説明

透明導電体及び転写用導電性フィルム

【課題】低い電気抵抗値を有し、耐久性に優れると共に低コストで製造できる透明導電体、前記透明導電体を製造するために好適に用いることのできる転写用導電性フィルム、さらに、前記転写用導電性フィルムを用いて、前記透明導電体を製造する方法を提供する。
【解決手段】基材6と、基材6上の接着層5と、接着層5上の透明導電層3とを有する透明導電体20であって、接着層5は、硬化性化合物を少なくとも含む接着剤組成物の硬化物層であり、導電層3は、基材6とは反対側の表面に位置している表面層3aと、接着層5と接している内部層3bとを含む少なくとも2層の導電性微粒子の圧縮層からなり、前記少なくとも2層の導電性微粒子の圧縮層は、それぞれ平均粒径の異なる導電性微粒子から構成されており、表面層3aは、前記少なくとも2層の導電性微粒子の圧縮層のうち、最も小さい平均粒径を有する導電性微粒子から構成されている透明導電体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明導電体、及びそれを作製するために用いられる転写用導電性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスパネル(有機EL、無機EL)、タッチパネル、エレクトロクロミック素子といった表示装置には、透明電極が用いられている。このような透明電極は、基材と基材上に形成された透明導電層とからなる透明導電体によって構成されることが多い。また、透明導電体は、透明な電磁波遮蔽膜として用いることもできる。
【0003】
従来より、透明導電膜は主にスパッタリング法によって製造されている。スパッタリング法は、ある程度大きな面積のものでも、表面電気抵抗の低い導電膜を形成できる点で優れている。しかし、装置が大掛かりで成膜速度が遅いという欠点がある。
【0004】
塗布法による透明導電膜の製造も試みられている。従来の塗布法では、導電性微粒子がバインダー樹脂中に分散された導電性塗料を基材上に塗布して、乾燥し、硬化させ、導電膜を形成する。塗布法では、大面積の導電膜を容易に形成しやすく、装置が簡便で生産性が高く、スパッタリング法よりも低コストで導電膜を製造できるという長所がある。塗布法では、導電性微粒子同士が接触することにより電気経路を形成し導電性が発現される。しかしながら、従来の塗布法で作製された導電膜ではバインダー樹脂の存在のために導電性微粒子同士の接触が不十分で、得られる導電膜の電気抵抗値が高い(導電性に劣る)という欠点があり、その用途が限られてしまう。
【0005】
バインダー樹脂を用いない塗布法として、例えば、特開平8−199096号公報には、錫ドープ酸化インジウム(ITO)粉末、溶媒、カップリング剤、金属の有機酸塩もしくは無機酸塩からなる、バインダーを含まない導電膜形成用塗料をガラス板に塗布し、300℃以上の温度で焼成する方法が開示されている。この方法では、バインダーを用いないので、導電膜の電気抵抗値は低くなる。しかしながら、高温での焼成が必要であり、基材としては、ガラス板のように高温にも耐え得る材料のものに限られてしまう。
【0006】
特開平6−103839号公報には、透明導電性基板を転写によって製造する方法が開示されている。
【0007】
特開2002−347150号公報には、対象物体表面上に透明導電層を形成するための転写用導電性フィルムが開示されている。転写用導電性フィルムの導電層は、導電性微粒子を圧縮することにより形成されたものである。この転写用導電性フィルムを用いて、対象物体表面上に透明導電層を形成することが開示されている。
【0008】
また、特開2007−253425号公報、特開2007−257963号公報、及び特開2007−257964号公報には、対象物体表面上に透明導電層を形成するための転写用導電性フィルムが開示されている。転写用導電性フィルムの導電層は、導電性微粒子を圧縮することにより形成されたものである。この転写用導電性フィルムを用いた透明導電層が付与された物体が開示されている。
【0009】
特開2006−185865号公報には、基材と、導電層と、前記基材と前記導電層との間に設けられている樹脂及びフィラーを含有する中間層とを備える透明導電体が開示されている。透明導電体の製造を転写的に行ってもよいことも開示されている(段落[0060]〜[0063])。しかしながら、導電層は、導電粉とバインダー樹脂とを塗布することにより形成されたものである。
【0010】
また、特開2001−328192号公報には、転写用のものではないが、支持体上に、導電層を含む少なくとも2層の各種機能を発現できる多層機能性層が設けられた機能性膜が開示されている。
【0011】
ところで、タッチパネル等のパネルスイッチは、一般に、互いに対向する一対の透明電極と、これら一対の透明電極間に挟まれたスペーサとから構成され、一方の透明電極を指やペンなどで押圧すると、この透明電極が他方の透明電極と接触して通電が起こり、これによって、その接触点の位置が検知される。タッチパネルを繰り返し使用すると、繰り返しの押圧や、押圧時の指やペンなどでの摺動によって、透明導電体の導電層にクラックや削れが生じて、電気抵抗値の変化やバラツキ、リニアリティーの悪化が起こる。
【0012】
特開平8−64067号公報には、スパッタリング法により形成された透明導電層を有するペン入力タッチパネルが開示されている。また、特開2001−283644号公報には、スパッタリング法により形成された透明導電層を有する透明導電性フィルム及びタッチパネルが開示されている。
【0013】
また、特開平6−202789号公報には、繰り返し使用における耐久性を向上させるために、少なくとも一方の電極表面を電極材料と結合可能な官能基を有する絶縁性鎖状有機高分子化合物で被覆処理した描画パッドが開示されている。しかしながら、電極表面を絶縁性有機高分子化合物で被覆処理すると、表面抵抗値が上昇し、対向する透明電極同士が接触する際の接触抵抗値が高くなる。そのため、押圧時の圧力を大きくしなければ電極同士の接触による通電が起こらなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平8−199096号公報
【特許文献2】特開平6−103839号公報
【特許文献3】特開2002−347150号公報
【特許文献4】特開2007−253425号公報
【特許文献5】特開2007−257963号公報
【特許文献6】特開2007−257964号公報
【特許文献7】特開2006−185865号公報
【特許文献8】特開2001−328192号公報
【特許文献9】特開平8−64067号公報
【特許文献10】特開2001−283644号公報
【特許文献11】特開平6−202789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、低い電気抵抗値を有し、耐久性に優れると共に低コストで製造できる透明導電体を提供することにある。また、本発明の目的は、前記透明導電体を製造するために好適に用いることのできる転写用導電性フィルムを提供することにある。さらに、本発明の目的は、前記転写用導電性フィルムを用いて、前記透明導電体を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明には、以下の発明が含まれる。
(1) 基材と、前記基材上の接着層と、前記接着層上の透明導電層とを有する透明導電体であって、
前記接着層は、硬化性化合物を少なくとも含む接着剤組成物の硬化物層であり、
前記導電層は、前記基材とは反対側の表面に位置している表面層と、前記接着層と接している内部層とを含む少なくとも2層の導電性微粒子の圧縮層からなり、
前記少なくとも2層の導電性微粒子の圧縮層は、それぞれ平均粒径の異なる導電性微粒子から構成されており、
前記表面層は、前記少なくとも2層の導電性微粒子の圧縮層のうち、最も小さい平均粒径を有する導電性微粒子から構成されている、透明導電体。
【0017】
(2) 前記表面層を構成する導電性微粒子の平均粒径は、10〜20nmである、上記(1)に記載の透明導電体。
【0018】
(3) 前記表面層は、0.2〜0.7μmの厚みを有する、上記(1)又は(2)に記載の透明導電体。
【0019】
(4) 前記内部層を構成する導電性微粒子の平均粒径は、25〜80nmである、上記(1)〜(3)のうちのいずれかに記載の透明導電体。
【0020】
(5) 前記内部層は、0.3〜1.3μmの厚みを有する、上記(1)〜(4)のうちのいずれかに記載の透明導電体。
【0021】
(6) 前記導電性微粒子は、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、ガリウムドープ酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、硼素ドープ酸化亜鉛、及び酸化カドミウムからなる群から選ばれる導電性無機微粒子である、上記(1)〜(5)のうちのいずれかに記載の透明導電体。
【0022】
(7) 支持体と、前記支持体上の前記支持体とは剥離可能な透明導電層と、前記透明導電層上の接着剤層とを少なくとも含む転写用導電性フィルムであって、
前記接着剤層は、硬化性化合物を少なくとも含む接着剤組成物からなり、
前記導電層は、前記支持体に接している層と、前記接着剤層に接している層とを含む少なくとも2層の導電性微粒子の圧縮層からなり、
前記少なくとも2層の導電性微粒子の圧縮層は、それぞれ平均粒径の異なる導電性微粒子から構成されており、
前記支持体に接している層は、前記少なくとも2層の導電性微粒子の圧縮層のうち、最も小さい平均粒径を有する導電性微粒子から構成されている、転写用導電性フィルム。
【0023】
(7−2) 前記支持体に接している層を構成する導電性微粒子の平均粒径は、10〜20nmである、上記(7)に記載の透明導電体。
【0024】
(7−3) 前記支持体に接している層は、0.2〜0.7μmの厚みを有する、上記(7)又は(7−2)に記載の透明導電体。
【0025】
(7−4) 前記接着剤層に接している層を構成する導電性微粒子の平均粒径は、25〜80nmである、上記(7)〜(7−3)のうちのいずれかに記載の透明導電体。
【0026】
(7−5) 前記接着剤層に接している層は、0.3〜1.3μmの厚みを有する、上記(7)〜(7−4)のうちのいずれかに記載の透明導電体。
【0027】
(7−6) 前記導電性微粒子は、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、ガリウムドープ酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、硼素ドープ酸化亜鉛、及び酸化カドミウムからなる群から選ばれる導電性無機微粒子である、上記(7)〜(7−5)のうちのいずれかに記載の透明導電体。
【0028】
前記導電性微粒子の圧縮層は、導電性微粒子を分散した液を支持体上に、塗布、乾燥して形成された導電性微粒子含有層を圧縮することにより得ることができる。各圧縮層において、所望の平均粒径を有する導電性微粒子を用いる。前記導電性微粒子の圧縮層は、44N/mm2 以上の圧縮力で圧縮することにより得られたものであることが好ましい。また、常温(15〜40℃)にて圧縮することにより得られたものであることが好ましい。均一厚みの透明導電層が形成される。
【0029】
前記転写用導電性フィルムを製造するに際して、前記導電性微粒子の分散液は、少量の樹脂を含んでも良いが、特に樹脂を含まないことが好ましい。前記導電性微粒子の分散液が樹脂を含む場合には、前記樹脂の含有量は、体積で表して、前記導電性微粒子の体積を100としたとき、例えば25未満の体積、好ましくは19未満の体積、より好ましくは3.7未満の体積である。導電性微粒子含有層の圧縮の際に樹脂が含まれていないか、あるいは含まれていても少量であることにより、圧縮後に、導電性微粒子相互間の接触点が増え、導電層の膜強度が増すと共に導電性が良好となる。
【0030】
前記導電性微粒子の圧縮層中の導電性微粒子相互の間には、空隙が存在している。この空隙中に、最上の圧縮層上に形成される接着剤層の前記接着性成分が含浸する。接着剤層は、前記導電性微粒子の圧縮層が形成された後(圧縮操作後)に、最上の圧縮層上に塗布により形成される。転写の際に、含浸している前記接着性成分が硬化させられるため、前記導電層の膜強度がさらに増す。また、硬化した接着層と、前記導電層との密着性も向上する。
【0031】
(8) 上記(1)に記載の透明導電体を製造する方法であって、
基材表面に、上記(7)に記載の転写用導電性フィルムを、前記フィルムの前記接着剤層を介して前記支持体が外側になるようにして貼り付け、貼り付け後に前記接着剤層を硬化させ、その後、前記支持体を剥離することを含む、透明導電体の製造方法。
【0032】
硬化操作は、接着剤層の硬化性化合物に応じて行われる。すなわち、熱硬化性化合物の場合には、加熱により硬化させる。活性エネルギー線硬化性化合物の場合には、活性エネルギー線照射により硬化させる。
【0033】
活性エネルギー線の照射は、前記基材側から行うとよい。前記導電層(導電性微粒子の圧縮層)による活性エネルギー線の吸収があるため、前記支持体側からではなく、前記基材側から活性エネルギー線の照射を行うとよい。活性エネルギー線の照射により、前記接着剤層が硬化させられると共に、前記導電層中に含浸している前記接着性成分も硬化させられる。それによって、前記導電層の膜強度がより向上し、前記導電層のヘイズ値も良好となる。
【0034】
このように本発明の透明導電体は、上記本発明の転写用導電性フィルムを用いて、転写用導電性フィルムの導電層を接着剤層を介して基材表面に転写することにより得ることができる。
【0035】
なお、本発明において、「支持体とは剥離可能な透明導電層」あるいは「支持体から剥離可能な透明導電層」とは、支持体と透明導電層とが互いに剥離可能な状態であることを意味する。本発明の転写用導電性フィルムを実際に使用する際には、接着剤層を介して基材表面上に貼り付けられた導電層から支持体を剥離することが多い。
【0036】
本発明の転写用導電性フィルムにおいて、転写用導電性フィルムの作製の際に支持体上に導電性微粒子を固定する役目を果たし、そして、基材上への導電層の転写の際に、接着剤層が硬化されれば、支持体から導電層を剥離しやすくする役目を果たすために、支持体は、その表面にアンカー層が設けられていることも好ましい。このような場合には、本発明においては、アンカー層を含めて支持体と称する。
【発明の効果】
【0037】
本発明の透明導電体によれば、上記のように、透明導電層は、表面層と内部層とを含む少なくとも2層の導電性微粒子の圧縮層からなり、前記表面層は、前記少なくとも2層の導電性微粒子の圧縮層のうち、最も小さい平均粒径を有する導電性微粒子から構成されている。このように、透明導電層の最表面に最も小さい平均粒径を有する導電性微粒子から構成されている表面層が配置されているので、導電層の表面粗さが小さく抑えられ、繰り返し使用による導電層のクラックや削れの発生を防止でき、透明導電体の十分な耐久性が得られる。また、前記表面層よりも接着層に近い内部側には、前記表面層を構成する導電性微粒子の平均粒径よりも大きな平均粒径を有する導電性微粒子から構成されている内部層が配置されているので、導電性能が確保され、透明導電体の表面抵抗値は小さくできる。このようにして、本発明によれば、表面抵抗値が小さく且つ十分な耐久性を有する透明導電体が提供される。
【0038】
また、本発明によれば、前記透明導電体を製造するために好適に用いることのできる転写用導電性フィルムが提供される。
【0039】
本発明の転写用導電性フィルムは、導電性微粒子の分散液の塗布、圧縮による導電性微粒子の圧縮層の形成、その後の接着剤層の塗布形成という簡便な操作で低コストで製造することができる。低い電気抵抗値を有する均一厚みの透明導電層が形成される。
【0040】
さらに、本発明によれば、前記本発明の転写用導電性フィルムを用いて、前記本発明の透明導電体を製造する方法が提供される。
【0041】
本発明の透明導電体は、透明電極用、帯電防止用、電磁波シールド用として、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスパネル(有機EL、無機EL)、タッチパネル、エレクトロクロミック素子、電子ペーパーなどの表示装置、及びアンテナに適用できる。
【0042】
本発明の透明導電体は、表面抵抗値が小さく且つ十分な耐久性を有するので、タッチパネル等のパネルスイッチに特に好適に用いられる。タッチパネル等のパネルスイッチに適用した場合に、その入力荷重(押圧)は良好なレベルに維持される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の転写用導電性フィルムの一例を示す断面図である。
【図2】本発明の透明導電体の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
(1) :支持体
(1a):支持体本体
(1b):アンカー層
(2a):導電性微粒子(最小平均粒径の粒子)
(2b):導電性微粒子
(3) :透明導電層
(3a):透明導電層(最小平均粒径の導電性微粒子からなる層)
(3b):透明導電層
(5) :未硬化の接着剤層
(10):転写用導電性フィルム
(6) :基材
(5) :硬化した接着層
(20):透明導電体
【発明を実施するための形態】
【0045】
まず、本発明の転写用導電性フィルム(以下、単に導電性フィルムとも記す)について説明する。
【0046】
図1は、転写用導電性フィルムの層構成例を示す断面図である。図1の導電性フィルムにおいて、支持体本体(1a)と本体(1a)の一方の表面上に設けられたアンカー層(1b)とからなる支持体(1) のアンカー層(1b)上に透明導電層(3) が形成され、透明導電層(3) 上に接着剤層(5) が形成されている。透明導電層(3) は、支持体(1) に接している層(3a)と、層(3a)上に接しており且つ接着剤層(5) に接している層(3b)とを含む2層の導電性微粒子の圧縮層からなり、支持体(1) とは剥離可能に設けられている。また、使用時まで接着剤層面を保護するために、接着剤層(5) 上に図示されない剥離フィルムが付与されていてもよい。
【0047】
本発明における透明とは、可視光を透過することを意味し、光をある程度散乱しても透明の概念に含まれる。光の散乱度合いについては、転写用導電性フィルムの用途すなわち導電層が転写形成される対象物体(基材)の用途により要求されるレベルが異なり、一般に半透明といわれるような光の散乱のある場合も透明の概念に含まれる。
【0048】
本発明において、支持体本体(1a)として、後述する圧縮工程の圧縮力を大きくしても割れることがない可撓性樹脂フィルムが好適である。本発明では、転写用導電性フィルムの製造において、高温での加圧工程や、焼成工程がないので、樹脂フィルムを支持体として用いることができる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム、ノルボルネンフィルム等が挙げられる。
【0049】
アンカー層(1b)は、導電性微粒子の圧縮層からなる導電層(3) を支持体(1) 上に形成し保持する役割を果たすために、ある程度の硬さとクッション性を有していることが好ましく、また一方で、転写に際してアンカー層(1b)と導電層(3) との間で剥離されるために、アンカー層(1b)は比較的硬いことが好ましく、支持体本体(1a)とアンカー層(1b)との密着性は、アンカー層(1b)と導電層(3) との密着性よりも高いことが好ましい。アンカー層(1b)は、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂等の中から選定して、樹脂の溶液を支持体本体(1a)上に塗布、乾燥して形成するとよい。この際の塗布は、公知の方法により行うことができる。例えば、エクストルージョンノズル法、ブレード法、ナイフ法、バーコート法、キスコート法、グラビアロール法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、カーテン法、スクイズ法などの塗布法によって行うことができる。
【0050】
アンカー層(1b)の厚みは、限定されないが、例えば、0.5〜5μm程度とすればよい。アンカー層(1b)の厚みが0.5μm未満であると、導電性粒子を支持体(1) 上にしっかり固定させる効果が得られにくく、一方、5μmより厚いと、硬化性樹脂を用いた場合に転写操作の活性エネルギー線照射の際に硬化不足となる可能性がある。アンカー層(1b)が完全に硬化した方が高い硬度となるので、転写に際してアンカー層(1b)と導電層(3) との間で容易に剥離されやすい。
【0051】
支持体(1) のアンカー層(1b)上に、導電性微粒子の分散液を用いて透明導電層(3) を形成する。透明導電層(3) は、支持体(1) に接している層(3a)と、層(3a)上に接しており且つ接着剤層(5) に接している層(3b)との2層の導電性微粒子の圧縮層からなる。
【0052】
導電性微粒子は、透明導電性酸化物材料から構成されていることが好ましい。透明導電性酸化物材料は、透明性及び導電性を有すれば特に限定されないが、例えば、酸化インジウム、又は酸化インジウムに、錫、亜鉛、テルル、銀、ガリウム、ジルコニウム、ハフニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素がドープされたもの; 酸化錫、又は酸化錫に、アンチモン、亜鉛及びフッ素からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素がドープされたもの; 酸化亜鉛、又は酸化亜鉛に、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ホウ素、フッ素、及びマンガンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素がドープされたもの; 酸化チタンにニオブもしくはタンタルがドープされたもの等が挙げられる。
【0053】
好適な導電性微粒子としては、例えば、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、ガリウムドープ酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、硼素ドープ酸化亜鉛、酸化カドミウム等の導電性無機微粒子が用いられる。ITOがより優れた導電性が得られる点で好ましい。あるいは、ATO、ITO等の無機材料を硫酸バリウム等の透明性を有する微粒子の表面にコーティングしたものを用いることもできる。
【0054】
支持体(1) に接している層(3a)は、対象物体への転写操作において支持体(1) が剥離されるので、転写後には露出されるべき表面層(3a)である。
【0055】
表面層(3a)用の導電性微粒子(2a)の平均粒径は、10nm〜20nmであることが好ましい。平均粒径が10nm未満であると、平均粒径が10nm以上である場合と比べて、透明導電体の導電性が十分に得られない傾向がある。一方、平均粒径が20nmを超えると、平均粒径が上記範囲にある場合と比較して、表面層(3a)の表面平滑性が低下し、透明導電体をタッチパネルとして用いた場合に、十分な耐久性が得られない傾向がある。より好ましい導電性微粒子(2a)の平均粒径は、例えば上限17nm、下限12nmである。また、シランカップリング剤で表面処理された粒子を用いてもよい。平均粒径は、例えば、透過型電子顕微鏡を用いて測定することができる(JISH7804)。
【0056】
表面層(3a)用の導電性微粒子(2a)の比表面積は、52m2 /g〜63m2 /g であることが好ましい。導電性微粒子の比表面積が52m2 /g 未満であると、比表面積が上記範囲である場合と比較して、表面層(3a)の表面平滑性が低下し、透明導電体をタッチパネルとして用いた場合に、十分な耐久性が得られない傾向がある。一方、比表面積が63m2 /g を超えると、比表面積が上記範囲である場合と比較して、透明導電体の導電性が十分に得られない傾向がある。より好ましい導電性微粒子(2a)の比表面積は、例えば上限60m2 /g、下限55m2 /gである。なお、ここで言う比表面積は、BET法によるものであり、比表面積測定装置(型式:NOVA2000、カンタクローム社製)を用いて、試料を300℃で30分間真空乾燥した後に測定した値である。
【0057】
表面層(3a)の膜厚は、0.2μm〜0.7μmであることが好ましい。膜厚が0.2μm未満であると、表面層(3a)の表面平滑性の改善効果が少なく、透明導電体をタッチパネルとして用いた場合に、十分な耐久性が得られない傾向がある。一方、膜厚が0.7μmを超えると、透明導電体の導電性が十分に得られない傾向がある。より好ましい表面層(3a)の膜厚は、例えば上限0.5μm、下限0.3μmである。
【0058】
支持体(1) に接している層(3a)[すなわち表面層(3a)]に接しており且つ接着剤層(5) に接している層(3b)は、対象物体への転写後には硬化した接着層(5) を介して対象物体に最も近く位置されるべき内部層(3b)である。
【0059】
内部層(3b)用の導電性微粒子(2b)の平均粒径は、25nm〜80nmであることが好ましい。平均粒径が25nm未満であると、平均粒径が25nm以上である場合と比べて、透明導電体の導電性が十分に得られない傾向がある。一方、平均粒径が80nmを超えると、平均粒径が上記範囲にある場合と比較して、可視光の波長領域で光散乱が大きくなり、ヘイズ値が増加する傾向がある。より好ましい導電性微粒子(2b)の平均粒径は、例えば上限50nm、下限30nmである。
【0060】
内部層(3b)用の導電性微粒子(2b)の比表面積は、10m2 /g〜48m2 /g であることが好ましい。導電性微粒子の比表面積が10m2 /g 未満であると、比表面積が上記範囲である場合と比較して、可視光の波長領域で光散乱が大きくなり、ヘイズ値が増加する傾向がある。一方、比表面積が48m2 /g を超えると、比表面積が上記範囲である場合と比較して、透明導電体の導電性が十分に得られない傾向がある。より好ましい導電性微粒子(2b)の比表面積は、例えば上限45m2 /g、下限25m2 /gである。
【0061】
内部層(3b)の膜厚は、0.3μm〜1.3μmであることが好ましい。膜厚が0.3μm未満であると、透明導電体の導電性が十分に得られない傾向がある。一方、膜厚が1.3μmを超えると、透明導電体の光透過率が低下する傾向がある。より好ましい内部層(3b)の膜厚は、例えば上限0.7μm、下限0.5μmである。
【0062】
図1においては、透明導電層(3) が、支持体(1) に接している層(3a)[すなわち表面層(3a)]と、層(3a)に接しており且つ接着剤層(5) に接している層(3b)[すなわち内部層(3b)]との2層からなる形態が示されている。本発明においては、図1の例に限定されず、透明導電層(3) が、支持体(1) に接している層(3a)[すなわち表面層(3a)]と、接着剤層(5) に接している層(3b)[すなわち内部層(3b)]と、これらの間に位置する中間層との3層からなる形態も含まれる。さらに、前記中間層が2層以上設けられている形態も含まれる。
【0063】
中間層用の導電性微粒子の平均粒径は、表面層(3a)用の導電性微粒子(2a)の平均粒径よりも大きい。また、中間層用の導電性微粒子の平均粒径は、内部層(3b)用の導電性微粒子(2b)の平均粒径よりも小さいことが好ましい。これら条件を満たすように、中間層用の導電性微粒子の平均粒径は、例えば20nm〜25nmであることが好ましい。前記中間層を2層以上設ける場合には、表面層(3a)側から内部層(3b)に向かうに従って順次、該中間層を構成する導電性微粒子の平均粒径が大きくなるようにするとよい。
【0064】
中間層用の導電性微粒子の比表面積は、表面層(3a)用の導電性微粒子(2a)の比表面積よりも小さく、内部層(3b)用の導電性微粒子(2b)の比表面積よりも大きいことが好ましい。この条件を満たすように、中間層用の導電性微粒子の比表面積は、例えば45m2 /g〜85m2 /g であることが好ましい。前記中間層を2層以上設ける場合には、表面層(3a)側から内部層(3b)に向かうに従って順次、該中間層を構成する導電性微粒子の比表面積が小さくなるようにするとよい。
【0065】
中間層の膜厚は、特に限定されることなく、例えば0.2μm〜0.4μmとすることが好ましい。前記中間層を2層以上設ける場合には、それらの合計の膜厚が上記範囲となるようにするとよい。
【0066】
中間層を設ける場合の導電性微粒子の平均粒径、比表面積、膜厚については、上述した表面層(3a)、内部層(3b)の記述をも参考にして適宜決定するとよい。
【0067】
本発明において、表面層(3a)用、内部層(3b)用、及び必要に応じて中間層用の各導電性微粒子の分散液を作製する。
【0068】
導電性微粒子を分散する分散媒としては、特に限定されることなく、既知の各種液体を使用することができる。例えば、液体として、ヘキサン等の飽和炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、エチレンクロライド、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等を挙げることができる。これらのなかでも、極性を有する液体が好ましく、特にメタノール、エタノール等のアルコール類、NMP等のアミド類のような水と親和性のあるものは、分散剤を使用しなくても分散性が良好であり好適である。これら液体は、単独でも2種以上の混合したものでも使用することができる。また、液体の種類により、分散剤を使用することもできる。
【0069】
また、分散媒として、水も使用可能である。水を用いる場合には、支持体(1) (アンカー層がない場合)又は支持体本体(1a)上に設けられたアンカー層(1b)の表面が親水性のものである必要がある。樹脂フィルムやアンカー層(樹脂層)は通常疎水性であるため水をはじきやすく、均一な膜が得られにくい。このような場合には、水にアルコールを混合するとか、あるいはアンカー層の表面をコロナ処理などにより親水性にする必要がある。
【0070】
用いる分散媒の量は、特に制限されず、前記導電性微粒子の分散液が塗布に適した粘度を有するようにすればよい。例えば、前記導電性微粒子100重量部に対して、液体100〜100,000 重量部程度である。前記導電性微粒子と分散媒の種類に応じて適宜選択するとよい。
【0071】
前記導電性微粒子の分散媒中への分散は、公知の分散手法により行うとよい。例えば、サンドグラインダーミル法により分散する。分散に際しては、微粒子の凝集をほぐすために、ジルコニアビーズ等のメディアを用いることも好ましい。
【0072】
なお、前記導電性微粒子の分散液中には、目的とする性能を損なわない程度に、必要に応じて添加剤を更に含有してもよい。添加剤としては、難燃剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、可塑剤、結合剤、カップリング剤、フィラー、レべリング剤、界面活性剤等が挙げられる。透明電極用途であれば、低い電気抵抗値が要求されるので、これらの添加剤は用いるとしても少量とすべきであろう。帯電防止用途であれば、これらの添加剤により、付加的な性能を与えてもよい。
【0073】
まず、調製した表面層(3a)用の導電性微粒子の分散液を支持体(1) (アンカー層(1b))上に、塗布、乾燥し、導電性微粒子含有層を形成する。前記微粒子分散液の塗布は、特に限定されることなく、公知の方法により行うことができ、例えば、アンカー層の塗布で説明した方法と同様の塗布法によって行うことができる。乾燥温度は分散に用いた分散媒の種類によるが、10〜150℃程度が好ましい。10℃未満では空気中の水分の結露が起こりやすく、150℃を越えると樹脂フィルム支持体が変形する。
【0074】
その後、前記表面層(3a)用の導電性微粒子含有層をシートプレス、ロールプレス等により圧縮し、導電性微粒子の圧縮層(3a)を形成する。圧縮することで導電性微粒子相互間の接触点が増え接触面が増加する。このため、塗膜強度が上がると共に、電気抵抗値が低下する。導電性に優れ、膜強度に優れる導電層を得るために、圧縮は44N/mm2 以上の圧縮力で行うことが好ましく、135N/mm2 以上の圧縮力がより好ましく、180N/mm2 以上の圧縮力が更に好ましい。圧縮力を高くするほど装置の耐圧を上げなくてはならないので、一般には1000N/mm2 までの圧縮力が適当である。また、圧縮は常温(15〜40℃)にて行うことが好ましい。ロールプレス機のロール温度を常温(15〜40℃)とするとよい。
【0075】
次に、圧縮された表面層(3a)の上に、同様の方法で、内部層(3b)用の導電性微粒子の分散液を塗布、乾燥し、導電性微粒子含有層を形成する。その後、前記内部層(3b)用の導電性微粒子含有層を、同様の方法で、圧縮し、導電性微粒子の圧縮層(3b)を形成する。
【0076】
中間層を設ける場合には、表面層(3a)の形成に続いて、中間層の塗布、乾燥、圧縮を行い、その後、内部層(3b)を形成するとよい。
【0077】
このようにして、2層以上の導電性微粒子の圧縮層からなる透明導電層(3) が形成される。導電性微粒子圧縮層の全体厚みは、用途にもよるが、0.5μm〜2.5μm程度、好ましくは1.0〜2.0μm程度とすればよい。なお、図1においては、透明導電層(3) の表面層(3a)及び内部層(3b)が概念的に表されている。両層(3a)(3b)の界面付近では、小径粒子(2a)と大径粒子(2b)とがある程度混在していると考えられる。
【0078】
次に、透明導電層(3) 上に接着剤組成物からなる接着剤層(5) を形成する。
【0079】
前記接着剤組成物としては、硬化性化合物を含み、導電性フィルムの前記導電層(3) と導電層(3) が転写されるべき基材(6) の表面の双方に対して親和性があり、両者を強力に接着できる接着剤であれば、特に限定されることなく、公知の種々の接着剤を用いることができる。例えば、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、イソシアネート系接着剤、シリコーン系接着剤等が挙げられる。得られた導電性微粒子の圧縮層(3) 中の導電性微粒子相互の間には空隙が存在しているので、前記接着剤組成物は圧縮層(3) 中に含浸する。
【0080】
前記接着剤組成物は、活性エネルギー線反応性基を有する硬化性化合物を含んでいるものが好ましい。例えば、接着剤組成物は、高分子樹脂(P)と、前記活性エネルギー線反応性基を有する硬化性化合物(C)(例えばアクリル系モノマー(M))とを含む。活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、γ線、X線等が使用できるが、紫外線を用いる場合には、接着剤組成物はさらに光重合開始剤を含む。
【0081】
高分子樹脂(P)成分と、硬化性化合物(C)(例えばアクリル系モノマー(M))とを併用して粘度調整することによって、粘着性を有しながら、紫外線等の活性エネルギー線照射によって硬化物となるような接着剤層を容易に形成できる。適度な粘着性を有していればよい。
【0082】
高分子樹脂(P)としてはアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられる。アクリル系樹脂としては、公知のものを用いることができ、例えばアクリル樹脂103B、1BR−305(いずれも大成化工(株)製)等が挙げられる。
【0083】
前記硬化性化合物(C)は、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の活性エネルギー線反応性基を有する化合物である。硬化後の接着性成分の十分な硬度を得るため、前記硬化性化合物は、1つの分子内に2つ以上、好ましくは3つ以上の活性エネルギー線反応性基を含む多官能モノマーもしくはオリゴマーを含んでいることが好ましい。
【0084】
前記硬化性化合物(C)は、好ましくはアクリル系モノマー(M)を含んでいる。アクリル系モノマー(M)としては、具体的には、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、3-(メタ)アクリロイルオキシグリセリンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。また、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等も挙げられる。
【0085】
アクリル系モノマー(M)としては、公知のものを用いることができ、例えば、KAYARAD GPO-303 、KAYARAD TMPTA 、KAYARAD THE-330 (いずれも日本化薬(株)製)等の3官能以上のアクリル系モノマーが挙げられる。
【0086】
また、前記硬化性化合物(C)として、ビニル基を有する化合物を用いてもよい。ビニル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ヒドロキノンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンポリビニルエーテル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0087】
前記接着剤組成物中において、高分子樹脂(P)と硬化性化合物(C)(好ましくはアクリル系モノマー(M))との混合比率によって、粘度、タック性、及び塗膜の硬化後の硬さが変化する。高分子樹脂(P)が多くなると接着剤組成物の粘度が高くなる。高分子樹脂(P)が適度な比率であれば、良好なタック性が得られ、硬化性化合物(C)(好ましくはアクリル系モノマー(M))が多いほど硬化後の硬さが得られる。これらのことを考慮して、高分子樹脂(P)と硬化性化合物(C)との配合比率を適宜決定すればよく、硬化性化合物(C)としてアクリル系モノマー(M)を用いる場合には、高分子樹脂(P)とアクリル系モノマー(M)とは、不揮発分として重量比率P/M=0/100〜80/20で含まれることが好ましく、P/M=1/99〜50/50で含まれることがより好ましく、P/M=2/98〜30/70で含まれることがさらに好ましい。
【0088】
前記接着剤組成物中には、通常、さらに光重合開始剤が含まれる。光重合開始剤としては、種々のものを用いることができ、例えば、 KAYACURE DETX-S(日本化薬(株)製)が挙げられる。光重合開始剤の量は、アクリル系樹脂(P)とアクリル系モノマー(M)を含む硬化性成分(C)との合計(P+C)重量に対して、0.01〜20重量%程度とすればよい。接着性成分が紫外線等の活性エネルギー線照射によって硬化することによって、転写用導電性フィルムを対象基材に接着させる際の生産性が高まる。また、光重合開始剤として、アクリル系モノマーに光重合開始剤を加えた公知のものを用いてもよい。アクリル系モノマーに光重合開始剤を加えたものとしては、例えば、紫外線硬化型樹脂SD−318(大日本インキ化学工業(株)製)、XNR5535(長瀬産業(株)製)等が挙げられる。
【0089】
本発明の転写用導電性フィルムの接着剤層(5) 上に剥離フィルムを付与し、使用時まで接着剤層面を保護してもよい。
【0090】
接着剤層(5) の形成は、導電層(3) 上への接着剤組成物溶液の塗布、乾燥により行うことができる。接着剤組成物溶液の塗布は、特に限定されることなく、公知の方法により行うことができ、例えば、アンカー層の塗布で説明した方法と同様の塗布法によって行うことができる。塗布後に乾燥する。あるいは、別に用意した剥離処理された剥離用支持体上に接着剤組成物溶液を塗布、乾燥して接着剤層を形成し、剥離用支持体上のこの接着剤層と、支持体(1) 上の導電層(3) とが接するようにラミネートして接着(密着)させることによって、導電層(3) 上に接着剤層(5) を設けてもよい。この場合には、接着剤層(5) の形成と同時に、接着剤層上に剥離用支持体が付与され、使用時まで接着剤層面が保護される。
【0091】
導電層(3) 中には、接着剤組成物溶液の一部が含浸される。接着剤層(5) の厚みは、接着剤のタック性などによるが、硬化前において、1μm〜10μm程度とすればよく、2μm〜10μmが好ましく、2μm〜5μmがより好ましい。接着剤層(5) 厚みが1μm未満であると、対象基材(6) に貼り合せた時に、基材(6) との密着性が低下する傾向がある。また10μmを超えると、接着層の硬化不足や硬化後の基材(6) (透明導電体)の反りが大きくなる傾向がある。なお、硬化後の接着層(5) の厚みは、硬化前の接着剤層(5) の厚みと変わらない。
【0092】
以上のようにして、本発明の転写用導電性フィルムを製造することができる。
【0093】
次に、本発明の透明導電体について説明する。
図2は、透明導電体の層構成例を示す断面図である。図2において、基材(6) 表面上に接着層(5) を介して導電性微粒子の圧縮層からなる透明導電層(3) が付与されている。透明導電層(3) は、基材(6) とは反対側の表面に位置している表面層(3a)と、層(3a)と接しており且つ接着層(5) と接している内部層(3b)とを含む2層の導電性微粒子の圧縮層からなる。
【0094】
基材(6) は、可視光に対して透明な樹脂材料で構成されるものであれば特に限定されない。通常は、可撓性の樹脂シートないしは樹脂フィルムを用いる。また、基材(6) は、接着剤層を硬化させる際に使用する活性エネルギー線を透過させるものが好ましい。このような基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム、ノルボルネンフィルム(JSR(株)製アートン、日本ゼオン(株)製ゼオノアなど)、ポリエーテルサルフォン(PES)等が挙げられる。また、これらの樹脂フィルムの他に、基材として、ガラス板を用いることもできる。基材としては、樹脂のみからなるものが好ましい。可撓性の樹脂フィルムを用いると、基材がガラス板である場合と比較して、透明導電体は透明性、屈曲性、軽量化に優れるものとなる。従って、可撓性の樹脂フィルムは、例えば透明導電体をタッチパネルに用いる場合には特に有効である。
【0095】
本発明の透明導電体を得るには、まず、上述の転写用導電性フィルムの導電層(3) を支持体(1) から対象基材(6) 上に転写する。すなわち、導電性フィルムを対象基材(6) 面に、支持体(1) が外側となるように導電性フィルムの接着剤層(5) を介して貼り付け、貼り付け後、接着剤層(5) を活性エネルギー線照射(好ましくは紫外線照射)により硬化させ、その後、導電性フィルムの支持体(1) を剥離する。また、対象基材(6) 面上にも予め接着剤層(5) の接着性成分と同様の接着剤を塗布しておいてもよい。
【0096】
活性エネルギー線照射による接着剤層(5) の硬化と同時に、導電層(3) 中に含浸している前記接着性成分が硬化させられるため、硬化した接着層(5) と前記導電層(3) との密着性もさらに強くなる。表面層(3a)と内部層(3b)との密着性も非常に高い。表面層(3a)と内部層(3b)との間に中間層が存在する場合にも、これら各層間の密着性も非常に高い。そのため、接着剤層(5) を硬化させた後の導電性フィルムの支持体(1) の剥離に際しては、支持体アンカー層(1b)と導電層(3) との間で剥離が起こる。透明導電層(3) 表面は露出状態である。
【0097】
導電層の転写に際して、対象基材を予め表面処理しておいてもよい。例えば、転写対象基材がガラスの場合、その表面をシランカップリング剤等で表面処理してもよい。
【実施例】
【0098】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0099】
[実施例1]
図1に示すように、支持体本体(1a)上にアンカー樹脂層(1b)が形成された支持体(1) 、透明導電層(3) [表面層(3a)と内部層(3b)]及び光硬化性接着剤層(5) をこの順で有する転写用導電性フィルムを次の手順で作製した。
【0100】
(圧縮時に用いる転写防止フィルムの作製)
50μm厚のPETフィルム(T100−50、三菱化学ポリエステルフィルム製)の片面にコロナ処理を施した。シリコーンハードコート液KP−854(信越化学工業製)をPETフィルムのコロナ処理された面に塗布、乾燥し、70℃、48時間で硬化させ、0.4μm厚のシリコーンハードコートを形成した。このようにして、圧縮時の転写防止フィルムを予め準備した。
【0101】
(アンカー樹脂層の形成)
硬いアンカー樹脂層用にシリコーン樹脂を用いた。シリコーン樹脂溶液フレッセラN−180(パナソニック電工株式会社製)のA液100重量部とB液300重量部を混合し、アンカー樹脂層用の塗布液とした。50μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(1a)(東レ株式会社製)の片面にコロナ処理を施した。PETフィルム(1a)のコロナ処理された面に前記塗布液を塗布、乾燥し、70℃、24時間で硬化させ、0.7μm厚のシリコーン樹脂層(1b)を形成した。
【0102】
(表面導電層の形成)
平均粒径10nmのITO微粒子(BET:63m2 /g)100重量部にエタノール300重量部を加え、メディアをジルコニアビーズとして分散機にて分散した。得られた塗液(ITO粉の固形分濃度25重量%)を前記アンカー樹脂層(1b)上に、バーコーターを用いて塗布し、50℃の温風を送って乾燥した。得られたフィルムを圧縮前ITOフィルムと称する。
【0103】
まず、圧縮圧力の確認のための予備実験を行った。
一対の直径140mmの金属ロール(ロール表面にハードクロムめっき処理が施されたもの)を備えるロールプレス機を用いて、ロールを回転させず且つ前記ロールの加熱を行わないで室温(23℃)にて、前記圧縮前ITOフィルムを挟み圧縮した。この際、前記圧縮前ITOフィルムのITO含有塗膜面とロール面との間には、ITO含有塗膜のITO粒子がロール側に転写することを防止するために、前記転写防止フィルムを該転写防止フィルムのハードコート面と前記ITO含有塗膜面とが接するように重ねて介在させた。この時、フィルム幅方向の単位長さ当たりの圧力は660N/mmであった。次に、圧力を解放し、圧縮された部分のフィルム長手方向の長さを調べたら1.9mmであった。この結果から、単位面積当たりに347N/mm2 の圧力で圧縮したことになる。
【0104】
次に、予備実験に使用したものと同様の前記圧縮前ITOフィルムを金属ロール間に挟み660N/mmの圧力で圧縮し、ロールを回転させ5m/分の送り速度で圧縮した。このようにして、硬いアンカー樹脂層(1b)上に圧縮されたITO表面層(3a)を形成した。ITO表面層(3a)の厚みは0.5μmであった。
【0105】
(内部導電層の形成)
平均粒径25nmのITO微粒子(BET:30m2 /g)100重量部にエタノール300重量部を加え、メディアをジルコニアビーズとして分散機にて分散した。得られた塗液(ITO粉の固形分濃度25重量%)を前記ITO表面層(3a)上に、バーコーターを用いて塗布し、50℃の温風を送って乾燥した。
【0106】
次に、表面導電層の圧縮と同様の操作で、上記ITOフィルムを金属ロール間に挟み660N/mmの圧力で圧縮し、ロールを回転させ5m/分の送り速度で圧縮した。このようにして、ITO表面層(3a)上に圧縮されたITO内部層(3b)を形成した。ITO内部層(3b)の厚みは0.5μmであった。
【0107】
(光硬化性接着剤層の形成)
次に、光硬化性アクリル樹脂組成物の溶液をバーコート法により塗布した。ここで、アクリル樹脂組成物の溶液は、アクリルポリマー1BR−305(固形分:39.5重量%、大成化工株式会社製)30質量部と、紫外線硬化型樹脂液XNR5535(長瀬産業株式会社製)50質量部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業株式会社製)20質量部と、光重合開始剤:イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)3質量部と、メチルエチルケトン(MEK)150質量部とを混合して調製したものであった。
【0108】
アクリル樹脂組成物溶液の塗布後、MEKを揮発させて3μm厚の接着剤層(5) を形成した。その後、この接着剤層(5) 上に剥離PETフィルムA314(帝人株式会社製)をラミネートし、転写用導電性フィルム(10)とした。
【0109】
(転写による基材への透明導電層の付与)
得られた転写用導電性フィルムの剥離PETフィルムを剥がして、接着剤層(5) を露出させ、接着剤層(5) が100μm厚のPETフィルム基材U34(東レ株式会社製)(6) に接するようにラミネーターにて貼り合わせた。そして、メタルハライドランプを光源とする積算照度量400mJ/cm2 の紫外線を、PETフィルム基材(6) を通して接着剤層(5) に照射することにより、アクリル樹脂組成物を硬化させ、硬化した接着層(5) を得た。その後、支持体PETフィルム(1) を剥がした。シリコーン樹脂層(1b)と支持体本体(1a)との密着性は、シリコーン樹脂層(1b)とITO圧縮層(3) との密着性よりも高く、シリコーン樹脂層(1b)は支持体本体(1a)と共に剥がされた。PETフィルム基材(6) 上に露出したITO圧縮層(3) が形成された。図2に示すように、PETフィルム基材(6) 上に硬化した接着層(5) を介してITO圧縮層(3) [表面層(3a)と内部層(3b)]が付与された。このようにして、ITO透明導電層を有する透明導電体(20)を得た。
【0110】
(タッチパネルの作製)
ITO透明導電層を有する透明導電体(20)を上部電極、ドットスペーサーを印刷したガラスITOを下部電極としてそれぞれを対向させてタッチパネルを作製した。
【0111】
[実施例2〜21]
表面層(3a)のITO微粒子の平均粒径及び膜厚、及び内部層(3b)のITO微粒子の平均粒径及び膜厚をそれぞれ表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、転写用導電性フィルムを得た。得られた転写用導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にして、PETフィルム基材への透明導電層の転写を行い、透明導電体を得た。そして、タッチパネルを作製した。
【0112】
[実施例22〜23]
表面層(3a)のITO微粒子の平均粒径及び膜厚、及び内部層(3b)のITO微粒子の平均粒径及び膜厚をそれぞれ表2に示すように変更し、さらに表面層(3a)と内部層(3b)との間に中間導電層を形成した以外は、実施例1と同様にして、転写用導電性フィルムを得た。得られた転写用導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にして、PETフィルム基材への透明導電層の転写を行い、透明導電体を得た。そして、タッチパネルを作製した。
【0113】
[比較例1〜8]
表面層(3a)のITO微粒子の平均粒径及び膜厚、及び内部層(3b)のITO微粒子の平均粒径及び膜厚をそれぞれ表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、転写用導電性フィルムを得た。得られた転写用導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にして、PETフィルム基材への透明導電層の転写を行い、透明導電体を得た。そして、タッチパネルを作製した。なお、比較例6では、導電層は単層(ITO微粒子の平均粒径25μm、膜厚1.0μm)とした。
【0114】
[性能評価]
次のようにして、各透明導電体について評価を行った。
【0115】
(表面の電気抵抗値)
各透明導電体の初期のものと、以下に示す摺動試験後のものについて、表面の電気抵抗値(Ω/□)を抵抗測定装置(ロレスタEP、三菱化学(株)製)を用いて4端子法で測定した。
【0116】
(摺動試験)
得られた透明導電体の透明導電層の表面に、5mm×45mm、厚さ100μmの両面粘着テープ4本を、50mm×50mmの正方形の枠が形成されるように貼り付けた。貼り付けられた両面粘着テープの枠に位置合わせしながら、50mm×50mmのガラス板を両面粘着テープに貼り合わせた。このようにして、両面粘着テープをスペーサとして透明導電体の透明導電層とガラス板とが対向して配置された試験用タッチパネルを得た。
作製したタッチパネルのPETフィルム基材側の表面を、ペン先が曲率半径0.8mmの尖端部を有するポリアセタール製のタッチペンにて、ガラス板側に押圧した状態でペン先を往復移動させることによって摺動試験を行った。摺動試験において、タッチペンには250gの荷重を加え、同一部分を摺動し、移動距離30mm、往復移動回数20万回とした。
【0117】
(抵抗変化率)
各透明導電体について、初期(摺動試験前)の表面電気抵抗値Ri と、摺動試験後の表面電気抵抗値Rt とから、次式により抵抗変化率を求めた。抵抗変化率が小さいほど、耐久性に優れている。
抵抗変化率=Rt /Ri
【0118】
得られた結果を表1〜3に示す。
【0119】
【表1】

【0120】
【表2】

【0121】
【表3】

【0122】
表1〜3より、各実施例では、いずれも初期の電気抵抗値は低く、摺動試験後の抵抗変化も少なく、耐久性に優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材上の接着層と、前記接着層上の透明導電層とを有する透明導電体であって、
前記接着層は、硬化性化合物を少なくとも含む接着剤組成物の硬化物層であり、
前記導電層は、前記基材とは反対側の表面に位置している表面層と、前記接着層と接している内部層とを含む少なくとも2層の導電性微粒子の圧縮層からなり、
前記少なくとも2層の導電性微粒子の圧縮層は、それぞれ平均粒径の異なる導電性微粒子から構成されており、
前記表面層は、前記少なくとも2層の導電性微粒子の圧縮層のうち、最も小さい平均粒径を有する導電性微粒子から構成されている、透明導電体。
【請求項2】
前記表面層を構成する導電性微粒子の平均粒径は、10〜20nmである、請求項1に記載の透明導電体。
【請求項3】
前記表面層は、0.2〜0.7μmの厚みを有する、請求項1又は2に記載の透明導電体。
【請求項4】
前記内部層を構成する導電性微粒子の平均粒径は、25〜80nmである、請求項1〜3のうちのいずれかに記載の透明導電体。
【請求項5】
前記内部層は、0.3〜1.3μmの厚みを有する、請求項1〜4のうちのいずれかに記載の透明導電体。
【請求項6】
前記導電性微粒子は、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、ガリウムドープ酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、硼素ドープ酸化亜鉛、及び酸化カドミウムからなる群から選ばれる導電性無機微粒子である、請求項1〜5のうちのいずれかに記載の透明導電体。
【請求項7】
支持体と、前記支持体上の前記支持体とは剥離可能な透明導電層と、前記透明導電層上の接着剤層とを少なくとも含む転写用導電性フィルムであって、
前記接着剤層は、硬化性化合物を少なくとも含む接着剤組成物からなり、
前記導電層は、前記支持体に接している層と、前記接着剤層に接している層とを含む少なくとも2層の導電性微粒子の圧縮層からなり、
前記少なくとも2層の導電性微粒子の圧縮層は、それぞれ平均粒径の異なる導電性微粒子から構成されており、
前記支持体に接している層は、前記少なくとも2層の導電性微粒子の圧縮層のうち、最も小さい平均粒径を有する導電性微粒子から構成されている、転写用導電性フィルム。
【請求項8】
請求項1に記載の透明導電体を製造する方法であって、
基材表面に、請求項7に記載の転写用導電性フィルムを、前記フィルムの前記接着剤層を介して前記支持体が外側になるようにして貼り付け、貼り付け後に前記接着剤層を硬化させ、その後、前記支持体を剥離することを含む、透明導電体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−171041(P2011−171041A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32226(P2010−32226)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】