説明

追尾装置

【課題】航跡転送周期内の探知データについて、その圧縮時間を状況に応じて制御することにより、探知データ圧縮誤差を低減した追尾装置を得ることを目的とする。
【解決手段】本追尾装置は、センサ1から入力された探知データと目標航跡との相関をとる相関手段3と、相関手段3により相関付けされた探知データを入力し、追尾航跡を生成する追尾フィルタ手段4と、目標航跡と追尾航跡とを管理するトラックファイル100と、探知状況に応じて航跡転送周期内で圧縮時間を制御すると共に、相関付けされた探知データを圧縮時間単位で圧縮して航跡情報として転送する探知データ圧縮手段5とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のローカルセンサから航跡管理局(Fusion Center)へ航跡または探知データを転送する追尾装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の追尾装置は、ローカルセンサにおいて、航跡管理局(Fusion Center)への航跡転送周期で、相関付けされた探知データを線形最小自乗法によって圧縮し、最小自乗近似した線分を航跡管理局へ転送していた(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、非特許文献1記載の追尾装置では、航跡転送周期単位で、航跡と相関のあった探知データを線形最小自乗法に従って線分近似し、航跡転送時間において線分近似値(航跡転送時刻における線分値と線分の傾き)を航跡管理局に転送している。
【0004】
【非特許文献1】S.S. Blackman著,“Design and Analysis of Modern Tracking Systems,” Use of Equivalent Measurements, ch.10, pp.684-685, Artech House, 1999
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の追尾装置は、以上のように構成されていたので、航跡転送周期内で相関付けされた探知データを1本の線分として近似(フィッティング)し、探知データを一つに圧縮する。従って、航跡転送周期が長い場合や高機動な目標(以下、高機動目標)を追尾する場合には、線分近似した結果と実際の探知データとの誤差が大きくなる可能性がある。即ち、探知データの分布状況や目標の追尾状況(探知状況)に応じて、探知データ圧縮誤差が大きくなるという課題があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解消するためになされたもので、航跡転送周期内の探知データについて、その圧縮時間を状況に応じて制御することにより、探知データ圧縮誤差を低減した追尾装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る追尾装置は、センサから入力された探知データと目標航跡との相関をとる相関手段と、前記相関手段により目標航跡と相関付けされた探知データを入力し、平滑及び予測処理を行い、追尾航跡を生成する追尾フィルタ手段と、前記目標航跡と前記追尾フィルタ手段により生成された追尾航跡とを管理する航跡ファイルと、探知状況に応じて航跡転送周期内で圧縮時間を制御すると共に、前記相関付けされた探知データを前記圧縮時間単位で圧縮して航跡情報として転送する探知データ圧縮手段とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、航跡転送周期内で圧縮時間を探知状況に応じて制御し、相関付けされた探知データを圧縮しているので、圧縮前の探知データとの誤差を抑え、航跡管理局の航跡情報の信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る追尾装置の構成図である。本追尾装置は、センサ1、信号処理手段2、相関手段3、追尾フィルタ手段4、トラックファイル100、探知データ圧縮手段5を備えている。更に、探知データ圧縮手段5は、第1のバッファ51と、評価関数演算部52と、圧縮レート制御部53と、探知データ圧縮54と、第2のバッファ55を備えている。
なお、実施の形態1は、信号処理後の処理に特徴を有するので、センサ1及び信号処理手段2における信号処理の説明は省略する。また、本追尾装置の処理結果は航跡管理局(Fusion Center)200に転送される。
【0010】
図1において、センサ1は目標を探知して探知信号を出力する。
信号処理手段2は、センサ1から出力された探知信号に対して所定の信号処理を行い、信号処理結果(以下、探知データ)を出力する。
【0011】
相関手段3は、信号処理手段2から出力された探知データを入力し、当該探知データがトラックファイル100にて管理されている目標航跡のものであるかどうか(目標航跡と相関するかどうか)を判定する(以下、相関判定処理)。そして、目標航跡と相関すると判定された探知データに対して、当該目標航跡と関連付けて出力する(以下、相関付け)。相関判定処理は、信号処理手段2から探知データが出力される毎に行われる。また、相関判定処理は、探知データとして得られる位置情報が、トラックファイル100に含まれる予測値ベクトルと予測誤差共分散行列から算出される範囲内にあるかどうかで、探知データと目標航跡との相関の有無を判定する。
【0012】
追尾フィルタ手段4は、相関手段3から出力される、目標航跡と相関付けされた探知データを入力し、平滑、予測処理を実施する。追尾フィルタ手段4は、相関手段3の出力を入力し、目標の位置や速度等の運動諸元(以下、状態変数)を推定するものであり、平滑処理により平滑値または平滑誤差共分散行列を出力し、予測処理により予測値または予測誤差共分散行列を出力する。
【0013】
ここで、「平滑値」とは、探知データが得られた時刻における目標の状態変数の推定値である。また、「平滑誤差共分散行列」とは、平滑値ベクトルの目標真値に対する誤差共分散行列である。また、「予測値」とは、1信号処理周期先の探知データが得られる以前の目標の状態変数の推定値である。更に、「予測誤差共分散行列」とは、予測値ベクトルの目標真値に対する誤差共分散行列である。
【0014】
トラックファイル100は、追尾フィルタ手段4からの出力を入力し、目標航跡毎に番号(以下、目標番号)付けして管理する。具体的には、追尾フィルタ手段4から出力された、探知データに対する平滑処理結果、予測処理結果を入力し、目標番号に対応する平滑値または平滑誤差共分散行列、予測値または予測誤差共分散行列を更新する。なお、「トラックファイル」とは、時系列の平滑値ベクトル、または予測値ベクトルの集まりを意味する。
【0015】
探知データ圧縮手段5は、相関手段3から出力される、目標航跡と相関付けされた探知データを入力し、線形最小自乗法によって線分近似して圧縮する。特に、線形最小自乗法の評価関数値に基づいて圧縮周期(圧縮時間)を制御し、制御された圧縮周期に従って探知データを圧縮する。そして、探知データ圧縮手段5は、圧縮周期毎に圧縮された探知データ(以下、圧縮探知データ)を、航跡転送周期でまとめて航跡管理局200に転送する。
【0016】
次に、動作について説明する。図2は、図1中の相関手段の出力である探知データと、航跡転送周期との関係を示した図である。
図2において、ローカルセンサから航跡管理局200への航跡転送周期をTと表す。「航跡転送周期T」とは、ローカルセンサで処理される追尾フィルタ手段4の出力を転送する周期を意味する。なお、「ローカルセンサ」とは、図1中で航跡管理局200以外の全ての構成要素を含むものとする。
また、ローカルセンサでの信号処理周期をaと表記する。「信号処理周期a」は、信号処理手段2から探知データが出力される周期を表しており、追尾フィルタ手段4の処理周期でもある。信号処理周期aは、航跡転送周期Tに比べて短いものとする。
更に、探知データの圧縮調整周期をΔとして表す。「探知データの圧縮調整周期Δ」とは、探知データを線形最小自乗法によってフィッティング(統合)する際の、圧縮の最小単位である。
【0017】
相関手段3の出力である探知データをZk,ijと表す。ここで、kは、ローカルセンサから航跡管理局200への転送時刻tkを表す。また、iは同転送時刻tk内のi番目の探知データであることを表している。更に、jは相関手段3による相関判定処理の結果、探知データZk,iが、トラックファイル100で管理されている目標番号jで示される目標航跡と相関がとれたことを表している。
【0018】
先ず、相関手段3では、信号処理手段2から出力された探知データZk,iを入力し、トラックファイル100で管理されている目標の予測値と予測誤差共分散行列から、目標航跡との相関判定処理を行う。そして、目標番号jで示される目標航跡と相関付けされた探知データZk,ijを出力する。
【0019】
追尾フィルタ手段4は、相関手段3の出力である探知データZk,ij(観測値ベクトル)を入力し、目標毎に平滑、予測処理を実施する。追尾フィルタ手段4による処理結果は、トラックファイル100に目標番号毎に管理される。
【0020】
探知データ圧縮手段5では、相関手段3の出力である探知データZk,ijを入力する。以下、探知データ圧縮手段5内部の動作について数式1を用いて説明する。
先ず、第1のバッファ51は、航跡転送周期T内において入力された探知データZk,ijを記憶する。
評価関数演算部52は、探知データZk,ijの圧縮調整周期Δ単位で調整周期内の探知データを入力し、線形最小自乗法の評価関数値(数式1中の(1))を算出する。算出された評価関数値は圧縮レート制御部53に入力される。
圧縮レート制御部53は、評価関数演算部52から出力された評価関数値と、予め設定された、評価関数値に関する閾値とを比較する。
【0021】
評価関数値が閾値を超えない場合は、圧縮レート制御部53は、圧縮周期をΔ分増加する指示(圧縮周期の増加指示)を、評価関数演算部52に対して出力する。
評価関数演算部52は、圧縮レート制御部53からの圧縮周期の増加指示が入力されると、更にΔ分の探知データを追加入力する。即ち、初期の圧縮周期Δに増分のΔ(圧縮調整周期)を追加して、圧縮周期2Δとして評価関数値を再度評価(閾値判定)する。
【0022】
一方、評価関数値が閾値を超えた場合は、圧縮レート制御部53は、評価関数演算部52に対して圧縮指示と圧縮周期を出力する。
評価関数演算部52は、圧縮レート制御部53からの圧縮指示と圧縮周期が入力されると、評価関数値の算出に用いた探知データを探知データ圧縮部54に出力する。
【0023】
探知データ圧縮部54は、評価関数演算部52から出力された探知データを入力し、数式1中の(2)に従って探知データを圧縮する。そして、圧縮探知データを第2のバッファ55に蓄積する。
【0024】
【数1】

E:単位行列
Ak,i:観測値ベクトルZk,iの観測誤差共分散行列
Δvk,i:観測値ベクトルZk,iの雑音ベクトル
Vk:追尾フィルタによる平滑速度ベクトル
x,y,z:直交座標系の各軸成分

「観測誤差共分散行列」とは、観測値ベクトルのモデルを、真値に雑音ベクトルが付加したものと想定した場合に、その雑音ベクトルの共分散行列を意味する。
「追尾フィルタによる平滑速度ベクトル」とは、平滑値として得られる状態変数ベクトルの推定値のうち、速度分だけ取り出したベクトルを意味する。
【0025】
以上の第1のバッファ51〜第2のバッファ55までの処理を、航跡転送周期T内の探知データZk,ijがなくなるまで行う。
探知データ圧縮手段5は、航跡転送周期Tとなると、第2のバッファ55から圧縮探知データを取り出し、航跡管理局200へまとめて送信する。
【0026】
従来技術では、航跡転送周期T内の全ての探知データに対して線形最小自乗法によりフィッティングし、そのフィッティング値を航跡管理局に転送する。
それに対して、本発明の実施の形態1では、航跡転送周期T内の探知データのうち、先ず圧縮調整周期Δ単位で線形最小自乗法によってフィッティングする。そして、線形最小自乗法の評価関数値が閾値以下の場合には、圧縮周期をΔ分だけ広げた2Δとして線形最小自乗法により再度フィッティングする。この処理を繰り返すことで圧縮周期を圧縮調整周期Δ単位で制御する。そして、そのフィッティング値を航跡管理局200へ転送する。
【0027】
図3は、この発明の実施の形態1に係る追尾装置と従来の追尾装置との処理結果の相違を示した図である。図3(a)は、従来の追尾装置から航跡管理局へ転送されたフィッティング値(圧縮探知データ)を示し、図3(b)は、この発明の実施の形態1に係る追尾装置から航跡管理局200へ転送されたフィッティング値(圧縮探知データ)を示している。
図3(a)と図3(b)とを比較すると、図3(b)の方が探知データの圧縮による誤差が低減されていることが分かる。
【0028】
以上のように、この実施の形態1によれば、線形最小自乗法による評価関数値を参照し、その評価関数値の閾値判定により探知データの圧縮周期を制御しているので、探知データの圧縮による誤差が航跡管理局における航跡情報の精度に与える影響を低減することができる。
【0029】
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2について説明する。図4は、この発明の実施の形態2に係る追尾装置の構成図である。実施の形態2に係る追尾装置は、実施の形態1に係る追尾装置と比較して、主として探知データ圧縮部6(特に追尾誤差評価部62)が相違するものである。以下では、実施の形態1と相違する部分についてのみ説明する。
【0030】
図4において、探知データ圧縮手段6は、相関手段3から出力される、目標航跡と相関付けされた探知データを入力し、目標毎に最小自乗法に基づいて探知データを圧縮する。但し、追尾フィルタ手段4において生成されたローカル航跡(追尾航跡)と、相関手段3から出力される探知データとを比較して両者の誤差から圧縮周期を制御し、制御された圧縮周期に従って探知データを圧縮する。圧縮周期単位の圧縮探知データは、航跡転送周期Tでまとめて航跡管理局200に転送される。
ここで、「ローカル航跡(追尾航跡)」とは、追尾フィルタ手段4の追尾フィルタ処理によって得られた推定値の集まりであり、トラックファイル100(目標航跡)のことを指す。
【0031】
次に、動作について説明する。
探知データ圧縮手段6では、相関手段3の出力である探知データZk,ijを入力する。以下、探知データ圧縮手段6内部の動作について説明する。
先ず、第1のバッファ61は、航跡転送周期T内において入力された探知データZk,ijを記憶する。
追尾誤差評価部62は、探知データZk,ijと追尾航跡との追尾誤差を評価し、得られた追尾誤差は圧縮レート制御部63に出力される。
圧縮レート制御部63は、追尾誤差評価部62による追尾誤差と、予め設定された、追尾誤差に関する閾値とを比較する。そして、追尾誤差に関する閾値と追尾誤差との関係(閾値判定)に従って、探知データの圧縮周期を複数区間設定する。
【0032】
図5は、この発明の実施の形態2に係る追尾装置と従来の追尾装置との追尾航跡の相違を示した図である。図5では、旋回する目標(以下、旋回目標)を追尾した場合の、探知データ(目標の真航跡)とその追尾航跡の例を示す。
図5(a)が示すように、従来の追尾装置では、旋回目標の探知データに対して、追尾航跡は遅れを持つ。
それに対して、図5(b)に示すように、実施の形態2に係る追尾装置では、追尾誤差が大きくならない範囲(閾値以下)で圧縮周期を区切る。この例では、航跡転送周期Tに対して、探知データの圧縮は3区間に分けられている。
【0033】
図6は、図4中の追尾誤差評価部62が出力した、図5に示す旋回目標の追尾誤差の、時間的な変化を示した図である。
図6に示すように、目標の旋回に伴って、追尾誤差は航跡転送周期Tの中間付近で最も大きくなる。これは、図5(a)に示した追尾航跡の遅れに起因するものである。
【0034】
圧縮レート制御部63は、追尾誤差評価部62から出力された図6に示す追尾誤差を評価する。具体的には、予め設定した追尾誤差に関する閾値と、追尾誤差との関係(比較)により、探知データの圧縮周期を定める。
図6では、航跡転送周期Tに対して、探知データの圧縮をt1〜t3の3区間に分けている。即ち、閾値を超える範囲をt2とし、その前後の閾値以下の範囲をt1,t3としたものである。
圧縮レート制御部63は、閾値判定に基づいて設定した圧縮周期(t1〜t3)を、追尾誤差評価部62に出力する。
【0035】
追尾誤差評価部62は、圧縮レート制御部63から出力された圧縮周期が入力されると、圧縮周期毎に各区間内の探知データを探知データ圧縮部64に出力する。
探知データ圧縮部64は、数式1中の(2)に従って圧縮周期毎に探知データを圧縮し、圧縮探知データを第2のバッファ65に蓄積する。
【0036】
以上の第1のバッファ61〜第2のバッファ65までの処理を、航跡転送周期T内の探知データZk,ijがなくなるまで行う。
探知データ圧縮手段6は、航跡転送周期Tとなると、第2のバッファ65から圧縮探知データを取り出し、航跡管理局200へまとめて送信する。
【0037】
以上のように、この実施の形態2によれば、探知データと追尾航跡との追尾誤差を参照し、追尾誤差の閾値判定により探知データの圧縮周期を制御しているので、追尾対象が高機動目標であっても、探知データの圧縮による誤差が航跡管理局における航跡情報へ与える影響を低減することができる。
【0038】
実施の形態3.
以下、この発明の実施の形態3について説明する。図7は、この発明の実施の形態3に係る追尾装置の構成図である。実施の形態2に係る追尾装置は、実施の形態1に係る追尾装置と比較して、主として探知データ圧縮手段7(特に雑音抑圧比評価部72)が相違するものである。以下では、実施の形態1と相違する部分についてのみ説明する。
【0039】
図7において、探知データ圧縮手段7は、相関手段3から出力される、目標航跡と相関付けされた探知データを入力し、目標毎に最小自乗法に基づいて探知データを圧縮する。実施の形態2で説明したように、圧縮周期が長い場合、高機動目標に対する追尾誤差が大きくなるため、圧縮後の探知データを利用すると追尾誤差の影響が大きくなり、結果として航跡管理局200における航跡が大きな誤差を持つ。
そこで探知データ圧縮手段7では、最小自乗法による線分近似(フィッティング)後の雑音抑圧比を評価指標とし、雑音抑圧比が、雑音抑圧比に関する閾値を満足する時間単位で圧縮周期を区切るように制御する。そして、制御された圧縮周期単位で探知データを圧縮する。圧縮周期単位の圧縮探知データは、航跡転送周期でまとめて航跡管理局200に転送される。
ここで、「雑音抑圧比」とは、線形最小自乗法によってフィッティングした直線と、フィッティング対象である探知データとのばらつき具合を定量化したものである。雑音抑圧比を小さくするようにフィッティングすることにより、探知データのばらつきを抑圧することができる。
【0040】
次に、動作について説明する。探知データ圧縮手段7は、相関手段3の出力である探知データZk,ijを入力する。以下、探知データ圧縮手段7内部の動作について、数式2を用いて説明する。
先ず、第1のバッファ71は、航跡転送周期T内において入力された探知データZk,ijを記憶する。
雑音抑圧比評価部72は、第1のバッファ71に蓄積された探知データZk,ijを入力し、雑音抑圧比(数式2中の(1))を算出する。
【0041】
圧縮レート制御部73では、雑音抑圧比評価部72から出力された雑音抑圧比と、予め設定された、雑音抑圧比に関する閾値とを比較する。閾値を超えない範囲は1つの圧縮周期内とする。一方、閾値を超えた場合は、超えた時点までを一つのデータ圧縮周期とみなす。そして、圧縮レート制御部73は、圧縮周期を雑音抑圧比評価部72に出力する。
【0042】
図8は、図7中の雑音抑圧比評価部が出力する雑音抑圧比の時間的な変化を示した図である。通常、圧縮周期が長いほど(サンプル数が多いほど)雑音抑圧比が大きくなる。そこで図8に示すように、雑音抑圧比が閾値を超えた時点で探知データの圧縮周期を区切り、航跡転送周期Tを複数のデータ圧縮周期に分ける。
図8の例の場合、航跡転送周期Tに対し、探知データの圧縮はt1〜t4の4区間に分けられ、各区間で最小自乗法によって線分近似される。
【0043】
雑音抑圧比評価部72は、圧縮レート制御部73から出力された圧縮周期毎に各区間内の探知データを探知データ圧縮部74に出力する。
探知データ圧縮部74は数式2中の(2)に従って探知データを圧縮し、結果を第2のバッファ75に蓄積する。
航跡転送周期となると、第2のバッファ75から圧縮探知データを取り出し、航跡管理局200へまとめて送信する。
【0044】
【数2】

Ak,i:観測値ベクトルZk,iの観測誤差共分散行列
Vk:追尾フィルタによる平滑速度ベクトル
【0045】
以上のように、この実施の形態3によれば、探知データと同データをフィッティングした直線との雑音抑圧比を参照し、閾値判定により探知データの圧縮周期を制御しているので、雑音抑圧比を維持しつつ、追尾対象が高機動目標であっても、探知データの圧縮による誤差が航跡管理局における航跡情報へ与える影響を低減することができる。
【0046】
実施の形態4.
以下、この発明の実施の形態4について説明する。図9は、この発明の実施の形態4に係る追尾装置の構成図である。実施の形態4に係る追尾装置は、実施の形態1に係る追尾装置と比較して、主として航跡管理局300が相違するものである。なお、探知データ圧縮手段8の構成は、探知データ圧縮手段5〜7(実施の形態1〜3)のうち、いずれの構成を用いてもよい。以下では、実施の形態1と相違する部分についてのみ説明する。
【0047】
図9において、探知データ圧縮手段8は、相関手段3から出力される、目標航跡と相関付けされた探知データを入力し、目標毎に最小自乗法に基づいて探知データを圧縮する。但し、航跡管理局300において、ローカルセンサから詳細に航跡情報が必要と判断し、航跡転送要求があった場合は、探知データ圧縮手段8は転送可能な最小の圧縮調整周期Δ単位で探知データ圧縮周期を細分し、圧縮周期毎の圧縮探知データを航跡管理局へ送信する。一方、航跡転送要求がない場合は、実施の形態1〜3で説明したように、ローカルセンサにて探知データの圧縮周期を制御し、探知データの圧縮を行う。
【0048】
次に、動作について説明する。航跡管理局300において、ローカルセンサ位置情報304は、ローカルセンサの位置情報を管理している。また、Globalトラックファイル303は、Global航跡(航跡管理局で生成される航跡)を管理している。
ここで、「Global航跡」とは、ローカルセンサから転送された航跡情報を、相関・統合部301で相関判定及び統合して生成された航跡である。
センサ制御部302は、ローカルセンサの位置情報とGlobal航跡とを入力し、目標がローカルセンサの覆域内に存在するか否かの判定を実施する。
【0049】
センサ制御部302は、目標がローカルセンサの覆域内に存在すると判断した場合には、ローカルセンサに対して航跡転送要求を送信する。その際に、航跡管理局300は、ローカルセンサに対して、圧縮レート(圧縮時間)を指示(送信)してもよい。
探知データ圧縮手段8では、航跡管理局300から航跡転送要求を受信した場合、相関手段3の出力である探知データZk,ijを、最小の圧縮調整周期Δ単位で最小自乗法によって線分近似し、第2のバッファ85に出力する。そして、航跡転送周期Tになると第2のバッファ85から圧縮探知データを取り出し、航跡管理局300へまとめて出力する。
【0050】
一方、探知データ圧縮手段8は、航跡管理局300から航跡転送要求を受信しない場合には、実施の形態1〜3で説明したように探知データの圧縮周期を制御し、圧縮周期単位で圧縮した探知データを航跡管理局へ転送する。
【0051】
以上のように、この実施の形態4によれば、航跡管理局300において目標がローカルセンサの覆域内に存在するかどうか判定し、覆域内に存在している場合(より精度を求める場合)には、航跡管理局300からの航跡転送要求に応じて探知データの圧縮周期をより細かく制御しているので、探知データの圧縮による誤差が航跡管理局300における航跡情報へ与える影響を必要に応じて低減することができる。
【0052】
実施の形態5.
以下、この発明の実施の形態5について説明する。図10は、この発明の実施の形態5に係る追尾装置の構成図である。実施の形態5に係る追尾装置は、実施の形態1に係る追尾装置と比較して、主として相関手段20及び探知データ圧縮手段9(特に最良仮説抽出部96)が相違するものである。以下では、実施の形態1と相違する部分についてのみ説明する。
【0053】
次に、動作について説明する。図11は、図10中の相関手段にて生成された相関仮説及びその確率に対して、最良仮説抽出部にて最も確率の高い相関仮説を抽出する様子を示した図である。
【0054】
相関手段20は、目標航跡と信号処理手段2の出力である探知データとの相関付けを行う。相関付けアルゴリズムとして航跡型MHT(Multiple Hypothesis Tracking)を適用する。図11に示すように、MHTでは、目標航跡と探知データとの相関付けに関して複数の仮説(以下、相関仮説)を立て、仮説毎の確率を算出する。そして、探知データ圧縮手段9に対して相関仮説とその確率との組み合わせを出力する。
ここで、「仮説毎の確率」とは、その仮説が正しいとされる信頼度を表すものである。
【0055】
探知データ圧縮手段9では、相関手段20の出力である探知データZk,ij、相関仮説及びその確率を入力する。以下、探知データ圧縮手段9内部の動作について説明する。
先ず、第1のバッファ91は、航跡転送周期T内において相関付けされた探知データを記憶する。
次に、最良仮説抽出部96は、相関手段20から出力された相関仮説とその確率を入力し、確率が最も高い相関仮説(以下、最上位仮説)を抽出する。図11では、入力されたN個の相関仮説の中から最上位仮説(相関仮説2)を抽出している。
【0056】
探知データ圧縮手段9の以降の処理では、最上位仮説が示す相関付けに基づいて、目標航跡と相関付けされた探知データを、目標毎に線形最小自乗法によって圧縮する。そして、圧縮探知データ全てを航跡管理局200へ転送する。また、航跡転送周期T内で探知データの圧縮周期を制御する。なお、探知データの圧縮と圧縮周期の制御は、実施の形態1〜4のいずれを用いてもよい。
【0057】
以上のように、この実施の形態5によれば、ローカルセンサにおいて相関アルゴリズムとしてMHTを採用し、MHTによる相関仮説のうち最上位仮説に基づいて探知データを圧縮すると共に、探知データの圧縮周期を制御しているので、探知データの圧縮による誤差が航跡管理局200における航跡情報へ与える影響を必要に応じて少なくすることができる。
【0058】
実施の形態6.
以下、この発明の実施の形態6について説明する。図12は、この発明の実施の形態6に係る追尾装置の構成図である。実施の形態6に係る追尾装置は、実施の形態5に係る追尾装置と比較して、主として探知データ圧縮手段10(特に仮説抽出部106)が相違するものである。以下では、実施の形態5と相違する部分についてのみ説明する。
【0059】
次に、動作について説明する。図13は、図12中の相関手段から出力された相関仮説とその確率に対して、仮説抽出部にて確率が高い順に複数の相関仮説を抽出する様子を示した図である。
【0060】
相関手段20は、目標航跡と信号処理手段2の出力である探知データとの相関付けを行う。相関付けアルゴリズムとしてMHTを適用する。図13に示すように、MHTでは、目標航跡と探知データとの相関付けに関して複数の相関仮説を立て、仮説毎の確率を算出する。そして、探知データ圧縮手段10に対して相関仮説とその確率との組み合わせを出力する。
【0061】
探知データ圧縮手段10では、相関手段20の出力である探知データZk,ij、相関仮説及びその確率を入力する。以下、探知データ圧縮手段10内部の動作について説明する。
先ず、第1のバッファ101は、航跡転送周期T内において相関付けされた探知データを記憶する。
次に、仮説抽出部106は、相関手段20で得られた相関仮説とその確率を入力し、確率が高いものから順に複数の相関仮説を抽出する。図13では、確率が上位N個の相関仮説を抽出しているので、目標航跡と探知データとの相関の組み合わせは最大N通り存在することとなる。
【0062】
探知データ圧縮手段10の以降の処理では、N通りの目標航跡と探知データとの組み合わせに従って、目標航跡と相関付けされた探知データを、目標毎に線形最小自乗法によって圧縮する。そして、圧縮探知データ全てを航跡管理局200へ転送する。また、航跡転送周期T内で探知データの圧縮周期を制御する。なお、探知データの圧縮と圧縮周期の制御は、実施の形態1〜4のいずれを用いてもよい。
【0063】
以上のように、この実施の形態6によれば、ローカルセンサにおいて相関アルゴリズムとしてMHTを採用し、MHTによる相関仮説のうち、確率が高い複数の相関仮説に基づいて探知データを圧縮すると共に、探知データの圧縮周期を制御しているので、探知データの圧縮による誤差が航跡管理局200における航跡情報へ与える影響を必要に応じて少なくすることができる。
【0064】
実施の形態7.
以下、この発明の実施の形態7について説明する。図14は、この発明の実施の形態7に係る追尾装置の構成図である。実施の形態7に係る追尾装置は、実施の形態5に係る追尾装置と比較して、主として探知データ圧縮手段11(特に仮説統合部116)が相違するものである。以下では、実施の形態5と相違する部分についてのみ説明する。
【0065】
次に、動作について説明する。図15は、図14中の相関手段から出力された相関仮説とその確率に対して、仮説統合部にて確率が高い順に複数の相関仮説を抽出して統合する様子を示した図である。
【0066】
相関手段20は、目標航跡と信号処理手段2の出力である探知データとの相関付けを行う。相関付けアルゴリズムとしてMHTを適用する。図15に示すように、MHTでは、目標航跡と探知データとの相関付けに関して複数の相関仮説を立て、仮説毎の確率を算出する。そして、探知データ圧縮手段9に対して相関仮説とその確率との組み合わせを出力する。
【0067】
探知データ圧縮手段11では、相関手段20の出力である探知データZk,ij、相関仮説及びその確率を入力する。以下、探知データ圧縮手段11内部の動作について説明する。
先ず、第1のバッファ111は、航跡転送周期T内において相関付けされた探知データを記憶する。
次に、仮説統合部111は、相関手段20で得られた相関仮説とその確率を入力し、確率が高いものから順に複数の相関仮説を抽出する。図15では、確率が上位N個の相関仮説を抽出している。そして、抽出した複数の相関関数とそれらの確率に従って、抽出した相関仮説を1つに統合する。
【0068】
探知データ圧縮手段11の以降の処理では、統合後の相関仮説が示す相関付けに従って、目標航跡と相関付けされた探知データを、目標毎に線形最小自乗法によって圧縮する。そして、圧縮探知データ全てを航跡管理局200へ転送する。また、航跡転送周期T内で探知データの圧縮周期を制御する。なお、探知データの圧縮と圧縮周期の制御は、実施の形態1〜4のいずれを用いてもよい。
【0069】
以上のように、この実施の形態7によれば、ローカルセンサにおいて相関アルゴリズムとしてMHTを採用し、MHTによる相関仮説のうち、確率が高い複数の相関仮説を統合し、その統合した相関仮説に基づいて探知データを圧縮すると共に、探知データの圧縮周期を制御しているので、探知データの圧縮による誤差が航跡管理局200における航跡情報へ与える影響を必要に応じて少なくすることができる。
【0070】
実施の形態8.
以下、この発明の実施の形態8について説明する。図16は、この発明の実施の形態8に係る追尾装置の構成図である。実施の形態8に係る追尾装置は、実施の形態1に係る追尾装置と比較して、主として探知データ圧縮手段12(特に探知データ圧縮部126〜130、データバス12A,12B)が相違するものである。以下では、実施の形態1と相違する部分についてのみ説明する。
【0071】
図16において、探知データ圧縮手段12は、相関手段3から出力される、目標航跡と相関付けされた探知データを入力し、目標毎に最小自乗法に基づいて探知データを圧縮する。但し、最小の圧縮調整周期Δ単位で航跡転送周期T内の相関付けされた探知データを分割し、探知データ圧縮部126〜130によって探知データの圧縮を事前に実施する。並列構成の探知データ圧縮部126〜130は、入力側がデータバス12Aを介して第1のバッファ121と接続され、出力側はデータバス12Bを介して評価関数演算部122及び探知データ圧縮部124に接続されている。なお、データ圧縮部126〜130の数(並列数)は任意である。
【0072】
評価関数演算部122では、探知データ圧縮部126〜130の出力を入力し、最小自乗法による評価関数値を算出する。
圧縮レート制御部123は、評価関数演算部122の評価関数値を入力し、データ圧縮部126〜130から出力される圧縮探知データが更に圧縮可能であるか否かの判定を行う。
探知データ圧縮部124は、圧縮レート制御部123により出力される圧縮周期を入力し、判定結果に応じて探知データ圧縮部126〜130の出力を統合(圧縮)する。
【0073】
次に、動作について説明する。図17は、図16の追尾装置の処理の流れを示す説明図である。
探知データ圧縮手段12は、相関手段3の出力である探知データZk,ijを入力する。以下、探知データ圧縮手段5内部の動作について数式3を用いて説明する。
相関付けされた探知データは第1のバッファ121に蓄えられ、最小圧縮周期(圧縮調整周期)Δ毎に相関付けされた探知データを探知データ圧縮部126〜130に対して、図17に示すように順次出力される。
【0074】
探知データ圧縮手段126〜130は、相関付けされた探知データを入力し、数式3中の(2)に従って探知データを圧縮する。
【0075】
また評価関数演算部122では、探知データ圧縮部126〜130それぞれが出力する圧縮探知データを入力し、数式3中の(1)で示される評価関数値を算出する。
圧縮レート制御部123は、評価関数演算部122が出力した評価関数値と、予め設定された、評価関数値に関する閾値とを比較する。
【0076】
評価関数値が閾値を超えない場合は、圧縮レート制御部123は、ブロック毎の圧縮データを更に圧縮する圧縮指示を探知データ圧縮部124に対して出力する。
探知データ圧縮部124は、数式3中の(4)を用いて、ブロック毎の圧縮データを更に圧縮(統合)する。そして、第2のバッファ125に出力する。「ブロック」とは、探知データ圧縮部126〜130のことである。
【0077】
一方、評価関数値が閾値を超えた場合は、圧縮レート制御部123は、ブロック毎の圧縮データを未圧縮のままとする未圧縮指示を探知データ圧縮部124に対して出力する。
探知データ圧縮部124は、ブロック毎の圧縮データを未圧縮のまま、第2のバッファ125に出力する。
【0078】
【数3】

Ak,i:観測値ベクトルZk,iの観測誤差共分散行列
Vk:追尾フィルタによる平滑速度ベクトル
M:圧縮レート制御部により統合可能と判定されたブロック数
【0079】
探知データ圧縮部12は、航跡転送周期Tとなると、第2のバッファ125に格納された圧縮探知データをまとめて航跡管理局200へ転送する。
【0080】
以上のように、この実施の形態8によれば、探知データの入力毎に探知データ圧縮部126〜130で圧縮の前処理を行っているので、探知データ圧縮部124における統合(圧縮)時の計算処理を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】この発明の実施の形態1に係る追尾装置の構成図である。
【図2】図1中の相関手段の出力である探知データと、航跡転送周期との関係を示した図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る追尾装置と従来の追尾装置との処理結果の相違を示した図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る追尾装置の構成図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る追尾装置と従来の追尾装置との追尾航跡の相違を示した図である。
【図6】図4中の追尾誤差評価部62が出力した、図5に示す旋回目標の追尾誤差の、時間的な変化を示した図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る追尾装置の構成図である。
【図8】図7中の雑音抑圧比評価部が出力する雑音抑圧比の時間的な変化を示した図である。
【図9】この発明の実施の形態4に係る追尾装置の構成図である。
【図10】この発明の実施の形態5に係る追尾装置の構成図である。
【図11】図10中の相関手段にて生成された相関仮説及びその確率に対して、最良仮説抽出部にて最も確率の高い相関仮説を抽出する様子を示した図である。
【図12】この発明の実施の形態6に係る追尾装置の構成図である。
【図13】図12中の相関手段から出力された相関仮説とその確率に対して、仮説抽出部にて確率が高い順に複数の相関仮説を抽出する様子を示した図である。
【図14】この発明の実施の形態7に係る追尾装置の構成図である。
【図15】図14中の相関手段から出力された相関仮説とその確率に対して、仮説統合部にて確率が高い順に複数の相関仮説を抽出して統合する様子を示した図である。
【図16】この発明の実施の形態8に係る追尾装置の構成図である。
【図17】図16の追尾装置の処理の流れを示す説明図である。
【符号の説明】
【0082】
1 センサ、2 信号処理手段、3 相関手段、4 追尾フィルタ手段、5 探知データ圧縮手段、6 探知データ圧縮手段、7 探知データ圧縮手段、8 探知データ圧縮手段、9 探知データ圧縮手段、10 探知データ圧縮手段、11 探知データ圧縮手段、12 探知データ圧縮手段、12A データバス、12B データバス、51 第1のバッファ、52 評価関数演算部、53 圧縮レート制御部、54 探知データ圧縮部、55 第2のバッファ、61 第1のバッファ、62 追尾誤差評価部、63 圧縮レート制御部、64 探知データ圧縮部、65 第2のバッファ、71 第1のバッファ、72 雑音抑圧比評価部、73 圧縮レート制御部、74 探知データ圧縮部、75 第2のバッファ、81 第1のバッファ、82 評価関数演算部、83 圧縮レート制御部、84 探知データ圧縮部、85 第2のバッファ、91 第1のバッファ、92 評価関数演算部、93 圧縮レート制御部、94 探知データ圧縮部、95 第2のバッファ、96 最良仮説抽出部、100 トラックファイル、101 第1のバッファ、102 評価関数演算部、103 圧縮レート制御部、104 探知データ圧縮部、105 第2のバッファ、106 仮説抽出部、111 第1のバッファ、112 評価関数演算部、113 圧縮レート制御部、114 探知データ圧縮部、115 第2のバッファ、116 仮説統合部、121 第1のバッファ、122 評価関数演算部、123 圧縮レート制御部、124 探知データ圧縮部、125 第2のバッファ、126〜130 探知データ圧縮部、200 航跡管理局、300 航跡管理局、301 相関・統合部、302 センサ制御部、303 Globalトラックファイル、304 ローカルセンサ位置情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサから入力された探知データと目標航跡との相関をとる相関手段と、
前記相関手段により目標航跡と相関付けされた探知データを入力し、平滑及び予測処理を行い、追尾航跡を生成する追尾フィルタ手段と、
前記目標航跡と前記追尾フィルタ手段により生成された追尾航跡とを管理する航跡ファイルと、
探知状況に応じて航跡転送周期内で圧縮時間を制御すると共に、前記相関付けされた探知データを前記圧縮時間単位で圧縮して航跡情報として転送する探知データ圧縮手段とを備えたことを特徴とする追尾装置。
【請求項2】
前記探知データ圧縮手段は、前記相関付けされた探知データを線形最小自乗法にて線分近似する評価関数値を算出し、前記評価関数値の閾値判定に従って前記圧縮時間を制御することを特徴とする請求項1記載の追尾装置。
【請求項3】
前記探知データ圧縮手段は、前記追尾航跡と前記相関付けされた探知データとを比較して追尾誤差を算出し、前記追尾誤差の閾値判定に従って前記圧縮時間を制御することを特徴とする請求項1記載の追尾装置。
【請求項4】
前記探知データ圧縮手段は、最小自乗法にて前記相関付けされた探知データが近似される線分と該探知データとの雑音抑圧比を算出し、前記雑音抑圧比の閾値判定に従って前記圧縮時間を制御することを特徴とする請求項1記載の追尾装置。
【請求項5】
前記センサの位置情報を管理すると共に、前記探知データ圧縮手段から転送された前記航跡情報と前記センサの位置情報とから目標が前記センサの覆域内に存在するかを判定し、目標が前記センサの覆域内に存在すると判定した場合には航跡転送要求を送信する航跡管理局を備え、
前記探知データ圧縮手段は、前記航跡転送要求を受信して前記圧縮時間を制御することを特徴とする請求項1記載の追尾装置。
【請求項6】
前記相関手段は、MHT(Multiple Hypothesis Tracking)に基づいてセンサから入力された探知データと目標航跡との相関付けを行い、
前記探知データ圧縮手段は、MHTによって生成される相関仮説のうち、最も信頼度の高い相関仮説が示す相関付けされた探知データを前記圧縮時間単位で圧縮して航跡情報として転送することを特徴とする請求項1記載の追尾装置。
【請求項7】
前記探知データ圧縮手段は、MHTによって生成される相関仮説のうち、信頼度が高い複数の相関仮説が示す複数の相関付けされた探知データを前記圧縮時間単位で圧縮して航跡情報として転送することを特徴とする請求項6記載の追尾装置。
【請求項8】
前記探知データ圧縮手段は、MHTによって生成される相関仮説のうち、信頼度が高い複数の相関仮説を1つの仮説に統合し、該統合仮説が示す相関付けされた探知データを前記圧縮時間単位で圧縮して航跡情報として転送することを特徴とする請求項6記載の追尾装置。
【請求項9】
前記探知データ圧縮手段は、複数の前記相関付けされた探知データをそれぞれ圧縮する複数の探知データ圧縮部を備え、
前記複数の探知データ圧縮部から出力された複数の圧縮済み探知データを線形最小自乗法にて線分近似する評価関数値を算出し、前記評価関数値の閾値判定に従って前記複数の圧縮済み探知データを更に圧縮して航跡情報として転送することを特徴とする請求項1記載の追尾装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate