透明導電性フィルムおよびタッチパネル
【課題】タッチパネルを形成した際に、押圧時のニュートンリングの発生と画面のギラツキの両者が抑制され、かつ高いペン入力耐久性を有する透明導電性フィルムを提供する。
【解決手段】本発明の透明導電性フィルムは、透明高分子基材の一方の主面にハードコート層および透明導電層をこの順に有し、ヘイズが0〜10%である。ハードコート層は硬化性樹脂および微粒子を含有する。透明導電層表面の任意の長さ4mmにおいて測定した表面粗さプロファイルにおいて、粗さ平均線に平行で0.2μmの高さにある第1基準線を超える凸状部の数が10個〜70個であり、かつ、粗さ平均線に平行で1μmの高さにある第2基準線を超える凸状部を有していないことで、上記課題が解決される。
【解決手段】本発明の透明導電性フィルムは、透明高分子基材の一方の主面にハードコート層および透明導電層をこの順に有し、ヘイズが0〜10%である。ハードコート層は硬化性樹脂および微粒子を含有する。透明導電層表面の任意の長さ4mmにおいて測定した表面粗さプロファイルにおいて、粗さ平均線に平行で0.2μmの高さにある第1基準線を超える凸状部の数が10個〜70個であり、かつ、粗さ平均線に平行で1μmの高さにある第2基準線を超える凸状部を有していないことで、上記課題が解決される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム基材上に透明導電層が設けられた透明導電性フィルム、および当該透明導電性フィルムを用いたタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルには、位置検出の方法により光学方式、超音波方式、静電容量方式、抵抗膜方式などがある。このうち、抵抗膜方式はその構造が単純であるため、コストパフォーマンスに優れており、例えば銀行の現金自動受払機(ATM)や交通機関の切符販売機等の表示板等に広く用いられている。
【0003】
抵抗膜方式のタッチパネルは、例えば2枚の透明導電性フィルム(上電極および下電極)の透明導電層同士がスペーサーを介して対向配置された構造を有している。透明導電性フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に透明導電層としてインジウム・スズ酸化物膜を形成したものが一般に用いられている。このような抵抗膜方式のタッチパネルは、透明導電性フィルムの透明導電層に電流を流して、透明導電層付ガラスに於ける電圧を計測するような構造となっている。透明導電性フィルムを指やペン等による押圧操作を介して透明導電層付きガラスに接触させると、その接触部分が通電することにより、接触部分の位置が検知される。
【0004】
抵抗膜方式のタッチパネルでは、指またはペンにてタッチパネルを押圧する際に、ペンまたは指の周辺に干渉による虹模様、いわゆるニュートンリングが発生し、ディスプレイの視認性が低下するといった問題がある。押圧時のニュートンリングの解決方法として、透明導電層の表面に、所定の表面形状を示すように微細凹凸を形成することが提案されている(例えば特許文献1〜4)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−373056号公報
【特許文献2】特開平10−24516号公報
【特許文献3】特開平5−338086号公報
【特許文献4】特許第4183419号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように透明導電層表面に凹凸を形成することにより、押圧時のニュートンリングの発生は抑制される。その一方で、凹凸高さが大きいと、凹凸に起因して光が散乱され画面がぎらついて見え、画像の鮮明性が損なわれるという課題がある。特に、表示装置が高精細化されると、ぎらつきによる画像の鮮明性の低下が顕著となる傾向がある。
【0007】
また、抵抗膜方式のタッチパネルは、スペーサーを介して対向させた一対の透明導電層同士が、一方のパネル板(上電極)側からの押圧打点で強く接触するものである。そのため、透明導電性フィルムの透明導電層は、これに抗し得る良好な耐久性、つまり打点特性、特にペン入力耐久性を有していることが望まれる。しかしながら、押圧時のニュートンリングを解消するために一方の透明導電層表面に凹凸を形成すると、ペン入力による押圧や摺動によって、他方の透明導電層表面の膜破壊が生じ易く、タッチパネルの寿命が短くなるという問題があった。
【0008】
上記観点に鑑み、本願発明は、タッチパネルを形成した際に、押圧時のニュートンリングの発生と画面のギラツキの両者が抑制され、かつ高いペン入力耐久性を有する透明導電性フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、透明導電層の表面を所定形状とすることにより、ニュートンリングの発生が抑制され、かつ、タッチパネル形成時の視認性およびペン入力耐久性にも優れることを見出し、本発明にいたった。本発明は、透明高分子基材の一方の主面にハードコート層および透明導電層をこの順に有する透明導電性フィルムに関する。本発明の透明導電性フィルムのヘイズは0〜10%であることが好ましい。また、前記ハードコート層は硬化性樹脂および微粒子を含有することが好ましい。本発明の透明導電性フィルムは、透明導電層表面の任意の長さ4mmにおいて測定した表面粗さプロファイルにおいて、下記(1)および(2)を同時に満たすことが好ましい。
(1)粗さ平均線に平行で0.2μmの高さにある第1基準線を超える凸状部の数が10個〜70個
(2)粗さ平均線に平行で1μmの高さにある第2基準線を超える凸状部を有していない
【0010】
本発明の透明導電性フィルムにおいて、ハードコート層の厚みは、2μm〜15μmであることが好ましい。また、ハードコート層中の微粒子は、平均粒径が、1μm〜10μmであり、かつ、微粒子の平均粒径がハードコート層の厚みよりも小さいことが好ましい。一実施形態において、ハードコート層中の微粒子は、単一の粒径分布を有することが好ましい。
【0011】
本発明の透明導電性フィルムにおいて、タッチパネル形成時の画面のギラツキを抑制する観点において、ハードコート層中の微粒子の屈折率n22と、硬化性樹脂の屈折率n21との差n22−n21が、−0.1〜−0.002であることが好ましい。
【0012】
本発明の透明導電性フィルムの一実施形態において、ハードコート層中の硬化性樹脂は、下記のA成分、B成分およびC成分を含有する。
A成分:ウレタン(メタ)アクリレート
B成分:ポリオール(メタ)アクリレート
C成分:水酸基およびアクリロイル基の少なくとも一方の基を有するアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
【0013】
本発明の透明導電性フィルムの一実施形態において、ハードコート層と透明導電層との間には誘電体薄膜を有していてもよい。また、誘電体薄膜は、平均粒径1nm〜500nmのナノ微粒子を、薄膜中に0.1重量%〜90重量%含有することができる。
【0014】
さらに、本発明は、前記透明導電性フィルムを用いた抵抗膜方式タッチパネルに関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の透明導電性フィルムは、透明導電層表面に所定の凹凸が形成されているために、タッチパネルを形成した際には、押圧時のニュートンリングの発生と画面のギラツキの両者が抑制され、かつ高いペン入力耐久性を有する。そのため、本発明の透明導電性フィルムを用いた抵抗膜方式のタッチパネルは、ペン入力耐久性に優れるとともに、視認性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の一形態に係る透明導電性フィルムの模式的断面図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係る透明導電性積層体の模式的断面図である。
【図3】評価のために作製した擬似タッチパネルの構成を表す模式的断面図である。
【図4】リニアリティ測定の概略を示す説明図である。
【図5】実施例1の透明導電性フィルムの表面プロファイルである。
【図6】実施例2の透明導電性フィルムの表面プロファイルである。
【図7】実施例3の透明導電性フィルムの表面プロファイルである。
【図8】実施例4の透明導電性フィルムの表面プロファイルである。
【図9】実施例5の透明導電性フィルムの表面プロファイルである。
【図10】比較例1の透明導電性フィルムの表面プロファイルである。
【図11】比較例2の透明導電性フィルムの表面プロファイルである。
【図12】比較例3の透明導電性フィルムの表面プロファイルである。
【図13】比較例4の透明導電性フィルムの表面プロファイルである。
【図14】比較例5の透明導電性フィルムの表面プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、図を参照しながら以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る透明導電性フィルムの一例を示す断面模式図である。透明導電性フィルム100は、透明高分子基材1の一方の面に、ハードコート層2、および透明導電層4をこの順に有する。ハードコート層2は、硬化性樹脂バインダー21および微粒子22を含有する層であり、透明導電層4形成面側に凹凸を有する。なお、図1に示すように、ハードコート層2と透明導電層4との間には、誘電体薄膜3が形成されていてもよい。
【0018】
本発明の透明導電性フィルム100は、透明導電層4の表面粗さプロファイル(測定長4mm)が、下記(1)および(2)を同時に満たすことが好ましい。
(1)粗さ平均線に平行で0.2μmの高さにある第1基準線を超える凸状部の数が10個〜70個
(2)粗さ平均線に平行で1μmの高さにある第2基準線を超える凸状部を有していない
【0019】
透明導電層表面が上記の表面形状を有することによって、透明導電性フィルムをタッチパネルに組み込んだ際に、押圧時のニュートンリングの発生が抑制され、さらには、視認性の低下や、ペン入力耐久性の低下も抑制される。透明導電層4の表面が平滑であり、第1基準線を超える凸状部の数が少ないと、タッチパネルの押圧時にニュートンリングが発生し易くなる。逆に第1基準線を超える凸状部の数が多すぎると、ニュートンリングの発生は抑制される傾向にあるものの、凹凸に起因して光が散乱され画面がぎらついて見え易くなる傾向がある。特に、タッチパネルが組み込まれる表示装置が、高精細のものである場合に、ぎらつきによる画像の鮮明性の低下が顕著となる傾向がある。そのため、透明導電層表面において、第1基準線を超える凸状部の数は、測定長さ4mmあたり、10個〜70個であることがより好ましく、20個〜50個であることがさらに好ましい。また、透明導電性フィルム表面において、第2基準線を超える凸状部が存在すると、画面のぎらつきによる視認性の低下傾向に加えて、タッチパネル形成時のペン入力耐久性、特に摺動耐久性が低下する傾向がある。
【0020】
本発明の透明導電性フィルムのヘイズは、10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、5%以下であることが好ましい。透明導電性フィルムのヘイズが高くなると、光の散乱により画像の鮮明性が低下し、表示画面の文字ボケ等を生じ易くなる傾向がある。なお、ヘイズは、JISK 7136(2000年版)に準じて測定される。透明導電性フィルムのヘイズの下限は0%であるが、本発明においては、ハードコート層2が樹脂バインダー21に加えて微粒子22を含有しているために、ヘイズは一般的に1%以上となることが多い。
【0021】
透明導電層の表面形状、および透明導電性フィルムのヘイズを前記の好ましい範囲とするためには、透明導電層の下地層となるハードコート層2に微粒子を含有させることによってハードコート層2の表面に凹凸を形成することが好ましい。本発明においては、ハードコート層2の表面凹凸の大きさ(高さ)に比して、透明導電層4、および誘電体薄膜3の膜厚が小さいため、透明導電層4の表面においても、ハードコート層2の表面形状が、ほぼ維持される。
以下、本発明の好ましい形態について、説明する。
【0022】
<透明高分子基材>
透明高分子基材1としては、特に制限されないが、透明性を有する各種のプラスチックフィルムが用いられる。たとえば、その材料として、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等があげられる。この中で特に好ましいのは、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂である。
【0023】
透明高分子基材の厚みは、2〜200μmの範囲内であることが好ましく、2〜100μmの範囲内であることがより好ましい。透明高分子基材の厚みが2μm未満であると、透明高分子基材1の機械的強度が不足し、フィルム基材をロール状にして透明導電層4を連続的に形成する操作が困難になる場合がある。一方、厚みが200μmを超えると、透明導電層4の耐擦傷性やタッチパネル用としての打点特性の向上が図れない場合がある。
【0024】
透明高分子基材は、表面に予めスパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や下塗り処理を施して、この上に設けられるハードコート層2の透明高分子基材1に対する密着性を向上させるようにしてもよい。また、ハードコート層を設ける前に、必要に応じて、透明高分子基材表面を溶剤洗浄や超音波洗浄などにより除塵、清浄化してもよい。
【0025】
<ハードコート層>
透明高分子基材1上には、ハードコート層2が形成される。ハードコート層は、硬化性樹脂バインダー21および微粒子22を含有し、透明導電層4側表面に凹凸を有する層である。本発明において、ハードコート層2の透明導電層4側表面の任意の長さ4mmにおいて測定した表面粗さプロファイルは、下記(1)および(2)を同時に満たすことが好ましい。
(1)ハードコート層表面の粗さ平均線に平行で0.2μmの高さにある第1基準線を超える凸状部の数が10個〜70個
(2)ハードコート層表面の粗さ平均線に平行で1μmの高さにある第2基準線を超える凸状部を有していない
【0026】
前述のように、透明導電層4の表面においても、ハードコート層2の表面形状が、ほぼ維持される。そのため、ハードコート層2の透明導電層4側表面が平滑であり、前記第1基準線を超える凸状部の数が少ないと、タッチパネルの押圧時にニュートンリングが発生し易くなる。逆に前記第1基準線を超える凸状部の数が多すぎると、ニュートンリングの発生は抑制される傾向にあるものの、凹凸に起因して光が散乱され画面がぎらついて見え易くなる傾向がある。そのため、第1基準線を超える凸状部の数は、測定長さ4mmあたり、10個〜70個であることがより好ましく、20個〜50個であることがさらに好ましい。また、第2基準線を超える凸状部が存在すると、画面がぎらついて視認性が低下する傾向があることに加えて、タッチパネル形成時のペン入力耐久性、特に摺動耐久性が低下する傾向がある。
【0027】
ハードコート層のヘイズは、10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。ハードコート層のヘイズが高くなると、光の散乱により画像の鮮明性が低下し、表示画面の文字ボケ等を生じ易くなる傾向がある。
【0028】
ハードコート層の表面形状やヘイズの値は、ハードコート層2を形成する硬化性樹脂バインダー21と微粒子22の組合せや、ハードコート層の厚みを適宜に調整することによって、上記範囲内に調整することができる。以下、ハードコート層2を形成する硬化性樹脂バインダー21および微粒子22のそれぞれの好ましい態様について説明する。
【0029】
(硬化性樹脂バインダー)
硬化性樹脂バインダーとしては、電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂等が用いられる。加工速度の早さや透明高分子基材1への熱ダメージを抑制する観点からは、電離放射線硬化型樹脂を用いることが特に好ましい。
【0030】
このような電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、多価アルコールのアクリル酸やメタクリル酸エステル等の多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコールおよびアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル等から合成されるような多官能性のウレタンアクリレート樹脂などを挙げることができる。さらにアクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も必要に応じて好適に使用することができる。また、メラニン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、シリコーン系樹脂等も好ましく用いられる。
【0031】
本発明の一実施形態において、ハードコート層を形成する硬化性樹脂バインダーとして、下記の(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含む硬化性樹脂組成物が好適に用いられる。
(A)成分:ウレタン(メタ)アクリレート
(B)成分:ポリオール(メタ)アクリレート
(C)成分:水酸基及びアクリロイル基の少なくとも一方の基を有するアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
【0032】
前記(A)成分であるウレタン(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、ポリオール、ジイソシアネートを構成成分として含有するものが用いられる。例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方のモノマーと、ポリオールとを用いて、水酸基を1個以上有するヒドロキシ(メタ)アクリレートを作製し、これをジイソシアネートと反応させることによりウレタン(メタ)アクリレートを製造することができる。前記(A)成分において、ウレタン(メタ)アクリレートは、一種類を単独で使用でもよく、二種類以上を併用してもよい。
【0033】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アルキルアクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0034】
ポリオールは、水酸基を少なくとも2つ有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、トリシクロデカンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、エチレンオキサイド付加ビスフェノールA、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グルコース類等が挙げられる。
【0035】
ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族、脂肪族又は脂環族の各種のジイソシアネート類を使用することができ、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4−ジフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等、さらにはこれらの水添物等が挙げられる。
【0036】
ハードコート層中の前記(A)成分の配合割合は、特に制限されない。前記(A)成分の使用により、ハードコート層の柔軟性及び透明高分子基材に対する密着性を向上させることができる。これらの点及びハードコート層の硬度の観点等から、前記(A)成分の配合割合は、ハードコート層を形成する硬化性樹脂バインダー成分全体に対し、例えば、15〜55重量%の範囲であり、好ましくは、25〜45重量%の範囲である。ハードコート層を形成する硬化性樹脂バインダー成分全体とは、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量、若しくは、その他の樹脂成分や、後述するようなナノ微粒子成分を用いる場合は、前記三成分の合計量と樹脂成分およびナノ微粒子の合計量とを合わせた量を意味し、以下、同様である。
【0037】
前記(B)成分としてのポリオール(メタ)アクリレートとしては、例えばペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの少なくとも一方を含むことが好ましい。かかる化合物によって、十分な硬度及び可撓性を維持しつつ、かつカールの発生をより効果的に防止できる。中でも、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとの重合物からなるモノマー成分及びペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとを含む混合成分を用いることが好ましい。
【0038】
(B)成分の配合割合は、特に制限されない。例えば、(B)成分の配合割合は、前記(A)成分に対し70〜180重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは100〜150重量%の範囲である。(B)成分の配合割合が(A)成分に対し180重量%以下であると、形成されるハードコート層の硬化収縮を有効に防止でき、その結果、ハードコート層2が形成された透明高分子基材1のカールを防止でき、透明導電性フィルムの屈曲性の低下を防止できる。また、(B)成分の配合割合が(A)成分の70重量%以上であれば、形成されるハードコート層の硬度をより向上させることができる。
【0039】
前記(C)成分としては、下記一般式(1)の繰り返し単位を含むポリマー、コポリマー、若しくはこれらの混合物が挙げられる。
【0040】
【化1】
【0041】
前記式(1)において、R1は水素、若しくはメチル基であり、R2は、−CH2CH2OX、若しくは下記一般式(2)で表される基であり、Xは、水素、若しくは下記一般式(3)で表されるアクリロイル基である。また、一般式(2)において、2つのXは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0042】
【化2】
【0043】
【化3】
【0044】
上記一般式(1)に該当するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジアクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ハードコート層が(C)成分を有することで、透明導電性フィルムのカールの発生をより効果的に防止することができる。
【0045】
(C)成分の配合割合は、特に制限されない。例えば、(C)成分の配合割合は、前記(A)成分に対し、25〜110重量%の範囲が好ましく、より好ましくは45〜85重量%の範囲である。(C)成分の配合割合が110重量%以下であれば、ハードコート層形成材料の塗工性が優れるようになる。(C)成分の配合割合が25重量%以上であれば、形成されるハードコート層の硬化収縮を防止でき、その結果、ハードコート層が形成された透明高分子基材におけるカールの発生を抑制することができる。
【0046】
ハードコート層を形成する硬化性樹脂バインダーに用いられる電離放射線硬化型樹脂として、上記各成分に加えて反応性希釈剤を有していてもよい。反応性希釈剤としては、比較的低粘度である1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能以上のモノマーおよびオリゴマー並びに単官能モノマー、例えばN−ビニルピロリドン、エチルアクリレート、プロピルアクリレート等のアクリル酸エステル類、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ノニルフェニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、そのカプロラクトン変成物などの誘導体、スチレン、q−メチルスチレン、アクリル酸等、またはそれらの混合物などを使用することができる。
【0047】
また、硬化性樹脂バインダーは、電離放射線硬化型樹脂等の樹脂成分に加えて、無機酸化物ナノ微粒子と重合性不飽和基を含む有機化合物とを結合させてなるナノ微粒子を含有するものであってもよい。このようなナノ微粒子を形成する無機酸化物としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム等の微粒子があげられる。これらの中でも、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウムの微粒子が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
硬化性樹脂バインダーとして用いられるナノ微粒子は、ハードコート層の着色防止および透明性の点等から、重量平均粒径が1nm〜500nmであることが好ましく、5nm〜300nmの範囲であることがより好ましく、10nm〜100nmであることがさらに好ましい。このように、ナノ微粒子の平均粒径が小さければ、可視光の散乱が生じ難く、硬化性樹脂バインダー中の樹脂成分とナノ微粒子の屈折率が異なる場合であっても、ハードコート層のヘイズが大幅に増大することが抑制される。
【0049】
無機酸化物ナノ微粒子は、重合性不飽和基を含む有機化合物と結合(表面修飾)されている。この不飽和基が、硬化性樹脂バインダー中の樹脂成分と反応硬化することで、ハードコート層の硬度を向上させる。無機酸化物ナノ微粒子を表面修飾する有機化合物中の重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基が好ましい。また、前記重合性不飽和基を含む有機化合物は、分子内にシラノール基を有する化合物あるいは加水分解によってシラノール基を生成する化合物であってもよい。また、重合性不飽和基を含む有機化合物は、光感応性基を有するものであることも好ましい。
【0050】
硬化性樹脂バインダー中に無機酸化物ナノ微粒子を用いる場合、その配合量は、電離放射線硬化型樹脂等の樹脂固形分100重量部に対し、0.1重量部〜90重量部の範囲であることが好ましく、10重量部〜80重量部の範囲であることがより好ましい。硬化性樹脂バインダーが無機酸化物ナノ微粒子を含有することで、透明高分子基材上にハードコート層が形成されたフィルムのカールや折れの発生を効果的に防止でき、その含有量が90重量部以下であれば、ハードコート層の硬度を高めることができる。また、硬化性樹脂バインダー中のナノ微粒子の配合量を調整することで、例えば、ハードコート層の屈折率を調整することが可能である。
【0051】
なお、上記のナノ微粒子は、粒径が小さいために、ハードコート層2の表面凹凸の形成に直接的に寄与するものではなく、硬化性樹脂バインダーの組成物として作用する。そのため、ハードコート層2におけるナノ微粒子は、後述する微粒子22には含まれない。
【0052】
(微粒子)
ハードコート層2に用いられる微粒子22としては、各種金属酸化物、ガラス、プラスチックなどの透明性を有するものを特に制限なく使用することができる。例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化カルシウム等の無機系微粒子、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン共重合体、ベンゾグアナミン、メラミン、ポリカーボネート等の各種ポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系微粒子やシリコーン系微粒子などがあげられる。前記微粒子は、1種または2種以上を適宜に選択して用いることができる。
【0053】
ハードコート層2の表面形状は、ハードコート層中の微粒子22の平均粒径および微粒子の含有量等によって調整し得る。第2基準線を超える凸状部が存在しないようにするためには、ハードコート層中の微粒子の平均粒径は、ハードコート層の厚みよりも小さいことが好ましい。微粒子の平均粒径は、ハードコート層の厚みの45%〜80%であることが好ましく、50%〜70%であることがさらに好ましい。
【0054】
微粒子の平均粒径は、1μm〜10μmの範囲であることが好ましく、2μm〜8μmであることがより好ましく、3μm〜7μmであることがさらに好ましい。ハードコート層の微粒子の重量平均粒径が前記範囲より大きくなると、透明導電性フィルム表面の凹凸が大きくなるために、第2基準線を超える凸状部が形成され、タッチパネル形成時の画面の視認性が低下したり、ペン入力耐久性が低下する傾向がある。一方、微粒子の粒径が前記範囲より小さいと、十分な防眩性が得られず、ギラツキも大きくなるという問題が生じやすくなる。
【0055】
なお、本明細書において、平均粒径とは、重量平均粒径を表す。微粒子の重量平均粒径は、例えば、コールターカウント法により測定できる。コールターカウント法による測定は、例えば、細孔電気抵抗法を利用した粒度分布測定装置(商品名:コールターマルチサイザー、ベックマン・コールター社製)を用い、微粒子が前記細孔を通過する際の微粒子の体積に相当する電解液の電気抵抗を測定することにより、前記微粒子の数と体積を測定し、重量平均粒径を算出する。
【0056】
微粒子22の形状は特に制限されず、例えば、ビーズ状の略球形であってもよく、粉末等の不定形のものであってもよいが、略球形のものが好ましく、より好ましくは、アスペクト比が1.5以下の略球形の微粒子であり、最も好ましくは球形の微粒子である。アスペクト比が1.5を超える微粒子や多角形の微粒子を用いた場合、透明導電層表面に第2基準線を超える凸状部が形成され易くなり、ペン入力耐久性の向上が図れなくなる場合がある。
【0057】
また、本発明においては、微粒子22が、単一の粒径分布を有することが好ましい。微粒子の粒径分布を単一とする観点においては、微粒子を1種類のみ用いることが好ましい。微粒子が単一の粒径分布を有することによって、透明導電層の表面形状を所定形状となるように制御することが容易となる。
【0058】
ハードコート層2中の微粒子22の配合割合は、硬化性樹脂バインダー100重量部に対して、1重量部〜60重量部であることが好ましく、2重量部〜55重量部であることがより好ましい。微粒子の配合割合が過度に少ないと、透明導電層表面において第1基準線を超える凸状部の数が小さくなり、ニュートンリングの十分な抑制が困難になる傾向がある。一方、微粒子の配合割合が過度に多いと、透明導電層表面において第1基準線を超える凸状部の数が過大となり、透過率の低下や鮮明性の低下を招来する傾向がある。
【0059】
微粒子22の屈折率n22は、硬化性樹脂バインダー21の屈折率n21よりも小さいことが好ましく、次の式(1)の関係を満たすことが好ましい。
−0.1≦n22−n21≦−0.02 (1)
【0060】
n22−n21が負の場合(微粒子の屈折率の方が硬化性樹脂バインダーの屈折率よりも大きい場合)は、n22−n21が正の場合(微粒子の屈折率の方が硬化性樹脂バインダーの屈折率よりも小さい場合)に比して、良好なギラツキ防止性が得られる傾向がある。特に両者の屈折率差を0.02よりも大きくすれば、少量の微粒子の添加で、ギラツキの防止を図ることができる。一方、屈折率差が0.1を超えると、ハードコート層2による光の散乱が強くなりヘイズが上昇するために、文字ボケを生じ易くなる場合がある。
【0061】
(添加剤)
ハードコート層2の形成材料には、硬化性樹脂バインダーおよび微粒子に加えて、さらに各種の添加剤を加えることもできる。添加剤としては、例えば硬化性樹脂バインダーを硬化してハードコート層を形成するための重合開始剤や、レベリング剤、顔料、充填剤、分散剤、可塑剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、酸化防止剤、チクソトロピー化剤等を使用することができる。
【0062】
重合開始剤としては、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。例えば2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、N,N,N,N−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、その他、チオキサント系化合物等が使用できる。
【0063】
レベリング剤としては、フッ素系またはシリコーン系のレベリング剤を適宜使用することができるが、より好ましくはシリコーン系のレベリング剤であり。シリコーン系レベリング剤としては、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサン等が挙げられる。フッ素系またはシリコーン系のレベリング剤の添加量は、硬化性樹脂バインダー100重量部に対し0.01〜5重量部の範囲内で添加することが好ましい。
【0064】
微粒子22を分散させる溶媒としては、分散状態に影響を与えず、硬化性樹脂バインダー成分が溶解するものであれば特に制限はない。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類やトルエン等が挙げられる。これらの溶媒は単独でも、又任意の割合で混合して用いても良い。
【0065】
ハードコート層2の形成には、硬化性樹脂バインダー21中に微粒子22を添加して透明高分子基材1上に塗工し、乾燥、硬化処理を行うことで添加した微粒子22による凹凸を形成する方法等、適宜な方法を使用することができる。塗工方法としては特に限定されず、例えば、公知のファンテンコート、ダイコート、スピンコート、スプレーコート、グラビアコート、ロールコート、バーコート等が例示できる。
【0066】
硬化処理としては、例えば、エネルギー線の照射による方法等が例示できる。エネルギー線源としては、例えば、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、窒素レーザー、電子線加速装置、放射性元素などの線源が使用される。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50〜5000mW/cm2が好ましい。照射量が50mW/cm2未満の場合は、硬化が不十分となるため、ハードコート層2の硬度が低下する。また、5000mW/cm2を超えると、ハードコート層2が着色して透明性が低下する。
【0067】
ハードコート層2の厚みは、塗工性および硬度の観点から、2μm〜15μmの範囲であることが好ましく、4μm〜12μmの範囲であることがより好ましい。ハードコート層の厚みが前記範囲より大きいと、ハードコート層形成後の透明高分子基材にカールが生じたり、ヘイズが大きくなる傾向がある。一方、ハードコート層の厚みが前記範囲より小さいと、タッチパネル形成時のギラツキを十分に抑制できない場合がある。また、ハードコート層の厚みは、微粒子22の平均粒径や含有量を考慮して、ハードコート層の表面プロファイルが前記範囲となるように調整することが好ましい。
【0068】
<誘電体薄膜>
ハードコート層2と透明導電層4との間には、透明導電層の密着性や反射特性の制御等を目的として誘電体薄膜3が設けられていてもよい。誘電体薄膜は1層でもよく、2層あるいはそれ以上設けてもよい。誘電体薄膜は、無機物、有機物、あるいは無機物と有機物との混合物により形成される。誘電体薄膜を形成する材料としては、NaF、Na3AlF6、LiF、MgF2、CaF2、SiO2、LaF3、CeF3、Al2O3、TiO2、Ta2O5、ZrO2、ZnO、ZnS、SiOx(xは1.5以上2未満)などの無機物や、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマーなどの有機物が挙げられる。特に、有機物として、メラミン樹脂とアルキド樹脂と有機シラン縮合物の混合物からなる熱硬化型樹脂を使用することが好ましい。誘電体薄膜は、上記の材料を用いて、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、塗工法などにより形成できる。
【0069】
誘電体薄膜3の厚みは、5nm〜150nmであることが好ましく、10nm〜100nmであることがより好ましく、20nm〜70nmであることがさらに好ましい。誘電体薄膜の厚さが過度に小さいと連続被膜となりにくい。また、誘電体薄膜の厚みが過度に大きいと、透明導電性フィルムの透明性が低下したり、誘電体薄膜にクラックが生じ易くなる傾向がある。
【0070】
誘電体薄膜は、平均粒径が1nm〜500nmのナノ微粒子を有していてもよい。誘電体薄膜中のナノ微粒子の含有量は0.1重量%〜90重量%であることが好ましい。誘電体薄膜に用いられるナノ微粒子の平均粒径は、上述のように1nm〜500nmの範囲であることが好ましく、5nm〜300nmであることがより好ましい。また、誘電体薄膜中のナノ微粒子の含有量は10重量%〜80重量%であることがより好ましく、20重量%〜70重量%であることがさらに好ましい。
【0071】
誘電体薄膜中にナノ微粒子を含有することによって、誘電体薄膜の屈折率の調整を容易に行うことができる。
【0072】
誘電体薄膜中に含まれるナノ微粒子としては、ハードコート層中に含まれうるナノ微粒子として先に説明したのと同様に、重合性不飽和基を含む有機化合物と結合(表面修飾)された無機酸化物ナノ微粒子が好適に用いられる。また、このようなナノ微粒子が用いられる場合、誘電体薄膜は、重合性不飽和基を有する有機化合物から形成されることが好ましい。これにより、ナノ微粒子同士の凝集を防止することができるからである。
【0073】
<透明導電層>
ハードコート層2上には、透明導電層4が形成される。なお、図1に示すようにハードコート層2上に誘電体薄膜3が形成されている場合は、誘電体薄膜3上に透明導電層4が形成される。透明導電層4の構成材料は特に限定されず、インジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、アンチモン、チタン、珪素、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、銅、パラジウム、タングステンからなる群より選択される少なくとも1種の金属の金属酸化物が好適に用いられる。当該金属酸化物には、必要に応じて、さらに上記群に示された金属原子を含んでいてもよい。例えば酸化スズを含有する酸化インジウム(ITO)、アンチモンを含有する酸化スズ(ATO)などが好ましく用いられる。
【0074】
透明導電層4の厚みは特に制限されないが、その表面抵抗を1×103Ω/□以下の良好な導電性を有する連続被膜とするには、厚みを10nm以上とするのが好ましい。膜厚が、厚くなりすぎると透明性の低下などをきたすため、15〜35nmであることが好ましく、より好ましくは20〜30nmの範囲内である。透明導電層の厚みが15nm未満であると膜表面の電気抵抗が高くなり、かつ連続被膜になり難くなる。また、透明導電層の厚みが35nmを超えると透明性の低下などをきたす場合がある。
【0075】
透明導電層4の形成方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。具体的には、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライプロセスを例示できる。また、必要とする膜厚に応じて適宜の方法を採用することもできる。なお、図2、3に示すように、ハードコート層2形成面側に透明導電層4が形成される場合、透明導電層4がスパッタリング法等のドライプロセスによって形成されれば、透明導電層4の表面は、その下地層であるハードコート層2表面の凹凸をほぼ維持する。そのため、ハードコート層2上に透明導電層4が形成されている場合においても、透明導電層4表面にも、耐ブロッキング性および易滑性を付与することができる。
【0076】
透明導電層4は、必要に応じて、加熱アニール処理を施して結晶化することができる。透明導電層を結晶化することで、透明導電層が低抵抗化されることに加えて、透明性および耐久性が向上する。
【0077】
<透明導電性フィルムの背面側の構成>
上記のようにして得られた透明導電性フィルムは、そのままタッチパネルの形成に用いてもよいし、透明高分子基材1の透明導電層4形成面側と反対側に、視認性の向上を目的とした反射防止層を設けたり、外表面の保護を目的とした背面ハードコート層を設けてもよい。なお、透明高分子基材上への背面ハードコート層や反射防止層等は、透明導電層の形成前、形成後のいずれにおこなうこともできる。反射防止層は、背面ハードコート層上に設けることもできる。
【0078】
背面ハードコート層の形成に用いられる硬化性樹脂としては、透明高分子基材1の透明導電層4形成面側に設けられるハードコート層2の硬化性樹脂バインダー21の成分として前述したのと同様の樹脂組成物を用いることができる。
【0079】
反射防止層は、光の干渉効果を利用して、入射光と反射光の逆転した位相を互いに相殺させることで反射防止機能を発現させるものである。画像表示装置にタッチパネルを装着した際、画像の視認性を低下させる要因のひとつに空気と透明高分子基材あるいはその上に形成された背面ハードコート層界面での光の反射が挙げられる。厚みおよび屈折率を厳密に制御した薄膜を、透明高分子基材あるいは背面ハードコート層上に形成して反射防止層として機能させることで、空気界面における反射を低減させることができる。
【0080】
光の干渉効果に基づく反射防止層の設計において、その干渉効果を向上させるには、反射防止層と透明高分子基材あるいは背面ハードコート層との屈折率差を大きくすることが好ましい。一般的に、基材上に、厚みおよび屈折率を厳密に制御した薄膜を2〜5層積層する多層反射防止層では、屈折率の異なる成分を所定の厚さだけ複数層形成することで、反射防止層の光学設計に自由度が増し、より反射防止効果を向上させ、分光反射特性も可視光領域でフラットにすることが可能となる。このような反射防止層の形成においては、光学薄膜の各層の厚み精度が要求される為、一般的にはドライ方式である真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等による光学薄膜の形成が行われている。
【0081】
また、透明高分子基材あるいは背面ハードコート層上に単層の光学薄膜を積層することによっても、反射防止効果を発現させることが可能である。反射防止層を単層にする設計においても、反射防止機能を最大限引き出す為には、反射防止層と透明高分子基材あるいは背面ハードコート層との屈折率差を大きくする必要がある。反射防止層の膜厚をd、屈折率をn、入射光の波長を入とすると、反射防止層の膜厚とその屈折率との間でnd=(λ/4)×(2m−1)なる関係式が成立することが好ましい(ただし、mは自然数である)。反射防止層の屈折率が透明高分子基材の屈折率より小さい場合は、前記関係式が成立する条件で反射率が最小となる。例えば、反射防止層の屈折率が1.45である場合は、可視光線中の550nmの波長の入射光に対して、反射率を最小にする反射防止層の膜厚は95nmとなる。
【0082】
反射防止機能を発現させる可視光線の波長領域は、380〜780nmであり、特に視感度が高い波長領域は450〜650nmの範囲であり、その中心波長である550nmの反射率を最小にする設計を行なうことが通常行われている。
【0083】
また、透明高分子基材1の透明導電層4形成面側と反対側には、図2に示すように、透明な粘着剤層7を介して透明基体8が貼り合わされて、透明導電性積層体110を形成することもできる。透明高分子基材1と透明基体8との貼り合わせは、透明基体8の方に粘着剤層7を設けておき、これに透明高分子基材1を貼り合わせるようにしてもよい。また、逆に透明高分子基材1の方に粘着剤層7を設けておき、これに透明基体8を貼り合わせるようにしてもよい。また、セパレーター上に粘着剤層7を予め形成し、透明基体8または透明高分子基材1に粘着剤層7を転写することもできる。
【0084】
粘着剤層7としては、透明性を有するものであれば特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度なぬれ性、凝集性および接着性等の粘着特性を示し、耐候性や耐熱性等にも優れるという点からは、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
【0085】
粘着剤層7の構成材料である粘着剤の種類によっては、適当な粘着用下塗り剤を用いることで投錨力を向上させることが可能なものがある。従って、そのような粘着剤を用いる場合には、粘着用下塗り剤を用いることが好ましい。
【0086】
前記粘着用下塗り剤としては、粘着剤の投錨力を向上できる層であれば特に制限はない。具体的には、例えば、同一分子内にアミノ基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、クロル基等の反応性官能基と加水分解性のアルコキシシリル基とを有するシラン系カップリング剤、同一分子内にチタンを含む加水分解性の親水性基と有機官能性基とを有するチタネート系カップリング剤、および同一分子内にアルミニウムを含む加水分解性の親水性基と有機官能性基とを有するアルミネート系カップリング剤等のいわゆるカップリング剤、エポキシ系樹脂、イソシアネート系樹脂、ウレタン系樹脂、エステルウレタン系樹脂等の有機反応性基を有する樹脂を用いることができる。工業的に取扱い易いという観点からは、シラン系カップリング剤を含有する層が特に好ましい。
【0087】
また、前記粘着剤層7には、ベースポリマーに応じた架橋剤を含有させることができる。また、粘着剤層7には必要に応じて例えば天然物や合成物の樹脂類、ガラス繊維やガラスビーズ、金属粉やその他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤、酸化防止剤などの適宜な添加剤を配合することもできる。また透明微粒子を含有させて光拡散性が付与された粘着剤層7とすることもできる。
【0088】
なお、前記の透明微粒子には、例えば平均粒径が0.5〜20μmのシリカ、酸化カルシウム、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等の導電性の無機系微粒子や、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタンの如き適宜なポリマーからなる架橋または未架橋の有機系微粒子など適宜なものを1種または2種以上用いることができる。
【0089】
粘着剤層は、通常、ベースポリマーまたはその組成物を溶剤に溶解または分散させた固形分濃度が10〜50重量%程度の粘着剤溶液として用いられる。前記溶剤としては、トルエンや酢酸エチル等の有機溶剤や水等の粘着剤の種類に応じたものを適宜に選択して用いることができる。
【0090】
この粘着剤層7は、透明基体8の接着後に於いては、そのクッション効果により、透明高分子基材1の一方の面に設けられた透明導電層4の耐擦傷性やタッチパネル用としての打点特性、いわゆるペン入力耐久性を向上させる機能を有する。この機能をより良く発揮させる観点から、粘着剤層7の弾性係数を1〜100N/cm2の範囲、厚さを1μm以上、通常5〜100μmの範囲に設定するのが望ましい。
【0091】
このような粘着剤層7を介して貼り合わされる透明基体8は、透明高分子基材1に対して良好な機械的強度を付与し、特にカールなどの発生防止に寄与するものである。貼り合わせ後においても可撓性を有することが要求される場合は、透明基体8は、通常6〜300μm程度のプラスチックフィルムが用いられる。その一方、可撓性が特に要求されない場合には、通常0.05〜10mm程度のガラス板やフィルム状ないし板状のプラスチック等が、それぞれ用いられる。プラスチックの材質としては、前記した透明高分子基材1と同様のものが挙げられる。
【0092】
また、必要に応じて、前記透明基体8の外表面(粘着剤層7とは反対側の面)に、背面ハードコート層や反射防止層を設けてもよい。前記透明基体8の外表面に設けられる背面ハードコート層や反射防止層としては、透明高分子基材1の透明導電層4形成面側と反対側に設けられる層として前記したのと同様のものが好適に用いられる。
【0093】
上記のような本発明の透明導電性フィルムは、各種装置の透明電極や、タッチパネルの形成に好適に用いられる。特に、本発明の透明導電性フィルムは、押圧時のニュートンリングの発生が抑制され、かつペン入力耐久性に優れることから、抵抗膜方式のタッチパネルに好適に用いられる。
【実施例】
【0094】
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、各例中、含有量や比率は、特記がない限りいずれも重量基準である。
【0095】
[測定方法]
(ハードコート層の屈折率)
アタゴ社製のアッベ屈折率計を用い、ハードコート層の測定面に対して測定光を入射させるようにして、該装置に示される規定の測定方法により測定を行った。
【0096】
(微粒子の屈折率)
微粒子をスライドガラス上に載せ、屈折率標準液を微粒子上に滴下し、カバーガラスを被せて試料を作製した。その試料を顕微鏡にて観察し、微粒子の輪郭が屈折率標準液との界面で最も視認し難くなる屈折率標準液の屈折率を微粒子の屈折率とした。
【0097】
(平均粒子径)
ベックマン・コールター製のコールターマルチサイザーを用いて、コールターカウント法にて測定を行った。
【0098】
(ハードコート層の膜厚)
透明高分子基材上に粒子を含有するハードコート層を設けたフィルムの厚みを測定し、透明高分子基材の厚みを差し引くことで粒子を含有するハードコート層の膜厚を算出した。厚みの測定は、ミツトヨ製のマイクロゲージ式厚み計にて測定した。
【0099】
(ヘイズ)
JIS K7136に準じ、村上色彩技術研究所社製のヘイズメーター(型番「HR300」)を用いて測定した。
【0100】
(表面形状の測定)
透明導電性フィルムの透明高分子基材側表面に、粘着剤層を介してMATSUNAMI製のガラス(膜厚1.3mm)を貼り合わせて測定サンプルとした。このサンプルの透明導電層の表面形状を、小阪研究所製の高精度微細形状測定器(商品名:サーフコーダET4000)にて測定した。測定長4mmで表面形状の測定を行い、粗さ平均線に平行で0.2μmの高さにある第1基準線を超える凸状部の数N1、および粗さ平均線に平行で1μmの高さにある第2基準線を超える凸状部の数N2を求めた。
【0101】
(アンチニュートンリング(ANR)性)
透明導電性フィルムの透明高分子基材側表面に、粘着剤層を介してMATSUNAMI製のガラス(膜厚1.3mm)を貼り合わせて測定サンプルとした。このサンプルの透明導電層表面に、MATSUNAMI製のガラス(膜厚1.3mm)を強く押し付け、ニュートンリング現象の有無を目視にて確認した。結果は以下の2段階で評価した。
○ :ニュートンリングが見られない。
× :ニュートンリングが見られる。
【0102】
(ギラツキ評価)
透明導電性フィルムの透明高分子基材側表面に、粘着剤層を介してMATSUNAMI製のガラス(膜厚1.3mm)を貼り合わせて測定サンプルとした。このサンプルを、バックライト(ハクバ写真産業(株)製、商品名「ライトビュワー5700」)上に置かれたマスクパターン上に、スペーサーを介して、透明導電層側がバックライトと対向するようにセットした。マスクパターンとしては、開口部が縦105μm×横40μmであり、縦線幅15μm、横線幅50μmの格子状パターン(160ppi)を用いた。バックライト表面からマスクパターンまでの距離は1.5mm、マスクパターンから透明導電層までの距離が、1.3mmとなるようにスペーサーをセットした。ギラツキの有無は目視にて確認した。結果を以下の3段階で評価した。
○ :ギラツキがほとんど認められない。
△ :ギラツキが見られるが、実用上は問題ないレベル。
× :ギラツキがひどく、実用上問題があるレベル。
【0103】
(文字ボケ)
透明導電性フィルムの透明高分子基材側表面に、粘着剤層を介してMATSUNAMI製のガラス(膜厚1.3mm)を貼り合わせて測定サンプルとした。このサンプルを、透明導電層側がディスプレイと対向するように、ディスプレイの表面から距離2mm離して設置し、文字のボケを目視により判定した。結果は以下の2段階で評価した。
○ :文字ボケがみられない。
× :文字ボケがみられる。
【0104】
(ペン入力耐久性)
ペン入力耐久性評価の概略は、図3に示すとおりである。透明導電性フィルムの透明高分子基材1側表面に、粘着剤層71を介してMATSUNAMI製のガラス81(膜厚1.3mm)に貼り合わせて下部電極サンプルとした。上部電極サンプルとしては、PETフィルム11上にITO膜41が形成された透明導電性フィルム101(日東電工製 商品名「エリクリスタ V270L−TFMP」)を用いた。上部電極サンプルと下部電極サンプルとの間に、厚み188μmのPETフィルム50を20mm間隔で配置し、上部電極サンプルと下部電極サンプルとを透明導電層同士が対向するように配置して、図3に模式的に示す擬似抵抗膜方式タッチパネルを作製した。この擬似タッチパネルの中央部に、上部電極サンプル側から1.2kgの荷重を掛けたポリアセタール製のペン90(ペン先R0.8mm)で、25000往復の摺動試験を実施し、試験後の上部電極サンプルのリニアリティを測定した。耐久性試験後のリニアリティが2.0以下のものを○、2.0%を超えるものを×とした。
【0105】
リニアリティの測定は、摺動試験後の上部電極サンプルの透明導電層の両端部間に5Vの電圧を印加し、一方の電極(端子A)および他方の電極(端子B)間の出力電圧を測定することによっておこなった。リニアリティは、測定開始位置Aでの出力電圧をEA、測定終了位置Bでの出力電圧をEB、AB間の距離をLAB、開始位置Aからの距離Xの測定点での出力電圧をEX、理論値をEXXとすると、以下の計算から、求められる。
EXX={X・(EB−EA)/LAB}+EA
リニアリティ(%)=〔(EXX−EX)/(EB−EA)〕×100
【0106】
なお、リニアリティ測定の概略は、図4に示すとおりである。タッチパネルを用いる画像表示装置では、ペンで押さえられることにより上部電極と下部電極との接触部分の抵抗値から画面上に表示されるペンの位置が決定されている。上部および下部パネル表面の出力電圧分布が理論線(理想線)のようになっているものとして抵抗値が決められるが、電圧値が、図4の実測値のように理論線からずれると、実際のペン位置と抵抗値によって決まる画面上のペン位置がうまく同調しなくなる。理論線からのずれがリニアリティであり、その値が大きいほど、実際のペン位置と画面上のペンの位置のずれが大きくなる。すなわち、耐久試験後のリニアリティが小さいほど、耐久性が優れていることを意味する。
【0107】
[実施例1]
(ハードコート層形成用コーティング組成物の調整)
ハードコート層形成用の樹脂バインダー成分として、下記に示すA、B、C成分を酢酸ブチル:酢酸エチル=89:11の混合溶媒中に含有するアクリルウレタン系紫外線硬化型樹脂組成物(DIC製、商品名「GRANDIC PC1071」、固形分:66重量%)を用いた。このハードコート層形成用材料を硬化して得られた硬化皮膜の屈折率は、1.52であった。
A成分:ペンタエリスリトール系アクリレートと水添キシレンジイソシアネートからなるウレタンアクリレート(100重量部)
B成分:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(49重量部)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(41重量部)、およびペンタエリスリトールトリアクリレート(24重量部)
C成分:アクリロイル基含有アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(59重量部)
【0108】
前記ハードコート層形成用材料の樹脂固形分100重量部あたり、アクリルとスチレンの架橋粒子(積水化成品工業(株)製、商品名「XX80AA」、重量平均粒径:5.5μm、屈折率:1.515)を40重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製の商品名「イルガキュア184」)を1.8重量部、レベリング剤(DIC製、商品名「GRANDIC PC−4100」)を0.5重量部添加し、混合溶媒(酢酸ブチル:酢酸エチル=58:42)を用いて固形分濃度が40重量%となるように希釈して、粒子を含有するハードコート層形成用コーティング組成物を調製した。前記アクリルとスチレンの架橋粒子のアスペクト比は、ほとんどが1.05であった。
【0109】
(ハードコート層の形成)
両面に易接着コーティング層が形成されたPETフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラー U483」)の片面に、前記ハードコート層形成用コーティング組成物を塗布し、100℃で1分間加熱することにより塗膜を乾燥させた。その後、メタルハライドランプにて積算光量300mJ/cm2の紫外線を照射し、塗膜を硬化処理して厚み9.5μmの粒子を含有するハードコート層を形成した。
【0110】
(誘電体薄膜の形成)
粒子を含有するハードコート層の上に、JSR(株)製の商品名「JUA204」をバーコーターを用いて塗布し、80℃で1分間加熱することにより塗膜を乾燥させた。その後、メタルハライドランプにて積算光量300mJ/cm2の紫外線を照射し、塗膜を硬化処理して厚み50nmの樹脂層を形成した。
【0111】
(ITO膜の形成)
前記樹脂層の上に、スパッタリング法にてITOを25nmの厚みに形成し、実施例1の透明導電性フィルムを得た。
【0112】
[実施例2]
実施例1のハードコート層形成用コーティング組成物の調整において、アクリルとスチレンの架橋粒子の含有量をハードコート層形成用材料の樹脂固形分100重量部あたり50重量部に変更し、ハードコート層の厚みを11.5μmとした。それ以外は、実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。
【0113】
[実施例3]
実施例1のハードコート層形成用コーティング組成物の調整において、アクリルとスチレンの架橋粒子に代えてシリコーン粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、商品名「トスパール130」、重量平均粒径:3.0μm、屈折率:1.43)を、ハードコート層形成用材料の樹脂固形分100重量部あたり2.5重量部添加し、ハードコート層の厚みを4.0μmとした。それ以外は、実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。
【0114】
[実施例4]
実施例1のハードコート層形成用コーティング組成物の調整において、アクリルとスチレンの架橋粒子の含有量をハードコート層形成用材料の樹脂固形分100重量部あたり45重量部に変更し、ハードコート層の厚みを9.0μmとした。それ以外は、実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。
【0115】
[実施例5]
(ハードコート層形成用コーティング組成物の調整)
ハードコート層形成用の樹脂バインダー成分として、酢酸ブチル:メチルエチルケトン(MEK)=76:24の混合溶媒中に、ジペンタエリスリトールおよびイソホロンジイソシアネート系ポリウレタンと、表面を有機分子により修飾したシリカナノ微粒子(重量平均粒径100nm以下)とを、2:3の重量比で含有するハードコート層形成材料(JSR製、商品名「オプスターZ7540」、固形分:56重量%)を用いた。このハードコート層形成用材料を硬化して得られた硬化皮膜の屈折率は、1.485であった。
【0116】
前記ハードコート層形成用材料の樹脂固形分100重量部あたり、アクリルとスチレンの架橋粒子(積水化成品工業(株)製、商品名「XX79AA」、重量平均粒径:5.5μm、屈折率:1.505)を5重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製の商品名「イルガキュア184」)を0.5重量部、レベリング剤(DIC製、商品名「GRANDIC PC−4100」)を0.1重量部混合した。この混合物を、固形分濃度が40重量%、酢酸ブチル:MEKの比率が2:1となるように希釈して、微粒子を含有するハードコート層形成材料を調製した。
【0117】
(ハードコート層の形成)
両面に易接着コーティング層が形成されたPETフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラー U483」)の片面に、前記ハードコート層形成用コーティング組成物を塗布し、100℃で1分間加熱することにより塗膜を乾燥させた。その後、メタルハライドランプにて積算光量300mJ/cm2の紫外線を照射し、塗膜を硬化処理して厚み8.5μmの粒子を含有するハードコート層を形成した。
【0118】
(誘電体薄膜および透明導電層の形成)
実施例1と同様に、ハードコート層上にJSR(株)製の商品名「JUA204」を塗布して厚み50nmの樹脂層を形成し、その上に、スパッタリング法にて厚み25nmのITO膜を形成して透明導電性フィルムを得た。
【0119】
[比較例1]
ハードコート層の厚みを12μmとした以外は、実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。
【0120】
[比較例2]
ハードコート層の厚みを8.5μmとした以外は、実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。
【0121】
[比較例3]
ハードコート層の厚みを12μmとした以外は、実施例4と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。
【0122】
[比較例4]
実施例1のハードコート層形成用コーティング組成物の調整において、重量平均粒径が5.5μmのアクリルとスチレンの架橋粒子に代えて、アクリルとスチレンの架橋粒子(積水化成品工業製、商品名「XX41AA」、重量平均粒径:8.0μm、屈折率:1.505)に変更し、10重量部混合した以外は実施例1と同様な方法にて粒子を含有するハードコート層形成材料を得た。また、粒子を含有するハードコート層の厚みを7.0μmにした以外は、実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。
【0123】
[比較例5]
ハードコート層の厚みを10μmとした以外は、比較例4と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。
【0124】
[評価]
実施例および比較例のそれぞれの透明導電性フィルムのハードコート層の組成および評価結果を表1に示す。また、実施例および比較例の透明導電性フィルムの表面プロファイルを図5〜図13に示す。
【0125】
【表1】
【0126】
表1に示すように、比較例1では、表面が平滑であり、第1基準線を超える凸状部の数が少ないために、ニュートンリングの発生がみされている。また、比較例2、4では、アンチニュートンリング性は付与されているものの、第2基準線を超える凸状部が存在するために、ペン入力耐久性が低いことがわかる。さらに、第2基準線を超える凸状部は存在しないものの、第1基準線を超える凸状部の数が多い比較例5では、画面にギラツキが生じ視認性に劣っていた。さらに、比較例3では、ヘイズが高いために、文字ボケが生じていた。
【0127】
これに対して、実施例1〜5の透明導電性フィルムを用いた場合は、アンチニュートンリング性およびペン入力耐久性に優れ、かつ視認性にも優れることがわかる。ハードコート層中の微粒子の屈折率が硬化性樹脂バインダーの屈折率よりも大きい実施例5では、実用上は問題ないレベルではあるが、ギラツキが確認された。このことから、ハードコート層における微粒子の屈折率を硬化性樹脂バインダーの屈折率よりも小さくすることで、ギラツキの発生を抑止できることがわかる。
【符号の説明】
【0128】
1 透明高分子基材
2 ハードコート層
21 硬化性樹脂バインダー
22 微粒子
3 誘電体薄膜
4 透明導電層
7 粘着剤層
8 透明基体
100 透明導電性フィルム
110 透明導電性積層体
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム基材上に透明導電層が設けられた透明導電性フィルム、および当該透明導電性フィルムを用いたタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルには、位置検出の方法により光学方式、超音波方式、静電容量方式、抵抗膜方式などがある。このうち、抵抗膜方式はその構造が単純であるため、コストパフォーマンスに優れており、例えば銀行の現金自動受払機(ATM)や交通機関の切符販売機等の表示板等に広く用いられている。
【0003】
抵抗膜方式のタッチパネルは、例えば2枚の透明導電性フィルム(上電極および下電極)の透明導電層同士がスペーサーを介して対向配置された構造を有している。透明導電性フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に透明導電層としてインジウム・スズ酸化物膜を形成したものが一般に用いられている。このような抵抗膜方式のタッチパネルは、透明導電性フィルムの透明導電層に電流を流して、透明導電層付ガラスに於ける電圧を計測するような構造となっている。透明導電性フィルムを指やペン等による押圧操作を介して透明導電層付きガラスに接触させると、その接触部分が通電することにより、接触部分の位置が検知される。
【0004】
抵抗膜方式のタッチパネルでは、指またはペンにてタッチパネルを押圧する際に、ペンまたは指の周辺に干渉による虹模様、いわゆるニュートンリングが発生し、ディスプレイの視認性が低下するといった問題がある。押圧時のニュートンリングの解決方法として、透明導電層の表面に、所定の表面形状を示すように微細凹凸を形成することが提案されている(例えば特許文献1〜4)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−373056号公報
【特許文献2】特開平10−24516号公報
【特許文献3】特開平5−338086号公報
【特許文献4】特許第4183419号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように透明導電層表面に凹凸を形成することにより、押圧時のニュートンリングの発生は抑制される。その一方で、凹凸高さが大きいと、凹凸に起因して光が散乱され画面がぎらついて見え、画像の鮮明性が損なわれるという課題がある。特に、表示装置が高精細化されると、ぎらつきによる画像の鮮明性の低下が顕著となる傾向がある。
【0007】
また、抵抗膜方式のタッチパネルは、スペーサーを介して対向させた一対の透明導電層同士が、一方のパネル板(上電極)側からの押圧打点で強く接触するものである。そのため、透明導電性フィルムの透明導電層は、これに抗し得る良好な耐久性、つまり打点特性、特にペン入力耐久性を有していることが望まれる。しかしながら、押圧時のニュートンリングを解消するために一方の透明導電層表面に凹凸を形成すると、ペン入力による押圧や摺動によって、他方の透明導電層表面の膜破壊が生じ易く、タッチパネルの寿命が短くなるという問題があった。
【0008】
上記観点に鑑み、本願発明は、タッチパネルを形成した際に、押圧時のニュートンリングの発生と画面のギラツキの両者が抑制され、かつ高いペン入力耐久性を有する透明導電性フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、透明導電層の表面を所定形状とすることにより、ニュートンリングの発生が抑制され、かつ、タッチパネル形成時の視認性およびペン入力耐久性にも優れることを見出し、本発明にいたった。本発明は、透明高分子基材の一方の主面にハードコート層および透明導電層をこの順に有する透明導電性フィルムに関する。本発明の透明導電性フィルムのヘイズは0〜10%であることが好ましい。また、前記ハードコート層は硬化性樹脂および微粒子を含有することが好ましい。本発明の透明導電性フィルムは、透明導電層表面の任意の長さ4mmにおいて測定した表面粗さプロファイルにおいて、下記(1)および(2)を同時に満たすことが好ましい。
(1)粗さ平均線に平行で0.2μmの高さにある第1基準線を超える凸状部の数が10個〜70個
(2)粗さ平均線に平行で1μmの高さにある第2基準線を超える凸状部を有していない
【0010】
本発明の透明導電性フィルムにおいて、ハードコート層の厚みは、2μm〜15μmであることが好ましい。また、ハードコート層中の微粒子は、平均粒径が、1μm〜10μmであり、かつ、微粒子の平均粒径がハードコート層の厚みよりも小さいことが好ましい。一実施形態において、ハードコート層中の微粒子は、単一の粒径分布を有することが好ましい。
【0011】
本発明の透明導電性フィルムにおいて、タッチパネル形成時の画面のギラツキを抑制する観点において、ハードコート層中の微粒子の屈折率n22と、硬化性樹脂の屈折率n21との差n22−n21が、−0.1〜−0.002であることが好ましい。
【0012】
本発明の透明導電性フィルムの一実施形態において、ハードコート層中の硬化性樹脂は、下記のA成分、B成分およびC成分を含有する。
A成分:ウレタン(メタ)アクリレート
B成分:ポリオール(メタ)アクリレート
C成分:水酸基およびアクリロイル基の少なくとも一方の基を有するアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
【0013】
本発明の透明導電性フィルムの一実施形態において、ハードコート層と透明導電層との間には誘電体薄膜を有していてもよい。また、誘電体薄膜は、平均粒径1nm〜500nmのナノ微粒子を、薄膜中に0.1重量%〜90重量%含有することができる。
【0014】
さらに、本発明は、前記透明導電性フィルムを用いた抵抗膜方式タッチパネルに関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の透明導電性フィルムは、透明導電層表面に所定の凹凸が形成されているために、タッチパネルを形成した際には、押圧時のニュートンリングの発生と画面のギラツキの両者が抑制され、かつ高いペン入力耐久性を有する。そのため、本発明の透明導電性フィルムを用いた抵抗膜方式のタッチパネルは、ペン入力耐久性に優れるとともに、視認性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の一形態に係る透明導電性フィルムの模式的断面図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係る透明導電性積層体の模式的断面図である。
【図3】評価のために作製した擬似タッチパネルの構成を表す模式的断面図である。
【図4】リニアリティ測定の概略を示す説明図である。
【図5】実施例1の透明導電性フィルムの表面プロファイルである。
【図6】実施例2の透明導電性フィルムの表面プロファイルである。
【図7】実施例3の透明導電性フィルムの表面プロファイルである。
【図8】実施例4の透明導電性フィルムの表面プロファイルである。
【図9】実施例5の透明導電性フィルムの表面プロファイルである。
【図10】比較例1の透明導電性フィルムの表面プロファイルである。
【図11】比較例2の透明導電性フィルムの表面プロファイルである。
【図12】比較例3の透明導電性フィルムの表面プロファイルである。
【図13】比較例4の透明導電性フィルムの表面プロファイルである。
【図14】比較例5の透明導電性フィルムの表面プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、図を参照しながら以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る透明導電性フィルムの一例を示す断面模式図である。透明導電性フィルム100は、透明高分子基材1の一方の面に、ハードコート層2、および透明導電層4をこの順に有する。ハードコート層2は、硬化性樹脂バインダー21および微粒子22を含有する層であり、透明導電層4形成面側に凹凸を有する。なお、図1に示すように、ハードコート層2と透明導電層4との間には、誘電体薄膜3が形成されていてもよい。
【0018】
本発明の透明導電性フィルム100は、透明導電層4の表面粗さプロファイル(測定長4mm)が、下記(1)および(2)を同時に満たすことが好ましい。
(1)粗さ平均線に平行で0.2μmの高さにある第1基準線を超える凸状部の数が10個〜70個
(2)粗さ平均線に平行で1μmの高さにある第2基準線を超える凸状部を有していない
【0019】
透明導電層表面が上記の表面形状を有することによって、透明導電性フィルムをタッチパネルに組み込んだ際に、押圧時のニュートンリングの発生が抑制され、さらには、視認性の低下や、ペン入力耐久性の低下も抑制される。透明導電層4の表面が平滑であり、第1基準線を超える凸状部の数が少ないと、タッチパネルの押圧時にニュートンリングが発生し易くなる。逆に第1基準線を超える凸状部の数が多すぎると、ニュートンリングの発生は抑制される傾向にあるものの、凹凸に起因して光が散乱され画面がぎらついて見え易くなる傾向がある。特に、タッチパネルが組み込まれる表示装置が、高精細のものである場合に、ぎらつきによる画像の鮮明性の低下が顕著となる傾向がある。そのため、透明導電層表面において、第1基準線を超える凸状部の数は、測定長さ4mmあたり、10個〜70個であることがより好ましく、20個〜50個であることがさらに好ましい。また、透明導電性フィルム表面において、第2基準線を超える凸状部が存在すると、画面のぎらつきによる視認性の低下傾向に加えて、タッチパネル形成時のペン入力耐久性、特に摺動耐久性が低下する傾向がある。
【0020】
本発明の透明導電性フィルムのヘイズは、10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、5%以下であることが好ましい。透明導電性フィルムのヘイズが高くなると、光の散乱により画像の鮮明性が低下し、表示画面の文字ボケ等を生じ易くなる傾向がある。なお、ヘイズは、JISK 7136(2000年版)に準じて測定される。透明導電性フィルムのヘイズの下限は0%であるが、本発明においては、ハードコート層2が樹脂バインダー21に加えて微粒子22を含有しているために、ヘイズは一般的に1%以上となることが多い。
【0021】
透明導電層の表面形状、および透明導電性フィルムのヘイズを前記の好ましい範囲とするためには、透明導電層の下地層となるハードコート層2に微粒子を含有させることによってハードコート層2の表面に凹凸を形成することが好ましい。本発明においては、ハードコート層2の表面凹凸の大きさ(高さ)に比して、透明導電層4、および誘電体薄膜3の膜厚が小さいため、透明導電層4の表面においても、ハードコート層2の表面形状が、ほぼ維持される。
以下、本発明の好ましい形態について、説明する。
【0022】
<透明高分子基材>
透明高分子基材1としては、特に制限されないが、透明性を有する各種のプラスチックフィルムが用いられる。たとえば、その材料として、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等があげられる。この中で特に好ましいのは、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂である。
【0023】
透明高分子基材の厚みは、2〜200μmの範囲内であることが好ましく、2〜100μmの範囲内であることがより好ましい。透明高分子基材の厚みが2μm未満であると、透明高分子基材1の機械的強度が不足し、フィルム基材をロール状にして透明導電層4を連続的に形成する操作が困難になる場合がある。一方、厚みが200μmを超えると、透明導電層4の耐擦傷性やタッチパネル用としての打点特性の向上が図れない場合がある。
【0024】
透明高分子基材は、表面に予めスパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や下塗り処理を施して、この上に設けられるハードコート層2の透明高分子基材1に対する密着性を向上させるようにしてもよい。また、ハードコート層を設ける前に、必要に応じて、透明高分子基材表面を溶剤洗浄や超音波洗浄などにより除塵、清浄化してもよい。
【0025】
<ハードコート層>
透明高分子基材1上には、ハードコート層2が形成される。ハードコート層は、硬化性樹脂バインダー21および微粒子22を含有し、透明導電層4側表面に凹凸を有する層である。本発明において、ハードコート層2の透明導電層4側表面の任意の長さ4mmにおいて測定した表面粗さプロファイルは、下記(1)および(2)を同時に満たすことが好ましい。
(1)ハードコート層表面の粗さ平均線に平行で0.2μmの高さにある第1基準線を超える凸状部の数が10個〜70個
(2)ハードコート層表面の粗さ平均線に平行で1μmの高さにある第2基準線を超える凸状部を有していない
【0026】
前述のように、透明導電層4の表面においても、ハードコート層2の表面形状が、ほぼ維持される。そのため、ハードコート層2の透明導電層4側表面が平滑であり、前記第1基準線を超える凸状部の数が少ないと、タッチパネルの押圧時にニュートンリングが発生し易くなる。逆に前記第1基準線を超える凸状部の数が多すぎると、ニュートンリングの発生は抑制される傾向にあるものの、凹凸に起因して光が散乱され画面がぎらついて見え易くなる傾向がある。そのため、第1基準線を超える凸状部の数は、測定長さ4mmあたり、10個〜70個であることがより好ましく、20個〜50個であることがさらに好ましい。また、第2基準線を超える凸状部が存在すると、画面がぎらついて視認性が低下する傾向があることに加えて、タッチパネル形成時のペン入力耐久性、特に摺動耐久性が低下する傾向がある。
【0027】
ハードコート層のヘイズは、10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。ハードコート層のヘイズが高くなると、光の散乱により画像の鮮明性が低下し、表示画面の文字ボケ等を生じ易くなる傾向がある。
【0028】
ハードコート層の表面形状やヘイズの値は、ハードコート層2を形成する硬化性樹脂バインダー21と微粒子22の組合せや、ハードコート層の厚みを適宜に調整することによって、上記範囲内に調整することができる。以下、ハードコート層2を形成する硬化性樹脂バインダー21および微粒子22のそれぞれの好ましい態様について説明する。
【0029】
(硬化性樹脂バインダー)
硬化性樹脂バインダーとしては、電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂等が用いられる。加工速度の早さや透明高分子基材1への熱ダメージを抑制する観点からは、電離放射線硬化型樹脂を用いることが特に好ましい。
【0030】
このような電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、多価アルコールのアクリル酸やメタクリル酸エステル等の多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコールおよびアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル等から合成されるような多官能性のウレタンアクリレート樹脂などを挙げることができる。さらにアクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も必要に応じて好適に使用することができる。また、メラニン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、シリコーン系樹脂等も好ましく用いられる。
【0031】
本発明の一実施形態において、ハードコート層を形成する硬化性樹脂バインダーとして、下記の(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含む硬化性樹脂組成物が好適に用いられる。
(A)成分:ウレタン(メタ)アクリレート
(B)成分:ポリオール(メタ)アクリレート
(C)成分:水酸基及びアクリロイル基の少なくとも一方の基を有するアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
【0032】
前記(A)成分であるウレタン(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、ポリオール、ジイソシアネートを構成成分として含有するものが用いられる。例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方のモノマーと、ポリオールとを用いて、水酸基を1個以上有するヒドロキシ(メタ)アクリレートを作製し、これをジイソシアネートと反応させることによりウレタン(メタ)アクリレートを製造することができる。前記(A)成分において、ウレタン(メタ)アクリレートは、一種類を単独で使用でもよく、二種類以上を併用してもよい。
【0033】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アルキルアクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0034】
ポリオールは、水酸基を少なくとも2つ有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、トリシクロデカンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、エチレンオキサイド付加ビスフェノールA、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グルコース類等が挙げられる。
【0035】
ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族、脂肪族又は脂環族の各種のジイソシアネート類を使用することができ、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4−ジフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等、さらにはこれらの水添物等が挙げられる。
【0036】
ハードコート層中の前記(A)成分の配合割合は、特に制限されない。前記(A)成分の使用により、ハードコート層の柔軟性及び透明高分子基材に対する密着性を向上させることができる。これらの点及びハードコート層の硬度の観点等から、前記(A)成分の配合割合は、ハードコート層を形成する硬化性樹脂バインダー成分全体に対し、例えば、15〜55重量%の範囲であり、好ましくは、25〜45重量%の範囲である。ハードコート層を形成する硬化性樹脂バインダー成分全体とは、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量、若しくは、その他の樹脂成分や、後述するようなナノ微粒子成分を用いる場合は、前記三成分の合計量と樹脂成分およびナノ微粒子の合計量とを合わせた量を意味し、以下、同様である。
【0037】
前記(B)成分としてのポリオール(メタ)アクリレートとしては、例えばペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの少なくとも一方を含むことが好ましい。かかる化合物によって、十分な硬度及び可撓性を維持しつつ、かつカールの発生をより効果的に防止できる。中でも、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとの重合物からなるモノマー成分及びペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとを含む混合成分を用いることが好ましい。
【0038】
(B)成分の配合割合は、特に制限されない。例えば、(B)成分の配合割合は、前記(A)成分に対し70〜180重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは100〜150重量%の範囲である。(B)成分の配合割合が(A)成分に対し180重量%以下であると、形成されるハードコート層の硬化収縮を有効に防止でき、その結果、ハードコート層2が形成された透明高分子基材1のカールを防止でき、透明導電性フィルムの屈曲性の低下を防止できる。また、(B)成分の配合割合が(A)成分の70重量%以上であれば、形成されるハードコート層の硬度をより向上させることができる。
【0039】
前記(C)成分としては、下記一般式(1)の繰り返し単位を含むポリマー、コポリマー、若しくはこれらの混合物が挙げられる。
【0040】
【化1】
【0041】
前記式(1)において、R1は水素、若しくはメチル基であり、R2は、−CH2CH2OX、若しくは下記一般式(2)で表される基であり、Xは、水素、若しくは下記一般式(3)で表されるアクリロイル基である。また、一般式(2)において、2つのXは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0042】
【化2】
【0043】
【化3】
【0044】
上記一般式(1)に該当するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジアクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ハードコート層が(C)成分を有することで、透明導電性フィルムのカールの発生をより効果的に防止することができる。
【0045】
(C)成分の配合割合は、特に制限されない。例えば、(C)成分の配合割合は、前記(A)成分に対し、25〜110重量%の範囲が好ましく、より好ましくは45〜85重量%の範囲である。(C)成分の配合割合が110重量%以下であれば、ハードコート層形成材料の塗工性が優れるようになる。(C)成分の配合割合が25重量%以上であれば、形成されるハードコート層の硬化収縮を防止でき、その結果、ハードコート層が形成された透明高分子基材におけるカールの発生を抑制することができる。
【0046】
ハードコート層を形成する硬化性樹脂バインダーに用いられる電離放射線硬化型樹脂として、上記各成分に加えて反応性希釈剤を有していてもよい。反応性希釈剤としては、比較的低粘度である1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能以上のモノマーおよびオリゴマー並びに単官能モノマー、例えばN−ビニルピロリドン、エチルアクリレート、プロピルアクリレート等のアクリル酸エステル類、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ノニルフェニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、そのカプロラクトン変成物などの誘導体、スチレン、q−メチルスチレン、アクリル酸等、またはそれらの混合物などを使用することができる。
【0047】
また、硬化性樹脂バインダーは、電離放射線硬化型樹脂等の樹脂成分に加えて、無機酸化物ナノ微粒子と重合性不飽和基を含む有機化合物とを結合させてなるナノ微粒子を含有するものであってもよい。このようなナノ微粒子を形成する無機酸化物としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム等の微粒子があげられる。これらの中でも、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウムの微粒子が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
硬化性樹脂バインダーとして用いられるナノ微粒子は、ハードコート層の着色防止および透明性の点等から、重量平均粒径が1nm〜500nmであることが好ましく、5nm〜300nmの範囲であることがより好ましく、10nm〜100nmであることがさらに好ましい。このように、ナノ微粒子の平均粒径が小さければ、可視光の散乱が生じ難く、硬化性樹脂バインダー中の樹脂成分とナノ微粒子の屈折率が異なる場合であっても、ハードコート層のヘイズが大幅に増大することが抑制される。
【0049】
無機酸化物ナノ微粒子は、重合性不飽和基を含む有機化合物と結合(表面修飾)されている。この不飽和基が、硬化性樹脂バインダー中の樹脂成分と反応硬化することで、ハードコート層の硬度を向上させる。無機酸化物ナノ微粒子を表面修飾する有機化合物中の重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基が好ましい。また、前記重合性不飽和基を含む有機化合物は、分子内にシラノール基を有する化合物あるいは加水分解によってシラノール基を生成する化合物であってもよい。また、重合性不飽和基を含む有機化合物は、光感応性基を有するものであることも好ましい。
【0050】
硬化性樹脂バインダー中に無機酸化物ナノ微粒子を用いる場合、その配合量は、電離放射線硬化型樹脂等の樹脂固形分100重量部に対し、0.1重量部〜90重量部の範囲であることが好ましく、10重量部〜80重量部の範囲であることがより好ましい。硬化性樹脂バインダーが無機酸化物ナノ微粒子を含有することで、透明高分子基材上にハードコート層が形成されたフィルムのカールや折れの発生を効果的に防止でき、その含有量が90重量部以下であれば、ハードコート層の硬度を高めることができる。また、硬化性樹脂バインダー中のナノ微粒子の配合量を調整することで、例えば、ハードコート層の屈折率を調整することが可能である。
【0051】
なお、上記のナノ微粒子は、粒径が小さいために、ハードコート層2の表面凹凸の形成に直接的に寄与するものではなく、硬化性樹脂バインダーの組成物として作用する。そのため、ハードコート層2におけるナノ微粒子は、後述する微粒子22には含まれない。
【0052】
(微粒子)
ハードコート層2に用いられる微粒子22としては、各種金属酸化物、ガラス、プラスチックなどの透明性を有するものを特に制限なく使用することができる。例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化カルシウム等の無機系微粒子、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン共重合体、ベンゾグアナミン、メラミン、ポリカーボネート等の各種ポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系微粒子やシリコーン系微粒子などがあげられる。前記微粒子は、1種または2種以上を適宜に選択して用いることができる。
【0053】
ハードコート層2の表面形状は、ハードコート層中の微粒子22の平均粒径および微粒子の含有量等によって調整し得る。第2基準線を超える凸状部が存在しないようにするためには、ハードコート層中の微粒子の平均粒径は、ハードコート層の厚みよりも小さいことが好ましい。微粒子の平均粒径は、ハードコート層の厚みの45%〜80%であることが好ましく、50%〜70%であることがさらに好ましい。
【0054】
微粒子の平均粒径は、1μm〜10μmの範囲であることが好ましく、2μm〜8μmであることがより好ましく、3μm〜7μmであることがさらに好ましい。ハードコート層の微粒子の重量平均粒径が前記範囲より大きくなると、透明導電性フィルム表面の凹凸が大きくなるために、第2基準線を超える凸状部が形成され、タッチパネル形成時の画面の視認性が低下したり、ペン入力耐久性が低下する傾向がある。一方、微粒子の粒径が前記範囲より小さいと、十分な防眩性が得られず、ギラツキも大きくなるという問題が生じやすくなる。
【0055】
なお、本明細書において、平均粒径とは、重量平均粒径を表す。微粒子の重量平均粒径は、例えば、コールターカウント法により測定できる。コールターカウント法による測定は、例えば、細孔電気抵抗法を利用した粒度分布測定装置(商品名:コールターマルチサイザー、ベックマン・コールター社製)を用い、微粒子が前記細孔を通過する際の微粒子の体積に相当する電解液の電気抵抗を測定することにより、前記微粒子の数と体積を測定し、重量平均粒径を算出する。
【0056】
微粒子22の形状は特に制限されず、例えば、ビーズ状の略球形であってもよく、粉末等の不定形のものであってもよいが、略球形のものが好ましく、より好ましくは、アスペクト比が1.5以下の略球形の微粒子であり、最も好ましくは球形の微粒子である。アスペクト比が1.5を超える微粒子や多角形の微粒子を用いた場合、透明導電層表面に第2基準線を超える凸状部が形成され易くなり、ペン入力耐久性の向上が図れなくなる場合がある。
【0057】
また、本発明においては、微粒子22が、単一の粒径分布を有することが好ましい。微粒子の粒径分布を単一とする観点においては、微粒子を1種類のみ用いることが好ましい。微粒子が単一の粒径分布を有することによって、透明導電層の表面形状を所定形状となるように制御することが容易となる。
【0058】
ハードコート層2中の微粒子22の配合割合は、硬化性樹脂バインダー100重量部に対して、1重量部〜60重量部であることが好ましく、2重量部〜55重量部であることがより好ましい。微粒子の配合割合が過度に少ないと、透明導電層表面において第1基準線を超える凸状部の数が小さくなり、ニュートンリングの十分な抑制が困難になる傾向がある。一方、微粒子の配合割合が過度に多いと、透明導電層表面において第1基準線を超える凸状部の数が過大となり、透過率の低下や鮮明性の低下を招来する傾向がある。
【0059】
微粒子22の屈折率n22は、硬化性樹脂バインダー21の屈折率n21よりも小さいことが好ましく、次の式(1)の関係を満たすことが好ましい。
−0.1≦n22−n21≦−0.02 (1)
【0060】
n22−n21が負の場合(微粒子の屈折率の方が硬化性樹脂バインダーの屈折率よりも大きい場合)は、n22−n21が正の場合(微粒子の屈折率の方が硬化性樹脂バインダーの屈折率よりも小さい場合)に比して、良好なギラツキ防止性が得られる傾向がある。特に両者の屈折率差を0.02よりも大きくすれば、少量の微粒子の添加で、ギラツキの防止を図ることができる。一方、屈折率差が0.1を超えると、ハードコート層2による光の散乱が強くなりヘイズが上昇するために、文字ボケを生じ易くなる場合がある。
【0061】
(添加剤)
ハードコート層2の形成材料には、硬化性樹脂バインダーおよび微粒子に加えて、さらに各種の添加剤を加えることもできる。添加剤としては、例えば硬化性樹脂バインダーを硬化してハードコート層を形成するための重合開始剤や、レベリング剤、顔料、充填剤、分散剤、可塑剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、酸化防止剤、チクソトロピー化剤等を使用することができる。
【0062】
重合開始剤としては、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。例えば2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、N,N,N,N−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、その他、チオキサント系化合物等が使用できる。
【0063】
レベリング剤としては、フッ素系またはシリコーン系のレベリング剤を適宜使用することができるが、より好ましくはシリコーン系のレベリング剤であり。シリコーン系レベリング剤としては、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサン等が挙げられる。フッ素系またはシリコーン系のレベリング剤の添加量は、硬化性樹脂バインダー100重量部に対し0.01〜5重量部の範囲内で添加することが好ましい。
【0064】
微粒子22を分散させる溶媒としては、分散状態に影響を与えず、硬化性樹脂バインダー成分が溶解するものであれば特に制限はない。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類やトルエン等が挙げられる。これらの溶媒は単独でも、又任意の割合で混合して用いても良い。
【0065】
ハードコート層2の形成には、硬化性樹脂バインダー21中に微粒子22を添加して透明高分子基材1上に塗工し、乾燥、硬化処理を行うことで添加した微粒子22による凹凸を形成する方法等、適宜な方法を使用することができる。塗工方法としては特に限定されず、例えば、公知のファンテンコート、ダイコート、スピンコート、スプレーコート、グラビアコート、ロールコート、バーコート等が例示できる。
【0066】
硬化処理としては、例えば、エネルギー線の照射による方法等が例示できる。エネルギー線源としては、例えば、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、窒素レーザー、電子線加速装置、放射性元素などの線源が使用される。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50〜5000mW/cm2が好ましい。照射量が50mW/cm2未満の場合は、硬化が不十分となるため、ハードコート層2の硬度が低下する。また、5000mW/cm2を超えると、ハードコート層2が着色して透明性が低下する。
【0067】
ハードコート層2の厚みは、塗工性および硬度の観点から、2μm〜15μmの範囲であることが好ましく、4μm〜12μmの範囲であることがより好ましい。ハードコート層の厚みが前記範囲より大きいと、ハードコート層形成後の透明高分子基材にカールが生じたり、ヘイズが大きくなる傾向がある。一方、ハードコート層の厚みが前記範囲より小さいと、タッチパネル形成時のギラツキを十分に抑制できない場合がある。また、ハードコート層の厚みは、微粒子22の平均粒径や含有量を考慮して、ハードコート層の表面プロファイルが前記範囲となるように調整することが好ましい。
【0068】
<誘電体薄膜>
ハードコート層2と透明導電層4との間には、透明導電層の密着性や反射特性の制御等を目的として誘電体薄膜3が設けられていてもよい。誘電体薄膜は1層でもよく、2層あるいはそれ以上設けてもよい。誘電体薄膜は、無機物、有機物、あるいは無機物と有機物との混合物により形成される。誘電体薄膜を形成する材料としては、NaF、Na3AlF6、LiF、MgF2、CaF2、SiO2、LaF3、CeF3、Al2O3、TiO2、Ta2O5、ZrO2、ZnO、ZnS、SiOx(xは1.5以上2未満)などの無機物や、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマーなどの有機物が挙げられる。特に、有機物として、メラミン樹脂とアルキド樹脂と有機シラン縮合物の混合物からなる熱硬化型樹脂を使用することが好ましい。誘電体薄膜は、上記の材料を用いて、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、塗工法などにより形成できる。
【0069】
誘電体薄膜3の厚みは、5nm〜150nmであることが好ましく、10nm〜100nmであることがより好ましく、20nm〜70nmであることがさらに好ましい。誘電体薄膜の厚さが過度に小さいと連続被膜となりにくい。また、誘電体薄膜の厚みが過度に大きいと、透明導電性フィルムの透明性が低下したり、誘電体薄膜にクラックが生じ易くなる傾向がある。
【0070】
誘電体薄膜は、平均粒径が1nm〜500nmのナノ微粒子を有していてもよい。誘電体薄膜中のナノ微粒子の含有量は0.1重量%〜90重量%であることが好ましい。誘電体薄膜に用いられるナノ微粒子の平均粒径は、上述のように1nm〜500nmの範囲であることが好ましく、5nm〜300nmであることがより好ましい。また、誘電体薄膜中のナノ微粒子の含有量は10重量%〜80重量%であることがより好ましく、20重量%〜70重量%であることがさらに好ましい。
【0071】
誘電体薄膜中にナノ微粒子を含有することによって、誘電体薄膜の屈折率の調整を容易に行うことができる。
【0072】
誘電体薄膜中に含まれるナノ微粒子としては、ハードコート層中に含まれうるナノ微粒子として先に説明したのと同様に、重合性不飽和基を含む有機化合物と結合(表面修飾)された無機酸化物ナノ微粒子が好適に用いられる。また、このようなナノ微粒子が用いられる場合、誘電体薄膜は、重合性不飽和基を有する有機化合物から形成されることが好ましい。これにより、ナノ微粒子同士の凝集を防止することができるからである。
【0073】
<透明導電層>
ハードコート層2上には、透明導電層4が形成される。なお、図1に示すようにハードコート層2上に誘電体薄膜3が形成されている場合は、誘電体薄膜3上に透明導電層4が形成される。透明導電層4の構成材料は特に限定されず、インジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、アンチモン、チタン、珪素、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、銅、パラジウム、タングステンからなる群より選択される少なくとも1種の金属の金属酸化物が好適に用いられる。当該金属酸化物には、必要に応じて、さらに上記群に示された金属原子を含んでいてもよい。例えば酸化スズを含有する酸化インジウム(ITO)、アンチモンを含有する酸化スズ(ATO)などが好ましく用いられる。
【0074】
透明導電層4の厚みは特に制限されないが、その表面抵抗を1×103Ω/□以下の良好な導電性を有する連続被膜とするには、厚みを10nm以上とするのが好ましい。膜厚が、厚くなりすぎると透明性の低下などをきたすため、15〜35nmであることが好ましく、より好ましくは20〜30nmの範囲内である。透明導電層の厚みが15nm未満であると膜表面の電気抵抗が高くなり、かつ連続被膜になり難くなる。また、透明導電層の厚みが35nmを超えると透明性の低下などをきたす場合がある。
【0075】
透明導電層4の形成方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。具体的には、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライプロセスを例示できる。また、必要とする膜厚に応じて適宜の方法を採用することもできる。なお、図2、3に示すように、ハードコート層2形成面側に透明導電層4が形成される場合、透明導電層4がスパッタリング法等のドライプロセスによって形成されれば、透明導電層4の表面は、その下地層であるハードコート層2表面の凹凸をほぼ維持する。そのため、ハードコート層2上に透明導電層4が形成されている場合においても、透明導電層4表面にも、耐ブロッキング性および易滑性を付与することができる。
【0076】
透明導電層4は、必要に応じて、加熱アニール処理を施して結晶化することができる。透明導電層を結晶化することで、透明導電層が低抵抗化されることに加えて、透明性および耐久性が向上する。
【0077】
<透明導電性フィルムの背面側の構成>
上記のようにして得られた透明導電性フィルムは、そのままタッチパネルの形成に用いてもよいし、透明高分子基材1の透明導電層4形成面側と反対側に、視認性の向上を目的とした反射防止層を設けたり、外表面の保護を目的とした背面ハードコート層を設けてもよい。なお、透明高分子基材上への背面ハードコート層や反射防止層等は、透明導電層の形成前、形成後のいずれにおこなうこともできる。反射防止層は、背面ハードコート層上に設けることもできる。
【0078】
背面ハードコート層の形成に用いられる硬化性樹脂としては、透明高分子基材1の透明導電層4形成面側に設けられるハードコート層2の硬化性樹脂バインダー21の成分として前述したのと同様の樹脂組成物を用いることができる。
【0079】
反射防止層は、光の干渉効果を利用して、入射光と反射光の逆転した位相を互いに相殺させることで反射防止機能を発現させるものである。画像表示装置にタッチパネルを装着した際、画像の視認性を低下させる要因のひとつに空気と透明高分子基材あるいはその上に形成された背面ハードコート層界面での光の反射が挙げられる。厚みおよび屈折率を厳密に制御した薄膜を、透明高分子基材あるいは背面ハードコート層上に形成して反射防止層として機能させることで、空気界面における反射を低減させることができる。
【0080】
光の干渉効果に基づく反射防止層の設計において、その干渉効果を向上させるには、反射防止層と透明高分子基材あるいは背面ハードコート層との屈折率差を大きくすることが好ましい。一般的に、基材上に、厚みおよび屈折率を厳密に制御した薄膜を2〜5層積層する多層反射防止層では、屈折率の異なる成分を所定の厚さだけ複数層形成することで、反射防止層の光学設計に自由度が増し、より反射防止効果を向上させ、分光反射特性も可視光領域でフラットにすることが可能となる。このような反射防止層の形成においては、光学薄膜の各層の厚み精度が要求される為、一般的にはドライ方式である真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等による光学薄膜の形成が行われている。
【0081】
また、透明高分子基材あるいは背面ハードコート層上に単層の光学薄膜を積層することによっても、反射防止効果を発現させることが可能である。反射防止層を単層にする設計においても、反射防止機能を最大限引き出す為には、反射防止層と透明高分子基材あるいは背面ハードコート層との屈折率差を大きくする必要がある。反射防止層の膜厚をd、屈折率をn、入射光の波長を入とすると、反射防止層の膜厚とその屈折率との間でnd=(λ/4)×(2m−1)なる関係式が成立することが好ましい(ただし、mは自然数である)。反射防止層の屈折率が透明高分子基材の屈折率より小さい場合は、前記関係式が成立する条件で反射率が最小となる。例えば、反射防止層の屈折率が1.45である場合は、可視光線中の550nmの波長の入射光に対して、反射率を最小にする反射防止層の膜厚は95nmとなる。
【0082】
反射防止機能を発現させる可視光線の波長領域は、380〜780nmであり、特に視感度が高い波長領域は450〜650nmの範囲であり、その中心波長である550nmの反射率を最小にする設計を行なうことが通常行われている。
【0083】
また、透明高分子基材1の透明導電層4形成面側と反対側には、図2に示すように、透明な粘着剤層7を介して透明基体8が貼り合わされて、透明導電性積層体110を形成することもできる。透明高分子基材1と透明基体8との貼り合わせは、透明基体8の方に粘着剤層7を設けておき、これに透明高分子基材1を貼り合わせるようにしてもよい。また、逆に透明高分子基材1の方に粘着剤層7を設けておき、これに透明基体8を貼り合わせるようにしてもよい。また、セパレーター上に粘着剤層7を予め形成し、透明基体8または透明高分子基材1に粘着剤層7を転写することもできる。
【0084】
粘着剤層7としては、透明性を有するものであれば特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度なぬれ性、凝集性および接着性等の粘着特性を示し、耐候性や耐熱性等にも優れるという点からは、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
【0085】
粘着剤層7の構成材料である粘着剤の種類によっては、適当な粘着用下塗り剤を用いることで投錨力を向上させることが可能なものがある。従って、そのような粘着剤を用いる場合には、粘着用下塗り剤を用いることが好ましい。
【0086】
前記粘着用下塗り剤としては、粘着剤の投錨力を向上できる層であれば特に制限はない。具体的には、例えば、同一分子内にアミノ基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、クロル基等の反応性官能基と加水分解性のアルコキシシリル基とを有するシラン系カップリング剤、同一分子内にチタンを含む加水分解性の親水性基と有機官能性基とを有するチタネート系カップリング剤、および同一分子内にアルミニウムを含む加水分解性の親水性基と有機官能性基とを有するアルミネート系カップリング剤等のいわゆるカップリング剤、エポキシ系樹脂、イソシアネート系樹脂、ウレタン系樹脂、エステルウレタン系樹脂等の有機反応性基を有する樹脂を用いることができる。工業的に取扱い易いという観点からは、シラン系カップリング剤を含有する層が特に好ましい。
【0087】
また、前記粘着剤層7には、ベースポリマーに応じた架橋剤を含有させることができる。また、粘着剤層7には必要に応じて例えば天然物や合成物の樹脂類、ガラス繊維やガラスビーズ、金属粉やその他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤、酸化防止剤などの適宜な添加剤を配合することもできる。また透明微粒子を含有させて光拡散性が付与された粘着剤層7とすることもできる。
【0088】
なお、前記の透明微粒子には、例えば平均粒径が0.5〜20μmのシリカ、酸化カルシウム、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等の導電性の無機系微粒子や、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタンの如き適宜なポリマーからなる架橋または未架橋の有機系微粒子など適宜なものを1種または2種以上用いることができる。
【0089】
粘着剤層は、通常、ベースポリマーまたはその組成物を溶剤に溶解または分散させた固形分濃度が10〜50重量%程度の粘着剤溶液として用いられる。前記溶剤としては、トルエンや酢酸エチル等の有機溶剤や水等の粘着剤の種類に応じたものを適宜に選択して用いることができる。
【0090】
この粘着剤層7は、透明基体8の接着後に於いては、そのクッション効果により、透明高分子基材1の一方の面に設けられた透明導電層4の耐擦傷性やタッチパネル用としての打点特性、いわゆるペン入力耐久性を向上させる機能を有する。この機能をより良く発揮させる観点から、粘着剤層7の弾性係数を1〜100N/cm2の範囲、厚さを1μm以上、通常5〜100μmの範囲に設定するのが望ましい。
【0091】
このような粘着剤層7を介して貼り合わされる透明基体8は、透明高分子基材1に対して良好な機械的強度を付与し、特にカールなどの発生防止に寄与するものである。貼り合わせ後においても可撓性を有することが要求される場合は、透明基体8は、通常6〜300μm程度のプラスチックフィルムが用いられる。その一方、可撓性が特に要求されない場合には、通常0.05〜10mm程度のガラス板やフィルム状ないし板状のプラスチック等が、それぞれ用いられる。プラスチックの材質としては、前記した透明高分子基材1と同様のものが挙げられる。
【0092】
また、必要に応じて、前記透明基体8の外表面(粘着剤層7とは反対側の面)に、背面ハードコート層や反射防止層を設けてもよい。前記透明基体8の外表面に設けられる背面ハードコート層や反射防止層としては、透明高分子基材1の透明導電層4形成面側と反対側に設けられる層として前記したのと同様のものが好適に用いられる。
【0093】
上記のような本発明の透明導電性フィルムは、各種装置の透明電極や、タッチパネルの形成に好適に用いられる。特に、本発明の透明導電性フィルムは、押圧時のニュートンリングの発生が抑制され、かつペン入力耐久性に優れることから、抵抗膜方式のタッチパネルに好適に用いられる。
【実施例】
【0094】
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、各例中、含有量や比率は、特記がない限りいずれも重量基準である。
【0095】
[測定方法]
(ハードコート層の屈折率)
アタゴ社製のアッベ屈折率計を用い、ハードコート層の測定面に対して測定光を入射させるようにして、該装置に示される規定の測定方法により測定を行った。
【0096】
(微粒子の屈折率)
微粒子をスライドガラス上に載せ、屈折率標準液を微粒子上に滴下し、カバーガラスを被せて試料を作製した。その試料を顕微鏡にて観察し、微粒子の輪郭が屈折率標準液との界面で最も視認し難くなる屈折率標準液の屈折率を微粒子の屈折率とした。
【0097】
(平均粒子径)
ベックマン・コールター製のコールターマルチサイザーを用いて、コールターカウント法にて測定を行った。
【0098】
(ハードコート層の膜厚)
透明高分子基材上に粒子を含有するハードコート層を設けたフィルムの厚みを測定し、透明高分子基材の厚みを差し引くことで粒子を含有するハードコート層の膜厚を算出した。厚みの測定は、ミツトヨ製のマイクロゲージ式厚み計にて測定した。
【0099】
(ヘイズ)
JIS K7136に準じ、村上色彩技術研究所社製のヘイズメーター(型番「HR300」)を用いて測定した。
【0100】
(表面形状の測定)
透明導電性フィルムの透明高分子基材側表面に、粘着剤層を介してMATSUNAMI製のガラス(膜厚1.3mm)を貼り合わせて測定サンプルとした。このサンプルの透明導電層の表面形状を、小阪研究所製の高精度微細形状測定器(商品名:サーフコーダET4000)にて測定した。測定長4mmで表面形状の測定を行い、粗さ平均線に平行で0.2μmの高さにある第1基準線を超える凸状部の数N1、および粗さ平均線に平行で1μmの高さにある第2基準線を超える凸状部の数N2を求めた。
【0101】
(アンチニュートンリング(ANR)性)
透明導電性フィルムの透明高分子基材側表面に、粘着剤層を介してMATSUNAMI製のガラス(膜厚1.3mm)を貼り合わせて測定サンプルとした。このサンプルの透明導電層表面に、MATSUNAMI製のガラス(膜厚1.3mm)を強く押し付け、ニュートンリング現象の有無を目視にて確認した。結果は以下の2段階で評価した。
○ :ニュートンリングが見られない。
× :ニュートンリングが見られる。
【0102】
(ギラツキ評価)
透明導電性フィルムの透明高分子基材側表面に、粘着剤層を介してMATSUNAMI製のガラス(膜厚1.3mm)を貼り合わせて測定サンプルとした。このサンプルを、バックライト(ハクバ写真産業(株)製、商品名「ライトビュワー5700」)上に置かれたマスクパターン上に、スペーサーを介して、透明導電層側がバックライトと対向するようにセットした。マスクパターンとしては、開口部が縦105μm×横40μmであり、縦線幅15μm、横線幅50μmの格子状パターン(160ppi)を用いた。バックライト表面からマスクパターンまでの距離は1.5mm、マスクパターンから透明導電層までの距離が、1.3mmとなるようにスペーサーをセットした。ギラツキの有無は目視にて確認した。結果を以下の3段階で評価した。
○ :ギラツキがほとんど認められない。
△ :ギラツキが見られるが、実用上は問題ないレベル。
× :ギラツキがひどく、実用上問題があるレベル。
【0103】
(文字ボケ)
透明導電性フィルムの透明高分子基材側表面に、粘着剤層を介してMATSUNAMI製のガラス(膜厚1.3mm)を貼り合わせて測定サンプルとした。このサンプルを、透明導電層側がディスプレイと対向するように、ディスプレイの表面から距離2mm離して設置し、文字のボケを目視により判定した。結果は以下の2段階で評価した。
○ :文字ボケがみられない。
× :文字ボケがみられる。
【0104】
(ペン入力耐久性)
ペン入力耐久性評価の概略は、図3に示すとおりである。透明導電性フィルムの透明高分子基材1側表面に、粘着剤層71を介してMATSUNAMI製のガラス81(膜厚1.3mm)に貼り合わせて下部電極サンプルとした。上部電極サンプルとしては、PETフィルム11上にITO膜41が形成された透明導電性フィルム101(日東電工製 商品名「エリクリスタ V270L−TFMP」)を用いた。上部電極サンプルと下部電極サンプルとの間に、厚み188μmのPETフィルム50を20mm間隔で配置し、上部電極サンプルと下部電極サンプルとを透明導電層同士が対向するように配置して、図3に模式的に示す擬似抵抗膜方式タッチパネルを作製した。この擬似タッチパネルの中央部に、上部電極サンプル側から1.2kgの荷重を掛けたポリアセタール製のペン90(ペン先R0.8mm)で、25000往復の摺動試験を実施し、試験後の上部電極サンプルのリニアリティを測定した。耐久性試験後のリニアリティが2.0以下のものを○、2.0%を超えるものを×とした。
【0105】
リニアリティの測定は、摺動試験後の上部電極サンプルの透明導電層の両端部間に5Vの電圧を印加し、一方の電極(端子A)および他方の電極(端子B)間の出力電圧を測定することによっておこなった。リニアリティは、測定開始位置Aでの出力電圧をEA、測定終了位置Bでの出力電圧をEB、AB間の距離をLAB、開始位置Aからの距離Xの測定点での出力電圧をEX、理論値をEXXとすると、以下の計算から、求められる。
EXX={X・(EB−EA)/LAB}+EA
リニアリティ(%)=〔(EXX−EX)/(EB−EA)〕×100
【0106】
なお、リニアリティ測定の概略は、図4に示すとおりである。タッチパネルを用いる画像表示装置では、ペンで押さえられることにより上部電極と下部電極との接触部分の抵抗値から画面上に表示されるペンの位置が決定されている。上部および下部パネル表面の出力電圧分布が理論線(理想線)のようになっているものとして抵抗値が決められるが、電圧値が、図4の実測値のように理論線からずれると、実際のペン位置と抵抗値によって決まる画面上のペン位置がうまく同調しなくなる。理論線からのずれがリニアリティであり、その値が大きいほど、実際のペン位置と画面上のペンの位置のずれが大きくなる。すなわち、耐久試験後のリニアリティが小さいほど、耐久性が優れていることを意味する。
【0107】
[実施例1]
(ハードコート層形成用コーティング組成物の調整)
ハードコート層形成用の樹脂バインダー成分として、下記に示すA、B、C成分を酢酸ブチル:酢酸エチル=89:11の混合溶媒中に含有するアクリルウレタン系紫外線硬化型樹脂組成物(DIC製、商品名「GRANDIC PC1071」、固形分:66重量%)を用いた。このハードコート層形成用材料を硬化して得られた硬化皮膜の屈折率は、1.52であった。
A成分:ペンタエリスリトール系アクリレートと水添キシレンジイソシアネートからなるウレタンアクリレート(100重量部)
B成分:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(49重量部)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(41重量部)、およびペンタエリスリトールトリアクリレート(24重量部)
C成分:アクリロイル基含有アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(59重量部)
【0108】
前記ハードコート層形成用材料の樹脂固形分100重量部あたり、アクリルとスチレンの架橋粒子(積水化成品工業(株)製、商品名「XX80AA」、重量平均粒径:5.5μm、屈折率:1.515)を40重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製の商品名「イルガキュア184」)を1.8重量部、レベリング剤(DIC製、商品名「GRANDIC PC−4100」)を0.5重量部添加し、混合溶媒(酢酸ブチル:酢酸エチル=58:42)を用いて固形分濃度が40重量%となるように希釈して、粒子を含有するハードコート層形成用コーティング組成物を調製した。前記アクリルとスチレンの架橋粒子のアスペクト比は、ほとんどが1.05であった。
【0109】
(ハードコート層の形成)
両面に易接着コーティング層が形成されたPETフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラー U483」)の片面に、前記ハードコート層形成用コーティング組成物を塗布し、100℃で1分間加熱することにより塗膜を乾燥させた。その後、メタルハライドランプにて積算光量300mJ/cm2の紫外線を照射し、塗膜を硬化処理して厚み9.5μmの粒子を含有するハードコート層を形成した。
【0110】
(誘電体薄膜の形成)
粒子を含有するハードコート層の上に、JSR(株)製の商品名「JUA204」をバーコーターを用いて塗布し、80℃で1分間加熱することにより塗膜を乾燥させた。その後、メタルハライドランプにて積算光量300mJ/cm2の紫外線を照射し、塗膜を硬化処理して厚み50nmの樹脂層を形成した。
【0111】
(ITO膜の形成)
前記樹脂層の上に、スパッタリング法にてITOを25nmの厚みに形成し、実施例1の透明導電性フィルムを得た。
【0112】
[実施例2]
実施例1のハードコート層形成用コーティング組成物の調整において、アクリルとスチレンの架橋粒子の含有量をハードコート層形成用材料の樹脂固形分100重量部あたり50重量部に変更し、ハードコート層の厚みを11.5μmとした。それ以外は、実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。
【0113】
[実施例3]
実施例1のハードコート層形成用コーティング組成物の調整において、アクリルとスチレンの架橋粒子に代えてシリコーン粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、商品名「トスパール130」、重量平均粒径:3.0μm、屈折率:1.43)を、ハードコート層形成用材料の樹脂固形分100重量部あたり2.5重量部添加し、ハードコート層の厚みを4.0μmとした。それ以外は、実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。
【0114】
[実施例4]
実施例1のハードコート層形成用コーティング組成物の調整において、アクリルとスチレンの架橋粒子の含有量をハードコート層形成用材料の樹脂固形分100重量部あたり45重量部に変更し、ハードコート層の厚みを9.0μmとした。それ以外は、実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。
【0115】
[実施例5]
(ハードコート層形成用コーティング組成物の調整)
ハードコート層形成用の樹脂バインダー成分として、酢酸ブチル:メチルエチルケトン(MEK)=76:24の混合溶媒中に、ジペンタエリスリトールおよびイソホロンジイソシアネート系ポリウレタンと、表面を有機分子により修飾したシリカナノ微粒子(重量平均粒径100nm以下)とを、2:3の重量比で含有するハードコート層形成材料(JSR製、商品名「オプスターZ7540」、固形分:56重量%)を用いた。このハードコート層形成用材料を硬化して得られた硬化皮膜の屈折率は、1.485であった。
【0116】
前記ハードコート層形成用材料の樹脂固形分100重量部あたり、アクリルとスチレンの架橋粒子(積水化成品工業(株)製、商品名「XX79AA」、重量平均粒径:5.5μm、屈折率:1.505)を5重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製の商品名「イルガキュア184」)を0.5重量部、レベリング剤(DIC製、商品名「GRANDIC PC−4100」)を0.1重量部混合した。この混合物を、固形分濃度が40重量%、酢酸ブチル:MEKの比率が2:1となるように希釈して、微粒子を含有するハードコート層形成材料を調製した。
【0117】
(ハードコート層の形成)
両面に易接着コーティング層が形成されたPETフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラー U483」)の片面に、前記ハードコート層形成用コーティング組成物を塗布し、100℃で1分間加熱することにより塗膜を乾燥させた。その後、メタルハライドランプにて積算光量300mJ/cm2の紫外線を照射し、塗膜を硬化処理して厚み8.5μmの粒子を含有するハードコート層を形成した。
【0118】
(誘電体薄膜および透明導電層の形成)
実施例1と同様に、ハードコート層上にJSR(株)製の商品名「JUA204」を塗布して厚み50nmの樹脂層を形成し、その上に、スパッタリング法にて厚み25nmのITO膜を形成して透明導電性フィルムを得た。
【0119】
[比較例1]
ハードコート層の厚みを12μmとした以外は、実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。
【0120】
[比較例2]
ハードコート層の厚みを8.5μmとした以外は、実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。
【0121】
[比較例3]
ハードコート層の厚みを12μmとした以外は、実施例4と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。
【0122】
[比較例4]
実施例1のハードコート層形成用コーティング組成物の調整において、重量平均粒径が5.5μmのアクリルとスチレンの架橋粒子に代えて、アクリルとスチレンの架橋粒子(積水化成品工業製、商品名「XX41AA」、重量平均粒径:8.0μm、屈折率:1.505)に変更し、10重量部混合した以外は実施例1と同様な方法にて粒子を含有するハードコート層形成材料を得た。また、粒子を含有するハードコート層の厚みを7.0μmにした以外は、実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。
【0123】
[比較例5]
ハードコート層の厚みを10μmとした以外は、比較例4と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。
【0124】
[評価]
実施例および比較例のそれぞれの透明導電性フィルムのハードコート層の組成および評価結果を表1に示す。また、実施例および比較例の透明導電性フィルムの表面プロファイルを図5〜図13に示す。
【0125】
【表1】
【0126】
表1に示すように、比較例1では、表面が平滑であり、第1基準線を超える凸状部の数が少ないために、ニュートンリングの発生がみされている。また、比較例2、4では、アンチニュートンリング性は付与されているものの、第2基準線を超える凸状部が存在するために、ペン入力耐久性が低いことがわかる。さらに、第2基準線を超える凸状部は存在しないものの、第1基準線を超える凸状部の数が多い比較例5では、画面にギラツキが生じ視認性に劣っていた。さらに、比較例3では、ヘイズが高いために、文字ボケが生じていた。
【0127】
これに対して、実施例1〜5の透明導電性フィルムを用いた場合は、アンチニュートンリング性およびペン入力耐久性に優れ、かつ視認性にも優れることがわかる。ハードコート層中の微粒子の屈折率が硬化性樹脂バインダーの屈折率よりも大きい実施例5では、実用上は問題ないレベルではあるが、ギラツキが確認された。このことから、ハードコート層における微粒子の屈折率を硬化性樹脂バインダーの屈折率よりも小さくすることで、ギラツキの発生を抑止できることがわかる。
【符号の説明】
【0128】
1 透明高分子基材
2 ハードコート層
21 硬化性樹脂バインダー
22 微粒子
3 誘電体薄膜
4 透明導電層
7 粘着剤層
8 透明基体
100 透明導電性フィルム
110 透明導電性積層体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明高分子基材の一方の主面にハードコート層および透明導電層をこの順に有する透明導電性フィルムであって、ヘイズが0〜10%であり、
ハードコート層は硬化性樹脂および微粒子を含有し、
透明導電層表面の任意の長さ4mmにおいて測定した表面粗さプロファイルにおいて、粗さ平均線に平行で0.2μmの高さにある第1基準線を超える凸状部の数が10個〜70個であり、かつ、粗さ平均線に平行で1μmの高さにある第2基準線を超える凸状部を有していない、
透明導電性フィルム。
【請求項2】
前記ハードコート層の厚みが、2μm〜15μmである、請求項1に記載の透明導電性フィルム。
【請求項3】
前記ハードコート層中の微粒子の平均粒径が、1μm〜10μmであり、かつ、微粒子の平均粒径がハードコート層の厚みよりも小さい、請求項1または2に記載の透明導電性フィルム。
【請求項4】
前記ハードコート層中の微粒子の屈折率n22と、硬化性樹脂の屈折率n21との差n22−n21が、−0.1〜−0.002である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
【請求項5】
前記ハードコート層中の硬化性樹脂が、下記のA成分、B成分およびC成分を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム:
A成分:ウレタン(メタ)アクリレート
B成分:ポリオール(メタ)アクリレート
C成分:水酸基およびアクリロイル基の少なくとも一方の基を有するアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
【請求項6】
前記ハードコート層中の微粒子が、単一の粒径分布を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
【請求項7】
前記ハードコート層と透明導電層との間に誘電体薄膜を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
【請求項8】
前記誘電体薄膜が、平均粒径が1nm〜500nmのナノ微粒子を、薄膜中に0.1重量%〜90重量%含有する、請求項7に記載の透明導電性フィルム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明導電性フィルムを用いた抵抗膜方式タッチパネル。
【請求項1】
透明高分子基材の一方の主面にハードコート層および透明導電層をこの順に有する透明導電性フィルムであって、ヘイズが0〜10%であり、
ハードコート層は硬化性樹脂および微粒子を含有し、
透明導電層表面の任意の長さ4mmにおいて測定した表面粗さプロファイルにおいて、粗さ平均線に平行で0.2μmの高さにある第1基準線を超える凸状部の数が10個〜70個であり、かつ、粗さ平均線に平行で1μmの高さにある第2基準線を超える凸状部を有していない、
透明導電性フィルム。
【請求項2】
前記ハードコート層の厚みが、2μm〜15μmである、請求項1に記載の透明導電性フィルム。
【請求項3】
前記ハードコート層中の微粒子の平均粒径が、1μm〜10μmであり、かつ、微粒子の平均粒径がハードコート層の厚みよりも小さい、請求項1または2に記載の透明導電性フィルム。
【請求項4】
前記ハードコート層中の微粒子の屈折率n22と、硬化性樹脂の屈折率n21との差n22−n21が、−0.1〜−0.002である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
【請求項5】
前記ハードコート層中の硬化性樹脂が、下記のA成分、B成分およびC成分を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム:
A成分:ウレタン(メタ)アクリレート
B成分:ポリオール(メタ)アクリレート
C成分:水酸基およびアクリロイル基の少なくとも一方の基を有するアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
【請求項6】
前記ハードコート層中の微粒子が、単一の粒径分布を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
【請求項7】
前記ハードコート層と透明導電層との間に誘電体薄膜を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
【請求項8】
前記誘電体薄膜が、平均粒径が1nm〜500nmのナノ微粒子を、薄膜中に0.1重量%〜90重量%含有する、請求項7に記載の透明導電性フィルム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明導電性フィルムを用いた抵抗膜方式タッチパネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−22843(P2013−22843A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160092(P2011−160092)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
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