説明

送信機、受信機、無線通信装置、及び無線通信方法

【課題】1つの無線フレームに変調方式や伝送データを多重して送信する場合には、特許文献1に記載された無線通信装置は、変調方式を規定する符号を比較的同符号が連続する符号として送信することがある。その結果、同符号連続である信号を許容以上受信した受信機は、精度の良い検波ができず、受信信号の品質が劣化する課題があった。
【解決手段】適応変調を採用した、無線回線を介して通信を行う無線通信装置であって、送信機2100は、送信する信号2300の内、変調方式を規定する符号を、その最大の同符号連続長が、前記送信機が適用される伝送系の許容する同符号連続長以下である符号に変換する符号変換手段を備え、受信機2200は、復調処理をした信号2400の内、無線フレーム内の所定の位置にある信号を、伝送データのデスクランブル処理に先立ち、所定の規則で変換する符号逆変換手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信機、受信機、無線通信装置、及び無線通信方法に関し、特に、適応変調を採用した送信機、受信機、無線通信装置、及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フェージング環境にあっても高品質かつ高速な伝送を実現する為の技術として、適応変調が一般的に知られている。適応変調は、無線伝搬路の状態が悪化した場合には変調多値数の小さな変調方式で通信を行い、無線伝搬路の状態が良好な場合には変調多値数の大きな変調方式で通信を行う通信方式である。適応変調は、固定マイクロ波無線伝送装置や移動体通信の無線基地局装置等で広く採用されている。
【0003】
適応変調を用いた一般的な無線通信装置は、受信信号から無線伝搬路の状態を推定して変調方式を判定した後に、その変調方式を対向する無線通信装置(以下、対向局という)に送信する。
【0004】
対向局は、無線通信装置から受信した変調方式に基づいて、通信網からのデータ(以下、伝送データという)を変調し、無線通信装置に送信する。この際、対向局は、無線通信装置が伝送データを復調できるよう、変調方式も無線通信装置に送信する。無線通信装置は、受信した変調方式に基づいて受信信号の復調を行う。
【0005】
上述した動作により、適応変調を用いた一般的な無線通信装置は、無線伝搬路の状態に応じた変調方式で通信を行うが、変調方式を規定する符号は、無線通信装置と対向局間で誤ることなく送受信される必要がある。
【0006】
無線通信装置と対向局間で誤りなく変調方式を規定する符号を伝送する為の発明が、特許文献1に開示されている。
【0007】
特許文献1の無線通信装置における送受信回路は、誤り訂正符号化回路と、変調回路と、復調回路と、誤り訂正回路と、品質判定値計算回路とで構成されており、以下のように動作する。
【0008】
誤り訂正符号化回路は、無線通信装置への入力信号と切り替え判定回路から入力された変調方式判定信号とを多重化して変調回路に出力し、変調回路は、誤り訂正回路から出力される変調方式指定信号に従い誤り訂正符号化回路の出力信号を変調する。
【0009】
復調回路は、切り替え判定回路から入力された変調方式判定信号に従い受信信号を復調して誤り訂正回路に出力するとともに、使用中の変調方式の情報を示す変調方式情報信号を品質判定値計算回路に出力する。
【0010】
誤り訂正回路は、復調回路の出力信号の誤りを検出および訂正し、誤りを訂正した信号を出力し、誤り検出情報を品質判定値計算回路に出力するとともに、復調回路の出力信号から抽出した変調方式判定信号を変調方式指定信号として変調回路に出力する。
【0011】
品質判定値計算回路は、入力された誤り検出情報と変調方式情報信号とから品質判定値を計算して品質判定値を切り替え判定回路に出力する。
【0012】
切り替え判定回路は、入力された品質判定値から変調方式判定信号を計算して変調方式判定信号を誤り訂正符号化回路および復調回路に出力する。
【0013】
上述した構成や動作により、変調方式の切り替えを適切なタイミングで行い、無線伝搬環境が急激に変化する場合でも、無線伝搬路上で通信品質が悪化しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2009−065401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、特許文献1に記載された無線通信装置は、1つの無線フレームに変調方式や伝送データを多重して送信する場合には、変調方式を規定する符号を比較的同符号が連続する符号にて送信することがある。その理由は、1つの無線フレームに変調方式や伝送データを多重して送信する場合、特許文献1における無線通信装置は、変調方式を規定する符号を常にランダム性のある符号にする手段がないためである。
【0016】
例えば、全て0の符号で表される変調方式を送信する場合、特許文献1に記載された無線通信装置は、誤り訂正符号化回路で誤り訂正符号を付与しても、線形符号である符号を付与する場合には、全て0の符号のままである。特許文献1に記載された無線通信装置は、ランダム性のある符号とする手段がないので、同符号連続である全て0の符号を、変調方式を規定する符号として送信してしまう。
【0017】
その結果、同符号連続である信号(変調方式を規定する符号)を受信した受信機は、同符号連続である信号が位相変化のない信号である為、精度の良い検波ができず、同符号連続長が許容以上の長さだと、受信信号の品質が劣化する課題があった。
【0018】
なお、適応変調を用いた無線通信装置では、一般的に、送信信号が同符号連続にならないよう、スクランブル処理を実施することが知られている。しかしながら、1つの無線フレームに変調方式や伝送データを多重して送信する場合には、適応変調を用いた無線通信装置は、変調方式を規定する符号にはスクランブル処理が実施できない。
【0019】
変調方式を規定する符号によって1無線フレーム内のデータサイズが一意に決まり、このサイズに基づいて、適応変調を用いた無線通信装置は伝送データのデスクランブル処理が行う。その為、適応変調を用いた無線通信装置は、デスクランブル処理に先んじて、変調方式を抽出する必要があるからである。
【0020】
すなわち、上記特許文献1に記載された無線通信装置は、1つの無線フレームに変調方式や伝送データを多重して送信する場合、変調方式を規定する符号を同符号連続で送信し、同符号連続である信号を受信した受信機は、受信信号の品質が劣化する課題があった。
【0021】
本発明は、上記課題を解決する送信機、受信機、無線通信装置、無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために、本発明の送信機は、変調方式を適応的に選択する適応変調を採用した送信機であって、
送信する信号の内、変調方式を規定する符号を、その最大の同符号連続長が、前記送信機が適用される伝送系の許容する同符号連続長以下である符号に変換する符号変換手段を備える。
【0023】
上記目的を達成するために、本発明の受信機は、所定の規則で、無線フレーム内の所定の位置に格納された変調方式を規定する符号を、その最大同符号連続長が所定の連続長以下である符号に変換した信号を受信する、適応変調を採用した受信機であって、
復調処理した信号の内、無線フレーム内の所定の位置にある信号を、伝送データのデスクランブル処理に先立ち、前記所定の規則で変換する符号逆変換手段を備える。
【0024】
上記目的を達成するために、本発明の無線通信装置は、
無線回線を介して接続された送信機と受信機を備え、
前記送信機は、変調方式を適応的に選択する適応変調を採用した送信機であって、
送信する信号の内、変調方式を規定する符号を、その最大の同符号連続長が、前記送信機が適用される伝送系の許容する同符号連続長以下である符号に変換する符号変換手段を備え、
前記受信機は、所定の規則で、無線フレーム内の所定の位置に格納された変調方式を規定する符号を、その最大同符号連続長が所定の連続長以下である符号に変換した信号を受信する、適応変調を採用した受信機であって、
復調処理した信号の内、無線フレーム内の所定の位置にある信号を、伝送データのデスクランブル処理に先立ち、前記所定の規則で変換する符号逆変換手段を備える。
【0025】
上記目的を達成するために、本発明の無線通信方法は、
無線回線を介して通信する際の通信方法であって、
前記送信方法は、変調方式を適応的に選択する適応変調を採用した送信方法であって、
送信する信号の内、変調方式を規定する符号を、その最大の同符号連続長が、前記送信機が適用される伝送系の許容する同符号連続長以下である符号に変換する符号変換手順を備え、
前記受信機は、所定の規則で、無線フレーム内の所定の位置に格納された変調方式を規定する符号を、その最大同符号連続長が所定の連続長以下である符号に変換した信号を受信する、適応変調を採用した受信方法であって、
復調処理した信号の内、無線フレーム内の所定の位置にある信号を、伝送データのデスクランブル処理に先立ち、前記所定の規則で変換する符号逆変換手順を備える。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、1つの無線フレームに変調方式や伝送データを多重して送信する場合であっても、無線通信装置(送信機)は、変調方式を規定する符号を、常に同符号連続ではない、ランダム性のある符号で送信できるようになる。
【0027】
また、無線通信装置(受信機)は、受信信号の品質を劣化しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態における無線通信装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における無線フレームフォーマットの一例である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における送信機10の動作を示すシーケンス図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における受信機20の動作を示すシーケンス図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における、mビットの変調方式を規定する符号をm+nビットに冗長した信号のフォーマット例である。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるオーバーヘッド決定手段501で生成される信号の具体例を示す。
【図7A】本発明の第1の実施の形態における受信機20の復調処理の動作例を示す図である。
【図7B】本発明の第1の実施の形態における送信機10の変調処理の動作例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における無線通信装置の構成例を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における送信機10の動作を示すシーケンス図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態における無線通信装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
[第1の実施の形態]
[構成の説明]
図1は、本発明の第1の実施の形態における無線通信装置の構成例を示すブロック図である。
【0031】
図1に示されるように、第1の実施の形態における無線通信装置は、送信機10と受信機20から構成される。
【0032】
送信機10は、無線フレーム多重手段101と、TXベースバンド処理手段102と、変調手段103と、オーバーヘッド決定手段501とを備える。無線フレーム多重手段101は、オーバーヘッド決定手段501と、TXベースバンド処理手段102に接続される。変調手段103は、TXベースバンド処理手段102と接続される。
【0033】
一方、受信機20は、復調手段201と、フレーム同期手段202と、RXベースバンド処理手段203と、変調方式制御手段204と、無線フレーム抽出手段205とを備える。フレーム同期手段202は、復調手段201と、RXベースバンド処理手段203に接続され、無線フレーム抽出手段205は、RXベースバンド処理手段203に接続される。変調方式制御手段204は、復調手段201に接続される。
【0034】
また、変調方式制御手段204と、無線フレーム抽出手段205は、送信機10のオーバーヘッド決定手段501に接続される。
【0035】
各手段は、電子回路やDSP等を用いて実現される。
【0036】
なお、送信機10の無線フレーム多重手段101、TXベースバンド処理手段102、及び変調手段103の機能は、適応変調を用いた一般的な無線通信装置で実行される公知の機能である。
【0037】
また、受信機20の復調手段201、RXベースバンド処理手段203、変調方式制御手段204、及び無線フレーム抽出手段205の機能も、適応変調を用いた一般的な無線通信装置で実行される公知の機能である。
【0038】
まず、送信機10の機能について説明する。
【0039】
送信機10の無線フレーム多重手段101には、イーサネット(登録商標)/PDH(Plesiochronous Digital Hierarchy)/SDH(Synchronous Digital Hierarchy)等の有線で接続された、通信網から伝送データ(以下、無線フレーム多重手段入力信号11という。)が入力される。
【0040】
また、送信機10のオーバーヘッド決定手段501には、受信機20の無線フレーム抽出手段205から自方向変調方式情報45が、受信機20の変調方式制御手段204から転送用変調方式情報46が入力される。
【0041】
自方向変調方式情報45は、対向する無線通信装置の変調方式制御手段204が、受信信号から無線伝搬路の状態を推定し、送信機10から自方向への通信に最適と判定した変調方式を示す符号である。自方向変調方式情報45は、受信機20の無線フレーム抽出手段205によって、受信信号から抽出される。
【0042】
転送用変調方式情報46は、受信機20の変調方式制御手段204が、受信信号から無線伝搬路の状態を推定し、対向する無線通信装置から自方向への通信に最適と判定した変調方式を示す符号である。転送用変調方式情報46は、対向する無線伝送装置へ送信される。
【0043】
オーバーヘッド決定手段501は、変調方式を規定する符号である自方向変調方式情報45を、その最大の同符号連続長が、本実施形態の伝送系の許容する同符号連続長以下である符号に変換する。
【0044】
具体的には、オーバーヘッド決定手段501は、自方向変調方式情報45に対して、誤り訂正符号を付加し、疑似ランダム系列(以下、ランダム符号61という。)との排他的論理和を行い、この信号を自方向変調方式情報冗長化符号55とする。
【0045】
ランダム符号61は、PN生成回路等により生成することができる。
【0046】
オーバーヘッド決定手段501は、転送用変調方式情報46を転送用変調方式情報56として扱い、自方向変調方式情報冗長化符号55と転送用変調方式情報56とを無線フレーム多重手段101に出力する。
【0047】
なお、オーバーヘッド決定手段501は、変調方式を規定する符号全てについて、予め誤り訂正符号を付加し、ランダム符号61との排他的論理和を行った結果を算出し、その結果(以下、テーブル算出結果という)を保持しておいてもよい。
【0048】
つまり、オーバーヘッド決定手段501は、変調方式を規定する符号とテーブル算出結果の対応表(以下、テーブルという)を備えるようにしてもよい。このテーブルを使用することで、自方向変調方式情報45が入力される度に、オーバーヘッド決定手段501は、排他的論理和等を実施することなく、自方向変調方式情報45から自方向変調方式情報冗長化符号55へ変換することができる。
【0049】
無線フレーム多重手段101は、入力された自方向変調方式情報冗長化符号55を記憶する。
【0050】
また、無線フレーム多重手段101は、自方向変調方式情報冗長化符号55と、転送用変調方式情報56とを無線フレームフォーマットに多重する。
【0051】
ここで、無線フレームフォーマットの構成について説明する。
【0052】
図2は、第1の実施の形態における無線フレームフォーマットの一例である。
【0053】
図2に示すように、無線フレームフォーマットは、オーバーヘッド領域1000とペイロード領域1001から構成される。オーバーヘッド領域1000は、フレームパタン領域1100、自方向変調方式情報領域1101、及び転送用変調方式情報領域1102から構成される。
【0054】
フレームパタン領域1100には、無線フレーム多重手段101によって、フレーム同期を確立するための固定データパタンが多重される。
【0055】
自方向変調方式情報領域1101には、無線フレーム多重手段101によって、自方向変調方式情報冗長化符号55が多重される。
【0056】
転送用変調方式情報領域1102には、無線フレーム多重手段101によって、転送用変調方式情報56が多重される。
【0057】
ペイロード領域1001には、無線フレーム多重手段101によって、無線フレーム多重手段入力信号11が多重される。
【0058】
オーバーヘッド領域1000の各パタンやデータ長及び多重の順序は、本実施形態の無線伝送装置の使用する環境に応じて任意に決定できる。
【0059】
上述した無線フレーム多重手段101は、無線フレーム多重手段入力信号11をペイロード領域1001に多重する。
【0060】
また、無線フレーム多重手段101は、フレーム同期を確立するための固定データパタンをフレームパタン領域1100に多重し、多重した信号をTXベースバンド処理手段入力信号12として、TXベースバンド処理手段102に出力する。
【0061】
TXベースバンド処理手段102は、TXベースバンド処理手段入力信号12の転送用変調方式情報領域1102とペイロード領域1001に対して、誤り訂正符号の付加とスクランブル処理を行う。
【0062】
TXベースバンド処理手段102は、スクランブル処理を行った信号をTXベースバンド処理手段出力信号13として、変調手段103に出力する。
【0063】
変調手段103は、TXベースバンド処理手段出力信号13から自方向変調方式情報冗長化符号55を抽出する。ここで抽出した自方向変調方式情報冗長化符号55は、次の無線フレームから適用される為、変調手段103は、抽出した自方向変調方式情報冗長化符号55を記憶する。
【0064】
変調手段103は、TXベースバンド処理手段出力信号13に対し、1無線フレーム前に抽出した、自方向変調方式情報冗長化符号55が示す変調方式で変調処理を行う。
【0065】
もし、本実施形態の無線通信装置の起動直後で、変調手段103は、1度も自方向変調方式情報冗長化符号55を抽出していない場合には、最低多値数の変調方式(QPSK)で変調処理を行う。
【0066】
変調手段103は、変調処理を行ったTXベースバンド処理手段出力信号13に対し、波形整形、非線形歪補正等を行い、その信号を無線伝搬路へ出力する。
【0067】
一方、受信機20の復調手段201は、対向する無線通信装置から受信した信号に対し、電力増幅、中間周波数帯への周波数変換等を行う。
【0068】
さらに、復調手段201は、1無線フレーム前に、フレーム同期手段202から通知された、無線フレームの先頭タイミングと復調処理用変調方式情報44が示す変調方式に基づき、復調処理を行う。
【0069】
具体的には、復調手段201は、受信信号に対し、フレーム同期手段202から通知された無線フレームの先頭タイミングから復調処理用変調方式情報44が示す変調方式に基づき、復調処理を行う。
【0070】
もし、本実施形態の無線通信装置の起動直後で、フレーム同期手段202から無線フレームの先頭タイミングと、復調処理用変調方式情報44が通知されていない場合には、復調手段201は、受信信号全てに対し、最低多値数の変調方式(QPSK)で復調を行う。
【0071】
復調手段201は、復調を行った信号を復調手段出力信号21として、フレーム同期手段202に出力する。
【0072】
さらに、復調手段201は、受信信号からCNR(Carrier to Noise Ratio)と受信レベルを算出し、CNR値信号41及び受信レベル値信号51として、変調方式制御手段204へ出力する。
【0073】
フレーム同期手段202は、復調手段201から復調手段出力信号21が入力されると、復調手段出力信号21に対して、公知の方法で、無線フレームの先頭タイミングを検出し、フレーム同期確立を行う。また、フレーム同期手段202は、復調手段出力信号21から復調の為に、自方向変調方式情報冗長化符号55を抽出する。自方向変調方式情報冗長化符号55は、復調手段出力信号21の自方向変調方式情報領域1101に多重されている。
【0074】
フレーム同期手段202は、無線フレーム内の所定の位置にある信号(抽出した自方向変調方式情報冗長化符号55)を、所定の規則で逆変換し、変調方式を規定する符号を求める。
【0075】
具体的には、フレーム同期手段202は、抽出した自方向変調方式情報冗長化符号55に対し、送信機10(オーバーヘッド決定手段501)で実施したランダム符号61との排他的論理和を、所定の規則として行う。
【0076】
フレーム同期手段202は、ランダム符号61との排他的論理和を行った信号に対し、誤り訂正を行い、この信号を復調処理用変調方式情報44として復調手段201に出力する。さらに、フレーム同期手段202は、無線フレームの先頭タイミングを復調手段201に出力する。
【0077】
但し、フレーム同期確立ができなかった時には、フレーム同期手段202は、最低多値数の変調方式(QPSK)を示す復調処理用変調方式情報44と、1無線フレーム前に復調手段201に出力した無線フレームの先頭タイミングを復調手段201に出力する。
【0078】
もし、無線通信装置の起動直後で、フレーム同期手段202は、1度も無線フレームの先頭タイミングを検出していない場合には、フレーム同期手段202は、無線フレームの先頭タイミングとして初期タイミングを復調手段201に出力する。初期タイミングは、本実施形態のユーザによって、フレーム同期手段202に予め設定されたタイミングである。
【0079】
さらに、フレーム同期手段202は、フレーム同期確立ができなかった場合には、フレーム同期が確立してない事を示す非同期通知信号A31を変調方式制御手段204に出力する。また、フレーム同期手段202は、フレーム同期確立ができなかった場合には、フレーム同期が確立してない事を表す非同期通知信号B32を無線フレーム抽出手段205に出力する。
【0080】
フレーム同期手段202から出力された、無線フレームの先頭タイミングや復調処理用変調方式情報44は、復調手段201にて次の無線フレームのデータで使用される。
【0081】
なお、フレーム同期手段202は、オーバーヘッド決定手段501と同様、テーブルを備えてもよい。テーブルを備える場合、フレーム同期手段202は、抽出した自方向変調方式情報冗長化符号55と、最も符号間距離が小さいテーブル算出結果を選択する。フレーム同期手段202は、選択したテーブル算出結果に対応する変調方式を規定する符号をテーブルから求め、その変調方式を規定する符号を復調処理用変調方式情報44とする。
【0082】
フレーム同期手段202は、フレーム同期確立を行った信号をRXベースバンド処理入力信号22として、RXベースバンド処理手段203に出力する。
【0083】
RXベースバンド処理手段203は、RXベースバンド処理入力信号22の転送用変調方式情報領域1102とペイロード領域1001に対して、デスクランブル処理、誤り訂正処理を行う。
【0084】
RXベースバンド処理手段203は、デスクランブル処理を実施した信号をRXベースバンド処理手段出力信号23として無線フレーム抽出手段205に出力する。
【0085】
変調方式制御手段204は、CNR値信号41及び受信レベル値信号51に基づき、変調方式を判定する。変調方式の判定方法については、公知の方法を用いることができる。判定した変調方式は、転送用変調方式情報46として、送信機10のオーバーヘッド決定手段501に出力する。
【0086】
但し、フレーム同期手段202より非同期通知信号A31が入力された場合には、変調方式制御手段204は、最低多値数の変調方式(QPSK)を示す転送用変調方式情報46をオーバーヘッド決定手段501に出力する。
【0087】
無線フレーム抽出手段205は、RXベースバンド処理手段出力信号23が入力されると、RXベースバンド処理手段出力信号23の転送用変調方式情報領域1102から新たな自方向変調方式情報45を抽出する。無線フレーム抽出手段205は、抽出した自方向変調方式情報45をオーバーヘッド決定手段501へ出力する。
【0088】
但し、フレーム同期手段202より非同期通知信号B32が入力された場合には、無線フレーム抽出手段205は、最低多値数の変調方式(QPSK)を示す自方向変調方式情報45をオーバーヘッド決定手段501へ出力する。
【0089】
また、無線フレーム抽出手段205は、ペイロード領域1001に多重されている伝送データ(以下、無線フレーム抽出手段出力信号24という)をイーサネット(登録商標)/PDH/SDH等に接続された通信網に出力する。
【0090】
[動作の説明]
図3は、本発明の第1の実施の形態における送信機10の動作を示すシーケンス図である。また、図4は、本発明の第1の実施の形態における受信機20の動作を示すシーケンス図である。送信機10及び受信機20は、その動作を無線フレーム毎に周期的に行う。
【0091】
まず、送信機10について図3を用いて、動作の説明を行う。送信機10のオーバーヘッド決定手段501では、受信機20より、自方向変調方式情報45と転送用変調方式情報46が入力される(S100)。
【0092】
オーバーヘッド決定手段501は、入力された自方向変調方式情報45に対して、無線伝搬路の状態悪化に対する耐性を強めるために、誤り訂正符号を付加する(S101)。
【0093】
図5は、オーバーヘッド決定手段501がmビットの変調方式を規定する符号に対し、nビットの誤り訂正符号を付加し、m+nビットに冗長化した信号のフォーマット例を示している。また、図5は、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)/16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)/32QAM/64QAM/128QAM/256QAM/512QAM/1024QAMの8種類の変調方式を用いた場合の信号フォーマット例も示している。この場合、各変調方式は3ビットの符号パタンで表せるので、3+nビットに冗長化された場合の信号となる。
【0094】
また、本発明の第1の実施の形態における無線通信装置では、誤り訂正方法は、誤り訂正符号化/復号が比較的簡単かつ短時間で行えるハミング符号を採用する。しかし、誤り訂正方法は、適用する装置に応じて、ハミング符号以外の方法を使用してもよい。
【0095】
次に、オーバーヘッド決定手段501は、誤り訂正符号を付加した信号に対し、ランダム符号61との排他的論理和を行った信号(自方向変調方式情報冗長化符号55)を作成する(S102)。
【0096】
図6は、オーバーヘッド決定手段501で生成される信号の具体例である。
【0097】
図6は、m=3ビットで表現される8種類の変調方式に対して、ハミング符号により、m+n=31ビットに冗長化した信号を作成した例を示す。また、図6は、31ビットの冗長化した信号に対し、ランダム符号61(図6中ではaベクトル)との排他的論理和を行った信号(自方向変調方式情報冗長化符号55)を作成した例を示す。
【0098】
なお、オーバーヘッド決定手段501は、テーブルを保持しておき、自方向変調方式情報45から自方向変調方式情報冗長化符号55へ変換してもよい。
【0099】
例えば、オーバーヘッド決定手段501は、mビットの変調方式を規定する符号全てに対して、m+nビットのハミング符号を付加し、ランダム符号61と排他的論理和を行ったm+nビットの符号を予め算出しておく。オーバーヘッド決定手段501は、その算出した結果と変調方式の対応表をテーブルとして保持する。
【0100】
すると、オーバーヘッド決定手段501は、入力されるmビットの自方向変調方式情報45を前記テーブルに従い、自方向変調方式情報冗長化符号55に変換できる。
【0101】
次に、オーバーヘッド決定手段501は、転送用変調方式情報46を転送用変調方式情報56として扱い、自方向変調方式情報冗長化符号55と、及び転送用変調方式情報56とを無線フレーム多重手段101に出力する(S103)。
【0102】
無線フレーム多重手段101は、自方向変調方式情報冗長化符号55を記憶する。
【0103】
また、無線フレーム多重手段101は、有線で接続された通信網から入力された無線フレーム多重手段入力信号11をペイロード領域1001に多重する。
【0104】
次に、無線フレーム多重手段101は、対向する受信機20が、フレーム同期確立を行うためのフレームパタンをフレームパタン領域1100に多重する。
【0105】
さらに、無線フレーム多重手段101は、自方向変調方式情報冗長化符号55を自方向変調方式情報領域1101へ多重し、転送用変調方式情報56を転送用変調方式情報領域1102へ多重する(S104)。
【0106】
無線フレーム多重手段101は、多重した信号(TXベースバンド処理手段入力信号12)をTXベースバンド処理手段102に出力する(S105)。
【0107】
次に、TXベースバンド処理手段102は、転送用変調方式情報領域1102及びペイロード領域1001の信号に対し、誤り訂正符号の付加やスクランブル処理をし、TXベースバンド処理手段出力信号13として変調手段103へ出力する(S106)。
【0108】
なお、TXベースバンド処理手段102は、フレームパタン領域1100及び自方向変調方式情報領域1101に対しては、スクランブル処理を行わない。スクランブル処理を行わないのは、対向する無線通信装置のフレーム同期手段202が、デスクランブル処理の為に、自方向変調方式情報領域1101を抽出する必要があるからである。
【0109】
変調手段103は、TXベースバンド処理手段出力信号13から自方向変調方式情報冗長化符号55を抽出する。ここで抽出した自方向変調方式情報冗長化符号55は、次の無線フレームから適用される為、変調手段103は、抽出した自方向変調方式情報冗長化符号55を記憶する。
【0110】
さらに、変調手段103は、TXベースバンド処理手段出力信号13に対し、1無線フレーム前に抽出した、自方向変調方式情報冗長化符号55が示す変調方式にて変調処理を行う。
【0111】
もし、本実施形態の無線通信装置の起動直後で、変調手段103は、1度も自方向変調方式情報冗長化符号55を抽出していない場合には、最低多値数の変調方式(QPSK)で変調処理を行う。
【0112】
最後に、変調手段103は、変調処理を行ったTXベースバンド処理手段出力信号13に対し、マッピング処理、波形整形、非線形歪補正、変調処理、さらに、高周波数帯への周波数変換、電力増幅を施した後、無線伝搬路へ出力する(S107)。
【0113】
続いて、受信機20の動作について説明を行う。
【0114】
受信機20の復調手段201は、対向する無線通信装置からの受信信号に対し、電力増幅、中間周波数帯への周波数変換等を行う。
【0115】
さらに、復調手段201は、1無線フレーム前に、フレーム同期手段202から通知された、無線フレームの先頭タイミングと復調処理用変調方式情報44が示す変調方式に基づき、復調処理を行う。
【0116】
具体的には、復調手段201は、受信信号に対し、フレーム同期手段202から通知された無線フレームの先頭タイミングから復調処理用変調方式情報44が示す変調方式に基づき、復調処理を行う。
【0117】
もし、本実施形態の無線通信装置の起動直後で、フレーム同期手段202から復調処理用変調方式情報44と、無線フレームの先頭タイミングが通知されていない場合には、復調手段201は、受信信号に対し、最低多値数の変調方式(QPSK)で復調を行う。
【0118】
次に、復調手段201は、復調を行った信号を復調手段出力信号21として、フレーム同期手段202に出力する(S200)。
【0119】
また、復調手段201は、受信信号からCNR(Carrier to Noise Ratio)と受信レベルを算出し、CNR値信号41及び受信レベル値信号51として、変調方式制御手段204へ出力する(S201)。
【0120】
フレーム同期手段202は、入力された復調手段出力信号21に対し、公知の方法で、無線フレームの先頭タイミングを検出し、フレーム同期確立を行う(S202)。
【0121】
具体的には、フレーム同期手段202は、復調手段出力信号21のフレームパタン領域1100と想定される信号に対し、既知のフレームパタンとの照合を行う。フレーム同期手段202は、所定の回数連続して既知のフレームパタンと一致するタイミングを求めることでフレーム同期を確立させる。所定の回数は、本実施形態のUserが無線伝送装置を使用する環境に応じて任意に設定できる。
【0122】
続いて、フレーム同期手段202は、復調手段出力信号21から復調の為に、自方向変調方式情報冗長化符号55を抽出する(S203)。
【0123】
自方向変調方式情報冗長化符号55は、復調手段出力信号21の自方向変調方式情報領域1101に多重されている。フレーム同期手段202は、無線フレームの先頭を基準に自方向変調方式情報領域1101を求め、この領域に多重されている自方向変調方式情報冗長化符号55を抽出する。
【0124】
次に、フレーム同期手段202は、抽出した自方向変調方式情報冗長化符号55に対し、ランダム符号61との排他的論理和を行い、誤り訂正を行って、この信号を復調処理用変調方式情報44として復調手段201に出力する。
【0125】
さらに、フレーム同期手段202は、無線フレームの先頭タイミングを復調手段201に出力する。フレーム同期手段202が無線フレームの先頭タイミングを検出するので、その前に位置する復調手段201は、無線フレームの先頭タイミングを知ることはできないからである。
【0126】
但し、無線フレームの先頭タイミングが検出できず、フレーム同期が確立しなかった時には、フレーム同期手段202は、最低多値数の変調方式(QPSK)を示す復調処理用変調方式情報44を復調手段201に出力する。また、フレーム同期手段202は、フレーム同期が確立しなかった時には、1無線フレーム前に復調手段201に出力した無線フレームの先頭タイミングを再度復調手段201に出力する。
【0127】
もし、無線通信装置の起動直後で、フレーム同期手段202は、1度も無線フレームの先頭タイミングを検出していない場合には、フレーム同期手段202は、無線フレームの先頭タイミングとして初期タイミングを復調手段201に出力する。初期タイミングは、本実施形態のユーザによって、フレーム同期手段202に予め設定されたタイミングである(S204)。
【0128】
なお、復調手段201は、フレーム同期手段202から復調処理用変調方式情報44を受信したタイミングにより、無線フレームの先頭タイミングを検出する場合がある。この場合には、フレーム同期手段202は、復調手段201との間で、予め決めたタイミングで復調処理用変調方式情報44を出力するよう調整する。このタイミング調整により、復調手段201は、適切なタイミングで復調できる。
【0129】
フレーム同期手段202から出力された、無線フレームの先頭タイミングや復調処理用変調方式情報44は、復調手段201にて次の無線フレームのデータで使用される。
【0130】
もし、フレーム同期手段202に、オーバーヘッド決定手段501と同様、テーブルを備える場合には、フレーム同期手段202は、抽出した自方向変調方式情報冗長化符号55と、最も符号間距離が小さいテーブル算出結果を選択する。フレーム同期手段202は、選択したテーブル算出結果に対応する変調方式を規定する符号をテーブルから求め、その変調方式を規定する符号を復調処理用変調方式情報44とする。
【0131】
オーバーヘッド決定手段501は、変調方式を規定する符号に対し、誤り訂正符号を付加し、ランダム符号61との排他的論理和を行うが、この動作前後で、各変調方式を規定する符号間の距離は変わらない。その為、上述のテーブルを用いて、最も符号間距離が小さいテーブル算出結果を選択することでも、フレーム同期手段202は、変調方式を規定する符号を正しく求めることができる。
【0132】
次に、フレーム同期手段202は、フレーム同期確立ができなかった場合、本実施形態の無線通信装置が無線伝搬路からの誤りに対する耐性が強い変調方式(QPSK)にて変復調を行えるよう、非同期通知信号A31を変調方式制御手段204に出力する。さらに、フレーム同期手段202は、フレーム同期確立ができない場合、フレーム同期が確立してない事を表す非同期通知信号B32を無線フレーム抽出手段205に出力する。非同期通知信号A31と非同期通知信号B32は、フレーム同期が確立してない事を示す信号である(S205)。
【0133】
最後に、フレーム同期手段202は、フレーム同期確立を行った信号をRXベースバンド処理入力信号22として、RXベースバンド処理手段203に出力する(S206)。
【0134】
RXベースバンド処理手段203は、RXベースバンド処理入力信号22の転送用変調方式情報領域1102とペイロード領域1001に対し、誤り訂正処理、デスクランブル処理を行う。RXベースバンド処理手段203は、デスクランブル処理を実施した信号をRXベースバンド処理手段出力信号23として無線フレーム抽出手段205に出力する(S207)。
【0135】
変調方式制御手段204は、CNR値信号41及び受信レベル値信号51に基づき、変調方式を判定する。判定した変調方式は、転送用変調方式情報46として、送信機10のオーバーヘッド決定手段501に出力する。但し、フレーム同期手段202より非同期通知信号A31が入力された場合には、変調方式制御手段204は、最低多値数の変調方式(QPSK)を示す転送用変調方式情報46をオーバーヘッド決定手段501に出力する(S208)。
【0136】
無線フレーム抽出手段205は、入力されたRXベースバンド処理手段出力信号23の転送用変調方式情報領域1102から新たな自方向変調方式情報45を抽出する。無線フレーム抽出手段205は、抽出した自方向変調方式情報45を送信機10のオーバーヘッド決定手段501へ出力する。但し、フレーム同期手段202より非同期通知信号B32が入力された場合には、無線フレーム抽出手段205は、最低多値数の変調方式(QPSK)を示す自方向変調方式情報45をオーバーヘッド決定手段501へ出力する(S209)。
【0137】
また、無線フレーム抽出手段205は、ペイロード領域1001に多重されているデータ(無線フレーム抽出手段出力信号24)をイーサネット(登録商標)/PDH/SDH等に接続された通信網に出力する(S210)。
【0138】
送信機10及び受信機20は、上述した処理を無線フレーム毎に周期的に行う。しかし、送信機10及び受信機20は、上述した処理を複数の無線フレーム毎に周期的に行ってもよい。その場合の無線フレーム数は、無線伝送装置の使用する環境に応じて任意に設定される。
【0139】
なお、オーバーヘッド決定手段501において、転送用変調方式情報46をそのまま転送用変調方式情報56としているが、自方向変調方式情報45と同様、誤り訂正の符号の付与や、ランダム符号61との排他的論理和を行ってもよい。この場合、フレーム同期手段202でも誤り訂正や、ランダム符号61と排他的論理和を行う。
【0140】
また、本実施形態では、ランダム符号61として擬似ランダム系列を用いたが、これに限らない。同符号連続長が比較的短い、本実施形態の伝送系が許容する同符号連続長以下の符号系列であれば、どのような符号系列でもよい。例えば、交互に符号0、1が規則的に出現する符号でもよい。
【0141】
[変復調処理の動作例]
図7Aは、受信機20(復調手段201とフレーム同期手段202)において実施される復調動作の例を示す図である。また、図7Bは、対向する無線通信装置の送信機10(変調手段103)で実施される変調動作の例を示す図である。図7Bに示す送信機10の変調動作例と併せ、以下、図7Aを用いて、受信機20の復調動作を具体的に説明する。
【0142】
まず、図7Bに示すとおり、対向する無線通信装置の送信機10の変調手段103は、1無線フレーム目のTXベースバンド処理手段出力信号13を入力する。
【0143】
TXベースバンド処理手段出力信号13は、オーバーヘッド決定手段501によって、ランダム符号61との排他的論理和が行われ、その最大の同符号連続長が、送信機10が適用される伝送系の許容する同符号連続長以下である符号になっている。
【0144】
ここでは、TXベースバンド処理手段出力信号13は、自方向変調方式情報領域1101に、変調方式(16QAM)を示す符号が、自方向変調方式情報冗長化符号55として多重されているとする(図7B T100)。
【0145】
変調手段103は、自方向変調方式情報冗長化符号55を抽出し、その変調方式(16QAM)を示す符号)を記憶する(図7B T101 処理(1))。
【0146】
また、変調手段103は、1無線フレーム前に自方向変調方式情報冗長化符号55を抽出していない為、TXベースバンド処理手段出力信号13に対し、最低多値数の変調方式(QPSK)で変調処理を行う(図7B T101 処理(2))。
【0147】
さらに、変調手段103は、変調処理を行ったTXベースバンド処理手段出力信号13に対し、波形整形等を行って、無線伝搬路へ出力する(図7B T102)。
【0148】
一方、受信機20の復調手段201は、無線伝搬路から受信した信号に対し、復調処理を行うが、起動直後の為、フレーム同期手段202より、無線フレームの先頭タイミングと復調処理用変調方式情報44を通知されていない。その為、復調手段201は、受信信号に対し、最低多値数の変調方式(QPSK)にて復調を行う(図7A R100 処理(1))。
【0149】
なお、復調手段201は、復調する際の検波において、位相同期の為に一定量、符号を受信する必要があるが、この為にフレームパタン領域1100にガードビット(位相同期を行う為の符号列)を設けてもよい。
【0150】
次に、復調手段201は、最低多値数の変調方式(QPSK)で、復調を行った信号に対し、波形整形等を行い、その信号を復調手段出力信号21として、フレーム同期手段202に出力する(図7A R101)。
【0151】
フレーム同期手段202は、入力された復調手段出力信号21に対し、公知の方法で、無線フレームの先頭タイミングを検出し、フレーム同期確立を行う(図7A R102 処理(1))。
【0152】
具体的には、フレーム同期手段202は、フレームパタン領域1100に対し、所定のタイミングで既知のフレームパタンとの照合を行い、既知のフレームパタンと一致するタイミングを求める。
【0153】
もし、1回で既知のフレームパタンと一致するタイミングを求められなかった場合には、フレーム同期手段202は、所定分だけ照合タイミングをずらして、既知のフレームパタンとの照合を行う。
【0154】
それでも、既知のフレームパタンと一致するタイミングが求められない場合には、フレーム同期手段202は、さらに所定分、照合タイミングをずらし、既知のフレームパタンとの照合を行う。この照合動作は、1無線フレーム内において、所定回数分、既知のフレームパタンと一致するタイミングが求められるまで繰り返される。
【0155】
もし、1無線フレームで、既知のフレームパタンと一致するタイミングを求められない場合には、次の無線フレーム以降でも、上述した照合動作を継続して実施する。
【0156】
既知のフレームパタンと一致するタイミングを求められた場合、フレーム同期手段202は、所定のフレーム回数分、連続して同じタイミングで、既知のフレームパタンと一致するかを確認し、連続して一致した場合にフレーム同期が確立したとする。
【0157】
照合タイミングをずらす時間(上述した所定分)、1無線フレーム内で繰り返される回数(上述した所定回数)、及び保護段数(上述した所定のフレーム回数分)は、本実施形態のUserが無線伝送装置を使用する環境に応じて任意に設定できる。
【0158】
以降は、フレーム同期手段202は、変復調動作を説明する為に、1フレーム目でフレーム同期が確立したものとして、記載を続ける。
【0159】
もし、フレーム同期が確立しなければ、フレーム同期が確立するまで、本実施形態の無線通信装置は、無線伝搬路からの誤りに対する耐性が強い変調方式(QPSK)にて変復調を行うこととなる。
【0160】
フレーム同期手段202は、フレーム同期が確立しなければ、最低多値数の変調方式(QPSK)を示す復調処理用変調方式情報44を復調手段201に通知し、復調手段201は、その変調方式(QPSK)で復調処理を行い続けるからである。また、フレーム同期が確立しなければ、フレーム同期手段202は無線フレーム抽出手段205に非同期通知信号B32が通知し、変調手段103は、変調方式(QPSK)で変調を行い続けるからである。
【0161】
フレーム同期手段202は、無線フレームの先頭タイミングが分かったので、復調手段出力信号21から、自方向変調方式情報領域1101を検出し、この領域に多重されている自方向変調方式情報冗長化符号55を抽出する。
【0162】
次に、フレーム同期手段202は、抽出した自方向変調方式情報冗長化符号55に対し、ランダム符号61を差し引いて(排他的論理和を行って)、誤り訂正を行い、この信号を復調処理用変調方式情報44とする。ここでは、復調処理用変調方式情報44は、変調方式(16QAM)を示す符号である(図7A R102 処理(2))。
【0163】
フレーム同期手段202は、無線フレームの先頭タイミング及び、復調処理用変調方式情報44を復調手段201に出力する(図7A R103)。
【0164】
以上が1無線フレーム目に関する動作である。
【0165】
続いて、次の2無線フレーム目において、対向する無線通信装置の送信機10の変調手段103は、次のTXベースバンド処理手段出力信号13を入力する。
【0166】
ここでは、TXベースバンド処理手段出力信号13は、自方向変調方式情報領域1101に、変調方式(64QAM)を示す符号が、自方向変調方式情報冗長化符号55として多重されているとする(図7B T200)。
【0167】
変調手段103は、自方向変調方式情報冗長化符号55を抽出し、その変調方式(64QAM)を示す符号)を記憶する(図7B T201 処理(1))。
【0168】
変調手段103は、TXベースバンド処理手段出力信号13に対し、1無線フレーム前に抽出した、自方向変調方式情報冗長化符号55が示す変調方式(16QAM)にて変調処理を行う(図7B T201 処理(2))。
【0169】
変調手段103は、波形整形等を行って、無線伝搬路へ出力する(図7B T202)。
【0170】
一方、受信機20の復調手段201は、無線伝搬路から受信した信号に対し、1無線フレーム前にフレーム同期手段202から通知された、無線フレームの先頭タイミングと復調処理用変調方式情報44が示す変調方式に基づき、復調処理を行う。
【0171】
具体的には、復調手段201は、受信信号に対し、無線フレームの先頭タイミングから1無線フレーム前にフレーム同期手段202から通知された、復調処理用変調方式情報44が示す変調方式(16QAM)で復調を行う(図7A R200 処理(1))。
【0172】
その後、復調手段201は、復調を行った信号に対し、波形整形等を行い、その信号を復調手段出力信号21として、フレーム同期手段202に出力する(図7A R201)。
【0173】
次に、フレーム同期手段202は、1無線フレーム目と同じ動作を行い、次のフレームで使用する、新たな無線フレームの先頭タイミングと復調処理用変調方式情報44(64QAM)を復調手段201に出力する(図7A R203)。
【0174】
3無線フレーム目以降の変調手段103、復調手段201、及びフレーム同期手段202は、上述した2無線フレーム目と同じ動作が実施され、適応変調が実施されていく。
【0175】
[効果の説明]
本実施の形態では、1つの無線フレームに変調方式や伝送データを多重して送信する場合であっても、無線通信装置(送信機)は、変調方式を規定する符号を、常に同符号連続ではない、ランダム性のある符号で送信できるようになる。
【0176】
オーバーヘッド決定手段501が、変調方式を規定する符号に対し、本実施形態の伝送系が許容する同符号連続長以下の符号系列で排他的論理和を行う為である。
【0177】
また、無線通信装置(受信機)は、常に同符号連続ではない、ランダム性のある符号を受信できる為、受信信号の品質を劣化しないようにする事ができる。
さらに、無線通信装置(受信機)は、無線フレーム内の所定の位置にある信号を、伝送データのデスクランブル処理に先立ち、本実施形態の伝送系が許容する同符号連続長以下の符号系列にて排他的論理和を行う為、正しく変調方式を受信できる。
【0178】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0179】
[構成の説明]
図8は、本発明の第2の実施の形態における無線通信装置の構成例を示すブロック図である。
【0180】
図8に示されるように、本発明の第2の実施の形態における無線通信装置は、オーバーヘッド決定手段501の代わりに、新たにオーバーヘッド決定手段601を変調手段103の前に備える点が、第1の実施の形態の構成と異なる。
【0181】
また、変調方式制御手段204と無線フレーム抽出手段205は、無線フレーム多重手段101に接続される。
【0182】
第2の実施の形態におけるオーバーヘッド決定手段601は、TXベースバンド処理手段出力信号13が入力される。オーバーヘッド決定手段601は、TXベースバンド処理手段出力信号13の自方向変調方式情報領域1101に多重されている変調方式を規定する符号に対して、誤り訂正符号を付加し、ランダム符号61との排他的論理和を行う。そして、オーバーヘッド決定手段601は、排他的論理和を行った信号を、TXベースバンド処理手段出力信号13として、変調手段103に送信する。
【0183】
なお、無線フレーム多重手段101は、変調方式制御手段204から転送用変調方式情報46が、無線フレーム抽出手段205から自方向変調方式情報45が入力される。その為、第2の実施の形態における無線フレーム多重手段101は、転送用変調方式情報46を転送用変調方式情報56として扱い、自方向変調方式情報45を自方向変調方式情報冗長化符号55として扱う。
【0184】
その他の構成要素については、第1の実施の形態と同様である。第1の実施の形態と同様の構成要素については、図1と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0185】
[動作の説明]
図9は、本発明の第2の実施の形態における送信機10の動作を示すシーケンス図である。
【0186】
図9に示す通り、本発明の第2の実施の形態では、オーバーヘッド決定手段601の動作が第1の実施の形態の動作と異なる。
【0187】
オーバーヘッド決定手段601は、TXベースバンド処理手段出力信号13の自方向変調方式情報領域1101に多重されている変調方式を規定する符号に対して、誤り訂正符号を付加し、ランダム符号61との排他的論理和を行う。
【0188】
そして、オーバーヘッド決定手段601は、排他的論理和を行った信号を、自方向変調方式情報領域1101に多重し、新たなTXベースバンド処理手段出力信号13として、変調手段103に送信する(S600)。
【0189】
なお、無線フレーム多重手段101は、転送用変調方式情報46を転送用変調方式情報56として扱い、自方向変調方式情報45を自方向変調方式情報冗長化符号55として扱う。しかし、それ以外の動作は、第1の実施の形態の動作と同様である為、詳細な説明を省略する。
【0190】
その他の動作についても、第1の実施の形態の動作と同様である為、図3と同一の符号を付し、詳細の説明を省略する。
【0191】
[効果の説明]
本発明の第2の実施の形態では、オーバーヘッド決定手段601が変調手段103の前に位置する。送信機10内に流れる変調方式を規定する符号は、オーバーヘッド決定手段601に入力されるまではランダム性のあるデータになっていない。
【0192】
その為、本実施形態のユーザは、送信機10内に流れる変調方式を簡単に把握でき、第1の実施の形態よりデバックが容易となる。
【0193】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0194】
[構成の説明]
図10は、本発明の第3の実施の形態における無線通信装置の構成例を示すブロック図である。第4の実施の形態における無線通信装置は、送信機2100と受信機2200を備え、無線回線を介して通信を行う。
【0195】
送信機2100と受信機2200は、変調方式を適応的に選択する適応変調を採用した送受信機である。送信機2100は、送信する信号2300の内、変調方式を規定する符号を、その最大の同符号連続長が、送信機2100が適用される伝送系の許容する同符号連続長以下である符号に変換する符号変換手段を備える。
【0196】
信号2400は、所定の規則で、無線フレーム内の所定の位置に格納された変調方式を規定する符号を、その最大同符号連続長が所定の連続長以下である符号に変換した信号である。
【0197】
受信機2200は、復調処理をした信号2400の内、無線フレーム内の所定の位置にある信号を、伝送データのデスクランブル処理に先立ち、所定の規則で変換する符号逆変換手段を備える。
【0198】
[動作の説明]
送信機2100は、送信する信号2300の内、変調方式を規定する符号を、その最大の同符号連続長が、送信機2100が適用される伝送系が許容する同符号連続長以下である符号に変換する。この変換を行う為の手段を符号変換手段という。
【0199】
また、受信機2200は、復調処理をした信号2400の内、無線フレーム内の所定の位置にある信号を、伝送データのデスクランブル処理に先立ち、所定の規則で変換する。
所定の規則は、送信機2100の符号変換手段で実施した変換規則である。
【0200】
[効果の説明]
本実施形態では、1つの無線フレームに変調方式や伝送データを多重して送信する場合であっても、無線通信装置(送信機)は、変調方式を規定する符号を、常に同符号連続ではない、ランダム性のある符号で送信できるようになる。
【0201】
また、無線通信装置(受信機)は、受信信号の品質を劣化しないようにすることができる。
【0202】
なお、上述した実施の形態は、その形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0203】
10 送信機
11 無線フレーム多重手段入力信号
12 TXベースバンド処理手段入力信号
13 TXベースバンド処理手段出力信号
20 受信機
21 復調手段出力信号
22 RXベースバンド処理入力信号
23 RXベースバンド処理手段出力信号
24 無線フレーム抽出手段出力信号
31 非同期通知信号A
32 非同期通知信号B
41 CNR値信号
44 復調処理用変調方式情報
45 自方向変調方式情報
46 転送用変調方式情報
51 受信レベル値信号
55 自方向変調方式情報冗長化符号
56 転送用変調方式情報
61 ランダム符号
101 無線フレーム多重手段
102 TXベースバンド処理手段
103 変調手段
201 復調手段
202 フレーム同期手段
203 RXベースバンド処理手段
204 変調方式制御手段
205 無線フレーム抽出手段
501 オーバーヘッド決定手段
601 オーバーヘッド決定手段
1000 オーバーヘッド領域
1001 ペイロード領域
1100 フレームパタン領域
1101 自方向変調方式情報領域
1102 転送用変調方式情報領域
2100 送信機
2200 受信機
2300 送信する信号
2400 復調処理をした信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変調方式を適応的に選択する適応変調を採用した送信機であって、
送信する信号の内、変調方式を規定する符号を、その最大の同符号連続長が、前記送信機が適用される伝送系の許容する同符号連続長以下である符号に変換する符号変換手段
を備えることを特徴とする送信機。
【請求項2】
前記送信機は、前記変調方式を規定する符号に対して、誤り訂正符号を付与することを特徴とする、請求項1に記載の送信機。
【請求項3】
前記符号変換手段から出力される信号を変調し、無線伝搬路に送出する変調手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1乃至2のいずれか1項に記載の送信機。
【請求項4】
所定の規則で、無線フレーム内の所定の位置に格納された変調方式を規定する符号を、その最大同符号連続長が所定の連続長以下である符号に変換した信号を受信する、適応変調を採用した受信機であって、
復調処理した信号の内、無線フレーム内の所定の位置にある信号を、伝送データのデスクランブル処理に先立ち、前記所定の規則で変換する符号逆変換手段
を備えることを特徴とする受信機。
【請求項5】
前記受信機は、前記変調方式を規定する符号に対して、誤り訂正を行うことを特徴とする請求項4に記載の受信機。
【請求項6】
無線回線を介して接続された送信機と受信機を備え、
前記送信機は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の送信機であり、
前記受信機は、請求項4乃至5のいずれか1項に記載の受信機である
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項7】
変調方式を適応的に選択する適応変調を採用した送信方法であって、
送信する信号の内、変調方式を規定する符号を、その最大の同符号連続長が、前記送信機が適用される伝送系の許容する同符号連続長以下である符号に変換する符号変換手順
を備えることを特徴とする送信方法。
【請求項8】
所定の規則で、無線フレーム内の所定の位置に格納された変調方式を規定する符号を、その最大同符号連続長が所定の連続長以下である符号に変換した信号を受信する、適応変調を採用した受信方法であって、
復調処理した信号の内、無線フレーム内の所定の位置にある信号を、伝送データのデスクランブル処理に先立ち、前記所定の規則で変換する符号逆変換手順を備えることを特徴とする受信方法。
【請求項9】
無線回線を介して通信する際の通信方法であって、
送信方法は、請求項7に記載の送信方法であり、
受信方法は、請求項8に記載の受信方法である
ことを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−77890(P2013−77890A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215173(P2011−215173)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】