説明

通信システム及び通信端末装置

【課題】盗電又は漏電を検出し得、異常な電力消費を検出し得る技術を提供する。
【解決手段】電子機器150〜154の実使用電力量情報202を、PLCネットワーク140を介して取得する。取得した実使用電力量情報202に対応する通常使用電力量情報201が、記憶部108に記憶されていなければ盗電又は漏電のおそれがあるとしてユーザに報知する。対応する通常使用電力量情報201が記憶されている場合には、電力消費状態が正常であるか否かを判断する。そして、判断結果に基づいて制御部213及び/又は報知部105を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の消費電力量や盗電の有無を取得する通信システム及び通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家電機器やOA機器等の電子機器の場合、通常、稼働するのに必要な電力消費量は、機器ごとに一定の許容範囲内で安定していることが多い。しかし、漏電や電子機器に対する過負荷等、電子機器に何らかの異常が発生すると、電力消費量が許容範囲を超えて増大することがある。換言すれば、電子機器の電力消費量が、許容範囲を超えて増大した場合には、漏電や電子機器に対する過負荷等、何らかの異常が発生していることがある。
【0003】
これに関連して、電子機器の動作状態を表す状態情報を含む機器情報を取得し、かつ取得した機器情報を印刷出力する機器情報印刷システムが提案されている(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−033615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術にある機器情報とは、何らかの予約機能を備えた電子機器に関する予約情報や、セキュリティ情報であり、それらを取得して印刷出力する機能を有しているに過ぎない。したがって、電子機器の電力消費量が増大したとしても、それを検出し、異常の兆候を検出することはできない。
【0006】
また、電力消費量の増大は、電子機器に異常が発生した場合のみならず、電力線からの漏電や何者かによる盗電によっても起こり得る。
【0007】
そこで、本発明の課題は、盗電又は漏電を検出し得、異常な電力消費を検出し得る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明は、電力線通信を行うことが可能な電子機器と電力線を介して通信を行う通信部と、前記電力線に接続される電子機器の実使用電力量情報を取得する取得部と、前記電力線に接続される電子機器の通常使用電力量情報を記憶する記憶部と、前記取得部によって取得された実使用電力量情報に対応する電子機器の通常使用電力量情報が前記記憶部に記憶されているか否かを判断する判断部とを備える、通信端末装置である。
【0009】
第2の発明は、第1の発明であって、前記判断部は、前記取得部が取得する電子機器の実使用電力量情報と前記記憶部に記憶されている前記電子機器の通常使用電力量情報とを比較して、前記電子機器の電力消費状態を判断する。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明であって、前記判断部による判断結果に応じて、前記判断結果に関する情報を前記通信端末装置のユーザに報知する報知部を更に備える。
【0011】
第4の発明は、第1ないし第3の何れかの発明であって、前記判断部による判断結果に応じて、前記電子機器に対する電力供給を制御する第1制御部を更に備える。
【0012】
第5の発明は、第1ないし第3の何れかの発明であって、前記判断部は、複数の電子機器をグループ分けし、1のグループに含まれる電子機器について、前記記憶部に記憶されている通常使用電力量情報を合算して合計通常使用電力量情報を求め、前記取得部によって取得された実使用電力量情報を合算して合計実使用電力量情報を求め、前記合計通常使用電力量情報と前記合計実使用電力量情報とを比較して、前記1のグループにおける電力消費状態を判断する。
【0013】
第6の発明は、第5の発明であって、前記判断部による判断結果に応じて、前記1のグループに対する電力供給を制御する第2制御部を更に備える。
【0014】
第7の発明は、第1ないし第6何れかの発明であって、前記判断部による判断結果に関する情報の履歴を記憶する履歴記憶部を更に備える。
【0015】
第8の発明は、第3ないし第7の何れかの発明であって、前記報知部は、判断結果を画像情報として表示する表示部、判断結果を画像情報として印刷出力する描画部又は判断結果を音声情報として出力する音声出力部のうち、少なくとも1つを有する。
【0016】
第9の発明は、電力線による通信を行う通信システムであって、前記電力線に接続される中継装置と、前記電力線に接続される通信端末装置とを備え、前記中継装置は、前記中継装置に接続される装置の使用する電力量に基づいて、前記中継装置の実使用電力量情報を生成して、前記通信端末装置に向けて前記電力線を介して送信し、前記通信端末装置は、前記中継装置から送信された前記中継装置の実使用電力量情報を電子機器の実使用電力量情報として取得する取得部と、前記電子機器の通常使用電力量情報を記憶する記憶部と、前記取得部によって取得された実使用電力量情報に対応する前記電子機器の通常使用電力量情報が前記記憶部に記憶されているか否かを判断する判断部とを有する。
【0017】
第10の発明は、第9の発明であって、前記判断部は、前記取得部が取得する電子機器の実使用電力量情報と前記記憶部に記憶されている前記電子機器の通常使用電力量情報とを比較して、前記電子機器の電力消費状態を判断する。
【0018】
第11の発明は、第9又は第10の発明であって、前記判断部による判断結果に応じて、前記判断結果に関する情報を前記通信システムの管理ユーザに報知する報知装置を更に備える。
【0019】
第12の発明は、第9ないし第11の発明であって、前記判断部による判断結果に応じて、前記中継装置から前記装置への電力供給を制御する制御装置を更に備える。
【0020】
第13の発明は、第9ないし第12の何れかの発明であって、前記判断部による判断結果に関する情報の履歴を記憶する履歴記憶装置を更に備える。
【0021】
第14の発明は、第11ないし第13の何れかの発明であって、前記報知装置は、判断結果を画像情報として表示する表示装置、判断結果を画像情報として印刷出力する描画装置又は判断結果を音声情報として出力する音声出力装置のうち、少なくとも1つを有する。
【発明の効果】
【0022】
第1の発明によれば、電子機器の実使用電力量情報に対応する通常使用電力量情報が記憶部に記憶されているか否かを判断するので、予定されていない電力消費を検出することが可能となる。したがって、予め記憶されていない電子機器による盗電又は漏電を検出することが可能となる。
【0023】
第2の発明によれば、実使用電力量情報と通常使用電力量情報とを比較して、電子機器の電力消費状態を判断するので、予め記憶されている電子機器の電力消費状態を管理することが可能となる。
【0024】
第3の発明によれば、判断部による判断結果に応じて、判断結果に関する情報を通信端末装置のユーザに報知する報知部を更に備えるので、ユーザは、盗電又は漏電の有無、若しくは電力消費状態を容易に知ることが可能となる。
【0025】
第4の発明によれば、判断部による判断結果に応じて、該電子機器に対する電力供給を制御するので、火災や感電等の事故を抑制又は防止することが可能となる。
【0026】
第5の発明によれば、判断部は、複数の電子機器をグループ分けし、1のグループに含まれる電子機器の通常使用電力量情報の合算と実使用電力量情報の合算とを比較して、該1のグループにおける電力消費状態を判断するので、判断処理を簡素化することが可能となる。また、例えば、互いに関連する電子機器同士を同一のグループにすることで、電力消費状態の管理を効率的に行うことが可能となる。
【0027】
第6の発明によれば、判断部による判断結果に応じて、該1のグループに対する電力供給を制御するので、火災や感電等の事故を抑制又は防止することが可能となる。
【0028】
第7の発明によれば、判断部による判断結果に関する情報の履歴を記憶するので、ユーザは電力消費状態の経時変化を知ることが可能となる。そのため、異常な電力消費が予想される場合に事前に防止策を講じることが可能となる。
【0029】
第8の発明によれば、報知部は、表示部、描画部又は音声出力部のうち、少なくとも1つを有しているので、プリンタやファクシミリ装置、又はこれらの機能を複合した複合機に通信端末装置の機能を付加することが可能となる。
【0030】
第9の発明によれば、中継装置に接続される装置の使用する電力量に基づいて、中継装置の実使用電力量情報を生成して、これを電子機器の実使用電力量情報として取得し、電子機器の実使用電力量情報に対応する通常使用電力量情報が記憶部に記憶されているか否かを判断するので、電力線通信に対応していない装置に対しても、予定されていない電力消費を検出することが可能となる。したがって、予め記憶されていない電子機器による盗電又は漏電を検出することが可能となる。
【0031】
第10の発明によれば、実使用電力量情報と通常使用電力量情報とを比較して、電子機器の電力消費状態を判断するので、予め記憶されている電子機器の電力消費状態を管理することが可能となる。
【0032】
第11の発明によれば、判断部による判断結果に応じて、判断結果に関する情報を通信システムの管理ユーザに報知する報知装置を更に備えるので、管理ユーザは、盗電又は漏電の有無、若しくは電力消費状態を容易に知ることが可能となる。
【0033】
第12の発明によれば、判断部による判断結果に応じて、該中継装置から装置への電力供給を制御するので、火災や感電等の事故を抑制又は防止することが可能となる。
【0034】
第13の発明によれば、判断部による判断結果に関する情報の履歴を記憶するので、管理ユーザは電力消費状態の経時変化を知ることが可能となる。そのため、異常な電力消費が予想される場合に事前に防止策を講じることが可能となる。
【0035】
第14の発明によれば、報知装置は、表示装置、描画装置又は音声出力装置のうち、少なくとも1つを有しているので、プリンタやファクシミリ装置、又はこれらを複合した複合機に通信システムを構成する装置を適宜付加することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る通信端末装置の一例として、スキャナ機能、プリンタ機能及びファクシミリ機能を有するMFP(Multi Function Peripherals)が、電力線通信可能な電子機器を個別に管理する場合について、図面に基づいて説明する。
【0037】
<MFP100の構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係るMFP100の構成例を示すブロック図であり、図2は、MFP100の機能ブロック図である。
【0038】
MFP100は、操作部101と、表示部102と、読取部103と、描画部104と、報知部105と、メモリユニット107と、通信部110と、ROM111と、RAM112と、MPU113とを備えており、これらがバス120を介して互いに接続されている。また、MFP100は、給電部130に接続されており、更にPLC(Power Line Communications;電力線通信)ネットワーク140を介して電子機器150〜154に接続されている。
【0039】
操作部101は、テンキーとファンクションキーとを有するメカニカルスイッチで構成され、番号やデータの入力、各種コマンドの実行命令等のユーザからの操作を受け付ける。特に、操作部101は、PLCネットワーク140を介して接続された電子機器150〜154の通常使用電力量情報201の入力を受け付ける。
【0040】
表示部102は、LCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)等の表示デバイスによって構成され、各種情報を表示する。なお、表示部102にタッチパネルディスプレイを適用して、操作部101の一部または全ての機能を兼ね備えるようにしても良い。読取部103は、CCD(Charge Coupled Device;電荷結合素子)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor;相補型金属酸化膜半導体)等の撮像素子を有して、光学的に画像を読み取る。描画部104は、画像データを記憶する画像メモリ(図示省略)を有し、記録紙カセット(図示省略)内に載置された記録紙上に画像メモリに記憶された画像データを記録する。
【0041】
報知部105は、判断部212による判断結果に応じて、該判断結果に関する情報をMFP100のユーザに報知するものである。具体的には、報知部105は、判断結果を画像情報として表示する場合には表示部102が報知部105の機能を兼用し、判断結果を画像情報として印刷出力する場合には描画部104が報知部105の機能を兼用し、判断結果を音声情報として出力する場合には音声出力部106が適用される。判断結果を何れの情報で報知するかはユーザによって選択的に設定されるものとする。なお、本実施形態においては、表示部102を報知部105として兼用することに加えて、音声出力部106が適用される場合を例に説明する。また、報知部105は、必ずしも表示部102、描画部104及び音声出力部106を全て有している必要はなく、何れか1つであっても構わないことは勿論である。
【0042】
メモリユニット107は、不揮発性メモリが適用されて、読取部103によって読み取られた画像データを記憶するほか、記憶部108と、履歴記憶部109とを有している。
【0043】
記憶部108は、操作部101からの入力に基づいて、電子機器150〜154それぞれの通常使用電力量情報201を記憶する。ここで、通常使用電力量情報201は、電子機器150〜154それぞれの識別情報と、それぞれが通常稼働するために使用する電力量情報(許容範囲を含む)とであって、本実施形態においては、カタログスペックに基づいて、ユーザにより入力されるものとする。
【0044】
履歴記憶部109は、判断部212による判断結果に関する情報の履歴を記憶する。記憶された履歴データの読み出しは、表示部102に表示させるようにしても良いし、描画部104から印刷出力させるようにしても良い。また、通信部110を介して接続されたPC等(図示省略)に出力するようにしても良い。
【0045】
ここで、履歴記憶部109に記憶される判断結果に関する情報の履歴とは、電子機器150〜154の識別情報と、判断部212による電子機器150〜154の電力消費状態に関する判断結果そのものと、取得部211が取得する電子機器150〜154の実使用電力量情報202と、該情報の取得日時とを含む。
【0046】
通信部110は、PLCモデム(図示省略)を内蔵して、PLCネットワーク140を介して接続された電子機器150〜154との通信を行う。具体的には、電子機器150〜154から送信される実使用電力量情報202を受信したり、制御部213からの制御により、給電部130から電子機器150〜154に対する電力供給量を制御したりする。
【0047】
さらに、通信部110は、MODEM(MOdulator-DEModulator;変復調装置)、NCU(Network Control Unit;ネットワーク制御回路)、CODEC(COder-DECoder;コーダ−デコーダ)を備え、PSTN(Public Switched Telephone Network;公衆電話網)を介して接続されるファクシミリ装置等との通信を行う(何れも図示省略)。
【0048】
ROM111は、MFP100が実行するプログラムや統括制御に必要なデータが格納されたものであり、RAM112は、MFP100による統括制御に必要なデータを一時記憶するものである。MPU113は、ROM111を参照したりRAM112を用いたりしながら、操作部101からの入力信号や、該入力信号に基づくデータ演算及び出力信号の生成や、表示部102への表示内容の制御等を行ってMFP100の各機能を実現するものである。なお、MPU113の詳細な機能については後述する。
【0049】
PLCネットワーク140は、既設の電灯線や配電線を通信回線として利用するネットワークであって、交流電源周波数(50Hz/60Hz)よりも高い周波数の信号を重畳させることにより、該電灯線又は配電線に接続された機器間での通信を実現する。本実施形態においては、家庭内またはオフィス内に配設されている電灯線をPLCネットワーク140として適用するが、互いに隔てられている複数の領域を統合したものでも構わない。
【0050】
電子機器150〜154は、PLCネットワーク140を介して通信を行うことが可能となっており、MFP100に対して実使用電力量情報202を伝達する。なお、電子機器150〜154は、MFP100に対して通常使用電力量情報201も伝達するようにしても良い。その場合、電子機器150〜154から伝達された通常使用電力量情報201は、記憶部108に記憶される。
【0051】
給電部130は、PLCネットワーク140の外部からMFP100に対して電力を供給する外、電子機器150〜154に対しても通信部110を介して電力を供給する。
【0052】
<MFP100の詳細な機能>
MFP100は、取得部211と、判断部212と、制御部213とを備えている。これらは、MPU113が、ROM111及びRAM112と協働して動作することにより実現される機能ブロックである。
【0053】
取得部211は、PLCネットワーク140に接続される電子機器150〜154の実使用電力量情報202を取得する。そして、取得した実使用電力量情報202を判断部212に伝達する。なお、取得部211が取得する実使用電力量情報は、初期設定で1秒間隔、又は1分間隔のように予め定められた時間間隔で取得されても良いし、ユーザによって設定されるようにしても良い。
【0054】
判断部212は、取得部211によって取得された実使用電力量情報202に対応する電子機器150〜154の通常使用電力量情報201が記憶部108に記憶されているか否かを判断する。そして、判断結果に応じて、制御部213及び/又は報知部105を制御する。具体的には、実使用電力量情報202に対応する電子機器150〜154の通常使用電力量情報201が記憶部108に記憶されていない場合、判断部212は、盗電又は漏電のおそれがあると判断し、その旨を示す信号(以下、「盗電検出信号」と称する)を制御部213及び/又は報知部105に伝達する。ここで、盗電検出信号に基づいてユーザに報知するのみで電力供給の制御を行わない場合には、盗電検出信号は制御部213に伝達しない。
【0055】
また、判断部212は、取得部211が取得する電子機器150〜154の実使用電力量情報202と記憶部108に記憶されている電子機器150〜154の通常使用電力量情報201とを比較して、電子機器150〜154の電力消費状態を判断する。そして、判断結果を示す制御信号(以下、「判断結果信号」と称する)を制御部213及び/又は報知部105に伝達する。ここで、判断結果信号に基づいてユーザに報知するのみで電力供給の制御を行わない場合には、判断結果信号は制御部213に伝達しない。
【0056】
さらに、判断部212は、判断結果に関する情報を履歴記憶部109に格納する。ここで、判断部212が判断する電力消費状態とは、電子機器150〜154の実使用電力量情報202と、それに対応する通常使用電力量情報201との割合を1つの指標として、電力量の消費量が正常な状態にあるか否かを示す。
【0057】
制御部213は、本発明の第1制御部に相当し、判断部212による判断結果に応じて、電子機器150〜154に対する電力供給を制御する。具体的には、判断部212によって、電子機器150〜154の何れかが異常な電力量を消費している状態にあると判断された場合には、通信部110を制御して、給電部130から通信部110を介して該電子機器150〜154の何れかに供給される電力量を削減するか又は、電力供給を停止する。なお、電力の供給量を削減するか、電力供給を停止するかは、初期設定で定められていても良いし、ユーザによって設定されるようにしても良い。
【0058】
<MFP100の動作>
MFP100は、以上のような構成を備えることにより、以下のような動作を行う。図3は、MFP100の処理動作を示すフローチャートである。このフローチャートでは、MFP100が、盗電又は漏電の有無の検出及び電子機器150〜154の電力消費状態の管理を行うための処理動作のみを示し、その他の処理動作については図示及び説明を省略している。また、特に記載のない場合は、MFP100における一連の処理動作は、MPU113の制御下で自動的に行われる。
【0059】
まず、MFP100の電源がONの状態で、PLCネットワーク140に接続される電子機器150〜154の通常使用電力量情報201の入力を操作部101が受け付けたか否かを検出する(ステップS301)。操作部101が通常使用電力量情報201の入力を受け付けると、ステップS301においてYesを選択し、操作部101が受け付けた電子機器150〜154の通常使用電力量情報201を記憶部108に記憶する(ステップS302)。一方、操作部101が通常使用電力量情報201の入力を受け付けなければ、ステップS301においてNoを選択してステップS302をスキップする。なお、本実施形態においてステップS301は、MFP100の電源がONの状態のときは常に行われており、通常使用電力量情報201の入力を受け付けた場合には、全ステップに優先してYesを選択するものとする。
【0060】
そして、取得部211は、PLCネットワーク140に接続された電子機器150〜154の実使用電力量情報202を取得する(ステップS303)。取得部211は、取得した実使用電力量情報202を判断部212に伝達する。
【0061】
判断部212は、取得部211によって取得された実使用電力量情報202に対応する電子機器150〜154の通常使用電力量情報201が記憶部108に記憶されているか否かを判断する(ステップS304)。判断結果がNoである(すなわち、実使用電力量情報202に対応する電子機器150〜154の通常使用電力量情報201が記憶部108に記憶されていない)場合には、盗電検出信号を報知部105に伝達する。報知部105は、伝達された盗電検出信号に基づいて音声出力部106からアラーム等の音声を出力すると共に表示部102に判断結果を表示してユーザに報知する(ステップS305)。
【0062】
また、判断部212は、報知部105に伝達すると共に、該電子機器150〜154に対する電力供給を制御するか否かを判断する(ステップS306)。判断結果がYesである場合には、該電子機器150〜154に対する電力供給を制御する(ステップS307)。そして、判断結果に関する情報を履歴記憶部109に記憶する(ステップS308)。一方、ステップS306における判断結果がNoである場合には、ステップS301に戻って同様の処理を繰り返す。
【0063】
ステップS304における判断結果がYesである(すなわち、実使用電力量情報202に対応する電子機器150〜154の通常使用電力量情報201が記憶部108に記憶されている)場合には、該電子機器150〜154の電力消費状態は正常か否かを判断し(ステップS306)、判断結果信号を制御部213及び/又は報知部105に伝達する。
【0064】
判断結果信号が、電子機器150〜154の何れかが異常な電力消費状態にあることを示す(すなわち、ステップS306においてNoを選択する)場合には、報知部105がユーザに報知する(ステップS305)と共に、該電子機器に対する電力供給を制御するか否かを判断する(ステップS306)。一方、判断結果信号が、電子機器150〜154の電力消費状態は正常であることを示す(すなわち、ステップS306においてYesを選択する)場合には、ステップS301に戻って同様の処理を繰り返す。
【0065】
以上のように、電子機器150〜154の実使用電力量情報202に対応する通常使用電力量情報201が記憶部108に記憶されているか否かを判断するので、予定されていない電力消費を検出することが可能となる。したがって、予め記憶されていない電子機器による盗電又は漏電を検出することが可能となる。
【0066】
ここで、実使用電力量情報202と通常使用電力量情報201とを比較して、電子機器150〜154の電力消費状態を判断するので、予め記憶されている電子機器150〜154の電力消費状態を管理することが可能となる。
【0067】
さらに、判断部212による判断結果に応じて、判断結果に関する情報をMFP100のユーザに報知する報知部105を更に備えるので、ユーザは、盗電又は漏電の有無、若しくは電力消費状態を容易に知ることが可能となる。
【0068】
また、判断部212による判断結果に応じて、電子機器150〜154に対する電力供給を制御するので、火災や感電等の事故を抑制又は防止ことが可能となる。
【0069】
また、判断部212による判断結果に関する情報の履歴を記憶するので、ユーザが電力消費状態の経時変化を知ることが可能となる。そのため、異常な電力消費が予想される場合に事前に防止策を講じることが可能となる。
【0070】
さらにまた、報知部105は、表示部102、描画部104又は音声出力部106のうち、少なくとも1つを有しているので、プリンタやファクシミリ装置、又はこれらの機能を複合した複合機に通信端末装置の機能を付加することが可能となる。
【0071】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、電力線通信可能な電子機器150〜154を個別に管理する場合について説明したが、本実施形態においては、PLCネットワーク140に接続されている複数の電子機器をグループ分けし、グループごとに電力消費状態を管理する場合について、図面に基づいて説明する。なお、上記第1実施形態と同様の機能を有するものは同一符号を付してその説明を省略する。
【0072】
<MFP400の構成>
図4は、本発明の第2実施形態に係るMFP400の機能ブロック図である。MFP400は、PLCネットワーク140を介して第1グループ411ないし第3グループ413に接続されている。各グループ411〜413は、それぞれ少なくとも1つの電子機器(図示省略)を有している。なお、MFP400に接続されるグループは第1ないし第3グループ411〜413に限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定されるものとする。また、本実施形態においては、表示部102と描画部104とを報知部105として兼用している。
【0073】
MFP400は、上記第1実施形態の操作部101が備える機能に加えて、第1ないし第3グループ411〜413の識別情報を受け付ける操作部101Aを備えている。なお、第1ないし第3グループ411〜413の識別情報は必ずしも操作部101Aが受け付ける必要はなく、MFP400が自動的にグループを設定して識別情報を生成するようにしても良い。
【0074】
履歴記憶部109Aは、判断部212Aが算出する合計実使用電力量情報202Aと、判断部212Aの判断結果に関する情報の履歴を記憶する。ここで、判断結果に関する情報の履歴とは、各グループ411〜413の識別情報と、判断部212Aによる各グループ411〜413の電力消費状態に関する判断結果そのものと、該情報の取得日時とを含む。
【0075】
<MFP400の詳細な機能>
また、MFP400は、取得部211と、判断部212Aと、制御部213Aとを備えている。これらもまた、MPU113が、ROM111及びRAM112と協働して動作することにより実現される機能ブロックである。
【0076】
取得部211は、PLCネットワーク140のグループ411〜413の実使用電力量情報を、通信部110を介して取得する。そして、取得した実使用電力量情報を判断部212Aに伝達する。
【0077】
判断部212Aは、複数の電子機器(図示省略)をグループ分けし、1のグループに含まれる電子機器について、記憶部108に記憶されている通常使用電力量情報201を合算して合計通常使用電力量情報201Aを求め、取得部211によって取得された実使用電力量情報を合算して合計実使用電力量情報202Aを求め、合計通常使用電力量情報201Aと合計実使用電力量情報202Aとを比較して、該1のグループにおける電力消費状態を判断する。
【0078】
具体的には、判断部212Aは、操作部101Aが受け付けたグループの識別情報に基づいて、複数の電子機器を第1ないし第3グループ411〜413に分け、例えば、第1グループ411に含まれる電子機器について、記憶部108に記憶されている通常使用電力量情報201を合算して合計通常使用電力量情報201Aを求め、記憶部108に記憶させる。また、取得部211によって取得された実使用電力量情報を合算して合計実使用電力量情報202Aを求める。
【0079】
そして、判断部212Aは、合計通常使用電力量情報201Aと合計実使用電力量情報202Aとを比較して、第1グループ411における電力消費状態を判断する。判断結果を示す判断結果信号は、制御部213A及び/又は報知部105に伝達される。ここで、判断結果信号に基づいてユーザに報知するのみで電力供給の制御を行わない場合には、制御部213Aには伝達しない。
【0080】
なお、合計通常使用電力量情報201Aは、各グループ411〜413が有している電子機器の通常使用電力量の総和に加えて、各グループ411〜413の識別情報を含む。また、判断部212Aは、合計実使用電力量情報202Aと判断結果に関する情報の履歴とを履歴記憶部109に格納する。ここで、判断結果に関する情報の履歴とは、判断部212Aによる各グループ411〜413の電力消費状態に関する判断結果そのものと、該情報の取得日時とを含む。
制御部213Aは、本発明の第2制御部に相当し、判断部212Aによる判断結果に応じて、第1ないし第3グループ411〜413に対する電力供給を制御する。具体的には、判断部212Aによって、第1ないし第3グループ411〜413の何れかが異常な電力量を消費している状態にあると判断された場合には、通信部110を制御して、給電部130から通信部110を介して該グループ411〜413の何れかに供給される電力量を削減するか又は、電力供給を停止する。なお、電力の供給量を削減するか、電力供給を停止するかは、初期設定で定められていても良いし、ユーザによって設定されるようにしても良い。
【0081】
<MFP400の動作>
MFP400は、以上のような構成を備えることにより、以下のような動作を行う。図5は、MFP400の処理動作を示すフローチャートである。このフローチャートでは図3と同様、MFP400が、各グループ411〜413の電力消費状態を管理するための処理動作のみを示し、その他の処理動作については図示及び説明を省略している。また、特に記載のない場合は、MFP400における一連の処理動作は、MPU113の制御下で自動的に行われる。
【0082】
まず、MFP400の電源がONの状態で、各グループ411〜413の識別情報及び各グループ411〜413が有する電子機器の通常使用電力量情報201の入力を操作部101Aが受け付けたか否かを検出する(ステップS501)。操作部101Aが第1ないし第3グループ411〜413の識別情報及び該グループ411〜413の何れかが有する電子機器の通常使用電力量情報201の入力を受け付けると、ステップS501においてYesを選択し、操作部101Aが受け付けた第1ないし第3グループ411〜413の識別情報及び該グループ411〜413の何れかが有する電子機器の通常使用電力量情報201に基づいて合計通常使用電力量情報201Aを算出して記憶部108Aに記憶する(ステップS502)。一方、操作部101Aが第1ないし第3グループ411〜413の識別情報及び該グループ411〜413の何れかが有する電子機器の通常使用電力量情報201の入力を受け付けなければ、ステップS501においてNoを選択してステップS502をスキップする。なお、本実施形態においてもステップS501は、MFP400の電源がONの状態のときは常に行われており、第1ないし第3グループ411〜413の識別情報及び該グループ411〜413の何れかが有する電子機器の通常使用電力量情報201の入力を受け付けた場合には、全ステップに優先してYesを選択するものとする。
【0083】
そして、取得部211は、PLCネットワーク140に接続された各グループ411〜413の実使用電力量情報202を取得する(ステップS503)。取得部211が取得した実使用電力量情報202は、判断部212Aに伝達される。
【0084】
判断部212Aは、操作部101Aが受け付けた各グループ411〜413の識別情報に基づいて、グループ411〜413ごとに実使用電力量情報202を合算して合計実使用電力量情報202Aを算出する(ステップS504)。 また、判断部212Aは、該グループの電力消費状態が正常か否かを判断する(ステップS505)。判断結果がYesである場合には、表示部102に警告画像を表示すると共に判断結果を画像情報として描画部104から印刷出力してユーザに報知する(ステップS506)。そして、該グループに対する電力供給を制御するか否かを判断する(ステップS507)。ステップS507においてYesを選択する場合には、該グループに対する電力供給を制御し(ステップS508)、ステップS507においてNoを選択する場合には、ステップS508をスキップする。そして、判断結果に関する情報を履歴記憶部109Aに記憶する(ステップS509)。そして、ステップS501に戻って同様の処理を繰り返す。
【0085】
ステップS505においてYesを選択する(すなわち、該グループの電力消費状態が正常である)場合には、ステップS501に戻って同様の処理を繰り返す。
【0086】
以上のように、判断部212Aは、複数の電子機器をグループ411〜413に分け、1のグループ411〜413の何れかに含まれる電子機器の合計通常使用電力量情報201Aと合計実使用電力量情報202Aとを比較して、該1のグループにおける電力消費状態を判断するので、判断処理を簡素化することが可能となる。また、例えば、パソコンとプリンタのように互いに関連する電子機器同士を同一のグループにすることで、電力消費状態の管理を効率的に行うことが可能となる。
【0087】
また、判断部212Aによる判断結果に応じて、該1のグループ411〜413の何れかに対する電力供給を制御するので、火災や感電等の事故を抑制又は防止することが可能となる。
【0088】
<第3実施形態>
上記第1実施形態では、管理する電子機器150〜154が電力線通信可能な機器であることを前提として、MFP100を説明した。また、上記第2実施形態でも、管理するグループ411〜413内の電子機器が電力線通信可能な機器であることを前提として、MFP400を説明した。しかし、本発明は、上述のように、管理される側の電子機器が電力線通信に対応している場合に限定されるものではない。そこで、本実施形態においては、電力線通信に対応していない電子機器を管理するための通信システムについて、図面に基づいて説明する。なお、上記実施形態と同様の機能を有するものは同一符号を付してその説明を省略する。
【0089】
<システム600の構成>
図6は、本発明の第3実施形態に係る通信システム600の構成例と機能を示すブロック図である。通信システム600は、例えば、PLCネットワーク140に接続されるMFP610と、PLCネットワーク140に接続される中継装置621〜624とを備えている。
【0090】
中継装置621〜624は、中継装置621〜624に接続される装置の使用する電力量に基づいて、中継装置621〜624の実使用電力量情報を生成して、MFP610に向けてPLCネットワーク140を介して送信する。これにより、電力線通信に対応していない装置631〜634であっても電力消費状態を管理することが可能となる。また、中継装置621〜624は、制御装置615から電力供給量を制御する命令を受信した場合に、中継装置621〜624に接続された装置631〜634に対する電力供給量を制御する。
【0091】
MFP610は、取得部611と、記憶部612と、判断部613と、報知装置614と、制御装置615と、履歴記憶部616とを備えている。ここで、取得部611と判断部613と制御装置615とは、MPUがROM及びRAM(何れも図示省略)と協働して動作することによって実現されるものとする。
【0092】
取得部611は、中継装置621〜624から送信された中継装置621〜624の実使用電力量情報を電子機器641〜644の実使用電力量情報202Bとして取得する。
【0093】
記憶部612は、不揮発性メモリが適用されて、電子機器641〜644の通常使用電力量情報201Bを記憶する。具体的には、中継装置621〜624の識別情報と、中継装置621〜624が通常の稼働をするのに必要とする電力量及び該中継装置621〜624に接続されている装置631〜634が通常の稼働をするのに必要とする電力量の和を電子機器641〜644の通常使用電力量情報201Bとして記憶する。ここで、記憶部612に対する通常使用電力量情報201Bの入力は、操作部101から行われる。
【0094】
判断部613は、取得部611よって取得された実使用電力量情報202Bに対応する電子機器641〜644の通常使用電力量情報201Bが記憶部612に記憶されているか否かを判断する。そして、判断結果に応じて、制御装置615及び/又は報知装置614を制御する。具体的には、実使用電力量情報202Bに対応する電子機器641〜644の通常使用電力量情報201Bが記憶部612に記憶されていない場合は、判断部613は、盗電又は漏電のおそれがあると判断して盗電検出信号を制御装置615及び/又は報知装置614に伝達する。ここで、盗電検出信号に基づいて管理ユーザに報知するのみで電力供給の制御を行わない場合には、盗電検出信号は制御装置615に伝達しない。
【0095】
また、判断部613は、取得部611が取得する電子機器641〜644の実使用電力量情報202Bと記憶部612に記憶されている電子機器641〜644の通常使用電力量情報201Bとを比較して、電子機器641〜644の電力消費状態を判断する。そして、判断結果信号を制御装置615及び/又は報知装置614に伝達する。ここで、判断結果信号に基づいて管理ユーザに報知するのみで電力供給の制御を行わない場合には、判断結果信号は制御装置615に伝達しない。
【0096】
さらに、判断部613は、判断結果に関する情報を履歴記憶部616に格納する。ここで、判断部613が判断する電力消費状態とは、電子機器641〜644の実使用電力量情報202Bと、それに対応する通常使用電力量情報201Bとの割合を1つの指標として、電力量の消費状態が正常な状態にあるか否かを示す。
【0097】
報知装置614は、例えば、表示部102(表示装置)と描画部104(描画装置)とを有して、判断部613による判断結果に応じて、該判断結果に関する情報を通信システム600の管理ユーザに報知する。なお、本実施形態においては、該判断結果に関する情報を画像情報として管理ユーザに報知するが、該判断結果に関する情報を音声情報として出力する音声出力装置(図示省略)であっても良いし、これらを適宜組み合わせても良い。
【0098】
制御装置615は、判断部613による判断結果に応じて、中継装置621〜624から装置631〜634への電力供給を制御する。具体的には、判断部613によって、電子機器641〜644の何れかが異常な電力量を消費している状態にあると判断された場合には、該電子機器641〜644が有する中継装置621〜624から装置631〜634への電力の供給量を削減するか又は、電力供給を停止する命令を中継装置621〜624の何れかに伝達する。なお、電力の供給量を削減するか、電力供給を停止するかは、初期設定で定められていても良いし、管理ユーザによって設定されるようにしても良い。
【0099】
履歴記憶部616は、不揮発性メモリが適用されて、判断部613による判断結果に関する情報の履歴を記憶する。記憶された履歴データの読み出しは、表示部102に表示させるようにしても良いし、描画部104から印刷出力させるようにしても良い。また、MFP610に接続されたPC等(図示省略)に出力するようにしても良い。
【0100】
ここで、履歴記憶部616に記憶される判断結果に関する情報の履歴とは、判断部613による電子機器641〜644の電力消費状態に関する判断結果そのものと、該情報の取得日時とを含む。
【0101】
<通信システム600の動作>
通信システム600は、以上のような構成を備えることにより、以下のような動作を行う。図7は、通信システム600の処理動作を示すフローチャートである。このフローチャートでは、中継装置621〜624の電力消費状態を管理するための処理動作のみを示し、その他の処理動作については図示及び説明を省略している。また、特に記載のない場合は、通信システム600における一連の処理動作は、MFP610の制御下で自動的に行われる。
【0102】
まず、通信システム600を構成する各装置の電源がONの状態で、中継装置621〜624の識別情報及び通常使用電力量情報201Bの入力の入力を操作部101が受け付けたか否かを検出する(ステップS701)。操作部101が中継装置621〜624の識別情報及び該中継装置621〜624の通常使用電力量情報201Bの入力を受け付けると、ステップS701においてYesを選択し、操作部101が受け付けた中継装置621〜624の識別情報及び通常使用電力量情報201Bを記憶部612に記憶する(ステップS702)。一方、操作部101が中継装置621〜624の識別情報及び通常使用電力量情報201Bの入力を受け付けなければ、ステップS701においてNoを選択してステップS702をスキップする。なお、本実施形態においてステップS701は、各装置の電源がONの状態のときは常に行われており、中継装置621〜624の識別情報及び通常使用電力量情報201Bの入力を受け付けた場合には、全ステップに優先してYesを選択するものとする。
【0103】
そして、取得部611は、PLCネットワーク140に接続された電子機器641〜644の実使用電力量情報202Bを取得する(ステップS703)。取得部611は、取得した実使用電力量情報202Bを判断部613に伝達する。
【0104】
判断部613は、取得部611によって取得された実使用電力量情報202Bに対応する電子機器641〜644の通常使用電力量情報201Bが記憶部612に記憶されているか否かを判断する(ステップS704)。判断結果がNoである(すなわち、実使用電力量情報202Bに対応する電子機器641〜644の通常使用電力量情報201Bが記憶部612に記憶されていない)場合には、盗電検出信号を報知装置614に伝達する。報知装置614は、伝達された盗電検出信号に基づいて表示部102に警告画像を表示すると共に、判断結果を画像情報として描画部104から印刷出力する(ステップS705)。
【0105】
また、判断部613は、報知装置614に伝達すると共に、該中継装置621〜624から装置631〜634への電力供給を制御するか否かを判断する(ステップS706)。判断結果がYesである場合には、該中継装置621〜624から装置631〜634への電力供給を制御する(ステップS707)。そして、判断結果に関する情報を履歴記憶部616に格納する(ステップS708)。一方、ステップS706における判断結果がNoである場合には、ステップS701に戻って同様の処理を繰り返す。
【0106】
ステップS704における判断結果がYesである(すなわち、実使用電力量情報202Bに対応する電子機器641〜644の通常使用電力量情報201Bが記憶部612に記憶されている)場合には、該電子機器641〜644の電力消費状態は正常か否かを判断し(ステップS709)、判断結果信号を制御装置615及び/又は報知装置614に伝達する。
【0107】
判断結果信号が、電子機器641〜644の何れかが異常な電力消費状態にあることを示す(すなわち、ステップS709においてNoを選択する)場合には、報知装置614がユーザに報知する(ステップS705)と共に、該中継装置621〜624から装置631〜634への電力供給を制御するか否かを判断する(ステップS706)。一方、判断結果信号が、中継装置621〜624の電力消費状態は正常であることを示す場合には、ステップS701に戻って同様の処理を繰り返す。
【0108】
以上のように、中継装置621〜624に接続される装置631〜634の使用する電力量に基づいて、中継装置621〜624の実使用電力量情報を生成して、これを電子機器641〜644の実使用電力量情報202Bとして取得し、電子機器641〜644の実使用電力量情報202Bに対応する通常使用電力量情報201Bが記憶部612に記憶されているか否かを判断するので、電力線通信に対応していない装置631〜634に対しても、予定されていない電力消費を検出することが可能となる。したがって、予め記憶されていない電子機器641〜644による盗電又は漏電を検出することが可能となる。
【0109】
ここで、実使用電力量情報202Bと通常使用電力量情報201Bとを比較して、電子機器の電力消費状態を判断するので、予め記憶されている電子機器641〜644の電力消費状態を管理することが可能となる。
【0110】
また、判断部613による判断結果に応じて、判断結果に関する情報を通信システム600の管理ユーザに報知する報知装置614を更に備えるので、管理ユーザは、盗電又は漏電の有無、若しくは電力消費状態を容易に知ることが可能となる。
【0111】
また、判断部613による判断結果に応じて、中継装置621〜624から装置631〜634への電力供給を制御するので、火災や感電等の事故を抑制又は防止することが可能となる。
【0112】
また、判断部613による判断結果に関する情報の履歴を記憶するので、管理ユーザは電力消費状態の経時変化を知ることが可能となる。そのため、異常な電力消費状態が予想される場合に事前に防止策を講じることが可能となる。
【0113】
さらにまた、報知装置614は、表示部102、描画部104又は音声出力装置のうち、少なくとも1つを有しているので、プリンタやファクシミリ装置、又はこれらの機能を複合した複合機に通信システム600を構成する装置を適宜付加することが可能となる。
【0114】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した内容のものに限定されるものではない。
【0115】
例えば、上記第1実施形態では、通常使用電力量情報201の入力がなされた場合には、全ての処理に優先してステップS301においてYesを選択するとしたが、通常使用電力量情報201を記憶部108に記憶させる登録モードと、実使用電力量情報202を取得する管理モードとを切り替えるようにしても良い。
【0116】
また、上記第2実施形態では、記憶部108に通常使用電力量情報201と合計通常使用電力量情報201Aとを記憶させるようにしたが、通常使用電力量情報201を合算して合計通常使用電力量情報201Aを求めた後は、合計通常使用電力量情報201Aのみを記憶させ、通常使用電力量情報201を削除しても良い。これにより、記憶部108に記憶されるデータ容量を抑制することが可能となる。
【0117】
通信端末装置であるMFP100,400上記第1及び第2実施形態では、判断部212による判断結果は報知部105からユーザに報知されるものとしたが、判断結果に関する情報を通信部110からユーザの携帯電話機等の外部通信端末装置宛にメイルで送出するようにしても良い。
【0118】
また、通信システム600は、中継装置621〜624を以外の構成を一体的にMFP610に備えた場合を例に説明したが、各装置が互いに信号を送受信可能に接続されていれば、一体的に備えていなくても構わない。
【0119】
図8は、本発明の変形例に係る通信システム800を示すブロック図である。図8に示すように、通信システム800は、PLCネットワーク140に接続されるMFP610と、第1グループ中継装置801と、第2グループ中継装置802とを備え、各グループ中継装置801,802にそれぞれ複数の装置631〜634が接続されるようにしても良い。各グループ中継装置801,802は、それぞれに接続される装置631〜634の実使用電力量情報202Bを取得してMFP610に送信する。これにより、電力線通信に対応していない装置631〜634であってもグループごとに電力消費状態を管理することが可能となり、判断処理を簡素化することが可能となる。
【0120】
なお、本発明に係るMFP100,400,610は、上述の処理を行うことが可能な回路構成であっても良く、上述の各工程に限定されるものでもない。さらに、上述の第1ないし第3実施形態を適宜組み合わせても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の第1実施形態に係るMFPの構成例を示すブロック図である。
【図2】MFPの機能ブロック図である。
【図3】MFPの処理動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係るMFPの構成例を示すブロック図である。
【図5】MFPの処理動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第3実施形態に係る通信システムの構成例と機能を示すブロック図である。
【図7】通信システムの処理動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の変形例に係る通信システムを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0122】
100,400,610 MFP
102 表示部
104 描画部
105 報知部
106 音声出力部
108,108A,612 記憶部
109,109A,616 履歴記憶部
140 PLCネットワーク
150〜154,641〜644 電子機器
201,201B 通常使用電力量情報
201A 合計通常使用電力量情報
202,202B 実使用電力量情報
202A 合計実使用電力量情報
211,611 取得部
212,212A,613 判断部
213,213A 制御部
411〜413 グループ
600,800 通信システム
614 報知装置
615 制御装置
621〜624 中継装置
631〜634 装置
801,802 グループ中継装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力線通信を行うことが可能な電子機器と電力線を介して通信を行う通信部と、
前記電力線に接続される電子機器の実使用電力量情報を取得する取得部と、
前記電力線に接続される電子機器の通常使用電力量情報を記憶する記憶部と、
前記取得部によって取得された実使用電力量情報に対応する電子機器の通常使用電力量情報が前記記憶部に記憶されているか否かを判断する判断部と
を備える、通信端末装置。
【請求項2】
請求項1記載の通信端末装置であって、
前記判断部は、前記取得部が取得する電子機器の実使用電力量情報と前記記憶部に記憶されている前記電子機器の通常使用電力量情報とを比較して、前記電子機器の電力消費状態を判断する、通信端末装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の通信端末装置であって、
前記判断部による判断結果に応じて、前記判断結果に関する情報を前記通信端末装置のユーザに報知する報知部を更に備える、通信端末装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか記載の通信端末装置であって、
前記判断部による判断結果に応じて、前記電子機器に対する電力供給を制御する第1制御部を更に備える、通信端末装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3の何れか記載の通信端末装置であって、
前記判断部は、複数の電子機器をグループ分けし、1のグループに含まれる電子機器について、前記記憶部に記憶されている通常使用電力量情報を合算して合計通常使用電力量情報を求め、前記取得部によって取得された実使用電力量情報を合算して合計実使用電力量情報を求め、前記合計通常使用電力量情報と前記合計実使用電力量情報とを比較して、前記1のグループにおける電力消費状態を判断する、通信端末装置。
【請求項6】
請求項5記載の通信端末装置であって、
前記判断部による判断結果に応じて、前記1のグループに対する電力供給を制御する第2制御部を更に備える、通信端末装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6の何れか記載の通信端末装置であって、
前記判断部による判断結果に関する情報の履歴を記憶する履歴記憶部を更に備える、通信端末装置。
【請求項8】
請求項3ないし請求項7の何れか記載の通信端末装置であって、
前記報知部は、判断結果を画像情報として表示する表示部、判断結果を画像情報として印刷出力する描画部又は判断結果を音声情報として出力する音声出力部のうち、少なくとも1つを有する、通信端末装置。
【請求項9】
電力線による通信を行う通信システムであって、
前記電力線に接続される中継装置と、
前記電力線に接続される通信端末装置と
を備え、
前記中継装置は、
前記中継装置に接続される装置の使用する電力量に基づいて、前記中継装置の実使用電力量情報を生成して、前記通信端末装置に向けて前記電力線を介して送信し、
前記通信端末装置は、
前記中継装置から送信された前記中継装置の実使用電力量情報を電子機器の実使用電力量情報として取得する取得部と、
前記電子機器の通常使用電力量情報を記憶する記憶部と、
前記取得部によって取得された実使用電力量情報に対応する前記電子機器の通常使用電力量情報が前記記憶部に記憶されているか否かを判断する判断部と
を有する、通信システム。
【請求項10】
請求項9記載の通信システムであって、
前記判断部は、前記取得部が取得する電子機器の実使用電力量情報と前記記憶部に記憶されている前記電子機器の通常使用電力量情報とを比較して、前記電子機器の電力消費状態を判断する、通信システム。
【請求項11】
請求項9又は請求項10記載の通信システムであって、
前記判断部による判断結果に応じて、前記判断結果に関する情報を前記通信システムの管理ユーザに報知する報知装置を更に備える、通信システム。
【請求項12】
請求項9ないし請求項11の何れか記載の通信システムであって、
前記判断部による判断結果に応じて、前記中継装置から前記装置への電力供給を制御する制御装置を更に備える、通信システム。
【請求項13】
請求項9ないし請求項12の何れか記載の通信システムであって、
前記判断部による判断結果に関する情報の履歴を記憶する履歴記憶装置を更に備える、通信システム。
【請求項14】
請求項11ないし請求項13の何れか記載の通信システムであって、
前記報知装置は、判断結果を画像情報として表示する表示装置、判断結果を画像情報として印刷出力する描画装置又は判断結果を音声情報として出力する音声出力装置のうち、少なくとも1つを有する、通信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−135815(P2008−135815A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318386(P2006−318386)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】