説明

送信装置、情報処理方法、プログラム、および送信システム

【課題】広帯域の信号を容易に送信することができるようにする。
【解決手段】本技術の送信装置は、第1の伝送制御情報を取得する第1の取得部と、他の送信装置に入力される情報と同じ情報である第2の伝送制御情報を取得する第2の取得部と、送信対象のデータの処理を、前記第1の伝送制御情報に含まれるパラメータに従って行い、処理を施した前記送信対象のデータと、前記第2の伝送制御情報とから構成されるデータを生成する生成部とを備える。本技術は、DVB-C2の信号を送信する送信装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、送信装置、情報処理方法、プログラム、および送信システムに関し、特に、広帯域の信号を容易に送信することができるようにした送信装置、情報処理方法、プログラム、および送信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地上波デジタルテレビジョン放送などの従来の放送方式においては、一般的に、図1に示すように、一定の周波数間隔を空けてチャネル(物理チャネル)を規定し、チャネル毎に独立した信号を送るようになっている。図1の例においては周波数間隔が8MHzとされており、チャネル間干渉などの観点から、所定の帯域幅のガードバンドが各チャネルの間に設定される。
【0003】
各チャネルの間にガードバンドを設定した場合、1チャネルの帯域幅はチャネル間隔以下に制限される。番組データなどを伝送する1チャネル分の送信信号を生成する送信機が出力する信号の帯域幅はチャネル間隔以下となる。例えば日本の地上デジタル放送規格であるISDB-Tの場合、チャネル間隔が6MHzであるため、送信機に必要な帯域幅(送信機に要求される、出力可能な信号の周波数帯域幅)は最大6MHz程度となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−261403号公報
【特許文献2】特開平11−66637号公報
【特許文献3】特開2001−298437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、欧州の第2世代のケーブルデジタル放送の規格としてDVB-C2がある。Receiver Tuning Window内にBroadband Notchを含むData Sliceを受信できるようにする為には、DVB-C2では、送信機を8MHz以上の帯域幅の送信信号に対応させる必要がある。
【0006】
しかし、現状、1つの送信機に8MHz以上の帯域幅の信号を送信させるのは困難である。また、8MHz以上の帯域幅の信号を送信可能な送信機を用意しようとした場合、回路規模が大きく複雑になってしまうことなどもあって非常に高価になると考えられる。
【0007】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、広帯域の信号を容易に送信することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術の一側面の送信装置は、第1の伝送制御情報を取得する第1の取得部と、他の送信装置に入力される情報と同じ情報である第2の伝送制御情報を取得する第2の取得部と、送信対象のデータの処理を、前記第1の伝送制御情報に含まれるパラメータに従って行い、処理を施した前記送信対象のデータと、前記第2の伝送制御情報とから構成されるデータを生成する生成部とを備える。
【0009】
前記生成部により生成された前記データは前記送信装置に接続された信号処理装置に供給される。前記信号処理装置には、前記生成部により生成された前記データと、前記送信装置と同じ構成を有する前記他の送信装置において生成されたデータとを統合させ、統合後のデータを出力させることができる。
【0010】
前記第2の伝送制御情報に含まれるパラメータは、前記統合後のデータに関するパラメータであるようにすることができる。
【0011】
前記第1の伝送制御情報と前記第2の伝送制御情報はDVB-C2のL1情報であり、前記生成部には、前記送信対象のデータを表すData Symbolと、前記第2の伝送制御情報を表すPreamble Symbolとから構成されるC2 Frameを生成させることができる。
【0012】
Edge Pilotを挿入するか否かを選択する選択部と、前記選択部による選択に従って、前記生成部により生成された前記C2 Frameに対するEdge Pilotの挿入を制御する挿入部とをさらに設けることができる。
【0013】
前記挿入部には、前記生成部により生成された前記C2 Frameが、周波数軸上において前記他の送信装置により生成された他のC2 Frameに隣接する場合、前記C2 Frameの両端のうちの、前記他のC2 Frameに隣接する端にEdge Pilotを挿入させないようにすることができる。
【0014】
前記第1の取得部には、前記第2の伝送制御情報に基づいて前記第1の伝送制御情報を生成する制御装置から前記第1の伝送制御情報を取得させ、前記第2の取得部には、前記制御装置から前記第2の伝送制御情報を取得させることができる。
【0015】
前記送信装置と前記他の送信装置には、共通のクロック信号に従って処理を行わせることができる。
【0016】
前記送信装置と前記他の送信装置には、共通の同期信号に従って前記データを生成させ、出力させることができる。
【0017】
本技術の他の側面の送信システムは、送信装置と、他の送信装置と、前記送信装置および前記他の送信装置と接続される信号処理装置とを備え、前記送信装置は、第1の伝送制御情報を取得する第1の取得部と、前記他の送信装置に入力される情報と同じ情報である第2の伝送制御情報を取得する第2の取得部と、第1の送信対象のデータの処理を、前記第1の伝送制御情報に含まれるパラメータに従って行い、処理を施した前記第1の送信対象のデータと、前記第2の伝送制御情報とから構成される第1のデータを生成する生成部とを備え、前記他の送信装置は、前記送信装置により取得される前記第1の伝送制御情報と異なる情報である他の第1の伝送制御情報を取得する第1の取得部と、前記送信装置に入力される情報と同じ情報である前記第2の伝送制御情報を取得する第2の取得部と、第2の送信対象のデータの処理を、前記他の第1の伝送制御情報に含まれるパラメータに従って行い、処理を施した前記第2の送信対象のデータと、前記第2の伝送制御情報とから構成される第2のデータを生成する生成部とを備え、前記信号処理装置は、前記送信装置により生成された前記第1のデータと前記他の送信装置により生成された前記第2のデータとを統合し、統合後のデータを出力する統合部を備える。
【0018】
本技術においては、第1の伝送制御情報が取得され、他の送信装置に入力される情報と同じ情報である第2の伝送制御情報が取得され、送信対象のデータの処理が、前記第1の伝送制御情報に含まれるパラメータに従って行われる。また、処理が施された前記送信対象のデータと、前記第2の伝送制御情報とから構成されるデータが生成される。
【発明の効果】
【0019】
本技術によれば、広帯域の信号を容易に送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】チャネルの例を示す図である。
【図2】DVB-C2の信号の例を示す図である。
【図3】Receiver Tuning Windowの設定の例を示す図である。
【図4】送信データの処理の概念を示す図である。
【図5】C2 Frameの構成を示す図である。
【図6】C2 Frameのキャリア配置を示す図である。
【図7】Edge Pilotの状態を示す図である。
【図8】L1情報に含まれるパラメータを示す図である。
【図9】送信システムの構成例を示すブロック図である。
【図10】信号の統合の概念を示す図である。
【図11】送信装置の構成例を示す図である。
【図12】Edge Pilotの挿入の例を示す図である。
【図13】Edge Pilotの挿入の他の例を示す図である。
【図14】送信装置の処理について説明するフローチャートである。
【図15】信号処理装置の処理について説明するフローチャートである。
【図16】統合後のC2 Systemの例を示す図である。
【図17】L1情報の具体例を示す図である。
【図18】送信システムの他の構成例を示すブロック図である。
【図19】送信システムのさらに他の構成例を示すブロック図である。
【図20】図19の送信装置の構成例を示す図である。
【図21】コンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<DVB-C2>
はじめに、DVB-C2について説明する。
【0022】
図2は、DVB-C2の信号の例を示す図である。図2の横軸は周波数を表す。DVB-C2の1つの信号はC2 Systemと呼ばれ、Preamble SymbolとData Symbolから構成される。規格上、1つのC2 Systemは最大3.5GHz程度の帯域幅を有する信号となる。
【0023】
Preamble Symbolは、伝送制御情報であるL1情報(L1 signalling part 2 data)の伝送に用いられるシンボルである。L1情報の詳細については後述する。Preamble Symbolを用いて、3408キャリア周期(OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)の3408のサブキャリア周期)で同じ情報が繰り返し送信される。3408キャリアは7.61MHzの周波数帯域に相当する。
【0024】
Data Symbolは番組データなどのTS(Transport Stream)等の伝送に用いられるシンボルである。Data SymbolはData Sliceと呼ばれるブロックに分割される。例えばData Slice 1(DS1)とData Slice 2(DS2)とではそれぞれ異なる番組のデータが伝送される。Data Sliceの数などの、各Data Sliceに関するパラメータがL1情報に含まれる。
【0025】
図2において黒で塗りつぶして示すように、C2 SystemにはNotchを含めることが可能とされる。Notchは、FM放送、警察用の無線放送、軍事用の無線放送などに用いられる周波数帯域であり、C2 Systemの送信には用いられない。送信機が出力する送信信号のうちのNotchの区間は無信号の区間になる。Notchには、帯域幅が48キャリア未満のNarrowband Notchと、47キャリアを超える(47キャリアを含まず)Broadband Notchとがある。Notchの数や帯域幅などの、各Notchに関するパラメータもL1情報に含まれる。
【0026】
このように、DVB-C2においては、各チャネルの間にガードバンドを設ける必要がなく、また、Notchに挟まれた比較的狭い帯域をもデータの伝送に使うことができるため、周波数帯域の有効利用が可能になっている。受信機は、図3に示すような7.61MHzの帯域幅のReceiver Tuning Windowを設定してその範囲内の信号を受信し、L1情報を復号した後、復号したL1情報に基づいて番組データを復号する。
【0027】
図4は、送信機において行われる送信データの処理の概念を示す図である。
【0028】
番組データなどの送信データの符号化はPLP(Physical Layer Pipe)単位で行われる。図4の例においては、送信機に入力されたPLPのデータ毎に、BCH符号化、LDPC符号化、IQ平面上のシンボルへのマッピングがその順に行われている。各処理によって得られた3つのPLPのシンボル全体に対して時間インタリーブが施され、続けて周波数インタリーブが施されることによって、1つのData Sliceが生成される。このように、送信機は、データの符号化処理をPLP単位で行い、インタリーブをData Slice単位で行う。
【0029】
このようにして生成された複数のData SliceからData Symbolが構成され、Preamble Symbolとともに送信される。Preamble Symbolは、L1情報に対して符号化処理などを施すことによって生成される。
【0030】
図5は、C2 Frameの構成を示す図である。C2 Frameは、少なくとも1つのPreamble Symbolと、複数のData Symbolとから構成される。図5の横軸は周波数を表し、縦軸は時間(シンボル)を表す。
【0031】
Preamble Symbolは、時間方向に見たときに1〜8シンボルの間、3408キャリア周期で繰り返し送信される。図5において同じ数字を付して示すPreamble Symbolのブロックは同じL1情報の送信に用いられているPreamble Symbolを表す。
【0032】
また、Preamble Symbolに続けて、448シンボルの間、Data Symbolが送信される。図5の例においては、Data Slice 0乃至3のデータがそれぞれ448のData Symbolを用いて送信されている。
【0033】
図6は、C2 Frameのキャリア配置を示す図である。白抜きの丸印がPreamble SymbolまたはData Symbolシンボルを表し、色や柄を付して示す丸印がPilot信号を表す。
【0034】
図6に示すように、Preamble Symbolには6キャリア周期でPreamble Pilotが挿入される。また、Data Symbolには、周期的にScattered Pilotが挿入され、定常的にContinual Pilotが挿入される。Data Symbolの両端にはEdge Pilotが挿入される。
【0035】
例えば、図2の構成を有するC2 Systemには、Data Slice 0のData Symbolの左端と、Data Slice 5のData Symbolの右端にEdge Pilotが挿入される。また、Data Slice 6のData Symbolの左端、Data Slice 7のData Symbolの右端、および、Data Slice 8のData Symbolの両端にも、それぞれEdge Pilotが挿入される。すなわち、C2 System全体で見た場合、Edge Pilotは、C2 Systemの両端(周波数が最も低いシンボルの位置と最も高いシンボルの位置)と、Notchを挟む位置に挿入される。
【0036】
従って、Pilot信号としてPreamble Symbol中のPreamble PilotとData Symbol中のEdge Pilotを示した場合、C2 SystemにNotchが含まれないときには、Edge Pilotの状態は、図7Aに示すようにC2 Systemの両端に挿入された状態になる。また、C2 SystemにNotchが含まれるときには、Edge Pilotの状態は、C2 Systemの両端と、図7Bに示すようにNotchに隣接する両端に挿入された状態になる。
【0037】
図8は、L1情報に含まれるパラメータを示す図である。主なパラメータについて説明する。
【0038】
3行目のSTART_FREQUENCYは、C2 Systemの開始位置となる周波数を表す。開始位置は0Hzを起点して絶対周波数により表される。4行目のC2_BANDWIDTHは、C2 Systemの帯域幅を表す。
【0039】
5行目のGUARD_INTERVALは、各シンボルに含まれるガードインターバルのサイズを表す。6行目のC2_FRAME_LENGTHは、C2 Frameに含まれるData Symbolの数を表す。図6の例の場合、C2_FRAME_LENGTHには448を表す値が設定される。
【0040】
8行目のNUM_DSLICEは、C2 Frameに含まれるData Sliceの数を表す。9行目のNUM_NOTCHは、C2 Frameに含まれるNotchの数を表す。10行目から45行目までの各パラメータがData Slice毎に記述される。
【0041】
11行目のDSLICE_IDは、C2 SystemにおけるData SliceのIDを表す。12行目のDSLICE_TUNE_POSは、START_FREQUENCYにより表される周波数を基準として、Data Sliceを受信するためのチューニングポイントとなる位置(中心周波数)を表す。15行目のDSLICE_TI_DEPTHは、時間インタリーブのDepthを表す。
【0042】
21行目のDSLICE_LEFT_NOTCHは、Data Sliceの左側にNotchがあるか否かを表す。22行目のDSLICE_NUM_PLPは、Data Sliceに含まれるPLPの数を表す。23行目から43行目までの各パラメータがPLP毎に記述される。
【0043】
46行目から50行目までの各パラメータがNotch毎に記述される。47行目のNOTCH_STARTは、START_FREQUENCYにより表される周波数を基準としてNotchの位置を表す。48行目のNOTCH_WIDTHは、Notchの帯域幅を表す。
【0044】
DVB-C2の詳細については「Digital Video Broadcasting (DVB); Frame structure channel coding and modulation for a second generation digital transmission system for cable systems (DVB-C2)」(DVB Document A138)に記載されている。
【0045】
[第1の実施の形態]
<送信システムの構成>
図9は、本技術の一実施形態に係る送信システムの構成例を示すブロック図である。
【0046】
図9の送信システムは、送信装置1A乃至1C、および信号処理装置2から構成される。送信装置1A乃至1Cは、8MHzなどの所定の帯域幅を有するC2 Frameの信号を生成して出力する装置であり、それぞれ同じ構成を有する。
【0047】
送信装置1A乃至1Cには、それぞれ、番組データなどの送信対象となるデータが入力されるとともに、C2 Frameの信号の生成に用いられるL1情報が入力される。
【0048】
送信装置1Aには、送信装置1Aに割り当てられたデータを伝送するためのC2 Frameの信号の生成に用いられる信号生成用のL1情報が入力される。また、送信装置1Bには、送信装置1Bに割り当てられたデータを伝送するためのC2 Frameの信号の生成に用いられる信号生成用のL1情報が入力される。送信装置1Cには、送信装置1Cに割り当てられたデータを伝送するためのC2 Frameの信号の生成に用いられる信号生成用のL1情報が入力される。
【0049】
送信装置1A乃至1Cに入力される信号生成用のL1情報は、それぞれの装置が送信するデータやそれぞれの装置がデータの送信に用いる周波数帯域などに応じて、少なくとも一部のパラメータの値が異なる情報である。
【0050】
また、送信装置1A乃至1Cには、信号生成用のL1情報とは別に、送信対象のデータとともにC2 Frameの信号によって送信するための送信用のL1情報が入力される。送信装置1Aに入力された送信用のL1情報と、送信装置1Bに入力された送信用のL1情報と、送信装置1Cに入力された送信用のL1情報は、同じ情報である。
【0051】
送信装置1Aは、送信対象として入力されたデータに対して信号生成用のL1情報に基づいて処理を施し、送信対象のデータを表すData Symbolを生成する。また、送信装置1Aは、入力された送信用のL1情報を表すPreamble Symbolを生成する。送信装置1Aは、生成した送信対象のデータを表すData Symbolと送信用のL1情報を表すPreamble Symbolとを合わせてC2 Frameを生成し、C2 Frameの信号を信号処理装置2に出力する。
【0052】
同様に、送信装置1Bは、送信対象として入力されたデータに対して信号生成用のL1情報に基づいて処理を施し、送信対象のデータを表すData Symbolを生成する。また、送信装置1Bは、入力された送信用のL1情報を表すPreamble Symbolを生成する。送信装置1Bは、生成した送信対象のデータを表すData Symbolと送信用のL1情報を表すPreamble Symbolとを合わせてC2 Frameを生成し、C2 Frameの信号を信号処理装置2に出力する。
【0053】
送信装置1Cは、送信対象として入力されたデータに対して信号生成用のL1情報に基づいて処理を施し、送信対象のデータを表すData Symbolを生成する。また、送信装置1Cは、入力された送信用のL1情報を表すPreamble Symbolを生成する。送信装置1Cは、生成した送信対象のデータを表すData Symbolと送信用のL1情報を表すPreamble Symbolとを合わせてC2 Frameを生成し、C2 Frameの信号を信号処理装置2に出力する。
【0054】
信号処理装置2は、送信装置1A乃至1Cから供給されたC2 Frameの信号を周波数を基準として並べることによって1つのC2 Systemの信号に統合し、出力する。信号処理装置2から出力された信号は、ケーブル回線を介して受信側の装置に送信される。
【0055】
図10は、信号の統合の概念を示す図である。
【0056】
図10の左側に示す周波数f0〜f1の帯域の信号S1は、送信装置1Aにより生成されたC2 Frameの信号である。信号S1はData Slice 1〜4のData Symbolと送信用のL1情報を表すPreamble Symbol(L1 block)から構成される。例えば周波数f0〜f1の帯域幅は7.61MHzである。
【0057】
このような狭帯域の信号が送信装置1Bと送信装置1Cにおいても生成され、白抜き矢印の先に示すように信号処理装置2により統合される。
【0058】
図10の例においては、周波数f2〜f3の帯域の信号S2は、送信装置1Bにより生成されたC2 Frameの信号である。信号S2はData Slice 11〜14のData Symbolと送信用のL1情報を表すPreamble Symbolから構成される。周波数f2〜f3の帯域幅も7.61MHzである。
【0059】
周波数f4〜f6の帯域の信号S3は、送信装置1Cにより生成されたC2 Frameの信号である。周波数f4〜f6のうちの周波数f4〜f5の帯域にはNotchが含まれている。信号S3はData Slice 21のData Symbolと送信用のL1情報を表すPreamble Symbolから構成される。周波数f4〜f6の帯域幅も7.61MHzである。
【0060】
信号処理装置2は、信号S1〜S3を周波数を基準として並べることによって、1つの広帯域のC2 Systemの信号を生成する。信号処理装置2により生成された統合後のC2 Systemの信号は、1つの送信装置が単独で出力可能な7.61MHz以上の帯域幅を有する信号になる。
【0061】
信号S1の終端の周波数である周波数f1と、信号S2の先端の周波数である周波数f2の間の帯域にはNotch#1が形成される。また、信号S2の終端の周波数である周波数f3と、信号S3のうちのData Slice 21の先端の周波数である周波数f5の間の帯域にはNotch#2が形成される。
【0062】
信号S1乃至S3のそれぞれに共通して含まれる送信用のL1情報には、Data Slice 1〜4,11〜14,21のそれぞれのData Sliceに関するパラメータと、Notch#1,#2に関するパラメータが含まれる。すなわち、統合後のC2 System全体に関するパラメータが、送信用のL1情報として送信装置1A乃至1Cにそれぞれ入力されることになる。
【0063】
これにより、1つの送信装置によって対応可能な帯域幅を超える広帯域の信号を容易に生成することが可能になる。また、広帯域の信号を生成可能な1つの送信装置を用意する場合に較べて、コストを抑えることが可能になる。上述したように、広帯域の信号を生成可能な1つの送信装置を用意するとした場合、回路規模が大きく複雑になってしまうことなどからコストが高くなってしまうが、そのようなことを防ぐことができる。
【0064】
さらに、統合後の信号に含まれるL1情報は統合後のC2 System全体に関するパラメータを含む情報であるから、受信側の装置は、所定の区間に含まれるL1情報を復号することによって、統合後の信号に含まれる所定のデータを取得することが可能になる。
【0065】
後述するように、送信装置1A乃至1CにおいてはIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)等の信号処理が行われる。広帯域の信号を1つの送信装置において生成するとした場合、帯域内にBroadband Notchが含まれ、その幅が大きいときには無信号区間を含めて信号処理を行うことになり無駄が多くなってしまうが、そのようなことを防ぐこともできる。
【0066】
<送信装置の構成>
図11は、送信装置1Aの構成例を示す図である。図11に示す信号処理部11が、送信装置1Bと送信装置1Cにも設けられる。
【0067】
送信対象のデータであるそれぞれのData Sliceを構成するPLPのデータがData Slice生成部21−1乃至21−nに入力される。Data Slice 1を構成するPLPのデータはData Slice生成部21−1に入力され、Data Slice nを構成するPLPのデータはData Slice生成部21−nに入力される。例えば、信号生成用のL1情報に含まれるNUM_DSLICE(図8の8行目)によってnの値が制御される。
【0068】
また、入力端子31Aに入力された信号生成用のL1情報と、入力端子31Bに入力された送信用のL1情報がL1情報選択部32に入力される。例えば、入力端子31Aと入力端子31Bにはケーブルを介してコンピュータが接続される。図9の送信システムの管理者がコンピュータを操作することによって入力した信号生成用のL1情報と送信用のL1情報が、コンピュータから信号処理部11の入力端子31Aと入力端子31Bに供給される。以下、適宜、信号生成用のL1情報を単に信号生成用L1情報といい、送信用のL1情報を単に送信用L1情報という。
【0069】
送信装置1Aの筐体の所定の位置には、複数の送信装置の出力を合わせて広帯域の信号を生成するモードである広帯域送信モードのオン/オフを切り替えるときに操作されるスイッチが設けられる。送信システムの管理者がスイッチを操作したとき、広帯域送信モードのオン/オフを表す信号がL1情報選択部32、左端EP付加選択部39、および右端EP付加選択部40に供給される。
【0070】
Data Slice生成部21−1は、L1情報選択部32から供給された信号生成用L1情報に含まれるパラメータに従って処理を行い、Data Slice 1を生成する。Data Slice生成部21−1は、Data Slice 1のデータをインタリーブ部22−1に出力する。
【0071】
Data Slice生成部21−1は、入力部51−1乃至51−m、誤り訂正符号化部52−1乃至52−m、マッピング部53−1乃至53−m、およびData Sliceビルダ部54から構成される。例えば、信号生成用L1情報に含まれるData Slice 1についてのDSLICE_NUM_PLP(図8の22行目)によってmの値が制御される。入力部51−1、誤り訂正符号化部52−1、マッピング部53−1について説明するが、入力部51−m、誤り訂正符号化部52−m、マッピング部53−mにおいても同様の処理が行われる。
【0072】
入力部51−1は、番組データなどの、送信装置1Aに割り当てられた送信対象のデータのうちの1つのPLPのデータを取得し、誤り訂正符号化部52−1に出力する。
【0073】
誤り訂正符号化部52−1は、図4を参照して説明したようにしてデータの誤り訂正符号化を行う。誤り訂正符号化部52−1は、BCH符号化とLDPC符号化を行うことによって得られた符号化データに対してビットインタリーブなどの処理を施し、マッピング部53−1に出力する。
【0074】
マッピング部53−1は、誤り訂正符号化部52−1から供給された符号化データをIQ平面上のシンボルとしてマッピングし、Data Sliceビルダ部54に出力する。
【0075】
Data Sliceビルダ部54は、マッピング部53−1から供給された各シンボルのデータを図6を参照して説明したようにして配置し、Data Slice 1を生成する。例えば、Data Slice 1の周波数などが、L1情報選択部32により選択された信号生成用L1情報に含まれるパラメータに基づいて特定され、Data Slice 1が生成される。Data Sliceビルダ部54は、Data Slice 1のデータをインタリーブ部22−1に出力する。
【0076】
インタリーブ部22−1は、Data Slice生成部21−1から供給されたData Slice 1のData Symbolに対して、時間インタリーブと周波数インタリーブを施す。例えば、インタリーブ部22−1は、時間インタリーブを行うとき、L1情報選択部32により選択された信号生成用L1情報に含まれるData Slice 1のDSLICE_TI_DEPTH(図8の15行目)により表されるDepthに従って処理を行う。
【0077】
また、インタリーブ部22−1は、Data Slice 1にEdge Pilotを挿入する場合、Edge Pilotを避け、Data Symbolを対象としてインタリーブを行う。左端EP付加選択部39からは、送信装置1Aが出力するData Symbolの左端にEdge Pilotを挿入するか否かを表す情報が供給される。また、右端EP付加選択部40からは、送信装置1Aが出力するData Symbolの右端にEdge Pilotを挿入するか否かを表す情報が供給される。
【0078】
インタリーブ部22−1は、時間インタリーブと周波数インタリーブを施して得られたData Slice 1のデータをFrameビルダ部38に出力する。
【0079】
Data Slice生成部21−nは、入力部51−1乃至51−m’、誤り訂正符号化部52−1乃至52−m’、マッピング部53−1乃至53−m’、およびData Sliceビルダ部54から構成される。例えば、信号生成用L1情報に含まれるData Slice nについてのDSLICE_NUM_PLPによってm’の値が制御される。Data Slice生成部21−nは、Data Slice生成部21−1と同様に、入力されたデータに対して符号化処理、マッピング処理などを施すことによってData Slice nを生成し、インタリーブ部22−nに出力する。
【0080】
インタリーブ部22−nは、インタリーブ部22−1と同様に、Data Slice生成部21−nから供給されたData Slice nのData Symbolに対して、時間インタリーブと周波数インタリーブを施す。インタリーブ部22−nは、時間インタリーブを行うとき、L1情報選択部32により選択された信号生成用L1情報に含まれるData Slice nのDSLICE_TI_DEPTHにより表されるDepthに従って処理を行う。また、インタリーブ部22−nは、Data Slice nの右端にEdge Pilotを挿入する場合、Edge Pilotを避け、Data Symbolを対象としてインタリーブを行う。
【0081】
インタリーブ部22−nは、時間インタリーブと周波数インタリーブを施して得られたData Slice nのデータをFrameビルダ部38に出力する。
【0082】
L1情報選択部32は、広帯域送信モードがオンである場合、入力端子31Aに入力された信号生成用L1情報を取得し、Data Slice生成部21−1乃至21−n、インタリーブ部22−1乃至22−nに出力する。L1情報選択部32から出力された信号生成用L1情報は上述したようにして各Data Sliceの生成に用いられる。また、L1情報選択部32は、広帯域送信モードがオンである場合、入力端子31Bに入力された送信用L1情報を取得し、誤り訂正符号化部33に出力する。L1情報選択部32は、信号生成用L1情報を取得する取得部と、送信用L1情報を取得する取得部としての機能を有する。
【0083】
なお、広帯域送信モードがオフである場合、L1情報選択部32は、信号生成用L1情報をData Slice生成部21−1乃至21−n、インタリーブ部22−1乃至22−nに出力するとともに誤り訂正符号化部33にも出力する。
【0084】
誤り訂正符号化部33は、L1情報選択部32から供給された送信用L1情報の符号化を行う。誤り訂正符号化部33は、BCH符号化とLDPC符号化を行うことによって得られた符号化データに対してビットインタリーブなどの処理を施し、マッピング部34に出力する。
【0085】
マッピング部34は、誤り訂正符号化部33から供給された送信用L1情報の符号化データをIQ平面上のシンボルとしてマッピングし、時間インタリーブ部35に出力する。
【0086】
時間インタリーブ部35は、マッピング部34から供給された送信用L1情報を表すシンボルに対して時間インタリーブを施し、L1ブロックビルダ部36に出力する。
【0087】
L1ブロックビルダ部36は、時間インタリーブ部35から供給された送信用L1情報を表す各シンボルを図6を参照して説明したようにして配置し、Preamble SymbolからなるL1 blockを生成する。L1ブロックビルダ部36は、L1 blockのデータを周波数インタリーブ部37に出力する。
【0088】
周波数インタリーブ部37は、L1ブロックビルダ部36から供給されたL1 blockを構成するPreamble Symbolに対して周波数インタリーブを施し、Frameビルダ部38に出力する。
【0089】
Frameビルダ部38は、インタリーブ部22−1から供給されたData Slice 1のデータと、インタリーブ部22−nから供給されたData Slice nのデータに基づいてData Symbolを生成する。また、Frameビルダ部38は、Data Slice 1〜nのData Symbolに周波数インタリーブ部37から供給された送信用L1情報を表すPreamble Symbolを付加し、C2 Frameを生成する。Frameビルダ部38は、生成したC2 FrameのデータをIFFT・GI/パイロット挿入部41に出力する。
【0090】
左端EP付加選択部39は、送信装置1Aが出力するData Symbolの左端にEdge Pilotを挿入するか否かを選択し、挿入するか否かを表す情報を出力する。左端EP付加選択部39が出力する情報は、例えば送信装置1Aに設けられるスイッチに対する管理者の操作に応じて切り替えられる。
【0091】
右端EP付加選択部40は、送信装置1Aが出力するData Symbolの右端にEdge Pilotを挿入するか否かを選択し、挿入するか否かを表す情報を出力する。右端EP付加選択部40が出力する情報も、例えば送信装置1Aに設けられるスイッチに対する管理者の操作に応じて切り替えられる。左端EP付加選択部39と右端EP付加選択部40から出力された情報は、インタリーブ部22−1乃至22−nとIFFT・GI/パイロット挿入部41に供給される。
【0092】
IFFT・GI/パイロット挿入部41は、Frameビルダ部38から供給されたC2 Frameに対してIFFTを施し、ガードインターバル(GI)を挿入する。
【0093】
また、IFFT・GI/パイロット挿入部41は、Frameビルダ部38から供給されたC2 Frameに対してPilot信号を挿入する。すなわち、IFFT・GI/パイロット挿入部41は、図6を参照して説明したようにして、Preamble Symbolに6キャリア周期でPreamble Pilotを挿入し、Data SymbolにScattered PilotとContinual Pilotを挿入する。IFFT・GI/パイロット挿入部41は、左端EP付加選択部39と右端EP付加選択部40から供給された情報を参照して、適宜、C2 Frameを構成するData Symbolの端にEdge Pilotを挿入する。
【0094】
例えば、左端EP付加選択部39から供給された情報により、Data Symbolの左端にEdge Pilotを挿入することが表されている場合、IFFT・GI/パイロット挿入部41は、Data Symbolの左端(Data Slice 1の左端)にEdge Pilotを挿入する。一方、Data Symbolの左端にEdge Pilotを挿入しないことが表されている場合、IFFT・GI/パイロット挿入部41は、Data Symbolの左端にEdge Pilotを挿入しない。
【0095】
また、右端EP付加選択部40から供給された情報により、Data Symbolの右端にEdge Pilotを挿入することが表されている場合、IFFT・GI/パイロット挿入部41は、Data Symbolの右端(Data Slice nの右端)にEdge Pilotを挿入する。一方、Data Symbolの右端にEdge Pilotを挿入しないことが表されている場合、IFFT・GI/パイロット挿入部41は、Data Symbolの右端にEdge Pilotを挿入しない。
【0096】
このように、送信装置1Aが出力するData Symbolの端にEdge Pilotを挿入するか否かを選択することができるようにすることにより、異なる送信装置により生成されたData Symbolを周波数軸上で連続した位置に配置することが可能になる。
【0097】
図12は、送信装置1Aにより生成されたC2 Frameと送信装置1Bにより生成されたC2 Frameの統合の例を示す図である。
【0098】
図12の例においては、送信装置1Aにより生成されたC2 Frameの両端であるキャリア番号A0のData Symbolの位置とキャリア番号A3408のData Symbolの位置にそれぞれEdge Pilotが挿入されている。また、送信装置1Bにより生成されたC2 Frameの両端であるキャリア番号B0のData Symbolの位置とキャリア番号B3408のData Symbolの位置にそれぞれEdge Pilotが挿入されている。
【0099】
DVB-C2においては、帯域(C2 System)の端以外でEdge Pilotを挿入することができる位置はNotchの両端のみとされている。すなわち、この場合、送信装置1Aの出力と送信装置1Bの出力の間は、破線の円で示すようにNotchとして扱う必要があり、送信装置1Aの出力と送信装置1Bの出力を周波数上に連続して配置することができない。
【0100】
そこで、図13に示すように送信装置1Aの出力の右端と送信装置1Bの出力の左端にEdge Pilotを挿入しないことにより、送信装置1Aの出力と送信装置1Bの出力の間をNotchとして扱う必要がなくなり、それぞれの出力を周波数上に連続して配置することが可能になる。
【0101】
図13の例においては、送信装置1Aにより生成されたC2 Frameの右端であるキャリア番号A3408のData Symbolの位置にはEdge Pilotが挿入されていない(キャリア番号A3408のデータがない)。このことは、送信装置1Aの左端EP付加選択部39からIFFT・GI/パイロット挿入部41に対して、左端にEdge Pilotを挿入することを表す情報が出力され、右端EP付加選択部40からIFFT・GI/パイロット挿入部41に対して、右端にEdge Pilotを挿入しないことを表す情報が出力されることによって実現される。
【0102】
また、図13の例においては、送信装置1Bにより生成されたC2 Frameの左端であるキャリア番号B0のData Symbolの位置には、Edge Pilotの代わりに、通常のデータキャリアが挿入されている。このことは、送信装置1Bの左端EP付加選択部39からIFFT・GI/パイロット挿入部41に対して、左端にEdge Pilotを挿入しないことを表す情報が出力され、右端EP付加選択部40からIFFT・GI/パイロット挿入部41に対して、右端にEdge Pilotを挿入することを表す情報が出力されることによって実現される。
【0103】
このように、IFFT・GI/パイロット挿入部41は、Frameビルダ部38により生成されたC2 Frameが周波数軸上において他の送信装置により生成されたC2 Frameに隣接する場合、C2 Frameの両端のうちの、他の送信装置により生成されたC2 Frameに隣接する方の端に挿入しないようにして、Edge Pilotの挿入を制御する。IFFT・GI/パイロット挿入部41は、IFFT等の処理を施したC2 Frameのデータをベースバンド信号として乗算部42に出力する。
【0104】
なお、C2 Frameの一方の端だけでなく、両端にEdge Pilotを挿入しないようにすることも可能である。例えば、送信装置1Aにより生成されたC2 Frameと、送信装置1Bにより生成されたC2 Frameと、送信装置1Cにより生成されたC2 Frameとを周波数軸上にその順番で並べてC2 Systemを生成する場合を考える。送信装置1Bにより生成されたC2 Frameは、送信装置1Aと送信装置1Cにより生成された双方のC2 Frameに挟まれることになる。
【0105】
この場合、C2 Systemの両端となる送信装置1Aにより生成されたC2 Frameの左端と送信装置1Cにより生成されたC2 Frameの右端にのみEdge Pilotが挿入され、他のC2 Frameの端にはEdge Pilotが挿入されない。
【0106】
送信装置1Aにおいては、左端にEdge Pilotを挿入することを表す情報が左端EP付加選択部39から出力され、右端にEdge Pilotを挿入しないことを表す情報が右端EP付加選択部40から出力されることになる。また、送信装置1Bにおいては、左端にEdge Pilotを挿入しないことを表す情報が左端EP付加選択部39から出力され、右端にEdge Pilotを挿入しないことを表す情報が右端EP付加選択部40から出力されることになる。さらに、送信装置1Cにおいては、左端にEdge Pilotを挿入しないことを表す情報が左端EP付加選択部39から出力され、右端にEdge Pilotを挿入することを表す情報が右端EP付加選択部40から出力されることになる。
【0107】
図11の乗算部42は、IFFT・GI/パイロット挿入部41から供給されたベースバンド信号とLocal Oscillator43から供給された所定の周波数の信号とを乗算することによって周波数変換を行う。乗算部42は、周波数変換後の信号をDAC(Digital Analog Converter)44に出力する。
【0108】
DAC44は、乗算部42から供給された信号のD/A変換を行い、D/A変換によって得られたIF信号を出力端子45から出力する。出力端子45から出力されたIF信号は、送信装置1Bと送信装置1Cの出力端子45から出力されたIF信号とともに信号処理装置2に供給される。
【0109】
<送信システムの動作>
次に、図14のフローチャートを参照して、送信装置1Aの処理について説明する。ここでは、広帯域送信モードがオンであるものとする。送信装置1Bと送信装置1Cにおいても同様の処理が行われる。
【0110】
ステップS1において、L1情報選択部32は、入力端子31Aに入力された信号生成用L1情報と、入力端子31Bに入力された送信用L1情報を取得する。L1情報選択部32は、信号生成用L1情報をData Slice生成部21−1乃至21−n、インタリーブ部22−1乃至22−nに出力し、送信用L1情報を誤り訂正符号化部33に出力する。
【0111】
ステップS2において、Data Slice生成部21−1乃至21−nは、信号生成用L1情報に含まれるパラメータに従って送信対象のデータの誤り訂正符号化処理、マッピング処理などを行い、Data Slice 1乃至nを生成する。
【0112】
ステップS3において、インタリーブ部22−1乃至22−nは、それぞれ、Data Slice生成部21−1乃至21−nから供給されたData Sliceのデータに対してインタリーブ(時間インタリーブと周波数インタリーブ)を施す。インタリーブ部22−1乃至22−nは、インタリーブを施して得られたData SliceのデータをFrameビルダ部38に出力する。
【0113】
ステップS4において、誤り訂正符号化部33は送信用L1情報の誤り訂正符号化処理を行う。また、マッピング部34は、送信用L1情報の符号化データのマッピング処理を行い、時間インタリーブ部35は時間インタリーブを行う。L1ブロックビルダ部36はPreamble SymbolからなるL1 blockを生成し、周波数インタリーブ部37はPreamble Symbolの周波数インタリーブを行う。
【0114】
ステップS5において、Frameビルダ部38は、Data Slice 1〜nのData Symbolに送信用L1情報を表すPreamble Symbolを付加し、C2 Frameを生成する。
【0115】
ステップS6において、IFFT・GI/パイロット挿入部41は、C2 Frameに対してIFFTを施し、ガードインターバルとPilot信号を挿入する。Edge Pilotの挿入は、適宜、上述したようにC2 Frameの両端の少なくとも一方の端に挿入しないように制御される。
【0116】
ステップS7において、乗算部42は、IFFT・GI/パイロット挿入部41により生成されたC2 Frameの信号の周波数変換を行う。
【0117】
ステップS8において、DAC44は、周波数変換後のC2 Frameの信号のD/A変換を行う。DAC44は、D/A変換によって得られたIF信号を出力し、処理を終了させる。
【0118】
次に、図15のフローチャートを参照して、信号処理装置2の処理について説明する。
【0119】
ステップS21において、信号処理装置2は、送信装置1A乃至1Cから出力されたC2 Frameの信号を取得する。
【0120】
ステップS22において、信号処理装置2は、それぞれのC2 Frameの信号を周波数を基準として並べることによって1つのC2 Systemの信号に統合する。統合後のC2 Systemの信号は、信号処理装置2から出力され、受信側の装置に対して送信される。
【0121】
<統合の具体例>
図16は、統合後のC2 Systemの例を示す図である。ここでは、送信装置1Aと送信装置1Bの出力を統合する場合について説明する。
【0122】
送信装置1Aと送信装置1Bが出力するC2 Frameの信号の帯域幅はいずれも7.61MHzである。統合後のC2 Systemの帯域幅は15.22MHzとなる。送信装置1Aにより生成されたC2 Frameの信号の開始位置は486.2MHzであり、送信装置1Bにより生成されたC2 Frameを含む信号の開始位置は493.8MHzである。送信装置1Bにより生成された信号には、開始位置を493.8MHzとし、帯域幅が3.805MHzのNotch(Broadband Notch)が含まれる。送信装置1Aと送信装置1Bにより生成されたC2 Frameはそれぞれ1つのData Sliceから構成されるものとする。
【0123】
このようなC2 Systemを生成する場合に送信装置1Aに入力される信号生成用L1情報、送信装置1Bに入力される信号生成用L1情報、および、送信装置1Aと送信装置1Bに入力される送信用L1情報を図17に示す。
【0124】
例えば、図17の4行目に示すように、C2_BANDWIDTHは、送信装置1Aに入力される信号生成用L1情報と送信装置1Bに入力される信号生成用L1情報においては142dとなり、送信用L1情報においては284dとなる。C2_BANDWIDTHが142dであることは、送信装置1Aと送信装置1Bが出力するC2 Frameの信号の帯域幅が7.61MHz(=142*24/448us)であることを表す。C2_BANDWIDTHが284dであることは、統合後のC2 Systemの帯域幅が15.22MHz(=284*24/448us)であることを表す。
【0125】
8行目に示すように、NUM_DSLICEは、送信装置1Aに入力される信号生成用L1情報と送信装置1Bに入力される信号生成用L1情報においては1となり、送信用L1情報においては2となる。NUM_DSLICEが1であることは、送信装置1Aと送信装置1Bが出力するC2 Frameの信号に含まれるData Sliceの数が1個であることを表す。また、NUM_DSLICEが2であることは、統合後のC2 Systemに含まれるData Sliceの数が2個であることを表す。
【0126】
9行目に示すように、NUM_NOTCHは、送信装置1Aに入力される信号生成用L1情報においては0となり、送信装置1Bに入力される信号生成用L1情報においては1となる。送信用L1情報においてもNUM_NOTCHは1となる。NUM_NOTCHが0であることは、送信装置1Aが出力するC2 Frameの信号にNotchが含まれていないことを表す。また、NUM_NOTCHが1であることは、送信装置1Bが出力する信号と、統合後のC2 Systemに含まれるNotchの数が1個であることを表す。
【0127】
10行目に示すように、DSLICE_IDは、送信装置1Aに入力される信号生成用L1情報と送信装置1Bに入力される信号生成用L1情報においては0となり、送信用L1情報においては0,1となる。図17の送信用L1情報の欄において、上下に2段に分けて示すパラメータは、上段のパラメータが送信装置1Aの出力に関するものであり、下段のパラメータが送信装置1Bの出力に関するものであることを表す。
【0128】
DSLICE_IDが0,1であることは、統合後のC2 Systemにおいて、送信装置1Aから出力されたC2 Frameの信号に含まれるData SliceがID_0で識別され、送信装置1Bから出力されたC2 Frameの信号に含まれるData SliceがID_1で識別されることを表す。DSLICE_IDは1つのC2_system内でユニークである必要があるから、IDの振り直しが送信用L1情報において行われることになる。
【0129】
11行目に示すように、DSLICE_TUNE_POSは、送信装置1Aに入力される信号生成用L1情報においては71dとなり、送信装置1Bに入力される信号生成用L1情報においては213dとなる。送信用L1情報においては、DSLICE_TUNE_POSは71d,213dとなる。DSLICE_TUNE_POSが71dであることは、ID_0で識別されるData Sliceの中心周波数が490MHz(=(71*24+352E0h)/448us)であることを表す。DSLICE_TUNE_POSが213dであることは、ID_1で識別されるData Sliceの中心周波数が497.6MHz(=(213*24+352E0h)/448us)であることを表す。
【0130】
17行目に示すように、DSLICE_LEFT_NOTCHは、送信装置1Aに入力される信号生成用L1情報と送信装置1Bに入力される信号生成用L1情報においては0となり、送信用L1情報においては0,1となる。DSLICE_LEFT_NOTCHが0であることは、送信装置1Aが出力するC2 Frameの信号に含まれるData Sliceの左側と送信装置1Bが出力する信号に含まれるData Sliceの左側にNotchがないことを表す。また、DSLICE_LEFT_NOTCHが0,1であることは、統合後のC2 Systemにおいて、送信装置1Aから出力されたC2 Frameの信号に含まれるData Sliceの左側にはNotchがないが、送信装置1Bから出力されたC2 Frameの信号に含まれるData Sliceの左側にはNotchがあることを表す。
【0131】
30行目に示すように、NOTCH_STARTは、送信装置1Aに入力される信号生成用L1情報においては無効データ(-)となり、送信装置1Bに入力される信号生成用L1情報においては142dとなる。送信用L1情報においては、NOTCH_STARTは142dとなる。NOTCH_STARTが142dであることは、送信装置1Bから出力された信号に含まれるNotchの開始位置が493.8MHz(=(142*24+352E0h+1)/448us)であり、統合後のC2 Systemにおいても、Notchの開始位置が493.8MHzであることを表す。
【0132】
31行目に示すように、NOTCH_WIDTHは、送信装置1Aに入力される信号生成用L1情報においては無効データとなり、送信装置1Bに入力される信号生成用L1情報においては71dとなる。送信用L1情報においては、NOTCH_WIDTHは71dとなる。NOTCH_WIDTHが71dであることは、送信装置1Bから出力された信号に含まれるNotchの帯域幅が3.804MHz(=(71*24)/448us、EPを含む場合は3.805MHz)であり、統合後のC2 Systemにおいても、Notchの帯域幅が3.804MHzであることを表す。
【0133】
また、32行目に示すように、送信装置1Aに入力される信号生成用L1情報のReserve_3の伝送パラメータとして無効データが入力される。Reserve_3が無効データであることは、送信装置1Aから出力されるC2 Frameの信号にはNotchが含まれていないことを表す。
【0134】
図17に示すようなL1情報が入力された場合、図16に示すC2 Systemが信号処理装置2から出力される。なお、信号生成用L1情報とは別に、Data Symbolの右端にEdge Pilotを挿入せずに、左端にEdge Pilotを挿入することを指示する情報が送信装置1Aに入力され、送信装置1Aの左端EP付加選択部39、右端EP付加選択部40によりEdge Pilotの挿入が制御されるようにしてもよい。また、信号生成用L1情報とは別に、Data Symbolの右端と左端にEdge Pilotを挿入することを指示する情報が送信装置1Bに入力され、送信装置1Bの左端EP付加選択部39、右端EP付加選択部40によりEdge Pilotの挿入が制御されるようにしてもよい。
【0135】
[第2の実施の形態]
図18は、送信システムの他の構成例を示すブロック図である。図18に示す構成のうち、図9に示す構成と同じ構成には同じ符号を付してある。
【0136】
図18の送信システムの構成は、コントローラ101が追加して設けられている点で図9の構成と異なる。コントローラ101には送信用L1情報が入力される。
【0137】
コントローラ101は、入力された送信用L1情報に基づいて、送信装置1A用の信号生成用L1情報、送信装置1B用の信号生成用L1情報、および送信装置1C用の信号生成用L1情報をそれぞれ生成する。コントローラ101は、送信用L1情報を送信装置1A乃至1Cにそれぞれ出力する。また、コントローラ101は、送信装置1A用の信号生成用L1情報を送信装置1Aに出力し、送信装置1B用の信号生成用L1情報を送信装置1Bに出力し、送信装置1C用の信号生成用L1情報を送信装置1Cに出力する。
【0138】
すなわち、図18の送信システムにおいては、送信装置1A乃至1Cに対する信号生成用L1情報を管理者が直接入力するのではなく、送信用L1情報に基づいてコントローラ101が生成し、コントローラ101が入力するようになされている。例えば、図16に示すC2 Systemを生成する場合、図17の送信用L1情報に基づいて送信装置1A用の信号生成用L1情報と送信装置1B用の信号生成用L1情報がコントローラ101により生成され、送信装置1Aと送信装置1Bに入力されることになる。
【0139】
送信装置1Aは、送信対象として入力されたデータに対して、コントローラ101から供給された信号生成用L1情報に基づいて処理を施し、送信対象のデータを表すData Symbolを生成する。また、送信装置1Aは、コントローラ101から供給された送信用L1情報を表すPreamble Symbolを生成する。送信装置1Aは、生成した送信対象のデータを表すData Symbolと送信用のL1情報を表すPreamble Symbolとを合わせてC2 Frameを生成し、C2 Frameの信号を信号処理装置2に出力する。
【0140】
同様に、送信装置1Bは、送信対象として入力されたデータに対して、コントローラ101から供給された信号生成用のL1情報に基づいて処理を施し、送信対象のデータを表すData Symbolを生成する。また、送信装置1Bは、コントローラ101から供給された送信用L1情報を表すPreamble Symbolを生成する。送信装置1Bは、生成した送信対象のデータを表すData Symbolと送信用のL1情報を表すPreamble Symbolとを合わせてC2 Frameを生成し、C2 Frameの信号を信号処理装置2に出力する。
【0141】
送信装置1Cは、送信対象として入力されたデータに対して、コントローラ101から供給された信号生成用のL1情報に基づいて処理を施し、送信対象のデータを表すData Symbolを生成する。また、送信装置1Cは、コントローラ101から供給された送信用L1情報を表すPreamble Symbolを生成する。送信装置1Cは、生成した送信対象のデータを表すData Symbolと送信用のL1情報を表すPreamble Symbolとを合わせてC2 Frameを生成し、C2 Frameの信号を信号処理装置2に出力する。
【0142】
信号処理装置2は、図9の信号処理装置2と同様に、送信装置1A乃至1Cから供給されたC2 Frameの信号を周波数を基準として並べることによって1つのC2 Systemの信号に統合し、出力する。
【0143】
これにより、送信システムの管理者は、送信装置毎に信号生成用L1情報を入力する必要がなく、最終的に生成したいC2 Systemの構成を想定してL1情報(送信用L1情報)を入力するだけでその通りの信号を生成させることが可能になる。コントローラ101はコンピュータにより構成され、例えば、コンピュータに設けられる操作部が管理者により操作されることによって送信用L1情報が入力される。
【0144】
[変形例]
<第1の変形例>
図19は、送信システムのさらに他の構成例を示すブロック図である。図19に示す構成のうち、図18に示す構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0145】
図19の送信システムにおいては、送信装置1A乃至1Cが共通のクロック信号であるリファレンスクロックに従って動作し、共通の同期信号であるフレーム同期信号に従ってC2 Frameの信号を出力するようになされている。
【0146】
このように、共通のクロック信号と同期信号を用いて送信装置1A乃至1Cの同期(周波数同期と時間同期)をとることにより、受信側の装置は、異なる送信装置の出力に跨った形でReceiver Tuning Window(図3)を設定し、信号を受信することが可能になる。また、送信システム側において、図13等を参照して説明したようにしてC2 Frameの端にEdge Pilotを挿入しないようにすることが可能になる。
【0147】
図19の送信装置1Aは、マスターの送信装置として機能し、リファレンスクロックとフレーム同期信号を生成して出力する。送信装置1Aから出力されたリファレンスクロックとフレーム同期信号は送信装置1Bと送信装置1Cに入力される。また、送信装置1Aから出力されたリファレンスクロックはPLL(Phase Lock Loop)111にも入力される。
【0148】
PLL111は、送信装置1Aから供給されたリファレンスクロックに基づいて周波数f1,f2,f3のそれぞれのクロック信号を生成する。PLL111により生成された周波数f1のクロック信号はLocal Oscillator113Aに供給され、周波数f2のクロック信号はLocal Oscillator113Bに供給される。また、周波数f3のクロック信号はLocal Oscillator113Cに供給される。
【0149】
乗算部112Aは、送信装置1Aにより生成されたC2 FrameのIF信号とLocal Oscillator113Aから供給された周波数f1の信号とを乗算することによって周波数変換を行い、周波数変換後の信号を信号処理装置2に出力する。
【0150】
乗算部112Bは、送信装置1Bにより生成されたC2 FrameのIF信号とLocal Oscillator113Bから供給された周波数f2の信号とを乗算することによって周波数変換を行い、周波数変換後の信号を信号処理装置2に出力する。
【0151】
乗算部112Cは、送信装置1Cにより生成されたC2 FrameのIF信号とLocal Oscillator113Cから供給された周波数f3の信号とを乗算することによって周波数変換を行い、周波数変換後の信号を信号処理装置2に出力する。
【0152】
図20は、図19の送信装置1Aの構成例を示す図である。図20に示す構成と同じ構成が図19の送信装置1Bと送信装置1Cにも設けられる。図20に示す構成のうち、図11に示す構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0153】
図20に示す信号処理部11の構成は、フレーム同期信号生成部132が追加して設けられる点で図11の構成と異なる。また、図20の例においては、信号処理部11の外部に、クロック生成部122、クロック選択部123、およびフレーム同期信号選択部133が設けられる。管理者による操作に従って、外部クロック入力のオン/オフを表す情報がクロック選択部123に入力され、外部フレーム同期信号入力のオン/オフを表す情報がフレーム同期信号選択部133に入力される。
【0154】
外部クロック入力のオンは、外部から入力されたクロック信号に従って動作を行うときに選択される。一方、外部クロック入力のオフは、内部で生成したクロック信号に従って動作を行うとともに、そのクロック信号をリファレンスクロックとして外部に出力するときに選択される。図19の例の場合、マスターとして機能する送信装置1Aにおいては外部クロック入力がオフとされ、送信装置1Bと送信装置1Cにおいては外部クロック入力がオンとされる。
【0155】
外部フレーム同期信号入力のオンは、外部から入力されたフレーム同期信号に従ってC2 Frameの信号を出力するときに選択される。一方、外部フレーム同期信号入力のオフは、内部で生成したフレーム同期信号に従ってC2 Frameの信号を出力するとともに、そのフレーム同期信号を外部に出力するときに選択される。図19の例の場合、マスターとして機能する送信装置1Aにおいては外部フレーム同期信号入力がオフとされ、送信装置1Bと送信装置1Cにおいては外部フレーム同期信号入力がオンとされる。
【0156】
クロック生成部122は、所定の周波数のクロック信号を生成し、クロック選択部123に出力する。
【0157】
クロック選択部123は、外部クロック入力がオンである場合、外部クロック入力端子121に入力されたリファレンスクロックを選択し、出力する。クロック選択部123により選択されたリファレンスクロックは信号処理部11に供給されるとともに、リファレンスクロック出力端子124から他の送信装置(マスターとして機能していない送信装置)に供給される。信号処理部11の各部の動作のタイミングは、クロック選択部123から供給されたリファレンスクロックに従って制御される。
【0158】
また、クロック選択部123は、外部クロック入力がオフである場合、クロック生成部122により生成されたクロック信号を選択し、出力する。クロック選択部123により選択されたクロック信号は信号処理部11に供給されるとともに、リファレンスクロックとして、リファレンスクロック出力端子124から他の送信装置に供給される。信号処理部11の各部の動作のタイミングは、クロック選択部123から供給されたクロック信号に従って制御される。
【0159】
信号処理部11のフレーム同期信号生成部132は、例えばL1ブロックビルダ部36の動作を監視し、L1ブロックビルダ部36がL1 blockを出力するタイミングを検出する。フレーム同期信号生成部132は、L1ブロックビルダ部36がL1 blockを出力したタイミングを表す同期信号を生成し、フレーム同期信号としてフレーム同期信号選択部133に出力する。
【0160】
フレーム同期信号選択部133は、外部フレーム同期信号入力がオンである場合、外部フレーム同期信号入力端子131に入力されたフレーム同期信号を選択し、出力する。フレーム同期信号選択部133により選択されたフレーム同期信号はFrameビルダ部38に供給されるとともに、フレーム同期信号出力端子134から他の送信装置(マスターとして機能していない送信装置)に供給される。
【0161】
また、フレーム同期信号選択部133は、外部フレーム同期信号入力がオフである場合、フレーム同期信号生成部132により生成されたフレーム同期信号を選択し、出力する。フレーム同期信号選択部133により選択されたフレーム同期信号はFrameビルダ部38に供給されるとともに、フレーム同期信号出力端子134から他の送信装置に供給される。Frameビルダ部38がC2 Frameを出力するタイミングは、フレーム同期信号選択部133から供給されたフレーム同期信号に従って制御される。
【0162】
以上のようにして送信装置1A乃至1C間の同期をとることは、図18の送信システムだけでなく、図9の送信システムに適用することも可能である。
【0163】
<他の変形例>
以上においては、各送信装置の出力を周波数軸上に隣接するように並べることによってC2 Frameの信号の統合が行われるものとしたが、周波数間隔を離して統合するようにしてもよい。この場合、各送信装置から出力されたC2 Frameの信号の間の無信号となる区間にはNotchがあるものとして扱われ、そのNotchに関するパラメータが送信用L1情報に記述される。各送信装置の出力が重複あるいは近接する場合、相互に干渉する恐れがあるが、周波数間隔を離して統合することにより、そのような恐れをなくすことが可能になる。
【0164】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0165】
図21は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0166】
CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203は、バス204により相互に接続されている。
【0167】
バス204には、さらに、入出力インタフェース205が接続されている。入出力インタフェース205には、キーボード、マウスなどよりなる入力部206、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部207が接続される。また、入出力インタフェース205には、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部208、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部209、リムーバブルメディア211を駆動するドライブ210が接続される。
【0168】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU201が、例えば、記憶部208に記憶されているプログラムを入出力インタフェース205及びバス204を介してRAM203にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0169】
CPU201が実行するプログラムは、例えばリムーバブルメディア211に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供され、記憶部208にインストールされる。
【0170】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0171】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0172】
本技術は、以下のような構成もとることができる。
【0173】
(1)
第1の伝送制御情報を取得する第1の取得部と、
他の送信装置に入力される情報と同じ情報である第2の伝送制御情報を取得する第2の取得部と、
送信対象のデータの処理を、前記第1の伝送制御情報に含まれるパラメータに従って行い、処理を施した前記送信対象のデータと、前記第2の伝送制御情報とから構成されるデータを生成する生成部と
を備える送信装置。
【0174】
(2)
前記生成部により生成された前記データは前記送信装置に接続された信号処理装置に供給され、
前記信号処理装置は、前記生成部により生成された前記データと、前記送信装置と同じ構成を有する前記他の送信装置において生成されたデータとを統合し、統合後のデータを出力する
前記(1)に記載の送信装置。
【0175】
(3)
前記第2の伝送制御情報に含まれるパラメータは、前記統合後のデータに関するパラメータである
前記(2)に記載の送信装置。
【0176】
(4)
前記第1の伝送制御情報と前記第2の伝送制御情報はDVB-C2のL1情報であり、
前記生成部は、前記送信対象のデータを表すData Symbolと、前記第2の伝送制御情報を表すPreamble Symbolとから構成されるC2 Frameを生成する
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の送信装置。
【0177】
(5)
Edge Pilotを挿入するか否かを選択する選択部と、
前記選択部による選択に従って、前記生成部により生成された前記C2 Frameに対するEdge Pilotの挿入を制御する挿入部と
をさらに備える前記(4)に記載の送信装置。
【0178】
(6)
前記挿入部は、前記生成部により生成された前記C2 Frameが、周波数軸上において前記他の送信装置により生成された他のC2 Frameに隣接する場合、前記C2 Frameの両端のうちの、前記他のC2 Frameに隣接する端にEdge Pilotを挿入しない
前記(5)に記載の送信装置。
【0179】
(7)
前記第1の取得部は、前記第2の伝送制御情報に基づいて前記第1の伝送制御情報を生成する制御装置から前記第1の伝送制御情報を取得し、
前記第2の取得部は、前記制御装置から前記第2の伝送制御情報を取得する
前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の送信装置。
【0180】
(8)
前記送信装置と前記他の送信装置は、共通のクロック信号に従って処理を行う
前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の送信装置。
【0181】
(9)
前記送信装置と前記他の送信装置は、共通の同期信号に従って前記データを生成し、出力する
前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の送信装置。
【0182】
(10)
第1の伝送制御情報を取得し、
他の送信装置に入力される情報と同じ情報である第2の伝送制御情報を取得し、
送信対象のデータの処理を、前記第1の伝送制御情報に含まれるパラメータに従って行い、
処理を施した前記送信対象のデータと、前記第2の伝送制御情報とから構成されるデータを生成する
ステップを含む情報処理方法。
【0183】
(11)
第1の伝送制御情報を取得し、
他の送信装置に入力される情報と同じ情報である第2の伝送制御情報を取得し、
送信対象のデータの処理を、前記第1の伝送制御情報に含まれるパラメータに従って行い、
処理を施した前記送信対象のデータと、前記第2の伝送制御情報とから構成されるデータを生成する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【0184】
(12)
送信装置と、
他の送信装置と、
前記送信装置および前記他の送信装置と接続される信号処理装置と
を備え、
前記送信装置は、
第1の伝送制御情報を取得する第1の取得部と、
前記他の送信装置に入力される情報と同じ情報である第2の伝送制御情報を取得する第2の取得部と、
第1の送信対象のデータの処理を、前記第1の伝送制御情報に含まれるパラメータに従って行い、処理を施した前記第1の送信対象のデータと、前記第2の伝送制御情報とから構成される第1のデータを生成する生成部と
を備え、
前記他の送信装置は、
前記送信装置により取得される前記第1の伝送制御情報と異なる情報である他の第1の伝送制御情報を取得する第1の取得部と、
前記送信装置に入力される情報と同じ情報である前記第2の伝送制御情報を取得する第2の取得部と、
第2の送信対象のデータの処理を、前記他の第1の伝送制御情報に含まれるパラメータに従って行い、処理を施した前記第2の送信対象のデータと、前記第2の伝送制御情報とから構成される第2のデータを生成する生成部と
を備え、
前記信号処理装置は、
前記送信装置により生成された前記第1のデータと前記他の送信装置により生成された前記第2のデータとを統合し、統合後のデータを出力する統合部
を備える
送信システム。
【符号の説明】
【0185】
1A乃至1C 送信装置, 2 信号処理装置, 101 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の伝送制御情報を取得する第1の取得部と、
他の送信装置に入力される情報と同じ情報である第2の伝送制御情報を取得する第2の取得部と、
送信対象のデータの処理を、前記第1の伝送制御情報に含まれるパラメータに従って行い、処理を施した前記送信対象のデータと、前記第2の伝送制御情報とから構成されるデータを生成する生成部と
を備える送信装置。
【請求項2】
前記生成部により生成された前記データは前記送信装置に接続された信号処理装置に供給され、
前記信号処理装置は、前記生成部により生成された前記データと、前記送信装置と同じ構成を有する前記他の送信装置において生成されたデータとを統合し、統合後のデータを出力する
請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記第2の伝送制御情報に含まれるパラメータは、前記統合後のデータに関するパラメータである
請求項2に記載の送信装置。
【請求項4】
前記第1の伝送制御情報と前記第2の伝送制御情報はDVB-C2のL1情報であり、
前記生成部は、前記送信対象のデータを表すData Symbolと、前記第2の伝送制御情報を表すPreamble Symbolとから構成されるC2 Frameを生成する
請求項1に記載の送信装置。
【請求項5】
Edge Pilotを挿入するか否かを選択する選択部と、
前記選択部による選択に従って、前記生成部により生成された前記C2 Frameに対するEdge Pilotの挿入を制御する挿入部と
をさらに備える請求項4に記載の送信装置。
【請求項6】
前記挿入部は、前記生成部により生成された前記C2 Frameが、周波数軸上において前記他の送信装置により生成された他のC2 Frameに隣接する場合、前記C2 Frameの両端のうちの、前記他のC2 Frameに隣接する端にEdge Pilotを挿入しない
請求項5に記載の送信装置。
【請求項7】
前記第1の取得部は、前記第2の伝送制御情報に基づいて前記第1の伝送制御情報を生成する制御装置から前記第1の伝送制御情報を取得し、
前記第2の取得部は、前記制御装置から前記第2の伝送制御情報を取得する
請求項1に記載の送信装置。
【請求項8】
前記送信装置と前記他の送信装置は、共通のクロック信号に従って処理を行う
請求項1に記載の送信装置。
【請求項9】
前記送信装置と前記他の送信装置は、共通の同期信号に従って前記データを生成し、出力する
請求項1に記載の送信装置。
【請求項10】
第1の伝送制御情報を取得し、
他の送信装置に入力される情報と同じ情報である第2の伝送制御情報を取得し、
送信対象のデータの処理を、前記第1の伝送制御情報に含まれるパラメータに従って行い、
処理を施した前記送信対象のデータと、前記第2の伝送制御情報とから構成されるデータを生成する
ステップを含む情報処理方法。
【請求項11】
第1の伝送制御情報を取得し、
他の送信装置に入力される情報と同じ情報である第2の伝送制御情報を取得し、
送信対象のデータの処理を、前記第1の伝送制御情報に含まれるパラメータに従って行い、
処理を施した前記送信対象のデータと、前記第2の伝送制御情報とから構成されるデータを生成する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項12】
送信装置と、
他の送信装置と、
前記送信装置および前記他の送信装置と接続される信号処理装置と
を備え、
前記送信装置は、
第1の伝送制御情報を取得する第1の取得部と、
前記他の送信装置に入力される情報と同じ情報である第2の伝送制御情報を取得する第2の取得部と、
第1の送信対象のデータの処理を、前記第1の伝送制御情報に含まれるパラメータに従って行い、処理を施した前記第1の送信対象のデータと、前記第2の伝送制御情報とから構成される第1のデータを生成する生成部と
を備え、
前記他の送信装置は、
前記送信装置により取得される前記第1の伝送制御情報と異なる情報である他の第1の伝送制御情報を取得する第1の取得部と、
前記送信装置に入力される情報と同じ情報である前記第2の伝送制御情報を取得する第2の取得部と、
第2の送信対象のデータの処理を、前記他の第1の伝送制御情報に含まれるパラメータに従って行い、処理を施した前記第2の送信対象のデータと、前記第2の伝送制御情報とから構成される第2のデータを生成する生成部と
を備え、
前記信号処理装置は、
前記送信装置により生成された前記第1のデータと前記他の送信装置により生成された前記第2のデータとを統合し、統合後のデータを出力する統合部
を備える
送信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−178795(P2012−178795A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41804(P2011−41804)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】