説明

透過光による対象物体内部の評価方法

対象物体に直線偏光を照射し、対象物体を通過した光を、透過軸が照射光の偏光と平行であるような偏光子をかけて、照射光の光軸上で検出することによって、対象物体からの散乱光を除くことによって、散乱光の影響が除かれた透過光の強度に依存した画像を得る対象物体内部の評価方法である。
さらに、対象物体内部に含まれる物質の吸光係数が異なる複数の波長によって、透過光の強度を測定し、演算を行うことにより、その物質のみを強調した画像を得たり、対象物体を回転させながら透過光の強度を測定し、対象物体内部の3次元光像を得る対象物体内部の評価方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、対象物体に光を照射し、それを通過した光を検出することによって対象物体内部を評価する方法に関する。詳細には、特定の方法で散乱光の影響を除いた透過光を抽出し、対象物体内部に含まれる特定の物質に着目した情報を得ることができる方法に関し、更に詳細には、対象物体を回転させながら透過光の強度を測定し、対象物体を破壊することなしに、その内部の3次元構造を知ることができる方法に関する。
【背景技術】
従来より、物体内部の情報を得る手段としては、物体を薄く切断し透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察したり、切断面を光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察する方法が用いられてきた。しかし、これらの方法は対象物体を破壊することが必要であり、対象物体を元に戻せないだけでなく、時間とともに対象物体の変化を追うこともできなかった。
これを解決するものとして、X線断層撮影法(X線CT)を用いる方法が知られているが、やはり対象物体を侵襲するものであり、装置としても大きくならざるを得なかった。
一方、微小部分の対象物体内部の情報を非破壊で、すなわちリアルタイムで得たいという要望が高まっており、特に対象物体が毛髪である場合にその要望が顕著である。
すなわち、近年ヘアカラーに対する関心が高まり、多彩な色を備えたカラーリング剤や、カラーリングの際に毛髪が受けるダメージを少なくしたカラーリング剤や、毛髪内部を修復するヘアトリートメント剤等の開発の重要性が高まっている。そのため、実際に毛髪内部で起こっているカラーリング剤の脱色・染色や、ヘアートリートメントによる補修プロセスを明らかにすることは、製品を開発する上で重要な技術である。
そして通常、カラーリング剤やヘアートリートメント剤が毛髪に与える影響は時間依存性があるため、その影響をリアルタイムに測定する必要があった。そこで、非破壊、非侵襲でこれを実現するものとして、通常の光を光源として用いたものが原理的には考えられるが、物体内部で散乱する光と、直線的に透過する光とを効率よく分離する方法が確立されていないために、分解能が低く問題点のあるものであった。
従って、物体内部で散乱する光を除き、直線的に透過する光の強度を測定して画像化する方法の開発が望まれていた。さらにはこれにより、光を利用して微小部分の情報を得たり、特定物質を強調した画像情報を得たり、光CTによる対象物体内部の3次元構造を得る方法の開発が望まれていた。
【発明の開示】
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研究を行ったところ、対象物体に直線偏光を照射し、対象物体を通過した光を、透過軸が照射光の偏光と平行であるような偏光子をかけて測定したり、光の波長を変化させて対象物体を通過した光の強度を測定することによって、散乱光と直線透過光を効率よく分離できることを知った。
そして、散乱光の影響が除かれた透過光の強度を、波長を変えて測定したり、時間を追って測定したり、対象物体を回転させて測定したりすることによって、それぞれ特定物質に着目した情報が得られたり、リアルタイムの情報が得られたり、3次元のすなわち対象物体内部の情報を非破壊で得られることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明は、対象物体に直線偏光を照射し、対象物体を通過した光を、透過軸が、照射光の偏光と平行であるような偏光子をかけて照射光の光軸上でCCDカメラを用いて検出することによって、対象物体からの散乱光が除かれた透過光の強度に依存した画像を得る対象物体内部の評価方法を提供するものである。
また、対象物体を回転させながら散乱光の影響が除かれた透過光の強度をCCDカメラで測定し、対象物体内部の3次元構造を得る対象物体内部の評価方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の評価方法に用いられる装置の概略図である。
図2は、対象物体(試料)セット用ホルダーを上から見た図面である。
図3は、図2のA−A’断面図である。
図4は、対象物体中の特定物質3種の吸光係数波長依存性の例を示す図である。
図5は、対象物体を回転させながら測定し、3次元情報を得るアルゴリズム説明図である。
図6は、対象物体を回転させながら測定し、3次元情報を得るアルゴリズム説明図である。
図7は、実施例1における、各ブリーチ時間毎の撮像結果を示す図である。
図8は、実施例1における、ブリーチ時間=0分のRGBの輝度分布(透過光強度)を示す図である。
図9は、実施例1における、各ブリーチ時間毎のメラニン色素の分布を示す図である。
図10は、実施例2における、各ブリーチ時間毎の、毛髪内部のメラニン色素のうち、脱色反応によって吸光係数が変化したものの分布を示す図である。
図11は、実施例3で使用された毛髪回転装置を示す図である。
図12は、実施例3の説明で使用される3次元座標系とボクセル分割を示す図である。
なお、図面中の符号は以下の通りである。
1a・・・・・・・・照射光側偏光板
1b・・・・・・・・CCDカメラ側偏光板
1d、1e・・・・・互いに透過軸を平行にした偏光子
2・・・・・・・・・光源
3・・・・・・・・・対象物体
4・・・・・・・・・透過光用CCDカメラ
10・・・・・・・・・対象物体セット用ホルダー
11・・・・・・・・・プレパラート
13a、13b・・・・固定用ガラス
14・・・・・・・・・空隙
20・・・・・・・・・毛髪回転装置
21・・・・・・・・・毛髪
22・・・・・・・・・回転部
23・・・・・・・・・回転部受け
【発明を実施するための最良の形態】
本発明は、対象物体に直線偏光を照射し、対象物体を通過した光を、透過軸が、照射光の偏光と平行であるような偏光子をかけて照射光の光軸上で検出することによって、対象物体からの散乱光を除くことによって、散乱光の影響が除かれた透過光の強度を測定するものである。散乱光は波長依存的に緩やかに変化するが、散乱光の影響が除かれた透過光の波長依存性は時に大きく変化するので、散乱光の影響が除かれた透過光の強度を測定することで、対象物体内の特定の物質の存在を画像として強調して得ることもできる。
図1において詳述すると、光源(2)から出た光は偏光子(1a)を通過して直線偏光となり、対象物体(3)に照射される。照射光は、対象物体内部で散乱、吸収を受けて、後部の光軸上に設けた偏光子(1b)を通りCCDカメラ(4)で検出される。このとき、偏光子(1a)と偏光子(1b)を、透過軸が平行になるように設置すると、CCDカメラ(4)には対象物体内部での散乱光が除かれた透過光が主に入射することになり、散乱光の影響が除かれた透過光による画像を得ることができる。
さらに、図2及び図3に示したように、互いの透過軸が平行な2枚の偏光子(1d)、(1e)で対象物体を挟み、そこに光照射する方法も対象物体が毛髪等の小さいものの場合に特に好ましい。
また、散乱光の強度は一般に波長依存性が小さく、散乱光以外の透過光は物質により、その波長依存性が大きいことを利用して、波長を変化させて対象物体を通過した光強度を測定し、さらに散乱光を演算で除くことで散乱光の影響が除かれた透過光のデータとすることもできる。波長を変化させて対象物体を通過した光強度を測定する方法としては、対象物体に照射する光の波長を変化させる方法と白色光を照射して検出する方の光の波長を変化させる方法があり、何れも好適に用いられる。ここで、CCDカメラを用いる場合には、赤、緑、青の3チャンネルで一度に光強度を測定できるので後者の方法が好ましい。
照射光としてX線を用いることはすでに知られており、本発明はX線より長波長の光を用いることを特徴とする。照射光の波長としては、200nm〜2000nmであることが好ましい。特に好ましくは、可視光領域の波長である。
本発明では、対象物体を通過した光をCCDカメラで検出し、主に散乱光の影響が除かれた透過光に依存した結果を2次元イメージとして表示するが、その際CCDカメラの前に対物レンズを設置することが、小さい対象物体の透過率を測定できるために好ましい。対物レンズの倍率には、特に限定はないが5倍〜800倍とすることが好ましい。
本発明においては、さらに、対象物体内部に含まれる物質の吸光係数が異なる2種類の波長、すなわち図4において波長λとλの光でそれぞれ照射するか、又は白色光を照射して、波長λとλの光のみ検知して、λとλそれぞれの透過光の強度を測定し、その値を演算することにより、その物質(a)のみを強調した情報を得ることができる。このとき、物質(b)や物質(c)のように波長λとλの光の吸光係数に差が小さい物質が対象物体内部に含まれていても、2種の波長での透過光の強度差が小さいため、物質(b)や物質(c)の存在を強調させない画像を得ることができる。
さらに、本発明は非破壊で測定できるため、時間を追って特定の波長の透過光の強度を測定し、対象物体内部に含まれる一の物質の量の時間変化をモニターすることができる。このとき、時間変化を求めようとする物質の吸光度の差が最も大きい波長を選ぶことが好ましい。
本発明においては、対象物体を回転させながら透過光の強度を測定し、対象物体内部の3次元構造に関する情報を得ることもできる。
すなわち、対象物体の1断面をn×nの有限要素に分割し、それぞれの要素(i,j)の散乱定数をf(i,j)、吸収定数をf(i,j)とすると、要素(i,j)をj方向に平行に透過する前の光強度Iin(i,j)と透過後の光強度Iout(i,j)の関係は、式(1)で示される(図5参照)。

ここで、すべての要素において、式(2)が成り立つ。

従って、対象物体に入射する光強度を、Iin、iに対応する透過光強度を、Iout(i)とすると、式(1)は式(3)で表すことができる。

さらに、各要素の透過定数をf(i,j)=1−f(i,j)f(i,j)とすると、

この計算をすべてのiについて行う。また、入射角度を変化させる場合は、入射光線の幅を変化させずに回転させ、1本1本の光線が交差するすべての要素について式(4)を計算する(図6参照)。その結果、式(5)のような連立方程式が算出される。


(ここで、Aは、(j・m)×nの行列(mは、入射角のパターン数)、XおよびBは、n次の縦ベクトルである)
j・mがn2より大きくなるように条件を設定し、Moore−Penrose型の一般逆行列を算出して、解Xを得る。
このような一連の作業を異なる波長に対して行い、それぞれのXの値(Xλ=a’λ=b)を算出する。このとき、吸収の波長依存性に比較して、散乱の波長依存性が充分小さいλを選択すると、(Xλ=a’λ=b)から、各要素における、吸収に依存したパラメーターを算出し、対象物体内部の3次元吸収係数分布を可視化できる。
このようにして得られた対象物体内の各微小部分(各要素)の光透過係数の値から、対象物体の特定断面上の光透過係数を抽出することによって、対象物体を破壊することなくその断面の画像を得ることもできる。
本発明の対象物体内部の評価方法は、散乱光の影響が除かれた透過光の強度を測定できるため、分解能が高い画像情報を得ることができる。また、散乱光の影響が除かれた透過光を波長を変えて測定することによって、特定物質に着目した情報が得られたり、さらには非破壊であるため時間を追って測定することでリアルタイムの情報が得られる。また、対象物体を回転させて測定することによって、対象物体内部の3次元情報を得ることができる。
そして、本発明の対象物体内部の評価方法は特に微小部分の測定に適しており、毛髪内部に与えるカラーリング剤やヘアートリートメント剤の影響をリアルタイムで知ることができる。
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
[実施例1]
<毛髪の脱色過程の2次元動的解析>
図2及び図3に示す対象物体セット用ホルダー(10)を用い、対象物体として未処理の黒髪を用いた。対象物体セット用ホルダー(10)は光学顕微鏡観察に汎用されるプレパラート(11)の上に、固定用ガラス(13a)、(13b)を用いて約1mmの隙間を空けて固定された2枚の偏光子(1d)、(1e)から構成されており。2枚の偏光子間には、約2mm(幅)×約25mm(奥行き)×約1mm(高さ)の空隙(14)ができている。ここで、2枚の偏光子は互いに透過軸を平行とした。
対象物体セット用ホルダーに毛髪をセットした。撮像には、光学顕微鏡(オリンパス光学工業株式会社製、BX51)を取り付けたCCDカメラ(オリンパス光学工業株式会社製、DP12)を用いた。対物レンズの倍率は10倍とした。空隙(14)にブリーチ溶液(4%H,4%NH水溶液)を満たし、セット直後、3分後、5分後、10分後、20分後に毛髪の同一箇所での撮像を行った。
得られたカラー画像から、毛髪の写っていない領域を取り除いた後(図7)、画像中の各チャネル(RGB)の8ビット輝度分布(図8)を取得し、それぞれR(x,y)、G(x,y)、B(x,y)とした((x,y)は画像中のピクセルの位置、tはブリーチ時間を示す)。その後、以下に示すアルゴリズムを用いて毛髪内部のメラニン色素の分布を示す画像(図9)を得た。
(アルゴリズム)
t=0の時、全ての(x,y)についてD(x,y)を算出し(式(7))、その最大値をDmaxとする。

次に、全てのt、(x,y)についてDを算出した後、8ビットに規格化したM(x,y)を得る(式(8))。

黒色毛髪が時間と共に、脱色していく様子が明確に評価できた。この方法を用いると、カラーリング剤やヘアートリートメント剤が毛髪に与える影響をリアルタイムで知ることができる。
[実施例2]
<毛髪の脱色過程の2次元動的解析>
試料及び対象物体セット用ホルダーは実施例1と同様のものを用いた。毛髪を対象物体セット用ホルダーにセットしたのち、実施例1と同様の条件で撮像を行った。
得られたカラー画像から、毛髪の写っていない領域を取り除いた後、画像中の各チャネル(RGB)の8ビット輝度分布を取得し、それぞれR(x,y)、G(x,y)、B(x,y)とした((x,y)は画像中のピクセルの位置、tはブリーチ時間を示す)。その後、以下に示すアルゴリズムを用いて、毛髪内部のメラニン色素のうち、脱色反応によって吸光特性が変化したものの分布を示す画像(図10)を得た。
(アルゴリズム)
t=20の時、全ての(x,y)についてD(x,y)を算出し(式(9))、その最大値をDmaxとする。D(x,y)の値が0より小さい時は、D(x,y)の値は0とする。

次に、全てのt、(x,y)についてDを算出した後、8ビットに規格化したM(x,y)を得る(式(10))。Mt(x,y)が0よりも小さい時は0とする。

毛髪が時間と共に、変化していく様子が明確に評価できた。この方法を用いると、カラーリング剤やヘアートリートメント剤が毛髪に与える影響をリアルタイムで知ることができる。
[実施例3]
<毛髪中のメラニン色素の3次元分布の可視化>
図2及び図3に示す対象物体セット用ホルダー(10)を用い、光強度測定装置も実施例1と同様のものを用いた。対象物体は毛髪である。また、試料毛髪を回転させるために図11に示す毛髪回転装置(20)を用いた。試料毛髪(21)を対象物体セット用ホルダー(10)にセットしたのち、空隙(14)に水を満たし、毛髪の両端を回転部(22)の中心に固定した後、毛髪回転装置(20)を用いて毛髪を回転させながら撮像を行った。回転装置は回転部受(23)の部分を顕微鏡のステージ上に固定した。
得られたカラー画像から、毛髪の写っていない領域を取り除いた後、画像中の各チャネル(RGB)の8ビット輝度分布を取得し、それぞれR(x,y,θ)、G(x,y,θ)、B(x,y,θ)とする((x,y)は画像中のピクセルの位置、θは毛髪の回転角度(0≦θ≦2π)を示す)。その後、以下に示すアルゴリズムを用いて毛髪内部のメラニン色素の3次元分布を示す画像を得ることができた。
(アルゴリズム)
全ての(x,y)についてD(x,y)を算出し(式(11))、その最大値をDmaxとする。

次に、Dを8ビットに規格化したM(x,y)を得る(式(12))。

その後、毛髪を含む3次元領域を適当な解像度、例えば断面50×50ピクセル、長さ200ピクセルの解像度を持つボクセルで分割し、そのボクセルの集合をQとする。Q内のボクセルの位置を(x,y,z)、Q内の各ボクセルの光透過係数をT(x,y,z)で表す(座標系は図12参照)。各ボクセル内は均質であると仮定する。このとき、M(x,y,θ)の対数は、画像中の点(x,y)に結像した光が、試料内を透過する際に通過したQ内の全ての点におけるT(x,y,z)の積分値とみなせる。例えばθ=0の時は、式(13)のように表せる。

同様に全てのx,y,θにおいて計算し、得られたTの連立方程式を適当な手法(例えば、ムーアーペンローズ(Moore−Penrose)の一般逆行列を求める手法)を用いて解くことで、Q内のTの値を推定する。また、y=yとすればQを平面y=yで切断した時の断面のTを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、物体内部で散乱する光を除き、直線的に透過する光の強度を測定して画像化できるので、光を利用して微小部分の情報を得たり、特定物質を強調した画像情報を得たり、対象物体を回転させながら透過光の強度を測定し、対象物体を破壊することなしに、その内部の3次元構造を知ることができる。
また、非破壊であるため対象物体の変化をリアルタイムで知ることができる。さらに、対象物体を毛髪にすることで、実際に毛髪内部で起こっているカラーリング剤の脱色・染色状況や、ヘアートリートメントによる補修プロセスを明らかにでき、かかる製品を開発する上で広く利用できる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物体に直線偏光を照射し、対象物体を通過した光を、照射光の偏光面に平行な透過軸を有する偏光子をかけて照射光の光軸上でCCDカメラを用いて検出することによって、対象物体からの散乱光が除かれた透過光の強度に依存した画像を得ることを特徴とする対象物体内部の評価方法。
【請求項2】
対象物体に光を照射し、対象物体を通過した光を検出する方法において、対象物体に照射する光の波長を変化させるか又は検出する光の波長を変化させて対象物体を通過した光の強度を測定することによって散乱光の強度を推定し、対象物体からの散乱光を演算で除いた透過光の強度を得る対象物体内部の評価方法。
【請求項3】
照射光が、波長200nm〜2000nmの範囲を含む光である請求項1又は請求項2に記載の対象物体内部の評価方法。
【請求項4】
対象物体を互いの透過軸が平行である2枚の偏光子で挟み、偏光子に垂直方向から光を照射する請求項1又は請求項3記載の対象物体内部の評価方法。
【請求項5】
対象物体が毛髪である請求項1ないし請求項4の何れかの請求項記載の対象物体内部の評価方法。
【請求項6】
対象物体内部に含まれる物質の吸光係数が異なる複数の波長によって、透過光の強度を測定し、演算を行うことにより、その物質のみを強調した画像を得る請求項1ないし請求項5の何れかの請求項記載の対象物体内部の評価方法。
【請求項7】
吸光係数が異なる複数の波長が、吸光係数が異なる2種の波長である請求項6記載の対象物体内部の評価方法。
【請求項8】
時間を追って特定の波長の透過光の強度を測定し、対象物体内部に含まれる特定物質の量の時間変化を画像でモニターする請求項1ないし請求項7の何れかの請求項記載の対象物体内部の評価方法。
【請求項9】
対象物体を回転させながら透過光の強度を測定し、対象物体内部の3次元構造を得る請求項1ないし請求項8の何れかの請求項記載の対象物体内部の評価方法。
【請求項10】
対象物体を回転させながら測定して得た透過光の複数の強度データからなる連立方程式を、ムーアーペンローズ(Moore−Penrose)型一般逆行列を用いて解き、対象物体内の各微小部分の光透過係数を得る請求項9記載の対象物体内部の評価方法。
【請求項11】
対象物体内の各微小部分の光透過係数の値から、対象物体の特定断面上の微小部分の光透過係数を抽出することによって、対象物体を破壊することなくその断面の画像を得る請求項9又は請求項10記載の対象物体内部の評価方法。

【国際公開番号】WO2005/038438
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【発行日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514703(P2005−514703)
【国際出願番号】PCT/JP2004/003078
【国際出願日】平成16年3月10日(2004.3.10)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】