説明

通信システムおよびそれを用いる給電監視制御システム

【課題】遠隔検針を行うことができる給電監視制御システムにおいて、検針データを確実に送信しつつ、トラヒックを削減する。
【解決手段】ネットワークを管理するサーバ装置1に、多数の端局となるユニット電力計Tがツリー状に配列されて成り、前記各ユニット電力計Tが前記サーバ装置1に向けて定時発報するようにした給電監視制御システムにおいて、各ユニット電力計Tから定時発報されるデータをサーバ装置1側で通番管理し、番号が飛んでいると、不達と判断し、再送を要求する。また、随時送信すべきイベントデータを、次の定時発報のデータに合わせて再送信する。したがって、定時発報データやイベントデータにサーバ装置1が毎回ACKを返さなくてもよく、低レートであるPHSの通信回線に多数の端局が設置される状況でも、データを確実に送信しつつ、トラヒックを削減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを管理する管理装置に、ツリー状や直線状などに多くの端局が接続されて成る通信システムおよびそれを用いる給電監視制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
前記のような通信システムの典型的な従来技術は、特許文献1で示されている。その従来技術では、ガスのマイコンメータを自動通報装置から電話回線を介して監視センターに接続し、消費量が所定の範囲内であるか否かから、たとえば独居老人の生存を確認したり、未入居家屋でのガスの不正使用などを監視するようにした保安検針システムが提案されている。
【特許文献1】特開平6−243382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の従来技術は、電話回線を使用して、定時の検針は月1回であり、何らかの異常を検知したときに臨時発報するようになっている。したがって、ダイアル発呼して監視センターを呼出し、低レートの通信回線で検針データを送信し、その呼内で、受信されたら応答(ACK)を返し、受信できなかったら再送を要求するという、非常に時間のかかる作業であっても、検針タイミングを前記1ケ月の範囲で分散させれば、トラヒックが特に問題になることはない。
【0004】
しかしながら、その低レートの通信回線に多数の端局が設置され、検針間隔を短くするなどで定時発報が頻繁に行われる状況となると、トラヒックの増加が問題になる。
【0005】
本発明の目的は、低レートの通信回線に多数の端局が設置される状況でも、データを確実に送信しつつ、トラヒックを削減することができる通信システムおよびそれを用いる給電監視制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の通信システムは、管理装置に複数の端局を備えて成り、前記各端局が前記管理装置に向けて、定時および随時に、第1および第2のデータをそれぞれ発報するようにした通信システムにおいて、前記端局は、前記第1および第2のデータを取得するデータ取得手段と、通信手段と、前記データ取得手段で取得された第1および第2のデータを、それらのデータにそれぞれ予め定められる前記定時または随時のタイミングで、前記通信手段に発報させるとともに、前記随時に発報すべき第2のデータが発生した後は、その次の定時に発報すべき第1のデータに、前記随時に発報した第2のデータを併合して、実際に発報すべきデータを作成し、前記通信手段に発報させる通信制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
上記の構成によれば、ネットワークを管理する管理装置に、多数の端局がツリー状や直線状に配列されて成り、前記各端局が前記管理装置に向けて、定時および随時に、第1および第2のデータをそれぞれ発報するようにした通信システムにおいて、随時に発報すべき第2のデータが発生した後は、その次の定時に発報すべき第1のデータに、前記随時に発報した第2のデータを併合して送信する。前記管理装置は、定時発報される第1のデータを、受信時刻や通番で管理し、不達のデータが存在すると、適宜再送要求などを発生する。
【0008】
したがって、前記管理装置が、前記定時発報される第1のデータだけでなく、随時発報される第2のデータにも、受信のたびにACKを返さなくても、該管理装置は、不達のデータがないかを、前記定時発報される第1のデータの欠落から判断することができるので、低レートの通信回線に多数の端局が設置される状況でも、データを確実に送信しつつ、トラヒックを削減することができる。
【0009】
また、本発明の通信システムでは、前記端局は、前記データ取得手段で取得された第1のデータを記憶している記憶手段と、自己診断手段とをさらに有し、前記自己診断手段で異常発生が検知されると、前記通信制御手段は、前記自己診断手段で最終の正常判定が行われて以降の第1のデータを前記記憶手段から読出し、データに事故フラグを添付して再送することを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、管理装置側で、検針データなどの第1のデータの内で、前記事故フラグから信憑性の低いデータを認識することができ、課金処理など、後の処理に反映し、サービスの向上に役立てることができる。
【0011】
好ましくは、前記各端局から管理装置へ伝送される第1のデータはセンシングデータであり、前記管理装置から各端局へは制御データが伝送されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の通信システムでは、前記通信手段は、PHS(Personal Handyphone System)トランシーバモードで通信を行うことを特徴とする。
【0013】
上記の構成によれば、PHSのような無線通信では、低レートの通信回線に多数の端局が設置されるので、本発明のようにデータを確実に送信しつつ、トラヒックを削減することができる手法は、特に好適である。
【0014】
さらにまた、本発明の給電監視制御システムは、前記の通信システムにおいて、各端局に、センシングデータを取得する電力量計および制御データに応答して開閉制御を行う負荷開閉器が併設されて成ることを特徴とする。
【0015】
上記の構成によれば、管理装置は、各端局がどのように配列されているかを表すルートテーブルを保持して、各端局から定期的に電力量計のセンシングデータを取得し、必要に応じて各端局を介して負荷開閉器を制御することができる。
【0016】
したがって、時間帯別の使用電力量の集計や、入退居に伴う給停電を、作業者が直接契約家庭や事業所に出向くことなく、電力会社の営業所などで遠隔にて行うことができる。これによって、細かな料金体系を採用したり、課金や給停電を速やかに行うことができ、電力会社において、顧客サービスを向上することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の通信システムは、以上のように、ネットワークを管理する管理装置に、多数の端局がツリー状や直線状に配列されて成り、前記各端局が前記管理装置に向けて、定時および随時に、第1および第2のデータをそれぞれ発報するようにした通信システムにおいて、随時に発報すべき第2のデータが発生した後は、その次の定時に発報すべき第1のデータに、前記随時に発報した第2のデータを併合して送信する。
【0018】
それゆえ、前記管理装置が、前記定時発報される第1のデータだけでなく、随時発報される第2のデータにも、受信のたびにACKを返さなくても、該管理装置は、不達のデータがないかを、前記定時発報される第1のデータの欠落から判断することができるので、低レートの通信回線に多数の端局が設置される状況でも、データを確実に送信しつつ、トラヒックを削減することができる。
【0019】
さらにまた、本発明の給電監視制御システムは、以上のように、前記の通信システムにおいて、各端局に、センシングデータを取得する電力量計および制御データに応答して開閉制御を行う負荷開閉器を併設して成る。
【0020】
それゆえ、時間帯別の使用電力量の集計や、入退居に伴う給停電を、作業者が直接契約家庭や事業所に出向くことなく、電力会社の営業所などで遠隔にて行うことができる。これによって、細かな料金体系を採用したり、課金や給停電を速やかに行うことができ、電力会社において、顧客サービスを向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、本発明の実施の一形態に係る給電監視制御システムの全体構成を示すブロック図である。この給電監視制御システムは、電力会社の営業所などに設置されるサーバ装置1と、そのサーバ装置1と社内光ファイバ網などのネットワーク2を介して接続される1または複数のゲートウエイGWa,GWb,GWc,・・・(総称するときは、以下参照符号GWで示す)と、前記各ゲートウエイGWから最下位の末端局であるユニット電力計T1−1,T1−2,T1−3,・・・まで、複数の階層を備えるツリー状に配列される前記ユニット電力計T1−1,T1−2,T1−3,・・・;T2−1,T2−2,・・・;T3−1,T3−2,・・・(総称するときは、以下参照符号Tで示す)とを備えて構成される。
【0022】
端局となる各ユニット電力計Tは、本願出願人が先に特開2006−292442号公報や特開2006−170787号公報で提案したような構造に類似しており、たとえば図2で示すように構成される。すなわち、宅内の各配電線が接続される端子台6側から、負荷開閉器3、電力量計4および無線通信装置5が配列されて構成されている。前記電力量計4は、積算電力量を予め定める周期、たとえば30分毎に検針し、センシングデータであるその検針データを、無線通信装置5が、各ユニット電力計Tに予め設定されたタイミングに、自機の属するゲートウエイGWへ向けて送信し、集約されてサーバ装置1に入力される。一方、サーバ装置1からは、負荷開閉器3の開閉や、不達検針データを再送させるバックアップ検針などを行わせるための制御データが、必要に応じて、ゲートウエイGWを介して各無線通信装置5へ向けて送信される。
【0023】
前記サーバ装置1は、各ユニット電力計Tがどのように配列されているかを表す図1で示すようなルートテーブルを保持しており、上述のようにしてそれぞれに内蔵する無線通信装置5から定期的に電力量計4の検針データを取得し、必要に応じて各無線通信装置5を介して負荷開閉器3を制御することができるようになっており、時間帯別の使用電力量の集計や、入退居に伴う給停電を、作業者が直接契約家庭や事業所に出向くことなく、電力会社の営業所などで遠隔にて行うことができる。これによって、細かな料金体系を採用したり、課金や給停電を速やかに行うことができ、電力会社において、顧客サービスを向上することができるようになっている。
【0024】
各ユニット電力計Tにおいて、前記無線通信装置5には、PHS(Personal Handyphone System)トランシーバモードで無線通信を行う装置を用い、以下のようにして通信動作を行う。前記PHSトランシーバモードでは、見通し可能な場合、半径150〜200mの範囲で通信可能となり、各無線通信装置5は、隣接する無線通信装置だけでなく、場合によっては、直接ゲートウエイGWと通信を行うことも可能になる。
【0025】
図3は、無線通信装置5の一構成例を示すブロック図である。この無線通信装置5は、通信手段である前記PHSの無線機11と、その通信を制御し、発報データを作成する無線通信制御部12と、タイマ13と、通信に必要なパラメータを記憶しているメモリ14と、前記メモリ14の内容の一部を設定することができる入力操作部15と、自己診断部16と、電力量計4から検針データを受信するインタフェイス21と、前記負荷開閉器3へ制御データを送信するインタフェイス22と、それらの電力量計4および負荷開閉器3との通信を制御し、データ取得手段である機内通信制御部23と、前記検針データをバックアップ記憶しておくデータメモリ24とを備えて構成される。
【0026】
一方、図4は、管理装置であるサーバ装置1の一構成例を示すブロック図である。サーバ装置1は、入力操作部51と、端局となる各ユニット電力計Tの電力量計4から検針データを収集するとともに、負荷開閉器3を制御するユニット制御部52と、その検針データや負荷の制御状況を記憶しているデータベース53と、前記ネットワーク2に接続され、ゲートウエイGWから各ユニット電力計Tと通信を行い、第2の通信手段であるインタフェイス54とを備えて構成される。
【0027】
前記ゲートウエイGWは、前記図3で示す無線通信装置5の構成において、電力量計4および負荷開閉器3との通信を制御する機内通信制御部23、インタフェイス21,22およびデータメモリ24に代えて、ネットワーク2と通信を行う通信制御部およびインタフェイスを備えて構成される。
【0028】
上述のように構成される給電監視制御システムにおいて、各無線通信装置5は、前記入力操作部15から設定され、前記メモリ14に、自機の電話番号♯01を有するとともに、前記検針データを転送する上位の相手(発呼)先の電話番号♯11と、緊急の制御時に使用されるもう1つの電話番号♯12とを有する。前記電話番号♯11は前記ルートテーブルの階層に従う自機に隣接するユニット電力計の電話番号であり、もう1つの電話番号♯12は少なくとも一部のユニット電力計で前記階層を超越する自機に直接は隣接しないユニット電力計の電話番号である。
【0029】
具体的には、図1の例では、最下位の末端局であるユニット電力計T1−1,T1−2,T1−3,T1−4,T1−5;T1−11,T1−12(総称するときは、以下参照符号T1で示す)には、それぞれ前記電話番号♯01として、a−300,a−310,a−320,a−330,a−340;b−300,b−310が、入力操作部15から予め登録されている。そして、電話番号♯11には、それぞれ1つ上位の局であるユニット電力計T2−2,T2−4,T2−6,T2−8,T2−10;T2−12,T2−14の電話番号a−120,a−140,a−160,a−180,a−200;b−120,b−140が予め登録されている。
【0030】
これに対して、前記緊急時に使用される電話番号♯12には、それぞれ2つ以上上位の局であるユニット電力計の電話番号、たとえばユニット電力計T1−11,T1−12では、T4−11,T3−12の電話番号b−30,b−80が、前記入力操作部15から予め登録されている。なお、この電話番号♯12は、予め設定されていなくても、電界強度のモニタリングによって、周囲のユニット電力計の電話番号および階層を検知し、自機と比べ、より上位のユニット電力計の電話番号を自立的に検索して設定するようにしてもよい。
【0031】
このように構成される無線通信装置5において、先ず通常状態では、無線通信制御部12は、タイマ13で規定されたタイミングτ1に、データメモリ24に格納しておいた自機の電力量計4からの検針データを読出し、それに前記メモリ14の電話番号♯01に格納されている自機の電話番号、たとえば前記ユニット電力計T3−12ではb−80を付加して、定時に発報すべき第1のデータである検針データを作成し、無線機11から、前記電話番号♯11に格納されている自機に隣接する上位側の無線通信装置の電話番号、たとえば前記ユニット電力計T3−12ではユニット電力計T4−11のb−30に発呼させて送信を行う。これに対して、無線機11で受信された下位側からの検針データには、無線通信制御部12は、さらに自機の電話番号を付加して送信すべきデータを作成し、無線機11から、前記電話番号♯11に格納されている無線通信装置の電話番号に発呼させて中継送信を行う。
【0032】
一方、タイマ13で規定されたタイミングτ2、たとえば毎時0分および30分には、機内通信制御部23が前記インタフェイス21を介して積算電力量の検針データを取得し、データメモリ24に格納する。このデータメモリ24に格納されるデータは、たとえば図3において参照符号24aで示すようなものであり、その記憶(バックアップ)容量は、検針データを、たとえば40日分蓄積可能な容量に選ばれる。サーバ装置1側のデータベース53には、需要家毎の検針データや、後述する負荷の制御状況、給停電の状況などが、さらに長期間分、格納されている。
【0033】
これに対して、前記負荷開閉器3から開閉制御の結果や後述するバックアップ検針データなどの緊急(随時)に発報すべき第2のデータであるイベントデータが発生すると、無線通信制御部12は、それらのデータに、電話番号♯01に格納されている自機の電話番号を付加して送信データを作成し、無線機11に、メモリ14に前記電話番号♯12として格納されている自機に隣接していないジャンプ先の無線通信装置の電話番号、たとえば前記ユニット電力計T1−12ではユニット電力計T3−12のb−80で発呼させて送信を行う。このとき、PHSトランシーバモードでは、1:1の通信しか行えないので、既にそのジャンプ先のユニット電力計T3−12が話中であるときには、前記無線通信制御部12は、通信が終了すると想定されるまでの間待機した後、前記緊急時のデータを送信する。すなわち、各無線通信装置5は、1回の通信を15秒以内で終えるようになっており、前記ジャンプ送信ができなかった場合、再試行を5秒間隔で3回行うことで、前記ジャンプ送信を実現する。
【0034】
そのイベントデータを無線機11で受信したユニット電力計T3−12の無線通信制御部12は、前記無線機11に自機のメモリ14に前記電話番号♯12として格納されているゲートウエイGWbに即座に発呼させて転送を行う。こうして、下位側からの緊急時のイベントデータを、最小限の中継回数で速やかに伝送することが可能になっている。
【0035】
また、サーバ装置1からの、たとえば前記入退居に伴う給停電(負荷開閉器3の開閉制御)やバックアップ検針データの送信要求などの緊急の制御データは、ユニット制御部52からインタフェイス54を介して送信され、ゲートウエイGWbを経由して、その制御データに格納されている前記ユニット電力計T3−12の電話番号b−80に発呼されて送信が行われる。これを受信したユニット電力計T3−12の無線通信装置5の通信制御部12は、同様に制御データ中に格納されている前記ユニット電力計T1−12の電話番号b−310に発呼させて転送を行う。制御データを受信した前記ユニット電力計T1−12の機内通信制御部23は、前記インタフェイス22を介して、前記負荷開閉器3の開閉制御を行い、或いは不達となった検針データをメモリ24から読出して、前記無線機11にバックアップ送信させる。こうして、上位側からの緊急時のイベントデータも、最小限の中継回数で速やかに伝送することが可能になっている。
【0036】
一方、各需要家の負荷開閉器3を所定の時間に制御するための制御データ等、急ぎでない制御データの場合も、そのヘッダ部分に、前記ルートテーブルに従い、途中に経由すべき無線通信装置の電話番号が総て記載されており、無線通信制御部12は、前記ユニット制御部52から自機に届いた制御データを解析し、次に送信すべき無線通信装置の電話番号に発呼することで転送を行う。たとえば、前記ユニット電力計T4−11で中継されたサーバ装置1からの制御データは、任意のタイミングで、次の階層のユニット電力計T3−11とT3−12との内、データに従って、たとえばT3−12に転送されることになる。
【0037】
このようにして、定時の検針データの収集や制御データの配信を規則的にかつ短時間で行うことができるとともに、緊急時や異常時などでは、速やかにイベントデータを伝送することが可能になっている。また、各無線通信装置5のメモリ14には、隣接する上位の無線通信装置の電話番号♯11やジャンプ先の上位の無線通信装置の電話番号♯12を記憶しておくだけで、前記ツリー全体のルートテーブルを備えていなくてもよく、記憶容量を小さくすることができるとともに、ルート変更も容易である。
【0038】
注目すべきは、本発明の給電監視制御システムでは、各ユニット電力計Tの無線通信制御部12は、前記メモリ24に記憶されている定時検針データをタイミングτ1で読出して無線機11から送信(発報)するにあたって、その定時検針データに通し番号を付して、実際に発報すべきデータを作成することである。たとえば、ユニット電力計T1−1の場合、作成される発報データは、図5で示すようになる。図5において、データD1は前記メモリ14に電話番号♯11として格納されていた上位のユニット電力計T2−2の電話番号であり、データD2は前記メモリ14に電話番号♯01として格納されていた自機の電話番号であり、データD3は検針日時分を示すデータであり、データD4は検針データであり、データD5は冗長フレームであり、D6は追加される通し番号である。
【0039】
そして、前記サーバ装置1のユニット制御部52は、インタフェイス54を介して受信されたデータを、需要家(電話番号)毎に、データベース53に格納してゆくとともに、集計したり、制御に反映したりする等、所望の形態に処理する。このとき、前記ユニット制御部52は、受信されたデータの前記通し番号を確認し、欠落が生じているときには、該当するユニット電力計の無線通信制御部12へ、インタフェイス54から再送要求をジャンプ送信する。前記再送要求を受信したユニット電力計の無線通信制御部12は、前記メモリ24から該当部分の検針データを再度読出し、ジャンプ送信する。なお、前記通し番号の代りに、時刻情報など、データの欠落が判定可能なパラメータであれば、他のパラメータが用いられてもよい。
【0040】
また、注目すべきは、本発明の給電監視制御システムでは、各ユニット電力計Tの無線通信制御部12は、上述のような負荷制御の結果や、落雷による停電や復電などのイベントデータが発生した場合には、その都度送信されるが、次に送信される定時検針データに併合して(前記冗長フレームD5に挿入して)、その定時検針データと同じフレーム内で再送信されることである。前記イベントデータとしては、他には自機の時計(タイマ13)のずれなどであり、たとえば自己診断部16で診断することができ、その診断結果の一例を参照符号16aで示す。
【0041】
図6および図7は、そのような発報動作を説明するための図である。この図6の例では、定時発報の時刻である15:00に検針データを送信し、それがサーバ装置1まで到達して正常に受信されている。一方、次の30分検針データの定時発報時刻である15:30の前に、15:20に停電が発生し、15:25に復電したことが自己診断部16で検知されている。そして、その停電/復電のイベントデータを、無線通信制御部12は、イベント発生の都度送信するとともに、次の前記15:30の定時発報データに添付して送信する。
【0042】
しかしながら、それらはPHS回線の不良や、中継ユニットの不良などでサーバ装置1まで到達せず、サーバ装置1のユニット制御部52は、次の16:00の定時発報データを受信すると、通し番号に飛びを生じていることから、先ず15:30の定時発報データの不達を検知し、該当端局のユニット電力計に、前記15:30の定時発報データの再送をジャンプ送信で要求する。これに応答して、該当端局のユニット電力計の無線通信制御部12は、前記停電/復電のイベントデータを含む前記15:30の定時発報データをジャンプ送信で再送する。こうして、サーバ装置1では、該当端局のユニット電力計の停電/復電までも確実に検知し、前記データベース53に格納されて、たとえば停電が長引いた場合に基本料金の値引きを行うなど、データを利用した処理を行うことができる。
【0043】
ここで、サーバ装置1が待ち時刻による管理を行うことで、前記15:30の定時発報データの不達をリアルタイムで検知し、再送を要求することも可能になる。しかしながら、通信異常のために不達となっていることから、不達検知とともにむやみに再送要求を行うと、通信トラフィックの増加を招くので、上述のように後続のデータの到達を確認した後に、不達データの再送を要求することが望ましい。
【0044】
また、図7の例では、同様に、定時発報の時刻である15:00に検針データを送信し、それがサーバ装置1で正常に受信されている。しかしながら、サーバ装置1からの制御データを受信するなどして、自機の時計(タイマ13)が15:15の時点で、自己診断部16がそのずれを検知し、正しい時刻の15:25に修正し、そのタイミングで時刻修正のイベントデータがジャンプ送信されている。しかしながら、前記PHS回線の不良や、中継ユニットの不良などでサーバ装置1まで到達せず、15:30の次の定時発報データに前記時刻修正のイベントデータが添付されるものの、これも不達になっている。
【0045】
サーバ装置1のユニット制御部52は、その次の16:00の定時発報データを受信すると、通し番号に飛びを生じていることから、前記15:30の定時発報データの不達を検知し、該当端局のユニット電力計に、前記15:30の定時発報データの再送をジャンプ送信で要求する。これに応答して、該当端局のユニット電力計の無線通信制御部12は、前記時刻修正のイベントデータを含む前記15:30の定時発報データをジャンプ送信で再送する。
【0046】
すると、サーバ装置1のユニット制御部52は、時刻修正があったことで、以前に受信した検針データの信憑性が疑われることから、時計(タイマ13)の前回更新時以降の検針データのバックアップ送信をジャンプ送信で要求する。これに応答して、該当端局のユニット電力計の無線通信制御部12は、該当期間の検針データに、前記冗長フレームD5に事故フラグを設定して送信する。そして、たとえば前記事故フラグが付加されているデータは、直接的に課金に用いるのではなく、参考データとして用いるなどの、そのデータの信憑性に対応した処理を行うことができる。
【0047】
以上のように、本実施の形態の給電監視制御システムは、ネットワークを管理するサーバ装置1に、多数の端局となるユニット電力計Tがツリー状に配列されて成り、前記各ユニット電力計Tが前記サーバ装置1に向けて定時発報するようにした無線通信システムにおいて、ユニット電力計Tから定時発報されるデータをサーバ装置1側で通番管理し、番号が飛んでいると、不達と判断し、再送を要求するので、定時発報データにサーバ装置1が毎回ACKを返さなくてもよく、低レートであるPHSの通信回線に多数の端局が設置される状況でも、データを確実に送信しつつ、トラヒックを削減することができる。
【0048】
また、前記ユニット電力計Tにおいて、自己診断部16や機内通信制御部23などで、任意に発生するイベントデータの発生を検知した場合には、無線通信制御部12は、都度ジャンプ送信するとともに、次の定時発報データに付加して送信することで、不定期のイベントデータが発生した場合にも、ACK無しで、確実な送信を実現することができる。
【0049】
さらにまた、前記ユニット電力計Tは、自己診断部16を有し、当該自己診断部16が時計異常の発生を検知すると、無線通信制御部12は、最終の正常判定が行われて以降のデータに事故フラグを添付して再送するので、サーバ装置1側で、検針データの内、信憑性の低いデータを認識することができ、課金処理など、後の処理に反映し、サービスの向上に役立てることができる。
【0050】
なお、上記実施形態では、管理装置が、サーバ装置1とゲートウエイGWとから成る例を示した。これは、管理装置の一例であり、複数のサーバ装置を備えている管理装置、ゲートウエイGWを使用していない管理装置等であってもよい。また、端局である各ユニット電力計T間の無線通信方式としてPHSを例示したが、他の無線通信方式を採用することもできる。たとえば、無線LANを構成しているサーバとクライアントに、本発明を適用することも可能である。さらに、無線通信方式ではなく、有線通信方式を採用してもよい。さらにまた、上記実施形態では、端局である各ユニット電力計Tは、複数の階層を備えたツリー状にネットワーク接続されている例を示した。これに代えて、各ユニット電力計Tが個別にサーバ装置1へ接続されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の一形態に係る給電監視制御システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】前記給電監視制御システムに用いられるユニット電力計の一構成例を示す正面図である。
【図3】前記ユニット電力計における無線通信装置の一構成例を示すブロック図である。
【図4】サーバ装置の一構成例を示すブロック図である。
【図5】定時発報される検針データの概略構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の一形態の定時発報動作を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の他の形態の定時発報動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0052】
1 サーバ装置
2 ネットワーク
3 負荷開閉器
4 電力量計
5 無線通信装置
6 端子台
11 無線機
12 無線通信制御部
13 タイマ
14,24 メモリ
15,51 入力操作部
16 自己診断部
21,22,54 インタフェイス
23 機内通信制御部
52 ユニット制御部
53 データベース
T1−1〜T1−5,T1−11,T1−12 ユニット電力計
T2−1〜T2−10,T2−11〜T2−14 ユニット電力計
T3−1〜T3−5,T3−11,T3−12 ユニット電力計
T4−1〜T4−4,T4−11,T4−12 ユニット電力計
T5−1,T5−2,T5−11,T5−12 ユニット電力計
GWa,GWb,GWc,・・・ ゲートウエイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理装置に複数の端局を備えて成り、前記各端局が前記管理装置に向けて、定時および随時に、第1および第2のデータをそれぞれ発報するようにした通信システムにおいて、
前記端局は、
前記第1および第2のデータを取得するデータ取得手段と、
通信手段と、
前記データ取得手段で取得された第1および第2のデータを、それらのデータにそれぞれ予め定められる前記定時または随時のタイミングで、前記通信手段に発報させるとともに、前記随時に発報すべき第2のデータが発生した後は、その次の定時に発報すべき第1のデータに、前記随時に発報した第2のデータを併合して、実際に発報すべきデータを作成し、前記通信手段に発報させる通信制御手段とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記端局は、
前記データ取得手段で取得された第1のデータを記憶している記憶手段と、
自己診断手段とをさらに有し、
前記自己診断手段で異常発生が検知されると、前記通信制御手段は、前記自己診断手段で最終の正常判定が行われて以降の第1のデータを前記記憶手段から読出し、データに事故フラグを添付して再送することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記各端局から管理装置へ伝送される第1のデータはセンシングデータであり、前記管理装置から各端局へは制御データが伝送されることを特徴とする請求項1または2記載の通信システム。
【請求項4】
前記通信手段は、PHSトランシーバモードで通信を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記請求項1〜4のいずれか1項に記載の通信システムにおいて、各端局に、センシングデータを取得する電力量計および制御データに応答して開閉制御を行う負荷開閉器が併設されて成ることを特徴とする給電監視制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−188934(P2009−188934A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29486(P2008−29486)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000204424)大井電気株式会社 (25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】