通信システム、通信装置及び通信方法
【課題】ARQなどの自動再送制御が用いられる場合において、LSBエンコーディングなど、本来伝達すべき番号ビット列の一部のみを送信する符号化方式を用いつつ、受信側においてより確実に当該番号ビット列に復号化する通信システム、通信装置及び通信方法を提供する。
【解決手段】通信システムにおいて用いられる解釈期間INTALLには、LastSendAckNum±0よりも後に送信される5ビットシーケンス番号(LastSendAckNum)に対応付けられた未来方向期間INTFと、LastSendAckNum±0よりも先に送信された5ビットシーケンス番号(LastSendAckNum)に対応付けられた過去方向期間INTPとが設けられる。送信側は、未来方向期間INTFに対応付けられた5ビットシーケンス番号までを上限として、13ビットシーケンス番号を5ビットシーケンス番号に符号化する。
【解決手段】通信システムにおいて用いられる解釈期間INTALLには、LastSendAckNum±0よりも後に送信される5ビットシーケンス番号(LastSendAckNum)に対応付けられた未来方向期間INTFと、LastSendAckNum±0よりも先に送信された5ビットシーケンス番号(LastSendAckNum)に対応付けられた過去方向期間INTPとが設けられる。送信側は、未来方向期間INTFに対応付けられた5ビットシーケンス番号までを上限として、13ビットシーケンス番号を5ビットシーケンス番号に符号化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LSBエンコーディングなど、伝達すべき番号ビット列の一部である部分番号ビット列のみを送信するとともに、番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である解釈期間を順次スライドさせるスライド窓方式が導入された通信システム、通信装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信システムなどの無線通信システムでは、有線通信システムと比較して、送信したパケットなどが無線区間において喪失することが多いため、一般的に、喪失したパケットなどを再送する自動再送制御(例えば、ARQ)が広く用いられている(例えば、特許文献1及び非特許文献1)。
【0003】
また、無線通信システムでは、周波数帯域などの無線リソースを効率的に利用するため、伝達すべき情報のビット数を削減(圧縮)する様々な符号化方式も実現されている。例えば、パケットのヘッダで用いられるシーケンス番号など、送信装置が伝達すべき番号ビット列(V_target)のうち、最下位ビット(LSB)からの規定ビット数の情報(部分番号ビット列)のみを送信するLSBエンコーディングが知られている。
【0004】
LSBエンコーディングでは、LSBからの規定ビット数の情報のみが送信されるため、受信装置では、受信したLSBからの規定ビット数の情報に、送信されなかった上位ビットの情報を補完して、番号ビット列(V_target)に復号化する必要がある。
【0005】
具体的には、送信装置と受信装置とは、参照値(V_ref)を共有する。送信装置は、伝達すべき番号ビット列の一部であるシーケンス番号(SN)を送信する。シーケンス番号(SN)のビット数をkビットとした場合、参照値(V_ref)を共有している受信装置は、シーケンス番号(SN)を受信することによって、V_ref〜V_ref+2k−1の範囲までの値をV_target、つまり、送信装置が本来伝達すべき番号ビット列として解釈することができる。ここで、V_ref〜V_ref+2k−1は、“解釈期間”(interpretation interval)と呼ばれる。
【0006】
また、LSBエンコーディングを用いる場合、上述した解釈期間を可変にするため、スライド窓(sliding window)方式も広く用いられている。スライド窓方式では、変数(P)を導入し、参照値(V_ref)を順次スライドさせる。具体的には、受信装置が受信したシーケンス番号(SN)に基づいて番号ビット列(V_target)に復号化できた場合、送信装置と受信装置とにおいて、参照値(V_ref)の値が更新される。
【特許文献1】特開2002−9741号公報(第5−6頁、第1図)
【非特許文献1】“High Capacity-Spatial Division Multiple Access (HC-SDMA) WTSC - 2005 - 032 (ATIS/ANSI)”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、無線通信システムでは、一般的に、有線通信システムと比較して、極めて小さいパケットサイズとなることが多い。すなわち、パケット単位の伝送効率を向上させるためには、パケットのヘッダに割り当てられるビット数を可能な限り削減することが望ましい。
【0008】
しかしながら、LSBエンコーディングにしたがって符号化されたシーケンス番号(SN)をパケットのヘッダによって伝送する場合、ヘッダに割り当てられるビット数が削減されると、シーケンス番号(SN)として表現可能なビット数が制限されてしまう。さらに、上述したスライド窓方式が導入されたLSBエンコーディングでは、通信中に参照値(V_ref)が順次スライドするため、受信装置がシーケンス番号(SN)に基づいて番号ビット列(V_target)に正しく復号化できる解釈期間も順次スライドする。
【0009】
このため、スライド窓方式が導入されたLSBエンコーディングでは、シーケンス番号(SN)として表現可能なビット数が制限されると、現在の解釈期間“外”に該当するパケットがARQによって再送された場合、受信装置は、再送された当該パケットを用いて番号ビット列(V_target)に正しく復号化できず、送信装置と受信装置とにおける参照値(V_ref)の同期が崩れるといった問題が生じる。
【0010】
一方、この問題が生じることを回避するため、再送されたパケットであることを示す情報をヘッダに設けると、ヘッダに割り当てるべきビット数が増加してしまうといった別の問題を惹起する。
【0011】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ARQなどの自動再送制御が用いられる場合において、LSBエンコーディングなど、本来伝達すべき番号ビット列の一部のみを送信する符号化方式を用いつつ、受信側においてより確実に当該番号ビット列に復号化する通信システム、通信装置及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した問題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、送信装置(無線端末100)が、伝達すべき番号ビット列(13ビットシーケンス番号)の一部である部分番号ビット列(5ビットシーケンス番号)に符号化して送信し、受信装置(無線基地局200)が、受信した前記部分番号ビット列、及び前記送信装置と前記受信装置とにおいて共有されている参照値(LastSendAckNum,LastAckPeer)を用いて、前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間(解釈期間INTALL)を変えながら前記番号ビット列に復号化するとともに、前記部分番号ビット列の自動再送制御(例えば、ARQ)が実行される通信システム(通信システム10)であって、前記送信装置は、前記受信装置が正常に受信できた前記部分番号ビット列である最新部分番号ビット列(LastSendAckNum±0)を基準として、前記最新部分番号ビット列よりも後に送信される部分番号ビット列に対応付けられた未来方向期間(未来方向期間INTF)について、前記符号化を行う符号化処理部を備え、前記受信装置は、前記最新部分番号ビット列を基準として、少なくとも前記最新部分番号ビット列よりも先に前記送信装置から送信された部分番号ビット列に対応付けられた過去方向期間(過去方向期間INTP)について、前記復号化を行う復号化処理部(符号化・復号化処理部105)を備えることを要旨とする。
【0013】
このような通信システムによれば、番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間には、最新部分番号ビット列よりも後に送信される部分番号ビット列に対応付けられた未来方向期間と、最新部分番号ビット列よりも先に送信された部分番号ビット列に対応付けられた過去方向期間とが設けられる。また、送信装置は、未来方向期間に対応付けられた部分番号ビット列までを上限として、番号ビット列を部分番号ビット列に符号化する。
【0014】
このため、受信装置における当該期間の範囲を逸脱する部分番号ビット列が送信側によって再送されることはない。すなわち、自動再送制御によって部分番号ビット列を格納するパケットが再送された場合でも、最新部分番号ビット列よりも先に送信された部分番号ビット列に対応付けられた過去方向期間が設けられているため、部分番号ビット列を正しく番号ビット列に復号化できる。
【0015】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記過去方向期間は、前記未来方向期間以上の長さであることを要旨とする。
【0016】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記受信装置が前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間は、前記未来方向期間と前記過去方向期間とで構成され、前記未来方向期間は、前記受信装置が番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間の略半分の期間を占有し、前記符号化処理部は、前記未来方向期間に対応付けられた部分番号ビット列までを上限として、前記番号ビット列を部分番号ビット列に符号化することを要旨とする。
【0017】
本発明の第4の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記符号化処理部は、前記部分番号ビット列を再送する際に、前記未来方向期間に対応付けられた部分番号ビット列までを上限として、前記番号ビット列を部分番号ビット列に符号化することを要旨とする。
【0018】
本発明の第5の特徴は、本発明の第1乃至第4の特徴に係り、前記部分番号ビット列は、パケット(例えば、パケットPy)に格納され、前記部分番号ビット列は、前記パケットと対応付けられることを要旨とする。
【0019】
本発明の第6の特徴は、本発明の第1乃至第4の特徴に係り、前記部分番号ビット列は、パケットに格納され、前記部分番号ビット列は、前記パケットに格納されるデータ列(データ列DB)と対応付けられることを要旨とする。
【0020】
本発明の第7の特徴は、伝達すべき番号ビット列の一部である部分番号ビット列を通信先から受信し、受信した前記部分番号ビット列、及び前記通信先と共有されている参照値を用いて、前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間を順次変えながら前記番号ビット列に復号化するとともに、前記部分番号ビット列の自動再送制御を実行する通信装置であって、前記期間は、正常に受信できた前記部分番号ビット列である最新部分番号ビット列を基準として、前記最新部分番号ビット列よりも後に前記通信先から送信される部分番号ビット列に対応付けられた未来方向期間と、前記最新部分番号ビット列よりも先に送信された部分番号ビット列に対応付けられた過去方向期間とで構成されており、前記過去方向期間は、前記未来方向期間以上の長さを有し、前記最新部分番号ビット列を基準として、少なくとも前記最新部分番号ビット列よりも前記過去方向期間について、前記復号化を行う復号化処理部を備えることを要旨とする。
【0021】
本発明の第8の特徴は、送信側の通信装置が、伝達すべき番号ビット列の一部である部分番号ビット列を符号化して送信し、受信側の通信装置が、受信した前記部分番号ビット列、及び前記送信側の通信装置とにおいて共有されている参照値を用いて、前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間を順次変えながら前記番号ビット列に復号化するとともに、前記部分番号ビット列の自動再送制御を実行する通信装置であって、前記受信側の通信装置が正常に受信できた前記部分番号ビット列である最新部分番号ビット列を基準として、前記最新部分番号ビット列よりも後に送信される部分番号ビット列に対応付けられた未来方向期間について、前記符号化を行う符号化処理部を備えることを要旨とする。
【0022】
本発明の第9の特徴は、本発明の第8の特徴に係り、前記未来方向期間は、前記受信側の通信装置が前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間の略半分の期間を占有するように構成され、前記符号化処理部は、前記未来方向期間に対応付けられた部分番号ビット列までを上限として、前記番号ビット列を部分番号ビット列に符号化することを要旨とする。
【0023】
本発明の第10の特徴は、本発明の第8の特徴に係り、前記符号化処理部は、前記部分番号ビット列を再送する際に、前記未来方向期間に対応付けられた部分番号ビット列までを上限として、前記番号ビット列を部分番号ビット列に符号化することを要旨とする。
【0024】
本発明の第11の特徴は、本発明の第7乃至第10の特徴に係り、前記部分番号ビット列は、パケットに格納され、前記部分番号ビット列は、前記パケットと対応付けられることを要旨とする。
【0025】
本発明の第12の特徴は、本発明の第7乃至第10の特徴に係り、前記部分番号ビット列は、パケットに格納され、前記部分番号ビット列は、前記パケットに格納されるデータ列と対応付けられることを要旨とする。
【0026】
本発明の第13の特徴は、前記送信装置が、伝達すべき番号ビット列の一部である部分番号ビット列に符号化して送信するステップと、前記受信装置が、受信した前記部分番号ビット列、及び前記送信装置と前記受信装置とにおいて共有されている参照値を用いて、前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間を順次変えながら前記番号ビット列に復号化するステップとを備え、前記送信装置と前記受信装置との間において、前記部分番号ビット列の自動再送制御が実行される通信方法であって、前記送信装置は、前記受信装置が正常に受信できた前記部分番号ビット列である最新部分番号ビット列を基準として、前記最新部分番号ビット列よりも後に送信される部分番号ビット列に対応付けられた未来方向期間について、前記符号化を行うステップ(t1)と、前記受信装置が、前記最新部分番号ビット列を基準として、少なくとも前記最新部分番号ビット列よりも先に前記送信装置から送信された部分番号ビット列に対応付けられた過去方向期間について、前記復号化を行うステップ(t2〜t3)とをさらに備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の特徴によれば、ARQなどの自動再送制御が用いられる場合において、LSBエンコーディングなど、本来伝達すべき番号ビット列の一部のみを送信する符号化方式を用いつつ、受信側においてより確実に当該番号ビット列に復号化する通信システム、通信装置及び通信方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0029】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0030】
(通信システムの全体概略構成)
図1は、本実施形態に係る通信システムの全体概略構成図である。図1に示すように、通信システム10は、無線端末100と無線基地局200とによって構成される。なお、通信システム10に含まれる無線端末100及び無線基地局200の数量は、図1に示す数量に限定されるものではない。
【0031】
通信システム10では、伝達すべき番号ビット列のうち、最下位ビット(LSB)からの規定ビット数の情報(部分番号ビット列)のみを送信するLSBエンコーディングが用いられる。具体的には、パケットに付加される13ビットシーケンス番号のうち、最下位ビット(LSB)から5ビットのみの情報、つまり、5ビットシーケンス番号がパケットのヘッダに格納されて送信される(図9参照)。
【0032】
さらに、通信システム10では、受信したパケットのヘッダに格納される5ビットシーケンス番号、及び無線端末100と無線基地局200とにおいて共有されている参照値(LastSendAckNum,LastAckPeer)を用いて、13ビットシーケンス番号に復号化することができる5ビットシーケンス番号の範囲である期間、具体的には、解釈期間(interpretation interval)を順次スライドさせるスライド窓(sliding window)方式が導入されている。
【0033】
また、通信システム10では、パケットの自動再送制御(ARQ)が実行される。
【0034】
(通信システムの機能ブロック構成)
図2は、無線端末100の機能ブロック構成図である。図3は、無線基地局200の機能ブロック構成図である。図2及び図3に示すように、無線端末100と無線基地局200とは、概ね同様の機能ブロック構成を有する。
【0035】
具体的には、無線端末100は、無線通信部101、再送制御部103、符号化・復号化処理部105、スライド窓制御部107及びパケット処理部109(RAM109aを含む)を備える。
【0036】
無線基地局200は、無線通信部201、再送制御部203、符号化・復号化処理部205、スライド窓制御部207及びパケット処理部209(RAM209aを含む)を備える。
【0037】
以下、無線端末100の各機能ブロックについて説明し、無線基地局200の各機能ブロックについては、説明を省略する。また、以下、本発明との関連がある部分について主に説明する。したがって、無線端末100及び無線基地局200は、当該装置としての機能を実現する上で必須な、図示しない或いは説明を省略したブロック(電源部など)を備える場合があることに留意されたい。なお、本実施形態では、無線端末100から無線基地局200への上り方向の通信を例として説明するが、無線基地局200から無線端末100への下り方向の通信も同様に実行される。
【0038】
無線通信部101は、無線基地局200と無線信号を送受信する。また、無線通信部101は、符号化・復号化処理部105と接続されており、パケットなどを含むベースバンド信号と無線信号との変復調処理を実行する。
【0039】
再送制御部103は、パケットの自動再送制御(ARQ)を実行する。当該ARQでは、送信側は、送信対象の最後のパケット(またはデータ列)に付加されるシーケンス番号をパケットのヘッダに格納し、当該パケットを送信する。受信側は、受信したパケットに格納されるデータ列のうち、欠落せずに連続している最後尾のデータ列を格納するパケットのシーケンス番号を、ackとして送信側に返送する。
【0040】
送信側は、既に送信したパケットのシーケンス番号よりも古いシーケンス番号、つまり、数値が小さいシーケンス番号をackとして受信した場合、ackとして受信したシーケンス番号に対応するデータ列を格納したパケットを再送する。受信側は、再送されたパケットによってデータ列の欠落部分を取得すると、最後尾のデータ列を格納したパケットのシーケンス番号を、ackとして送信側に返送する。
【0041】
符号化・復号化処理部105は、LSBエンコーディングに関する処理を実行する。具体的には、符号化・復号化処理部105は、パケット処理部109によって組み立てられたパケットに付加される13ビットシーケンス番号のうち、最下位ビット(LSB)から5ビットのみの情報、つまり、5ビットシーケンス番号をパケットのヘッダに格納する。
【0042】
また、符号化・復号化処理部105は、受信したパケットのヘッダに格納される5ビットシーケンス番号を13ビットシーケンス番号に復号化する。
【0043】
スライド窓制御部107は、スライド窓の制御を実行する。具体的には、スライド窓制御部107は、受信したパケットのヘッダに格納される5ビットシーケンス番号、及び無線端末100と無線基地局200とにおいて共有されている参照値を用いて、13ビットシーケンス番号に復号化することができる5ビットシーケンス番号の範囲である解釈期間を順次変える、具体的には、スライド窓制御部107は、解釈期間を順次スライドさせる。
【0044】
なお、無線端末100と無線基地局200とにおいて共有されている参照値とは、無線端末100と無線基地局200との間において、連携して更新される値であり、本実施形態では、LastSendAckNum及びLastAckPeer(図5(a)及び(b)参照)が参照値として用いられる。
【0045】
パケット処理部109は、パケットの組立及び分解処理を実行する。具体的には、パケット処理部109は、RAM109aにパケットに格納されるデータ列を記憶しながら、パケットの組立及び分解処理を実行する。
【0046】
(パケット構成)
次に、無線端末100及び無線基地局200が送受信するパケットの構成について説明する。図4(a)及び(b)は、無線端末100及び無線基地局200が送受信するパケットの構成図である。
【0047】
本実施形態では、パケットPx,Pyの長さは、固定(76ビット)である。パケットPx,Pyは、ヘッダHDとペイロードPLとによって構成されている。また、パケットPx,PyのヘッダHDは、表1のように規定される。
【0048】
【表1】
本実施形態では、図4(a)に示すように、13ビットシーケンス番号がヘッダHDに格納されるパケットPx、または図4(b)に示すように、13ビットシーケンス番号のうち、最下位ビット(LSB)から5ビットのみの情報、つまり、5ビットシーケンス番号がヘッダHDに格納されるパケットPyとが使い分けられる。
【0049】
本実施形態では、シーケンス番号(13ビットシーケンス番号,5ビットシーケンス番号)は、パケット(パケットPx,Py)と対応付けられる。
【0050】
パケットPxでは、ヘッダHDの長さは、27ビットである。一方、パケットPyでは、ヘッダHDの長さは、19ビットである。つまり、パケットPyでは、ヘッダHDの長さが8ビット分短くなっている。
【0051】
ペイロードPLは、パディングビットPBとデータ列DBとによって構成される。パディングビットPBは、データ列DBの開始位置を示すためのビットであり、ペイロードPLにおいて、最初の“1”までの部分である。つまり、パディングビットPBの長さは、可変である。
【0052】
パディングビットPBの直後にはデータ列DBが位置する。データ列DBでは、パディングビットPBの直後のビットが、最初のデータバイト(data byte 1)のMSBであり、パケットPx,Pyの最後尾ビットが、最後尾に位置するデータバイト(例えば、data byte6)のLSBである。
【0053】
図4(a)に示すように、13ビットシーケンス番号が用いられるパケットPxは、最大6バイトのデータを格納することができる。一方、図4(b)に示すように、5ビットシーケンス番号が用いられるパケットPyは、最大7バイトのデータを格納することができる。なお、パケットPx,Pyは、パディングビットPBのみによってペイロードPLが構成、つまり、データ列DBを含まないペイロードPLを構成することができる。パディングビットPBのみによってペイロードPLが構成されるパケットを、本実施形態では、“空データパケット”(図4(a),(b)の最下段参照)という。
【0054】
(RAMの使用形態)
次に、無線端末100のパケット処理部109を構成するRAM109a、及び無線基地局200のパケット処理部209を構成するRAM209aの使用形態について説明する。
【0055】
図5(a)及び(b)は、RAM109a及びRAM209aの使用形態を説明する説明図である。なお、ここでは、無線端末100が無線基地局200にパケットPyを送信する場合について説明する。
【0056】
無線端末100と無線基地局200とが論理的な通信路を確立した場合、送信側(無線端末100)及び受信側(無線基地局200)は、シーケンス番号(13ビットシーケンス番号,5ビットシーケンス番号)の初期値を“0”に設定する。
【0057】
送信側は以下の変数を管理する。
【0058】
・ LastSendNum: 既に送信した最後尾のパケットのシーケンス番号
・ LastAckPeer: ackとして受信したシーケンス番号
送信側は、LastAckPeerの次のシーケンス番号が付加されたパケットから、LastSendNumが付加されたパケットに格納されるペイロードPL(データ列DB)を、ack待ち送信データTDとしてRAM109aに記憶しておき、パケットの再送に備える。
【0059】
なお、シーケンス番号は、13ビットであるため、0〜8191までを表現することができる。シーケンス番号は、8191に到達すると、0に戻り、0〜8191の値が繰り返し用いられる。また、「最後尾」のパケット(またはデータ列)とは、最近に送信または受信したパケット(またはデータ列)をいう。
【0060】
送信側は、送信しようとしているパケットのシーケンス番号と、LastAckPeerとの差が、2(5−1)−1、つまり、15以内である場合、13ビットシーケンス番号ではなく、5ビットシーケンス番号を用いる。
【0061】
一方、受信側は、以下の変数を管理する。
【0062】
・ LastSendAckNum: 受信したパケットに格納されるデータ列のうち、欠落せずに連続している最後尾のデータ列を格納するパケットのシーケンス番号
・ LastReceiveNum: 受信した最後尾のデータ列を格納するパケットのシーケンス番号
なお、図5(b)において、受信済データRD1は、既に受信したペイロードPL(データ列DB)を示す。未受信データRD2は、未だ受信していないペイロードPL(データ列DB)を示す。
【0063】
(解釈期間)
次に、無線端末100及び無線基地局200が管理する解釈期間について説明する。図6は、本実施形態に係る解釈期間の構成を示す。上述したように、本実施形態では、LSBエンコーディングによって、5ビットシーケンス番号が用いられるため、解釈期間INTALLのサイズは、32(=25)となる。
【0064】
解釈期間INTALLには、未来方向期間INTFと、過去方向期間INTPとが設けられる。未来方向期間INTFは、無線基地局200が正常に受信できた5ビットシーケンス番号であるLastSendAckNum±0(最新部分番号ビット列)を基準として、LastSendAckNum±0よりも後に送信される5ビットシーケンス番号(LastSendAckNum±0〜LastSendAckNum+15)に対応付けられる。
【0065】
また、過去方向期間INTPは、LastSendAckNum±0を基準として、少なくともLastSendAckNum±0よりも先に送信された5ビットシーケンス番号(LastSendAckNum−16〜LastSendAckNum−1)に対応付けられる。すなわち、未来方向期間INTFは、解釈期間INTALLの略半分の期間を占有する。
【0066】
本実施形態では、符号化・復号化処理部105(符号化・復号化処理部205)は、未来方向期間INTFに対応付けられた5ビットシーケンス番号までを上限として、13ビットシーケンス番号を5ビットシーケンス番号に符号化する。すなわち、符号化・復号化処理部105(符号化・復号化処理部205)は、LastAckPeerに対して、15(=2(5−1)−1)を超えてLSBエンコーディングを実行しない。このため、受信側(例えば、無線基地局200)は、LastSendAckNumを基準として、15以上離れた5ビットシーケンス番号を受信することはない。つまり、受信側は、未来方向期間INTFを用いて、受信した5ビットシーケンス番号を必ず13ビットシーケンス番号に復号化できる。
【0067】
さらに具体的に説明すると、ack(LastSendAckNum)が送信側(例えば、無線端末100)に正常に返送されない場合でも、送信側が再送するパケットの5ビットシーケンス番号は、LastSendAckNum−16よりも現時点に近い値となることが保証される。つまり、受信側における解釈期間INTALLの範囲を逸脱する5ビットシーケンス番号が送信側によって再送されることはない。
【0068】
(通信システムの動作)
次に、通信システム10の動作について説明する。具体的には、無線端末100が5ビットシーケンス番号を格納するパケットPy(図4(b)参照)を無線基地局200に順次送信する動作について説明する。
【0069】
(1)本実施形態に係る動作
図7は、無線端末100と無線基地局200とにおいて実行される通信シーケンス図である。無線端末100と無線基地局200とは、図7に示す通信シーケンスの実行に先立って、論理的な通信路の確立を完了しているものとする。送信側(無線端末100)は、LastSendNum及びLastAckPeerの値を0に初期化する。また、受信側(無線基地局200)は、LastSendAckNum及びLastReceiveNumの値を0に初期化する。
【0070】
無線端末100は、5ビットシーケンス番号を格納するパケットP1を無線基地局200に送信する(タイミングt1)。パケットP1には、5ビットシーケンス番号として、13ビットシーケンス番号(00000000 00001)の下位5ビットを示す“00001”(図中のSN=00001参照、以下同)が付加される。なお、00001は、解釈期間INTALLのうち、未来方向期間INTF内に位置する。
【0071】
また、無線端末100は、パケットP1を送信すると、LastSendNumの値を更新する。具体的には、無線端末100は、LastSendNumの値を00000から00001に更新する。
【0072】
無線基地局200は、パケットP1を受信する(タイミングt2)。無線基地局200は、パケットP1を復号化し、パケットP1に含まれるデータ列DBを取得する。また、無線基地局200は、パケットP1を受信すると、無線基地局200における解釈期間INTALLを1つスライドさせる。この場合、無線基地局200は、LastReceiveNumの値を00000から00001に更新する。
【0073】
無線基地局200は、パケットP1を正常に復号化できた場合、パケットP1を正常に受信したことを示すack1を無線端末100に返送する(タイミングt3)。無線基地局200は、ack1を送信すると、LastSendAckNumの値を更新する。具体的には、無線端末100は、LastSendAckNumの値を00000から00001に更新する。
【0074】
無線端末100は、無線基地局200からack1を受信した場合、LastAckPeerの値を更新する(タイミングt4)。具体的には、無線端末100は、LastAckPeerの値を00000から00001に更新する。そして、この場合、無線端末100における未来方向期間INTFを1つスライドさせる。
【0075】
以下、パケットP1と同様に、パケットP2〜P5が、無線端末100から無線基地局200に送信される。
【0076】
ここで、ack4が無線区間において喪失したものとする。具体的には、以下の場合が想定される。まず、無線基地局200は、パケットP4を受信する(タイミングt5)。そして、無線基地局200は、LastReceiveNumの値を更新する。つまり、無線基地局200は、LastReceiveNumの値を00011から00100に更新する。
【0077】
無線基地局200は、パケットP4を受信することができたため、パケットP4を正常に受信したことを示すack4を無線端末100に返送するが、無線端末100は、ack4を受信できていない。
【0078】
次いで、無線基地局200は、パケットP5を受信する(タイミングt6)。無線基地局200は、パケットP5を受信すると、無線基地局200における解釈期間INTALLを1つスライドさせる。この結果、LastReceiveNumの値は、00100から00101に更新される。
【0079】
また、無線基地局200は、ack5を送信すると、LastReceiveNumと同様に、LastSendAckNumの値を更新する。
【0080】
一方、無線端末100は、ack4を受信していないため、ack5を受信してもLastAckPeerの値をスライドさせない。つまり、LastAckPeerの値は、ack3を受信した時点で更新された値00011が保持される。
【0081】
次いで、無線端末100は、無線基地局200からack4を受信していないため、パケットP4を無線基地局200に再送する(タイミングt7)。LastAckPeerの値は、ack3を受信した時点で更新された値00011が保持されているため、無線端末100は、再送するパケットP4の13ビットシーケンス番号(00000000 00100)を、5ビットシーケンス番号(00100)に符号化することができる。
【0082】
無線基地局200は、再送されたパケットP4を受信する(タイミングt8)。無線基地局200は、パケットP5を受信した時点(タイミングt6)において、既にLastReceiveNumの値を00101に更新しているが、本実施形態では、解釈期間INTALLが過去方向期間INTPにも設けられているため、無線基地局200は、パケットP4に付加されている5ビットシーケンス番号(00100)を13ビットシーケンス番号(00000000 00100)に誤りなく復号化できる。
【0083】
(2)従来例に係る動作
次に、図8及び図9を参照して、上述した本実施形態と比較するため、従来例に係る通信システムにおいて、無線端末が5ビットシーケンス番号を格納するパケットPy(図4(b)参照)を無線基地局に順次送信する動作について説明する。
【0084】
図8は、従来例に係る無線端末と無線基地局とにおいて実行される通信シーケンス図である。当該通信シーケンスでは、図7に示した本実施形態に係る無線端末100と無線基地局200との通信シーケンスと同様に、パケットP1〜P5が、無線端末から無線基地局に送信され、ack4が無線区間において喪失したものとする。
【0085】
タイミングt1〜t7までの動作は、本実施形態に係る無線端末100と無線基地局200と同様である。
【0086】
無線基地局は、再送されたパケットP4を受信する(タイミングt8)。無線基地局は、パケットP5を受信した時点(タイミングt6)において、既にLastReceiveNumの値を00101に更新している。従来例では、解釈期間INTALLが過去方向には設けられていない。
【0087】
このため、図9に示すように、無線基地局は、再送されたパケットP4に付加されている5ビットシーケンス番号(00100)を受信すると、保持しているLastReceiveNumの値(00101)よりも未来方向、つまり、00100よりも大きい値である100100(=36)であると認識する(図中の下線部参照)。この結果、無線基地局は、再送されたパケットP4を、36番目に送信されたパケットであると誤って認識してしまうのである。
【0088】
(3)パケットの再送に係る代替案の考察
上述した実施形態では、通信シーケンス全体において、5ビットシーケンス番号が用いられていたが、上述した従来例の問題を回避するため、パケットの再送時に限って、5ビットシーケンス番号ではなく13ビットシーケンス番号を用いる案が考えられる。
【0089】
しかしながら、当該方法では、次のような別の問題が発生する場合がある。すなわち、図10に示すように、5ビットシーケンス番号が付加されるパケットP10には、データ列DBに最大7バイト(databyte 1〜7)のデータを格納することができる。
【0090】
パケットP10を再送する場合に、5ビットシーケンス番号ではなく13ビットシーケンス番号を用いる場合、パケットP11のデータ列DBに格納できるデータは、最大6バイト(49ビット=ビット27〜75)である。このため、パケットP11には、7バイトのデータを格納することができない。そこで、パケットP11に格納できないデータ(databyte 7)は、パケットP11と別パケットであるパケットP12に格納しなければならない。
【0091】
つまり、13ビットシーケンス番号を用いてパケットP10を再送する場合、パケットP11及びパケットP12の2つのパケットを再送しなければならない。このため、再送に伴うデータのスループットが大きく低下しまう場合がある。例えば、フレーム誤り率(FER)の劣化によって、パケットが無線区間で多数喪失した場合、喪失したパケットの再送が多発することによってデータのスループットが大きくする低下する。このような状況が発生すると、LSBエンコーディングによってシーケンス番号を13ビットから5ビットに削減してデータのスループットを向上させたにもかかわらず、再送時のデータのスループットが大きく低下してしまう。
【0092】
本実施形態では、無線端末100(符号化・復号化処理部105)及び無線基地局200(符号化・復号化処理部205)は、パケットを再送する際にも、5ビットシーケンス番号を用い、未来方向期間INTFに対応付けられた5ビットシーケンス番号までを上限として、13ビットシーケンス番号を5ビットシーケンス番号に符号化する。このため、パケットの再送においても7バイトのデータを格納することができ、上述したようなデータのスループットの低下は発生しない。
【0093】
また、本実施形態では、パケットの再送時においても5ビットシーケンス番号が用いられるため、再送されるパケットにおいても送信時と同じシーケンス番号を用いることができる。
【0094】
(作用・効果)
通信システム10によれば、解釈期間INTALLには、LastSendAckNum±0(図6参照)よりも後に送信される5ビットシーケンス番号に対応付けられた未来方向期間INTFと、LastSendAckNum±0よりも先に送信された5ビットシーケンス番号に対応付けられた過去方向期間INTPとが設けられる。また、送信側は、未来方向期間INTFに対応付けられた5ビットシーケンス番号までを上限として、13ビットシーケンス番号を5ビットシーケンス番号に符号化する。
【0095】
このため、受信側における解釈期間INTALLの範囲を逸脱する5ビットシーケンス番号が送信側によって再送されることはない。すなわち、ARQによって5ビットシーケンス番号を格納するパケットが再送された場合でも、LastSendAckNum±0よりも先に送信された5ビットシーケンス番号に対応付けられた過去方向期間INTPが設けられているため、5ビットシーケンス番号を正しく13ビットシーケンス番号に復号化できる。
【0096】
本実施形態では、未来方向期間INTFは、解釈期間INTALLの略半分の期間を占有する。このため、ackを確認することなく送信できるパケット数(いわゆるアウトスタンディング数)を増やしつつ、パケットが再送された場合でも5ビットシーケンス番号を正しく13ビットシーケンス番号に確実に復号化できる。
【0097】
本実施形態では、パケットの再送時についても5ビットシーケンス番号が用いられるため、上述したような再送するパケット数の増加に伴ってデータのスループットが低下することを防止できる。
【0098】
(その他の実施形態)
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態が明らかとなろう。
【0099】
例えば、上述した実施形態では、シーケンス番号(13ビットシーケンス番号,5ビットシーケンス番号)は、パケットと対応付けられていたが、シーケンス番号は、パケットに含まれるデータ列DB、具体的には、data byte1〜7と対応付けてもよい。一般的に、パケットの再送時にペイロードPLのサイズが変わるような場合、data byte単位にシーケンス番号を対応付けることが好ましい。
【0100】
また、上述した実施形態では、未来方向期間INTFと過去方向期間INTPとは、略同一の期間であったが、過去方向期間INTPが、未来方向期間INTF以上の長さを有していればよい。
【0101】
さらに、上述した実施形態では、13ビットシーケンス番号と5ビットシーケンス番号とが用いられていたが、シーケンス番号に用いるビット数は、必ずしも13ビットと5ビットでなくても構わない。
【0102】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る通信装置(無線端末)の機能ブロック構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る通信装置(無線基地局)の機能ブロック構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る通信装置が送受信するパケットの構成図である。
【図5】本発明の実施形態に係る通信装置に備えられるRAMの使用形態を説明する説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係る解釈期間の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る通信装置間において実行される通信シーケンス図である。
【図8】従来例に係る通信装置間において実行される通信シーケンス図である。
【図9】13ビットシーケンス番号と5ビットシーケンス番号との関係を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る再送パケットの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
10…通信システム、100…無線端末、101…無線通信部、103…再送制御部、105…符号化・復号化処理部、107…スライド窓制御部、109…パケット処理部、109a…RAM、200…無線基地局、201…無線通信部、203…再送制御部、205…符号化・復号化処理部、207…スライド窓制御部、209…パケット処理部、209a…RAM、DB…データ列、HD…ヘッダ、INTALL…解釈期間、INTF…未来方向期間、INTP…過去方向期間、Px,Py…パケット、PB…パディングビット、PL…ペイロード、RD1…受信済データ、RD2…未受信データ、TD…ack待ち送信データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、LSBエンコーディングなど、伝達すべき番号ビット列の一部である部分番号ビット列のみを送信するとともに、番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である解釈期間を順次スライドさせるスライド窓方式が導入された通信システム、通信装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信システムなどの無線通信システムでは、有線通信システムと比較して、送信したパケットなどが無線区間において喪失することが多いため、一般的に、喪失したパケットなどを再送する自動再送制御(例えば、ARQ)が広く用いられている(例えば、特許文献1及び非特許文献1)。
【0003】
また、無線通信システムでは、周波数帯域などの無線リソースを効率的に利用するため、伝達すべき情報のビット数を削減(圧縮)する様々な符号化方式も実現されている。例えば、パケットのヘッダで用いられるシーケンス番号など、送信装置が伝達すべき番号ビット列(V_target)のうち、最下位ビット(LSB)からの規定ビット数の情報(部分番号ビット列)のみを送信するLSBエンコーディングが知られている。
【0004】
LSBエンコーディングでは、LSBからの規定ビット数の情報のみが送信されるため、受信装置では、受信したLSBからの規定ビット数の情報に、送信されなかった上位ビットの情報を補完して、番号ビット列(V_target)に復号化する必要がある。
【0005】
具体的には、送信装置と受信装置とは、参照値(V_ref)を共有する。送信装置は、伝達すべき番号ビット列の一部であるシーケンス番号(SN)を送信する。シーケンス番号(SN)のビット数をkビットとした場合、参照値(V_ref)を共有している受信装置は、シーケンス番号(SN)を受信することによって、V_ref〜V_ref+2k−1の範囲までの値をV_target、つまり、送信装置が本来伝達すべき番号ビット列として解釈することができる。ここで、V_ref〜V_ref+2k−1は、“解釈期間”(interpretation interval)と呼ばれる。
【0006】
また、LSBエンコーディングを用いる場合、上述した解釈期間を可変にするため、スライド窓(sliding window)方式も広く用いられている。スライド窓方式では、変数(P)を導入し、参照値(V_ref)を順次スライドさせる。具体的には、受信装置が受信したシーケンス番号(SN)に基づいて番号ビット列(V_target)に復号化できた場合、送信装置と受信装置とにおいて、参照値(V_ref)の値が更新される。
【特許文献1】特開2002−9741号公報(第5−6頁、第1図)
【非特許文献1】“High Capacity-Spatial Division Multiple Access (HC-SDMA) WTSC - 2005 - 032 (ATIS/ANSI)”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、無線通信システムでは、一般的に、有線通信システムと比較して、極めて小さいパケットサイズとなることが多い。すなわち、パケット単位の伝送効率を向上させるためには、パケットのヘッダに割り当てられるビット数を可能な限り削減することが望ましい。
【0008】
しかしながら、LSBエンコーディングにしたがって符号化されたシーケンス番号(SN)をパケットのヘッダによって伝送する場合、ヘッダに割り当てられるビット数が削減されると、シーケンス番号(SN)として表現可能なビット数が制限されてしまう。さらに、上述したスライド窓方式が導入されたLSBエンコーディングでは、通信中に参照値(V_ref)が順次スライドするため、受信装置がシーケンス番号(SN)に基づいて番号ビット列(V_target)に正しく復号化できる解釈期間も順次スライドする。
【0009】
このため、スライド窓方式が導入されたLSBエンコーディングでは、シーケンス番号(SN)として表現可能なビット数が制限されると、現在の解釈期間“外”に該当するパケットがARQによって再送された場合、受信装置は、再送された当該パケットを用いて番号ビット列(V_target)に正しく復号化できず、送信装置と受信装置とにおける参照値(V_ref)の同期が崩れるといった問題が生じる。
【0010】
一方、この問題が生じることを回避するため、再送されたパケットであることを示す情報をヘッダに設けると、ヘッダに割り当てるべきビット数が増加してしまうといった別の問題を惹起する。
【0011】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ARQなどの自動再送制御が用いられる場合において、LSBエンコーディングなど、本来伝達すべき番号ビット列の一部のみを送信する符号化方式を用いつつ、受信側においてより確実に当該番号ビット列に復号化する通信システム、通信装置及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した問題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、送信装置(無線端末100)が、伝達すべき番号ビット列(13ビットシーケンス番号)の一部である部分番号ビット列(5ビットシーケンス番号)に符号化して送信し、受信装置(無線基地局200)が、受信した前記部分番号ビット列、及び前記送信装置と前記受信装置とにおいて共有されている参照値(LastSendAckNum,LastAckPeer)を用いて、前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間(解釈期間INTALL)を変えながら前記番号ビット列に復号化するとともに、前記部分番号ビット列の自動再送制御(例えば、ARQ)が実行される通信システム(通信システム10)であって、前記送信装置は、前記受信装置が正常に受信できた前記部分番号ビット列である最新部分番号ビット列(LastSendAckNum±0)を基準として、前記最新部分番号ビット列よりも後に送信される部分番号ビット列に対応付けられた未来方向期間(未来方向期間INTF)について、前記符号化を行う符号化処理部を備え、前記受信装置は、前記最新部分番号ビット列を基準として、少なくとも前記最新部分番号ビット列よりも先に前記送信装置から送信された部分番号ビット列に対応付けられた過去方向期間(過去方向期間INTP)について、前記復号化を行う復号化処理部(符号化・復号化処理部105)を備えることを要旨とする。
【0013】
このような通信システムによれば、番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間には、最新部分番号ビット列よりも後に送信される部分番号ビット列に対応付けられた未来方向期間と、最新部分番号ビット列よりも先に送信された部分番号ビット列に対応付けられた過去方向期間とが設けられる。また、送信装置は、未来方向期間に対応付けられた部分番号ビット列までを上限として、番号ビット列を部分番号ビット列に符号化する。
【0014】
このため、受信装置における当該期間の範囲を逸脱する部分番号ビット列が送信側によって再送されることはない。すなわち、自動再送制御によって部分番号ビット列を格納するパケットが再送された場合でも、最新部分番号ビット列よりも先に送信された部分番号ビット列に対応付けられた過去方向期間が設けられているため、部分番号ビット列を正しく番号ビット列に復号化できる。
【0015】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記過去方向期間は、前記未来方向期間以上の長さであることを要旨とする。
【0016】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記受信装置が前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間は、前記未来方向期間と前記過去方向期間とで構成され、前記未来方向期間は、前記受信装置が番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間の略半分の期間を占有し、前記符号化処理部は、前記未来方向期間に対応付けられた部分番号ビット列までを上限として、前記番号ビット列を部分番号ビット列に符号化することを要旨とする。
【0017】
本発明の第4の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記符号化処理部は、前記部分番号ビット列を再送する際に、前記未来方向期間に対応付けられた部分番号ビット列までを上限として、前記番号ビット列を部分番号ビット列に符号化することを要旨とする。
【0018】
本発明の第5の特徴は、本発明の第1乃至第4の特徴に係り、前記部分番号ビット列は、パケット(例えば、パケットPy)に格納され、前記部分番号ビット列は、前記パケットと対応付けられることを要旨とする。
【0019】
本発明の第6の特徴は、本発明の第1乃至第4の特徴に係り、前記部分番号ビット列は、パケットに格納され、前記部分番号ビット列は、前記パケットに格納されるデータ列(データ列DB)と対応付けられることを要旨とする。
【0020】
本発明の第7の特徴は、伝達すべき番号ビット列の一部である部分番号ビット列を通信先から受信し、受信した前記部分番号ビット列、及び前記通信先と共有されている参照値を用いて、前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間を順次変えながら前記番号ビット列に復号化するとともに、前記部分番号ビット列の自動再送制御を実行する通信装置であって、前記期間は、正常に受信できた前記部分番号ビット列である最新部分番号ビット列を基準として、前記最新部分番号ビット列よりも後に前記通信先から送信される部分番号ビット列に対応付けられた未来方向期間と、前記最新部分番号ビット列よりも先に送信された部分番号ビット列に対応付けられた過去方向期間とで構成されており、前記過去方向期間は、前記未来方向期間以上の長さを有し、前記最新部分番号ビット列を基準として、少なくとも前記最新部分番号ビット列よりも前記過去方向期間について、前記復号化を行う復号化処理部を備えることを要旨とする。
【0021】
本発明の第8の特徴は、送信側の通信装置が、伝達すべき番号ビット列の一部である部分番号ビット列を符号化して送信し、受信側の通信装置が、受信した前記部分番号ビット列、及び前記送信側の通信装置とにおいて共有されている参照値を用いて、前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間を順次変えながら前記番号ビット列に復号化するとともに、前記部分番号ビット列の自動再送制御を実行する通信装置であって、前記受信側の通信装置が正常に受信できた前記部分番号ビット列である最新部分番号ビット列を基準として、前記最新部分番号ビット列よりも後に送信される部分番号ビット列に対応付けられた未来方向期間について、前記符号化を行う符号化処理部を備えることを要旨とする。
【0022】
本発明の第9の特徴は、本発明の第8の特徴に係り、前記未来方向期間は、前記受信側の通信装置が前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間の略半分の期間を占有するように構成され、前記符号化処理部は、前記未来方向期間に対応付けられた部分番号ビット列までを上限として、前記番号ビット列を部分番号ビット列に符号化することを要旨とする。
【0023】
本発明の第10の特徴は、本発明の第8の特徴に係り、前記符号化処理部は、前記部分番号ビット列を再送する際に、前記未来方向期間に対応付けられた部分番号ビット列までを上限として、前記番号ビット列を部分番号ビット列に符号化することを要旨とする。
【0024】
本発明の第11の特徴は、本発明の第7乃至第10の特徴に係り、前記部分番号ビット列は、パケットに格納され、前記部分番号ビット列は、前記パケットと対応付けられることを要旨とする。
【0025】
本発明の第12の特徴は、本発明の第7乃至第10の特徴に係り、前記部分番号ビット列は、パケットに格納され、前記部分番号ビット列は、前記パケットに格納されるデータ列と対応付けられることを要旨とする。
【0026】
本発明の第13の特徴は、前記送信装置が、伝達すべき番号ビット列の一部である部分番号ビット列に符号化して送信するステップと、前記受信装置が、受信した前記部分番号ビット列、及び前記送信装置と前記受信装置とにおいて共有されている参照値を用いて、前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間を順次変えながら前記番号ビット列に復号化するステップとを備え、前記送信装置と前記受信装置との間において、前記部分番号ビット列の自動再送制御が実行される通信方法であって、前記送信装置は、前記受信装置が正常に受信できた前記部分番号ビット列である最新部分番号ビット列を基準として、前記最新部分番号ビット列よりも後に送信される部分番号ビット列に対応付けられた未来方向期間について、前記符号化を行うステップ(t1)と、前記受信装置が、前記最新部分番号ビット列を基準として、少なくとも前記最新部分番号ビット列よりも先に前記送信装置から送信された部分番号ビット列に対応付けられた過去方向期間について、前記復号化を行うステップ(t2〜t3)とをさらに備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の特徴によれば、ARQなどの自動再送制御が用いられる場合において、LSBエンコーディングなど、本来伝達すべき番号ビット列の一部のみを送信する符号化方式を用いつつ、受信側においてより確実に当該番号ビット列に復号化する通信システム、通信装置及び通信方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0029】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0030】
(通信システムの全体概略構成)
図1は、本実施形態に係る通信システムの全体概略構成図である。図1に示すように、通信システム10は、無線端末100と無線基地局200とによって構成される。なお、通信システム10に含まれる無線端末100及び無線基地局200の数量は、図1に示す数量に限定されるものではない。
【0031】
通信システム10では、伝達すべき番号ビット列のうち、最下位ビット(LSB)からの規定ビット数の情報(部分番号ビット列)のみを送信するLSBエンコーディングが用いられる。具体的には、パケットに付加される13ビットシーケンス番号のうち、最下位ビット(LSB)から5ビットのみの情報、つまり、5ビットシーケンス番号がパケットのヘッダに格納されて送信される(図9参照)。
【0032】
さらに、通信システム10では、受信したパケットのヘッダに格納される5ビットシーケンス番号、及び無線端末100と無線基地局200とにおいて共有されている参照値(LastSendAckNum,LastAckPeer)を用いて、13ビットシーケンス番号に復号化することができる5ビットシーケンス番号の範囲である期間、具体的には、解釈期間(interpretation interval)を順次スライドさせるスライド窓(sliding window)方式が導入されている。
【0033】
また、通信システム10では、パケットの自動再送制御(ARQ)が実行される。
【0034】
(通信システムの機能ブロック構成)
図2は、無線端末100の機能ブロック構成図である。図3は、無線基地局200の機能ブロック構成図である。図2及び図3に示すように、無線端末100と無線基地局200とは、概ね同様の機能ブロック構成を有する。
【0035】
具体的には、無線端末100は、無線通信部101、再送制御部103、符号化・復号化処理部105、スライド窓制御部107及びパケット処理部109(RAM109aを含む)を備える。
【0036】
無線基地局200は、無線通信部201、再送制御部203、符号化・復号化処理部205、スライド窓制御部207及びパケット処理部209(RAM209aを含む)を備える。
【0037】
以下、無線端末100の各機能ブロックについて説明し、無線基地局200の各機能ブロックについては、説明を省略する。また、以下、本発明との関連がある部分について主に説明する。したがって、無線端末100及び無線基地局200は、当該装置としての機能を実現する上で必須な、図示しない或いは説明を省略したブロック(電源部など)を備える場合があることに留意されたい。なお、本実施形態では、無線端末100から無線基地局200への上り方向の通信を例として説明するが、無線基地局200から無線端末100への下り方向の通信も同様に実行される。
【0038】
無線通信部101は、無線基地局200と無線信号を送受信する。また、無線通信部101は、符号化・復号化処理部105と接続されており、パケットなどを含むベースバンド信号と無線信号との変復調処理を実行する。
【0039】
再送制御部103は、パケットの自動再送制御(ARQ)を実行する。当該ARQでは、送信側は、送信対象の最後のパケット(またはデータ列)に付加されるシーケンス番号をパケットのヘッダに格納し、当該パケットを送信する。受信側は、受信したパケットに格納されるデータ列のうち、欠落せずに連続している最後尾のデータ列を格納するパケットのシーケンス番号を、ackとして送信側に返送する。
【0040】
送信側は、既に送信したパケットのシーケンス番号よりも古いシーケンス番号、つまり、数値が小さいシーケンス番号をackとして受信した場合、ackとして受信したシーケンス番号に対応するデータ列を格納したパケットを再送する。受信側は、再送されたパケットによってデータ列の欠落部分を取得すると、最後尾のデータ列を格納したパケットのシーケンス番号を、ackとして送信側に返送する。
【0041】
符号化・復号化処理部105は、LSBエンコーディングに関する処理を実行する。具体的には、符号化・復号化処理部105は、パケット処理部109によって組み立てられたパケットに付加される13ビットシーケンス番号のうち、最下位ビット(LSB)から5ビットのみの情報、つまり、5ビットシーケンス番号をパケットのヘッダに格納する。
【0042】
また、符号化・復号化処理部105は、受信したパケットのヘッダに格納される5ビットシーケンス番号を13ビットシーケンス番号に復号化する。
【0043】
スライド窓制御部107は、スライド窓の制御を実行する。具体的には、スライド窓制御部107は、受信したパケットのヘッダに格納される5ビットシーケンス番号、及び無線端末100と無線基地局200とにおいて共有されている参照値を用いて、13ビットシーケンス番号に復号化することができる5ビットシーケンス番号の範囲である解釈期間を順次変える、具体的には、スライド窓制御部107は、解釈期間を順次スライドさせる。
【0044】
なお、無線端末100と無線基地局200とにおいて共有されている参照値とは、無線端末100と無線基地局200との間において、連携して更新される値であり、本実施形態では、LastSendAckNum及びLastAckPeer(図5(a)及び(b)参照)が参照値として用いられる。
【0045】
パケット処理部109は、パケットの組立及び分解処理を実行する。具体的には、パケット処理部109は、RAM109aにパケットに格納されるデータ列を記憶しながら、パケットの組立及び分解処理を実行する。
【0046】
(パケット構成)
次に、無線端末100及び無線基地局200が送受信するパケットの構成について説明する。図4(a)及び(b)は、無線端末100及び無線基地局200が送受信するパケットの構成図である。
【0047】
本実施形態では、パケットPx,Pyの長さは、固定(76ビット)である。パケットPx,Pyは、ヘッダHDとペイロードPLとによって構成されている。また、パケットPx,PyのヘッダHDは、表1のように規定される。
【0048】
【表1】
本実施形態では、図4(a)に示すように、13ビットシーケンス番号がヘッダHDに格納されるパケットPx、または図4(b)に示すように、13ビットシーケンス番号のうち、最下位ビット(LSB)から5ビットのみの情報、つまり、5ビットシーケンス番号がヘッダHDに格納されるパケットPyとが使い分けられる。
【0049】
本実施形態では、シーケンス番号(13ビットシーケンス番号,5ビットシーケンス番号)は、パケット(パケットPx,Py)と対応付けられる。
【0050】
パケットPxでは、ヘッダHDの長さは、27ビットである。一方、パケットPyでは、ヘッダHDの長さは、19ビットである。つまり、パケットPyでは、ヘッダHDの長さが8ビット分短くなっている。
【0051】
ペイロードPLは、パディングビットPBとデータ列DBとによって構成される。パディングビットPBは、データ列DBの開始位置を示すためのビットであり、ペイロードPLにおいて、最初の“1”までの部分である。つまり、パディングビットPBの長さは、可変である。
【0052】
パディングビットPBの直後にはデータ列DBが位置する。データ列DBでは、パディングビットPBの直後のビットが、最初のデータバイト(data byte 1)のMSBであり、パケットPx,Pyの最後尾ビットが、最後尾に位置するデータバイト(例えば、data byte6)のLSBである。
【0053】
図4(a)に示すように、13ビットシーケンス番号が用いられるパケットPxは、最大6バイトのデータを格納することができる。一方、図4(b)に示すように、5ビットシーケンス番号が用いられるパケットPyは、最大7バイトのデータを格納することができる。なお、パケットPx,Pyは、パディングビットPBのみによってペイロードPLが構成、つまり、データ列DBを含まないペイロードPLを構成することができる。パディングビットPBのみによってペイロードPLが構成されるパケットを、本実施形態では、“空データパケット”(図4(a),(b)の最下段参照)という。
【0054】
(RAMの使用形態)
次に、無線端末100のパケット処理部109を構成するRAM109a、及び無線基地局200のパケット処理部209を構成するRAM209aの使用形態について説明する。
【0055】
図5(a)及び(b)は、RAM109a及びRAM209aの使用形態を説明する説明図である。なお、ここでは、無線端末100が無線基地局200にパケットPyを送信する場合について説明する。
【0056】
無線端末100と無線基地局200とが論理的な通信路を確立した場合、送信側(無線端末100)及び受信側(無線基地局200)は、シーケンス番号(13ビットシーケンス番号,5ビットシーケンス番号)の初期値を“0”に設定する。
【0057】
送信側は以下の変数を管理する。
【0058】
・ LastSendNum: 既に送信した最後尾のパケットのシーケンス番号
・ LastAckPeer: ackとして受信したシーケンス番号
送信側は、LastAckPeerの次のシーケンス番号が付加されたパケットから、LastSendNumが付加されたパケットに格納されるペイロードPL(データ列DB)を、ack待ち送信データTDとしてRAM109aに記憶しておき、パケットの再送に備える。
【0059】
なお、シーケンス番号は、13ビットであるため、0〜8191までを表現することができる。シーケンス番号は、8191に到達すると、0に戻り、0〜8191の値が繰り返し用いられる。また、「最後尾」のパケット(またはデータ列)とは、最近に送信または受信したパケット(またはデータ列)をいう。
【0060】
送信側は、送信しようとしているパケットのシーケンス番号と、LastAckPeerとの差が、2(5−1)−1、つまり、15以内である場合、13ビットシーケンス番号ではなく、5ビットシーケンス番号を用いる。
【0061】
一方、受信側は、以下の変数を管理する。
【0062】
・ LastSendAckNum: 受信したパケットに格納されるデータ列のうち、欠落せずに連続している最後尾のデータ列を格納するパケットのシーケンス番号
・ LastReceiveNum: 受信した最後尾のデータ列を格納するパケットのシーケンス番号
なお、図5(b)において、受信済データRD1は、既に受信したペイロードPL(データ列DB)を示す。未受信データRD2は、未だ受信していないペイロードPL(データ列DB)を示す。
【0063】
(解釈期間)
次に、無線端末100及び無線基地局200が管理する解釈期間について説明する。図6は、本実施形態に係る解釈期間の構成を示す。上述したように、本実施形態では、LSBエンコーディングによって、5ビットシーケンス番号が用いられるため、解釈期間INTALLのサイズは、32(=25)となる。
【0064】
解釈期間INTALLには、未来方向期間INTFと、過去方向期間INTPとが設けられる。未来方向期間INTFは、無線基地局200が正常に受信できた5ビットシーケンス番号であるLastSendAckNum±0(最新部分番号ビット列)を基準として、LastSendAckNum±0よりも後に送信される5ビットシーケンス番号(LastSendAckNum±0〜LastSendAckNum+15)に対応付けられる。
【0065】
また、過去方向期間INTPは、LastSendAckNum±0を基準として、少なくともLastSendAckNum±0よりも先に送信された5ビットシーケンス番号(LastSendAckNum−16〜LastSendAckNum−1)に対応付けられる。すなわち、未来方向期間INTFは、解釈期間INTALLの略半分の期間を占有する。
【0066】
本実施形態では、符号化・復号化処理部105(符号化・復号化処理部205)は、未来方向期間INTFに対応付けられた5ビットシーケンス番号までを上限として、13ビットシーケンス番号を5ビットシーケンス番号に符号化する。すなわち、符号化・復号化処理部105(符号化・復号化処理部205)は、LastAckPeerに対して、15(=2(5−1)−1)を超えてLSBエンコーディングを実行しない。このため、受信側(例えば、無線基地局200)は、LastSendAckNumを基準として、15以上離れた5ビットシーケンス番号を受信することはない。つまり、受信側は、未来方向期間INTFを用いて、受信した5ビットシーケンス番号を必ず13ビットシーケンス番号に復号化できる。
【0067】
さらに具体的に説明すると、ack(LastSendAckNum)が送信側(例えば、無線端末100)に正常に返送されない場合でも、送信側が再送するパケットの5ビットシーケンス番号は、LastSendAckNum−16よりも現時点に近い値となることが保証される。つまり、受信側における解釈期間INTALLの範囲を逸脱する5ビットシーケンス番号が送信側によって再送されることはない。
【0068】
(通信システムの動作)
次に、通信システム10の動作について説明する。具体的には、無線端末100が5ビットシーケンス番号を格納するパケットPy(図4(b)参照)を無線基地局200に順次送信する動作について説明する。
【0069】
(1)本実施形態に係る動作
図7は、無線端末100と無線基地局200とにおいて実行される通信シーケンス図である。無線端末100と無線基地局200とは、図7に示す通信シーケンスの実行に先立って、論理的な通信路の確立を完了しているものとする。送信側(無線端末100)は、LastSendNum及びLastAckPeerの値を0に初期化する。また、受信側(無線基地局200)は、LastSendAckNum及びLastReceiveNumの値を0に初期化する。
【0070】
無線端末100は、5ビットシーケンス番号を格納するパケットP1を無線基地局200に送信する(タイミングt1)。パケットP1には、5ビットシーケンス番号として、13ビットシーケンス番号(00000000 00001)の下位5ビットを示す“00001”(図中のSN=00001参照、以下同)が付加される。なお、00001は、解釈期間INTALLのうち、未来方向期間INTF内に位置する。
【0071】
また、無線端末100は、パケットP1を送信すると、LastSendNumの値を更新する。具体的には、無線端末100は、LastSendNumの値を00000から00001に更新する。
【0072】
無線基地局200は、パケットP1を受信する(タイミングt2)。無線基地局200は、パケットP1を復号化し、パケットP1に含まれるデータ列DBを取得する。また、無線基地局200は、パケットP1を受信すると、無線基地局200における解釈期間INTALLを1つスライドさせる。この場合、無線基地局200は、LastReceiveNumの値を00000から00001に更新する。
【0073】
無線基地局200は、パケットP1を正常に復号化できた場合、パケットP1を正常に受信したことを示すack1を無線端末100に返送する(タイミングt3)。無線基地局200は、ack1を送信すると、LastSendAckNumの値を更新する。具体的には、無線端末100は、LastSendAckNumの値を00000から00001に更新する。
【0074】
無線端末100は、無線基地局200からack1を受信した場合、LastAckPeerの値を更新する(タイミングt4)。具体的には、無線端末100は、LastAckPeerの値を00000から00001に更新する。そして、この場合、無線端末100における未来方向期間INTFを1つスライドさせる。
【0075】
以下、パケットP1と同様に、パケットP2〜P5が、無線端末100から無線基地局200に送信される。
【0076】
ここで、ack4が無線区間において喪失したものとする。具体的には、以下の場合が想定される。まず、無線基地局200は、パケットP4を受信する(タイミングt5)。そして、無線基地局200は、LastReceiveNumの値を更新する。つまり、無線基地局200は、LastReceiveNumの値を00011から00100に更新する。
【0077】
無線基地局200は、パケットP4を受信することができたため、パケットP4を正常に受信したことを示すack4を無線端末100に返送するが、無線端末100は、ack4を受信できていない。
【0078】
次いで、無線基地局200は、パケットP5を受信する(タイミングt6)。無線基地局200は、パケットP5を受信すると、無線基地局200における解釈期間INTALLを1つスライドさせる。この結果、LastReceiveNumの値は、00100から00101に更新される。
【0079】
また、無線基地局200は、ack5を送信すると、LastReceiveNumと同様に、LastSendAckNumの値を更新する。
【0080】
一方、無線端末100は、ack4を受信していないため、ack5を受信してもLastAckPeerの値をスライドさせない。つまり、LastAckPeerの値は、ack3を受信した時点で更新された値00011が保持される。
【0081】
次いで、無線端末100は、無線基地局200からack4を受信していないため、パケットP4を無線基地局200に再送する(タイミングt7)。LastAckPeerの値は、ack3を受信した時点で更新された値00011が保持されているため、無線端末100は、再送するパケットP4の13ビットシーケンス番号(00000000 00100)を、5ビットシーケンス番号(00100)に符号化することができる。
【0082】
無線基地局200は、再送されたパケットP4を受信する(タイミングt8)。無線基地局200は、パケットP5を受信した時点(タイミングt6)において、既にLastReceiveNumの値を00101に更新しているが、本実施形態では、解釈期間INTALLが過去方向期間INTPにも設けられているため、無線基地局200は、パケットP4に付加されている5ビットシーケンス番号(00100)を13ビットシーケンス番号(00000000 00100)に誤りなく復号化できる。
【0083】
(2)従来例に係る動作
次に、図8及び図9を参照して、上述した本実施形態と比較するため、従来例に係る通信システムにおいて、無線端末が5ビットシーケンス番号を格納するパケットPy(図4(b)参照)を無線基地局に順次送信する動作について説明する。
【0084】
図8は、従来例に係る無線端末と無線基地局とにおいて実行される通信シーケンス図である。当該通信シーケンスでは、図7に示した本実施形態に係る無線端末100と無線基地局200との通信シーケンスと同様に、パケットP1〜P5が、無線端末から無線基地局に送信され、ack4が無線区間において喪失したものとする。
【0085】
タイミングt1〜t7までの動作は、本実施形態に係る無線端末100と無線基地局200と同様である。
【0086】
無線基地局は、再送されたパケットP4を受信する(タイミングt8)。無線基地局は、パケットP5を受信した時点(タイミングt6)において、既にLastReceiveNumの値を00101に更新している。従来例では、解釈期間INTALLが過去方向には設けられていない。
【0087】
このため、図9に示すように、無線基地局は、再送されたパケットP4に付加されている5ビットシーケンス番号(00100)を受信すると、保持しているLastReceiveNumの値(00101)よりも未来方向、つまり、00100よりも大きい値である100100(=36)であると認識する(図中の下線部参照)。この結果、無線基地局は、再送されたパケットP4を、36番目に送信されたパケットであると誤って認識してしまうのである。
【0088】
(3)パケットの再送に係る代替案の考察
上述した実施形態では、通信シーケンス全体において、5ビットシーケンス番号が用いられていたが、上述した従来例の問題を回避するため、パケットの再送時に限って、5ビットシーケンス番号ではなく13ビットシーケンス番号を用いる案が考えられる。
【0089】
しかしながら、当該方法では、次のような別の問題が発生する場合がある。すなわち、図10に示すように、5ビットシーケンス番号が付加されるパケットP10には、データ列DBに最大7バイト(databyte 1〜7)のデータを格納することができる。
【0090】
パケットP10を再送する場合に、5ビットシーケンス番号ではなく13ビットシーケンス番号を用いる場合、パケットP11のデータ列DBに格納できるデータは、最大6バイト(49ビット=ビット27〜75)である。このため、パケットP11には、7バイトのデータを格納することができない。そこで、パケットP11に格納できないデータ(databyte 7)は、パケットP11と別パケットであるパケットP12に格納しなければならない。
【0091】
つまり、13ビットシーケンス番号を用いてパケットP10を再送する場合、パケットP11及びパケットP12の2つのパケットを再送しなければならない。このため、再送に伴うデータのスループットが大きく低下しまう場合がある。例えば、フレーム誤り率(FER)の劣化によって、パケットが無線区間で多数喪失した場合、喪失したパケットの再送が多発することによってデータのスループットが大きくする低下する。このような状況が発生すると、LSBエンコーディングによってシーケンス番号を13ビットから5ビットに削減してデータのスループットを向上させたにもかかわらず、再送時のデータのスループットが大きく低下してしまう。
【0092】
本実施形態では、無線端末100(符号化・復号化処理部105)及び無線基地局200(符号化・復号化処理部205)は、パケットを再送する際にも、5ビットシーケンス番号を用い、未来方向期間INTFに対応付けられた5ビットシーケンス番号までを上限として、13ビットシーケンス番号を5ビットシーケンス番号に符号化する。このため、パケットの再送においても7バイトのデータを格納することができ、上述したようなデータのスループットの低下は発生しない。
【0093】
また、本実施形態では、パケットの再送時においても5ビットシーケンス番号が用いられるため、再送されるパケットにおいても送信時と同じシーケンス番号を用いることができる。
【0094】
(作用・効果)
通信システム10によれば、解釈期間INTALLには、LastSendAckNum±0(図6参照)よりも後に送信される5ビットシーケンス番号に対応付けられた未来方向期間INTFと、LastSendAckNum±0よりも先に送信された5ビットシーケンス番号に対応付けられた過去方向期間INTPとが設けられる。また、送信側は、未来方向期間INTFに対応付けられた5ビットシーケンス番号までを上限として、13ビットシーケンス番号を5ビットシーケンス番号に符号化する。
【0095】
このため、受信側における解釈期間INTALLの範囲を逸脱する5ビットシーケンス番号が送信側によって再送されることはない。すなわち、ARQによって5ビットシーケンス番号を格納するパケットが再送された場合でも、LastSendAckNum±0よりも先に送信された5ビットシーケンス番号に対応付けられた過去方向期間INTPが設けられているため、5ビットシーケンス番号を正しく13ビットシーケンス番号に復号化できる。
【0096】
本実施形態では、未来方向期間INTFは、解釈期間INTALLの略半分の期間を占有する。このため、ackを確認することなく送信できるパケット数(いわゆるアウトスタンディング数)を増やしつつ、パケットが再送された場合でも5ビットシーケンス番号を正しく13ビットシーケンス番号に確実に復号化できる。
【0097】
本実施形態では、パケットの再送時についても5ビットシーケンス番号が用いられるため、上述したような再送するパケット数の増加に伴ってデータのスループットが低下することを防止できる。
【0098】
(その他の実施形態)
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態が明らかとなろう。
【0099】
例えば、上述した実施形態では、シーケンス番号(13ビットシーケンス番号,5ビットシーケンス番号)は、パケットと対応付けられていたが、シーケンス番号は、パケットに含まれるデータ列DB、具体的には、data byte1〜7と対応付けてもよい。一般的に、パケットの再送時にペイロードPLのサイズが変わるような場合、data byte単位にシーケンス番号を対応付けることが好ましい。
【0100】
また、上述した実施形態では、未来方向期間INTFと過去方向期間INTPとは、略同一の期間であったが、過去方向期間INTPが、未来方向期間INTF以上の長さを有していればよい。
【0101】
さらに、上述した実施形態では、13ビットシーケンス番号と5ビットシーケンス番号とが用いられていたが、シーケンス番号に用いるビット数は、必ずしも13ビットと5ビットでなくても構わない。
【0102】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る通信装置(無線端末)の機能ブロック構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る通信装置(無線基地局)の機能ブロック構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る通信装置が送受信するパケットの構成図である。
【図5】本発明の実施形態に係る通信装置に備えられるRAMの使用形態を説明する説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係る解釈期間の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る通信装置間において実行される通信シーケンス図である。
【図8】従来例に係る通信装置間において実行される通信シーケンス図である。
【図9】13ビットシーケンス番号と5ビットシーケンス番号との関係を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る再送パケットの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
10…通信システム、100…無線端末、101…無線通信部、103…再送制御部、105…符号化・復号化処理部、107…スライド窓制御部、109…パケット処理部、109a…RAM、200…無線基地局、201…無線通信部、203…再送制御部、205…符号化・復号化処理部、207…スライド窓制御部、209…パケット処理部、209a…RAM、DB…データ列、HD…ヘッダ、INTALL…解釈期間、INTF…未来方向期間、INTP…過去方向期間、Px,Py…パケット、PB…パディングビット、PL…ペイロード、RD1…受信済データ、RD2…未受信データ、TD…ack待ち送信データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置が、伝達すべき番号ビット列の一部である部分番号ビット列に符号化して送信し、
受信装置が、受信した前記部分番号ビット列、及び前記送信装置と前記受信装置とにおいて共有されている参照値を用いて、前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間を変えながら前記番号ビット列に復号化するとともに、
前記部分番号ビット列の自動再送制御が実行される通信システムであって、
前記送信装置は、前記受信装置が正常に受信できた前記部分番号ビット列である最新部分番号ビット列を基準として、前記最新部分番号ビット列よりも後に送信される部分番号ビット列に対応付けられた未来方向期間について、前記符号化を行う符号化処理部を備え、
前記受信装置は、前記最新部分番号ビット列を基準として、少なくとも前記最新部分番号ビット列よりも先に前記送信装置から送信された部分番号ビット列に対応付けられた過去方向期間について、前記復号化を行う復号化処理部を備える通信システム。
【請求項2】
前記過去方向期間は、前記未来方向期間以上の長さである請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記受信装置が前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間は、前記未来方向期間と前記過去方向期間とで構成され、
前記未来方向期間は、前記受信装置が番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間の略半分の期間を占有し、
前記符号化処理部は、前記未来方向期間に対応付けられた部分番号ビット列までを上限として、前記番号ビット列を部分番号ビット列に符号化する請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記符号化処理部は、前記部分番号ビット列を再送する際に、前記未来方向期間に対応付けられた部分番号ビット列までを上限として、前記番号ビット列を部分番号ビット列に符号化する請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記部分番号ビット列は、パケットに格納され、
前記部分番号ビット列は、前記パケットと対応付けられる請求項1乃至4の何れか一項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記部分番号ビット列は、パケットに格納され、
前記部分番号ビット列は、前記パケットに格納されるデータ列と対応付けられる請求項1乃至4の何れか一項に記載の通信システム。
【請求項7】
伝達すべき番号ビット列の一部である部分番号ビット列を通信先から受信し、受信した前記部分番号ビット列、及び前記通信先と共有されている参照値を用いて、前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間を順次変えながら前記番号ビット列に復号化するとともに、
前記部分番号ビット列の自動再送制御を実行する通信装置であって、
前記期間は、正常に受信できた前記部分番号ビット列である最新部分番号ビット列を基準として、前記最新部分番号ビット列よりも後に前記通信先から送信される部分番号ビット列に対応付けられた未来方向期間と、前記最新部分番号ビット列よりも先に送信された部分番号ビット列に対応付けられた過去方向期間とで構成されており、
前記過去方向期間は、前記未来方向期間以上の長さを有し、
前記最新部分番号ビット列を基準として、少なくとも前記最新部分番号ビット列よりも前記過去方向期間について、前記復号化を行う復号化処理部を備える通信装置。
【請求項8】
送信側の通信装置が、伝達すべき番号ビット列の一部である部分番号ビット列を符号化して送信し、
受信側の通信装置が、受信した前記部分番号ビット列、及び前記送信側の通信装置とにおいて共有されている参照値を用いて、前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間を順次変えながら前記番号ビット列に復号化するとともに、
前記部分番号ビット列の自動再送制御を実行する通信装置であって、
前記受信側の通信装置が正常に受信できた前記部分番号ビット列である最新部分番号ビット列を基準として、前記最新部分番号ビット列よりも後に送信される部分番号ビット列に対応付けられた未来方向期間について、前記符号化を行う符号化処理部を備える通信装置。
【請求項9】
前記未来方向期間は、前記受信側の通信装置が前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間の略半分の期間を占有するように構成され、
前記符号化処理部は、前記未来方向期間に対応付けられた部分番号ビット列までを上限として、前記番号ビット列を部分番号ビット列に符号化する請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記符号化処理部は、前記部分番号ビット列を再送する際に、前記未来方向期間に対応付けられた部分番号ビット列までを上限として、前記番号ビット列を部分番号ビット列に符号化する請求項8に記載の通信装置。
【請求項11】
前記部分番号ビット列は、パケットに格納され、
前記部分番号ビット列は、前記パケットと対応付けられる請求項7乃至10の何れか一項に記載の通信装置。
【請求項12】
前記部分番号ビット列は、パケットに格納され、
前記部分番号ビット列は、前記パケットに格納されるデータ列と対応付けられる請求項7乃至10の何れか一項に記載の通信装置。
【請求項13】
前記送信装置が、伝達すべき番号ビット列の一部である部分番号ビット列に符号化して送信するステップと、
前記受信装置が、受信した前記部分番号ビット列、及び前記送信装置と前記受信装置とにおいて共有されている参照値を用いて、前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間を順次変えながら前記番号ビット列に復号化するステップと
を備え、
前記送信装置と前記受信装置との間において、前記部分番号ビット列の自動再送制御が実行される通信方法であって、
前記送信装置は、前記受信装置が正常に受信できた前記部分番号ビット列である最新部分番号ビット列を基準として、前記最新部分番号ビット列よりも後に送信される部分番号ビット列に対応付けられた未来方向期間について、前記符号化を行うステップと、
前記受信装置が、前記最新部分番号ビット列を基準として、少なくとも前記最新部分番号ビット列よりも先に前記送信装置から送信された部分番号ビット列に対応付けられた過去方向期間について、前記復号化を行うステップと
をさらに備える通信方法。
【請求項1】
送信装置が、伝達すべき番号ビット列の一部である部分番号ビット列に符号化して送信し、
受信装置が、受信した前記部分番号ビット列、及び前記送信装置と前記受信装置とにおいて共有されている参照値を用いて、前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間を変えながら前記番号ビット列に復号化するとともに、
前記部分番号ビット列の自動再送制御が実行される通信システムであって、
前記送信装置は、前記受信装置が正常に受信できた前記部分番号ビット列である最新部分番号ビット列を基準として、前記最新部分番号ビット列よりも後に送信される部分番号ビット列に対応付けられた未来方向期間について、前記符号化を行う符号化処理部を備え、
前記受信装置は、前記最新部分番号ビット列を基準として、少なくとも前記最新部分番号ビット列よりも先に前記送信装置から送信された部分番号ビット列に対応付けられた過去方向期間について、前記復号化を行う復号化処理部を備える通信システム。
【請求項2】
前記過去方向期間は、前記未来方向期間以上の長さである請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記受信装置が前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間は、前記未来方向期間と前記過去方向期間とで構成され、
前記未来方向期間は、前記受信装置が番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間の略半分の期間を占有し、
前記符号化処理部は、前記未来方向期間に対応付けられた部分番号ビット列までを上限として、前記番号ビット列を部分番号ビット列に符号化する請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記符号化処理部は、前記部分番号ビット列を再送する際に、前記未来方向期間に対応付けられた部分番号ビット列までを上限として、前記番号ビット列を部分番号ビット列に符号化する請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記部分番号ビット列は、パケットに格納され、
前記部分番号ビット列は、前記パケットと対応付けられる請求項1乃至4の何れか一項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記部分番号ビット列は、パケットに格納され、
前記部分番号ビット列は、前記パケットに格納されるデータ列と対応付けられる請求項1乃至4の何れか一項に記載の通信システム。
【請求項7】
伝達すべき番号ビット列の一部である部分番号ビット列を通信先から受信し、受信した前記部分番号ビット列、及び前記通信先と共有されている参照値を用いて、前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間を順次変えながら前記番号ビット列に復号化するとともに、
前記部分番号ビット列の自動再送制御を実行する通信装置であって、
前記期間は、正常に受信できた前記部分番号ビット列である最新部分番号ビット列を基準として、前記最新部分番号ビット列よりも後に前記通信先から送信される部分番号ビット列に対応付けられた未来方向期間と、前記最新部分番号ビット列よりも先に送信された部分番号ビット列に対応付けられた過去方向期間とで構成されており、
前記過去方向期間は、前記未来方向期間以上の長さを有し、
前記最新部分番号ビット列を基準として、少なくとも前記最新部分番号ビット列よりも前記過去方向期間について、前記復号化を行う復号化処理部を備える通信装置。
【請求項8】
送信側の通信装置が、伝達すべき番号ビット列の一部である部分番号ビット列を符号化して送信し、
受信側の通信装置が、受信した前記部分番号ビット列、及び前記送信側の通信装置とにおいて共有されている参照値を用いて、前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間を順次変えながら前記番号ビット列に復号化するとともに、
前記部分番号ビット列の自動再送制御を実行する通信装置であって、
前記受信側の通信装置が正常に受信できた前記部分番号ビット列である最新部分番号ビット列を基準として、前記最新部分番号ビット列よりも後に送信される部分番号ビット列に対応付けられた未来方向期間について、前記符号化を行う符号化処理部を備える通信装置。
【請求項9】
前記未来方向期間は、前記受信側の通信装置が前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間の略半分の期間を占有するように構成され、
前記符号化処理部は、前記未来方向期間に対応付けられた部分番号ビット列までを上限として、前記番号ビット列を部分番号ビット列に符号化する請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記符号化処理部は、前記部分番号ビット列を再送する際に、前記未来方向期間に対応付けられた部分番号ビット列までを上限として、前記番号ビット列を部分番号ビット列に符号化する請求項8に記載の通信装置。
【請求項11】
前記部分番号ビット列は、パケットに格納され、
前記部分番号ビット列は、前記パケットと対応付けられる請求項7乃至10の何れか一項に記載の通信装置。
【請求項12】
前記部分番号ビット列は、パケットに格納され、
前記部分番号ビット列は、前記パケットに格納されるデータ列と対応付けられる請求項7乃至10の何れか一項に記載の通信装置。
【請求項13】
前記送信装置が、伝達すべき番号ビット列の一部である部分番号ビット列に符号化して送信するステップと、
前記受信装置が、受信した前記部分番号ビット列、及び前記送信装置と前記受信装置とにおいて共有されている参照値を用いて、前記番号ビット列に復号化することができる部分番号ビット列の範囲である期間を順次変えながら前記番号ビット列に復号化するステップと
を備え、
前記送信装置と前記受信装置との間において、前記部分番号ビット列の自動再送制御が実行される通信方法であって、
前記送信装置は、前記受信装置が正常に受信できた前記部分番号ビット列である最新部分番号ビット列を基準として、前記最新部分番号ビット列よりも後に送信される部分番号ビット列に対応付けられた未来方向期間について、前記符号化を行うステップと、
前記受信装置が、前記最新部分番号ビット列を基準として、少なくとも前記最新部分番号ビット列よりも先に前記送信装置から送信された部分番号ビット列に対応付けられた過去方向期間について、前記復号化を行うステップと
をさらに備える通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−60850(P2008−60850A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234500(P2006−234500)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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