説明

通信システム、移動機、関門交換機、残通信量情報記憶装置及び通信方法

【課題】正確な料金管理を行って適正な通信接続を可能にする。
【解決手段】残通信量情報取得部312がサービス制御装置40から料金管理データを取得し、GGSN30の通信可否判断部304が、料金管理データの残通信量に基づいて移動機10の通信の継続可否を判断する。そして、GGSN30の通信切断部314が、通信の継続が不可であるものとして判断された移動機10の通信を切断する。これにより、移動機10の通信サービスを提供する通信事業者が管理するGGSN30によって、移動機10の残通信量に基づいた通信接続や切断の制御を行うことができ、移動機10の正確な料金管理を行って適正な通信接続が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動機の通信を制御する通信システム、この通信システムで用いられる移動機及び関門交換機及び残通信量情報記憶装置、移動機の通信を制御する通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPRS(General Packet Radio Service)を用いて移動機間でデータ通信を行う通信システムがある。このような通信システムにおいては、異なるネットワーク間を接続する関門交換機であるGGSN(Gateway GPRS Support Node)や、GGSNの下位に配置され、複数の交換機であるSGSN(Service GPRS Support Node)等が設けられており、移動機は、SGSN及びGGSNを介して接続先となるネットワークに接続している。また、予め通信の利用料金を支払い、支払った料金の範囲内で移動機の通信を可能とする、所謂、プリペイド式の通信サービスがある。GPRSを用いた通信システムにプリペイド式の通信サービスを適用したものとして、例えば、特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−204323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、GPRSを用いたプリペイド式の通信システムでは、移動機が在圏しているSGSNにおいて、移動機の通信時間(若しくは残時間)のカウントや、予め支払われた料金を超過したことに伴う通信の切断処理等を行い、移動機の料金管理を行うことが想定される。しかしながら、例えば、日本国内の通信事業者と契約している移動機を海外で利用する時(所謂、ローミングアウト時)には、海外のSGSNを経由して通信を行うこととなるが、海外のSGSNが通信時間のカウントや切断処理等に対応していない場合も想定される。これは、日本国内において通信接続サービスを提供する通信事業者と、海外に設置されたSGSNの管理者とが異なることにより、日本国内において通信サービスを提供する通信事業者が望む機能を、海外のSGSNが搭載していない等の場合に生じる。このような場合には、SGSNを用いて移動機の正確な料金管理を行うことができない恐れがあるといった問題がある。
【0005】
そこで本発明は、正確な料金管理を行って適正な通信接続を可能にする通信システム、移動機、関門交換機、残通信量情報記憶装置及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため本発明は、ネットワーク同士を接続するための関門交換機と、移動機が通信可能な残通信量を示す残通信量情報を、移動機を利用する加入者を識別可能な識別情報に対応付けて記憶する残通信量情報記憶装置とを含んで構成され、移動機と当該移動機の通信先との間で関門交換機を介して通信を行う通信システムであって、関門交換機は、識別情報を取得する識別情報取得手段と、残通信量情報記憶装置から、識別情報取得手段で取得された識別情報に対応する残通信量情報を取得する残通信量情報取得手段と、移動機が通信を開始してからの通信量を計測する通信量計測手段と、残通信量情報取得手段で取得された残通信量情報と、通信量計測手段で計測された通信量とに基づいて、移動機が通信可能な残通信量を算出する残通信量算出手段と、残通信量算出手段によって算出された残通信量に基づいて、移動機の通信の継続可否を判断する通信可否判断手段と、通信可否判断手段によって移動機の通信の継続が不可であると判断された場合、通信の継続が不可であると判断された移動機の通信を切断する通信切断手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、移動機と当該移動機の通信先との間に介在し、ネットワーク同士を接続する関門交換機であって、移動機を利用する加入者を識別可能な識別情報を取得する識別情報取得手段と、移動機が通信可能な残通信量を示す残通信量情報を、識別情報に対応付けて記憶する残通信量情報記憶装置から、識別情報取得手段で取得された識別情報に対応する残通信量情報を取得する残通信量情報取得手段と、移動機が通信を開始してからの通信量を計測する通信量計測手段と、残通信量情報取得手段で取得された残通信量情報と、通信量計測手段で計測された通信量とに基づいて、移動機が通信可能な残通信量を算出する残通信量算出手段と、残通信量算出手段によって算出された残通信量に基づいて、移動機の通信の継続可否を判断する通信可否判断手段と、通信可否判断手段によって移動機の通信の継続が不可であると判断された場合、通信の継続が不可であると判断された移動機の通信を切断する通信切断手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、ネットワーク同士を接続するための関門交換機と、移動機が通信可能な残通信量を示す残通信量情報を、移動機を利用する加入者を識別可能な識別情報に対応付けて記憶する残通信量情報記憶装置とを含んで構成され、移動機と当該移動機の通信先との間で関門交換機を介して通信を行う通信システムにおいて関門交換機で実行される通信方法であって、通信を開始する移動機から、識別情報を取得する識別情報取得ステップと、残通信量情報記憶装置から、識別情報取得ステップで取得された識別情報に対応する残通信量情報を取得する残通信量情報取得ステップと、残通信量情報取得ステップで取得された残通信量情報に対応する加入者が利用する移動機が通信を開始してからの通信量を計測する通信量計測ステップと、残通信量情報取得ステップで取得された残通信量情報と、通信量計測ステップで計測された通信量とに基づいて、移動機が通信可能な残通信量を算出する残通信量算出ステップと、残通信量算出ステップで算出された残通信量に基づいて、移動機の通信の継続可否を判断する通信可否判断ステップと、通信可否判断ステップで移動機の通信の継続が不可であると判断された場合、通信の継続が不可であると判断された移動機の通信を切断する通信切断ステップと、を有することを特徴とする。
【0009】
これらの発明にあっては、関門交換機が、残通信量に基づいて移動機の通信の継続可否を判断し、通信の継続が不可であると判断された移動機の通信を切断する。これにより、移動機の通信サービスを提供する通信事業者が管理する関門交換機によって、移動機の残通信量に基づいた通信接続や切断の制御を行うことができ、移動機の正確な料金管理を行って適正な通信接続が可能となる。
【0010】
また、関門交換機と移動機との間で通信の制御を行う交換機を更に備え、関門交換機は、移動機が通信を行う際に経由する交換機が、移動機の通信サービスを提供する通信事業者によって管理されたものであるか否かを判断する交換機判断手段を更に備え、交換機判断手段によって、交換機が移動機の通信事業者によって管理されたものではないと判断された場合に、通信可否判断手段によって通信の継続が不可であると判断された移動機の通信を通信切断手段が切断することが好ましい。例えば、移動機の通信サービスを提供する通信事業者と交換機の管理者とが異なる場合には、この交換機は移動機の残通信量に基づいた通信接続や切断の制御を交換機が行うことができないことが想定される。反対に、移動機の通信事業者が設置した交換機の場合には、移動機の通信事業者が交換機の管理を行っており、移動機の残通信量に基づいた通信接続や切断の制御を交換機に実行させることができる。そこで、交換機が、移動機の通信事業者が管理されたものであるか否かを判断し、移動機の通信事業者によって管理されたものではないと判断された場合に、関門交換機が移動機の通信を切断する処理を行う。このように、交換機の管理者と、移動機の通信事業者とが異なる場合にのみ、関門交換機において移動機の通信の切断等を行うことにより、関門交換機の処理負荷を低減することができる。
【0011】
また、関門交換機は、残通信量算出手段によって算出された残通信量を、残通信量情報記憶装置に所定のタイミングで送信する残通信量通知手段を更に備え、残通信量情報記憶装置は、残通信量通知手段によって送信された残通信量に基づいて、残通信量情報の更新を行うことが好ましい。これにより、残通信量情報記憶装置は、関門交換機の残通信量通知手段から送信された最新の残通信量に基づいた残通信量情報を記憶することができる。
【0012】
また、移動機が通信を開始するときに、残通信量情報記憶装置が記憶する残通信量情報において残通信量が残っていない場合、通信切断手段は、移動機の通信ができないように通信を規制することが好ましい。これにより、残通信量が残っていない移動機の通信が不可となり、移動機の料金管理をより正確に行うことが可能となる。
【0013】
また、残通信量は、移動機が通信可能な通信時間、又は移動機が通信可能なデータ量であることが好ましい。これにより、通信可能な残通信時間、又は残データ量に基づいて、移動機の通信を管理することができる。
【0014】
また、本発明に係る移動機として、上述の通信システムで用いられる移動機とすることができる。
【0015】
また、本発明は、ネットワーク同士を接続するための関門交換機と、関門交換機と移動機との間で通信の制御を行う交換機と、移動機が通信可能な残通信量を示す残通信量情報を、移動機を利用する加入者を識別可能な識別情報に対応付けて記憶する残通信量情報記憶装置とを含んで構成され、残通信量情報記憶装置に記憶された残通信量情報に基づいて、移動機と当該移動機の通信先との間で交換機及び関門交換機を介して通信を行う通信システムにおける残通信量情報記憶装置であって、残通信量情報を記憶する残通信量情報記憶手段と、関門交換機から送信された残通信量情報、及び交換機から送信された残通信量情報を取得する残通信量情報取得手段と、残通信量情報取得手段によって取得された残通信量情報に基づいて、残通信量情報記憶手段に記憶された残通信量情報の更新を行う残通信量情報更新手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
これによれば、残通信量情報記憶装置が、関門交換機から送信された残通信量情報と、交換機から送信された残通信量情報とを取得し、取得された残通信量情報に基づいて、残通信量情報記憶手段に記憶された残通信量情報の更新を行う。これにより、残通信量情報記憶装置によって、関門交換機及び交換機から送信された残通信量情報に基づいて、残通信量情報記憶手段が記憶する残通信量情報を更新することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、正確な料金管理を行って適正な通信接続を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第一の実施形態に係る通信システムの概略構成図である。
【図2】図1に示すGGSNの詳細構成図である。
【図3】図1に示すGGSNのハードウェア構成を示す図である。
【図4】図1に示すGGSNで行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】第二の実施形態に係る通信システムの概略構成図である。
【図6】図5に示すSGSNの詳細構成図である。
【図7】図5に示すGGSNの詳細構成図である。
【図8】図5に示すサービス制御装置の詳細構成図である。
【図9】図5に示す自網内に設置されたSGSNで行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】図5に示すGGSNで行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る通信システム、移動機、関門交換機及び通信方法を適用した通信システムの好適な一実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
[第一の実施形態]
図1は、第一の実施形態に係る通信システムの概略構成図である。通信システム1は、GPRSを用いたプリペイド式の通信システムである。図1に示すように、通信システム1は、移動機10、交換機であるSGSN20,21、関門交換機であるGGSN30、サービス制御装置(残通信量情報記憶装置)40及び料金サイトサーバ50を含んで構成される。SGSN20、GGSN30、サービス制御装置40及び料金サイトサーバ50は、移動機10に対して通信接続サービスを提供する通信事業者によって管理され、自網Naを構成する。SGSN21は、移動機10に対して通信接続サービスを提供する通信事業者以外の者によって管理され、他網Nbの一構成要素を成している。
【0021】
移動機10は、移動可能な通信端末であり、自網Na内に在圏している場合、自網Naに接続して、他の通信事業者等が構築する外部ネットワークや、ISPなど各種サーバ装置で構成されるネットワーク60との通信を行う。一方、移動機10は、他網Nb内に在圏している場合、他網NbのSGSN21を介して自網NaのGGSN30に接続され、自網Naからネットワーク60へ接続される。また、移動機10は、プリペイド式の通信端末であり、予め支払った料金の範囲内でパケット通信を行うものである。
【0022】
SGSN20,21は、自身が管理する所定エリア内に在圏する移動機10と無線通信を行い、移動機10とGGSN30とを接続するものである。SGSN20及びSGSN21は、通常、それぞれ自網Na及び他網Nbに複数含まれている。
【0023】
GGSN30は、自網Naにおいて、インターネット等の他のデータ通信網とのゲートウェイ機能を有するノードである。GGSN30は、通常、自網Naに複数含まれているが、本実施形態では1つのみ示す。GGSN30は、SGSN20,21及びサービス制御装置40に接続されており、これらの装置との間で情報を送受信することができる。GGSN30は、移動機10とネットワーク60との間において通信のセッションを確立し、移動機10とネットワーク60との間での通信を可能にする。また、GGSN30は、サービス制御装置40から取得した料金管理データ(残通信量情報)に基づいて、移動機10の通信の制御を行う。GGSN30における料金管理データに基づいた通信の制御について、詳しくは後述する。なお、ここではSGSN20とSGSN21とがGGSN30に接続されるものとしたが、SGSN20とSGSN21とは、互いに異なるGGSNに接続することもできる。
【0024】
サービス制御装置40は、移動機10が通信可能な残通信量を示す料金管理データを、移動機10を利用する加入者の識別情報(具体的には、SIMカードの識別情報)に対応付けて記憶する。以下、「移動機10を利用する加入者の識別情報」を「移動機10の識別情報」と言う。また、サービス制御装置40は、GGSN30から受信した残通信量に基づいて料金管理データを更新したり、移動機10のユーザから料金の支払いがあった等の場合に料金管理データの更新を行ったりする。なお、サービス制御装置40としては、HLR(Home Location Register)を用いることができる。
【0025】
料金サイトサーバ50は、移動機10から、残通信量の開示要求があった場合に、サービス制御装置40から料金管理データを取得して、残通信量を移動機10に開示するためのものである。
【0026】
次に、GGSN30の詳細について説明する。図2は、図1に示すGGSNの詳細構成図である。GGSN30は、通信制御部300、通信量計測部(通信量計測手段)301、残通信量算出部(残通信量算出手段)302、残通信量通知部(残通信量通知手段)303及び通信可否判断部(通信可否判断手段)304を含んで構成される。通信制御部300は、識別情報取得部(識別情報取得手段)311、残通信量情報取得部(残通信量情報取得手段)312、通信処理部313及び通信切断部(通信切断手段)314を含んで構成される。
【0027】
識別情報取得部311は、通信接続を開始するときに移動機10が送信した接続要求の信号から、移動機の識別情報を取得する。残通信量情報取得部312は、識別情報取得部311で取得された識別情報に対応する移動機10の料金管理データを、サービス制御装置40から取得する。
【0028】
通信処理部313は、移動機10と接続先との間でパケット通信を行うための通信のセッションを確立する。通信切断部314は、残通信量情報取得部312で取得された料金管理データにおいて残通信量が残っていない場合、又は通信可否判断部304によって移動機10の通信の継続が不可であるものとして判断された場合に、残通信量が残っていない移動機、又は通信の継続が不可であるものとして判断された移動機の通信を切断する。
【0029】
通信量計測部301は、移動機10が通信を開始してからの通信量を計測する。この通信量としては、通信処理部313によって通信のセッションが確立されてからの経過時間を用いたり、移動機10と接続先との間で送受信されるデータ量を用いたりすることができる。
【0030】
残通信量算出部302は、残通信量情報取得部312で取得された料金管理データと、通信量計測部301で計測された通信量とに基づいて、移動機10が通信可能な残通信量を算出する。この残通信量は、通信可能な残通信時間、又は残データ量として表すことができる。
【0031】
残通信量通知部303は、残通信量算出部302によって算出された残通信量を、サービス制御装置40に所定のタイミングで通知する。この所定タイミングとしては、移動機10と接続先との間の通信の切断時、及び所定時間の経過毎(例えば、10分経過毎等)とする。
【0032】
通信可否判断部304は、残通信量算出部302によって算出された残通信量に基づいて、移動機10の通信の継続可否を判断する。具体的には、残通信量算出部302によって算出された残通信量が、0(ゼロ)になった場合(通信残量が0(ゼロ)以下の場合を含む)に、移動機10の通信の継続が不可であるものとして判断する。なお、残通信量が所定値以下である場合を、移動機10の通信の継続が不可であるものとして判断してもよい。この通信可否判断部304による判断結果は、通信切断部314へ出力される。
【0033】
続いて、GGSN30のハードウェア構成を示す。図3は、GGSNのハードウェア構成を示す図である。図3に示すように、GGSN30は、CPU(Central Processing Unit)351、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)352及びROM(Read Only Memory)353、通信を行うための通信モジュール354、並びにハードディスク等の補助記憶装置355等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成される。これらの構成要素が動作することにより、上記のGGSN30の各機能が発揮される。
【0034】
次に、GGSN30において行われる、移動機10の残通信量に基づいた通信接続処理の流れについて説明する。図4は、GGSNで行われる処理の流れを示すフローチャートである。移動機10から接続先への通信接続の要求があると、GGSN30の通信制御部300は、通信接続処理を開始する(ステップS101)。移動機10とGGSN30との間の通信は、移動機10が自網Na内に在圏する場合にはSGSN20を介して行われ、移動機10が他網Nb内に在圏する場合にはSGSN21を介して行われる。
【0035】
そして、GGSN30の識別情報取得部311は、移動機10が送信した接続要求の信号から、移動機10の識別情報を取得する(ステップS102)。残通信量情報取得部312は、識別情報取得部311で取得された識別情報に対応する移動機10の料金管理データを、サービス制御装置40から取得する(ステップS103)。
【0036】
GGSN30の通信切断部314は、残通信量情報取得部312で取得された料金管理データにおいて残通信量が残っているか否かを判断する(ステップS104)。残通信量が残っている場合(ステップS104:YES)、移動機10と接続先との間に通信のセッションを確立する(ステップS105)。
【0037】
次に、通信の接続が確立された後、又は残通信量通知部303によって所定時間毎に残通信量の通知(後述のステップS112)が行われた後、GGSN30の通信量計測部301は、移動機10が通信を開始してからの通信量を計測する(ステップS106)。そして、GGSN30の残通信量算出部302は、残通信量情報取得部312で取得された料金管理データと、通信量計測部301で計測された通信量とに基づいて、移動機10が通信可能な残通信量を算出する(ステップS107)。
【0038】
次に、GGSN30の通信可否判断部304は、移動機10の通信が継続可能であるか否か、即ち、残通信量算出部302によって算出された残通信量が、0(ゼロ)であるか否かを判断する(ステップS108)。ここでは、残通信量が0(ゼロ)である場合には、通信継続が不可であるものとして判断(ステップS108:NO)し、残通信量が0(ゼロ)より多い場合には、通信継続が可能であるものとして判断(ステップS108:YES)する。
【0039】
そして、通信接続の開始時に通信切断部314によって残通信量が残っていないものとして判断された場合(ステップS104:NO)、通信接続後に残通信量が0(ゼロ)となって通信継続が不可であるものとして判断された場合(ステップS108:NO)、又は通信接続後に移動機10のユーザから通信の切断の指示があった場合(後述のステップS111:切断指示有り)、GGSN30の残通信量通知部303は、残通信量をサービス制御装置40へ通知する(ステップS109)。即ち、通信接続の開始時に通信切断部314によって残通信量が残っていないものとして判断された場合(ステップS104:NO)、通信接続後に残通信量が0(ゼロ)となって通信継続が不可であるものとして判断された場合(ステップS108:NO)には、残通信量が0(ゼロ)であることをサービス制御装置40に通知する。また、通信接続後に移動機10のユーザから通信の切断の指示があった場合(後述のステップS111:切断指示有り)には、残通信量算出部302で算出された残通信量をサービス制御装置40へ通知する。そして、GGSN30の通信切断部314は、移動機10の通信を切断(規制)する(通信のセッションを解除する)(ステップS110)。
【0040】
一方、通信可否判断部304によって移動機10の通信継続が可能であると判断された場合(ステップS108:YES)、GGSN30の通信切断部314は、移動機10のユーザから通信の切断の指示があったか否かを判断する(ステップS111)。この通信の切断の指示とは、通信の終了に伴ってユーザが行った切断の指示等であり、残通信量が0(ゼロ)となったことに伴ってGGSN30が自動的に移動機10の通信を切断する際の切断指示とは異なるものである。
【0041】
移動機10のユーザから通信の切断の指示がないものとして判断された場合(ステップS111:切断指示無し)、GGSN30の残通信量通知部303は、所定時間の経過毎に、残通信量算出部302で算出された現時点での残通信量をサービス制御装置40に通知する(ステップS112)。
【0042】
本実施形態は以上のように構成され、残通信量情報取得部312がサービス制御装置40から料金管理データを取得し、GGSN30の通信可否判断部304が、料金管理データの残通信量に基づいて移動機10の通信の継続可否を判断する。そして、GGSN30の通信切断部314が、通信の継続が不可であるものとして判断された移動機10の通信を切断する。これにより、移動機10の通信サービスを提供する通信事業者が管理するGGSN30によって、移動機10の残通信量に基づいた通信接続や切断の制御を行うことができ、移動機10の正確な料金管理を行って適正な通信接続が可能となる。
【0043】
また、GGSN30の残通信量通知部303が、所定タイミングで残通信量をサービス制御装置40へ送信することにより、サービス制御装置40は最新の残通信量に基づいた料金管理データを記憶することができる。
【0044】
また、通信接続処理を開始するときに、GGSN30の通信切断部314は、残通信量が残っていない移動機の通信を接続させないようにすることにより、移動機の料金管理をより正確に行うことが可能となる。
【0045】
また、残通信量を、通信可能な残通信時間、又は残データ量とすることにより、残通信時間又は残データ量に基づいて、移動機10の残通信量を管理することができる。
【0046】
[第二の実施形態]
図5は、第二の実施形態に係る通信システムの概略構成図である。図5に示すように、通信システム1Aは、GPRSを用いたプリペイド式の通信システムであり、移動機10、交換機であるSGSN20A,21、関門交換機であるGGSN30A、サービス制御装置(残通信量情報記憶装置)40A及び料金サイトサーバ50を含んで構成される。SGSN20A、GGSN30A、サービス制御装置40A及び料金サイトサーバ50は、移動機10に対して通信接続サービスを提供する通信事業者によって管理され、自網Naを構成する。SGSN21は、移動機10に対して通信接続サービスを提供する通信事業者以外の者によって管理され、他網Nbの一構成要素を成している。
【0047】
SGSN20Aは、自身が管理する所定エリア内に在圏する移動機10と無線通信を行い、移動機10とGGSN30Aとを接続するものである。SGSN20Aは、通常、自網Naに複数含まれている。またSGSN20Aは、サービス制御装置40Aから取得した料金管理データ(残通信量情報)に基づいて、移動機10の通信の制御を行う。SGSN20Aにおける料金管理データに基づいた通信の制御について、詳しくは後述する。
【0048】
GGSN30Aは、インターネット等の他のデータ通信網とのゲートウェイ機能を有するノードである。GGSN30Aは、通常、自網Naに複数含まれているが、本実施形態では1つのみ示す。GGSN30Aは、SGSN20A,21及びサービス制御装置40Aに接続されており、それらの装置との間で情報を送受信することができる。GGSN30Aは、移動機10とネットワーク60との間において通信のセッションを確立し、移動機10とネットワーク60との間での通信を可能にする。また、GGSN30Aは、サービス制御装置40Aから取得した料金管理データ(残通信量情報)に基づいて、移動機10の通信の制御を行う。GGSN30Aにおける料金管理データに基づいた通信の制御について、詳しくは後述する。
【0049】
サービス制御装置40Aは、第一の実施形態におけるサービス制御装置40と同様に、移動機10が通信可能な残通信量を示す料金管理データを、移動機10を利用する加入者の識別情報に対応付けて記憶する。更に、サービス制御装置40Aは、通信の切断時等のタイミングでSGSN20A及びGGSN30Aから送信される残通信量に基づいて、料金管理データを更新する。即ち、サービス制御装置40Aは、移動機10が自網Na内に在圏中にSGSN20Aから送信された残通信量と、移動機10が他網Nb内に在圏中にGGSN30Aから送信された残通信量とを合算して、料金管理データの更新を行う。サービス制御装置40Aの詳細について、詳しくは後述する。
【0050】
移動機10及び料金サイトサーバ50は、第一の実施形態の移動機10及び料金サイトサーバ50と同様の構成である。
【0051】
次に、SGSN20Aの詳細について説明する。図6は、図5に示すSGSNの詳細構成図である。SGSN20Aは、通信制御部200、通信量計測部201、残通信量算出部202、残通信量通知部203、通信可否判断部204、残通信量記憶部205及び残通信量移動部206を含んで構成される。通信制御部200は、識別情報取得部211、残通信量情報取得部212、通信処理部213、通信切断部214及び在圏判断部215を含んで構成される。
【0052】
識別情報取得部211は、通信接続を開始するときに移動機10が送信した接続要求の信号から、移動機の識別情報を取得する。残通信量情報取得部212は、識別情報取得部211で取得された識別情報に対応する移動機10の料金管理データを、サービス制御装置40Aから取得する。また、残通信量情報取得部212は、各SGSNが管理するエリア間を移動機10が移動するときに、移動元のSGSNから送信された料金管理データを取得する。
【0053】
通信処理部213は、移動機10から通信の接続要求があると、接続要求信号に自身(SGSN20A)の識別子を付加してGGSN30Aへ転送する。そして、GGSN30Aによって通信のセッションが確立されると、確立された通信のセッションを介した通信の制御を行う。通信切断部214は、残通信量情報取得部212によって取得された料金管理データにおいて残通信量が残っていない場合、又は通信可否判断部204によって移動機10の通信の継続が不可であるものとして判断された場合に、残通信量が残っていない移動機、又は通信の継続が不可であるものとして判断された移動機の通信を切断する。在圏判断部215は、SGSN20Aが管理する所定エリア内に移動機10が在圏しているか否かを判断するものである。
【0054】
通信量計測部201は、移動機10が通信を開始してからの通信量を計測する。この通信量としては、GGSN30Aによって通信のセッションが確立されてからの経過時間を用いたり、移動機10と接続先との間で送受信されるデータ量を用いたりすることができる。
【0055】
残通信量算出部202は、残通信量情報取得部212で取得された料金管理データと、通信量計測部301で計測された通信量とに基づいて、移動機10が通信可能な残通信量を算出する。この残通信量は、通信可能な残通信時間、又は残データ量として表すことができる。
【0056】
残通信量通知部203は、残通信量算出部202によって算出された残通信量を、サービス制御装置40Aに所定のタイミングで通知する。この所定タイミングとしては、移動機10と接続先との間の通信の切断時、及び所定時間の経過毎(例えば、10分経過毎等)とする。
【0057】
通信可否判断部204は、残通信量算出部202によって算出された残通信量に基づいて、移動機10の通信の継続可否を判断する。具体的には、残通信量算出部202によって算出された残通信量が、0(ゼロ)になった場合(通信残量が0(ゼロ)以下の場合を含む)に、移動機10の通信の継続が不可であるものとして判断する。この判断結果は、通信切断部214へ出力される。
【0058】
残通信量記憶部205は、残通信量算出部202で算出された残通信量を料金管理データとして記憶する。在圏判断部215においてSGSN20Aが管理する所定エリア内から所定エリア外へ移動機10が移動したものとして判断されると、残通信量移動部206は、残通信量記憶部205に記憶された最新の料金管理データを、移動先の所定エリアを管理するSGSNに送信する。この料金管理データの送信は、移動機10の移動先の所定エリアを管理するSGSNからの要求に応じて行うことができる。この料金管理データの移動は、所謂、ハンドオーバー時にSGSN間でユーザプロファイル等を移動させる際の技術を用いることによって行うことができる。
【0059】
このように、自網Na内に設置されたSGSN20Aは、移動機10の残り通信量に基づいた通信接続処理を行うことができる。一方、他網Nb内に設置されたSGSN21は、SGSN20Aが有する各構成要素を有しておらず、移動機10の残り通信量に基づいた通信接続処理を行うことができないものとする。
【0060】
SGSN20Aは、第一の実施形態のGGSN30と同様に、CPU、主記憶装置であるRAM及びROM、通信を行うための通信モジュール、並びにハードディスク等の補助記憶装置等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成される。これらの構成要素が動作することにより、上記のSGSN20Aの各機能が発揮される。
【0061】
次に、GGSN30Aの詳細について説明する。図7は、図5に示すGGSNの詳細構成図である。GGSN30Aは、通信制御部300、通信量計測部301、残通信量算出部302、残通信量通知部303、通信可否判断部304及びSGSN判断部(交換機判断手段)305Aを含んで構成される。通信制御部300は、識別情報取得部311、残通信量情報取得部312、通信処理部313及び通信切断部314を含んで構成される。
【0062】
SGSN判断部305Aは、通信接続の開始時にSGSNから送信された接続要求信号に含まれるSGSNの識別子を取得する。そして、SGSN判断部305Aは、SGSNの識別子に基づいて、当該SGSNが自網Na内に設置されたものであるか、又は他網Nb内に設置されたものであるか否かを判断する。この判断は、予め自網Na内に設置されたSGSNの識別子のリストを保有しておき、リストに記載された識別子と取得した識別子とを比較すること等によって行うことができる。或いは、自網Na内に設置されたSGSNであることを示す信号が付加されている場合には、この信号を参照することによって自網Na内に設置されたSGSNであるか否かの判断を行うこともできる。
【0063】
本実施形態では、SGSN判断部305Aによって、SGSNが他網Nb内に設置されているものとして判断された場合にのみ、第一の実施形態において説明した、識別情報取得部311による識別情報の取得、残通信量情報取得部312による料金管理データの取得、通信切断部314による残通信量に基づいた通信の切断、通信量計測部301による通信量の計測、残通信量算出部302による残通信量の算出、残通信量通知部303による残通信量のサービス制御装置40Aへの通知、通信可否判断部304による残通信量に基づいた通信可否の判断を行う。即ち、他網NbのSGSN21等、残通信量の算出機能等を有していないSGSNが管理する所定エリア内に移動機10が在圏している場合にのみ、GGSN30Aが残通信量に基づいた移動機10の通信接続処理を行う。
【0064】
GGSN30Aは、第一の実施形態のGGSN30と同様に、CPU、主記憶装置であるRAM及びROM、通信を行うための通信モジュール、並びにハードディスク等の補助記憶装置等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成される。これらの構成要素が動作することにより、上記のGGSN30Aの各機能が発揮される。
【0065】
次に、サービス制御装置40Aの詳細について説明する。図8は、図5に示すサービス制御装置の詳細構成図である。サービス制御装置40Aは、残通信量情報記憶部(残通信量情報記憶手段)401、残通信量情報送信部402、残通信量情報取得部(残通信量情報取得手段)403及び残通信量情報更新部(残通信量情報更新手段)404を含んで構成される。
【0066】
残通信量情報記憶部401は、移動機10が通信可能な残通信量を示す料金管理データを、移動機10を利用する加入者の識別情報に対応付けて記憶する。残通信量情報送信部402は、SGSN20AやGGSN30Aからの要求に応じて、残通信量情報記憶部401から料金管理データを取得し、取得した料金管理データをSGSN20AやGGSN30Aに送信する。
【0067】
残通信量情報取得部403は、SGSN20AやGGSN30Aから送信された残通信量を取得する。残通信量情報更新部404は、残通信量情報取得部403が取得した残通信量に基づいて、残通信量情報記憶部401が記憶する料金管理データの更新を行う。即ち、残通信量情報更新部404は、移動機10が自網Na内に在圏中にSGSN20Aから送信された残通信量と、移動機10が他網Nb内に在圏中にGGSN30Aから送信された残通信量とを合算して、料金管理データの更新を行う。
【0068】
サービス制御装置40Aは、第一の実施形態のGGSN30と同様に、CPU、主記憶装置であるRAM及びROM、通信を行うための通信モジュール、並びにハードディスク等の補助記憶装置等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成される。これらの構成要素が動作することにより、上記のサービス制御装置40Aの各機能が発揮される。
【0069】
次に、SGSN20Aにおいて行われる、移動機10の残通信量に基づいた通信接続処理の流れについて説明する。図9は、自網Na内に設置されたSGSNで行われる処理の流れを示すフローチャートである。自網Na内に在圏する移動機10から接続先への通信接続の要求があると、SGSN20Aの通信制御部200は通信接続処理を開始する(ステップS201)。このとき、通信処理部213は、接続要求信号に自身の識別子を付加してGGSN30Aへ転送する。
【0070】
そして、SGSN20Aの識別情報取得部211は、移動機10が送信した接続要求の信号から、移動機10の識別情報を取得する(ステップS202)。残通信量情報取得部212は、識別情報取得部211で取得された識別情報に対応する移動機10の料金管理データを、サービス制御装置40Aから取得する(ステップS203)。
【0071】
SGSN20Aの通信切断部214は、残通信量情報取得部212で取得された料金管理データにおいて残通信量が残っているか否かを判断する(ステップS204)。残通信量が残っている場合(ステップS204:YES)、GGSN30Aによって確立された通信のセッションを介した通信接続を行う(ステップS205)。
【0072】
次に、通信の接続が行われた後、又は通信可否判断部204によって、通信の継続可否の判断後に在圏エリアが移動していないものとして判断された場合(後述のステップS214:NO)、SGSN20Aの通信量計測部201は、移動機10が通信を開始してからの通信量を計測する(ステップS206)。そして、SGSN20Aの残通信量算出部202は、残通信量情報取得部212で取得された料金管理データと、通信量計測部201で計測された通信量とに基づいて、移動機10が通信可能な残通信量を算出する(ステップS207)。SGSN20Aの残通信量記憶部205は、残通信量算出部202で算出された残通信量を記憶する(ステップS208)。
【0073】
次に、SGSN20Aの通信可否判断部204は、移動機10の通信が継続可能であるか否か、即ち、残通信量算出部202によって算出された残通信量が、0(ゼロ)であるか否かを判断する(ステップS209)。ここでは、残通信量が0(ゼロ)である場合には、通信継続が不可であるものとして判断(ステップS209:NO)し、残通信量が0(ゼロ)より多い場合には、通信継続が可能であるものとして判断(ステップS209:YES)する。
【0074】
そして、通信接続の開始時に通信切断部214によって残通信量が残っていないものとして判断された場合(ステップS204:NO)、通信接続後に残通信量が0(ゼロ)となって通信継続が不可であるものとして判断された場合(ステップS209:NO)、又は通信接続後に移動機10のユーザから通信の切断の指示があった場合(後述のステップS212:切断指示有り)、SGSN20Aの残通信量通知部203は、残通信量をサービス制御装置40Aへ通知する(ステップS210)。即ち、通信接続の開始時に通信切断部214によって残通信量が残っていないものとして判断された場合(ステップS204:NO)、通信接続後に残通信量が0(ゼロ)となって通信継続が不可であるものとして判断された場合(ステップS209:NO)には、残通信量0(ゼロ)をサービス制御装置40Aに通知する。また、通信接続後に移動機10のユーザから通信の切断の指示があった場合(後述のステップS212:切断指示有り)には、残通信量算出部202で算出された残通信量をサービス制御装置40Aへ通知する。そして、SGSN20Aの通信切断部214は、移動機10の通信を切断する(GGSN30Aに対して通信のセッションを解除する指示を行う)(ステップS211)。
【0075】
一方、通信可否判断部204によって移動機10の通信継続が可能であるものとして判断された場合(ステップS209:YES)、SGSN20Aの通信切断部214は、移動機10のユーザから通信の切断の指示があったか否かを判断する(ステップS212)。
【0076】
移動機10のユーザから通信の切断の指示が無いものとして判断された場合(ステップS212:切断指示無し)、SGSN20Aの残通信量通知部203は、所定時間の経過毎に、残通信量算出部202で算出された現時点での残通信量をサービス制御装置40Aに通知する(ステップS213)。
【0077】
そして、SGSN20Aの在圏判断部215は、SGSN20Aが在圏状態を管理する所定エリア内から所定エリア外へ移動機10が移動したか否かを判断する(ステップS214)。移動機10が所定エリア外へ移動したものとして判断された場合(ステップS214:YES)、残通信量移動部206は、移動機10の移動先の所定エリアを管理するSGSNからの要求に応じて、残通信量記憶部205に記憶された最新の料金管理データを、移動先の所定エリアを管理するSGSNに送信する(ステップS215)。料金管理データの送信後、SGSN20Aは処理を終了する。料金管理データを受け取った、移動先の所定エリアを管理するSGSNは、図9のステップS206以降の処理を行う。
【0078】
次に、GGSN30Aにおいて行われる、移動機10の残通信量に基づいた通信接続処理の流れについて説明する。図10は、GGSNで行われる処理の流れを示すフローチャートである。移動機10から接続先への通信接続の要求があると、GGSN30Aの通信制御部300は通信接続処理を開始する(ステップS301)。
【0079】
そして、GGSN30AのSGSN判断部305Aは、通信の開始時にSGSNから送信された接続要求信号に基づいて、SGSNが自網Na内に設置されたものであるか否かを判断する。本実施形態においては、移動機10がSGSN20Aを介して接続要求を行った場合には、当該SGSN20Aは自網Na内に設置されているものとして判断する(ステップS302:YES)。一方、移動機10はSGSN21を介して接続要求を行った場合には、当該SGSN21は他網Nb内に設置されているものとして判断する(ステップS302:NO)。
【0080】
SGSN判断部305Aによって、SGSNが他網Nb内に設置されていると判断された場合(ステップS302:NO)、GGSN30Aが料金管理データに基づいて、移動機10の通信の制御を行う。即ち、図10に示すステップS303〜S313の処理を行う。このステップS303〜S313の処理は、第一の実施形態において図4を用いて説明したステップS102〜S112と同様であり、説明を省略する。
【0081】
一方、SGSN判断部305Aによって、SGSNが自網Na内に設置されているものとして判断された場合(ステップS302:YES)、GGSN30Aの通信処理部313は、移動機10と接続先との間に通信のセッションを確立する(ステップS314)。そして、GGSN30Aの通信切断部314は、移動機10のユーザから通信の切断の指示があったか否かを判断する(ステップS315)。
【0082】
そして、移動機10のユーザから通信の切断の指示があったものとして判断された場合(ステップS315:YES)、通信切断部314は、移動機10の通信を切断する(ステップS311)。
【0083】
本実施形態は以上のように構成され、GGSN30AのSGSN判断部305Aによって、通信の際に経由するSGSNが他網Nb内に設置されているものとして判断された場合にのみ、GGSN30Aの通信可否判断部304が、残通信量に基づいて移動機10の通信の継続可否を判断する。そして、GGSN30Aの通信切断部314が、通信の継続が不可であると判断された移動機10の通信を切断する。これにより、移動機10の通信サービスを提供する通信事業者が管理するGGSN30Aによって、移動機10の残通信量に基づいた通信接続や切断の制御を行うことができ、移動機10の正確な料金管理を行って適正な通信接続が可能となる。
【0084】
例えば、SGSN21のようにSGSNが他網Nb内に設置されている場合、即ち、自網Naを管理する通信事業者と他網Nb内に設置されたSGSN21の管理者とが異なる場合には、移動機10の残通信量に基づいた通信接続や切断の制御をSGSNが行うことができないことが想定される。反対に、SGSN20AのようにSGSNが自網Na内に設置されている場合には、移動機10の通信サービスを提供する通信事業者がSGSN20Aの管理を行っており、移動機10の残通信量に基づいた通信接続や切断の制御をSGSNに実行させることができる。そこで、SGSNが他網Nb内に設置されているか否かを判断し、SGSNが他網Nb内に設置されている場合には、GGSN30Aが移動機10の通信を切断する。このように、SGSNが他網Nb内に設置されたものである場合にのみ、GGSN30Aにおいて移動機10の通信の切断等を行うことにより、GGSN30Aの処理負荷を低減することができる。
【0085】
また、GGSN30Aの残通信量通知部303が、所定タイミングで残通信量をサービス制御装置40Aへ送信することにより、サービス制御装置40Aは最新の残通信量に基づいた料金管理データを記憶することができる。
【0086】
また、通信接続処理を開始するときに、GGSN30Aの通信切断部314、又はSGSN20Aの通信切断部214が、残通信量が残っていない移動機10の通信を接続させないように通信を規制することにより、移動機の料金管理をより正確に行うことが可能となる。
【0087】
また、残通信量を、通信可能な残通信時間、又は残データ量とすることにより、残通信時間又は残データ量に基づいて、移動機10の残通信量を管理することができる。
【0088】
また、サービス制御装置40Aは、移動機10が自網Na内に在圏中にSGSN20Aから送信された残通信量と、移動機10が他網Nb内に在圏中にGGSN30Aから送信された残通信量とに基づいて、残通信量情報記憶部401が記憶する料金管理データを更新することができる。
【0089】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、第一の実施形態において、移動機10の通信開始時に残通信量情報取得部312によって取得された料金管理データの残通信量が0(ゼロ)であった場合であっても、当該移動機10に対応する、APN(Access Point Name)が異なり且つ残通信量が残っている料金管理データがサービス制御装置40に存在する場合には、その料金管理データを取得して通信接続を行うこともできる。
【0090】
また、第二の実施形態のサービス制御装置40Aが、残通信量情報記憶部401に記憶された料金管理データに基づいて、移動機10の通信の切断の可否を判断したり、SGSN20AやGGSN30Aに通信の切断(規制)の指示を行ったりすることもできる。
【0091】
上述した第一の実施形態および第二の実施形態は、主にGPRSによる通信システムを用いたものである。しかしながら、このような通信システムに限定するものではなく、パケットデータを通信することができる通信システムにおいては適宜適用可能であり、例えば、LTE(Long Term Evolution)などの新規な通信システムにおいても適用可能である。その際、GGSN30,30Aに相当するものは、P−GW(Packet Data Network Gateway)であり、SGSN20,20Aに相当するものは、MME(Mobility Management Entity)若しくはS−GW(Serving Gateway)である。また、サービス制御装置40,40Aに相当するものは、HSS(加入者情報管理サーバ:Home Subscriber System)である。なお、サービス制御装置40,40AとしてPCRF(ポリシー制御装置:Policy and Charging Rule Function)を用いてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1,1A…通信システム、10…移動機、20,20A…SGSN(交換機)、30,30A…GGSN(関門交換機)、40,40A…サービス制御装置(残通信量情報記憶装置)、301…通信量計測部(通信量計測手段)、302…残通信量算出部(残通信量算出手段)、303…残通信量通知部(残通信量通知手段)、304…通信可否判断部(通信可否判断手段)、305A…SGSN判断部(交換機判断手段)、311…識別情報取得部(識別情報取得手段)、312…残通信量情報取得部(残通信量情報取得手段)、314…通信切断部(通信切断手段)、401…残通信量情報記憶部(残通信量情報記憶手段)、403…残通信量情報取得部(残通信量情報取得手段)、404…残通信量情報更新部(残通信量情報更新手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク同士を接続するための関門交換機と、移動機が通信可能な残通信量を示す残通信量情報を、移動機を利用する加入者を識別可能な識別情報に対応付けて記憶する残通信量情報記憶装置とを含んで構成され、前記移動機と当該移動機の通信先との間で前記関門交換機を介して通信を行う通信システムであって、
前記関門交換機は、
前記識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記残通信量情報記憶装置から、前記識別情報取得手段で取得された識別情報に対応する残通信量情報を取得する残通信量情報取得手段と、
前記移動機が通信を開始してからの通信量を計測する通信量計測手段と、
前記残通信量情報取得手段で取得された残通信量情報と、前記通信量計測手段で計測された通信量とに基づいて、移動機が通信可能な残通信量を算出する残通信量算出手段と、
前記残通信量算出手段によって算出された残通信量に基づいて、移動機の通信の継続可否を判断する通信可否判断手段と、
前記通信可否判断手段によって移動機の通信の継続が不可であると判断された場合、通信の継続が不可であると判断された移動機の通信を切断する通信切断手段と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記関門交換機と移動機との間で通信の制御を行う交換機を更に備え、
前記関門交換機は、移動機が通信を行う際に経由する前記交換機が、前記移動機の通信サービスを提供する通信事業者によって管理されたものであるか否かを判断する交換機判断手段を更に備え、
前記交換機判断手段によって、前記交換機が前記移動機の通信事業者によって管理されたものではないと判断された場合に、前記通信可否判断手段によって通信の継続が不可であると判断された移動機の通信を前記通信切断手段が切断することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記関門交換機は、前記残通信量算出手段によって算出された残通信量を、前記残通信量情報記憶装置に所定のタイミングで送信する残通信量通知手段を更に備え、
前記残通信量情報記憶装置は、前記残通信量通知手段によって送信された残通信量に基づいて、前記残通信量情報の更新を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記移動機が通信を開始するときに、前記残通信量情報記憶装置が記憶する残通信量情報において残通信量が残っていない場合、前記通信切断手段は、前記移動機の通信ができないように通信の規制を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記残通信量は、移動機が通信可能な通信時間、又は移動機が通信可能なデータ量であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の通信システムで用いられることを特徴とする移動機。
【請求項7】
移動機と当該移動機の通信先との間に介在し、ネットワーク同士を接続する関門交換機であって、
前記移動機を利用する加入者を識別可能な識別情報を取得する識別情報取得手段と、
移動機が通信可能な残通信量を示す残通信量情報を、前記識別情報に対応付けて記憶する残通信量情報記憶装置から、前記識別情報取得手段で取得された識別情報に対応する残通信量情報を取得する残通信量情報取得手段と、
前記移動機が通信を開始してからの通信量を計測する通信量計測手段と、
前記残通信量情報取得手段で取得された残通信量情報と、前記通信量計測手段で計測された通信量とに基づいて、移動機が通信可能な残通信量を算出する残通信量算出手段と、
前記残通信量算出手段によって算出された残通信量に基づいて、移動機の通信の継続可否を判断する通信可否判断手段と、
前記通信可否判断手段によって移動機の通信の継続が不可であると判断された場合、通信の継続が不可であると判断された移動機の通信を切断する通信切断手段と、
を備えることを特徴とする関門交換機。
【請求項8】
ネットワーク同士を接続するための関門交換機と、前記関門交換機と移動機との間で通信の制御を行う交換機と、前記移動機が通信可能な残通信量を示す残通信量情報を、移動機を利用する加入者を識別可能な識別情報に対応付けて記憶する残通信量情報記憶装置とを含んで構成され、前記残通信量情報記憶装置に記憶された前記残通信量情報に基づいて、前記移動機と当該移動機の通信先との間で前記交換機及び前記関門交換機を介して通信を行う通信システムにおける残通信量情報記憶装置であって、
前記残通信量情報を記憶する残通信量情報記憶手段と、
前記関門交換機から送信された残通信量情報、及び前記交換機から送信された残通信量情報を取得する残通信量情報取得手段と、
前記残通信量情報取得手段によって取得された残通信量情報に基づいて、前記残通信量情報記憶手段に記憶された残通信量情報の更新を行う残通信量情報更新手段と、
を備えることを特徴とする残通信量情報記憶装置。
【請求項9】
ネットワーク同士を接続するための関門交換機と、移動機が通信可能な残通信量を示す残通信量情報を、移動機を利用する加入者を識別可能な識別情報に対応付けて記憶する残通信量情報記憶装置とを含んで構成され、移動機と当該移動機の通信先との間で前記関門交換機を介して通信を行う通信システムにおいて前記関門交換機で実行される通信方法であって、
通信を開始する移動機から、前記識別情報を取得する識別情報取得ステップと、
前記残通信量情報記憶装置から、前記識別情報取得ステップで取得された識別情報に対応する残通信量情報を取得する残通信量情報取得ステップと、
前記残通信量情報取得ステップで取得された残通信量情報に対応する加入者が利用する移動機が通信を開始してからの通信量を計測する通信量計測ステップと、
前記残通信量情報取得ステップで取得された残通信量情報と、前記通信量計測ステップで計測された通信量とに基づいて、移動機が通信可能な残通信量を算出する残通信量算出ステップと、
前記残通信量算出ステップで算出された残通信量に基づいて、移動機の通信の継続可否を判断する通信可否判断ステップと、
前記通信可否判断ステップで移動機の通信の継続が不可であると判断された場合、通信の継続が不可であると判断された移動機の通信を切断する通信切断ステップと、
を有することを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−138700(P2012−138700A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288774(P2010−288774)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】