説明

通信システム、その基地局及び通信方法

【課題】OFDMA通信方式の通信システムにおいて、当該ユーザの端末の通信が継続中に一時的に送信データが減り、その後再び増えた場合であっても、当該ユーザの端末の通信のスループットを低下することなく通信を継続することができ、また、QoSに応じたスループットをユーザの端末に提供する。
【解決手段】基地局1と複数の端末との間において1つ又は複数のサブチャネルを用いてデータ通信を行うOFDMA方式の通信システムにおいて、通信データ量を取得する通信データ量取得手段と、前記通信データ量に応じて前記サブチャネルを割り当てるチャネル割当手段と、を備え、前記通信データ量が減少した場合に、前記チャネル割当手段は、前記割り当てたサブチャネルのうち少なくとも1つのサブチャネルの割当を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OFDMA方式の通信システム、その基地局及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル携帯電話システムやPHSシステムなどの無線アクセス方式として、TDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続)とTDD(Time Division Duplex:時分割双方向伝送)を組み合わせたTDMA/TDD方式が採用されている。さらに、これに加えて、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access:直交周波数分割多重接続)を活用するOFDMA方式が提案されている。
【0003】
OFDMは、データを変調する搬送波を、互いに直交した複数の「サブキャリア」(細分化された搬送波)に分割し、データ信号をそれぞれのサブキャリアに分散させて送信する方式である。
【0004】
以下、OFDM方式の概要について説明する。
図7は送信側に用いられるOFDM変調装置の構成を示すブロック図である。OFDM変調装置には、送信データが入力される。この送信データは、シリアル/パラレル変換部201に供給されて、低速な複数の伝送シンボルからなるデータに変換される。つまり、伝送情報を分割して、複数の低速なデジタル信号を生成する。このパラレルデータは、逆高速フーリエ変換(IFFT)部202に供給される。
【0005】
パラレルデータは、OFDMを構成する各サブキャリアに割り当てられ、周波数領域においてマッピングされる。ここで、各サブキャリアに対してBPSK、QPSK、16QAM、64QAM等の変調が施される。マッピングデータは、IFFT演算を施すことによって、周波数領域の送信データから時間領域の送信データに変換される。これにより、互いに直交する関係にある複数のサブキャリアがそれぞれ独立に変調されたマルチキャリア変調信号が生成される。IFFT部202の出力は、ガードインターバル付加部203に供給される。
【0006】
ガードインターバル付加部203は、図8に示すように、伝送データの有効シンボルの後部をガードインターバルとして、伝送シンボル毎に有効シンボル期間の前部にコピーを付加する。このガードインターバル付加部で得られたベースバンド信号は、直交変調部204に供給される。
【0007】
直交変調部204は、ガードインターバル付加部203から供給されるベースバンドOFDM信号に対して、OFDM変調装置の局部発振器105から供給されるキャリア信号を用いて、直交変調を施し、中間周波数(IF)信号もしくは無線周波数(RF)信号に周波数変換する。すなわち、直交変調部は、ベースバンド信号を所望の伝送周波数帯域に周波数変換した後に伝送路に出力する。
【0008】
図9は、受信側に用いられるOFDM復調装置の構成を示すブロック図である。OFDM復調装置には、図7のOFDM変調装置によって生成されたOFDM信号が所定の伝送路を介して入力される。
【0009】
このOFDM復調装置に入力されたOFDM受信信号は、直交復調部211に供給される。直交復調部211は、OFDM受信信号に対して、OFDM復調装置の局部発振器212から供給されるキャリア信号を用いて直交復調を施し、RF信号もしくはIF信号からベースバンド信号に周波数変換し、ベースバンドOFDM信号を得る。このOFDM信号は、ガードインターバル除去部213に供給される。
【0010】
ガードインターバル除去部213は、OFDM変調装置のガードインターバル付加部203で付加された信号を、図示しないシンボルタイミング同期部から供給されるタイミング信号に従って除去する。このガードインターバル除去部213で得られた信号は、高速フーリエ変換(FFT)部214に供給される。
【0011】
FFT部214は、入力される時間領域の受信データをFFTすることによって周波数領域の受信データに変換する。さらに周波数領域においてデマッピングされ、各サブキャリア毎にパラレルデータが生成される。ここで、各サブキャリアに施されたBPSK、QPSK、16QAM、64QAM等の変調に対する復調がなされたことになる。FFT部214で得られたパラレルデータは、パラレル/シリアル変換部215に供給されて、受信データとして出力される。
【0012】
以上のようにOFDMは、搬送波を複数のサブキャリアに分割する方式である。そして、OFDMAは、上記OFDMにおけるサブキャリアの中から複数のサブキャリアを集めてグループ化し、各グループを各ユーザに1つ又は複数割り当てて多重通信を行う方式である。上記各グループはそれぞれサブチャネルと呼ばれる。つまり、各ユーザは割り当てられた1つ又は複数のサブチャネルを用いて通信を行うのである。また、サブチャネルは通信を行うデータ量や伝播環境等に応じて適応的に増減して割り当てられる。
【0013】
特許文献1には、各サブチャネルのチャネル環境により適応的にパイロット搬送波を変化させて、パイロット搬送波を割り当てる方法が開示されている。この割り当て方法では、チャネル環境がよい場合にはパイロット搬送波を少なく割り当て、チャネル環境が悪い場合にはパイロット搬送波を多く割り当てる。これにより、1ユーザに割り当てられるサブチャネルの数が変化する。
【特許文献1】特表2005−520432
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記従来技術においては、当該ユーザの端末の通信が継続中に一時的に送信データが減ると、基地局は他のユーザの端末のために不要なサブチャネルを開放する。
そして、当該ユーザの端末の送信データ量が再び増えた場合に、開放されたサブチャネルを再度使用するには、他のユーザの端末に割り当てたサブチャネルが開放されるのを待たなければならない。この間は、当該ユーザの端末の通信データ量が再び増えたとしても使用できるサブチャネルの数が減ったままなので、当該ユーザの端末における通信のスループットは上がらず、データ送信が完了するまでに時間がかかるという問題点がある。
【0015】
また、サブチャネルを割り当てる際には、予め当該サブチャネルが使用可能か否かをチェックするキャリアセンスが必要である。データ量が増えて新たにサブチャネルを割り当てるには全サブチャネルについてキャリアセンスを行うため、その処理に多くの時間が必要となる。その結果、サブチャネルの割り当てまでに時間がかかるため当該ユーザの端末における通信のスループットが低下してしまう。
また、上記の場合に、QoSに応じた通信のスループットをユーザの端末に提供することができなくなってしまう。
【0016】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、OFDMA通信方式の通信システムにおいて、当該ユーザの端末の通信が継続中に一時的に送信データが減り、その後再び増えた場合であっても、当該ユーザの端末の通信のスループットを低下することなく通信を継続することができ、また、QoSに応じたスループットをユーザの端末に提供することができるOFDMA方式の通信システム、その基地局及び通信方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するために、本発明に係る通信システムは、基地局と複数の端末との間において1つ又は複数のサブチャネルを用いてデータ通信を行うOFDMA方式の通信システムにおいて、通信データ量を取得する通信データ量取得手段と、前記通信データ量に応じて前記サブチャネルを割り当てるチャネル割当手段と、を備え、前記通信データ量が減少した場合に、前記チャネル割当手段は、前記割り当てたサブチャネルのうち少なくとも1つのサブチャネルの割当を維持することを特徴とする(請求項1)。
【0018】
また、前記チャネル割当手段は、前記割当を維持されるサブチャネルを用いて所定の信号を送信することを特徴とする(請求項2)。
【0019】
また、前記所定の信号は、不許可を表す信号であることを特徴とする(請求項3)。
【0020】
また、前記チャネル割当手段は、当該端末の優先度に応じて、前記割当を維持するサブチャネルの数を決めることを特徴とする(請求項4)。
【0021】
また、前記優先度はQoSクラスであることを特徴とする(請求項5)。
【0022】
本発明に係る基地局は、複数の端末との間で、1つ又は複数のサブチャネルを用いてデータ通信を行うOFDMA方式の基地局であって、通信が確立された端末との間の通信データ量を取得する通信データ量取得手段と、前記通信データ量に応じて前記サブチャネルを前記通信が確立された端末に割り当てるチャネル割当手段と、を備え、前記通信が確立された端末との間の通信データ量が減少した場合に、前記チャネル割当手段は、前記割り当てたサブチャネルのうち少なくとも1つのサブチャネルの割当を維持し、前記通信が確立された端末との通信を継続することを特徴とする(請求項6)。
【0023】
また、前記チャネル割当手段は、前記割当を維持されるサブチャネルを用いて所定の信号を送信することを特徴とする(請求項7)。
【0024】
また、前記所定の信号は、不許可を表す信号であることを特徴とする(請求項8)。
【0025】
また、前記チャネル割当手段は、前記通信が確立された端末の優先度に応じて、前記割り当てを維持するサブチャネルの数を決めることを特徴とする(請求項9)。
【0026】
本発明に係るチャネル割当方法は、基地局と複数の端末との間において、1つ又は複数のサブチャネルを用いてデータ通信を行うOFDMA方式の通信方法において、通信データ量を取得する通信データ量取得ステップと、前記通信データ量に応じて前記サブチャネルを割り当てるチャネル割当ステップと、を含み、前記チャネル割当ステップは、前記通信データ量が減少した場合に、前記割り当てたサブチャネルのうち少なくとも1つのサブチャネルの割当を維持することを特徴とする(請求項10)。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、基地局と通信が確立された端末との間において通信データの量が減少したときに、データが空になった複数のサブチャネルのうちの少なくとも1つを開放せずに割当を維持し、他の端末に割り当てないようにするので、当該端末の通信が再び増えた場合に、通信のスループットを低下することなく、QoSに応じたスループットをユーザの端末に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係る通信システムの実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る通信方法に用いられるOFDMAのフレーム構成を示す説明図である。
本通信システムは、基地局(CS:cell station)と複数の端末(PS:personal station)との間において、各周波数帯毎に複数のサブチャネルで構成されたフレームによって通信を行うOFDMA方式の通信システムである。
【0029】
図1のフレーム構成は、例えば、PHSシステムで使用されるタイムスロットが4個(S1〜S4)の場合の構成であり、縦軸が周波数軸であり、横軸が時間軸である。
図1において、ダウンリンク期間及びアップリンク期間は、共に周波数軸に対して、28個の周波数帯に分割されている。最初の周波数帯のサブチャネルは、コントロールサブチャネルと呼ばれ、制御チャネル(CCH)で使用している。
なお、上記の最初の周波数帯は、最も高い周波数帯あるいは最も低い周波数帯のどちらでも良い。また、コントロールサブチャネルは、各周波数帯において、各タイムスロットのどのサブチャネルを使うかを指示する。
【0030】
図1の例は、PHSシステムの例であり、コントロールサブチャネルC〜Cで指定できる基地局は4つの基地局である。また、PHSシステムにおいては、100ms毎に制御チャネルを間歇送信する。
【0031】
そして、残りの27の周波数帯には、データを送受信するトラフィックサブチャネルT〜T108で構成されており、周波数方向に27個、時間軸方向に4個で、全部で108のサブチャネルで構成されている。
このトラフィックサブチャネルは、アンカーサブチャネルとエクストラサブチャネルとにより構成されている。
【0032】
アンカーサブチャネルとは、どのサブチャネルをどの端末が使用するかを各端末に通知するために使用したり、再送制御でデータが正しくやりとりできたかを基地局と端末でネゴシエーションするために使ったりするためのサブチャネルである。
【0033】
エクストラサブチャネルとは、実際に使用するデータを送信するサブチャネルであり、1つの端末に対して、複数のエクストラサブチャネルを割り当てることができる。この場合、割り当てられたエクストラサブチャネルが多いほど帯域が広がるので高速な通信が可能となる。
【0034】
次に、本通信システムで使用する基地局の構成について説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る通信システムの基地局のブロック図である。
図2に示すように、基地局1は、アンテナに接続され後述する信号処理部12からの信号をRF信号に変換したり、逆に受信したRF信号を信号処理部12が扱えるように変換する無線通信部11、受信した信号または送信する信号を処理する信号処理部12、信号の変調または復調を行う変復調部13、上位通信網に接続される外部I/F部14、信号処理部12及び変復調部13を制御する制御部15、QoS情報等を記憶する記憶部16で構成されている。
【0035】
制御部15は、通信データ量を取得し(通信データ量取得手段)、通信データ量に応じてサブチャネルを割り当てる(チャネル割当手段)。そして、通信データ量が減少した場合に、割り当てたサブチャネルのうち少なくとも1つのサブチャネルの割当を維持するように制御する。
このために、制御部15は、通信で使用するエクストラサブチャネル(ESCH)の端末毎の割り当てを設定するESCH(エクストラサブチャネル)設定部15−1、送信データが無いエクストラサブチャネルの割当維持を開始するか否かを判定してESCH(エクストラサブチャネル)設定部15−1に対するエクストラサブチャネル開放、Invalid信号(不許可を表す信号)生成部15−3に対するエクストラサブチャネル割当維持を指示するESCH割当維持制御部15−2、エクストラサブチャネルのPHYフレームのVフィールドにInvalid信号(不許可を表す信号)を生成するInvalid信号(不許可を表す信号)生成部15−3、記憶部16よりユーザのQoSのクラスに関する情報を取得するQoSクラス取得部15−4を有している。
【0036】
本発明の実施の形態に係る通信システムにおいて、サブチャネルの接続を継続するか否かの判定は、当該端末のQoS情報に基づいて、エクストラサブチャネル(ESCH)の占有の程度に差をつけて判定を行う。
これにより、QoS情報に応じたスループットをユーザに提供できる。
なお、QoS(Quality of Service)とは、ネットワーク上で、ある特定の通信のための帯域を予約し、データが途切れないように伝送品質を保証する機能である。
【0037】
そして、QoS情報に含まれるQoSクラスは、通信の優先度に応じてクラス分けされたものであり、例えば、ストリーミング、ファイル転送、ベストエフォートの3種類に分類することができる。ストリーミングは、音声や動画のリアルタイム配信やテレビ電話など、通信の遅延や停止が許されないクラスであり、優先度が最も高いクラス1とする。
ファイル転送は、電子ファイルをある程度の帯域が確保できていればよいクラスであり、優先度はストリーミングよりも低い、クラス2とする。
ベストエフォートは、QoSの保証を行わないクラスであり、優先度は最も低いクラス3とする。
【0038】
本発明の実施の形態に係るOFDMA方式の通信システムの基地局におけるエクストラサブチャネルの割当維持フローについて説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係る通信システムの基地局におけるエクストラサブチャネルの割当維持フローを示す図である。
【0039】
・割当維持フローを開始する。
・基地局1のQoSクラス取得部15−4は、記憶部16よりユーザのQoSのクラスに関する情報を取得する(ステップS1)。
・制御部15は、取得したQoSクラスに応じて通信帯域を設定する(ステップS2)。例えば、前記3種類のクラス(クラス1〜3)に分類した場合、優先度が最も高いクラス1に割り当てる通信帯域は、最も広い帯域に設定する。次に優先度が高いクラス2は、割り当てる通信帯域を中程度の帯域に設定する。最も優先度が低いクラス3に割り当てる通信帯域は最も狭い帯域に設定する。
・ESCH設定部15−1は、通信で使用するエクストラサブチャネル(ESCH)の端末毎の割り当てを設定し通信を確立する(ステップS3)。
・ESCH割当維持制御部15−2は、基地局−端末間の通信で使用中の各エクストラサブチャネル内に送信データがあるか否かを判定し(ステップS4)、送信データがあると判定されたエクストラサブチャネルの場合(ステップS4のY)はデータ送信をそのまま続ける(ステップS5)。
・送信データが無いエクストラサブチャネルの場合(ステップS4のN)は、ESCH割当維持制御部15−2が当該エクストラサブチャネルの割当維持を開始するか否かを判定し(ステップS6)、割当維持を開始しないと判定された場合は、ESCH設定部15−1に、当該エクストラサブチャネルを開放するように指示して(ステップS8)、割当維持フローを終了する。
・割当維持を開始すると判定された場合(ステップS6のY)は、Invalid信号(不許可を表す信号)生成部15−3に指示して、PHYフレームのVフィールドにInvalid信号(不許可を表す信号)を載せて送信することにより、空データのエクストラサブチャネルを送信し続ける(割当維持する)。制御部15は所定の割当維持時間が経過したか否かを判定して(ステップS7)、割当維持時間が経過した場合(ステップS7のY)に、ステップS4の処理に戻る。
【0040】
送信データが無いエクストラサブチャネルを開放するか、あるいは、割当維持するかは、QoSクラスに応じて、開放するエクストラサブチャネルの個数及び割当維持するエクストラサブチャネルの個数を決めておく。例えば、前記3種類のクラス(クラス1〜3)に分類した場合、クラス1はエクストラサブチャネルを全く開放しない、クラス2は半分のエクストラサブチャネルを開放する、クラス3は1/4のエクストラサブチャネルを開放する、などとする。
【0041】
また、エクストラサブチャネルを割当維持する場合に、QoSクラスに応じて割当維持時間を変える。例えば、前記3種類のクラス(クラス1〜3)に分類した場合、クラス1の割当維持時間をt1、クラス2の割当維持時間をt2、クラス3の割当維持時間をt3、として、t1>t2>t3となる所定の割当維持時間を割り当てる、などとする。
【0042】
なお、開放したサブチャネルは、他の端末のアンカーサブチャネルに割り当てずに、エクストラサブチャネルに割り当てることが好ましい。なぜならば、他の端末のアンカーサブチャネルに割り当てると、例え他の端末の送信データ量が減少したとしても、通信接続が終わるまではアンカーサブチャネルは開放されないが、エクストラサブチャネルであれば、再び開放される可能性があるからである。
【0043】
本発明の実施の形態に係る通信方法は、QoSを考慮した場合であり、図4に示す端末と基地局との間の通信手順のシーケンスを用いて詳細に説明する。
【0044】
端末(PS)及び基地局(CS)において通信するサブチャネルの種類(制御チャネル(CCH)、通信チャネル(TCH)を構成するアンカーサブチャネル(ASCH)、エクストラサブチャネル(ESCH))に分けて図示したものである。
【0045】
本通信方法は、ユーザデータが一時的に減少しても基地局から端末に、一定時間信号を送り続け、基地局が他の端末にエクストラサブチャネル(ESCH)を割り当てないようにする。図5に示すように、ダウンリンク(基地局から端末のリンク)を送信し続けることによって、当該端末もそのエクストラサブチャネルは割り当て済みと認識し、他の端末に割り当てないようにする。
【0046】
図4では、通信開始(端末−基地局の接続)から、通信終了(端末−基地局の開放)までを示す。
(1−1) 接続手順
接続時は既存のPHSシステムと同様の手順で接続する。
・端末から基地局に対して制御チャネル(CCH)によりリンクチャネル(LCH)エスタブリシュメント(確定)を送信する。
・基地局においてキャリアセンスを実行する。
・基地局から端末に対して制御チャネル(CCH)によりリンクチャネル(LCH)アサイン(割り当て)を送信する。
・端末においてキャリアセンスを実行する。
以上のように、アンカーサブチャネル(ASCH)接続に先立ち、必ず基地局と端末の双方でキャリアセンスを実行する。これにより、安定した帯域の制御に使用できる。
【0047】
(1−2) エクストラサブチャネルの割り当て、通信の確立
当該端末で未使用のサブチャネルをエクストラサブチャネル(ESCH)として割り当てるときは、キャリアセンスを行う。
・端末から基地局に対してアンカーサブチャネル(ASCH)によりレンジングリクエスト(帯域設定の要求)をRCHフィールドで送信する。
このような、エクストラサブチャネル(ESCH)の要求・割り当てはアンカーサブチャネル(ASCH)を介して伝送する。
・基地局においてキャリアセンスを実行する。
・基地局から端末に対してアンカーサブチャネル(ASCH)によりレンジングレスポンス(帯域設定)をMAPフィールドで送信する。
・基地局と端末との間でユーザデータ送受信を開始する。
・端末から基地局に対してアンカーサブチャネル(ASCH)によりレンジングリクエスト(帯域設定の要求)をRCHフィールドで送信する。
・基地局においてキャリアセンスを実行する。
エクストラサブチャネル(ESCH)を増設する際は、当該端末で未使用のサブチャネルをエクストラサブチャネル(ESCH)として割り当てることになるので、キャリアセンスを行う。
【0048】
(1−3) エクストラサブチャネル(ESCH)の割当維持
・基地局から端末に対してアンカーサブチャネル(ASCH)によりレンジングレスポンス(帯域設定)をMAPフィールドで送信する。
・基地局と端末との間でユーザデータを送受信する。
ユーザデータを送受信しているときに、通信データが減少した場合は、アンカーサブチャネルのVフィールドに不許可を表す信号である“Invalid”を載せて、端末から基地局へ送信し続ける(通信継続)。このとき、エクストラサブチャネル(ESCH)を開放せずに割当を維持し続ける。
このとき、QoSクラスに応じて、開放するエクストラサブチャネルの個数及び割当維持するエクストラサブチャネルの個数を決めておく。また、エクストラサブチャネルを割当維持する場合に、QoSクラスに応じて割当維持時間を変える。
データが再び増加した場合は、上記の開放せずに割当維持し続けているエクストラサブチャネル(ESCH)を使用してユーザデータを送信する。
【0049】
(1−4) 通信終了
・基地局から端末に対して、制御チャネル(CCH)により通信チャネル(TCH)開放要求を行う。
呼切断し通信を終了する。
【0050】
次に、比較例として、QoSを考慮しない場合のOFDMA方式の通信方法のシーケンスについて説明する。
図6は、QoSを考慮せずに通信を行う場合における通信開始(端末−基地局の接続)から、通信終了(端末−基地局の開放)までのフローを示す説明図である。
【0051】
(2−1) 接続手順
接続時は既存のPHSシステムと同様の手順で接続する。
・端末から基地局に対して制御チャネル(CCH)によりリンクチャネル(LCH)エスタブリシュメント(確定)を送信する。
・基地局においてキャリアセンスを実行する。
・基地局から端末に対して制御チャネル(CCH)によりリンクチャネル(LCH)アサイン(割り当て)を送信する。
・端末においてキャリアセンスを実行する。
以上のように、アンカーサブチャネル(ASCH)接続に先立ち、必ず基地局と端末の双方でキャリアセンスを実行する。これにより、安定した帯域の制御に使用できる。
【0052】
(2−2) エクストラサブチャネルの割り当て、通信の確立
・端末から基地局に対してアンカーサブチャネル(ASCH)によりレンジングリクエスト(帯域設定の要求)をRCHフィールドで送信する。
帯域設定、即ちエクストラサブチャネル(ESCH)の要求・割り当ては、アンカーサブチャネル(ASCH)を介して伝送する。
・基地局のアンカーサブチャネル(ASCH)のキャリアセンスを実行する。
・基地局から端末に対してアンカーサブチャネル(ASCH)によりレンジングレスポンス(帯域設定)をMAPフィールドで送信する。
・基地局と端末との間でユーザデータを送受信する。
・端末から基地局に対してアンカーサブチャネル(ASCH)によりレンジングリクエスト(帯域設定の要求)をRCHフィールドで送信する。
・基地局のアンカーサブチャネル(ASCH)のキャリアセンスを実行する。
・基地局から端末に対してアンカーサブチャネル(ASCH)によりレンジングレスポンス(帯域設定)をMAPフィールドで送信する。
・基地局と端末との間でユーザデータを送受信する。
【0053】
(2−3) エクストラサブチャネル(ESCH)の開放
・基地局から端末に対してアンカーサブチャネル(ASCH)のMAPによって、エクストラサブチャネル(ESCH)を開放したことを端末に通知する。このとき、端末は開放したエクストラサブチャネル(ESCH)でのダウンリンク(基地局から端末への)送信を継続しない。
・基地局と端末との間でユーザデータを送受信する。
・端末から基地局に対してアンカーサブチャネル(ASCH)によりレンジングリクエスト(帯域設定の要求)をRCHフィールドで送信する。
・一旦開放したエクストラサブチャネル(ESCH)を帯域増設要求に基づき割り当てる際も、当該基地局で未使用のサブチャネルをエクストラサブチャネルとして割り当てることになるので、基地局のアンカーサブチャネル(ASCH)のキャリアセンスを実行する。
このように、QoSを考慮せずに通信を行う場合は、エクストラサブチャネル(ESCH)の増設時にキャリアセンスが必要である。
・基地局から端末に対してアンカーサブチャネル(ASCH)によりレンジングレスポンス(帯域設定)をMAPフィールドで送信する。
・基地局と端末との間でユーザデータを送受信する。
【0054】
(2−4) 通信終了
・基地局から端末に対して、制御チャネル(CCH)により通信チャネル(TCH)開放要求を行う。
呼切断し通信を終了する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信方法に用いられるOFDMAのフレーム構成を示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る通信システムの基地局のブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る通信システムの基地局におけるエクストラサブチャネルの割当維持フローを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る通信システムにおけるシーケンス図である。
【図5】図4のシーケンスにおけるエクストラサブチャネルの割当維持時間を示す図である。
【図6】QoSを考慮しない場合の通信方法のシーケンス図である。
【図7】従来の送信側に用いられるOFDM変調装置の構成を示すブロック図である。
【図8】ガードインターバルを示す説明図である。
【図9】従来の受信側に用いられるOFDM変調装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0056】
1 基地局
11 無線通信部
12 信号処理部
13 変復調部
14 外部I/F部
15 制御部
15−1 ESCH(エクストラサブチャネル)設定部
15−2 ESCH(エクストラサブチャネル)割当維持制御部
15−3 Invalid信号(不許可を表す信号)生成部
15−4 QoSクラス取得部
16 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と複数の端末との間において1つ又は複数のサブチャネルを用いてデータ通信を行うOFDMA方式の通信システムにおいて、
通信データ量を取得する通信データ量取得手段と、
前記通信データ量に応じて前記サブチャネルを割り当てるチャネル割当手段と、
を備え、
前記通信データ量が減少した場合に、前記チャネル割当手段は、前記割り当てたサブチャネルのうち少なくとも1つのサブチャネルの割当を維持することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記チャネル割当手段は、前記割当を維持されるサブチャネルを用いて所定の信号を送信することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記所定の信号は、不許可を表す信号であることを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記チャネル割当手段は、当該端末の優先度に応じて、前記割当を維持するサブチャネルの数を決めることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の通信システム。
【請求項5】
前記優先度はQoSクラスであることを特徴とする請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
複数の端末との間で、1つ又は複数のサブチャネルを用いてデータ通信を行うOFDMA方式の基地局であって、
通信が確立された端末との間の通信データ量を取得する通信データ量取得手段と、
前記通信データ量に応じて前記サブチャネルを前記通信が確立された端末に割り当てるチャネル割当手段と、
を備え、
前記通信が確立された端末との間の通信データ量が減少した場合に、前記チャネル割当手段は、前記割り当てたサブチャネルのうち少なくとも1つのサブチャネルの割当を維持し、前記通信が確立された端末との通信を継続することを特徴とする基地局。
【請求項7】
前記チャネル割当手段は、前記割当を維持されるサブチャネルを用いて所定の信号を送信することを特徴とする請求項6に記載の基地局。
【請求項8】
前記所定の信号は、不許可を表す信号であることを特徴とする請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記チャネル割当手段は、前記通信が確立された端末の優先度に応じて、前記割り当てを維持するサブチャネルの数を決めることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の基地局。
【請求項10】
基地局と複数の端末との間において、1つ又は複数のサブチャネルを用いてデータ通信を行うOFDMA方式の通信システムにおいて、
通信データ量を取得する通信データ量取得ステップと、
前記通信データ量に応じて前記サブチャネルを割り当てるチャネル割り当てステップと、
を含み、
前記チャネル割り当てステップは、前記通信データ量が減少した場合に、前記割り当てたサブチャネルのうち少なくとも1つのサブチャネルの割当を維持することを特徴とするチャネル割当方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−78890(P2008−78890A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254386(P2006−254386)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】