透析用水製造システム、透析システム及びそれらの運転方法
【課題】 透析用水製造システムの運転をしながら、前記システム内の殺菌ができる透析用水製造システムの提供。
【解決手段】 少なくとも透析用水製造装置を含む複数の装置の組み合わせからなる透析用水製造システムであり、前記透析用水製造装置が、気液混合装置と逆浸透膜モジュールを有し、前記気液混合装置が、水と水素及びオゾンの少なくとも一方とを混合して気液混合水を製造するものである、透析用水製造システム。前記気液混合装置は、前記逆浸透膜モジュールの上流側及び下流側の少なくとも一方に配置されている。
【解決手段】 少なくとも透析用水製造装置を含む複数の装置の組み合わせからなる透析用水製造システムであり、前記透析用水製造装置が、気液混合装置と逆浸透膜モジュールを有し、前記気液混合装置が、水と水素及びオゾンの少なくとも一方とを混合して気液混合水を製造するものである、透析用水製造システム。前記気液混合装置は、前記逆浸透膜モジュールの上流側及び下流側の少なくとも一方に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透析用水製造システム、それを用いた透析システム、それらの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透析システムでは、系内に細菌を発生させない、あるいは、発生してもそれを如何に殺菌するかが重要である。特許文献1〜3には、透析用水の製造を停止して、薬液を用いて系を殺菌することが開示されている。
【特許文献1】特開平10−043758
【特許文献2】特開2004−049977
【特許文献3】特開平11−333266
【特許文献4】実用新案登録3066199号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の透析システムでは、システム内を殺菌するとき、その都度、透析用水製造装置の運転を停止し、洗浄薬液を用いて逆浸透膜モジュールを逆圧洗浄したり、透析装置内のセントラルマシン、コンソール、パイプを洗浄している。このため、手間がかかると共に、維持コストが上昇する原因となっている。
【0004】
また、洗浄用の薬液としては次亜塩素酸ナトリウム水溶液等の塩素系の薬液が多く用いられるが、殺菌処理後、システム系内のモジュール、パイプを含む装置内に残留した薬液を除去するため、さらに純水で洗浄処理する必要がある。
【0005】
本発明は、運転が容易で、維持コストが抑制できる透析用水製造システム、それを用いた透析システム、それらの運転方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、課題の解決手段として、
少なくとも透析用水製造装置を含む複数の装置の組み合わせからなる透析用水製造システムであり、
前記透析用水製造装置が、気液混合装置と逆浸透膜モジュールを有し、前記気液混合装置が、水と水素及びオゾンの少なくとも一方とを混合して気液混合水を製造するものである、透析用水製造システムを提供する。
【0007】
本発明の透析用水製造システムは、透析に使用する透析用水を製造するためのシステムであり、透析装置と組み合わせて使用されるものである。
【0008】
本発明の透析用水製造システムは、気液混合装置と逆浸透膜モジュールを有する透析用水製造装置を含むものであり、透析用水製造装置で使用される他の構成要素として、活性炭処理装置、硬水の軟水処理装置、貯水タンク、加圧ポンプ、それらを連結するパイプ、開閉弁等を組み合わせることができる。
【0009】
請求項2の発明は、課題の解決手段として、前記気液混合装置が前記逆浸透膜モジュールの上流側及び下流側の少なくとも一方に配置されており、原水と水素及びオゾンの少なくとも一方とを混合するものである、請求項1記載の透析用水製造システムを提供することを課題とする。
【0010】
本発明の透析用水製造システムでは、気液混合装置が逆浸透膜モジュールの上流側に配置されている場合、透過用水の製造過程において、原水と水素及びオゾンの少なくとも一方とを混合して調製した気液混合水を用いることで、システム全体の運転を停止することなく、下流側に配置された逆浸透膜モジュールを含むシステムの構成要素が殺菌できる。
【0011】
また本発明の透析用水製造システムでは、気液混合装置が逆浸透膜モジュールの下流側に配置されている場合、逆浸透膜モジュールの処理水と水素及びオゾンの少なくとも一方とを混合して調製した気液混合水を用いて、逆浸透膜モジュールを逆圧洗浄することができるため、逆浸透膜の洗浄と殺菌が同時にできるほか、下流側に配置されたシステムの他の構成要素も殺菌できる。
【0012】
本発明の透析用水製造システムでは、気液混合装置を逆浸透膜モジュールの上流側と下流側の両方に設けることもできる。
【0013】
請求項3の発明は、課題の解決手段として、前記気液混合装置が、水が存在する低圧室と、水素及びオゾンの少なくとも一方を含むガス含有水が存在する高圧室とを有しており、前記高圧室内のガス含有水と前記低圧室内の水を混合して気液混合水を調製するものである、請求項1記載の透析用水製造システムを提供する。
【0014】
低圧室と高圧室を組み合わせた気液混合装置を使用することで、短時間で、水素及びオゾンの少なくとも一方を含む気液混合原水を調製することができる。
【0015】
請求項4の発明は、他の課題の解決手段として、請求項1〜3のいずれかに記載の透析用水製造システムと透析装置を組み合わせた透析システムを提供する。
【0016】
請求項5の発明は、他の課題の解決手段として、
請求項1〜3のいずれかに記載の透析用水製造システムの運転方法であり、
気液混合装置で得た気液混合水を流すことにより、前記気液混合装置よりも下流側に位置しているシステムの構成要素を殺菌する、透析用水製造システムの運転方法を提供する。
【0017】
請求項6の発明は、他の課題の解決手段として、透析用水を製造しながら、前記気液混合装置よりも下流側に位置しているシステムの構成要素を殺菌する、請求項5記載の透析用水製造システムの運転方法を提供する。
【0018】
請求項7の発明は、他の課題の解決手段として、請求項4記載の透析システムの運転方法であり、気液混合装置で得た気液混合水を流すことにより、前記気液混合装置よりも下流側に位置しているシステムの構成要素を殺菌する、透析システムの運転方法を提供する。
【0019】
このようにして運転することで、透析用水を製造しながら、システム内を殺菌することができるため、透析用水の製造効率(1日当たりの製造量)が高く、透析用水に対する安全性が高められる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の透析用水製造システムによれば、透析用水を製造しながら、システムを殺菌することができる。また、水素ガス又はオゾンガスを使用し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液等の薬液を使用しないため、安全性が高く、システム内を純水で洗浄する必要もない。さらに、気液混合装置と逆浸透膜モジュールを1つの加圧ポンプの動力のみで運転できるため、エネルギー消費量が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1、図2により、本発明の実施形態を説明する。図1は、透析用水製造システム及び透析システムのフローを示す概略図である。図2は、透析用水製造システムで用いる気液混合装置の縦断面図である。
【0022】
透析用水製造用の原水(水道水等)は、必要に応じて軟水化装置1及び活性炭処理装置2の一方又は両方で処理した後、加圧ポンプ21を作動させ、パイプ12を通して、気液混合装置3に送られる。
【0023】
気液混合装置3は、一端側が閉塞された筒状ケースハウジング30により外殻が形成されている。気液混合装置3は、全体がステンレス等の金属やポリ塩化ビニル等の合成樹脂で形成されている。
【0024】
筒状ケースハウジング30は、パイプ12に接続された流入口35、パイプ13に接続されたガス流入口36、パイプ14に接続された流出口37を有している。流入口35は、分岐板38により、第1流入口35aと第2流入口35bの2つに分割されている。ガス流入口36は、水素ガス又はオゾンガス供給装置4とパイプ13で接続されている。
【0025】
パイプ12と流入口35の径は同一径であり、パイプ13とガス流入口36の径は同一径であり、パイプ14と流出口37の径は同一径であるから、原水等が出入りする際における圧力や流量変化が小さく、騒音の発生が抑制される。
【0026】
筒状ケースハウジング30内には、同心円を形成するように筒状部材31が配置され、密閉室32と低圧室(第1低圧室33aと第2低圧室33b)に分離されている。
【0027】
密閉室32は、筒状部材31の外側で、ケースハウジング30の一部と分岐板38で囲まれ、第1流入口35aと連通されている。
【0028】
低圧室は、ケースハウジング30の残部と分岐板38で囲まれ、第1流入口35bと連通された第1低圧室33aと、第1低圧室33aと孔39で連通された、筒状部材31の内側の第2低圧室33bとからなっている。密閉室32と第2低圧室33bは、直径が2mm程度の細孔からなる噴流孔34により連通されている。
【0029】
原水は、気液混合装置3の流入口35に送られた後、分岐板38の作用により、密閉室32と低圧室(第1低圧室33aと第2低圧室33b)の両方に流入する。そして、密閉室32内の原水中には、ガス流入口36から水素ガス又はオゾンガスがポンプにより高圧充填される。水素ガス又はオゾンガスは、原水ポンプ21の押込み圧力以上の圧力で注入され、原水は水素溶解水又はオゾン溶解水となる。
【0030】
原水に対する水素ガスの充填濃度は、原水1Lに対して0.4〜1.8mg/Lが好ましい。また、原水に対するオゾンガスの充填濃度は、原水1Lに対して5〜15mg/Lが好ましい。
【0031】
密閉室32内の水素溶解水又はオゾン溶解水は、噴流孔34から低圧室33bに噴出される。噴出された水素溶解水又はオゾン溶解水と低圧室33b内の原水が接触することで乱流が生じて、前記原水と水素溶解水又はオゾン溶解水が均一に混合される。その結果、水素溶解水又はオゾン溶解水が原水で混合希釈された気液混合原水が生成される。
【0032】
生成した気液混合原水は、流出口37から流出され、ポンプ圧により、パイプ14から逆浸透膜モジュール5に送られて逆浸透処理される。
【0033】
また、水素ガス又はオゾンガスが溶解された気液混合原水の作用により、製造システムの運転を停止することなく、気液混合装置3よりも下流側に位置するパイプ14、逆浸透膜モジュール5、パイプ15、貯水タンク6が殺菌される。
【0034】
逆浸透膜モジュール5にて処理された透過水は、パイプ15を通って透過水タンク6に貯留される。透過水タンク6の貯留水は、送水ポンプ22を作動させて、セントラルマシン7へ送られ、そこで透析液と混合される。得られた透析液は、さらに複数のコンソール8a、8b等において、透析に使用される。
【実施例】
【0035】
実施例1
図1に示すフローの透析用水製造システム〔但し、逆浸透膜モジュール5として、ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製のNRX-43Pを用い、貯水タンク6(容積100L)の貯留水を加圧ポンプ21の前に戻すラインを設け、かつポンプ22以降の部分を含まない。〕を用いて、評価実験を行った。
【0036】
運転は、逆浸透膜モジュール5で処理して得た貯留水を、加圧ポンプ21の手前に戻す循環運転を1日当たり6時間行い、また一部を40L/hrで弁44から抜き取った。この運転を3ヶ月継続した。
【0037】
運転中、システム全体の洗浄を行うことなく、細菌を増殖させた。システム内から採取した水1mlをR2A培地上へ塗布し、2週間、室温で放置した。その後、コロニー数を計測する方法で調べたところ、200CFU/mlであった。
【0038】
次に、気液混合装置3を作動させ、水素ガスを200ml/分にて原水中に注入した(液中の水素濃度は0.47〜0.63mg/L)。その後、上記と同様にして循環運転を継続したところ、1週間後に14CFU/ml、2週間後に3CFU/mlとなり、細菌数は大きく減少していた。
【0039】
なお、透析用水製造システムに含まれる各装置の詳細及び処理条件は以下のとおりであった。
【0040】
(軟水化装置)
原水中のカルシウムイオン、マグネシウムイオン等の硬度成分をナトリウムイオンに置換し、硬度分を0ppmとする装置。
【0041】
(活性炭処理装置)
繊維状活性炭フィルター(長さ750mm、目の粗さ10μm)により、原水中の遊離塩素を吸着除去する装置。
【0042】
(気液混合装置)
図2に示す構造のもの
材質:SUS304
筒状ケースハウジング30の外径:40A−65A
筒状部材31の外径:20A−32A
全長(流出口37を含む軸方向長さ):20cm
噴流孔34の径:0.2cm
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】透析用水製造システム及び透析システムのフローを示す概略図。
【図2】透析用水製造システムで用いる気液混合装置の縦断面図。
【符号の説明】
【0044】
1 軟水化装置
2 活性炭処理装置
3 気液混合装置
4 水素ガス又はオゾンガス供給装置
5 逆浸透膜モジュール
6 貯水タンク
7 セントラルマシン
8a、8b コンソール
21 加圧ポンプ
32 密閉室
33a、33b 低圧室
34 噴流孔
35 ガス流入口
36 ガス流入口
37 流出口
38 分岐板
41〜44 開閉弁
【技術分野】
【0001】
本発明は、透析用水製造システム、それを用いた透析システム、それらの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透析システムでは、系内に細菌を発生させない、あるいは、発生してもそれを如何に殺菌するかが重要である。特許文献1〜3には、透析用水の製造を停止して、薬液を用いて系を殺菌することが開示されている。
【特許文献1】特開平10−043758
【特許文献2】特開2004−049977
【特許文献3】特開平11−333266
【特許文献4】実用新案登録3066199号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の透析システムでは、システム内を殺菌するとき、その都度、透析用水製造装置の運転を停止し、洗浄薬液を用いて逆浸透膜モジュールを逆圧洗浄したり、透析装置内のセントラルマシン、コンソール、パイプを洗浄している。このため、手間がかかると共に、維持コストが上昇する原因となっている。
【0004】
また、洗浄用の薬液としては次亜塩素酸ナトリウム水溶液等の塩素系の薬液が多く用いられるが、殺菌処理後、システム系内のモジュール、パイプを含む装置内に残留した薬液を除去するため、さらに純水で洗浄処理する必要がある。
【0005】
本発明は、運転が容易で、維持コストが抑制できる透析用水製造システム、それを用いた透析システム、それらの運転方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、課題の解決手段として、
少なくとも透析用水製造装置を含む複数の装置の組み合わせからなる透析用水製造システムであり、
前記透析用水製造装置が、気液混合装置と逆浸透膜モジュールを有し、前記気液混合装置が、水と水素及びオゾンの少なくとも一方とを混合して気液混合水を製造するものである、透析用水製造システムを提供する。
【0007】
本発明の透析用水製造システムは、透析に使用する透析用水を製造するためのシステムであり、透析装置と組み合わせて使用されるものである。
【0008】
本発明の透析用水製造システムは、気液混合装置と逆浸透膜モジュールを有する透析用水製造装置を含むものであり、透析用水製造装置で使用される他の構成要素として、活性炭処理装置、硬水の軟水処理装置、貯水タンク、加圧ポンプ、それらを連結するパイプ、開閉弁等を組み合わせることができる。
【0009】
請求項2の発明は、課題の解決手段として、前記気液混合装置が前記逆浸透膜モジュールの上流側及び下流側の少なくとも一方に配置されており、原水と水素及びオゾンの少なくとも一方とを混合するものである、請求項1記載の透析用水製造システムを提供することを課題とする。
【0010】
本発明の透析用水製造システムでは、気液混合装置が逆浸透膜モジュールの上流側に配置されている場合、透過用水の製造過程において、原水と水素及びオゾンの少なくとも一方とを混合して調製した気液混合水を用いることで、システム全体の運転を停止することなく、下流側に配置された逆浸透膜モジュールを含むシステムの構成要素が殺菌できる。
【0011】
また本発明の透析用水製造システムでは、気液混合装置が逆浸透膜モジュールの下流側に配置されている場合、逆浸透膜モジュールの処理水と水素及びオゾンの少なくとも一方とを混合して調製した気液混合水を用いて、逆浸透膜モジュールを逆圧洗浄することができるため、逆浸透膜の洗浄と殺菌が同時にできるほか、下流側に配置されたシステムの他の構成要素も殺菌できる。
【0012】
本発明の透析用水製造システムでは、気液混合装置を逆浸透膜モジュールの上流側と下流側の両方に設けることもできる。
【0013】
請求項3の発明は、課題の解決手段として、前記気液混合装置が、水が存在する低圧室と、水素及びオゾンの少なくとも一方を含むガス含有水が存在する高圧室とを有しており、前記高圧室内のガス含有水と前記低圧室内の水を混合して気液混合水を調製するものである、請求項1記載の透析用水製造システムを提供する。
【0014】
低圧室と高圧室を組み合わせた気液混合装置を使用することで、短時間で、水素及びオゾンの少なくとも一方を含む気液混合原水を調製することができる。
【0015】
請求項4の発明は、他の課題の解決手段として、請求項1〜3のいずれかに記載の透析用水製造システムと透析装置を組み合わせた透析システムを提供する。
【0016】
請求項5の発明は、他の課題の解決手段として、
請求項1〜3のいずれかに記載の透析用水製造システムの運転方法であり、
気液混合装置で得た気液混合水を流すことにより、前記気液混合装置よりも下流側に位置しているシステムの構成要素を殺菌する、透析用水製造システムの運転方法を提供する。
【0017】
請求項6の発明は、他の課題の解決手段として、透析用水を製造しながら、前記気液混合装置よりも下流側に位置しているシステムの構成要素を殺菌する、請求項5記載の透析用水製造システムの運転方法を提供する。
【0018】
請求項7の発明は、他の課題の解決手段として、請求項4記載の透析システムの運転方法であり、気液混合装置で得た気液混合水を流すことにより、前記気液混合装置よりも下流側に位置しているシステムの構成要素を殺菌する、透析システムの運転方法を提供する。
【0019】
このようにして運転することで、透析用水を製造しながら、システム内を殺菌することができるため、透析用水の製造効率(1日当たりの製造量)が高く、透析用水に対する安全性が高められる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の透析用水製造システムによれば、透析用水を製造しながら、システムを殺菌することができる。また、水素ガス又はオゾンガスを使用し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液等の薬液を使用しないため、安全性が高く、システム内を純水で洗浄する必要もない。さらに、気液混合装置と逆浸透膜モジュールを1つの加圧ポンプの動力のみで運転できるため、エネルギー消費量が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1、図2により、本発明の実施形態を説明する。図1は、透析用水製造システム及び透析システムのフローを示す概略図である。図2は、透析用水製造システムで用いる気液混合装置の縦断面図である。
【0022】
透析用水製造用の原水(水道水等)は、必要に応じて軟水化装置1及び活性炭処理装置2の一方又は両方で処理した後、加圧ポンプ21を作動させ、パイプ12を通して、気液混合装置3に送られる。
【0023】
気液混合装置3は、一端側が閉塞された筒状ケースハウジング30により外殻が形成されている。気液混合装置3は、全体がステンレス等の金属やポリ塩化ビニル等の合成樹脂で形成されている。
【0024】
筒状ケースハウジング30は、パイプ12に接続された流入口35、パイプ13に接続されたガス流入口36、パイプ14に接続された流出口37を有している。流入口35は、分岐板38により、第1流入口35aと第2流入口35bの2つに分割されている。ガス流入口36は、水素ガス又はオゾンガス供給装置4とパイプ13で接続されている。
【0025】
パイプ12と流入口35の径は同一径であり、パイプ13とガス流入口36の径は同一径であり、パイプ14と流出口37の径は同一径であるから、原水等が出入りする際における圧力や流量変化が小さく、騒音の発生が抑制される。
【0026】
筒状ケースハウジング30内には、同心円を形成するように筒状部材31が配置され、密閉室32と低圧室(第1低圧室33aと第2低圧室33b)に分離されている。
【0027】
密閉室32は、筒状部材31の外側で、ケースハウジング30の一部と分岐板38で囲まれ、第1流入口35aと連通されている。
【0028】
低圧室は、ケースハウジング30の残部と分岐板38で囲まれ、第1流入口35bと連通された第1低圧室33aと、第1低圧室33aと孔39で連通された、筒状部材31の内側の第2低圧室33bとからなっている。密閉室32と第2低圧室33bは、直径が2mm程度の細孔からなる噴流孔34により連通されている。
【0029】
原水は、気液混合装置3の流入口35に送られた後、分岐板38の作用により、密閉室32と低圧室(第1低圧室33aと第2低圧室33b)の両方に流入する。そして、密閉室32内の原水中には、ガス流入口36から水素ガス又はオゾンガスがポンプにより高圧充填される。水素ガス又はオゾンガスは、原水ポンプ21の押込み圧力以上の圧力で注入され、原水は水素溶解水又はオゾン溶解水となる。
【0030】
原水に対する水素ガスの充填濃度は、原水1Lに対して0.4〜1.8mg/Lが好ましい。また、原水に対するオゾンガスの充填濃度は、原水1Lに対して5〜15mg/Lが好ましい。
【0031】
密閉室32内の水素溶解水又はオゾン溶解水は、噴流孔34から低圧室33bに噴出される。噴出された水素溶解水又はオゾン溶解水と低圧室33b内の原水が接触することで乱流が生じて、前記原水と水素溶解水又はオゾン溶解水が均一に混合される。その結果、水素溶解水又はオゾン溶解水が原水で混合希釈された気液混合原水が生成される。
【0032】
生成した気液混合原水は、流出口37から流出され、ポンプ圧により、パイプ14から逆浸透膜モジュール5に送られて逆浸透処理される。
【0033】
また、水素ガス又はオゾンガスが溶解された気液混合原水の作用により、製造システムの運転を停止することなく、気液混合装置3よりも下流側に位置するパイプ14、逆浸透膜モジュール5、パイプ15、貯水タンク6が殺菌される。
【0034】
逆浸透膜モジュール5にて処理された透過水は、パイプ15を通って透過水タンク6に貯留される。透過水タンク6の貯留水は、送水ポンプ22を作動させて、セントラルマシン7へ送られ、そこで透析液と混合される。得られた透析液は、さらに複数のコンソール8a、8b等において、透析に使用される。
【実施例】
【0035】
実施例1
図1に示すフローの透析用水製造システム〔但し、逆浸透膜モジュール5として、ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製のNRX-43Pを用い、貯水タンク6(容積100L)の貯留水を加圧ポンプ21の前に戻すラインを設け、かつポンプ22以降の部分を含まない。〕を用いて、評価実験を行った。
【0036】
運転は、逆浸透膜モジュール5で処理して得た貯留水を、加圧ポンプ21の手前に戻す循環運転を1日当たり6時間行い、また一部を40L/hrで弁44から抜き取った。この運転を3ヶ月継続した。
【0037】
運転中、システム全体の洗浄を行うことなく、細菌を増殖させた。システム内から採取した水1mlをR2A培地上へ塗布し、2週間、室温で放置した。その後、コロニー数を計測する方法で調べたところ、200CFU/mlであった。
【0038】
次に、気液混合装置3を作動させ、水素ガスを200ml/分にて原水中に注入した(液中の水素濃度は0.47〜0.63mg/L)。その後、上記と同様にして循環運転を継続したところ、1週間後に14CFU/ml、2週間後に3CFU/mlとなり、細菌数は大きく減少していた。
【0039】
なお、透析用水製造システムに含まれる各装置の詳細及び処理条件は以下のとおりであった。
【0040】
(軟水化装置)
原水中のカルシウムイオン、マグネシウムイオン等の硬度成分をナトリウムイオンに置換し、硬度分を0ppmとする装置。
【0041】
(活性炭処理装置)
繊維状活性炭フィルター(長さ750mm、目の粗さ10μm)により、原水中の遊離塩素を吸着除去する装置。
【0042】
(気液混合装置)
図2に示す構造のもの
材質:SUS304
筒状ケースハウジング30の外径:40A−65A
筒状部材31の外径:20A−32A
全長(流出口37を含む軸方向長さ):20cm
噴流孔34の径:0.2cm
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】透析用水製造システム及び透析システムのフローを示す概略図。
【図2】透析用水製造システムで用いる気液混合装置の縦断面図。
【符号の説明】
【0044】
1 軟水化装置
2 活性炭処理装置
3 気液混合装置
4 水素ガス又はオゾンガス供給装置
5 逆浸透膜モジュール
6 貯水タンク
7 セントラルマシン
8a、8b コンソール
21 加圧ポンプ
32 密閉室
33a、33b 低圧室
34 噴流孔
35 ガス流入口
36 ガス流入口
37 流出口
38 分岐板
41〜44 開閉弁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも透析用水製造装置を含む複数の装置の組み合わせからなる透析用水製造システムであり、
前記透析用水製造装置が、気液混合装置と逆浸透膜モジュールを有し、前記気液混合装置が、水と水素及びオゾンの少なくとも一方とを混合して気液混合水を製造するものである、透析用水製造システム。
【請求項2】
前記気液混合装置が前記逆浸透膜モジュールの上流側及び下流側の少なくとも一方に配置されており、原水と水素及びオゾンの少なくとも一方とを混合するものである、請求項1記載の透析用水製造システム。
【請求項3】
前記気液混合装置が、水が存在する低圧室と、水素及びオゾンの少なくとも一方を含むガス含有水が存在する高圧室とを有しており、前記高圧室内のガス含有水と前記低圧室内の水を混合して気液混合水を調製するものである、請求項1又は2記載の透析用水製造システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の透析用水製造システムと透析装置を組み合わせた透析システム。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の透析用水製造システムの運転方法であり、
気液混合装置で得た気液混合水を流すことにより、前記気液混合装置よりも下流側に位置しているシステムの構成要素を殺菌する、透析用水製造システムの運転方法。
【請求項6】
透析用水を製造しながら、前記気液混合装置よりも下流側に位置しているシステムの構成要素を殺菌する、請求項5記載の透析用水製造システムの運転方法。
【請求項7】
請求項4記載の透析システムの運転方法であり、気液混合装置で得た気液混合水を流すことにより、前記気液混合装置よりも下流側に位置しているシステムの構成要素を殺菌する、透析システムの運転方法。
【請求項1】
少なくとも透析用水製造装置を含む複数の装置の組み合わせからなる透析用水製造システムであり、
前記透析用水製造装置が、気液混合装置と逆浸透膜モジュールを有し、前記気液混合装置が、水と水素及びオゾンの少なくとも一方とを混合して気液混合水を製造するものである、透析用水製造システム。
【請求項2】
前記気液混合装置が前記逆浸透膜モジュールの上流側及び下流側の少なくとも一方に配置されており、原水と水素及びオゾンの少なくとも一方とを混合するものである、請求項1記載の透析用水製造システム。
【請求項3】
前記気液混合装置が、水が存在する低圧室と、水素及びオゾンの少なくとも一方を含むガス含有水が存在する高圧室とを有しており、前記高圧室内のガス含有水と前記低圧室内の水を混合して気液混合水を調製するものである、請求項1又は2記載の透析用水製造システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の透析用水製造システムと透析装置を組み合わせた透析システム。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の透析用水製造システムの運転方法であり、
気液混合装置で得た気液混合水を流すことにより、前記気液混合装置よりも下流側に位置しているシステムの構成要素を殺菌する、透析用水製造システムの運転方法。
【請求項6】
透析用水を製造しながら、前記気液混合装置よりも下流側に位置しているシステムの構成要素を殺菌する、請求項5記載の透析用水製造システムの運転方法。
【請求項7】
請求項4記載の透析システムの運転方法であり、気液混合装置で得た気液混合水を流すことにより、前記気液混合装置よりも下流側に位置しているシステムの構成要素を殺菌する、透析システムの運転方法。
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2008−647(P2008−647A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170118(P2006−170118)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年5月18日 社団法人 日本透析医学会発行の「日本透析医学会雑誌 第39巻」に発表
【出願人】(505221111)有限会社ライフガードプロダクト (5)
【出願人】(500142763)株式会社ホシヤエンジニアリング (1)
【出願人】(594152620)ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社 (104)
【出願人】(502218570)株式会社メディカルシード (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年5月18日 社団法人 日本透析医学会発行の「日本透析医学会雑誌 第39巻」に発表
【出願人】(505221111)有限会社ライフガードプロダクト (5)
【出願人】(500142763)株式会社ホシヤエンジニアリング (1)
【出願人】(594152620)ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社 (104)
【出願人】(502218570)株式会社メディカルシード (5)
【Fターム(参考)】
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