説明

追従制御装置

【課題】ACCによる追従制御時の車線変更時の車両の加速制御を的確に行う上で有利な追従制御装置を提供する。
【解決手段】ACCにより追従走行しているときの自車両201の車線変更時の加速制御のタイミングを、自車両201の走行方向が車線境界線103となす角度、車線境界線103と自車両201との距離、自車両走行車線101の前方車両202についての車両情報、隣接車線102の前方車両203、後方車両204についての車両情報をもとに決定する。また、自車両の車線変更時、自車両の走行速度と、隣接車線102の前方車両203、後方車両204の有無と、前方車両203、後方車両204が存在している場合の前方車両203、後方車両204の走行速度に応じた加速制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線変更時の安全性を向上させた追従制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転操作を支援するクルーズコントロール機能(以下ACCという)が自動車に採用されるようになってきている。
このACCは設定車速内で車速に応じた車間距離を前方車両に対し維持しながら追従走行し、運転操作を支援する機能である。
このような機能を実現する追従制御装置として以下のものが提案されている(特許文献1参照)。
この車両用追従装置は、追越車線判定手段により、利用可能な追越車線があると判定された場合に、利用可能な追越車線があると判定されなかった場合に比べて、移動体を先行車と設定し難くするように設定条件を変更する設定条件変更手段を設けている。
そして、追越車線を利用して追越しを行うことが出来る場合に、前記移動体を先行車と設定し難くすることで、運転者が自車両より前方の前記移動体を追い越す可能性が高いにも関わらず、不要に前記移動体を先行車として設定することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−113764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の追従制御装置では、ACCによる追従制御時の車線変更時における車両の加速の度合いが、運転者のマニュアル操作による車線変更時の加速の度合いよりも鈍くなる傾向となり、車両の加速制御を的確に行う上で不利がある。
この原因としては、先行車検知用として設けられているレーダの性能により先行車を検知できない場合に急加速防止のための加速抑制機能を有していること。また、先行車の車速変動に対する自車両の過度の加速を抑制するための急加速抑制機能を有していること。さらに車線変更時の状況判断を確実に行うことが困難であることによる車線変更時のみの加速度増加の難しさなどが挙げられる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ACCによる追従制御時の車線変更時の車両の加速制御を的確に行う上で有利な追従制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、前方を走行する前方車両を設定された車速で自車両が追従するように自車両を追従制御する追従制御装置において、自車両前方の自車両走行車線および隣接車線を走行している前方車両を検出する前方レーダと、自車両後方の自車両走行車線および隣接車線を走行している後方車両を検出する後方レーダと、自車両前方の路面上の車線映像を撮像する前方カメラと、自車両のウインカー操作を検出するウインカー操作検出スイッチと、前記前方レーダによる前記前方車両の検出結果、前記後方レーダによる前記後方車両の検出結果をもとに前記前方車両および前記後方車両の走行状況を示す車両情報を取得する前方・後方車両情報取得部と、前記前方カメラにより撮像した前記車線映像から車線を識別し、前記識別した車線に対する自車両の位置関係を含む車線情報を取得する車線情報取得部と、前記車線情報取得部により取得した前記車線情報から、前記車線と前記自車両との距離を含む走行車線逸脱情報を算出する走行車線逸脱情報算出手段と、前記走行車線逸脱情報算出手段により算出された、前記車線と前記自車両との距離を含む走行車線逸脱情報と、前記前方・後方車両情報取得部により取得した前記前方レーダにより検出した前記前方車両の車両情報と、前記後方レーダにより検出した前記後方車両の車両情報とをもとに、前記自車両が隣接車線へ車線変更する加速開始タイミングを決定する加速開始タイミング決定手段と、前記前方レーダにより検出した前記前方車両の車両情報と、前記後方レーダにより検出した前記後方車両の車両情報とをもとに、前記自車両が、前記加速開始タイミング決定手段により決定された加速開始タイミングで加速を開始し隣接車線へ進路変更するときの加速度を演算する加速度演算部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、クルーズコントロール機能により追従走行しているときの自車両の車線変更時の加速制御のタイミングを的確に決定できるため、車両の加速制御を的確に行う上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態の追従制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の追従制御装置における隣接車線の前方車両および後方車両の走行状況に応じた車線変更時の自車両の加速度を算出するための加速度算出テーブルを示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態の追従制御装置の動作を説明するための自車両と前方車両および後方車両との関係を示す走行状況説明図である。
【図4】本発明の実施の形態の追従制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態の追従制御装置の前方カメラにより撮像された画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態の追従制御装置1の構成を示すブロック図である。
追従制御装置1は車両に搭載されている。
追従制御装置1は、車速センサ11、前方レーダ12、後方レーダ13、前方カメラ14、ウインカー操作検出スイッチ15、クルーズコントロール機能制御ECU(以下ACC制御ECUという)21、エンジンECU41および表示/警報音出力部42を含んで構成されている。
【0010】
また、ACC制御ECU21は、前方・後方車両情報取得部31、車線情報取得部32、ウインカー操作検出部33、車線変更決定部34および加速度演算部35を備えている。
【0011】
車速センサ11は、自車両の走行速度を検出するセンサである。
【0012】
前方レーダ12は、自車両が走行している自車両走行車線および前記自車両走行車線に隣接する隣接車線における自車両前方を走行している前方車両の走行速度、自車両との車間距離、増速および減速の度合いを含む車両情報を検出するものである。
後方レーダ13は、自車両が走行している自車両走行車線および前記自車両走行車線に隣接する隣接車線における自車両後方を走行している後方車両の走行速度、自車両との車間距離、増速および減速の度合いを含む車両情報を検出するものである。
このような前方レーダ12、後方レーダ13として、例えばミリ波を利用したレーダ装置など従来公知のさまざまなレーダ装置が使用可能である。
【0013】
前方カメラ14は、自車両の走行方向前方、斜め前方の路面および路面上にマーキングされた車線境界線を含む前方画像を撮像するカメラであり、例えば車両の前部バンパーの中央部に取り付けられている。車線境界線とは、車両が走行する車線(走行レーン)を区切る境界線である。
【0014】
ウインカー操作検出スイッチ15は、自車両のウインカー操作を検出するスイッチであり、進行方向左側へ進路を変更するときの左ウインカー操作、および進行方向右側へ進路を変更するときの右ウインカー操作に応じて出力されるウインカーシグナルを検出する。
【0015】
ACC制御ECU21はコンピュータにより構成されており、クルーズコントロール機能を実現するための各部の制御、各種演算を行う。
【0016】
エンジンECU41はエンジンを制御するためのコンピュータであり、エンジンを制御するための各部の制御、各種演算を行う。
【0017】
表示/警報音出力部42は、ACC制御において前方レーダ12により検知した自車両前方の自車両走行車線を走行する前方車両、および前記自車両走行車線に隣接する隣接車線を走行する前方車両をディスプレイ上に出力する。
また、表示/警報音出力部42は、後方レーダ13により検知した自車両後方の自車両走行車線を走行する後方車両、および前記自車両走行車線に隣接する隣接車線を走行する後方車両をディスプレイ上に出力する。
さらに表示/警報音出力部42は、自車両と前記前方車両との車間距離、自車両と前記後方車両との車間距離など、自車両を中心とした走行状況の表示をディスプレイ上に出力する。
また、表示/警報音出力部42は、自車両と前記前方車両、前記後方車両との車間距離が所定の距離以下になることによる警報を警報音や警告表示として出力する。
【0018】
ACC制御ECU21の前方・後方車両情報取得部31、車線情報取得部32、ウインカー操作検出部33、車線変更決定部34および加速度演算部35は、コンピュータプログラムにより構成されている。
【0019】
前方・後方車両情報取得部31は、車速センサ11により検出した自車両の走行速度、後述する車線情報取得部32で識別した路面にマーキングされた車線境界線、路面の幅方向両側の車線境界線と自車両との横方向の距離、前記車線境界線に対する自車両の走行方向の角度を算出する走行車線逸脱情報算出手段を備えている。
また、前方・後方車両情報取得部31は、前方レーダ12により検知した自車両前方を走行する前方車両の走行速度および位置、後方レーダ13により検知した自車両後方を走行する後方車両の走行速度および位置などをもとに車両情報を検出する。
車両情報は、前方車両や後方車両の自車両に対する相対速度、走行速度の変化状況、自車両に対する走行位置およびその移動変化、前方車両、後方車両と自車両との車間距離などを含む前方車両、後方車両の走行状況を示す情報である。
【0020】
車線情報取得部32は、前方カメラ14により撮像した自車両の走行方向前方、斜め前方の画像から、路面中央の車線境界線、路面の幅方向両側にマーキングされた車線境界線などを識別し、識別した車線に対する自車両の位置関係を含む車線情報を取得する。
【0021】
ウインカー操作検出部33は、ウインカー操作検出スイッチ15により検出されたウインカーシグナルから、進行方向左側へ進路を変更するときの左ウインカー操作であるか、あるいは進行方向右側へ進路を変更するときの右ウインカー操作であるか、つまり自車両のウインカーの操作状態を判定する。
【0022】
車線変更決定部34は、自車両が車線変更するときの加速開始タイミングを決定するものであり、特許請求の範囲の加速開始タイミング決定手段を構成する。
車線変更決定部34が加速開始タイミングを決定する際の条件は以下の通りである。
1)ウインカー操作検出部33において検出された自車両のウインカーの操作状態。
2)前方・後方車両情報取得部31において検出された各車線境界線と自車両との横方向の距離が一定の距離以下になるとともに、前記車線境界線に対する自車両の走行方向の角度が一定の角度を超えた状態が所定時間持続すること。
3)前方・後方車両情報取得部31で検出された前記前方車両、前記後方車両と自車両との車間距離などを含む前方車両、後方車両の車両情報。
【0023】
加速度演算部35は、図2に示す加速度算出テーブルTBLを備え、ACCにより前方車両を追従中、自車両が車線変更するときの加速度を、加速度算出テーブルTBLを参照して決定する。
すなわち、加速度演算部35は、隣接車線の前方車両の有無と、隣接車線の前方車両が存在しているときにはその走行速度と、隣接車線の後方車両の有無と、隣接車線の後方車両が存在しているときにはその走行速度とに基づいて加速度算出テーブルTBLを参照して自車両が車線変更するときの加速度を決定する。
【0024】
図3は、ACCにより追従中の自車両と前方車両および後方車両との関係を示す走行状況説明図であり、符号101は自車両が走行中の自車両走行車線、符号102は自車両走行車線101の右側に隣接する隣接車線、符号103は車線境界線である。
符号201は自車両、符号202はACCにより自車両が追従中の前方車両である。
符号203は自車両前方の隣接車線102を走行する前方車両、符号204は自車両後方の隣接車線102を走行する後方車両である。
【0025】
次に動作について説明する。
図4は、この実施の形態の追従制御装置の動作を示すフローチャートである。
以下、図3の走行状況説明図に示される走行状況を例に、図4のフローチャートに従って動作を説明する。
【0026】
今、図3に示される走行状況で、自車両201はACCにより前方車両202を追従中である。
そして、自車両201は車線境界線103を超えて車線変更し、前方車両201を追い越そうとしている状況にある。
このため、自車両201は右側のウインカー211を点滅させて、自車両走行車線101から隣接車線102へ車線変更しようとしている。
【0027】
ウインカー操作検出部33は、運転者により操作されたウインカーのウインカーシグナルを検出し、ウインカーシグナルが右ウインカーであるか左ウインカーであるかを判定するとともに、運転者による車線変更の意思の有無を判定する(ステップS1)。
なお、ウインカーシグナルの検出はある一定の時間以上ウインカーシグナルが出力されているときに、ウインカーシグナルの検出、運転者による車線変更の意思ありと判定することが可能である。
【0028】
続いて、前方・後方車両情報取得部31により、前方レーダ12により検知した、ACCにより追従中の前方車両202と、自車両201が走行する自車両走行車線101に隣接する隣接車線102を走行中の前方車両203について、自車両201と前記前方車両202,203との車間距離および相対速度を算出する。
また、前方・後方車両情報取得部31により、隣接車線102を走行中の後方車両204について、自車両201と前記後方車両204との車間距離および相対速度を算出する(ステップS2)。
【0029】
次に、車線変更決定部34により、車線情報取得部32により識別した車線境界線103、車線境界線103と自車両201の走行方向との角度、車線境界線103と自車両201との距離(車線境界線103に対する自車両201の横位置、自車両201の車線境界線103からの距離)と、隣接車線102の前方車両203と後方車両204について前方・後方車両情報取得部31により取得した車両情報、例えばACCにより追従走行中の自車両の走行速度に応じて規定される自車両走行車線を走行している前方車両と自車両との車間距離、隣接車線を走行している前方車両と自車両との車間距離、後方車両と自車両との車間距離をもとに自車両201の加速開始のタイミングを決定する。
【0030】
図3に示す走行状況の例では、ACCによる設定車速100Km/hのとき、自車両201のACCによる追従制御車速が例えば80Km/hであると、自車両走行車線101を走行している前方車両202と自車両201との車間距離が40m以上、隣接車線を走行している前方車両と自車両との車間距離が60m以上、後方車両と自車両との車間距離が60m以上であって、右ウインカーが操作され、さらに車線境界線103と自車両201との距離Lが30センチメートル以内になったときを自車両201の加速開始のタイミングとして決定する。
【0031】
そして、加速度演算部35により、前方・後方車両情報取得部31により取得した車両情報の隣接車線の前方車両の有無と、隣接車線の前方車両が存在しているときにはその走行速度と、隣接車線の後方車両の有無と、隣接車線の後方車両が存在しているときにはその走行速度とから、自車両が車線変更するときの加速度を、図2に示す加速度算出テーブルTBLを参照して決定する(ステップS3)。
【0032】
図5は、前方カメラ104により撮像された画面図であり、自車両201と車線境界線103との距離(車線境界線103に対する自車両201の横位置)の一例を示す。
図5に示す画面は、前方カメラ14により撮像された自車両前方の画像であり、符号Cは前方カメラ104の取り付け位置、たとえば前方カメラ104が取り付けられている自車両201の前部バンパーの中央部を示している。
このため自車両201と車線境界線103との距離L´は、(画面上の距離L)×(1/画面縮小率)から(自車両の幅)/2を減算した値として求めることが可能である。
【0033】
したがって、車線変更決定部34は、このようにして求められた自車両201と車線境界線103との距離がある一定の距離以下、例えば30センチメートル以下になったタイミングで、自車両201は車線境界線103を超えようとしている状況、つまり車線変更可能な状況にあると判定する。
また、このとき、車線変更決定部34は、車線変更しようとしている隣接車線102の前方車両203、後方車両204の有無と、前方車両203、後方車両204が存在している場合の自車両201と前方車両203との車間距離、自車両201と後方車両204との車間距離から車線変更可能なタイミングを決定する。
さらに、自車両201と前方車両203との相対速度、前方車両203の速度変化状況、自車両201と後方車両204との相対速度、後方車両204の速度変化状況を、車線変更可能で加速開始可能なタイミングの決定条件とすることもできる。
この結果、車線変更決定部34により、車線変更可能で加速開始可能なタイミングを決定すると(ステップS4)、加速度演算部35により加速度算出テーブルTBLを参照して前記決定した加速度情報をもとにエンジンECU41によるエンジンの制御が開始され、自車両201は加速されて車線変更が開始される(ステップS5)。
【0034】
図2の加速度算出テーブルTBLにより規定されている例では、隣接車線102に前方車両203および後方車両204が存在し、前方車両203の走行速度が、ACCにより追従走行している自車両の追従車速を下回る65Km〜70Kmであるとき、後方車両204が75Km以下の追従車速以下で走行していると、自車両が車線変更するときの加速度は“無し”、つまり自車両201は加速することなく車線変更を開始する。
また、後方車両204が85Km〜100Kmの追従車速を超える速度で走行していると、自車両が車線変更するときの加速度は“無し”、つまり自車両201は加速することなく車線変更を見送る。
また、後方車両204が75Km〜85Kmの追従車速と同等の速度で走行していると、自車両が車線変更するときの加速度は“小”、つまり自車両201は通常の加速よりも小さな加速で車線変更を開始する。
【0035】
また、隣接車線102に前方車両203および後方車両204が存在し、前方車両203の走行速度が、ACCにより追従走行している自車両の追従車速を上回る85Km以上であるとき、後方車両204が75Km以下の追従車速以下で走行していると、自車両が車線変更するときの加速度は“中”、つまり自車両201は通常加速度と同程度の加速度で車線変更を開始する。
また、後方車両204が85Km〜100Kmの追従車速を超える速度で走行していると、自車両が車線変更するときの加速度は“大”、つまり自車両201は通常加速より大きな加速度で車線変更を開始する。
また、後方車両204が75Km〜85Kmの追従車速と同等の速度で走行していると、自車両が車線変更するときの加速度は“中”、つまり自車両201は通常加速度と同程度の加速度で車線変更を開始する。
【0036】
また、隣接車線102に前方車両203および後方車両204が存在し、前方車両203の走行速度が、ACCにより追従走行している自車両の追従車速と同程度の速度で走行しているとき、後方車両204が75Km以下の追従車速以下で走行していると、自車両が車線変更するときの加速度は“小”、つまり自車両201は通常加速より小さな加速で車線変更を開始する。
また、後方車両204が85Km〜100Kmの追従車速を超える速度で走行していると、自車両が車線変更するときの加速度は“小”、つまり自車両201は通常加速より小さな加速で車線変更を開始する。
また、後方車両204が75Km〜85Kmの追従車速と同等の速度で走行していると、自車両が車線変更するときの加速度は“無し”、つまり自車両201は加速することなく車線変更を開始する。
【0037】
また、隣接車線102に前方車両203が存在し、後方車両204は存在していない場合、前方車両203の走行速度が、65Km〜70KmのACCにより追従走行している自車両の追従車速を下回る速度で走行していると、自車両が車線変更するときの加速度は“無し”、つまり自車両201は加速することなくで車線変更を開始する。
また、前方車両203が85Km以上の追従車速を超える速度で走行していると、自車両が車線変更するときの加速度は“中”、つまり自車両201は通常加速と同程度の加速度で車線変更を開始する。
また、前方車両203が75Km〜85Kmの追従車速と同等の速度で走行していると、自車両が車線変更するときの加速度は“小”、つまり自車両201は通常の加速よりも小さい加速度で車線変更を開始する。
【0038】
また、隣接車線102に後方車両204が存在し、前方車両203は存在していない場合、後方車両204の走行速度が、75Km以下のACCにより追従走行している自車両の追従車速を下回る速度で走行していると、自車両が車線変更するときの加速度は“中”、つまり自車両201は通常加速と同等程度の加速度で車線変更を開始する。
また、後方車両204が85Km〜100Kmの追従車速を超える速度で走行していると、自車両が車線変更するときの加速度は“大”、つまり自車両201は通常加速より大きな加速度で車線変更を開始する。
また、後方車両204が75Km〜85Kmの追従車速と同等の速度で走行していると、自車両が車線変更するときの加速度は“中”、つまり自車両201は通常の加速と同等程度の加速度で車線変更を開始する。
【0039】
以上説明したように、この実施の形態によれば、ACCにより追従走行しているときの自車両201の車線変更時の加速制御のタイミングを、自車両201の走行方向が車線境界線103となす角度、車線境界線103と自車両201との距離、自車両走行車線101の前方車両202についての車両情報、隣接車線102の前方車両203、後方車両204についての車両情報、例えばACCにより追従走行中の自車両の走行速度に応じて規定される前方車両202,203と自車両201との車間距離、後方車両204と自車両201との車間距離をもとに決定する。
したがって、ACCによる追従制御時の車線変更時の車両の加速制御のタイミングを的確に決定できるため、車両の加速制御を的確に行う上で有利となる。
また、この実施の形態によれば、ACCにより追従走行している自車両の走行速度と、隣接車線102の前方車両203、後方車両204の有無と、前方車両203、後方車両204が存在している場合の前方車両203、後方車両204の走行速度に応じた車線変更時の加速制御を実現できるため、ACCにより追従走行している自車両の車線変更時の加速制御を的確に行う上で有利となる。
【符号の説明】
【0040】
1……ACC制御ECU、12……前方レーダ、13……後方レーダ、14……前方カメラ、15……ウインカー操検出スイッチ、31……前方・後方車両情報取得部(走行車線逸脱情報算出手段)、32……車線情報取得部、33……ウインカー操作検出部、34……車線変更決定部(加速開始タイミング決定手段)、35……加速度演算部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方を走行する前方車両を設定された車速で自車両が追従するように自車両を追従制御する追従制御装置において、
自車両前方の自車両走行車線および隣接車線を走行している前方車両を検出する前方レーダと、
自車両後方の自車両走行車線および隣接車線を走行している後方車両を検出する後方レーダと、
自車両前方の路面上の車線映像を撮像する前方カメラと、
自車両のウインカー操作を検出するウインカー操作検出スイッチと、
前記前方レーダによる前記前方車両の検出結果、前記後方レーダによる前記後方車両の検出結果をもとに前記前方車両および前記後方車両の走行状況を示す車両情報を取得する前方・後方車両情報取得部と、
前記前方カメラにより撮像した前記車線映像から車線を識別し、前記識別した車線に対する自車両の位置関係を含む車線情報を取得する車線情報取得部と、
前記車線情報取得部により取得した前記車線情報から、前記車線と前記自車両との距離を含む走行車線逸脱情報を算出する走行車線逸脱情報算出手段と、
前記走行車線逸脱情報算出手段により算出された、前記車線と前記自車両との距離を含む走行車線逸脱情報と、前記前方・後方車両情報取得部により取得した前記前方レーダにより検出した前記前方車両の車両情報と、前記後方レーダにより検出した前記後方車両の車両情報とをもとに、前記自車両が隣接車線へ車線変更する加速開始タイミングを決定する加速開始タイミング決定手段と、
前記前方レーダにより検出した前記前方車両の車両情報と、前記後方レーダにより検出した前記後方車両の車両情報とをもとに、前記自車両が、前記加速開始タイミング決定手段により決定された加速開始タイミングで加速を開始し隣接車線へ進路変更するときの加速度を演算する加速度演算部と、
を備えることを特徴とする追従制御装置。
【請求項2】
前記走行車線逸脱情報は、前記車線と前記自車両との距離、および前記車線に対する前記自車両の向いている角度を含む、
ことを特徴とする請求項1記載の追従制御装置。
【請求項3】
ウインカー操作検出スイッチにより検出されたウインカー操作をもとに、進行方向左側へ進路を変更するときの左ウインカー操作であるか、あるいは進行方向右側へ進路を変更するときの右ウインカー操作であるかを判定するウインカー操作検出部をさらに備え、
前記隣接車線は、前記ウインカー操作検出部により判定された前記自車両のウインカーの左ウインカー操作に対応する左隣接車線あるいは右ウインカー操作に対応する右隣接車線である、
ことを特徴とする請求項1記載の追従制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−1042(P2012−1042A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135964(P2010−135964)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】