説明

追跡システム、追跡方法、および追跡プログラム

【課題】 ネットワークに接続された各コンピュータに分散記憶されたID情報と時刻情報とを検索して追跡を行う追跡システム、追跡方法、および追跡プログラムを提供する。
【解決手段】 コンピュータ20は検索対象ID及び検索対象時刻範囲を受け付け、隣接ネットワークのコンピュータに検索依頼を送信する。検索依頼を受けたコンピュータは自データベース内に該当レコードがあるか検索し、検索結果を検索依頼元のコンピュータ20に送信する。コンピュータ20は検索依頼先のコンピュータから受信した検索結果からタイムテーブルを作成する。タイムテーブルの最終レコードとなるレコードを有するデータベースのコンピュータに代表依頼を送信し検索を依頼する。代表依頼されたコンピュータは隣接ネットワークのコンピュータに検索依頼を送信し、検索結果を取り纏めコンピュータ20に送信する。コンピュータ20は最終結果を受信して動線を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、追跡システム、追跡方法、および追跡プログラムに関し、特に、ネットワークに接続された各コンピュータに分散記憶されたID情報と時刻情報とを検索して追跡を行う追跡システム、追跡方法、および追跡プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の追跡システムの一例が『被探索物追跡システム』として特許文献1に記載されている。このシステムは、非接触型の無線ICタグを装備された探索対象となる移動体と、無線ICタグに記録された情報を読み取るために多数設置されたタグ読み取りセンサと、各タグ読み取りセンサを監視する監視センタとを備え、以下のように動作する。
【0003】
タグ読み取りセンサは、移動体に装備された無線ICタグを検出して情報を読み取り、読み取った移動体に関する情報を監視センタに送信する。監視センタは、タグ読み取りセンサから送信された移動体に関する情報を受信し、受信した移動体に関する情報を管理データベースに格納する。監視センタは、受信した移動体に関する情報から、タグ読み取りセンサにより検出された無線ICタグを装備された移動体の現在位置情報を監視表示装置の監視画面に表示している。また、監視センタは、受信した移動体の現在位置情報と移動体に関する情報を受信した時刻の時刻情報を管理データベースに記録して蓄積する。そして、指定された任意の移動体の探索に関するログ情報を編集して出力し、ログ情報を地図情報にプロットして編集・出力する。
【0004】
【特許文献1】特開2005−83781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した被探索物追跡システムに代表される従来の追跡システムは、拡張性やオープン性が無いという問題があった。
【0006】
その理由は、従来の追跡システムが、集荷・配送等の決まった経路上の位置情報の検索や、特定の建物や土地の範囲内での人の移動経路の表示を行うことを目的としたものであるからである。
【0007】
本発明の目的は、上述した従来の課題を解決する追跡システム、追跡方法、および追跡プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の追跡システムは、複数のコンピュータのそれぞれが、被追跡物体からID情報を読み取り、当該ID情報と当該ID情報を読み取った時刻情報とを自装置に接続されたデータベースに格納するデータベース登録手段を備え、前記複数のコンピュータの内の代表コンピュータが、ID情報と時刻範囲の情報とを入力し、それらを検索条件として自装置に接続された前記データベースを検索し、該当する情報が存在する場合には、前記時刻情報と自コンピュータの位置情報とを検索結果として記憶領域に格納する検索手段と、前記検索条件を前記複数のコンピュータの内の他のコンピュータへ送信する検索依頼送信手段と、前記他のコンピュータから検索結果としての時刻情報と当該他のコンピュータの位置情報とを受信して前記記憶領域に格納する検索結果受信手段とを備え、前記他のコンピュータが、前記代表コンピュータから前記検索条件を受信して自装置に接続された前記データベースを検索し、該当する情報が存在する場合には、前記時刻情報と自コンピュータの位置情報とを検索結果として前記代表コンピュータへ送信する検索結果送信手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の追跡システムは、第1の追跡システムにおいて、前記代表コンピュータが、前記記憶領域に格納した前記検索結果を前記時刻情報に基づいて並び替えてタイムテーブルを作成する検索結果処理手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の追跡システムは、第2の追跡システムにおいて、前記代表コンピュータが、前記タイムテーブルに基づいて前記被追跡物体の動線情報を作成して出力する動線作成手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の第4の追跡システムは、第2または第3の追跡システムにおいて、前記代表コンピュータが、前記タイムテーブルに基づいて前記複数のコンピュータから新たな代表コンピュータを決定し、当該新たな代表コンピュータに代表依頼通知を送信して代表コンピュータとして動作させる代表依頼送信手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の第5の追跡システムは、第1乃至4のいずれかに記載の追跡システムにおいて、前記検索依頼送信手段は、前記複数のコンピュータの内、前記代表コンピュータが接続されているネットワークからホップ数が1以内のネットワークに接続される他のコンピュータへ前記検索条件を送信することを特徴とする。
【0013】
本発明の第1の追跡方法は、複数のコンピュータのそれぞれが、被追跡物体からID情報を読み取り、当該ID情報と当該ID情報を読み取った時刻情報とを自装置に接続されたデータベースに格納するデータベース登録ステップと、前記複数のコンピュータの内の代表コンピュータが、ID情報と時刻範囲の情報とを入力し、それらを検索条件として自装置に接続された前記データベースを検索し、該当する情報が存在する場合には、前記時刻情報と自コンピュータの位置情報とを検索結果として記憶領域に格納する検索ステップと、前記代表コンピュータが、前記検索条件を前記複数のコンピュータの内の他のコンピュータへ送信する検索依頼送信ステップと、前記他のコンピュータが、前記代表コンピュータから前記検索条件を受信して自装置に接続された前記データベースを検索し、該当する情報が存在する場合には、前記時刻情報と自コンピュータの位置情報とを検索結果として前記代表コンピュータへ送信する検索結果送信ステップと、前記代表コンピュータが、前記他のコンピュータから検索結果としての時刻情報と当該他のコンピュータの位置情報とを受信して前記記憶領域に格納する検索結果受信ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の第2の追跡方法は、第1の追跡方法において、前記代表コンピュータが、前記記憶領域に格納した前記検索結果を前記時刻情報に基づいて並び替えてタイムテーブルを作成する検索結果処理ステップを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の追跡方法は、第2の追跡方法において、前記代表コンピュータが、前記タイムテーブルに基づいて前記被追跡物体の動線情報を作成して出力する動線作成ステップを含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の第4の追跡方法は、第2または第3の追跡方法において、前記代表コンピュータが、前記タイムテーブルに基づいて前記複数のコンピュータから新たな代表コンピュータを決定し、当該新たな代表コンピュータに代表依頼通知を送信して代表コンピュータとして動作させる代表依頼送信ステップを含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の第5の追跡方法は、第1乃至4のいずれかに記載の追跡方法において、前記検索依頼送信ステップは、前記複数のコンピュータの内、前記代表コンピュータが接続されているネットワークからホップ数が1以内のネットワークに接続される他のコンピュータへ前記検索条件を送信することを特徴とする。
【0018】
本発明の第1の追跡プログラムは、被追跡物体からID情報を読み取り、当該ID情報と当該ID情報を読み取った時刻情報とを自装置に接続されたデータベースに格納するデータベース登録処理と、ID情報と時刻範囲の情報とを入力し、それらを検索条件として自装置に接続された前記データベースを検索し、該当する情報が存在する場合には、前記時刻情報と自コンピュータの位置情報とを検索結果として記憶領域に格納する検索処理と、前記検索条件を他のコンピュータへ送信する検索依頼送信処理と、前記他のコンピュータが前記検索条件に従って当該他のコンピュータに接続された前記データベースを検索して該当する情報が存在した場合に、当該他のコンピュータから前記時刻情報と当該他のコンピュータの位置情報とを検索結果として受信して前記記憶領域に格納する検索結果受信処理と、をコンピュータに行わせることを特徴とする。
【0019】
本発明の第2の追跡プログラムは、第1の追跡プログラムにおいて、前記記憶領域に格納した前記検索結果を前記時刻情報に基づいて並び替えてタイムテーブルを作成する検索結果処理をコンピュータに行わせることを特徴とする。
【0020】
本発明の第3の追跡プログラムは、第2の追跡プログラムにおいて、前記タイムテーブルに基づいて前記被追跡物体の動線情報を作成して出力する動線作成処理をコンピュータに行わせることを特徴とする。
【0021】
本発明の第4の追跡プログラムは、前記タイムテーブルに基づいて代表コンピュータを決定し、当該代表コンピュータに代表依頼通知を送信して、第2または第3の追跡プログラムが行う処理を当該代表コンピュータに行わせることを特徴とする。
【0022】
本発明の第5の追跡プログラムは、第1乃至4のいずれかに記載の追跡プログラムにおいて、前記検索依頼送信処理は、自コンピュータが接続されているネットワークからホップ数が1以内のネットワークに接続される他のコンピュータへ前記検索条件を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、拡張性やオープン性がある追跡システムを実現することができるという効果を有している。その理由は、検索結果に基づき次の代表コンピュータを決定し、決定した次の代表コンピュータに関連する検索ネットワーク範囲で検索を行うようにしたためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、分散型データベース内に時刻別に記録された被追跡物体のID情報(識別情報)を検索して追跡し、動線化することを特徴としている。
【0025】
以下に、本発明を実施するための最良の形態の構成について、図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1を参照すると、本発明の第1の実施の形態は、データベース(DB)10〜16と、プログラム制御により動作するコンピュータ20〜26と、それらを接続するネットワーク1〜2とを備えている。
【0027】
ネットワーク1には、コンピュータ20とコンピュータ21とコンピュータ22とコンピュータ23とが接続されている。コンピュータ20はデータベース10を、コンピュータ21はデータベース11を、コンピュータ22はデータベース12を、コンピュータ23はデータベース13を接続する。
【0028】
ネットワーク2には、コンピュータ24とコンピュータ25とコンピュータ26とが接続されている。コンピュータ24はデータベース14を、コンピュータ25はデータベース15を、コンピュータ26はデータベース16を接続する。
【0029】
ネットワーク1とネットワーク2とは、図示しないルータ等の中継装置により接続されている。
【0030】
データベース10には、図2に示すように、被追跡物体のID情報(識別情報)と時刻情報(タイムスタンプ)とを含むレコードが登録される。ID情報と時刻情報とは一体化されて1つのフィールドとして暗号化されて登録される。なお、他のデータベース11〜16も同様な構成である。
【0031】
図3を参照して、コンピュータ20の構成を説明する。なお、他のコンピュータ21〜26も同様な構成である。
【0032】
コンピュータ20は、プログラム制御により動作するサーバ装置等の情報処理装置であり、検索要求受付手段2001と、検索手段2002と、検索結果格納部2003と、検索依頼送信手段2004と、検索依頼受信手段2005と、検索結果送信手段2006と、検索結果受信手段2007と、検索結果処理手段2008と、位置情報格納部2009と、データベース登録手段2010と、代表決定手段2011と、代表依頼送信手段2012と、代表依頼受信手段2013と、動線作成手段2014とを含む。
【0033】
検索要求受付手段2001は、操作者がキーボード等の入力装置(図示せず)から入力した検索要求を受け付け、受け付けた検索要求を記憶部(図示せず)に格納する。検索要求には検索条件を含み、検索条件には検索対象IDと検索対象時刻範囲(開始時刻および終了時刻)とを含む。そして、検索要求受付手段2001は、格納した検索要求から検索条件を抽出し、抽出した検索条件を検索手段2002と検索依頼送信手段2004とに引き渡す。
【0034】
検索手段2002は、検索要求受付手段2001から検索条件を受け取り、受け取った検索条件でデータベース10を検索し、検索条件と一致するレコードが存在するか否かを確認する。一致するレコードが存在した場合、その時刻情報を検索結果として検索結果格納部2003に保存する。検索手段2002の動作の詳細については後述する。
【0035】
検索結果格納部2003には、検索手段2002が取得した検索結果(時刻情報)ならびに自コンピュータの位置情報(緯度情報、経度情報)が格納される。また、検索依頼先のコンピュータのIPアドレス情報も格納される。初期代表コンピュータの検索結果格納部2003には、各代表コンピュータから受信した検索結果ならびに検索先コンピュータの位置情報(緯度情報、経度情報)が格納される。
【0036】
検索依頼送信手段2004は、検索条件を含む検索依頼を隣接するコンピュータにブロードキャスト送信し、隣接するコンピュータに検索を依頼する。隣接するコンピュータとは、本例では、ホップ数が1までのネットワークに接続されるコンピュータを指す。ホップ数が1までのネットワークを、検索ネットワーク範囲と称することがある。
【0037】
検索依頼受信手段2005は、検索依頼元のコンピュータから送信されてきた検索依頼を受信して格納すると共に、検索条件を抽出して検索手段に引き渡す。
【0038】
検索結果送信手段2006は、検索結果格納部2003から検索結果(時刻情報)を読み出し、自コンピュータの位置情報と共に検索依頼元のコンピュータに送信する。
【0039】
検索結果受信手段2007は、検索依頼先のコンピュータから送信されてきた検索結果(時刻情報)と検索依頼先のコンピュータの位置情報とを受信する。このとき、検索依頼先のコンピュータのIPアドレス情報を取得する。そして、受信した検索結果と位置情報ならびに取得した検索依頼先のコンピュータのIPアドレス情報を検索結果格納部2003に格納する。
【0040】
検索結果処理手段2008は、検索結果格納部2003から検索結果(時刻情報)と位置情報とIPアドレス情報とを読み出して時刻情報でソートし、タイムテーブルを作成する。
【0041】
位置情報格納部2009には、自コンピュータの位置する位置情報(緯度情報、経度情報)が、予め格納されている。格納するための位置情報は、例えば、GPS(Global Positioning System)を利用して取得することができる。GPSを利用して位置情報を取得する方法は周知であるので、説明を省略する。
【0042】
データベース登録手段2010は、被追跡物体(人物等も含む)に装着されているID情報を読み取り、読み取ったID情報を自データベースに登録する。このとき、時刻機構(図示せず)から時刻情報を読み出して、時刻情報(タイムスタンプ)をID情報と共に登録する。時刻情報は、年月日時分などで表される。データベースに登録するとき、ID情報と時刻情報(タイムスタンプ)とを一体化して1つのフィールドとして暗号化し、暗号化データをデータベースに登録する。例えば、ID情報と時刻情報(タイムスタンプ)よりハッシュ関数でハッシュ値を計算して暗号化する。データベース登録手段2010の一例として、RFIDタグにID情報を記憶させ、RFIDタグを被追跡物体に装着し、RFIDタグ読取装置でID情報を読み取るようにしてもよい。
【0043】
代表決定手段2011は、タイムテーブルから最終レコード(時刻情報が直近のレコード)を読み出す。そして、そのレコードの位置情報が示す位置に存在するコンピュータを次の代表コンピュータと決定する。
【0044】
代表依頼送信手段2012は、タイムテーブルの最終レコード(時刻情報が直近のレコード)上のIPアドレス情報で示すIPアドレスに対して代表依頼を送信する。
【0045】
代表依頼受信手段2013は、初期代表コンピュータ20あるいは直前の代表コンピュータから代表依頼を受信して格納し、自コンピュータが代表コンピュータとして動作することを認識する。そして、代表依頼に含まれる検索条件を抽出して検索依頼送信手段に送出する。
【0046】
動線作成手段2014は、一連の検索が終了した時点で、タイムテーブルから時刻情報と位置情報とを抽出する。そして、抽出した時刻情報と位置情報とに従い、位置情報で示される位置(ポイント)にマーキングし、マーキングされたポイントを結んで動線を作成し、表示装置(図示せず)に表示する。地図情報を予め記憶しておき、地図情報を読み出して、地図情報上の位置情報で示されるポイントにマーキングし、地図情報と重ね合わせて動線を表示するようにしてもよい。
【0047】
ここで、コンピュータ20〜26の動作モードについて説明する。
【0048】
コンピュータ20〜26は、そのときの状況により、初期代表コンピュータ、代表コンピュータ、あるいは一般コンピュータのいずれかとして動作する。
【0049】
初期代表コンピュータとは、操作者から入力された検索要求を受け付けたコンピュータである。初期代表コンピュータは、検索を隣接コンピュータに依頼し、それぞれから検索結果を受け取る。受け取った検索結果から次の代表コンピュータを決定して、検索を依頼する。本例では、コンピュータ20を初期代表コンピュータとする。
【0050】
代表コンピュータは、初期代表コンピュータあるいは直前の代表コンピュータから代表依頼を受けて、検索を隣接コンピュータに依頼し、検索結果をまとめるコンピュータである。代表コンピュータは、検索依頼先のコンピュータから検索結果を受け取り、受け取った検索結果から次の代表コンピュータを決定して、代表依頼を送信する。また、検索依頼先のコンピュータから受け取った検索結果を初期代表コンピュータに送信する。
【0051】
一般コンピュータは、初期代表コンピュータあるいは代表コンピュータから検索依頼を受け、検索を実行するコンピュータである。一般コンピュータは、検索結果を検索依頼元である初期代表コンピュータあるいは代表コンピュータに返信する。
【0052】
次に、本発明の第1の実施の形態の動作について、図面を参照して詳細に説明する。
【0053】
最初に、初期代表コンピュータ、代表コンピュータ、および一般コンピュータのそれぞれの動作について説明する。
【0054】
先ず、図4を参照して、初期代表コンピュータ(コンピュータ20)の動作について説明する。
【0055】
検索要求受付手段2001は、操作者がキーボード等の入力装置(図示せず)から入力した検索要求を受け付け、受け付けた検索要求を記憶部(図示せず)に格納する。そして、入力装置(図示せず)から検索要求を受け付けたことにより、自コンピュータ20が初期代表コンピュータとして動作することを認識する。検索要求には検索条件を含み、検索条件には検索対象IDと検索対象時刻範囲(開始時刻および終了時刻)とを含む。検索要求受付手段2001は、検索要求に含まれる検索条件を抽出し、検索手段2002と検索依頼送信手段2004とに送出する。
【0056】
検索手段2002は、受け取った検索条件に基づき、データベース10を検索し、検索条件と一致するレコードが存在するか否かを確認する。一致するレコードが存在した場合、その時刻情報を検索結果として検索結果格納部2003に格納する。また、位置情報格納部2009から自コンピュータ20の位置情報(緯度情報、経度情報)を読み出し、位置情報も検索結果格納部2003に格納する。図6(a)に、検索結果格納部2003に格納されるレコードの例を示す。
【0057】
検索依頼送信手段2004は、隣接するコンピュータに、検索条件を含む検索依頼をブロードキャスト送信して検索を依頼する。
【0058】
検索結果受信手段2007は、検索依頼先のコンピュータから検索結果(時刻情報)および検索依頼先コンピュータ(検索コンピュータ)の位置情報を受信する。このとき、検索依頼先コンピュータのIPアドレスを取得する。受信した検索結果と位置情報ならびに取得した検索依頼先コンピュータのIPアドレスを検索結果格納部2003に格納する。
【0059】
検索結果処理手段2008は、検索結果格納部2003のレコードを時刻情報でソートし、タイムテーブルを作成する。
【0060】
代表決定手段2011は、タイムテーブルから最終レコード(時刻情報が直近のレコード)を読み出す。そして、そのレコードの位置情報が示す位置に存在するコンピュータを次の代表コンピュータと決定する。図7に、次の代表コンピュータを決定する例を示す。
【0061】
代表依頼送信手段2012は、タイムテーブルの最終レコード(時刻情報が直近のレコード)上のIPアドレス情報で示すIPアドレスに対して代表依頼を送信する。
【0062】
動線作成手段2014は、一連の検索が終了した時点で、タイムテーブルから時刻情報と位置情報とを抽出する。そして、抽出した時刻情報と位置情報とに従い、位置情報で示されるポイントにマーキングし、マーキングされたポイントを結んで動線を作成し、表示装置(図示せず)に表示する。
【0063】
次に、図4を参照して、一般コンピュータ(コンピュータ2n)の動作について説明する。
【0064】
検索依頼受信手段2n05は、初期代表コンピュータ20あるいは代表コンピュータ2mから検索条件を受信して格納すると共に、検索条件を検索手段2n02に送出する。
【0065】
検索手段2n02は、受け取った検索条件に基づき、データベース1nを検索し、検索条件と一致するレコードが存在するか否かを確認する。一致するレコードが存在した場合、その時刻情報を検索結果として検索結果格納部2n03に格納する。図6(b)に、検索結果格納部2n03に格納されるレコードの例を示す。
【0066】
検索結果送信手段2n06は、検索結果格納部2n03から検索結果を読み出し、検索結果を検索依頼元の初期代表コンピュータ20あるいは代表コンピュータ2mに返信する。このとき、位置情報格納部2n09から自コンピュータ2nの位置情報(緯度情報、経度情報)を読み出し、読み出した位置情報も同時に送信する。なお、検索条件と一致するレコードが存在しない場合には、一致するレコードが存在しない旨を送信する。
【0067】
次に、図5を参照して、代表コンピュータ(コンピュータ2m)について説明する。
【0068】
代表依頼受信手段2m13は、初期代表コンピュータ20あるいは直前の代表コンピュータから代表依頼を受信し、自コンピュータ2mが代表コンピュータとして動作することを認識する。そして、代表依頼に含まれる検索条件を抽出して検索依頼送信手段2m04に送出する。
【0069】
検索依頼送信手段2m04は、隣接するコンピュータに検索条件をブロードキャスト送信して検索を依頼する。
【0070】
検索結果受信手段2m07は、検索依頼先のコンピュータから検索結果(時刻情報)および検索依頼先コンピュータ(検索コンピュータ)の位置情報を受信する。このとき、検索依頼先コンピュータのIPアドレスを取得する。受信した検索結果と位置情報ならびに取得した検索依頼先コンピュータのIPアドレスを検索結果格納部2m03に格納する。図6(c)に、検索結果格納部2m03に格納されるレコードの例を示す。
【0071】
検索結果処理手段2m08は、検索結果格納部2m03のレコードを時刻情報でソートし、タイムテーブルを作成する。
【0072】
検索結果送信手段2m06は、検索結果格納部2m03から検索結果(時刻情報)および位置情報を読み出し、初期代表コンピュータ20に送信する。
【0073】
代表決定手段2m11は、タイムテーブルから最終レコード(時刻情報が直近のレコード)を読み出す。そして、そのレコードの位置情報が示す位置に存在するコンピュータを次の代表コンピュータと決定する。図7に、次の代表コンピュータを決定する例を示す。
【0074】
代表依頼送信手段2m12は、タイムテーブルの最終レコード(時刻情報が直近のレコード)上のIPアドレス情報で示すIPアドレスに対して代表依頼を送信する。
【0075】
次に、図1、図4、図5、および図8を参照して、本発明の第1の実施の形態の動作について詳細に説明する。本説明では、コンピュータ20を初期代表コンピュータとしている。
【0076】
図8を参照すると、コンピュータ20(初期代表コンピュータ)の検索要求受付手段2001は、検索対象のIDおよび検索対象の時刻範囲(開始時刻と終了時刻)を受け付ける(ステップA01)。
【0077】
検索依頼送信手段2004は、隣接ネットワーク(ネットワーク1およびネットワーク2)のコンピュータ21〜26に、検索対象IDと検索対象時刻範囲とを含む検索条件を送信する(ステップA02)。
【0078】
検索手段2002は、IDと該当時刻範囲内での時刻(タイムスタンプ)とよりハッシュ値を計算し、IDと時刻(タイムスタンプ)とを一体化して1つのフィールドとして暗号化する(ステップA03)。
【0079】
暗号化したデータが自データベース(データベース10)内に存在するかを検索し、暗号化したデータを含むレコードが存在すれば、そのときのタイムスタンプ(時刻情報)を保存する(ステップA04〜A05)。
【0080】
コンピュータ21〜26の検索依頼受信手段2n05は、検索依頼を受信する(ステップA21)。
【0081】
検索手段2n02は、IDと該当時刻範囲内でのタイムスタンプとよりハッシュ値を計算し、IDとタイムスタンプとを一体化して1つのフィールドとして暗号化する(ステップA22)。
【0082】
暗号化したデータが自データベース(データベース1n)内に存在するかを検索し、暗号化したデータを含むレコードが存在すれば、そのときのタイムスタンプ(時刻情報)を保存する(ステップA23)。
【0083】
検索結果送信手段2n06は、検索結果(時刻情報)ならびに自コンピュータ2nの位置情報を検索依頼元のコンピュータ20に送信し(ステップA24)、アイドル状態に戻る(ステップA25)。
【0084】
コンピュータ20の検索結果受信手段2007は、検索依頼先のコンピュータ21〜26から検索結果ならびに検索依頼先のコンピュータ2nの位置情報を受信して格納する(ステップA06)。
【0085】
検索結果処理手段2008は、検索結果をマージ、ソートして検索対象IDに対するタイムテーブルを作成する(ステップA07)。
【0086】
代表決定手段2011は、タイムテーブルの最終レコードとなるレコードを有するデータベースのコンピュータを次の代表コンピュータに決定する。そして、そのコンピュータに対して代表コンピュータを委譲するために、代表依頼送信手段2012は、決定したコンピュータに代表依頼を送信して最終レコード時刻以降の検索を依頼する(ステップA08)。本例では、コンピュータ22を次の代表コンピュータとして決定する。
【0087】
動線作成手段2014は、現在までの検索結果を動線表示し、コンピュータ20はアイドル状態に入る(ステップA09)。
【0088】
コンピュータ22の代表依頼受信手段2213は、代表委譲の依頼を受信する(ステップA26)。
【0089】
ネットワーク1およびネットワーク2またはそれ以外の自コンピュータからあるメトリック数にあるネットワークに対して、検索依頼(検索対象IDと検索対象時刻範囲とからなる検索条件を含む)を送信する(ステップA27)。
【0090】
その後、代表コンピュータとしてステップA03〜A08を行い、結果を初期代表コンピュータ20に送信する。
【0091】
初期代表コンピュータ(コンピュータ20)は、最終結果を受信して、動線表示を行う(ステップA10)。
【0092】
更に、図面を参照して本発明の動作を説明する。
【0093】
ID値を含む無線タグを装着した被追跡人物はコンピュータが設置されている各地点に立ち寄り通過し、センスされたID値と共にセンスした時刻情報がコンピュータに接続されるデータベースに登録されているものとする。
【0094】
図9(a)の構成図を参照して説明するに当たり、コンピュータaを初期代表コンピュータとする。また、検索対象時刻範囲を”09:00〜17:00”とし、検索対象IDを”ID−a”とする。なお、図9(a)において、検索対象ID”ID−a”を含まないデータベースを有するコンピュータについては図示していない。
【0095】
先ず、コンピュータaは、ユーザから検索要求された検索条件を検索ネットワーク範囲a内のコンピュータに送信して検索依頼する。検索条件を受信した各コンピュータは、自データベースを検索し、検索結果を検索依頼元のコンピュータaに送信する。コンピュータaは、検索依頼先の各コンピュータからの検索結果を受信し、受信した検索結果をマージし、時刻情報でソートしてタイムテーブルa(図10(a)参照)を作成する。そして、タイムテーブルaの最終レコードとなるレコードを有するデータベースのコンピュータ(コンピュータh)を次の代表コンピュータに決定し、代表依頼を送信して最終レコード時刻以降(12:15以降)の検索を依頼する。
【0096】
次に、コンピュータhは、検索対象時刻範囲を12:16〜17:00として検索条件を検索ネットワーク範囲b内のコンピュータに送信して検索依頼する。検索条件を受信した各コンピュータは、自データベースを検索し、検索結果を検索依頼元のコンピュータhに送信する。コンピュータhは、検索依頼先の各コンピュータからの検索結果を受信し、受信した検索結果をマージし、時刻情報でソートしてタイムテーブルb(図10(b)参照)を作成する。そして、タイムテーブルbの最終レコードとなるレコードを有するデータベースのコンピュータ(コンピュータp)を次の代表コンピュータに決定し、代表依頼を送信して最終レコード時刻以降(15:00以降)の検索を依頼する。また、コンピュータhは、検索ネットワーク範囲b内での検索結果をコンピュータaに送信する。
【0097】
次に、コンピュータpは、検索対象時刻範囲を15:01〜17:00として検索条件を検索ネットワーク範囲c内のコンピュータに送信して検索依頼する。検索条件を受信した各コンピュータは、自データベースを検索し、検索結果を検索依頼元のコンピュータpに送信する。コンピュータpは、検索依頼先の各コンピュータからの検索結果を受信し、受信した検索結果をマージし、時刻情報でソートしてタイムテーブルc(図10(c)参照)を作成する。そして、タイムテーブルcの最終レコードとなるレコードを有するデータベースのコンピュータ(コンピュータu)を次の代表コンピュータに決定し、代表依頼を送信して最終レコード時刻以降(16:15以降)の検索を依頼する。また、コンピュータpは、検索ネットワーク範囲c内での検索結果をコンピュータaに送信する。
【0098】
次に、コンピュータuは、検索対象時刻範囲を16:16〜17:00として検索条件を検索ネットワーク範囲d内のコンピュータに送信して検索依頼する。検索条件を受信した各コンピュータは、自データベースを検索し、検索結果を検索依頼元のコンピュータuに送信する。コンピュータuは、検索依頼先の各コンピュータからの検索結果を受信し、対象となる検索結果が無いことを認識する。コンピュータuは、検索結果が無いこと、および検索対象時刻範囲の終了時刻17:00まで達して検索が終了したことをコンピュータaに送信する。
【0099】
次に、コンピュータaは、各代表コンピュータから受信した検索結果をマージしてソートし、検索結果の最終タイムテーブル(図10(d)参照)を作成する。そして、コンピュータaは、最終タイムテーブルを参照して検索対象ID”ID−a”の動線を表示する(図11(a)参照)。
【0100】
次に、検索手段の動作の流れについて更に説明する。すなわち、図8のステップA03〜ステップA04およびステップA22〜ステップA23をより詳細に説明する。
【0101】
図12を参照すると、先ず、ID値と時刻範囲とを含む検索条件を受け取る(ステップ02−1)。
【0102】
ID値と時刻範囲の初期時刻(図12の例では09:00)とを一体化し1つのフィールドして暗号化し、暗号化データを生成する(ステップ02−2)。例えば、ID値と時刻(タイムスタンプ)よりハッシュ値を計算して暗号化する。以降、生成した暗号化データを生成値と称する。また、時刻をタイムスタンプと称することがある。
【0103】
生成値とデータベースのDB値(図12の例ではDB値−1〜DB値−n)とを比較する(ステップ02−3)。
【0104】
一致したものが有れば(ステップ02−4のYes)、そのときのタイムスタンプを検索結果格納部に保存し(ステップ02−5)、ステップ02−6に進む。例えば、タイムスタンプが09:03のときに、生成値がDB値−2と一致したとすれば、「09:03」を保存する。
【0105】
一致したものが無ければ(ステップ02−4のNo)、ステップ02−6に進む。
【0106】
タイムスタンプをインクルメントする(ステップ02−6)。例えば、タイムスタンプ09:00をインクルメントすれば、09:01となる。
【0107】
インクルメントしたタイムスタンプが最終時刻(図12の例では09:59)を超えていないときには(ステップ02−7のNo)、ID値とタイムスタンプとを一体化し1つのフィールドして暗号化して暗号化データを生成し(ステップ02−8)、ステップ02−3に戻る。
【0108】
インクルメントしたタイムスタンプが最終時刻(図12の例では09:59)を超えた場合には(ステップ02−7のYes)、検索を終了する。
【0109】
次に、本発明の第1の実施の形態の効果について説明する。
【0110】
第1の効果は、拡張性がありスケーラビリティの自由度が高い追跡システムを構築できることにある。その理由は、検索結果に基づき次の代表コンピュータを決定し、決定した次の代表コンピュータに関連する検索ネットワーク範囲で検索を行うようにしたためである。
【0111】
第2の効果は、データベースに登録されている情報を保護したまま、検索ができることにある。その理由は、データベースに登録されているID値と時刻情報とを一体化して暗号化された値を暗号化されたまま、検索条件で指定された値と比較するようにしたからである。
【0112】
第3の効果は、負荷が分散されることである。その理由は、代表コンピューが検索ネットワーク範囲での検索結果を取りまとめ、必要な情報のみを初期代表コンピュータに送信するようにしたからである。
【0113】
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。第2の実施の形態は、第1の実施の形態に比べて検索処理をより高速に行う形態である。
【0114】
第2の実施の形態は、データベースとデータベース登録手段と検索手段とが第1の実施の形態と異なる。第1の実施の形態と異なるデータベースとデータベース登録手段と検索手段とについて説明する。
【0115】
データベースには、図13に示すように、ID情報(識別情報)と時刻情報(タイムスタンプ)と時刻の時オーダー情報とを含むレコードが登録される。ID情報と時刻情報とは一体化されて1つのフィールドとして暗号化されて登録される。また、時刻の時オーダー情報も暗号化されて登録されるようにしてもよい。
【0116】
データベース登録手段は、被追跡物体(人物等も含む)に装着されているID情報を読み取り、読み取ったID情報と読み取った時刻情報(タイムスタンプ)とをデータベースに登録する。時刻情報は、年月日時分などで表され、時刻機構(図示せず)から取得する。このとき、時刻の時オーダー情報も登録する。例えば、読み取った時刻が09:38(09時38分)であれば、時刻の時オーダー情報として「09時」を登録する。データベースに登録するとき、ID情報と時刻情報(タイムスタンプ)とを一体化して1つのフィールドとして暗号化し、暗号化したデータをデータベースに登録する。また、時刻の時オーダー情報も暗号化して登録するようにしてもよい。
【0117】
検索手段は、検索要求受付手段から検索条件を受け取り、受け取った検索条件で抽出ファイル(抽出ファイルについては後述する)を検索し、検索条件と一致するレコードが存在するか否かを確認する。一致するレコードが存在した場合、その時刻情報を検索結果として検索結果格納部に保存する。
【0118】
更に、検索手段の動作の詳細について説明する。
【0119】
図14を参照すると、先ず、ID値と時刻範囲とを含む検索条件を受け取る(ステップB2−1)。
【0120】
検索条件で指定された時刻範囲から、時刻の時オーダー情報を作成する(ステップB2−2)。図14の例では、時刻範囲が09:00〜09:59であるから、時刻の時オーダー情報は「09時」となる。
【0121】
作成した時刻の時オーダー情報でデータベースを検索し、作成した時刻の時オーダー情報を含むレコードを抽出して抽出ファイルを作成する(ステップB2−3)。図14の例では、時刻の時オーダー情報として「09時」を含むレコード−3とレコード−4とをデータベースから抽出して、抽出ファイルを作成する。
【0122】
ID値と時刻範囲の初期時刻(図14の例では09:00)とを一体化し1つのフィールドして暗号化し、暗号化データを生成する(ステップB2−4)。例えば、ID値と時刻(タイムスタンプ)よりハッシュ値を計算して暗号化する。以降、生成した暗号化データを生成値と称する。
【0123】
生成値と抽出ファイルのDB値(図14の例ではDB値−3〜DB値−4)とを比較する(ステップB2−5)。
【0124】
一致したものが有れば(ステップB2−6のYes)、そのときのタイムスタンプを検索結果格納部に保存し(ステップB2−7)、ステップB2−8に進む。例えば、タイムスタンプが09:03のときに、生成値がDB値−4と一致したとすれば、「09:03」を保存する。
【0125】
一致したものが無ければ(ステップB2−6のNo)、ステップB2−8に進む。
【0126】
タイムスタンプをインクルメントする(ステップB2−8)。例えば、タイムスタンプ09:00をインクルメントすれば、09:01となる。
【0127】
インクルメントしたタイムスタンプが最終時刻(図14の例では09:59)を超えていないときには(ステップB2−9のNo)、ID値とタイムスタンプとを一体化し1つのフィールドして暗号化して暗号化データを生成し(ステップB2−10)、ステップB2−5に戻る。
【0128】
インクルメントしたタイムスタンプが最終時刻(図14の例では09:59)を超えた場合には(ステップB2−9のYes)、検索を終了する。
【0129】
本発明の第2の実施の形態の効果は、各データベース対して暗号化の強度を保ちつつ、検索処理をより高速に行うことができることである。その理由は、検索条件で指定された時刻範囲に関係するレコードをデータベースから抽出し、抽出したレコードに対して検索を行うようにしたからである。
【0130】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態は、第1の実施の形態に比べて検索処理をより効率的に行う形態である。
【0131】
第3の実施の形態は、コンピュータの構成要素として検索条件限定手段を追加した点が第1の実施の形態と異なる。追加した検索条件限定手段について説明する。
【0132】
検索条件限定手段は、検索要求受付手段から渡された検索条件を限定し、限定した検索条件を検索手段および検索依頼送信手段に引き渡す。また、代表依頼受信手段から渡された検索条件を限定し、限定した検索条件を検索依頼送信手段に引き渡す。
【0133】
検索条件を限定するとは、検索条件に指定された時刻範囲をある刻み(例えば1時間単位)で限定することである。
【0134】
例えば、検索要求受付手段で、検索条件の時刻範囲に「09:00〜16:59」が指定された場合の動作について説明する。限定する刻みは2時間とする。
【0135】
先ず、検索条件限定手段は、検索要求受付手段から渡された検索条件の時刻範囲を「09:00〜10:59」に限定し、限定した検索条件を検索手段および検索依頼送信手段に引き渡す。各検索手段は、限定した検索条件でデータベースを検索し、検索結果を初期代表コンピュータに送信する(ステップC−1)。
【0136】
ステップC−1の結果として、検索対象IDが存在しない場合に、検索条件限定手段は、検索条件の時刻範囲を「11:00〜12:59」に限定し、限定した検索条件を検索手段および検索依頼送信手段に引き渡す。各検索手段は、限定した検索条件でデータベースを検索し、検索結果を初期代表コンピュータに送信する(ステップC−2)。
【0137】
ステップC−2の結果として、検索対象IDが存在した場合に、検索結果処理手段はタイムテーブルを作成し、代表決定手段はタイムテーブルから次の代表コンピュータを決定する。代表依頼送信手段は決定した次の代表コンピュータに対して代表依頼を送信する(ステップC−3)。以降の処理は、決定した次の代表コンピュータで行われる。
【0138】
本発明の第3実施の形態の効果は、検索処理をより効率的に行うことができることである。その理由は、検索条件の時刻範囲を限定する検索条件限定手段を設け、限定された時刻範囲ごとに検索を行い、検索対象IDが存在すると、次の代表コンピュータを決定するようにしたからである。
【0139】
更に、本発明の他の実施の形態について説明する。
【0140】
上述した実施の形態では、各データベースに共通のハッシュ関数を用いてID値と時刻情報とを暗号化しているが、他の実施の形態として、各データベースに固有のハッシュ関数を用いるようにしてもよい。これにより、各データベースへのハッキングに対して暗号化の強度をより保つことができる。
【0141】
また、上述した実施の形態では、検索要求を入力する者(検索者)に対する認証については特に規定していないが、他の実施の形態として、検索者の認証についてPKI(Public Key Infrastructure)等を導入するようにしてもよい。これにより、認証された権限に応じた検索手法を導入することも可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明はもともと誘拐、拉致等の被害者の追跡を目的に考案された。通常は個人の移動情報は暗号化され、保護されている状態で保存されているが、事件発生の折には、広範囲に広範囲の時間を遡及しての素早い検索を可能とするシステムである。無線タグのような位置記録を可能とする安価で小規模な装置が生活上の行動範囲に点在する社会になった場合に、または防犯を目的として本発明のシステムを導入した地域において、利用される。また、位置情報の検索技術の利用範囲は広いと考えられ、現在利用されている技術が、スケーラビリティの自由度が高さから本発明の技術により置換・統合されることも十分考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明の第1の実施の形態における構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるデータベースに登録されるレコード情報の例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるコンピュータの構成例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における初期代表コンピュータと一般コンピュータとの動作を説明する図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における代表コンピュータと一般コンピュータとの動作を説明する図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における検索結果格納部に格納されるレコードの例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における次の代表コンピュータ決定を説明する図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における動作を示す流れ図である。
【図9】本発明の動作を説明する図である。
【図10】本発明の動作を説明する図である。
【図11】本発明の動作を説明する図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態における検索手段の動作を示す流れ図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態におけるデータベースに登録されるレコード情報の例を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態における検索手段の動作を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0144】
1 ネットワーク
2 ネットワーク
10 データベース
11 データベース
12 データベース
13 データベース
14 データベース
15 データベース
16 データベース
1n データベース
20 コンピュータ
21 コンピュータ
22 コンピュータ
23 コンピュータ
24 コンピュータ
25 コンピュータ
26 コンピュータ
2m コンピュータ
2n コンピュータ
2001 検索要求受付手段
2002 検索手段
2003 検索結果格納部
2004 検索依頼送信手段
2005 検索依頼受信手段
2006 検索結果送信手段
2007 検索結果受信手段
2008 検索結果処理手段
2009 位置情報格納部
2010 データベース登録手段
2011 代表決定手段
2012 代表依頼送信手段
2013 代表依頼受信手段
2014 動線作成手段
2213 代表依頼受信手段
2m03 検索結果格納部
2m04 検索依頼送信手段
2m06 検索結果送信手段
2m07 検索結果受信手段
2m08 検索結果処理手段
2m11 代表決定手段
2m12 代表依頼送信手段
2m13 代表依頼受信手段
2n02 検索手段
2n03 検索結果格納部
2n05 検索依頼受信手段
2n06 検索結果送信手段
2n09 位置情報格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンピュータのそれぞれが、
被追跡物体からID情報を読み取り、当該ID情報と当該ID情報を読み取った時刻情報とを自装置に接続されたデータベースに格納するデータベース登録手段を備え、
前記複数のコンピュータの内の代表コンピュータが、
ID情報と時刻範囲の情報とを入力し、それらを検索条件として自装置に接続された前記データベースを検索し、該当する情報が存在する場合には、前記時刻情報と自コンピュータの位置情報とを検索結果として記憶領域に格納する検索手段と、前記検索条件を前記複数のコンピュータの内の他のコンピュータへ送信する検索依頼送信手段と、前記他のコンピュータから検索結果としての時刻情報と当該他のコンピュータの位置情報とを受信して前記記憶領域に格納する検索結果受信手段とを備え、
前記他のコンピュータが、
前記代表コンピュータから前記検索条件を受信して自装置に接続された前記データベースを検索し、該当する情報が存在する場合には、前記時刻情報と自コンピュータの位置情報とを検索結果として前記代表コンピュータへ送信する検索結果送信手段を備えた
ことを特徴とする追跡システム。
【請求項2】
前記代表コンピュータが、前記記憶領域に格納した前記検索結果を前記時刻情報に基づいて並び替えてタイムテーブルを作成する検索結果処理手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の追跡システム。
【請求項3】
前記代表コンピュータが、前記タイムテーブルに基づいて前記被追跡物体の動線情報を作成して出力する動線作成手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の追跡システム。
【請求項4】
前記代表コンピュータが、前記タイムテーブルに基づいて前記複数のコンピュータから新たな代表コンピュータを決定し、当該新たな代表コンピュータに代表依頼通知を送信して代表コンピュータとして動作させる代表依頼送信手段を備えたことを特徴とする請求項2または3記載の追跡システム。
【請求項5】
前記検索依頼送信手段は、前記複数のコンピュータの内、前記代表コンピュータが接続されているネットワークからホップ数が1以内のネットワークに接続される他のコンピュータへ前記検索条件を送信することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の追跡システム。
【請求項6】
複数のコンピュータのそれぞれが、被追跡物体からID情報を読み取り、当該ID情報と当該ID情報を読み取った時刻情報とを自装置に接続されたデータベースに格納するデータベース登録ステップと、
前記複数のコンピュータの内の代表コンピュータが、ID情報と時刻範囲の情報とを入力し、それらを検索条件として自装置に接続された前記データベースを検索し、該当する情報が存在する場合には、前記時刻情報と自コンピュータの位置情報とを検索結果として記憶領域に格納する検索ステップと、
前記代表コンピュータが、前記検索条件を前記複数のコンピュータの内の他のコンピュータへ送信する検索依頼送信ステップと、
前記他のコンピュータが、前記代表コンピュータから前記検索条件を受信して自装置に接続された前記データベースを検索し、該当する情報が存在する場合には、前記時刻情報と自コンピュータの位置情報とを検索結果として前記代表コンピュータへ送信する検索結果送信ステップと、
前記代表コンピュータが、前記他のコンピュータから検索結果としての時刻情報と当該他のコンピュータの位置情報とを受信して前記記憶領域に格納する検索結果受信ステップと、
を含むことを特徴とする追跡方法。
【請求項7】
前記代表コンピュータが、前記記憶領域に格納した前記検索結果を前記時刻情報に基づいて並び替えてタイムテーブルを作成する検索結果処理ステップを含むことを特徴とする請求項6記載の追跡方法。
【請求項8】
前記代表コンピュータが、前記タイムテーブルに基づいて前記被追跡物体の動線情報を作成して出力する動線作成ステップを含むことを特徴とする請求項7記載の追跡方法。
【請求項9】
前記代表コンピュータが、前記タイムテーブルに基づいて前記複数のコンピュータから新たな代表コンピュータを決定し、当該新たな代表コンピュータに代表依頼通知を送信して代表コンピュータとして動作させる代表依頼送信ステップを含むことを特徴とする請求項7または8記載の追跡方法。
【請求項10】
前記検索依頼送信ステップは、前記複数のコンピュータの内、前記代表コンピュータが接続されているネットワークからホップ数が1以内のネットワークに接続される他のコンピュータへ前記検索条件を送信することを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の追跡方法。
【請求項11】
被追跡物体からID情報を読み取り、当該ID情報と当該ID情報を読み取った時刻情報とを自装置に接続されたデータベースに格納するデータベース登録処理と、
ID情報と時刻範囲の情報とを入力し、それらを検索条件として自装置に接続された前記データベースを検索し、該当する情報が存在する場合には、前記時刻情報と自コンピュータの位置情報とを検索結果として記憶領域に格納する検索処理と、
前記検索条件を他のコンピュータへ送信する検索依頼送信処理と、
前記他のコンピュータが前記検索条件に従って当該他のコンピュータに接続された前記データベースを検索して該当する情報が存在した場合に、当該他のコンピュータから前記時刻情報と当該他のコンピュータの位置情報とを検索結果として受信して前記記憶領域に格納する検索結果受信処理と、
をコンピュータに行わせることを特徴とする追跡プログラム。
【請求項12】
前記記憶領域に格納した前記検索結果を前記時刻情報に基づいて並び替えてタイムテーブルを作成する検索結果処理をコンピュータに行わせることを特徴とする請求項11記載の追跡プログラム。
【請求項13】
前記タイムテーブルに基づいて前記被追跡物体の動線情報を作成して出力する動線作成処理をコンピュータに行わせることを特徴とする請求項12記載の追跡プログラム。
【請求項14】
前記タイムテーブルに基づいて代表コンピュータを決定し、当該代表コンピュータに代表依頼通知を送信して、請求項12または13に記載の処理を当該代表コンピュータに行わせることを特徴とする追跡プログラム。
【請求項15】
前記検索依頼送信処理は、自コンピュータが接続されているネットワークからホップ数が1以内のネットワークに接続される他のコンピュータへ前記検索条件を送信することを特徴とする請求項11乃至14のいずれかに記載の追跡プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−52531(P2008−52531A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228784(P2006−228784)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】