説明

送信方法および受信方法ならびにそれらを利用したデータ処理装置

【課題】すべての画像データを受けつけているかの確認を容易に実行したい。
【解決手段】原画像フレーム入力部12は、画像フレームを入力する。挿入部16は、入力した画像フレーム内に、画像フレームのデータにおいて出現予定のないパターンとして規定されたマーカを複数挿入する。ここで、挿入部16は、無線パケットに格納可能なデータサイズをもとに、画像フレームを複数に分割し、分割した画像フレームの間にマーカを挿入する。RF部22は、複数のマーカが挿入された画像フレームを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信技術および受信技術に関し、特に画像フレームを処理する送信方法および受信方法ならびにそれらを利用したデータ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静止画像の圧縮技術における国際標準のひとつがJPEG(Joint Photographic Experts Group)である。JPEGでは、原画像のデータ(以下、「原画像フレーム」という)に対して、DCT(Discrete Cosine Transform)、量子化、エントロピー符号化が実行される。また、JPEGによる圧縮がなされたデータのフォーマットは、先頭から順に、マーカ(以下、「先頭マーカ」という)、ヘッダ、画像データ、マーカ(以下、「終了マーカ」という)を配置する。なお、画像データは、原画像フレームを圧縮したデータに相当する(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】藤原洋、最新MPEG教科書、日本、アスキー出版局、1997年9月1日、p.53−67
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
圧縮された画像データが、送信装置から受信装置へ伝送されることもある。その際、有線ネットワークが使用されたり、無線ネットワークが使用されたりする。無線ネットワークとして、例えば、IEEE802.11a等の規格に準じた無線LAN(Local Area Network)が使用される。このような無線LANは、データをパケット信号に格納し、パケット信号を伝送する。パケット信号のサイズは、例えば、最大約1500バイトのように規定される。なお、TCP/IPを利用している場合に、最大サイズは1472バイトであり、ネットワークプロトコルを利用しない場合に、最大サイズは4096バイトである。
【0004】
説明を明瞭にするために、以下の説明では最大サイズを1500バイトとするが、これに限定されるものではない。一方、画像データのサイズは、原画像フレームのサイズに依存しており、パケット信号の最大サイズを超えることもある。その際、無線LANの送信装置は、画像データを複数に分割して、これらを複数のパケット信号にて送信する。受信装置は、複数のパケット信号を受信するが、画像データを復号して原画像フレームを取得するために、すべての画像データを受けつけていなければならない。受信処理の期間を短縮するために、すべての画像データを受けつけているかの確認は、容易になされる方が好ましい。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、すべての画像データを受けつけているかの確認を容易に実行する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のデータ処理装置は、画像フレームを入力する入力部と、入力部において入力した画像フレーム内に、画像フレームのデータにおいて出現予定のないパターンとして規定されたマーカを複数挿入する挿入部と、挿入部において複数のマーカが挿入された画像フレームを出力する出力部とを備える。挿入部は、無線パケットに格納可能なデータサイズをもとに、画像フレームを複数に分割し、分割した画像フレームの間にマーカを挿入する。
【0007】
本発明の別の態様もまた、データ処理装置である。この装置は、複数に分割された画像フレームをそれぞれ入力する入力部と、入力部において入力した画像フレームであって、かつ複数に分割された画像フレームを処理する処理部とを備える。入力部において入力した画像フレームは、無線パケットに格納可能なデータサイズをもとに、原画像フレームが複数に分割されており、かつ各画像フレームに、原画像フレームのデータにおいて出現予定のないパターンとして規定されたマーカが付加されており、処理部は、マーカをもとに、各画像フレームの取得状況を認識する。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、送信方法である。この方法は、画像フレームを入力するステップと、入力した画像フレーム内に、画像フレームのデータにおいて出現予定のないパターンとして規定されたマーカを複数挿入するステップと、複数のマーカが挿入された画像フレームを出力するステップとを備える。挿入するステップは、無線パケットに格納可能なデータサイズをもとに、画像フレームを複数に分割し、分割した画像フレームの間にマーカを挿入する。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、受信方法である。この方法は、複数に分割された画像フレームをそれぞれ入力するステップと、入力した画像フレームであって、かつ複数に分割された画像フレームを処理するステップとを備える。入力するステップにおいて入力した画像フレームは、無線パケットに格納可能なデータサイズをもとに、原画像フレームが複数に分割されており、かつ各画像フレームに、原画像フレームのデータにおいて出現予定のないパターンとして規定されたマーカが付加されており、処理するステップは、マーカをもとに、各画像フレームの取得状況を認識する。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、すべての画像データを受けつけているかの確認を容易に実行できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、送信側において原画像フレームを圧縮することによって、画像データを生成してから伝送し、受信側において画像データを再生する通信システムに関する。ここで、送信側から受信側の伝送には、無線通信が使用されており、無線通信では、パケット信号が使用される。ここで、画像データのサイズがパケット信号のサイズよりも大きい場合、送信側は、画像データを複数に分割してから、分割した画像データをパケット信号に格納する。その結果、ひとつの原画像フレームに対して、複数のパケット信号が送信される。受信側は、ひとつの原画像フレームに対するすべてのパケット信号の受信を確認してから、画像データを再生する。例えば、いくつかの画像データが破棄されている場合、受信側は送信側に対して、当該画像データの再送を要求する。このような再送処理の期間を短縮するためや、画像データの受信確認を簡易にするために、本実施例に係る通信システムは、次の処理を実行する。
【0013】
送信側は、画像データを分割してパケット信号に格納した場合に、ひとつのパケット信号にひとつのマーカが含まれるように、画像データに複数のマーカを挿入する。ここで、マーカとは、画像データに出現予定のないパターンとして規定されている。また、複数のマーカには、順番を示す番号が含まれている。例えば、「1」から「8」までの番号が順番に付与される。また、「8」の次は「1」に戻るように繰り返される。送信側は、「1」から「8」のマーカをひとつの単位として画像データに挿入する。送信側は、マーカが挿入された画像データを複数に分割してから、分割した画像データをパケット信号に格納する。送信側は、パケット信号を送信し、受信側は、パケット信号を受信する。受信側は、パケット信号を受けつけると、マーカをもとに、画像データの受信確認を実行する。
【0014】
図1は、本発明の実施例に係る送信装置10の構成を示す。送信装置10は、原画像フレーム入力部12、符号器部14、挿入部16、パケット信号生成部18、変調部20、RF部22、送信用アンテナ24、制御部26を含む。また、符号器部14は、DCT部28、量子化部30、エントロピー符号化部32を含む。
【0015】
原画像フレーム入力部12は、原画像フレームを入力する。ここで、原画像フレームは、圧縮を実行していないひとつの画像に相当する。例えば、原画像フレームは、デジタルカメラにて撮像した画像のデジタルデータである。また、以下では、画像そのものであるか、あるいはデジタルデータであるかを区別せずに、「原画像フレーム」という用語を使用する。DCT部28、量子化部30、エントロピー符号化部32は、原画像フレーム入力部12において受けつけた原画像フレームに対して、JPEG圧縮による符号化を実行する。JPEG圧縮として公知の技術が使用されればよいので、ここでは、DCT部28、量子化部30、エントロピー符号化部32の説明を省略する。最終的に、エントロピー符号化部32は、JPEG圧縮された画像データを出力するとともに、JPEGにおけるさまざまな情報(以下、「JPEG情報」という)も出力する。
【0016】
挿入部16は、エントロピー符号化部32から画像データとJPEG情報とを受けつける。また、挿入部16は、JPEG情報をもとにJPEGヘッダを生成し、JPEGヘッダを画像データの前段に配置する。また、挿入部16は、先頭と最後尾のそれぞれにマーカを付加する。ここで、先頭に付加されたマーカが「SOI(Start of Image)」であり、最後尾に付加されたマーカが「EOI(End of Image)」である。なお、マーカは、画像データにおいて出現予定のないパターンとして規定されている。
【0017】
挿入部16は、パケット信号に格納可能なデータサイズをもとに、画像フレームを複数に分割する。例えば、前述の無線LANの場合、パケット信号のサイズは可変であるが、最大1500バイトと規定されている。また、パケット信号には、データ以外の制御情報も含まれるので、1500バイトから制御情報の値を減算した値が、パケット信号に格納可能なデータサイズとして規定される。なお、制御情報の値も可変であり、挿入部16では、正確にどのような値になるか不明であるので、ここでは固定の値として予め定めているものとする。また、パケット信号のサイズも1500バイトではなく、それ以下の値として定めてもよい。挿入部16は、分割した画像データの間にもマーカを挿入する。つまり、挿入部16は、画像データ内に、マーカを複数挿入する。
【0018】
挿入部16は、予め定められた数のマーカをひとつの組合せとして規定しており、ひとつの組合せに含まれたマーカ数の整数倍を単位にして挿入を実行する。ここでは、「8」つのマーカをひとつの組合せとして規定する。そのため、挿入部16は、画像データを少なくとも9つに分割し、分割したそれぞれの間に、マーカを挿入する。なお、前述のごとく、9つに分割した画像データのサイズが、パケット信号に格納可能なデータサイズよりも大きい場合、挿入部16は、「17」、「25」のように、8の整数倍の数のマーカを挿入できるように画像データを分割する。また、挿入部16は、8の整数倍の数のマーカを挿入する。ここで、挿入部16は、ひとつの組合せの中の8つのマーカのそれぞれに対して、互いに異なった識別番号を付与する。つまり、前から順に「1」から「8」の識別番号が付与される。さらに、8よりも多いマーカを挿入する場合、挿入部16は、異なった組合せの中の各マーカに対して、ひとつの組合せに対して使用した識別番号を繰り返し使用する。つまり、「1」から「8」の識別番号が繰り返し使用される。
【0019】
図2(a)−(e)は、送信装置10において処理される画像データのフォーマットを示す。挿入部16において生成されるフォーマットは、図2(a)に相当する。図中の「JPEGデータ」が、前述の分割された画像データに相当する。また、「RSTマーカFFD1」から「RSTマーカFFD8」が、画像データ中に挿入されるマーカに相当する。なお、実際に挿入されるマーカのパターンは、「FFD1」から「FFD8」に相当する。また、RSTマーカは、リスタート間隔終端マーカ(Restart Interval Termination)であり、本来、別の用途に使用するように規定されている。図1に戻る。
【0020】
パケット信号生成部18は、挿入部16から、複数のマーカが挿入された画像データを受けつける。また、パケット信号生成部18は、受けつけた画像データを複数に分割することによって、複数のパケット信号を生成する。ここで、パケット信号生成部18は、マーカが含まれるように画像データを複数に分割する。その際のマーカには、SOIやEOIも含まれる。図2(b)から(e)は、パケット信号生成部18において生成されたパケット信号の構成を示す。すべてのパケット信号において、先頭から無線LANヘッダ、IPヘッダが配置されているが、これらは公知の技術であるので、ここでは説明を省略する。また、図2(b)は、図2(a)のうち(1)の部分を格納し、図2(c)は、図2(a)のうち(2)の部分を格納し、図2(d)は、図2(a)のうち(3)の部分を格納し、図2(e)は、図2(a)のうち(10)の部分を格納する。図1に戻る。パケット信号生成部18は、複数のパケット信号を出力する。
【0021】
変調部20は、複数のパケット信号を変調する。ここで、変調方式は、任意のものでよい。変調部20は、変調したパケット信号を出力する。RF部22は、変調部20からパケット信号を受けつける。ここで、パケット信号は、ベースバンド帯域の信号に相当し、RF部22は、パケット信号に対して直交変調を実行することによって、ベースバンド帯域から中間周波数帯域へ周波数変換する。さらに、RF部22は、中間周波数帯域のパケット信号を周波数変換することによって、無線周波数帯域のパケット信号を生成する。RF部22は、無線周波数帯域のパケット信号を増幅した後に、送信用アンテナ24を介して送信する。制御部26は、送信装置10全体のタイミング等を制御する。
【0022】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされた通信機能のあるプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0023】
図3は、本発明の実施例に係る受信装置50の構成を示す。受信装置50は、受信用アンテナ52、RF部54、復調部56、パケット信号結合部58、復号器部60、表示部62、制御部64を含む。また、復号器部60は、エントロピー復号部66、逆量子化部68、IDCT部70を含む。
【0024】
RF部54は、受信用アンテナ52を介して、パケット信号を受信する。パケット信号は、無線周波数帯域の信号であり、RF部54は、無線周波数帯域から中間周波数帯域へパケット信号を周波数変換する。さらに、RF部54は、中間周波数帯域のパケット信号に対して直交検波を実行することによって、バースバンド帯域のパケット信号を生成する。復調部56は、RF部54からパケット信号を受けつける。また、復調部56は、パケット信号を復調する。さらに、復調部56は、復調したパケット信号を出力する。
【0025】
パケット信号結合部58は、復調部56から、複数のパケット信号を受けつける。ここで、受けつけたパケット信号は、図2(b)−(e)のごとく構成されている。また、パケット信号結合部58は、複数のパケット信号から、無線LANヘッダ、IPヘッダの部分を除去することによって、マーカ、JPEGヘッダ、画像データの部分を抽出する。パケット信号結合部58は、マーカをもとに、各画像データの取得状況を認識する。例えば、SOIが付加された画像データとEOIが付加された画像データとの存在によって、パケット信号結合部58は、先頭と最後尾の画像データの取得を認識する。また、「1」から「8」の組合せのマーカの存在によって、パケット信号結合部58は、他の画像データの取得を認識する。
【0026】
例えば、「8」に対応したマーカが不足しても、パケット信号結合部58は、ひとつの組合せが「1」から「8」までのマーカによって形成されてることを予め認識しているので、当該マーカの不足を認識できる。また、8よりも多いマーカが付加されていても、同様の処理が実行される。最終的に、パケット信号結合部58は、複数に分割された画像データを結合し、ひとつの画像データを生成する。その結果、パケット信号結合部58は、ひとつの画像データを出力する。なお、パケット信号結合部58は、取得していない画像データを検出した場合に、図示しない送信装置10に対して、当該画像データの再送を要求してもよい。
【0027】
エントロピー復号部66、逆量子化部68、IDCT部70は、パケット信号結合部58からの画像データに対して、JPEG圧縮に対応した復号を実行する。復号として公知の技術が使用されればよいので、ここでは、エントロピー復号部66、逆量子化部68、IDCT部70の説明を省略する。最終的に、IDCT部70は、画像フレームを出力する。画像フレームは、原画像フレームと同一であってもよい。表示部62は、IDCT部70から画像フレームを受けつけ、画像フレームを画像としてディスプレイに表示する。制御部64は、受信装置50全体のタイミング等を制御する。
【0028】
以上の構成による通信システムの動作を説明する。図4は、本発明の実施例における通信手順を示すシーケンス図である。送信装置10は、原画像フレームを圧縮する(S10)。また、送信装置10は、RSTマーカを画像データに挿入した(S12)後に、パケット信号を生成する(S14)。送信装置10は、受信装置50へパケット信号を送信する(S16)。受信装置50は、パケット信号を受けつけると(S18)、マーカをもとに不足の画像データを特定する(S20)。受信装置50は、送信装置10へ再送要求を送信すると(S22)、送信装置10は、受信装置50へパケット信号を送信する(S24)。受信装置50は、パケット信号を受けつけると(S26)、画像フレームを生成する(S28)。
【0029】
図5は、送信装置10における送信手順を示すフローチャートである。挿入部16は、「i=9」を設定する(S50)。画像データを「i」に分割したときに、それぞれがパケット信号に格納可能でなければ(S52のN)、挿入部16は、「i」に「8」を加算し(S54)、ステップ52に戻る。一方、画像データを「i」に分割したときに、それぞれがパケット信号に格納可能であれば(S52のY)、挿入部16は、分割数に応じてRSTマーカを挿入する(S56)。また、パケット信号生成部18は、パケット信号を生成する(S58)。
【0030】
図6は、受信装置50における受信手順を示すフローチャートである。RF部54は、パケット信号を受けつける(S70)。パケット信号結合部58は、SOI、EOI、RSTマーカ1〜8に不足があれば(S72のY)、送信装置10に再送を要求し(S74)、ステップ70に戻る。一方、パケット信号結合部58において、SOI、EOI、RSTマーカ1〜8に不足がなければ(S72のN)、復号器部60は、復号処理を実行する(S76)。表示部62は、画像フレームを表示する(S78)。
【0031】
以下、変形例を説明する。これまで、8つのマーカをひとつの組合せにし、8の整数倍のマーカを基準にして、画像フレームを分割していた。また、8つのマーカには、「1」から「8」の識別番号が付与されている。変形例は、実施例と同様に「1」から「8」の識別番号が付与されたマーカを使用するが、8の整数倍ではない数のマーカを基準にして、画像フレームを分割する。これは、例えば、「1」から「4」の識別番号が付与されたマーカだけを使用する場合に相当する。このような場合であっても、送信装置10は、受信装置50に対して、分割したパケット信号の最後を通知しなければならい。これに対応するために、変形例は、以下のように構成される。
【0032】
変形例に係る送信装置10の構成は、図1と同様のタイプであり、変形例に係る受信装置50の構成は、図3と同様のタイプである。ここでは、相違する部分を中心に説明する。送信装置10において、挿入部16は、前述のごとく、JPEGヘッダを画像データの前段に配置する。また、挿入部16は、先頭と最後尾のそれぞれに「SOI」および「EOI」を付加する。挿入部16は、予め定められた数のマーカをひとつの組合せとして規定しており、ここでも、「8」つのマーカをひとつの組合せとして規定する。「8」つのマーカには、「1」から「8」の識別番号がそれぞれ付与されている。なお、実施例において、挿入部16は、8の整数倍の数のマーカを挿入していたが、ここでは、マーカ数が8の整数倍でなくてもよい。ここでは、説明を明瞭にするために、マーカ数が「4」である場合を想定する。
【0033】
図7(a)−(e)は、本発明の変形例において処理される画像データのフォーマットを示す。挿入部16において生成されるフォーマットは、図7(a)に相当する。図7(a)は、図2(a)に類似するが、「RSTマーカFFD1」から「RSTマーカFFD4」の部分が異なる。また、図示のごとく、「RSTマーカFFD4」、つまり最後のマーカと「EOI」とが連結されていてもよい。図1に戻る。
【0034】
パケット信号生成部18は、挿入部16から、複数のマーカが挿入された画像データを受けつける。また、パケット信号生成部18は、受けつけた画像データを複数に分割することによって、複数のパケット信号を生成する。ここで、パケット信号生成部18は、マーカが含まれるように画像データを複数に分割する。なお、パケット信号生成部18は、最後の識別番号が付与されたマーカ、つまり「RSTマーカFFD4」と「EOI」とを最後のパケット信号に含める。図7(b)から(e)は、パケット信号生成部18において生成されたパケット信号の構成を示す。図7(b)は、図7(a)のうち(1)の部分を格納し、図7(c)は、図7(a)のうち(2)の部分を格納し、図7(d)は、図7(a)のうち(3)の部分を格納しており、これらは、図2(b)から(d)と同様である。一方、図7(e)は、図7(a)のうち(5)の部分を格納する。図示のごとく、「RSTマーカFFD4」に加えて「EOI」が付加されている。パケット信号生成部18は、複数のパケット信号を出力する。
【0035】
一方、受信装置50において、SOIが付加された画像データとEOIが付加された画像データとの存在によって、パケット信号結合部58は、先頭と最後尾の画像データの取得を認識する。また、EOIが付加された画像データには、識別番号が付与されたマーカも付加されている。パケット信号結合部58は、当該マーカの識別番号を取得することによって、最後の識別番号を認識する。例えば、「RSTマーカFFD4」が付加されている場合、パケット信号結合部58は、最後の識別番号が「4」であることを認識する。その結果、パケット信号結合部58は、実施例と同様に、マーカの不足を認識できるが、これについては説明を省略する。
【0036】
本発明の実施例によれば、パケット信号に格納可能なデータサイズをもとに、画像データを複数に分割し、分割した画像フレームの間にマーカを挿入するので、各パケット信号にマーカを含ませることができる。また、各パケット信号にマーカが含まれるので、すべての画像データを受けつけているかの確認を容易に実行できる。また、確認を容易に実行できるので、不足している画像データを速やかに特定できる。また、不足している画像データが速やかに特定されるので、再送要求をすぐに送信できる。また、再送要求がすぐに送信されるので、処理遅延を短縮できる。また、処理遅延が短縮されるので、ユーザの利便性を向上できる。また、マーカとしてRSTマーカを代用するので、現在の規格にも適用できる。また、8つのマーカをひとつの組合せとして使用するので、不足しているマーカを容易に特定できる。また、複数の組合せのマーカを使用する場合、「1」から「8」の識別番号を繰り返し使用するので、ビット数の増加を抑制できる。また、最後の識別番号が付与されたマーカとEOIとを最後のパケット信号に含めるので、分割した画像ファイルの最後を通知するとともに、識別番号の最後の値を通知できる。また、パケット信号の数を任意に設定できる。
【0037】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0038】
本発明の実施例において、原画像フレームの圧縮として、JPEGを使用している。しかしながらこれに限らず例えば、送信装置10および受信装置50は、JPEG以外の圧縮技術を使用してもよい。また、静止画像に限定されず、動画像を圧縮の対象としてもよい。その際、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)が使用される。本変形例によれば、さまざまな圧縮技術に対して、本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例に係る送信装置の構成を示す図である。
【図2】図2(a)−(e)は、図1の送信装置において処理される画像データのフォーマットを示す図である。
【図3】本発明の実施例に係る受信装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例における通信手順を示すシーケンス図である。
【図5】図1の送信装置における送信手順を示すフローチャートである。
【図6】図3の受信装置における受信手順を示すフローチャートである。
【図7】図7(a)−(e)は、本発明の変形例において処理される画像データのフォーマットを示す図である。
【符号の説明】
【0040】
10 送信装置、 12 原画像フレーム入力部、 14 符号器部、 16 挿入部、 18 パケット信号生成部、 20 変調部、 22 RF部、 24 送信用アンテナ、 26 制御部、 28 DCT部、 30 量子化部、 32 エントロピー符号化部、 50 受信装置、 52 受信用アンテナ、 54 RF部、 56 復調部、 58 パケット信号結合部、 60 復号器部、 62 表示部、 64 制御部、 66 エントロピー復号部、 68 逆量子化部、 70 IDCT部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像フレームを入力する入力部と、
前記入力部において入力した画像フレーム内に、画像フレームのデータにおいて出現予定のないパターンとして規定されたマーカを複数挿入する挿入部と、
前記挿入部において複数のマーカが挿入された画像フレームを出力する出力部とを備え、
前記挿入部は、無線パケットに格納可能なデータサイズをもとに、画像フレームを複数に分割し、分割した画像フレームの間にマーカを挿入することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記挿入部は、予め定められた数のマーカをひとつの組合せとして規定しており、ひとつの組合せに含まれたマーカ数の整数倍を単位にして挿入を実行することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記挿入部は、ひとつの組合せの中の各マーカに対して、互いに異なった識別番号を付与し、異なった組合せの中の各マーカに対して、ひとつの組合せに対して使用した識別番号を繰り返し使用することを特徴とする請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記挿入部は、画像フレームの先頭と最後尾にもマーカを付加し、
前記出力部は、マーカが含まれるように複数に分割した画像フレームを出力することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記挿入部は、各マーカに対して、識別番号を付与するとともに、画像フレームの最後を示すためのマーカを付加し、
前記出力部は、マーカが含まれるように複数に分割した画像フレームを出力しており、最後の画像フレームに、識別番号が付与されたマーカと、画像フレームの最後を示すためのマーカとを含めることを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
複数に分割された画像フレームをそれぞれ入力する入力部と、
前記入力部において入力した画像フレームであって、かつ複数に分割された画像フレームを処理する処理部とを備え、
前記入力部において入力した画像フレームは、無線パケットに格納可能なデータサイズをもとに、原画像フレームが複数に分割されており、かつ各画像フレームに、原画像フレームのデータにおいて出現予定のないパターンとして規定されたマーカが付加されており、
前記処理部は、マーカをもとに、各画像フレームの取得状況を認識することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、取得していない画像フレームを検出した場合に、当該画像フレームの再送を要求することを特徴とする請求項6に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
画像フレームを入力するステップと、
入力した画像フレーム内に、画像フレームのデータにおいて出現予定のないパターンとして規定されたマーカを複数挿入するステップと、
複数のマーカが挿入された画像フレームを出力するステップとを備え、
前記挿入するステップは、無線パケットに格納可能なデータサイズをもとに、画像フレームを複数に分割し、分割した画像フレームの間にマーカを挿入することを特徴とする送信方法。
【請求項9】
複数に分割された画像フレームをそれぞれ入力するステップと、
入力した画像フレームであって、かつ複数に分割された画像フレームを処理するステップとを備え、
前記入力するステップにおいて入力した画像フレームは、無線パケットに格納可能なデータサイズをもとに、原画像フレームが複数に分割されており、かつ各画像フレームに、原画像フレームのデータにおいて出現予定のないパターンとして規定されたマーカが付加されており、
前記処理するステップは、マーカをもとに、各画像フレームの取得状況を認識することを特徴とする受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−130719(P2009−130719A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−304757(P2007−304757)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】