがって、この実施の形態7によると、追尾性能と観測情報数の関係から決定される、センサ群12中の各センサから中央の追尾フィルタ16への伝送量の配分を決める重みの情報をあらかじめデータベースとして持っておき、そのデータベースを参照することで、各センサから中央の追尾フィルタ16への伝送量の配分を早く実行することができ、センサシステム全体の演算負荷が軽減される。そのため、その効果は大きい。
【0074】
実施の形態8.
次に、この発明の実施の形態8に係る追尾装置について図面を参照しながら説明する。
図15は、この発明の実施の形態8に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
図15において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付して示し、その説明は省略する。図15に示す実施の形態8では、センサ群12内に、センサ群のうち、追尾性能評価器17からの制御信号に基づいて動作するセンサ(1)〜(i)及び追尾フィルタ(1)〜(i)に対し、航跡情報を図10に示す航跡統合方式により統合して統合航跡を観測情報・航跡情報統合器15に出力する第1の航跡統合器25を有する第1のセンサ群12−aを備えている。なお、iは2以上の整数であり、i<mである。
【0075】
すなわち、この実施の形態8では、センサ群12内に、当該センサ群を構成する数より少ない数の複数のセンサ及び追尾フィルタに対し、航跡情報を航跡統合方式により統合した統合航跡を観測情報・航跡情報統合器15に出力する第1の航跡統合器25を有する第1のセンサ群12−aを備えている。
【0076】
図15に示す構成において、センサ群12では、追尾性能評価器17から入力される制御信号を元に動作する第1のセンサ群12−aを構成する。そして、第1の航跡統合器25では、第1のセンサ群12−a内の、センサ(1)の追尾フィルタ(1)、センサ(2)の追尾フィルタ(2)、・・・、センサ(i)の追尾フィルタ(i)から航跡情報が入力されるものとする。そして、第1の航跡統合器25では、追尾フィルタ(1)、・・・、追尾フィルタ(i)から入力される航跡情報を、図10における航跡統合方式により統合して、その統合航跡を観測情報・航跡情報統合器15に出力する。
【0077】
したがって、この実施の形態8によれば、センサ群12内で事前に航跡統合を行っておくことで、センサ群12から中央の追尾フィルタ16へのデータ量が削減されるため、センサシステム全体の演算負荷およびセンサ群12から中央の追尾フィルタ16への通信負荷が低減される。
【0078】
つまり、この実施の形態8によれば、事前にセンサ群12の一部で航跡統合を行っておくことで、センサシステム全体の演算負荷およびセンサ群12から中央の追尾フィルタ16への伝送負荷が軽減されるため、その効果は大きい。
【0079】
実施の形態9.
次に、この発明の実施の形態9に係る追尾装置について図面を参照しながら説明する。
図16は、この発明の実施の形態9に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
図16において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付して示し、その説明は省略する。図16に示す実施の形態9では、センサ群12内に、センサ群のうち、追尾性能評価器17からの制御信号に基づいて動作するセンサ(1)〜(i)及び追尾フィルタ(1)〜(i)に対し、観測情報を用いて、図11における探知データ統合方式により統合した統合航跡を観測情報・航跡情報統合器15に出力する第1の探知データ統合器26を有する第2のセンサ群12−bを備えている。なお、iは2以上の整数であり、i<mである。
【0080】
すなわち、この実施の形態9では、センサ群12内に、当該センサ群を構成する数より少ない数の複数のセンサ及び追尾フィルタに対し、観測情報を用いて探知データ統合方式により統合した統合航跡を観測情報・航跡情報統合器15に出力する第1の探知データ統合器26を有する第2のセンサ群12−bを備えている。
【0081】
図16に示す構成において、センサ群12では、追尾性能評価器17から入力される制御信号を元に動作する第2のセンサ群12−bを構成する。そして、第1の探知データ統合器26では、第2のセンサ群12−b内の、センサ(1)の追尾フィルタ(1)、センサ(2)の追尾フィルタ(2)、・・・、センサ(i)の追尾フィルタ(i)から、観測情報が入力されるものとする。そして、第1の探知データ統合器26では、追尾フィルタ(1)、・・・、追尾フィルタ(i)から入力される観測情報を、図11における探知データ統合方式により統合して、その統合航跡を観測情報・航跡情報統合器15に出力する。
【0082】
したがって、この実施の形態9によれば、センサ群12内で事前に探知データ統合を行っておくことで、センサ群12から中央の追尾フィルタ16へのデータ量が削減されるため、センサシステム全体の演算負荷および、センサ群12から中央の追尾フィルタ16への伝送負荷が低減される。
【0083】
つまり、この実施の形態9によれば、事前にセンサ群12の一部で探知データ統合を行っておくことで、センサシステム全体の演算負荷およびセンサ群12から中央の追尾フィルタ16への伝送負荷が軽減されるため、その効果は大きい。
【0084】
実施の形態10.
次に、この発明の実施の形態10に係る追尾装置について図面を参照しながら説明する。
図17は、この発明の実施の形態10に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
図17において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付して示し、その説明は省略する。新たな構成として、図17に示す実施の形態10では、中央の追尾フィルタ16から得られる航跡情報及び観測情報を格納する航跡情報・観測情報データベース27と、中央の追尾フィルタ16からの航跡情報及び観測情報と、航跡情報・観測情報データベース27からの航跡情報及び観測情報とに基づいて航跡情報及び観測情報の目標についての仮説を作成する仮説処理器28とをさらに備えており、中央の追尾フィルタ16は、仮説処理器28からの仮説を用いて追尾計算を行うようになされている。
【0085】
図17に示す構成において、航跡情報・観測情報データベース27では、中央の追尾フィルタ16から、時々刻々と得られる航跡情報および観測情報が、図18の(A)の矢印の向きで入力され、その航跡情報および観測情報を格納する。
【0086】
次に、仮説処理器28では、中央の追尾フィルタ16から目標の観測情報および航跡情報が、図18の(B)の矢印の向きで入力され、どの航跡情報および観測情報がどの目標に相当するかの仮説を、事前に決めた時間において作成する。
【0087】
そして、仮説処理器28では、どの航跡情報および観測情報がどの目標に相当するかの仮説に基づいて、現時刻より数サンプリング前の航跡情報および観測情報を、航跡情報・観測情報データベース27から出力させる制御信号を、図18の(C)の向きで、航跡情報・観測情報データベース27に入力する。
【0088】
航跡情報・観測情報データベース27では、仮説処理器28から入力された、現時刻より数サンプリング前の航跡情報を、航跡情報・観測情報データベース27から出力させる制御信号を元に、図18の(D)の矢印の向きで、仮説処理器28へと出力する。
【0089】
そして、仮説処理器28では、現時刻より数サンプリング前の航跡情報および観測情報を、再度、図18(E)の矢印の向きで、中央の追尾フィルタ16へと出力する。また、仮説処理器28では、中央の追尾フィルタ16において、数サンプリング前の航跡情報および観測情報と、どの航跡情報および観測情報がどの目標に相当するかの仮説を用いて、追尾計算を行う制御信号を中央の追尾フィルタ16に入力する。
【0090】
ここで、航跡情報・観測情報データベース27と仮説処理器28を用いた場合の効果を図18、図19、図20を用いて説明を行う。
【0091】
図18は、目標1がAからEまで移動し、目標2がBからDまで移動し、目標1と目標2がCで交差する場合の、目標1の真軌跡と目標2の真軌跡を表している。
図19は、目標1と目標2が交差点C付近において、目標1の追尾航跡が目標2の観測値に誤追尾している状況、同様に、目標2の追尾航跡が目標1の観測値に誤追尾している状況を表す。
図20は、図19の時点で、目標1、目標2が誤追尾していても、数サンプリング後の観測情報および航跡情報を用いることで、目標1の追尾航跡を目標1の真軌跡に、同様に、目標2の追尾航跡を目標2の真軌跡に近づけることができる状況を表している。
【0092】
したがって、この実施の形態10によれば、過去の航跡情報および観測情報をデータべースとして蓄えておき、現時刻における追尾性能が悪くても、数サンプリング後に新たに得られた航跡情報および観測情報と、データベースに蓄えていた航跡情報および観測情報と、どの航跡情報および観測情報がどの目標に相当するかの仮説を用いて、中央の追尾フィルタ16で追尾計算を行うことにより、センサシステム全体の追尾性能が向上する。
【0093】
つまり、この実施の形態10によれば、過去の航跡情報および観測情報、をデータベースとして蓄えておき、データベースに蓄えている航跡情報および観測情報と用いて、どの航跡情報および観測情報がどの目標に相当するかの仮説を用いることで、中央の追尾フィルタ16で追尾計算を行うことにより、センサシステム全体の追尾性能向上が可能となるため、その効果は大きい。
【0094】
実施の形態11.
次に、この発明の実施の形態11に係る追尾装置について図面を参照しながら説明する。
図21は、この発明の実施の形態11に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
図21において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付して示し、その説明は省略する。新たな構成として、図21に示す実施の形態11では、センサ群12内に、センサ・追尾フィルタ29を新たに追加しており、新たに追加したセンサ・追尾フィルタ29では、追尾性能評価器17からの制御信号を元にセンサの配置箇所を決め、航跡情報および観測情報および時刻を出力するようになされている。
いる。
【0095】
図22に、新たに追加したセンサ・追尾フィルタ29の効果を説明する概念図を示す。
図22は、既存のセンサに新たなセンサを追加したときの目標の観測状況を表す。
図22において、既存のセンサ(1)がA点にあり、C点の目標を観測している。ここで、図12において、A点のセンサ(1)からC点の目標を観測する際、その観測誤差の分布は、図22のセンサ(1)の誤差楕円のような形状を持って分布する。ここで、AC方向がセンサ(1)に関するレンジ方向、BC方向がセンサ(1)に関するクロスレンジ方向となる。一般に、アクティブセンサの場合、クロスレンジ方向に比べて、レンジ方向の誤差は小さい。そのため、センサ(1)に関するクロスレンジ方向の誤差を抑圧する目的で、新たなセンサとして、センサ(2)を、センサ(2)のレンジ方向BCが、センサ(1)のクロスレンジ方向BCとなるように追加して配置する。
【0096】
したがって、実施の形態11によれば、センサ(1)とセンサ(2)の観測情報を使用することにより、クロスレンジ誤差を抑圧することができる。
【0097】
つまり、この実施の形態11によれば、追尾性能が悪い場合、センサを追加配置させることで、追尾性能が向上させることができるため、その効果は大きい。
【0098】
実施の形態12.
次に、この発明の実施の形態12に係る追尾装置について図面を参照しながら説明する。
図23は、この発明の実施の形態12に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
図23において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付して示し、その説明は省略する。新たな構成として、図23に示す実施の形態12では、航跡情報評価器13から入力されるセンサの優先度を元に、追尾対象目標の周りのある限られた領域内の観測情報だけ出力するための制御信号を通信伝送量評価器14に出力する第1の伝送データ領域調整器30をさらに備えており、通信伝送量評価器14は、第1の伝送データ領域調整器30からの制御信号と、航跡情報評価器13からのセンサの優先度を用いて、各センサと中央の追尾フィルタ16との間の通信回線におけるデータの伝送容量を、各センサの各目標に対し、どのように配分したらよいかのルール、つまり各センサの各目標に対する配分ルールを決め、そのルールに基づいて、センサ群12中の各センサから中央の追尾フィルタ16へ伝送する航跡情報や観測情報の出力内容および伝送容量を制御するための制御信号をセンサ群12へ出力するようになされている。
【0099】
図23に示す構成において、第1の伝送データ領域調整器30には、航跡情報評価器13から入力されるセンサの優先度が入力される。第1の伝送データ領域調整器30では、航跡情報評価器13から入力されるセンサの優先度を元に、追尾対象目標の周りのある限られた領域内の観測情報だけ出力するための制御信号を、通信伝送量評価器14に入力する。
【0100】
そして、通信伝送量評価器14では、第1の伝送データ領域調整器30から入力される、追尾対象目標の周りのある限られた領域内の観測情報だけ出力するための制御信号と、航跡情報評価器13から入力されるセンサの優先度を用いて、各センサと中央の追尾フィルタ16との間の通信回線におけるデータの伝送容量を、各センサの各目標に対し、どのように配分したらよいかのルールを決める。そして、そのルールに基づいて、センサ群12中の各センサから中央の追尾フィルタ16へ伝送する航跡情報や観測情報の出力内容および伝送容量を制御するための制御信号を、各センサ群12へ出力する。
【0101】
したがって、実施の形態12によれば、センサ群12から、追尾対象目標の周りのある限られた領域内の観測情報だけ出力することにより、センサシステム全体の通信伝送量および演算負荷を抑えることができため、その効果は大きい。
【0102】
実施の形態13.
次に、この発明の実施の形態13に係る追尾装置について図面を参照しながら説明する。
図24は、この発明の実施の形態13に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
図24において、図23に示す実施の形態12と同一部分は同一符号を付して示し、その説明は省略する。新たな構成として、図24に示す実施の形態13では、第1の伝送データ領域調整器30から入力される、追尾対象目標の周りのある限られた領域内の観測情報だけ出力するための制御信号と、観測情報・航跡情報統合器15から入力される、各目標毎に整理された航跡情報および観測情報とに基づいて、第1の伝送データ領域調整器30において使用した、追尾対象目標の周りのある限られた領域より、さらに小さい領域を追尾処理用の領域として設定して、設定した追尾処理用の領域内の観測情報のみ使用するための制御信号を、中央の追尾フィルタ16に出力する第2の伝送データ領域調整器31をさらに備えており、中央の追尾フィルタ16は、その制御信号に基づいて限られた追尾処理用の領域内の観測情報のみを使用して追尾処理を行うようになされている。
【0103】
図24に示す構成において、第2の伝送データ領域調整器31には、第1の伝送データ領域調整器30から、追尾対象目標の周りのある限られた領域内の観測情報だけ出力するための制御信号が入力される。また、観測情報・航跡情報統合器15から、各目標毎に整理された航跡情報および観測情報が入力される。そして、第2の伝送データ領域調整器31は、これら入力に基づいて第1の伝送データ領域調整器30において使用した、追尾対象目標の周りのある限られた領域より、さらに小さい領域を追尾処理用の領域として設定し、設定した追尾処理用の領域内の観測情報のみ使用するための制御信号を、中央の追尾フィルタ16に入力する。
【0104】
したがって、実施の形態13によれば、中央の追尾フィルタ16において、センサ群12から、追尾対象目標の周りのある限られた領域よりも、さらに限られた追尾処理用の領域内の観測情報のみを使用して、追尾処理を行うことにより、センサシステム全体の演算負荷を抑えることができる。
【0105】
つまり、実施の形態13によれば、追尾処理用の領域内の観測情報のみを使用して、追尾処理を行うため、センサシステム全体の演算負荷を抑えることができることから、その効果は大きい。
【0106】
実施の形態14.
次に、この発明の実施の形態14に係る追尾装置について図面を参照しながら説明する。
図25は、この発明の実施の形態14に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
図25において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付して示し、その説明は省略する。新たな構成として、図25に示す実施の形態14では、観測情報・航跡情報統合器15から入力される、各目標毎に整理された航跡情報および観測情報と、センサ群12から入力される、目標の脅威情報とを用いて、観測領域毎に、図11に示す探知データ統合方式と、図10に示す航跡統合方式による追尾処理を行うための制御信号を、中央の追尾フィルタ16に出力するデータ融合方式調整器32をさらに備えており、中央の追尾フィルタ16は、データ融合方式調整器32からの制御信号に基づいて、観測領域毎に、探知データ統合方式と航跡統合方式とによる追尾処理を行うようになされている。
【0107】
図25に示す構成において、データ融合方式調整器32には、観測情報・航跡情報統合器15から、各目標毎に整理された航跡情報および観測情報が入力される。また、データ融合方式調整器32には、センサ群12から、目標の脅威情報が入力される。データ融合方式調整器32では、観測情報・航跡情報統合器15から入力された、各目標毎に整理された航跡情報および観測情報と、センサ群12から入力された、目標の脅威情報とを用いて、観測領域毎に、探知データ統合方式と、航跡統合方式とによる追尾処理を行うための制御信号を、中央の追尾フィルタ16に出力する。
【0108】
したがって、実施の形態14によれば、中央の追尾フィルタ16において、観測領域毎に、探知データ統合方式と、航跡統合方式とによる追尾処理を行うことで、追尾性能が悪い航跡情報の精度の向上と、制限された演算量の範囲内での追尾処理を行うことが可能となる。
【0109】
実施の形態15.
次に、この発明の実施の形態15に係る追尾装置について図面を参照しながら説明する。
図26は、この発明の実施の形態15に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
図26において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付して示し、その説明は省略する。新たな構成として、図26に示す実施の形態15では、センサ群12から得られる、各センサの航跡情報の一部、観測情報の一部、脅威情報を入力し、各センサの航跡情報の一部と観測情報の一部を用いて、目標とセンサを結ぶベクトルを求め、目標とあるセンサを結ぶベクトルと、目標とある他のセンサを結ぶベクトルとの内積に基づいて観測情報の優劣を判定し、その判定結果を通信伝送量評価器14に出力する第1のセンサ選択調整器33をさらに備えており、通信伝送量評価器14は、第1のセンサ選択調整器33から入力される観測情報の優劣の判定結果と、航跡情報評価器13から入力されるセンサの優先度を元に、各センサと中央の追尾フィルタ16との間の通信回線におけるデータの伝送容量を、各センサの各目標に対する配分ルールを決めて制御するための制御信号をセンサ群12へ出力するようになされている。
【0110】
図26に示す構成において、第1のセンサ選択調整器33には、センサ群12から得られる、各センサの航跡情報の一部、各センサの観測情報の一部、各センサの脅威情報が入力され、センサ群12から入力される各センサの航跡情報の一部、各センサの観測情報の一部を用いて、目標とセンサを結ぶベクトルを求める。また、目標とあるセンサを結ぶベクトルと、目標と他のセンサを結ぶベクトルとの内積を求めることにより、観測情報の優劣を判定する。
【0111】
そして、通信伝送量評価器14では、第1のセンサ選択調整器33から入力される観測情報の優劣の判定結果と、航跡情報評価器13から入力されるセンサの優先度を元に、各センサと中央の追尾フィルタ16との間の通信回線におけるデータの伝送容量を、各センサの各目標に対し、どのように配分したらよいかのルールを決め、そのルールに基づいて、センサ群12中の各センサから中央の追尾フィルタ16へ伝送する航跡情報や観測情報の出力内容および伝送容量を制御するための制御信号を、各センサ群12へ出力する。
【0112】
この実施の形態15における効果を示す概念図を図27と図28に示す。
図27は、センサ(1)がA点、センサ(2)がB点、センサ(3)がC点、目標がD点の配置にある場合である。ここで、ベクトルADとベクトルBDとベクトルCDの大きさは同じであり、ベクトルADとベクトルCDのなす角度は90度である。図27のような配置の場合、センサ(1)とセンサ(3)を使用して観測した方が、センサ(1)とセンサ(2)を使用して観測するよりも、航跡情報の精度が向上する。すなわち、ベクトルADとベクトルBDの内積の大きさよりも、ベクトルADとベクトルCDの内積の方が小さくなる。よって、図27のような配置の場合、目標とあるセンサを結ぶベクトルと、目標とある他のセンサを結ぶベクトルの内積の大きさが0に近いほど、観測効果が大きいため、センサ(3)は、センサ(2)に比べて、観測情報が優れていると判定される。
【0113】
図28は、センサ(1)がA点、センサ(2)がB点、センサ(3)がC点、目標がD点の配置にある場合である。ここで、点BはCD上に存在し、ベクトルBDの大きさは、ベクトルCDの大きさよりも小さいものとする。図28のような配置の場合、センサ(1)とセンサ(3)を使用して観測した方が、センサ(1)とセンサ(2)を使用して観測するよりも、航跡情報の精度が向上する、すなわち、ベクトルADとベクトルBDの内積の大きさよりも、ベクトルADとベクトルCDの内積の方が小さくなる。よって、図28のような配置の場合、目標とあるセンサを結ぶベクトルと、目標とある他のセンサを結ぶベクトルの内積の大きさが0に近いほど、観測効果が大きいため、センサ(3)は、センサ(2)に比べて、観測情報が優れていると判定することが可能である。
【0114】
したがって、この実施の形態15によれば、目標とあるセンサを結ぶベクトルと、目標とある他のセンサを結ぶベクトルの内積の大きさをみることにより、観測情報の優劣を判定することで、より良い観測情報が得られ、その結果、センサシステム全体の航跡情報の精度が向上させることが可能となるため、その効果は大きい。
【0115】
実施の形態16.
次に、この発明の実施の形態16に係る追尾装置について図面を参照しながら説明する。
図29は、この発明の実施の形態16に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
図29において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付して示し、その説明は省略する。新たな構成として、図29に示す実施の形態16では、航跡情報評価器13から入力される、センサの優先度決定に使用された航跡情報、観測情報、目標の脅威情報と、通信伝送量評価器14から入力される、各センサと中央の追尾フィルタ16との間における通信伝送容量と、中央の追尾フィルタ16から入力される目標の航跡情報とを格納する追尾性能データベース35と、追尾性能データベース35に格納された、過去の追尾処理結果に係る全ての追尾性能データを基に、適切な伝送容量を決定するための伝送量制御ルールを抽出する伝送量制御ルール抽出器34と、伝送量制御ルール抽出器によって抽出された伝送量制御ルールを格納する伝送量制御ルールベース36とをさらに備えており、通信伝送量評価器14は、伝送量制御ルールベース36から伝送量制御ルールを検索し、航跡情報評価器13からの情報を基に適用可能なルールを選択し、選択されたルールを適用して各センサと中央の追尾フィルタ16との間における通信伝送容量を決定するようになされている。
【0116】
図29に示す構成において、追尾性能データベース35には、航跡情報評価器13において、センサの優先度決定に使用された航跡情報、観測情報、目標の脅威情報が入力される。また、追尾性能データベース35には、通信伝送量評価器14において決定された、各センサと中央の追尾フィルタ16との間における通信伝送容量が入力される。さらに、追尾性能データベース35には、中央の追尾フィルタ16によって計算された目標の航跡情報が入力される。これらの入力情報は、この追尾装置が動作する度に追尾性能データベースに入力されるため、データベースは過去の全ての追尾に係るデータを格納することになる。
【0117】
伝送量制御ルール抽出器34には、追尾性能データベースに格納された、過去の追尾処理結果に係る全ての追尾性能データ、すなわちセンサ毎の航跡情報と、観測情報、目標の脅威情報、決定された通信伝送容量、中央で計算された目標の航跡情報が入力される。伝送量制御ルール抽出器34は、前記の追尾性能データを基に、適切な伝送容量を決定するための伝送量制御ルールを抽出する。このルールは、例えば「目標の旋回が検出されたら、伝送容量を2倍にすると、追尾成功率が80%以上となる」、「目標付近にクラッタが同時に観測されたら、伝送データ中の観測値と航跡情報の配分を、観測値70%以上にすると、追尾成功率が80%以上となる」といったルールであり、データベースからの知識発見技術を用いることによって実現可能である。伝送量制御ルールベース36には、伝送量制御ルール抽出器34によって抽出された伝送量制御ルールが入力される。伝送量制御ルールベース36は抽出された伝送量制御ルールを全て格納する。
以上の処理は、現時刻の観測状況から追尾処理を行う以前に行われる。
【0118】
現時刻の追尾処理は、基本的には実施の形態1に記載された通りの動作となる。ただし、通信伝送量評価器14では、伝送量制御ルールベース36から伝送量制御ルールを検索し、航跡情報評価器13から入力される航跡情報、観測情報、目標の脅威情報を基に適用可能なルールを選択する。そして、選択されたルールを適用して各センサと中央の追尾フィルタ16との間における通信伝送容量を決定する。
【0119】
したがって、この実施の形態16によれば、通信伝送容量を決定するためのルールを、過去の追尾情報を用いて抽出するため、人手によるルール考案の負荷が削減され、現実に即したより効果的なルールを抽出することが可能となるため、その効果は大きい。
【0120】
実施の形態17.
次に、この発明の実施の形態17に係る追尾装置について図面を参照しながら説明する。
図30は、この発明の実施の形態17に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
図30において、図29に示す実施の形態16と同一部分は同一符号を付して示し、その説明は省略する。新たな構成として、図30に示す実施の形態17では、追尾装置が実際に動作するセンサ配置とそれらの追尾情報を利用する中央の追尾フィルタ16の存在を想定した追尾シミュレーションを計算機上で行うことにより追尾性能データを生成する追尾性能予測器37をさらに備えており、追尾性能データベース35には、追尾性能予測器37で生成された情報がさらに格納される。
【0121】
図30に示す構成において、追尾性能予測器37は、追尾装置が実際に動作するセンサ配置とそれらの追尾情報を利用する中央の追尾フィルタ16の存在を想定した追尾シミュレーションを計算機上で行うことにより、追尾性能データを生成する。
【0122】
追尾性能データベース35には、追尾性能予測器37において生成されたシミュレーションに関する情報、目標運動情報、センサ毎の観測情報と航跡情報、目標の脅威情報、さらに中央の追尾フィルタ16で航跡情報生成に使われたセンサ毎の観測情報と航跡情報が入力される。すなわち、追尾性能データベース35は、シミュレーションによって予測されたの全ての追尾に係るデータを格納することになる。
【0123】
伝送量制御ルール抽出器34には、追尾性能データベースに格納された、追尾性能データ、すなわちセンサ毎の航跡情報と、観測情報、目標の脅威情報、中央の追尾フィルタ16が使用した観測情報と航跡情報、さらに中央の追尾フィルタ16が計算した目標の航跡情報が入力される。伝送量制御ルール抽出器34は、前記の追尾性能データを基に、適切な伝送容量を決定するための伝送量制御ルールを抽出する。
【0124】
伝送量制御ルールベース36には、伝送量制御ルール抽出器によって抽出された伝送量制御ルールが入力される。伝送量制御ルールベース36は抽出された伝送量制御ルールを全て格納する。
以上の処理は、現時刻の観測状況から追尾処理を行う以前に行われる。
【0125】
現時刻の追尾処理は、基本的には実施の形態1に記載された通りの動作となる。ただし、通信伝送量評価器14では、伝送量制御ルールベースから伝送量制御ルールを検索し、航跡情報評価器13から入力される航跡情報、観測情報、目標の脅威情報を基に適用可能なルールを選択する。そして選択されたルールを適用して各センサと中央の追尾フィルタ16との間における通信伝送容量を決定する。
【0126】
したがって、この実施の形態17によれば、通信伝送容量を決定するためのルールを、計算機シミュレーションを基にした追尾情報を用いて抽出するため、人手によるルール考案の負荷が削減され、現実に即したより効果的なルールを抽出することが可能となる。また、過去の追尾情報を利用する場合よりも多様な情報を活用できるため、その効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】この発明の実施の形態1に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の追尾装置における追尾動作の一例を示したフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態2に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態3に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態4に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態5に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図7】大量の観測情報および航跡情報を必要とする場合と必要としない場合の例を示す説明図である。
【図8】航跡統合方式の概念図である。
【図9】探知データ統合方式の概念図である
【図10】航跡統合方式による航跡算出に係るブロック図である。
【図11】探知データ統合方式による航跡算出に係るブロック図である。
【図12】この発明の実施の形態6に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図13】グループトラックの概念図である。
【図14】この発明の実施の形態7に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図15】この発明の実施の形態8に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図16】この発明の実施の形態9に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図17】この発明の実施の形態10に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図18】2目標直進交差における真の軌跡図である。
【図19】2目標直進交差における、交差付近で誤追尾する例を表した図である。
【図20】2目標直進交差における、数サンプリング後の観測情報が得られて、誤追尾が解消される例を表した図である。
【図21】この発明の実施の形態11に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図22】センサを追加した場合の観測効果を表す概念図である。
【図23】この発明の実施の形態12に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図24】この発明の実施の形態13に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図25】この発明の実施の形態14に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図26】この発明の実施の形態15に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図27】この発明の実施の形態15の効果を説明するための目標とセンサの配置を示した概念図である。
【図28】この発明の実施の形態15の効果を説明するための目標とセンサの配置を示した概念図である。
【図29】この発明の実施の形態16に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【図30】この発明の実施の形態17に係る追尾装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0128】
11 目標群、12 センサ群、13 航跡情報評価器、14 通信伝送量評価器、15 観測情報・航跡情報統合器、16 中央の追尾フィルタ、 17 追尾性能評価器、18 通信伝送量調整器、19 航跡情報制御器、20 サンプリング制御器、21 第1の観測情報・航跡情報制御器、22 第2の観測情報・航跡情報制御器、23 第1のデータベース、24 第3の観測情報・航跡情報制御器、12−a 第1のセンサ群、25 第1の航跡統合器、12−b 第2のセンサ群、26 第1の探知データ統合器、27 航跡情報・観測情報データベース、28 仮説処理器、 29 新たに追加したセンサ・追尾フィルタ、30 第1の伝送データ領域調整器、31 第2の伝送データ領域調整器、32 データ融合方式調整器、33 第1のセンサ選択調整器、34 伝送量制御ルール抽出器、35 追尾性能データベース、36 伝送量制御ルールベース、37 追尾性能予測器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標群を観測する複数のセンサと、各センサに対応して備えられ目標の運動諸元を推定する複数の追尾フィルタとを有するセンサ群と、
前記センサ群から出力される情報を用いて前記センサ群のどのセンサのどの目標におけるどの情報を優先して出力するかのセンサの優先度を算出する航跡情報評価器と、
前記航跡情報評価器からのセンサの優先度に基づいて前記センサ群の各センサから伝送する情報の出力内容並びに伝送容量を、各センサの各目標に対する配分ルールを決めて制御する通信伝送量評価器と、
前記センサ群からの出力内容並びに伝送容量が制御された航跡情報及び観測情報を入力し、各目標毎並びに各センサ毎に整理する観測情報・航跡情報統合器と、
前記観測情報・航跡情報統合器からの各目標毎並びに各センサ毎に整理された航跡情報および観測情報を用いて各目標毎に追尾計算を行い目標の航跡情報を更新する中央の追尾フィルタと、
前記中央の追尾フィルタから出力される各目標の更新後の航跡情報および各目標毎並びに各センサ毎に整理された観測情報を用いてセンサに係る評価値と目標に係る評価値を算出しこれら評価値を用いて前記センサ群の動作を制御する追尾性能評価器と
を備えた追尾装置。
【請求項2】
請求項1に記載の追尾装置において、
前記航跡情報評価器からのセンサの優先度を用いて通信伝送速度非対称型通信における上りと下りの伝送速度および伝送容量の情報を決める通信伝送量調整器をさらに備え、
前記通信伝送量評価器は、前記通信伝送量調整器から入力される通信伝送速度非対称型通信における上りと下りの伝送速度および伝送容量の情報と前記航跡情報評価器からのセンサの優先度とに基づいて前記センサ群の各センサと前記中央の追尾フィルタとの間の通信回線におけるデータの伝送容量を、各センサの各目標に対する配分ルールを決めて制御する
ことを特徴とする追尾装置。
【請求項3】
請求項1に記載の追尾装置において、
追尾性能評価器で算出されたセンサに係る評価値と目標に係る評価値を用いて、前記センサ群の各センサにおける航跡情報が前記中央の追尾フィルタから得られる最新の航跡情報に比べて精度が悪い場合に最新の航跡情報で上書きすることを決定し、決定したセンサに対し最新の航跡情報で上書きするよう前記センサ群に制御信号を出力する航跡情報制御器をさらに備えた
ことを特徴とする追尾装置。
【請求項4】
請求項1に記載の追尾装置において、
前記航跡情報評価器からのセンサの優先度を用いて、前記センサ群の各センサから前記中央の追尾フィルタへ伝送する際のサンプリング間隔を変える制御信号を前記通信伝送量評価器へ出力するサンプリング制御器をさらに備え、
前記通信伝送量評価器は、前記サンプリング制御器から入力される制御信号と、前記航跡情報評価器から入力されるセンサの優先度を元に、前記センサ群の各センサと前記中央の追尾フィルタとの間の通信回線におけるデータの伝送容量を、各センサの各目標に対する配分ルールを決め、当該配分ルールに基づいて、前記センサ群中の各センサから前記中央の追尾フィルタへ伝送する航跡情報や観測情報の出力内容、伝送容量および伝送タイミングを制御するための制御信号を前記センサ群へ出力する
ことを特徴とする追尾装置。
【請求項5】
請求項1に記載の追尾装置において、
前記航跡情報評価器からのセンサの優先度を用いて、航跡情報と観測情報からなる情報の内、どの情報を多く伝送するかの配分を決める制御信号を前記通信伝送量評価器へ出力すると共に、追尾状況や観測状況に応じて、航跡統合を航跡統合方式により行うか探知データ統合方式により行うかの制御信号を前記中央の追尾フィルタへ出力する観測情報・航跡情報制御器をさらに備え、
前記通信伝送量評価器は、前記観測情報・航跡情報制御器から入力される制御信号と、前記航跡情報評価器から入力されるセンサの優先度を元に、航跡情報と観測情報からなる情報の内、どの情報を多く伝送するかの配分を決め、当該配分にしたがってセンサ群から出力される航跡情報と観測情報との配分を制御するための制御信号を前記センサ群へ出力し、
前記中央の追尾フィルタは、前記観測情報・航跡情報制御器から入力される制御信号に基づいて追尾計算の際の統合方式を決める
ことを特徴とする追尾装置。
【請求項6】
請求項1に記載の追尾装置において、
前記航跡情報評価器から入力されるセンサの優先度を用いて、航跡情報および観測情報からなる情報から密集目標と判断された場合、密集目標であることを考慮して、航跡情報および観測情報からなる情報の内、どの情報を多く送るかの配分を決める制御信号を前記通信伝送量評価器へ出力すると共に、グループトラックを行うための制御信号を前記中央の追尾フィルタへ出力する観測情報・航跡情報制御器をさらに備え、
前記通信伝送量評価器は、前記観測情報・航跡情報制御器から入力される制御信号と、前記航跡情報評価器から入力されるセンサの優先度を元に、航跡情報および観測情報からなる情報の内、どの情報を多く送るかの配分を決め、当該配分にしたがってセンサ群から出力される航跡情報と観測情報との配分を制御するための制御信号を前記センサ群へ出力し、
前記中央の追尾フィルタは、前記観測情報・航跡情報制御器から入力される制御信号に基づいてグループトラックを行う
ことを特徴とする追尾装置。
【請求項7】
請求項1に記載の追尾装置において、
追尾性能と観測情報数の関係から決定される、センサ群中の各センサから中央の追尾フィルタへの伝送量の配分を決める重みの情報を予め格納したデータベースと、
前記データベースから追尾性能と観測情報数の情報に応じた各センサから中央の追尾フィルタへの伝送量の配分を決める重みの情報を得て、当該伝送量の配分を決める重みの情報と前記航跡情報評価器から入力されるセンサの優先度を用いて、追尾状況や観測状況に応じて、航跡情報と観測情報からなる情報の内、どの情報をより多く送るかの配分を決める制御信号を前記通信伝送量評価器へ出力する観測情報・航跡情報制御器をさらに備え、
前記通信伝送量評価器は、前記観測情報・航跡情報制御器から入力される制御信号と、前記航跡情報評価器から入力されるセンサの優先度を元に、航跡情報および観測情報からなる情報の内、どの情報を多く送るかの配分を決め、当該配分にしたがってセンサ群から出力される航跡情報と観測情報との配分を制御するための制御信号を前記センサ群へ出力する
ことを特徴とする追尾装置。
【請求項8】
請求項1に記載の追尾装置において、
前記センサ群内に、当該センサ群を構成する数より少ない数の複数のセンサ及び追尾フィルタに対し、航跡情報を航跡統合方式により統合した統合航跡を前記観測情報・航跡情報統合器に出力する航跡統合器を有するセンサ群を備えた
ことを特徴とする追尾装置。
【請求項9】
請求項1に記載の追尾装置において、
前記センサ群内に、当該センサ群を構成する数より少ない数の複数のセンサ及び追尾フィルタに対し、観測情報を用いて探知データ統合方式により統合した統合航跡を前記観測情報・航跡情報統合器に出力する探知データ統合器を有するセンサ群を備えた
ことを特徴とする追尾装置。
【請求項10】
請求項1に記載の追尾装置において、
前記中央の追尾フィルタから得られる航跡情報及び観測情報を格納する航跡情報・観測情報データベースと、
前記中央の追尾フィルタからの航跡情報及び観測情報と、前記航跡情報・観測情報データベースからの航跡情報及び観測情報とに基づいて航跡情報及び観測情報の目標についての仮説を作成する仮説処理器と
をさらに備え、
前記中央の追尾フィルタは、前記仮説処理器からの仮説を用いて追尾計算を行う
ことを特徴とする追尾装置。
【請求項11】
請求項1に記載の追尾装置において、
前記センサ群に、クロスレンジ誤差を抑圧するためのセンサ・追尾フィルタをさらに備えた
ことを特徴とする追尾装置。
【請求項12】
請求項1に記載の追尾装置において、
前記航跡情報評価器から入力されるセンサの優先度を元に、追尾対象目標の周りのある限られた領域内の観測情報だけ出力するための制御信号を前記通信伝送量評価器に出力する伝送データ領域調整器をさらに備え、
前記通信伝送量評価器は、前記伝送データ領域調整器からの制御信号と、前記航跡情報評価器から入力されるセンサの優先度を用いて、各センサと中央の追尾フィルタとの間の通信回線におけるデータの伝送容量を、各センサの各目標に対する配分ルールを決めて制御する制御信号を前記センサ群へ出力する
ことを特徴とする追尾装置。
【請求項13】
請求項12に記載の追尾装置において、
前記伝送データ領域調整器からの制御信号と、前記観測情報・航跡情報統合器から出力される、各目標毎に整理された航跡情報および観測情報とに基づいて、前記伝送データ領域調整器よりもさらに小さい追尾処理用の領域を設定し、設定した追尾処理用の領域内の観測情報のみ使用するための制御信号を、前記中央の追尾フィルタに出力する他の伝送データ領域調整器をさらに備え、
前記中央の追尾フィルタは、他の伝送データ領域調整器からの制御信号に基づいて追尾処理を行う
ことを特徴とする追尾装置。
【請求項14】
請求項1に記載の追尾装置において、
前記観測情報・航跡情報統合器から入力される、各目標毎に整理された航跡情報および観測情報と、前記センサ群から入力される、目標の脅威情報とを用いて、観測領域毎に、探知データ統合方式と航跡統合方式による追尾処理を行うための制御信号を、前記中央の追尾フィルタに出力するデータ融合方式調整器をさらに備え、
前記中央の追尾フィルタは、前記データ融合方式調整器からの制御信号に基づいて、観測領域毎に、探知データ統合方式と航跡統合方式とによる追尾処理を行う
ことを特徴とする追尾装置。
【請求項15】
請求項1に記載の追尾装置において、
前記センサ群から出力に基づいて目標とあるセンサを結ぶベクトルと、目標と他のセンサを結ぶベクトルとの内積に基づいて観測情報の優劣を判定し、判定結果を前記通信伝送量評価器に出力するセンサ選択調整器をさらに備え、
前記通信伝送量評価器は、前記センサ選択調整器からの判定結果と、前記航跡情報評価器からのセンサの優先度を元に、各センサと前記中央の追尾フィルタとの間の通信回線におけるデータの伝送容量を、各センサの各目標に対する配分ルールを決めて制御する制御信号を前記センサ群へ出力する
ことを特徴とする追尾装置。
【請求項16】
請求項1に記載の追尾装置において、
前記航跡情報評価器と前記通信伝送量評価器及び前記中央の追尾フィルタからの過去の追尾情報を格納する追尾性能データベースと、
前記追尾性能データベースに格納された追尾情報から最適な伝送量を決定するためのルールを抽出する伝送量制御ルール抽出器と、
前記伝送量制御ルール抽出器により抽出したルールを格納する伝送量制御ルールベースと
をさらに備え、
前記通信伝送量評価器は、航跡情報評価器からの情報を基に前記伝送量制御ルールベースから適用可能なルールを選択し、選択されたルールを適用して各センサと中央の追尾フィルタとの間における通信伝送容量を決定する
ことを特徴とする追尾装置。
【請求項17】
請求項16に記載の追尾装置において、
追尾性能データを計算機シミュレーションによって計算する追尾性能予測器をさらに備え、
前記追尾性能データベースは、前記追尾性能予測器により計算された追尾性能データをも格納する
ことを特徴とする追尾装置。
【請求項18】
目標群を観測する複数のセンサと各センサに対して備えられ目標の運動諸元を推定する複数の追尾フィルタとを有するセンサ群による観測情報、脅威情報および航跡情報を取得するステップと、
前記センサ群から得られる、一部の航跡情報、観測情報、脅威情報を元に、センサの優先度を決めるステップと、
センサの優先度を元に、どの観測情報または航跡情報を中央の追尾フィルタに伝送するかを決めるステップと、
センサの優先度を元に、前記中央の追尾フィルタへ伝送する際の伝送容量を決めるステップと、
決められた伝送容量まで航跡情報および観測情報を前記中央の追尾フィルタに伝送するステップと、
前記センサ群から伝送された航跡情報および観測情報を各目標毎に整理するステップと、
前記中央の追尾フィルタにおいて追尾処理を行い、各目標の航跡情報を算出して航跡情報を更新するステップと、
センサの動作状態に係る評価値、センサの観測効果の評価値、センサ割当の評価値、目標の追尾性能評価値を算出するステップと、
センサの動作状態に係る評価値、センサの観測効果の評価値、センサ割当の評価値と、目標の追尾性能評価値を元に、センサ群の動作制御を行うステップと、
観測情報、脅威情報および航跡情報を取得するステップからセンサ群の動作制御を行うステップまでの処理を所定の終了条件に達するまで繰り返し制御するステップと
を備えた追尾処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate