説明

通信システム、受信装置、中継装置、受信方法、及び中継方法

【課題】ネットワークを冗長化した場合において、一方のリンク速度が大きく低下した場合に、無線リソースの浪費を抑制する。
【解決手段】受信装置は、送信装置から複数の経路を介してパケットを受信する受信部と、受信部がパケットを受信したことを示す受信確認情報を生成して、該受信確認情報を、パケットの受信とは異なる経路に送信する送信部と、を備え、中継装置は、パケットを受信する受信部と、受信部が受信したパケットを順に送信する送信部と、受信確認情報を受信する受信確認情報受信部と、受信確認情報を基に、前記送信部において未送信のパケットを廃棄するパケット廃棄制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
パケット通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話網の基地局とコアネットワークをつなぐバックホール回線等に無線技術を適用して、迅速かつ安価にネットワークを構築するケースが増えてきている。しかし、一般的に、無線ネットワークは有線ネットワークに比べて信頼性が低く、リンク速度が一定ではないという特有の問題がある。
【0003】
例えば、無線リンクは、ビット誤り率を所定の値以下に維持するために,無線環境の変化に応じて、変調方式/符号化レートの変更を行うことにより、リンク速度が動的に変動することがある。特に、例えば天候の変化等により無線環境が悪化した場合、より低速な変調方式/符号化レートに変更するため,伝送効率が低下し,無線リンクのリンク速度が大きく低下することがある。そして、リンク速度が低下すると、パケット遅延だけでなく、未送信のパケットによるバッファ溢れによってパケットロスが発生しやすくなる。
【0004】
このように、無線で構築されるネットワークにおいては、有線で構築されるネットワークと比較して障害が発生しやすいので、無線ネットワークの信頼性を高める技術が必要である。
【0005】
一方、ネットワークの信頼性を高める従来技術として、冗長化が知られている。
【0006】
通常、ネットワークシステムにおいて、オペレータは、SLA(Service Level Agreement)で、例えば99.99%等といった非常に高い稼働率を保証する。しかし、ネットワーク装置の故障率から算出される稼働率は、保証したい稼働率より悪くなることが多い。また、複数のユーザが多重されるような幹線系では、システムが1か所壊れると,多数のユーザに影響してしまう。そこで、冗長化技術により、機器故障時の迂回ルートを確保することで、ネットワークの信頼性を高めることが必要となる。
【0007】
例えば、図1に示すように、パケット送信側と受信側に備えられたパケット転送装置によって実行されるパケット転送の際に、送信側でパケットを複製して複数の同じパケットを生成する。そして、生成したそれぞれのパケットを複数の通信経路を経由して受信側に送信し、受信側で1つのパケットを選択する技術が提案されている。
【0008】
上記のような冗長化を適用すると、一方でパケットロスしても、他方で受信することができる可能性がある。さらに、一方が遅延しても、他方で遅延なく受信できる可能性がある。したがって、ネットワークの信頼性は向上する。
【0009】
なお、冗長化した通信経路を用いたパケット転送装置については、下記特許文献1、2、3、4などに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007-209040
【特許文献2】特許第004074268号
【特許文献3】特許第004074304号
【特許文献4】特開2009-147579 一方、パケットの確実な送受信を行うための再送制御では、パケットを受信した装置が送信装置にACK(確認応答)を送信することが一般的に行われている。すなわち、受信装置はパケットを受信すると、該パケットを特定する情報(シーケンス番号等)を含むACKを生成し、該パケットを送信した装置に返信する。これにより、送信装置は自分が送信したパケットが受信されたかを確認することが出来る。そして、送信装置は、ACKが返信されない場合、パケットが受信装置で受信されていないと判断し、該パケットを再送する。これにより、パケットの送受信装置間でパケットの送受信を確実に行える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、単純に無線ネットワークに冗長化を適用した場合、以下の問題が残っている。
【0012】
冗長化された無線ネットワークにおいて、冗長化した経路のうち、一方の無線環境が悪化した場合を考える。つまり、図2における中継装置間が十分に離れていて、一方の経路のみが天候等により、無線環境が悪化したとする。このとき、一方の無線リンクのみでリンク速度が低下し、パケット遅延やパケットロスが発生しやすくなる。そのため、他方の無線リンクを介して受信装置にすでに到着しているパケットが別経路上のノードから大きく遅れて受信されてしまう場合が発生しうる。このように、受信側で既に受信されたパケットと同じパケットを送信することは、無線リソースの浪費につながるため、好ましくない。
【0013】
図2により、上記の問題を具体的に説明する。図2に示すように、中継装置間が十分に離れていて、一方の通信経路において、天候が悪く、受信装置への無線回線品質が悪くなる、すなわち、リンク速度が低下する場合がある。リンク速度低下のため、無線回線品質が悪化した通信経路において、パケットの転送遅延やバッファリング遅延が大きくなる。そのため、無線回線品質が悪化した通信経路上の中継装置において、他方の通信経路によって受信側で既に受信されたために転送が不要となったパケットの転送が遅れて発生する可能性がある。このようなパケットの転送は、無線リソースの浪費に他ならない。また、パケットは転送されるまでバッファに留まるため、中継装置において、転送不要なパケット,すなわち,すでに受信装置にて別経路から受信しているパケットがバッファに滞留することによるバッファあふれが発生し、これによりパケットがロスする可能性がある。
【0014】
リンク速度が低下した場合だけでなく、受信装置と送信装置を接続している複数の経路のうち、一方の経路が他方の経路よりも十分に長い場合にも、同様の問題が発生する。長いほうの経路を介して転送されるパケットは、短いほうの経路を介して転送されるパケットと比較して、受信が遅れる可能性が高い。そのため、長いほうの経路上の中継装置において、受信装置が別経路から受信しているために転送不要となっているパケットを送信することによる無線リソースの浪費が起こりうる。
【0015】
また、このような無線リソースの浪費を防ぐために、冗長化した経路のうち、リンク速度の速いほうのみでパケット転送を実行することも考えられる。しかし、無線リンクであることから、一定の割合でパケットロスが発生することは避けられない。そのため、リンク速度の速いほうのみでパケット転送を行うのはやはり現実的ではなく、リンク速度が遅い経路においてもパケット転送を行う必要がある。
【0016】
さらに、このような冗長化に加えて、再送制御を適用したとしても、一般的な再送制御におけるACK送信では、送信装置が自分の送信したパケットの受信成否を判断できるに留まる。そのため、一般的なACK送信でも、上記の問題は解決されない。
【0017】
開示のパケット転送方法及びパケット転送装置は、上述した問題点を解消するものであり、ネットワークを冗長化した場合において、一方のリンク速度が大きく低下した場合に、無線リソースの浪費を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、開示技術は、送信装置と、該送信装置と複数の経路により接続されている受信装置と、前記複数の経路上の少なくとも1つの中継装置とを含む通信システムであって、前記受信装置は、前記送信装置から前記複数の経路を介してパケットを受信する受信部と、前記受信部が前記パケットを受信したことを示す受信確認情報を生成して、該受信確認情報を、前記複数経路のうち、前記パケットの受信とは異なる経路に送信する送信部と、を有し、前記中継装置は、パケットを受信する受信部と、前記受信部が受信したパケットを順に送信する送信部と、前記受信確認情報を受信する受信確認情報受信部と、前記受信確認情報を基に、前記送信部において未送信のパケットを廃棄するパケット廃棄制御部と、を有することを特徴とする通信システムを提供する。
【発明の効果】
【0019】
開示の受信装置、中継装置及び受信方法、中継方法は、無線リソースの有効利用が出来るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来技術における概要図である。
【図2】従来技術における課題の説明図である。
【図3】第1実施形態の受信装置及び中継装置における全体ネットワーク図である。
【図4】第1実施形態の受信装置及び中継装置における概要図である。
【図5】第1実施形態の送信装置及び受信装置におけるハードウェア構成図である。
【図6】第1実施形態の中継装置におけるハードウェア構成図である。
【図7】第1実施形態の送信装置における機能ブロック図である。
【図8】第1実施形態の受信装置における機能ブロック図である。
【図9】第1実施形態の中継装置における機能ブロック図である。
【図10】第1実施形態の受信装置及び中継装置におけるパケットのパケットフォーマットである。
【図11】第1実施形態の受信装置における受信シーケンス番号管理テーブルである。
【図12】第1実施形態の受信装置及び中継装置における受信確認管理テーブルである。
【図13】第1実施形態の受信装置におけるインターフェースグループテーブルである。
【図14】第1実施形態の受信装置におけるシーケンス番号抽出処理を示すフローチャートである。
【図15】第1実施形態の受信装置におけるパケット選択処理を示すフローチャートである。
【図16】第1実施形態の受信装置における受信確認情報の生成処理を示すフローチャートである。
【図17】第1実施形態の受信装置における受信確認情報の送信処理を示すフローチャートである。
【図18】第1実施形態の中継装置における受信確認情報の制御処理を示すフローチャートである。
【図19】第1実施形態の中継装置におけるパケットの制御処理を示すフローチャートである。
【図20】第2実施形態の中継装置における受信確認管理テーブルである。
【図21】第2実施形態の中継装置におけるシーケンス番号情報受信時の受信確認情報の生成処理を示すフローチャートである。
【図22】第2実施形態の中継装置における受信確認情報送信時の受信確認情報の生成処理を示すフローチャートである。
【図23】第3実施形態の送信装置における機能ブロック図である。
【図24】第3実施形態の受信装置における機能ブロック図である。
【図25】第3実施形態の受信装置におけるパケット受信時の再送制御処理のフローチャートである。
【図26】第3実施形態の受信装置における受信確認情報送信時の再送制御処理のフローチャートである。
【図27】第3実施形態の中継装置における制御処理のフローチャートである。
【図28】第4実施形態の受信装置における機能ブロック図である。
【図29】第4実施形態の受信装置における受信確認情報送信時の制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、開示の通信システム、受信装置、中継装置、受信方法、及び中継方法に係る実施形態を説明する。以下の実施形態の図面に示す構成は一例であって、斯かる構成に本件発明が限定されるものではない。さらに,発明が解決しようとする課題では,無線システムを例に課題を述べたが,本発明の適用システムが無線システムに限定されるものではない.
<第1実施形態>
図3〜図19を用いて第1実施形態について説明する。
【0022】
図3は、第1実施形態の受信装置及び中継装置が適用されるネットワークの一例である無線バックホールの構成図であり、1つの物理ネットワークの中に,論理的に複数のネットワークを共存させている。また、後述する2G Core 、3G Core、LTE Coreは、論理的なネットワークを示し、その他は物理的なネットワークを示している。このようなネットワーク構成は、具体的には、ATM技術、Ethernet(登録商標)のVLAN(仮想LAN)などの技術により実現可能である。
【0023】
図3のネットワーク構成図において、本発明に係る受信装置及び中継装置は、リング(RING)やメッシュ(MESH)トポロジーに適用可能である。例えば、リング(RING)において、セルスイッチ(Cell Switch)2aに本実施形態の送信装置を適用すると、中継装置は、セルスイッチ(Cell Switch)2b、セルスイッチ(Cell Switch)2cとなり、受信装置は、アグリゲーションスイッチ(Aggregation Switch)2dとなる。
【0024】
また、本実施形態の送信装置、中継装置、受信装置は、上述の例に限らず、すべてのセルスイッチ(Cell Switch)、アグリゲーションスイッチ(Aggregation Switch)に適用可能である。
【0025】
メッシュ(MESH)1は、1つのノードが他の1つ以上のノードと接続して、網目状に構成されているネットワークである。リング(RING)2は、環状にノードを接続したネットワークである。スター(STAR)3は、1つのノードから放射線状にノードを接続したネットワークである。例えば、アグリゲーションスイッチ(Aggregation Switch)などが中心となり、個々の基地局が該アグリゲーションスイッチ(Aggregation Switch)と通信を行う形態である。
【0026】
2G Core4は、例えば、GSMにおけるコアネットワークのことで、MSC(Mobile Switching Center)やGMSC(Gateway MSC)等で構成される。例えば、MSCは移動管理(位置登録など)やハンドオーバーの制御や発信、着信などの回線サービスを提供する。
【0027】
3G Core5は、例えば、IMT-2000におけるコアネットワークのことで、MSC/VLR(Mobile Switching Center/Visitor Location Register)やGMSC(Gateway MSC)やSGSN/GGSN(3G Serving GPRS Support Node/3G Gateway GPRS Support Node)等で構成される。例えば、MSC/VLRとGMSCは回線交換ネットワークであり、SGSN/GGSNはパケット交換ネットワークである。
【0028】
LTE Core6は、S-GW(Serving Gateway)やP-GW(PDN Gateway)やMME(Mobility Management Entity)等で構成される。例えば、S-GWはユーザデータの転送を行い、P-GWはIPアドレスの割当などを行い、MMEはS1-Uインターフェースの制御やeNodeBの制御を行う。
【0029】
アグリゲーションスイッチ(Aggregation Switch)7は、ネットワークに設置されるスイッチの総称である。セルサイトスイッチ(Cell Site Switch)8は、基地局に設置されるスイッチの総称であり、複数のネットワークを論理的に多重する役割を担う。
【0030】
アグリゲーションスイッチ(Aggregation Switch)7及びセルサイトスイッチ(Cell Site Switch)8は、具体的には、T1/E1などのTDM系のトラフィックやGbEなどのパケット系トラフィックを多重したり,スイッチングしたりする装置を指している。
【0031】
BTS (Base Transceiver Station)9は、2G Core4に対応する無線基地局である。NodeB10は、3G Core5に対応する無線基地局である。eNodeB(Evolved Node B)11は、4G Core6に対応する無線基地局であり、従来のRNCで具備されていた機能のほとんどが配置されている。
【0032】
図4は、第1実施形態における受信装置及び中継装置の概要図である。
【0033】
図4に示すように、パケット転送装置20は、送信装置21と、中継装置22a及び22bと、受信装置23と、通信経路26及び28と、中間通信経路27と、を備える。また、送信装置21はコピー部24を備え、受信装置23はセレクタ25を備える。
【0034】
送信装置21は、通信経路26からパケットを受信し、コピー部24によって受信したパケットを複製する。そして、複製したパケットをそれぞれ中間通信経路27a及び27bに送信する。
【0035】
受信装置23は、中継装置22a及び22bを介して、送信装置21から送信されたパケットを受信する。そして、受信装置23は、パケットを受信したとき、少なくともパケットを受信した中間通信経路以外の中間通信経路に当該パケットの受信を通知するACKメッセージを送信する。
【0036】
なお、ACKメッセージはACKメッセージに該当するパケット及び該当するパケット以前のパケットが受信済みであることを示す。例えば、図4では、ACK#4が中間回線インターフェース27bに送信されている。このとき、パケット#1〜パケット#3は既に受信装置28で受信済みであることを示す。
【0037】
また、受信装置23で受信したパケットが既に同一パケットが受信されている場合は、セレクタ25によって、廃棄される。
【0038】
中継装置22a及び22bは、受信装置28からACKメッセージを受信し、ACKメッセージで通知された受信パケットとそれ以前のパケットを廃棄する。
【0039】
図5は、第1実施形態における送信装置及び受信装置のハードウェア構成図である。
【0040】
図5に示すように、送信装置21及び受信装置23は、CPU31と、メモリ32と、回線インターフェース33と、中間回線インターフェース34と、を備える。また、回線インターフェース33は、LSI38と、コネクタ39を備え、中間回線インターフェース34は、DSP37と、アンプ36と、アンテナ35を備える。
【0041】
CPU31は、各種機能部の制御を行う構成の一例であって、メモリ32に記録されるOSやアプリケーションプログラムを実行することにより、各種機能部の制御やメモリ32へのデータの読込み・書込み等を行う。また、CPU31は、後述の送信装置21のパケット受信部51、シーケンス番号付与部52、パケット複製部53、パケット送信部54の機能及び受信装置23のパケット受信部61、パケット選択部62、シーケンス番号抽出部63、パケット送信部64、受信確認情報生成部65、受信確認情報生成部66の機能を実現する。
【0042】
メモリ32は、記録媒体で構成され、例えば、ROM(Read-Only Memory)とRAM(Random-Access Memory)とを備える。ROMは、OS(Operating System)や各種処理のためのアプリケーションプログラム等を記録する。RAMは、OSやアプリケーションプログラムを展開するワークエリアが含まれる。また、RAMは、受信装置23で使用されるデータを記録する。メモリ32は、後述の受信シーケンス番号管理テーブル67、受信確認管理テーブル68、インターフェースグループテーブル69等が含まれる。
【0043】
LSI38は、半導体のチップ上に多数のトランジスタやダイオードなどの素子を集積して電子回路を構成したものである。コネクタ39は、有線の回線を接続するものである。
【0044】
DSP(Digital Signal Processor)37は、デジタル信号処理に特化したプロセッサであり、信号の変調及び復調を実行する。アンプ36は、入力信号の電圧または電流または電力を大きくして出力する(それぞれ、電圧増幅・電流増幅・電力増幅)電子回路である。
【0045】
アンテナ35は、例えば、アンプ36から出力される送信信号を電波を媒体として発信し、また、送信装置21又は受信装置23から電波を媒体として送信された信号を受信して、受信信号をアンプ36に出力する。
【0046】
図6は、第1実施形態における中継装置のハードウェア構成図である。
【0047】
図6に示すように、中継装置22a及び22bは、CPU41と、メモリ42と、中間回線インターフェース34と、を備えている。また、中間回線インターフェース34は、図5と同様である。
【0048】
CPU41は、後述の中継装置22におけるパケット受信部71、パケット送信部73、受信確認情報部74、制御部75、受信確認情報転送部76の機能を実現する。メモリ42は、中継装置22で受信したパケットを一時的に蓄積するパケットバッファ部72を含む。
【0049】
図7は、第1実施形態における送信装置の機能ブロック図である。
【0050】
図7に示すように、送信装置21は、パケット受信部51と、シーケンス番号付与部52と、パケット複製部53と、パケット送信部54と、回線インターフェース33aと、中間回線インターフェース34と、を備える。
【0051】
パケット受信部51は、回線インターフェース33aからパケットを受信する。シーケンス番号付与部52は、パケット受信部51で受信したパケットにシーケンス番号を付与する。このシーケンス番号はパケットの順序を示す。パケット複製部53は、シーケンス番号が付与されたパケットの複製を行う。パケット送信部54は、パケット複製部53が複製したパケットを中間回線インターフェース34を介して、複数の経路にそれぞれ送信する。
【0052】
ここで、図10を用いて、送信装置21で処理されるパケットのフォーマットの構成について説明する。まず、パケット受信部51で受信したIPパケット81は、データ84と、IPヘッダ85から構成される。このIPパケット81をシーケンス番号付与部52が受信し、シーケンス番号86を付与する。シーケンス番号が付与されたパケット82は、パケット複製部53を介した後に、パケット送信部54で、当該パケットに関する情報であるヘッダ87と、トレイラ88が付与され、パケット83が中間回線インターフェース34に送信される。ヘッダ87は、パケットの宛先情報やLength情報などが含まれ、トレイラ88には、誤り検出符号などが含まれる。
【0053】
図8は、第1実施形態における受信装置の機能ブロック図である。
【0054】
図8に示すように、受信装置23は、パケット受信部61と、シーケンス番号抽出部62と、パケット選択部63と、パケット送信部64と、受信確認情報生成部65と、受信確認情報送信部66と、シーケンス番号管理テーブル67と、受信確認管理テーブル68と、インターフェースグループテーブル69と、回線インターフェース33bと、中間回線インターフェース34と、を備える。
【0055】
パケット受信部61は、複数の中間回線インターフェース34からパケットを受け付ける。さらに、パケット受信部61は、当該パケットを受信した中間回線インターフェースを示す情報を付与する。シーケンス番号抽出部62は、パケット受信部61から出力されたパケットからシーケンス番号を参照し、参照したシーケンス番号を受信確認情報生成部65に出力し、シーケンス番号が付与されたままのパケットをパケット選択部63に出力する。パケット選択部63は、シーケンス番号抽出部62から出力されたパケットのシーケンス番号を抽出し、下位ノードに転送するパケットを選択し、シーケンス番号を廃棄する。パケット送信部64は、パケットを回線インターフェース33bに出力する。受信情報生成部65は、シーケンス番号抽出部63によって抽出されたシーケンス番号に基づき、受信確認情報を生成する。このとき生成される受信確認情報は、シーケンス番号抽出部によって抽出されたシーケンス番号と、該パケットのパケット系列を示すフローIDと、を含む。受信確認情報送信部66は、受信確認情報生成部65によって、生成された受信確認情報を中間回線インターフェース34aと34bのうち少なくとも一方に出力する。このときに受信確認情報を送信する中間回線インターフェースは、パケットを受信した中間回線インターフェース以外の経路を少なくとも含む。
【0056】
このように、少なくても、パケットを受信した中間回線インターフェース以外の経路にACK(受信確認情報)を返信することによって、ACKが返信された中継装置に該当パケットが既に受信装置で受信済みであることを知らせることが出来る。
【0057】
ここで、図11〜図13を用いて、第1の実施形態の受信装置で保持する各種テーブルについて説明する。これらのテーブルは、受信装置におけるメモリにおいて保持される。
【0058】
まず、図11を用いて、受信シーケンス番号管理テーブル67について説明する。
【0059】
受信シーケンス番号管理テーブル67は、図11に示すように、フローID91と、既受信シーケンス番号値92が対応付けられて格納されている。フローID91は、連続するシーケンス番号が付与されているパケット系列を識別するIDで、例えば、送信元アドレスや受信元アドレスの組み合わせでフローを識別することが出来る。既受信シーケンス番号値92は、フロー毎の既に受信済みパケットの最大のシーケンス番号を示す。
【0060】
次に、図12を用いて、受信確認情報管理テーブル68について説明する。
【0061】
受信確認情報管理テーブル68は、図12に示すように、フローID93と、受信確認シーケンス番号値94が対応付けられて格納されている。フローID93は、連続するシーケンス番号が付与されているパケット系列を識別するIDで、例えば、送信元アドレスや受信元アドレスの組み合わせでフローを識別することが出来る。受信確認シーケンス番号94は、生成済みの受信確認情報に基づいて、受信の確認がとれているパケットの最大のシーケンス番号が格納されている。
【0062】
また、上述のシーケンス番号管理テーブル67と受信確認情報管理テーブル68は、まとめて1つのテーブルとしても良い。
【0063】
最後に、図13を用いて、インターフェースグループテーブル69の説明をする。
【0064】
インターフェースグループテーブル69は、フローID95と回線インターフェースグループ96が対応付けられて格納されている。フローID95は、連続するシーケンス番号が付与されているパケット系列を識別するIDで、例えば、送信元アドレスや受信元アドレスの組み合わせでフローを識別することが出来る。回線インターフェースグループ96は、当該フローIDのパケットがどの回線インターフェースに複製されて送信されたのかを表す。
【0065】
例えば、フロー#1のパケットを回線インターフェース#1で受信したとする。このとき、インターフェースグループテーブル69を参照すると、回線インターフェースグループは、#1及び#2となるので、回線インターフェース#2の経路では、パケットが遅延又はロスしていることになる。そのため、少なくとも回線インターフェース#2には受信確認情報を送信しなければならない。
【0066】
図9は、第1実施形態における中継装置の機能ブロック図である。
【0067】
図9に示すように、中継装置22は、パケット受信部71と、パケットバッファ部72と、パケット送信部73と、受信確認情報受信部74と、制御部75と、受信確認情報転送部76と、受信確認管理テーブル77と、中間回線インターフェース34を備える。
【0068】
パケット受信部71は、中間回線インターフェース34からパケットを受信する。パケットバッファ部72は、基本的にパケットをFIFO(First In , First Out)によって、パケットの制御を行う。FIFOとは、書き込んだデータをその順番のまま読み出しを行うことである。つまり、パケット受信部は、パケットを蓄積し、後述する制御部75の制御により、蓄積されたパケットの読み出しを蓄積した順番で行う。なお,パケットのヘッダ情報を参照し,ヘッダ情報に基づいて,優先制御を行ってもよい.パケット送信部73は、パケットバッファ部72から読み出されたパケットを中間回線インターフェース34に送信する。受信確認情報受信部74は、受信装置23から中間回線インターフェース34を介して受信した受信確認情報を受信する。制御部75は、パケットバッファ部72へのパケットの書込/読出をフロー毎に制御する。また、制御部75は、受信確認情報受信部74で受信した受信確認情報を基にパケットバッファ部72に蓄積されているパケットを廃棄したり、受信確認情報をさらに上流の通信装置に転送したりするように制御する。受信確認情報転送部76は、制御部75の制御に基づいて、受信確認情報を上位ノードに転送する。また、受信確認管理テーブル77については、上述したものと同様である。
【0069】
以上の構成により、ACK(受信確認情報)を受信した中継装置は、ACKに基づいて、該フローにおけるパケットが受信装置において受信済みであると認識した場合に、パケットを受信装置へと転送せずに廃棄することが出来る。つまり、本発明における中継装置は、ACKを受信装置から受信することによって、無駄なパケットの転送を実行しなくて済む。
【0070】
図14〜図17を用いて、第1実施形態における受信装置の動作について説明する。
【0071】
図14は、受信装置23におけるシーケンス番号抽出部62のシーケンス番号抽出処理・動作を示すフローチャートである。
【0072】
シーケンス番号抽出部62は、パケット受信部61からパケットを受信し(S101)、パケットに付与されているシーケンス番号を抽出する(S102)。このとき、中間回線インターフェースの情報を取得する。
【0073】
シーケンス番号抽出部62は、受信確認情報生成部65に対して、抽出されたシーケンス番号と、当該パケットのフローIDと、当該パケットを受信した中間回線インターフェースの情報を通知する(S103)。
【0074】
シーケンス番号抽出部62は、シーケンス番号が付与されたままのパケットをパケット選択部63に転送する(S104)。
【0075】
図15は、受信装置23におけるパケット選択部63のパケット選択処理・動作を示すフローチャートである。
【0076】
シーケンス番号抽出部62から、シーケンス番号が付与されているパケットを受信する(S111)。当該パケットから送受信アドレスを取得し、該送受信アドレスと対応するフローIDを求める。受信シーケンス番号管理テーブル67において、フローIDをキーとして、既受信シーケンス番号値92を検索する(S112)。
【0077】
次に、受信したパケットのシーケンス番号とS112において取得した既受信シーケンス番号とを比較する(S113)。
【0078】
S113での比較の結果、受信したパケットのシーケンス番号のほうが大きい場合、受信したパケットをメモリに蓄積し、適切なタイミングで送信できるようにする(S114)。また、受信シーケンス番号管理テーブル67の既受信シーケンス番号値を受信したパケットのシーケンス番号に置き換えて更新し(S115)、パケットに付与されたシーケンス番号を廃棄する(S116)。
【0079】
S113での比較の結果、既受信シーケンス番号より、受信したパケットのほうが小さい場合は、受信したパケットを破棄する(S117)。
【0080】
図16は、受信装置23における受信確認情報生成部65の受信確認情報を生成する処理・動作を示したフローチャートである。
【0081】
受信確認情報生成部65は、シーケンス番号抽出部63から、シーケンス番号と中間回線インターフェース情報を受信し(S121)、受信確認管理テーブル68を参照し、該当する受信確認シーケンス番号値を検索する(S122)。
【0082】
次に、受信したシーケンス番号と、受信確認管理テーブル68で検索した受信確認シーケンス番号を比較する(S123)。
【0083】
S123での比較の結果、受信したシーケンス番号が受信確認シーケンス番号より大きい場合、受信確認情報を生成し、中間回線インターフェース情報と共に、受信確認情報送信部に通知する(S124)。また、受信確認管理テーブル68の受信確認シーケンス番号を受信したシーケンス番号に置き換え、更新する(S125)。
【0084】
S123での比較の結果、受信したシーケンス番号が受信確認シーケンス番号より小さい場合は、受信したシーケンス番号を廃棄する(S126)。
【0085】
なお、本実施例では、シーケンス番号抽出部62から新規受信シーケンス番号値と回線インターフェース情報を受信する形態としているが、パケット選択部63でパケットが廃棄されなかったときに受信確認情報を生成するようにしてもよい。
【0086】
図17は、受信装置23における受信確認情報送信部66の受信確認情報を送信する処理・動作を示すフローチャートである。
【0087】
受信確認情報送信部66は、受信確認情報生成部65から、受信確認情報と中間回線インターフェース情報を受信し(S131)、インターフェースグループテーブル69を検索し、受信確認情報を送信するインターフェースグループを検索する(S132)。
【0088】
少なくともパケットを受信したインターフェース以外に受信確認情報を送信する(S133)。
【0089】
また、本実施形態では、受信確認情報は、パケットを受信した中間回線インターフェース以外の中間回線インターフェースだけでなく、パケットを受信した中間回線インターフェースにも、受信確認情報を返信してもよい。これにより、パケットを受信した中間回線インターフェースと接続されている上流の通信装置に該パケットを受信したことを知らせることが出来る。
【0090】
さらに、受信確認情報は、パケットを受信した経路上の中継装置以外の中継装置に返信するのが望ましい。また。中継装置間の距離は十分に離れていることが望ましい。これにより、複数の経路における無線環境が同時に悪化する場合が少なくなるため、本技術の有効性が発揮されやすくなる。
【0091】
図18及び図19を用いて、第一実施形態における中継装置について説明する。
【0092】
図18は、中継装置22における制御部75の受信確認情報を受信したときの処理・動作のフローチャートである。
【0093】
制御部75は、受信確認情報生成部74から受信確認情報を受信し(S141)、受信確認情報から受信装置23で受信完了したシーケンス番号と、フローIDと、を取得する(S142)。
【0094】
取得したシーケンス番号と、パケットバッファ部72に蓄積している当該フローにおけるパケットの最も大きいシーケンス番号と、を比較する(S143)。
【0095】
S143での比較の結果、取得したシーケンス番号のほうが大きい場合は取得したシーケンス番号より小さいシーケンス番号を持つパケットを廃棄する(S144)。そして、受信確認情報管理テーブル68の当該フローに対応する受信確認シーケンス番号値94をアップデートする(S145)とともに、受信確認情報を受信確認情報転送部76を介して上流の通信装置に転送する(S146)。
【0096】
S143での比較の結果、取得したシーケンス番号のほうが小さい場合は、取得したシーケンス番号とパケットバッファ部72に蓄積されている当該フローのパケットを比較する(S147)
S147での比較の結果、取得したシーケンス番号が,パケットバッファ部72に蓄積しているパケットのシーケンス番号の最小値以上で,かつ,最大値以下のときは、取得したシーケンス番号と等しい、もしくは、小さいシーケンス番号をもつパケットを廃棄し(S148)、受信確認情報も廃棄する(S149)。
【0097】
S147での比較の結果、取得したシーケンス番号が、パケットバッファ部72に蓄積しているパケットの最も小さいシーケンス番号より小さい場合、受信確認情報を廃棄する(S150)。
【0098】
図19は、中継装置22における制御部75のパケットを受信したときの処理・動作のフローチャートである。
【0099】
制御部75がパケットを受信する(S161)と、受信したパケットのシーケンス番号値と受信確認管理テーブル77の当該フローにおける受信確認シーケンス番号値を比較する(S162)。
【0100】
S162での比較の結果、受信したシーケンス番号値が受信確認シーケンス番号値以下の場合は、パケットを廃棄する(S163)。
【0101】
S162での比較の結果、受信したシーケンス番号値が受信確認シーケンス番号値より大きい場合は、当該パケットをパケットバッファ部72に蓄積し、転送準備を行う(S164)。
【0102】
また、受信装置から受信した受信確認情報に該当するパケットが途中まで送信済みであった場合も、当該パケットにおける未送信の部分は廃棄するようにしても良い。これによって、無線リソースの浪費を防ぐことが出来る。
【0103】
第1実施形態によれば、冗長した通信経路からそれぞれ送信された同一パケットについて、受信装置が当該パケットを受信した通信経路とは異なる通信経路にACKを返信することで、既に当該パケットが受信済みであることを上位ノードに知らせることを可能とし、中継装置において、受信済みパケットを廃棄することで、無駄なパケットの転送を防ぐことが出来る。よって、第1実施形態によれば、パケット転送における無線リソースを有効利用することが可能になる。
【0104】
本実施形態のパケット転送装置は、受信装置と送信装置の間の冗長化した複数の経路が合流しないことが望ましい。このような場合、パケットロスや遅延が起こりやすい環境で本実施形態におけるパケット転送が実現されるので、効果が顕著に現れる。
【0105】
<第2実施形態>
図20〜図22を用いて第2実施形態の説明をする。第2実施形態に係る受信装置及び中継装置は、本発明の一例であり、第1実施形態と、受信確認情報生成部65で生成する受信確認情報と、受信確認管理テーブル68が異なる。第2実施形態のネットワークの全体図、概要図、ハードウェア構成図、機能ブロック図、パケットフォーマット、受信シーケンス番号管理テーブル、インターフェースグループテーブル、シーケンス番号抽出部の処理フロー、パケット選択部の処理フロー、受信確認情報送信部の処理フロー、制御部の処理フローは、図3〜図11、図13〜図15、図17〜図19に示した第1実施形態の図と同じである。以下の説明では、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0106】
第2実施形態において、受信装置23の受信確認情報生成部65は、一定周期毎又は同一フローにおける複数パケット受信毎に受信確認情報を少なくともパケットを受信いた経路とは異なる経路に送信する。このとき、受信確認情報生成部65は、未受信確認カウンタを備える。
【0107】
未受信確認カウンタは、一定数のパケット受信毎に受信確認情報を送信するために、受信パケット数をカウントする。例えば、パケットを10個受信したら、受信確認情報を生成するとする。このとき、未受信確認カウンタは、シーケンス番号抽出部62によって、抽出されたシーケンス番号を受信したときに、受信したパケット数をカウントする。
【0108】
図20〜図22を用いて、第2実施形態に係る受信確認情報生成部65のフローについて説明する。
【0109】
図20は、第2実施形態に係る受信確認管理テーブルである。
【0110】
図20に示すように、受信確認管理テーブル170は、フローID171と連続受信確認シーケンス番号172と、選択受信確認ビットマップ173がそれぞれ対応付けられて格納されている。
【0111】
連続受信確認シーケンス番号172は、当該シーケンス番号値以下のシーケンス番号を有するパケットが受信装置で受信済みであることを表す。
【0112】
また、選択受信確認ビットマップ173は、MSB(Most Significant Bit)が連続受信確認シーケンス番号値よりも、1大きいシーケンス番号値に対応し、LSB(Least Significant Bit)が連続受信確認シーケンス番号値より16大きいシーケンス番号に対応する。(ビットマップが16bitの場合)。さらに、各bit値の0が当該シーケンス番号のパケットの未受信を表し、1が当該シーケンス番号のパケットが既に受信済みであることを表す。
【0113】
例えば、図20では、フローID=#1において、シーケンス番号値:245までは、連続して受信していて、シーケンス番号=246のパケットは未受信であり、シーケンス番号=247のパケットは受信済みであり、シーケンス番号=261は未受信であることを表している。
【0114】
図21は、受信装置23のシーケンス番号情報受信時の受信確認情報生成部65のフローチャートである。
【0115】
受信確認情報生成部65は、シーケンス番号抽出部62から、シーケンス番号値情報を受信する(S181)と、受信確認情報管理テーブル170を必要に応じて更新する(S182)。そして、未受信確認カウンタをインクリメントする(S183)。
【0116】
例えば、中間回線インターフェース34aからシーケンス番号=10を受信した後に、さらに、中間回線インターフェース34bから同じシーケンス番号=10のパケットを受信したとする。このときは、最初に中間回線インターフェース34aのシーケンス番号=10の受信によって、受信確認管理テーブル170は既に更新されているので、中間回線インターフェース34bでシーケンス番号=10を受信したときは、更新は不要となる。一方、どちらの中間回線インターフェースからも、受信していないシーケンス番号を受信した際には、受信確認管理テーブル170の更新が必要となる。具体的には、ビットマップの対応ビットを0から1にする。
【0117】
図22は、受信装置23の受信確認情報送信時の受信確認情報生成部65のフローチャートである。
【0118】
受信確認情報生成部65は、受信確認情報送信タイミングになる(S191)と、すなわち,最後の受信確認情報の出力後,一定時間経過すると,受信確認管理テーブル170に基づいて、受信確認情報を生成し、受信確認情報を受信確認情報送信部66に出力する(S192)。受信確認情報を出力後、未受信確認カウンタをリセットする(S193)。なお,このとき,受信確認情報送信タイミングを計るためのタイマーをリセットする。
【0119】
また、S191において、受信確認情報送信タイミングでなかった場合でも、未受信確認カウンタが予め定めておいた閾値を超えているかを確認し(S194)、超えていた場合は、受信確認管理テーブル170に基づいて、受信確認情報を生成し、受信確認情報を受信確認情報送信部66に送信する(S192)。受信確認情報を出力後、未受信確認カウンタをリセットする(S193)。なお,このとき,受信確認情報送信タイミングを計るためのタイマーをリセットする。また、S194において、閾値を超えていなかった場合は、受信確認情報送信タイミングか否かの判定に戻る(S191)。
【0120】
第2実施形態によれば、受信装置から一定周期毎や複数パケット受信毎にACK(受信確認情報)を上流ノードに返信するので、1つのパケットを受信する毎にACKを返信する場合と比べて、受信装置や中継装置等に負荷をかけることなく、無駄なパケットの転送を防ぐことが可能になる。よって、第2実施形態によれば、パケット転送における無線リソースを有効利用することが可能になる。
【0121】
<第3実施形態>
図23〜図27を用いて、第3実施形態の説明をする。第3実施形態に係る受信装置及び中継装置は、本発明の一例であり、第1実施形態と、送信装置及び受信装置に、再送制御部が具備される点で相違する。第3実施形態のネットワークの全体図、概要図、ハードウェア構成図、パケットフォーマット、受信シーケンス番号管理テーブル、受信確認管理テーブル、インターフェースグループテーブル、パケット選択部の処理フロー、受信確認情報送信部の処理フロー、パケット受信時の制御部の処理フローは、図3〜図13、図15〜図17、図19に示した第1実施形態の図と同じである。以下の説明では、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0122】
第3実施形態において、送信装置21は、図23に示すように、第1実施形態の構成に加えて、再送制御部201を備える。再送制御部201は、パケットにシーケンス番号を付与し、必要なパケットの再送信を行う。再送制御部201は、例えば、ARQ(Automatic Repeat-reQuest)の再送制御である。
【0123】
第3実施形態において、受信装置23は、図24に示すように、第1実施形態の構成から,シーケンス番号抽出部が無くなり,新たに、再送制御部202を備える。再送制御部202は、パケット受信時に受信確認管理テーブル68を更新し、パケットに付与されたシーケンス番号の取捨を実行する。また、再送制御部202は、受信確認情報を生成し、受信確認情報送信部66に送信する。
【0124】
第3実施形態において、中継装置22の構成は、第1実施形態と同様であるが、中継装置22で、受信確認情報を廃棄せずに、上流ノードに転送する点で第1実施形態と異なる。
【0125】
図25を用いて、受信装置23における再送制御部202のパケット受信時の処理フローについて説明する。
【0126】
再送制御部202がパケットを受信する(S211)と、パケットに付与されているシーケンス番号を参照し、受信確認情報管理テーブル68を更新する(S212)。受信確認情報管理テーブル68を更新後、パケットに付与されているシーケンス番号を廃棄し(S213)、未受信確認カウンタをインクリメントする(S214)。
【0127】
図26を用いて、受信装置23における再送制御部202のACK(受信確認情報)返信時の処理フローについて説明する。
【0128】
再送制御部202は、ACK(受信確認情報)を返信するタイミングになる(S221)と、受信確認情報管理テーブル68に基づいて、受信確認情報を生成し、受信確認情報を受信確認情報送信部66に送信する(S222)。受信確認情報を送信後、未受信確認カウンタをリセットする(S223)。
【0129】
図27を用いて、第3実施形態における中継装置22の制御部75の処理フローについて説明する。
【0130】
制御部75は、受信確認情報受信部74から受信確認情報を受信し(S231)、受信確認情報から受信装置23で受信完了したシーケンス番号を取得する(S232)。
【0131】
取得したシーケンス番号と、パケットバッファ部72に蓄積している当該フローにおけるパケットの最も大きいシーケンス番号と、を比較する(S233)。
【0132】
S233での比較の結果、取得したシーケンス番号のほうが大きい場合は取得したシーケンス番号より小さいシーケンス番号を持つパケットを廃棄する(S234)。そして、受信確認情報管理テーブル77の当該フローIDに対応する受信確認シーケンス番号値132をアップデートする(S235)とともに、受信確認情報を受信確認情報転送部76を介して上流の通信装置に転送する(S236)。
【0133】
S233での比較の結果、取得したシーケンス番号のほうが小さい場合は、取得したシーケンス番号とパケットバッファ部72に蓄積されているパケットを比較する(S237)
S237での比較の結果、取得したシーケンス番号が,パケットバッファ部72に蓄積しているパケットのシーケンス番号の最小値以上で,かつ,最大値以下のときは、取得したシーケンス番号と等しい、もしくは、小さいシーケンス番号をもつパケットを廃棄し(S238)、受信確認情報を受信確認情報転送部76を介して上流の通信装置に転送する(S236)。
【0134】
S237での比較の結果、取得したシーケンス番号が、パケットバッファ部72に蓄積しているパケットの最も小さいシーケンス番号より小さい場合、受信確認情報を受信確認情報転送部76を介して上流の通信装置に転送する(S236)。
【0135】
第3の実施形態によれば、ARQ制御で送信しなければいけないACKを中継局が利用して,パケットの廃棄などを行うため,冗長システムとして受信装置のACK生成機能が不要になる。よって、第3実施形態によれば、簡易な構成で、パケット転送における無線リソースを有効利用することが可能になる。
<第4実施形態>
図28〜図29を用いて、第4実施形態の説明をする。第4実施形態に係る受信装置及び中継装置は、本発明の一例であり、第1実施形態と、受信装置に、変調方式管理部が具備される点で相違する。第4実施形態の全体ネットワーク図、概要図、ハードウェア構成図、送信装置及び中継装置における機能ブロック図、パケットのパケットフォーマット、受信シーケンス番号管理テーブル、受信確認管理テーブル、インターフェースグループテーブル、シーケンス番号抽出部の処理フロー、パケット選択部の処理フロー、受信確認情報生成部の処理フロー、パケット受信時の制御部の処理フローは、図3〜図7、図9〜図16、図18、図19に示した第1実施形態の図と同じである。以下の説明では、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0136】
第4実施形態において、受信装置23は、図28に示すように、第1実施形態の構成に加えて,中間回線インターフェース34に変調方式管理部241を備える。変調方式管理部241は、各インターフェースの通信環境をリンク速度等から変調方式を決定し、決定した変調方式を用いることを中継装置に指示する。また、各インターフェースで用いられた変調方式を管理し、各インターフェースで用いられた変調方式を受信確認情報送信部66に出力する。
【0137】
なお、中継装置22は、受信装置23から指示された変調方式を用いてパケットの変調を行う。中継装置22の中間回線インタフェース34が受信装置23から変調方式を指定する指示を受け取ると、DSP37が当該指示で指定された変調方式に従って送信信号の変調を行うように制御する。
【0138】
図29は、受信装置23における受信確認情報送信部66の受信確認情報を送信する処理・動作を示すフローチャートである。
【0139】
受信確認情報送信部66は、受信確認情報生成部65から、受信確認情報と中間回線インターフェース情報を受信し(S251)、インターフェースグループテーブル69を検索し、受信確認情報を送信するインターフェースグループを検索する(S252)。
【0140】
受信確認情報送信部66は、中間回線インターフェース34の変調方式管理部241から、各インターフェースで用いられた変調方式を受け付ける(S253)。
【0141】
受信確認情報送信部66は、パケットを受信したインターフェース以外のインターフェースのうち、パケットを受信したインターフェースの変調方式よりも小さい多値数の変調方式を用いているインターフェースに受信確認情報を送信する(S254)。
【0142】
第4実施形態によれば、パケットを受信した中間回線インターフェース以外の中間回線インターフェースのうち、パケットロス、パケット遅延が発生している可能性の高いインターフェースに受信確認情報を送ることが出来るので、最低限の受信確認情報の送信で、無線リソースの浪費を防ぐことが出来る。
【符号の説明】
【0143】
1 メッシュ(MESH)
2 リング(RING)
3 スター(STAR)
4 2G Core
5 3G Core
6 LTE Core
7、2d アグリゲーションスイッチ(Aggregation Switch)
8、2a、2b、2c セルスイッチ(Cell Site Switch)
9 BTS
10 NodeB
11 eNodeB
21 送信装置
22 中継装置
23 受信装置
24 コピー部
25 セレクタ部
26、28 通信経路
27 中間通信経路
31、41 CPU
32、42 メモリ
33 回線インターフェース
34 中間回線インターフェース
35 アンテナ
36 アンプ
37 DSP
38 LSI
39 コネクタ
51、61、71 パケット受信部
52 シーケンス番号付与部
53 パケット複製部
54、64、73 パケット送信部
62 シーケンス番号抽出部
63 パケット選択部
65 受信確認情報生成部
66 受信確認情報送信部
67 受信シーケンス番号管理テーブル
68、77、170 受信確認情報管理テーブル
69 インターフェースグループテーブル
72 パケットバッファ部
74 受信確認情報受信部
75 制御部
76 受信確認情報転送部
81 ユーザのIPパケット
82 シーケンス番号付与後のパケット
83 ヘッダ及びトレイラ付与後のパケット
84 データ
85 IPヘッダ
86 シーケンス番号
87 ヘッダ
88 トレイラ
91、93、95、171 フローID
92 既受信シーケンス番号値
94 受信確認シーケンス番号値
96 中間回線インターフェース値
172 連続受信確認シーケンス番号値
173 選択受信確認ビットマップ
201、202 再送制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置と、該送信装置と複数の経路により接続されている受信装置と、前記複数の経路上の少なくとも1つの中継装置とを含む通信システムであって、
前記受信装置は、
前記送信装置から前記複数の経路を介してパケットを受信する受信部と、
前記受信部が前記パケットを受信したことを示す受信確認情報を生成して、該受信確認情報を、前記複数経路のうち、前記パケットの受信とは異なる経路に送信する送信部と、
を有し、
前記中継装置は、
パケットを受信する受信部と、
前記受信部が受信したパケットを順に送信する送信部と、
前記受信確認情報を受信する受信確認情報受信部と、
前記受信確認情報を基に、前記送信部において未送信のパケットを廃棄するパケット廃棄制御部と、
を有することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
複数の経路と接続されている受信部と、
前記受信部が一方の経路からパケットを受信した場合、前記パケットを受信したことを示す受信確認情報を生成して、該受信確認情報を、他方の経路に送信する送信部と、
を有することを特徴とする受信装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記他方の経路のうち、前記一方の経路で用いられている変調方式の多値数よりも小さい多値数の変調方式を用いている経路に前記受信確認情報を送信すること
を特徴とする請求項2記載の受信装置。
【請求項4】
前記受信装置は前記複数の経路上にそれぞれ少なくとも1つの中継装置と接続されていて、
前記送信部は、前記一方の経路上の中継装置とは異なる前記他方の経路上の中継装置に前記受信確認情報を送信すること
を特徴とする請求項2又は3記載の受信装置。
【請求項5】
前記受信装置は前記複数の経路上にそれぞれ少なくとも1つの中継装置と接続されていて、
前記一方の経路上の中継装置と前記他方の経路上の中継装置とは重複しないことを特徴とする請求項2乃至4記載の受信装置。
【請求項6】
前記パケットは送信順序を示すシーケンス番号を含み、
前記受信確認情報は、受信済みの前記パケットに含まれる前記シーケンス番号の最大値を含むことを特徴とする請求項2乃至5記載の受信装置。
【請求項7】
前記受信確認情報は、前記シーケンス番号の最大値に対応するパケットの直前に受信した1つ以上のパケットそれぞれの受信の有無を含むことを特徴とする請求項6記載の受信装置。
【請求項8】
パケットを受信する受信部と、
前記受信部が受信したパケットを順に送信する送信部と、
パケットの受信確認情報を受信する受信確認情報受信部と、
前記受信確認情報を基に、前記送信部において未送信のパケットを廃棄するパケット廃棄制御部と、
を有することを特徴とする中継装置。
【請求項9】
前記パケット廃棄制御部は、前記受信確認情報を基に、前記送信部において送信途中のパケットを廃棄することを特徴とする請求項8記載の中継装置。
【請求項10】
前記受信確認情報のうち、前記受信部で未受信の前記パケットの受信確認情報を、パケットを受信した方向に転送する受信確認情報転送部と、を更に有することを特徴とする請求項6記載の中継装置。
【請求項11】
複数の経路からパケットを受信し、
前記パケットを受信したことを示す受信確認情報を生成して、該受信確認情報を、前記パケットを受信した経路とは異なる経路に送信すること
を特徴とする受信方法。
【請求項12】
パケットを受信し、
該受信したパケットを順に送信し、
パケットの受信確認情報を受信し、
前記受信確認情報を基に、前記パケットのうち未送信のパケットを廃棄すること
を有することを特徴とする中継方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−156837(P2012−156837A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14922(P2011−14922)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】