通信システム及び通信方法。
【課題】複数の識別情報に対応した各通信サービスを移動局に対して流動的に提供でき、利便性を向上できる通信システム及び通信方法を提供する。
【解決手段】移動局から受け付ける第1の識別情報または第2の識別情報に対応して、それぞれ第1の通信サービスまたは第2の通信サービスを提供するための通信制御を行うノード4と、第1の識別情報と第2の通信サービスの利用を要求する利用登録要求とを移動局から受け付けたときに、第1の識別情報に対応付けて第2の通信サービスの利用登録情報を記憶するサービス状態記憶部50とを備え、ノード4は、第1の識別情報に加えて第2の識別情報の利用要求を受け付けたときに、サービス状態記憶部50に第1の識別情報に対応する利用登録情報が記憶されている場合には、第1の通信サービスに代えて第2の通信サービスを提供するための通信制御を行う。
【解決手段】移動局から受け付ける第1の識別情報または第2の識別情報に対応して、それぞれ第1の通信サービスまたは第2の通信サービスを提供するための通信制御を行うノード4と、第1の識別情報と第2の通信サービスの利用を要求する利用登録要求とを移動局から受け付けたときに、第1の識別情報に対応付けて第2の通信サービスの利用登録情報を記憶するサービス状態記憶部50とを備え、ノード4は、第1の識別情報に加えて第2の識別情報の利用要求を受け付けたときに、サービス状態記憶部50に第1の識別情報に対応する利用登録情報が記憶されている場合には、第1の通信サービスに代えて第2の通信サービスを提供するための通信制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を行う通信システム及び通信方法に関し、例えば、移動局の呼び接続方式を制御するための通信システム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般の移動通信方式において利用者は、通信事業者の提供する通信サービスを享受するために通信事業者との間で契約を取り交わす必要がある。利用者は、その契約内容に応じて、所定の通信サービスの提供を受けることができる。通信事業者は、通信サービスを提供する際に利用者を識別する必要があり、利用者識別情報などの識別情報によって通信サービスの提供先である利用者を識別する。通常、一つの移動局に対して一つの識別情報が与えられている(特許文献1参照)。利用者は、二つの識別情報を使用して異なる二種類の通信サービスを享受したい場合には、2台の移動局を使用するか、または、1台の移動局で二つの識別情報を使用可能とする設定を事前に通信事業者に申し込む必要があった。
【特許文献1】特開2006−244420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の無線接続方式では、識別情報によって特定される移動局ごとにサービス状態の管理や位置情報の管理を行っている。そのため、例えば、移動局に不具合が生じて利用困難な状態になると、その移動局によって利用していた通信サービスを別の移動局によって利用することは難しくなり、通信サービスを提供する上での流動的な運用は非常に困難であり、利便性の向上を図りにくかった。
【0004】
そこで、本発明は、識別情報に対応する通信サービスを流動的に提供でき、利便性を向上できる通信システム及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、本発明の通信システムは、移動局から受け付ける第1の識別情報または第2の識別情報に対応して、それぞれ第1の通信サービスまたは第2の通信サービスを提供するための通信制御を行う通信制御手段を備える通信システムであって、第1の通信サービスの代わりに第2の通信サービスの利用を要求する利用登録要求と第1の識別情報とを移動局から受け付けたときに、第2の通信サービスを提供するための利用登録情報を第1の識別情報に対応付けて記憶するサービス状態記憶手段を備え、通信制御手段は、第2の通信サービスの利用を要求する利用要求と第1の識別情報とを移動局から受け付けたときに、サービス状態記憶手段に利用登録情報が記憶されている場合には、第1の通信サービスに代えて第2の通信サービスを提供するための通信制御を行うことを特徴とする。
【0006】
この通信システムでは、通信制御手段が、第1の識別情報を受け付けたときには第1の通信サービスを提供するための通信制御を行い、第2の識別情報を受け付けたときには第2の通信サービスを提供するための通信制御を行う。さらに、第1の識別情報と第2の通信サービスの利用登録要求とを移動局から受け付けたときに、サービス状態記憶手段は、第1の通信サービスに代えて、第2の通信サービスを提供するための利用登録情報を第1の識別情報に対応付けて記憶する。そして、第1の識別情報に対応して第2の通信サービスの利用登録情報が記憶されている場合には、第1の識別情報に加えて前記第2の通信サービスの利用を要求する利用要求を受け付けると、通信制御手段は、第1の通信サービスに代えて、第2の通信サービスを提供するための通信制御を行うようになる。その結果として、第1の識別情報を受け付けた場合であっても、第1の通信サービスに代えて第2の識別情報に対応した第2の通信サービスを流動的に提供でき、利便性の向上を図れる。
【0007】
さらに、第1の識別情報は第1の移動局に対応し、第2の識別情報は第2の移動局に対応し、通信制御手段は、第1の移動局から第1の識別情報と利用要求とを含む発信接続要求を受け付けたときに、第1の通信サービスに代えて第2の通信サービスを提供するために、第2の移動局から第2の識別情報を含む発信接続要求を受け付けた場合に行う通信制御を行うと好適である。この通信システムでは、第1の移動局からの発信接続要求であるにもかかわらず、第2の移動局からの発信接続要求であるかのような通信制御が行われるようになり、移動局に対する流動的な通信サービスの提供が可能になって、利便性が向上する。
【0008】
さらに、通信制御手段は、第2の移動局への着信接続要求を受け付けたときに、利用登録情報が第1の識別情報に対応してサービス状態記憶手段に記憶されている場合には、第2の移動局への着信接続に代えて、第1の移動局への着信接続のための通信制御を行うと好適である。この通信システムでは、第2の移動局への着信接続要求であるにもかかわらず、第1の移動局に対する着信接続が行われるようになり、流動的な通信サービスの提供が可能になって、利便性が向上する。
【0009】
また、本発明は、移動局から受け付ける第1の識別情報または第2の識別情報に対応して、それぞれ第1の通信サービスまたは第2の通信サービスを提供するための通信制御を行う通信方法であって、第1の通信サービスの代わりに第2の通信サービスの利用を要求する利用登録要求と第1の識別情報とを移動局から受け付けたときに、第2の通信サービスを提供するための利用登録情報を第1の識別情報に対応付けて記憶する記憶ステップと、第2の通信サービスの利用を要求する利用要求と第1の識別情報を移動局から受け付けたときに、利用登録情報が記憶されている場合には、第1の通信サービスに代えて第2の通信サービスを提供するための通信制御を行う通信制御ステップと、を備えることを特徴とする。
【0010】
この通信方法では、利用登録ステップにおいて、第1の識別情報に対応して第2の通信サービスを提供するための利用登録情報が記憶されている場合には、第1の識別情報に加えて、第2の通信サービスの利用要求を受け付けると、第2の通信サービスを提供するための通信制御を行うことができるようになる。その結果として、第1の識別情報を受け付けた場合であっても、第1の通信サービスに代えて第2の識別情報に対応した第2の通信サービスを流動的に提供でき、利便性の向上を図れる。
【0011】
さらに、第1の識別情報は第1の移動局に対応し、第2の識別情報は第2の移動局に対応し、通信制御ステップは、第1の移動局から第1の識別情報と利用要求とを含む発信接続要求を受け付けたときに、第1の通信サービスに代えて第2の通信サービスを提供するために、第2の移動局から第2の識別情報を含む発信接続要求を受け付けた場合に行う通信制御を行うと好適である。この通信方法では、第1の移動局からの発信接続要求であるにもかかわらず、第2の移動局からの発信接続要求であるかのような通信制御が行われるようになり、移動局に対する流動的な通信サービスの提供が可能になって、利便性が向上する。
【0012】
さらに、第2の移動局への着信接続要求を受け付けたときに、利用登録情報が第1の識別情報に対応して記憶されている場合には、第2の移動局への着信接続に代えて、第1の移動局への着信接続のための通信制御を行う着信制御ステップと、を更に備えると好適である。この通信方法では、第2の移動局への着信接続要求であるにもかかわらず、第1の移動局に対する着信接続が行われるようになり、移動局に対する流動的な通信サービスの提供が可能になって、利便性が向上する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る通信システム及び通信方法によれば、識別情報に対応する通信サービスを流動的に提供でき、利便性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る通信システムの好適な実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係るネットワーク制御システムの機能的構成を示す図である。ネットワーク制御システム1は、第1の移動局2及び第2の移動局3に移動体通信網を介して接続されている。なお、ネットワーク制御システム1には、本来、多数の移動局が接続されているが、本実施形態では、便宜的に二つの移動局が接続されている形態を例に説明する。
【0016】
図2は、第1の移動局2のハードウェア構成を示す図である。第1の移動局2は、携帯電話やPHSなどの通信端末装置であり、物理的には、CPU21、ROM22、RAM23、操作手段である入力デバイス24、所定の画像を出力するディスプレイなどの出力デバイス25、データ送受信デバイスである通信モジュール26及び補助記憶装置27などを備える。なお、第2の移動局3のハードウェア構成も同様である。
【0017】
第1の移動局2には、通信事業者が、第1の移動局2を利用する利用者を他の利用者から識別するために定めた電話番号などの第1の識別情報が設定されている。同様に、第2の移動局3には、第2の移動局3を利用する利用者を他の利用者から識別するために定めた第2の識別情報が設定されている。
【0018】
第1の移動局2は、他の移動局からの発信に伴う着信接続を受けるための各機能、交換機能を持ったノード4への発信接続要求や後述の利用登録処理における利用許容要求や利用登録要求のための各機能、または、第1の識別情報や第2の識別情報をノード4に送信するための各機能を有する。第2の移動局3も、同様の機能を有する。これらの機能は、CPU21、RAM23等のハードウェア上に所定のソフトウェアを読み込ませることにより、CPU21の制御のもとで、通信モジュール26、入力デバイス24及び出力デバイス25を動作させるとともにRAM23におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0019】
図1に示されるように、ネットワーク制御システム1は、ノード4、サービス管理装置5、サービスメニュー提供装置6、位置情報管理装置7及び課金情報管理装置8を備える。
【0020】
ノード4は、加入者のトラヒックを集線、多重化して通信リソースを多数の加入者で共用することにより経済的な通信を可能にする機能、いわゆる交換機能を有する。また、ノード4は、第1の移動局2に対応する第1の識別情報を受け付けたときに第1の通信サービスを提供したり、第2の移動局3に対応する第2の識別情報を受け付けたときに第2の通信サービスを提供したりするための通信制御を行う通信制御機能を有する。
【0021】
第1の通信サービスや第2の通信サービスは、利用者と通信事業者との契約に基づいて定められるものであり、第1の通信サービスや第2の通信サービスを提供するための通信制御は、それぞれ第1の移動局2や第2の移動局3からの発信接続や課金処理のための制御であったり、各移動局2,3への着信接続や留守番電話としてのメッセージを記憶させるための制御であったりする。
【0022】
ノード4(図3参照)は、機能的な構成としてサービス状態問い合わせ部48を備えている。サービス状態問い合わせ部48は、第1の移動局2から第1の識別情報及び第2の通信サービスの利用要求としての第2の識別情報を含む発信接続要求を受け付けたときにサービス管理装置5に問い合わせを行う。問い合わせの結果、第2の通信サービスを提供するための利用登録情報、すなわち第2の識別情報の利用登録情報が第1の識別情報に対応付けてサービス管理装置5に記憶されている場合には、ノード4は、第1の通信サービスに代えて第2の通信サービスを提供する。この場合の第2の通信サービスは、第2の移動局から第2の識別情報を含む発信接続要求を受け付けた場合に行う通信制御を行う。その結果として、第1の移動局2からの発信接続要求であるにもかかわらず、第2の移動局3からの発信接続要求であるかのような通信制御が行われるようになり、移動局に対する流動的な通信サービスの提供が可能になって、利便性が向上する。
【0023】
また、ノード4は、第2の移動局3への着信接続要求を受け付けたときに、位置情報管理装置7の位置情報記憶部78(図10参照)に記憶されている第2の移動局3の位置情報種別を確認し、第1の移動局2の位置情報を参照するように登録されている場合には、第2の移動局3の代わりに第1の移動局2に対する着信接続のための通信制御を行う。その結果として、第2の移動局3への着信接続要求であるにもかかわらず、第1の移動局2に対する着信接続が行われるようになり、移動局に対する流動的な通信サービスの提供が可能になって、利便性が向上する。なお、位置情報記憶部78の位置情報種別において、第2の移動局3への着信に対して第1の移動局2の位置情報を参照するように設定されている場合には、第1の識別情報に対応して第2の識別情報の利用登録情報が受入れ状態設定部50cに記憶されている状態になっている。
【0024】
図4は、ノード4のハードウェア構成を示すブロック図である。図4に示されるように、ノード4は、CPU41、ROM42、RAM43、操作手段である入力デバイス44、所定の画像を出力するディスプレイなどの出力デバイス45、データ送受信デバイスである通信モジュール46及び補助記憶装置47などを備える。ノード4の各機能は、CPU41、RAM43等のハードウェア上に所定のソフトウェアを読み込ませることにより、CPU41の制御のもとで、通信モジュール46、入力デバイス44、出力デバイス45を動作させるとともに、RAM43におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0025】
図5は、サービス管理装置5のハードウェア構成を示すブロック図である。図5に示されるように、サービス管理装置5は、CPU51、ROM52、RAM53、操作手段である入力デバイス54、所定の画像を出力するディスプレイなどの出力デバイス55,データ送受信デバイスである通信モジュール56及び補助記憶装置57などを備える。
【0026】
サービス管理装置5は、機能的には、図6に示されるように、サービス状態記憶部50、サービス状態判定部58及びサービス状態登録部59を備えている。特に、サービス状態記憶部50は、受入れ可否設定部50a、識別情報設定部50b及び受入れ状態設定部50cを有する。受入れ可否設定部50aには、第1の識別情報や第2の識別情報などの識別情報のそれぞれに対応付けて、他の識別情報による受入れ可否を示すデータが設定されている。識別情報設定部50bには、第1の識別情報や第2の識別情報のそれぞれに対応付けて、受入れを許容する識別情報が設定されている。受入れ状態設定部50cには、複数の識別情報の利用可否、すなわち複数の通信サービスの提供を受けることが可能か否かを示す利用登録情報が記憶されている。サービス管理装置5の各機能は、CPU51、RAM53等のハードウェア上に所定のソフトウェアを読み込ませることにより、CPU51の制御のもとで、通信モジュール56、入力デバイス54、出力デバイス55を動作させるとともに、RAM53におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。サービス状態記憶部50を有するサービス管理装置5は、サービス状態記憶手段に相当する。
【0027】
図7は、サービスメニュー提供装置6のハードウェア構成を示すブロック図である。図7に示されるように、サービスメニュー提供装置6は、CPU61、ROM62、RAM63、操作手段である入力デバイス64、所定の画像を出力するディスプレイなどの出力デバイス65、データ送受信デバイスである通信モジュール66及び補助記憶装置67などを備える。サービスメニュー提供装置6は、利用者がサービス管理装置5に対して所定の設定要求を行い易くするために、通信事業者が準備する事を想定したものであり、第1の移動局2または第2の移動局3からのアクセスに応じて、利用許容要求や利用登録要求を利用者に指定させるための処理を行う。この機能は、CPU61、RAM63等のハードウェア上に所定のソフトウェアを読み込ませることにより、CPU61の制御のもとで、通信モジュール66、入力デバイス64、出力デバイス65を動作させるとともに、RAM63におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。なお、第1の移動局2や第2の移動局3での操作入力により、サービスメニュー提供装置6を介在させず、直接に利用許容要求や利用登録要求をサービス管理装置5に対して送信することができるような構成にしてもよい。
【0028】
図8は、位置情報管理装置7のハードウェア構成を示すブロック図である。図8に示されるように、位置情報管理装置7は、CPU71、ROM72、RAM73、操作手段である入力デバイス74、所定の画像を出力するディスプレイなどの出力デバイス75、データ送受信デバイスである通信モジュール76及び補助記憶装置77などを備える。
【0029】
位置情報管理装置7は、機能的には、図9及び図10に示されるように、位置情報記憶部78及び位置情報登録処理部79を備えている。特に、位置情報記憶部78(図10参照)には、第1の移動局2や第2の移動局3それぞれの位置情報種別として在圏エリア、または、他の移動局の位置情報を参照することを示すデータが記憶されている。なお、図10に示す位置情報記憶部78では、第1の移動局2の位置情報種別として在圏エリアCが記憶され、第2の移動局3の位置情報種別として、第1の移動局2の位置情報を参照することを示すデータが記憶されている。
【0030】
図11は、課金情報管理装置8のハードウェア構成を示すブロック図である。図11に示されるように、課金情報管理装置8は、CPU81、ROM82、RAM83、操作手段である入力デバイス84、所定の画像を出力するディスプレイなどの出力デバイス85、データ送受信デバイスである通信モジュール86及び補助記憶装置87などを備える。課金情報管理装置8は、第1の通信サービスを提供するための発信接続が行われると、ノード4から送信された課金情報に従い、第1の識別情報に対応した利用者に対して課金処理を行う。また、第2の通信サービスを提供するための発信接続が行われると、ノード4から送信された課金情報に従い、第2の識別情報に対応した利用者に対して課金処理を行う。この課金処理とは、例えば、第1の通信サービスや第2の通信サービスの利用状態に応じた積算処理である。これらの機能は、CPU81、RAM83等のハードウェア上に所定のソフトウェアを読み込ませることにより、CPU81の制御のもとで、通信モジュール86、入力デバイス84、出力デバイス85を動作させるとともに、RAM83におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0031】
(通信方法)
続いて、上記のネットワーク制御システム1による通信方法について図12〜図17を参照して説明する。この通信方法は、第1の移動局2によって第2の移動局3の識別情報の利用を可能にする方法であり、この通信方法によれば、利用者は、例えば以下のメリットを享受できる。
【0032】
旅行や研修会など団体行動する複数の利用者のうち、その一部の利用者の携帯電話の電池容量が僅かになってしまった場合や軽微な故障などで音声などを出力できなくなってしまった場合であっても、他の利用者の携帯電話を借りて、自らの携帯電話を使用した場合と同様のサービスの提供を受けることができる。また、会社などから業務用に携帯電話を貸与されている利用者は、利用者の個人的な携帯電話と会社から貸与されている携帯電話との両方を常に持ち歩かなくても、本サービスを利用することで、どちらか一方の携帯電話によって、公私の使い分けが可能になる。
【0033】
本実施形態に係る通信方法では、利用登録処理、発信接続処理及び着信接続処理が行われる。以下、利用登録処理から順番に説明する。
【0034】
(利用登録処理)
図12は、利用登録処理において特にネットワーク制御システムの動作手順を示すシーケンス図であり、図13は、サービス利用登録処理におけるデータの流れを中心に示すシーケンス図である。利用登録処理は、受け側である第1の移動局2において依頼側である第2の移動局3の識別情報の利用を可能にするための処理であり、準備設定と、準備設定後の本設定とを有する。
【0035】
準備設定において利用者は、第1の移動局2の入力デバイス24を操作し、サービスメニュー提供装置6にアクセスし、サービスメニュー提供装置6から第1の移動局2に提供されたメニューの中から、他の識別情報の受入れを許容するための利用許容要求を指定し、利用許容要求と依頼側の第2の移動局3の識別情報である第2の識別情報とをサービス管理装置5に送信する(ステップS1)。
【0036】
第1の移動局2から送信された利用許容要求及び受入れを希望する第2の識別情報は、ノード4及びサービスメニュー提供装置6を経由してサービス管理装置5に受け付けられる。利用許容要求および第2の識別情報を受信したサービス管理装置5のサービス状態登録部59は、サービス状態記憶部50の受入れ可否設定部50aに受入れ可能を示すデータを設定する(ステップS2)。さらに、受け入れを許容する識別情報はサービスの提供対象としての識別情報である事を確認する必要があり、対象の識別情報であるか否かはサービス提供時の条件として定められている。そこで、サービス状態判定部58は、この条件に基づいて受入れ識別情報の妥当性を判断し、サービス状態判定部58によって問題がないと判断されると、サービス状態登録部59は受け入れを許容する第2の識別情報を識別情報設定部50bに設定する。その後、サービス管理装置5は、第2の識別情報を受け入れる設定が完了した事を示す設定完了通知を第1の移動局2に送信する。
【0037】
以上で、準備設定が完了する。この準備設定が無ければ、後続の第2の移動局3からの利用登録要求があっても、ネットワーク制御システム1側で利用登録は行われない。その結果として、第1の移動局2側での了解なく、第2の移動局3などの他の移動局によって一方的に本設定が行われる事を防ぐことが可能になる。
【0038】
準備設定が完了した後、本設定のための処理が行われる。第1の移動局2での設定完了通知を確認した利用者は、依頼側の第2の移動局3に対応する第2の識別情報の利用を登録するために第2の移動局3での入力操作を行う。利用者は、サービスメニュー提供装置6にアクセスし、サービスメニュー提供装置6から第2の移動局3に提供されたメニューの中から、第1の識別情報および第2の識別情報を指定し、サービス管理装置3への利用登録要求を行う(ステップS3)。
【0039】
第2の移動局3からの利用登録要求を受け付けたサービス管理装置53は、サービス状態判定部58が、サービス状態記憶部50の受入れ可否設定部50aおよび識別情報設定部50bを参照し、第1の移動局2の識別状態を確認し、利用登録要求の受け入れ可否を判定する(ステップS4)。サービス状態判定部58は、受入れ可否設定部50aに受入れ可能を示すデータが設定されていない場合、または、識別情報設定部50bに第2の識別情報が設定されていない場合には、利用登録要求受入れ不可と判定し、ノード4を介して利用不可通知を第2の移動局3に送信する。
【0040】
一方で、サービス状態判定部58が利用登録要求受入れ可能と判定した場合には、サービス状態登録部59は、第2の識別情報の利用を許容して第2の通信サービスを提供するために、第1の識別情報に対応付けて、第2の識別情報の利用登録情報を受入れ状態設定部50cに記憶させる更新を行う(ステップS7)。第2の識別情報の利用登録情報を受入れ状態設定部50cに記憶させることで、第1の移動局2では、第1の識別情報に加えて第2の識別情報の利用が可能になり、その結果として、第1の通信サービスに加えて第2の通信サービスの提供を受けることが可能になる。ステップ1〜ステップ7が、記憶ステップに相当する。
【0041】
さらに、サービス管理装置5は、第2の移動局3への着信の際に第1の移動局2の位置情報を参照するように、位置情報管理装置7に対して設定変更要求を行う。設定変更要求を受け付けた位置情報管理装置7では、位置情報登録処理部79が、位置情報記憶部78の位置情報種別において、第2の移動局3への着信に対して第1の移動局2の位置情報を参照するように設定変更し、設定変更が完了した事をサービス管理装置5へ通知する(ステップS8)。
【0042】
サービス管理装置5は、設定変更完了の通知を受け付けると、サービスメニュー提供装置6及びノード4を経由して第1の移動局2に対して第2の識別情報を第1の移動局2にて利用可能とした事を示す利用登録通知を送信する。なお、本実施形態では、第1の移動局2および第2の移動局3の操作を同時に行う必要は無い。そこで、第1の移動局2に装着されたUIMに第1の識別情報が記憶され、第1の移動局2に装着されたUIMに第2の識別情報が記憶されている場合に、第1の移動局2を用いた利用許容要求の後、第1の移動局2に装着されたUIMを第2の移動局3に装着されたUIMに交換し、第1の移動局2の操作によって利用登録要求を行うこともできる。
【0043】
(発信接続処理)
図14は、発信接続処理の動作手順を示すフローチャートである。また、図15は、発信接続処理におけるデータの流れを示す図である。上記の利用登録処理が完了した後において第1の移動局2は、二つの識別情報を利用可能な状態になっている。
【0044】
最初に、利用者は、第1の移動局2を操作し、交換機能を持ったノード4に発信接続要求を送信する(ステップS21)。発信接続要求を受信したノード4は、サービス状態問い合わせ部48によってサービス管理装置5に対して発信接続要求があった事を通知する(ステップS22)。サービス管理装置5のサービス状態判定部58は、発信接続要求を受け付けると、サービス状態記憶部50の受入れ状態設定部50cを参照し、複数の識別情報の利用可否を判定する。ここで、受入れ状態設定部50cに第1の識別情報に対応付けて第2の識別情報の利用登録情報が記憶されている場合には、第1の識別情報に加えて第2の識別情報が利用可能な状態になっている。そのため、サービス状態判定部58は、複数の識別情報を利用可能と判定する。
【0045】
続いて、サービス管理装置5は、第1の移動局2と第2の移動局3のどちらの識別情報での発信接続を希望するのかを確認する必要がある。第1の移動局2からの発信接続要求には、第1の移動局2を特定するための第1の識別情報に加えて、第2の移動局3を特定するための第2の識別情報が予め含められている。発信接続要求を受け付けたノード4のサービス状態問い合わせ部48は、発信接続要求をサービス管理装置5に通知する。
【0046】
発信接続要求を受信したサービス管理装置5のサービス状態判定部58は、発信接続要求の中に、第1の識別情報以外の識別情報、例えば、第2の識別情報が含まれている場合には、サービス状態記憶部50の受入れ状態設定部50cを参照し、他の識別情報による接続要求の受入れ可否を判定する。
【0047】
サービス状態判定部58は、受入れ状態設定部50cに利用登録情報が記憶されている場合には、識別情報設定部50bを参照して受入れを許容する識別情報を抽出し、サービス状態問い合わせ部48から通知された識別情報と比較する。サービス状態判定部58は、識別情報設定部50bから抽出した識別情報が、サービス状態問い合わせ部48から通知された識別情報と一致する場合には、第1の通信サービスに代えて第2の通信サービスを提供するために、ノード4に第2の識別情報による接続を実施しても良い事を通知する(ステップS24)。
【0048】
第1の移動局2を特定するための第1の識別情報での発信のための接続は第1の通信サービスに相当し、第2の移動局3を特定するための第2の識別情報での発信のための接続は第2の通信サービスに相当する。また、第1の識別情報と一緒に送信された第2の識別情報は、第2の通信サービスの利用要求に相当する。なお、第2の通信サービスの利用要求については、本実施形態のように識別情報の種別を判別して利用要求とみなすことに限定されず、例えば、第2の通信サービスの利用要求を明示的に第1の移動局2からノード4に通知するための手順を規定しておき、その手順に沿った通知がなされた場合には利用要求とみなすなど、その他の態様を第2の通信サービスの利用要求とみなすようにしてもよい。
【0049】
ステップS24の後、ノード4は、第2の移動局3からの一般的な呼接続処理を開始し、呼が接続されるなど課金に関する情報が必要な時点で課金情報管理装置8への第2の移動局3に関する課金情報を通知し、課金情報管理装置8は、第2の移動局3の利用者に対する課金処理を実行する(ステップS25)。
【0050】
一方で、サービス状態判定部58による判断の結果、複数の識別情報の利用不可になっている場合(ステップ23)や、第1の移動局2としての発信と判断される場合(ステップ24)には、サービス管理装置5は、通常通り、第1の移動局2に対応する第1の識別情報による接続を実施させることを示す通知をノード4に対して行う。すると、ノード4は、第1の識別情報による一般的な呼接続処理を開始し、呼が接続されるなど課金に関する情報が必要な時点で課金情報管理装置8へ第1の移動局2に関する課金情報を通知し、課金情報管理装置8は、第1の移動局2の利用者に対する課金処理を実行する(ステップS26)。以上の、ステップS21〜S26は、通信制御ステップに相当する。
【0051】
(着信接続処理)
図16は、着信接続処理の動作手順を示すフローチャートである。また、図17は、着信接続処理におけるデータの流れを示す図である。
【0052】
ノード4に第2の移動局3への着信接続要求があった場合(ステップS31)に、ノード4のサービス状態問い合わせ部48は、位置情報管理装置7へ第2の移動局3の位置情報を問い合わせる(ステップS32)。
【0053】
問い合わせを受けた位置情報管理装置7では、位置情報記憶部78を参照し、着信に伴う在圏情報の確認対象である移動局の位置情報種別を確認し(ステップS33)、在圏エリアを示す情報が設定されていれば、そのエリアへの着信処理を実施する(ステップS35)。一方で、位置情報種別が他の移動局を参照するように設定されている場合には、その他の移動局の位置情報種別を参照し、他の移動局への着信処理を実行する(ステップS34)。ステップS31〜ステップS34は、着信制御ステップに相当する。
【0054】
例えば、第1の移動局2において第2の識別情報を利用可能になっている状態では、第2の移動局3の位置情報種別としては、第1の移動局2の位置情報参照を示すデータが設定されている。ノード4から第2の移動局3の位置情報問い合わせを受けた位置情報管理装置7は、第2の移動局3の位置情報種別を確認し、その結果として、第1の移動局2の位置情報を参照して、第1の移動局2の位置情報を返信する。なお、位置情報種別が他の移動局を参照するように設定されている場合には、他の移動局の識別情報の利用登録情報が第1の識別情報に対応付けて受入れ状態設定部50cに記憶されている状態になっている。
【0055】
第1の移動局2の位置情報を受信したノード4は、第1の移動局2への着信処理を実行する。この場合、第1の移動局2へは、第2の移動局3宛の着信であることを示す情報が送信される。なお、着信先情報として第1の移動局2の情報と第2の移動局3の情報とを第1の移動局2の利用者インタフェースにどのように表示させるかは、商品としての作りこみによって工夫が可能である。
【0056】
以上の通信システム及び通信方法によれば、第1の識別情報と第2の通信サービスの利用登録要求とを第1の移動局2から受け付けたときに、サービス管理装置5のサービス状態記憶部50は、第1の通信サービスに代えて、第2の通信サービスを提供するための利用登録情報を第1の識別情報に対応付けて記憶する。その後、第1の識別情報に対応して第2の通信サービスの利用登録情報が記憶されている場合には、第1の識別情報に加えて第2の識別情報の利用要求を受け付けると、第2の通信サービスを提供するための通信制御を行うようになる。その結果として、第1の識別情報を受け付けた場合であっても、第1の通信サービスに代えて第2の識別情報に対応した第2の通信サービスを流動的に提供でき、利便性の向上を図れる。
【0057】
さらに、発信制御処理では、第1の移動局からの発信接続要求であるにもかかわらず、第2の移動局からの発信接続要求であるかのような通信制御が行われるようになり、移動局2,3に対する流動的な通信サービスの提供が可能になって、利便性が向上する。
【0058】
さらに、着信制御処理では、第2の移動局3への着信接続要求であるにもかかわらず、第1の移動局2に対する着信接続が行われるようになり、流動的な通信サービスの提供が可能になって、利便性が向上する。
【0059】
なお、本発明は、上記の実施形態のみに限定されない。例えば、第1の移動局によって3以上の複数の識別情報の利用を可能にするようにしてもよい。さらに、識別情報は、移動局やUIMの製造番号などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に係るネットワーク制御システムの機能的構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る第1の移動局のハードウェア構成を示す図である。
【図3】本実施形態に係るノードの機能的構成を示す図である。
【図4】本実施形態に係るノードのハードウェア構成を示す図である。
【図5】サービス管理装置のハードウェア構成を示す図である。
【図6】サービス管理装置の機能的構成を示す図である。
【図7】サービスメニュー提供装置のハードウェア構成を示す図である。
【図8】位置情報管理装置のハードウェア構成を示す図である。
【図9】位置情報管理装置の機能的構成を示す図である。
【図10】位置情報記憶部を示す図である。
【図11】課金情報管理装置のハードウェア構成を示す図である。
【図12】利用登録処理の動作手順を示すシーケンス図である。
【図13】利用登録処理のデータの流れを中心に示すシーケンス図である。
【図14】発信接続処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図15】発信接続処理のデータの流れを中心に示す図である。
【図16】着信接続処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図17】着信接続処理のデータの流れを中心に示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1…ネットワーク制御システム(通信システム)、4…ノード(通信制御手段)、5…サービス管理装置(サービス状態記憶手段)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を行う通信システム及び通信方法に関し、例えば、移動局の呼び接続方式を制御するための通信システム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般の移動通信方式において利用者は、通信事業者の提供する通信サービスを享受するために通信事業者との間で契約を取り交わす必要がある。利用者は、その契約内容に応じて、所定の通信サービスの提供を受けることができる。通信事業者は、通信サービスを提供する際に利用者を識別する必要があり、利用者識別情報などの識別情報によって通信サービスの提供先である利用者を識別する。通常、一つの移動局に対して一つの識別情報が与えられている(特許文献1参照)。利用者は、二つの識別情報を使用して異なる二種類の通信サービスを享受したい場合には、2台の移動局を使用するか、または、1台の移動局で二つの識別情報を使用可能とする設定を事前に通信事業者に申し込む必要があった。
【特許文献1】特開2006−244420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の無線接続方式では、識別情報によって特定される移動局ごとにサービス状態の管理や位置情報の管理を行っている。そのため、例えば、移動局に不具合が生じて利用困難な状態になると、その移動局によって利用していた通信サービスを別の移動局によって利用することは難しくなり、通信サービスを提供する上での流動的な運用は非常に困難であり、利便性の向上を図りにくかった。
【0004】
そこで、本発明は、識別情報に対応する通信サービスを流動的に提供でき、利便性を向上できる通信システム及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、本発明の通信システムは、移動局から受け付ける第1の識別情報または第2の識別情報に対応して、それぞれ第1の通信サービスまたは第2の通信サービスを提供するための通信制御を行う通信制御手段を備える通信システムであって、第1の通信サービスの代わりに第2の通信サービスの利用を要求する利用登録要求と第1の識別情報とを移動局から受け付けたときに、第2の通信サービスを提供するための利用登録情報を第1の識別情報に対応付けて記憶するサービス状態記憶手段を備え、通信制御手段は、第2の通信サービスの利用を要求する利用要求と第1の識別情報とを移動局から受け付けたときに、サービス状態記憶手段に利用登録情報が記憶されている場合には、第1の通信サービスに代えて第2の通信サービスを提供するための通信制御を行うことを特徴とする。
【0006】
この通信システムでは、通信制御手段が、第1の識別情報を受け付けたときには第1の通信サービスを提供するための通信制御を行い、第2の識別情報を受け付けたときには第2の通信サービスを提供するための通信制御を行う。さらに、第1の識別情報と第2の通信サービスの利用登録要求とを移動局から受け付けたときに、サービス状態記憶手段は、第1の通信サービスに代えて、第2の通信サービスを提供するための利用登録情報を第1の識別情報に対応付けて記憶する。そして、第1の識別情報に対応して第2の通信サービスの利用登録情報が記憶されている場合には、第1の識別情報に加えて前記第2の通信サービスの利用を要求する利用要求を受け付けると、通信制御手段は、第1の通信サービスに代えて、第2の通信サービスを提供するための通信制御を行うようになる。その結果として、第1の識別情報を受け付けた場合であっても、第1の通信サービスに代えて第2の識別情報に対応した第2の通信サービスを流動的に提供でき、利便性の向上を図れる。
【0007】
さらに、第1の識別情報は第1の移動局に対応し、第2の識別情報は第2の移動局に対応し、通信制御手段は、第1の移動局から第1の識別情報と利用要求とを含む発信接続要求を受け付けたときに、第1の通信サービスに代えて第2の通信サービスを提供するために、第2の移動局から第2の識別情報を含む発信接続要求を受け付けた場合に行う通信制御を行うと好適である。この通信システムでは、第1の移動局からの発信接続要求であるにもかかわらず、第2の移動局からの発信接続要求であるかのような通信制御が行われるようになり、移動局に対する流動的な通信サービスの提供が可能になって、利便性が向上する。
【0008】
さらに、通信制御手段は、第2の移動局への着信接続要求を受け付けたときに、利用登録情報が第1の識別情報に対応してサービス状態記憶手段に記憶されている場合には、第2の移動局への着信接続に代えて、第1の移動局への着信接続のための通信制御を行うと好適である。この通信システムでは、第2の移動局への着信接続要求であるにもかかわらず、第1の移動局に対する着信接続が行われるようになり、流動的な通信サービスの提供が可能になって、利便性が向上する。
【0009】
また、本発明は、移動局から受け付ける第1の識別情報または第2の識別情報に対応して、それぞれ第1の通信サービスまたは第2の通信サービスを提供するための通信制御を行う通信方法であって、第1の通信サービスの代わりに第2の通信サービスの利用を要求する利用登録要求と第1の識別情報とを移動局から受け付けたときに、第2の通信サービスを提供するための利用登録情報を第1の識別情報に対応付けて記憶する記憶ステップと、第2の通信サービスの利用を要求する利用要求と第1の識別情報を移動局から受け付けたときに、利用登録情報が記憶されている場合には、第1の通信サービスに代えて第2の通信サービスを提供するための通信制御を行う通信制御ステップと、を備えることを特徴とする。
【0010】
この通信方法では、利用登録ステップにおいて、第1の識別情報に対応して第2の通信サービスを提供するための利用登録情報が記憶されている場合には、第1の識別情報に加えて、第2の通信サービスの利用要求を受け付けると、第2の通信サービスを提供するための通信制御を行うことができるようになる。その結果として、第1の識別情報を受け付けた場合であっても、第1の通信サービスに代えて第2の識別情報に対応した第2の通信サービスを流動的に提供でき、利便性の向上を図れる。
【0011】
さらに、第1の識別情報は第1の移動局に対応し、第2の識別情報は第2の移動局に対応し、通信制御ステップは、第1の移動局から第1の識別情報と利用要求とを含む発信接続要求を受け付けたときに、第1の通信サービスに代えて第2の通信サービスを提供するために、第2の移動局から第2の識別情報を含む発信接続要求を受け付けた場合に行う通信制御を行うと好適である。この通信方法では、第1の移動局からの発信接続要求であるにもかかわらず、第2の移動局からの発信接続要求であるかのような通信制御が行われるようになり、移動局に対する流動的な通信サービスの提供が可能になって、利便性が向上する。
【0012】
さらに、第2の移動局への着信接続要求を受け付けたときに、利用登録情報が第1の識別情報に対応して記憶されている場合には、第2の移動局への着信接続に代えて、第1の移動局への着信接続のための通信制御を行う着信制御ステップと、を更に備えると好適である。この通信方法では、第2の移動局への着信接続要求であるにもかかわらず、第1の移動局に対する着信接続が行われるようになり、移動局に対する流動的な通信サービスの提供が可能になって、利便性が向上する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る通信システム及び通信方法によれば、識別情報に対応する通信サービスを流動的に提供でき、利便性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る通信システムの好適な実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係るネットワーク制御システムの機能的構成を示す図である。ネットワーク制御システム1は、第1の移動局2及び第2の移動局3に移動体通信網を介して接続されている。なお、ネットワーク制御システム1には、本来、多数の移動局が接続されているが、本実施形態では、便宜的に二つの移動局が接続されている形態を例に説明する。
【0016】
図2は、第1の移動局2のハードウェア構成を示す図である。第1の移動局2は、携帯電話やPHSなどの通信端末装置であり、物理的には、CPU21、ROM22、RAM23、操作手段である入力デバイス24、所定の画像を出力するディスプレイなどの出力デバイス25、データ送受信デバイスである通信モジュール26及び補助記憶装置27などを備える。なお、第2の移動局3のハードウェア構成も同様である。
【0017】
第1の移動局2には、通信事業者が、第1の移動局2を利用する利用者を他の利用者から識別するために定めた電話番号などの第1の識別情報が設定されている。同様に、第2の移動局3には、第2の移動局3を利用する利用者を他の利用者から識別するために定めた第2の識別情報が設定されている。
【0018】
第1の移動局2は、他の移動局からの発信に伴う着信接続を受けるための各機能、交換機能を持ったノード4への発信接続要求や後述の利用登録処理における利用許容要求や利用登録要求のための各機能、または、第1の識別情報や第2の識別情報をノード4に送信するための各機能を有する。第2の移動局3も、同様の機能を有する。これらの機能は、CPU21、RAM23等のハードウェア上に所定のソフトウェアを読み込ませることにより、CPU21の制御のもとで、通信モジュール26、入力デバイス24及び出力デバイス25を動作させるとともにRAM23におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0019】
図1に示されるように、ネットワーク制御システム1は、ノード4、サービス管理装置5、サービスメニュー提供装置6、位置情報管理装置7及び課金情報管理装置8を備える。
【0020】
ノード4は、加入者のトラヒックを集線、多重化して通信リソースを多数の加入者で共用することにより経済的な通信を可能にする機能、いわゆる交換機能を有する。また、ノード4は、第1の移動局2に対応する第1の識別情報を受け付けたときに第1の通信サービスを提供したり、第2の移動局3に対応する第2の識別情報を受け付けたときに第2の通信サービスを提供したりするための通信制御を行う通信制御機能を有する。
【0021】
第1の通信サービスや第2の通信サービスは、利用者と通信事業者との契約に基づいて定められるものであり、第1の通信サービスや第2の通信サービスを提供するための通信制御は、それぞれ第1の移動局2や第2の移動局3からの発信接続や課金処理のための制御であったり、各移動局2,3への着信接続や留守番電話としてのメッセージを記憶させるための制御であったりする。
【0022】
ノード4(図3参照)は、機能的な構成としてサービス状態問い合わせ部48を備えている。サービス状態問い合わせ部48は、第1の移動局2から第1の識別情報及び第2の通信サービスの利用要求としての第2の識別情報を含む発信接続要求を受け付けたときにサービス管理装置5に問い合わせを行う。問い合わせの結果、第2の通信サービスを提供するための利用登録情報、すなわち第2の識別情報の利用登録情報が第1の識別情報に対応付けてサービス管理装置5に記憶されている場合には、ノード4は、第1の通信サービスに代えて第2の通信サービスを提供する。この場合の第2の通信サービスは、第2の移動局から第2の識別情報を含む発信接続要求を受け付けた場合に行う通信制御を行う。その結果として、第1の移動局2からの発信接続要求であるにもかかわらず、第2の移動局3からの発信接続要求であるかのような通信制御が行われるようになり、移動局に対する流動的な通信サービスの提供が可能になって、利便性が向上する。
【0023】
また、ノード4は、第2の移動局3への着信接続要求を受け付けたときに、位置情報管理装置7の位置情報記憶部78(図10参照)に記憶されている第2の移動局3の位置情報種別を確認し、第1の移動局2の位置情報を参照するように登録されている場合には、第2の移動局3の代わりに第1の移動局2に対する着信接続のための通信制御を行う。その結果として、第2の移動局3への着信接続要求であるにもかかわらず、第1の移動局2に対する着信接続が行われるようになり、移動局に対する流動的な通信サービスの提供が可能になって、利便性が向上する。なお、位置情報記憶部78の位置情報種別において、第2の移動局3への着信に対して第1の移動局2の位置情報を参照するように設定されている場合には、第1の識別情報に対応して第2の識別情報の利用登録情報が受入れ状態設定部50cに記憶されている状態になっている。
【0024】
図4は、ノード4のハードウェア構成を示すブロック図である。図4に示されるように、ノード4は、CPU41、ROM42、RAM43、操作手段である入力デバイス44、所定の画像を出力するディスプレイなどの出力デバイス45、データ送受信デバイスである通信モジュール46及び補助記憶装置47などを備える。ノード4の各機能は、CPU41、RAM43等のハードウェア上に所定のソフトウェアを読み込ませることにより、CPU41の制御のもとで、通信モジュール46、入力デバイス44、出力デバイス45を動作させるとともに、RAM43におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0025】
図5は、サービス管理装置5のハードウェア構成を示すブロック図である。図5に示されるように、サービス管理装置5は、CPU51、ROM52、RAM53、操作手段である入力デバイス54、所定の画像を出力するディスプレイなどの出力デバイス55,データ送受信デバイスである通信モジュール56及び補助記憶装置57などを備える。
【0026】
サービス管理装置5は、機能的には、図6に示されるように、サービス状態記憶部50、サービス状態判定部58及びサービス状態登録部59を備えている。特に、サービス状態記憶部50は、受入れ可否設定部50a、識別情報設定部50b及び受入れ状態設定部50cを有する。受入れ可否設定部50aには、第1の識別情報や第2の識別情報などの識別情報のそれぞれに対応付けて、他の識別情報による受入れ可否を示すデータが設定されている。識別情報設定部50bには、第1の識別情報や第2の識別情報のそれぞれに対応付けて、受入れを許容する識別情報が設定されている。受入れ状態設定部50cには、複数の識別情報の利用可否、すなわち複数の通信サービスの提供を受けることが可能か否かを示す利用登録情報が記憶されている。サービス管理装置5の各機能は、CPU51、RAM53等のハードウェア上に所定のソフトウェアを読み込ませることにより、CPU51の制御のもとで、通信モジュール56、入力デバイス54、出力デバイス55を動作させるとともに、RAM53におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。サービス状態記憶部50を有するサービス管理装置5は、サービス状態記憶手段に相当する。
【0027】
図7は、サービスメニュー提供装置6のハードウェア構成を示すブロック図である。図7に示されるように、サービスメニュー提供装置6は、CPU61、ROM62、RAM63、操作手段である入力デバイス64、所定の画像を出力するディスプレイなどの出力デバイス65、データ送受信デバイスである通信モジュール66及び補助記憶装置67などを備える。サービスメニュー提供装置6は、利用者がサービス管理装置5に対して所定の設定要求を行い易くするために、通信事業者が準備する事を想定したものであり、第1の移動局2または第2の移動局3からのアクセスに応じて、利用許容要求や利用登録要求を利用者に指定させるための処理を行う。この機能は、CPU61、RAM63等のハードウェア上に所定のソフトウェアを読み込ませることにより、CPU61の制御のもとで、通信モジュール66、入力デバイス64、出力デバイス65を動作させるとともに、RAM63におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。なお、第1の移動局2や第2の移動局3での操作入力により、サービスメニュー提供装置6を介在させず、直接に利用許容要求や利用登録要求をサービス管理装置5に対して送信することができるような構成にしてもよい。
【0028】
図8は、位置情報管理装置7のハードウェア構成を示すブロック図である。図8に示されるように、位置情報管理装置7は、CPU71、ROM72、RAM73、操作手段である入力デバイス74、所定の画像を出力するディスプレイなどの出力デバイス75、データ送受信デバイスである通信モジュール76及び補助記憶装置77などを備える。
【0029】
位置情報管理装置7は、機能的には、図9及び図10に示されるように、位置情報記憶部78及び位置情報登録処理部79を備えている。特に、位置情報記憶部78(図10参照)には、第1の移動局2や第2の移動局3それぞれの位置情報種別として在圏エリア、または、他の移動局の位置情報を参照することを示すデータが記憶されている。なお、図10に示す位置情報記憶部78では、第1の移動局2の位置情報種別として在圏エリアCが記憶され、第2の移動局3の位置情報種別として、第1の移動局2の位置情報を参照することを示すデータが記憶されている。
【0030】
図11は、課金情報管理装置8のハードウェア構成を示すブロック図である。図11に示されるように、課金情報管理装置8は、CPU81、ROM82、RAM83、操作手段である入力デバイス84、所定の画像を出力するディスプレイなどの出力デバイス85、データ送受信デバイスである通信モジュール86及び補助記憶装置87などを備える。課金情報管理装置8は、第1の通信サービスを提供するための発信接続が行われると、ノード4から送信された課金情報に従い、第1の識別情報に対応した利用者に対して課金処理を行う。また、第2の通信サービスを提供するための発信接続が行われると、ノード4から送信された課金情報に従い、第2の識別情報に対応した利用者に対して課金処理を行う。この課金処理とは、例えば、第1の通信サービスや第2の通信サービスの利用状態に応じた積算処理である。これらの機能は、CPU81、RAM83等のハードウェア上に所定のソフトウェアを読み込ませることにより、CPU81の制御のもとで、通信モジュール86、入力デバイス84、出力デバイス85を動作させるとともに、RAM83におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0031】
(通信方法)
続いて、上記のネットワーク制御システム1による通信方法について図12〜図17を参照して説明する。この通信方法は、第1の移動局2によって第2の移動局3の識別情報の利用を可能にする方法であり、この通信方法によれば、利用者は、例えば以下のメリットを享受できる。
【0032】
旅行や研修会など団体行動する複数の利用者のうち、その一部の利用者の携帯電話の電池容量が僅かになってしまった場合や軽微な故障などで音声などを出力できなくなってしまった場合であっても、他の利用者の携帯電話を借りて、自らの携帯電話を使用した場合と同様のサービスの提供を受けることができる。また、会社などから業務用に携帯電話を貸与されている利用者は、利用者の個人的な携帯電話と会社から貸与されている携帯電話との両方を常に持ち歩かなくても、本サービスを利用することで、どちらか一方の携帯電話によって、公私の使い分けが可能になる。
【0033】
本実施形態に係る通信方法では、利用登録処理、発信接続処理及び着信接続処理が行われる。以下、利用登録処理から順番に説明する。
【0034】
(利用登録処理)
図12は、利用登録処理において特にネットワーク制御システムの動作手順を示すシーケンス図であり、図13は、サービス利用登録処理におけるデータの流れを中心に示すシーケンス図である。利用登録処理は、受け側である第1の移動局2において依頼側である第2の移動局3の識別情報の利用を可能にするための処理であり、準備設定と、準備設定後の本設定とを有する。
【0035】
準備設定において利用者は、第1の移動局2の入力デバイス24を操作し、サービスメニュー提供装置6にアクセスし、サービスメニュー提供装置6から第1の移動局2に提供されたメニューの中から、他の識別情報の受入れを許容するための利用許容要求を指定し、利用許容要求と依頼側の第2の移動局3の識別情報である第2の識別情報とをサービス管理装置5に送信する(ステップS1)。
【0036】
第1の移動局2から送信された利用許容要求及び受入れを希望する第2の識別情報は、ノード4及びサービスメニュー提供装置6を経由してサービス管理装置5に受け付けられる。利用許容要求および第2の識別情報を受信したサービス管理装置5のサービス状態登録部59は、サービス状態記憶部50の受入れ可否設定部50aに受入れ可能を示すデータを設定する(ステップS2)。さらに、受け入れを許容する識別情報はサービスの提供対象としての識別情報である事を確認する必要があり、対象の識別情報であるか否かはサービス提供時の条件として定められている。そこで、サービス状態判定部58は、この条件に基づいて受入れ識別情報の妥当性を判断し、サービス状態判定部58によって問題がないと判断されると、サービス状態登録部59は受け入れを許容する第2の識別情報を識別情報設定部50bに設定する。その後、サービス管理装置5は、第2の識別情報を受け入れる設定が完了した事を示す設定完了通知を第1の移動局2に送信する。
【0037】
以上で、準備設定が完了する。この準備設定が無ければ、後続の第2の移動局3からの利用登録要求があっても、ネットワーク制御システム1側で利用登録は行われない。その結果として、第1の移動局2側での了解なく、第2の移動局3などの他の移動局によって一方的に本設定が行われる事を防ぐことが可能になる。
【0038】
準備設定が完了した後、本設定のための処理が行われる。第1の移動局2での設定完了通知を確認した利用者は、依頼側の第2の移動局3に対応する第2の識別情報の利用を登録するために第2の移動局3での入力操作を行う。利用者は、サービスメニュー提供装置6にアクセスし、サービスメニュー提供装置6から第2の移動局3に提供されたメニューの中から、第1の識別情報および第2の識別情報を指定し、サービス管理装置3への利用登録要求を行う(ステップS3)。
【0039】
第2の移動局3からの利用登録要求を受け付けたサービス管理装置53は、サービス状態判定部58が、サービス状態記憶部50の受入れ可否設定部50aおよび識別情報設定部50bを参照し、第1の移動局2の識別状態を確認し、利用登録要求の受け入れ可否を判定する(ステップS4)。サービス状態判定部58は、受入れ可否設定部50aに受入れ可能を示すデータが設定されていない場合、または、識別情報設定部50bに第2の識別情報が設定されていない場合には、利用登録要求受入れ不可と判定し、ノード4を介して利用不可通知を第2の移動局3に送信する。
【0040】
一方で、サービス状態判定部58が利用登録要求受入れ可能と判定した場合には、サービス状態登録部59は、第2の識別情報の利用を許容して第2の通信サービスを提供するために、第1の識別情報に対応付けて、第2の識別情報の利用登録情報を受入れ状態設定部50cに記憶させる更新を行う(ステップS7)。第2の識別情報の利用登録情報を受入れ状態設定部50cに記憶させることで、第1の移動局2では、第1の識別情報に加えて第2の識別情報の利用が可能になり、その結果として、第1の通信サービスに加えて第2の通信サービスの提供を受けることが可能になる。ステップ1〜ステップ7が、記憶ステップに相当する。
【0041】
さらに、サービス管理装置5は、第2の移動局3への着信の際に第1の移動局2の位置情報を参照するように、位置情報管理装置7に対して設定変更要求を行う。設定変更要求を受け付けた位置情報管理装置7では、位置情報登録処理部79が、位置情報記憶部78の位置情報種別において、第2の移動局3への着信に対して第1の移動局2の位置情報を参照するように設定変更し、設定変更が完了した事をサービス管理装置5へ通知する(ステップS8)。
【0042】
サービス管理装置5は、設定変更完了の通知を受け付けると、サービスメニュー提供装置6及びノード4を経由して第1の移動局2に対して第2の識別情報を第1の移動局2にて利用可能とした事を示す利用登録通知を送信する。なお、本実施形態では、第1の移動局2および第2の移動局3の操作を同時に行う必要は無い。そこで、第1の移動局2に装着されたUIMに第1の識別情報が記憶され、第1の移動局2に装着されたUIMに第2の識別情報が記憶されている場合に、第1の移動局2を用いた利用許容要求の後、第1の移動局2に装着されたUIMを第2の移動局3に装着されたUIMに交換し、第1の移動局2の操作によって利用登録要求を行うこともできる。
【0043】
(発信接続処理)
図14は、発信接続処理の動作手順を示すフローチャートである。また、図15は、発信接続処理におけるデータの流れを示す図である。上記の利用登録処理が完了した後において第1の移動局2は、二つの識別情報を利用可能な状態になっている。
【0044】
最初に、利用者は、第1の移動局2を操作し、交換機能を持ったノード4に発信接続要求を送信する(ステップS21)。発信接続要求を受信したノード4は、サービス状態問い合わせ部48によってサービス管理装置5に対して発信接続要求があった事を通知する(ステップS22)。サービス管理装置5のサービス状態判定部58は、発信接続要求を受け付けると、サービス状態記憶部50の受入れ状態設定部50cを参照し、複数の識別情報の利用可否を判定する。ここで、受入れ状態設定部50cに第1の識別情報に対応付けて第2の識別情報の利用登録情報が記憶されている場合には、第1の識別情報に加えて第2の識別情報が利用可能な状態になっている。そのため、サービス状態判定部58は、複数の識別情報を利用可能と判定する。
【0045】
続いて、サービス管理装置5は、第1の移動局2と第2の移動局3のどちらの識別情報での発信接続を希望するのかを確認する必要がある。第1の移動局2からの発信接続要求には、第1の移動局2を特定するための第1の識別情報に加えて、第2の移動局3を特定するための第2の識別情報が予め含められている。発信接続要求を受け付けたノード4のサービス状態問い合わせ部48は、発信接続要求をサービス管理装置5に通知する。
【0046】
発信接続要求を受信したサービス管理装置5のサービス状態判定部58は、発信接続要求の中に、第1の識別情報以外の識別情報、例えば、第2の識別情報が含まれている場合には、サービス状態記憶部50の受入れ状態設定部50cを参照し、他の識別情報による接続要求の受入れ可否を判定する。
【0047】
サービス状態判定部58は、受入れ状態設定部50cに利用登録情報が記憶されている場合には、識別情報設定部50bを参照して受入れを許容する識別情報を抽出し、サービス状態問い合わせ部48から通知された識別情報と比較する。サービス状態判定部58は、識別情報設定部50bから抽出した識別情報が、サービス状態問い合わせ部48から通知された識別情報と一致する場合には、第1の通信サービスに代えて第2の通信サービスを提供するために、ノード4に第2の識別情報による接続を実施しても良い事を通知する(ステップS24)。
【0048】
第1の移動局2を特定するための第1の識別情報での発信のための接続は第1の通信サービスに相当し、第2の移動局3を特定するための第2の識別情報での発信のための接続は第2の通信サービスに相当する。また、第1の識別情報と一緒に送信された第2の識別情報は、第2の通信サービスの利用要求に相当する。なお、第2の通信サービスの利用要求については、本実施形態のように識別情報の種別を判別して利用要求とみなすことに限定されず、例えば、第2の通信サービスの利用要求を明示的に第1の移動局2からノード4に通知するための手順を規定しておき、その手順に沿った通知がなされた場合には利用要求とみなすなど、その他の態様を第2の通信サービスの利用要求とみなすようにしてもよい。
【0049】
ステップS24の後、ノード4は、第2の移動局3からの一般的な呼接続処理を開始し、呼が接続されるなど課金に関する情報が必要な時点で課金情報管理装置8への第2の移動局3に関する課金情報を通知し、課金情報管理装置8は、第2の移動局3の利用者に対する課金処理を実行する(ステップS25)。
【0050】
一方で、サービス状態判定部58による判断の結果、複数の識別情報の利用不可になっている場合(ステップ23)や、第1の移動局2としての発信と判断される場合(ステップ24)には、サービス管理装置5は、通常通り、第1の移動局2に対応する第1の識別情報による接続を実施させることを示す通知をノード4に対して行う。すると、ノード4は、第1の識別情報による一般的な呼接続処理を開始し、呼が接続されるなど課金に関する情報が必要な時点で課金情報管理装置8へ第1の移動局2に関する課金情報を通知し、課金情報管理装置8は、第1の移動局2の利用者に対する課金処理を実行する(ステップS26)。以上の、ステップS21〜S26は、通信制御ステップに相当する。
【0051】
(着信接続処理)
図16は、着信接続処理の動作手順を示すフローチャートである。また、図17は、着信接続処理におけるデータの流れを示す図である。
【0052】
ノード4に第2の移動局3への着信接続要求があった場合(ステップS31)に、ノード4のサービス状態問い合わせ部48は、位置情報管理装置7へ第2の移動局3の位置情報を問い合わせる(ステップS32)。
【0053】
問い合わせを受けた位置情報管理装置7では、位置情報記憶部78を参照し、着信に伴う在圏情報の確認対象である移動局の位置情報種別を確認し(ステップS33)、在圏エリアを示す情報が設定されていれば、そのエリアへの着信処理を実施する(ステップS35)。一方で、位置情報種別が他の移動局を参照するように設定されている場合には、その他の移動局の位置情報種別を参照し、他の移動局への着信処理を実行する(ステップS34)。ステップS31〜ステップS34は、着信制御ステップに相当する。
【0054】
例えば、第1の移動局2において第2の識別情報を利用可能になっている状態では、第2の移動局3の位置情報種別としては、第1の移動局2の位置情報参照を示すデータが設定されている。ノード4から第2の移動局3の位置情報問い合わせを受けた位置情報管理装置7は、第2の移動局3の位置情報種別を確認し、その結果として、第1の移動局2の位置情報を参照して、第1の移動局2の位置情報を返信する。なお、位置情報種別が他の移動局を参照するように設定されている場合には、他の移動局の識別情報の利用登録情報が第1の識別情報に対応付けて受入れ状態設定部50cに記憶されている状態になっている。
【0055】
第1の移動局2の位置情報を受信したノード4は、第1の移動局2への着信処理を実行する。この場合、第1の移動局2へは、第2の移動局3宛の着信であることを示す情報が送信される。なお、着信先情報として第1の移動局2の情報と第2の移動局3の情報とを第1の移動局2の利用者インタフェースにどのように表示させるかは、商品としての作りこみによって工夫が可能である。
【0056】
以上の通信システム及び通信方法によれば、第1の識別情報と第2の通信サービスの利用登録要求とを第1の移動局2から受け付けたときに、サービス管理装置5のサービス状態記憶部50は、第1の通信サービスに代えて、第2の通信サービスを提供するための利用登録情報を第1の識別情報に対応付けて記憶する。その後、第1の識別情報に対応して第2の通信サービスの利用登録情報が記憶されている場合には、第1の識別情報に加えて第2の識別情報の利用要求を受け付けると、第2の通信サービスを提供するための通信制御を行うようになる。その結果として、第1の識別情報を受け付けた場合であっても、第1の通信サービスに代えて第2の識別情報に対応した第2の通信サービスを流動的に提供でき、利便性の向上を図れる。
【0057】
さらに、発信制御処理では、第1の移動局からの発信接続要求であるにもかかわらず、第2の移動局からの発信接続要求であるかのような通信制御が行われるようになり、移動局2,3に対する流動的な通信サービスの提供が可能になって、利便性が向上する。
【0058】
さらに、着信制御処理では、第2の移動局3への着信接続要求であるにもかかわらず、第1の移動局2に対する着信接続が行われるようになり、流動的な通信サービスの提供が可能になって、利便性が向上する。
【0059】
なお、本発明は、上記の実施形態のみに限定されない。例えば、第1の移動局によって3以上の複数の識別情報の利用を可能にするようにしてもよい。さらに、識別情報は、移動局やUIMの製造番号などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に係るネットワーク制御システムの機能的構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る第1の移動局のハードウェア構成を示す図である。
【図3】本実施形態に係るノードの機能的構成を示す図である。
【図4】本実施形態に係るノードのハードウェア構成を示す図である。
【図5】サービス管理装置のハードウェア構成を示す図である。
【図6】サービス管理装置の機能的構成を示す図である。
【図7】サービスメニュー提供装置のハードウェア構成を示す図である。
【図8】位置情報管理装置のハードウェア構成を示す図である。
【図9】位置情報管理装置の機能的構成を示す図である。
【図10】位置情報記憶部を示す図である。
【図11】課金情報管理装置のハードウェア構成を示す図である。
【図12】利用登録処理の動作手順を示すシーケンス図である。
【図13】利用登録処理のデータの流れを中心に示すシーケンス図である。
【図14】発信接続処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図15】発信接続処理のデータの流れを中心に示す図である。
【図16】着信接続処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図17】着信接続処理のデータの流れを中心に示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1…ネットワーク制御システム(通信システム)、4…ノード(通信制御手段)、5…サービス管理装置(サービス状態記憶手段)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局から受け付ける第1の識別情報または第2の識別情報に対応して、それぞれ第1の通信サービスまたは第2の通信サービスを提供するための通信制御を行う通信制御手段を備える通信システムであって、
前記第1の通信サービスの代わりに前記第2の通信サービスの利用を要求する利用登録要求と前記第1の識別情報とを前記移動局から受け付けたときに、前記第2の通信サービスを提供するための利用登録情報を前記第1の識別情報に対応付けて記憶するサービス状態記憶手段を備え、
前記通信制御手段は、前記第2の通信サービスの利用を要求する利用要求と前記第1の識別情報とを前記移動局から受け付けたときに、前記サービス状態記憶手段に前記利用登録情報が記憶されている場合には、前記第1の通信サービスに代えて前記第2の通信サービスを提供するための通信制御を行うことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記第1の識別情報は第1の移動局に対応し、前記第2の識別情報は第2の移動局に対応し、
前記通信制御手段は、前記第1の移動局から前記第1の識別情報と前記利用要求とを含む発信接続要求を受け付けたときに、前記第1の通信サービスに代えて前記第2の通信サービスを提供するために、前記第2の移動局から前記第2の識別情報を含む発信接続要求を受け付けた場合に行う通信制御を行うことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記通信制御手段は、前記第2の移動局への着信接続要求を受け付けたときに、前記利用登録情報が前記第1の識別情報に対応して前記サービス状態記憶手段に記憶されている場合には、前記第2の移動局への着信接続に代えて、前記第1の移動局への着信接続のための通信制御を行うことを特徴とする請求項2記載の通信システム。
【請求項4】
移動局から受け付ける第1の識別情報または第2の識別情報に対応して、それぞれ第1の通信サービスまたは第2の通信サービスを提供するための通信制御を行う通信方法であって、
前記第1の通信サービスの代わりに前記第2の通信サービスの利用を要求する利用登録要求と前記第1の識別情報とを前記移動局から受け付けたときに、前記第2の通信サービスを提供するための利用登録情報を前記第1の識別情報に対応付けて記憶する記憶ステップと、
前記第2の通信サービスの利用を要求する利用要求と前記第1の識別情報とを前記移動局から受け付けたときに、前記利用登録情報が記憶されている場合には、前記第1の通信サービスに代えて前記第2の通信サービスを提供するための通信制御を行う通信制御ステップと、を備えることを特徴とする通信方法。
【請求項5】
前記第1の識別情報は第1の移動局に対応し、前記第2の識別情報は第2の移動局に対応し、
前記通信制御ステップは、
前記第1の移動局から前記第1の識別情報と前記利用要求とを含む発信接続要求を受け付けたときに、前記第1の通信サービスに代えて前記第2の通信サービスを提供するために、前記第2の移動局から前記第2の識別情報を含む発信接続要求を受け付けた場合に行う通信制御を行うことを特徴とする請求項4記載の通信方法。
【請求項6】
前記第2の移動局への着信接続要求を受け付けたときに、前記利用登録情報が前記第1の識別情報に対応して記憶されている場合には、前記第2の移動局への着信接続に代えて、前記第1の移動局への着信接続のための通信制御を行う着信制御ステップと、を更に備えることを特徴とする請求項5記載の通信方法。
【請求項1】
移動局から受け付ける第1の識別情報または第2の識別情報に対応して、それぞれ第1の通信サービスまたは第2の通信サービスを提供するための通信制御を行う通信制御手段を備える通信システムであって、
前記第1の通信サービスの代わりに前記第2の通信サービスの利用を要求する利用登録要求と前記第1の識別情報とを前記移動局から受け付けたときに、前記第2の通信サービスを提供するための利用登録情報を前記第1の識別情報に対応付けて記憶するサービス状態記憶手段を備え、
前記通信制御手段は、前記第2の通信サービスの利用を要求する利用要求と前記第1の識別情報とを前記移動局から受け付けたときに、前記サービス状態記憶手段に前記利用登録情報が記憶されている場合には、前記第1の通信サービスに代えて前記第2の通信サービスを提供するための通信制御を行うことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記第1の識別情報は第1の移動局に対応し、前記第2の識別情報は第2の移動局に対応し、
前記通信制御手段は、前記第1の移動局から前記第1の識別情報と前記利用要求とを含む発信接続要求を受け付けたときに、前記第1の通信サービスに代えて前記第2の通信サービスを提供するために、前記第2の移動局から前記第2の識別情報を含む発信接続要求を受け付けた場合に行う通信制御を行うことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記通信制御手段は、前記第2の移動局への着信接続要求を受け付けたときに、前記利用登録情報が前記第1の識別情報に対応して前記サービス状態記憶手段に記憶されている場合には、前記第2の移動局への着信接続に代えて、前記第1の移動局への着信接続のための通信制御を行うことを特徴とする請求項2記載の通信システム。
【請求項4】
移動局から受け付ける第1の識別情報または第2の識別情報に対応して、それぞれ第1の通信サービスまたは第2の通信サービスを提供するための通信制御を行う通信方法であって、
前記第1の通信サービスの代わりに前記第2の通信サービスの利用を要求する利用登録要求と前記第1の識別情報とを前記移動局から受け付けたときに、前記第2の通信サービスを提供するための利用登録情報を前記第1の識別情報に対応付けて記憶する記憶ステップと、
前記第2の通信サービスの利用を要求する利用要求と前記第1の識別情報とを前記移動局から受け付けたときに、前記利用登録情報が記憶されている場合には、前記第1の通信サービスに代えて前記第2の通信サービスを提供するための通信制御を行う通信制御ステップと、を備えることを特徴とする通信方法。
【請求項5】
前記第1の識別情報は第1の移動局に対応し、前記第2の識別情報は第2の移動局に対応し、
前記通信制御ステップは、
前記第1の移動局から前記第1の識別情報と前記利用要求とを含む発信接続要求を受け付けたときに、前記第1の通信サービスに代えて前記第2の通信サービスを提供するために、前記第2の移動局から前記第2の識別情報を含む発信接続要求を受け付けた場合に行う通信制御を行うことを特徴とする請求項4記載の通信方法。
【請求項6】
前記第2の移動局への着信接続要求を受け付けたときに、前記利用登録情報が前記第1の識別情報に対応して記憶されている場合には、前記第2の移動局への着信接続に代えて、前記第1の移動局への着信接続のための通信制御を行う着信制御ステップと、を更に備えることを特徴とする請求項5記載の通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−60405(P2009−60405A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226346(P2007−226346)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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