説明

透明塗装ステンレス鋼板

【課題】透明な塗装が施されたステンレス鋼板であって、紫外線に曝されやすい外装用途に用いられたとしても、紫外線による透明塗膜の光沢劣化が抑制され、かつ、透明塗膜の鋼板に対する密着性が長期にわたって保持される塗装ステンレス鋼板を提供する。
【解決手段】1)ステンレス鋼板と、2)ポリビニルフェノール樹脂、チタン成分およびフッ化物を主成分として含み、前記ステンレス鋼版の表面に形成された有機・無機複合皮膜と、3)スチレン−(メタ)アクリル系共重合体および塗膜の固形分に対して0〜5質量%の光安定剤を含み、前記複合皮膜の表面に形成された透明塗膜とを有する透明塗装ステンレス鋼板において、前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体における、スチレン系モノマー単位Sと(メタ)アクリル系モノマー単位Aとの比率(A/S)が、2.5以上とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明な塗装が施されたステンレス鋼板に関する。
【背景技術】
【0002】
ステンレス鋼板は、ステンレス鋼の美麗な表面肌を活かすために、その表面を透明フッ素樹脂塗膜で被覆することがある(特許文献1を参照)。透明フッ素樹脂塗膜は、透明度が高く、耐久性にも優れる。透明フッ素樹脂塗膜で被覆された塗装鋼板は、清潔感が要求される調理器具や、厨房用品、キッチン家電などに使用される塗装鋼板として好適である。
【0003】
また特許文献1には、ステンレス鋼板の表面に形成する化成処理皮膜を、有機・無機複合皮膜とすれば、透明フッ素樹脂塗膜の鋼板への密着性が高まり、剥離が抑制されることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−261110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
透明フッ素樹脂塗膜は、紫外線吸収能をほとんど有さない。したがって、調理器具、厨房用品、キッチン家電などに使用される内装用の塗装鋼板の塗膜としては問題にならないことが多いものの、外装用の塗装鋼板の塗膜としては実用性に劣る。塗装鋼板に照射された紫外線のほとんど全てが塗膜を透過するので、塗装鋼板の表面に施された化成処理皮膜(特に、有機・無機複合皮膜)中の有機成分が劣化し、塗膜のアクリル成分に対する有機・無機複合皮膜の親和性が下がり、塗膜が剥離しやすくなるからである。なお、外装用の塗装鋼板の塗膜に紫外線吸収剤を添加して化成処理皮膜への紫外線照射量を減らすことも考えられるが、紫外線吸収剤は紫外線照射によって発熱してしまうため、塗膜自体を劣化させる恐れがある。
【0006】
本発明は、透明な塗装が施されたステンレス鋼板であって、紫外線に曝されやすい外装用途に用いられたとしても、紫外線による透明塗膜の光沢劣化が抑制され、かつ、透明塗膜の鋼板に対する密着性が長期にわたって保持される塗装ステンレス鋼板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明の第1は、以下に示す透明塗装ステンレス鋼板に関する。
[1] ステンレス鋼板と;ポリビニルフェノール樹脂、チタン成分およびフッ化物を主成分として含み、前記ステンレス鋼版の表面に形成された有機・無機複合皮膜と;スチレン−(メタ)アクリル系共重合体および塗膜の固形分に対して0〜5質量%の光安定剤を含み、前記複合皮膜の表面に形成された透明塗膜とを有し、
前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体における、スチレン系モノマー単位数Sと(メタ)アクリル系モノマー単位数Aとの比率(A/S)が、2.5以上である、透明塗装ステンレス鋼板。
[2] 前記光安定剤の塗膜の固形分に対する含有量は、0.5〜3質量%である[1]に記載の透明塗装ステンレス鋼板。
[3] 前記光安定剤は、ヒンダードアミン系光安定剤である[1]または[2]に記載の透明塗装ステンレス鋼板。
[4] 外装用鋼板である、[1]〜[3]のいずれかに記載の透明塗装ステンレス鋼板。
[5] 前記透明塗膜の厚さが、5〜20μmである、[1]〜[4]のいずれかに記載の透明塗装ステンレス鋼板。
【0008】
本発明の第2は、以下に示す透明塗装ステンレス鋼板の製造方法に関する。
[6] ステンレス鋼板の表面に、ポリビニルフェノール樹脂、チタンイオン源及びフッ化物イオン源を含む化成処理液を塗布して、有機・無機複合皮膜を形成するステップと;前記有機・無機複合皮膜の表面に、スチレンー(メタ)アクリル系共重合体と、樹脂固形分に対して0〜5質量%の光安定剤と、溶媒とを含む塗料をロールコーターにより塗布して、透明塗膜を形成するステップとを含み、
前記スチレンー(メタ)アクリル系共重合体における、スチレン系モノマー単位数Sと(メタ)アクリル系モノマー単位数Aとの比率(A/S)が、2.5以上である、透明塗装ステンレス鋼板の製造方法。
[7]前記光安定剤は、ヒンダードアミン系光安定剤である、[6]に記載の透明塗装ステンレス鋼板の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の透明塗装ステンレス鋼板は、透明塗膜の耐光劣化が抑制され、かつ、透明塗膜/化成処理皮膜界面の耐光劣化が抑制されるため、透明塗膜の化成処理皮膜に対する密着性が長期にわたって保持される。したがって、本発明の透明塗装ステンレス鋼板は、外装用途の塗装鋼板として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例4〜7の透明塗膜ステンレス鋼板に対する促進耐光性試験時間と光沢度保持率(%)との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の透明塗装ステンレス鋼板は、1)ステンレス鋼板、2)ポリビニルフェノール樹脂、チタン成分およびフッ化物を主成分として含み、前記ステンレス鋼板の表面に形成された有機・無機複合皮膜、3)スチレン−(メタ)アクリル系共重合体および光安定剤を含み、前記複合皮膜の表面に形成された透明塗膜とを有する。
【0012】
塗装原板であるステンレス鋼板の鋼種に特段の制約はなく、フェライト系、オーステナイト系、二相系などの各種ステンレス鋼が使用される。また、ステンレス鋼板には、任意の表面仕上げなどの処理が施されていてもよい。
【0013】
後述する化成処理皮膜としての有機・無機複合皮膜を形成する前に、ステンレス鋼板の表面を洗浄することが好ましい。洗浄には、アルカリ系脱脂剤を用いたアルカリ脱脂や、塩酸、硫酸、リン酸、フッ酸、硝酸等の酸性水溶液を用いた酸洗がある。さらに、活性表面を均一に調整するためのNi置換型表面調整等が必要に応じて施される。
【0014】
ステンレス鋼板の表面には、有機・無機複合皮膜が形成されている。有機・無機複合皮膜には、ポリビニルフェノール樹脂と、チタン成分と、フッ化物とが含まれる。このような有機・無機複合皮膜は、例えば、特許文献1に記載された化成処理皮膜である。
【0015】
有機・無機複合皮膜と透明塗膜との密着性を高めるため、化成処理液にポリビニルフェノール樹脂を添加する。ポリビニルフェノール樹脂は、透明塗膜を構成する(メタ)アクリル樹脂に類似した分子構造を有し、(メタ)アクリル樹脂に高い相溶性を示す。
【0016】
ポリビニルフェノール樹脂は、酸に可溶であることが好ましく、タンニン酸類などでありうる。ポリビニルフェノール樹脂のフェノール環には、置換基を有していてもよい。フェノール環に、ヒドロキシアルキル基またはジ(ヒドロキシアルキル)アミノ基を置換させると、塗膜との密着性を高めうる。ヒドロキシ基と、塗膜に含まれる(メタ)アクリル系モノマー単位との水素結合が生じて、密着性が高まると考えられる。
【0017】
有機・無機複合皮膜にはチタン成分が含まれているが、その含有量はチタン元素の付着量として3〜20mg/mの範囲であることが好ましい。前記付着量が3mg/m未満であると、有機・無機複合皮膜と鋼板表面とを架橋する作用が不足するおそれがある。そのため、透明塗装ステンレス鋼板の加工時に有機・無機複合皮膜が凝集破壊を起こし、塗膜の剥離が発生しやすくなる。一方、前記付着量が20mg/mより多くても、効果が飽和し経済的ではない。
【0018】
有機・無機複合皮膜にはフッ化物が含まれているが、その含有量はフッ素元素の付着量として7〜50mg/mの範囲であることが好ましい。フッ化物の量が少なすぎると、フッ化物イオンによる鋼板表面のエッチングが十分に起こらず、ステンレス鋼板と有機・無機複合皮膜との密着性が不足しやすい。一方、フッ化物の含有量が過剰になると、フッ化物イオンによるエッチングが過剰になり、有機・無機複合皮膜中に多量の金属が溶出して、有機・無機複合皮膜中に占める無機成分量が増大するため、硬く脆い無機複合皮膜となり、加工性に劣る。
【0019】
有機・無機複合皮膜の厚さは、数十nm程度であればよい。また、有機・無機複合皮膜中の有機成分(ポリビニルフェノール樹脂)は、透明塗膜側に偏在しやすく、鋼板表面側は少なくなる。したがって、有機・無機複合皮膜の有機成分は紫外線の影響を受けやすく、分解も起こりやすい。そして、有機成分が分解すると、透明樹脂塗膜との界面劣化が生じ、塗膜が剥離しやすくなる。
【0020】
有機・無機複合皮膜は、化成処理液をロールコート法、スピンコート法、スプレー法等でステンレス鋼板に塗布し、水洗せず乾燥することによって形成されうる。化成処理液には、ポリビニルフェノール樹脂などの有機成分のほかに、チタン源となる成分と、フッ化物イオン源となる成分とを含む。
【0021】
チタンは、酸素を介して鋼板表面に結合し、皮膜の密着性を高めると推察される。一方、フッ化物イオンは、鋼板の表面をエッチングして、鋼板表面を活性化し、チタンとの反応を促進させる。また、フッ化物イオンは、化成処理液の乾燥過程で、ステンレス鋼板から溶出した金属イオンと、難溶性のフッ化物(フッ化鉄など)を形成し、有機・無機複合皮膜の形成に寄与する。
【0022】
チタン源となる成分は、可溶性のチタンハロゲン化物や、チタン酸素酸塩などである。チタン源となる成分の例には、KTiF(K:アルカリ金属またはアルカリ土類金属、n:1または2)、K[TiO(COO)](K:アルカリ金属またはアルカリ土類金属)、TiCl、TiOSO、Ti(SO、Ti(OH)などが含まれる。また、フッ化物イオン源となる成分の例には、(NH)Fなどが含まれる。さらに、チタン源でもあり、フッ化物イオン源でもある成分の例には、(NHTiF、HTiF6、TiFなどが含まれる。
【0023】
チタンのフッ化物錯体である(NHTiFや、HTiFなどは、チタン源と、フッ化物イオン源とを、同時に化成処理液に導入できるので都合がよい。また、チタンのフッ化物錯体からのフッ化物イオンの解離は抑制されるので、これらを化成処理液の成分とすれば、ステンレス鋼板表面を急激にエッチングしたり、過剰に反応したりして、化成処理液が急激に劣化することを防止する。
【0024】
また、可溶性の金属リン酸塩または複合リン酸塩を有機・無機複合皮膜に含ませるため、化成処理液には各種金属のオルソリン酸塩やポリリン酸塩を添加してもよい。各種金属リン酸塩を化成処理液に添加してもよく、または各種金属塩を、リン酸、ポリリン酸またはリン酸塩とともに化成処理液に添加してもよい。
可溶性の金属リン酸塩または複合リン酸塩は、化成処理皮膜から溶出して皮膜欠陥部に溶出し、下地鋼の下地鋼成分と反応して不溶性リン酸塩を析出することによって、チタンフッ化物の自己修復作用を補完する。また、可溶性リン酸塩が解離する際に雰囲気が若干酸性化するため、チタンフッ化物の加水分解、ひいては難溶性チタン酸化物または水酸化物の生成が促進される。可溶性のリン酸塩または複合リン酸塩を生成する金属には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Mn等がある。
【0025】
さらに、有機・無機複合皮膜に可撓性を付与し、加工部における塗膜密着性を向上させるために、澱粉、コーンスターチ、ポリビニルアルコール、コロイダルシリカ等を添加してもよい。
【0026】
前記の通り、有機・無機複合皮膜は、ステンレス鋼板に化成処理液を塗布し、水洗せず乾燥することによって形成される。乾燥は常温で行ってもよいが、連続操業を考慮すると加熱温度を50℃以上に保持して乾燥時間を短縮することが好ましい。200℃を超える乾燥温度では、化成処理皮膜に含まれている有機成分が熱分解し、有機成分で付与された特性が損なわれることがある。
【0027】
有機・無機複合皮膜の表面には、透明塗膜が形成されている。透明塗膜には、(メタ)アクリル系モノマーとスチレン系モノマーとの共重合体と、光安定剤とが主成分として含まれる。
【0028】
(メタ)アクリル系樹脂は、透明塗膜の成分として一般的である。(メタ)アクリル系モノマーを共重合成分とする共重合体を含む塗膜は成膜性に優れ、かつ前述のポリビニルフェノール樹脂との密着性が高い。(メタ)アクリル系モノマーの例には、アクリル酸低級アルキルエステルや、メタアクリル酸低級アルキルエステルが含まれる。
【0029】
一方、スチレン系モノマーの例には、スチレンのほかに、スチレンのベンゼン環に置換基が導入された化合物が含まれる。スチレン系モノマーにはベンゼン骨格が含まれるため、スチレン系モノマーを共重合成分とすることにより共重合体の溶媒への溶解性が向上し、高濃度の塗膜液(塗料)を得ることができ;かつ得られる塗膜の硬度が向上する。特に、ロールコートで塗料を塗布する場合には、スプレーで塗料を塗布する場合と比較して、高粘度の塗料を準備する必要があるので、塗料の濃度を高くする必要がある。そこで、スチレン系モノマーを共重合成分とすることにより溶媒への溶解性を向上させることが好ましい。
【0030】
一方で、スチレン系モノマーを共重合成分とすると、透明塗膜に紫外線吸収能が付与される。紫外線を過剰に吸収すると、塗膜の分解が起こり、例えば塗膜の光沢が低下する。したがって、塗膜の品質保持という点からは、その含有量を減らすことが好ましい。
【0031】
そこで、透明塗膜に含まれる共重合体におけるスチレン系モノマー単位数Sと(メタ)アクリル系モノマー単位数Aとの比率(A/S)が、2.5以上であることが好ましい。つまり、スチレン系モノマー単位数Sに対する、(メタ)アクリル系モノマー単位数Aの比率を抑制することで、紫外線に曝される外装用途の塗装鋼板の塗膜に適用されても、劣化が抑制されうる。
【0032】
一方、前記比率(A/S)は、5以下であることが好ましい。スチレン系モノマー単位Sの含有率が低すぎると、溶媒への溶解性が低下して所望の塗料が得られなかったり、塗膜の硬度が低下したりすることがある。
【0033】
透明塗膜に含まれる共重合体におけるスチレン系モノマー単位数Sと(メタ)アクリル系モノマー単位数Aとの比率(A/S)は、ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)法により求めることができる。つまり、熱分解装置により塗膜片を分解してモノマー化した後、GC−MS法により、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体の各モノマー単位のマススペクトルを得て;スチレンモノマーに対応するピーク面積と、(メタ)アクリル系モノマーに対応するピーク面積とを求めて;各モノマーに対応する標準物質を用いて予め作成した各モノマーの検量線に基づいて、各ピーク面積を重量に換算し;(メタ)アクリル系モノマーの重量を、スチレン系モノマーの重量で除して算出することができる。
【0034】
GC−MS法によるマススペクトルの取得条件は下記の通りとすればよい。
GC−MS装置:HP 5989B(ヒューレット・パッカード社製)
カラム:HP−1MS(ヒューレット・パッカード社製)
長さ;25m 内径;0.2mm 膜厚;0.33μm
キャリアーガス:He
GCオーブン加熱条件:50℃(2分保持)−15℃/min−300℃
スプリット比:100:1
取り込みMass:40〜450m/e
【0035】
前記のとおり、本発明の塗装鋼板の透明塗膜には、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体が含まれるが、そのスチレン系モノマー単位の割合が低い。したがって塗膜による紫外線吸収能は十分でなく、照射された紫外線の多くは塗膜を透過し、塗膜の下地層である有機・無機複合皮膜に吸収される。そのため、有機・無機複合皮膜に含まれる有機成分、特にポリビニルフェノール樹脂が分解されやすいという問題が生じる。
【0036】
これに対して本発明者は、塗装鋼板の透明塗膜に光安定剤を含有させることで、塗膜自体の劣化はもちろんのこと、下地層である有機・無機複合皮膜の劣化をも抑制しうることを見出した。つまり、有機・無機複合皮膜に光安定剤を含有させることなく、それに隣接する膜である透明塗膜に光安定剤を含有させれば、有機・無機複合皮膜の分解を抑制できることがわかった。これは、(1)化成処理皮膜近傍の塗膜樹脂の分解抑制、及び(2)化成処理皮膜界面近傍の塗膜側から化成処理皮膜へ光安定剤が移行することによる化成処理皮膜有機成分の分解抑制によるものと推察される。
【0037】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系光安定剤等が挙げられるが、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS;Hindered Amine Light Stabilizer)がより好適であることが見出された。ヒンダードアミン系光安定剤の例には、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(三共製:SANOL LS770)、ビス(1,2,2,6,6−ペンダメチル−4−ピペリジル)セバケート(三共製:SANOL LS765)、1−{2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エル}−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(三共製:SANOL LS2626)、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(三共製:SANOL LS744)、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン(三共製:SANOL LS440)、2−(3,5−ジ−t−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(チバガイギー製:TINUVIN 144)、コハク酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステル(チバガイギー製:TINUVIN 780FF)、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの重縮合物(チバガイギー製:TINUVIN 622LD)、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]}(チバガイギー製:CHIMASSORB 944LD)、N,N'−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジンの重縮合物(チバガイギー製:CHIMASSORB 119FL)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(チバガイギー製:TINUVIN 292)、ビス(1−オクタオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(チバガイギー製:TINUVIN 123)、2,4-ビス[N-ブチル-N-(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミン)-1,3,5-トリアジン(チバガイギー製:TINUVIN 152)、HA−70G(三共製)、アデカスタブLA−52、アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−62、アデカスタブLA−63、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−68、アデカスタブLA−82、アデカスタブLA−87(以上、旭電化工業製)などが含まれる。
【0038】
透明塗膜に含まれるに光安定剤の含有量は、塗膜の固形分の0〜5.0質量%であることが好ましく、0.5〜3.0質量%であることがより好ましい。適量の光安定剤を透明塗膜に含有させることで、塗膜の劣化(例えば、光沢の低下を引き起こす)を抑制し、さらに有機・無機複合皮膜の劣化(例えば、塗膜の密着性の低下を引き起こす)を抑制する。
【0039】
透明塗膜には、光安定剤の他に、更なる耐食性の向上のために、塗装原板であるステンレス鋼板の金属感(光沢感など)を損なわない範囲で防錆剤を添加してもよい。防錆剤としては、環境負荷の大きなCr系防錆顔料に代えて変性シリカが使用されている。変性シリカは、イオン交換によってカルシウムイオンを結合させた多孔質シリカ粒子であり、水素イオン等の腐食性イオンをカルシウムイオンで捕捉することにより腐食抑制能を発現する。変性シリカの腐食抑制能は、樹脂成分100質量部に2〜50質量部の割合で変性シリカを配合したときに顕著になる。
【0040】
変性シリカに加えて、必要に応じてポリリン酸塩も使用してもよい。ポリリン酸塩を添加すると、樹脂塗膜中へのカルシウムイオンの溶出が抑制され、変性シリカの腐食抑制能が長期間にわたって維持される。使用可能なポリリン酸塩には、ピロリン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、トリポリリン酸二水素アルミニウム等がある。ポリリン酸塩は、シランカップリング剤やシリコーンオイル等の疎水性皮膜と異なり、シリカ粒子の表面にキレート結合のようなイオン結合を形成しカルシウムイオンの溶出を抑制するため、変性シリカの腐食抑制能が損なわれない。カルシウムイオンの溶出抑制には、変性シリカ/ポリリン酸塩の質量比を60/40〜5/95の範囲に維持することが好ましい。
【0041】
さらに、透明塗膜には着色剤として公知の顔料を添加することもできる。顔料を添加することで、透明塗膜に優れた外観を付与することができる。顔料は特に限定されないが、鱗片状無機基質を金属酸化物で被覆した透明又は半透明のパール顔料や、無色透明なつや消し剤であるシリカ、ガラスフレーク等は、耐光劣化による退色が少ないため好ましい。
【0042】
一方、透明塗膜に含まれる紫外線吸収剤は、5質量%以下であることが好ましく、実質的に紫外線吸収剤を含まないことがより好ましい。紫外線吸収剤を配合することにより、紫外線吸収剤の吸収波長光を本来ほとんど吸収しない透明塗膜中に持ち込むことになって、却って塗膜劣化が促進することを防止するためである。また、密着性等の塗膜物性の観点からも、成膜に直接寄与しない紫外線吸収剤配合量を極力抑えることが好ましい。
【0043】
透明塗膜の厚さは0.1〜20μm、好ましくは5〜20μmである。膜厚0.1μm以上でピンホール、未塗装部等の欠陥がない均一な樹脂塗膜が形成される。しかし、20μmを超える膜厚では、透明塗装ステンレス鋼板を成形加工する際、塗膜に亀裂、剥離等が生じやすくなる。
【0044】
透明塗膜塗料の塗布方法としては、ロールコート法、スプレー法、浸漬法等が挙げられるが、特に限定されない。高濃度の塗料の場合はロールコート法が好ましい。塗布後、1コート1ベーク方式、2コート2ベーク方式等により焼き付けることで塗膜を形成する。
【0045】
塗膜塗料には溶媒が含まれるが、好ましい溶媒の例にはキシレン、エチルベンゼン、ソルベッソ150(芳香族系混合溶媒)、DBE(エステル系混合溶媒)、n−ブタノール等が挙げられる。これらは1種単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよい。高温高速焼付けをするために、低沸点から高沸点の数種類の溶媒であって、塗料顔料、添加剤、顔料等に対する分散性のよい溶媒を混合して使用することが多い。塗料中の樹脂固形分濃度は特に限定されないが、ロールコート法を用いる場合は20〜70質量%の範囲とすることが好ましい。前述の通り、共重体成分におけるスチレン系モノマーの比率を高めると、共重合体の溶媒への溶解性が向上し、高濃度の塗料が得られる。
【0046】
本発明の透明塗装ステンレス鋼板は、外装用ステンレス部材、例えば自動車用のモール、バンパー、並びにマンション集合ポスト、マンション・戸建て用玄関ドア等、紫外線に曝される環境で使用されるステンレス部材として広く使用されうる。
【実施例】
【0047】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例により限定して解釈されない。
【0048】
SUS430ステンレス鋼板(板厚:0.5mm)に、アルカリ脱脂、水洗、乾燥を施して、化成処理用原板を用意した。
【0049】
次に、(NHTiF(Ti濃度20g/l、フッ素濃度48g/l)、およびジヒドロキシメチルアミノ基を有するポリビニルフェノール(40g/l)を含む化成処理液(溶媒:水)を、ステンレス鋼板に塗布し、水洗せずにオーブンに投入し、板温:100℃で加熱・乾燥し、ステンレス鋼板の表面に厚さ10nmの有機・無機複合皮膜を形成した。
【0050】
(実施例1)
スチレン、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、及びメタクリル酸エチルからなるアクリル−スチレン共重合体を、キシレンを溶媒として用いて調製した。重合体の数平均分子量(Mn)は31,000、重量平均分子量(Mw)は42,000であり、また、樹脂固形分は36%であった。このアクリル−スチレン共重合体エマルジョンを有機・無機複合皮膜を形成したステンレス鋼板の表面にロールコーターで塗布し、1コート1ベーク方式で250℃に一分間加熱した後、直ちに水冷することにより、膜厚:10μmの透明塗膜を成膜し、透明塗膜ステンレス鋼板を製造した。
【0051】
(実施例2〜4、比較例1)
アクリル−スチレン共重合体を表1に示すモノマー組成とした以外は、実施例1と同様にしてアクリル−スチレン共重合体のエマルジョンを調製し、有機・無機複合皮膜を形成したステンレス鋼板の表面にロールコーターで塗布し、透明塗膜ステンレス鋼板を製造した。
【0052】
(実施例5〜7)
アクリル−スチレン共重合体を表1に示すモノマー組成とし、ヒンダードアミン系光安定剤としてビス(1−オクタオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(チバガイギー製:TINUVIN 123)をエマルジョンに添加した以外は、実施例1と同様にしてアクリル−スチレン共重合体のエマルジョンを調製した。これを有機・無機複合皮膜を形成したステンレス鋼板の表面にロールコーターで塗布し、透明塗膜ステンレス鋼板を製造した。
【0053】
(実施例8〜10)
ヒンダードアミン系光安定剤として、2,4-ビス[N-ブチル-N-(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミン)-1,3,5-トリアジン(チバガイギー製:TINUVIN 152)を使用した以外は、実施例5〜7と同様にしてアクリル−スチレン共重合体のエマルジョンを調製し、透明塗膜ステンレス鋼板を製造した。
【0054】
((メタ)アクリル系モノマーの対スチレンモノマー比率の測定)
各透明塗装ステンレス鋼板の透明塗膜における(メタ)アクリル系モノマー単位数Aとスチレンモノマー単位数Sの比率(A/S)を、ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)により下記の手順で求めた。
【0055】
まず、各モノマーの標準物質をテトラヒドロフラン(THF)に溶解してGC−MS装置に導入し、得られた各成分のピーク面積と重量に基づいて各モノマーの検量線を作成した。
次いで、各透明塗膜ステンレス鋼板から採取した透明塗膜片(0.5mg)を、熱分解装置(キューリーポイントパイロライザーJHP−3型:日本分析工業社製)によって熱分解してモノマー化した(熱分解条件:590℃×5秒、熱分解雰囲気:He)。そして、発生したモノマーをGS−MS装置に導入して各モノマーに相当するピーク面積を求めた。前記検量線に基づいて、各モノマーの重量を算出し、(メタ)アクリル系モノマー単位数Aとスチレンモノマー単位数Sとの比率(A/S)を求めた(重量比)。
【0056】
ガスクロマトグラフ質量分析に用いた測定装置及び条件は、以下の通りである。
GC−MS装置:HP 5989B(ヒューレット・パッカード社製)
カラム:HP−1MS 長さ:25m 内径:0.2mm 膜厚:0.33μm(ヒューレット・パッカード社製)
キャリアーガス:He
GCオーブン加熱条件:50℃(2分保持)→300℃(加熱速度:15℃/min)
スプリット比:100:1
取り込みMass:40〜450m/e
【0057】
(ポリマー分子量測定)
各透明塗装ステンレス鋼板の透明塗膜における樹脂の数平均分子量(Mn)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により下記測定条件で測定した。結果を表1に示す。
測定装置:;HLC−8010(東ソー社製)
カラム:TSKgelG2000HXL+G4000HXL(2連)(東ソー社製)
温度:40℃(一定)
検出光:UV(波長:254nm)
サンプル:樹脂分5%THF溶液(10μl)
【0058】
(樹脂固形分測定)
各透明塗装ステンレス鋼板の透明塗膜の塗料をアルミカップに2g秤量し、105℃で3時間乾燥後、再度重量を測定し、残分重量/2g×100を樹脂固形分とした。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】

EA:アクリル酸エチル
MMA:メタクリル酸メチル
EMA:メタクリル酸エチル
ST:スチレン
【0060】
製造した透明塗装ステンレス鋼板から試験片を切り出し、以下の試験で塗膜性能を調査した。
【0061】
(耐候性評価)
〔サンシャインウェザーメーター(SW)試験〕
実施例1〜10及び比較例1の透明塗膜ステンレス鋼板に対して、63℃、1000時間のSW試験を、サンシャインカーボンアークウェザメータを使用して「JIS K5600」に準拠して行った。SW試験後の光沢度を測定し、試験前の光沢度と比較して光沢度保持率を算出した。結果を表2に示す。
【0062】
【表2】

【0063】
表2の結果から判るとおり、透明塗膜中のスチレン系モノマー単位Sに対する(メタ)アクリル系モノマー単位Aの比率(A/S)を2.5以上とした実施例1〜10の透明塗膜鋼板では、63℃、1000時間のSW試験後においても光沢度保持率が80%以上であり、透明塗膜の耐光劣化が抑制されていた。一方、A/Sが2.5未満である比較例1の透明塗膜鋼板はSW試験後における光沢度保持率が33%であり、耐候性が劣るものであった。スチレンによる過剰な紫外線吸収により塗膜の分解が起こり、光沢が低下したものと考えられる。
【0064】
〔促進耐光性(SUV)試験〕
実施例4〜7の透明塗膜ステンレス鋼板に対して、以下のように促進耐候性試験を行った。透明樹脂塗膜の上から下地のステンレス鋼に達するクロスカットをカッターナイフで入れて、試験サンプルを得た。得られた試験サンプルについてSUV試験を行い、500時間後および1000時間後の塗膜密着性を評価した。SUV試験のサイクル条件を「紫外線照射4時間(波長=365nm;63℃、70%RH)→暗室放置4時間(70℃、90%RH)→水噴霧10秒間→結露状態4時間(30℃、100%RH)→水噴霧10秒間」とした。
浮き、剥離等が生じていない試験片を○、切込みから幅0.5mm以下の浮きが検出された試験片を△、幅0.5mm以上の浮きが検出された試験片を×と評価した。実験結果を表3及び図1に示す。
【0065】
〔沸騰水試験〕
実施例4〜7の透明塗膜ステンレス鋼板に対して、以下のように沸騰水試験を行った。沸騰水に2時間漫漬して引き上げた試験片を「JIS G3312塗装溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯12.2.2曲げ試験」に準拠して2t曲げ加工し、曲げ部に粘着テープを一旦貼り付けて引き剥がすテーピング試験に供した。粘着テープ剥離後に塗膜を観察し、塗膜剥雌の有無を調査した。僅かでも塗膜剥離が検出された試験片を×、塗膜剥離が生じていない試験片を○として塗膜密着性を評価した。実験結果を表3に示す。
【0066】
【表3】

【0067】
表3の結果からわかるとおり、透明塗膜に光安定剤を添加した実施例5〜7のステンレス鋼板はいずれも、SUV試験1000時間後でも塗膜密着性に優れていた。また、図1に示すとおり、実施例5〜7のステンレス鋼板は、SUV試験1000時間後でも良好な光沢度保持率を示した。一方、透明樹脂塗膜に光安定剤を添加していない実施例4のステンレス鋼板では、沸騰水試験では十分な塗膜密着性を維持したものの、SUV試験500時間後に塗膜剥離が起こった。
このように、透明塗膜に光安定剤を添加すると、下地である有機・無機複合皮膜中の塗膜側に偏在したポリビニルフェノール樹脂の分解が抑制され、透明樹脂塗膜と有機・無機複合皮膜との界面の劣化が抑制されると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上に説明したように、化成処理皮膜として有機・無機複合皮膜を介してステンレス鋼板表面に形成される透明塗膜中の(メタ)アクリル系モノマー単位Aに対するスチレン系モノマー単位Sの比率を2.5以上とすることにより、透明塗膜の耐光劣化を抑制することができる。また、透明塗膜に光安定剤を配合した系では、透明塗膜/化成処理界面の耐光劣化が抑制されるため、透明塗膜の鋼板に対する密着性が長期にわたって保持される。そのため、本発明の透明塗装ステンレス鋼板は、紫外線に曝される外装用途の塗装鋼板として有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステンレス鋼板と、
ポリビニルフェノール樹脂、チタン成分およびフッ化物を主成分として含み、前記ステンレス鋼版の表面に形成された有機・無機複合皮膜と、
スチレン−(メタ)アクリル系共重合体および塗膜の固形分に対して0〜5質量%の光安定剤を含み、前記複合皮膜の表面に形成された透明塗膜とを有し、
前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体における、スチレン系モノマー単位数Sと(メタ)アクリル系モノマー単位数Aとの比率(A/S)が、2.5以上である、透明塗装ステンレス鋼板。
【請求項2】
前記光安定剤の塗膜の固形分に対する含有量は、0.5〜3質量%である請求項1に記載の透明塗装ステンレス鋼板。
【請求項3】
前記光安定剤は、ヒンダードアミン系光安定剤である請求項1に記載の透明塗装ステンレス鋼板。
【請求項4】
外装用鋼板である、請求項1に記載の透明塗装ステンレス鋼板。
【請求項5】
前記透明塗膜の厚さが、5〜20μmである、請求項1に記載の透明塗装ステンレス鋼板。
【請求項6】
ステンレス鋼板の表面に、ポリビニルフェノール樹脂、チタンイオン源及びフッ化物イオン源を含む化成処理液を塗布して、有機・無機複合皮膜を形成するステップと、
前記有機・無機複合皮膜の表面に、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体と、樹脂固形分に対して0〜5質量%の光安定剤と、溶媒とを含む塗料をロールコーターにより塗布して、透明塗膜を形成するステップとを含み、
前記スチレン−(メタ)アクリル系共重合体における、スチレン系モノマー単位数Sと(メタ)アクリル系モノマー単位数Aとの比率(A/S)が、2.5以上である、透明塗装ステンレス鋼板の製造方法。
【請求項7】
前記光安定剤は、ヒンダードアミン系光安定剤である、請求項6に記載の透明塗装ステンレス鋼板の製造方法。


【図1】
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【公開番号】特開2010−208278(P2010−208278A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59497(P2009−59497)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000004581)日新製鋼株式会社 (1,178)
【Fターム(参考)】