説明

送風機制御装置、送風機制御方法および送風機制御プログラム

【課題】騒音をより抑制すること。
【解決手段】送風機制御装置1は、第二のテーブル17bのPQ特性の動作点(Q,P)を、第一のテーブル17aのPQ特性の動作点(Q,P)に一致させるように、第二のテーブル17bのPQ特性を変更する。この際、送風機制御装置1は、QとQとに基づいた割合で、第二のテーブル17bのPQ特性を変更する。また、送風機制御装置1は、QとQとに基づいた割合で、第二のテーブル17bの負荷騒音特性を変更する。そして、送風機制御装置1は、変更後の負荷騒音特性から、回転数の比ごとに、動作点(Q,P)に対応する負荷騒音を算出する。続いて、送風機制御装置1は、最も小さい負荷騒音に対応する回転数の比を、複数のファン3a,3bを回転させる場合の回転数の比として決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機制御装置、送風機制御方法および送風機制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーバ装置やPC(Personal Computer)等の電子機器には、プロセッサ等の発熱による機器内部の温度上昇を防ぐため、機器内部に空気を送り込んで熱を外部に放出させる送風機が搭載される場合がある。
【0003】
送風機は、翼近傍で生じる空気の渦が原因となり騒音(風切り音)を発生させる。送風機による騒音は、送風量に比例して増大するため、送風機の回転数を上げてより多くの送風量を得ようとした場合、それに伴い騒音も大きくなってしまう。具体的には、送風機による騒音は、送風機軸回転数の5〜6乗に比例することが知られている。
【0004】
近年において、電子機器は、電算機室のような特別な場所だけではなく、一般のオフィス等にも設置されるようになってきており、低騒音化の意識が高まりつつある。そのため、送風機による騒音をいかに低減するかが重要な課題の一つとなっている。
【0005】
送風機による騒音を低減する方法として、例えば、発熱体の温度や環境温度をモニタリングし、これらの温度に応じて送風機の回転数を変化させることで、送風機による騒音が必要以上に大きくならないように制御する方法が知られている。なお、送風機の回転数制御は、電圧あるいはPWM(Pulse Width Modulation)のパルス幅(PWM値)を変調することにより、送風機のモータへ供給するエネルギーをコントロールすることで行なわれる。
【0006】
一方、近年では、電子機器の小型化や薄型化に伴い、機器内部の通風路が削減される場合があり、小型の送風機しか設置できないケースが増えている。また、電子機器の高速化や高性能化に伴い、電子機器の発熱量は、年々増大する傾向にある。そこで、小型の送風機しか設置できない場合であっても、電子機器内部を十分に冷却できるように、複数の送風機を多段に重ねて用いるなどの工夫が行われている。例えば、電子機器内部を十分に冷却できるように、送風方向が同一で、回転方向が異なる2台の送風機を、送風方向に直列に設ける技術がある。
【0007】
かかる技術において、送風機により発生する騒音を抑制するために、環境温度の変化に応じて、2台の送風機の回転制御を個々に行うことが知られている。
【0008】
なお、2台の送風機を、翼の枚数、回転数、両回転翼距離に対応して、送風機による騒音を低減するように、前段と後段との送風機の位相差を制御する技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平2−238195号公報
【特許文献2】特開2000−136798号公報
【特許文献3】特開2008−25983号公報
【特許文献4】特開2010−272704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記の従来の技術では、依然として、送風機により発生する騒音を抑制することができないという問題がある。例えば、電子機器のシステムインピーダンスと、送風機の2つのファンの回転数の比ごとの送風機のPQ特性と、回転数比ごとの負荷騒音特性とにより、送風機により発生する騒音の騒音値が変動する。しかしながら、上記の技術のうち、特許文献4を除いては、このことなどを考慮せずに、送風機により発生する騒音を抑制するための回転制御を行う。また、特許文献4においては、同一の形状と回転方向で同一特性の送風機においては有効であるが、送風方向が同一で回転方向が異なるファンを送風方向に直列に設けた場合には効果が得られないことがあった。そのため、上記の従来の技術では、依然として、騒音の抑制が不十分であり、更なる騒音の抑制が望まれる。なお、PQ特性は、静圧と風量との関係を示すものである。また、負荷騒音特性は、風量と騒音値との関係を示すものである。また、システムインピーダンスは、管路抵抗とも称される。
【0011】
なお、上述した前段と後段との送風機の位相差を制御する技術では、位相差を制御する際に、騒音の周波数分析を行う。このため、電子機器内に、送風機以外の複数の騒音源、例えば、プロセッサやHDD(Hard Disk Drive)などが存在する場合には、制御対象とする送風機により発生した騒音のみを抽出して周波数分析を行うことが困難である。
【0012】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、騒音をより抑制することができる送風機制御装置、送風機制御方法および送風機制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の開示する送風機制御装置は、一つの態様において、記憶部と、第一の決定部と、第二の決定部と、第一の算出部と、第二の算出部と、変更部と、第三の算出部と、第二の決定部とを有する。記憶部は、機器内の管路抵抗と、機器内に形成された通風路に対して直列に設けられた複数の送風機の回転数の比ごとの静圧−風量特性と、複数の回転数の比ごとの風量と騒音値との特性とを記憶する。第一の決定部は、複数の送風機がそれぞれ所定の回転数で回転した場合に、所定の回転数の比に対応する静圧−風量特性に基づいて、通風路を流れる空気の第一の風量および第一の静圧を決定する。第一の算出部は、所定の回転数の比に対応する風量と騒音値との特性に基づいて、第一の決定部で決定された第一の風量に対応する第一の騒音値を算出する。第二の算出部は、複数の送風機の回転数の比のうち、所定の回転数の比以外の回転数の比の静圧−風量特性、管路抵抗を示す風量と静圧との関係、ならびに第一の風量および第一の静圧に基づいて、次のような処理を行う。すなわち、第二の算出部は、所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、所定の回転数の比以外の回転数の比で複数の送風機が回転した場合の通風路を流れる空気の第二の風量および第二の静圧を算出する。変更部は、第一の風量および第二の風量に基づいて、所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、所定の回転数の比以外の回転数の比の風量と騒音値との特性を変更する。第三の算出部は、変更部により変更された風量と騒音値との特性に基づいて、所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、第一の風量に対応する第二の騒音値を算出する。第二の決定部は、第一の騒音値および第二の騒音値のうち、最も騒音値が小さい騒音値に対応する回転数の比を、複数の送風機を回転させる場合の回転数の比として決定する。
【発明の効果】
【0014】
本願の開示する送風機制御装置、送風機制御方法および送風機制御プログラムの一つの態様によれば、騒音をより抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施例1に係る送風機制御装置の制御対象の送風機の一例を示す図である。
【図2】図2は、実施例1に係る送風機制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3A】図3Aは、第一のテーブルの一例を示す図である。
【図3B】図3Bは、図3Aの例におけるPQ特性および負荷騒音特性を示す図である。
【図4A】図4Aは、第二のテーブルの一例を示す図である。
【図4B】図4Bは、図4Aの例におけるPQ特性および負荷騒音特性を示す図である。
【図5A】図5Aは、第一のテーブルの登録内容および第二のテーブルの登録内容が示す特性の一例を示す図である。
【図5B】図5Bは、図5Aの例において、風量が0.5[m/min]である場合に、複数の比のそれぞれに対応する負荷騒音特性が示す負荷騒音の一例を示す図である。
【図6】図6は、送風機制御装置で実行される処理の一例を説明するための図である。
【図7】図7は、図6に示す動作点付近の詳細図である。
【図8】図8は、送風機制御装置で実行される処理の一例を説明するための図である。
【図9A】図9Aは、送風機制御装置で実行される処理の一例を示す図である。
【図9B】図9Bは、送風機制御装置で実行される処理の一例を示す図である。
【図9C】図9Cは、送風機制御装置で実行される処理の一例を示す図である。
【図10A】図10Aは、算出した音圧レベルと回転数の比との対応付けの一例を示す図である。
【図10B】図10Bは、算出した音圧レベルと回転数の比との対応付けの一例を示す図である。
【図10C】図10Cは、算出した音圧レベルと回転数の比との対応付けの一例を示す図である。
【図11】図11は、実施例1に係る送風機制御装置で実行される処理の一例を説明するための図である。
【図12】図12は、実施例1に係る第一の回転数比決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】図13は、実施例1に係る第二の回転数比決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】図14は、実施例1に係る回転数制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】図15は、送風機制御プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本願の開示する送風機制御装置、送風機制御方法および送風機制御プログラムの各実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例は開示の技術を限定するものではない。そして、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【実施例1】
【0017】
実施例1に係る送風機制御装置について説明する。図1は、実施例1に係る送風機制御装置の制御対象の送風機の一例を示す図である。本実施例に係る送風機制御装置1は、ラックマウント型のサーバ装置や一般のPCなどの電子機器50内に設けられた2台のファン3a,3bの回転数を制御する。先ず、本実施例にかかる送風機制御装置1が設置される電子機器50の構成において二重反転ファンを例に説明する。
【0018】
図1の例では、電子機器50は、電子機器50内に形成された通風路51に、二重反転ファン3と、プロセッサ、HDD等の発熱体52とを有する。
【0019】
図1の例では、二重反転ファン3は、ファン3a,3bからなり、それぞれは送風方向が同一で、回転方向が異なる軸流ファンである。ファン3a,3bは、通風路51に対して直列に設けられている。ファン3a,3bは、ファン3aからファン3bに向かう方向の気流を発生させることで、気流の下流側に設けられた発熱体52を空冷する。
【0020】
また、電子機器50は、通風路51外に送風機制御装置1と送風機電源部2とを備える。送風機電源部2は、各ファン3a,3bに内蔵された図示しないモータへ電力を供給する電源である。すなわち、各ファン3a,3bは、送風機電源部2から電力が供給されると、モータが回転する。また、各ファン3a,3bは、モータに取り付けられた翼がモータの回転に伴い回転することで、発熱体52へ向かう気流を発生させる。また、各ファン3a,3bが回転することで、負荷騒音を発生する。
【0021】
送風機制御装置1は、風速計10を用いて、二重反転ファン3から送風される空気の風速を検出し、検出した風速に基づいて、二重反転ファン3から送風される空気の風量を検出する。また、送風機制御装置1は、温度センサ11aを用いて、発熱体52の温度を検出する。また、送風機制御装置1は、温度センサ11bを用いて、ファン3a周辺の温度を検出する。そして、送風機制御装置1は、温度センサ11a,11bにより検出した温度に基づき、各ファン3a,3bの回転数の比が所定の許容範囲内の状態で、発熱体52の冷却のための風量が得られるように、各ファン3a,3bの回転数を制御する。
【0022】
図2は、実施例1に係る送風機制御装置の構成の一例を示すブロック図である。図2の例では、送風機制御装置1は、風速計10と、温度センサ11a,11bと、回転数検出部13a,13bと、回転数エラーチェック部14と、パルスジェネレータ15a,15bとを有する。また、送風機制御装置1は、RAM(Random Access Memory)16と、ROM(Read Only Memory)17と、プロセッサ18とを備える。
【0023】
風速計10は、二重反転ファン3から送風される空気の風速を検出可能な位置、例えば、二重反転ファン3の送風方向下流側に設けられる。風速計10は、二重反転ファン3から送風される空気の風速を検出する。温度センサ11aは、発熱体52に取り付けられている。温度センサ11aは、発熱体52の温度を検出する。また、温度センサ11bは、電子機器50の吸気口側に設けられ、電子機器50の吸気温度を検出する。
【0024】
回転数検出部13a,13bは、それぞれファン3a,3bの回転数を検出する。例えば、回転数検出部13a,13bは、パルスカウンタである。
【0025】
回転数エラーチェック部14は、回転数検出部13a,13bが検出した各ファン3a,3bの回転数に基づき、ファン3a,3bが正常に回転しているか否か等のチェックを行う。そして、回転数エラーチェック部14は、チェック結果をプロセッサ18へ通知する。
【0026】
パルスジェネレータ15a,15bは、各ファン3a,3bの回転数を制御するためのパルスを、プロセッサ18からの指示に応じたパルス幅で各ファン3a,3bに入力する。かかるパルス幅は、PWM値とも称される。具体例を挙げて説明すると、パルスジェネレータ15aは、プロセッサ18から指示されたデューティ比が示すPWM値のパルスをファン3aに入力する。また、パルスジェネレータ15bは、プロセッサ18から指示されたデューティ比が示すPWM値のパルスをファン3bに入力する。これにより、各ファン3a,3bは、パルスジェネレータ15a,15bから入力されたパルスに応じた回転数で回転する。
【0027】
ROM17は、プロセッサ18が実行するプログラムや、プロセッサ18が実行する処理に必要な各種のデータを記憶する。例えば、ROM17は、第一のテーブル17a、第二のテーブル17b、第三のテーブル17c、第四のテーブル17d、システムインピーダンス情報17e、流路面積情報17fを記憶する。
【0028】
第一のテーブル17aには、二重反転ファン3を定格運転させて、ファン3a,3bのそれぞれを定格運転時の回転数で回転させた場合の二重反転ファン3のPQ特性を示す情報が登録される。これに加えて、第一のテーブル17aには、二重反転ファン3を定格運転させて、ファン3a,3bのそれぞれを定格運転時の回転数で回転させた場合に、二重反転ファン3から送風される風量と発生される負荷騒音との関係である負荷騒音特性を示す情報が登録される。これらPQ特性を示す情報、および、負荷騒音特性を示す情報は、実測またはシミュレーションによって得ることができる。第一のテーブル17aには、実測またはシミュレーションによって得られたPQ特性を示す情報、および、負荷騒音特性を示す情報が登録される。なお、PQ特性を示す情報は、風量と静圧との組を複数含む情報である。また、負荷騒音特性を示す情報は、風量と負荷騒音との組を複数含む情報である。
【0029】
図3Aは、第一のテーブルの一例を示す図である。図3Aの例では、第一のテーブル17aに、PQ特性を示す情報として、風量Qと、静圧Pとの組が複数登録されている場合が示されている。図3Aでは、例えば、風量Qが0.19[m/min]である場合に、静圧Pが、316[Pa]であることが示されている。また、図3Aの例では、負荷騒音特性を示す情報として、風量Qと、音圧レベルLとの組が複数登録されている場合が示されている。図3Aでは、例えば、風量Qが0.19[m/min]である場合に、音圧レベルLが、56.8[dB(A)]であることが示されている。
【0030】
図3Bは、図3Aの例におけるPQ特性および負荷騒音特性を示す図である。図3Bの例では、横軸を風量とし、縦軸を静圧とした場合のPQ特性70が示されている。また、図3Bの例では、横軸を風量とし、縦軸を音圧レベルとした負荷騒音特性71が示されている。
【0031】
第二のテーブル17bには、ファン3aの回転数とファン3bの回転数との複数の比のそれぞれに対応する回転数でファン3a,3bのそれぞれを回転させた場合の二重反転ファン3のPQ特性を示す情報が、回転数比ごとに登録される。これに加えて、第二のテーブル17bには、複数の回転数比のそれぞれに対応する回転数でファン3a,3bのそれぞれを回転させた場合に、二重反転ファン3の負荷騒音特性を示す情報が、回転数比ごとに登録される。これらPQ特性を示す情報、および、負荷騒音特性を示す情報は、実測またはシミュレーションによって得ることができる。第二のテーブル17bには、実測またはシミュレーションによって得られたPQ特性を示す情報、および、負荷騒音特性を示す情報が、ファン3aの回転数とファン3bの回転数との比ごとに登録される。なお、PQ特性を示す情報は、風量と静圧との組を複数含む情報である。また、負荷騒音特性を示す情報は、風量と負荷騒音との組を複数含む情報である。
【0032】
図4Aは、第二のテーブルの一例を示す図である。図4Aの例では、第二のテーブル17bに、ファン3aの回転数Sfとファン3bの回転数Srとの比(Sr/Sf)が、例えば、70%である場合のPQ特性を示す情報として、風量Qと、静圧Pとの組が複数登録されている場合が示されている。図4Aでは、例えば、風量Qが0.19[m/min]である場合に、静圧Pが、324[Pa]であることが示されている。また、図4Aの例では、回転数比が70%である場合の負荷騒音特性を示す情報として、風量Qと、音圧レベルLとの組が複数登録されている場合が示されている。図4Aでは、例えば、風量Qが0.19[m/min]である場合に、音圧レベルLが、57.6[dB(A)]であることが示されている。
【0033】
図4Bは、図4Aの例におけるPQ特性および負荷騒音特性を示す図である。図4Bの例では、横軸を風量とし、縦軸を静圧とした場合のPQ特性72が示されている。また、図4Bの例では、横軸を風量とし、縦軸を音圧レベルとした負荷騒音特性73が示されている。
【0034】
図5Aは、第一のテーブルの登録内容および第二のテーブルの登録内容が示す特性の一例を示す図である。上述したように、第二のテーブル17bには、回転数比ごとに、PQ特性を示す情報および負荷騒音特性を示す情報が登録される。また、第一のテーブル17aには、定格運転の回転数の比での、PQ特性を示す情報および負荷騒音特性を示す情報が登録される。図5Aの例では、回転数比が、定格運転時の回転数比、例えば、66%である場合のPQ特性74aが示されている。また、図5Aの例では、回転数比が、70%である場合の二重反転ファン3のPQ特性74bが示されている。また、図5Aの例では、回転数比が、74%である場合の二重反転ファン3のPQ特性74cが示されている。また、図5Aの例では、回転数比が、78%である場合の二重反転ファン3のPQ特性74dが示されている。また、図5Aの例では、回転数比が、81%である場合の二重反転ファン3のPQ特性74eが示されている。また、図5Aの例では、回転数比が、85%である場合の二重反転ファン3のPQ特性74fが示されている。また、図5Aの例では、回転数比が、88%である場合の二重反転ファン3のPQ特性74gが示されている。図5Aの例に示すように、ファン3aの回転数Sfとファン3bの回転数Srとの複数の回転数比のそれぞれに対応するPQ特性が存在する。そのため、それぞれのPQ特性とシステムインピーダンス曲線との交点、すなわち動作点は、全てのPQ特性で同一とはならない場合がある。
【0035】
図5Bは、図5Aの例において、風量が0.5[m/min]である場合に、複数の回転数比のそれぞれに対応する負荷騒音特性が示す負荷騒音の一例を示す図である。図5Bの例では、回転数比が66%であり、かつ風量が0.5[m/min]である場合に、第一のテーブル17aの負荷騒音特性が示す音圧レベルが、53.7[dB(A)]であることを示す。また、図5Bの例では、回転数比が70%であり、かつ風量が0.5[m/min]である場合に、第二のテーブル17bの対応する負荷騒音特性が示す音圧レベルが、53.4[dB(A)]であることを示す。また、図5Bの例では、回転数比が74%であり、かつ風量が0.5[m/min]である場合に、第二のテーブル17bの対応する負荷騒音特性が示す音圧レベルが、53.4[dB(A)]であることを示す。また、図5Bの例では、回転数比が78%であり、かつ風量が0.5[m/min]である場合に、第二のテーブル17bの対応する負荷騒音特性が示す音圧レベルが、53.8[dB(A)]であることを示す。また、図5Bの例では、回転数比が81%であり、かつ風量が0.5[m/min]である場合に、第二のテーブル17bの対応する負荷騒音特性が示す音圧レベルが、53.5[dB(A)]であることを示す。また、図5Bの例では、回転数比が85%であり、かつ風量が0.5[m/min]である場合に、第二のテーブル17bの対応する負荷騒音特性が示す音圧レベルが、53.9[dB(A)]であることを示す。また、図5Bの例では、回転数比が88%であり、かつ風量が0.5[m/min]である場合に、第二のテーブル17bの対応する負荷騒音特性が示す音圧レベルが、53.5[dB(A)]であることを示す。
【0036】
ここで、PQ特性74a〜74gのそれぞれと、システムインピーダンス曲線との交点、すなわち動作点が同一であり、動作点が示す風量が0.5[m/min]、静圧が290[Pa]である場合を想定する。この場合、動作点に対応する音圧レベルは、上述したように回転数比ごとに異なり、回転数比が70%,74%のときの音圧レベルが最も小さい。そこで、本実施例に係る送風機制御装置1は、このような場合には、負荷騒音を抑制するために、回転数比が70%または74%となるように二重反転ファン3の回転数の比を制御する。例えば、定格運転の場合の回転数比が、66%である場合には、70%および74%のうち、定格運転の場合の回転数比に近い70%を、二重反転ファン3の回転数の比として決定する。
【0037】
第三のテーブル17cは、発熱体の温度と、共通回転数と、ファン3aのデューティ比と、ファン3bのデューティ比とが登録されたテーブルである。第四のテーブル17dは、吸気温度と、共通回転数と、ファン3aのデューティ比と、ファン3bのデューティ比とが登録されたテーブルである。たとえば、第三のテーブル17cおよび第四のテーブル17dは、特開2010−272704号公報などの文献に記載されているように、公知の技術を用いて生成することができる。なお、デューティ比によって、PWM値を特定することができる。
【0038】
システムインピーダンス情報17eは、電子機器50のシステムインピーダンスを示す情報である。ここで、システムインピーダンスとは、電子機器50を構成する各部品の密集率や通風路の形状等から決定される圧力損失である。
【0039】
流路面積情報17fは、二重反転ファン3によって送風される流路の面積Mを示す。流路面積情報17fは、風量を算出する際などに用いられる。
【0040】
プロセッサ18は、温度センサ11a,11bにより検出した温度に基づき、各ファン3a,3bの回転数の比が所定の許容範囲内の状態で、発熱体52の冷却のための風量が得られるように、各ファン3a,3bの回転数を制御する。
【0041】
図2に示すように、プロセッサ18は、エラー処理部18aと、第一の決定部18bと、第一の算出部18cと、第二の算出部18dと、変更部18eと、第三の算出部18fと、第二の決定部18gと、回転数制御部18hとを有する。
【0042】
エラー処理部18aは、回転数エラーチェック部14から取得した情報に基づき、エラー報告処理を実行する。エラー処理部18aは、ファン3aまたはファン3bが停止していることを示すチェック結果を回転数エラーチェック部14から取得した場合には、ファン3aまたはファン3bが停止している旨のエラー報告を電子機器50に対して行う。これにより、例えば、ファン3aまたはファン3bが停止している旨のエラーメッセージが、電子機器50の図示しないディスプレイに表示される。
【0043】
第一の決定部18bは、複数のファン3a,3bがそれぞれ定格運転の回転数で回転した場合に、定格運転の回転数の比に対応するPQ特性に基づいて、動作点(Q,P)を決定する。ここで、動作点が示す風量Qは、複数のファン3a,3bがそれぞれ定格運転の回転数で回転した場合に、通風路51を流れる空気の風量である。また、動作点が示す静圧Pは、複数のファン3a,3bがそれぞれ定格運転の回転数で回転した場合の二重反転ファン3の静圧である。
【0044】
具体例を挙げて説明する。第一の決定部18bは、まず、複数のファン3a,3bがそれぞれ定格運転の回転数で回転するように、パルスジェネレータ15a,15bのそれぞれに、定格運転の回転数を示すデューティ比の入力を開始する。これにより、二重反転ファン3が定格運転を行う。そして、第一の決定部18bは、風速計10から、風速Sを取得する。続いて、第一の決定部18bは、ROM17から流路面積情報17fを読み取り、流路面積情報17fが示す流路面積Mと、風速Sとの積(M×S)を風量Qとして算出する。
【0045】
続いて、第一の決定部18bは、第一のテーブル17aから、定格運転の二重反転ファン3のPQ特性を示す情報を読み込む。そして、第一の決定部18bは、読み込んだPQ特性が示す情報に含まれる風量と静圧との複数の組のうち、風量Qを含む組があるか否かを判定する。風量Qを含む組がある場合には、第一の決定部18bは、風量Qを含む組(Q,P)を動作点として決定する。
【0046】
一方、風量Qを含む組がない場合には、第一の決定部18bは、風量Qより大きい風量Q´を含む組(Q´,P´)と、風量Qより小さい風量Q´´を含む組(Q´´,P´´)とを抽出する。そして、第一の決定部18bは、組(Q´,P´)と、組(Q´´,P´´)と用いて、P´とP´´との線形補間を行い、風量Qに対応する静圧Pを算出する。例えば、第一の決定部18bは、下記の式(1)によりPを算出する。
=P´´+(P´−P´´)×((Q−Q´´)/(Q´−Q´´))
・・・式(1)
【0047】
その後、第一の決定部18bは、動作点として、(Q,P)を決定する。このようにして、第一の決定部18bは、定格運転の二重反転ファン3のPQ特性と、システムインピーダンス曲線との交点、すなわち、動作点(Q,P)を決定する。
【0048】
第一の算出部18cは、定格運転の負荷騒音特性に基づいて、第一の決定部18bで決定された動作点が示す風量Qに対応する音圧レベルLを算出する。例えば、第一の算出部18cは、第一のテーブル17aから、定格運転の負荷騒音特性を示す情報を読み込む。そして、第一の算出部18cは、読み込んだ負荷騒音特性から、風量Qに対応する音圧レベルLを算出する。図3Aの例では、第一の算出部18cは、動作点(Q,P)が示す風量Qが、0.43[m/min]である場合には、対応する音圧レベル52.4[dB(A)]を算出する。
【0049】
第二の算出部18dは、第二のテーブル17bに登録された複数のPQ特性、システムインピーダンスを示す風量と静圧との関係、動作点(Q,P)に基づいて、次のような処理を行う。すなわち、第二の算出部18dは、複数の回転数の比ごとに、ファン3a,3bが回転した場合の通風路51を流れる空気の風量Qおよび静圧Pを算出する。なお、Nの値は、複数の回転数の比のそれぞれを識別するための値である。例えば、回転数の比の数が10である場合には、Nの値は、1から10までの10通りの整数となる。
【0050】
具体例を挙げて説明する。第二の算出部18dは、まず、第二のテーブル17bに回転数比ごとに登録された全てのPQ特性を示す情報および負荷騒音特性を示す情報を読み込む。そして、第二の算出部18dは、全ての回転数比のうち、未選択の比のPQ特性を示す情報および負荷騒音特性を示す情報を選択する。そして、第二の算出部18dは、選択したPQ特性を示す情報から、選択したPQ特性上の動作点(Q,P)のうち、まず、風量Qを算出する。
【0051】
風量Qの算出方法の一例について説明する。図6は、送風機制御装置で実行される処理の一例を説明するための図である。図6の例では、定格運転でのPQ特性60上の動作点(Q,P)61が第一の決定部18bにより決定された場合が示されている。また、図6の例では、第一の算出部18cにより、動作点(Q,P)61に対応する音圧レベルとして、負荷騒音特性62から52[dB(A)]が算出された場合が示されている。図6の例では、第二の算出部18dは、未選択の回転数比、例えば、70%のPQ特性63を示す情報および負荷騒音特性64を示す情報を選択する場合が例示されている。図7は、図6に示す動作点付近の詳細図である。図7の例では、システムインピーダンスは、静圧P=係数k×(風量Q)という式で示されるため、システムインピーダンス曲線とPQ特性63との交点(Q,P)67と、動作点(Q,P)61との関係は、下記の式(2)で示される。
/(Q=P/(Q・・・式(2)
【0052】
また、システムインピーダンスの係数kは予め定められている。このため、第二の算出部18dは、PQ特性63の各組63aのうち、交点(Q,P)67を有する線分を形成する2つの組63aのそれぞれを点(Q,P)65、点(Q,P)66として特定することができる。ここで、交点(Q,P)67は、点(Q,P)65と点(Q,P)66との間にあるため、下記の式(3)が成立する。
(P−P)/(Q−Q)=(P−P)/(Q−Q)・・・式(3)
【0053】
上記の式(2)と式(3)とから、第二の算出部18dは、Pを消去し、下記の式(4)にしたがって、Qを算出する。
=(α/4+β)1/2−(α/2)・・・式(4)
ただし、α=Q(P−P)/P/(Q−Q)、
β=Q(P−P)/P/(Q−Q
である。
【0054】
そして、第二の算出部18dは、上記の式(2)に、算出した風量Qの値を代入することで、静圧Pを算出する。
【0055】
このようにして、第二の算出部18dは、選択したPQ特性を示す情報から、選択したPQ特性上の動作点(Q,P)を算出することができる。第二の算出部18dは、第二のテーブル17bに登録された全てのPQ特性を示す情報に対して、同様の処理を行って、PQ特性上の動作点(Q,P)を算出する。すなわち、第二の算出部18dは、回転数の比ごとの二重反転ファン3のPQ特性と、システムインピーダンス曲線との交点、すなわち、動作点(Q,P)を上述した方法で算出することができる。
【0056】
変更部18eは、風量Q、および、回転数の比ごとの風量Qに基づいて、複数の回転数の比ごとに、複数の回転数の比のそれぞれの負荷騒音特性を変更する。具体例を挙げて説明すると、変更部18eは、第二の算出部18dでPQ特性上の動作点(Q,P)が算出された場合に、選択されたPQ特性の各組の風量Qに(Q/Q)を乗じ、各組の静圧Pに(Q/Qを乗じて、PQ特性を変更する。図8は、送風機制御装置で実行される処理の一例を説明するための図である。図8の例では、変更部18eは、第二の算出部18dでPQ特性63上の動作点(Q,P)67が算出された場合に、選択されたPQ特性63の各組63aの風量Qに(Q/Q)を乗じ、各組63aの静圧Pに(Q/Qを乗じて、PQ特性をスケール化する。図8の例では、変更部18eは、このようにして、PQ特性63をPQ特性63´に変更する。このとき、PQ特性63´は、動作点(Q,P)61を通るようになる。すなわち、変更部18eは、第一の決定部18bで決定された動作点(Q,P)を通るように、選択されたPQ特性を変更する。
【0057】
また、変更部18eは、第二の算出部18dでPQ特性上の動作点(Q,P)が算出された場合に、選択された負荷騒音特性の各組の音圧レベルLに10×log(Q/Qを加算し、各組の風量Qに(Q/Q)を乗じて、負荷騒音特性を変更する。図8の例では、変更部18eは、第二の算出部18dでPQ特性63上の動作点(Q,P)67が算出された場合に、次のような処理を行う。すなわち、変更部18eは、選択された負荷騒音特性64の各組64aの風量Qに(Q/Q)を乗じ、各組64aの音圧レベルLに10×log(Q/Qを加算して、負荷騒音特性64をスケール化する。図8の例では、変更部18eは、このようにして、負荷騒音特性64を負荷騒音特性64´に変更する。このような処理を変更部18eは、全ての回転数の比ごとに行う。
【0058】
図9A,9B,9Cのそれぞれは、送風機制御装置で実行される処理の一例を示す図である。図9A,9B,9Cのそれぞれの例では、動作点(Q,P)80を通るように、変更部18eにより、複数のPQ特性が変更された場合が示されている。
【0059】
第三の算出部18fは、変更部18eにより変更された負荷騒音特性に基づいて、複数の回転数の比ごとに、風量Qに対応する騒音値を算出する。例えば、第三の算出部18fは、変更された負荷騒音特性を示す情報に含まれる複数の組のうち、風量Qを含む組があるか否かを判定する。風量Qを含む組がある場合には、第三の算出部18fは、風量Qを含む組(Q,L)が示す音圧レベルLを騒音値として算出する。
【0060】
一方、風量Qを含む組がない場合には、第三の算出部18fは、変更された負荷騒音特性を示す情報から、風量Qより大きい風量Q´を含む組(Q´,L´)と、風量Qより小さい風量Q´´を含む組(Q´´,L´´)とを抽出する。そして、第三の算出部18fは、組(Q´,L´)と、組(Q´´,L´´)と用いて、L´とL´´との線形補間を行い、風量Qに対応する音圧レベルLを算出する。例えば、第三の算出部18fは、下記の式(5)により音圧レベルLを騒音値として算出する。
=L´´+(L´−L´´)×((Q−Q´´)/(Q´−Q´´))
・・・式(5)
【0061】
そして、第三の算出部18fは、算出した音圧レベルLと、回転数の比とを対応付けてRAM16に格納する。図10A,10B,10Cは、算出した音圧レベルと回転数の比との対応付けの一例を示す図である。例えば、図10Aの例は、図9Aの例において、算出した音圧レベルLと、回転数の比とを対応付けた場合が例示されている。また、図10Bの例は、図9Bの例において、算出した音圧レベルLと、回転数の比とを対応付けた場合が例示されている。図10Cの例は、図9Cの例において、算出した音圧レベルLと、回転数の比とを対応付けた場合が例示されている。
【0062】
第二の決定部18gは、第一の算出部18cで算出された音圧レベルLおよび第三の算出部18fで算出された複数の音圧レベルLのうち、最も小さい騒音値に対応する回転数の比を、複数の送風機3a,3bを回転させる場合の回転数の比Cとして決定する。具体例を挙げて説明する。第二の決定部18gは、RAM18に記憶された音圧レベルLと回転数の比との組に基づいて、最も小さい騒音値に対応する回転数の比を検出する。検出した回転数の比が1つである場合には、第二の決定部18gは、検出した回転数の比を、複数の送風機3a,3bを回転させる場合の回転数の比Cとして決定する。検出した回転数の比が複数である場合には、第二の決定部18gは、検出した回転数の比のうち、定格運転時の回転数の比に最も近い回転数の比を、複数の送風機3a,3bを回転させる場合の回転数の比Cとして決定する。
【0063】
例えば、図10Aの例において、定格運転時の回転数比が64%で音圧レベルLが52.4[dB(A)]である場合には、第二の決定部18gは、次のような処理を行う。すなわち、第二の決定部18gは、音圧レベルLおよび複数の音圧レベルLのうち、最も音圧レベルが小さい52.2[dB(A)]に対応する69%を、複数のファン3a,3bを回転させる場合の回転数の比Cとして決定する。また、図10Bの例において、定格運転時の比が64%で音圧レベルLが52.2[dB(A)]である場合には、第二の決定部18gは、次のような処理を行う。すなわち、第二の決定部18gは、音圧レベルLおよび複数の音圧レベルLのうち、最も音圧レベルが小さい51.8[dB(A)]に対応する79%を、複数のファン3a,3bを回転させる場合の回転数の比Cとして決定する。また、図10Cの例において、定格運転時の比が63%で音圧レベルLが54.2[dB(A)]である場合には、第二の決定部18gは、次のような処理を行う。すなわち、第二の決定部18gは、音圧レベルLおよび複数の音圧レベルLのうち、最も音圧レベルが小さい52.4[dB(A)]に対応する回転数の比79%,82%を検出する。そして、第二の決定部18gは、検出した回転数の比79%,82%のうち、定格運転時の回転数の比63%に最も近い79%を、複数のファン3a,3bを回転させる場合の回転数の比Cとして決定する。
【0064】
回転数制御部18hは、温度センサ11a,11bにより検出された温度に基づいて、機器50内が所定の温度となるように、複数のファン3a,3bの回転数を制御する。この際、回転数制御部18hは、回転数の比Cに対する所定の許容範囲内の比((C−γ)〜(C+γ))で、複数のファン3a,3bが回転するように、複数のファン3a,3bの回転数を制御する。
【0065】
具体例を挙げて説明する。回転数制御部18hは、まず、温度センサ11a,11bから発熱体52の温度Tおよび吸気温度Tを検出する。そして、回転数制御部18hは、第三のテーブル17cを読み込んで、発熱体52の温度Tに対応する共通回転数N1を取得する。また、回転数制御部18hは、第四のテーブル17dを読み込んで、吸気温度Tに対応する共通回転数N2を取得する。回転数制御部18hは、共通回転数N1と共通回転数N2とを比較する。共通回転数N1よりも共通回転数N2のほうが大きい場合には、回転数制御部18hは、第四のテーブル17dを読み込んで、吸気温度Tに対応するファン3aのデューティ比およびファン3bのデューティ比を取得する。また、共通回転数N1が共通回転数N2以上である場合には、回転数制御部18hは、第三のテーブル17cを読み込んで、発熱体52の温度Tに対応するファン3aのデューティ比およびファン3bのデューティ比を取得する。このように、ファン3aのデューティ比およびファン3bのデューティ比を取得することで、回転数制御部18hは、ファン3aおよびファン3bのPWMのデューティ比を決定する。そして、回転数制御部18hは、パルスジェネレータ15a,15bに入力するデューティ比を、決定したファン3aのデューティ比、ファン3bのデューティ比に変更する。
【0066】
そして、回転数制御部18hは、発熱体52の温度T、吸気温度Tのいずれかが、それぞれの設定温度T01、T02を超えたか否かを判定する。ここでいう設定温度T01は、発熱体52の温度に対して設定された温度であり、T02は、吸気温度に対して設定された温度である。発熱体52の温度Tが設定温度T01を超えたか、または、吸気温度Tが、設定温度T02を超えた場合には、回転数制御部18hは、パルスジェネレータ15a,15bに入力するデューティ比を、デューティ比が示すPWM値が所定量分大きくなるようにそれぞれ変更する。これにより、二重反転ファン3によって発生する風量は、多くなる。このため、発熱体52の温度は、低くなり、設定温度T01に近づく。
【0067】
また、回転数制御部18hは、発熱体52の温度Tおよび吸気温度Tのいずれもが、それぞれの設定温度T01、T02より小さいか否かを判定する。発熱体52の温度Tが設定温度T01より小さく、かつ、吸気温度Tが、設定温度T02より小さい場合には、回転数制御部18hは、パルスジェネレータ15a,15bに入力するデューティ比を、デューティ比が示すPWM値が所定量分小さくなるようにそれぞれ変更する。これにより、二重反転ファン3によって発生する風量は、少なくなる。このため、発熱体52の温度は、高くなり、設定温度T01に近づく。
【0068】
そして、回転数制御部18hは、回転数検出部13aで検出したファン3aの回転数Sfを取得することにより、ファン3aの回転数Sfを検出する。また、回転数制御部18hは、回転数検出部13bで検出したファン3bの回転数Srを取得することにより、ファン3bの回転数Srを検出する。続いて、回転数制御部18hは、回転数の比C(Sr/Sf)を算出する。そして、回転数制御部18hは、比Cが、回転数の比Cに対する所定の許容範囲内((C−γ)〜(C+γ))であるか否かを判定する。許容範囲内でない場合には、回転数制御部18hは、許容範囲内となるように、パルスジェネレータ15aに入力するデューティ比を変更する。例えば、比Cが、(C−γ)よりも小さい場合には、回転数制御部18hは、パルスジェネレータ15aに入力するデューティ比を、デューティ比が示すPWM値が所定量分小さくなるように変更する。これにより、比Cの値が大きくなる。また、比Cが、(C−γ)よりも大きい場合には、回転数制御部18hは、パルスジェネレータ15aに入力するデューティ比を、デューティ比が示すPWM値が所定量分大きくなるように変更する。これにより、比Cの値が小さくなる。
【0069】
図11は、実施例1に係る送風機制御装置で実行される処理の一例を説明するための図である。図11の例に示すように、送風機制御装置1によれば、第二のテーブル17bに登録されたPQ特性の動作点(Q,P)を、第一のテーブル17aに登録されたPQ特性の動作点(Q,P)に一致させるように、第二のテーブル17bに登録されたPQ特性を変更する。この際、送風機制御装置1は、QとQとに基づいた割合で、第二のテーブル17bに登録されたPQ特性を変更する。また、送風機制御装置1は、QとQとに基づいた割合で、第二のテーブル17bに登録された負荷騒音特性を変更する。そして、送風機制御装置1は、変更後の負荷騒音特性から、回転数の比ごとに、動作点(Q,P)に対応する負荷騒音を算出する。続いて、送風機制御装置1は、最も小さい負荷騒音に対応する回転数の比を、複数のファン3a,3bを回転させる場合の回転数の比として決定する。このように、実施例1に係る送風機制御装置1は、電子機器50のシステムインピーダンスと、ファン3a,3bの回転数の比ごとの二重反転ファン3のPQ特性と、回転数の比ごとの負荷騒音特性とを加味して、負荷騒音が最小となる回転数の比を選択する。したがって、実施例1に係る送風機制御装置1によれば、騒音をより抑制することができる。
【0070】
[処理の流れ]
次に、本実施例に係る送風機制御装置1の処理の流れを説明する。図12は、実施例1に係る第一の回転数比決定処理の手順を示すフローチャートである。この第一の回転数比決定処理の実行タイミングとしては様々な場合が考えられる。例えば、ユーザの指示を受け付けるキーボードやマウスなどの図示しない受付部から、第一の回転数比決定処理を実行する指示をプロセッサ18が受信した場合に、第一の回転数比決定処理が実行される。
【0071】
図12に示すように、第一の決定部18bは、複数のファン3a,3bがそれぞれ定格運転の回転数で回転するように、パルスジェネレータ15a,15bのそれぞれに、定格運転の回転数を示すデューティ比の入力を開始する(S101)。そして、第一の決定部18bは、風速計10から、風速Sを取得する(S102)。続いて、第一の決定部18bは、ROM17から流路面積情報17fを読み取り、流路面積情報17fが示す流路面積Mと、風速Sとの積(M×S)を風量Qとして算出する(S103)。
【0072】
続いて、第一の決定部18bは、第一のテーブル17aから、定格運転の二重反転ファン3のPQ特性を示す情報を読み込む(S104)。そして、第一の決定部18bは、読み込んだPQ特性が示す情報に含まれる風量と静圧との複数の組のうち、風量Qを含む組があるか否かを判定する(S105)。風量Qを含む組がある場合(S105肯定)には、第一の決定部18bは、風量Qを含む組(Q,P)を動作点として決定する(S106)。
【0073】
一方、風量Qを含む組がない場合(S105否定)には、第一の決定部18bは、風量Qより大きい風量Q´を含む組(Q´,P´)と、風量Qより小さい風量Q´´を含む組(Q´´,P´´)とを抽出する(S107)。そして、第一の決定部18bは、組(Q´,P´)と、組(Q´´,P´´)と用いて、P´とP´´との線形補間を行い、風量Qに対応する静圧Pを算出する(S108)。その後、第一の決定部18bは、動作点として、(Q,P)を決定する(S109)。
【0074】
そして、第一の算出部18cは、第一のテーブル17aから、定格運転の負荷騒音特性を示す情報を読み込み、読み込んだ負荷騒音特性から、風量Qに対応する音圧レベルLを算出する(S110)。そして、プロセッサ18は、後述の第二の回転数比決定処理を実行し(S111)、処理を終了する。
【0075】
図13は、実施例1に係る第二の回転数比決定処理の手順を示すフローチャートである。図13に示すように、第二の算出部18dは、第二のテーブル17bに、比ごとに登録された全てのPQ特性を示す情報および負荷騒音特性を示す情報を読み込む(S201)。続いて、第二の算出部18dは、変数Nの値に0を設定する(S202)。そして、第二の算出部18dは、全ての回転数の比のうち、下記のS205で未選択の比のPQ特性を示す情報および負荷騒音特性を示す情報があるか否かを判定する(S203)。未選択の情報がある場合(S203肯定)には、第二の算出部18dは、変数Nの値を1つインクリメントする(S204)。そして、第二の算出部18dは、全ての比のうち、未選択の比のPQ特性を示す情報および負荷騒音特性を示す情報を1つ選択する(S205)。そして、第二の算出部18dは、選択したPQ特性を示す情報から、選択したPQ特性上の動作点(Q,P)のうち、風量Qを算出する(S206)。そして、第二の算出部18dは、静圧Pを算出する(S207)。
【0076】
そして、変更部18eは、選択されたPQ特性の各組の風量Qに(Q/Q)を乗じ、各組の静圧Pに(Q/Qを乗じて、PQ特性を変更する(S208)。続いて、変更部18eは、選択された負荷騒音特性の各組の音圧レベルLに10×log(Q/Qを加算し、各組の風量Qに(Q/Q)を乗じて、負荷騒音特性を変更する(S209)。そして、第三の算出部18fは、変更された負荷騒音特性から、音圧レベルLを騒音値として算出する(S210)。その後、第三の算出部18fは、算出した音圧レベルLと、回転数の比とを対応付けてRAM16に格納し(S211)、S203へ戻る。
【0077】
一方、未選択の情報がない場合(S203否定)には、第二の決定部18gは、RAM18に記憶された音圧レベルLと回転数の比との組に基づいて、最も小さい騒音値に対応する回転数の比を検出する(S212)。続いて、第二の決定部18gは、検出した回転数の比の数が複数であるか否かを判定する(S213)。複数でない場合、すなわち、1つである場合(S213否定)には、第二の決定部18gは、検出した回転数の比を、複数の送風機3a,3bを回転させる場合の回転数の比Cとして決定し(S214)、処理結果をRAM18に格納して、リターンする。一方、複数である場合(S213肯定)には、第二の決定部18gは、検出した回転数の比のうち、定格運転時の回転数の比に最も近い回転数の比を、複数の送風機3a,3bを回転させる場合の回転数の比Cとして決定する(S215)。そして、第二の決定部18gは、処理結果をRAM18に格納して、リターンする。
【0078】
図14は、実施例1に係る回転数制御処理の手順を示すフローチャートである。この回転数制御処理の実行タイミングとしては様々な場合が考えられる。例えば、回転数制御処理は、送風機制御装置1の電源がオンの間実行される。
【0079】
図14に示すように、回転数制御部18hは、温度センサ11a,11bから発熱体52の温度Tおよび吸気温度Tを検出する(S301)。回転数制御部18hは、ファン3a、ファン3bのPWMのデューティ比を決定し、パルスジェネレータ15a,15bに入力するデューティ比を、決定したファン3aのデューティ比、ファン3bのデューティ比に変更する(S302)。
【0080】
そして、回転数制御部18hは、発熱体52の温度Tが設定温度T01を超えたか、または、吸気温度Tが設定温度T02を超えたか否かを判定する(S303)。発熱体52の温度Tおよび吸気温度Tのいずれかが、それぞれの設定温度T01、T02を超えた場合(S303肯定)には、回転数制御部18hは、次のような処理を行う。すなわち、回転数制御部18hは、パルスジェネレータ15a,15bに入力するデューティ比を、デューティ比が示すPWM値が所定量分大きくなるようにそれぞれ変更する(S304)。そして、後述するS307へ進む。
【0081】
一方、発熱体52の温度Tおよび吸気温度Tのいずれも、設定温度T01、T02を超えていない場合(S303否定)には、回転数制御部18hは、次のような処理を行う。すなわち、回転数制御部18hは、発熱体52の温度Tが設定温度T01より小さく、かつ、吸気温度Tが設定温度T02より小さいか否かを判定する(S305)。発熱体52の温度Tが設定温度T01以上であるか、または、吸気温度Tが設定温度T02以上である場合(S305否定)には、S301へ戻る。一方、発熱体52の温度Tが設定温度T01より小さく、かつ、吸気温度Tが設定温度T02より小さい場合(S305肯定)には、回転数制御部18hは、パルスジェネレータ15a,15bに入力するデューティ比を、次のようにそれぞれ変更する。すなわち、回転数制御部18hは、デューティ比が示すPWM値が所定量分小さくなるようにそれぞれ変更する(S306)。
【0082】
そして、回転数制御部18hは、ファン3aの回転数Sfを検出する(S307)。続いて、回転数制御部18hは、ファン3bの回転数Srを検出する(S308)。そして、回転数制御部18hは、回転数の比C(Sr/Sf)を算出する(S309)。続いて、回転数制御部18hは、比Cが、回転数の比Cに対する所定の許容範囲内((C−γ)〜(C+γ))であるか否かを判定する(S310)。許容範囲内でない場合(S310否定)には、回転数制御部18hは、許容範囲内となるように、パルスジェネレータ15aに入力するデューティ比を変更し(S311)、S307へ戻る。一方、許容範囲内である場合(S310肯定)には、S301へ戻る。
【0083】
上述してきたように、本実施例に係る送風機制御装置1は、複数のファン3a,3bがそれぞれ定格運転の回転数で回転した場合に、定格運転の回転数の比に対応するPQ特性に基づいて、動作点(Q,P)を決定する。送風機制御装置1は、定格運転の負荷騒音特性に基づいて、第一の決定部18bで決定された動作点が示す風量Qに対応する音圧レベルLを算出する。送風機制御装置1は、第二のテーブル17bに登録された複数のPQ特性、システムインピーダンスを示す風量と静圧との関係、動作点(Q,P)に基づいて、次のような処理を行う。すなわち、送風機制御装置1は、複数の回転数の比ごとに、ファン3a,3bが回転した場合の通風路51を流れる空気の風量Qおよび静圧Pを算出する。送風機制御装置1は、風量Q、および、回転数の比ごとの風量Qに基づいて、複数の回転数の比ごとに、複数の回転数の比のそれぞれの負荷騒音特性を変更する。送風機制御装置1は、変更された負荷騒音特性に基づいて、複数の回転数の比ごとに、風量Qに対応する騒音値を算出する。送風機制御装置1は、音圧レベルLおよび複数の音圧レベルLのうち、最も小さい騒音値に対応する回転数の比を、複数のファン3a,3bを回転させる場合の回転数の比Cとして決定する。送風機制御装置1は、温度センサ11a,11bにより検出された温度に基づいて、機器50内が所定の温度となるように、複数のファン3a,3bの回転数を制御する。この際、送風機制御装置1は、回転数の比Cに対する所定の許容範囲内の比((C−γ)〜(C+γ))で、複数のファン3a,3bが回転するように、複数のファン3a,3bの回転数を制御する。このように、送風機制御装置1は、電子機器50のシステムインピーダンスと、ファン3a,3bの回転数の比ごとの二重反転ファン3のPQ特性と、回転数の比ごとの負荷騒音特性とを加味して、負荷騒音が最小となる回転数の比を選択する。したがって、送風機制御装置1によれば、騒音をより抑制することができる。
【0084】
さて、これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0085】
例えば、実施例1において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともできる。例えば、利用者などが、図示しない受付部を介して、回転数制御処理の実行指示を入力してもよい。
【0086】
また、各種の負荷や使用状況などに応じて、各実施例において説明した各処理の各ステップでの処理を任意に細かくわけたり、あるいはまとめたりすることができる。また、ステップを省略することもできる。例えば、図14に示すステップ302の処理を細かく分けることができる。
【0087】
また、各種の負荷や使用状況などに応じて、各実施例において説明した各処理の各ステップでの処理の順番を変更できる。例えば、図14に示すステップ307とステップ308との順番を入れ替えてもよい。
【0088】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的状態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、第一の決定部18b、第一の算出部18c、第二の算出部18d、変更部18e、第三の算出部18f、第二の決定部18gを統合し、新たに回転数比決定部を構成することができる。
【実施例2】
【0089】
[送風機制御プログラム]
また、上記の実施例で説明した送風機制御装置の各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現することもできる。そこで、以下では、図15を用いて、上記の実施例1で説明した送風機制御装置と同様の機能を有する送風機制御プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。
【0090】
図15は、送風機制御プログラムを実行するコンピュータを示す図である。図15に示すように、実施例2におけるコンピュータ300は、CPU(Central Processing Unit)310、ROM320、HDD330、RAM340を有する。これら310〜340の各部は、バス350を介して接続される。
【0091】
ROM320には、実施例1で示す第一の決定部18bと第一の算出部18cと第二の算出部18dと変更部18eと第三の算出部18fと第二の決定部18gと回転数制御部18hと同様の機能を発揮する送風機制御プログラム320aが予め記憶される。なお、送風機制御プログラム320aについては、適宜分離しても良い。例えば、第一の決定部18bと第一の算出部18cと第二の算出部18dと変更部18eと第三の算出部18fと第二の決定部18gと同様の機能を発揮するプログラムと、回転数制御部18hと同様の機能を発揮するプログラムとに分離しても良い。
【0092】
そして、CPU310が、送風機制御プログラム320aをROM320から読み出して実行する。
【0093】
そして、HDD330には、第一のテーブル、第二のテーブル、第三のテーブル、第四のテーブル、システムインピーダンス情報、流路面積情報が設けられる。第一のテーブル、第二のテーブル、第三のテーブル、第四のテーブルのそれぞれは、第一のテーブル17a、第二のテーブル17b、第三のテーブル17c、第四のテーブル17dのそれぞれに対応する。また、システムインピーダンス情報、流路面積情報のそれぞれは、システムインピーダンス情報17e、流路面積情報17fのそれぞれに対応する。
【0094】
そして、CPU310は、第一のテーブル、第二のテーブル、第三のテーブル、第四のテーブル、システムインピーダンス情報、流路面積情報を読み出してRAM340に格納する。さらに、CPU310は、RAM340に格納された第一のテーブル、第二のテーブル、第三のテーブル、第四のテーブル、システムインピーダンス情報、流路面積情報を用いて、送風機制御プログラム320aを実行する。なお、RAM340に格納される各データは、常に全てのデータがRAM340に格納されなくともよく、全てのデータのうち処理に用いられるデータがRAM340に格納されれば良い。
【0095】
なお、上記した送風機制御プログラムについては、必ずしも最初からROM320に記憶させなくともよい。
【0096】
例えば、コンピュータ300に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」にプログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ300がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0097】
さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ300に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などにプログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ300がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0098】
以上説明した実施形態及びその変形例に関し、更に以下の付記を開示する。
【0099】
(付記1)機器内の管路抵抗と、前記機器内に形成された通風路に対して直列に設けられた複数の送風機の回転数の比ごとの静圧−風量特性と、該複数の回転数の比ごとの風量と騒音値との特性とを記憶する記憶部と、
前記複数の送風機がそれぞれ所定の回転数で回転した場合に、前記所定の回転数の比に対応する前記静圧−風量特性に基づいて、前記通風路を流れる空気の第一の風量および第一の静圧を決定する第一の決定部と、
前記所定の回転数の比に対応する前記風量と騒音値との特性に基づいて、前記第一の決定部で決定された第一の風量に対応する第一の騒音値を算出する第一の算出部と、
複数の送風機の回転数の比のうち、前記所定の回転数の比以外の回転数の比の前記静圧−風量特性、前記管路抵抗を示す風量と静圧との関係、ならびに前記第一の風量および前記第一の静圧に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記所定の回転数の比以外の回転数の比で前記複数の送風機が回転した場合の前記通風路を流れる空気の第二の風量および第二の静圧を算出する第二の算出部と、
前記第一の風量および前記第二の風量に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記所定の回転数の比以外の回転数の比の風量と騒音値との特性を変更する変更部と、
前記変更部により変更された風量と騒音値との特性に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記第一の風量に対応する第二の騒音値を算出する第三の算出部と、
前記第一の騒音値および第二の騒音値のうち、最も騒音値が小さい騒音値に対応する回転数の比を、前記複数の送風機を回転させる場合の回転数の比として決定する第二の決定部と
を有することを特徴とする送風機制御装置。
【0100】
(付記2)前記変更部は、前記第一の風量と前記第二の風量との比に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記所定の回転数の比以外の回転数の比の風量と騒音値との特性を変更する
ことを特徴とする付記1に記載の送風機制御装置。
【0101】
(付記3)前記機器内の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部により検出された温度に基づいて、前記機器内が所定の温度となるように、かつ、前記第二の決定部により決定された回転数の比に対する所定の許容範囲内の比で、前記複数の送風機が回転するように、前記複数の送風機の回転数を制御する回転数制御部と
をさらに有することを特徴とする付記1または2に記載の送風機制御装置。
【0102】
(付記4)コンピュータに、
機器内の管路抵抗と、前記機器内に形成された通風路に対して直列に設けられた複数の送風機の回転数の比ごとの静圧−風量特性と、該複数の回転数の比ごとの風量と騒音値との特性とを記憶する記憶部を参照し、前記複数の送風機がそれぞれ所定の回転数で回転した場合に、前記所定の回転数の比に対応する前記静圧−風量特性に基づいて、前記通風路を流れる空気の第一の風量および第一の静圧を決定し、
前記所定の回転数の比に対応する前記風量と騒音値との特性に基づいて、決定された第一の風量に対応する第一の騒音値を算出し、
複数の送風機の回転数の比のうち、前記所定の回転数の比以外の回転数の比の前記静圧−風量特性、前記管路抵抗を示す風量と静圧との関係、ならびに前記第一の風量および前記第一の静圧に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記所定の回転数の比以外の回転数の比で前記複数の送風機が回転した場合の前記通風路を流れる空気の第二の風量および第二の静圧を算出し、
前記第一の風量および前記第二の風量に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記所定の回転数の比以外の回転数の比の風量と騒音値との特性を変更し、
変更された風量と騒音値との特性に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記第一の風量に対応する第二の騒音値を算出し、
前記第一の騒音値および第二の騒音値のうち、最も騒音値が小さい騒音値に対応する回転数の比を、前記複数の送風機を回転させる場合の回転数の比として決定する
各処理を実行させることを特徴とする送風機制御プログラム。
【0103】
(付記5)前記風量と前記騒音値との特性を変更する処理は、前記第一の風量と前記第二の風量との比に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記所定の回転数の比以外の回転数の比の風量と騒音値との特性を変更する
ことを特徴とする付記4に記載の送風機制御プログラム。
【0104】
(付記6)前記コンピュータに、
前記機器内の温度を検出する温度検出部により検出された温度に基づいて、前記機器内が所定の温度となるように、かつ、前記第二の決定部により決定された回転数の比に対する所定の許容範囲内の比で、前記複数の送風機が回転するように、前記複数の送風機の回転数を制御する
処理をさらに実行させることを特徴とする付記4または5に記載の送風機制御プログラム。
【0105】
(付記7)コンピュータが実行する送風機制御方法であって、
機器内の管路抵抗と、前記機器内に形成された通風路に対して直列に設けられた複数の送風機の回転数の比ごとの静圧−風量特性と、該複数の回転数の比ごとの風量と騒音値との特性とを記憶する記憶部を参照し、前記複数の送風機がそれぞれ所定の回転数で回転した場合に、前記所定の回転数の比に対応する前記静圧−風量特性に基づいて、前記通風路を流れる空気の第一の風量および第一の静圧を決定し、
前記所定の回転数の比に対応する前記風量と騒音値との特性に基づいて、決定された第一の風量に対応する第一の騒音値を算出し、
複数の送風機の回転数の比のうち、前記所定の回転数の比以外の回転数の比の前記静圧−風量特性、前記管路抵抗を示す風量と静圧との関係、ならびに前記第一の風量および前記第一の静圧に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記所定の回転数の比以外の回転数の比で前記複数の送風機が回転した場合の前記通風路を流れる空気の第二の風量および第二の静圧を算出し、
前記第一の風量および前記第二の風量に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記所定の回転数の比以外の回転数の比の風量と騒音値との特性を変更し、
変更された風量と騒音値との特性に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記第一の風量に対応する第二の騒音値を算出し、
前記第一の騒音値および第二の騒音値のうち、最も騒音値が小さい騒音値に対応する回転数の比を、前記複数の送風機を回転させる場合の回転数の比として決定する
ことを特徴とする送風機制御方法。
【0106】
(付記8)前記風量と前記騒音値との特性を変更する処理は、前記第一の風量と前記第二の風量との比に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記所定の回転数の比以外の回転数の比の風量と騒音値との特性を変更する
ことを特徴とする付記7に記載の送風機制御方法。
【0107】
(付記9)さらに、前記機器内の温度を検出する温度検出部により検出された温度に基づいて、前記機器内が所定の温度となるように、かつ、前記第二の決定部により決定された回転数の比に対する所定の許容範囲内の比で、前記複数の送風機が回転するように、前記複数の送風機の回転数を制御する
ことを特徴とする付記7または8に記載の送風機制御方法。
【符号の説明】
【0108】
1 送風機制御装置
3 二重反転ファン
3a ファン
3b ファン
10 風速計
11a 温度センサ
11b 温度センサ
13a 回転数検出部
13b 回転数検出部
17 ROM
17a 第一のテーブル
17b 第二のテーブル
17c 第三のテーブル
17d 第四のテーブル
17e システムインピーダンス情報
17f 流路面積情報
18 プロセッサ
18b 第一の決定部
18c 第一の算出部
18d 第二の算出部
18e 変更部
18f 第三の算出部
18g 第二の決定部
18h 回転数制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器内の管路抵抗と、前記機器内に形成された通風路に対して直列に設けられた複数の送風機の回転数の比ごとの静圧−風量特性と、該複数の回転数の比ごとの風量と騒音値との特性とを記憶する記憶部と、
前記複数の送風機がそれぞれ所定の回転数で回転した場合に、前記所定の回転数の比に対応する前記静圧−風量特性に基づいて、前記通風路を流れる空気の第一の風量および第一の静圧を決定する第一の決定部と、
前記所定の回転数の比に対応する前記風量と騒音値との特性に基づいて、前記第一の決定部で決定された第一の風量に対応する第一の騒音値を算出する第一の算出部と、
複数の送風機の回転数の比のうち、前記所定の回転数の比以外の回転数の比の前記静圧−風量特性、前記管路抵抗を示す風量と静圧との関係、ならびに前記第一の風量および前記第一の静圧に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記所定の回転数の比以外の回転数の比で前記複数の送風機が回転した場合の前記通風路を流れる空気の第二の風量および第二の静圧を算出する第二の算出部と、
前記第一の風量および前記第二の風量に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記所定の回転数の比以外の回転数の比の風量と騒音値との特性を変更する変更部と、
前記変更部により変更された風量と騒音値との特性に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記第一の風量に対応する第二の騒音値を算出する第三の算出部と、
前記第一の騒音値および第二の騒音値のうち、最も騒音値が小さい騒音値に対応する回転数の比を、前記複数の送風機を回転させる場合の回転数の比として決定する第二の決定部と
を有することを特徴とする送風機制御装置。
【請求項2】
前記変更部は、前記第一の風量と前記第二の風量との比に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記所定の回転数の比以外の回転数の比の風量と騒音値との特性を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の送風機制御装置。
【請求項3】
前記機器内の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部により検出された温度に基づいて、前記機器内が所定の温度となるように、かつ、前記第二の決定部により決定された回転数の比に対する所定の許容範囲内の比で、前記複数の送風機が回転するように、前記複数の送風機の回転数を制御する回転数制御部と
をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の送風機制御装置。
【請求項4】
コンピュータに、
機器内の管路抵抗と、前記機器内に形成された通風路に対して直列に設けられた複数の送風機の回転数の比ごとの静圧−風量特性と、該複数の回転数の比ごとの風量と騒音値との特性とを記憶する記憶部を参照し、前記複数の送風機がそれぞれ所定の回転数で回転した場合に、前記所定の回転数の比に対応する前記静圧−風量特性に基づいて、前記通風路を流れる空気の第一の風量および第一の静圧を決定し、
前記所定の回転数の比に対応する前記風量と騒音値との特性に基づいて、決定された第一の風量に対応する第一の騒音値を算出し、
複数の送風機の回転数の比のうち、前記所定の回転数の比以外の回転数の比の前記静圧−風量特性、前記管路抵抗を示す風量と静圧との関係、ならびに前記第一の風量および前記第一の静圧に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記所定の回転数の比以外の回転数の比で前記複数の送風機が回転した場合の前記通風路を流れる空気の第二の風量および第二の静圧を算出し、
前記第一の風量および前記第二の風量に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記所定の回転数の比以外の回転数の比の風量と騒音値との特性を変更し、
変更された風量と騒音値との特性に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記第一の風量に対応する第二の騒音値を算出し、
前記第一の騒音値および第二の騒音値のうち、最も騒音値が小さい騒音値に対応する回転数の比を、前記複数の送風機を回転させる場合の回転数の比として決定する
各処理を実行させることを特徴とする送風機制御プログラム。
【請求項5】
コンピュータが実行する送風機制御方法であって、
機器内の管路抵抗と、前記機器内に形成された通風路に対して直列に設けられた複数の送風機の回転数の比ごとの静圧−風量特性と、該複数の回転数の比ごとの風量と騒音値との特性とを記憶する記憶部を参照し、前記複数の送風機がそれぞれ所定の回転数で回転した場合に、前記所定の回転数の比に対応する前記静圧−風量特性に基づいて、前記通風路を流れる空気の第一の風量および第一の静圧を決定し、
前記所定の回転数の比に対応する前記風量と騒音値との特性に基づいて、決定された第一の風量に対応する第一の騒音値を算出し、
複数の送風機の回転数の比のうち、前記所定の回転数の比以外の回転数の比の前記静圧−風量特性、前記管路抵抗を示す風量と静圧との関係、ならびに前記第一の風量および前記第一の静圧に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記所定の回転数の比以外の回転数の比で前記複数の送風機が回転した場合の前記通風路を流れる空気の第二の風量および第二の静圧を算出し、
前記第一の風量および前記第二の風量に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記所定の回転数の比以外の回転数の比の風量と騒音値との特性を変更し、
変更された風量と騒音値との特性に基づいて、前記所定の回転数の比以外の回転数の比ごとに、前記第一の風量に対応する第二の騒音値を算出し、
前記第一の騒音値および第二の騒音値のうち、最も騒音値が小さい騒音値に対応する回転数の比を、前記複数の送風機を回転させる場合の回転数の比として決定する
ことを特徴とする送風機制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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