説明

送受信監視方法および送受信監視装置

【課題】通信状態の監視を常時可能とする。
【解決手段】送信データの送信時に送信ループバック信号を送信し、前記送信ループバック信号が受信不能の場合、受信ポート122が、受信データを受信したか否かを判定し、受信データを受信している場合、送信素子111の不具合が生じていると判定する送信ループバック判定処理を行う送信ループバック処理部101を有することを特徴とする。さらに、各ポートにおける前記送信ループバック信号を、所定送信フレームおきに送信する信号選択部ををさらに有してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送受信機能の監視を行う送受信監視方法および送受信監視装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上位制御装置と下位制御装置間の情報の送信、受信を行う通信方法としては、フィールドバス、イーサネット(登録商標)などが挙げられる。これらの方法では、受信時のデータ健全性の確認のために、データ比較チェックなどを実行することが多い。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、複数の制御機器を制御する下位制御装置や、この下位制御装置を制御する上位制御装置より構成される制御システムにおいて、上位制御装置は、送受信データの特徴に応じて、第1の通信プロトコルや、第2の通信プロトコルの通信を切り替えて、通信を実行する技術が記載されている。
【0004】
また、特許文献2に記載の技術では、PHS(Personal Handy-phone System)環境下において、自己CS(Cell Station)内の送信波を、自己CS内の受信機へループバックさせ、このCS自身の伝送品質の監視を行い、自己診断を実行する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−34398号公報
【特許文献2】特開平10−23498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ポートなどの通信部を構成する素子の内、外部との電気的絶縁を目的とした絶縁素子は有寿命品であり、経年劣化による通信性能の劣化が起こりうる。また、通信素子は、外部機器とのインタフェースを司る素子であり、外部より規定外の電圧が印加されるなどした場合、破壊される可能性がある。
【0007】
通信素子などの故障が発生した場合、特許文献1に記載の技術などでは、システムの初期立ち上げ時のみループバック信号によるチェックを実施し、通常動作時は、受信チェックのみを実行している。従って、システム稼働中では、ループバック信号によるチェックは行われておらず、システム稼動中における通信素子の常時監視は行われていない。
また、特許文献2に記載の技術でも、ループバック試験(ループバックテスト)の開始を契機として、ループバックテストが行われており、システム稼動中における通信素子の常時監視は行われていない。
【0008】
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、通信状態の監視を常時可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、送信データの送信時に送信ループバック信号を送信し、前記送信ループバック信号の受信に異常を検知した場合、受信ポートが、受信データを受信したか否かを判定し、受信データを受信している場合、送信ポートにおいて不具合が生じていると判定する送信ループバック判定処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通信状態の監視を常時可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る通信制御装置の構成例を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る送信ループバック信号を送信するタイミングを示す図である。
【図3】第1実施形態に係る送信ループバック判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態に係る通信制御装置の構成例を示す図である。
【図5】第2実施形態に係る送信ループバック信号を送信するタイミングを示す図である。
【図6】第3実施形態に係る送信ループバック信号を送信するタイミングを示す図である。
【図7】第3実施形態に係る送信ループバック判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】第4実施形態に係る通信制御装置の構成例を示す図である。
【図9】第4実施形態に係る送信ループバック信号を送信するタイミングを示す図である。
【図10】第4実施形態に係る素子監視処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】第1実施形態〜第4実施形態に記載の通信制御装置の適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
《第1実施形態》
次に、図1〜図3を参照して、本発明に係る第1実施形態を説明する。
(通信制御装置の構成)
図1は、第1実施形態に係る通信制御装置の構成例を示す図である。
通信制御装置(送受信監視装置)1は、複数のポートを有しており(図1の例ではポート0〜ポート2の3つ)、それぞれのポートは送信ポート121および受信ポート122を有している。
それぞれの送信ポート121は送信素子111および絶縁素子113を有しており、それぞれの受信ポート122は受信素子112および絶縁素子113を有している。
【0014】
各ポートには、送信ループバック処理部101が接続されている。送信ループバック処理部101は、送信フレームを送信すると同時に送信ループバック信号301(図2)を送信する。また、送信ループバック信号301を基に、後記する送信ループバック判定処理を行う。
【0015】
(送信ループバック信号送信タイミング図)
図2は、第1実施形態に係る送信ループバック信号を送信するタイミングを示す図である。
図2に示すように、各ポートで、送信フレーム、送信フレーム、受信フレーム、・・・のパターンでフレームが送受信されている場合において、送信ループバック処理部101は送信フレームに対して、送信ループバック信号301を付与する。送信ループバック信号301の付与は、送信フレームの直前に送信される形式でもよいし、送信フレームの直後に送信される形式でもよい。
ここでは、送信フレーム、送信フレーム、受信フレーム、・・・の順に送受信されているものとするが、送信フレーム、受信フレームの送受信タイミングは、このパターンに限らない。
【0016】
(送信ループバック判定処理)
図3は、第1実施形態に係る送信ループバック判定処理の手順を示すフローチャートである。なお、図3の処理は、送信ループバック信号301の送信毎に行われる処理である。
まず、送信ループバック処理部101は、送信ループバック信号301のチェック(送信ループバックチェック)を行う(S101)。
ステップS101の結果、送信ループバック信号301が正常に送受信されている場合(S101→O.K.)、送信ループバック処理部101は処理を終了する。
ステップS101の結果、送信ループバック信号301が正常に送受信されていない場合(S101→N.G.)、送信素子111、受信素子112のどちらかに異常が発生していると考えられるので、送信ループバック処理部101は、受信フレームを受信しているか否かを判定する(S102)。
【0017】
ステップS102の結果、受信フレームを受信している場合(S102→Yes)、送信ループバック処理部101は、送信素子111に異常が発生している、すなわち送信ポートに不具合が発生している(送信側エラー)ものと判定し(S103)、送信側エラーの旨を上位制御装置などへ通知し(S104)、処理を終了する。
【0018】
ステップS102の結果、受信フレームを受信していない場合(S102→No)、送信ループバック処理部101は、少なくとも受信素子112に異常が発生している(少なくとも受信側エラー)ものと判定し(S105)、少なくとも受信側エラーが発生している旨を上位制御装置などへ通知し(S106)、処理を終了する。ここで、少なくとも、受信素子112に異常が発生しているということは、送信素子111にも異常が発生している(送信ポートに不具合が発生している)可能性があるということである。
【0019】
(第1実施形態のまとめ)
第1実施形態によれば、一般的にはテストモードで送信するループバック信号を、送信フレームとともに送信ループバック信号301を送信するようにしたことで、ポートにおける通信状態の監視を常時可能とすることができる。
このようにすることで、通信機能に対する信頼性、安全性が向上し、通信システム全体の信頼性が向上する。
また、図3に示す送信ループバック判定処理を行うことにより、送信素子111の異常を検知することができる。
【0020】
《第2実施形態》
次に、図4および図5を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
(通信制御装置の構成)
図4は、第2実施形態に係る通信制御装置の構成例を示す図である。
図4における通信制御装置1aが、図1に示す通信制御装置1と異なる点は、図1ではポート毎に配置されていた送信ループバック処理部101が1つの送信ループバック処理部101aとなり、さらに、各ポートと、送信ループバック処理部101aとの間に、信号選択部102が配置されていることである。
信号選択部102は、送信ループバック処理部101aが送信する送信ループバック信号301を各ポートに振り分け、さらに、各受信ポート122で受信した送信ループバック信号301を、どのポートで受信したかを示す識別子などを付して送信ループバック処理部101aへ送る。
なお、信号選択部102は、送信ループバック信号301を各ポートに振り分ける際、送信ループバック信号301を付与する送信フレームが重複しないよう制御する。
【0021】
第1実施形態に記載の技術では、通信制御装置1のポートが1つの場合は、送信ループバック処理部101は1つでよい。しかし、ポートが複数の場合、送信ループバック処理部101を、図1に示すように同数用意する必要がある。ポート数が多くなった場合、ポート数分の送信ループバック処理部101を用意しても、通信制御装置1における設置規模および論理規模に余裕がある場合は問題はない。しかし、通常、ポート数が多くなると、送信ループバック処理部101のみで多大な論理数となり、本来必要な通信チェック以外の機能がプリント基板、LSI(Large Scale Integration)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)に実装できない問題が発生するおそれがある。
このようなことに対処するため、第2実施形態では、信号選択部102を設けることで、ポートが複数存在する環境化でも送信ループバック処理部101aを1つとすることを可能とした。
【0022】
(送信ループバック信号送信タイミング図)
図5は、第2実施形態に係る送信ループバック信号を送信するタイミングを示す図である。
図5に示すように、信号選択部102は、すべての送信フレームに対し、送信ループバック信号301を付与しないように送信する。図5の例では、送信ループバック信号301が付与される送信フレームがポート間を巡回するようにしているが、これに限らず、例えば、一定数の送信フレーム毎に送信ループバック信号301を付与するようにしてもよい。
このようにすることで、送信ループバック信号301の送信回数および送信ループバック判定処理の処理回数を減らすことができ、送信ループバック処理部101aの負荷を軽減することができる。
【0023】
なお、各送信ループバック信号301に対する送信ループバック判定処理は、図3に示すフローチャートと同様の処理となるため、説明を省略するが、第2実施形態では、送信ループバック信号301が送信された場合のみ、送信ループバック処理部101aは図3に示す処理を行えばよい。
【0024】
(第2実施形態のまとめ)
送信ループバック信号301を送信する周期は、第1実施形態のように送信フレーム毎に実行することも可能であるが、すべての送信フレームで送信ループバック信号301の送信を行うと、制御対象装置への制御周期が遅延し、本来の目的である制御対象装置の適切な制御が実現できない可能性がある。そこで、第2実施形態では送信ループバック信号301を送信する周期を、制御周期よりも優先度を落とし、なおかつ通信機能の異常を取りこぼさないようにしている。
【0025】
つまり、第2実施形態によれば、通信制御装置1aに信号選択部102を設けることにより、送信ループバック信号301を分散して送信することにより、通信システムの通信性能を維持しつつ、通信部の信頼性、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0026】
《第3実施形態》
次に、図6および図7を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
(通信制御装置の構成)
第3実施形態における通信制御装置1は、図4の通信制御装置1aの構成において、送信ループバック処理部101aが、送信フレームを送信すべきタイミングで受信フレームを受信した否かを判定し、送信フレームを送信すべきタイミングで受信フレームを受信した場合は、そのポートに対して送信ループバック信号301を送信しないよう、信号選択部102へ指示する機能を有している点が異なるだけであるので、図示を省略する。
【0027】
(送信ループバック信号送信タイミング図)
図6は、第3実施形態に係る送信ループバック信号を送信するタイミングを示す図である。
第3実施形態に記載の技術は、送信フレームが送信されるべきタイミングで、受信フレームが受信された場合、送信ループバック信号301の送信を待機するものである。
図2の例では、ポート0において、受信フレームが2回続けて受信されているため、送信ループバック処理部101aは、本来送信フレームが送信されるはずの2回目の受信フレームで、送信ループバック信号301の送信を待機し(破線矢印)、次の送信フレームで送信ループバック信号301を送信している。
ここで、送信ループバック処理部101aは、送信フレーム、受信フレームの送受信タイミングを予め知っているものとする。
【0028】
(送信ループバック判定処理)
図7は、第3実施形態に係る送信ループバック判定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、送信ループバック処理部101aは、送信フレームを送信するべきタイミングで、受信フレームを受信したか否かを判定する(S201)。
ステップS201の結果、送信フレームを送信すべきタイミングで受信フレームを受信していない場合(S201→No)、送信ループバック処理部101aは、単独受信カウンタを+1し(S202)、図3で示した送信ループバック判定処理を行った後(S203)、処理を終了する。
ステップS202において、送信ループバック処理部101aが、単独受信カウンタをカウントすることにより、ステップS201の処理を、毎回行っているか否かをユーザがチェックすることができる。なお、ステップS202の処理は省略可能である。
【0029】
ステップS201の結果、送信フレームを送信すべきタイミングで受信フレームを受信した場合(S201→Yes)、送信ループバック処理部101aは、連続受信カウンタを+1する(S204)。
そして、送信ループバック処理部101aは、連続受信カウンタが所定数Nより大きいか否かを判定する(S205)。
ステップS205の結果、連続受信カウンタが所定数Nより大きい場合(S205→Yes)、送信ループバック処理部101aは、連続受信カウンタが所定数Nより大きい旨を上位制御装置などへ通知して(S206)、処理を終了する。この情報を受信した上位制御装置などは、ディスプレイなどに送信フレームを送信すべきタイミングで受信フレームが受信されていることを表示し、管理者に通知する。
ステップS205の結果、連続受信カウンタが所定数N以下の場合(S205→No)、送信ループバック処理部101aは処理を終了する。
つまり、ステップS201で、送信フレームを送信すべきタイミングで受信フレームを受信した場合、送信ループバック処理部101aは送信ループバック判定処理を行わず、待機する。
【0030】
(第3実施形態のまとめ)
第3実施形態によれば、送信フレームを送信すべきタイミングで受信フレームを受信した場合、送信ループバック信号301の送信および送信ループバック判定処理を待機することで、受信フレームの受信時に誤って送信ループバック信号301を送信してしまうことを防止することができる。
【0031】
なお、第3実施形態では、第2実施形態に基づいた形態を示しているが、これに限らず、第1実施形態に基づいた形態としてもよい。この場合、送信フレームを送信すべきタイミングで受信フレームを受信すると、送信ループバック処理部101は、自身の処理を一回待機することとなる。
【0032】
《第4実施形態》
次に、図8〜図10を参照して、本発明の第4実施形態を説明する。
(通信制御装置の構成)
図8は、第4実施形態に係る通信制御装置の構成例を示す図である。
図8に示す通信制御装置1bが、図4に示す通信制御装置1aと異なる点は、各送信素子111、受信素子112の機械的な故障を監視し、その結果を、送信ループバック処理部101bへ通知する素子監視部103を有している点である。なお、図8において、素子監視部103による信号系統を破線で示してある。
また、送信ループバック処理部101bは、素子監視部103から素子(送信素子111または受信素子112)の故障を通知されると、故障が生じているポートを、送信ループバック信号301の送信および送信ループバック判定処理の対象から除外する。
【0033】
(送信ループバック信号送信タイミング図)
図9は、第4実施形態に係る送信ループバック信号を送信するタイミングを示す図である。
図9のように、送信ループバック処理部101bは、素子監視部103によって、故障が検知されたポートに関しては送信ループバック信号301の送信および送信ループバック判定処理を行わない。図9の例では、ポート2に故障発生が検出されたので、ポート2を送信ループバック信号301の送信および送信ループバック判定処理の対象から除外し、ポート0およびポート1の間で、送信ループバック信号301の送信および送信ループバック判定処理が行われている。
【0034】
(素子監視処理)
図10は、第4実施形態に係る素子監視処理の手順を示すフローチャートである。
まず、送信ループバック処理部101bは、素子監視部103からの通知を基に、素子(送信素子111または受信素子112)が故障しているポート(故障ポート)があるか否かを判定する(S301)。
ステップS301の結果、素子が故障しているポートがある場合(S301→Yes)、送信ループバック処理部101bは、そのポート(故障ポート)を、送信ループバック信号の送信対象から除外するとともに、送信ループバック判定処理の対象から除外する(S302)。なお、ステップS302で、送信ループバック処理部101bは、故障ポートを送信ループバック判定処理の対象から除外するが、送信ループバック信号の送信対象からは除外しないようにしてもよい。
ステップS301の結果、素子が故障しているポートがない場合(S301→No)、送信ループバック処理部101bは素子監視処理を終了する。
以降、送信ループバック処理部101bは、送信ループバック判定処理の対象から除外されなかったポートについて、図3や、図7の処理を行う。
【0035】
なお、素子監視部103による素子の故障は、上位制御装置などに通知され、監視員の判断によって、素子の交換が行われる。
【0036】
(第4実施形態のまとめ)
第4実施形態によれば、素子が故障しているポートを、送信ループバック信号301の送信および送信ループバック判定処理の対象外とすることで、処理効率を向上させることができる。
【0037】
第1実施形態〜第4実施形態に係る送信ループバック処理部101,101a,101b、信号選択部102、素子監視部103は、PC(Personal Computer)などのHDD(Hard Disk Drive)に格納されているプログラムが、RAM(Ramdom Access Mmemory)などに展開され、CPU(Central Processing Unit)で実行されることによって具現化してもよい。
あるいは、送信ループバック処理部101,101a,101b、信号選択部102、素子監視部103は、NIC(Network Interface Card)などのチップに搭載されてもよい。この場合、送信ループバック処理部101,101a,101b、信号選択部102、素子監視部103は、ROMなどに格納されているプログラムが、AND回路,OR回路の論理素子や、LSI、FPGAなどで実現されるCPUによって具現化する。
【0038】
第1実施形態〜第4実施形態において、送信ループバック信号301にはCRC(Cyclic Redundancy Check)を用いることが好ましい。ループバックされた送信フレームにおけるすべての情報を確認することも可能ではあるが、その場合、チェックに膨大な時間がかかり、通信システムの通信性能が著しく低下するおそれがある。しかし、送信ループバック信号301にCRCを用いることで、容易に誤り検出を行うことができるので、送信ループバック処理部101に負荷をかけることなく、送信ループバック判定処理をおこなうことができる。従って、通信システムの通信性能を維持することが可能となる。
なお、送信ループバック信号301には、CRC以外の符号を用いることも可能である。
【0039】
(通信システム適用例)
図11は、第1実施形態〜第4実施形態に記載の通信制御装置の適用例を示す図である。
通信システムZは、上位の装置から順に上位制御装置2、通信制御装置1,1a,1b、下位制御装置3、制御対象装置4が接続されている。ここで、制御指示側を上位とし、制御対象側を下位とする。ここで、通信制御装置1,1a,1bは、上位制御装置2および下位制御装置3に接続され、制御対象装置4は、下位制御装置3に接続されている。なお、本実施形態で説明する機能は、通信制御装置1,1a,1bに搭載される機能として説明するが、上位制御装置2や、下位制御装置3に搭載してもよい。
上位制御装置2、通信制御装置1,1a,1bおよび下位制御装置3のそれぞれは、適切な制御周期で必要な情報を収集し、収集した情報から生成される指令を基に、制御対象装置4を制御する。
ここで、制御対象装置4は、具体的には、モータなどの駆動装置、バルブなどの開閉器などである。
【0040】
なお、図11では各制御装置1〜4が、1つの接続線で接続されている形式を示しているが、各制御装置1〜3の故障時における制御対象装置4の機能継続の観点から、2重あるいは3重に各制御装置1〜4を接続するなどの冗長化も可能である。なお、下位制御装置3では、制御対象装置4の出力状態により、装置の構成が複雑となる場合がある。
【0041】
上位制御装置2は、例えば、通信制御装置1,1a,1bおよび下位制御装置3を介して制御対象装置4における現在の情報を収集し、出力上昇など、制御の必要があると判断した場合、通信制御装置1,1a,1bを介して、下位制御装置3へ制御指令を送信する。
また、上位制御装置2は、例えば、通信制御装置1,1a,1b、下位制御装置3などにおける通信機能の異常を監視している。
通信制御装置1,1a,1bや、下位制御装置3などの通信機能に異常が発生した場合、通信制御装置1,1a,1bおよび下位制御装置3は、自身の状態を上位制御装置2に通知したり、自身のモニタに表示して、運転者に通知するなど、速やかな異常復帰を促すための処理を行う必要がある。
【0042】
通信制御装置1,1a,1bは、上位制御装置2からの制御指令を、下位制御装置3へ送信する。また、下位制御装置3からの制御対象装置4の情報を上位制御装置2へ伝達する。
通信の伝送方式には、電気伝送方式と光伝送方式がある。本実施形態では、主に電気伝送方式のチェック方式について記載する。また、電気伝送方式において、通信制御装置1,1a,1bは、前記した図で説明したように、複数のポートを有している。
下位制御装置3は、制御対象装置4の位置、速度、水位といった物理量を受信し、これらの物理量に関する情報を通信制御装置1,1a,1bを介して上位制御装置2へ送信する。また、通信制御装置1,1a,1bを介して、上位制御装置2から送信された制御指令を受信し、この制御指令に従って制御対象装置4を制御する。物理量には、アナログ値とデジタル値があり、下位制御装置3は、制御対象装置4によって、アナログ入力/出力、デジタル入力/出力を使い分ける必要がある。そのため、下位制御装置3は、最低、アナログ入力/出力、デジタル入力/出力の4パターンの入出力形式を使用可能であることが必須である。なお、入出力形式は、制御対象装置4の物理量に応じて、さらに細分化されることもある。
【符号の説明】
【0043】
1,1a,1b 通信制御装置(送受信監視装置)
2 上位制御装置
3 下位制御装置
4 制御対象装置
101,101a,101b 送信ループバック処理部
102 信号選択部
103 素子監視部
111 送信素子
112 受信素子
113 絶縁素子
121 送信ポート
122 受信ポート
301 送信ループバック信号
Z 通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送受信機能の監視を行う送受信監視装置による送受信監視方法であって、
前記送受信監視装置は、
送信データの送信時に送信ループバック信号を送信し、
前記送信ループバック信号の受信に異常を検知した場合、受信ポートが、受信データを受信したか否かを判定し、
受信データを受信している場合、送信ポートにおいて不具合が生じていると判定する送信ループバック判定処理を行う
ことを特徴とする送受信監視方法。
【請求項2】
前記送受信監視装置は、
各ポートにおける前記送信ループバック信号を、所定送信データおきに送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の送受信監視方法。
【請求項3】
前記送受信監視装置は、
前記送信ループバック信号を、各ポートで巡回して送信する
ことを特徴とする請求項2に記載の送受信監視方法。
【請求項4】
前記送受信監視装置は、
前記送信データを送信すべきタイミングで受信データを受信した場合、前記送信ループバック信号の送信および前記送信ループバック判定処理を、1回待機する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の送受信監視方法。
【請求項5】
前記送受信監視装置は、
前記ポートを構成する素子の故障を監視しており、
前記機器監視部によって、前記素子の故障が検知されると、
前記故障が検知された素子を有するポートを、前記送信ループバック信号の送信および前記送信ループバック判定処理の対象から除外する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の送受信監視方法。
【請求項6】
前記送信ループバック信号は、CRCである
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の送受信監視方法。
【請求項7】
送受信機能の監視を行う送受信監視装置であって、
送信データの送信時に送信ループバック信号を送信し、
前記送信ループバック信号の受信に異常を検知した場合、受信ポートが、受信データを受信したか否かを判定し、受信データを受信している場合、送信ポートにおいて不具合が生じていると判定する送信ループバック判定処理を行う送信ループバック処理部を
有することを特徴とする送受信監視装置。
【請求項8】
各ポートにおける前記送信ループバック信号を、所定送信データおきに送信する信号選択部を
をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の送受信監視装置。
【請求項9】
前記信号選択部は、
前記送信ループバック信号を、各ポートで巡回して送信する
ことを特徴とする請求項8に記載の送受信監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−227837(P2012−227837A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95394(P2011−95394)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】