説明

送風によるソリッドマイクロ構造体の製造方法及びこれから製造されたソリッドマイクロ構造体

本発明は、(a)基板上に粘性組成物を用意する段階;(b)リフティング支持体の接触突起を前記粘性組成物に接触させる段階;(c)前記粘性組成物に送風して粘性組成物を凝縮及び凝固させる段階;(d)前記段階(c)の結果物を切断してマイクロ構造体を形成させる段階を含むソリッドマイクロ構造体の製造方法、及び、これにより製造されたソリッドマイクロ構造体に関する。本発明によれば、マイクロ単位の直径、十分な有効長及び硬度を持つ上で、熱に敏感な薬物を変性または非活性なしに容易に内包できるソリッドマイクロ構造体を製造でき、簡単かつ迅速に、さらに低コストで所望の特性(例えば、有効長、上端部直径及び硬度)を持つソリッドマイクロ構造体を製造できる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風によるソリッドマイクロ構造体の製造方法及びこれから製造されたソリッドマイクロ構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
疾病の治療のための数多くの薬物及び治療剤などが開発されたが、薬物の身体内への伝達に当たって、生物学的障壁(例えば、皮膚、口腔粘膜及び脳−血管障壁など)の通過問題及び薬物伝達の効率問題は依然として改善されるべき点として残っている。
【0003】
薬物は一般的に錠剤剤形またはカプセル剤形に経口投与されるが、数多くの薬物が胃腸管で消化または吸収されるか、または肝の機転によって消失されるなどの理由で、前記のような投与方法だけでは有効に伝えられない。さらに、いくつかの薬物は腸の粘膜を通過して有効に拡散され得ない。また患者の順応度も問題になる(例えば、特定間隔で薬物を服用せねばならないか、または薬を服用できない重患者の場合など)。
【0004】
薬物伝達においてさらに他の一般的な技術は、従来の注射針(ニードル)を利用することである。この方法は経口投与に比べて効果的である一方、注射部位における痛み随伴及び皮膚の局部的損傷、出血及び注射部位での疾病感染などを引き起こすという問題点がある。
【0005】
前記のような問題点を解決するために、マイクロニードルを含む色々なマイクロ構造体が開発された。
【0006】
現在まで開発されたマイクロニードルは、主に生体内の薬物伝達、採血、体内分析物質の検出などに使われてきた。
【0007】
マイクロニードルは、既存のニードルと異なって無痛症の皮膚貫通と無外傷とを特徴とし、無痛症の皮膚貫通は、最小の針先鋭性のための上端部(トップ)の直径が重要である。また、マイクロニードルは、皮膚中で最も強力な障害物である10〜20μmの角質層を貫通せねばならないので、十分な物理的硬度を持つことが要求される。また、毛細血管まで到達することによって薬物伝達の効率性を高めるための適正長さも考慮されねばならない。
【0008】
従来に面内(In−plane)タイプのマイクロニードル(“Silicon−processed Microneedles”,Journal of microelectrochemical systems 8,1999)が提案された後、多様な類型のマイクロニードルが開発された。エッチング方法を利用した面外(out of plane)タイプのソリッドマイクロニードル(米国特許出願公開第2002138049号“Microneedle devices and methods of manufacture and use thereof”)の製作方法は、50〜100μm直径、500μmの長さにソリッドシリコンマイクロニードルを製作して、無痛症の皮膚貫通を実現することが不可能であり、目的部位への薬物及び美容成分の伝達が困難であった。
【0009】
一方、米国ジョージア大学のプラウスニツ(Prausnitz)は、ガラスをエッチングするか、またはフォトリソグラフィで鋳型を作って生分解性ポリマーマイクロニードルの製作方法を提案したことがある(Biodegradable polymer microneedles:Fabrication,mechanics and transdermal drug delivery,Journal of Controlled Release 104,2005,5166)。また、2006年には、フォトリソグラフィ方法を通じて製作した鋳型の端部にカプセル状に製作された物質を搭載して、生分解性ソリッドマイクロニードルを製作する方法が提案された(Polymer Microneedles for Controlled−Release Drug Delivery,Pharmaceutical Research23,2006,1008)。この方法を使用すれば、カプセル状に製作可能な薬物の搭載が自由であるという長所があるが、薬物搭載量が多くなればマイクロニードルの硬度が弱くなるので、多量の投薬が必要な薬物には適用の限界が現れた。
【0010】
2005年には、吸収型マイクロニードルがナノデバイスアンドシステムズ社により提案された(特願第2005154321号;及び“Sugar MicroNeedles as Transdermic Drug Delivery System,Biomedical Microdevices7,2005,185)。このような吸収型マイクロニードルは、皮膚内へ挿入されたマイクロニードルを除去せずに薬物伝達または美容に使用しようとするものである。この方法では、鋳型にマルトースと薬物とを混合した組成物を加え、これを凝固させてマイクロニードルを製作した。前記日本特許は、マイクロニードルを吸収型に製作して薬物の経皮吸収を提案しているが、皮膚貫通時に痛みを伴った。また鋳型製作の技術的限界によって、無痛症を伴う適切な上端部直径を持つ上で、効果的な薬物伝達に求められるレベルの長さ、すなわち、1mm以上の長さを持つマイクロニードルを製作することは不可能であった。
【0011】
最近米国ジョージア大学のプラウスニツで製作した生分解性マイクロニードルは、ポリポリジメチルシロキサン(PDMS)鋳型で、ポリビニルピロリドン(PVP)とメタクリル酸(MAA)とを混合した物質を使用して製作された(Minimally Invasive Protein Delivery with Rapidly Dissolving Polymer Microneedles,Advanced Materials 2008,1)。またカルボキシメチルセルロースをピラミッド構造の鋳型に入れてマイクロニードルを製作することもあった(Dissolving microneedles for transdermal drug delivery,Biomaterials 2007,1)。鋳型を使用した方法は、速くて簡便な製作が可能であるという長所にもかかわらず、マイクロニードルの直径及び長さを調節して製作し難いという限界を解決できない。
【0012】
皮膚は、表皮から角質層(<20μm)、外皮(<100μm)、及び真皮(300〜2,500μm)で構成されている。したがって、特定皮膚層に痛みなしに薬物と皮膚美容成分とを伝達するためには、マイクロニードルの上端部直径を30μm以内、有効長は1,000〜2,000μm、皮膚貫通のための十分な硬度を持つように製作することが、薬物と皮膚美容成分との伝達に効果的である。また、生分解性ソリッドマイクロニードルを通じて薬物または美容成分などを伝達するためには、マイクロニードル製造工程中に高熱処理、有機溶媒処理など薬物または美容成分の活性を破壊しうる工程を排除できなければならない。
【0013】
従来のソリッドマイクロニードルは、製造方法上の限界によってシリコン、ポリマー、金属、ガラスなどの素材に限定され、上端部直径が50〜100μm、長さ500μmほどに製作されて目的とする効果を達成することが容易でなかった。したがって、皮膚貫通時に無痛症を実現できるほどの細い直径と、皮膚深々と浸透できる十分な長さとを持つ上で、素材に特別な制限なしに十分な硬度を具現できるマイクロニードルの製造方法、及びこのようなマイクロニードルへの要求は持続されている。
【0014】
本明細書全体にわたって複数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体として本明細書に参照までに挿入されて、本発明が属する技術分野のレベル及び本発明の内容がさらに明確に説明される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明者らは、マイクロ単位の直径、十分な有効長及び硬度を持つ上で、熱に敏感な薬物を変性または非活性なしに容易に内包できるソリッドマイクロ構造体を開発しようと努力してきた。その結果、熱処理しなくても接触段階、リフティング段階、送風段階、凝縮及び凝固段階を含む工程で製造されたソリッドマイクロ構造体が前記の特徴を持つということを確認することで、本発明を完成することになった。
【0016】
したがって、本発明の目的は、ソリッドマイクロ構造体の製造方法を提供するところにある。
【0017】
本発明の他の目的は、ソリッドマイクロ構造体を提供するところにある。
【0018】
本発明の他の目的及び利点は、下記の発明の詳細な説明、特許請求の範囲及び図面によってさらに明確になる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一様態によれば、本発明は次の段階を含むソリッドマイクロ構造体の製造方法を提供する。
【0020】
(a)基板上に粘性組成物を用意する段階と、(b)リフティング支持体の接触突起を前記粘性組成物に接触させる段階と、(c)前記粘性組成物に送風して粘性組成物を凝縮及び凝固させる段階と、(d)前記段階(c)の結果物を切断してマイクロ構造体を形成させる段階。
【0021】
本発明の他の様態によれば、本発明は前述した本発明の方法により製造されたソリッドマイクロ構造体を提供する。
【0022】
本発明者らは、マイクロ単位の直径、十分な有効長及び硬度を持つ上で、熱に敏感な薬物を変性または非活性なしに容易に内包できるソリッドマイクロ構造体を開発しようと努力した。その結果、本発明者らは粘性物質のリフティング、送風処理及び凝縮過程を含んで前記の長所を持つソリッドマイクロ構造体の新規製造方法を開発し、これによれば、さらに簡単かつ迅速ながらもさらに低コストで所望の特性(例えば、有効長、上端部直径及び硬度)を持つソリッドマイクロ構造体を製造できるということを確認した。
【0023】
本発明の方法をそれぞれの段階によって詳細に説明すれば、次の通りである。
【0024】
段階(a):基板上への粘性組成物の用意
マイクロ構造体を製造するために本発明で利用される物質は粘性組成物である。本明細書で用語“粘性組成物”は、本発明で利用されるリフティング支持体への接触時にリフティングされてマイクロ構造体を形成できる能力を持つ組成物を意味する。
【0025】
このような粘性組成物の粘性は、組成物に含まれる物質の種類、濃度、温度または増粘剤の添加などによって多様に変化させることができ、本発明の目的に適するように調節できる。粘性組成物の粘性は、粘性物質の固有な粘性により調節でき、また粘性組成物に追加の増粘剤を使用して調節することもできる。
【0026】
例えば、当業界で通例的に利用される増粘剤、例えば、ヒアルロン酸とその塩、ポリビニルピロリドン、セルロースポリマー、デキストラン、ゼラチン、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリソルベート、プロピレングリコール、ポビドン、カルボマー、ガッチガム、グアガム、グルコマンナン、グルコサミン、ダンマルガム、レンネットカゼイン、ローカストビーンガム、微小繊維状セルロース、サイリウムシードガム、ザンタンガム、アラビノガラクタン、アラビアガム、アルギン酸、ゼラチン、ゼランガム、カラギナン、カラヤガム、カードラン、キトサン、キチン、タラガム、タマリンドガム、トラガントガム、ファーセレラン、ペクチンまたはプルランのような増粘剤をソリッドマイクロ構造体の主成分、例えば、生体適合性物質を含む組成物に添加して、粘性を本発明に好適に調節できる。望ましくは、本発明で利用される粘性組成物は、200000cSt以下の粘性を表す。
【0027】
本発明の望ましい具現例によれば、本発明で利用される粘性組成物は、生体適合性または生分解性物質を含む。本明細書で用語“生体適合性物質”は、実質的に人体に毒性がなく、化学的に不活性であり、免疫原性のない物質を意味する。本明細書で用語“生分解性物質”は、生体内で体液または微生物などにより分解されうる物質を意味する。
【0028】
望ましくは、本発明で利用される粘性組成物は、ヒアルロン酸とその塩、ポリビニルピロリドン、セルロースポリマー、デキストラン、ゼラチン、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリソルベート、プロピレングリコール、ポビドン、カルボマー、ガッチガム、グアガム、グルコマンナン、グルコサミン、ダンマルガム、レンネットカゼイン、ローカストビーンガム、微小繊維状セルロース、サイリウムシードガム、ザンタンガム、アラビノガラクタン、アラビアガム、アルギン酸、ゼラチン、ゼランガム、カラギナン、カラヤガム、カードラン、キトサン、キチン、タラガム、タマリンドガム、トラガントガム、ファーセレラン、ペクチンまたはプルランを含む。さらに望ましくは、本発明で利用される粘性組成物に含まれる粘性物質は、セルロースポリマー、さらに望ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース(望ましくは、ヒドロキシエチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロース)、エチルヒドロキシエチルセルロース、アルキルセルロース及びカルボキシメチルセルロースであり、さらに望ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースであり、最も望ましくは、カルボキシメチルセルロースである。
【0029】
選択的に、前記粘性組成物は、主成分として生体適合性及び/または生分解性物質を含むことができる。
【0030】
本発明で利用できる生体適合性及び/または生分解性物質は、例えば、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート(PHAs)、ポリ(α−ヒドロキシアシッド)、ポリ(β−ヒドロキシアシッド)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−バレレート;PHBV)、ポリ(3−ヒドロキシプロプリオネート;PHP)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート;PHH)、ポリ(4−ヒドロキシアシッド)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(4−ヒドロキシバレレート)、ポリ(4−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(エステルアミド)、ポリカプロラクトン、ポリラクタイド、ポリグリコライド、ポリ(ラクタイド−co−グリコライド;PLGA)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリアンヒドリド、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(タイロシンカーボネート)、ポリカーボネート、ポリ(タイロシンアリレート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリホスファゼン、PHA−PEG、エチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)、ポリウレタン、シリコン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレンとエチレン−アルファオレフィン共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体、アクリル重合体及び共重合体、ビニルハライド重合体及び共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルメチルエーテル、ポリハロゲン化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフルオロアルケン、ポリパーフルオロアルケン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリビニルアロマティックス、ポリスチレン、ポリビニルエステル、ポリビニルアセテート、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂とエチレン−ビニルアセテート共重合体、ポリアミド、アルキド樹脂、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリル酸−co−マレイン酸、キトサン、デキストラン、セルロース、ヘパリン、ヒアルロン酸、アルギネート、イヌリン、澱粉またはグリコゲンであり、望ましくは、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート(PHAs)、ポリ(α−ヒドロキシアシッド)、ポリ(β−ヒドロキシアシッド)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−バレレート;PHBV)、ポリ(3−ヒドロキシプロプリオネート;PHP)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート;PHH)、ポリ(4−ヒドロキシアシッド)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(4−ヒドロキシバレレート)、ポリ(4−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(エステルアミド)、ポリカプロラクトン、ポリラクタイド、ポリグリコライド、ポリ(ラクタイド−co−グリコライド;PLGA)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリアンヒドリド、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(タイロシンカーボネート)、ポリカーボネート、ポリ(タイロシンアリレート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリホスファゼン、PHA−PEG、キトサン、デキストラン、セルロース、ヘパリン、ヒアルロン酸、アルギネート、イヌリン、澱粉またはグリコゲンである。
【0031】
本発明の望ましい具現例によれば、本発明で利用される粘性組成物は、好適な溶媒に溶解されて粘性を表す。一方、粘性を表す物質中には、熱により溶融された場合に粘性を表すものもある。本発明の長所のうち一つである、非加熱工程という長所を最大化するためには、粘性組成物に利用される物質は、好適な溶媒に溶解された時に粘性を表すものである。
【0032】
粘性物質を溶解して粘性組成物を製造するのに利用される溶媒は特別に制限されず、水、炭素数1−4の無水または含水低級アルコール、アセトン、エチルアセテート、クロロホルム、1、3−ブチレングリコール、ヘキサン、ジエチルエーテルまたはブチルアセテートが溶媒として利用され、望ましくは、水または低級アルコールであり、最も望ましくは水である。
【0033】
粘性組成物を収容する基板は特別に制限されず、例えば、ポリマー、有機化学物質、金属、セラミック、半導体などの物質で製造できる。
【0034】
本発明の望ましい具現例によれば、粘性組成物は薬物をさらに含む。本発明のマイクロ構造体の主要な用途のうち一つは、マイクロニードルであり、これは経皮投与を目的とする。したがって、粘性組成物を用意する過程で生体適合性物質に薬物を混合して用意する。
【0035】
本発明で利用できる薬物は特別に制限されない。例えば、前記薬物は化学薬物、タンパク質医薬、ペプチド医薬、遺伝子治療用核酸分子及びナノ粒子などを含む。
【0036】
本発明に利用できる薬物は、例えば、抗炎症剤、鎮痛剤、抗関節炎剤、鎮痙剤、抗憂鬱剤、抗精神病薬物、神経安定剤、抗不安剤、麻薬拮抗剤、抗パーキンソン薬物、コリン性アゴニスト、抗ガン剤、抗血管新生抑制剤、免疫抑制剤、抗ウイルス剤、抗生剤、食欲抑制剤、鎮痛剤、抗コリン剤、抗ヒスタミン剤、抗偏頭痛剤、ホルモン剤、冠状血管、脳血管または末梢血管拡張剤、避姙薬、抗血栓剤、利尿剤、抗高血圧剤、心血管疾患治療剤、美容成分(例えば、シワ改善剤、皮膚老化抑制剤及び皮膚美白剤)などを含むが、これに限定されるものではない。
【0037】
本発明の望ましい具現例によれば、本発明によるマイクロ構造体の製造過程は、非加熱条件下で行われる。したがって、本発明に利用される薬物がタンパク質医薬、ペプチド医薬、遺伝子治療用核酸分子などのように熱に弱い薬物であっても、本発明によれば、前記薬物を含むマイクロ構造体の製造が可能である。
【0038】
本発明の望ましい具現例によれば、本発明の方法は熱に敏感な薬物、さらに望ましくは、タンパク質医薬、ペプチド医薬またはビタミン(望ましくは、ビタミンC)を内包するマイクロ構造体の製造に利用される。
【0039】
本発明の方法によりマイクロ構造体に内包されるタンパク質/ペプチド医薬は特別に制限されず、ホルモン、ホルモン類似体、酵素、酵素阻害剤、信号伝達タンパク質またはその一部分、抗体またはその一部分、単鎖抗体、結合タンパク質またはその結合ドメイン、抗原、付着タンパク質、構造タンパク質、調節タンパク質、毒素タンパク質、サイトカイン、転写調節因子、血液凝固因子及びワクチンなどを含むが、これに限定されるものではない。さらに詳細には、前記タンパク質/ペプチド医薬はインシュリン、IGF−1(insulin−like growth factor 1)、成長ホルモン、エリスロポエチン、G−CSFs(granulocyte−colony stimulating factors)、GM−CSFs(granulocyte/macrophage−colony stimulating factors)、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、インタールキン−1アルファ及びベータ、インタールキン−3、インタールキン−4、インタールキン−6、インタールキン−2、EGFs(epidermal growth factors)、カルシトニン、ACTH(adrenocorticotropic hormone)、TNF(tumor necrosis factor)、アトビスバン、ブセレリン、セトロレリックス、デスロレリン、デスモプレシン、ダイノルフィンA(1−13)、エルカトニン、エレイドシン、エプチフィバチド、GHRH−II(growth hormone releasing hormone−II)、ゴナドレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、リュープロレリン、リプレッシン、オクトレオチド、オキシトシン、ピトレッシン、セクレチン、シンカリド、テルリプレシン、チモペンチン、チモシンα1、トリプトレリン、ビバリルジン、カルベトシン、サイクロスポリン、エキセディン、ランレオチド、LHRH(luteinizing hormone−releasing hormone)、ナファレリン、副甲状腺ホルモン、プラムリンチド、T−20(エンフュービルタイド)、サイマルファシン及びジコノチドを含む。
【0040】
本発明の望ましい具現例によれば、粘性組成物はエネルギーをさらに含む。この場合、マイクロ構造体は熱エネルギー、光エネルギー、電気エネルギーなどのエネルギー形態を伝送または伝達するための用途で利用できる。例えば、光線力学的治療(photodynamic therapy)においてマイクロ構造体は、光が直接的に組織に作用できるようにするか、または光感応性分子のような媒介体に光が作用するように、身体内の特定部位に光を誘導するのに利用できる。
【0041】
粘性組成物を収容する基板は特別に制限されず、例えば、ポリマー、有機化学物質、金属、セラミック、半導体などの物質で製造できる。
【0042】
段階(b):粘性組成物にリフティング支持体の接触突起を接触
次いで、リフティング支持体の接触突起を前記粘性組成物に接触させる。粘性組成物の特性である粘性を利用してマイクロ構造体を製造するためには、先ずリフティング支持体を下降させて接触突起を前記粘性組成物に接触させねばならない。
【0043】
リフティング支持体の具体的な一実施形態が図1に例示されている。前記リフティング支持体には一つまたはそれ以上の接触突起が備えられており、前記接触突起に、例えば、生体適合性物質を含む粘性組成物が取り付けられる(参照:図2の(b))。本発明の望ましい具現例によれば、前記リフティング支持体において、接触突起はパターニングされたものである(参照:図1及び図2)。このようなパターニングは、本発明のマイクロ構造体をパッチに製作する場合に有利であり、それぞれのマイクロ構造体または一部のマイクロ構造体毎に多様な薬物を含むアレイ形態に製作することもできる(参照:図3)。
【0044】
本発明の望ましい具現例によれば、リフティング支持体の接触突起に粘性組成物が接触された後で送風を行い、これは、接触突起に取り付けられた粘性組成物が容易に凝縮されて、接触突起から基板までマイクロ構造体が生成されるようにする(参照:段階(c))。送風の方式は多様な方法で行われうる。最も望ましくは、リフティング支持体に形成された一つまたはそれ以上の送風口を通じて送風を行う。前記送風口を通じて粘性組成物に送風する場合、接触突起に取り付けられた粘性組成物の周辺から先ず粘性組成物の体積が低減することで、前記接触突起を基準にマイクロ構造体が形成され始まる。
【0045】
段階(c):送風を通じる粘性組成物の凝縮及び凝固
本発明の最も大きい特徴のうち一つは、粘性組成物に送風して前記粘性組成物を凝縮及び凝固させることでマイクロ構造体を製造することである。本明細書で用語“凝縮”は、流体状態の粘性物質が凝固されて行く過程において、最初の体積と比較して体積が低減することを意味する。
【0046】
一般的にマイクロ構造体を製造するためには、粘性組成物をマイクロ構造体の有効長以上にドローイングさせる。逆に本発明は、粘性組成物の凝縮性質を利用して最終的なマイクロ構造体を提供し、マイクロ構造体の完全な有効長は送風により形成される。すなわち、マイクロ構造体を形成する粘性組成物が、送風によってリフティング支持体に取り付けられた状態に凝縮及び凝固されていく過程で、接触突起に取り付けられた粘性組成物の送風露出面積が広くて、取り付けられた部分の周辺の下部にある粘性組成物より凝固が速く進められて中間構造体を形成するようになり、これにより、中間構造体の下部にある粘性組成物が中間構造体に集中して凝縮される。結果的に、有効長及び皮膚貫通可能な硬度以上のマイクロ構造体が、中間構造体を中心として形成される(参照:図2の(d)及び(e))。
【0047】
本発明の望ましい具現例によれば、前記段階(b)と(c)との間に段階(b−2)リフティング支持体をリフティングする段階をさらに含む。本発明は、リフティング支持体をリフティングしなくてもマイクロ構造体を製作できるが、リフティング支持体をリフティングしてマイクロ構造体の形状を、目的とするところによって多様に製造できる。本明細書で用語“リフティング”は、粘性組成物の粘性または付着性を利用して引き上げるという意味である。本発明のさらに望ましい具現例によれば、前記リフティングにより形成される中間構造体の長さは、最終的に製造されるマイクロ構造体の長さより短く、さらに望ましくは、最終的に製造されるマイクロ構造体の長さの1/100ないし80/100、最も望ましくは5/100ないし70/100高さを持つ。
【0048】
最終的に製造されるマイクロ構造体の長さより低い高さにリフティングするにもかかわらず、有効長のマイクロ構造体を製造できるということは、前記粘性組成物に送風する時に、粘性組成物が中間構造体を中心として凝縮及び凝固されるためである。
【0049】
リフティング速度及び時間は特別に制限されない。望ましくは、リフティング速度は1〜50μm/s、さらに望ましくは3〜30μm/sであり、リフティング時間は、望ましくは10〜600秒、さらに望ましくは20〜300秒、さらに望ましくは30〜200秒である。
【0050】
前記粘性組成物の凝縮及び凝固は送風の方式を利用し、送風は多様な方法で行われうる。本発明の望ましい具現例によれば、送風は、本発明で利用されるリフティング支持体に備えられた一つまたはそれ以上の送風口を通じて行われる。択一的に、送風はリフティング支持体を通過せず、直接的に粘性組成物に送風するか、またはリフティング支持体を通じる送風と同時に送風することで行える。リフティング支持体の送風口を通じる送風は均一な送風の側面で有利であり、また歪曲されていない形状を持つマイクロ構造体の形成に有利である。
【0051】
マイクロ構造体を製造するための送風は、多様な方式で誘導できる。前記リフティングの特性と粘性組成物の凝縮及び凝固の性質を利用することならば、送風の方式は特別に制限されない。代表的な3つの望ましい具現例を説明すれば、次の通りである。
【0052】
第1の具現例によれば、送風は、段階(b−2)のリフティングと同時に行う。リフティングが完了した後にも送風は行われ続き、最終的にマイクロ構造体を生成する。
【0053】
第2の具現例によれば、前記送風は、段階(b−2)のリフティング後に行う。
【0054】
第3の具現例によれば、前記送風は、段階(b−2)のリフティングと非連続的に交互に行う。この場合、リフティング及び送風はいろいろな段階にかけて交互に行われ、リフティング全体が完了するまで粘性組成物の粘性及び凝固速度などの特性によって多様な段階で行える。この具現例による時、リフティング支持体のリフティング全体が完了するまで、凝縮及び凝固はリフティングと交互に行われる。
【0055】
本発明の望ましい具現例によれば、送風は、前述した第1または第2の方式によって行われる。
【0056】
段階(d):切断による最終マイクロ構造体の形成
段階(c)の結果物でマイクロ構造体の有効長を含む部位を切断して、最終的にマイクロ構造体を得る。切断は多様な方法で行え、例えば、物理的な切断またはレーザーを利用した切断などにより行える。
【0057】
本発明は多様なマイクロ構造体を提供でき、望ましくは、本発明により提供されるマイクロ構造体は、マイクロニードル、マイクロブレード、マイクロナイフ、マイクロファイバ、マイクロスパイク、マイクロプローブ、マイクロバーブ、マイクロアレイまたはマイクロ電極であり、さらに望ましくは、マイクロニードル、マイクロブレード、マイクロナイフ、マイクロファイバ、マイクロスパイク、マイクロプローブまたはマイクロバーブであり、最も望ましくは、ソリッドマイクロニードルである。
【0058】
本発明の望ましい具現例によれば、本発明のマイクロ構造体は上端部(top)直径1〜500μm、さらに望ましくは2〜300μm、最も望ましくは5〜100μmであり、望ましくは有効長100〜10,000μm、さらに望ましくは200〜10,000μm、さらに望ましくは300〜8,000μm、最も望ましくは500〜2,000μmを持つ。
【0059】
本明細書で使われる用語マイクロ構造体の“上端部”は、最小直径を持つマイクロ構造体の一末端部を意味する。本明細書で使われた用語“有効長”は、マイクロ構造体の上端部から支持体表面までの垂直長を意味する。本明細書で使われた用語“ソリッドマイクロニードル”は、中孔の形成なしに一体型に製作されたマイクロニードルを意味する。
【0060】
マイクロ構造体の直径、長さ及び/または形態は、リフティング支持体接触突起の直径、送風の強度または粘性組成物の粘度を変化させて調節できる。
【発明の効果】
【0061】
本発明の特徴及び利点を要約すれば、次の通りである。
【0062】
(i)本発明は、熱処理をしなくても接触段階、送風段階、凝縮及び凝固段階を含む工程を通じてソリッドマイクロ構造体を製造する方法であり、このような戦略は従来に採択されたことがない。
【0063】
(ii)本発明によれば、マイクロ単位の直径、十分な有効長及び硬度を持つ上で、熱に敏感な薬物を変性または非活性なしに容易に内包できるソリッドマイクロ構造体を製造できる。
【0064】
(iii)本発明によれば、簡単かつ迅速に、さらに低コストで所望の特性(例えば、有効長、上端部直径及び硬度)を持つソリッドマイクロ構造体を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明のマイクロ構造体の製造に利用されるリフティング支持体の具体的な一実施形態を示す図である。
【図2】本発明のマイクロ構造体を製造する過程を概略的に示す一実施形態の図である。
【図3】本発明の方法によって基板に形成されたパターン化したマイクロ構造体を示す図である。パネルaは、マイクロ構造体の平面図あり、パネルbは、マイクロ構造体の正面図であり、パネルcは、マイクロ構造体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。これら実施例は本発明をさらに具体的に説明するためのものであり、本発明の趣旨によって本発明の範囲がこれらの実施例により制限されないということは、当業者には明らかである。
【0067】
<実施例>
マイクロ構造体を製作する粘性組成物21には、カルボキシメチルセルロース(Carboxymethylcellulose high viscosity、Sigma)を使用した。カルボキシメチルセルロース0.4mgを、20Mlの3次蒸溜水に溶かして2%(w/v)の溶液に作った。ガラス基板20に2%カルボキシメチルセルロースをコーティングした後、直径500μmの3×3の接触突起を持つリフティング支持体10を接触させた(図2の(a))。リフティング支持体の接触後、5分間送風口12を通じて風を通過させて、カルボキシメチルセルロースを弱く硬化させつつ接触突起と強く接触させた(図2の(b))。前記リフティング支持体を、11.945μm/sの速度で1分間リフティング(全体リフティングの高さ:716.7μm)して中間構造体23を形成した(図2の(c))。リフティング支持体の接触後から基板間の送風口を通じて風22を通過させ続きながら、カルボキシメチルセルロースの水分を乾燥させた(図2の(d))。水分が乾燥するにつれて、リフティング支持体から基板までカルボキシメチルセルロースが硬化されつつマイクロニードルの形態に製作された(図2の(e))。硬化が完了したソリッドマイクロニードルは、微細はさみを使用して切り出した(図2の(f))。その結果、上端部直径50μm、有効長1,200μmのマイクロニードル30を製作した(図3)。この時、接触突起の直径を変えればマイクロニードルの直径を調節できる。また送風口を通過する風の強度や、カルボキシメチルセルロースの粘度を変化させれば、形成されるソリッドマイクロニードルの形態が変わることが確認できる。低い粘度を持つカルボキシメチルセルロース(Carboxymethylcellulose low viscosity、Sigma)を使用する場合、10%(w/v)の濃度に製作して始めてマイクロニードルの形態に製作でき、さらに大きい直径を持つニードルの製作が可能であった。
【0068】
また、キトサン(Chitosan low molecular weight、Sigma)を粘性組成物21として使用してマイクロ構造体を製作した。3次蒸溜水10Mlに酢酸100μlを混合した後、キトサン0.46gを溶解して30%(w/v)キトサン粘性物を製造した。用意された基板20上に用意されたキトサン粘性物100μlを塗布した後、直径400μmの4×4接触突起を持つリフティング支持体10をキトサンに接触させた。5分間送風を通じてキトサンを弱く硬化させつつ、接触突起とキトサンとが強く接触されるように凝固させた。弱い送風を維持しつつ前記リフティング支持体を0.6mm/minの速度で30秒間リフティングさせ、速度を下げて0.2mm/minの速度で2分30秒間リフティングさせて中間構造体23を形成した(図2の((b)〜(d))。リフティング過程が終われば、15〜20分程強く送風して粘性物を硬化させてマイクロニードルの形態に製作した(図2のe)。硬化が完了したマイクロ構造体は、微細はさみを使用して切り出した(図2のf)。その結果、完成されたマイクロ構造体は上端部直径50μm、有効長800μmに製作されるということが分かった(図3)。この時、接触突起の直径とリフティング速度、時間を変えれば、マイクロニードルの直径及び長さを調節できる。
【0069】
他の粘性組成物21としてヒアルロン酸(Hyaluronic acid sodium salt、Sigma)を使用してマイクロ構造体を製作した。3次蒸溜水10Mlにヒアルロン酸(Low molecular weight、1万〜1.5万MW)0.2g及びヒアルロン酸(High moecular weight、100万〜150万MW)0.3gを溶解して、33%(w/v)ヒアルロン酸粘性物を作った。用意された基板20上に用意されたヒアルロン酸粘性物100μlを塗布した後、直径400μmの4×4接触突起を持つリフティング支持体10を粘性物に接触させた。5分間送風を通じてヒアルロン酸を弱く硬化させつつ、接触突起とヒアルロン酸とが強く接触できるように凝固させた。弱い送風を維持しつつ前記リフティング支持体を0.6mm/minの速度で30秒間リフティングさせ、速度を下げて0.2mm/minの速度で2分30秒間リフティングさせて中間構造体23を形成した(図2のb〜d)。リフティング過程が終われば、15〜20分ほど強く送風して粘性物を硬化させてマイクロニードルの形態に製作した(図2の(e))。硬化が完了したマイクロ構造体は、微細はさみを使用して切り出した(図2の(f))。その結果、完成されたマイクロ構造体は上端部直径40μm、有効長800μmに製作されるということが分かった(図3)。この時、接触突起の直径とリフティング速度、時間を変えれば、マイクロニードルの直径と長さとを調節できる。
【0070】
前記のヒアルロン酸(Hyaluronic acid sodium salt、Sigma)とカルボキシメチルセルロース(Carboxymethylcellulose low viscosity、Sigma)とを混合した粘性組成物21を使用して、マイクロ構造体を製作した。カルボキシメチルセルロース0.2gとヒアルロン酸(High moecular weight、100万〜150万MW)0.2gとを、20Mlの3次蒸溜水に溶かして粘性組成物を作った。基板20に混合された粘性組成物をコーティングした後、直径が500μmである4×4の接触突起を持つリフティング支持体10を接触させた(図2の(a))。リフティング支持体の接触後、5分間送風口12を通じて風を通過させて混合粘性組成物を弱く硬化させつつ、接触突起と強く接触するようにした(図2の(b))。前記リフティング支持体を0.6mm/minの速度で1分間リフティングさせ、速度を低めて0.1mm/minの速度で3分間リフティングさせ(全体リフティング高さ:900μm)、中間構造体23を形成した(図2の(c))。リフティング支持体の接触後から基板間の送風口を通じて風22を通過させ続けながら粘性組成物の水分を乾燥させた(図2の(d))。水分が乾燥されるにつれて、リフティング支持体から基板までカルボキシメチルセルロースとヒアルロン酸とが硬化しつつ、マイクロニードルの形態に製作された(図2の(e))。硬化が完了したソリッドマイクロニードルは微細はさみを使用して切り出した(図2の(f))。その結果、上端部直径50μm、有効長1,200μmのマイクロニードル30を製作した(図3)。この時、接触突起の直径とリフティング速度、時間を変えれば、マイクロニードルの直径と長さとを調節できる。
【0071】
接触突起の直径によるマイクロ構造体直径の変化を観察するために、直径を200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm及び500μmに調節しつつマイクロ構造体を製作した。粘性組成物には、カルボキシメチルセルロース(Carboxymethylcellulose low viscosity、Sigma)を使用し、0.3gのカルボキシメチルセルロースを30Mlの3次蒸溜水に溶かし製作した。基板20に粘性組成物をコーティングした後、前記の直径200μm〜500μmの接触突起を持つリフティング支持体10を接触させた(図2の(a))。リフティング支持体の接触後、5分間送風口12を通じて風を通過させてカルボキシメチルセルロースを弱く硬化させつつ、接触突起と強く接触するようにした(図2の(b))。前記リフティング支持体を0.6mm/minの速度で1分間リフティングさせ、速度を下げて0.1mm/minの速度で3分間リフティングさせ(全体リフティング高さ:900μm)、中間構造体23を形成した(図2の(c))。リフティング支持体の接触後から、基板間の送風口を通じて風22を通過させ続けながら、カルボキシメチルセルロースの水分を乾燥させた(図2の(d))。水分が乾燥するにつれて、リフティング支持体から基板までカルボキシメチルセルロースが硬化されつつ、マイクロニードルの形態に製作された(図2の(e))。接触突起の直径が300μmの場合、接触突起のサイズが大きくなるほどマイクロ構造体の直径も大きくなる現象が確認できた。
【0072】
以上、本発明の特定の部分を詳細に記述したが、当業者ならば、このような具体的な技術は単に望ましい具現例であるだけで、これにより本発明の範囲が制限されないということは明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は請求項とその等価物によって定義されるといえる。
【符号の説明】
【0073】
10 リフティング支持体
11 接触突起
12 送風口
20 基板
21 薬物を含む粘性組成物
22 送風
23 中間構造体
30 マイクロ構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の段階を含むソリッドマイクロ構造体の製造方法:
(a)基板上に粘性組成物を用意する段階;
(b)リフティング支持体の接触突起を前記粘性組成物に接触させる段階;
(c)前記粘性組成物に送風して粘性組成物を凝縮及び凝固させる段階;
(d)前記段階(c)の結果物を切断してマイクロ構造体を形成させる段階。
【請求項2】
前記方法は、非加熱条件下で行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記粘性組成物は、生体適合性または生分解性物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記粘性組成物は、ヒアルロン酸とその塩、ポリビニルピロリドン、セルロースポリマー、デキストラン、ゼラチン、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリソルベート、プロピレングリコール、ポビドン、カルボマー、ガッチガム、グアガム、グルコマンナン、グルコサミン、ダンマルガム、レンネットカゼイン、ローカストビーンガム、微小繊維状セルロース、サイリウムシードガム、ザンタンガム、アラビノガラクタン、アラビアガム、アルギン酸、ゼラチン、ゼランガム、カラギナン、カラヤガム、カードラン、キトサン、キチン、タラガム、タマリンドガム、トラガントガム、ファーセレラン、ペクチン及びプルランで構成された群から選択される粘性物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記セルロースポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルキルセルロース及びカルボキシメチルセルロースで構成された群から選択されることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記セルロースポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースであることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記リフティング支持体は、一つまたはそれ以上の送風口を備えることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記送風は、リフティング支持体の送風口を通じて行われることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記方法は、段階(b)及び(c)の間に段階(b−2)リフティング支持体をリフティングする段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記リフティング支持体のリフティングは、最終的に製造されるマイクロ構造体の長さの1/100ないし80/100高さにリフティングすることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記リフティング支持体のリフティングは、粘性組成物への送風と同時に行うことを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項12】
前記段階(c)の送風は、段階(b−2)のリフティングが完了した後で行うことを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項13】
前記段階(b−2)及び段階(c)は、非連続的に交互に行われることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項14】
前記マイクロ構造体は、マイクロニードル、マイクロスパイク、マイクロブレード、マイクロナイフ、マイクロファイバ、マイクロプローブ、マイクロバーブ、マイクロアレイまたはマイクロ電極であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項15】
前記マイクロ構造体は、マイクロニードルであることを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記粘性組成物は、薬物またはエネルギーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項17】
請求項1ないし16のうちいずれか一項に記載の製造方法によって製造されたソリッドマイクロ構造体。

【図1】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図2(c)】
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【図2(d)】
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【図2(e)】
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【図2(f)】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図3(c)】
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【公表番号】特表2012−504034(P2012−504034A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530002(P2011−530002)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際出願番号】PCT/KR2009/005653
【国際公開番号】WO2010/039006
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(511082908)ヌリ−エム ウェルネス カンパニー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】